JP2003286350A - カーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法および成形品 - Google Patents

カーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法および成形品

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JP2003286350A
JP2003286350A JP2002092081A JP2002092081A JP2003286350A JP 2003286350 A JP2003286350 A JP 2003286350A JP 2002092081 A JP2002092081 A JP 2002092081A JP 2002092081 A JP2002092081 A JP 2002092081A JP 2003286350 A JP2003286350 A JP 2003286350A
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Seiichiro Eto
誠一郎 江藤
Toshihiro Hatsu
敏博 発
Hideaki Tanisugi
英昭 谷杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械特性、成形性に優れ、成形品外観も優れた
カーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の
製造方法を提供すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂に炭素繊維1〜40重量%、
カーボンナノチューブ0.01〜3.0重量%含むカー
ボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂であっ
て、少なくとも、次の製造工程[A]、[B]および
[C]を経ることを特徴とするカーボンナノチューブ含
有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法。 製造工程[A]:カーボンナノチューブ濃度を調製する
のに、段階的にマスターペレット化し、少なくとも3段
階以上の希釈工程を経て、最終濃度に調製する。 製造工程[B]:希釈倍率が2〜60倍の範囲であるカ
ーボンナノチューブの中間希釈工程。 製造工程[C]:希釈倍率が2〜10倍の範囲であるカ
ーボンナノチューブの最終希釈工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の機械特性や
成形品外観に優れた特性を有するカーボンナノチューブ
含有炭素繊維強化樹脂の製造方法およびその成形品に関
する。さらに詳しくは、マトリクス樹脂中へのカーボン
ナノチューブの分散がよい、カーボンナノチューブ含有
炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法およびその成形品
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂の機械特性を向
上させる目的でガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を複
合化させる技術が知られている。その中でも炭素繊維強
化熱可塑性樹脂は補強効果が高い上に導電性付与による
電磁波シールド性も期待できるため、種々の分野、特に
電気・電子機器の筐体用途として好ましく使用されてい
る。一方、導電性を高めるために、カーボンブラックや
カーボンナノチューブ等の導電性フィラーを配合させる
ことが知られている。特に、カーボンナノチューブはそ
の配合量が少なくても優れた導電性が得られる特徴を有
している。しかしながら、カーボンナノチューブは凝集
体を形成しやすいため、低濃度に配合した場合、導電性
の不均一や、部分的な樹脂粘度増加による成形品外観の
欠陥等が生じてしまう問題があった。
【0003】樹脂中に添加物を分散させる方法として二
軸押出機等による樹脂とカーボンナノチューブとの直接
の加熱混合が知られているが、該方法だけでは分散が不
十分である。カーボンナノチューブの分散を向上させる
ための方法として、多量の可塑剤の使用により樹脂の粘
度を下げ、次いでカーボンナノチューブを直接投入する
方法があるが、この場合は樹脂そのものを変質、劣化さ
せかねないという欠点がある。さらに別の方法として、
例えば特開平7−102108号公報には樹脂モノマー
化合物およびプレポリマー化合物等の前駆体にカーボン
ナノチューブを分散させた後、重合を行う方法が示され
ているが、該方法では使用樹脂や製造方法や電気特性発
現が限定されるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カーボンナ
ノチューブがマトリクス樹脂中に均一に分散され、成形
品外観に優れたカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化
熱可塑性樹脂成形品の製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題に
ついて鋭意検討した結果、カーボンナノチューブを分散
させるためにマスターペレット化したものを用いて段階
的に濃度を希釈することで上記課題を解決できることを
見出した。
【0006】すなわち、本発明のカーボンナノチューブ
含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法は以下の
(1)の構成からなる。
【0007】(1)熱可塑性樹脂に炭素繊維1〜40重
量%、カーボンナノチューブ0.01〜3.0重量%含
むカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂
であって、少なくとも次の製造工程[A]、[B]およ
び[C]を経ることを特徴とするカーボンナノチューブ
含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法。
【0008】製造工程[A]:カーボンナノチューブ濃
度を調製するのに、段階的にマスターペレット化し、少
なくとも3段階以上の希釈工程を経て、最終濃度に調製
する。
【0009】製造工程[B]:希釈倍率が2〜60倍の
範囲であるカーボンナノチューブの中間希釈工程。
【0010】製造工程[C]:希釈倍率が2〜10倍の
範囲であるカーボンナノチューブの最終希釈工程。
【0011】また、本発明のカーボンナノチューブ含有
炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法は、好ましくは、
以下の(2)の構成からなる。
【0012】(2)炭素繊維の長さがペレットと実質的
に同一長さでかつペレットの長さ方向に配列したことを
特徴とする請求項(1)に記載のカーボンナノチューブ
含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法。
【0013】また、本発明のカーボンナノチューブ含有
炭素繊維強化熱可塑性樹脂の射出成形品は、以下の
(3)の構成からなる。
【0014】(3)(1)または(2)のいずれかに記
載の製造法によって得られたカーボンナノチューブ含有
炭素繊維強化熱可塑性樹脂を射出成形して得られた成形
品。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に詳細に説
明する。
【0016】本発明のカーボンナノチューブ含有炭素繊
維強化熱可塑性樹脂の製造方法は、上述したように、熱
可塑性樹脂に炭素繊維を1〜40重量%、カーボンナノ
チューブを0.01〜3.0重量%含むカーボンナノチ
ューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂であって、カーボ
ンナノチューブを特定範囲の希釈倍率でマスターペレッ
ト化し、少なくとも3段階以上の希釈工程を経て、最終
濃度に調整する製造方法である。
【0017】本発明に用いるカーボンナノチューブとし
ては特に限定されず、例えば気層成長法、アーク放電
法、レーザー蒸発法などにより得られる単層ナノチュー
ブや多層ナノチューブが使用できる。また、これらを2
種類以上ブレンドしたものでも良い。
【0018】樹脂中のカーボンナノチューブ量として
は、0.01〜3.0重量%が必要であり、好ましくは
0.05〜1.0%の範囲である。カーボンナノチュー
ブの配合量が0.01重量%よりも少ないと導電性向上
の効果が得られず、3.0重量%よりも多いと樹脂の粘
度増加により成形性が悪くなり、成形品外観に悪影響を
及ぼすことがある。
【0019】カーボンナノチューブ濃度を0.01〜
3.0重量%の範囲内に調製するには、本発明において
は少なくとも3段階以上の希釈工程が必要であり、好ま
しくは3〜5段階の範囲である。その上限段階数として
は、特に制限はないが10段階以下が好ましい。10段
階より増えると、マスターペレットにする回数が多くな
り、生産効率が悪くなる。
【0020】カーボンナノチューブの希釈工程が2段階
以下であると、カーボンナノチューブの分散が十分でな
く凝集体を形成しやすくなり、導電性の不均一化や成形
品外観に悪影響を及ぼすことがあるからである。
【0021】カーボンナノチューブのマスターペレット
を製造する方法としては特に限定されず、公知の方法、
例えば熱可塑性樹脂のペレット状物またはパウダー状物
と所定量のカーボンナノチューブまたはカーボンナノチ
ューブ含有熱可塑性樹脂とをドライブレンドあるいはウ
ェットブレンドした後に、ロール式のニーダーに供給
し、加熱下に混練したり、またはこれらを押出機に投入
し、ロープ状に押出したものをペレット状にカットする
等の方法などが用いられる。
【0022】最終希釈工程を除く、前工程でのカーボン
ナノチューブの中間希釈倍率は2〜60倍の範囲内であ
ることが必要である。希釈倍率が2倍未満だと生産効率
が悪く、マスターペレット化する回数が増加するし、6
0倍を超えるとマスターペレット中のカーボンナノチュ
ーブの分散が悪くなり、導電性の不均一化や成形品外観
に悪影響を及ぼすことがある。
【0023】また、最終希釈工程におけるカーボンナノ
チューブの希釈倍率は、2〜10倍の範囲内であること
が必要である。最終希釈工程の希釈倍率が2倍未満だと
生産効率が悪い。また、最終希釈工程ではマスターペレ
ット中のカーボンナノチューブ濃度も低くなっており、
希釈倍率が10倍を超えると成形品中のカーボンナノチ
ューブの分散が悪くなり、成形品導電性の不均一化や成
形品外観に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0024】本発明の対象とする熱可塑性樹脂は特に限
定されず、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ABS樹
脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポ
リビニールアルコール樹脂、EVA樹脂、セルロース系
樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可
塑性ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹
脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポ
リスルホン樹脂、非晶ポリアリレート樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテ
ルケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアニルエーテルニトリル
樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等が挙げられる。射
出成形品の機械特性を考慮した場合、ポリエチレン樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹
脂、AS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、
ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂等が好ましい。
【0025】これらの熱可塑性樹脂は単独でも、混合物
でも、共重合体であってもよい。また、混合物の場合は
相溶化剤を併用してもよい。
【0026】組成物中の炭素繊維の重量含有率は1〜4
0重量%であることが必要であり、より好ましくは、1
0〜30重量%である。1重量%未満では炭素繊維混入
による機械特性向上の効果が小さく、40重量%を越え
ると成形性が悪くなる。
【0027】含有される炭素繊維の径(直径)は、一本
あたりの繊維径5〜8μmが好ましく、さらには6.5
〜7.5μmのものが好ましい。
【0028】なお、炭素繊維の用い方においても、成形
品中に含まれる繊維長によりその成形品特性が異なる。
本発明者らの各種知見によれば、機械特性や導電性の点
から、成形品中の炭素繊維長は0.1mm以上であるこ
とが好ましく、より好ましくは、0.3mm以上であ
る。このような成形品を得るためには、炭素繊維強化熱
可塑性樹脂は、特公昭63−37694号公報に示され
るような、強化繊維がペレットの長手方向に一列に配列
し、ペレットと実質的に同一長さの繊維が含まれている
いわゆる長繊維ペレットの他、実開昭60−62912
号公報に示されるような連続した強化繊維束の周りに熱
可塑性樹脂を被覆して、ある長さに切断したコーディド
ペレットが好ましい。炭素繊維が長さ方向に配列したペ
レットの長さは1〜20mmが好ましく、より好ましく
は3〜10mmである。1mmより短いと長繊維強化に
よる機械特性向上の効果が低く、20mmより長いと成
形時のかみ込み不良を生じやすく成形性が悪くなる。
【0029】本発明の樹脂に難燃剤として、臭素系難燃
剤、シリコン系難燃剤、赤リン等を加えてもよい。さら
に、リン酸エステルやカーボンブラックを配合してもよ
い。
【0030】さらに、良好な製品外観、機械特性を得る
ことを目的として、種々の添加剤を混和してもよい。添
加剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、ク
レー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化ア
ルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムのような無
定形フィラー、タルク、マイカ、あるいはガラスフレー
クなどの板状フィラー、ワラステナイト、チタン酸カリ
ウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノト
ライト、あるいはホウ酸アルミニウムなどの針状フィラ
ー、金属粉、金属フレーク、カーボンブラックなどの導
電性フィラーなどが用いられる。これら添加剤は単体も
しくは複数の組み合わせで使用してもよいし、その表面
に炭素被覆またはシランカップリング処理等を施したも
のを単体もしくは複数の組み合わせとして使用してもよ
い。
【0031】本発明にかかる製造法により得られたカー
ボンナノチューブ含有炭素繊維強化樹脂を射出成形方法
で成形し、得られる成形品の一例としては、強度、剛
性、耐衝撃性に加えて成形品外観が求められる電子・電
気機器用部品、特に携帯用の電子・電気機器のハウジン
グ、ケーシングなどが挙げられる。具体的には、ノート
型パソコン、携帯用電話機、PHS、PDA、ビデオカ
メラ、デジタルカメラなどのハウジング、ケーシングな
どである。
【0032】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。
【0033】実施例1 カーボンナノチューブ(多層ナノチューブ:平均単繊維
直径約10nm、アスペクト比約100〜1000のも
の)20重量%と、PA6(東レ製ポリアミド樹脂「ア
ミラン」CM1001)80重量%とを、コニーダーに
て混練し、カーボンナノチューブが20重量%に希釈混
練されたマスターペレット1を得た(希釈倍率:5
倍)。
【0034】次いで、充分乾燥した上記マスターペレッ
ト1を2重量%と、PA6を98重量%とをドライブレ
ンドしたものを2軸押出機で溶融混練し、カーボンナノ
チューブが0.4重量%に希釈混練されたマスターペレ
ット2を得た(希釈倍率:50倍)。
【0035】さらに、上記マスターペレット2を31重
量%と、PA6を69重量%とをドライブレンドしたも
のを単軸押出機に投入し、その先端に取り付けたクロス
ヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し出しな
がら、炭素繊維束(東レ製炭素繊維「トレカT700S
(フィラメント数12000本)」)に被覆後、長さ7
mmに切断し、表1記載の配合比のカーボンナノチュー
ブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得た。この
ときのカーボンナノチューブ含有量は0.1重量%、炭
素繊維含有量は20重量%である(最終希釈倍率:4
倍)。
【0036】実施例2 上記マスターペレット1を8重量%と、PA6を92重
量%とをドライブレンドしたものを2軸押出機で溶融混
練し、カーボンナノチューブが1.6重量%に希釈混練
されたマスターペレット3を得る(希釈倍率:12.5
倍)。
【0037】さらに、上記マスターペレット3を39重
量%と、PA6を61重量%とをドライブレンドしたも
のを単軸押出機に投入し、その先端に取り付けたクロス
ヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し出しな
がら、炭素繊維束に被覆後、長さ7mmに切断し、表1
記載の配合比のカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化
熱可塑性樹脂ペレットを得た。このときのカーボンナノ
チューブ含有量は0.5重量%、炭素繊維含有量は20
重量%である(最終希釈倍率:3.2倍)。
【0038】実施例3 上記マスターペレット1を20重量%と、PA6を80
重量%とをドライブレンドしたものを2軸押出機で溶融
混練し、カーボンナノチューブが4重量%に希釈混練さ
れたマスターペレット4を得る(希釈倍率:5倍)。
【0039】さらに、上記マスターペレット4を36重
量%と、PA6を64重量%とをドライブレンドしたも
のを単軸押出機に投入し、その先端に取り付けたクロス
ヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し出しな
がら、炭素繊維束に被覆後、長さ7mmに切断し、表1
記載の配合比のカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化
熱可塑性樹脂ペレットを得た。このときのカーボンナノ
チューブ含有量は1.0重量%、炭素繊維含有量は30
重量%である(最終希釈倍率:4倍)。
【0040】比較例1 炭素繊維含有量は実施例1と同じとし、カーボンナノチ
ューブを含有させず単純なPA6のみで、炭素繊維強化
熱可塑性樹脂ペレットを得た。PA6を単軸押出機に投
入し、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ中に十分
溶融・混練された状態で押し出しながら、炭素繊維束に
被覆後、長さ7mmに切断し、表1記載の配合比のカー
ボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレッ
トを得た。このときの炭素繊維含有量は20重量%であ
る。
【0041】比較例2 カーボンナノチューブ、炭素繊維の含有量は実施例1と
同じとし、カーボンナノチューブ希釈工程を本発明の請
求範囲外である2段階工程としてカーボンナノチューブ
含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得るようにし
た。上記マスターペレット1を0.6重量%と、PA6
を99.4重量%とをドライブレンドしたものを単軸押
出機に投入し、その先端に取り付けたクロスヘッドダイ
中に十分溶融・混練された状態で押し出しながら、炭素
繊維束に被覆後、長さ7mmに切断し、表1記載の配合
比のカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹
脂ペレットを得た。このときのカーボンナノチューブ含
有量は0.1重量%、炭素繊維含有量は20重量%であ
る(最終希釈倍率:200倍)。
【0042】比較例3 カーボンナノチューブ、炭素繊維の含有量は実施例1と
同じとし、カーボンナノチューブの最終希釈工程を本発
明の請求範囲外である80倍としてカーボンナノチュー
ブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得るように
した。
【0043】上記マスターペレット1を40重量%と、
PA6を60重量%とをドライブレンドしたものを2軸
押出機で溶融混練し、カーボンナノチューブが8重量%
に希釈混練されたマスターペレット5を得る(希釈倍
率:2.5倍)。
【0044】さらに、上記マスターペレット5を1.6
重量%と、PA6を98.4重量%とをドライブレンド
したものを単軸押出機に投入し、その先端に取り付けた
クロスヘッドダイ中に十分溶融・混練された状態で押し
出しながら、炭素繊維束に被覆後、長さ7mmに切断
し、表1記載の配合比のカーボンナノチューブ含有炭素
繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得た。このときのカー
ボンナノチューブ含有量は0.1重量%、炭素繊維含有
量は20重量%である(最終希釈倍率:80倍)。
【0045】次に、上記実施例1〜3および比較例1〜
3で得られた各カーボンナノチューブ含有炭素繊維強化
熱可塑性樹脂ペレットを、射出成形機(日本製鋼所製
J350EII−SP:350t)および金型(縦220
×横300×高さ10mm、肉厚1.2mmの成形品)
を使用し、シリンダ温度280℃、金型温度50℃にて
射出成形を行った。その結果、実施例1〜3については
カーボンナノチューブの分散が良好であり、外観良好で
導電性に優れた成形品が得られた。
【0046】得られた成形品の評価方法は、以下の通り
である。 (1)導電性:図1に示すように、得られた成形品の測
定点に5.5mmの穴1を2個あけ、M6のスチール製
ボルトを締め込んで端子とし、抵抗計で抵抗値を測定し
た(端子間距離100mm)。 (2)成形品中のカーボンナノチューブ凝集体の有無:
成形品の一部を切り取り、TEM観察を行った。
【0047】(TEM:透過型電子顕微鏡 日立製H−
7100FA型) (3)成形品外観:上記成形品表面を肉眼で観察し、カ
ーボンナノチューブに起因する表面欠陥を評価した。 (4)総合評価 判断基準として、外観が良好でかつ抵抗値が50Ω以下
の成形品を○、外観に欠損があるか、抵抗値が50Ω以
上である、もしくはその両方の特性を持つ成形品を×に
した。
【0048】以上の実施例と比較例をまとめたのが次の
表1である。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によれば、カーボンナノチューブが均一に分散した状態
の炭素繊維強化熱可塑性樹脂を提供することができ、か
かる樹脂によれば、成形品外観が良好で機械特性に優れ
た成形品が得られる。よって、本発明の製造方法は、ハ
ウジング、ケーシングを始め、強度、剛性、耐衝撃性、
良好な外観を必要とする幅広い産業分野に好適なもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造した成形品の導
電性を測定するための概略説明図である。
【図2】本発明の実施例1で得られた成形品中における
カーボンナノチューブの分散形態をTEM観察した図面
である。
【図3】本発明の比較例1で得られた成形品中における
カーボンナノチューブ凝集体のTEM観察した図面であ
る。
【符号の説明】
1:抵抗値測定用の穴 2:カーボンナノチューブ 3:カーボンナノチューブ凝集体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA01 AA02 AA03 AA08 AA09 AB10 AB14 AB18 AD01 AD04 AD05 AD06 AD07 AD08 AD09 AD37 AD41 AD42 AD44 AD45 AD46 AD52 AH23 AK16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂に炭素繊維1〜40重量%、
    カーボンナノチューブ0.01〜3.0重量%を含むカ
    ーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑性樹脂であ
    って、少なくとも、次の製造工程[A]、[B]および
    [C]を経ることを特徴とするカーボンナノチューブ含
    有炭素繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法。 製造工程[A]:カーボンナノチューブ濃度を調製する
    のに、段階的にマスターペレット化し、少なくとも3段
    階以上の希釈工程を経て、最終濃度に調製する。 製造工程[B]:希釈倍率が2〜60倍の範囲であるカ
    ーボンナノチューブの中間希釈工程。 製造工程[C]:希釈倍率が2〜10倍の範囲であるカ
    ーボンナノチューブの最終希釈工程。
  2. 【請求項2】炭素繊維の長さがペレットと実質的に同一
    長さでかつペレットの長さ方向に配列したことを特徴と
    する請求項1に記載のカーボンナノチューブ含有炭素繊
    維強化熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の製造法によって
    得られたカーボンナノチューブ含有炭素繊維強化熱可塑
    性樹脂を射出成形して得られた成形品。
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Cited By (5)

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