JP2004094161A - 帯電ローラ - Google Patents

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Hiroyuki Kamibayashi
上林 裕之
Yoshiji Miyashita
宮下 芳次
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Abstract

【課題】優れた帯電性を均一に有し、かつ環境依存性およびブルームが低減された帯電ローラを提供する。
【解決手段】金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを含有するものであることを特徴とする帯電ローラ。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機およびプリンタに用いられる安定した電気特性を有する帯電ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタなどの電子写真装置における画像形成では、感光ドラムを均一に帯電させる帯電工程と、帯電された感光ドラムに露光して感光ドラム表面に静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像の形成された感光ドラムにトナーを付着させ、それを転写ローラにて紙上に転写してトナー像を形成する転写工程と、加熱・加圧を施して紙上にトナー像を定着させる定着工程とを、基本的に含有する。これらの工程を経た後、感光体はブレードなどにより残存した廃トナーを除去するクリーニングを施され、除電されて、繰り返し帯電工程に供される。従来、上記帯電工程における感光ドラムの帯電はコロナ放電により行われているのが一般的であったが、コロナ放電では発生するオゾンが周囲に悪影響を及ぼすため、近年では、感光ドラムに接触させる接触型の帯電ローラを使用する方式(接触帯電方式)が採用されるようになってきた。
【0003】
しかし上記接触帯電方式では、▲1▼帯電ローラの構成物質が帯電ローラから染み出して感光ドラムの表面に付着し、この付着が進行すると感光ドラム表面に帯電ローラの跡が残る、▲2▼帯電ローラに交流電圧を印加した際に、感光ドラムが接触している帯電ローラが振動して帯電音が発生する、▲3▼感光ドラム表面のトナーが帯電ローラに付着して帯電性能が低下する、▲4▼感光ドラムを長期間駆動しないと帯電ローラに永久変形が生じる、などの問題が生じていた。このため最近では、感光ドラムに接触させずに近接させる近接帯電方式が検討され、採用されている。この近接帯電方式では、帯電ローラが感光ドラムに近すぎると感光ドラムと接触してしまう虞があり、また帯電ローラが感光ドラムから遠すぎると帯電効率が悪くなる虞があることから、帯電ローラと感光ドラムとの間の最近接距離は、通常、0.005mm〜3mmとなるように調整されている。
【0004】
上記近接帯電方式では、帯電ローラと感光ドラムとを接触させずにその近接距離を制御すべく、帯電ローラと感光ドラムとの間にスペーサが設けられる。このため帯電ローラが弾性体であると、その変形によって感光ドラムとの間の距離を一定に保持することが困難であることから、非弾性体である熱可塑性樹脂を感光ドラムの構成材料として用いることが検討されている。ただし、帯電ローラは感光ドラムを帯電させるため半導電性であることを要することから、上記熱可塑性樹脂に導電性の添加剤を配合する必要がある。しかし、従来より帯電ローラに一般に添加されていたカーボンブラックに代表される導電性顔料は、熱可塑性樹脂に均一に分散させるのが困難であり、良好な帯電性を均一に有する帯電ローラを得ることができない。
【0005】
このためカーボンブラックなどに代替し得る帯電ローラ用の導電剤が種々検討されている。
その一つとして、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヨウ化リチウムなどの電解質塩をイオン導電剤として熱可塑性樹脂中に分散させる手法が試みられており、かかる電解質塩によれば熱可塑性樹脂中への分散性も良好であることが判っている。しかしながら、上記電解質塩は特性が環境に左右され易く、高温高湿になるほど体積抵抗率が下がり、低温低湿になるほど体積抵抗率が上がることから、それにより製造されたローラの特性が不安定である現象が指摘されている。また上記電解質塩を用いると、使用中に帯電ローラ表面にブルームする性質があり、感光ドラムを汚染してしまうという欠点も併せもっている。そのためイオン導電剤として上記電解質塩を配合してなる帯電ローラを使用する場合には、イオン導電剤を含まない最外層を設けてなる積層構造として、環境依存性およびブルームを防止する方式を採る必要があるが、このような積層構造の帯電ローラは、製造が煩雑であるとともに、寸法安定性が悪い、各層間の密着力が不安定である、などといった問題がある。
【0006】
イオン導電剤を使用しつつ上記ブルームを防止するために、高分子量化したイオン導電剤を使用した場合には、体積抵抗率が1.0×10Ω・cm程度の帯電ローラしか得ることができない。体積抵抗率が1.0×10Ω・cmを超えると、感光ドラムを帯電しにくい状態となることから、環境変化による抵抗変動があっても安定して帯電するために帯電ローラの体積抵抗率は、標準状態で1.0×10Ω・cm以下であることが望まれる。
【0007】
また、ポリアルキレンオキシドなどのポリエーテル基を有するノニオン性高分子型導電剤を熱可塑性樹脂に分散させる手法も検討されている。かかるノニオン性高分子型導電剤を用いれば、熱可塑性樹脂中への分散性も良好であり、上記のイオン導電剤を用いた場合のような帯電ローラ表面へのブリードアウトは起こりにくい。しかし、ノニオン性高分子型導電剤は、上記イオン導電剤と比較して抵抗値を抑える効果が小さく、1.0×1010Ω・cm程度の抵抗値しか得られないため、感光ドラムを良好に帯電させる帯電ローラを実現することができない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−132014号公報
【特許文献2】
特開2002−179898号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、優れた帯電性を均一に有し、かつ環境依存性およびブルームが低減された帯電ローラを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、
前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを含有するものであることを特徴とする帯電ローラ。
〔2〕上記熱可塑性樹脂がABS樹脂である上記〔1〕に記載の帯電ローラ。
〔3〕上記金属塩がLiClO、LiCFSO、LiC(CFSOから選ばれる少なくとも1種である、上記〔1〕または〔2〕に記載の帯電ローラ。
〔4〕上記有機化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される少なくともいずれかである、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の帯電ローラ。
【0011】
【化4】
Figure 2004094161
【0012】
【化5】
Figure 2004094161
【0013】
【化6】
Figure 2004094161
【0014】
[上記一般式(1)〜(3)中、Rは、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基、および、炭素数2〜9の直鎖または分岐のアシル基のうちいずれか一種を示し、同一でも異なっていてもよい。Aは同一または異なる炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは同一または異なる1〜7の整数である。また、Xは炭素数2〜10からなる、アルキレン基、芳香族基を含む炭化水素基、または脂環式炭化水素基、Yは炭素数6〜10からなる、芳香族基を含む炭化水素基である。]
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の帯電ローラは、金属芯と、該金属芯の外周を覆う円筒状の樹脂層とを備える帯電ローラであって、当該樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、該金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを含有するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来公知の種々の熱可塑性樹脂を使用できるが、成形が容易で長時間(30000時間〜50000時間)の使用後でも形状が変化しないことから、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、PE(ポリエチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、PPE(ポリフェニレンエーテル)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂などが用いられるが、中でも耐衝撃性、耐クリープ性、温熱安定性、易成形性などの物性に優れることから、ABS樹脂を用いるのが好ましい。
【0017】
本発明に使用される金属塩のカチオン成分であるアルカリ金属またはアルカリ土類金属としては、たとえば、Li、Na、K、Mg、Caなどが挙げられる。カチオンとしては、導電性が得られ易いことから、イオン半径の小さいLi、Na、Kが好ましい。
また本発明に使用される金属塩よりイオン解離し得るアニオン成分としては、たとえば、Cl、Br、F、I、NO 、SCN、ClO 、CFSO 、BF 、(CFSO、(CFSIOなどが挙げられ、中でもClO 、CFSO 、BF 、(CFSO、(CFSIOが好ましい。
上記カチオン成分およびアニオン成分によって構成される金属塩としては、例えば従来公知のリチウム塩電解質、具体的には、LiClO、NaClO、KClO、LiCFSO、LiN(CFSO、NaN(CFSO、LiC(CFSO、NaC(CFSOが挙げられ、中でも体積抵抗率を制御し易い点から、LiClO、LiCFSO、LiC(CFSOが好ましい。なお本発明においては、上述した中から選ばれる2種以上の金属塩を用いてよい。
【0018】
本発明に用いられる上記金属塩を溶解可能な有機化合物としては、たとえば、−[O(AO)]−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH基である有機化合物が挙げられる。
具体的には、以下の一般式(1)〜(3)で表される少なくともいずれかの有機化合物が好適である。
【0019】
【化7】
Figure 2004094161
【0020】
【化8】
Figure 2004094161
【0021】
【化9】
Figure 2004094161
【0022】
[上記一般式(1)〜(3)中、Rは、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基、および、炭素数2〜9の直鎖または分岐のアシル基のうちいずれか一種を示し、同一でも異なっていてもよい。Aは同一または異なる炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは同一または異なる1〜7の整数である。また、Xは炭素数2〜10からなる、アルキレン基、芳香族基を含む炭化水素基、または脂環式炭化水素基、Yは炭素数6〜10からなる、芳香族基を含む炭化水素基である。]
中でも特に、トリエチレングリコールジアセチルまたはアジピン酸ジブトキシエトキシエチルが好適である。
【0023】
なお本発明においては、上記金属塩を溶解可能であれば、たとえばトリアセチンやモノアセチルグリセリドなど、上述した−[O(AO)]−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH基である有機化合物以外の有機化合物を用いてもよい。
【0024】
本発明の帯電ローラにおいては、上記熱可塑性樹脂、金属塩、有機化合物に加えて、さらにカーボンナノチューブを含有する樹脂層を備える。カーボンナノチューブは、一般に、炭素からなる、外径が2nm〜70nm、長さが直径の10倍以上である円筒状の中空繊維状のものである。その末端形状は必ずしも円筒状である必要はなく、例えば円錐状等変形していてもよく、また末端は閉じていても開いていてもよい。
【0025】
このようなカーボンナノチューブは、従来公知の手法によって適宜製造することができ、例えば、レーザー蒸発法やアーク放電法などによって作製されたカーボンナノチューブを使用すればよい。
【0026】
本発明の帯電ローラにおいては、上述したような熱可塑性樹脂、金属塩、有機化合物およびカーボンナノチューブを少なくとも含有する組成物を、金属芯の外周を覆う円筒状の樹脂層として成形する。ここで、「金属芯の外周を覆う」とは、樹脂層が金属芯の外周面に隣接してこれを被覆するように形成されていてもよく、金属芯との間に他の層を介在したかたちで金属芯を覆うように形成されていてもよいことを指すが、製造工程を簡略化できることから、金属芯に隣接してこれを覆う単層の樹脂層として形成されるのが好ましい。なお、上記「円筒状」は、その軸線方向におけるいずれの断面もが略合同な円形である中空の形状をいう。
【0027】
本発明の帯電ローラに使用される金属芯の形成材料としては、当分野において金属芯材料として従来から使用されている鉄、鉄合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料を特に制限なく用いることができる。中でも、強度、コスト、加工性の観点から、鉄または鉄合金(具体的には、炭素鋼、ステンレス鋼)製の金属芯を使用するのが好ましい。
【0028】
本発明においては、上述してきたように熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、該金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを少なくとも含有することで、上記金属塩と上記有機化合物とが熱可塑性樹脂中で高分子電解質となり、ブリードアウトを抑制することが可能となり、優れた体積抵抗率を有し、環境依存性およびブルームが防止された帯電ローラを実現することができる。
すなわち、まず、上記金属塩および上記有機化合物を用いることで、カーボンブラックなどの導電性添加剤と比べて電子を均一に放出し得るようになることから感光ドラムを全面均一に帯電することが可能である。さらにカーボンナノチューブを含有することで、イオン導電剤の持つ均一帯電性を損なうことなく全体の抵抗を下げることが可能となる。なおカーボンナノチューブは上記のように非常に小さいものであるため、従来のカーボンブラックとは異なり帯電ローラの表面に浮き出ることもなく、樹脂の機械的特性に影響を及ぼすこともない。ここで、「優れた導電性」とは、樹脂層の体積抵抗率が1.0×10Ω・cm〜1.0×10Ω・cm(好ましくは、1.0×10Ω・cm〜1.0×10Ω・cm)であることを指す。該体積抵抗率は、たとえば、帯電ローラに金属箔を巻きつけ、帯電ローラの金属芯より直流電流を印加し、直列に接続した電流計の値の読みから計算して抵抗値を求め、金属箔の面積、ローラ被覆厚(樹脂層の肉厚)から、体積抵抗率を換算する。また「導電性を均一に有する」とは、良好な帯電ローラ1本中の樹脂層の任意の複数の区画における体積抵抗率の最大値/最小値が10以下(好ましくは5以下)であることを指す。
また、本発明の構成とすることで、長時間(1000時間〜10000時間程度)使用してもブリードアウトする物質もなく、またスペーサに接触する部分の永久変形も生じにくい。さらに、本発明の帯電ローラは、環境依存性に優れ、高温高湿(50℃×80%RH:HH)と低温低湿(10℃×15%RH:LL)での体積抵抗率(Ω・cm)の比(LL/HH)が30以下(好ましくは15以下)であり、安定した帯電特性を得ることができる。このため、ブルームを防止するための層や環境から保護するための層を設ける必要がなく、1層という簡略な構成にて帯電ローラを実現することも可能である。このように金属芯と該金属芯の外周に隣接してこれを覆う単層の樹脂層という形態にて実現すると、製造工程を最小限に抑えつつも高品位な帯電ローラを形成することができるため、好ましい。
さらに、本発明の帯電ローラは、優れた耐リーク性を有する。ここで「優れた耐リーク性」とは、絶縁破壊試験を行い、絶縁破壊が生じたときの電圧が1200V以上であることをいう。
【0029】
上記金属塩の配合量に制限はなく、用いる熱可塑性樹脂や有機化合物の種類や上記カチオン成分およびアニオン成分の組み合わせによって適宜選択すればよいが、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01重量部〜20重量部であるのが好ましく、5.0重量部〜10重量部であるのがより好ましい。金属塩が熱可塑性樹脂100重量部に対し0.01重量部未満であると、導電性の効果が得られにくくなる傾向にあり、また熱可塑性樹脂100重量部に対し20重量部を超えても、飽和状態となって導電性の効果が得られにくくなる傾向にあるためである。
【0030】
また上記有機化合物の配合量についても特に制限はないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.03重量部〜15重量部であるのが好ましく、0.5重量部〜10重量部であるのがより好ましい。上記有機化合物が熱可塑性樹脂100重量部に対し0.03重量部未満であると、金属塩のブリードアウト抑制の効果が低減する傾向にあるためであり、また上記有機化合物が熱可塑性樹脂100重量部に対し15重量部を超えても、上記ブリードアウト抑制の効果が低減する傾向にあるためである。
【0031】
本発明におけるカーボンナノチューブの配合量にも特に制限はないが、カーボンナノチューブは導電性が高く、比較的少量の添加であっても形成された樹脂層内でネットワークを形成し得るものである。かかる観点より、体積抵抗率を確実に1.0×10Ω・cm以下とするためには、熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1重量部〜5重量部であるのが好ましく、0.5重量部〜3重量部であるのがより好ましい。カーボンナノチューブが熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1重量部未満であると、体積抵抗率の低下の効果が充分に得られない傾向にあるためであり、また5重量部を超えると、体積抵抗率が低下し過ぎて放電してしまう虞があるためである。
【0032】
本発明の帯電ローラの製造方法に特に制限はなく、当分野において従来公知の手法にて製造することができる。たとえば、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分より構成される金属塩と、該金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを所定量配合してなる組成物を、バンバリミキサ、ロール混練機などの公知の混練機を用いて混練した後、公知の射出成形機にて金属芯の外周を覆う樹脂層として射出成形すればよい。これによって1回の成形で製品とすることができるとともに、研削加工なども不要であり、従来よりも簡単に製造することができる。なお上述のように金属芯の外周に隣接して単層の樹脂層を形成することで、製造工程を最小限で実施することができ、製造コストも低く抑えることができるという利点もある。
【0033】
本発明における金属塩の良好な分散性を実現し得る観点からは、予め、熱可塑性樹脂と上記金属塩と上記有機化合物とカーボンナノチューブからなるマスターバッチを作製しておき、該マスターバッチを熱可塑性樹脂と混合させると、金属塩の分散性が向上するため、好ましい。また、カーボンナノチューブと熱可塑性樹脂とからなるマスターバッチを予め作製し、これに上記金属塩と上記有機化合物とを混合するようにしてもよい。
また、射出成形の条件に特に制限はないが、通常、200℃〜250℃の成形温度、50mm/秒〜150mm/秒の射出速度の各範囲内で成形を行う。
【0034】
本発明の帯電ローラは、その長さ、ロール径(外径)、シャフト径(内径)などに特に制限はなく、適用する複写機などに応じて適宜選択すればよい。
また、本発明の帯電ローラを形成するための組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で無機充填剤、酸化防止剤、相溶化剤などの適宜の添加剤が配合されていてもよい。
【0035】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1
ABS樹脂100重量部、LiClO5.0重量部、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル3.0重量部、カーボンナノチューブ1.0重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの帯電ローラのサンプルを作製した。
【0036】
実施例2
LiClOに換えてLiCFSOを7.0重量部配合し、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルに換えてトリエチレングリコールジアセチルを5.0重量部配合した以外は実施例1と同様にして、帯電ローラのサンプルを作製した。
【0037】
実施例3
PE(ポリエチレン)樹脂100重量部、LiCFSO7.0重量部、トリエチレングリコールジアセチル5.0重量部、カーボンナノチューブ0.5重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの帯電ローラのサンプルを作製した。
【0038】
比較例1
ABS樹脂を100重量部のみを含有する組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの帯電ローラのサンプルを作製した。
【0039】
比較例2
ABS樹脂100重量部、LiClO15.0重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの帯電ローラのサンプルを作製した。
【0040】
比較例3
ABS樹脂100重量部、カーボンブラック(ケッチェンブラック)8重量部を混合した組成物を、バンバリミキサで混練した後、ステンレス鋼製の金属芯上に射出成形(温度:230℃、射出速度:100mm/秒)し、ロール径12mm(シャフト径:8mm)、長さ350mmの帯電ローラのサンプルを作製した。
【0041】
比較例4
カーボンナノチューブを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、帯電ローラのサンプルを作製した。
【0042】
〔評価試験〕
上記で作製した実施例1〜3、比較例1〜4のサンプルについて、下記の手順にて測定した(1)〜(4)について、いずれも基準を満足するものを合格とし、いずれか1つでも満足しないものを不合格と総合判定した。
(1)体積抵抗率
各サンプルに金属箔を巻きつけ、金属芯から100Vの直流電圧を印加し、直列に接続した電流計の値の読みから計算して抵抗値を求め、金属箔の面積、ローラ被覆厚から体積抵抗率を換算した。1.0×10Ω・cm〜1.0×10Ω・cmの範囲であったものを合格とした。
(2)リーク電圧(耐リーク性)
各ローラサンプル(樹脂層厚:2mm)に20mm長さの金属箔を巻き付け、AC電圧発生装置と接続し、昇圧して絶縁破壊が生じたときの電圧を測定し、1200V以上であれば合格とした。
(3)ブリードアウト
各ローラサンプルを、40℃×90%RH雰囲気中に7日間放置し、目視によりローラ表面のブリードアウトの有無を判定した。
(4)導電の均一性
体積抵抗率の測定に準じ、1本のローラについて数箇所に金属箔を巻きつけて測定した。その測定値の中で最大値と最小値を求め、その差(その比:最大値/最小値)が10以下であれば合格とした。
(5)耐環境性
LL(低温低湿=10℃×15%RH)およびHH(高温高湿=50℃×80%RH)雰囲気でのローラの体積抵抗率(Ω・cm)を測定(方法は上記と同じ)する。LL/HHを求め、その値が30以下であれば合格とした。
結果を、表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004094161
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、優れた帯電性を均一に有し、かつ環境依存性およびブルームが低減された帯電ローラを提供することができる。

Claims (4)

  1. 金属芯と、その外周を覆う円筒状の樹脂層とを備えるローラであって、
    前記樹脂層が、熱可塑性樹脂と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカチオン成分およびイオン解離可能なアニオン成分で構成される金属塩と、上記金属塩を溶解可能な有機化合物と、カーボンナノチューブとを含有するものであることを特徴とする帯電ローラ。
  2. 上記熱可塑性樹脂がABS樹脂である請求項1に記載の帯電ローラ。
  3. 上記金属塩がLiClO、LiCFSO、LiC(CFSOから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の帯電ローラ。
  4. 上記有機化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される少なくともいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の帯電ローラ。
    Figure 2004094161
    Figure 2004094161
    Figure 2004094161
    [上記一般式(1)〜(3)中、Rは、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基、および、炭素数2〜9の直鎖または分岐のアシル基のうちいずれか一種を示し、同一でも異なっていてもよい。Aは同一または異なる炭素数2〜4のアルキレン基を示し、nは同一または異なる1〜7の整数である。また、Xは炭素数2〜10からなる、アルキレン基、芳香族基を含む炭化水素基、または脂環式炭化水素基、Yは炭素数6〜10からなる、芳香族基を含む炭化水素基である。]
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