JP6104878B2 - 温度検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスコンロの五徳上に載置された調理容器の底部に当接されて、調理容器の温度を検出する温度検出装置に関する。
コンロバーナーの中央の開口部から突設されて、コンロバーナーで加熱調理される調理容器の温度を検出する温度検出装置が広く知られている。この温度検出装置は、温度センサーを内蔵するホルダーと、ホルダーが上下方向に移動可能な態様で取り付けられた支持パイプと、ホルダーと支持パイプとの間に設けられてホルダーを上方に付勢するコイルスプリングとを備えている。ホルダーは、五徳上に調理容器が載置されていない状態では、調理容器が載置される面よりも、ホルダーの上端面が突出した状態となっている。このため、五徳上に調理容器が載置されると、調理容器の底部でホルダーが押し下げられて、ホルダーの上端面が調理容器の底部に当接された状態となる。その結果、ホルダーに内蔵された温度センサーで調理容器の温度を検出することが可能となる。
また、加熱調理中には調理容器から煮零れが発生することがある。ホルダーの下端の支持パイプとの隙間に煮零れ汁が入り込むと、ホルダーが支持パイプに固着してしまい、ホルダーが上下方向に移動することができなくなる。すると、五徳上に調理容器を置いてもホルダーの上端面を調理容器の底部に当接させることができなくなって、調理容器の温度を検出できなくなる。そこで、下向きに広がる円錐筒状部材(煮零れ汁カバー)をホルダーに取り付けて、ホルダーの下端の部分を覆うようにすることで、たとえ煮零れが生じても、ホルダーと支持パイプとの隙間には煮零れ汁が入り込まないようにした温度検出装置が提案されている(特許文献1)。
ここで、ホルダーの下端(特に、ホルダーの下端部近傍および支持パイプ)に煮零れ汁がかからないようにするためには、煮零れ汁カバーの大きさ(外径)は大きい方が望ましいが、コンロバーナーの開口部は、燃焼に必要な二次空気の供給通路となっている。このため、円錐筒状の煮零れ汁カバーの大きさは、二次空気の供給が妨げられてコンロバーナーの燃焼状態が悪化することがなく、尚且つ、ホルダーの下端に煮零れ汁がかからない大きさに設定されている。
特開2013−044468号公報
しかし、上記の提案されている温度検出装置では、長期に亘って使用していると、固化した煮零れ汁によって煮零れ汁カバーの外径が大きくなっていき、二次空気の供給が阻害されてコンロバーナーの燃焼状態を悪化させてしまうことがあるという問題があった。これは次のような理由による。先ず、煮零れ汁は粘度が高いので、煮零れ汁カバーの下端に溜まった時に外側に少し張り出した状態(溜まり状態)となる。そして、その溜まり状態で煮零れ汁が固化する結果、煮零れ汁カバーの外径が少し大きくなる。煮零れが生じる度にこのようなことが繰り返されるので、長期に亘る使用の間には、二次空気の供給を阻害する程度まで煮零れ汁カバーの外径が大きくなってしまい、コンロバーナーの燃焼状態を悪化させてしまう。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、長い間の使用によっても、コンロバーナーの燃焼状態を悪化させる虞のない温度検出装置の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の第1の温度検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
二次空気が供給される空気供給通路が中央を貫通して形成されたコンロバーナーに設けられて、五徳上に置かれた調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
前記空気供給通路内に立設された支持パイプと、
前記支持パイプに摺動可能な態様で取り付けられて、上端が前記調理容器の底部に当接することによって該調理容器の温度を検出する感熱ヘッドと
を備え、
前記感熱ヘッドは、
略筒形状に形成されて、下端側が前記支持パイプに摺動可能に取り付けられたホルダーと、
前記ホルダーの上端に取り付けられた集熱部と、
該集熱部の内部に取り付けられた温度センサーと、
前記ホルダーを上方に付勢するコイルバネと、
前記ホルダーの外周に取り付けられて前記調理容器からの煮零れ汁が該ホルダーの下端にかかることを防止すると共に、垂直下方に向けて突片が突設された保護カバーと
を備えており、
前記保護カバーの前記突片の下端には、前記煮零れ汁を滴下させる滴下部と、前記保護カバーの下端に付着した前記煮零れ汁を、該煮零れ汁の自重によって前記滴下部まで誘導する誘導部とが形成されている
ことを特徴とする。
かかる本発明の第1の温度検出装置においては、感熱ヘッドが支持パイプに摺動可能な態様で取り付けられている。また、この感熱ヘッドは次のような態様で形成されている。まず、略筒形状に形成されたホルダーの下端側が支持パイプに摺動可能に取り付けられており、ホルダーの上端に取り付けた集熱部の内部には温度センサーが取り付けられている。更に、ホルダーはコイルバネによって上方に付勢されており、ホルダーの外周には、調理容器からの煮零れ汁がホルダーの下端にかかることを防止する保護カバーが形成されている。このような感熱ヘッドでは、五徳上に調理容器が置かれると、感熱ヘッドの上端の集熱部が調理容器の底部に当接することによって、調理容器の温度を検出する。また、感熱ヘッドには保護カバーが設けられているので、支持パイプとの摺動部分に調理容器からの煮零れ汁がかかることを防止することができるそして、この保護カバーは、垂直下方に向けて突設された突片を有しており、その突片の下端には、煮零れ汁を滴下させる滴下部と、保護カバーに付着した煮零れ汁を、煮零れ汁の自重によって滴下部まで誘導する誘導部とが形成されている。
こうすれば、煮零れ汁が保護カバーの上を流れ落ちた後、保護カバーに付着した煮零れ汁が突片に達して、その突片から滴下しようとする際に、自重によって誘導部の上を流れて滴下部に導かれ、滴下部から滴下するようになる。その結果、煮零れ汁が最後に滴下する位置を、保護カバーに垂直下方に向けて突設形成された突片の下端の滴下部に限定することができるので、煮零れ汁が固化する位置もこの位置に限定され、誘導部では固化が生じない。その結果、長期に亘って使用した場合でも、少なくとも誘導部の位置では、固化した煮零れ汁が空気供給通路を狭めてしまうことが無く、二次空気の供給量を確保することができるので、コンロバーナーの燃焼状態を悪化させる事態を回避することが可能となる。加えて、感熱ヘッドの保護カバーは、ホルダーの外周に設けられるので、煮零れ汁が固化して保護カバーの外径が大きくなると、空気供給通路を通過する二次空気の流れを妨げ易くなる。これに対して、保護カバーを、垂直下方に向けて突設する突片を有する形状として、その突片の下端に滴下部および誘導部を形成しておけば、煮零れ汁は滴下部では固化するものの誘導部では固化しない。このため、長期に亘る使用によっても、少なくとも誘導部の位置では二次空気の流れを妨げることがないので、コンロバーナーの燃焼状態を悪化させる事態を回避することが可能となる。
あるいは、上述した課題を解決するために、本発明の第2の温度検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
二次空気が供給される空気供給通路が中央を貫通して形成されたコンロバーナーに設けられて、五徳上に置かれた調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
前記空気供給通路内に立設された支持パイプと、
前記支持パイプに摺動可能な態様で取り付けられて、上端が前記調理容器の底部に当接することによって該調理容器の温度を検出する感熱ヘッドと
を備え、
前記感熱ヘッドは、
略筒形状に形成されて、前記支持パイプとの前記摺動部分が内部に設けられることによって、前記摺動部分に前記調理容器からの煮零れ汁がかかることを防止するホルダーと、
前記ホルダーの上端に取り付けられた集熱部と、
該集熱部の内部に取り付けられた温度センサーと、
前記ホルダーを上方に付勢するコイルバネと
を備えると共に、
前記ホルダーの下端には、前記煮零れ汁を滴下させる滴下部と、前記ホルダーに付着した前記煮零れ汁を、該煮零れ汁の自重によって前記滴下部まで誘導する誘導部とが形成されている
ことを特徴とする。
コンロバーナーの小型化などの要請に対応して空気供給通路が狭くなると、このような感熱ヘッドであっても、ホルダーの下端で固化した煮零れ汁によって、二次空気の供給が妨げられる可能性がある。これに対して、ホルダーの下端に滴下部および誘導部を形成しておけば、煮零れ汁は滴下部では固化するものの誘導部では固化しない。このため、長期に亘る使用によっても、少なくとも誘導部の位置では二次空気の流れを妨げることがないので、コンロバーナーの燃焼状態を悪化させる事態を回避することができる。
また、上述した本発明の第1の温度検出装置あるいは第2の温度検出装置においては、滴下部に隣接する部分を、滴下部に向かって斜め下方に形成することによって誘導部を形成しても良い。
感熱ヘッドの保護部あるいはホルダーに付着した煮零れ汁は保護部あるいはホルダーの下端に集まるから、煮零れ汁は自ずから滴下部から滴下することになる。更に、その滴下部に隣接する部分を、滴下部に向かって斜め下方に形成すれば、自ずからその部分が誘導部となる。従って、こうすれば、固化した煮零れ汁が空気供給通路を狭めてしまうことの無い感熱ヘッドを簡単に得ることが可能となる。
また、上述した本発明の第1の温度検出装置あるいは第2の温度検出装置においては、複数の滴下部を等間隔に設けることとしてもよい。
滴下部では煮零れ汁が固化して空気供給通路を狭めてしまうが、複数の滴下部を等間隔に設けておけば、空気供給通路を通過する空気の流れを偏らせることがない。このため、コンロバーナーを長期に亘って使用した場合でも、コンロバーナーの一部で空気の供給が不足することがなく、良好な燃焼状態を維持することが可能となる。
本実施例の温度検出装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示す断面図である。 本実施例の温度検出部110の内部構造を示す断面図である。 本実施例の煮零れ汁カバー123の詳細な形状を示す説明図である。 従来の温度検出装置200では長期の使用によって空気供給通路10aが狭くなることがある理由を示した説明図である。 本実施例の温度検出装置100では長期の使用によっても空気供給通路10aが狭くならない理由を示した説明図である。 参考例の煮零れ汁カバー323を備えた温度検出装置300についての説明図である。 変形例の煮零れ汁カバー423を備えた温度検出装置400についての説明図である。 変形例の煮零れ汁カバー523を備えた温度検出装置500についての説明図である。 変形例の温度検出装置600についての説明図である。 変形例の温度検出装置700についての説明図である。 変形例の温度検出装置700の外観形状を示した斜視図である。
図1は、本実施例の温度検出装置100を搭載したガスコンロ1の構造を示す断面図である。ガスコンロ1は、コンロ本体(図示せず)の上面を覆って設けられ且つバーナー用開口4が形成された天板2と、バーナー用開口4に臨んで設けられて燃料ガスを燃焼させることによって調理容器を加熱するコンロバーナー10と、鍋などの調理容器が置かれる五徳3と、五徳3上に置かれた調理容器の底部に当接して調理容器の温度を検出する温度検出装置100などを備えている。
コンロバーナー10は、円環形状に形成されたバーナーボディ11と、バーナーボディ11から延設された混合管12と、バーナーボディ11の上面に載置された円環形状のバーナーヘッド13とを備えている。バーナーヘッド13は、アルミニウムなどのダイカスト製であり、外周部の下面側には複数の溝(炎口溝)が形成されている。そして、バーナーヘッド13をバーナーボディ11に載置すると、バーナーヘッド13に形成された複数の炎口溝とバーナーボディ11の上面との間に複数の炎口13aが形成される。また、バーナーボディ11の上部には、板金製のバーナーキャップ14が取り付けられている。
バーナーボディ11から延設された混合管12の上流側開口端12aから混合管12内に向けて燃料ガスを噴射すると、混合管12の内部で燃料ガスと空気との混合ガスが生成されて、バーナーボディ11に供給され、炎口13aから混合ガスが流出する。そして、この混合ガスに点火プラグ15で点火することによって、コンロバーナー10の燃焼を開始することができる。混合ガスの燃焼には二次空気が必要となるが、二次空気の半分程度は、コンロバーナー10の中央を貫通する空気供給通路10aを通って、バーナーヘッド13とバーナーキャップ14との隙間から供給される。
また、空気供給通路10aの内側には、支持パイプ130が立設され、支持パイプ130の上端には、略円筒形のホルダー120が支持パイプ130に対して上下方向に移動可能な状態で取り付けられている。更に、ホルダー120の上端には、後述する温度センサーを内蔵する温度検出部110が取り付けられている。ホルダー120や温度検出部110や支持パイプ130などによって、本実施例の温度検出装置100が形成されている。詳細には後述するが、ホルダー120にはコイルバネが内蔵されており、コイルバネが温度検出部110を上方に付勢する結果、五徳3上に調理容器が置かれていない場合には、温度検出部110の上端が五徳3の上面(調理容器が置かれる面)よりも突出した状態となっている。そして、五徳3上に調理容器が置かれると、調理容器の底部で温度検出部110が押し下げられると共に、温度検出部110の上端面がコイルバネによって押し上げられて調理容器の底部に当接する。このため、温度検出部110に内蔵した温度センサーによって調理容器の底部の温度を検出することが可能となる。
図2は、本実施例の温度検出装置100の内部構造を示した断面図である。温度検出装置100は、板金によって形成された略円筒形状のホルダー120と、ホルダー120の上端に取り付けられた温度検出部110と、ホルダー120を上方に付勢するコイルバネ121と、ホルダー120を支える支持パイプ130とを備えている。ホルダー120の下端側は所定長さに亘って縮径されて、移動可能な状態で支持パイプ130に取り付けられることによって、支持パイプ130との摺動部分を形成している。また、ホルダー120の下端側の縮径された箇所には、煮零れ汁カバー123が取り付けられている。
温度検出部110は、調理容器の底部に当接する金属製の集熱部111と、リード線113aが引き出された温度センサー113と、温度センサー113を収納する筒形状のセンサー収納部112とを備えている。センサー収納部112と温度センサー113との隙間には熱伝導性の接着剤114が充填されている。また、センサー収納部112は、大きなフランジ部112aを有しており、金属材料によって形成されている。そして、温度検出部110は、集熱部111の外周部分を、ホルダー120の上端に形成されたフランジ部120aに、センサー収納部112のフランジ部112aと共にカシメ止めすることによって、ホルダー120に取り付けられている。
ホルダー120内部の下方の箇所には、コイルバネ121を支えるバネ受け122が設けられている。このバネ受け122は、支持パイプ130の上端に取り付けられているが、ホルダー120に対しては上下方向に移動可能となっている。また、ホルダー120内部の温度検出部110とバネ受け122との間には、少し圧縮された状態でコイルバネ121が収納されている。このためホルダー120は、コイルバネ121によって常に上方に付勢された状態となっている。尚、本実施例では、温度検出部110や、ホルダー120、コイルバネ121、バネ受け122、煮零れ汁カバー123をまとめて「感熱ヘッド102」と称するものとする。また、本実施例の煮零れ汁カバー123は、本発明における「保護部」あるいは「保護カバー」に対応する。
図3は、本実施例の温度検出装置100に取り付けられた煮零れ汁カバー123の詳細な形状を示す説明図である。図3(a)には、煮零れ汁カバー123の外形形状が示されており、図3(b)には、図3(a)中のA−A位置で取った断面形状が示されている。図3に示されるように煮零れ汁カバー123は、板金をプレス加工することによって形成された傘形状の部材であり、下方に向けて拡径する拡径部123cと、拡径部123cの外側が下方に折り曲げられた垂下部123dとを備えている。そして、垂下部123dの下端は、舌状に垂れ下がった突片が等間隔に形成され波形形状となっている。尚、本実施例では、突片の下端の突端部123aが本発明における「滴下部」に対応する。また、垂下部123dの下端に形成された突端部123aと突端部123aとの間で、突端部123aに向けて斜め下方に形成された部分(以下、傾斜端部123b)が、本発明における「誘導部」に対応する。
このように、煮零れ汁カバー123の下端に、突端部123aと傾斜端部123bとを設けておけば、コンロバーナー10を長期に亘って使用した場合でも燃焼状態を悪化させてしまう事態を回避することができる。以下、この理由について説明するが、その準備として、従来の温度検出装置を搭載したコンロバーナー10では、長期に亘る使用によって、燃焼状態が悪化することがある理由について説明する。
図4は、従来の温度検出装置200では、コンロバーナー10を長期に亘って使用していると、燃焼状態が悪化することがある理由を示した説明図である。図4(a)には、従来の温度検出装置200の使用前の状態が示されている。図示されるように、従来の温度検出装置200では、ホルダー120の下端を覆うような状態で、円錐筒状の煮零れ汁カバー223が取り付けられている。また、煮零れ汁カバー223の下端の外径Dは、ホルダー120の下端に煮零れ汁が掛からず、且つ、空気供給通路10aを介したコンロバーナー10への二次空気の供給が妨げられない大きさに設定されている。
加熱調理中に煮零れが生じると、図4(b)に示したように、煮零れ汁は煮零れ汁カバー223の上を流下する。そして、煮零れ汁が流下した後は、図4(c)に示したように、煮零れ汁カバー223の表面に付着した煮零れ汁が煮零れ汁カバー223の下端に集まって、煮零れ汁カバー223の下端から滴下するようになる。煮零れ汁カバー223は円錐形状に形成されているので、煮零れ汁は煮零れ汁カバー223の表面に万遍なく付着しており、煮零れ汁カバー223の下端の全周に万遍なく煮零れ汁が集まり、その結果、下端全周から万遍なく煮零れ汁が滴下する。
煮零れ汁カバー223の下端に煮零れ汁が集まっている間は、こうして煮零れ汁が滴下し続けるが、滴下に到るだけの煮零れ汁が集まらなくなると、それ以上には滴下しなくなる。このとき、煮零れ汁カバー223の下端には、下端全周に亘って、滴下には到らない分量の煮零れ汁が付着した状態となる。ここで、煮零れ汁は粘度が高いので、煮零れ汁カバー223の下端に付着した煮零れ汁は、煮零れ汁カバー223の下端から外側に少し張り出した状態となっている。そして、煮零れ汁は、その状態(外側に少し張り出した状態)で固化することになる。このため、煮零れ汁が固化すると、図4(d)に示したように、煮零れ汁カバー223の下端部分の外径Dが、新品時の外径Dよりも少しだけ大きくなる。
従来の温度検出装置200では、煮零れが生じる度に、このようなことが繰り返されて、煮零れ汁カバー223の下端部分の外径が少しずつ大きくなっていく。その結果、コンロバーナー10を長期に亘って使用していると、空気供給通路10aの内径に対して、煮零れ汁カバー223の下端の外径が大きくなって空気供給通路10aを狭めてしまい二次空気の供給を阻害する。そして、最終的には、コンロバーナー10の燃焼状態を悪化させてしまうことがある。
図5は、本実施例の温度検出装置100では、長期に亘ってコンロバーナー10を使用しても、燃焼状態を悪化させることがない理由を示した説明図である。本実施例の温度検出装置100においても、煮零れが生じた直後のように大量の煮零れ汁が流下している間は、図5(a)に示したように、煮零れ汁カバー123の上を万遍なく煮零れ汁が流下していく。ところが、流下する煮零れ汁が無くなると、図5(b)に示したように、煮零れ汁は突端部123aから滴下するようになる。これは、傾斜端部123bでは、煮零れ汁カバー123の下端が突端部123aに向かって斜め下方に傾いて形成されているため、傾斜端部123bに付着した煮零れ汁が自重によって突端部123aに導かれていくためである。図5(b)中に示した突端部123aの拡大図には、傾斜端部123bによって煮零れ汁が突端部123aに導かれる様子が、破線の矢印によって表されている。そして、最終的には、突端部123aの位置に、滴下には到らない分量の煮零れ汁が付着した状態となる。その結果、図5(c)に示したように、もっぱら突端部123aの位置で煮零れ汁が固化することになり、傾斜端部123bでは煮零れ汁の固化は生じない。
このように、本実施例の煮零れ汁カバー123では、煮零れ汁カバー123の下端に、突端部123aと傾斜端部123bとが設けられているので、最終的に煮零れ汁が滴下する位置を突端部123aに限定することができる。このため、煮零れ汁の固化が生じる位置も突端部123aに限定されるので、コンロバーナー10を長期に亘って使用しても、突端部123a以外の部分(傾斜端部123b)では煮零れ汁の固化によって空気供給通路10aとの隙間が狭められることがない。
また、突端部123aには煮零れ汁が集中するので、突端部123aから滴下する煮零れ汁は増加するものの、最終的には、滴下に到らない分量の煮零れ汁が残るに過ぎない。従って、突端部123aでも、従来の煮零れ汁カバー223に対して固化が促進されるわけではない。このような理由から、本実施例では、コンロバーナー10を長期に亘って使用しても、煮零れ汁カバー123の下端で煮零れ汁が固化して空気供給通路10a(図1参照)を狭めることがなく、二次空気の供給が阻害されることがない。このため、長期に亘る使用によっても、コンロバーナー10の燃焼状態を悪化させる事態を回避することが可能となる。
もちろん、コンロバーナー10をあまりに長期に亘って使用していると、突端部123aの部分では煮零れ汁の固化が進行し、それに伴って、空気供給通路10aを二次空気が少しずつ通過しにくくなる。しかし、複数の突端部123aが等間隔に設けられているので、空気供給通路10aを通過する二次空気の流れが偏ってしまうことが無い。このため、あまりに長期に亘る使用によって、空気供給通路10aを二次空気が通過しにくくなったとしても、コンロバーナー10の燃焼状態の悪化を回避することができる。
上述した本実施例の温度検出装置100には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これら変形例について、本実施例の温度検出装置100との相違点を中心として簡単に説明する。
変形例についての説明に先立って、参考例について説明しておく。上述した実施例では、図3に示したように、煮零れ汁カバー123の外周部分が下方に折り曲げられた垂下部123dの下端に、突端部123aと傾斜端部123bとが形成されているものとして説明した。これに対して、図6に例示した参考例の温度検出装置300では、煮零れ汁カバー323が下方に向かって円錐状に拡径する形状に形成されており、円錐状の斜面の下端が波形形状に形成されている。このため、煮零れ汁カバー323の下端には、下端の位置が垂れ下がった突端部323aと、突端部323aの間で煮零れ汁カバー323の下端に付着した煮零れ汁が自重によって突端部323aに誘導される傾斜端部323bとが形成されている。
このようにしても、煮零れ汁が滴下する位置を突端部323aに限定することができるので、図6(b)に示したように、煮零れ汁が固化する位置を限定することができる。その結果、温度検出装置300が長期に亘って使用された場合でも、空気供給通路10a(図1参照)を狭めてしまうことを回避することができる。
述した実施例および参考例では、煮零れ汁カバー123(あるいは煮零れ汁カバー323)の複数箇所に突端部123a(あるいは突端部323a)が形成されているものとして説明した。しかし、煮零れ汁カバー123(あるいは煮零れ汁カバー323)に設ける突端部123a(あるいは突端部323a)は一箇所であってもよい。例えば、図7に例示した第変形例の温度検出装置400では、煮零れ汁カバー423の下端が斜めに切断されたような形状となっている。このため、煮零れ汁カバー423の下端が最も低くなった位置に突端部423aが形成され、その両側には、煮零れ汁カバー423の下端が斜めに低くなった傾斜端部423bが形成されている。
このようにしても、煮零れ汁が滴下する位置を突端部423aに限定することができるので、図7(b)に示したように、煮零れ汁が固化する位置を限定することができる。その結果、温度検出装置400が長期に亘って使用された場合でも、空気供給通路10a(図1参照)を狭めてしまうことを回避することができる。
また、上述した実施例および変形例では、突端部123a(あるいは突端部323a,423a)の両側に、傾斜端部123b(あるいは傾斜端部323b,423b)が形成されているものとして説明した。しかし、傾斜端部123b(あるいは傾斜端部323b,423b)は、必ずしも突端部123a(あるいは突端部323a,423a)の両側に形成されている必要は無い。例えば、図8に例示した第変形例の温度検出装置500では、煮零れ汁カバー523の下端には複数箇所に突端部523aが形成されているが、突端部523aに煮零れ汁を導く傾斜端部523bは、突端部523aの片側に設けられている。
このようにしても、煮零れ汁が滴下する位置を突端部523aに限定することができるので、図8(b)に示したように、煮零れ汁が固化する位置を限定することができる。その結果、温度検出装置400が長期に亘って使用された場合でも、空気供給通路10a(図1参照)を狭めてしまうことを回避することができる。
また、上述した実施例および変形例では、ホルダー120の下部に取り付けられた煮零れ汁カバーが、感熱ヘッドと支持パイプとの摺動部分に煮零れ汁がかかることを防止する保護部となっており、煮零れ汁カバーの下端に突端部や傾斜端部が形成されているものとして説明した。しかし、突端部や傾斜端部を形成する部材は、感熱ヘッドと支持パイプとの摺動部分に煮零れ汁がかかることを防止する部材であれば良く、必ずしも煮零れ汁カバーである必要は無い。
例えば、図9に例示したように、ホルダー120がコンロバーナー10の炎からの炙りや輻射熱で高温になることを防止して、安定した温度検出を可能とするために、ホルダー120の外側に円筒形状の防熱カバー623が設けられることがある。このような温度検出装置600では、防熱カバー623の下部は支持パイプ130との摺動部分に煮零れ汁がかかることを防止する機能を有している。そこで、図9に示したように、防熱カバー623の下端に、突端部623aおよび傾斜端部623bを形成しても良い。このようにしても、煮零れ汁が滴下する位置を突端部623aに限定することができるので、温度検出装置600が長期に亘って使用された場合でも、空気供給通路10a(図1参照)を狭めてしまうことを回避することができる。尚、この第変形例では、防熱カバー623が、本発明における「保護部」あるいは「保護カバー」に対応する。
あるいは、ホルダー120と支持パイプ130との摺動部分が、ホルダー120の内部に形成される場合もある。図10には、ホルダー120の内部に支持パイプ130との摺動部分が形成された第変形例の温度検出装置700の断面図である。第変形例の温度検出装置700は、図2を用いて前述した本実施例の温度検出装置100に比べて、温度検出部110が小径に形成されている。そして、図2に示した温度検出装置100では、ホルダー120の上端に形成されたフランジ部120aにカシメ止めされることによって、温度検出部110が取り付けられていた。これに対して第変形例の温度検出装置700では、ホルダー120の上端面の中央に挿入穴部120bが形成されており、この挿入穴部120bに圧入されることによって温度検出部110が取り付けられている。
また、図2に示した温度検出装置100では、ホルダー120の下方が縮径されており、縮径された部分が支持パイプ130との間で摺動していた。これに対して第変形例の温度検出装置700では、ホルダー120の下方は縮径されておらず、ホルダー120の内周面と、バネ受け122の外周面との間が摺動部分となっている。更に、ホルダー120の下方が縮径されていないので、ホルダー120が支持パイプ130から抜けないように、ホルダー120の下方の開口部から、円環形状の抜け止め部124が挿入されている。その他の点については、第変形例の温度検出装置700も、図2に示した温度検出装置100と同様であるため、同じ符番を付すことによって説明は省略する。
このような第変形例の温度検出装置700では、ホルダー120の内部に支持パイプ130との摺動部分が形成されていることから、ホルダー120が、支持パイプ130との摺動部分に煮零れ汁がかかることを防止する機能を有している。従って、図11に例示したように、ホルダー120の下端に突端部723aおよび傾斜端部723bを形成しても良い。このようにしても、このようにしても、煮零れ汁が滴下する位置を突端部723aに限定することができるので、温度検出装置700が長期に亘って使用された場合でも、空気供給通路10a(図1参照)を狭めてしまうことを回避することができる。尚、この第変形例では、ホルダー120が、本発明における「保護部」に対応する。
以上、本実施例および各種の変形例について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、本実施例や第1〜第変形例では、図2に例示したように、温度検出部110がホルダー120のフランジ部120aにカシメ止めされているのに対して、第変形例では、図10に例示したように、温度検出部110がホルダー120の挿入穴部120bに挿入されて取り付けられている。しかし、温度検出部110の取り付け方はこのような方法に限定されるものではなく、種々の方法で取り付けることができる。従って、本実施例や第1〜第変形例の温度検出部110を、第変形例の温度検出部110のように挿入穴部120bに挿入して取り付けても良い。あるいは、第変形例の温度検出部110を、本実施例や第1〜第変形例の温度検出部110のようにフランジ部120aにカシメ止めして取り付けることも可能である。
1…ガスコンロ、 2…天板、 3…五徳、
10…コンロバーナー 11…バーナーボディ、 12…混合管、
13…バーナーヘッド、 100…温度検出装置、 102…感熱ヘッド、
110…温度検出部、 111…集熱部、 112…センサー収納部、
113…温度センサー、 120…ホルダー、 121…コイルバネ、
123…煮零れ汁カバー、 123a…突端部、 123b…傾斜端部、
123c…拡径部、 123d…垂下部、 130…支持パイプ、
300…温度検出装置、 323…煮零れ汁カバー、 323a…突端部、
323b…傾斜端部、 400…温度検出装置、 423…煮零れ汁カバー、
423a…突端部、 423b…傾斜端部、 500…温度検出装置、
523…煮零れ汁カバー 523a…突端部、 523b…傾斜端部、
600…温度検出装置、 623…防熱カバー 623a…突端部、
623b…傾斜端部、 700…温度検出装置、 723a…突端部、
723b…傾斜端部。

Claims (4)

  1. 二次空気が供給される空気供給通路が中央を貫通して形成されたコンロバーナーに設けられて、五徳上に置かれた調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
    前記空気供給通路内に立設された支持パイプと、
    前記支持パイプに摺動可能な態様で取り付けられて、上端が前記調理容器の底部に当接することによって該調理容器の温度を検出する感熱ヘッドと
    を備え、
    前記感熱ヘッドは、
    略筒形状に形成されて、下端側が前記支持パイプに摺動可能に取り付けられたホルダーと、
    前記ホルダーの上端に取り付けられた集熱部と、
    該集熱部の内部に取り付けられた温度センサーと、
    前記ホルダーを上方に付勢するコイルバネと、
    前記ホルダーの外周に取り付けられて前記調理容器からの煮零れ汁が該ホルダーの下端にかかることを防止すると共に、垂直下方に向けて突片が突設された保護カバーと
    を備えており、
    前記保護カバーの前記突片の下端には、前記煮零れ汁を滴下させる滴下部と、前記保護カバーの下端に付着した前記煮零れ汁を、該煮零れ汁の自重によって前記滴下部まで誘導する誘導部とが形成されている
    ことを特徴とする温度検出装置。
  2. 二次空気が供給される空気供給通路が中央を貫通して形成されたコンロバーナーに設けられて、五徳上に置かれた調理容器の温度を検出する温度検出装置において、
    前記空気供給通路内に立設された支持パイプと、
    前記支持パイプに摺動可能な態様で取り付けられて、上端が前記調理容器の底部に当接することによって該調理容器の温度を検出する感熱ヘッドと
    を備え、
    前記感熱ヘッドは、
    略筒形状に形成されて、前記支持パイプとの前記摺動部分が内部に設けられることによって、前記摺動部分に前記調理容器からの煮零れ汁がかかることを防止するホルダーと、
    前記ホルダーの上端に取り付けられた集熱部と、
    該集熱部の内部に取り付けられた温度センサーと、
    前記ホルダーを上方に付勢するコイルバネと
    を備えると共に、
    前記ホルダーの下端には、前記煮零れ汁を滴下させる滴下部と、前記ホルダーに付着した前記煮零れ汁を、該煮零れ汁の自重によって前記滴下部まで誘導する誘導部とが形成されている
    ことを特徴とする温度検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の温度検出装置において、
    前記誘導部は、前記滴下部に隣接する部分が、該滴下部に向かって斜め下方に形成された部分である
    ことを特徴とする温度検出装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の温度検出装置において、
    複数の前記滴下部が等間隔に設けられている
    ことを特徴とする温度検出装置。
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