以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<全体構成>
図1、図2および図3に示されるように、画像読取装置1は、下カバー2、第一上カバー3、第二上カバー4および第三上カバー5を備える。下カバー2、第一上カバー3、第二上カバー4および第三上カバー5は、樹脂からなる。第一上カバー3、第二上カバー4および第三上カバー5は、下カバー2により下側から支持されて、左右方向に互いに隣接している。
なお、下カバー2に対して第一上カバー3、第二上カバー4および第三上カバー5が設けられている側を上側とし、第一上カバー3に対して第二上カバー4が設けられている側を右側として、上下、左右および前後の各方向を規定する。そして、図1以降の各図では、矢印で方向を表示する。
第一上カバー3は、下カバー2の左右方向の中央に対して右側に偏った位置に配置されている。第一上カバー3は、図1に示される閉鎖位置と図2に示される開放位置との間で変位可能に設けられている。第一上カバー3は、図1に示されるように、閉鎖位置において、下カバー2の上端に沿って延び、下カバー2の上面を覆う上面カバーの一部を構成する。また、第一上カバー3は、図2に示されるように、開放位置において、下カバー2から右上がりに傾斜して延出する。
第二上カバー4は、第一上カバー3の右側に配置されている。第二上カバー4は、図1に示される上位置と図2に示される下位置とに変位可能に設けられている。第二上カバー4は、図1に示されるように、上位置において、下カバー2の上端に沿って延び、下カバー2の上面を覆う上面カバーの一部を構成する。また、第二上カバー4は、図2に示されるように、下位置において、下カバー2の上部から左下がりに傾斜し、開放位置に位置する第一上カバー3の下端側と略平行をなす位置関係となる。
第三上カバー5は、第一上カバー3の左側に配置されている。第三上カバー5は、その左端部において前後方向に延びる回動軸線Rを中心に、図4に示される閉鎖位置と図5に示される開放位置とに回動可能に設けられている。第三上カバー5は、図1、図2および図4に示されるように、閉鎖位置において、下カバー2の上端に沿って延び、下カバー2の上面を覆う上面カバーの一部を構成する。第一上カバー3が閉鎖位置に位置し、第二上カバー4が上位置に位置し、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態において、第一上カバー3の上面6、第二上カバー4の上面7および第三上カバー5の上面8は、同一平面内に含まれ、平坦な装置上面を形成する。また、第三上カバー5は、図5に示されるように、開放位置において、下カバー2の左上端縁から右上がりに傾斜して延出する。
下カバー2内には、図3に示されるように、給紙積載部11および排紙積載部12が設けられている。給紙積載部11および排紙積載部12は、閉鎖位置に位置する第一上カバー3の下方において、上下2段に構成されている。
給紙積載部11は、図2に示されるように、第一上カバー3が閉鎖位置から開放位置に変位されることにより露出する給紙積載面13を有している。給紙積載面13には、平面部14および傾斜部15が含まれる。平面部14は、装置上面8よりも凹んだ面であり、下カバー2の上端よりも低い位置において、前後方向および左右方向に延びる略平面に形成されている。傾斜部15は、平面部14から右上がりに傾斜して延びている。傾斜部15の前後方向の中央部には、切欠16が形成されている。傾斜部15は、切欠16により、前傾斜部17および後傾斜部18に分割されている。前傾斜部17と後傾斜部18とは、前後方向に同じ幅を有している。前傾斜部17および後傾斜部18の右端部は、図3に示されるように、傾斜角度が小さくなるように湾曲している。図3では、後傾斜部18のみを示すが、前傾斜部17も同様の形状である。
給紙積載部11には、図2に示されるように、給紙積載面13の左側に、1対の給紙ガイド19,20が前後方向に互いに間隔を空けて設けられている。1対の給紙ガイド19,20は、それらの間の中央を基準として、互いに同じ移動量で近接および離間可能に構成されている。
排紙積載部12は、図3に示されるように、給紙積載部11の下方に位置している。排紙積載部12は、排紙積載面21を有している。排紙積載面21は、給紙積載部11の下方に間隔を空けて、前後方向および左右方向に延びている。排紙積載面21の右端部22は、給紙積載面13の傾斜部15と略平行をなすように右上がりに傾斜している。
第一上カバー3は、上面6と反対側に、排紙支持面31を有している。図2に示されるように、第一上カバー3が開放位置に位置する状態において、排紙支持面31の左前端部および左後端部となる位置には、それぞれ排紙ガイド部32,33が設けられている。排紙ガイド部32,33は、排紙支持面31と一体に形成されることにより、排紙支持面31に固定的に配置されている。排紙ガイド部32,33は、排紙支持面31から起立し、左右方向に延びている。
排紙ガイド部32,33により、それぞれ給紙支持部34,35が支持されている。給紙支持部34,35は、第一上カバー3と異なる色に着色されている。給紙支持部34,35は、前後方向に前傾斜部17および後傾斜部18と同じ幅を有する板状に形成されている。前側の給紙支持部34は、排紙ガイド部32の上端に支持され、後側に向けて、排紙支持面31と略平行をなして延びている。後側の給紙支持部35は、排紙ガイド部33の上端に支持され、前側に向けて、排紙支持面31と略平行をなして延びている。
第一上カバー3が開放位置に位置する状態において、給紙支持部34,35は、それぞれ前傾斜部17および後傾斜部18の右側に位置する。そして、給紙支持部34,35は、それぞれ前傾斜部17および後傾斜部18と略同一方向に傾斜する。給紙支持部35の左端部は、図3に示されるように、後傾斜部18の右端部よりも高い位置に配置される。同様に、給紙支持部34の左端部は、前傾斜部17の右端部よりも高い位置に配置される。また、第一上カバー3が開放位置に位置する状態において、排紙支持面31の左端部は、排紙積載面21の右端部よりも低い位置に配置される。
下カバー2内には、図3に示されるように、給紙積載部11および排紙積載部12の左側に、シートSが搬送される搬送経路41が空間として設けられている。搬送経路41は、相対的に上側に位置する上経路42と、相対的に下側に位置する下経路43と、上経路42および下経路43の左側に設けられ、上経路42と下経路43とを接続する湾曲経路44とを含む。なお、搬送経路41は、原稿を搬送するための後述する搬送部を構成する各種ローラや、そのローラ間に位置するガイド面によって規定される。
搬送経路41に沿って、1対の供給ローラ51、分離ローラ52、分離片53、1対の搬送ローラ54、イメージセンサモジュール55、反転ローラ56、従動ローラ57,58および1対の排出ローラ59が設けられている。
1対の供給ローラ51は、上経路42の入口に配置されている。上経路42の入口は、給紙積載部11の左側に形成されている。一方の供給ローラ51は、相対的に上側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。他方の供給ローラ51は、相対的に下側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。上側の供給ローラ51の周面と下側の供給ローラ51の周面とは、互いに当接しており、その当接する部分が、上経路42の一部を規定している。
分離ローラ52は、上側の供給ローラ51の左側に配置され、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。
分離片53は、分離ローラ52の下側に配置されている。分離片53は、分離ローラ52の周面に下側から当接しており、その当接する部分が、上経路42の一部を規定している。
1対の搬送ローラ54は、分離ローラ52の左側に配置されている。一方の搬送ローラ54は、相対的に上側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。他方の搬送ローラ54は、相対的に下側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。上側の搬送ローラ54の周面と下側の搬送ローラ54の周面とは、互いに当接しており、その当接する部分が、上経路42の一部を規定している。
イメージセンサモジュール55は、下側の搬送ローラ54の左側に配置されている。イメージセンサモジュール55の内部には、たとえば、光源、レンズおよびイメージセンサなどが設けられている。イメージセンサモジュール55の上面には、コンタクトガラス60が設けられている。コンタクトガラス60の上面と、そのコンタクトガラス60の上面と対向するガイド面とが、上経路42の一部を規定している。
反転ローラ56は、イメージセンサモジュール55の左側に配置されている。反転ローラ56は、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。反転ローラ56の左側の周面と、その周面と所定の隙間を有して対向する湾曲形状のガイド面とが、湾曲経路44の一部を規定している。
従動ローラ57は、反転ローラ56の上側に配置されている。従動ローラ57は、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。従動ローラ57の周面の一部は、反転ローラ56の周面に当接しており、その当接する部分が湾曲経路44の一部を規定している。
従動ローラ58は、反転ローラ56の左下側に配置されている。従動ローラ58は、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。従動ローラ58の周面の一部は、反転ローラ56の周面に当接しており、その当接する部分が湾曲経路44の一部を規定している。
1対の排出ローラ59は、下経路43の出口に配置されている。下経路43の出口は、排紙積載部12の左側であって、排紙積載面21の左端部の上側に間隔を空けた位置に形成されている。一方の排出ローラ59は、相対的に上側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。他方の排出ローラ59は、相対的に下側に位置し、前後方向に延びる回動軸線まわりに回動可能に設けられている。上側の排出ローラ59の周面と下側の排出ローラ59の周面とは、互いに当接しており、その当接する部分が、下経路43の一部を規定している。
<画像読取動作>
1対の給紙ガイド19,20の位置は、図2に示されるように、読取対象のシートSの前後方向の幅に合わせて調整される。シートSは、先端部が給紙ガイド19,20の間に差し込まれ、給紙積載面13および給紙支持部34,35上に、それらに跨がった状態で積載される。
シートSの画像の読取開始が指示されると、1対の供給ローラ51、分離ローラ52、分離片53、1対の搬送ローラ54、反転ローラ56、従動ローラ57,58および1対の排出ローラ59が駆動系(図示せず)からの駆動力により回転し始める。供給ローラ51の回転により、供給ローラ51からシートSに搬送力が付与され、シートSが上経路42を分離ローラ52に向けて搬送される。シートSが分離ローラ52と分離片53との当接部位に到達すると、シートSは、分離ローラ52と分離片53との間に引き込まれ、1枚ずつに分離される。これにより、1枚のシートSが分離ローラ52と分離片53との間を通過する。
その後、シートSが1対の搬送ローラ54の当接部位に到達すると、搬送ローラ54からシートSに搬送力が付与され、シートSが上経路42をさらに下流側へ搬送される。この搬送により、シートSは、イメージセンサモジュール55のコンタクトガラス60上を通過し、反転ローラ56と従動ローラ57との当接部位に到達する。シートSがコンタクトガラス60上を通過するときに、イメージセンサモジュール55により、シートSの一方面の画像が読み取られる。
シートSが反転ローラ56と従動ローラ57との当接部位に到達した後は、シートSが湾曲経路44を搬送される。その後、シートSは、反転ローラ56と従動ローラ58との間を通過し、湾曲経路44から下経路43に進入する。シートSが湾曲経路44を搬送されることにより、シートSの搬送方向が反転される。
下経路43の入口は、下カバー2の下面の一部が前後方向に開口されていることにより形成される。下カバー2は、非図示の複合機に上方から結合されている。複合機は、画像形成ユニット等を収容しており、その上面には、読取対象のシートを載置するためのコンタクトガラス61が配置されている。コンタクトガラス61の下方には、図中左右方向に移動可能なイメージセンサモジュール62が配置されている。イメージセンサモジュール62の内部には、たとえば、光源、レンズおよびイメージセンサなどが設けられている。イメージセンサモジュール62は、搬送されるシートSを読み取る際には、所定の停止位置に移動する。シートSは、湾曲経路44から下経路43に進入する際に、コンタクトガラス61上を経由する。そして、シートSがコンタクトガラス61上を通過するときに、停止位置にあるイメージセンサモジュール62により、シートSの他方面の画像が読み取られる。
シートSの搬送が進み、シートSが下経路43を搬送され、1対の排出ローラ59の当接部位に到着すると、排出ローラ59からシートSに搬送力が付与されて、シートSが下経路43の出口から排出される。
排出されたシートSは、排紙積載面21を第一上カバー3の排紙支持面31上に向けて進行する。シートSのサイズによっては、シートSが排紙支持面31上に差し掛かると、シートSの前後方向の端縁が排紙ガイド部32,33に接触する。その後、排紙支持面31上でのシートSの進行に伴って、シートSの前後方向の端縁が排紙ガイド部32,33に摺擦することにより、シートSの向きが正されていく。シートSが排出ローラ59から放れると、シートSは、排紙積載面21および排紙支持面31上に、それらに跨がった状態で積載される。
<第三上カバーの開閉機構>
下カバー2の左端部には、図6および図7に示されるように、2個の開閉軸71,72が設けられている。開閉軸71,72は、前後方向に間隔を空けて配置され、それぞれ前後方向に延びている。開閉軸71,72の中心線は、第三上カバー5の回動軸線Rと一致している。
第三上カバー5の左端部には、図8に示されるように、2個の軸受部73,74が設けられている。軸受部73,74は、前後方向に間隔を空けて配置され、第三上カバー5の下面(内面)75から突出している。前側の軸受部73は、後側に凹む凹状に形成されている。後側の軸受部74は、前側に凹む凹状に形成されている。
開閉軸71,72が軸受部73,74にそれぞれ回動可能に挿入されることにより、第三上カバー5は、開閉軸71,72を支点として回動可能に、下カバー2に取り付けられている。
<第一係合部>
第三上カバー5の右端部には、図8に示されるように、2個の第一係合片76,77が設けられている。第一係合片76,77は、前後方向に間隔を空けて配置され、第三上カバー5の下面75から下カバー2に向かって延出している。前側の第一係合片76の先端部は、前側に膨出している。後側の第一係合片77の先端部は、後側に膨出している。
下カバー2には、図4に仮想線で示されるように、第一係合片76,77にそれぞれ対応して、第一被係合片78が設けられている。前側の第一係合片76に対応する第一被係合片78は、第一係合片76よりも前側の位置から後側に延びている。後側の第一係合片77に対応する第一被係合片78は、第一係合片76よりも後側の位置から後側に延びている。
第三上カバー5が図5に示される開放位置から図4に示される閉鎖位置に回動されると、その回動の途中で、第一係合片76,77がそれぞれ第一被係合片78に当接する。その後、第三上カバー5がさらに回動されると、第一係合片76,77の先端部が第一被係合片78から力を受けて、第一係合片76,77が弾性変形する。そして、第三上カバー5が閉鎖位置に達すると、第一係合片76,77の先端部は、第一被係合片78の下側に潜り込み、第一被係合片78に下側から当接する。これにより、第一係合片76,77と第一被係合片78とが係合し、下カバー2と第三上カバー5とがそれらの右端部で連結され、第三上カバー5が閉鎖位置に保持される。なお、第一係合片76,77および第一被係合片78により、第一係合部の一例が構成されている。
<付勢機構>
第三上カバー5には、図8に示されるように、3個の従動ローラ57を反転ローラ56(図3参照)に向けて付勢する付勢機構が設けられている。
3個の従動ローラ57には、前後方向に延びる回転軸81が相対回転可能に挿通されている。第三上カバー5には、2個の軸保持部82,83が前後方向に間隔を空けて配置されている。回転軸81の前端部および後端部がそれぞれ軸保持部82,83に回転不能に保持されることにより、従動ローラ57は、回転軸81と一体回転可能に第三上カバー5に設けられている。
付勢機構は、2個の巻バネ91,92、2個の上当接部93,94、2個の受け部95および板金部材96を含む。
巻バネ91,92は、金属線材を巻回して形成され、同一の構成を有している。巻バネ91,92は、コイル状の巻回部101と、巻回部101から一方側に延びる一端部102と、巻回部101から他方側に延びる他端部103とを一体的に備えている。
2個の上当接部93,94は、第三上カバー5の下面75の左端部において、前後方向に間隔を空けて設けられている。上当接部93,94は、第三上カバー5と一体的に形成され、前板部104、後板部105および下板部106を備えている。前板部104および後板部105は、前後方向に間隔を空けて、それぞれ第三上カバー5の下面75から下カバー2に向かって延出している。下板部106は、前板部104および後板部105の各先端部(下端部)間に架設されている。
2個の受け部95は、第三上カバー5の下面75における前後方向の中央付近かつ左右方向の中央部よりも左側に片寄った位置に、前後方向に間隔を空けて、第三上カバー5と一体的に形成されている。受け部95は、左右方向に間隔を空けて前後方向に延びる2本の突条からなる。
板金部材96は、金属板を屈曲して形成されている。板金部材96は、第三上カバー5の下面75と平行をなして前後方向に延びる当接板部107と、当接板部107の前端から第三上カバー5の下面75と反対側に延びる前板部108と、当接板部107の後端から第三上カバー5の下面75と反対側に延びる後板部109とを一体的に備えている。当接板部107は、受け部95の先端に当接している。
巻バネ91,92は、前後に間隔を空けて配置されている。前側の巻バネ91の巻回部101は、板金部材96の当接板部107の前端部に対して、第三上カバー5と反対側から当接している。前側の巻バネ91の一端部102は、第三上カバー5の下面75と従動ローラ57の回転軸81との間に進入し、回転軸81に当接している。前側の巻バネ91の他端部103は、第三上カバー5の下面75と前側の上当接部93の下板部106との間に進入している。後側の巻バネ92の巻回部101は、板金部材96の当接板部107の後端部に対して、第三上カバー5と反対側から当接している。後側の巻バネ92の一端部102は、第三上カバー5の下面75と従動ローラ57の回転軸81との間に進入し、回転軸81に当接している。後側の巻バネ91の他端部103は、第三上カバー5の下面75と後側の上当接部94の下板部106との間に進入している。
そして、第三上カバー5が開放位置に位置する状態において、巻バネ91,92は、図5に示されるように、他端部103がそれぞれ上当接部93,94の下板部106に当接し、自らの弾性力により、第三上カバー5に係止している。また、第三上カバー5の下面75には、図8に示されるように、受け部95と従動ローラ57との間において前後方向に延びる突条110が形成されている。突条110には、2個の切込み111,112が形成されている。2個の切込み111,112は、前後方向に間隔を空けた位置において、突条110の先端から第三上カバー5の下面75に向けて延びている。巻バネ91,92の一端部102がそれぞれ切込み111,112に挿通されることにより、巻バネ91,92が前後方向に位置決めされている。
<第二係合部>
画像読取装置1は、図4、図5及び図9に示されるように、2個の第二係合片121,122および2個の第二被係合片123,124を備えている。
下カバー2の左端部には、図6および図7に示されるように、隆起部131が形成されている。隆起部131は、下カバー2の内側底面から上方向に隆起しており、前後方向に延びている。隆起部131の上面132の高さは、第二被係合片の下端と前後方向から見て重なりを有する程度に設定されている。隆起部131の前端部および後端部には、それぞれ隆起部131の上面132から下側に凹んだ凹部133,134が形成されている。隆起部131は、図4および図5に示されるように、前側の凹部133の左側および右側に、それぞれ左壁部135および右壁部136を備えている。左壁部135および右壁部136は、上下方向および前後方向に延びている。左壁部135および右壁部136には、それぞれ貫通孔137,138が左右方向に貫通して形成されている。
なお、図示されないが、隆起部131は、後側の凹部134の左側および右側にも、それぞれ左壁部および右壁部を備えている。左壁部および右壁部は、上下方向および前後方向に延びている。この左壁部および右壁部について、以下では、前側の左壁部135および右壁部136と同一の参照符号を使用する。また、後側の左壁部135および右壁部136にも、前側の左壁部135および右壁部136と同様に、それぞれ貫通孔が左右方向に貫通して形成されている。この貫通孔についても、以下では、前側の貫通孔137,138と同一の参照符号を使用する。
また、隆起部131は、図9に示されるように、凹部133の後側および凹部134の前側に、それぞれ前延部139および後延部140を備えている。前延部139および後延部140は、隆起部131の上面132から上側に延出し、左右方向に延びている。
係合片の一例としての第二係合片121,122は、それぞれ凹部133,134内に配置されている。第二係合片121,122は、前後対称に構成されているので、以下では、後側の第二係合片122を取り上げて、その構成について説明する。また、前側の第二係合片121について、後側の第二係合片122の各部に対応する部分には、それらの各部と同一の参照符号を使用する。
第二係合片122は、図9および図10に示されるように、左板部141、右板部142、上板部143、規制部144、被付勢部145および当接部146を一体的に備えている。
左板部141および右板部142は、左右方向に間隔を空けて設けられ、上下方向に延びている。左板部141および右板部142の各下端部には、図4および図5に示されるように、それぞれ左右方向の外側に突出する突起軸147,148が形成されている。
上板部143は、左板部141および右板部142の各上端間に架設されている。
規制部144は、左板部141および右板部142の各上端部の前端間に架設されている。
被付勢部145は、規制部144に対して後側に間隔を空けた位置において、上板部143の下面から下側に延びている。
当接部146は、上板部143の後端から後下側に延びている。当接部146の先端には、前下がりに傾斜する平面からなる当接面149が形成されている。
前側の第二係合片121の突起軸147,148は、図4および図5に示されるように、前側の凹部133の左側および右側に形成された貫通孔137,138に挿入されている。また、後側の第二係合片122の突起軸147,148は、後側の凹部134の左側および右側に形成された貫通孔137,138に挿入されている。これにより、第二係合片121,122は、突起軸147,148を支点に下カバー2に対して揺動可能に設けられている。
下カバー2の隆起部131における前延部139は、図9に示されるように、第二係合片121の規制部144と被付勢部145との間に進入している。そして、前延部139と被付勢部145との間には、弾性部材の一例としての圧縮コイルバネ151が介在されている。この圧縮コイルバネ151の弾性力により、被付勢部145が前側に常に付勢されている。これにより、第二係合片121と第二被係合片123とが非接触の状態で、規制部144が前延部139に後側から当接し、第二係合片121が所定の位置に停止している。
下カバー2の隆起部131における後延部140は、第二係合片122の規制部144と被付勢部145との間に進入している。そして、後延部140と被付勢部145との間には、弾性部材の一例としての圧縮コイルバネ151が介在されている。この圧縮コイルバネ151の弾性力により、被付勢部145が後側に常に付勢されている。これにより、第二係合片122と第二被係合片124とが非接触の状態で、規制部144が後延部140に後側から当接し、第二係合片122が所定の位置に停止している。
第二被係合片123,124は、第三上カバー5の下面75に設けられている。第三上カバー5の下面75には、受け部95の前側および後側に、それぞれ左右方向に延びる延部161,162が立設されている。延部161,162は、それぞれ受け部95の前端および後端に接続され、第三上カバー5と一体的に形成されている。第二被係合片123は、前側の延部161の後面から突出している。第二被係合片123は、先細り形状に形成され、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態で後下がりに傾斜する対向面163を有している。第二被係合片124は、後側の延部162の前面から突出している。第二被係合片124は、先細り形状に形成され、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態で前下がりに傾斜する対向面164を有している。
第三上カバー5が図5に示される開放位置から図4に示される閉鎖位置に回動されると、その回動の途中で、第二被係合片123,124がそれぞれ第二係合片121の当接部146および第二係合片122の当接部146に当接する。第三上カバー5がさらに回動されると、第二係合片121,122の当接部146がそれぞれ第二被係合片123,124から力を受けて、第二係合片121,122がそれぞれ後側および前側に回動する。そして、第三上カバー5が閉鎖位置に達すると、第二被係合片123,124がそれぞれ第二係合片121,122の当接部146の下側に潜り込み、各当接部146の当接面149と第二被係合片123の対向面163および第二被係合片124の対向面164とが当接する。これにより、対向面163,164が当接面149から圧縮コイルバネ151の弾性力を受け、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とが係合し、第三上カバー5が閉鎖位置に保持される。第二係合片121,122と第二被係合片123,124により、第二係合部の一例が構成されている。
<補強部材>
また、画像読取装置1は、図4および図5に示されるように、補強部材171を備えている。補強部材171は、下カバー2に設けられている。具体的には、下カバー2の隆起部131には、凹部133,134の下側に、上下方向に延びる係合壁部172が形成されている。係合壁部172の右面には、挿通部173が突出して形成されている。補強部材171は、係合壁部172の右側に配置されている。補強部材171は、板金を屈曲して形成されており、前後方向および左右方向に延びる基部174と、基部174の左端から上側に延びる立ち上がり部175とを一体的に備えている。立ち上がり部175には、左右方向に貫通する貫通孔176が形成されている。貫通孔176に、挿通部173が挿通されることで、補強部材171は、下カバー2に取り付けられている。
<下当接部>
また、画像読取装置1は、図6および図7に示されるように、2個の下当接部181,182を備えている。下当接部181,182は、下カバー2の左端部において、前後方向に間隔を空けて配置されている。下当接部181,182は、下カバー2と一体的に形成され、下カバー2内で上側に突出する突起状をなしている。
第三上カバー5が図5に示される開放位置から図4に示される閉鎖位置に回動されると、その回動の途中で、巻バネ91,92の他端部103がそれぞれ下当接部181,182に当接する。第三上カバー5がさらに回動されると、巻バネ91,92の他端部103がそれぞれ下当接部181,182から上向きの力を受け、巻バネ91,92の他端部103が上側に持ち上げられる。これにより、巻バネ91,92の他端部103が上当接部93,94の下板部106から上側に離間し、巻バネ91,92からの負荷が下板部106にかからない状態となる。
<作用効果>
以上のように、反転ローラ56等を支持する下カバー2には、搬送経路41を覆う第三上カバー5が取り付けられている。第三上カバー5は、その左端部に設定された回動軸線Rを中心に、下カバー2に対して開いた開放位置と閉じた閉鎖位置との間で回動可能に設けられている。第一係合片76,77および第一被係合片78により、下カバー2および第三上カバー5が第三上カバー5の右端部側において連結され、第三上カバー5が閉鎖位置に保持される。また、第一係合片76,77および第一被係合片78とは別の第二係合片121,122および第二被係合片123,124により、下カバー2および第三上カバー5が連結され、第三上カバー5が閉鎖位置に保持される。
反転ローラ56および従動ローラ57は、互いに平行をなす回動軸線を中心に回動可能に設けられている。反転ローラ56には、駆動力が入力される。従動ローラ57は、その周面が反転ローラ56の周面に接触可能に設けられ、巻バネ91,92により反転ローラ56に向けて付勢されている。
巻バネ91,92に生じる反力を受けるために、受け部95が第三上カバー5の回動軸線Rと第一係合片76,77との間に設けられている。そして、第二係合片121,122および第二被係合片123,124は、第三上カバー5の回動軸線Rまたは第一係合片76,77の少なくとも一方よりも受け部95に近い位置において、第三上カバー5に対して巻バネ91,92の巻回部101に生じる反力と逆向きの力を付与している。これにより、巻バネ91,92の巻回部101の反力が受け部95を介して第三上カバー5に加わるが、第三上カバー5における受け部95に近い部分が当該反力の向きと逆向きに引っ張られるので、第三上カバー5の変形を抑制できる。
第二係合片121,122は、下カバー2に設けられ、第三上カバー5に向けて延出している。第二被係合片123,124は、第三上カバー5に設けられ、閉鎖位置において、第二係合片121,122と係合する。
そのため、第二係合片121,122と第二被係合片123,124との係合により、第三上カバー5を閉鎖位置に保持することができる。
第二係合片121,122は、第二被係合片123,124に当接可能な当接面149を有し、第二被係合片123,124は、当接面149に対向する対向面163,164を有する。第三上カバー5が閉鎖位置にある場合に、当接面149から第二被係合片123,124の対向面163,164に向かう方向に、第二係合片121,122を弾性的に付勢する圧縮コイルバネ151を備えている。
そのため、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態において、圧縮コイルバネ151により、第二係合片121,122の当接面149が第二被係合片123,124の対向面163,164に向かう方向に弾性的に付勢される。これにより、第二係合片121,122の当接面149と第二被係合片123,124の対向面163,164とを弾性的に当接させることができる。その結果、第二係合片121,122と第二被係合片123,124との係合状態を良好に維持することができ、第三上カバー5を閉鎖位置に良好に保持することができる。
また、圧縮コイルバネ151を設けた構成では、長期間にわたり、第二係合片121,122と第二被係合片123,124との係合状態を良好に維持することができる。
圧縮コイルバネ151は、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とが係合していない状態において、第二係合片121,122を所定の力で付勢している。第二係合片121,122は、第二被係合片123,124と係合していない状態において、所定の位置より付勢方向に移動しないように、すなわち、第二係合片121においては、規制部144の前側の面と前延部139の後側の面とが当接する位置より前側に移動しないように、第二係合片122においては、規制部144の後側の面と後延部140の前側の面とが当接する位置より後側に移動しないように構成されている。
そのため、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とが係合していない状態において、第二係合片121,122が所定の位置に位置する。これにより、第三上カバー5が開放位置から閉鎖位置に移動されるときに、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とを良好に当接させることができる。そして、第二係合片121,122と第二被係合片123,124との当接の直後から、圧縮コイルバネ151の弾性力を第二係合片121,122と第二被係合片123,124との係合に作用させることができる。その結果、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とを良好に係合させることができる。また、第二係合片121,122のクリープ変形を抑制できる。
第二係合片121,122は、下カバー2および第三上カバー5の一方に揺動可能に支持されている。
そのため、第二係合片121,122の揺動によって、第二係合片121,122と第二被係合片123,124とが係合し、その係合が解除される。第二係合片121,122と第二被係合片123,124との係合およびその解除に伴って、第二係合片121,122の弾性変形および復元が繰り返されることを抑制できる。その結果、第二係合片121,122の塑性変形、ひいては疲労による破壊を抑制できる。
巻バネ91,92は、前後方向に間隔を空けて複数配置され、第二係合片121,122と第二被係合片123,124は、前後方向において、最も外側に位置する巻バネ91,92の外側に配置されている。
この場合、第二係合片121,122および第二被係合片123,124により、複数の巻バネ91,92から受け部95を介して第三上カバー5に加わる反力を統括的に受けることができる。その結果、第三上カバー5の変形を効果的に抑制することができる。
第二係合片121,122および第二被係合片123,124は、左右方向において、受け部95と重なる位置に配置されている。
そのため、第三上カバー5が左右方向の中央部において巻バネ91,92の反力の方向に凸湾曲する変形を効果的に抑制することができる。
巻バネ91,92は、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態において、一端部102が従動ローラ57の回転軸88に当接し、他端部103が下カバー2の下当接部181,182に当接し、巻回部101が受け部95の下側に設けられた板金部材96に当接している。
そのため、巻バネ91,92の一端部102により、従動ローラ57の回転軸88を付勢することができる。
巻バネ91,92は、第三上カバー5が開放位置に位置する状態において、巻バネ91,92の他端部103が下カバー2の下当接部181,182から離間して第三上カバー5の上当接部93,94に当接する。
そのため、第三上カバー5が開放位置に位置する状態において、巻バネ91,92の他端部103が自由な状態になることを抑制でき、巻バネ91,92の他端部103を一定の位置に位置させることができる。一方、第三上カバー5が閉鎖位置に位置する状態では、巻バネ91,92の他端部103が下カバー2に当接するので、巻バネ91,92の他端部103から第三上カバー5に力が加わることを抑制できる。これにより、巻バネ91,92の他端部103が第三上カバー5に常に当接している構成と比較して、巻バネ91,92の他端部103から第三上カバー5に加えられる力による第三上カバー5の変形を抑制することができる。
板金部材96が、受け部95と巻バネ91,92との間に介在されている。
板金部材96は、剛性を有するので、巻バネ91,92からの反力による第三上カバー5の変形を一層、抑制できる。また、巻バネ91,92と第二係合片121,122および第二被係合片123,124とが前後方向に離れていても、板金部材96がその方向に長く形成されているので、第三上カバー5の変形を良好に抑制することができる。
補強部材171が下カバー2に設けられている。そして、補強部材171は、前後方向に延び、一部が左右方向において第二係合片121,122および第二被係合片123,124と重なる位置に配置されている。
そのため、第二係合片121,122を下カバー2における補強部材171により強度が増した部分に設けることができる。これにより、第二係合片121,122を安定した状態に設けることができる。
補強部材171は、上下方向に延びる係合壁部172を有し、係合壁部172には、左右方向に貫通する貫通孔176が形成されており、下カバー2は、貫通孔176に挿通される挿通部173を備えている。
そのため、第二係合片121,122から下カバー2に加わる力を補強部材171で受けることができる。その結果、第二係合片121,122から下カバー2に加わる力による下カバー2の変形を抑制することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、第二係合片121,122に代えて、図11および図12に示される第二係合片201が採用されてもよい。また、圧縮コイルバネ151に代えて、図11および図12に示される巻バネ202が採用されてもよい。
第二係合片201は、下カバー2に一体的に形成されている。上記実施形態における第二係合片121に代えて採用され得る第二係合片201と、第二係合片122に代えて採用され得る第二係合片201とは、前後対称な構成を有するので、以下では、後側の第二係合片122に代えて採用され得る第二係合片201を取り上げて、その構成について説明する。
第二係合片201は、板状部203および当接部204を備えている。
板状部203は、隆起部131の後端部から上側に延びている。
当接部204は、板状部203の上端部の後面から後側に突出している。当接部204は、前下がりに傾斜する平面からなる当接面205を備えている。
巻バネ202は、金属線材を巻回して形成され、コイル状の巻回部206と、巻回部206から延びる一端部207および他端部208とを一体的に備えている。一端部207は、図13に示されるように、巻回部206から上側に延び、先端部が右側に屈曲している。他端部208は、巻回部206から上側に延び、左側に屈曲して延び、後側にさらに屈曲して延び、先端部が右側に屈曲して延びている。そして、一端部207と他端部208とが近づけられて、他端部208の先端部が一端部207に後側から当接している。
この状態で、巻バネ202は、図11および図12に示されるように、第二係合片201と隆起部131に第二係合片201の前側に間隔を空けて形成された対向部209との間に介在されている。巻バネ202の一端部207は、第二係合片201に当接し、他端部208は、対向部209に当接している。一端部207に他端部208の先端部が後側から当接しているので、第二係合片201に第二被係合片123,124(図8参照)が非接触の状態では、第二係合片201は、巻バネ202により、ほぼ付勢されないか、弱い弾性力で付勢されている。
第三上カバー5が図5に示される開放位置から図4に示される閉鎖位置に回動されると、その回動の途中で、第二被係合片123,124がそれぞれ第二係合片201の当接部204に当接する。第三上カバー5がさらに回動されると、図14および図15に示されるように、第二係合片201の当接部204がそれぞれ第二被係合片123,124から力を受けて、第二係合片201がそれぞれ後側および前側に湾曲する。これにより、巻バネ202の一端部207および他端部208が互いに近づき、巻バネ202の弾性力が強まる。そして、第三上カバー5が閉鎖位置に達すると、第二被係合片123,124がそれぞれ第二係合片121,122の当接部204の下側に潜り込み、各当接部204の当接面205と第二被係合片123の対向面163および第二被係合片124の対向面164とが当接する。これにより、対向面163,164が当接面205から巻バネ202の弾性力を受け、第二係合片201と第二被係合片123,124とが係合し、第三上カバー5が閉鎖位置に保持される。この構成では、第二係合片201および第二被係合片123,124が第二係合部の一例をなす。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。