以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの機能及び名称も同一である。従って、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[全体システム構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム50の全体構成について説明する。この画像形成システム50は、画像形成装置の一種である複合機100(MFP:Multifunction Peripheral)と、複合機100に対して印刷要求を発行する端末装置200とを含む。複合機100は、例えばコピー機能及びプリンタ機能等を備える。この複合機100は、端末装置200からの印刷要求を受信して記録用紙に画像を印刷する。端末装置200はスマートフォン(Smartphone)からなる。これら複合機100及び端末装置200は、無線回線300を介して通信可能に接続される。
複合機100と端末装置200とが無線回線300によって接続される場合、無線回線300の状態(例えば電波状況等)が悪化すると、端末装置200と複合機100との間で良好な通信を維持することが困難となる。その場合、端末装置200から複合機100に画像データを良好に転送できなくなる。
図2を参照して、無線回線300の回線状態は、例えば、端末装置200と複合機100との間の距離によって変化する。例えば端末装置200が複合機100から離れると電波強度が悪くなる。端末装置200が複合機100との通信範囲内にある場合であっても、複合機100から離れすぎると、電波強度が悪くなり通信が途切れそうになることがある。そうした場合、一般的には、端末装置200を複合機100に近づけると電波状況が改善する。本実施の形態では、端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れそうになると、端末装置200は警告を表示して電波強度が悪いことをユーザに通知する。この通知により、電波強度が良好な範囲に移動するようにユーザを促すことができる。当該ユーザが端末装置200とともに複合機100に近づくことによって、電波状況が改善される。
図3を参照して、端末装置200と複合機100とが無線回線300によって接続される場合、通信可能な範囲が視覚によって認識できないため、例えば、端末装置200を保持するユーザは、誤って複合機100との通信範囲内から通信範囲外に移動してしまうことがある。そうした場合、通信が途切れる。端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れると、端末装置200から複合機100に画像データを転送できなくなる。本実施の形態では、端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れると、端末装置200及び複合機100は通信途中の状態を保留する。そのため、端末装置200と複合機100との通信が再開した際に、途中から印刷を再開できる。
[ハードウェア構成]
《複合機100》
図4を参照して、本画像形成システム50を構成する複合機100は、制御部110、画像読取部120、画像処理部130、画像形成部140、無線通信部150及び操作部160を含む。
制御部110は、実質的にコンピュータであって、CPU(Central Processing Unit)112、ROM(Read Only Memory)114、RAM(Random Access Memory)116及びHDD(Hard Disk Drive)118を含む。CPU112には、BUSライン170が接続されており、このBUSライン170には、ROM114、RAM116及びHDD118が電気的に接続される。CPU112は、操作部160等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、複合機100の各部の動作及び端末装置200との通信等の所望の処理を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、予めROM114又はHDD118に記憶されており、所望の処理の実行時において、当該ROM114又はHDD118から読出されてRAM116に転送される。CPU112は、CPU112内の図示しないプログラムカウンタと呼ばれるレジスタに格納された値によって指定される、RAM116内のアドレスからプログラムの命令を読出し、解釈する。CPU112はまた、読出された命令によって指定されるアドレスから演算に必要なデータを読出し、そのデータに対し命令に対応する演算を実行する。実行の結果も、RAM116、HDD118及びCPU112内のレジスタ等の、命令によって指定されるアドレスに格納される。
HDD118には、複合機100の一般的な動作を実現するためのコンピュータプログラムが記憶される。このコンピュータプログラムは、図示しないネットワーク等を介して、情報処理装置等から提供される。なお、このコンピュータプログラムは、そのコンピュータプログラムが記録された、例えばDVD等の記憶媒体によって提供されてもよい。すなわち、コンピュータプログラムの記録媒体としてのDVDが、複合機100内に内蔵されるDVDドライブ(図示せず。)に装着され、そのDVDからコンピュータプログラムが読出されてHDD118にインストールされてもよい。HDD118は、他に、画像データ等を含む各種データを記憶する。
BUSライン170には、さらに、画像読取部120、画像処理部130、画像形成部140、無線通信部150及び操作部160が電気的に接続される。
画像読取部120は、原稿検知センサ及びCCD(Charge−Coupled Device)ラインセンサ(以上いずれも図示せず。)を含む。原稿検知センサは、ユーザによって手動で、又は、自動原稿搬送装置(図示せず。)によって、原稿載置台(図示せず。)上に載置された原稿の画像表面に対し光源(図示せず。)から光を照射することによって得られる反射光像をCCDラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、結像された反射光像を順次光電変換して画像データとして画像処理部130に対して出力する。すなわち、画像読取部120は、原稿のコピー時又はスキャン時に、原稿載置台に載置される原稿から原稿検知センサによって画像情報を読取り、読取った画像情報をCCDラインセンサによって電気信号に変換して画像データとして画像処理部130に対して出力する。
画像処理部130は、MPU(Micro Processing Unit、図示せず。)を含む。画像処理部130は、画像読取部120、又は、端末装置200等から受信した画像データに対して、例えば、ラスタライズ処理等の所定の画像処理を含む各種処理を施して所定の階調の印刷データを作成し、画像形成部140に対して出力する。
画像形成部140は、画像データによって示される画像を記録用紙に印刷するものであって、例えば、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、及び除電装置等を備えている。画像形成部140には、例えば、搬送路が設けられており、給紙部(図示せず。)から給紙されてきた記録用紙が搬送路に沿って搬送される。給紙部は、用紙カセット(図示せず。)に収納された記録用紙、又は手差トレイに載置された記録用紙を1枚ずつ引出して記録用紙を画像形成部140の搬送路へと送り出す。画像形成部140の搬送路に沿って記録用紙が搬送されている途中で、記録用紙が感光体ドラムと転写装置との間を通過し、更に定着装置を通過して、記録用紙に対する印刷が行なわれる。
感光体ドラムは、一方向に回転し、その表面は、クリーニング装置と除電装置によりクリーニングされた後、帯電装置により均一に帯電される。レーザースキャンユニットは、印刷対象の画像データに基づいてレーザー光を変調し、このレーザー光によって感光体ドラムの表面を主走査方向に繰返し走査して、静電潜像を感光体ドラムの表面に形成する。現像装置は、トナーを感光体ドラムの表面に供給して静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラムの表面に形成する。転写装置は、転写装置と感光体ドラムとの間を通過していく記録用紙に感光体ドラムの表面のトナー像を転写する。
定着装置は、記録用紙を加熱するための加熱ローラと、記録用紙を加圧するための加圧ローラとを含む。記録用紙は、加熱ローラによって加熱され、かつ、加圧ローラによって加圧されることによって、記録用紙上に転写されたトナー像が記録用紙に定着される。定着装置から排出された(印刷された)記録用紙は、排紙トレイに排出される。
無線通信部150は、無線回線300とのインターフェイスをとる。複合機100は、この無線通信部150を介して、外部機器(本実施の形態では端末装置200)との通信を行なう。複合機100は、無線通信部150を介して、端末装置200から印刷ジョブ等の各種処理の実行を命令する命令信号を受信することができる。無線通信部150はさらに、無線回線300における電波強度及び無線回線300における通信速度等を計測する。無線通信部150はさらに、制御部110の制御の下で、端末装置200から送信される画像データを受信している途中に当該端末装置200との通信が途切れたか否かを検出する。
操作部160は、タッチパネルディスプレイ162を含む。タッチパネルディスプレイ162は、表示パネル164と、タッチパネル166とが重ねて構成されるタッチパネル一体型液晶表示装置である。表示パネル164は、複合機100の状態及び各種処理の状態に関する情報等の各種情報をユーザに提供する。このタッチパネルディスプレイ162はまた、ユーザに対して対話的な操作インターフェイスを提供する。この対話的な操作インターフェイスは、タッチパネル166から複合機100全体の動作に対するユーザの指示を受付け、その指示の内容を表示パネル164に表示するとともに、その指示に応じた制御信号を制御部110又は画像処理部130のMPUに対して出力する。
複合機100はまた、画像データを受信しながら印刷処理を実行するクイック印刷機能、及び、画像データの受信のみ先に行ない、全ての画像データの受信が終了した後に印刷処理を実行する印刷機能を備える。これらの印刷機能は複合機100においていずれかの機能に設定可能である。例えば、複合機100の操作部160(表示パネル164)に表示される設定画面(図示せず。)において、いずれかの機能を設定することが可能とされている。具体的には、クイック印刷を設定する場合は、クイック印刷機能をONし、クイック印刷を設定しない場合は、クイック印刷機能をOFFにする。クイック印刷機能がOFFにされると、全ての画像データの受信が終了した後に印刷処理を実行する印刷機能が設定される。これら印刷機能は、端末装置200においても設定可能である。この場合、複合機100は、端末装置200から送信される設定の指示(設定情報)を受信して自機の設定を変更する。
複合機100はさらに、端末装置200から送信される画像データを受信している途中に通信が途切れたことを検出した場合に、通信途中の状態を保留する機能を有する。すなわち、複合機100は、端末装置200から送信される画像データを受信している途中に通信が途切れたことを検出すると、通信途中の状態を示すデータをHDD118に記憶する。この通信途中の状態を示すデータは、印刷ジョブを受付けた時点の時刻情報、端末装置200の識別情報、受信していた画像データの識別情報、通信が途切れることによって当該画像データの受信が停止したときの停止位置、及び、通信が途切れる前に受信していた画像データを含む。端末装置200の識別情報は、例えば端末ID又は端末シリアル番号等である。画像データの識別情報は、例えばファイル名等である。なお、クイック印刷が設定されている場合には、画像データを受信しながら印刷処理が実行されるため、通信が途切れる前に受信していた画像データはHDD118には記憶されない。すなわち、通信途中の状態を示すデータには、通信が途切れる前に受信していた画像データは含まれない。
通信途中の状態を保留する機能は、複合機100において設定可能である。本実施の形態では、複合機100の操作部160(表示パネル164)に表示される無線設定画面400において、通信途中の状態を保留するか否かを設定可能に構成されている。図6を参照して、無線設定画面400は、通信途中のデータを保留する設定(以下「データ保留設定」と記す場合がある。)とするためにチェックを入れるチェックボックス410、及び、通信途中のデータを保留しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス420を含む。
制御部110はさらに、通信が途切れた場合に、通信が途切れてからの経過時間を計測するタイマ機能を有する。制御部110は通信が途切れてから一定時間内(例えば約30秒〜数分)に通信が再開されたか否かを検出する。この一定時間は任意に設定可能である。通信が再開されなかった場合であって、通信が途切れる前に受信していたデータがHDD118に記憶されている場合には、HDD118に記憶されている当該画像データを破棄(削除)する。
《端末装置200》
図5を参照して、本画像形成システム50を構成する端末装置200は、制御部210、記憶装置220、ユーザインターフェイス(以下「ユーザI/F」と記す。)230及び無線通信部240を含む。
制御部210は、実質的にコンピュータであって、CPU212、ROM214及びRAM216を含む。CPU212には、BUSライン250が接続されており、このBUSライン250には、ROM214及びRAM216が電気的に接続される。CPU212は、ユーザI/F230等からの指示に応じて、各種コンピュータプログラムを実行することによって、端末装置200の各部の動作及び外部装置(本実施の形態では複合機100)との通信等の所望の処理を実行する。
BUSライン250には、記憶装置220、ユーザI/F230及び無線通信部240が電気的に接続される。ROM214、RAM216、記憶装置220、ユーザI/F230及び無線通信部240は、いずれもCPU212の制御のもとに協調して動作し、本実施の形態に係る端末装置として端末装置200は種々のアプリケーションによる処理を実現する。それらアプリケーションは、例えば、端末装置200に記憶されている画像データを複合機100に送信している途中に通信が途切れた場合に、通信の再開時に手間を省くことができる画像形成システム50における端末装置200を実現する。
記憶装置220は、例えばSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリドライブ(図示せず。)を含む。この記憶装置220には、端末装置200の一般的な動作を実現するためのコンピュータプログラム及び上記アプリケーション等が記憶される。これらのコンピュータプログラム等は、図示しないネットワーク等を介して、情報処理装置等から提供される。このコンピュータプログラム等は、そのコンピュータプログラム等が記録された、例えばDVD等の記憶媒体によって提供されてもよい。記憶装置220は、他に、画像データ等を含む各種データを記憶する。なお、上記記憶装置220は、SSDに代えて、又は、SSDとともに、HDDを含む構成であってもよい。
ユーザI/F230は、例えばタッチパネルディスプレイ等の操作表示装置等を含む入出力装置からなる。
無線通信部240は、無線回線300とのインターフェイスをとる。端末装置200は、この無線通信部150を介して、外部機器(本実施の形態では複合機100)との通信を行なう。端末装置200は、無線通信部150を介して、印刷ジョブ等の各種処理の実行を命令する命令信号を複合機100等に送信することができる。無線通信部240はさらに、制御部210の制御の下で、端末装置200から送信される画像データを受信している途中に当該端末装置200との通信が途切れたか否かを検出する。
無線通信部240はさらに、無線回線300における電波強度及び無線回線300における通信速度等を計測する。端末装置200は、電波強度が悪化したか(十分か)否かを判定するための基準となる閾値を予めROM214、RAM216又は記憶装置220等に記憶している。制御部210は無線通信部240で計測された電波強度と閾値とを比較することによって、電波強度が悪化したか否かを判定する。制御部210はさらに、電波強度が悪化したと判定すると、そのことを警告する通知をユーザI/F230に表示する。
電波強度が悪化した場合(電波強度が弱い場合)に警告をする機能は、端末装置200において設定可能である。本実施の形態では、端末装置200のユーザI/F230(タッチパネルディスプレイ)に表示される無線設定画面500において、電波強度が弱い場合に警告をするか否かを設定可能に構成されている。図7を参照して、無線設定画面500は、電波強度が弱い場合の警告設定として、警告する設定とするためにチェックを入れるチェックボックス510、及び、警告しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス520を含む。
端末装置200はまた、複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れたことを検出した場合に、通信途中の状態を保留する機能を有する。すなわち、端末装置200は、複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れたことを検出すると、通信途中の状態を示すデータ、及び、印刷ジョブの送信を開始した時点の時刻情報(ジョブ開始時刻)を記憶装置220に記憶する。通信途中の状態を示すデータは、通信が途切れることによって当該画像データの送信が停止したときの停止位置を含む。
[ソフトウェア構成]
図8を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム50において、端末装置200から複合機100に対して印刷要求を発行するために、端末装置200で実行されるコンピュータプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、印刷要求を発行するための操作がユーザによって行なわれると起動される。
このプログラムは、複合機100との通信処理を実行するステップS1000と、ステップS1000の後に実行され、ユーザによって選択された画像データに対して、前回保留したデータが端末装置200にあるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1010と、ステップS1010において、前回保留したデータがないと判定された場合に実行され、無線回線300における電波強度が十分であるか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1020と、ステップS1020において、電波強度が十分であると判定された場合に実行され、端末装置200に記憶されている画像データを複合機100に転送するステップS1030と、ステップS1030の後に実行され、全データの転送が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1040とを含む。
ステップS1010では、前回の画像データの送信時に通信が途切れ、通信途中の状態が保留されているか否かを判定する。ステップS1020では、無線通信部240で計測された電波強度とROM等に記憶されている閾値とを比較して、電波強度が閾値より大きいか否かを判定する。無線通信部240で計測された電波強度が閾値より大きい場合、制御部210は電波強度が十分であると判定する。一方、無線通信部240で計測された電波強度が閾値以下の場合、制御部210は電波強度が十分でない(電波強度が弱い(悪化している))と判定する。ステップS1030では、ユーザによって選択された画像データを複合機100に送信する。ステップS1040において、全データの転送が完了していないと判定された場合は、制御はステップS1020に戻り、全データの転送が完了したと判定された場合は、このプログラムは終了する。
このプログラムはさらに、ステップS1010において、前回保留したデータがあると判定された場合に実行され、複合機100の保留データ(通信が途切れる前に受信していた画像データ)が破棄されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1050と、ステップS1050において、複合機100の保留データが破棄されていると判定された場合に実行され、画像データを最初から送信することを通知して、制御をステップS1020に進めるステップS1060とを含む。
ステップS1060では、端末装置200のユーザI/F230(タッチパネルディスプレイ)に、図10に示すダイアログ画面600が表示される。図10を参照して、ダイアログ画面600には、例えば「前回のデータが複合機から破棄されています。最初から印刷を行ないます。」とのテキストが表示されている。なお、ステップS1060では、前回の画像データの送信時に端末装置200に保留された通信途中の状態を示すデータが破棄される。
このプログラムはさらに、ステップS1050において、複合機100の保留データが破棄されていないと判定された場合に実行され、画像データを途中から送信するか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1070と、ステップS1070において、画像データを途中から送信すると判定された場合に実行され、複合機100に、途中のデータから再開することを伝えるステップS1080と、ステップS1080の後に実行され、画像データを途中から送信する設定に変更して制御をステップS1020に進めるステップS1090とを含む。ステップS1070において、画像データを途中から送信しないと判定された場合は、制御はステップS1020に進む。
ステップS1070では、端末装置200のユーザI/F230(タッチパネルディスプレイ)に、図11に示すダイアログ画面610が表示される。図11を参照して、ダイアログ画面610には、例えば「画像データを途中から送信しますか?」と問合せるテキスト、「はい」キー612及び「いいえ」キー614が表示されている。ユーザによって「はい」キー612が操作されると、制御部210は画像データを途中から送信すると判定する。一方、ユーザによって「いいえ」キー614が操作されると、制御部210は画像データを途中から送信しない(画像データを最初から送信する)と判定する。ステップS1080では、端末装置200は、画像データを途中(前回停止した位置)から送信する指示を複合機100に対して送信する。
このプログラムはさらに、ステップS1020において、電波強度が十分ではないと判定された場合に実行され、通信が途切れたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1100と、ステップS1100において、通信が途切れていないと判定された場合に実行され、警告表示の設定がONか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1110と、ステップS1110において、警告表示の設定がONであると判定された場合に実行され、電波強度が弱いことを知らせるメッセージを表示して制御をステップS1030に進めるステップS1120とを含む。ステップS1110において、警告表示の設定がONではないと判定された場合は、制御はステップS1030に進む。
ステップS1110では、図7に示す無線設定画面500において、チェックボックス510及びチェックボックス520のいずれにチェックが入っているかによって、警告表示設定がONであるか否かを判定する。チェックボックス510にチェックが入っている場合は、制御部210は警告表示設定がONであると判定する。一方、チェックボックス520にチェックが入っている場合は、制御部210は警告表示設定がONではない(OFFである)と判定する。
ステップS1120では、端末装置200のユーザI/F230(タッチパネルディスプレイ)に、図12に示すダイアログ画面620が表示される。図12を参照して、ダイアログ画面620には、例えば「電波強度がよくありません。複合機から離れすぎていませんか?離れすぎている場合は、近づくことで改善されることもあります。」とのテキストが表示されている。このダイアログ画面620を表示することによって、端末装置200は無線回線状態に関する警告として電波状況がよくないことをユーザに通知する。
このプログラムはさらに、ステップS1100において、通信が途切れたと判定された場合に実行され、途中状態を保留するか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1130と、ステップS1130において、途中状態を保留すると判定された場合に実行され、保留処理を行なった後にこのプログラムを終了するステップS1140とを含む。ステップS1130において、途中状態を保留しないと判定された場合には、このプログラムは終了する。
ステップS1130では、端末装置200のユーザI/F230(タッチパネルディスプレイ)に、図13に示すダイアログ画面630が表示される。図13を参照して、ダイアログ画面630には、例えば「複合機に対して画像データを転送中に通信が途切れました。途中から再開できるように途中状態を保留しておきますか?」と問合せるテキスト、「はい」キー632及び「いいえ」キー634が表示されている。ユーザによって「はい」キー632が操作されると、制御部210は途中状態を保留すると判定する。一方、ユーザによって「いいえ」キー634が操作されると、制御部210は途中状態を保留しないと判定する。
図9は、図8のステップS1000の詳細なフローである。図9を参照して、このルーチンは、無線回線300を介して複合機100と接続する処理を実行するステップS1200と、ステップS1200の後に実行され、複合機100から保留データ破棄の通知を受信したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1210と、ステップS1210において、複合機100から保留データ破棄の通知を受信したと判定された場合に実行され、複合機100の保留データが破棄されたことを例えば記憶装置220に記憶してこのルーチンを終了するステップS1220とを含む。ステップS1210において、複合機100から保留データ破棄の通知を受信していないと判定された場合もこのルーチンは終了する。
図8に示すステップS1050では、図9に示すステップS1220において記憶された、複合機100の保留データが破棄されたことを示す情報に基づいて、複合機100の保留データが破棄されたか否かを判定する。
図14を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム50において、複合機100で実行されるコンピュータプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、複合機100に電源が投入されることによって起動される。
このプログラムは、端末装置200との通信処理を実行するステップS2000と、ステップS2000の後に実行され、クイック印刷機能がONされているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2010と、ステップS2010において、クイック印刷機能がONされていると判定された場合に実行され、画像データを受信しながら印刷を行なうステップS2020と、ステップS2010において、クイック印刷機能がONされていないと判定された場合に実行され、画像データの受信のみを行なうステップS2030と、ステップS2020及びステップS2030の後に実行され、端末装置200との通信が途切れたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2040とを含む。
このプログラムはさらに、ステップS2040において、通信が途切れたと判定された場合に実行され、データ保留設定(通信途中のデータを保留する設定)にされているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2050と、ステップS2050において、データ保留設定にされていると判定された場合に実行され、通信途中の状態(通信途中のデータ)を保留する処理を実行するステップS2060と、ステップS2060の後に実行され、通信が途切れてから一定時間内に通信が再開されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2070と、ステップS2070において、一定時間内に通信が再開されたと判定された場合に実行され、端末装置200からの指示に基づいて、途中のデータから再開するか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2080とを含む。
ステップS2050では、図6に示す無線設定画面400において、チェックボックス410及びチェックボックス420のいずれにチェックが入っているかによって、データ保留設定か否かを判定する。チェックボックス410にチェックが入っている場合は、制御部110はデータ保留設定にされていると判定する。一方、チェックボックス420にチェックが入っている場合は、制御部110はデータ保留設定にされていないと判定する。
このプログラムはさらに、ステップS2080において、途中のデータから再開すると判定された場合に実行され、画像データを途中(前回停止した位置)から受信するステップS2090と、ステップS2050において、データ保留設定にされていないと判定された場合、及び、ステップS2070において、一定時間内に通信が再開されていないと判定された場合に実行され、保留されている画像データを破棄するステップS2100と、ステップS2100の後に実行され、印刷をキャンセルしてこのプログラムを終了するステップS2110と、ステップS2040において、通信が途切れていないと判定された場合、ステップS2080において、途中のデータから再開しないと判定された場合、及び、ステップS2090の後に実行され、画像データの出力処理を実行しこのプログラムを終了するステップS2120とを含む。
図15は、図14のステップS2000の詳細なフローである。図15を参照して、このルーチンは、無線回線300を介して端末装置200と接続する処理を実行するステップS2200と、ステップS2200の後に実行され、保留された画像データが破棄されたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2210と、ステップS2210において、保留された画像データが破棄されたと判定された場合に実行され、破棄されたことを端末装置200に通知してこのルーチンを終了するステップS2220とを含む。ステップS2210において、保留された画像データが破棄されていないと判定された場合もこのルーチンは終了する。
図16は、図14のステップS2120の詳細なフローである。図16を参照して、このルーチンは、クイック印刷が設定(ON)されているか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2300と、ステップS2300において、クイック印刷が設定されていると判定された場合に実行され、印刷が終了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2310と、ステップS2300において、クイック印刷が設定されていないと判定された場合に実行され、全データの受信が完了したか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2320と、ステップS2320において、全データの受信が完了したと判定された場合に実行され、受信した画像データに基づいて印刷処理を実行し、このルーチンを終了するステップS2330とを含む。
ステップS2310において、印刷が終了したと判定された場合は、このルーチンは終了する。一方、ステップS2310において、印刷が終了していないと判定された場合は、制御は図14に示すステップS2040に戻る。ステップS2320において、全データの受信が完了していないと判定された場合も、制御は図14に示すステップS2320に戻る。
[動作]
図1〜図3及び図8〜図16を参照して、以上のような構造及びフローチャートに基づく、本実施の形態に係る画像形成システム50の動作について説明する。
図1を参照して、端末装置200のユーザが、複合機100で印刷を行なうために端末装置200を操作する。端末装置200は複合機100と無線通信し、無線回線300を介して複合機100と接続する。端末装置200はユーザによって画像データが選択されると印刷要求を発行する。端末装置200は電波強度が十分であるか否かを判定し、電波強度が十分であると(図8に示すステップS1020においてYES)、選択した画像データを複合機100に送信する(ステップS1030)。端末装置200は全データの送信が完了するまで画像データの送信を続ける。
複合機100がクイック印刷に設定されていると(図14に示すステップS2010においてYES)、当該複合機100は端末装置200からの画像データを受信しながら印刷を行なう(ステップS2020)。端末装置200から送信された全データを受信し、印刷が終了すると(図16に示すステップS2310においてYES)、画像形成システム50の動作は終了する。一方、クイック印刷に設定されていない場合(図14に示すステップS2010においてNO)には、画像データの受信のみを行ない(ステップS2030)、全データの受信が完了すると(図16に示すステップS2320においてYES)、印刷処理を実行する(ステップS2330)。この印刷処理が終了すると、画像形成システム50の動作は終了する。
図2を参照して、端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に電波強度が弱くなり(図8に示すステップS1020においてNO)、通信が途切れそうになると(ステップS1100においてNO)、端末装置200は警告表示設定がONされている否かを判定する(ステップS1110)。警告表示設定がONされている場合(ステップS1110においてYES)は、端末装置200はユーザI/F230に図12に示すダイアログ画面620を表示して、電波状況がよくないことをユーザに通知する(ステップS1120)。この場合も、端末装置200は画像データの送信を続ける(ステップS1030)。この通知(警告)によってユーザが、電波状況がよくないことに気づき、複合機100の近くに移動すると電波状況が改善される。警告表示設定がONされていない場合(ステップS1110においてNO)は、端末装置200はユーザI/F230にダイアログ画面620を表示せずに、画像データの送信を続ける(ステップS1030)。
図3を参照して、端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れると(図8に示すステップS1100においてYES)、端末装置200はユーザI/F230に図13に示すダイアログ画面630を表示して、途中状態を保留するか否かをユーザに選択させる。ユーザがダイアログ画面630の「はい」キー632を操作すると、端末装置200は途中状態を保留すると判定し、保留処理を実行する(図8に示すステップS1140)。すなわち、端末装置200は、通信が途切れることによって当該画像データの送信が停止したときの停止位置を記憶する。ユーザがダイアログ画面630の「いいえ」キー634を操作した場合は、端末装置200は途中状態を保留しないと判定し、画像データの送信動作を終了する。
端末装置200において通信が途切れたということは、複合機100においても通信が途切れたことを意味する。複合機100は、端末装置200との通信が途切れたことを検出すると(図14に示すステップS2040においてYES)、データ保留設定にされているか否かを判定(ステップS2050)し、データ保留設定にされている場合には、通信途中の状態を保留する(ステップS2060)。複合機100は、通信が途切れると、通信が途切れてからの経過時間をカウントする。
端末装置200のユーザは、画像データの送信途中に通信が途切れたために、通信が途切れてから一定時間内に、再び、画像データの送信を試みたとする。一定時間内に通信が再開された場合(図14に示すステップS2070においてYES)は、後述するように、保留された画像データは破棄されていない。
端末装置200が再度複合機100と通信を行なうと(図8に示すステップS1000)、当該端末装置200は前回保留したデータが当該端末装置200にあると判定する(ステップS1010においてYES)。端末装置200はユーザI/F230に図11に示すダイアログ画面610を表示して、画像データを途中から送信するか否かをユーザに選択させる。ユーザがダイアログ画面610の「はい」キー612を操作すると、端末装置200は画像データを途中から送信すると判定する(ステップS1070においてYES)。この場合、端末装置200は、画像データを途中(前回停止した位置)から送信する指示を複合機100に送信する(ステップS1080)。その後、端末装置200は、画像データを途中から送信する設定に自機の設定を変更(ステップS1090)することによって、画像データを途中から送信する(ステップS1030)。
複合機100は、端末装置200からの指示を受信すると、途中のデータから再開すると判定し(図14に示すステップS2080においてYES)、画像データを途中(前回停止した位置)から受信する(ステップS2090)。複合機100がクイック印刷に設定されている場合(図16に示すステップS2300においてYES)、画像データを受信しながら印刷を行なう。印刷が終了すると(ステップS2310においてYES)、画像形成システム50の動作は終了する。複合機100がクイック印刷に設定されていない場合(図16に示すステップS2300においてNO)、前回保留した画像データを含めて全データの受信が完了すると(ステップS2320においてYES)、受信した画像データの印刷処理を実行する(ステップS2330)。印刷処理が終了すると、画像形成システム50の動作は終了する。
一方、ユーザが図11に示すダイアログ画面610の「いいえ」キー614を操作した場合、端末装置200は画像データを途中から送信しない(画像データを最初から送信する)と判定する(図8に示すステップS1070においてNO)。この場合、画像データを途中から送信する設定に変更されないため、端末装置200は、画像データを最初から送信する(ステップS1030)。複合機100は、途中のデータから再開しないと判定し(図14に示すステップS2080においてNO)、画像データを最初から受信する。複合機100は、画像データを受信すると、当該画像データに基づいて印刷処理を実行する。
端末装置200は、保留処理(ステップS1140)によって通信途中の状態を示すデータが当該端末装置200に蓄積され続けるのを抑制するために、ジョブ開始時刻から一定時間が経過したデータを当該端末装置200から削除する。
他方、通信が途切れてから一定時間内に、端末装置200が画像データの送信を行なわなかった場合(図14に示すステップS2070においてNO)、複合機100は保留されている画像データを破棄(ステップS2100)して、印刷をキャンセルする(ステップS2110)。
通信が途切れてから一定時間経過後に、端末装置200のユーザが、再び、画像データの送信を試みたとする。この場合、複合機100は、端末装置200との接続時に、画像データを破棄したことを当該端末装置200に通知する(図15に示すステップS2220)。端末装置200は、画像データを破棄したことの通知を受信すると(図9に示すステップS1210においてYES)、複合機100に保留されている画像データが破棄されたことを記憶する(ステップS1220)。
端末装置200は、前回保留したデータが当該端末装置200にある場合(図8に示すステップS1010においてYES)であっても、複合機100に保留されている画像データが破棄されている場合(ステップS1050においてYES)には、端末装置200は、ユーザI/F230に図10に示すダイアログ画面600を表示して、複合機100に保留されている画像データが破棄されたために最初から画像データを送信する(最初から印刷を行なう)ことをユーザに通知する。その後、端末装置200は、前回保留したデータを当該端末装置200から削除する。
複合機100に保留されている画像データが破棄されている場合には、途中のデータから再開することができない。この場合でも、端末装置200には前回保留したデータが残っているため、端末装置200のユーザが、途中までの画像データが複合機100に保留されていると思い、複合機100に対して途中のデータから再開することを要求することも考えられる。
本実施の形態では、上記のように、複合機100に保留されている画像データが破棄されたことをユーザに通知することによって、ユーザに対して、途中のデータから再開できないことを認識させることができる。そのため、認識のずれに起因する上記問題を回避できる。
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る画像形成システム50を利用することにより、以下に述べる効果を奏する。
本画像形成システム50は、複合機100と端末装置200との通信が途切れたか否かを検出する。端末装置200から複合機100に画像データが送信されている途中に、通信が途切れたことを検出すると、本画像形成システム50は通信途中の状態を保留する。すなわち、本画像形成システム50は、通信が途切れると途中までの状態(通信が途切れた時点の状態)を記録する。このため、通信が再開(復旧)した場合に、途中からデータ転送を再開できるので、再開時の手間を省くことができる。
端末装置200から複合機100に画像データが送信されている途中に、例えば、端末装置200を使用しているユーザが、端末装置200とともに移動して無線通信が可能な範囲から離れてしまった場合、通信が途切れる。そうした場合、本画像形成システム50は通信途中の状態を保留する。そのため、無線通信が可能な範囲に当該ユーザが移動して通信が再開した場合に、途中からデータ通信を再開できる。これにより、再開時の手間を効果的に省くことができる。
さらに、無線回線300を介して、端末装置200からデータサイズの大きい画像データを複合機100に送信する場合、従来のシステムでは、端末装置200を使用しているユーザは無線通信が可能な範囲から離れることができず、無線通信が可能な範囲から離れてしまい通信が途切れた場合には、再度最初からデータ通信を行なう必要があった。これに対し、本画像形成システム50では、無線通信が可能な範囲から離れて通信が途切れた場合でも、通信途中からデータ通信を再開できるため、ユーザは端末装置200とともに自由に移動できる。
さらに、端末装置200は、例えば、無線回線300の電波状況が悪くなった場合に無線回線状態に関する警告として電波状況がよくないことをユーザに通知する。この通知により、ユーザは無線回線300の状態(電波状況がよくないこと)を認識できる。これにより、例えばより電波状況の良好な範囲に移動するようにユーザを促すことによって電波状況を改善できる。
端末装置200はさらに、当該端末装置200から複合機100に画像データを送信している途中に通信が途切れたことを検出すると、ユーザI/F230にダイアログ画面630を表示して、通信途中の状態を保留するか否かをユーザに問合せる。これにより、ユーザは、通信途中の状態を保留するか否かを選択できる。ユーザは、通信途中の状態を保留させたいときのみ、保留させることができる。
本画像形成システム50において、端末装置200から複合機100に画像データが送信されている途中に、通信が途切れたが検出されると、端末装置200及び複合機100の両方が通信途中の状態を保留する。端末装置200が画像データの送信途中の状態を保留することによって、通信の再開時に、端末装置200は画像データを途中から容易に送信できる。さらに、複合機100が画像データの受信途中の状態を保留することによって、通信の再開時に、複合機100は画像データを途中から容易に受信できる。
複合機100は、通信が途切れたことが検出されてからの経過時間を計測する。複合機100は、通信が途切れたことが検出されてから一定時間内に通信が再開された場合、保留されている通信途中の状態から画像データを受信する。複合機100は、通信が途切れたことが検出されてから一定時間内に通信が再開されなかった場合、受信した画像データを破棄する。通信が途切れたことが検出されてから一定時間内であればデータの送信が再開される可能性がある。そのため、複合機100は、通信が途切れたことが検出されてから一定時間内に通信が再開した場合には、保留されている通信途中の状態から画像データを受信することが可能とされている。一方、通信が途切れたことが検出されてから一定時間を過ぎれば、データの送信が再開されない、又は、最初からデータを送信しなおす可能性が高くなる。そのため、複合機100は、通信が途切れたことが検出されてから一定時間内に通信が再開されなかった場合には、受信した画像データを破棄する。これにより、画像データを記憶するための記憶領域が無駄に使用されるのを防止できる。
複合機100は、画像データの受信が終了した後に画像形成(印刷)を開始する印刷機能を有する。この印刷機能が設定されていると、複合機100は、データを全て受信するまで印刷を開始しない。そのため、画像データの転送中に通信が途切れ、通信の再開時に途中からデータ通信を再開した場合でも、印刷出力した用紙がバラバラになる(分散する)のを防止できる。したがって、これによっても、再開時の手間を省くことができる。
[変形例]
上記実施の形態では、画像形成装置の一例である複合機に本発明を適用した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。本画像形成システムを構成する画像形成装置は複合機以外であってもよい。例えば、印刷機能のみを有する印刷装置であってもよい。
上記実施の形態では、スマートフォンからなる端末装置に本発明を適用した例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。本画像形成システムを構成する端末装置は、画像データを画像形成装置に送信可能な端末装置であれば、スマートフォン以外の端末装置であってもよい。スマートフォン以外の端末装置としては、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」と記す。)、据置き型のパソコン(例えばデスクトップ型のパソコン)、及びタブレット端末等が挙げられる。
上記実施の形態では、端末装置と複合機とを無線回線を介して通信可能に接続する例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、端末装置と画像形成装置とを有線の通信回線を介して通信可能に接続してもよい。有線回線によって接続される場合でも、何らかの要因で通信が途切れることが考えられる。そのような場合でも、本発明を適用することによって通信の再開時に手間を省くことができる。
上記実施の形態では、通信が途切れた場合に、端末装置及び複合機の両方において通信途中の状態を保留する例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば、通信が途切れた場合に、複合機のみが通信途中の状態を保留するようにしてもよい。その場合、例えば、複合機が画像データの送信元である端末装置の端末情報と保留情報とを覚えておき、次の通信時(接続時)に保留情報を複合機から端末装置に通知することで、保留状態の印刷を再開するか否かをユーザに選択させるようにできる。
上記実施の形態では、複合機において通信途中の状態を保留する場合に、保留をするか否かの設定を複合機側で行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。複合機において通信途中の状態を保留するか否かの設定は、端末装置側で行なうようにしてもよいし、端末装置と複合機との両方で行なうようにしてもよい。端末装置側で設定を行なう場合、例えば、端末装置が、複合機との最初の通信時(接続時)に保留をするか否かの情報を複合機に通知する。複合機は端末装置からの通知を受信すると、通知された通りに動作する。
複合機において通信途中の状態を保留するか否かの設定を端末装置と複合機との両方で行なう場合、例えば、各々において無線設定画面が表示される。図17を参照して、端末装置のユーザI/Fには無線設定画面700が表示される。無線設定画面700は、通信途中のデータを保留する設定とするためにチェックを入れるチェックボックス702、通信途中のデータを保留しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス704、及び、複合機の設定に従う設定とするためにチェックを入れるチェックボックス706を含む。図18を参照して、複合機の操作部(表示パネル)には無線設定画面750が表示される。無線設定画面750は、通信途中のデータを保留する設定とするためにチェックを入れるチェックボックス752、及び、通信途中のデータを保留しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス754を含む。複合機の設定と端末装置の設定とが異なる場合、複合機の設定を優先させるようにしてもよいし、端末装置の設定を優先させるようにしてもよい。
上記実施の形態では、電波強度が弱い場合に端末装置において警告表示を行なうか否かの設定を、端末装置側を行なう例について示したが、本発明はそのような実施の形態には限定されない。警告表示を行なうか否かの設定は、複合機(画像形成装置)側で行なうようにしてもよいし、端末装置と複合機との両方で行なうようにしてもよい。複合機側で設定を行なう場合、例えば、複合機が、端末装置との最初の通信時(接続時)に警告をするか否かの情報を端末装置に通知する。端末装置は複合機からの通知を受信すると、通知された通りに動作する。
警告表示を行なうか否かの設定を端末装置と複合機との両方で行なう場合、例えば、各々において無線設定画面が表示される。図19を参照して、端末装置のユーザI/Fには無線設定画面800が表示される。無線設定画面800は、電波強度が弱い場合の警告設定として、警告する設定とするためにチェックを入れるチェックボックス802、警告しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス804、及び、複合機の設定に従う設定とするためにチェックを入れるチェックボックス806を含む。図20を参照して、複合機の操作部(表示パネル)には無線設定画面850が表示される。無線設定画面850は、電波強度が弱い場合の警告設定として、警告する設定とするためにチェックを入れるチェックボックス852、及び警告しない設定とするためにチェックを入れるチェックボックス854を含む。複合機の設定と端末装置の設定とが異なる場合、複合機の設定を優先させるようにしてもよいし、端末装置の設定を優先させるようにしてもよい。
上記実施の形態では、無線回線の電波状況が悪くなった場合に、端末装置にダイアログ画面を表示することによって、電波状況がよくないことをユーザに通知する例について示したが、ユーザへの通知は、例えば、通知音及びバイブレーションの少なくとも一方をダイアログ画面の表示と併用してもよい。
上記実施の形態において、画像形成システムをクラウドと連携するようにしてもよい。例えば、ネットワーク上のサーバと複合機とを通信可能に接続することにより、複合機内に保存されている保留データを一定時間経過後に使用されていなければクラウド(サーバ)に転送するようにしてもよい。端末装置が画像データを途中から送信する場合、当該端末装置は、途中のデータから再開することを複合機ではなくサーバに伝えるようにすればよい。このように、保留データをネットワーク上のサーバに保存することによって、複合機内のHDD(ストレージ)に対する負担を軽減できる。また、ネットワーク上のサーバに保留データを保存することによって、他の複合機からも途中から印刷を再開できる。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。