JP6101229B2 - 炭化水素の製造方法 - Google Patents

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本発明は、二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法に関するものである。
従来、二酸化炭素を還元してメタン等の炭化水素を得る方法として、例えば、特許文献1に記載のように、高温(150〜400℃)高圧(1〜6MPa)の反応条件で、且つ水素源として水素ガスを用いる方法がある。しかし、この方法では、高温高圧の反応条件が必要になることから、反応設備が複雑になり高コストになる等の問題がある。
一方、常温常圧の条件で且つ水素源としての水素ガスを必要としない方法として、特許文献2に、鉄粉を触媒とし、二酸化炭素と水とからメタン等の炭化水素を得る方法が提案されている。
なお、特許文献3、4には、粒子状のマグネシウムと水とから水素を生成する方法が記載されているが、この方法は、二酸化炭素を還元してメタン等の炭化水素を得るものではない。
特開平8−127544号公報 特開2000−344689号公報 特開2008−150289号公報 特表2004−505879号公報
しかし、特許文献2に記載の方法では、特許文献2に記載されている程のメタン等を得ることができず、炭化水素の収量が小さいものとなっていた。
そこで、本出願人の一人は、先に、マグネシウム又はマグネシウム化合物と水と二酸化炭素とを接触させて、二酸化炭素を還元して炭化水素を生成する方法を提案した(PCT/JP2013/050789、本願出願時において未公開)。同発明によれば、常温常圧の条件でも、炭化水素の収量は大きくなった。
本発明の課題は、この先の発明を改良し、さらに炭化水素の収量を大きくすることにある。
本発明は、金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、該二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法であって、前記金属マグネシウムとして、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上を合金元素として含有するマグネシウム合金を用い、前記マグネシウム合金における合金元素の含有量は、鉄については0.010質量%以上、30質量%以下であり、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム又はジルコニウムについてはそれぞれ0.1質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明は、金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、該二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法であって、前記金属マグネシウムとして、アルミニウムを合金元素として0.1質量%以上、30質量%以下含有するマグネシウム合金であって、マグネシウム合金における亜鉛の含有量が前記アルミニウムの含有量未満であり且つ0.7質量%未満であるマグネシウム合金を用いることを特徴とする。
炭化水素の生成反応についての詳細までは判明していないが、例えば、メタンについては、図1に示すようにして反応が行われていると推測される。すなわち、水に接触した二酸化炭素(CO)は拡散し、一部が水(HO)に溶解している。一方、水に接触したマグネシウム(Mg)は、表面に吸着した水と反応して酸化される途中で、酸化マグネシウムに水素が付いた遷移状態になっている。また、水に接触したマグネシウム化合物も、表面に吸着した水と反応して水素を生じさせ、マグネシウム化合物に水素が付いた遷移状態になっている。そして、水中の二酸化炭素をこの遷移状態のマグネシウムが吸着することで、二酸化炭素が水素と反応して還元され、メタンが生成される。そして、生成されたメタン(CH)がマグネシウムから脱離すると考えられる。
さらに、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、ジルコニウム、アルミニウムは、少なくとも炭酸水中においてマグネシウムの腐食を促進させる成分であるため、これとの合金化によりマグネシウム合金内で局部電池が形成され、腐食(マグネシウムの酸化による水素発生)を促進する。
また、カルシウムは、マグネシウムよりイオン化傾向が大きいが、マグネシウムと金属間化合物を生成し、その金属間化合物がマグネシウムを腐食しやすくし、もってマグネシウム−カルシウム合金は純マグネシウムよりも腐食速度(水素発生)が増大すると推測される。
そして、これらの水素が、二酸化炭素のメタン化を促進すると考えられる。
但し、アルミニウムを合金成分とするとき、亜鉛はメタン生成量を低下させるため、マグネシウム合金における亜鉛の含有量をアルミニウムの含有量未満且つ0.7質量%未満とする。亜鉛によるこの作用の詳細は不明だが、Znの腐食性以外の特性によるものと推測される。
また、ニッケルについては、マグネシウム−ニッケル合金が、低温での水素貯蔵・放出特性に優れるため、マグネシウム−ニッケル合金上での水素と二酸化炭素との反応場として機能して、炭化水素の生成を促進することも考えられる。
前記合金元素は、意図的に添加されたもの(不可避不純物として含有するものは除く趣旨)であることが好ましい。
前記マグネシウム合金における鉄の含有量は、0.010質量%以上であることが好ましい。
前記マグネシウム合金におけるリチウム、銅、ニッケル、アルミニウム、マンガン、カルシウム又はジルコニウムの含有量は、それぞれ0.1質量%以上であることが好ましい。
前記接触させたもの(金属マグネシウムと水と二酸化炭素)を、セラミックビーズと共に攪拌することが好ましい。
本発明によれば、常温常圧の条件でも、炭化水素の収量が大きい炭化水素の製造方法を提供することができる。
本発明におけるメタンの生成反応の模式図である。 本発明の実施例の炭化水素の生成方法を示し、(a)はガラス容器内の水に二酸化炭素ガスを吹き込むときの説明図、(b)はガラス容器に蓋をしたときの説明図、(c)は撹拌装置のセット用治具にガラス容器を固定したときの説明図、(d)は(c)のIIc−IIc断面図である。 撹拌後のガラス容器のヘッドスペースのガスを分析するときの説明図である。
金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、該二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法であって、前記金属マグネシウムとして、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれた1種又は2種以上を合金元素として含有するマグネシウム合金を用いる。アルミニウムを合金成分とするとき、マグネシウム合金における亜鉛の含有量をアルミニウムの含有量未満且つ0.7質量%未満とする。同方法における各要素の態様を、以下に例示する。
1.マグネシウム合金
前記合金元素は、意図的に添加されたもの(不可避不純物として含有するものは除く趣旨)であることが好ましい。合金元素の含有量を意図的に制御でき、上記マグネシウムの腐食を促進させる作用を制御できるからである。
マグネシウム合金における鉄の含有量は、0.010質量%以上であることが好ましい。鉄の含有量が0.010質量%未満では、上記マグネシウムの腐食を促進させる作用が弱いからである。鉄の含有量の上限は30質量%以下が好ましい。これが過剰になると、マグネシウム量が減るからである。
マグネシウム合金におけるリチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム、ジルコニウム又はアルミニウムの含有量は、それぞれ0.1質量%以上であることが好ましい。それぞれの含有量が0.1質量%未満では、上記マグネシウムの腐食を促進させる作用が弱いからである。それぞれの含有量の上限は30質量%以下が好ましい。これが過剰になると、マグネシウム量が減るからである。
マグネシウム合金の形態は、特に限定されないが、板片状、粒子状、線状等を例示できる。比表面積が大きくなり炭化水素の収量が大きくなることから、板片状、粒子状等であることが好ましい。板片状のマグネシウム合金の厚さは、特に限定されないが、0.02〜1mmを例示できる。粒子状のマグネシウム合金の大きさは、特に限定されないが、1〜1000μmを例示できる。線状のマグネシウム合金の太さは、特に限定されないが、0.1〜1mmを例示できる。
2.マグネシウム合金と水と二酸化炭素とを接触させる態様
マグネシウム合金と水と二酸化炭素とを接触させる方法としては、特に限定されないが、次の態様を例示できる。
(1)水中に、マグネシウム合金を投入し、二酸化炭素をバブリングする。
(2)すでに二酸化炭素を含む水中に、マグネシウム合金を投入する。
(3)水中で接触させるのではなく、水蒸気や噴霧した水等を用いる。例えば、二酸化炭素が存在する気中にマグネシウム合金を入れ、そのマグネシウム合金に水蒸気や噴霧した水を接触させる。
3.撹拌とセラミックビーズ
前記接触させたもの(マグネシウム合金と水と二酸化炭素)を、セラミックビーズと共に攪拌することが好ましい。セラミックビーズと共に攪拌することにより、マグネシウム合金が粉砕・研磨され、これによって、新たなマグネシウム表面と水との反応が生じるからである。また、生成工程が水中で行われている場合には、攪拌することにより、水中での二酸化炭素の濃度の偏りを少なくすることができる。
セラミックビーズとしては、特に限定されないが、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等を例示できる。セラミックビーズの粒径は、特に限定されないが、0.1〜10.0mmを例示できる。
4.炭化水素
生成工程で得られる炭化水素としては、特に限定されないが、メタン、エタン、プロパン等のアルカンや、エチレン、プロピレン等のアルケン等を例示できる。
5.温度及び圧力について
本発明の炭化水素の製造方法は、常温常圧の雰囲気で反応を行わせることができるが、常温常圧以外の雰囲気で反応を行わせてもよい。常温常圧以外となる二例を下に挙げる。これらの例でも、炭化水素の収量が大きい。
(1)反応に伴う発熱又は吸熱等による温度変化や、反応容器内のガス量の変化(ガスの生成又は分解)等による圧力変化によって、常温常圧以外となる例。
(2)外部から加熱や冷却又は加圧や減圧の操作を行って、常温常圧以外とする例。
6.水素ガスについて
本発明によれば、上記のとおり、鉄やリチウム、銅、ニッケルがマグネシウムの酸化による水素発生を促進するので、外部から水素ガスを供給する必要はないが、外部から水素ガスを供給することを排除するものではない。
(以下、元素は元素記号で表示する。)本発明の実施例として、次の表1に組成を示すMg−Fe合金、Mg−Li合金、Mg−Cu合金、Mg−Ni合金、Mg−Al合金、Mg−Mn合金、Mg−Ca合金又はMg−Zr合金を用い、また、比較例として純Mg、Mg−Al−Zn合金又はMg−Zn合金を用い、それぞれ炭化水素の生成反応を行い、反応後のメタンガスについて分析を行った。
Figure 0006101229
[試験片の作製方法]
実施例1のMg−Fe合金は、市販の純Mgを純鉄製るつぼに入れて溶融させ、740℃で20分保持することによりるつぼを構成する純鉄をMg中に微量移行させて合金化したものである。こうして得た合金により厚さ30mmの鋳物を形成した後、その鋳物を押出温度400℃、押出し速度5mm/分、押出し比6(30mm→5mm)の条件で、厚さ5mmの押出品に押出加工した。その押出品を、圧延温度480℃、厚さ1mmまでは圧下率20%、厚さ1mmを切ったら圧下率16%の条件で、厚さ0.5mmの板に圧延した。その板を、圧延温度室温、厚さ0.25mmまでは圧下率7%、厚さ0.25mmを切ったら0.1mm/パスの条件で、厚さ0.1mmの薄板に圧延した。その薄板から、鋏で0.2g(約25mm×約10mm)を切り出し、これをさらに鋏で小片状(約5mm×約10mm)に切断して、実施例1に用いた。表1の組成は、出来上がった合金の測定値であり、「−」は測定していないことを表す(以下同じ)。
実施例2のMg−Fe合金は、市販の純Mgを純鉄製るつぼに入れて溶融させ、820℃で20分保持することによりるつぼを構成する純鉄をMg中に微量移行させて合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び同一の条件により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例2に用いた。
実施例3のMg−Li合金は、市販の純Mg(同上)と純Li4質量%とを純鉄製るつぼに入れて溶融させ、740℃で7分保持することにより合金化したものであり、実施例1,2と同じくるつぼを構成する純鉄もMg中に微量移行している。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び類似の条件(押出温度を300℃とし、厚さ0.5mmまでの圧延温度を200℃とした点のみ相違し、その他の条件は同一)により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例3に用いた。
実施例4,5,6,7のMg−Cu合金は、市販の純Mgと、それぞれ純Cu1質量%、3質量%、6質量%又は9質量%とを、カーボン製るつぼに入れて溶融させ、740℃で7分保持することにより合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び同一の条件により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例4,5,6,7に用いた。
実施例8のMg−Ni合金は、市販の純Mgと純Ni3質量%とをカーボン製るつぼに入れて溶融させ、740℃で7分保持することにより合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び同一の条件により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例8に用いた。
実施例9のMg−Al合金は、市販の純Mgと純Al1質量%とをカーボン製るつぼに入れて溶融させ、740℃で7分保持することにより合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び類似の条件(圧延温度を450℃とした点のみ相違し、その他の条件は同一)により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例9に用いた。
実施例10のMg−Mn合金は、市販のMg−Mn合金の押出しプレート(厚さ4mm)を、圧延温度500℃、圧下率14%の条件で、厚さ3mmまで圧延した後、圧延温度150℃、圧下率25%の条件で、厚さ0.5mmの板に圧延した。その板を、圧延温度室温、圧下率12%/パスの条件で、厚さ0.19mmまで圧延した。その薄板から、鋏で0.2g(約25mm×約10mm)を切り出し、これをさらに鋏で小片状(約5mm×約10mm)に切断して、実施例10に用いた。
実施例11のMg−Ca合金は、市販の純Mgと純Ca0.5質量%とをカーボン製るつぼに入れて溶融させ、740℃で7分保持することにより合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び類似の条件(圧延温度を450℃とした点のみ相違し、その他の条件は同一)により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例9に用いた。
実施例12のMg−Zr合金は、市販の純Mgと市販のMg−25%Zr合金とをZrが0.7質量%となるように混ぜ合わせ、カーボン製るつぼに入れて溶融させ、740℃で5分保持した後、700℃で2分保持することにより合金化したものである。こうして得た合金から、実施例1と同一の方法及び類似の条件(押出品を、圧延温度500℃、厚さ3mmまでは圧下率22%、厚さ3mmから1mmまでは圧下率20%、厚さ1mmを切ったら圧下率16%の条件で、厚さ0.5mmの板に圧延した点のみ相違し、その他の条件は同一)により鋳物、押出品、板、薄板を経て薄板小片状として、実施例12に用いた。
比較例1は、市販の純Mgである。購入した厚さ1mmの板材から実施例1と同一の圧延条件を用いて厚さ0.1mmの薄板を作製、同一の方法及び同一の条件により薄板小片状として、比較例1に用いた。
比較例2のMg−Al−Zn合金は、市販のAZ31合金(Al3質量%、Zn1質量%が添加されたMg合金)である。購入した厚さ0.5mmの板材から実施例1と同一の圧延条件を用いて厚さ0.1mmの薄板を作製、同一の方法及び同一の条件により薄板小片状として、比較例2に用いた。
[反応試験方法]
実施例1〜12及び比較例1,2は、次のようにして反応を行った。なお、いずれの例でも、全てのステップは、外部から加熱又は冷却及び加圧又は減圧の操作を行わず、常温常圧の雰囲気で行った。常温とは例えば20±15℃(5〜35℃)である。常圧とは例えば0.1±0.05MPa(0.05〜0.15MPa)である。また、実施例及び比較例のMg合金及び純Mgを、まとめて「Mg合金等」ということがある。
図2(a)に示すように、各実施例及び各比較例のそれぞれについて、無色透明なガラス容器1(アズワン社製UM瓶、内容積150mL)に、30gのジルコニアビーズ2(サンゴバン社製、粒径0.5mm)と、90mLの水4(純水)と、上記薄板小片状の0.2gのMg合金等3とを、この順番で投入した。次に、二酸化炭素ボンベ(名古屋酸素社製、図示略)から延ばした樹脂チューブ5(直径1/4インチ(6.35mm)をガラス容器1の口から水4中に挿入し、ガラス容器1の内底面付近に配置した樹脂チューブ5の開口端から水4中に二酸化炭素ガス6(純ガス、流量0.8L/分)を3分間注入して(吹き込んで)、バブリングを行った。
その後、樹脂チューブ5をガラス容器1から抜出し、図2(b)に示すように、樹脂製の蓋1aをしてガラス容器1を密封した。
次に、図2(c)(d)に示すように、ガラス容器1を、まとめて撹拌装置へセットするためのセット用治具10に固定した。このセット用治具10は、ガラス容器1を載せる下板11と、ガラス容器1の中間高さ部位を挿入して支持する支持孔14を有する中間板12と、ガラス容器1の蓋1aを押さえる上板13とが、これらの板11,12,13を上下に連結するボルト15及びナット16とから構成されるものである。下板11と中間板12とは常に連結されており、上板13を外した状態でガラス容器1を支持孔14に挿入した後、上板13をはめてナット16で締め付けることにより、ガラス容器1を固定した。
ガラス容器1を固定したセット用治具10を、撹拌装置(LauGmbH(ラウ・ゲーエムベーハー)社製PAS200、図示略)にセットして、常温にて24時間撹拌した。この撹拌中、水4はジルコニアビーズ2とMg合金等3により懸濁した状態であった。撹拌終了後、撹拌装置からセット用治具10を取り外し、セット用治具10から各ガラス容器1を取り出した。
続いて、図3に示すように、3方管20に針21とシリンジ22と圧力計23とを取り付け、まず、3方管20の針21と圧力計23の2方向のみ開き、各実施例及び各比較例のそれぞれについて、針21をガラス容器1の蓋1aに刺して、ガラス容器1の内圧を測定した(0.27MPa)。次に、3方管20の圧力計23側を閉じ、3方管20の針21とシリンジ22側を開き、ガラス容器1内のヘッドスペースからガスを2mL、シリンジ22内に採取した。
採取したガス2mLを、ガスクロマトグラフィー(新コスモス電機社製XG−100H)に注入して、メタン量を定量した。上記の表1にメタン生成量を示す。メタン生成量=[ガスクロマトグラフィーでのメタン検出量]×[撹拌後のガラス容器の内圧(0.27MPa)]÷[撹拌前のガラス容器の内圧(0.10MPa)]
[試験結果]
実施例1,2(Mg−Fe合金)でのメタン生成量は、比較例1(純Mg)と比較していずれも多く、Fe含有量と比例して増加した。
実施例3(Mg−Li合金)でのメタン生成量も、比較例1(純Mg)と比較して多かった。
実施例4,5,6,7(Mg−Cu合金)でのメタン生成量は、Cu含有量約6%まではCu含有量が増加するにつれ増大し、Cu含有量約6%の実施例6での生成量は比較例1(純Mg)での生成量の1.35倍となった。さらにCu含有量を9%まで増加させた実施例7では生成量がやや減少したが、いずれの実施例4,5,6,7での生成量も、比較例1(純Mg)と比較して多かった。
実施例8(Mg−Ni合金)、実施例9(Mg−Al合金)、実施例10(Mg−Mn合金)、実施例11(Mg−Ca合金)及び実施例12(Mg−Zr合金)でのメタン生成量も、比較例1(純Mg)と比較して多く、特に実施例12(Mg−Zr合金)でのメタン生成量が最大となった。
この結果は、Mgを腐食させやすい成分であるFe、Li、Cu、Ni、Al、Mn又はZrを含むMg合金でのメタン生成量が多いことを示すものである。よって腐食性とメタン生成量に関係があると考えられる。すなわち、Fe、Li、Cu、Ni、Al、Mn又はZrとの合金化によりMg合金が局部電池化して、腐食(Mgの酸化による水素発生)を促進する。
また、Caは、Mgよりイオン化傾向が大きいが、Mgと金属間化合物を生成し、その金属間化合物がMgを腐食しやすくし、もってMg−Ca合金は純Mgよりも腐食速度(水素発生)が増大すると推測される。
そして、これらの水素が、二酸化炭素のメタン化を促進すると考えられる。
また、Niについては、Mg−Ni合金が、低温での水素貯蔵・放出特性に優れるため、Mg−Ni合金上での水素と二酸化炭素との反応場として機能して、炭化水素の生成を促進したことも考えられる。
しかし、比較例2(Mg−Al−Zn合金)でのメタン生成量は、比較例1(純Mg)と比較して少なくなった。実施例9、比較例2から、Alを合金成分とするとき、Znはメタン生成量を低下させていることが判るから、Znの含有量をAlの含有量未満且つ0.7質量%未満とする必要がある。このZnの作用の詳細は不明だが、Znの腐食性以外の特性によるものと推測される。
以上のとおり、いずれの実施例1〜12も、純Mgと比べて、常温常圧の条件で炭化水素の収量が大きかったと評価できる。これにより、必ずしも外部から加熱又は冷却及び加圧又は減圧の操作を行わなくとも、所定量の炭化水素を得ることができるため、例えば実用時に反応設備を単純にでき低コストにできる等の利点が得られる。また、高価な水素ガスを使用しなくても、安価な水が水素源となるので、より低コストでのメタン合成が可能になる。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
1 ガラス容器
2 ジルコニアビーズ
3 Mg合金等
4 水
5 樹脂チューブ
6 二酸化炭素ガス
10 セット用治具
20 3方管
21 針
22 シリンジ
23 圧力計

Claims (4)

  1. 金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、該二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法であって、
    前記金属マグネシウムとして、鉄、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれた1種又は2種以上を合金元素として含有するマグネシウム合金を用い、
    前記マグネシウム合金における合金元素の含有量は、鉄については0.010質量%以上、30質量%以下であり、リチウム、銅、ニッケル、マンガン、カルシウム又はジルコニウムについてはそれぞれ0.1質量%以上、30質量%以下である炭化水素の製造方法。
  2. 金属マグネシウムと水と二酸化炭素とを接触させ、該二酸化炭素を還元して炭化水素を製造する方法であって、
    前記金属マグネシウムとして、アルミニウムを合金元素として0.1質量%以上、30質量%以下含有するマグネシウム合金であって、マグネシウム合金における亜鉛の含有量が前記アルミニウムの含有量未満であり且つ0.7質量%未満であるマグネシウム合金を用いる炭化水素の製造方法。
  3. 前記合金元素は、意図的に添加されたものである請求項1又は2記載の炭化水素の製造方法。
  4. 前記接触させたものを、セラミックビーズと共に攪拌する請求項1〜のいずれか一項に記載の炭化水素の製造方法。
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