実施の形態1.
図1は、本実施形態1の電力制御システムが適用された1つの家屋の例を示している。図1において、HAは1つの家屋の居住空間を示す。この居住空間には、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計300を介して家屋の内部に引き込まれている。27は200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。電源線には、テレビジョンの受像機(以下、「TV受像機」という)75、空気調和機7、照明器具76、台所用家電機器(以下、「キッチン内家電機器」という)KPがそれぞれ接続されている。なお、図1においては、TV受像機75、空気調和機7、照明器具76、台所用家電機器KPは、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。9はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置であり、キッチンの壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。
77は、TV受像機のチューナ(図示せず)に接続されている屋外アンテナ、99Aは、電力指令装置9に接続されたルーターであり、ルーター99Aは電力指令装置9を電力会社やその家屋の地域に情報を発信する地域地震情報提供機関等の外部機関78Aにインターネット等の広域の通信回路網(通信ネットワーク)98を介して接続している。99Bは、TV受像機75に接続されたルーターであり、ルーター99BはTV受像機75を広域の通信回路網98を介して外部機関78Bに接続している。この外部機関78Bは、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。前2つの外部機関78A、78Bは別々のものも、また同じ機関であっても良い。
図2は本実施形態1の電力制御システムが適用された電力指令装置9及び健康管理機器410等のハードウエアの構成例を示している。図2において、電力指令装置9は、本体9Aと表示盤100とを有しており、本体9Aの外形は箱形状をしている。この本体9Aの内部には、後述する使用限度設定器96や、比較器92、優先順位設定手段95など、図17に示す電力指令装置9の構成要素が全て格納されている。但し、電力指令装置9の表示盤100は、図2に示すように本体9Aから取り外し自在に構成してあり、装着時には本体9Aの前面に形成した凹部9Cの中に格納されるようになっている。100Aはその表示盤100の表示画面、109はTV受像機75に内蔵された記憶装置(大容量メモリー)で、例えばDVDや各種半導体メモリー、又はハードディスクドライブ装置(HDD)等である。また、表示盤100は、例えばタッチパネルからなっており、情報を表示する表示部としての機能と、画面に触れることにより使用者からの入力が行われる操作部としての機能とを有している。
118は、電力指令装置9の本体9Aの前面で、凹部9Cの上部に設置した確認ボタンである。表示盤100が本体9Aから取り外された状態で確認ボタンが押されると、本体9A側から所在確認信号が無線で発信され、これを受信した表示盤100の受信回路(図示せず)が起動し、電子ブザー(図示せず)にて特定の音を発するようになっており、仮に表示盤100の所在が居住空間HMの中で不明でも、確認ボタン118によって容易に探し出すことができる。
119Aは緊急遮断ボタンであり、緊急遮断ボタン119Aが押されると、電力指令装置9、照明器具及びTV受像機75以外の全ての(使用中の)家電機器(キッチン内家電機器KPを含む)の電源が速やかに遮断される。従って表示盤100が本体9Aに取り付けられていない場合に、TV受像機75などの家電機器で緊急地震情報等の発令を知り、直ぐに電気を切りたい場合に便利である。なお、表示盤100自体には、内部に充電池(図示せず)が内蔵されている。その充電池は、電力指令装置9の本体9A前面の凹部9C壁面に対応して、その本体の内部に非接触充電装置(図示せず)が設置されているので、表示盤100を電力指令装置9の本体9A前面の凹部9Cに挿入して保持させておけば、その状態で充電が自動的に行われる。
119Bは、使用限度設定器96の表示画面(表示盤)100側に設けた緊急遮断ボタンである。緊急遮断ボタン119Bは、緊急遮断ボタン119Aと同じ機能を有し、これを押すと、電力指令装置9、照明器具及びTV受像機75以外の全ての(使用中の)家電機器(キッチン内家電機器KPを含む)の電源を速やかに遮断できる。
図2において、75RはTV受像機75を操作するリモコン、410Aは健康管理機器410の一種である血圧測定器(以下、「血圧計」という)である。87は高機能の携帯電話であり、通信回線を介して電話できることは勿論、電話会社等の通信サービス業者78Cが提供しているサーバーに接続でき、他人とのメール交換も可能であり、また各種の映像や音楽、コンテンツ、情報等をダウンロードすることもできる。この携帯電話は歩数計を内蔵しており、使用者がこの携帯電話を携帯して歩くことで、その歩数をカウントすることができる。またその歩数情報は内蔵された赤外線等の送信手段を介して電力指令装置9の健康管理処理部116(図3参照)にインプットすることができる。これについては後で詳しく述べる。
図3及び図4は、TV受像機75と電力指令装置9の内部構成を示すブロック図であり、図1から図4を参照してTV受像機75と電力指令装置9について説明する。TV受像機75は、ROM(Read Only Memory)75Aと、RAM(Random Access Memory)75Bと、画質処理部75Cと、液晶表示画面75Dと、マイクロコンピューターで構成されたシステム制御部75Eと、商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源供給部75Gと、4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mと、これら入出力機能デバイスと電源供給部75Gとの間へ介挿されるパワーFET(Field Effect Transistor)75Sと、外部ネットワーク通信デバイス75N、とで構成されている。
システム制御部75Eは、ROM75AとRAM75Bに格納された制御プログラムに従って、TV受像機各部分の信号処理演算及び4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの制御を行う。
4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mについて説明する。75Jは、室外アンテナ77から地上波、衛星波等の放送波を受信するチューナー・デバイスである。75Kはビデオ再生・録画のためのビデオ・デバイスである。75Lは、LAN接続した機器からの情報を処理するLAN接続デバイスである。75Mは、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)が接続されるPC接続デバイスである。なお、この他の種類の入出力機能デバイスをさらに設けても良い。例えばSDカード等の半導体記録媒体であるカード型メモリーが使用される場合に備えて、カードデバイスを設けても良い。
前述したように、電源供給部75Gの出力端子と4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの各電源入力端子との間に、パワーFET75Sがそれぞれ挿入されている。そして、パワーFET75SのON・OFF制御をシステム制御部75Eの出力信号で制御する構成となっている。4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの各電源を使用者が任意に遮断できるようになっている。具体的にはTV受像機75の特定部分に、各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mを個別に電源遮断できる選択スイッチ(図示せず)を設けるか、又は液晶表示画面75Dに、いわゆるオンスクリーン・スイッチを設けて、リモコン75Rで選択できるようになっている。
外部ネットワーク通信デバイス75Nと電源供給部75Gとの間には、パワーFET75Sは介在していない。つまり、システム制御部75Eが、使用者の操作によって外部ネットワーク通信デバイス75Nの電源供給を任意に遮断できないように制御しており、TV受像機75の主電源が入れられている場合は、仮に液晶表示画面75Dが駆動されずに、何も映像が表示されない状態においても常にTV受像機75は外部ネットワーク通信デバイス75Nによって、家屋の外部にある広域通信回路網98を介して外部機関78Bに接続されていることになる。これにより外部機関78Bから緊急的な情報、例えば夏場の日中において、この家庭の総電力量を早急に削減(ピークカット)して欲しいという要請情報がTV受像機75に届いた場合、あるいは緊急地震情報が気象庁や居住地域を担当する地域の防災センターや地震警報センター等から届いた場合等に、それら情報をこの居住空間HMにいる居住者が早期に知ることができる。なお、TV受像機75を視聴していない場合であっても、緊急遮断情報が発信された場合、当該情報で起動され、情報を報知するようにTV受像機75は従来から色々提案されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mのように、入出力信号の機能毎に、最新のデジタル信号処理技術や半導体技術を適用して専用回路がLSIで構成されるようにして、高機能でありながらも比較的安価にTV受像機75を構成できるようにしているが、高機能を搭載したLSIを多用しているため、TV受像機75が消費する電力も大きくなるという懸念がある。そこで、この実施の形態1においては、使用者がTV受像機75に搭載された入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mを常にすべて使用することはないとの観点から、使用せずに電力供給が不要な入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源をOFFにすることができるようにしている。つまり使用者が各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源供給のON/OFF制御を行うことができるため、使用者で積極的な消費電力削減が可能となる。その電源ON/OFF制御をするためにパワーFET75Sを各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源回路に挿入している。
この構成であるから、電力指令装置9の電力関連情報、例えばその時点における家庭内の総電力使用量や、外部から電力削減要請を受けていることを示す情報等を、電力指令装置9の表示盤100で表示するのではなく、家族が集まっている居間等にあるTV受像機75で表示させる場合も、TV受像機75ではチューナー・デバイス75Jやビデオ・デバイス75K等の入出力機能デバイスへの電源はOFFにしたままで良い。このためTV受像機75を電力制御に利用する場合でもTV受像機75の消費電力を最小限度に抑制できるという利点がある。
図3及び図4において、124は、TV受像機75のPC接続デバイス75Mに電力指令装置9を接続する入出力部、125は電力指令装置9の制御部であり、電力指令装置9の使用限度設定器96(その他、図17の比較器92、優先順位設定手段95など各構成要素)を集中的に制御し、家電機器に対して電力削減指令信号AS3の送信を指令する。149は記憶装置であり、電力制御のための後述する2つの半導体メモリー95A、96Aを含んだものであり、電力制御関係情報と健康管理情報は別のアドレスで別々に記憶されている。
図5は、図1〜図4の電力指令装置9の主要部分の構成を一部縦断面で示すブロック図である。図3〜5において、148Aは、凹部9Cの中の上部と下部にそれぞれ2個以上形成した凸部、148Bは、その凸部148Aと対向する位置にそれぞれ設けた凹部であり、表示盤100が凹部9Cの中の所定位置に挿入されると、これら凸部148Aと凹部148Bが嵌り合い、表示盤100簡単には抜けないように保持される。またこの凸部148Aと凹部148Bが嵌り合ったことは、凸部148Aと凹部148Bに設けた感知スイッチ(例えば磁石と、その磁力を感知して信号が出るスイッチの組み合わせ)によって、制御部125に検知される。なお、制御部125は、表示盤100の表示画面にて表示すべき表示信号と、表示盤100に内蔵した音声ガイド装置(図示せず)に対する音声指令信号を無線によって出しているので、表示盤100が電力指令装置9の本体から離れたとしても、居住空間HMの内部であれば、十分に表示信号と音声指令信号が到達する。なお、図5に示すように、電力会社等の外部機関78Aから広域通信回路網98とルーター99Aを介して当該家屋のある地域の電力使用状態、特に電力が逼迫している情報等が提供され、また電力会社やその他公共機関からの電力削減要請の信号等を自動的に受信できるようになっている。
図6及び図7は、電力指令装置9の健康管理処理部116と各種の健康管理機器410の構成を示すブロック図である。図6及び図7において、126は、健康管理処理部116に対して使用者が各種情報や指令を入力する操作部である。例えば、後述する健康管理機器410の計測データを読み込ませる場面では、図14に示すように健康管理処理部116は表示盤100にオンスクリーン・スイッチ(後述する「アイコン」と同じ)を表示し、オンスクリーン・スイッチを選択することで入力操作を行えるようにしている。なお、オンスクリーン・スイッチは、表示画面に使用者が触れることで入力ができるタッチ式のキーに代えても良い。
図6及び図7において、127は、後述する健康管理機器410の計測データを処理するデータ処理部であり、被測定者別にメモリー(RAM)139に記憶し、またメモリー139から読み出した計測データを処理して所定値以上の計測値がある場合には、注意情報などを付加し、またその計測データを表やグラフ等の図形信号にする。ROM138には計測データの処理形式や統計のための計算プログラム等の処理プログラムが格納されている。なお、データ処理部127では、図10に示すように、使用された健康管理機器410を特定するコードや、計測した計測データ(代謝データ)の種類(例えば血圧)、被測定者を特定する情報、測定日時、計測値、異常有無等の情報がマトリックス状のデータになるように処理し、メモリー139に一時的に保存し、また電力指令装置9の記憶装置(大容量メモリー)109(図4参照)にもデータを移して記憶させておける。なお、データ処理部127において、例えば血圧計のデータの場合は、正常域を135〜85mmHgと規定しておき、この範囲を超えた血圧データが健康管理機器410側から提供された場合は、そのデータに注意情報(注意コード)を付帯情報として付ける方法であるが、健康管理機器410側で同様に使用者が正常域や正常値を設定しておき、それを超えた場合又はそれ以下である場合には、健康管理機器410側から何らかの付帯情報を付けてデータ処理部に送信しても良い。これらは事前にデータ処理部127と健康管理機器410側のデータ処理の方法を統一しておけば良いので詳しい説明は省略する。
136は、電力指令装置9との入出力部、137は健康管理機器410の計測データを受信する情報入力部である。図6において、健康管理機器410は、例えば血圧計410A、心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E、体脂肪計410F、尿検査機器410Gの7つの計測機器からなっており、各計測機器410A〜410Gにより以下の7つの計測データを測定するものである。
図8は、健康管理機器410の代表例として血圧計410Aの構成を示したブロック図である。図8において、214は血圧の測定部、213は測定された血圧を数字等で表示する表示部、215は血圧の測定開始等を指令する操作部で、被測定者を特定できるように、測定前に被測定者の識別データ(例えば3桁の数字)をインプットする入力キー(図示せず)を備えている。血圧計410Aは使用者の手首や腕等に計測帯を巻いたり、計測筒の中に腕を挿入したりして動脈の血圧を測るものであって、測定部214、時計回路147、表示部213、操作部215、メモリー216、制御部217、発信部314A、受信部314Bを有している。血圧とは、心臓の収縮期と拡張期の血圧をいい、それぞれ収縮期血圧(または最高血圧)、拡張期血圧(または最低血圧)と呼ぶ。そして測定結果は、140mmHg(水銀柱ミリメートル)のように表示される。なお、単位の「mmHg」を省略し、最高血圧値と最低血圧値を同時に表示し、140−80のように表示するものでも良い。また血圧の測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部213が備えられている。
217は、測定部214で測定された血圧データに、識別データ(コード)と、時計回路147から送られた血圧測定日時のデータとをセットにしてメモリー216に記録する制御部である。314Aは、例えば赤外線信号や特定小電力無線信号等によって外部に対して、メモリー216内部に蓄積した血圧計測データを送信する受信部である。314Bは、同様に他の機器から赤外線又は無線で送信された血圧計測データを受信する受信部であり、この受信した計測データは操作部215で、被測定者の識別データを付けてからメモリー216に記憶される。なお、メモリーは電源を切った場合でも記憶内容が消えないタイプの半導体メモリーである。以下、メモリーとは特に明記しない限り、このように電源を切った場合でも記憶内容が消えないタイプの半導体製メモリーを指すものとする。
図6の410Bは心電計である。心電図は心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てることができ、医療機関等の日常診療で広く利用されている。この心電計にも測定結果をグラフで表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
410Cは心拍数計である。心拍数は、一定の時間内に心臓が拍動する回数をいう。通常は1分間の拍動の数をいう。心臓が血液を送り出す際に、動脈に脈拍が生じるので、この回数を数えると脈拍数あるいは単に脈拍と呼ぶ場合がある。血圧計で同時に測定できるので、実際には血圧計と一体構造になっている場合が多い。またこの心拍数計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
410Dは体温計である。この体温計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。410Eは体重計である。この体重計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
410Fは体脂肪計である。この体脂肪計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。なお、体脂肪計は、人体に占める脂肪の割合(体脂肪率)を測定する計器であり、体内の脂肪の量(あるいは体重にしめる脂肪の比率)を測定する機器であり、脂肪とそれ以外の人体構成成分ではインピーダンスが異なることを用いた測定法で手軽に体脂肪率を測ることができるものが市場に提供されているなお、人体のインピーダンスを求めるための電極板に体重を検知する素子を取り付けて体重も同時に測定できるようにしたものも知られている。なお、またこの体脂肪計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
410Gは、尿検査機器である。一般に尿検査では、大きく、色や比重など尿をそのまま調べる尿検査法と尿中の成分を調べる方法があるが、この実施の形態1においては、尿の成分検査の内、酸性かアルカリ性かを測定する。尿が酸性・アルカリ性のどちらに偏っていてもよくないと言われているためである。なお、食生活で、野菜不足の人の尿は酸性になりやすいと言われているが、このような健康管理情報を家庭で調理する主婦等が電力指令装置9を通じて知ることができる。なお、この尿検査機器410Gは、例えばトイレの便器に予め一体に組み込んでおくと便利である。なお、またこの尿検査機器にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
7つの計測機器410A〜410Gを総称して健康管理機器410という。またこれ以外の計測機器を利用しても良い。各機器は複数のものが合体し、複合機能を有する形態であっても良い。なお、この尿検査機器410Gはしたようにトイレの便器に取り付けられているため、血圧計410Aのように使用者が自由に持ち運びできないので、計測データを電力指令装置9の表示盤100に内蔵された健康管理処理部116に向けて無線で伝送する発信部(図示せず)を内蔵している。
また、健康管理機器410の代表例として血圧計410Aの構成を説明したが、心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E、体脂肪計410F、尿検査機器410Gも基本的な構成は同じである。なお、これら各種健康管理機器410の計測データをUSBコードやUSBメモリー、SDカードなどのような相互接続性の良い接続手段や記録カードで外部に情報を伝達するようにしても良い。図14に示した表示画面100Aでは、健康管理計測データの新規データ登録を行う場合、赤外線と、USBメモリーと、無線で計測データを読み込めることを示している。
図7において、運動機器145は、室内ランニングマシン145Aと、走行カロリー消費計測器145Bの2つから構成されている。室内ランニングマシン145Aは、居住空間HMに置かれてあり、被測定者(使用者)がランニングした時間と、被測定者の体重との積によって計算されるようになっている。例えば体重65kgの人が毎分120mの速度で1時間ジョギングした場合は、約480キロ・カロリーを運動によって消費すると言われているので、このようなカロリー消費計算プログラムが内蔵されており、体重データを被測定者が入力して運動開始すると、運動終了後に自動的に消費カロリーを算出するものである。
走行カロリー消費計測器145Bも、室内ランニングマシン145Aと同様の原理を使って被測定者の消費カロリーを算出する。なお、体重測定機能を有している場合には、被測定者が体重の数値をインプットしなくとも自動的にカロリーを計算できる。なお、これら室内ランニングマシン145Aと、走行カロリー消費計測器145Bにも、運動した結果で消費したカロリーを数字で表示する液晶表示部などの表示部がそれぞれ備えられている。
図7において、312は電気掃除機であり、この掃除機には本来の吸塵機能の他に、移動計測機能があり、結果的に消費カロリーを算出できるようになっている。この掃除機は、図16に詳細を示している。
図16において、電気掃除機312は、掃除機本体312Aと、ホース体312Bと、床面吸込具312Cとにより構成され、被清掃面FLから床面吸込具312Cを、矢印で示す進行方向に進めたり、逆に後退させたりすることによって塵埃を吸引して掃除をする。掃除機本体312A内には被清掃面FLから塵埃を吸引するための吸引風を発生させるための電動送風機312Dが設けられている。
さらに掃除機本体312A内には吸引した塵埃を捕集するための集塵室312Eが設けられている。電気掃除機の塵埃の捕集方法については、集塵室に紙パックと呼ばれる袋状フィルターを装着して捕集する紙パック式のものや、旋回流にて塵埃を分離して捕集するサイクロン式のものがあるが、本実施の形態1においては、何れの捕集方法であっても良い。
ホース体312Bは例えば蛇腹のような可撓性を有する軟質管部312Fと、電気掃除機312を操作するための入力を行う操作部(図示せず)を備えた持ち手部312Gと、伸縮構造を有する硬質延長管部312Hとで構成されていて軟質管部312Fの持ち手部312Gと接続されている反対側の端部が掃除機本体312Aの吸込口に着脱自在に接続されるようになっている。
ホース体312Bの硬質延長管部312Hの持ち手部312Gと接続されている反対側の端部には、床面吸込具312Cが着脱自在に接続されるようになっている。掃除機本体312Aの天井部には、この本体を持ち運びするときに使用者が掴むハンドル312Jが一体に形成されている。また掃除機本体312Aの後部左右には、1対の走行車輪312Kがそれぞれ取り付けられている。また掃除機本体312Aの前方底面には、水平方向に360度回転自在に取り付けられた補助車輪312Lがある。これら補助車輪312Lと走行車輪312Kで掃除機本体312Aは前後方向に自由に移動可能であり、また左右一方の走行車輪312Kを中心として旋回できるようにもなっている。
掃除機本体312Aの内部には、走行車輪312Kの前方への回転数と、後方への回転数を積算する移動量計測計312Mと、この計測計による移動距離と掃除機本体312Aの重量との情報に基づいて運動によって消費されるカロリーを算出する演算部(図示せず)と、がそれぞれ内蔵されている。
移動量計測計は、電気掃除機の主電源を入れ、電動送風機312Dが運転開始された時点から計測が開始される。使用者が電気掃除機を掃除のために使用すると、通常はホース体312Bによって掃除機本体312Aを牽引する形になり、居住空間HMの中の床面上を掃除機本体312Aが移動することになる。そこで演算部は、この掃除機本体312Aを移動させる運動エネルギーを求めるために、走行車輪312Kの前方への回転数と、後方への回転数を積算したデータを利用して、掃除をする使用者の消費カロリーを算出するものである。
掃除機本体312Aの内部には、電動送風機312Dの運転が止められた時点で、演算部で算出した消費カロリーのデータを、電力指令装置9の健康管理処理部116に対し、自動的に無線で送信する機能がある。なお、電気掃除機の本体312Aにも、消費カロリーのデータを数字で示すような液晶表示部等の表示部が備えられているが、その表示部は電気掃除機本来の機能や運転状態も表示するものであり、集塵室312Eに塵埃が溜まったことを示すことにも利用されている。
図9は、TV受像機75の画面例とリモコンの概要図である。図9においてTV受像機75にはテレビ用ポータルサイトが表示された状態であって、リモコン75Rに設けられた特定の電源ON用ボタンを1回押圧すると、TV受像機75が起動され、システム制御部75Eは液晶表示画面75DにTV用ポータルサイトを表示する。ここで、TV用ポータルサイトとは、主にインターネットへの接続機能を持ったTV向けに様々なサービスを提供することを目的としたポータルサイトのことをいう。
図9に示したように、TV用ポータルサイトには、例えば「ニュース」、「天気予報」、「交通情報」、「地震・津波情報」などの略方形の枠で囲まれたアイコン(オンスクリーン型の入力スイッチ)411によるポータルサイトのメニューが表示される。また、別のアイコンとして、「健康管理情報」と表示された特別アイコン412と、「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413が、それぞれ表示されている。これら2つの特別アイコンは、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。なお、ここでいうアイコンとは、表示画面上に表示され、特定の機能の選択が行われるものであり、図形だけではなく、文字でその特定機能を表現している場合も含む。また図10の例のように、「健康管理情報」というように、文字で目的・機能を表示しただけの入力表示部もアイコンに含むものとする。
ここで、図9に示したように、液晶表示画面75Dに「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413に向けて、リモコン75Rの特定のボタン(入力決定ボタン)を押すと、リモコンが「電気エネルギー管理」の画面を選択したことになるので、液晶表示画面75Dには「電気エネルギー管理」と表示された専用の画面が表示される。
一方、液晶表示画面75Dに「健康管理情報」と表示された特別アイコン412に向けて、リモコン75Rの特定のボタン(入力決定ボタン)を押すと、図10に示す液晶表示画面75Dには「健康管理情報」と表示された専用の画面が表示される。図10において、417は健康管理情報412の専用画面に切り替えるためのアイコンであり、タブ形状で示されている。同じく418は電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコンであり、四角形な枠形状で示されている。419は、図9に示したTV用ポータルサイトの初期画面に戻るためのアイコンである。
そこでさらにリモコン75Rを操作し「健康管理情報」のタブが選択されると、健康管理情報の一種として、被測定者のある日時の血圧測定データが表示される。被測定者が事前に設定した目標範囲を超えていた場合、あるいは最高血圧値が135mmHgを超過し、又は最低血圧値が85mmHgを下回った場合には、注意喚起のために、血圧を改善するためのアドバイスや注意文が同時に表示される。この注意文やアドバイスは、図6及び図7の健康管理処理部116のROM138に事前に格納されている場合と、健康管理機器410側のメモリー216に事前に格納されている場合の何れでも良い。携帯電話87で外部の医療専門機関の参考情報などを入手し、健康管理処理部116に格納して、適時当該情報が読み出されるように設定しておいても良い。
さらに、リモコン75Rを操作すると、図11に示したように、特定の期間中に測定した家族全員(家族は、被測定者AとBの2名の場合)の測定結果が一覧表形式で液晶表示画面75Dに表示される。
図11において、LS1は、健康管理機器410を特定するための機器コードを表示した欄、LS2は、測定の種類を示す欄、LS3は被測定者を特定する欄であり、アルファベットや数字、あるいは愛称など被測定者が特定できればどういう形式でも良い。LS4は健康管理機器412で代謝データを測定した日時の欄、LS5とLS6は計測値の欄であり、これは代謝データの種類によっては1つ又は3つ以上になる場合がある。LS7は、計測データが正常範囲を超えるような異常値、あるいは異常値に近い注意段階にある場合、それに応じて所定記号が付けられる欄である。
図11に示しているように、計測結果で異常範囲にある場合には、「異常有無」の欄(LS7)に「E」という記号の注意データが示される。この記号が付された情報は、以下「注意データ」と呼ぶ。なお、リモコン75Rを操作して特定の被測定者だけのデータを表示させることも可能である。健康管理情報は、例えば計測データを含むこれらLS1〜LS7に示す情報を意味する。
また、図9に示したように、TV用ポータルサイトに「地震・津波情報」のアイコン411が表示されている場合、及び一般のテレビ番組を視聴している場合に、突然に「地震・津波情報」のアイコン411が表示された場合、リモコン75Rでそのアイコンを選択すると、図12に示すように、「電気緊急遮断」という特別アイコン414と、「緊急地震・津波情報受信」という特別アイコン415が表示される。この場合、「電気緊急遮断」のアイコン414を選択すると、電力指令装置9の本体9Aの場所まで使用者が行かなくとも、緊急遮断指令がTV受像機75から電力指令装置9に送信され、数秒以内に所定範囲の家電機器の電力供給は遮断される。
なお、この電気緊急遮断では、避難通路になる廊下や各部屋、浴槽などの照明器具76と、前述したTV受像機75、及び電力指令装置9の電力遮断は行われない。また、2つの特別アイコン414、415は、特別アイコン412、413と同様に、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。
図13は、TV受像機75で、一般のテレビ番組を視聴している場合の液晶表示画面75Dの正面図を示したものである。この図13のように、一般の視聴中でも、液晶表示画面の右下隅には、「電気エネルギー管理」という特別アイコン413が常に表示される。なお、この表示を使用者が消すこともできる。
なお、図10において、TV受像機75の表示画面として説明しているが、電力指令装置9側の表示盤100も図10に示す表示画面を表示させる機能を有している。つまり、使用者は、TV受像機75又は電力指令装置9の表示盤100のいずれかから上述した健康管理情報412を閲覧することができる。
図14は、電力指令装置9の表示盤100の正面図である。この図14の場面で、420は、インフォーメーション・キーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者に参考になる健康関連情報412や、健康管理を効果的に進めるための情報がこの表示画面100Aの中にその都度表示される。その場合、表示面積を確保するため、血圧などの計測データは表示しないようになっている。
421は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。例えば血圧データが表示されている場合も、その周辺位置にこのキーが表示されるので、そのキーを押した場合、血圧データの見方や、正常な範囲の解説などが模式図や文字で表示画面100Aに表示される。
図14において、425は、既存データを表示させるためのアイコンであり、これは電力指令装置9の表示盤100に、血圧計410Aや心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E等の健康管理機器410や運動機器(室内ランニングマシン145A、走行カロリー消費計測器145B)、電気掃除機146、携帯電話87等の各種機器から、健康管理の計測データや運動データ、消費カロリーデータ等を読み込ませる際に選択操作される。
図10におけるアイコン417を選択すると、図14に示すように、新規データ登録というアイコン(入力キー)426と、既存の計測データを読み出して表示させるというアイコン(入力キー)425が表示される。
そこで新規登録のアイコン426を選択して、例えば血圧計410Aを表示盤100に接近させて、血圧計410Aの方の送信ボタンを押すと、血圧計410Aのメモリー216に格納されていた計測データが、健康管理処理部116の受信部からメモリー(RAM)139に移され、記憶される。なお、前に述べたように、これら各種健康機器の計測データは、図14に示しているように、赤外線送信と、USBメモリーと、無線送信の何れでも健康管理処理部116は読み込める。なお、USBメモリーを挿入するための接続口が、電力指令装置9の本体9Aの前面や側面に設けてある。
この際、図11で説明したように、健康管理処理部116は、健康管理機器410から計測データが送り込まれた場合、その都度、データ全体を電力指令装置9に送信する。その際に計測結果で異常範囲にある場合には、健康管理処理部116は、異常のあったデータ(例えば最高血圧値)と被測定者、測定日時等の図10に示したデータ全体を電力指令装置9に送信する際に、特別のコード(以下、「異常値コード」という)を追加して電力指令装置9に送信する。これにより「注意データ」は、途中で消えることなく、その後も保存される。なお、異常値コードは、健康管理機器410の種類に応じて異なっており、また1つの健康管理機器410、例えば血圧計410Aで、最高血圧値と最低血圧値の両方に別々のコードを付すなど、健康管理機器410の計測対象に応じて複数個用意してある。
なお、健康管理処理部116は、PC接続デバイス75Mを介してシステム制御部75Eに送付し、最後には記憶装置(大容量メモリー)109(図4参照)に格納される。大容量メモリーは、計測された健康管理データが毎日10件以上送信されても、最低1年間のデータを十分格納できるように例えば数十ギガ程度の記憶容量を有している。なお、この記憶装置(大容量メモリー)109にはTV受像機75で受信した放送番組の記録映像・音声も格納されるが、TV受像機75の側からの情報と、健康管理処理部116からの情報は明確に区分けされて格納してあり、双方は独立して記録更新したり、削除したりすることが可能になっている。
次に、誘導加熱調理器2や電気炊飯器3を含む家電機器の電力制御システムについて説明する。最初に、図18に示した、1つのキッチン内にて使用されるシステムキッチン(流し台)1を中心に説明する。
システムキッチン(「流し台」、「厨房家具」ともいう)1の外殻を構成する筐体の内部には、以下に説明する5つの家電機器を組み込んで構成されている。すなわち、そのキッチン内家電機器として、左右2つの第1の加熱口2L及び第2の加熱口2Rを有する誘導加熱調理器2と、炊飯器3と、グリル調理器(電気魚焼き器)4と、電気ヒーター付きの電子レンジ(以下「オーブンレンジ」という)5と、食器洗い乾燥機6を備えている。なお、「キッチン内家電機器」KPは、これらキッチン内にある複数の家電機器3,4,5を総称したものである。グリル調理器4は単独で構成されている場合もあるが、この実施の形態1では誘導加熱調理器2の中に一体的に組み込まれ、電熱と誘導加熱方式を併用した複合式の誘導加熱調理器の1つの加熱部として構成されている。従って、誘導加熱調理器2の主電源回路を遮断すると、グリル調理器4に対する電源供給も同時に遮断される構成になっている。
実施の形態1でいう「時間帯別の電気料金区分情報」について説明するが、その前に、家庭用電気料金制度について実例を説明する。2012年6月1日時点の、東京電力株式会社の個人向け(家庭用)電気料金制度では、電力量料金単価を2つの季節と3つの時間帯に分けて設定している。これにより、季節や時間帯によって料金単価が異なるため、熱効率の高い家電機器を朝晩時間に使用することや、昼間に使用する家電機器を夜間時間や朝晩時間に移して使用するという工夫で、電気料金の低減が可能になると推奨している。
ここで、「季節料金」とは、「夏季」と、「その他の季節」とに分けてあり、「夏季」は毎年7月1日から9月30日、「その他の季節」は毎年10月1日から翌年6月30日までである。
一方、3つの時間帯に分けた「時間帯別料金」制度は、次の通りの時間帯で区分されている。
「昼間時間」:毎日午前10時から午後5時まで。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は、「夏季」で33.37円、「その他季節」で28.28円。
「朝晩時間」:毎日午前7時から午前10時までと毎日午後5時から午後11時までの2つ。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は23.13円。
「夜間時間」:毎日午後11時から翌朝の午前7時まで。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は9.17円。
つまり、電気料金単価を見ると、夜間時間が最も安く、その次に朝晩時間が安い。最も高いのは昼間時間であることが分かる。
「時間帯別の電気料金区分情報」とは、上記のような時間帯別別料金制度の情報であり、その一種としては、上記のような1kWhあたりの電力量料金単価である。また他の一種としては、「夜間時間が最も安い、その次に朝晩時間が安い。最も高いのは昼間時間である」という情報である。つまり、例えば上記電気料金制度で言えば、「毎日午後11時から翌朝の午前7時までの夜間時間までは、1日の内で最も安い」という情報が時間帯別の電気料金区分情報になる。必ずしも1時間あたりの電気料金自体を具体的に示したものでなくとも良く、一定の基準(たとえば昼間時間の料金)と比較して、安い時間帯であるのか高い時間帯であるのかが使用者に容易に判断できる情報で良い。
また、この実施の形態1で説明する誘導加熱調理器2では、加熱手段が通電される開始時間を使用者が設定するが、通電終了時間を設定しない場合があるので、厳密にいうと時間帯を設定しない場合がある。しかしながら、この実施の形態1で説明する誘導加熱調理器2では、
(1)最大連続加熱時間を60分に自動設定してあり、調理の途中で特定の操作をしない限り60分経過すると、自動的に加熱動作終了するという制御を採用しているので、加熱開始時刻を設定すれば、時間帯を設定したことになる。
(2)誘導加熱の調理メニュー(例えば、「揚げ物」、「茹で」、「煮込み」、「湯沸し」など)の中には、経験上、15分〜30分未満で終わるもの(例えば「湯沸し」)と、そうではなく1時間以上も加熱継続するものがあり、また使用する電力も大小色々あるので、使用される電力値が500W以上で、かつ30分以上加熱継続されると推定される調理メニュー(以下、「特定メニュー」という)を事前に選定し、その特定メニューを実施する場合に、上記した時間帯別電気料金の情報が表示されるようにしている。このように構成している理由は、短時間で、かつ使用する電力が小さい調理メニューの場合には、その都度時間帯別電気料金の情報を表示させても、実際にそれを利用する頻度は少なく、表示させる意義が小さいからである。これによって、加熱調理器の制御プログラムを簡略化し、使用者の操作も複雑化しないという利点が期待できる。なお、特定メニューとしては「茹で」や「煮込み」、「炊飯」が選定されているが、これに何ら限定されるものではない。
7は、家庭用の空気調和機で、上記キッチン内家電機器KPが設置された台所に設置される場合もあるが、この実施の形態1では他の部屋(例えば居間)に設置されている。なお、空気調和機7は1台であるとは限らず、複数の部屋にそれぞれ設置され、合計数台の場合もあるが、以下の説明では1台の場合で説明する。なお、この空気調和機7には、電力指令装置9の使用電力制御手段8Eが組み込まれている。これにより電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で使用電力制御手段8Eが空気調和機7の電力を制御するようになっている。
キッチン内家電機器KPと空気調和機7を総称して「家庭内家電機器」EEという。
また以下の説明で、「第1の家電機器」とは、食器洗い乾燥機6を除いたキッチン内家電機器KPをいう。これらは、電気エネルギーを消費する加熱手段があり、また互いに独立して電源が投入・遮断可能であり、後述する電力指令装置9から電力削減指令を受け取る構成になっている。
また、空気調和機7と、食器洗い乾燥機6及び電気ヒーターによる温風を供給して衣類を強制的に回転させながら乾燥させる洗濯乾燥機(乾燥機と洗濯機が一体になったもの)又は衣類乾燥機(何れも図示せず)は、以下の説明では「第2の家電機器」という。これらは、それぞれ電気エネルギーを消費するモーター部を有し、かつ互いに独立して電源が投入・遮断可能であり、後述する電力指令装置9から電力削減指令を受け取る構成になっている。なお、「第2の家電機器」には、消費電力を消費するモーターに加えて、電気エネルギーを消費する加熱部があり、その加熱部によって温風を発生させるものも含む。例えば電気式の衣類乾燥機や洗濯機と兼用した洗濯乾燥機があり、洗濯乾燥機では、洗濯してまだ乾燥していない衣類を収容する通気性のある籠状の容器と、この容器を回転駆動するモーターと、容器に供給される温風の熱源となる電気ヒーターとを備えている。なお電動圧縮機を備えたヒートポンプ方式で空気中の熱を回収して温風にする方式もある。
キッチン内家電機器KPは1つのブレーカーBKを介して交流200V電源EPと接続されている。各キッチン内家電機器1〜3、5と電力指令装置9は、赤外線又は無線信号を送信・受信する関係に接続されており、各キッチン内家電機器1〜3、5の各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dと電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で各使用電力制御手段8A〜8Dが各キッチン内家電機器1〜3、5の電力を制御するようになっている。
また、キッチン内家電機器KPには、他にオーブントースターや卓上のホットプレート、湯沸し器(電気ポット)など、何れも最大定格電力が1000W程度の機器があるが、説明を簡略化するため、具体的には図示しない。また各キッチン内家電機器1〜3、5と電力指令装置9との間は、電力線搬送技術を利用して電力線兼ねた信号線で接続し、制御するようにしても良い。
(誘導加熱調理器2)
誘導加熱調理器2は、図19と図20に示すように、互いに独立して動作可能な誘導加熱部が左右に2つある、いわゆる2口のビルトイン式調理器であり、正面右側にある操作パネル13には、主電源スイッチ11と、左側にある第1の加熱口2L、右側にある第2の加熱口2Rの、それぞれの電力調整ダイヤル12L、12Rとが設けられており、使用者は、主電源スイッチ11を投入して調理状況にあわせて電力調整ダイヤル12L、12Rを操作して調理を行うようになっている。つまり、この電力調整ダイヤル12L、12Rによって第1の加熱口2Lと第2の加熱口2Rにおける誘導加熱時の火力調節が、互いに独立して行える。なお、この誘導加熱調理器2の定格消費電力(最大消費電力)は5800Wである。
第1の加熱口2L及び第2の加熱口2Rの上方は耐熱強化ガラス板で形成されたトッププレート14で覆われ、このトッププレートの下方空間には、第1の加熱口2L及び第2の加熱口2Rの加熱源となる円環状の加熱手段(誘導加熱コイル2LC、2RC)が設置されている。
2Cは、誘導加熱調理器2の本体2A外郭を構成する箱状の本体ケースで、トッププレート14は、その周囲が額縁状の金属製フレーム15で覆われて、このフレームによって本体ケース2Cの上面部に固定されている。
本体2Aの上面前部には、各種の調理条件の設定値、警報や異常情報を表示する表示手段としての液晶表示基板を備えた等の中央表示部16、同様に誘導加熱時の火力値や火力レベル(強、中、弱など)等を表示する液晶表示基板を備えた左表示パネル17L及び右表示パネル17R、左加熱口2Lの加熱時間や油調理時の油温度を液晶文字や複数の発光ダイオード(発光体)などで表示する左表示部18L、同じく右側の第2の加熱口2Rの加熱時間や油調理時の油温度を表示する右表示部18R、並びに、加熱動作の開始等の操作をするための上面操作部26が設置されている。
トッププレート14の下面に近接して中央表示部16、右表示パネル17R、左表示パネル17L、左表示部18L及び右表示部18Rがそれぞれ設置されている。
中央表示部16、左表示パネル17L及び右表示パネル17R、左表示部18L、右表示部18Rは、図22に示す表示部駆動回路35によって表示動作が制御される。
次に図22に基づいて表示部駆動回路35について説明する。なお、この図22では、表示手段としては中央表示部16だけを図示しているが、左表示パネル17L及び右表示パネル17R、左表示部18L、右表示部18Rも、それぞれ中央表示部16と同様に制御される。
この実施の形態1において、中央表示部16は、全ての加熱源に共通で用いられるものであるため、統合表示手段とも呼ばれる。全ての加熱源とは、第1、第2の加熱口2L、2Rと、グリル調理器4のグリル庫22内部に複数個設置した輻射式電気ヒーター、例えばシーズヒーター34Hである。
中央表示部16を構成している表示画面129は、周知のドットマトリックス型液晶表示画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。液晶表示画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。また、単純マトリクス駆動方式を用いたSTN(SUPER TWISTED NEMATIC)液晶によって構成しても良い。
この実施の形態1において、表示画面129の表示領域は、縦(前後方向)約40mm(又は約80mm)、横約100mm(又は約120mm)の大きさの長方形である。
図22において、35は表示部駆動回路である。この表示部駆動回路は制御装置32と接続されている。表示部駆動回路35は、表示用メモリー35A、表示コントローラー35B、インターフェース35C、電源35D、コモンドライバー35E、およびセグメントドライバー35Fを備えている。
表示部駆動回路35は、電源35Dからの電力により動作し、インターフェース35Cにより制御装置32の内蔵メモリー(図示せず)からの画像情報を取得する。表示用メモリー35Aは、制御装置32から取得した画像情報を記憶する。表示コントローラー35B、表示用メモリー35Aに記憶された画像情報を読み出し、この画像情報に基づいて、コモンドライバー35Eおよびセグメントドライバー35Fを継続的に駆動する。コモンドライバー35Eおよびセグメントドライバー35Fは、表示画面129の各画素に対応して設けられた互いに交差する電極に電圧を印加することで液晶を駆動する。このように、表示部駆動回路35は、表示用メモリー35Aに記憶された画像情報を、必要な都度表示画面129に表示させる。また右表示パネル17R、左表示パネル17L、左表示部18L及び右表示部18Rについても表示用の画像情報や発光用の駆動電流が供給される。
表示部駆動回路35は、制御装置32を構成するマイクロコンピューターとは別の、専用のマイクロコンピューターによって構成されているが、同じマイクロコンピューターで構成しても良い。
(誘導加熱調理器2の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る誘導加熱調理器2の誘導加熱動作について、図23〜図25を参照しながら説明する。
図23に示したフローチャートは、誘導加熱調理器2の基本的な動作ステップを示すものである。図23において、主電源スイッチ11を使用者がタッチして、電源を入れる(ST1)。すると制御装置32に電源が印加され、制御装置32は、温度検出回路150から温度情報を得て、調理器の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを自己チェックする(ST2)。
異常が発見されない場合、制御装置32は、中央表示部16等の表示手段の表示部駆動回路35を起動し、中央表示部16には異常がないので、調理を開始できること、またこれと同時に、音声合成装置38によって、中央表示部16で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。また、健康管理情報の内、特定の注意情報(例えば、最高血圧値が上限値を超えている)があるか場合には、中央表示部16等の表示部でも良いが、図20に示しているように、専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ報知する。なお、図21では注意情報ランプ430は図示していない。
健康管理情報にした特定の注意データが加わった時点、すなわち、健康管理処理部116から電力指令装置9に当該特定データが移された時点から一定期間内は、誘導加熱調理器2の主電源を入れる度に、上記のように専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ報知する。例えば前日に血圧を測定し、最高血圧が上限値を超える状態であった場合、その当日から7日間は、専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ注意データのあること報知するというように設定してあるが、この注意喚起期間は使用者が適宜長く、あるいは短く設定できることでも良い。注意情報ランプ430は、押しボタン式のスイッチと、そのスイッチの押しボタン部を下方から光で照らす発光ダイオード(LED)等の光源とから構成されており、点灯している状態から、さらに押しボタン部が使用者で押されると、中央表示部16には、注意情報の概要が示される。例えば、被測定者Aで、最高血圧値が140mmHgを超えた計測結果が、昨夜と一昨日の2日連続していることが表示される。この表示は一定時間(例えば10秒以内)で自動的に消え、次のステップST4に進む。
その後、中央表示部16は、金属製鍋等の被加熱物Nを使用したい加熱口2L、2Rの上に置くように、使用者に動作を促す文字を表示する(ST4)。
この状態で、中央表示部16の表示画面には、第1の表示情報210Aが現れ、「電力削減対象」という文字が表示され、この誘導加熱調理器2の運転中に後述する電力削減要求信号を受ける可能性のある対象機器であること示す。ここで使用者が、左加熱口用操作部81における、入/切ボタン81cを押すと、左側の第1の加熱口2Lを選択したことになる。
また右側にある入/切ボタン82cを押すと、右側の第2の加熱口2Rを選択したことになる(ST6)。そこで誘導加熱のメニューを選択するステップ(ST7)に進むことになる。例えばその後揚げ物ボタン81aを押せば揚げ物調理を選択したことになり、また3kWボタン81bを押せば、最大火力で湯沸しを行うことができる。
一方、中央部にあるスタート/停止ボタン83bを押すと、グリル調理器4を選択したことになる(ST5)。つまり、電気輻射熱の加熱源を利用した加熱調理を選択したことになる。電気輻射熱の加熱源を利用した加熱調理を選択したあとは、ロースター調理、グリル調理又はオーブン調理の何れかを選択するステップ(ST9A、ST9B、ST9C)に進む。
また、使用者が本体2Aの操作部43に設置された左加熱口の電力調整ダイヤル12Lを回転操作させることによって、その回転操作信号が、制御装置32に送信される。制御装置32は、受信した回転操作信号に基づいて、インバーター回路33Lの出力を調節し、使用している第1の加熱口2Lの誘導加熱コイル2LCによる誘導加熱の火力を調整させる。その際、制御装置32は、その火力の強弱を、左加熱口2L用の左表示パネル17Lに例えば火力値をそのまま示して表示させる。
そして、使用者は、加熱調理終了後、再び入/切ボタン81cを押下することによって、誘導加熱動作を終了させることができる。スタート/停止ボタン83bを押せばグリル調理器4の電気輻射熱による加熱動作を終了させることができる。
また、使用者によって、被加熱物Nが第2の加熱口2Rの上方に設置された場合も、同様に、第2の加熱口2Rの下部の本体ケース2C内部に設置された加熱手段(誘導加熱コイル)2RCによって誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c及び電力調整用ダイヤル12Rの操作、並びに、左表示パネル17Lの表示動作については、前述の入/切ボタン81c及び電力調整用ダイヤル12Lの操作、並びに、第1の加熱口2L用の左表示パネル17Lの表示動作と同様である
図24に示したフローチャートは、誘導加熱調理を行う場合の基本的な動作ステップを示すものである。図24において、ST7は誘導加熱のメニューを選択するステップで、図23で説明したとおりである。
誘導加熱調理では、最初に加熱調理メニューの選択が行われる。加熱調理メニューとしてはしたように例えば、「揚げ物」、「茹で」、「煮込み」、「湯沸し」などである。ここで調理メニューの選択が行われると、後述する電力指令装置9に対して、所定の起動情報が送信され、電力指令装置9では誘導加熱調理器2によって誘導加熱調理が開始される段階にあることが分かる(ST10)。すると誘導加熱調理器2は電力指令装置9から時間帯別電気料金の情報を取得し(ST11)、その情報を内部のメモリーに格納する。なお、このような時間帯別電気料金は、毎日変更されるものではないので、数日置きに取得しても良く、その数日間は内蔵メモリーに記憶した情報をその都度利用するようにしても良い。
次に誘導加熱調理器2は、中央表示部16の表示画面に時間帯別電気料金の情報を表示し、また後述する音声合成装置38によって、次の操作方法が音声で報知される。具体的には加熱調理器を使用する時間に変更がなければ、後述するスタートキー212を押すように音声でガイドされる(ST12)。
次に誘導加熱調理器2で使用時間帯に変更がなければ、その後、設定取消操作があったかどうかのチェックが行われ(ST15)、取消の入力操作が無ければ誘導加熱動作開始のステップ(ST16)に進む。使用時間帯の変更があった場合は、電力指令装置9に対して、新たな使用時間帯の情報が送信される(ST14)。そしてその変更後の使用時間帯に対応した電気料金情報が中央表示部16の表示画面に表示される。なお、ステップ(ST10)では、例えば「茹で」調理の場合は45分間というように、予め定めた標準時間が電力指令装置9に送信されるが、使用者が使用開始時刻と終了時刻の両方を入力し、例えば特定の時間帯(30分間)に設定した場合は、ステップ(ST14)で電力指令装置9に使用予定の時間帯情報が送信される。
図25に示したフローチャートは、誘導加熱調理を行う場合の基本的な動作ステップを示すものである。図25において、ST20は誘導加熱のメニューを選択する最初のステップで、図23で説明した選択ステップST7と同じである。このように「茹で」や「煮込み」などの「特定メニュー」を選択した場合は、次に中央表示部16の表示画面に時間帯別電気料金の情報が表示される(ST22)。次に加熱開始時間又は加熱終了時間の設定が行われ(ST23)、火力や温度が必要な場合はそれらを設定し(ST24)、使用する時間帯に適用される時間帯別電気料金の情報を最終的に確認し(ST25)、それで良ければスタート/停止ボタン83bを押すことで調理条件の確定が行われ、誘導加熱動作が開始される(ST26)。
一方、図25に示したフローチャートのように、非特定メニューを実施する場合には、上記した時間帯別電気料金の情報が表示されないようになっており、具体的には火力や温度が必要な場合はそれらを設定し(ST28)、それで良ければスタートキー212を押すことで調理条件の確定が行われ、誘導加熱動作が開始される(ST29)。なお、誘導加熱動作が開始される前に、誘導加熱の終了時間を予約しても良い。これは一般にタイマー調理と呼ばれており、調理開始前にタイマーを設定(例えば15分間)すると、誘導加熱開始時点から上記15分間が減算され、15分経過時点で自動的に誘導加熱が終了する。
図26〜図33は、表示画面129の表示例を示したものである。主電源スイッチの操作ボタン11Aを押し、その後、第1の加熱口2Lを使用するような選択操作を行った場合(図示していないが、上面操作部26にある左右加熱口の選択キーなどを操作後)は、最初に図26の画面が表示される。つまり、誘導加熱とグリル庫22による調理メニューの選択用として、誘導加熱選択キー128N1、グリル調理選択キー128N2、オーブン調理選択キー128N3の各キーが一斉に(一覧状態に)表示される。オーブン調理とはグリル庫22内部の雰囲気温度を所定温度に高め、調理することをいう。例えばケーキを焼くことが一例である。
図26〜図33において、3つのキー128N1〜N3は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、使用者がキー表面に対応した位置の、表示画面129の上面を覆うガラス製トッププレート14の上面に軽く触れることで制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。図9等に示したアイコン411〜413とは異なったものである。
すなわち、各種入力キー128N1〜128N3の部分(区域)を構成するトッププレート14の表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面129には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成し、その表示画面129に触れた場合、その触れた位置にあるキーが選択されたことになる。
36Aは、メニュー選択表示部、36Bは、使用者にメニューの選択を促すことを文字で知らせる表示部である。これらメニュー選択表示部36A、表示部36Bは、入力キー機能は有していないので、これら表示部にタッチしても制御装置32には何の入力もされない。
111は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声合成装置38(図21参照)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面129の見方や操作方法が、模式図と文字で表示画面129全体に表示される。112は、インフォーメーション・キーであり、これにタッチした場合、その都度、使用する被加熱物Nの情報や調理方法、上手に調理する注意点などを詳しく表示画面129に文字で表示する。210Cは、電力削減が強制的に行われたことを表示画面129の上に文字で示す削減表示部である。
210Aは、誘導加熱調理器2で非特定メニューの一種である「湯沸し」を実行中に後述する電力削減要求信号を受ける可能性のある対象機器であること示す第1の表示情報であり、図26の例では表示画面129の中に長方形の枠で、白抜き文字等によって「電力削減対象」と表示される。実際に電力が削減された場合には後述する第3の表示情報210Cとなり、「電力削減中」と表示しても良い。何れにしても使用者がこの第1の表示情報210Aを見ることによって、この加熱調理器は電力が強制的に削減される可能性のあることを知ることができる。
210Bは、誘導加熱調理器2で「湯沸し」の誘導加熱調理を開始する直前の表示画面129の表示例を示したものである。段階における中に、その外部から所定の電力削減要求信号を受けている状態を示すための第2の表示情報であり、この図27の例では表示画面129の中に表示された第1の表示情報210Aが消え、代わりにそれと同一位置に「電力削減要請受信中」と白抜きの文字で表示されたものである。
211Rは、表示画面129の上面を覆うガラス製トッププレート14に形成された入力キーであり、これを押すと図9の表示画面129の表示状態まで戻る。211Nは、同じく入力キーであり、この部分にタッチすると図28の表示状態まで進む。
212は、表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14に形成された入力キー(「スタートキー」とも言う)であり、これにタッチすると第1の加熱口2Lにて誘導加熱調理が開始される。図29は湯沸し動作が開始されたあとの表示画面129の表示状態を示している。213は停止用の入力キーである。各種入力キー211R、211N、212、213は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、使用者がキー表面に対応した位置の、表示画面129の上面を覆うガラス製トッププレート14の上面に軽く触れることで制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。すなわち、各種入力キー211R、211N、212、213の部分(区域)を構成するトッププレート14の表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面129には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成になっている。
210Cは、誘導加熱調理器2で「湯沸し」の誘導加熱調理メニューを実行している運転中に、その誘導加熱調理器2の外部から所定の電力削減要求信号を受けて実際に電力が削減された状態であること示す第3の表示情報であり、この図30の例では表示画面129の中に表示された第1の表示情報210A(図26参照)又は第2の表示情報210B(図27、図28参照)が消え、代わりにそれと同一位置に「電力削減要請受信中」と白抜きの文字で表示されたものである。
図31において、210Dは、電力削減が回避されていることを示す第4の表示情報であり、第1の表示情報210Aが消えた後、ほぼ同じ位置に「電力優先」と白抜きの文字で表示されるものである。使用者がこの第4の表示情報210Dを見ることによって、この加熱調理器では現在行なっている加熱調理中に電力が強制的に削減されることなく、電力量が維持されていることを知ることができる。つまり、この加熱調理器には、後述する優先加熱工程としての「優先調理メニューの実行時間帯」があるので、その時間帯にある場合、「電力優先」という第4の表示情報210Dが表示画面129の右側位置に現れる。図31では「茹で」の調理メニューが実施されている場合である。
図26〜図33において、128A2は表示画面129に表示される「湯沸し」動作を選択するキー、128A3は「茹で」動作を選択するキー、128B1は「予熱」動作を選択するキー、128B3は「煮込み」動作を選択するキー、128C2は「揚げ物」動作を選択するキーである。これら5つのキーは、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、表示画面129の上面を覆うガラス製トッププレート14の上面に軽く触れることで、制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。言い換えると、5つのキー128A2,128A3、128B1、128B3、128C2は、表示画面129の所定位置に「湯沸し」等のようなキーの入力機能を示す文字の真上のトッププレート14の下面に接着又は蒸着された透明電極等で入力電極が形成されている。5つのキーに対応した表示画面129の所定位置に「湯沸し」等のようなキーの入力機能を示す文字が表示されていない場合は、そのキーは入力機能が無効になっているので、仮に使用者がその部分に触れても入力動作は全く行えない。なお、図30や図31のように、加熱動作が開始されたあとも、その選択された調理メニューの入力キー128A2、128A3は表示されたままになっているが、この時に再度これらキーに触れても、表示画面が不用意に別の画面に変化しないように制御装置32で制御される。
次に、時間帯別電気料金情報と加熱調理器の使用時間帯の情報の表示例について、図31〜図33を参照して説明する。図31において、215は茹で調理メニューを選択した場合に中央表示部16の表示画面129に現れる加熱開始時刻表示部である。この時刻は後述する時計回路240からの現在時刻を制御装置32が読み出して表示する。216は茹で調理を開始する時間を表示する時刻表示部であり、特に使用者が変更しない限り、その時点の時刻が選択されて表示されるようになっている。この時刻も後述する時計回路240からの情報に基づいて制御装置32が表示画面129に表示する。217は、時間帯別電気料金区分の表示情報である。この図31の例では、適用される電気料金が中程度の時間は23時までという表示部218Mと、適用される電気料金が安い(低い)の時間は23時以降という表示部218Lと、の2つが表示されている。
三角形のマーク219は、現在使用開始した場合に、電気料金区分のどこが適用されるのかを表示したものであり、この図31の例では、現在22時50分であるので、23時からの「夜間時間」に近いが、まだ夜間時間に入っていないので、1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は相対的に高い(23.13円)が、23時になると「朝晩時間」が適用されて1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は安くなる(9.17円)ことが、直感的に理解できる。なお、1kWhあたりの電気料金単価自体を表示しても良いが、実際に使用している電力量が正確でないと、誤解を招くおそれがあるので、この実施の形態1では、「高」、「中」、「低」の3段階表示にしている。
図31において、211Rは1つ前の表示画面に戻る場合にタッチする戻りキー、230は加熱時間を1分単位で遅らせる(後ろへシフトさせる)キーであり、231は加熱時間を30分単位で遅らせる(後ろへシフトさせる)キーである。
これら2つのキーも表示画面129を覆うガラス製トッププレート14に形成された静電式接触感知式の入力キーである。キーの機能を示す文字(1分シフト、30分シフト)は表示画面で表示される。図31において、例えば加熱開始時刻(22時50分)を23時にしたい場合は、キー230に10回タッチすれば良い。その次に、キー211Nにタッチすれば図32に示す表示に切り替わり、調理条件を確定させて加熱動作を開始したい場合は、スタートキー212にタッチすれば良い。図31の画面に戻る場合はキー211Rに触れれば良い。
(グリル調理器4の構成)
次に、図19、図20を参照しながら、グリル調理器4の構成について説明する。
誘導加熱調理器2の本体2Aの左下側内部にグリル調理器4が収容されている。このグリル調理器4は、少なくとも、本体2Aの前面部の左側に開閉可能に設置されたグリル扉28、そのグリル扉28で前面開口部が開閉自在に閉鎖された調理空間であるグリル庫22、そのグリル庫22の底部に載置された受け皿23、その受け皿23の上に置かれ、上側に魚等の被調理物25を載置するグリル網24によって構成されている。グリル扉28には、そのグリル扉を開閉するためにユーザーが手を掛けるための取っ手28Aが設置されている。
本体2Aの上面後部には、後述するグリル調理器4のグリル庫22内に空気を取り込むための吸気口20、及び、グリル庫22内の調理物から発生する煙等を排出するための排気口21が形成されている。吸気口20は、本体2Aの内部空間に送風機(図示せず)で室内空気を取り込むものであるが、その取り込まれた空気の一部は、誘導加熱コイル2LC、2RCの冷却用に使用され、冷却後の空気は排気口21から室内へ放出される。また、図3で示されるように、本体2Aの内部空間には、誘導加熱調理器2の動作全般を制御する制御装置32が備えられている。
また、グリル庫22と排気口21とを連通させ、吸気口20から取り込まれた空気を被調理物25から発生する煙と共に、グリル庫22から排気口21を介して外部に排気するための排気ダクト(図示せず)が、グリル庫22の後方に接続されている。
(上面操作部26の構成)
次に、図20を参照しながら、上面操作部26の構成について説明する。
図20で示される誘導加熱調理器2の平面視において、上面操作部26は誘導加熱調理器2の上面の手前側に、横方向に長く帯状に配置されている。つまりトッププレート14の前方端部よりも更に手前側で額縁状の金属製フレーム15の前方辺の直後位置に配置されている。
上面操作部26は、左側から、左加熱口2Lの加熱動作を操作するための左加熱口用操作部81、グリル加熱動作を操作するためのグリル用操作部83、及び、右側の第2の加熱口2Rの加熱動作を操作するための右加熱口用操作部82を備えている。この上面操作部26に、注意情報ランプ430が一対設けてある。
左加熱口用操作部81は、揚げ物ボタン81a、3kWボタン81b及び入/切ボタン81cによって構成されている。また、右加熱口用操作部82は、揚げ物ボタン82a、3kWボタン82b及び入/切ボタン82cによって構成されている。そして、グリル用操作部83は、グリルメニューボタン83a、スタート/停止ボタン83b、左矢印ボタン83c、右矢印ボタン83d、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fによって構成されている。
また、スタート/停止ボタン83bには、スタート/停止ボタンLED84が備えられている。また、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dには、矢印ボタンLED85が備えられている。そして、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fには、時間ボタンLED86が備えられている。
上記の各ボタン及び各LEDの機能についての詳細については後述する。 なお、図20で示される上面操作部26を構成する各ボタンの種類及び配置は、一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
(誘導加熱調理器2の制御部)
図21において、27は200Vの商用電源EPにブレーカーBK介して接続された電源線、11は使用者によって開閉操作される主電源スイッチ、31はこの主電源スイッチを介して電気エネルギーが供給される電源回路、32はこの電源回路から所定の定圧電流が供給されるマイクロコンピューターを中心に構成される制御装置である。マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。
33Lは、左側の誘導加熱コイル2LCに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。誘導加熱コイル2LCは共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路の中に接続されている。
33Rは、右側の加熱手段(誘導加熱コイル)2RCに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。加熱手段(誘導加熱コイル)2RCは共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路の中に接続されている。
そしてこれら2つのインバーター回路33L、33Rは、制御装置32によって互いに独立して駆動されるようになっている。
34はグリル調理器4のグリル庫22内部に複数個設置した輻射式電気ヒーター、例えばシーズヒーター34Hを駆動する駆動回路である。シーズヒーター34Hは例えばグリル庫22の内部の天井付近と底面付近にそれぞれ水平に設置されており、グリル網24を上方と下方から加熱できるように構成されている。
37は、グリル庫22から排気口21に至る排気ダクト(図示せず)の入口部又はその途中に設置された触媒(図示せず)を加熱することによって、グリル庫22から放出される煙の除去作用を促進するための触媒ヒーターであり、触媒(図示せず)を加熱することで酸化還元作用を促進する。
38は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー39から音声でその都度報知する。
150は温度検出回路である。この温度検出回路は、誘導加熱コイル2LC、2RCによって加熱されるトッププレート14上の被加熱物Nの温度や、そのトッププレート14の温度、グリル庫22内部の雰囲気温度等を検知するための複数個の温度センサー(図示せず)から温度検知情報を受け取り、温度検出結果を制御装置32に送る。温度センサー(図示せず)は赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
41は、グリル庫22の内部に高温蒸気を供給する蒸気供給装置であり、高温蒸気によってグリル庫22で蒸し調理ができる。42は操作パネル13に設けた前面操作部であり、主電源スイッチ11の操作ボタン11Aと、2つの電力調整ダイヤル12L、12Rとをそれぞれ有している。
240は、リアルタイムクロックとも呼ばれている時計回路であり、制御装置32とは電源(内蔵電池)から電源が駆動されている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置32から求めがあれば、現在時刻を秒単位で知らせるものであり、この誘導加熱調理器の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、誘導加熱調理器の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報を影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置32に伝える機能がある。
241は地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を制御装置32に送り、制御装置32ではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。なお、この緊急遮断情報は、後述する電力指令装置9にも瞬時に発信され、運転中の他の家電機器(特に、電気熱源を内蔵しているもの)がある場合、電力指令装置9が、それら家電機器の電源も一斉に緊急遮断する。
次に、図19及び図20に示す誘導加熱調理器2による油調理について説明する。油調理とは天ぷら等の揚げ物調理のことである。なお、この揚げ物調理は、特定調理メニューとして選定されていない。使用者は、食用油が入れられた油鍋を左加熱口2Lに置く。そして、使用者が上面操作部26に配置された入/切ボタン81cを押下することによって、前述の誘導加熱動作と同様に、油鍋の加熱動作が開始される。次に、使用者は揚げ物ボタン81aを所定回数押下することによって、油鍋に入れられた油の量を制御装置32にインプットし記憶させる。そして、左側の電力調整ダイヤル12Lを回転操作することによって、目標とする油温度を設定する。この際、設定された油の量及び油温度は、例えば、左表示部18Lに数字で表示させるものとすればよい。そして、使用者は、油調理終了後、再び入/切ボタン81cを押下することによって、油調理を終了させることができる。なお、揚げ物調理は、このように目標となる油温度まで自動的に温度上昇するように、制御装置32によって火力が調節されるが、これを調理メニューでは「自動揚げ物」と呼ぶ。また手動で火力を調節しながら揚げ物を調理することもできるが、それは「手動揚げ物」という。以下の説明では特に明示しない限り、揚げ物調理とはこの「自動揚げ物」のことを指す。
また、使用者によって、油鍋が右側の第2の加熱口2Rに設置された場合も、同様に、油鍋の誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c、揚げ物ボタン82a及び右側の電力調整ダイヤル12Rの操作、並びに、右表示部18Rの表示動作については、前述の入/切ボタン81c、揚げ物ボタン81a及び左側にある電力調整ダイヤル12Lの操作、並びに、左表示部18Lの表示動作と同様である。
なお、揚げ物調理の開始時点では、中央表示部16の表示画面には、第1の表示情報210Aが現れていて、「電力削減対象」という文字が表示されている。
次に、揚げ物調理における通電制御パターンについて説明する。なお、第1の加熱口2Lの場合で以下説明するが、右側にある第2の加熱口2Rでも同じ制御パターンで実行される。
(自動)揚げ物調理の調理メニューを使用者が選択すると、制御装置32は、図45に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また中央表示部16の表示画面には、第4の表示情報210Dが現れ、「電力優先」という文字が表示される。このため、この揚げ物調理中には、後述する電力削減要求信号を受けても電力を優先的に確保する調理器であることが使用者に認識できる。
予熱工程では、使用者が設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)でインバーター回路33Lが駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、温度検出回路150によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路150によって検出されると、制御装置32は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
またこの「温度フィードバック制御」の工程に入ると、中央表示部16の表示画面では、第1の表示情報210Aによる「電力削減対象」の文字が消え、代わりに第4の表示情報210Dが現れ、「電力優先」という文字が表示される。このため、表示画面129を使用者が見れば、この揚げ物調理の重要な「揚げ物調理工程」は、後述する電力削減要求信号を受けても電力を優先的に確保する動作が行われることを容易に認識できる。
また音声合成装置38を介して使用者に「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
使用者が具材、例えば冷凍されていたコロッケを油の中に入れると、その油は冷たい具材によってその投入時点から急速に冷やされるので、図45に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路150はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路33Lの火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
図44の火力アップ工程では、目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置32はインバーター回路33Lを制御する。図45に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。この第3の温度T3になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、使用者が入/切ボタン81cを押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図44に示すように(自動)揚げ物調理の調理メニューにおいて、揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱調理器2の制御装置32は、実行中の調理メニューが、「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。また、中央表示部16の表示画面では、第3の表示情報210Cが「電力優先」という文字を表示し続け、電力を優先的に確保する動作が制御装置32によって自動的に行われることが分かる。
次に、お湯沸かし動作について説明する。この「湯沸し」のメニューも前述したように特定調理メニューとして選定されていない。使用者は、水が入れられた鍋や、やかん等の被加熱物Nを第1の加熱口(左加熱口)2Lに載置する。そして、使用者が上面操作部26に設置された入/切ボタン81cを押下することによって、前述の誘導加熱動作と同様に、加熱動作が開始される。次に、使用者は3kWボタン81bを所定回数押下することによって、加熱時間を設定する。この際、設定された加熱時間は、例えば、左表示部18Lに表示させるものとすればよい。そして、加熱動作開始後、設定された加熱時間が経過した後、自動的に加熱動作が終了する。
また、使用者によって、水の入れられた鍋又はやかん等の被加熱物Nが右側の第2の加熱口2Rに置かれた場合も、同様に、誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c及び3kWボタン82bの操作、並びに、右表示部18Rの表示動作については、前述の入/切ボタン81c及び3kWボタン81bの操作、並びに、左表示部18Lの表示動作と同様である。
(誘導加熱調理器2のグリル調理器4における加熱動作)
次に、図19〜図21を参照しながら、本実施の形態1に係る加熱調理器2のグリル庫22における加熱調理動作について説明する。
使用者は、まず、グリル扉28の取っ手28Aを掴んで手前に引っ張り、受け皿23及びグリル網24をグリル庫22内から外側に引き出す。次に、使用者は引き出したグリル網24の上に魚等の被調理物25を載置する。次に、使用者は、再び、取っ手28Aを掴んで本体2Aのグリル庫22奥側に押し込み、受け皿23及びグリル網24をグリル庫22内に引き込んで、グリル扉28を閉める。そして、使用者は、上面操作部26に配置されたグリルメニューボタン83aを所定回数押下することによって「姿焼き」、「グリル」及び「オーブン」等のグリルメニューを選択する。
次に使用者によって「姿焼き」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25の焼き色を設定する。この焼き色の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された焼き色を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「姿焼き」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、使用者によるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、先程受信した焼き色の設定操作信号に基づいて、被調理物25の調理時間を計算する。次に、制御装置32は、ヒーター駆動回路34(図21参照)に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、そのヒーターによって、設定された焼き色となるように被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、計算した調理時間経過後に、加熱動作を終了させる。
次に、使用者によって「グリル」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱動作の火力を設定する。この火力の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された火力を表示させる。
次に、使用者は、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱時間を設定する。この加熱時間の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱時間を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「グリル」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、ユーザーによるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、グリルヒーター駆動回路34に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、そのヒーターによって被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、設定された加熱時間経過後に、加熱動作を終了させる。
次に、使用者によって「オーブン」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱動作の加熱温度を設定する。この加熱温度の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱温度を表示させる。
次に、使用者は、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱時間を設定する。この加熱時間の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱時間を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「オーブン」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、使用者によるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、ヒーター駆動回路34に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、設定された加熱温度の下に、ヒーター34Hによって被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、設定された加熱時間経過後に、加熱動作を終了させる。なお、この「オーブン」のグリルメニューでは、グリル庫22の内部雰囲気温度が使用者の設定した加熱温度になるように制御装置32はヒーター34Hの火力を自動的に制御する(温度フィードバック制御)。
(炊飯器3構成)
この実施の形態1における炊飯器3は、図34、図38に示すように、箱型の本体ケース41と、蓋体42と、蒸気処理装置50から構成されている。その蓋体42又は本体ケース41の表面には、使用者が操作する操作部43があり、その操作部には、炊飯開始ボタン44を有しており、周知のように炊飯開始ボタン44が押されると自動的に炊飯をスタートし、吸水工程を経て沸騰工程で一気に炊き上げ、ご飯を炊ける調理器である。なお、炊飯後は一定の時間(例えば7時間)は保温ヒーター(図示せず)によってご飯は所定の温度(例えば70℃)を維持するように保温される。炊飯器3は、使用者が自由に持ち運びできるので、システムキッチン1以外の場所で使用することも可能である。
炊飯器3の本体ケース41は平面形状が縦長の長方形又は正方形を有している。本体ケース41の内部には、上面が開口した平面形状円形の磁性金属製の内釜40と、この内釜の上面開口を開閉自在に閉塞するよう本体ケース41の後部の一側縁部にヒンジ機構で支持された蓋体42と、内釜40を加熱する加熱手段45を備えている。この加熱手段は、誘導加熱方式のヒーターが用いられ、線径が数十ミクロン程度の細い銅線を多数束ねて撚り線構造にし、円板(環状)形状にした誘導加熱コイルが実際の加熱体となる。この加熱コイルは内釜40の外側底面に広い範囲で密着又は微小間隙を置いて対面するように設置されている。
蓋体42の内側には、その蓋体42を閉塞した時、内釜40の上面と蓋体42の間から蒸気が外部に漏れなくする為の環状のゴム製蓋シール材を具備した良熱伝導性金属からなる円形の内蓋46が着脱自在に固定されている。この内蓋46の一部には、内釜40で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気発生口47が形成されている。
蓋体42には、その上面に臨むように液晶表示部49(図35〜図38参照)が収納されている。この液晶表示部の表示画面には、炊飯開始前の各種条件設定情報や、実行されている炊飯工程の情報などが視覚的に認識できるよう、文字や記号、イラストなどで表示される。また加熱手段45の動作状態や炊飯に参考となる関連情報(異常使用を注意する目的や異常運転状態の発生を知らせる目的のものを含む)も液晶表示部49の表示画面にて適宜表示される。
図35において、54Aは、後述する「炊飯工程」の中の「強火」工程を実行している状態であることを表示する第6の表示情報であり、文字で「沸騰中」と表示される。54Cは第7の表示情報であり、第4の表示情報210Dと同様に、不用意な電力削減は問題があるので、電力を優先的に確保する(炊飯工程の強火加熱)工程に入っていることを示すものである。なお、誘導加熱調理器2の第1の表示情報210Aと同様、、電力が削減される可能性のあることを示す第5の表示情報54B(図示せず),また同じく第3の表示情報210Cと同様に、電力が削減されたことを示す第8の表示情報54D(図示せず)が液晶表示部49に表示される場合もある。
43は、図35に示すように炊飯器の操作部であり、炊飯動作を開始したり予約を確定したりする「炊飯開始ボタン」44、炊き上がった米飯を一定の所定の温度で保温するモードを開始する「保温キー」55B、通常の炊飯やおかゆや炊き込みご飯などの各種炊飯メニューの選択を行う「メニューキー」55C、白米や玄米など炊飯するお米の種類を選択して入力する「お米キー」55D、炊飯器3の状態と次に必要な操作を音声にて報知したり報知する音量を調整したり音声モードの入り切りを行う「音声ナビゲージョン用キー」55E、予約炊飯機能の設定を行う「予約キー」55F、各種入力操作やモードを取り消し又は切る「切/取消キー」55G、炊き方(炊き加減)の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」をそれぞれ選択できる「炊き方キー」55Hを、それぞれ備えている。これら各キーは、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は誘導加熱調理器2の静電容量式のタッチ式スイッチの何れでも良く、また組合せて使用しても良い。
56は、一度押すことによって消費電力を所定量だけ減らすことができる節電スイッチである。例えば、予熱工程でこの節電スイッチを押すと、最初の数分間だけ消費電力が減らせるが、その分予熱工程の所要時間が長くなるので、液晶表示部49の表示画面にはその旨注意事項が表示され、また音声ガイドナビゲージョン用キー55Eをその都度押さなくても「節電モードを選択しました。予熱工程の時間が数分間延びます」というような案内が行なわれる。
48は、一端が蒸気発生口47に接続され、終端部に蒸気排出口53が形成された蒸気ダクトであり、蓋体42の中を貫通するように設置されている。
蒸気処理装置50は、蒸気発生口47から排出される蒸気を復水する処理を行うための水が貯蔵できる上面が開口した水タンク(図示せず)と、その水タンクの上面開口部を開閉自在に覆うタンク蓋51とを有している。
52は、タンク蓋51に、蒸気排出口53に対応する位置に設けた蒸気導入口である。この導入口の下方には、その導入口に連通した連通管(後述する)を設けている。蓋体42を閉じた状態では、内蓋46によって内釜40の上面開口部が密閉されるとともに、蒸気導入口52が蒸気排出口53に密着状態に接触する。
連通管(図示せず)は、タンク蓋51の下面に上端部が固定され、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没するように垂直に設置されている。その連通管の下端は、水タンクの中に溜めた水の水面から一定の深さ位置(H)に位置するように、その垂直方向の長さと水タンクの大きさ(高さ)との関係が考慮されている。これにより連通管の下端開口から放出された蒸気が、水タンク内の水に十分に接触し、水に戻るようにしている。
従って、一定の深さ位置(H)は、最大火力で加熱手段45が通電された場合でも、蒸気発生口47から発生する蒸気の全てを復水できるように設定されており、高温の蒸気が連通管の下端開口から水中に出た段階で、蒸気気泡が水中を吹き上がる速さと、蒸気が冷えて水に戻る速さとから決定される。ここでいう「蒸気」とは、後述する「炊飯工程」と「むらし工程」において内釜40内部で発生し、連通管に導かれる蒸気のことをいうが、この実施の形態では、「吸水工程」〜「保温工程」までの蒸気は全て回収可能である。なお、保温工程とは、この実施の形態では、「むらし工程」の終了後7時間又は8時間までをいうが、この時間の長短は適宜変更可能である。
なお、蓋体42を閉じた状態では、蒸気ダクト48の末端部にある蒸気排出口53のシール材が、タンク蓋51の蒸気導入口52に密着状態に接触し、蓋体42の内部を通過する高温の蒸気が途中で外部に連通することなく水タンク(図示せず)の連通管の内部まで確実に連通するようにしている。
予約炊飯機能の設定を行う予約キー55Fを押した場合は、図36に示すように予約設定用の操作部に変化する。すなわち、250,251は、図36に示すように予約炊飯の時に蓋体42の上面で、液晶表示部49の左隣に表示される一対の時間設定キーであり、静電式タッチスイッチである。このスイッチは入力機能が有効である場合に、その下方に設けた発光ダイオードの光でキーの輪郭部と三角図形が浮かび上がって目視できるようになっている。一方のキー250は時間を遅らせるもので、他方のキー251は時間を遡らせるためのものである。
上矢印のマーク219は、図31、図32に示したものと同様に、現在使用開始した場合に、電気料金区分のどこが適用されるのかを表示したものである。この近傍には「現在」という文字が一緒に(液晶表示部49の画面に)表示される。また253は、マーク219を基点として所定時間後の位置に表示される炊飯完了時刻表示マークであり、その近傍には「炊飯完了」という文字が液晶表示部49の画面に表示される。現在時点のマーク219で炊飯を開始すると、炊飯完了時刻表示マーク253は約40分後の位置に表示される。但し、これは3合のお米を炊いた場合であり、炊飯量の大小によって時間は変化する。254は電気料金区分が変化する境界の時刻表示である。つまり17時から23時まではこのように「朝晩時間」の料金が適用され、23時を過ぎると翌朝7時までは「夜間時間」の料金になり、「低料金」になることが、この時刻表示と電気料金区分情報218Mとによって使用者には容易に理解できる。
一対の時間設定キー250,251の内、例えば一方のキー250にタッチすると、炊飯開始時刻を30分単位で遅らせることができ、それに伴ってマーク253は図36に示すように右側へ移動する。253Aはそのマークの位置に応じた時刻表示である。例えば現在午後10時(22時)の時刻表示253Aが出ている状態から、キー250を何回かタッチすると、炊飯完了時間を30分ずつ遅らせることができ、午前6時という時刻表示が出るところまで移動させれば、炊飯開始時刻は明らかではないものの、使用者が求める時刻(午前6時)までに炊飯を終えるような予約ができる。なお、55Kは予約を確定させるキーであり、予約キー55Fと同じ位置に入力機能が「予約確定」に切り替えられて形成される。予約確定後はこのキー55Kは炊飯完了までの間、ずっと継続して光った状態になる(下方に設置した発光ダイオードの光で照らされるため)。
次に炊飯器3の制御手段60について図38を中心に説明する。制御手段60は、電源部61と制御部62とから構成されている。制御部62は1つ又は複数のマイクロコンピューターを中心に構成されている。マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、電源部61を介して直流電源が供給され、加熱手段45と液晶表示部49とを制御する中心的な役目を果たすものである。
制御部62には、加熱手段45の動作条件として内釜40底面の温度と米飯の温度との相関テーブル、各炊飯メニュー(白米、無洗米の選択、炊き加減の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」)、がそれぞれ記憶されている。さらに炊飯を行う工程として「予熱工程」、「炊飯工程」、「むらし工程」及び「保温工程」という4つの工程を順次実行するような制御プログラムが記憶されている。なお、ここでいう「動作条件」の一つとして通電条件があり、この通電条件とは、加熱手段45の電気的、物理的な条件を言い、加熱手段45の通電時間、通電量、通電パターン(連続通電、断続通電、通電率等)等を総称したものである。
温度検知手段63は、圧縮バネ等により内釜40の底面に下方から圧接され、内釜40底面の温度を検知しその検知信号を出力するもので、サーミスタ式温度センサーを使用している。43は本体ケース41の蓋体42上面前方部に設けた操作部で、図19及び図20に示しているように、蓋体42の表面に形成された複数個の押圧式のキー55D、55Hを操作することにより、加熱手段45の動作条件を設定することができる。また操作部43は、液晶表示部49の手前に配置されている。炊飯開始ボタン44は、その液晶表示部49よりも手前又はその液晶表示部49の範囲内に設けてある。
65はタイマー等で構成される計時手段(時計回路)で、これが出力する計時信号が制御部62に入力されるとともに、液晶表示部49に対して現在時刻や設置時刻情報が出力されるので、それら時刻が液晶表示部49の表示画面上に表示される。なお、この計時手段は、炊飯器の電源コードを引き抜いても、炊飯器に内蔵された電池によって長期間稼動するようになっている。なお稼動時に電波時計のように外部からの時刻情報を得て、現在時刻にズレが無いように自己修正する機能を持たせても良い。
66は水タンクの中に貯められた水の量を水位で検知する水位センサーで、水タンクの水を光や重量その他の物理条件で把握するものであり、本体ケース41の前方部の水タンクと対向する部分に設けるか、または水タンクが乗せられる底板67の前方部上面に設置してある。
68は水タンクの中に貯められた水の温度を検知する水温センサーで、水タンクの側壁を介して水温を検知するように、本体ケース41の前方部の水タンクと対向する部分に設けるか、または図35に示すように水タンクが乗せられる底板67の前方部上面に設置してある。
次に、炊飯器3の炊飯動作について説明する。この実施の形態1の炊飯器は、図45に示すように、予熱工程、炊飯工程、むらし工程及び保温工程という4つの工程を順次実行するように制御部62に制御プログラムを持っている。
まず、本体ケース41から取り外した水タンクのタンク蓋51を取外し、水タンクの中に外部から水を入れる。そして、内釜40内に米と水を規定量入れ、本体ケース41の蓋体42上面にある炊飯開始ボタン44を押圧して炊飯を開始する。これにより、加熱手段45が加熱され炊飯を行う。この最初の段階では、まだ吸水工程であるので、電力が削減される可能性のあることを示す第5の表示情報54B(図示せず)が液晶表示部49に表示されている。これによりこの炊飯器を使用する最初の段階で外部からの指令によって電力削減動作が行われる家電機器であることが使用者には分かる。
図45において、予熱工程H1において加熱手段45は最初強火力となるよう連続通電パターンで通電が開始されるが、内釜40内部の温度が所定の温度(55℃)に達したことを温度検知手段63が検知すると、この情報が制御部62に入力され、55℃を維持するように通電量が抑制され、また通電が間欠的になるので、ほぼ蒸気は発生せず、水タンクにおける蒸気処理(復水処理)も行われていない。この55℃維持の状態を一定時間以上続ける。55℃になった時点からの経過時間を計時手段65が計測し、この計時信号が制御部62に入力されて予熱工程の終了時間が制御される。
次に、炊飯工程H2に入ると、最初の強火工程H2Aでは、加熱手段45の火力が強くなり徐々に内釜40内の水温が上昇し内釜40内の水が沸騰に達する。沸騰が激しくなり蒸気量が増すと、内釜40の中は大気圧よりも圧力が上昇し、内釜40内で発生した蒸気は、その圧力により押出されて蒸気発生口47から蓋体42の内部の蒸気ダクト48で構成された密閉空間に入る。その後蒸気ダクト48から蒸気処理装置となる水タンクへ蒸気が噴出する。つまり炊飯工程H2は、最大火力、例えば1300Wで加熱される強火工程H2Aと、その後の、弱火工程H2Bの2つから構成されている。
炊飯工程に入ると、第5の表示情報54B(図示せず)が液晶表示部49から消え、代わりに第7の表示情報54Cが液晶表示部49に表示される(図35参照)。これにより電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる。なお、音声ガイド(ナビゲージョン)手段によって同じ趣旨を音声で報知しても良い。また第5の表示情報54B(図示せず)、第6の表示情報54A、第7の表示情報54C、あるいは電力削減要求を受けていることを示す第9の表示情報54E(図示せず)を、例えば液晶表示部49の周囲近傍位置に「発光するボタン」のような表示物で表示し、液晶表示部49の中には表示しないようにしても良い。
そして、蒸気処理装置となる水タンク内に流れ込んだ蒸気は、連通管(図示せず)の下端開口から水中へと噴出し、そこで水タンクの中の水と接触して熱を水に奪われ結露して水に戻る。
このようにして、蒸気が処理されることにより、内釜40から発生した蒸気が外部に漏れるのを防止し、炊飯時の蒸気が直接室内空間に放出され、不快な湿気の増加を防ぐことが可能となる。
そして、炊飯工程の途中の時点(これは沸騰状態に至った時点からの経過時間を制御部62が見ていることで実現している)からは加熱手段45の火力は弱火工程H2Bになり、終わりになると水蒸気化して放出されてしまっている内釜40内部にあった水分が少なくなり、内釜40内部温度はそれまで100度強であった状態から130℃程度まで急上昇する。するとこのような急激な温度上昇を温度検知手段63が検知し、制御部62に温度検知情報を入力するから制御部62は炊飯完了と判断する。
また弱火工程H2Bに入った時点で、液晶表示部49に表示されていた第7の表示情報54Cは消える。なお、この弱火工程や予熱工程で、電力指令装置9から電力削減要求信号を受けた場合は、そのことを表示するための第9の表示情報54E(図示せず)が液晶表示部49に表示される。
するとこの段階からむらし工程H3に入り、炊飯が進行していくと、時間の経過に伴い蒸気発生量が徐々に少なくなり、炊飯が終了すると、内釜40内が冷えて圧力が低下する。なお、これにより、蒸気ダクト48内部の圧力が低下するが、タンク蓋51の下方にあって、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没している連通管(図示せず)の上部には、逆止弁(図示せず)があるので、その逆止弁から外部の空気が吸い込まれ、内釜40内の圧力は元の大気圧に近い状態まで戻るので、水タンク内の水が蓋体42側に吸い上げられて蓋体42の側に流れるという事態を防止できる。
なお、炊飯中に発生する蒸気量は、米の種類(白米、無洗米等)、炊き方(かたさ、粘り)、メニュー(通常の炊飯や、おかゆ)等の組合せにより異なるが、いずれの場合においても、確実にその調理メニューを終了するまでの過程で蒸気処理を行い、炊飯完了後の水タンク内の水温も、やけどしない温度、例えば55℃以下となるように、水タンク内の水容量は設定されている。
炊飯完了後は保温工程H4に移行し、加熱手段45とは別に設けた保温ヒーター(図示せず)によって内釜40の温度は所定温度、例えば70℃に維持される。
こうしたように、蒸気は炊飯工程H2とむらし工程H3で主に発生するので、実施の形態1では、これら工程における放出される蒸気量を計算や実験等で確かめ、また水タンクの水量と水位を設定した。仮に十分な水量があっても、水中の浅い位置で蒸気を水中に噴出させると、十分に蒸気と水とが接触できない状態のまま蒸気が泡状のまま上昇して水面から大気に放出されてしまうということが分かった。そこで、この実施の形態1では水位センサー66により、炊飯工程の最初の吸水工程開始前に制御部62は水位センサー66の検知情報から水タンク内部の水量が十分であるかどうかの判定を行っている。
さらに、タンクに貯められた水の温度を検知する水温センサー68を有しているから、当該水温センサーの出力により制御部62は水タンク内の水の温度が所定温度よりも高いかどうかを判断できる。もし異常に高い場合には、制御部62は加熱手段45に通電開始の動作を実行しないので、予熱工程さえ実行しない。
さらに一旦炊飯工程に入ってしまった後では、炊飯完了時まで水タンクの水温が所定の温度範囲になるように設定されているが、何らかの原因(例えば調理器の設置空間の室温が急激に上昇した場合)で水タンクの水温が所定温度よりも高くなってしまった場合でも、それを水温センサーが検知できるようになっており、そのような場合には、制御部62は加熱手段45の通電条件を変え、実質的な火力を弱める動作を実行するように制御部62の制御プログラムは設定されている。但し、この火力抑制の程度は本来の炊飯動作、炊き上がりに支障が出ない範囲で行われる。また火力を弱める手段として供給電力量自体を減らすことや通電率を下げることなど適当な手段を用いれば良い。なお、この実施の形態1では、炊飯開始時に水温35℃以下の場合は炊飯動作開始され、35℃超の場合は炊飯操作に入らないようになっている。これは炊飯終了時に水タンクの水温の温度が異常高温領域にならないように考慮したものである。
炊飯器で、炊飯性能に最も大きな影響を与えるのは、炊飯工程H2の最初の強火工程H2Aである。そこでこの炊飯器3では、制御部62は、この強火工程H2Aを「優先調理メニューの実行時間帯」に指定している。つまり実行中の調理メニューが、この「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を使用電力制御手段8Bを通じて電力指令装置9に報知する機能を有している。これによって不用意に電力削減が行われることを防止している。またこの強火工程H2Aに入ると、第7の表示情報54Cが液晶表示部49に表示され、電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる
(オーブンレンジ5)
オーブンレンジ(ヒーター付きの電子レンジ)5は、例えば2450メガヘルツの周波数の電波が導入される金属製加熱室(図示せず)と、この加熱室を収容した電子レンジ本体ケース(図示せず)と、加熱室の取り出し口を開閉自在に密閉するドア70とから構成されている。70Aはドア70の取っ手である(図2参照)。
オーブレンジ5の本体ケースの右部前面には、使用者が操作する操作部71があり、その操作部には電源スイッチ72と、スタートボタン73と、加熱時間設定用ダイヤル(タイマー設定用)74とを有しており、加熱時間設定用ダイヤル74で加熱時間を設定し、スタートボタン73を押すと、設定されたパワーを設定時間出力して調理を完了する調理器である。なお、加熱室内に置いた被加熱物の温度を赤外線センサーなどの感熱素子(図示せず)で検知し、被加熱物の温度が目標の温度まで上昇したら電波の発信源の駆動を自動的に停止するように構成したものでも良い。
(食器洗い乾燥機6)
実施の形態1に係る食器洗い乾燥機の基本構成について説明する。
図39において、食器洗い乾燥機6は、外郭を形成する本体160と、この本体内部に収納される洗浄部161から構成されている。
本体160は箱形状であり、前面には前面開口部160Aが形成されており、内部から外側にかけて、洗浄部161に洗浄水となる水道水を給水する本体側給水管162と、洗浄部161の洗浄水を排水する本体側排水管163が設けられている。
この本体側給水管162の本体内部側に位置する端部には、接続部162Aが設けられ、本体外側に位置する端部は上水道管と接続される。また、この接続部162Aの上流側には、洗浄部161に流入する水道水の流れをコントロールする為の給水弁162Bが設けられる。
次に、本体側排水管163の本体内部側に位置する端部には、接続部163Aが設けられ、本体外側に位置する端部には外部の排水管が接続されている。なお、本体側給水管162及び本体側排水管163は、後述する洗浄部161の前後の動きに追従できるように、形状が柔軟に変化できるホース等が用いられている。
次に、本体160の内部両側面160Cの対向する位置に、それぞれ前後方向に長手方向を向けて第1のレール164がネジ止め等により固定されている。
また、本体160の底部160Bの前面開口部160A側近傍には、ストッパー165がネジ止め等により固定されている。
このストッパー165は、本体160の後部側の面が底部160Bと略垂直であり、前側は前面開口部160A側に向かって傾斜する斜面が形成されている。
次に、洗浄部161は、洗浄槽166と、洗浄槽166の前面に一体的に取付けられる前扉167と、洗浄槽166の外側に取付けられ、後述する各種機能部品の外側を被うカバー168から構成されている。
この前扉167の前面には、使用者が洗浄部161を本体160から引き出すときに手をかける取っ手や、食器洗い乾燥機6の各種操作を行う操作部が備えられている。
洗浄槽166は、上方に食器を収納する為の開口部166Aが形成された上面全体が開放された箱状であり、食器洗浄中は本体160の内部に収納され、本体160から前面に引き出すことにより、開口部166Aから食器等を出し入れ可能に構成されている。
この洗浄槽166の内部166Bには、洗浄水を噴射・循環させる洗浄ノズル169と、洗浄水を加熱するためのヒーター170と、洗浄する食器類を所定の位置に並べる食器かご171が設けられている。
次に、洗浄槽166と前扉167の間には、制御部172と水位検知装置173が設けられている。
この制御部172は、操作部からのユーザーの指示や各検知装置からの信号により、後述する洗浄ポンプ174や排水ポンプ175、電動送風部176、ヒーター170、給水弁162B等の制御を行う。
また、水位検知装置173は、洗浄槽166内部の洗浄水の水位を検出し、検出情報を制御部172に送っている。操作部には、食器洗い乾燥機の基本的な運転モードを選択する運転モード選択キー190と、その選択キーによる選択結果を表示する表示部191と、運転の開始と停止を指令する運転スイッチ192が、それぞれ配置されている。運転モードとは、「洗浄モード」、「すすぎモード」、「乾燥モード」の動作を指定するものである。これら各種運転モードは、制御部172に格納された半導体記憶素子の中の運転プログラムによって実行されるようになっている。
次に、洗浄槽166の後部には、給水口166Cと送風口166Dが開口している。給水口166Cには、洗浄部側給水管177が接続されている。そして、洗浄部側給水管177の端部には、本体側給水管162の接続部162Aと着脱自在に接続可能な接続部177Aが設けられている。
送風口166Dには、食器等の被洗浄物を乾燥させる「乾燥モード」のための空気を送る電動送風部176が接続されている。この電動送風部176は、空気を流す為の送風ファン176Aと、流れてきた空気を暖めるヒーター176Bと、送風ファンの回転駆動源となるモーター176Mとを有する。ヒーター176Bは「乾燥モード」時に通電される。
次に、洗浄槽166の下部には、洗浄ポンプ174と排出ポンプ175が設けられ、更にこの洗浄ポンプ174と排出ポンプ175を被うカバー168が取付けられている。
この洗浄ポンプ174は、「洗浄モード」時において、洗浄槽166の内部から洗浄水を取り込み、洗浄ノズル169に所定の圧力で送り込むことにより、洗浄ノズル169の回転力付与と洗浄水の循環を行っている。「すすぎモード」時にも同様に洗浄ポンプ174は運転され、洗剤の含まれていない清浄な湯や水を洗浄ノズル169から噴射する。
また、排出ポンプ175は、洗浄部側排水管180と接続することで、洗浄槽内部から洗浄水を吸い上げ、食器洗い乾燥機6の外部に洗浄した後の汚れた水を排水する。そして、洗浄部側排水管180の端部には、本体側排水管163の接続部163Bと着脱自在に接続可能な接続部180Aが取付けられている。
なお、この食器洗い乾燥機6の定格最大消費電力は900W〜1000W程度であり、その内訳として、洗浄ポンプ174が100W、洗浄液を加熱するヒーター170が800W、乾燥用のヒーター176Bが200W、送風ファン176Aが10Wである。これら部品が全て同時に通電される訳ではないので、定格最大消費電力の範囲に収まっている。
次に、洗浄槽166の下面166Eと対向するカバー168の底部168Aの後側には、開口部168Bが形成されている。
この開口部168Bを臨む位置には、可動係止部181が設けられている。可動係止部181は、底部168Aに固定される基部182(図示せず)と、この基部に設けられた軸183(図示せず)と、この軸に回動自在に軸支された係止部184(図示せず)と、この係止部を一方向に付勢するように弾性支持する弾性部材185からなる。この弾性部材185は、例えば、ヒンジバネなどである。
係止部184は、軸183を中心に回転することにより、開口部168Bを出入り可能に設けられている。また、係止部184は、外力が加わらないときは、開口部168Bbから一部が突出した状態で、弾性部材185に弾性支持されている。
次に、カバー168の底部168Aの前側には、連動部186Aによって可動係止部181と接続された解除操作部186が取付けられている。この解除操作部186の解除動作が、連動部186Aを連動させて、係止部184(図示せず)を弾性部材185(図示せず)の弾性力に抗して回動させることができる。
この解除操作部186は、例えば、カバー168に対して前後に移動可能に設けられた操作レバーであり、この操作レバーに連動可能に取付けられた連動部186Aが、可動係止部181に連結する形態である。
また、前扉167には、解除操作部186が臨む位置に点検用開口部167Aが形成されている。この点検用開口部は、通常は蓋167Bにより閉鎖されているが、本体160と洗浄部161を分離するときに蓋167Bを外すことで、解除操作部186を食器洗い乾燥機6の前側から操作可能にする。
尚、洗浄部161の側面と重なるカバー168の(左右)両側面には、それぞれ前後方向に向かって第2のレール187がネジ止め等により固定されている。
以上のように構成された本体160と洗浄部161は、本体160の内部(左右)両側面160Cに固定された第1のレール164に、洗浄槽166の(左右)両側面に固定された第2のレール187が、スライド自在に組み合わされる。
この様に構成することで、本体160の前面開口部160Aから洗浄部161が前後方向に出入りできるように、本体160と洗浄部161が組み合わされている。なお、使用電力制御手段8Dは、制御部172の中に内蔵されている。
(空気調和機7)
実施の形態1に係る空気調和機の基本構成について説明する。
図40において、7は、家庭用の空気調和機である。この空気調和機7は、上記キッチン内家電機器KPが設置された台所に設置される場合もあるが、この実施の形態1では他の部屋(例えば居間)に設置されている。なお、空気調和機は1台であるとは限らず、複数の部屋にそれぞれ設置され、合計数台の場合もあるが、以下の説明では1台の場合で説明する。なお、この空気調和機には、電力指令装置9の使用電力制御手段8Eが組み込まれている。これにより電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で使用電力制御手段8Eが空気調和機7の電力を制御するようになっている。
空気調和機7は、部屋の内部に設置される室内機220と、室外機200とから構成されている。室内機220と室外機200を閉ループ状に連結している冷媒配管によって密閉状態の環状の冷媒回路KCが構成されている。
室外機200側の冷媒回路KCの中には、圧縮駆動源となるモーター(図示せず)によって圧縮動作が行われる電動圧縮機193と、四方弁194と、室外熱交換器195と、電動膨張弁196が設けてある。197A、197Bは、室内機220側の冷媒配管と室外機200側の冷媒配管をそれぞれ連結した接続部である。
198は、室外熱交換器195へ送風する室外ファンで、モーター198Mにより回転駆動される。199は、室外気温を検出する外気温度検出手段である。201は、室外制御部であり、外気温度検出手段199からの温度検出情報に基づきモーター198Mや電動圧縮機193、四方弁194と、電動膨張弁196等を制御する。
室内機220は、室内熱交換器221の近傍に配置された室内ファン222と、室内ファン222を駆動させるモーター222Mと、部屋の空気や壁の温度を検出する室内温度検出手段224と、室内制御部225と、室内制御部225と室外制御部201に200Vの商用電源を供給する電源部226とをそれぞれ有している。
室外制御部201には、コントロール回路基板(図示せず)がある。この回路基板には、200Vの商用電源を直流に変換するコンバーター部(図示せず)と、このコンバーター部で整流により直流電源化された電源を基にして動作するインバーター部(図示せず)とを有し、インバーター部では室外制御部201からの駆動信号を受けて周波数が制御された交流電源が電動圧縮機193に出力されるので、電動圧縮機193はその回転数が変更されるようになっている。
インバーター部は室外制御部201に内蔵されたマイクロコンピューター201Mを中核とする制御回路の制御下に置かれている。なお、マイクロコンピューター201Mは、室外制御部201に配され、電源部226から電源が供給される定電圧回路(図示せず)から駆動用の電源を供給されている。マイクロコンピューター201Mの内部又は外部には、制御プログラムを書込んだリードオンリーメモリー(ROM。図示せず)があり、またマイクロコンピューター201Mの外部には電気消去書込み可能な不揮発性メモリー(図示せず)に空気調和機7全体の制御用データが書込まれている。
室外制御部201は、そのマイクロコンピューター201Mが、リードオンリーメモリーに書込まれた制御プログラムと、不揮発性メモリー(図示せず)に書込まれた制御用データの内容を参照しながらインバーター部を通じて電動圧縮機193の運転を制御する。
227は、室内機220の本体外殻ケース等に設けた操作部であり、その近傍には操作結果を表示したり、室内温度や冷房・暖房の設定温度を表示したりする液晶表示画面を備えた表示部228を備えている。なお、この空気調和機7では、冷房、暖房、除湿、送風の、少なくとも4つの運転モードを選択できるように、モード選択スイッチ(図示せず)が操作部227に設けてある。
この空気調和機7の室外制御部201には、最大負荷時に定格の冷房能力を確保するよう、電流容量が設定されている。最大負荷未満の負荷状況においては、その負荷状況に応じて電動圧縮機193の運転電流の上限値を下げる。
空調負荷の1つの検出方法として、室外制御部201には室外温度検出手段199からの温度検出情報が供給され、検出した室外気温で負荷状況を判定する。これにより、例えば冷房時においては、室外の気温が低い状態、つまり運転負荷が低い場合には、室温の安定性や、省エネルギーの観点から、その負荷に応じた冷房能力になるので、消費電力を少なくして運転することができる。
また室内制御部225には、室内温度検出手段224からの温度検出情報が供給され、検出した室内気温で負荷状況を判定する。これにより、例えば冷房時においては、室内の気温が低くい場合、あるいは室内温度が低いことに加え、冷房目標温度も低い場合、つまり運転負荷が低い場合には、室温の安定性や、省エネルギーの観点から、その負荷に応じた冷房能力になるので、消費電力を少なくして運転することができる。つまり、一般にこの種の空気調和機7の消費電力の大半は、電動圧縮機193が消費するので、その電動圧縮機の運転速度を落とせば消費電力が少なくなる。例えば冷房時において、室外温度35度、室内温度31度の状態から、26度の(室内)目標温度を使用者が設定した場合と28度の温度を設定した場合、前者の場合が冷房負荷は大きいので、電動圧縮機193の運転速度は大きくなる。
(電力指令装置9)
電力指令装置9について、以下に図17を参照しながら説明する。
電力指令装置9は、キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dと、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われる構成になっている。そして、電力指令装置9が許可した使用電力内で各使用電力制御手段8A〜8Dが各キッチン内家電機器KPの電力を制御するようになっている。なお、各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dは、キッチン内家電機器KPに内蔵されたものでも良いし、アダプター形式でキッチン内家電機器KPの電源回路部にそれぞれ取り付けたものでも良いが、この実施の形態1では、このように電力指令装置9の外郭を構成する箱形状の1つの本体9Aに全て内蔵させている。
このように空気調和機7や食器洗い乾燥機6の電力も電力指令装置9によって一括して制御されるようになっている。また、「アダプター」とは、個々の家電機器とその電源との間に設けられる制御機器をいう。例えばここでいうアダプターとは、特開2012−83453号公報に示されるようなアダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき家電機器を接続する。そして電力指令信号をアダプターが無線や有線通信手段によって受け取ると、制御すべき家電機器の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器にアダプターを接続し、そのアダプターに電力指令装置9から電力指令信号を送り、その信号によってアダプターが家電機器を制御するので、既存の家電機器にもアダプターを電源側に介在させることで電力指令装置9によって電力を集中制御できる利点が得られる。
電力指令装置9は、各キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段8A〜8Dからの要求電力と、空気調和機7の使用電力制御手段8Eからの要求電力とを合計する要求電力加算器91と、要求電力加算器91が加算した合計電力とブレーカーBKの第1の上限容量(例えば、8000W)とを比較する比較器92と、比較器92の比較結果から合計電力の超過量を判定し、合計電力が8000W以下であれば出力せず、合計電力が8000Wを超えれば、その超過量を出力する要求電力超過量判定手段93と、要求電力超過量判定手段93からの出力がなければ(すなわち、超過量が0)、要求電力と同じ使用可能電力を各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dと、空気調和機7の使用電力制御手段8Eとに対しそれぞれ返信し、また超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と予め定めた優先順位に従って、各キッチン内家電機器KPと空気調和機7に対する使用電力の削減幅を決定し、これら各キッチン内家電機器KPと空気調和機7の使用電力制御手段8A〜8Eに返信する使用電力削減幅決定手段94と、内蔵した半導体メモリー95Aに予め登録されている「優先順位」を読み出し、使用電力削減幅決定手段94に電力削減の「優先順位」情報を送信する優先順位設定手段95とから構成されている。なお、健康管理機器410は、電池式のものもあるが、仮に商用電源EPで駆動されるものであってもこの電力指令装置9によって、消費電力を制限されたり、遮断されるような構成にはなっていない。
図1及び図2の300は、電力会社の交流200V電力が単相3線式の電力線301で供給される電力量計である。図17の電力線301は、第1相、第2相及び第3相の3本から構成されているが、その第1相と第2相には、電流クランプ302がそれぞれ挿入され、ブレーカーBKの電源側(上流側)で電流値を検出している。なお、電流クランプ302は、電力量計300とブレーカーBKの間に設置している。
313は、電流クランプ302からの電流から消費電力を計算する電力検出器であり、この出力は電力指令装置9の比較器92に入力される。315は、キッチン内家電機器KP、空気調和機7及び食器洗い乾燥機6以外の、家庭内で使用される移動可能な小型家電機器である。例えばヘヤードライヤー、電気アイロン、電気掃除機など1000W程度を内蔵するヒーターやモーターによって電気エネルギーを消費するものであり、使用電力制御手段8A〜8Eのような自己電力制限手段を有していないものである。図17では、電力指令装置9に定格最大電力情報や名称などが登録できない機器ということから「未登録機器」と表示している。この未登録機器は1台だけが使用されるものではなく、同時に複数台が使用される場合もある。この未登録機器315は、電力指令装置9によって直接電力量が減少させられたり、増加されたりする制御対象機器になっていないので、ブレーカーBKを経由して供給される電力をそのまま使用する。健康管理機器もこの「未登録機器」の一種になる。
使用電力削減幅決定手段94は、ブレーカーBKの第1の上限容量(例えば8000W)を超えないようにかつ「優先順位」の低いキッチン内家電機器KPと空気調和機7の使用電力制御手段8A〜8Eへは使用電力を減らすように電力要求のあった各キッチン内家電機器KP、空気調和機7に対する使用電力の削減幅を決定するものである。
「優先順位」とは、限られたブレーカーBKの第1の上限容量(例えば8000W)内で、調理性能、調理作業性を維持するための電力を必要とするキッチン内家電機器に優先して供給するための順位であり、電力を削減しても使用者への影響が少ないキッチン内家電機器ほど順位が低くなるように予め登録したもので、「第1の家電機器」の中では炊飯器3、誘導加熱調理器2、電子レンジ5の順で電力確保の優先度が定められており、これによって使用者の作業性が損なわれるのを防止している。但し、この優先度を決定する過程では、「優先調理メニューの実行時間帯」を持ったキッチン内家電機器KPでは、その「優先調理メニューの実行時間帯」が現実に行われている場合、その実行時間帯が経過するまでの間は、当該キッチン内家電機器KPの電力を電力指令装置9が削減することはない。
なお、電力削減が回避されていることを示す第4の表示情報210D、第6の表示情報54Aを表示する表示部を、「第1の家電機器」全部に個々に設けても良い。同様に電力削減対象機器であることを示す第1の表示情報210Aや第4の表示情報210Dを表示する表示部を、「第1の家電機器」全部にそれぞれ設けても良い。さらに、空気調和機7を始めとする「第2の家電機器」にも、同様に電力削減対象機器であることを示す表示情報と、実際に電力が削減されていることを示す表示情報をそれぞれ表示させても良い。さらに電力削減要請を受けていることを示す第2の表示情報210Bを表示するような表示手段を、誘導加熱調理器2以外の第1の家電機器や第2の家電機器に設けても良い。空気調和機7では、室内機220の表面に見えるように設けることや、それを制御する室内リモコンの表示画面(室内温度や運転モード名が表示される画面)に設けると良い。
単一のキッチン内家電機器KPにおいて、複数個の加熱手段(加熱口)があり、その1つが「優先調理メニューの実行時間帯」にあって現実に調理実行中であり、他の加熱手段では、「優先調理メニューの実行時間帯」にない場合、「優先調理メニューの実行時間帯」にある加熱手段については電力が維持され、他の加熱手段の電力が削減対象になるものである。
また「第2の家電機器」の中では電力確保の優先度は、空気調和機7、食器洗い乾燥機6の順で電力確保の優先度が定められており、これによって使用者の作業性が損なわれるのを防止している
空気調和機7は、キッチン内には設置していないが、同じブレーカーBKを介して電力が遮断される構成になっているので、「第1の家電機器」の炊飯器3、誘導加熱調理器2よりは低い順位に設定されている。そして同じ第2の家電機器の分類である食器洗い乾燥機6よりも優先度は高く設定されている。なお、「第2の家電機器」として衣類乾燥機を含んでいるが、説明を簡略化するため、以下では詳しい説明は割愛する。
96は、比較器92の比較基準となる合計電力値を、指定電力値に変更するように指令する使用限度設定器である。これは使用者が任意で、8000Wよりも小さい第2の上限容量を設定するものであって、例えば7500W、7000W、6500Wの中の1つの電力値を選択できるようになっている。なお、図17では指定電力値を「指定容量」と記載してある。なお、第2の容量の絶対値を設定する場合について例示しているが、使用者が認識できることは必須の条件ではなく、例えば定格容量(第1の容量)の「98%相当」(言い換えると2%減)のように、比率であっても良い。
99Aは、図1で説明したルーターAである。これにより電力指令装置9は家屋の外部の電力会社やその他の外部機関78Aのサーバーに接続される。このため、例えば官公庁やその地域の電力会社などから、電力逼迫情報などが送信された場合、その情報は使用限度設定器96の表示盤100に表示される。なお、使用限度設定器96とその表示画面100Aについては後で詳しく説明する。電力逼迫情報とは、各家庭の使用電力を強制的に下げる指令と、強制的ではなく任意で下げて欲しいという要請レベルの指令の少なくとも2種類がある。なお、通信手段97は、電力指令装置9側の情報を外部の通信回路網等へ送信する送信機能も有している。従って、この家庭の居住者が、住宅の外部において広域通信網に携帯電話やパソコンでアクセスし、この家庭の電力使用状態を知ることができ、また逆に外部から使用限度設定器96に対して、電力の上限値をインプットすることができる。
図41、図42は、使用限度設定器96の表示画面100Aの詳細を示すものである。これら図において、101はその家庭で使用が許されているブレーカーBKの容量(8000W)の値を数字で示す最大許容電力表示情報、102は現在使用しているその家庭の使用電力量を数字で示す現在使用電力表示情報である。103は、最大許容電力値に対して現在使用している電力値との余裕度を示す電力余裕値表示情報である。なお、この図25に示すように、余裕値を数字でそのまま示す方法の他に、例えば、「余裕度 大」、「余裕度 小」のように余裕の程度を文字で示す方法でも良い。
104は、広域通信回路網98から電力逼迫情報などを、ルーター99Aを介して受信した場合、ランプが点灯する電力削減要請報知部、105は現在時刻の表示情報、106は、比較器92の比較基準となる合計電力値を、指定電力値に変更するように指令する使用限度設定器96の設定キー及び各設定キーの内容を示す表示情報である。図41、42の状態では、8000Wキーのみが白抜き文字で表示されているので、電力使用限度はブレーカーBKの既定容量と同じ8000Wである。図41に示すように、設定キーは全部で4つあり、8000W用の設定キー106A,7500W用の設定キー106B、7000W用のキー106C、6500W用のキー106Dから構成されている。
107は、電力指令装置9が制御対象にしている家庭内の家電機器を表示する使用状態表示情報として、誘導加熱調理器2の名称107Aや炊飯器3の名称107Bなどが一覧形式で表示される。左側に行くほど、電力確保の面で、優先度が高い機器になっている。108は電力が使用されている場合、つまり現在使用されている場合は、点灯する使用表示部である。図41では、誘導加熱調理器2、炊飯器3、空気調和機7、照明が使用されていることが分かる。なお、使用表示情報108の近傍に表示された数値は、使用されている電力量であり、例えば1分毎に、過去1分間における平均電力値が表示される。なお、家庭内家電機器EEの優先度を設定すると、その優先度が最も高い順に左から右に、その設定された各家電機器の名称が表示されるような画面表示構成にしても良い。そうすれば使用者は優先順位の高い家電機器を直ぐに認識できる。
110は、インフォーメーション・キーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者に参考になる電力関連情報や、電力を効率的に使用する調理方法や空調機の温度設定方法などの情報がこの表示画面100Aの中にその都度表示される。その場合、表示面積を確保するため、現在時刻の表示情報105や電力余裕値表示情報103は表示しないようになっている。
111は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面100Aの見方や電力使用限度設定方法などが、模式図と文字で表示画面100A全体に表示される。
図42は、図41の状態で誘導加熱調理器2の名称107Bに使用者が触れた場合、最初に現れる画面の状態を示したものである。図42のように、誘導加熱調理器2が現在煮込み加熱動作を行っており、使用終了する推定時刻が12時50分であることが分かる。つまり現時点から見て30分調理が継続することが分かる。113Sは使用開始時刻表示情報、113Eは終了予測時刻表示情報部である。
このように使用限度設定器96の表示画面100Aでは、個々の家庭内家電機器EEの設置場所まで行って確認しなくとも、この表示画面で使用している家電機器の状態の概要が分かる。なお、上記したように、表示画面100Aの表面を覆うガラス板には、静電容量式の入力キーが形成されているので、所定位置のキーをタッチすれば、そのキーに対応した入力信号が使用限度設定器96に与えられる。
図43は、図42の状態になってから自動的に所定時間後、例えば10秒後に現れる画面の状態を示したものである。図43のように、誘導加熱調理器2が現在煮込み加熱動作を行っており、進行度を示すマーク114、115が表示されることによって、現在まだ途中段階であることが分かる。なお、調理の進行に伴ってマーク114が右側に順次増えて行き、最終的には終了予測時刻表示部113Eの左側まで、全てこのマーク114が並んだ状態になる。
この実施の形態1の特徴は、ブレーカーBKの容量(8000W)を超えるかどうかに関係なく、使用者が使用限度設定器96の表示画面100Aを見て自発的に家庭内の電力消費量を一括して削減するように制限を設けることができる点である。
すなわち、使用者は任意の時点で電力制限値を複数の中から選択できる。例えば、広域通信回路網98から電力逼迫情報などを受信した場合、電力削減要請報知部104のランプが点灯するので、これを見て自発的に設定することができる。あるいは使用者は別の情報源からの情報によって電力削減を思い立った場合、何時でも使用限度設定器96によって使用電力量の上限値を設定できる。
このため、仮にブレーカーBKの容量(例えば8000W)まで相当の余裕がある状態でも、例えば自発的に7500Wに上限値を設定し、それを超えないように電力指令装置9によって自動的に家庭内の家電機器EEの使用電力量を抑制することができる。なお、広域通信回路網98から受信した信号の中を自動的に選別し、特定の信号の場合は、自動的に電力指令装置9が、その時点の使用電力を5%カットするように電力削減動作を開始し、あるいは8000WのブレーカーBKの容量であった場合は、それよりも1段階下として決めてある容量、例えば7500Wに上限値を変更し、電力使用制限動作をするようにしても良い。
以上の構成を有する本実施形態1の家電機器の電力制御システムの動作について、図46に基づき説明する。まず、キッチン内家電機器KPとして数種類の家電機器EEが使用者の操作により動作を開始している状態であるとする。具体的には、炊飯器3と誘導加熱調理器2以外のキッチン内家電機器KPが先に動作開始していて、その次に炊飯器3が使用開始され、次に誘導加熱調理器2が使用開始される場合を想定する。
誘導加熱調理器2が加熱開始される直前の状態では、電力指令装置9は、既に各キッチン内家電機器KPから、所定の操作、例えば運転開始に必要とする電力の情報を受信しており、また誘導加熱調理器2からも必要な電力の要求情報を受けるので、電力指令装置9では、各キッチン内家電機器KPからの要求のあった電力値を要求電力加算器91にて集計し、集計された合計電力が比較器92にてブレーカー容量(例えば、8000W)と比較され、比較結果が要求電力超過量判定手段93に対し出力される。
要求電力超過量判定手段93では合計電力が8000W以内(=超過量が0)であれば出力せず、合計電力が8000W以上であれば超過量が使用電力削減幅決定手段94に対して出力される。使用電力削減幅決定手段94では、要求電力超過量判定手段93からの出力がなければ、要求電力と同じ使用可能電力を各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dに対し返信し、超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と優先順位設定手段95により設定された優先順位に従って、各キッチン内家電機器KPに対する使用電力の削減幅を決定し、これら各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dに対し返信する。
なお、電力指令装置9が、各キッチン内家電機器KPからの電力要求を受ける最初の時点は、何らかのキッチン内家電機器KPの主電源が投入された時点又は動作開始指令が行われた時点である。例えば、炊飯器3の電源コードの先端にあるプラグが電源供給口(所謂、コンセント)に挿入された後、所定の操作(例えば炊飯開始キーを押す)があった時点では、その炊飯器3の定格最高電力が要求される。またビルトイン型誘導加熱調理機では、主電源スイッチが押されて、主電源が入った後、加熱口が選定され、火力が設定された時点(又は遅くともその火力設定が確定して加熱動作開始された時点)である。なお、誘導加熱調理器2では、加熱口を最初に選定した時点で、自動的にデフォルト値(初期設定値)として例えば1000Wのような特定の火力がセットされる場合もあるが、この場合はその火力1000Wに加えて誘導加熱調理器2の内部電気部品(例えば、冷却用ファンのモーターの定格最高電力)の運転用電力などが加味された電力(例えば、1050W)が、電力指令装置9への要求電力になる。要求電力を送信した結果に対し、結局、電力指令装置9からOKの返信がなければ、その要求電力での運転は開始されない。これは各使用電力制御手段8A〜8Dによって個々のキッチン内家電機器KPへの通電が制限されるからである。
言い換えると、使用電力制御手段8A〜8Dでは、電力指令装置9が許可した使用電力内で各キッチン内家電機器KPの個々の電力を制御し、また電力指令装置9から使用電力削減指令があると、これに従って使用電力を削減し、この削減した使用電力内で各キッチン内家電機器KPの電力を制御する。なお、複数のキッチン内家電機器KPに対して電力指令装置9は、総電力量を指示するのではなく、予め総電力量を考慮して個々のキッチン内家電機器KPに対し上限の電力量を許可する方法を採用している。このため、例えば誘導加熱調理器2には、要求電力4800Wに対し4000Wのように具体的な電力上限値が指令される。
また、同様に空気調和機7を使用していた場合には、使用電力制御手段8Eは電力指令装置9に対して電力要求信号を発信し、またその結果、電力指令装置9から使用電力削減指令があると、それに従って空気調和機7の使用電力を削減する。食器洗い乾燥機6でも同様である。
このように、本実施形態1の家電機器の電力制御システムにおいては、各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dからの要求電力の合計電力がブレーカーBKの容量を超えないように、電力指令装置9によって、予め定めた優先順位に従って各キッチン内家電機器KPに対する使用電力の削減幅を決定して各キッチン内家電機器の使用電力制御手段8A〜8Dに指令するようにしているので、使用電力がブレーカー容量を超えないように制御することができる。そして、従来のような機械的に電力制限する場合と異なり、調理性能、調理作業性を維持するための電力を必要とするキッチン内家電機器KPに優先して供給することができる。
また、電力指令装置6Aによって、優先順位の低いキッチン内家電機器KPへは使用電力を減らすように指令しているので、調理性能、調理作業性を維持することができる。
このように、キッチン内家電機器KPには優先順位が付けてある。このように、電力を削減しても使用者への影響が少ないキッチン内家電機器ほど順位が低くなるように、炊飯器3、誘導加熱調理器2、オーブンレンジ5の順で電力確保の優先度が定められている。言い換えると、電力を削減する場合は、オーブンレンジ5、誘導加熱調理器2、炊飯器3の順になっている。しかし、これらの家電機器毎の優先度に従って、オーブンレンジ5だけでは電力削減量が確保できない場合は、「優先調理メニューの実行時間帯」を持ったキッチン内の特定の家電機器KPの中で誘導加熱調理器2が電力削減対象になる。しかしこの場合でも、その「優先調理メニューの実行時間帯」が経過するまでの間は、当該キッチン内家電機器KPの、当該優先調理メニューを実行する加熱源の電力に限っては、例外的に電力指令装置9が削減することはない。この場合は、次の優先度になっている炊飯器3に電力削減指令が発せられる。なお、空気調和機7と食器洗い乾燥機6が使用されている場合は、誘導加熱調理器2の前に、食器洗い乾燥機6が電力削減対象になる。食器洗い乾燥機6だけでも不十分な場合は、空気調和機7が電力削減対象になり得る。
ここで、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果を、要求電力加算器91にて集計した結果、合計電力がブレーカー容量(例えば、8000W)を超えていない場合で、電力削減指令が出されない場合であった状態から、使用者が使用限度設定器96の表示画面100Aを見て自発的に使用電力上限値を下げた場合について説明する。
この場合、図46のように電力指令装置9は、最初のステップ1(以下、ステップを「S」と省略する)で、総電力下げの指令が外部から与えられたものか判断する(S1)。そして、新しい上限値(例えば7000W)と、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果とを比較器92で比較し(S2)、上限値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定する(S3)。
そして使用中のキッチン内家電機器KPに電力削減指令を発する。この指令を受けて、ステップS1の時点よりも前に加熱調理を開始していた誘導加熱調理器2は使用電力を削減する。電力削減幅が1000Wであった場合には、誘導加熱調理器2は合計4200Wの消費電力であった場合、例えば第1の加熱口2L単独火力は3000W、第2の加熱口2Rの単独火力は1000Wの火力で、それぞれ湯沸しメニュー(非優先調理メニューの1つ)を実行していた場合は、合計3000Wの火力まで火力を下げる(S4)ことで、消費電力を3200Wまで下げる。なお、ここで200Wは内蔵されている送風機などの電気部品の消費電力とする。その後、誘導加熱調理器2は使用電力を1000Wだけ下げたことを電力指令装置9に報知する。
電力指令装置9ではその後、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果を再度集計した結果(S5)、その電力要求合計値が小さく、電力削減幅1000Wを超えるような余裕がある場合、例えば、上記した新しい上限値(7000W)に対し、その時点の電力要求合計値が5900Wを超えていない場合は、1100Wの余裕があることになるから、以前に削減した誘導加熱調理器2の使用電力を元のレベルまで戻すことを誘導加熱調理器2に事前に提案(報知)する。誘導加熱調理器2では、その報知から所定時間内に特に火力を上げるような操作をしない場合、火力を安全上の観点から自動復帰させないが、使用者が復帰に同意する操作をした場合、例えば火力上げる操作をした場合、元の4000Wの(合計)火力まで復帰させる(S6)。この場合の火力を上げる操作を省略するため、誘導加熱調理器2の上面操作部26に「復帰」というキーを設け、これを1回押せば、電力に余裕がある場合、元の火力レベルに簡単に復帰するようにしても良い。
仮に、単一の誘導加熱調理器2において、第1の加熱口2Lが「揚げ物」調理を行っており、1800Wの最大電力を消費する「優先調理メニューの実行時間帯」にあり、一方、第2の加熱口2Rが最大2000Wの消費電力を消費する「湯沸し」(非優先調理メニュー)を行っていた場合、電力指令装置9から指令された電力削減幅が1000Wであったときには、湯沸しの方の第2の加熱口2Rが電力削減の対象になり、湯沸しの火力を下げて、誘導加熱調理器2としての消費電力を1000W減らす動作を行うものである。
なお、図46の場合で、誘導加熱調理器2が使用されていない場合は、その誘導加熱調理器2による使用電力削減はできないので、優先度に従って、炊飯器3が電力削減対象になるが、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定した(S3)時点で、図46に示すように、炊飯器3が「優先調理メニューの実行時間帯」にある場合は、炊飯器3は電力削減の対象にならない。
また、キッチン内には同じブレーカーBKを使用する、電気ポットやホットプレート、オーブントースターなどのような1000W程度を10分〜60分程度使用する比較的小型の電熱機器類が他にもあり、また電気冷蔵庫もあるので、上記のようにキッチン内で誘導加熱調理器2を4000Wで使用していた場合でも、7000Wまで総電力下げるという設定を、使用者が使用限度設定器96で行った場合には、上記のように誘導加熱調理器2の使用電力が制限される場合があり得る。
次に、1台の空気調和機7、誘導加熱調理器2と炊飯器3が同時に使用されている場合で、電力指令装置9から総電力量を下げるという指令が発せられた場合について説明する。 図47において、各キッチン内家電機器KPと空気調和機7からの電力要求結果を、要求電力加算器91にて集計した結果、合計電力がブレーカー容量(例えば、8000W)を超えていない場合ではあるが、使用者が表示盤100の表示画面100Aを見て自発的に第2の上限容量値(使用電力上限値)を下げた場合について説明する。
この場合、図47のように電力指令装置9は、最初のステップ1で、総電力下げの指令が外部から与えられたものかを判断する(S1)。
そして、新しい第2の上限容量値(例えば7000W)と、各キッチン内家電機器KP及び空気調和機7からの電力要求結果とを比較器92で比較し(S2)、第2の上限容量値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定する(S3)。
そして優先度に従って、電力指令装置9が使用中の空気調和機7に電力削減指令信号を発する。この指令を受けて空気調和機7は使用電力を削減する(S4)。電力削減幅が300Wであった場合には、空気調和機7は冷房の目標温度が26℃であったものを28℃に変更することにより、空気調和機7で最も電力を消費する電動圧縮機193の回転速度を落として、電力消費量を少なくした省エネ運転に変更される。なお、目標温度と現在の室内温度との相関関係から、電動圧縮機193の回転速度を低下された場合の使用電力量は予め実験などで求めてあり、そのデータは空気調和機7側に記憶されてあるので、電力指令装置9からの電力削減要求に従って瞬時に電力削減運転のための電動圧縮機193の運転条件が決定される。
仮に、空気調和機7が使用されていない場合、炊飯器3と誘導加熱調理器2は、何れも直ちに電力削減対象にはならない。何故ならば、炊飯器3は強火工程(沸騰工程)H2Aを実行中であり、また誘導加熱調理器2は揚げ物調理を実行中であり、これら両者とも「優先調理メニューの実行時間帯」にあるからである。
なお、その後、空気調和機7は使用電力を300Wだけ下げたことを電力指令装置9に報知する。電力指令装置9ではその後、各キッチン内家電機器KPや空気調和機7からの電力要求結果を再度集計した結果(S5)、その電力要求合計値が小さく、電力削減幅300Wを超えるような余裕がある場合、例えば、上記した新しい第2の上限容量値(7000W)に対し、その時点の電力要求合計値が6500Wを超えていない場合は、500Wの余裕があることになるから、以前に300Wだけ削減した空気調和機7の使用電力を元のレベルまで戻すことを空気調和機7に事前に提案(報知)する。空気調和機7では、その報知から所定時間内に自動的に目標温度を26℃に下げる運転に復帰する(S6)。なお、空気調和機7は図47に示すように、使用電力を削減する動作を行った場合及び電力を増やす動作を行った場合、その直後にそれぞれ電力指令装置9に使用電力の情報を送信する。
このように、各キッチン内家電機器KPは、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置9に送信されている。また空気調和機7でも、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(冷房・暖房運転メニューの実行や、目標温度の設定など)が随時電力指令装置9に送信されているので、常に複数の家電機器EEの電力使用状況を把握することができる。これについて以下詳しく説明する。
図48は、誘導加熱調理器2を代表的な例として、その調理器の電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置9に送信されている状況を示したタイムテーブルである。他のキッチン内家電機器KPや空気調和機7においても基本的に同じように運転情報を随時電力指令装置9に送信している。
図48において、L1〜L7が、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す信号、L2は、加熱口を選択した信号で、図48では第1の加熱口2Lを選択した場合である。L3は、調理メニューを選択した信号であり、湯沸しや煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から「揚げ物」を選択した場合を示す。なお、誘導加熱調理器2は、このように時間帯別電気料金情報を取得するが、この取得は誘導加熱調理器2に主電源を投入した度に毎回行われる必要はない。また図48に示すように特定メニューではない「揚げ物」の場合は、時間帯別電気料金情報を使用者には報知しない。しかし、仮に取得する場合、そのタイミングは図48でいう信号L3とL4の間である。誘導加熱調理器2は電力指令装置9に情報提供を求める信号を送信し、電力指令装置9から送信された信号を分析し、時間帯別電気料金情報を取得する。
L4は、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された信号を示す。L5は、揚げ物工程が開始された情報を示す。このように、揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱調理器2が実際に「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかは、この信号L5以後であるか(但し、次の情報L6を受信していない)かどうかで判定される。L6は、実際にインバーター回路33Lの駆動が停止され、誘導加熱動作が終了した情報を示す。L7は、主電源遮断(OFF)を示す情報である。これら各信号L1〜L7には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。
図48から明らかなように、誘導加熱調理器2の電源投入から電源遮断までの全工程においては、信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューが確定していない段階であり、この直後に「揚げ物」調理が選択される可能性もあるので、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、この信号L1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、この信号L1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても良いが、電力削減効果は殆ど期待できない。
従って、例えば「優先調理メニューの実行時間帯」に定義されていない「湯沸し」の工程では、何時でも電力削減要求に応じて電力を削減できる。具体的には図49に示すように、調理メニューとして「湯沸し」を実行する工程で、加熱動作が開始されていても何時でも電力削減は可能である。
図50は、別の「優先調理メニューの実行時間帯」のある調理メニューを実行している状態を示したタイムテーブルである。この図50は、誘導加熱調理器2において「予熱」という調理メニューを実行した例である。信号L3は、調理メニューを選択した情報であり、この場合は各種調理メニューの中から「予熱」を選択した場合を示す。信号L4は、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された情報を示す。なお、「予熱」は、火力が最大で1500W程度必要とするが、時間をずらせて行う調理メニューではないので、特定メニューではない。
信号L5は、温度検出回路(温度検知装置)150が、被加熱物N、例えばフライパンの温度中が使用者の設定した予熱温度(例えば160℃)を検知した情報を示す。この予熱温度を検知するとインバーター回路33Lは、制御装置32によって火力が自動調節され、その予熱温度を維持するような動作を行う。
この信号L5の時点から「優先調理メニューの実行時間帯」が開始される。従って、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。仮に、この「優先調理メニューの実行時間帯」において不意に火力が落とされた場合、予熱温度を維持できず、使用者が所望の温度になっていると考えて調理(例えば卵焼き)を開始した場合、フライパンの温度が例えば140℃にあると、温度が低くて調理が出来ない、という事態を招く可能性がある。
L6は、実際にインバーター回路33Lの駆動が停止され、誘導加熱動作が終了した情報を示す。L7は、主電源遮断(OFF)を示す信号である。
図50から明らかなように、誘導加熱調理器2の電源投入から電源遮断までの全工程においては、信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューが確定していない段階であり、この直後に「自動煮込み」調理が選択される可能性もあるので、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、このL1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、このL1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても良いが、電力削減効果は殆ど期待できない。
なお、詳しくは述べなかったが、本実施形態1のキッチン内家電機器KPにおいては、電力指令装置9が炊飯器3の要求電力に対して優先順位を最も高くして、炊飯器3の要求電力を最優先で確保するようにしているので、ブレーカーBKの容量が8000Wを超えそうになっても、あるいは使用者が指定した上限の電力容量(例えば、7000W)を超えそうになっても、沸騰工程において電力が削減されることがなく、美味しいご飯を炊くことができる。
一方、食器洗い乾燥機6は、洗い工程中に電力が削減されると、洗浄ポンプ174を駆動するモーターの回転力が落ち、水やお湯の供給能力が大きく低下するので、洗浄ノズル169から噴射される水流が弱くなり、米粒等の汚れが落ちにくくなる。そこで本実施の形態1においては、洗い工程に必要な電力量を下回らないように電力を維持するので、この洗い工程の時間帯は、誘導加熱調理器2や炊飯器3でいう「優先調理メニューの実行時間帯」に相当しており、電力指令装置9からの電力削減要求の対象にならない。従って、この洗い工程中はノズルからの噴射水流を確保でき、汚れ落ち性能を損なわない。但し、誘導加熱調理器2や炊飯器3に比較して電力確保の優先度が低いので、ブレーカーBKの容量を超えるような事態における電力削減要請には応じることになっている。また、ヒーター170は消費電力が800Wと大きく、またこの電力を削減した場合は、洗浄液の温度を上げるまでの時間が延びるという影響が出るが、洗浄効果それ自体に大きな影響はないので、誘導加熱調理器2や炊飯器3でいう「優先調理メニューの実行時間帯」には相当しないように制御部172に事前に設定されている。
なお、電力削減された場合、洗浄工程は一時的に停止するので、その停止によって再度電力が復帰し、洗浄工程が開始されたとしても洗浄のための洗浄水の温度が下がっている場合は、所定の温度まで洗浄液の温度を上げるように加熱する時間も要し、トータルでの運転時間は延びる。そこで洗浄工程が停止した時点で、表示部191には洗浄を一時的に停止することを表示し、また洗浄が開始されても、所定の洗浄を完了するまでの時間が延びることを具体的に時間を示して使用者に報知する。
また、「優先調理メニューの実行時間帯」以外において電力削減した分、調理時間等の運転は延長する必要があるので、例えば誘導加熱調理器2では電力削減量に応じて、設定調理時間を延長するとともに、その旨使用者に報知する。なお、電力指令装置9側では、電力削減前から信号L1〜L4等によって加熱工程の進捗を把握しているので、加熱動作終了時点を誤って判断し、電力量を誤って増大させるようなことはない。
図51は、誘導加熱調理器2等の家電機器が、電力指令装置9によって電力調整対象になっているかどうかを家電機器側において知ることができるようにした動作を時系列に説明する説明図であり、図51において、L1〜L7が前述したように、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。LMは、健康管理情報が電力指令装置9側にあるかどうかを照会する信号である。
AS1は、誘導加熱調理器2からの運転情報信号L1を受けた場合に、電力指令装置9から当該誘導加熱調理器2に対して送られる対象機器登録信号である。なお、運転情報信号L1には、当該誘導加熱調理器2を特定する機器コードを含んでいるので、電力指令装置9は当該誘導加熱調理器2のみに対象機器登録信号AS1を送信する。
対象機器登録信号AS1は、誘導加熱調理器2が電力指令装置9に電気的に接続されており、電力指令装置9からの電力指令信号を受けて供給される電力量が削減されることが有り得る機器であることを示す信号である。そこで以後、この信号を「対象機器登録信号」という。
電力指令装置9から発せられた対象機器登録信号AS1は、誘導加熱調理器2の使用電力制御手段8Aが受け、これは制御装置32を介して、図22に示す表示部駆動回路35のインターフェース部に入る。そして対象機器登録信号AS1が来たことが表示コントローラー35Bで判別され、図26に示したような「電力削減対象」という文字が第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示される。なお、この対象機器登録信号AS1が来る前には、主電源が投入されているので、表示部駆動回路35は制御装置32によって起動され、表示画面129は図26に示したように必要な情報を先に表示している。このため、図20に示しているように、表示指令スイッチを兼ねている専用の注意情報ランプ430が点灯している場合は、これを押せば、電力指令装置9にある健康管理データの内の、特に注意データが、誘導加熱調理器2の側に読み出され、表示コントローラー35Bによってこの起動済みの表示画面129を利用して使用者へ報知される。なお、図51に示すLMの信号発生時点以後であっても、注意情報ランプ430を押せば、表示画面129に注意データを表示できる。
その後、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された運転情報信号L4が使用電力制御手段8Aを経由して電力指令装置9に送られ、さらにその後、その電力指令装置9から、その電力指令装置9に接続された全ての家電機器の総電力量を下げる電力削減要求信号(予告信号)AS2が誘導加熱調理器2に届いた場合、表示部駆動回路35は中央表示部16の表示内容を変更する。電力削減要求信号AS2を受けた場合は、誘導加熱調理器2の中央表示部16には、電力を下げて欲しいことを使用者に伝えるため、第1の表示情報210Aを消し、その部分に第2の表示情報210Bを表示する。例えば「電力削減要請あり」又は「電力削減の要請を受けています」等のメッセージを、白抜きの文字で表示する。
ここで、電力削減要求信号AS2とは、速やかに電力を下げて欲しいと電力指令装置9が促す信号であり、この信号から所定時間以内に総電力量が下がらない場合には強制的に電力を下げる。そのため、電力削減要求信号AS2を発してから所定時間内(例えば、数秒〜10秒以内)に使用電力制御手段8Aに電力削減指令信号AS3が発せられる。所定時間内に家電機器の何れかが電力を自発的に下げ、使用者が使用限度設定器96によって例えば7000Wまで総電力下げるという設定をしていたことに対し、十分な余裕電力が確保された場合、電力削減要求信号AS2は撤回され、他の家電機器の使用電力はそのまま維持される場合があり得る。電力削減要求信号AS2は撤回された場合でも、それ以前に対象機器登録信号AS1を受信している全ての家電機器では、第1の表示情報210Aにより「電力削減対象」という文字が再び表示され、この状態が続く。
電力削減指令信号AS3が発せられた場合、表示部駆動回路35は中央表示部16の表示内容を変更し、「電力削減」等のような第3の表示情報210Cを表示画面129の中に表示させる(図30参照)。
なお、図51に示すように、総電力量を下げる電力削減要求信号AS2が届いてから実際に電力削減動作が実行されるまでの期間は「猶予期間」TSという。この猶予期間TSは家電機器の使用者に自発的な電力削減動作を期待し、その実行に必要な最小時間を考えて設定されている。なお、この猶予期間を例えば1秒間隔で表示するようにしても良い。例えば表示画面129の中に、カウントダウン形式で、10秒、9秒、8秒と残り時間を表示しても良い。また棒グラフのような図形を表示させ、それが1秒置きに短くなっていくことで猶予期間が終わりに近づいていることを使用者に視覚的に訴えても良い。
また、以上の説明では、第1の表示情報210A、第2の表示情報210Bが誘導加熱調理器2の中央表示部16に表示される事例を示したが、他の部分に表示させても良い。また炊飯器3などの他の家電機器に同様に表示させても良い。
以上の説明から明らかなように、実施の形態1においては、例えば誘導加熱調理器2において、その電源投入から電源遮断までの全工程においては、「優先調理メニューの実行時間帯」以外では、電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能であるため、誘導加熱調理器2の運転中に電力削減要求信号AS2を受ける可能性のある対象機器であること示す文字「「電力削減対象」が、第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示されている。また、電力削減要請を受けた状態にある場合は、第2の表示情報210Bが表示画面129に表示される。実際に電力が削減された場合には第3の表示情報210Cが表示画面129に表示される。
さらに、「優先調理メニューの実行時間帯」においては、誘導加熱調理器2の外部からの指令があっても電力削減が回避されていることが第4の表示情報210Dで表示される。このため使用者がこれら第1〜第4の表示情報210A〜210Dを見ることによって、使用している誘導加熱調理器2への電力制限指令の影響を知ることができる。言い換えると、例えば、対象機器登録信号AS1を、誘導加熱調理器2が受け、最初は図26に示すように、「電力削減対象」という文字が第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示されるが、誘導加熱調理器2が茹で調理を開始して「優先調理メニューの実行時間帯」の加熱動作をしている場合は、この時間帯では電力削減要求信号AS2が誘導加熱調理器2に届いても表示画面129には表示されず、その他音声ガイドによっても報知されない。従って茹で工程の中で慌てて火力を下げるという使用者の操作を誘発することもない。
なお、「優先調理メニューの実行時間帯」の加熱動作をしている場合は「電力削減の要請を受けていますが、重要な調理工程に入っていますので、自動的に電力を維持しております。現在の工程が終わった段階で、電力削減する場合もあります」のように音声ガイドで報知し、使用者の理解を更に深めることを併用しても良い。もちろん、このようなガイドを文字で表示画面129に表示しても良い。
また、以上の説明では、時間帯別の電気料金区分情報と、加熱手段2RC、2LCが通電される時間情報とを同時に表示する、と述べたが、ここでいう「同時」とは、電気料金区分情報218L、218Mと時間情報216、219を使用者が見比べることができるように、ある時間以上に亘って同時に表示していることを意味しており、電気料金区分情報218L、218Mと、加熱手段2RC、2LCが通電される時間情報216、219とが、全く同時に表示開始されるということではない。
実施の形態1に示した誘導加熱調理器2は、加熱手段2RC、2LCと、加熱手段2RC、2LCの通電条件を設定し電気エネルギー量を調整できる上面操作部26と、加熱手段を制御し、所定の加熱プログラムを有した制御装置32と、を備え、上面操作部26は、通電条件を表示する中央表示部16(表示画面129)と、この表示部の表示内容を変更し、かつ通電条件を確定させる入力手段(タッチ式入力キー230,231、212など)とを備え、制御装置32は、加熱手段2RC、2LCが通電されている途中で誘導加熱調理器2の外部から所定の電力削減要求信号AS2及び電力削減指令信号AS3を受けたときに、削減可能条件を満たせば電力削減動作を行うものであり、制御装置32は、入力手段によって通電条件を確定させる前の段階で、加熱手段2RC、2LCが通電される時間情報216、219と、その時間に適用される時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mとを中央表示部16において同時に表示させる構成である。
この誘導加熱調理器2によれば、外部からの電力削減要求信号AS2に応じて誘導加熱調理器2の電力削減が行われる場合があり、加熱運転の開始前に、電気料金の安い時間帯での使用になるのかどうかを中央表示部16によって使用者が知ることができる。このため外部からの電力削減要請が無い状態でも使用者は電気料金のことを意識した使用をすることができ、結果的に個々の家庭において特に日中の電力需要時間帯での使用を減らすことができる。言い換えると使用者が加熱調理条件を設定する場合に、中央表示部16によって電気料金の安い時間帯を知り、その時間帯への変更を容易に行うことができるので、使用者の利便性を向上させることができるものである。
また実施の形態1に示した家電機器の電力制御システムは、家屋内に設置され第1の上限容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、このブレーカーBKを介して電力が供給され、使用電力量計測部をそれぞれ具備した複数個の家電機器2、3と、それら家電機器トータルの電力使用量を制御する電力指令装置9で構成する電力制御システムにおいて、電力指令装置9は、通信手段を介して家屋の外部から電力削減要求信号AS2を受信するものであり、家電機器2、3は、電気エネルギー消費部2RC、2LC、45と、電力指令装置9から対象機器登録信号AS1と電力削減要求信号AS2とを受け取る使用電力制御手段(受信部)8A、8Bと、この受信結果を使用者に報知する表示部16、49と、を備え、家電機器2、3には、電気エネルギー消費部2RC、2LC、45の通電時間帯を設定できる操作部26、55と、時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを当該家電機器2、3の外部に向けて表示する表示部16、49を設け、操作部26、55によって電気エネルギー消費部の通電時間帯を確定させる以前に、表示部16、49には、当該通電時間帯で使用した場合に適用される時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを表示させることを特徴とする家電機器の電力制御システムである。
この電力制御システムによれば、電力指令装置9は、通信手段を介して家屋の外部から電力削減要請情報を受信して家電機器2、3の電力を削減するとともに、家電機器2,3側では電気エネルギー消費部2RC、2LC、45の通電時間帯を設定でき、また時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mが表示されるので、電気エネルギー消費部の通電時間帯を確定させる以前に、適用される時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを使用者が知ることができる。このため、家電機器の側において、電気料金の安い時間での使用に変更するような操作を使用者に促すことができる。また通信手段を介して家屋の外部から電力指令装置9が時間帯別の電気料金区分情報を入手し、家電機器側へ提供するので、使用者がそのような情報を入手したり、家電機器や電力指令装置9に個々に入力したりする面倒な作業を必要としない。
また、電力制御システムは、家庭内の複数の家電機器EEの電力を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置9と、その電力指令装置と有線又は無線通信で接続され、その動作内容を表示する表示装置(TV受像機75もしくは表示盤100)とを備え、電力指令装置9には、健康管理機器で測定された計測データ(健康管理情報)を処理する健康管理処理部116を有し、表示装置(TV受像機75もしくは表示盤100)は、電力指令装置9の動作情報と、健康管理処理部116で処理した計測データ(生体データ)とを使用者の動作に応じて切り替えて表示させるものである。
この電力制御システムによれば、1つの電力指令装置9の情報伝達システムを利用して、健康管理の関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることが期待できる。
さらに、健康管理機器410は、人体の計測データ(生体データ)を測定する測定部214と、測定部で取得した計測データを一時的に保存するメモリー216と、メモリー内に蓄積した計測データを外部に送信する送信部314と、測定動作と送信動作を指令する操作部215と、メモリー内に格納された計測データを読み出して表示する機器側表示部213と、計測データを処理する制御部217と、を備え、送信部314は、家庭内の複数の家電機器の電力を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置9の表示盤100によって表示されるための計測データを送信するものである。
この健康管理機器によれば、電力指令装置9に計測データを送り、健康管理の関連情報も電力指令装置9の表示盤100の表示画面100Aにおいて表示させることができるので、1つの装置で電気エネルギー管理と健康管理を図ることができる。
さらに、家電機器は、調理用熱源となる加熱手段2RC、2LCと、加熱手段の通電条件を設定し電気エネルギー量を調整できる操作部26と、加熱手段2RC、2LCを制御し、所定の加熱プログラムを有した制御装置32と、を備え、操作部26は、通電条件を表示する表示部16、129と、この表示部16、129の表示内容を変更し、かつ通電条件を確定させる入力手段212、128A1,128B1,128C1とを備え、制御装置32は、加熱手段2RC、2LCが通電されている途中で誘導加熱調理器2の外部にある電力指令装置9から所定の電力削減要求信号AS2,AS3を受けたときに、削減可能条件を満たせば電力削減動作を行い、制御装置32は、電力指令装置9に格納された計測データの中に調理の方法や内容に参考となる注意データがある場合、その旨を表示部16、129で表示するものである。
この家電機器によれば、電力指令装置9の中に格納された健康管理の計測データの中に、調理の方法や内容に参考になる注意データがある場合、それを表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることが期待できるとともに、調理の方法や内容を改善して健康増進に貢献できる家電機器とすることができる。
また、電力指令装置9は、家庭内にある複数の家電機器EEに対する電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置であって、家電機器から動作情報を受け取り、また当該家電機器に電力制御信号を発信する電力の使用限度設定器96と、健康管理機器410からの計測データを受け取る健康管理処理部116と、健康管理処理部116と使用限度設定器とを制御する制御部125と、電力使用情報と健康管理処理部116にて受け取った健康管理機器からの計測データの情報とを表示する表示盤100と、を備えた電力指令装置である。
この電力指令装置9によれば、複数の家電機器のトータルの電力使用量を一元的に管理できるとともに、健康管理機器410からの計測データの計測結果も表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることが期待できる。
実施の形態1における健康管理機器410では、の測定日時を確定するための時計回路147を有し、その健康管理機器の操作部215には、計測データをメモリー216に格納する際に、当該計測データの被測定者を特定する個人識別データと当該計測データを紐付けするための識別情報(識別コード)を入力する入力キー(図示しないが、例えば2桁の数字入力できれば良い)を備え、操作部215によって、メモリー216に格納された計測データの中から、特定の個人の計測データを読み出して発信部314Aから健康管理処理部116に送信するようにしても良い。
このようにすれば、健康管理機器410側で、人体から取得した計測データを健康管理処理部へ送信したあとで、健康管理処理部116側で同様に個人別(被測定者別)に計測データを集計・蓄積処理する場合に便利であり、電力指令装置9の健康管理処理部116の統計処理作業やプログラム構成を簡略化できる。
また健康管理処理部116は、複数の異なる種類の計測データ(健康管理情報:例えば血圧と血糖値)を、被測定者別に蓄積するメモリー216を有し、表示盤100では、健康管理処理部116で被測定者別に集計処理した計測データ(生体データ)を被測定者毎に纏めて表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることができる。
さらにまた、表示盤100で表示される計測データは、図11に示した例のように、文字で示され、かつ被測定者を特定できる情報と、測定時期を特定できる日時情報とを有しているので、被測定者毎に計測データを確認でき、家族全体で健康管理情報を見て食事療法や生活環境改善に配慮、協力することができる。
また、表示盤100で表示される計測データは、健康管理処理部116への入力によって、被測定者を特定できる情報と、測定時期を特定できる日時情報と、特定の計測データの内、所定の範囲を超えたもの(要注意データ。例えば高血圧値、尿酸値)だけを抽出できるので、被測定者毎に注意すべき計測データを確認でき、家族全体で健康管理情報を見て食事療法や生活環境改善に配慮、協力することができる。
さらに、電力制御システムの表示装置として、電力指令装置9の表示盤100とTV受像機75の複数あり、その表示手段の内、少なくとも1つは電力指令装置9とは別個に液晶表示画面75Dの電源が投入・遮断できるTV受像機75であり、他の1つはTV受像機とは別個に形成され、家庭内の総電力量を一括して表示する表示盤100であるから、健康管理機器410で測定された計測データ(健康管理情報)を、電力指令装置9の設置された台所等の場所とは離れた場所(例えば、居間)にあるTV受像機に移送して表示することができる。このため、家族全員が揃った居間でTV受像機75を視聴している場面で、電力使用量の情報や健康管理情報などの情報を家族で確認でき、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることができる。なお、家庭で使用されているTV受像機75の液晶表示画面75Dは、20〜60インチ程度の大きさであるから、表示盤100の表示画面(通常数インチ程度)に比較して遥かに大きく、その分だけ詳細な電力使用状況データや計測データ、これらのグラフ等を大きく、一覧形式で表示できるので、使用者に正確に、かつ容易に状況を知らせることが可能である。
またTV受像機75を、家庭内電力制御装置用の表示手段に兼用するものにおいて、TV受像機75は、液晶表示画面75D、画質処理部75C、複数の入出力機能デバイス75J、75K、75L、75M及び電源供給部75Gの4つを具備し、電力指令装置9を入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの1つにコネクタ等を介して着脱可能に接続している。これによって、TV受像機75が故障、修理のため使用できない場合は、接続した入出力機能デバイス部との接続を解消し、別の(新規)TV受像機との接続換えで対応できる。この場合、記憶装置(大容量メモリー)109では、TV用の音声・画像記録部分のメモリーと、電力管理・健康管理データのメモリーを別々にしてあり、かつ分離できるようにしてあれば、古いTV受像機を廃棄する場合にも、手元には電力管理・健康管理データを残すことができるので、便利である。
さらに、複数の入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mと、電源供給部75Gとの間には、それぞれ回路を接続・遮断するスイッチング手段となるパワーFET75Sを具備し、使用者によって使用しない入出力機能デバイスは、その通電を任意に遮断できるようにしているので、電力制御システムにTV受像機75を利用している場合に、使用していない入出力機能デバイス(例えばビデオ用デバイス)に対応して設けられている専用LSI(半導体集積回路)の電源供給をカットできし、TV受像機75の省エネが期待できる。
また、入出力機能デバイスの1つは、外部ネットワーク通信デバイス75Nであり、当該通信デバイスは、液晶表示画面75Dの通電を遮断した状態においても動作するように、電源供給部75Gから電源供給を可能としている。このため、TV受像機75の液晶表示画面部75Dを使用していない時においても電力指令装置9や健康管理処理部116を家庭外部の広域通信ネットワーク等を介して外部機関78Bに接続が継続できる。このため、当該外部機関78Bからの緊急性のある情報、例えば緊急地震速報等の入手にも支障がない。
また、健康管理処理部116では、人の運動量(走行距離、歩数等)に基づいて消費カロリーを推測できる運動計測機器311A、311Bからの当該カロリーデータ等が入力可能に構成され、健康管理処理部116には、カロリーデータを蓄積する記憶部を備え、カロリーデータの蓄積結果を表示盤100及びTV受像機75にて個々に表示するようにしているので、電力使用量の情報や健康管理情報などの情報に加えて、運動情報も家族で確認でき、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上も同時に図ることができる。
なお、電力指令装置9で通電が制御される家電機器の1つとして、使用者が人力で移動させながら塵埃を吸引させる電気掃除機312あり、当該電気掃除機312には、使用時の作業時間(例:床ブラシの移動累積時間計測)に応じた消費カロリー算出部があり、健康管理処理部は、電気掃除機の運転終了段階で、消費カロリー算出部から、消費カロリーデータを取得している。すなわち、電気掃除機312の移動量計測計312Mを内蔵しており、この移動量データに基づいて消費カロリーを算出している。健康管理処理部116は、算出されたカロリーデータを、内部の記憶部に記憶している。このため、使用者は通常と同様の掃除動作をしているだけで自然に消費カロリーの算出が行われ、掃除の終了後に、その消費エネルギーを表示させて確認できる。
また、TV受像機75は、液晶表示画面75Dの電源が投入された場合、当該液晶表示画面75Dにはポータルサイトが図9に示すように表示され、当該ポータルサイトには、電力指令装置9用の画面選択入力部となる特別アイコン413、健康管理処理部用の画面選択入力部となる特別アイコン412を同時に表示させるている。このため、TV画面起動後、ポータルサイト画面にて、電力指令装置9の画面と、健康管理情報関係の画面を一覧状態から容易に選択することができる。
さらに、TV受像機75は、液晶表示画面75Dの電源が投入され、当該表示画面部で通常のTV放送番組等を視聴している場合、そのTV放送画面(内側又は外側)の周辺位置には、図13に示すように、電力指令装置9用の画面選択入力部となるアイコン423が常に見えるように同時に表示させている。このため、TV画面起動後、通常のTV放送画面を見ているときに、電力指令装置の画面に切り替える選択用のアイコンが視聴者から見えるので、TV放送視聴を優先しながら、電力使用量監視などの様子も随時選択できる。
なお、電力指令装置9の本体9Aには、緊急遮断ボタン119を設けていたが、このような緊急遮断用スイッチをTV受像機75に設けても良い。例えばTV受像機75の前面で液晶表示画面75Dの周辺部に、押しボタン式又はタッチ式の選択キーを設けることである。但し、この場合、TV受像機75の主電源スイッチが切られていると、緊急遮断動作が行えないので、電力指令装置9にも設ける方が安心である。
また、複数の家電機器の内、1つは誘導加熱調理器2のような加熱調理器であり、当該加熱調理器の表示部では、その主電源投入後、計測データの中で要注意データ(例:高血圧値、尿酸値)の被測定者がいることを表示させていたので、調理開始前に、要注意データのある家族のことを考慮して調理方法、味付け等を工夫した調理を促すことができ、健康増進に寄与できる。
また、電力指令装置9の表示盤100においても、家族の計測データを読み出して、要注意データ(例:高血圧値、尿酸値)と、その被測定者を特定できるので、家族の健康上の注意点(高血圧など)を確認でき、調理の仕方や味付け等において、例えば塩分濃度を低減する工夫を促すことができる。
さらにまた、電力指令装置9と接続された家電機器の一種の誘導加熱調理器2には、少なくとも1つ以上の感振機器を備え、当該感振機器が所定値以上の震度を感知していない状況で、家庭の外部から電力指令装置9が緊急地震情報を受信した場合、(1)電力指令装置9の所定のキー操作で使用中の家電機器の内、特定の機器の電力供給を遮断可能とし、かつ(2)TV受像機75の液晶表示画面75Dにも、使用中の家電機器の内、特定の機器電源供給を緊急停止用する特別アイコン414を表示する。このため、地震発生前に電力指令装置9側と、TV受像機75側双方で緊急に電源遮断動作を行える(なお、照明などの特定機器は、避難路確保や安全確認のため、電源供給のままとする)。
なお、個々の健康管理機器410で測定された計測データ(健康管理情報)を、一旦は携帯電話87に移し、そのデータを健康管理処理部116に移しても良い。また宅外で測定したデータを携帯電話87で宅内に持ち込み、そのデータを健康管理処理部116に移しても良い。何れも、健康管理処理部116へのデータの持込みの変形例である。
実施の形態2.
図52〜図58は、本発明の実施の形態2に係る電力制御システムを示すものであり、各図中、前述の実施の形態1のものと同一部分には同一符号を付してある。また誘導加熱調理器2、炊飯器3、オーブンレンジ5、食器洗い乾燥機6及び空気調和機7等の家電機器と、健康管理機器410は、何れも実施の形態1のものと同じである。但し、電力指令装置9には、「お好み情報」という個人的な食事内容の評価情報や室温、入浴温度等の情報を個人別に記録できることが異なっている。
図52〜図55はその家電機器の中の誘導加熱調理器における表示手段と操作部の一部を示す平面図である。図52において、129は、実施の形態1で説明したように、電力指令装置9が制御対象にしている誘導加熱調理器2の表示手段である液晶表示画面等の表示画面である。誘導加熱調理器2は、実施の形態1で示したように、左右に並んだ2つの誘導加熱源による加熱口を備えている。その左側の第2の加熱口2L(図示せず)を最初に選択した場合、液晶表示画面等の表示画面129には、図52に示すように、茹で調理を選択するキー128A3、煮込み調理を選択するキー128B3等がそれぞれ一覧形式で表示される。図52は煮込み調理を選択するキー128B3にタッチした後の状態であり、煮込み調理は優先調理メニューではないことから、加熱調理中に電力指令装置9から電力削減指令を受けた場合には、電力使用量が制限されることがあることを、「電力削減対象」という第1の表示情報210Aが、表示画面129の右手前隅に表示される。
図52で、最初に煮込み調理を選択するキー128B3にタッチすると、表示画面129の表示内容は図53のように大きく変化する。図53において、440は、健康管理情報選択キー、450は、お好み情報選択キーであり、460は、おすすめレシピを選択するキーであり、これら3つのキーは、調理メニューを選択する各種キー128A2,128A3、128B1、128B3等と同様に、タッチ式入力キーであり、入力可能な状態ではキー部分の輪郭が長方形の枠で示され、その中に名称が文字で表示される。ここでいう「レシピ」とは料理の調理方法を解説した情報をいうが、素材名とその量、作成途中や完成状態の料理外観の写真、料理に含まれる塩分量や消費カロリー値等の付属情報が含まれる場合もある。
図53で、健康管理情報を選択する選択キー440にタッチすると、表示画面129の表示内容は図54のように大きく変化する。図54において、441は、健康管理情報表示エリアであり、ここには健康管理機器410で計測された家族の健康関連データ(例えば、血圧値)の中で、正常範囲を外れた計測データがある場合に、その旨が表示される。具体的には「血圧の高いご家族がいます」という文字で表示される。なお、血圧データには、被測定者である家族を特定する識別コードが付けられて電力指令装置9の中の記憶装置149に格納されているので、個人を特定するような情報も表示できるが、家族全員で同じ調理を食するという前提であり、特定の家族だけの専用調理を作る場面ではないので、この例では個人特定情報は表示させていない。
図53の状態において、お好み情報選択キー450にタッチした場合は、図55のように表示画面129の表示内容は大きく変化する。図54において、451は、お好み情報表示エリアであり、ここには家族が電力指令装置9の表示盤100に読み込ませた色々な個人的な好み、食事後の感想、居住空間での感想・好みなどの情報が、表示される。
図56は、電力指令装置9の使用限度設定器96の操作部となっている表示盤100の表示画面を示すものであり、お好み情報登録用のアイコン451が、電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコン418や次の表示画面に進めるためのアイコン211Nと同様に表示されている。
図56はアイコン451を選んだことによって表示された「お好み情報登録用」の画面である。この図56に示しているように、お好み情報は最近の家庭における食事の感想や、ご飯の炊き方(お米の硬さ)の感想、お風呂に入る場合のお湯の温度、例えば40℃を普通として、それよりも熱めが良いか、温めが好みかという設問に対し、感想を記入するようになっている。図56では、昨夜の夕食の感想は「良い」になっている。
図57は、図53において、お好みレシピを選択する選択キー460にタッチした場合の、表示画面129の状態を示すものである。図57に示しているように、表示画面129の中央部には、「おすすめレシピ一覧」という文字が表示され、その下方には、素材系で3つに分類されたレシピ選択キー460A、460B、460Cが表示される、すなわち、野菜中心のレシピを選択するキー460Aと、肉と野菜を合わせたレシピを選択するキー460Bと、魚中心のレシピの選択キー460Cがそれぞれ表示される。またスープ系のレシピの選択キー460Dと、素材からレシピを捜すための選択キー460Eも同時に表示される。例えば高血圧の場合は、塩分の過剰摂取が主な原因になるが、これを改善するためには、塩分使用量を減らしたレシピを考えることと、塩分を体内から排出しやすくするレシピを探す、という2つの改善方法がある。そこでこの改善方法を誘導加熱調理器2が提案するが、誘導加熱調理器2の表示用メモリー35A(図22参照)に予め2つの改善方法毎に、レシピが記憶されている。例えば塩分を体内から排出しやすくするとい改善の方法では、食材を探すという選択キー460Eを選択すると、例えばレンコンを使った料理のレシピ(数種類あり)がこの表示画面129に表示される。但し、表示用メモリー35Aの記憶容量の制限から、材料から調理の仕方まで順次画像付きで解説しているような詳しいレシピは予め十分格納できない場合がある。そこで、この場合は、お好みレシピを選択するための選択キー460を押した後で、更にレシピを探すというキー(図示せず)を押せば、TV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109の中や、外部機関78Aが提供している料理紹介データベースにアクセスし、外部からレシピを探してダウンロードする。TV受像機75を視聴している間に見た料理番組や健康食品紹介番組などをTV受像機75で録画する場合、記憶装置(大容量メモリー)109に索引、キーワード等を付けて記憶させておくと検索時に探す時間が短縮できて良い。なお、1回のダウンロードの容量を自動的に制限し、例えば1メガ・バイト以下のコンテンツ(画像や文章など)に制限しても良い。
なお、図54の健康管理情報画面において、「もっと詳しくは次へを押す」と表示されているので、次の画面を選択する入力キー211Nを押すと、図57に示したような「おすすめレシピ」の中で、特に高血圧者向けの塩分使用量を減らしたレシピと、塩分を体内から排出しやすくするレシピの2種類に絞って推薦のレシピを表示する。同様に、体脂肪率が高い被測定者がいる場合には、図54において、無理なく体脂肪を減らすためには運動に加えて、食事の内容を改善した方が良く、1ケ月につき体脂肪を1kgずつ減らすために、日常生活の中で毎日約200〜250キロ・カロリーのエネルギーを減らす対処法がアドバイスされる。さらにおすすめのレシピ(1人前分の素材と作り方)、と、そのレシピのカロリー値、塩分使用量の実例が表示される。
図58は、誘導加熱調理器2等の家電機器が、電力指令装置9によって電力調整対象になっているかどうかを家電機器側において知ることができるようにした動作を時系列に説明する説明図であり、誘導加熱調理器2の場合を示している。図58において、L1〜L7を実施の形態1で説明したように、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。
この図58において、調理メニューを「煮込み」に設定した場合、そのメニュー選択情報信号L3が誘導加熱調理器2から発せられるが、その後、誘導加熱調理器2では、表示画面129に図53のように、健康管理の情報選択キー440と、お好み情報の選択キー450と、お好みレシピを表示させる選択キー460、の3つが同時に表示される。その後、そのお好みレシピを表示させる選択キー460にタッチすれば、その指令信号は電力指令装置9に送られ、電力指令装置9側から各種レシピの情報を誘導加熱調理器2が入手する。
なお、このような健康管理情報選択キー440と、お好み情報選択キー450と、お好みレシピを表示させる選択キー460、の3つの中の何れか1つにタッチした段階で、誘導加熱動作を開始することは可能である。例えば図54に示したように、健康管理情報を表示させた後、スタート用のキー212にタッチすれば誘導加熱動作が直ぐに開始される。なお、この図58において、誘導加熱調理器2が健康管理情報を入手するための照会信号LMを電力指令装置9に対して発したが、照会した日を基準にしてそれ以前の「所定データ収集期間」(高血圧では7日間)の計測データの中から注意データを抽出しており、注意データがない場合には、健康管理情報は「無し」として扱い、健康管理選択キー440を表示させないか、データ無しと表示させる設定になっている。但し、健康管理情報の種類によっては長期間に亘って改善すべきもの(例えば、体脂肪率)があるので、健康管理情報の種類によって不使用期間を長く(例えば1ケ月)するようになっている。高血圧でも「所定データ収集期間」を1ケ月に延長する変更は可能にしてある。また、調理メニューの選択段階で、健康管理の選択キー440を使用した場合は、上記のように所定データ収集期間」内の注意データだけ抽出するが、図14における既存データ表示指令キー425を使用した場合は、過去の全ての計測データ(注意データ以外も含めて)を表示させることができる。
なお、図56に示しているように、登録者別のページが用意されているので、評価者選択用アイコンから登録斜として自分のものを選び、評価記入すれば、即座に入力結果は、健康管理処理部116の計測データ(計測データや運動データ等)と同様に、電力指令装置9の記憶装置109に格納される。その後データが蓄積されると1月以上古いデータはTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109に自動的に移しておくようにしても良いし、自動的に削除(消去)しても良い。なお、入浴温度の好みは、図示していないが、自動給湯器を使用して自動的に浴槽に湯を満たす場合に、その給湯器のリモコン部で評価者コードを入れて、お好みの湯温にセットするという活用方法がある。この他に子供部屋等のように使用者が固定化されている部屋の空気調和の目標温度もこのお好み情報を利用してセットし、電力指令装置9で特定の部屋の温度をお好みの温度に遠隔制御するという利用の仕方もある。
このような構成の電力制御システム及び家電機器であるので、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに家族等のお好み情報が電力指令装置9によって集約され、その情報を電力指令装置9の表示盤100や誘導加熱調理器2や炊飯器3等によって適宜引き出して、調理の場面で参考にすることが出来る。
実施の形態3.
図59は、本発明の実施の形態3に係る家電機器の電力制御システムと健康管理システムの全体構成図である。図60は、本発明の実施の形態3に係る電力指令装置の主要部分の構成を一部縦断面で示すブロック図、図61は、家電機器の電力制御システムと健康管理システムの主要構成部分相互の信号伝達を時系列で示す説明図である。各図中、実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。
図59において、HA1は1つの家屋の居住空間を示す。HA2は、同じく居住空間であり、実際には浴室である。500は、この浴室に設置された浴槽であり、屋外に設置してある電気式給湯設備502から温水が供給されるようになっている。501は、浴室HA2の内側壁面に取り付けられている給湯用リモコンであり、給湯開始や湯の温度設定等を使用者が行うものである。
リモコン501は電気式給湯設備502に電気的に接続され、また電気式給湯設備502は、主幹回路(電源供給路)27に接続され、電力が供給されるようになっている。
750は、浴室HA2内部に置かれており、主幹回路(電源供給路)27に接続されている浴室用のTV受像機であり、居間に設置された(メイン)TV受像機75とは所定の信号ケーブル751で接続されている。なお、信号ケーブルは、放送信号や電力指令装置9からの信号を送るものであるが、このような専用の有線接続ではなく、電源線を利用した電力線搬送技術で信号送・受信したり、赤外線信号など無線方式によって通信で制御したりするものでも良い。760は浴室用の照明器具である。
この実施の形態3で示す浴室用のTV受像機750は、主に映像や音声、情報等を浴室側で受信する目的で設置してあり、居間のTV受像機75の機能を全て具備していないが、TV受像機75で放映している内容や電力指令装置9から送信された情報は全て受信し、表示できるようになっている。但し、TV受像機75のような記憶装置(大容量メモリー)109は具備しておらず、短時間の動画を蓄積できる程度の記憶手段しか保有していないし、健康管理機器410で取得した計測データも蓄積されていない。またこの浴室用のTV受像機750は、TV受像機75が外部機関78Bから緊急地震速報を受信したり、また電力指令装置9を経由して緊急地震速報や、あるいは感振機器(図示していないが、電力指令装置9やキッチン内家電機器KPの中に設置してある)が震度を感知したりするという事態が発生すると、TV受像機75と同時に起動され、表示画面にそのような情報が表示される。
図60に示すように、電力指令装置9の本体9A内部には、キッチン内家電機器KPを含む複数の家電機器EEの電力使用量を設定する使用限度設定器96、マイクロコンピューターを主体に電子回路で構成された制御部125、この制御部125で制御される健康管理処理部116が収納されており、その本体9Aの正面には、10〜15インチ程度の画面サイズを有する表示画面100Aが取り付けられている。この電力指令装置9の本体9Aは、図60では厚みのある箱形状であるが、実際には2〜3cm程度の平板形状であり、また重要も2kg程度であるので、通常はキッチンの壁に掛けて使用するが、必要に応じ、食卓の上に移動したり、あるいは別の部屋に持って行ったりすることも容易である。なお、電力指令装置9は、電源供給回路27に接続自在な電源コード(図示せず)を有しているが、仮にその電源供給回路27から切り離して使用することも出来るように、本体9A内部には、高性能の蓄電池(図示していない)が内蔵されている。電源コードから電力が供給されない場合は、瞬時に蓄電池からの電源に自動的に切り替わる構成になっている。使用限度設定器96と、家庭内部の各家電機器EEとの相互通信は、赤外線又は無線によって行うようになっている。
また電力指令装置9の本体9Aには、インターネットを利用した各種情報やコンテンツ等を提供する専用のサーバーを備えた外部機関78Aが、ルーター(図示せず)等の機器を介して接続される。なお、外部機関78A側から情報が送信された場合、電力指令装置9側で直ぐにその情報の内容を確認するようになって設定してある。なお、この電力指令装置9の本体9A内部にある健康管理処理部116は、実施の形態1で説明したように、血圧計410Aのような各種健康管理機器410からの発信情報を読み込むための情報受信部137を有しており、この情報受信部137では、携帯電話87で入手した情報や、その他の運動計測機器311(室内ランニングマシン311A等)で取得した運動情報、消費カロリー情報等を受信できるようになっている。
503は、少なくともキッチン空間の内側壁面と、TV受像機75のある居間などの部屋、浴室の内部空間等のそれぞれ設置された温度計と湿度計の複合測定器である。このように3つの離れた場所に複合測定器503をそれぞれ設置しているが、これら測定器も電力指令装置9の本体9Aと個別に赤外線や無線通信するように送信部と受信部を内蔵しており、電力指令装置9からの指令によってその都度測定した気温や湿度を電力指令装置9に送信するようになっている。また一定時間(例えば1時間)毎に温度と湿度の測定結果を電力指令装置9に送信する。そのような温度と湿度の送信にあたり、各複合測定器503には、設置場所によって別々の識別コードが付され、温度、湿度計測データの送信時にその識別コードを先頭にして送信しているので、電力指令装置9側では、どの場所の計測データであるか識別できる。
図61は、家電機器の電力制御システムと健康管理システムの主要構成部分相互の信号伝達を時系列に示す説明図であるが、家電機器の代表としてTV受像機75と炊飯器3を示している。なお、炊飯器3はキッチン内で前日の夜にタイマー設定され、翌朝の午前6時35分に炊飯が完了するように設定されている場合を示す。
次に、図61を参照しながら、起床時点からの電力制御システムと健康管理システムの動作について説明する。
まず1人が午前6時に起床し、居間に行ってTV受像機75でTV放映を見ようと所定のスイッチを入れた場合、この液晶表示画面75Dの起動信号が直ぐにTV受像機75から電力指令装置9に送信される(時刻:午前6時10分)。すると、電力指令装置9は、図61に破線の矢印で示すように、TV受像機75のある居間の(温度計と湿度計の)複合測定器503に向けて測定指令信号を発し、複合測定器503は、気温と湿度の測定結果を電力指令装置9に送信する(時刻:午前6時11分)。
電力指令装置9は、TV受像機75のある居間の気温と湿度が、居住者に不快な気温や湿度でない限り、健康管理機器410を使って起床後30分以内に血圧等を計測するように推奨する。また計測後に、ラジオ体操やリラックス体操等を軽く行うように運動も推奨する。このような推奨(行為のすすめ)は、TV受像機75の画面に文字や映像を表示させて音声とともに視聴者に知らせる。なお、TV受像機75が居間と、2階の寝室にあり、起床した人が寝室のTV受像機75を起動した場合には、居間のTV受像機75は何ら起動されず、2階の寝室のTV受像機75の液晶表示画面75Dによって、このような健康管理のための計測と、運動のすすめが行われる(時刻:午前6時12分)。
居住者が、その後血圧を計測した場合は、その計測後に血圧計410Aから自動的に電力指令装置9の健康管理処理部116に向けて血圧計測データの送信が行われる(時刻:午前6時20分)。また居住者が、その後トイレに行き、尿検査機器で尿の成分を計測した場合は、その計測後に尿検査機器410Gから自動的に電力指令装置9の健康管理処理部116に向けて尿検査結果のデータ送信が速やかに行われる。
電力指令装置9の健康管理処理部116は、血圧と尿検査の結果を示すデータを、既に起動されているTV受像機75に速やかに送信する。つまり、起床した居住者が、例えば2階の寝室でTV受像機を起動した場合、2階のTV受像機75にて自動的に健康管理データの表示が行われる。なお、この場合、2階ではなく、1階の居間のTV受像機75を起動させて健康管理データを見ることも可能である。このようにして起床している被測定者Aの健康管理データは、電力指令装置9の健康管理処理部116に一時的に記憶され、その後居間にあるTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109にデータが記録、蓄積される(時刻:午前6時31分)。
その後、6時35分になって炊飯器3が炊飯完了・保温動作に入る旨を電力指令装置9に向けて情報を送ると、電力指令装置9は、図61に破線の矢印で示すように、炊飯器3が置かれているキッチンの室内温度と湿度の複合測定器503に対し、最新の測定結果を報告するように指令を出す。
複合測定器503は、キッチンの室内空間の気温・湿度を電力指令装置9に伝える。一方、TV受像機75側では、電力指令装置9からの炊飯完了・保温動作開始の報知を受け、さらに矢印770Cで示すように、温度と湿度の情報が届いたあとで、保温動作が不要であると判断した場合は、保温動作停止指令を電力指令装置9に向けて発信する(時刻:午前6時40分)。すると電力指令装置9は炊飯器3に対して保温動作の停止を指令する(午前6時41分)。この後、炊飯器3は保温動作停止を電力指令装置9に伝え、電力指令装置9は、保温動作の停止指令を発したTV受像機75に対して、保温動作は停止した旨を報知する。このため当該TV受像機75では、炊飯は完了したが、保温されていないことが液晶表示画面75Dの文字やイラストでの表示から分かる。
なお、保温動作を止めるとそれだけ炊飯器3の省エネ効果は高くなるが、一方、せっかく炊いたご飯が時間経過とともに異臭を発する懸念もある。そこで炊飯器3の周囲の室温が低い場合(冬場など)には保温停止ができる場合があるので、電力指令装置9では、室温の状況と、炊飯器3からの保温停止可能条件とを比較し、炊飯器3で禁止されていない環境にある場合には、保温停止指令を炊飯器3に向けて発する。つまり、使用者が直接炊飯器3の場所に行って保温動作を停止する場合と異なり、TV受像機75と電力指令装置9を介して離れた場所から保温動作を停止する場合には、使用者の誤った操作を誘発しないように、電力指令装置9では炊飯器3で想定されている使用禁止形態や条件を参照し、安全側にある場合に保温停止等の制御動作を発令するようになっている。
また、この炊飯器3では、炊飯動作が完了すると自動的に保温モードに移行するようになっているため、TV受像機75を介して居住者の1人が保温動作を停止すると、当人が忘れる場合もあるが、他の居住者(家族)は、保温動作の停止を知らず、炊飯完了してから相当時間が経過して、保温停止を知ることになり、混乱が起こる(故障ではないかとの誤解も招く可能性もある)。そこで、念のため家族に広く周知する意味で、TV受像機75にて保温停止を報知するようにしている。なお、保温動作の指令を入力したTV受像機以外のTV受像機75でも、家電機器の電気エネルギー管理の表示内容にて、保温停止していることが分かり、また電力指令装置9の表示画面100Aでも同様に、保温動作停止中であることが表示されるので、それによっても保温停止を知ることができる。もちろん、使用者が炊飯器3の液晶表示部49や保温用スイッチ55の点灯状態等を見れば、保温していないことは直接目視で確認できる。
この実施の形態3によれば、例えば入浴中に、外部機関78Bが緊急地震速報を発信し、あるいはこの家屋自体が地震によって揺れた場合、入浴者はそのことを浴室用のTV受像機で速やかに知ることができ、予期せぬ突然の地震発生でパニックになり、浴室から脱出しようとして転倒事故を起こすというような事態を回避できる。なお、この浴室用のTV受像機750を利用して、自分の健康管理データを浴室の内部でリラックスした気分で確認したり、お好み情報を登録したりすることもできる。なお、浴室外に居る住人が、緊急遮断ボタン119Aを押して電源を一斉遮断しても、この浴室の照明器具760の点灯状態は維持される。
さらに入浴中の温度をリモコン501で確認し、自分の好みのお湯の温度を確認し、快適な入浴温度になるように設定する等の便利な使い方ができる。この浴室用のTV受像機750に、図12のTV受像機75で示したように、「電気緊急遮断」という特別アイコン414と、「緊急地震・津波情報受信」という特別アイコン415を表示させるようにすれば、「電気緊急遮断」の特別アイコン414を選択して、電力指令装置9の本体9Aの場所まで使用者が行かなくとも、家屋内の所定範囲の家電機器の電力供給を遮断できたり、津波襲来に備えて避難開始できたりするから、さらに安全性を高めることができる。
実施の形態4.
図62は、本発明の実施の形態4に係る家電機器の電力制御システムと健康管理システムに使用したTV受像機の表示画面とリモコン外観図である。図63は、そのTV受像機で調理レシピを一覧表示した状態を示す表示画面とリモコンの外観図である。図64は、そのTV受像機で調理レシピの検索を実施した結果を示す表示画面とリモコンの外観図である。図65は、そのTV受像機の表示画面起動後の動作を示すフローチャート図である。図66は、そのTV受像機で調理レシピの検索を行う場合の動作を示すフローチャート図である。各図中、実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。
この実施の形態4では、誘導加熱調理器2や炊飯器3、グリル調理器4、オーブンレンジ5等の各種調理機器が希望する料理のレシピをより簡単に決定できるように改善したものである。
図62は、テレビ用ポータルサイトをTV受像機に表示した状態を示す正面図である。リモコン75Rに設けられた特定の電源ON用ボタンを1回押圧すると、TV受像機75が起動され、システム制御部75Eは液晶表示画面75DにTV用ポータルサイトを表示する。
図62に示しているように、TV用ポータルサイトには、例えば「ニュース」、「天気予報」、「交通情報」、「地震・津波情報」などの略方形の枠で囲まれたアイコン(オンスクリーン型の入力スイッチ)411によるポータルサイトのメニューが表示される。また、別のアイコンとして、「健康管理情報」と表示された特別アイコン412と、「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413と、「おすすめ調理」と表示された特別アイコン601が、それぞれ表示されている。これら3つの特別アイコンは、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。
図62において、「おすすめ調理」と表示された特別アイコン601をリモコン75Rで選択すると、液晶表示画面75Dの表示内容は図63に示しているように大きく変化する。図63は、TV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109に格納された料理のレシピを示している。図63に示しているように、野菜中心のレシピ群を示すための「野菜系」という表示情報602から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが3つ並んで表示される。1番左のレシピには番号が付けられており、図63では「#1」となっている。これより右には順次「#2」、「#3」というレシピの表示情報が表示される。602Aは「#1」のレシピで、順次「#2」は602B、「#3」は602Cという符号を付けている。
603は、肉と野菜を中心にしたレシピ群を示す「肉+野菜系」という表示情報であり、その表示から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ603Aは、「#1」という番号が付けられている。604は、魚を中心にしたレシピ群を示す「魚中心」という表示情報であり、その表示から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ604Aは、「#1」という番号が付けられている。
605は、スープやシチュー等の液状料理のレシピ群を示す「スープ・シチュー」という表示情報であり、その表示から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ605Aは、「#1」という番号が付けられている。各レシピは、左側が最も優先度が高く、例えば誘導加熱調理器2において表示画面129に、野菜系のレシピを表示させた場合、最初は602Aのレシピが表示され、次のおすすめレシピを呼び出すと、602Bが表示されるというように、図63に示すレシピ群を順次右に進んで行き、個別のレシピが順次表示される。
また誘導加熱調理器2や炊飯器3、グリル調理器4、オーブンレンジ5等の各種調理機器において、一度選択されると、そのレシピの優先度は最優先に変更され、次に液晶表示画面75Dに表示される場合は、最も左側位置になる。当然ながら、誘導加熱調理器2等でレシピを呼び出した場合も、最優先に変更されたレシピが最初に読み出されてそれら調理機器において表示される。
606は、図57に示した実施の形態3のレシピ選択キー460Eと同様に、素材からレシピを探すための選択キー(アイコン)である。418は、実施の形態1の図13で示したように、電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコンである。607は、レシピを検索するためのアイコン、608は新規なレシピを追加したり、既存のレシピを一部修正したりするためのアイコンである。609は、図62のTV用ポータルサイトの画面に戻るためのアイコンである。
図63において、野菜系のレシピ(#1)と表示されたアイコン602Aをリモコン75Rで選択すると、液晶表示画面75Dの表示内容は図64に示しているように大きく変化する。図64は、具体的なレシピの全体が、TV受像機75の液晶表示画面75Dに表示された状態を示している。図64において、602Tは1つのレシピ602Aに関する情報が表示されるエリアであり、602Gはレシピに関する完成状態又は作成途中段階の写真やイラスト等の部分である。
602Pは、料理の作り方やその材料について詳しく文章で説明した説明文、602Kは、そのレシピ602Aの料理の1人前あたりの食品カロリー値を示した部分、603は、同じくその料理1人前あたりに含まれる塩分の量(重さ)を表示した部分である。
602Xは、その料理1人前あたりを作るために必要となる加熱調理機器側の電力量(単位:kwh)を示した部分である。なお、この電力量は、加熱調理機器側の種類や性能にも影響するので、あくまでも参考程度のものである。
602Mは、その料理について、過去に家族の誰かが記入した評価コメントであり、実施の形態2の図56に示すようなお好み情報記録のページから記入された評価、あるいはこの図64の「評価追加」というアイコン611を選択して書き込んだ評価、の少なくとも何れか1つ又はその両方である(評価は複数記録できる)。
610は、この図64に示されたレシピ602Aを、例えば誘導加熱調理器2に送るためのアイコンである。なおレシピを送信すると説明したが、実際はレシピ602Aを特定する情報が、電力指令装置9に送信され、誘導加熱調理器2がレシピを探しているという情報が、その誘導加熱調理器2から電力指令装置9に伝達された場合に、TV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109からレシピ情報を読み出して誘導加熱調理器2に提供する方式を採用している。これはレシピの内容によっては、写真・画像情報等を含み、情報量が大きくなっているレシピをそのまま調理機器側に送信すると、調理機器側の内蔵メモリーの格納容量を超える場合もあるためである。調理機器側に十分な記憶容量があれば、実施の形態1で説明したように、調理機器側へ事前に送信しておいても良いし、あるいは電力指令装置9の内蔵メモリーで一時保存しておくという方法でも良い。
また、レシピの内容によって、例えば「グラタン」というレシピは炊飯器3には送信できないが、「炊き込みご飯」というレシピは炊飯器3に送信できる。このように各レシピの属性情報の中には、対応可能な調理機器のコードが記録されており、そのコードはキッチン内家電機器KPを構成する各種調理器のコードと合致させてある。なお、例えば誘導加熱調理器2に送られたレシピ602Aは、送付記録が電力指令装置9に残っており、誘導加熱調理器2からのレシピ提供要請時に、その送付記録を参照して、レシピを特定するから、その後誘導加熱調理器2で、野菜系のレシピを検索しようとした場合(実施の形態2の図57参照)に、他のレシピに優先して最初に表示画面129に表示される。
図65は、希望のレシピを選択するまでのTV受像機75の動作を示したフローチャート図である。なお、このTV受像機は、主電源が既に投入されているものとして説明する。 まず、TV受像機75の液晶表示画面75Dを起動するため、リモコン75Rの所定のボタンを押す(ステップ1。以下、「ステップ」は「SS」と記載する)。すると、システム制御部75Eが液晶表示画面75Dと電源供給部75Gとの間へ介挿しているパワーFET75SをONにして液晶表示画面75Dが起動される(SS2)。
そのため液晶表示画面75Dは、図62に示したようなポータルサイト画面を最初に表示する(SS3)。ここで、おすすめ調理のレシピを選択するアイコン601を選択すると(SS4)、システム制御部75Eは記憶装置(大容量メモリー)109に格納されている各種料理のレシピを読み出す指令を発し、レシピが図63に示した形態で一覧できるように表示される(SS5)。
一方、おすすめ調理のレシピを選択するアイコン601は選択されず、電気エネルギー管理を選択するための特別アイコン413が選択(SS6)されると、電気エネルギー管理の画面に切り替わる(SS7)。75Jは、屋外アンテナ77から地上波、衛星波等の放送波を受信するチューナー・デバイスである。
そして、図63に示されたレシピの中から、それか1つを選択すれば、図64に示されるように当該選択されたレシピの内容が、広い面積の液晶表示画面に表示される。そこで、この図64のレシピを選択して調理器機器側に送信するにはアイコン610を選択すれば良い。
一方、図63に示されたレシピの数が多く(図63では、紙面の都合上、合計15のレシピしか記載していないが)、好みのレシピが簡単に見つけられない場合には、検索用のアイコン607を選択すると(SS8)、液晶表示画面75Dには、検索条件をインプットする画面が表示される。検索条件は例えば図66に示すように合計6つある。例えば「4 健康管理」の項では、例えば「高血圧」と条件を入れる(各種インプット項目が列挙されているので、その中から1つ又は複数を選択する)。その他検索条件としてインプットできる5つは、「レシピの名称」、「カロリー値」、「電力消費エネルギー」、「調理器具名称」、「過去に選択したことの有無」である。
このようにして健康管理情報も検索対象にして検索する(SS12)と、高血圧の人向きの料理のレシピが図64に示したように、液晶表示画面75Dに表示(SS12)されるので、これをアイコン610で選択して調理器機器側に送信すれば良い。なお、検索せずに、別の素材系(例えば野菜系)の範囲でレシピを探す場合は、アイコン602を選択すれば(SS10)、野菜系に属する各種レシピ602A〜602Cの内容が液晶表示画面75Dに表示され(SS11)、以後は、この野菜系に属する各種レシピ602A〜602Cの中で1つ又は複数を選択すれば良い。
また実施の形態1においては、地震発生時の揺れを検知する感振機器241で、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を制御装置32に送り、制御装置32で、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行っていたが、電力指令装置9が、家屋の外部から受信した緊急地震速報等を利用して、さらに地震対策を強化しても良い。緊急地震速報は、日本の気象庁が提供している予報警報であり、「一般向け」と、基準が低く情報量が多い「高度利用者向け」の2種類があるが、既にマンションの共用部にインターネット回線と緊急地震速報の受信設備を設置し、インターホン等の報知機器に接続することにより、その報知機器・配線を活用して棟内に一斉配信するシステムが既に実用化されている。そこで緊急地震速報を電力指令装置9が常に受信するようにしておくことが重要である。そのため、TV受像機75が放送局等の外部機関78Bの緊急地震速報を受信でき、また並行して電力指令装置9自体も直接外部機関78Aからの緊急地震速報を受信できるようにしておく。一方、電力指令装置9は、緊急地震速報が届いた場合に、加熱動作等の運転(稼働)中の家電機器については、例えば以下のような指令信号を発する。
(1)熱源を保有している加熱調理器、例えば誘導加熱調理器2は、その加熱調理器の中央表示部16の表示画面129に緊急地震速報の到来を表示し、加熱調理に臨んでいる使用者に地震の到来に警戒するよう注意喚起を行っても良い。この場合、合成音声装置等の音声ガイド手段も動作させ、音声でも注意喚起すれば更に良い。当然ながらその時の音量は使用者が仮に手動で小さくするように設定してあっても、自動的に最大になって報知される。
(2)電気式又はガス/石油燃焼式の加熱源と、それによって加熱される水を有している家電機器やガス機器等、例えば貯湯式やヒートポンプ式の電気温水器あるいはガス燃焼式の温水器では、そのタンク内の水位を監視する水位センサーを有し、平常時は水位の変動に応じて湯を沸かす加熱動作を自動的に行っているが、地震によって水位が不規則に変動し、水位センサーがその水位を誤って検知し、誤動作を誘発するおそれがあるので、水位センサーの検知動作を所定の短時間、例えば30秒間だけ休止し、時間が経過するまでに実際に地震が起こらなかった場合には、通常の検知動作に復帰させるようにする。
(3)室内照明の内、地震の発生で非難通路となる箇所に配置されたものを緊急時の非常灯と定義し、その非常灯を所定時間(例えば1分間)自動的に点灯させる。その所定時間中に地震が到来しない場合に、その後自動的に消灯させる。
(4)脱水機能付きの電気式洗濯機(電気又はガス燃焼による温風で衣類乾燥させる機能を付加したものを含む)では、洗濯槽に水が入っていて洗濯動作中より、脱水機が高速回転している場合の方が重心の位置が高くなり、不安定であるので、脱水動作している場合は、脱水機の回転駆動モーターを一時停止し、ブレーキ機構を働かせて10秒程度の短時間の内に脱水槽の回転を停止させる。なお、ドラム式の衣類乾燥機についても、同様にそのドラムの回転と電気ヒーター等の加熱源の加熱動作を緊急停止させることが良い。
またその緊急地震速報の到来から所定時間内(例えば30秒以内)は、大火力での加熱動作を抑制するように自動的に火力下げを電力指令装置9が指令し、所定時間経過後に、地震の来なかったことを使用者が確認して復帰指令を加熱調理器にて行い(例えば特定の入力キーやボタンを押すという操作で)、元の火力に復帰させて調理を継続する、という構成にしても良い。これによれば、地震の到来の可能性を知り、地震に備えて使用者が冷静に火力確認や場合によっては調理停止の動作をすることができるとともに、万一、所定の震度以上を感振機器241が感知した場合、(電力会社からの商用電力が緊急遮断されない場合であっても)瞬時に加熱源の停止動作をしてくれるので、地震に対しての安全性も高めることができる。表示画面129で緊急地震速報の到来を表示する場合、その表示場所は、この第1の表示情報210A、第2の表示情報210B、第3の表示情報210C、第4の表示情報210Dの位置で良いし、これ以外の場所でも良い。当然ながら第1の表示情報〜第4の表示情報210A、210B、210C、210Dの表示よりも緊急地震速報の報知を優先させるので、例えば第1の表示情報210Aを瞬時に消し、そこに「地震速報受信」というような文字を表示させても良い。
(変形例)
各実施の形態では、第1の家電機器の例えば炊飯器3や誘導加熱調理器2、また第2の家電機器の例えば空気調和機7から、それら機器の加熱工程や運転状態を電力指令装置9が把握するため、各家電機器側からその都度、情報を受信していた。例えば実施の形態1では、誘導加熱調理器2が電力指令装置9に対し運転情報信号L1〜L7をその都度送信していたが、電力指令装置9が、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理を行う都度、その直前で各家電機器側に照会の信号送信し、これに答える形で各家電機器側から運転情報を送信するようにしても良い。この場合、例えば「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかという特定のコードを送信することで情報の簡素化をしても良い。
また、電力指令装置9は、通信手段97により家屋の外部のインターネット等の広域通信回路網98へ電力削減情報を発信可能に構成し、電力削減指令を受信後に第1、第2の家電機器の総電力を削減した場合、当該削減結果の情報を家屋の外部の特定の受信者宛に広域通信回路網98によって送信するように構成しても良い。その場合、電力指令装置9が、家屋の外部へ電力削減対応情報を発信する場合、受信者(例えば電力会社や公的機関等)を事前に決定してある当該家屋の所在地域を示すコードを同時に送信するようにしても良い。このようにすれば電力の供給者や関係公共機関が、地域毎の節電状況を把握でき、電力の安定供給などに利用することができる。
さらに、「温度フィードバック制御」の条件を決めるにあたり、加熱調理器においては、その火力を加味するようにしても良い。例えば、鍋等の被加熱物Nの温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する制御を行う際に、その火力が最大で100W以上である場合を、本発明でいう「優先加熱工程」として規定しても良い。100W未満の小さな火力を使う加熱は、少量のお湯や被調理液等を低い温度で保温するような場合、あるいは一旦炊いたご飯をその後保温するような場合が想定されるが、このような場合の何れも電力が仮に50%に削減されても調理物に重大な結果を招く懸念は殆どなく、また電力指令装置9から見てもそのような小電力使用機器を電力削減対象にするメリットが殆どないからである。
なお、誘導加熱調理器2のような家電機器において、主電源を投入してからその主電源を切る直前までの間に、加熱調理などで使用した電力の量に応じた電気料金を具体的に表示手段、例えば表示画面129に表示させるようにしても良い。この場合は、電力使用量を積算してその使用量情報と、時間帯別電気料金の情報との両者から制御装置32が計算しても良いし、電力指令装置9が家電機器からの電力使用量情報を得て計算し、該当する家電機器に送信するようにしても良い。主電源を切る前に、電気ヒーターや誘導加熱コイル等の電気加熱源やモーター等の動力源への電源供給を止めるので、その段階で計算結果を自動的に表示するようにすれば、その後主電源を使用者が切る前に、電気料金を知ることができる。なお、ここでいう電気料金とは、必ずしも電力会社から請求される電気代と完全に合致していなくとも良く、概算金額で良い。例えば「30円」のように円単位で表示すれば良い。更に、再度主電源を投入し、再び家電機器を使用しようとした際に、表示手段が起動され、最初の段階で前回の使用時の電気代を参考までに自動的に表示させるようにしても良い。
また、時間帯別電気料金情報を電力指令装置9が取得する方法は、通信手段97により外部の電力会社の情報提供装置にアクセスして得ることが便利であるが、その情報取得は夜間に行い、翌朝から更新された新しい電気料金情報を誘導加熱調理器2等の家電機器が利用することでも良い。また時間帯別電気料金情報を家庭で使用されている携帯電話87等の情報端末機やデジタルテレビに読み込ませ(ダウンロードし)、この情報を誘導加熱調理器2や炊飯器3等の家電機器に読み込ませるようにしても良い。
また実施の形態1においては、図5に示したように、電力指令装置9は、その本体9Aと、この本体の前面に着脱自在に装着される平板状の表示盤100とによって構成していたが、本体9Aと表示盤100を分離不可能な一体構造物にしても良い。但し、その場合、電力指令装置9全体を居住空間の中で自由に移動させる場合には、電源供給回路27やTV受像機75との接続を有線(ケーブルやコード)で行うよりも、無線にした方が便利である。
さらに、そのように、電力指令装置9の本体9Aに表示盤100を一体的に設け、そのような電力指令装置9をキッチンに設置する場合には、そのキッチンで視聴できるTV受像機75としても利用できるように、TV放送局等の放送波を受信できるようアンテナやケーブルを電力指令装置9に直接接続すると良い。
また、「第2の家電機器」である空気調和機7と、食器洗い乾燥機6や洗濯乾燥機、衣類乾燥機等の本体やそのリモコンに表示画面を設け、ここに「時間帯別電気料金情報」を表示させるようにしても良い。特に空気調和機や洗濯乾燥機は誘導加熱調理器2や炊飯器3に比べて、運転時間が長いので、その運転時間帯を、安い電気料金が適用される時間帯にシフトさせて運転するために適用すれば、使用者に電気料金を安くできるという経済的なメリットがある。
さらに、実施の形態1、2では、ブレーカーBKは1つの家庭に1つ設置していた例を示したが、家屋全体の総電力を制御する主ブレーカーと、複数個の副ブレーカーとを備え、例えば第1の副ブレーカーは、空気調和機7を、第2の副ブレーカーは洗濯乾燥機を、第3の副ブレーカーは台所の調理用電熱機器(炊飯器等)を、それぞれ制御するようにしたものでも良い。これによれば、主ブレーカーBKは複数個の副ブレーカーの電源を一元的に遮断することになる。このように電力供給系統を複数に分岐したものであっても何ら支障はない。またその場合、各分岐系統毎にその系統に流れる電流を検知し、副ブレーカーの定格容量を超えないように、電力指令装置9が監視するようにしても良い。
また実施の形態1においては、地震発生時の揺れを検知する感振機器241は、ビルトイン型の誘導加熱調理器2の内部に設置していた。この理由は、ビルトイン型の誘導加熱調理器2は、流し台等の厨房家具の内部に水平状態で固定されていること、また家族の走行時の床の振動等の影響を受けにくいことから、正確に地震の振動を検知できるからである。しかしながら、感振機器241を、ビルトイン型の誘導加熱調理器2の内部に設置することに代えて、キッチンの壁面に固定状態で設置される電力指令装置9の本体9Aの内部に設けても良い。あるいは、2階建ての家屋である場合、2階の部屋にある家具等と、1階のキッチン内にある誘導加熱調理器2の2箇所にそれぞれ設置しても良い。
また各実施の形態の説明においては、入/切ボタン81cのような押す操作で入力されるスイッチ(入力手段)や、第1の選択部128Aのように、静電容量が変化する接触式の入力キー、あるいは特別アイコン412,417のように、表示画面に現れる選択用のマークや枠、矢印等をリモコン75Rの操作によって指定することで入力する方式等、色々な入力手段があったが、これらを適宜組み合わせても良く、また他の方式の入力手段、例えば使用者が発する音声を家電機器側で解析し、指令内容を自動的に認識して有効な入力となる音声入力方式を採用しても良い。