以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の組立前のぶれ補正装置10を示す図である。図2は、第1実施形態の組立後のぶれ補正装置10における図1のII−II断面に対応する断面を示す図である。図3は、仮想の可動部15を配置した基台部11を示す図である。
第1実施形態のぶれ補正装置10は、基台部11と、磁石部12と、摺動部13と、転動体部14と、可動部15と、コイル部16と、付勢部17と、位置検出部18と、固定部19と、を備える。
基台部11は、基台本体111と、第1支持部材11aと、第2支持部材11bと、第3支持部材11cと、第4支持部材11dと、を有する。
基台本体111は、例えば、鉄や鉄の化合物等の磁性体からなる略長方形で平板状の部材からなり、磁石部12が設置される。第1支持部材11a、第2支持部材11b、第3支持部材11c、及び第4支持部材11dは、基台本体111と固定部19とで可動部15を移動可能に挟んだ状態で、基台本体111に固定部19を支持するためのものであって、例えば、各支持部材11a〜11dにネジが貫通する孔を設け、固定部19を貫通したネジを各孔に締め付ける構造としてもよい。なお、本実施形態では、支持部材11を4つとする構成としたが、これに限られるものではなく、基台本体111に固定部19を支持することが可能であれば、4未満または5以上の支持部材を設けてもかまわない。
ここで、図1に示すように、第1の方向としてのX方向と、X方向に直交する第2の方向としてのY方向と、を定義する。
磁石部12は、第1永久磁石12aと、第2永久磁石12bと、第3永久磁石12cと、第4永久磁石12dと、を有する。
第1永久磁石12aは、可動部側をS極に着磁された第1の磁石12a1及び可動部側をN極に着磁された第2の磁石12a2からなる。第1永久磁石12aは、第1の磁石12a1と第2の磁石12a2がX方向に並ぶように設置される。
第2永久磁石12bは、可動部側をS極に着磁された第3の磁石12b1及び可動部側をN極に着磁された第4の磁石12b2からなる。第2永久磁石12bは、第3の磁石12b1と第4の磁石12b2が第1永久磁石12aと同じように、X方向に並ぶように設置される。
第3永久磁石12cは、可動部側をS極に着磁された第5の磁石12c1及び可動部側をN極に着磁された第6の磁石12c2からなる。第3永久磁石12cは、第5の磁石12c1と第6の磁石12c2がY方向に並ぶように設置される。
第4永久磁石12dは、可動部側をS極に着磁された第7の磁石12d1及び可動部側をN極に着磁された第8の磁石12d2からなる。第4永久磁石12dは、第7の磁石12d1と第8の磁石12d2が第1永久磁石12aと同じように、X方向に並ぶように設置される。
なお、第1永久磁石12a、第2永久磁石12b及び第4永久磁石12dは、S極とN極を、共に逆にしてもよい。第3永久磁石12cは、S極とN極を逆にしてもよい。第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、第3永久磁石12c、及び第4永久磁石12dそれぞれの磁石は、それぞれ別体又は一部を別体としてもよい。別体とすることで、加工が簡単となり、簡単に低コストで製作することが可能となる。
また、各磁石を基台部11に固定する方法は、接着剤、ネジ止め又はカシメ等、特に限定されるものではない。第1実施形態では、一例として、接着剤によって基台部11に固定している。
可動部15は、可動本体151と、第1コイル収納部15aと、第2コイル収納部15bと、第3コイル収納部15cと、を有する。コイル部16は、第1コイル16aと、第2コイル16bと、第3コイル16cと、第4コイル16dと、を有する。
可動本体151は、例えば、アルミニウム合金や合成樹脂等の非磁性体からなり、受光した光を光電変換する撮像素子152等を有する。可動本体151は、その他に、図示しない超音波フィルタ及び赤外線カットフィルタ等からなるフィルタ群及び撮像素子が検出した受光量に基づく映像信号等を処理する電気素子等を搭載する。可動本体151は、各コイル収納部15a〜15cよりも、X方向及びY方向に直交するZ方向の長さが長い。
第1コイル収納部15aは、可動本体151の周囲から突出して第1永久磁石12aに対応する位置に設けられる。第1コイル収納部15aは、第1コイル16aに対応して第1永久磁石12a側を開口させた第1コイル収納凹部15a1が形成されて、第1コイル収納凹部15a1に第1コイル16aが収納される。また、第1コイル収納凹部15a1の内側には、第1転動体収納凹部15a2が形成されている。
第2コイル収納部15bは、可動本体151の周囲から突出して第2永久磁石12bに対応する位置に設けられる。第2コイル収納部15bは、第2コイル16bに対応して第2永久磁石12b側を開口させた第2コイル収納凹部15b1が形成されて、第2コイル収納凹部15b1に第2コイル16bが収納される。また、第2コイル収納凹部15b1の内側には、第2転動体収納凹部15b2が形成されている。
第3コイル収納部15cは、可動本体151の周囲から突出して第3永久磁石12c及び第4永久磁石12dに対応する位置に設けられる。第3コイル収納部15cは、第3コイル16c及び第4コイル16dに対応して第3永久磁石12c及び第4永久磁石12d側を開口させた第3コイル収納凹部15c1及び第4コイル収納凹部15d1が形成されて、第3コイル収納凹部15c1に第3コイル16c及び第4コイル収納凹部15d1に第4コイル16dが収納される。また、第3コイル収納凹部15cの内側には、第3転動体収納凹部15c2が形成されている。また、第4コイル収納凹部15d1の内側には、位置検出収納凹部15d2が形成されている。
第1コイル16aは、電気伝導体の巻線からなり、巻線の内側に空気等の芯から形成される第1コア部16a1を有し、第1永久磁石12aに対向して設置される。第2コイル16bは、電気伝導体の巻線からなり、巻線の内側に空気等の芯から形成される第2コア部16b1を有し、第2永久磁石12bに対向して設置される。第3コイル16cは、電気伝導体の巻線からなり、巻線の内側に空気等の芯から形成される第3コア部16c1を有し、第3永久磁石12cに対向して設置される。第4コイル16dは、電気伝導体の巻線からなり、巻線の内側に空気等の芯から形成される第4コア部16d1を有し、第4永久磁石12dに対向して設置される。
なお、図に示すように、各コイル16a,16b,16cの開口面は、X−Y平面上、つまり、撮像素子152の受光面(撮像面)に対して平行な面に形成される。また、各コイル16a,16b,16cの開口軸は、X−Y平面に対して直交方向、つまり、撮像素子152の受光面(撮像面)に対して直交する方向に形成される。
第1永久磁石12aの第1コイル16a側の表面には、磁石側第1摺動部13a1が設置される。第2永久磁石12bの第2コイル16b側の表面には、磁石側第2摺動部13b1が設置される。第3永久磁石12cの第3コイル16c側の表面には、磁石側第3摺動部13c1が設置される。
第1転動体収納凹部15a2の底面には、コイル側第1摺動部13a2が設置される。第2転動体収納凹部15b2の底面には、コイル側第2摺動部13b2が設置される。第3転動体収納凹部15c2の底面には、コイル側第3摺動部13c2が設置される。
第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cは、それぞれ、第1転動体収納凹部15a2、第2転動体収納凹部15b2、及び第3転動体収納凹部15c2の内部に、大部分は埋まるが、一部は可動部の15の表面よりも磁石側に突出して収納される。したがって、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cは、それぞれ第1コイル16a、第2コイル16b、及び第3コイル16cの巻線の内側の第1コア部16a1、第2コア部16b1、及び第3コア部16c1に配置される。
このように、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cは、それぞれ第1コイル16a、第2コイル16b、及び第3コイル16cの巻線の内側の第1コア部16a1、第2コア部16b1、及び第3コア部16c1に配置されるので、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cの設置位置をそれぞれ第1コイル16a、第2コイル16b、及び第3コイル16cの外側に配置する場合と比較して、スペースを有効に利用することができ、装置を小型にすることが可能となる。
磁石側第1摺動部13a1とコイル側第1摺動部13a2の間には、第1転動体14aが回転移動可能に挟持される。磁石側第2摺動部13b1とコイル側第2摺動部13b2の間には、第2転動体14bが回転移動可能に挟持される。磁石側第3摺動部13c1とコイル側第3摺動部13c2の間には、第3転動体14cが回転移動可能に挟持される。
第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cは、それぞれ、磁石側第1摺動部13a1とコイル側第1摺動部13a2の間、磁石側第2摺動部13b1とコイル側第2摺動部13b2の間、及び磁石側第3摺動部13c1とコイル側第3摺動部13c2の間に挟持されるので、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cが、第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12c、並びに、第1転動体収納凹部15a2、第2転動体収納凹部15b2、及び第3転動体収納凹部15c2にそれぞれ直接に当接することがない。
したがって、第1コイル収納部15a、第2コイル収納部15b、及び第3コイル収納部15c、並びに、第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12cが、摩擦によって受ける損傷、溶融等の影響を低減させることが可能となる。
また、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14c自身が、摩擦によって受ける損傷、溶融等の影響を低減させることが可能となる。
コイル側第1摺動部13a2の固定部19側の第1コイル収納部15aの内部には、付勢部17としての第1磁性体17aが埋め込まれている。また、第1磁性体17aの固定部19側には、位置検出部18としての第1ホール素子18aが埋め込まれている。
コイル側第2摺動部13b2の固定部19側の第2コイル収納部15bの内部には、付勢部17としての第2磁性体17bが埋め込まれている。
コイル側第3摺動部13c2の固定部19側の第3コイル収納部15cの内部には、付勢部17としての第3磁性体17cが埋め込まれている。また、第3磁性体17cの固定部19側には、位置検出部18としての第2ホール素子18bが埋め込まれている。さらに、位置検出収納凹部15d2には、位置検出部18としての第3ホール素子18cが埋め込まれている。
このように、第1磁性体17a、第2磁性体17b、及び第3磁性体17cは、それぞれ環状の第1コイル16a、第2コイル16b、及び第3コイル16cの内側に収納されるので、第1磁性体17a、第2磁性体17b、及び第3磁性体17cをそれぞれ環状の第1コイル16a、第2コイル16b、及び第3コイル16cの外側に配置する場合と比較して、スペースを有効に利用することができ、装置を小型にすることが可能となる。
第1磁性体17a、第2磁性体17b、及び第3磁性体17cは、それぞれ第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12cに引きつけられるように常に付勢されている。第1磁性体17a、第2磁性体17b、及び第3磁性体17cがそれぞれ第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12cに引きつけられることによって、可動部15は、基台部11側に常に与圧がかけられて、押し付けられることとなる。
その結果、第1転動体14aが磁石側第1摺動部13a1とコイル側第1摺動部13a2に当接し、第2転動体14bが磁石側第2摺動部13b1とコイル側第2摺動部13b2に当接し、第3転動体14cが磁石側第3摺動部13c1とコイル側第3摺動部13c2に当接することとなり、基台部11に対して可動部15の位置を的確に保持することが可能となる。
また、第1ホール素子18a、第2ホール素子18b、及び第3ホール素子18cによって、位置検出を行うことによって、基台部11に対して可動部15を的確に移動させることが可能となる。
固定部19は、板状で鉄等の磁性体から形成され、可動部15を移動可能に挟んだ状態で、基台本体111に支持されている。固定部19は、少なくとも第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、第3永久磁石12c、及び第4永久磁石12dに対向する位置に設置すればよい。
なお、可動部15は、固定部11に対して、バネ等の付勢部材により連結され支持されてもよい。付勢部材により連結されることで、コイルに通電することなく、予め定めた位置へ復帰することが可能となる。
第1実施形態のぶれ補正装置10の作動について説明する。
第1実施形態では、第1永久磁石12aと第1コイル16aが、可動部15を第1の方向としてのX方向に移動させる第1のリニアアクチュエータとしての第1のX方向リニアアクチュエータLA1を形成する。また、第2永久磁石12bと第2コイル16bが、可動部15を第1の方向としてのX方向に移動させる第1のリニアアクチュエータとしての第2のX方向リニアアクチュエータLA2を形成する。また、第3永久磁石12cと第3コイル16cが、可動部15を第2の方向としてのY方向に移動させる第2のリニアアクチュエータとしてのY方向リニアアクチュエータLA3を形成する。さらに、第4永久磁石12dと第4コイル16dが、可動部15の重心を中心として回転する方向に移動させる第3のリニアアクチュエータとしての回転方向リニアアクチュエータLA4を形成する。
第1コイル16a、第2コイル16b、第3コイル16c及び第4コイル16dは、それぞれ図示しない電源に接続され、電源をON/OFFするスイッチにより電流が流れるように構成されている。
第1実施形態において、第1コイル16a及び第2コイル16bに同時に電流を流した場合、可動部15は、X方向の駆動力によって移動する。しかしながら、第1のX方向リニアアクチュエータLA1及び第2のX方向リニアアクチュエータLA2は、重心Gに対して上方向、すなわちY方向にずれている。そのため、モーメントが発生し、可動部15は、重心Gを中心に回転するように移動する。
そこで、第4コイル16dに電流を流し、可動部15が重心Gを中心として第1のX方向リニアアクチュエータLA1及び第2のX方向リニアアクチュエータLA2による移動方向と逆回転方向に移動するような駆動力を、回転方向リニアアクチュエータLA4によって発生させる。
したがって、第1のX方向リニアアクチュエータLA1及び第2のX方向リニアアクチュエータLA2による駆動力と、回転方向リニアアクチュエータLA4による駆動力が重心Gを中心に回転する力を打ち消し合い、それぞれのY方向の駆動力の影響を低減する。
なお、第3コイル16cに電流を流した場合、Y方向リニアアクチュエータLA3の駆動力が重心Gを通る直線上にあるため、可動部15はY方向に移動する。
可動部15は、第1磁性体17a、第2磁性体17b、及び第3磁性体17cによって、それぞれ第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12cに引きつけられるように常に付勢されているので、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cの転動に対して、第1転動体14a、第2転動体14b、及び第3転動体14cとそれぞれ当接を続けながら移動することができ、基台部11に対して一定の距離を保持しつつ、円滑に移動することが可能となる。したがって、ぶれを高精度で補正することが可能となる。
また、第1転動体14aが磁石側第1摺動部13a1とコイル側第1摺動部13a2に挟持され、第2転動体14bが磁石側第2摺動部13b1とコイル側第2摺動部13b2に挟持され、第3転動体14cが磁石側第3摺動部13c1とコイル側第3摺動部13c2に挟持されるので、第1永久磁石12a、第2永久磁石12b、及び第3永久磁石12c、並びに、第1転動体収納凹部15a2、第2転動体収納凹部15b2、及び第3転動体収納凹部15c2、に対して、それぞれ直接に当接することがないので、それぞれの部材間が摩擦によって受ける影響を低減させることが可能となる。したがって、部品及び装置の長寿命化を達成することが可能となる。
次に、第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態の組立前のぶれ補正装置20を示す図である。図5は、図4の第2実施形態の組立前のぶれ補正装置20を裏側から示す図である。図6は、第2実施形態の組立後のぶれ補正装置20における図4のVI−VI断面に対応する断面を示す図である。
第2実施形態のぶれ補正装置20は、基台部21と、磁石部22と、摺動部23と、転動体部24と、可動部25と、コイル部26と、付勢部27と、位置検出部28と、を備える。第2実施形態のぶれ補正装置20は、磁石部22を可動部25に設置し、コイル部26を基台部21に設置し、固定部を用いない構造であり、それに伴う部分を変更したものである。その他の第1実施形態と同様な部分は、説明を省略する。
基台部21の第1支持部材21a、第2支持部材21b、第3支持部材21c、及び第4支持部材21dは、基台本体211と例えばカメラケース等の図示しない他の固定部材とで可動部25を移動可能に挟んだ状態で、基台本体211に他の固定部材を支持するためのものである。
基台部21には、第1コイル収納部21’a、第2コイル収納部21’b、及び第3コイル収納部21’cを含むコイル収納部21’が設置される。
第1コイル収納部21’aは、第1永久磁石22aに対応する位置で基台本体211に設けられる。第1コイル収納部21’aには、第1永久磁石22aに対応して第1永久磁石22a側を開口させた第1コイル収納凹部21’a1が形成されて、第1コイル収納凹部21’a1に第1コイル26aが収納される。また、第1コイル収納凹部21’a1の内側には、第1転動体収納凹部21’a2が形成されている。
第2コイル収納部21’bは、第2永久磁石22bに対応する位置で基台本体211に設けられる。第2コイル収納部21’bには、第2永久磁石22bに対応して第2永久磁石22b側を開口させた第2コイル収納凹部21’b1が形成されて、第2コイル収納凹部21’b1に第2コイル26bが収納される。また、第2コイル収納凹部21’b1の内側には、第2転動体収納凹部21’b2が形成されている。
第3コイル収納部21’cは、第3永久磁石22c及び第4永久磁石22dに対応する位置で基台本体211に設けられる。第3コイル収納部21’cには、第3永久磁石22cに対応して第3永久磁石22c側を開口させた第3コイル収納凹部21’c1が形成されて、第3コイル収納凹部21’c1に第3コイル26cが収納される。また、第3コイル収納部21’cには、第4永久磁石22dに対応して第4永久磁石22d側を開口させた第4コイル収納凹部21’d1が形成されて、第4コイル収納凹部21’d1に第4コイル26dが収納される。さらに、第3コイル収納凹部21’c1の内側には、第3転動体収納凹部21’c2が形成されている。また、第4コイル収納凹部21’d1の内側には、位置検出収納凹部21’d2が形成されている。
第1コイル26aは、第1永久磁石22aに対向して第1コイル収納部21’aに形成された第1コイル収納凹部21’a1に設置される。第2コイル26bは、第2永久磁石22bに対向して第2コイル収納部21’bに形成された第2コイル収納凹部21’b1に設置される。第3コイル26cは、第3永久磁石22cに対向して第3コイル収納部21’cに形成された第3コイル収納凹部21’c1に設置される。第4コイル26dは、第4永久磁石22dに対向して第3コイル収納部21’cに形成された第4コイル収納凹部21’d1に設置される。
ここで、図4に示すように、第1の方向としてのX方向と、X方向に直交する第2の方向としてのY方向と、を定義する。
可動部25は、可動本体251と、第1磁石収納部25aと、第2磁石収納部25bと、第3磁石収納部25cと、を有する。磁石部22は、第1永久磁石22aと、第2永久磁石22bと、第3永久磁石22cと、第4永久磁石22dと、を有する。
第1磁石収納部25aは、可動本体251から突出して第1コイル26aに対応する位置に設けられる。第1磁石収納部25aは、第1コイル26aに対向する側を開口させて箱状に形成され、第1永久磁石22aを収納する。
第2磁石収納部25bは、可動本体251から突出して第2コイル26bに対応する位置に設けられる。第2磁石収納部25bは、第2コイル26bに対向する側を開口させて箱状に形成され、第2永久磁石22bを収納する。
第3磁石収納部25cは、可動本体251から突出して第3コイル26c及び第4コイル26dに対応する位置に設けられる。第3磁石収納部25cは、第3コイル26cに対向する側を開口させて箱状に形成され、第3永久磁石22c及び第4永久磁石22dを収納する。
なお、第1転動体24a、第2転動体24b、及び第3転動体24cがそれぞれ第1コイル26a、第2コイル26b、及び第3コイル26cの巻線の内側の第1コア部26a1、第2コア部26b1、及び第3コア部26c1に配置される構造、並びに、第1転動体24aが磁石側第1摺動部23a1とコイル側第1摺動部23a2に挟持され、第2転動体24bが磁石側第2摺動部23b1とコイル側第2摺動部23b2に挟持され、第3転動体24cが磁石側第3摺動部23c1とコイル側第3摺動部23c2に挟持される構造は、第1実施形態と同様である。
コイル側第1摺動部23a2の基台部21側の第1コイル収納部21’aの内部には、付勢部27としての第1磁性体27aが埋め込まれている。また、第1磁性体27aの基台部21側には、位置検出部28としての第1ホール素子28aが埋め込まれている。
コイル側第2摺動部23b2の基台部21側の第2コイル収納部21’bの内部には、付勢部27としての第2磁性体27bが埋め込まれている。
コイル側第3摺動部23c2の基台部21側の第3コイル収納部21’cの内部には、付勢部27としての第3磁性体27cが埋め込まれている。また、第3磁性体27cの基台部21側には、位置検出部28としての第2ホール素子28bが埋め込まれている。また、第4コイル収納凹部21’d1の内側には、位置検出収納凹部21’d2が形成され、位置検出部28としての第3ホール素子28cが埋め込まれている。
第2実施形態のぶれ補正装置20の作動は、第1実施形態と同様である。
このような第2実施形態のぶれ補正装置20によれば、第1実施形態の作用効果に加えて、図1に示されている第1実施形態で用いた固定部を用いないことで、スペースを有効に利用することが可能になると共に、装置を軽量化することが可能となる。
次に、第3実施形態のぶれ補正装置30について説明する。
図7は、第3実施形態の組立前のぶれ補正装置30を示す図である。図8は、図7の第3実施形態の組立前のぶれ補正装置30を裏側から示す図である。図9は、第3実施形態の組立後のぶれ補正装置30における図7及び図8のIX−IX断面に対応する断面を示す図である。
第3実施形態のぶれ補正装置30は、基台部31と、磁石部32と、摺動部33と、転動体部34と、可動部35と、コイル部36と、付勢部37と、位置検出部38と、を備える。第3実施形態のぶれ補正装置30は、例えば、レンズL等を支持し、カメラ本体や鏡筒等に用いられる。
基台部31は、基台本体311を有し、カメラ本体や鏡筒等に支持される。
基台本体311は、例えば、鉄や鉄の化合物等の磁性体からなる略環状で平板状の部材からなり、磁石部32が設置される。基台本体311には、磁石部32を設置するための第1凹部31a1、第2凹部31b1、及び第3凹部31c1が形成されている。
磁石部32は、第1永久磁石32aと、第2永久磁石32bと、第3永久磁石32cと、を有する。第1永久磁石32aは、基台本体311の第1凹部31a1に設置される。第2永久磁石32bは、基台本体311の第2凹部31b1に設置される。第3永久磁石32cは、基台本体311の第3凹部31c1に設置される。
第1永久磁石32aは、可動部側をS極に着磁された第1の磁石32a1及び可動部側をN極に着磁された第2の磁石32a2からなる。第1永久磁石32aは、第1の磁石32a1と第2の磁石32a2が、並ぶように設置される。第1の磁石32a1と第2の磁石32a2が並ぶ方向を第1の方向としてのA方向とする。
第2永久磁石32bは、可動部側をS極に着磁された第3の磁石32b1及び可動部側をN極に着磁された第4の磁石32b2からなる。第2永久磁石32bは、第3の磁石32b1と第4の磁石32b2が、並ぶように設置される。第3の磁石32b1と第4の磁石32b2が並ぶ方向を第2の方向としてのB方向とする。
第3永久磁石32cは、可動部側をS極に着磁された第5の磁石32c1及び可動部側をN極に着磁された第6の磁石32c2からなる。第3永久磁石32cは、第5の磁石32c1と第6の磁石32c2が、並ぶように設置される。第5の磁石32c1と第6の磁石32c2が並ぶ方向を第3の方向としてのC方向とする。
なお、第1永久磁石32a、第2永久磁石32b及び第3永久磁石32cは、S極とN極を、共に逆にしてもよい。第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32cそれぞれの磁石は、それぞれ別体又は一部を別体としてもよい。別体とすることで、加工が簡単となり、簡単に低コストで製作することが可能となる。
また、各磁石32を基台部31に固定する方法は、接着剤、ネジ止め又はカシメ等、特に限定されるものではない。第1実施形態では、一例として、接着剤によって基台部31に固定している。
可動部35は、可動本体351と、第1コイル収納部35aと、第2コイル収納部35bと、第3コイル収納部35cと、を有する。コイル部36は、第1コイル36aと、第2コイル36bと、第3コイル36cと、を有する。
可動本体351は、例えば、アルミニウム合金や合成樹脂等の非磁性体からなり、光を透過するレンズL等を支持する円環状で板状の部材である。
第1コイル収納部35aは、可動本体351の周囲から突出して第1永久磁石32aに対応する位置に設けられる。第1コイル収納部35aは、第1コイル36aに対応して第1永久磁石32a側を開口させた第1コイル収納凹部35a1が形成されて、第1コイル収納凹部35a1に第1コイル36aが収納される。また、第1コイル収納凹部35a1の内側には、第1転動体収納凹部35a2が形成されている。
第2コイル収納部35bは、可動本体351の周囲から突出して第2永久磁石32bに対応する位置に設けられる。第2コイル収納部35bは、第2コイル36bに対応して第2永久磁石32b側を開口させた第2コイル収納凹部35b1が形成されて、第2コイル収納凹部35b1に第2コイル36bが収納される。また、第2コイル収納凹部35b1の内側には、第2転動体収納凹部35b2が形成されている。
第3コイル収納部35cは、可動本体351の周囲から突出して第3永久磁石32cに対応する位置に設けられる。第3コイル収納部35cは、第3コイル36cに対応して第3永久磁石32c側を開口させた第3コイル収納凹部35c1が形成されて、第3コイル収納凹部35c1に第3コイル36cが収納される。また、第3コイル収納凹部35cの内側には、第3転動体収納凹部35c2が形成されている。
第1コイル36aは、第1永久磁石32aに対向して設置される。第2コイル36bは、第2永久磁石32bに対向して設置される。第3コイル36cは、第3永久磁石32cに対向して設置される。
第1永久磁石32aの第1コイル36a側の表面には、磁石側第1摺動部33a1が設置される。第2永久磁石32bの第2コイル36b側の表面には、磁石側第2摺動部33b1が設置される。第3永久磁石32cの第3コイル36c側の表面には、磁石側第3摺動部33c1が設置される。
第1転動体収納凹部35a2の底面には、コイル側第1摺動部33a2が設置される。第2転動体収納凹部35b2の底面には、コイル側第2摺動部33b2が設置される。第3転動体収納凹部35c2の底面には、コイル側第3摺動部33c2が設置される。
第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cは、それぞれ、第1転動体収納凹部35a2、第2転動体収納凹部35b2、及び第3転動体収納凹部35c2の内部に、大部分は埋まるが、一部は可動部の35の表面よりも磁石側に突出して収納される。したがって、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cは、それぞれ第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cの巻線の内側の第1コア部36a1、第2コア部36b1、及び第3コア部36c1に配置される。
このように、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cは、それぞれ環状の第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cの巻線の内側に配置されるので、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cの設置位置をそれぞれ環状の第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cの外側に配置する場合と比較して、スペースを有効に利用することができ、装置を小型にすることが可能となる。
磁石側第1摺動部33a1とコイル側第1摺動部33a2の間には、第1転動体34aが回転移動可能に挟持される。磁石側第2摺動部33b1とコイル側第2摺動部33b2の間には、第2転動体34bが回転移動可能に挟持される。磁石側第3摺動部33c1とコイル側第3摺動部33c2の間には、第3転動体34cが回転移動可能に挟持される。
第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cは、それぞれ、磁石側第1摺動部33a1とコイル側第1摺動部33a2の間、磁石側第2摺動部33b1とコイル側第2摺動部33b2の間、及び磁石側第3摺動部33c1とコイル側第3摺動部33c2の間に挟持されるので、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cが、第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32c、並びに、第1転動体収納凹部35b2、第2転動体収納凹部35b2、及び第3転動体収納凹部35c2にそれぞれ直接に当接することがない。
したがって、第1コイル収納部35a、第2コイル収納部35b、及び第3コイル収納部35c、並びに、第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32cが、摩擦によって受ける損傷、溶融等の影響を低減させることが可能となる。
また、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34c自身が、摩擦によって受ける損傷、溶融等の影響を低減させることが可能となる。
第1コイル収納部35aの第1永久磁石32aとは反対側の面には、付勢部37としての第1磁性体37aが設置されている。なお、第1磁性体37aは、第1永久磁石32aに対向する位置であれば、第1コイル収納部35a内に埋め込まれてもよい。
第2コイル収納部35bの第2永久磁石32bとは反対側の面には、付勢部37としての第2磁性体37bが設置されている。なお、第2磁性体37bは、第2永久磁石32bに対向する位置であれば、第2コイル収納部35b内に埋め込まれてもよい。
第3コイル収納部35cの第3永久磁石32cとは反対側の面には、付勢部37としての第3磁性体37cが設置されている。なお、第3磁性体37cは、第3永久磁石32cに対向する位置であれば、第3コイル収納部35c内に埋め込まれてもよい。
このように、第1磁性体37a、第2磁性体37b、及び第3磁性体37cは、それぞれ環状の第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cの内側に収納されるので、第1磁性体37a、第2磁性体37b、及び第3磁性体37cをそれぞれ環状の第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cの外側に配置する場合と比較して、スペースを有効に利用することができ、装置を小型にすることが可能となる。
第1磁性体37a、第2磁性体37b、及び第3磁性体37cは、それぞれ第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32cに引きつけられるように常に付勢されている。第1磁性体37a、第2磁性体37b、及び第3磁性体37cがそれぞれ第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32cに引きつけられることによって、可動部35は、基台部31側に常に与圧がかけられて、押し付けられることとなる。
その結果、第1転動体34aが磁石側第1摺動部33a1とコイル側第1摺動部33a2に当接し、第2転動体34bが磁石側第2摺動部33b1とコイル側第2摺動部33b2に当接し、第3転動体34cが磁石側第3摺動部33c1とコイル側第3摺動部33c2に当接することとなり、基台部31に対して可動部35の位置を的確に保持することが可能となる。
また、図示しない位置検出部によって、位置検出を行うことによって、基台部31に対して可動部35を的確に移動させることが可能となる。
なお、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cは、周方向に120度ずつ間隔をあけて、均等に配置することが好ましい。均等に配置することで、基台部31に対して可動部35をさらに的確に移動させることが可能となる。
第3実施形態のぶれ補正装置30の作動について説明する。
第3実施形態では、第1永久磁石32aと第1コイル36aが、可動部35を第1の方向としてのA方向に移動させる第1のリニアアクチュエータLA1を形成する。また、第2永久磁石32bと第2コイル36bが、可動部35を第3の方向としてのB方向に移動させる第2のリニアアクチュエータLA2を形成する。また、第3永久磁石32cと第3コイル36cが、可動部35を第3の方向としてのC方向に移動させる第3のリニアアクチュエータLA3を形成する。
第1コイル36a、第2コイル36b、及び第3コイル36cは、それぞれ図示しない電源に接続され、電源をON/OFFするスイッチにより電流が流れるように構成されている。
第3実施形態の場合、第1コイル36aに電流を流した場合、可動部35は、A方向に移動する。第2コイル36bに電流を流した場合、可動部35は、B方向に移動する。また、第3コイル36cに電流を流した場合、可動部35は、C方向に移動する。
可動部35は、第1磁性体37a、第2磁性体37b、及び第3磁性体37cによって、第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32cに引きつけられるように常に付勢されているので、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cの転動に対して、第1転動体34a、第2転動体34b、及び第3転動体34cとそれぞれ当接を続けながら移動することができ、基台部31に対して一定の距離を保持しつつ、円滑に移動することが可能となる。したがって、ぶれを高精度で補正することが可能となる。
また、第1転動体34aが磁石側第1摺動部33a1とコイル側第1摺動部33a2に挟持され、第2転動体34bが磁石側第2摺動部33b1とコイル側第2摺動部33b2に挟持され、第3転動体34cが磁石側第3摺動部33c1とコイル側第3摺動部33c2に挟持されるので、第1永久磁石32a、第2永久磁石32b、及び第3永久磁石32c及び第1転動体収納凹部35a2、第2転動体収納凹部35b2、及び第3転動体収納凹部35c2、に対して、それぞれ直接に当接することがないので、それぞれの部材間が摩擦によって受ける影響を低減させることが可能となる。したがって、部品及び装置の長寿命化を達成することが可能となる。
次に、第4実施形態について説明する。
図10は、第4実施形態の組立前のぶれ補正装置40を示す図である。図11は、図10の第4実施形態の組立前のぶれ補正装置40を裏側から示す図である。図12は、第4実施形態の組立後のぶれ補正装置40における図10のXII−XII断面に対応する断面を示す図である。
第4実施形態のぶれ補正装置40は、基台部41と、磁石部42と、摺動部43と、転動体部44と、可動部45と、コイル部46と、付勢部47と、を備える。第4実施形態のぶれ補正装置40は、磁石部42を可動部45に設置し、コイル部46を基台部41に設置した構造であり、それに伴う部分を変更したものである。その他の第3実施形態と同様な部分は、説明を省略する。
基台部41は、基台本体411を有し、カメラ本体や鏡筒等に支持される。基台部41には、第1コイル収納部41a、第2コイル収納部41b、及び第3コイル収納部41cを含むコイル収納部41が設置される。
基台本体411は、例えば、鉄や鉄の化合物等の磁性体からなる略環状で平板状の部材からなり、コイル部46が設置される。基台本体411には、それぞれ第1コイル収納凹部41a1、第2コイル収納凹部41b1、及び第3コイル収納凹部41c1が形成されている。
第1コイル収納凹部41a1は、可動部45に設置された第1永久磁石42aに対応して第1永久磁石42a側を開口させて形成される。第1コイル46aは、第1コイル収納凹部41a1に収納される。また、第1コイル収納凹部41a1の内側には、第1転動体収納凹部41a2が形成されている。
第2コイル収納凹部41b1は、可動部45に設置された第2永久磁石42bに対応して第1永久磁石42b側を開口させて形成される。第2コイル46bは、第2コイル収納凹部41b1に収納される。また、第2コイル収納凹部41b1の内側には、第2転動体収納凹部41b2が形成されている。
第3コイル収納凹部41c1は、可動部45に設置された第3永久磁石42cに対応して第3永久磁石42c側を開口させて形成される。第3コイル46cは、第3コイル収納凹部41c1に収納される。また、第3コイル収納凹部41c1の内側には、第3転動体収納凹部41c2が形成されている。
第1コイル46aは、第1永久磁石42aに対向して第1コイル収納凹部41a1に設置される。第2コイル46bは、第2永久磁石42bに対向して第2コイル収納凹部41b1に設置される。第3コイル46cは、第3永久磁石42cに対向して第3コイル収納凹部41c1に設置される。
第1転動体収納凹部41a2の底面には、コイル側第1摺動部43a2が設置される。第2転動体収納凹部41b2の底面には、コイル側第2摺動部43b2が設置される。第3転動体収納凹部41c2の底面には、コイル側第3摺動部43c2が設置される。
第1転動体44a、第2転動体44b、及び第3転動体44cは、それぞれ、第1転動体収納凹部41a2、第2転動体収納凹部41b2、及び第3転動体収納凹部41c2の内部に、大部分は埋まるが、一部は可動部の45の表面よりも磁石側に突出して収納される。したがって、第1転動体44a、第2転動体44b、及び第3転動体44cは、それぞれ第1コイル46a、第2コイル46b、及び第3コイル46cの巻線の内側の第1コア部46a1、第2コア部46b1、及び第3コア部46c1に配置される。
なお、第1転動体44a、第2転動体44b、及び第3転動体44cがそれぞれ第1コイル46a、第2コイル46b、及び第3コイル46cの巻線の内側の第1コア部46a1、第2コア部46b1、及び第3コア部46c1に配置される構造、並びに、第1転動体44aが磁石側第1摺動部43a1とコイル側第1摺動部43a2に挟持され、第2転動体44bが磁石側第2摺動部43b1とコイル側第2摺動部43b2に挟持され、第3転動体44cが磁石側第3摺動部43c1とコイル側第3摺動部43c2に挟持される構造は、第3実施形態と同様である。
このように、第1転動体44a、第2転動体44b、及び第3転動体44cは、それぞれ環状の第1コイル46a、第2コイル46b、及び第3コイル46cの内側に収納されるので、第1転動体44a、第2転動体44b、及び第3転動体44cの設置位置をそれぞれ環状の第1コイル46a、第2コイル46b、及び第3コイル46cの外側に配置する場合と比較して、スペースを有効に利用することができ、装置を小型にすることが可能となる。
可動部45は、可動本体451と、第1磁石収納部45aと、第2磁石収納部45bと、第3磁石収納部45cと、を有する。
可動本体451は、例えば、アルミニウム合金や合成樹脂等の非磁性体からなり、光を透過するレンズL等を支持する円環状で板状の部材である。
第1磁石収納部45aは、可動本体451の周囲から突出して第1コイル46aに対応する位置に設けられる。第1磁石収納部45aは、第1磁石42aに対応して第1コイル46a側を開口させた第1磁石収納凹部45a1が形成されて、第1磁石収納凹部45a1に第1磁石42aが収納される。
第2磁石収納部45bは、可動本体451の周囲から突出して第2コイル46bに対応する位置に設けられる。第2磁石収納部45bは、第2磁石42bに対応して第2コイル46b側を開口させた第2磁石収納凹部45b1が形成されて、第2磁石収納凹部45b1に第2磁石42bが収納される。
第3磁石収納部45cは、可動本体451の周囲から突出して第3コイル46cに対応する位置に設けられる。第3磁石収納部45cは、第3磁石46cに対応して第3コイル46c側を開口させた第3磁石収納凹部45c1が形成されて、第3磁石収納凹部45c1に第3磁石42cが収納される。
基台部41の第1コイル収納凹部41a1の第1コイル46aとは反対側には、付勢部47としての第1磁性体47aが埋め込まれている。なお、第1磁性体47aは、第1永久磁石42aに対向する位置であれば、基台部41の第1コイル収納凹部41a1の反対側の面に設置されてもよい。
基台部41の第2コイル収納凹部41b1の第2コイル46bとは反対側には、付勢部47としての第2磁性体47bが埋め込まれている。なお、第2磁性体47bは、第2永久磁石42bに対向する位置であれば、基台部41の第2コイル収納凹部41b1の反対側の面に設置されてもよい。
基台部41の第3コイル収納凹部41c1の第3コイル46cとは反対側には、付勢部47としての第3磁性体47cが埋め込まれている。なお、第3磁性体47cは、第3永久磁石42cに対向する位置であれば、基台部41の第3コイル収納凹部41c1の反対側の面に設置されてもよい。
第4実施形態のぶれ補正装置40の作動は、第3実施形態と同様である。
さて、以上のような本実施形態のぶれ補正装置は、電子撮影装置、とりわけデジタルカメラやビデオカメラ等に用いることができる。以下に、その実施形態を例示する。
図13は、第1実施形態のぶれ補正装置を備えた撮像装置を示す図であり、図14は、撮像装置内のぶれ補正装置等を示す図である。
本発明の一実施形態のぶれ補正装置1を備える撮像装置としてのデジタルカメラ80は、図13及び図14に示すようにカメラボディ81と、カメラボディ81に交換可能に装着される撮影レンズLを備えるレンズユニット82と、により構成される。
なお、以下の説明において、撮影レンズLからカメラボディ81に入射する入射光軸を「O」で示し、入射光軸O方向に対して被写体側を前方(前面側)とし、結像側を後方(背面側)とする。また、光軸Oと直交する方向のうち、通常の撮影状態にて前方から見た左右方向を第1の方向であるX方向とし、上下方向を第2の方向であるY方向とする。第1の方向であるX方向及び第2の方向であるY方向は、ぶれ補正装置10での第1の方向であるX方向及び第2の方向であるY方向に対応している。
カメラボディ81は、デジタルカメラ80を構成する部材を収納するカメラ本体を兼ねる外装体83を備えており、入射光軸O上の前側位置にレンズユニット82を交換自在に装着するためのリング状のマウント部84を備えている。また、外装体83には前方から見て左側に撮影時、操作者の右手により保持される図示しないグリップ部が設けられる。このグリップ部の頂部には、レリーズボタン等の図示しない各種スイッチ、ボタン類が配されている。
さらに、カメラボディ81は、外装体83の内部に電池91を収納する電池収納室92を備えている。また、電池収納室92の後方には、カメラ全体の制御や画像処置、圧縮処理、データ記憶処理等を行うための制御回路やSDRAM等のメモリ、電源回路等が搭載された回路基板等(図示せず)が配されている。また、カメラボディ81には、例えばジャイロセンサ等による、該カメラボディ81の振れ状態検出装置(図示せず)が内蔵されている。
カメラボディ81は、さらに図13及び図14に示すように、外装体83の背面側にパネル表示窓85を有する液晶パネル86を備えている。この液晶パネル86は、撮影された画像の他、各種設定・調整事項等の各種情報を画像として表示するTFT(Thin Film Transistor)タイプの矩形状表示パネルである。また、外装体83の頂部には、光学ファインダ、電子ビューファインダ、外付けのフラッシュ、又はマイク等を装着するためのホットシュー87が配されている。
カメラボディ81の外装体83内には、図13に示すように、フォーカルプレーンシャッタ88及び撮像ユニット89が配設されている。撮像ユニット89は、CCDやCMOSセンサ等である撮像素子152をXY平面上において変位可能に支持し、リニアアクチュエータを用いたぶれ補正装置10を備えている。このぶれ補正装置10は、上述の振れ検出装置からの振れ信号に基づいて、検出した振れ方向の力を打ち消すように作動する。撮像素子152は、矩形の受光面を有しており、受光面の長辺がX方向に沿うように配設されている。また、外装体83の底面部には、三脚ねじ部90が設けられている。
図15は、本実施形態のデジタルカメラ80の主要部の内部回路を示すブロック図である。なお、以下の説明では、処理手段は、例えば、CDS/ADC部124、一時記憶メモリ117、画像処理部118等で構成され、記憶手段は、記憶媒体部等で構成される。
図15に示されるように、デジタルカメラ80は、操作部112と、この操作部112に接続された制御部113と、この制御部113の制御信号出力ポートにバス114及び115を介して接続された撮像駆動回路116並びに一時記憶メモリ117、画像処理部118、記憶媒体部119、表示部120、及び設定情報記憶メモリ部121を備えている。
上記の一時記憶メモリ117、画像処理部118、記憶媒体部119、表示部120、及び設定情報記憶メモリ部121は、バス122を介して相互にデータの入力、出力が可能とされている。また、撮像駆動回路116には、撮像素子152とCDS/ADC部124が接続されている。
操作部112は、各種の入力ボタンやスイッチを備え、これらを介して外部(カメラ使用者)から入力されるイベント情報を制御部113に通知する。制御部113は、例えばCPUなどからなる中央演算処理装置であって、不図示のプログラムメモリを内蔵し、プログラムメモリに格納されているプログラムに従って、デジタルカメラ80全体を制御する。
CCD等の撮像素子152は、撮像駆動回路116により駆動制御され、撮影光学系141を介して形成された物体像の画素ごとの光量を電気信号に変換し、CDS/ADC部124に出力する撮像素子である。
CDS/ADC部124は、撮像素子36から入力される電気信号を増幅し、かつ、アナログ/デジタル変換を行って、この増幅とデジタル変換を行っただけの映像生データ(ベイヤーデータ、以下RAWデータという。)を一時記憶メモリ117に出力する回路である。
一時記憶メモリ117は、例えばSDRAM等からなるバッファであり、CDS/ADC部124から出力されるRAWデータを一時的に記憶するメモリ装置である。画像処理部118は、一時記憶メモリ117に記憶されたRAWデータ又は記憶媒体部119に記憶されているRAWデータを読み出して、制御部113にて指定された画質パラメータに基づいて歪曲収差補正を含む各種画像処理を電気的に行う回路である。
記憶媒体部119は、例えばフラッシュメモリ等からなるカード型又はスティック型の記憶媒体を着脱自在に装着して、これらのフラッシュメモリに、一時記憶メモリ117から転送されるRAWデータや画像処理部118で画像処理された画像データを記録して保持する。
表示部120は、液晶表示モニターなどにて構成され、撮影したRAWデータ、画像データや操作メニューなどを表示する。設定情報記憶メモリ部121には、予め各種の画質パラメータが格納されているROM部と、操作部112の入力操作によってROM部から読み出された画質パラメータを記憶するRAM部が備えられている。
このように構成されたデジタルカメラ80は、撮影光学系141として本発明のレンズ系を採用することで、小型で動画撮像に適した撮像装置とすることが可能となる。
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えないことは理解できよう。従って、本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。