JP6098970B2 - バリアフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バリアフィルム及びその製造方法に関する。
電子デバイス用のフレキシブル基板として、樹脂フィルム上に、バリア層が形成されたバリアフィルムが用いられている。これらバリアフィルムの用途は、従来、食品等の包装であったが、近年、電子デバイスに用いられるようになってきている。このため、水分や酸素等のガス分子に対するバリア性能の飛躍的な向上が求められていた。このようなバリアフィルムの製造方法として、真空プロセスを用いた製造方法が知られている。真空プロセスは、概略的には、真空チャンバ内に設置したフィルム基板上に、バリアフィルムを構成する物質を付着させるプロセスである。しかし、真空プロセスには、異物(パーティクル、コンタミ等とも称される)の混入による平滑性の低下といった根本的問題を抱えていた。
一方、特許文献1、2に記載の技術は、ポリシラザンに紫外線を照射することで、二酸化ケイ素の単一膜からなるバリアフィルムを作製する。これらの文献に記載された技術では、異物の混入による平滑性の低下を低減することができる。また、これらの文献に記載された技術では、脱水縮合を経由しない直接酸化によりポリシラザンの転化反応(シリカ転化)が進行すると考えられているため、より低温でのシリカ転化が可能となる。したがって、これらの文献に記載された技術は、バリアフィルムを形成する方法として大変有効であると考えられている。
特開2008−159824号公報 特開2009−255040号公報
しかし、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムの水蒸気透過率は非常に高かった(例えば、特許文献1のバリアフィルムでは0.35g/(m・24h)となる)。したがって、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムは電子デバイスに適用することはできなかった。
この問題を解決する方法として、バリアフィルムを厚膜化することが考えられる。バリアフィルムを厚膜化する方法としては、ポリシラザンからなる前駆体層を厚膜化し、この前駆体層に紫外線を照射する方法と、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムを複数枚積層する方法とが考えられる。
しかし、前者の方法では、紫外線の照射時に前駆体層内に非常に大きな応力がかかるため、クラックが発生しやすいという問題があった。一方、後者の場合には、バリアフィルムの積層時に異物が混入し、この異物によってピンホール及びクラックが発生するという問題があった。したがって、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムを電子デバイス用のバリアフィルムとすることはできなかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ピンホール及びクラックの発生を抑制し、かつ、ガスバリア性を向上させることが可能な、新規かつ改良されたバリアフィルム及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体が硬化することで形成される複数の硬化層と、複数の硬化層の間に配置され、前駆体を含む未硬化層と、硬化層と未硬化層との間に配置され、硬化層から各内部領域までの距離が長いほど、内部領域の前駆体濃度が高くなる傾斜組成層と、を含むことを特徴とする、バリアフィルムが提供される。
この観点によるバリアフィルムは、複数の硬化層と、未硬化層と、傾斜組成層とを有する。すなわち、バリアフィルムは、多層構造となっている。したがって、バリアフィルムは、バリア性が向上する。さらに、バリアフィルムでは、未硬化層及び傾斜組成層が応力緩和層として機能するので、クラックの発生が抑制される。さらに、バリアフィルムは、単一の前駆体層に紫外線を照射することで作製されるので、異物の混入が抑制され、ひいては、異物によるクラック及びピンホールの発生が抑制される。
ここで、硬化層の層厚は20nm〜250nmの範囲内の値となってもよい。
この観点によれば、硬化層の層厚は20nm〜250nmの範囲内の値となるので、クラックの発生がさらに抑制される。
また、傾斜組成層の層厚は20〜100nmの範囲内の値であってもよい。
この観点によれば、傾斜組成層の層厚は20〜100nmの範囲内の値であるので、クラックの発生がさらに抑制される。
また、未硬化層の層厚は5〜150nmの範囲内の値であってもよい。
この観点によれば、未硬化層の層厚は5〜150nmの範囲内の値であるので、クラックの発生がさらに抑制される。
また、硬化層、未硬化層、及び傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも2種類以上の原子を含んでいてもよい。
この観点によれば、硬化層、未硬化層、及び傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも2種類以上の原子を含むので、バリアフィルムのバリア性が向上し、かつ、クラックの発生が抑制される。
また、傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、傾斜組成層内の各内部領域の窒素原子濃度は、硬化層から内部領域までの距離が長いほど高くなり、かつ、内部領域を構成する全原子の総数に対して0at%より大きく20at%より小さくてもよい。
この観点によれば、傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、内部領域の窒素原子濃度は、硬化層から内部領域までの距離が長いほど高くなり、かつ、傾斜組成層を構成する全原子の総数に対して0at%より大きく20at%より小さい。これにより、傾斜組成層は応力緩和層として機能し、ひいては、クラックの発生が抑制される。
また、未硬化層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、未硬化層内の各内部領域の窒素原子濃度は、内部領域を構成する全原子の総数に対して10at%より大きく40at%より小さくてもよい。
この観点によれば、未硬化層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、未硬化層の窒素原子濃度は、10at%より大きく40at%より小さい。したがって、未硬化層が応力緩和層として機能し、ひいては、クラックの発生が抑制される。
また、帯電した板状粒子を含む板状粒子層と、板状粒子層と交互に積層され、板状粒子と反対の電荷に帯電したバインダ層と、を有し、硬化層上に積層された交互積層フィルムをさらに有していてもよい。
この観点によれば、バリアフィルムは、交互積層フィルムを有するので、バリア性がさらに向上する。
また、板状粒子は無機板状粒子であってもよい。
この観点によれば、交互積層フィルムを構成する板状粒子は無機板状粒子であるので、バリアフィルムのバリア性がさらに向上する。
本発明の他の観点によれば、ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体層に、前駆体層が厚いほど大きく、かつ、0.3〜65(J/cm)の範囲内の露光量の紫外線を照射するステップを含むことを特徴とする、バリアフィルムの製造方法が提供される。
この観点によれば、バリアフィルムは、ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体層に、前駆体層が厚いほど大きく、かつ、0.3〜65(J/cm)の範囲内の露光量の紫外線を照射することで作製される。したがって、バリアフィルムは非常に簡単なステップにより作製される。また、バリアフィルムは多層構造となっているので、バリア性が向上する。さらに、バリアフィルムは、単一の前駆体層に紫外線を照射することで作製されるので、異物の混入が抑制され、ひいては、異物によるクラック及びピンホールの発生が抑制される。
以上説明したように本発明に係るバリアフィルムは、多層構造となっている。したがって、バリアフィルムは、バリア性が向上する。さらに、バリアフィルムでは、未硬化層及び傾斜組成層が応力緩和層として機能するので、クラックの発生が抑制される。さらに、バリアフィルムは、単一の前駆体層に紫外線を照射することで作製されるので、異物の混入が抑制され、ひいては、異物によるクラック及びピンホールの発生が抑制される。
本発明の実施形態に係るバリアフィルムの構成を示す断面図である。 同実施形態の変形例に係るバリアフィルムの構成を示す断面図である。 実施例1,3に係るバリアフィルムを構成する各元素の原子濃度とバリアフィルムの表面からの深さとの対応関係を示すグラフである。 実施例2に係るバリアフィルムを構成する各元素の原子濃度とバリアフィルムの表面からの深さとの対応関係を示すグラフである。 実施例4に係るバリアフィルムを構成する各元素の原子濃度とバリアフィルムの表面からの深さとの対応関係を示すグラフである。 比較例1に係るバリアフィルムを構成する各元素の原子濃度とバリアフィルムの表面からの深さとの対応関係を示すグラフである。 従来のバリアフィルムが異物によってクラック及びピンホールを発生させている様子を示す断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本実施形態では、原子濃度はatomic%、at%で表される。原子濃度は例えばXPS(X線光電子分光法)により測定可能である。また、各元素の原子濃度は、多層バリアフィルム10の厚さ方向に垂直な断面(内部領域)に含まれる全原子数に対する原子数の割合を意味する。
(従来のバリアフィルムが有する問題点)
本発明者は、従来のバリアフィルム及びその問題点を精査し、この結果に基づいて、本実施の形態に係るバリアフィルムを完成させるに至った。そこで、まず、従来のバリアフィルム及びその問題点について説明する。
電子デバイス用のフレキシブル基板として、樹脂フィルム上にバリア層が形成されたバリアフィルムが用いられている。これらバリアフィルムの用途は、従来、食品等の包装であったが、近年、電子デバイスに用いられるようになり、バリア性能の飛躍的な向上が求められていた。例えば、フレキシブルディスプレイに好適と言われている、全固体型の発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、必要とされるバリア性能は、透湿率(WVTR)で、1E−6(g/m/day)が要求されていた。
このような高い性能を満たすバリアフィルムが各社より提案されている。例えば、米国バイテックス(Vitex)社は、樹脂フィルム及びアルミナ層の交互積層構造からなるバリアフィルムを開示している(http://www.vitexsys.com/barix_how_made.html)。バイテックス社によれば、このバリアフィルムは有機発光素子に適用可能な高い性能を有する。また、2008年2月20日の三菱樹脂株式会社の新聞発表(http://www.mpi.co.jp/info/360/index.html)によれば、WVTRが0.05(g/m/day)のバリアフィルムが上市されている。
これら二つの技術を始め、多くの高性能バリアフィルムは、真空プロセスを用いて作製されている。真空プロセスは、概略的には、真空チャンバ内に設置したフィルム基板上に、バリアフィルムを構成する物質を付着させるプロセスである。真空プロセスは、巨大な真空チャンバを必要とするため、設備投資額が大きくなるという問題があった。また、真空プロセスは、真空チャンバの維持に過大なランニングコストが必要になるので、バリアフィルムの製造コストが高くなるという問題もあった。また、真空プロセスは、バリアフィルムのステップカバレージが悪いため、フィルム基板上の異物が原因でピンホール及びクラックが生じやすい(すなわち、平滑性が低下しやすい)という問題もあった。
一方、バリアフィルムの成膜方法として、湿式プロセスによる成膜方法も知られている。この製膜方法は、これら真空プロセスの問題を回避でき、低コストでピンホールの少ないバリアフィルムを形成できる。湿式プロセスとしては、ゾルゲル法や、ガス透過がほとんどない粘土の粒子を用いる方法が考えられる。これらの手法を用いたバリアフィルムの製造方法は、特開2007−22075号公報(以下、「参考文献1」とも称する)、特開2003−41153号公報(以下、「参考文献2」とも称する)、米国特許出願公開第2004/053037号公報(以下、「参考文献3」とも称する)に開示されている。
参考文献1は、粘土粒子(後述する無機層状化合物の粒子)からなる粘土層と、ゾルゲル法により形成される無機層とが積層されたバリアフィルムを開示する。参考文献1に開示された技術では、粘土粒子が分散した分散液を静置することで、粘土層を形成する。しかし、このような方法で形成された粘土層は、他の層、即ち無機層との密着性が低いという問題があった。また、粘土層は、単に粘土粒子が堆積した層であるので、粘土層内の粘土粒子同士の結合も非常に弱い。例えば、水分が無機層を通って粘土層中に浸入すると、容易に粘土粒子間に水分子が入り込み、粘土層が膨潤し、バリアフィルムのバリア性能が著しく低下する。この問題を解決するためには、無機層の透湿率を低くすることが考えられるが、そのためには無機層を高温(100〜500℃)で焼成する必要があるので、工程が複雑になるという問題があった。
参考文献2には、ゾルゲル材料と粘土粒子との混合物からなるバリアフィルムが開示される。この技術では、粘土粒子をゾルゲル材料中に高濃度に分散させることがバリアフィルムのバリア性能を高めるために重要な事項となる。粘土粒子のような層状化合物をゾルゲル材料中に分散させた場合に、バリアフィルムがどの程度バリア性能を高めることができるかについては、J. MACROMOL. SCI. (CHEM.), A1(5), 929−942 (1967)で試算されている。該文献の計算方法によれば、例えば、1μmの直径で1nmの厚さを持つ粘土粒子を用いた場合、混合するゾルゲル材料のWVTR、即ちバリアフィルムのWVTRを2桁下げるためには、バリアフィルムの総質量に対し約20質量%の粘土粒子をゾルゲル材料中に分散させる必要がある。粘土粒子のような非常に扁平な形状である粒子がゾルゲル材料中に分散した分散液はチクソトロピー性を示し、静置時の粘度が非常に高くなる。このような粘度の高さのため、20質量%もの粘土粒子をゾルゲル材料中に分散させるのは事実上困難であるという問題があった。また、仮に分散できたとしても、分散液の粘度が高いため、分散液を膜状に塗布するのは非常に困難であるという問題もあった。
参考文献3に開示されたバリアフィルムは、粘土粒子からなる粘土層とカチオン性樹脂とを交互吸着法によって積層したものである。しかし、参考文献3のバリアフィルムでは、バリア層は、ガス透過性が高いカチオン性樹脂を含んでおり、この部分が水分等のガスの通り道となる。このため、参考文献3記載のバリアフィルムには、各粘土層のバリア性能が不十分になり易いという問題があった。この問題を解決する方法として、粘土層の積層数を増加させるという方法も考えられるが、この方法では、工程が複雑になり、かつ、バリアフィルムが厚くなってしまう。
一方、特許文献1、2には、ポリシラザンに紫外線を照射することで、二酸化ケイ素の単一膜からなるバリアフィルムを作製する技術を開示する。これらの文献に記載された技術では、真空プロセスで問題となる異物の混入による平滑性の低下を低減することができる。また、これらの文献に記載された技術では、脱水縮合を経由しない直接酸化によりポリシラザンの転化反応(シリカ転化)が進行すると考えられているため、より低温でのシリカ転化が可能となる。したがって、これらの文献に記載された技術は、バリアフィルムを形成する方法として大変有効であると考えられている。
しかし、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムの水蒸気透過率は非常に高かった。したがって、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムは電子デバイスに適用することはできなかった。
この問題を解決する方法として、バリアフィルムを厚膜化することが考えられる。バリアフィルムを厚膜化する方法としては、ポリシラザンからなる前駆体層を厚膜化し、この前駆体層に紫外線を照射する方法と、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムを複数枚積層する方法とが考えられる。
しかし、前者の方法では、紫外線の照射時に前駆体層内に非常に大きな応力がかかるため、クラックが発生しやすいという問題があった。一方、後者の場合には、バリアフィルムの積層時に異物が混入し、この異物によってピンホール及びクラックが発生するという問題があった。したがって、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムを電子デバイス用のバリアフィルムとすることはできなかった。
ここで、図7に基づいて、異物の混入によるピンホール及びクラックが発生する様子を説明する。図7に示すバリアフィルム110は、基板120上に特許文献1、2に開示されたバリアフィルム111を3層積層したものである。この例に示されるように、バリアフィルム111上に他のバリアフィルム111を積層する際に、異物200がバリアフィルム111の層間に混入し、これらの異物200がクラック210やピンホール220を発生させる。また、図7の例では、バリアフィルム111の界面で大きな内部応力が発生するので、この内部応力によってもクラックが発生しやすい。具体的には、バリアフィルム111を積層するためには、バリアフィルム111上にポリシラザン前駆体層を形成し、この前駆体層に紫外線を照射する必要がある。前駆体層に紫外線を照射することで、ポリシラザンがシリカ転化反応を起こし、バリアフィルム111が形成される。前駆体層は、シリカ転化反応の際に大きく収縮するので、大きな内部応力が発生する。そして、この内部応力によってクラックが発生する。
本発明者は、上記の問題点を鋭意検討した結果、紫外線の露光量をポリシラザン前駆体層の厚さに応じて調整することで、ポリシラザン前駆体層の単一層から多層構造の酸化ケイ素膜を作製することができることを見出した。そして、本発明者は、このような知見に基づいて、本実施形態に係るバリアフィルムに想到するに至った。以下、本実施の形態について説明する。
(ポリシラザン)
本実施形態に係るバリアフィルムは、ポリシラザンを含む前駆体層に紫外線を照射することで作製される。そこで、まず、ポリシラザンについて説明する。
ポリシラザンは、ケイ素−窒素結合を持つ光硬化性の無機高分子であり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有する。また、ポリシラザンは、SiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等の前駆体となるものである。ポリシラザンは、具体的には、以下の化学式1または化学式2で示される繰り返し単位を有し、各種の溶剤に溶解可能である。
Figure 0006098970
Figure 0006098970
化学式2中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基等である。本実施形態では、バリアフィルムの緻密性の観点から、R1、R2のすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。
パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と、6および8員環を中心とする環構造との少なくとも一方を有すると推定されている。各パーヒドロポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、本実施形態では、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。
ポリシラザンの重量平均分子量は特に制限されないが、例えば600〜3000の範囲であればよい。また、ポリシラザン含有塗布液に含まれるポリシラザンの含有比も特に制限されないが、例えば、塗布液の総質量に対して0.1〜35質量%となることが好ましく、0.5〜10質量%となることが特に好ましい。重量平均分子量及び含有比が上述した範囲となる場合に、本実施形態に係るバリアフィルムがより容易に製造され、かつ、バリアフィルムのバリア性が向上する。
ポリシラザン含有塗布液に使用される溶媒は、ポリシラザンと容易に反応する溶媒(例えば、アルコール類、水)以外のものであればよい。このような溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。このような溶媒としては、より具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、芳香族系溶媒(ソルベッソ等)、塩化メチレン、トリクロロエチレン、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等にあわせて選択すればよい。なお、複数の溶媒を混合しても良い。
また、本実施形態では、ポリシラザンのシリカ転化を促進するために、各種の触媒を塗布液に添加してもよい。このような触媒としては、アミン、金属カルボン酸塩等が挙げられる。このような触媒は、例えば特開平11−116815、特開平9−31333に列挙されており、本実施形態では、これらの文献に列挙された触媒を使用することができる。
ポリシラザン塗布液としては、具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカNAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140などが挙げられる。なかでも、触媒を含有しないパーヒドロポリシラザンからなるNN120、NN110が本実施形態のバリアフィルムを作製するための塗布液として好ましい。これらの塗布液を用いることで、さらに緻密でバリア性の高いバリアフィルムを作製することができる。
(バリアフィルムの構造)
次に、図1に基づいて、本実施形態に係る多層バリアフィルム10の構造について説明する。多層バリアフィルム10は、例えば基板20上に形成される。基板20は、吸湿性を有するものであることが好ましい。基板20が吸湿性を有する場合、基板20中の水分がポリシラザンのシリカ転化を促進させることができる。基板20を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、及びポリイミド(PI)等が挙げられる。
多層バリアフィルム10は、硬化層11と、未硬化層12と、傾斜組成層13とを含む。各層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも2種類以上の原子を含む。すなわち、各層は、ケイ素酸化化合物SiO、ケイ素窒化化合物SiN、及びケイ素酸窒化化合物SiONのうち、いずれかを含む。
本実施形態では、ポリシラザンを含む単一の前駆体層から多層バリアフィルム10が作製されるので、特許文献1、2に開示されたバリアフィルムを積層する場合よりも、異物がバリアフィルムに混入する可能性を低減することができる。さらに、前駆体層を単に厚膜化しただけでは、紫外線の照射時に内部応力によってクラックが発生するが、本実施形態では、傾斜組成層13が硬化層11と未硬化層12とを密着させ、かつ、応力緩和層として機能する。未硬化層12も同様に応力緩和層として機能する。したがって、多層バリアフィルム10を厚膜化してもクラックの発生が抑制される。また、多層バリアフィルム10はポリシラザンのシリカ転化により形成される複数の層で構成されるので、特許文献1、2のバリアフィルム、すなわち二酸化ケイ素の単一膜からなるバリアフィルムよりもバリア性が向上する。
多層バリアフィルム10の膜厚は、特に制限されないが、好ましくは30nm〜750nm程度、さらに好ましくは40nm〜600nm程度、最も好ましくは45nm〜500nm程度となるように設定され得る。
硬化層11は、ポリシラザンが硬化することで形成される層であり、多層バリアフィルム10の表面及び裏面(基板20に接する面)に形成される。硬化層11は、具体的には、ケイ素原子Si、及び酸素原子Oで構成される無機膜である。ケイ素原子と酸素原子との含有比(原子数の比)O/Siは、特に制限されないが、1<O/Si<2であることが好ましく、1.5≦O/Si≦2であることがより好ましい。ケイ素原子と酸素原子との含有比O/Siがこれらの範囲内の値となる場合に、多層バリアフィルム10のバリア性がより向上する。
硬化層11の厚さは、特に制限されないが、クラック抑制の観点からは、20〜250nmの範囲内の値であることが好ましく、30〜200nmの範囲内の値であることが更に好ましい。なお、硬化層11の厚さは、硬化層11の表面(多層バリアフィルム10の表面または裏面)から硬化層11に最も近い傾斜組成層13の表面(硬化層11に対向する面)までの距離(深さ)となる。
硬化層11の層厚は、紫外線の露光量で制御される。硬化層11の層厚が上記の範囲内の値となるためには、露光量は、0.3〜65(J/cm)であることが好ましく、好ましくは2〜45(J/cm)であり、更に好ましくは5〜38(J/cm)である。露光量が大きいほど、硬化層11の層厚が大きくなる。また、ポリシラザン前駆体層の層厚が大きいほど、同じ露光量に対して形成される硬化層11が薄くなる。
未硬化層12は、前駆体、すなわちポリシラザンを含む層であり、硬化層11の間に配置される。具体的には、未硬化層12は、ケイ素原子Si、酸素原子O、及び窒素原子Nを含む。未硬化層12は、窒素原子を含むので、ガスバリア層としてだけでなく、多層バリアフィルム10の応力緩和層としても機能する。
未硬化層12内の窒素原子濃度は、0より大きければ特に制限されないが、10より大きく40未満であることが好ましく、10以上30以下であることがより好ましい。窒素原子濃度がこれらの範囲内の値となる場合に、多層バリアフィルム10のガスバリア性が向上し、かつ、クラックの発生が抑制される。
未硬化層12は、図1に示すように、多層バリアフィルム10に少なくとも1層含まれればよいが、2層以上含まれていてもよい。また、未硬化層12の層厚は、特に制限されないが、クラック抑制の観点からは、5nm〜150nmの範囲内の値となることが好ましく、30nm〜100nmの範囲内の値となることがより好ましい。未硬化層12の層厚も、紫外線の露光量で制御される。未硬化層12の層厚が上記の範囲内の値となるためには、露光量は、0.3〜65(J/cm)であることが好ましく、好ましくは2〜45(J/cm)であり、更に好ましくは5〜38(J/cm)である。露光量が大きいほど、未硬化層12の層厚が小さくなり、かつ、未硬化層12内の窒素原子濃度が小さくなる。また、ポリシラザン前駆体層の層厚が大きいほど、同じ露光量に対して形成される未硬化層12が厚くなる。
傾斜組成層13は、硬化層11と未硬化層12との間に配置され、硬化層11の表面から各内部領域、すなわち多層バリアフィルム10の厚さ方向に垂直な断面までの距離が長いほど、内部領域の前駆体濃度が高くなる。具体的には、傾斜組成層13は、ケイ素原子Si、酸素原子O、及び窒素原子Nを含む。そして、各内部領域の窒素原子濃度は、硬化層11の表面から各内部領域までの距離が長いほど高くなる。すなわち、硬化層11に近い領域では窒素原子濃度が低くなり、未硬化層12に近い領域では窒素原子濃度が高くなる。また、窒素原子濃度は、0より大きく20未満の範囲内の値となることが好ましく、1以上10未満の範囲内の値となることがより好ましい。窒素原子濃度がこれらの範囲内の値となる場合に、多層バリアフィルム10のガスバリア性が向上し、かつ、クラックの発生が抑制される。
傾斜組成層13は、図1に示すように多層バリアフィルム10内に複数層含まれていても良いが、少なくとも1層以上含まれていればよい。傾斜組成層13の層厚は、特に制限されないが、クラック抑制の観点からは、20nm〜100nmの範囲内の値であることが好ましく、10nm〜90nmの範囲内の値となることがより好ましく、30nm〜60nmの範囲内の値となることがさらに好ましい。
傾斜組成層13の層厚も、紫外線の露光量で制御される。傾斜組成層13の層厚が上記の範囲内の値となるためには、露光量は、0.3〜65(J/cm)であることが好ましく、好ましくは2〜45(J/cm)であり、更に好ましくは5〜38(J/cm)である。露光量が大きいほど、傾斜組成層13の層厚が小さくなり、かつ、傾斜組成層13内の窒素原子濃度が小さくなる。また、ポリシラザン前駆体層の層厚が大きいほど、同じ露光量に対して形成される傾斜組成層13が厚くなる。
このように、多層バリアフィルム10は、多層構造を有するので、バリア性が向上する。さらに、多層バリアフィルム10は、ポリシラザンを含む単一の前駆体層に紫外線を照射することで形成されるので、異物の混入を抑制することができ、ひいては、異物によるピンホール及びクラックの発生を抑制することができる。したがって、多層バリアフィルム10は、この点でもガスバリア性が向上する。
さらに、多層バリアフィルム10内の未硬化層12及び傾斜組成層13が応力緩和層として機能するので、厚膜化した前駆体層に紫外線を照射した場合であっても、内部応力によるクラックの発生を抑制することができる。さらに、硬化層11と傾斜組成層13との間では、原子濃度が連続的に変化する。同様に、傾斜組成層13と未硬化層12との間でも、原子濃度が連続的に変化する。したがって、多層バリアフィルム10は多層構造ではあるが、層間の界面は実質的に存在しない。このため、内部応力が低減し、ひいては、クラックの発生が抑制される。さらに、各層が強固に結着しているので、この点でもガスバリア性が向上する。
(バリアフィルムの製造方法)
つぎに、多層バリアフィルム10の製造方法について説明する。多層バリアフィルム10は、非常に簡単なステップにより製造(作製)される。多層バリアフィルム10の製造方法は、ポリシラザン含有塗布液を基板20上に塗布、乾燥することで、前駆体層を作製するステップと、酸素及び水蒸気の少なくとも一方が存在する雰囲気下で前駆体層に紫外線を照射するステップと、を含む。
(塗布液を基板上に塗布、乾燥するステップ)
まず、ポリシラザン含有塗布液を基板20上に塗布、乾燥することで、前駆体層を作製する。ポリシラザン含有塗布液を基板20上に塗布する方法は特に限定されず、公知の方法が任意に適用される。塗布方法としては、例えば、ポリシラザン含有塗布液は、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディッピングコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。基板20上の塗布液の厚さ、すなわち塗布厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚さは、乾燥後の厚さ、すなわち前駆体層の厚さが30nm〜750nm程度、さらに好ましくは40nm〜600nm程度、最も好ましくは45nm〜500nm程度となるように設定され得る。
(前駆体層に紫外線を照射するステップ)
次いで、酸素及び水蒸気の少なくとも一方が存在する雰囲気下で、前駆体層に紫外線を照射する。これにより、多層バリアフィルム10が形成される。すなわち、このステップでは、前駆体層のシリカ転化処理を行う。
ここで、シリカ転化処理について簡単に説明する。ポリシラザンは、窒素またはアンモニア雰囲気下、高温で焼結することにより、窒化ケイ素になる一方、酸素及び水蒸気の少なくとも一方が存在する雰囲気下で、ポリシラザンに紫外線を照射することにより、シリカへと転化することが報告されている。なお、ポリシラザンは、酸素及び水蒸気の少なくとも一方が存在する雰囲気下で、室温から450℃の低温で焼結することにより、シリカへと転化することも報告されている。
本実施形態で好ましく用いられるのは紫外線照射処理である。酸素及び水蒸気のうち、少なくとも一方が存在する雰囲気下で紫外光をポリシラザンに照射することで、活性酸素及びオゾンが発生し、これらの活性酸素及びオゾンがポリシラザンのシリカ転化反応を促進させることができる。
活性酸素及びオゾンは非常に反応性が高い。例えば、ポリシラザン含有前駆体層は、活性酸素及びオゾンによりシラノールを経由することなく直接酸化されることで、より高密度で欠陥の少ないケイ素酸化物膜、すなわち多層バリアフィルム10となる。
なお、水蒸気雰囲気下の場合、ヒドロキシルラジカルも発生すると推測される。ヒドロキシルラジカルも、活性酸素及びオゾンと同様に非常に反応性が高い。前駆体層の裏面、すなわち基板20に接触する側の面は、基板20中の水蒸気から生成されたヒドロキシルラジカルによりシリカ転化反応が促進されると推測される。
ここで、紫外線の照射中に前駆体層周辺のオゾンが不足する場合がある。そこで、本実施形態では、紫外線照射装置とは別の装置によりオゾンを作製し、このオゾンを前駆体層の反応領域に導入してもよい。
紫外線の波長は特に限定されないが、100nm〜450nmが好ましく、150nm〜300nmがより好ましく、100nm〜200nmがさらに好ましく、150nm〜200nmが最も好ましい。紫外線の波長がこの範囲内の値となる場合、紫外線の光子エネルギーが大きくなるので、シリカ転化反応がより促進される。
すなわち、紫外線の波長が100〜200nmとなる場合、紫外線が有する光子エネルギーは化合物内の原子間結合力より大きくなるので、酸素及び水蒸気から活性酸素、オゾン、及びヒドロキシルラジカルが生成されやすくなり、かつ、ポリシラザン内の各結合が切断されやすくなる。そして、ポリシラザン内で切断された結合部分に活性酸素、オゾン、及びヒドロキシルラジカルからの酸素が挿入されることで、シリカ転化反応が進行する。これにより、比較的低温でシリカ転化反応が進行する。
紫外線の光源としては、特に制限されず、例えば、希ガスエキシマランプ、低圧水銀灯、重水素ランプ、メタルハライドランプ、プラズマ洗浄ランプ等が挙げられる。これらの光源のうち、希ガスエキシマランプが特に好ましい。希ガスエキシマランプは、100〜200nmの波長の紫外線を出力することができるからである。希ガスエキシマランプのうち、特にキセノンエキシマランプが好ましい。
ここで、希ガスエキシマランプは、放電等により希ガスにエネルギーを与えることで希ガスから紫外線を発光させるものである。すなわち、Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガス原子は化学的に結合しており、分子を形成しないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガス原子(励起原子)は他の希ガス原子と結合することで分子を形成することができる。希ガス原子がキセノン原子となる場合には、以下の化学式3、4に示す過程によりキセノン分子となる。
Figure 0006098970
そして、励起されたエキシマ分子であるXe*は、基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光、すなわち紫外線を発光する。希ガスエキシマランプの特徴としては、放射線が一つの波長に集中し、それ以外の波長の放射線がほとんど放射されないのでシリカ転化反応の効率が高くなることが挙げられる。
なお、キセノンエキシマランプは、上記の特徴に加え、発光効率が他の希ガスよりも高いことや大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できるというメリットもある。さらに、キセノンエキシマランプから発光される波長172nmの紫外線は、酸素の吸収係数が大きい。このため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種(すなわち活性酸素)及びオゾンを高濃度で発生させることができる。また、波長172nmの紫外線は、有機物の原子間結合を効率良く切断することができる。したがって、キセノンエキシマランプを光源とすることで、高濃度のオゾン及び活性酸素を効率良く発生させることができ、かつ、ポリシラザンの原子間結合を効率良く切断することができるので、短時間でシリカ転化反応を進行させることができる。さらに、ポリシラザン及び基板20は熱によるダメージを受けやすいが、短時間でシリカ転化反応を進行させることができるので、ポリシラザン及び基板20の過剰な発熱を防止することもできる。さらに、キセノンエキシマランプを用いたシリカ転化反応は効率良く進行するので、設備面積の縮小も期待できる。
他の希ガスエキシマランプは100〜200nmの波長の紫外線を出力できるが、キセノンほどの効果は期待できない。したがって、本実施形態では、キセノンエキシマランプが特に好ましい。
なお、光源の出力、照度、及び照射エネルギーについては、上述した効果を得られる範囲であれば特に制限されない。例えば、光源の出力は400W〜30kW程度であればよい。照度は5mW/cm〜100kW/cm程度であればよいが、1mW/cm〜10W/cmが好ましい。照射エネルギーは、1mJ/cm〜5000mJ/cmが好ましく、10mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましい。また、連続的に照射するだけでなく複数回の照射を行ってもよく、複数回の照射が短時間であるパルス照射で有っても良い。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を説明する。まず、図2に基づいて、変形例に係るバリアフィルム40について説明する。バリアフィルム40は、多層バリアフィルム10及び交互積層フィルム30を有する。
(交互積層フィルムの構成)
交互積層フィルム30は、多層バリアフィルム10の表面に積層されたものである。もちろん、基板20上にまず交互積層フィルム30を積層し、その表面に多層バリアフィルム10を積層するようにしてもよい。多層バリアフィルム10と交互積層フィルム30とをさらに交互に積層するようにしてもよい(実施例4参照)。交互積層フィルム30は、無機板状粒子層(板状粒子層)31とバインダ層32とを備える。無機板状粒子層31とバインダ層32とは交互積層される。本発明者は、このような交互積層フィルム30とポリシラザンまたはポリシラザンがシリカ転化した二酸化ケイ素との親和性が高いことを見出し、本変形例に係るバリアフィルム40に想到した。
なお、図2ではバインダ層32が硬化層11に積層されている。これは、バインダ層32と硬化層11との親和性が無機板状粒子層31と硬化層11との親和性より高いことによる。もちろん、無機板状粒子層31を硬化層11に積層させても良い。また、以下の説明において、交互積層フィルム30を製造する途中過程で製造されるフィルム、即ち、多層バリアフィルム10の表面に無機板状粒子層31及びバインダ層32のうち少なくとも一方が積層されたフィルムを「中間フィルム」とも称する。
(無機板状粒子層の構成)
次に、交互積層フィルム30を構成する無機板状粒子層31について説明する。無機板状粒子層31は、板状粒子、具体的には、無機板状粒子で構成される。
無機板状粒子は、無機層状化合物、例えば雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、及びノントロナイト等の粘土鉱物、リン酸ジルコニウム、及び層状複水酸化物(LDH)等を層分離(剥離、Exfoliate)することで得られる。
これらの無機層状化合物は、正または負に帯電した複数の無機板状粒子同士が、無機板状粒子と逆の電荷に帯電した層間イオン(例えばナトリウムイオン)を介して積層されたものである。無機層状化合物を層分離するためには、例えば、無機板状粒子間に層間イオンよりも粒径の大きな粒子、例えば水分子、カルシウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンを挿入すればよい。例えば、無機層状化合物を水に投入し、攪拌すればよい。
無機板状粒子層31は、1種の無機板状粒子で構成されていても良く、同じ電荷を有する2種以上の無機板状粒子で構成されていても良い。
なお、層分離のしやすさは、無機層状化合物の持つ電荷の密度に依存する。層分離のしやすい無機層状化合物として、モンモリロナイトや燐酸ジルコニウムが挙げられる。したがって、これらの無機層状化合物は、層分離がしやすいという点で好ましいといえる。
無機板状粒子は、非常に扁平な形状をしており、金属酸化物等の無機物で構成される。無機板状粒子は、気体をほとんど透過させない。したがって、無機板状粒子を他の層に対して水平に配置することにより、バリアフィルム40のバリア性能が向上する。
無機平板状化合物の寸法は、例えば、平面方向の直径が10nm〜10μm、厚さが1〜100nmとなる。なお、平面方向の直径は、例えば各粒子の相当径(粒子の平面方向の形状を円としたときの直径)を算術平均した値であり、厚さは、各粒子の厚さを算術平均した値である。無機平板状化合物粒子の平面方向の直径及び厚さは、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)、AFM(原子間力顕微鏡)、レーザー散乱式粒度分布計によって測定される。
また、無機板状粒子は、上述したように、正または負に帯電している。具体的には、雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、及びノントロナイト等の粘土鉱物、及びリン酸ジルコニウムから取得される無機板状粒子は、負に帯電している。
一方、層状複水酸化物から取得される無機板状粒子は、正に帯電している。即ち、層状複水酸化物は、以下の化学式5で表される。
Figure 0006098970
化学式5中、M2+は2価金属、M3+は3価金属、Bはアニオン、nはアニオンの価数、xは0<x<0.4の実数、yは0より大きい実数である。すなわち、層状複水酸化物は、ブルーサイトと同様の構成を有し、正に帯電した無機板状粒子([M2+ 1−x3+ (OH)x+)の層間に、アニオン及び層間水からなり、負に帯電した層間イオン([Bn−x/n・yHO]x−)が配置された無機層状化合物である。
層状複水酸化物の結晶全体では電気的中性が保たれている。2価金属としてはMg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等が知られており、3価金属としてはAl、Fe、Cr、Co、In等が知られている。また、アニオンとしては、OH、F、Cl、NO 、SO 2−、CO 2−、Fe(CN) 4−、CHCOO、V1028 6−、ドデシルSO 等が知られている。
無機板状粒子層31は、吸着法によって形成される。吸着法は、表面が帯電した基板を、基板と逆の電荷に帯電した粒子の分散液に浸漬する手法である。この手法では、クーロン力により基板表面に粒子が吸着する。本実施の形態では、多層バリアフィルム10または表面がバインダ層32となる中間フィルムを、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面電荷と逆の電荷に帯電した無機板状粒子の分散液に浸漬する。これにより、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面に無機板状粒子が吸着する。このとき、無機板状粒子は、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面と平行になるように吸着する。
無機板状粒子の分散液は、水に無機層状化合物を投入し、撹拌することで生成される。ここで、無機層状化合物の濃度は、0.01〜10(g/L)が好適で、0.1〜1(g/L)が更に好適である。濃度が低すぎると、多層バリアフィルム10または中間フィルムへの無機板状粒子の吸着が不十分となる。一方、濃度が高すぎると、分散液の粘度が高くなってしまう。分散液は、少なくとも水と無機層状化合物(具体的には、無機層状化合物が層分離することで形成される無機板状粒子及び層間イオン)からなるが、無機板状粒子の分散性を高めるための分散剤や、無機層状化合物の層分離を促進するためのインタカレート剤を含んでいても良い。
(バインダ層の構成)
バインダ層32は、無機板状粒子層31と逆の電荷に帯電可能なバインダ粒子で構成される。このようなバインダ粒子としては、例えば、高分子電解質イオン、金属イオン、金属化合物イオン、及び無機板状粒子が挙げられる。バインダ層32は、これらの物質のうち、いずれか1種だけで構成されていても良く、これらの物質のうち、同じ電荷を有する2つ以上の物質で構成されていても良い。
高分子電解質イオンとしては、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)及びポリアクリルアミドの窒素原子にプロトンが配位結合した高分子電解質イオン等が挙げられる。金属イオンとしては、アルミニウム、マグネシウム、カリウム、及び多価遷移金属等のイオンが挙げられる。多価遷移金属としては、鉄、コバルト、及びマンガン等が挙げられる。金属化合物イオンとしては、金属のオキソ酸イオン、例えば、VO 、MoO 2−、WO 2−、TiO2+等が挙げられる。無機板状粒子は、上述した無機層状化合物を層分離することで得られるものである。即ち、無機板状粒子層31が粘土鉱物から得られる無機板状粒子で構成される場合、バインダ層32は、層状複水酸化物から得られる無機板状粒子で構成される。逆に、無機板状粒子層31が層状複水酸化物から得られる無機板状粒子で構成される場合、バインダ層32は、粘土鉱物から得られる無機板状粒子で構成される。
バインダ層32は、無機板状粒子層31と同様に、吸着法によって形成される。本実施の形態では、多層バリアフィルム10または表面が無機板状粒子層31となる中間フィルムを、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面電荷と逆の電荷に帯電したバインダ層材料の水溶液(または分散液)に浸漬する。これにより、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面にバインダ層材料が吸着する。即ち、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面にバインダ層32が形成される。このとき、バインダ層材料が無機板状粒子となる場合、無機板状粒子は、多層バリアフィルム10または中間フィルムの表面と平行になるように吸着する。
バインダ粒子水溶液(または分散液)は、水に各種の水溶性化合物または上述した無機層状化合物を溶解または分散させることで得られる。ここで、水溶性化合物または無機層状化合物の濃度は、0.1mg/L〜1g/Lが好適で、1mg/L〜10mg/Lが更に好適である。濃度が低すぎると、多層バリアフィルム10または中間フィルムへのバインダ粒子の吸着が不十分となる。一方、濃度が高すぎると、バインダ粒子水溶液(または分散液)の粘度が高くなってしまう。バインダ粒子水溶液(または分散液)は、少なくとも水とバインダ粒子とからなるが、バインダ粒子が無機板状粒子となる場合、無機板状粒子の分散性を高めるための分散剤や、無機層状化合物の層分離を促進するためのインタカレート剤を含んでいても良い。
なお、バインダ粒子として高分子電解質イオンを用いる場合、水溶性化合物としては、例えば、ポリアリルアミン塩酸塩(PolyAllylAmine Hydrochloricacid Salt)やポリアクリル酸等のイオン性ポリマーが挙げられる。バインダ層32を金属イオンで構成する場合、水溶性化合物としては、金属の硫酸塩、塩化物、水酸化物、例えば、AlK(SO、AlNH(SO、MgCl、Mg(NO、KOH、KSO、KCl、FeK(SO、CoCl、Co(NO、MnCl,Mn(NO,NiCl,Ni(NO,CuCl,Cu(NO,ZnCl、Zn(NO等が挙げられる。バインダ層32を金属化合物イオンで構成する場合、水溶性化合物としては、オキソ酸のナトリウム塩やアンモニウム塩等、例えば、NaVO、(NHMoO、(NHWO、TiOSO等が挙げられる。
(交互積層フィルムの製造方法)
次に、交互積層フィルム30の製造方法を説明する。なお、ここでは、製造方法の一例として、多層バリアフィルム10に無機板状粒子層31を積層し、次いで無機板状粒子層31にバインダ層32を積層する製造方法について説明するが、多層バリアフィルム10にバインダ層32を積層しても良いことは勿論である。
(第1段階:無機板状粒子層を形成する処理)
次いで、多層バリアフィルム10の表面に負に帯電した無機板状粒子層31を形成する。具体的には、まず、粘土鉱物及びリン酸ジルコニウムのうち、少なくとも一方を水に投入し、撹拌することで無機板状粒子の分散液を生成する。なお、粘土鉱物及びリン酸ジルコニウムは、負に帯電した無機板状粒子が層間イオンを介して積層されたものである。次いで、無機板状粒子の分散液に、多層バリアフィルム10を浸漬する。これにより、多層バリアフィルム10の表面に無機板状粒子が吸着する。即ち、多層バリアフィルム10の表面に無機板状粒子層31が形成される。
(第2段階:バインダ層を形成する処理)
次に、無機板状粒子層31にバインダ層32を形成する。具体的には、まず、正に帯電した高分子電解質イオン、金属イオン、金属化合物イオン、及び正に帯電した無機板状粒子のうち、少なくとも1種が溶解(または分散)したバインダ粒子水溶液(または分散液)を用意する。次いで、バインダ粒子水溶液(または分散液)に、表面が無機板状粒子層31となる中間フィルムを浸漬する。これにより、中間フィルムの表面にバインダ粒子が吸着する。即ち、中間フィルムの表面にバインダ層32が形成される。このとき、バインダ粒子が無機板状粒子となる場合、無機板状粒子は、中間フィルムの表面と平行になるように吸着する。
(第3段階:繰り返し処理)
次いで、第1段階〜第2段階の処理を繰り返して行うことで、多層バリアフィルム10上に無機板状粒子層31及びバインダ層32を交互に積層していく。これにより、交互積層フィルム30が製造される。
なお、交互積層フィルム30が多層バリアフィルム10に積層されていることは、例えば、交互積層フィルム30の原子間力顕微鏡写真(AFM)により確認することができる。
(実施例1)
つぎに、本実施形態の実施例1を説明する。
(多層バリアフィルムの作製)
以下のステップにより実施例1に係る多層バリアフィルムを作製した。
(基板の洗浄)
基板として帝人デュポンフィルム社製TeonexQ65FA(0.2mm厚のPENフィルム)を用意した。基板を洗剤と純水で洗浄し、その後、エアブローで乾燥させた。
(ポリシラザン前駆体層の作製)
洗浄した基板にパーヒドロポリシラザン含有塗布液としてAZエレクトロニックマテリアルズ社製Aquamica NN110をスピンコートした。この塗布液は、触媒を含まないものである。ついで、塗布液を100℃で15分乾燥した。これにより、ポリシラザン前駆体層を基板上に形成した。
(シリカ転化処理)
ついで、キセノンエキシマランプを用いてポリシラザン前駆体層のシリカ転化処理を行った。処理条件は以下のとおりである。これにより、実施例1に係る多層バリアフィルムを作製した。多層バリアフィルムの膜厚は約400nmであった。
(処理条件)
紫外線波長:172nm
紫外線照度:20mW/cm
前駆体層と光源との距離:2mm
紫外線照射時間:15分(露光量18J/cm
反応雰囲気:大気
多層バリアフィルムのXPS解析結果を図3及び表1に示す。図3では、横軸が深さ(多層バリアフィルムの表面からの距離)を示し、縦軸が原子濃度(元素の濃度)を示す。領域B1、B3は硬化層に対応し、領域B2は未硬化層に対応する。また、領域A1は傾斜組成層(1st傾斜組成層)に対応し、領域A2は傾斜組成層(2nd傾斜組成層)に対応する。
図3に示されるように、1st傾斜組成層、すなわち多層バリアフィルムの表面に最も近い傾斜組成層は、多層バリアフィルムの表面から約40nmの深さに形成されている。また、硬化層はケイ素及び酸素で構成され、窒素原子濃度はほぼゼロであることがわかる。また、1st傾斜組成層はケイ素、酸素、及び窒素で構成され、各内部領域の窒素原子濃度は、各内部領域の深さが大きいほど大きくなることがわかる。また、2nd傾斜組成層もケイ素、酸素、及び窒素で構成され、各内部領域の窒素原子濃度は、各内部領域の深さが大きいほど小さくなることがわかる。すなわち、2nd傾斜組成層では、裏面側の硬化層から各内部領域までの距離が長いほど、各内部領域の窒素原子濃度が高くなる。また、未硬化層はケイ素、酸素、及び窒素で構成されることがわかる。また、各元素の原子濃度は、連続的に変化しており、層間の界面は実質的に存在しないこともわかる。また、表1によれば、各層の窒素原子濃度及び層厚は上述した条件を満たしている。
(実施例2)
つぎに、本実施形態の実施例2を説明する。
(多層バリアフィルムの作製)
以下のステップにより実施例2に係る多層バリアフィルムを作製した。
(基板の洗浄)
基板として帝人デュポンフィルム社製TeonexQ65FA(0.2mm厚のPENフィルム)を用意した。基板を洗剤と純水で洗浄し、その後、エアブローで乾燥させた。
(ポリシラザン前駆体層の作製)
洗浄した基板にパーヒドロポリシラザン含有塗布液としてAZエレクトロニックマテリアルズ社製Aquamica NL110をスピンコートした。この塗布液には、触媒としてパラジウムが混入されている。ついで、塗布液を100℃で15分乾燥することで、ポリシラザン前駆体層を基板上に形成した。
(シリカ転化処理)
ついで、キセノンエキシマランプを用いてポリシラザン前駆体層のシリカ転化処理を行った。処理条件は以下のとおりである。これにより、実施例1に係る多層バリアフィルムを作製した。多層バリアフィルムの膜厚は約550nmであった。
(処理条件)
紫外線波長:172nm
紫外線照度:20mW/cm
前駆体層と光源との距離:2mm
紫外線照射時間:30分(露光量36J/cm
反応雰囲気:大気
多層バリアフィルムのXPS解析結果を図4及び表1に示す。図4では、横軸が深さ(多層バリアフィルムの表面からの距離)を示し、縦軸が原子濃度(元素の濃度)を示す。領域B1、B3は硬化層に対応し、領域B2は未硬化層に対応する。また、領域A1は傾斜組成層(1st傾斜組成層)に対応し、領域A2は傾斜組成層(2nd傾斜組成層)に対応する。
図4及び表1によれば、塗布液に触媒が含まれている場合であっても、実施例1と同様の多層バリアフィルムが作製されることがわかる。ただし、露光量が実施例1よりも増えているので、硬化層が実施例1よりも厚く、未硬化層及び傾斜組成層が実施例1よりも薄くなっている。
(実施例3)
つぎに、本実施形態の実施例3を説明する。
(多層バリアフィルムの作製)
以下のステップにより実施例3に係る多層バリアフィルムを作製した。
まず、実施例1と同様の処理を行うことで、実施例1に係る多層バリアフィルムを作製した。ついで、以下の処理を行うことで、多層バリアフィルム上に交互積層フィルムを積層した。
(無機板状粒子層液の作製)
モンモリロナイト(MMT)として、0.5gのクニミネ工業社製Kunifil−D36を純水1L中に入れ、混合液を市販のスターラを用いて、1日間攪拌した。これにより、無機板状粒子層液を作製した。
(バインダ層液の作製)
バインダ層液として、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)の30mM/L水溶液を作製した。
(バインダ層形成)
多層バリアフィルムをバインダ層液に15分間浸漬した後、純水で十分洗い流し、エアブローで乾燥した。これにより、多層バリアフィルム上にバインダ層を形成した。
(無機板状粒子層形成)
バインダ層を形成した多層バリアフィルム、すなわち中間フィルムを無機板状粒子層液に15分間浸漬し、純水で十分洗い流し、エアブローで乾燥した。これにより、中間フィルム上に無機板状粒子層を形成した。
(交互吸着)
バインダ層形成ステップ及び無機板状粒子層形成ステップを交互に10回繰り返すことで、実施例1の多層バリアフィルム上に交互積層フィルムを形成した。この交互積層フィルムは、バインダ層及び無機板状粒子層の対を10対有する。実施例3に係る多層バリアフィルム(実施例1に係る多層バリアフィルム+交互積層フィルム)のXPS解析結果を図3及び表1に示す。すなわち、XPS解析結果は実施例1と同様である。ただし、WVTRは実施例1よりも向上する。
(実施例4)
実施例4では、実施例3に係る多層バリアフィルムを作製したのち、さらに実施例1と同様の処理を行った。すなわち、実施例3に係る多層バリアフィルム上にさらに多層バリアフィルムを形成した。実施例4に係る多層バリアフィルム(多層バリアフィルム+交互積層フィルム+多層バリアフィルム)の総膜厚は820nmであった。
実施例4に係る多層バリアフィルムのXPS解析結果を図5及び表1に示す。図5では、横軸が深さ(多層バリアフィルムの表面からの距離)を示し、縦軸が原子濃度(元素の濃度)を示す。領域B1、B5は硬化層に対応し、領域B3は硬化層及び交互積層フィルムに対応し、領域B2、B4は未硬化層に対応する。また、領域A1は傾斜組成層(1st傾斜組成層)に対応し、領域A2は傾斜組成層(2nd傾斜組成層)に対応する。領域A3は傾斜組成層(3rd傾斜組成層)に対応し、領域A4は傾斜組成層(4th傾斜組成層)に対応する。図5及び表1に示されるように、実施例4では、傾斜組成層及び未硬化層が実施例1の倍形成されている。各層における原子の分布は実施例1と同様である。
(比較例1)
基板として帝人デュポンフィルム社製TeonexQ65FA(0.2mm厚のPENフィルム)を用意した。基板を洗剤と純水で洗浄し、その後、エアブローで乾燥させた。ついで、パーヒドロポリシラザン含有塗布液としてAZエレクトロニックマテリアルズ社製Aquamica NL110を基板上にスピンコートし、塗布液を100℃で15分乾燥した。これにより、前駆体層を形成した。ついで、前駆体層を250℃で60分熱処理した。これにより、二酸化ケイ素の単一膜を形成した。膜厚は400nmであった。比較例1のXPS解析結果を図6及び表1に示す。図6では、横軸が深さ(多層バリアフィルムの表面からの距離)を示し、縦軸が原子濃度(元素の濃度)を示す。解析結果からわかるように、比較例1では、多層構造は形成されていない。
(比較例2)
基板として帝人デュポンフィルム社製TeonexQ65FA(0.2mm厚のPENフィルム)を用意した。基板を洗剤と純水で洗浄し、その後、エアブローで乾燥させた。ついで、真空蒸着法を用いて基板上に二酸化ケイ素の単一膜を形成した。膜厚は100nmであった。具体的には、10−3〜10−4Pa程度の真空にした容器に基板及び蒸着材料(ここでは二酸化ケイ素)を投入し、蒸着材料を抵抗加熱することで蒸発させた。これにより、基板上に二酸化ケイ素の単一膜を形成した。比較例2のXPS解析結果を表1に示す。解析結果からわかるように、比較例2では、多層構造は形成されていない。
(WVTR測定)
MOCON社製水蒸気透過率測定装置AQUATRANを用いて、実施例1〜4、及び比較例1〜2に係るバリアフィルムのWVTRを測定した。測定結果を表1に示す。
(クラック評価)
クロスカット試験(JIS K5400碁盤目試験100グリッド)を行うことで、実施例1〜4、及び比較例1〜2に係るバリアフィルムのクラック評価を行った。具体的には、バリアフィルムに直角の格子パターンの切れ込みを複数入れることで、100グリッド分の試験領域を形成した。次いで、碁盤目部分(試験領域)にセロテープ(登録商標)を強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がした。ついで、100グリッド中の基板から剥がれたグリッドの数に基づいて、クラックの有無を評価した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を表1に示す。
◎:0グリッド(クラックは全く存在しない)
○:50グリッド以下(クラックはほとんど存在しない)
×:50グリッドより多い(クラックが多数存在する)
Figure 0006098970
表1中、各欄の「−」は、その欄に対応する層が存在しないことを意味する。また、「多層」は本実施形態に係る多層バリアフィルムを意味し、「交互積層」は本実施形態に係る交互積層フィルムを意味する。
表1によれば、本実施形態に係る多層バリアフィルムは、優れたバリア性を示し、かつ、クラック及びピンホールの発生を抑制していることがわかる。さらに、触媒を含まない多層バリアフィルムは触媒を含む多層バリアフィルムよりもWVTRが良好であることもわかる。さらに、多層バリアフィルムに交互積層フィルムを積層することで、バリア性がさらに向上することもわかる。
以上により、本実施形態に係る多層バリアフィルム10は、複数の硬化層11と、未硬化層12と、傾斜組成層13とを有する。すなわち、多層バリアフィルム10は、多層構造となっている。したがって、多層バリアフィルム10は、バリア性が向上する。さらに、多層バリアフィルム10では、未硬化層12及び傾斜組成層13が応力緩和層として機能するので、クラックの発生が抑制される。さらに、多層バリアフィルム10は、単一の前駆体層に紫外線を照射することで作製されるので、異物の混入が抑制され、ひいては、異物によるクラック及びピンホールの発生が抑制される。
さらに、硬化層11の層厚は20nm〜250nmの範囲内の値となるので、クラックの発生がさらに抑制される。
さらに、傾斜組成層13の層厚は20〜100nmの範囲内の値であるので、クラックの発生がさらに抑制される。
さらに、未硬化層12の層厚は5〜150nmの範囲内の値であるので、クラックの発生がさらに抑制される。
さらに、硬化層11、未硬化層12、及び傾斜組成層13は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも2種類以上の原子を含むので、多層バリアフィルム10のバリア性が向上し、かつ、クラックの発生が抑制される。
さらに、傾斜組成層13は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、内部領域の窒素原子濃度は、硬化層11から内部領域までの距離が長いほど高くなり、かつ、傾斜組成層13を構成する全原子の総数に対して0at%より大きく20at%より小さい。これにより、傾斜組成層13は応力緩和層として機能し、ひいては、クラックの発生が抑制される。
さらに、未硬化層12は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、未硬化層12の窒素原子濃度は、10at%より大きく40at%より小さい。したがって、未硬化層12が応力緩和層として機能し、ひいては、クラックの発生が抑制される。
さらに、本実施形態に係る多層バリアフィルム40は、交互積層フィルム30を有するので、バリア性がさらに向上する。
さらに、交互積層フィルム30を構成する板状粒子は無機板状粒子であるので、多層バリアフィルム40のバリア性がさらに向上する。
さらに、本実施形態に係る多層バリアフィルム10は、ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体層に、前駆体層が厚いほど大きく、かつ、0.3〜65(J/cm)の範囲内の露光量の紫外線を照射することで作製される。したがって、多層バリアフィルム10は非常に簡単なステップにより作製される。また、多層バリアフィルム10は多層構造となっているので、バリア性が向上する。さらに、多層バリアフィルム10は、単一の前駆体層に紫外線を照射することで作製されるので、異物の混入が抑制され、ひいては、異物によるクラック及びピンホールの発生が抑制される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 多層バリアフィルム
20 基板
11 硬化層
12 未硬化層
13 傾斜組成層
30 交互積層フィルム
31 無機板状粒子層
32 バインダ層
40 多層バリアフィルム

Claims (9)

  1. ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体が硬化することで形成される複数の硬化層と、
    前記複数の硬化層の間に配置され、前記前駆体を含む未硬化層と、
    前記硬化層と前記未硬化層との間に配置され、前記硬化層から各内部領域までの距離が長いほど、前記内部領域の前駆体濃度が高くなる傾斜組成層と
    帯電した板状粒子を含む板状粒子層と、前記板状粒子層と交互に積層され、前記板状粒子と反対の電荷に帯電したバインダ層と、を有し、前記硬化層上に積層された交互積層フィルムと、を有することを特徴とする、バリアフィルム。
  2. 前記硬化層の層厚は20nm〜250nmの範囲内の値となることを特徴とする、請求項1記載のバリアフィルム。
  3. 前記傾斜組成層の層厚は20〜100nmの範囲内の値であることを特徴とする、請求項1または2記載のバリアフィルム。
  4. 前記未硬化層の層厚は5〜150nmの範囲内の値であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリアフィルム。
  5. 前記硬化層、未硬化層、及び傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子からなる群から選択される少なくとも2種類以上の原子を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバリアフィルム。
  6. 前記傾斜組成層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、
    前記傾斜組成層内の各内部領域の窒素原子濃度は、前記硬化層から前記内部領域までの距離が長いほど高くなり、かつ、前記内部領域を構成する全原子の総数に対して0at%より大きく20at%より小さいことを特徴とする、請求項5記載のバリアフィルム。
  7. 前記未硬化層は、ケイ素原子、酸素原子、及び窒素原子を含み、
    前記未硬化層内の各内部領域の窒素原子濃度は、前記内部領域を構成する全原子の総数に対して10at%より大きく40at%より小さいことを特徴とする、請求項5または6記載のバリアフィルム。
  8. 前記板状粒子は無機板状粒子であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載のバリアフィルム。
  9. ポリシラザンを含有する光硬化性の前駆体層に、前記前駆体層が厚いほど大きく、かつ、0.3〜65(J/cm)の範囲内の露光量の紫外線を照射するステップと、
    帯電した板状粒子を含む板状粒子層と、前記板状粒子層と交互に積層され、前記板状粒子と反対の電荷に帯電したバインダ層と、を有する交互積層フィルムを、前記紫外線の照射により形成された硬化層上に形成するステップと、を含むことを特徴とする、バリアフィルムの製造方法。
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