(1)エンジンの全体構成
図1および図2は、本発明の制御装置が適用されたエンジンの一実施形態を示す図である。これらの図に示されるエンジンは、走行用の動力源として車両に搭載される4サイクルの多気筒ガソリンエンジンである。具体的に、図1に示すように、このエンジンは、直線状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有する直列4気筒型のエンジン本体1と、エンジン本体1に空気を導入するための吸気通路30と、エンジン本体1で生成された排気ガスを排出するための排気通路35とを備えている。
吸気通路30は、気筒2A〜2Dの各吸気ポート6と連通する4本の独立吸気通路31と、各独立吸気通路31の上流端部(吸気の流れ方向上流側の端部)に共通に接続されたサージタンク32と、サージタンク32から上流側に延びる1本の吸気管33とを有している。吸気管33の途中部には、エンジン本体1に導入される吸気の流量を調節する開閉可能なスロットル弁34が設けられている。
排気通路35は、気筒2A〜2Dの各排気ポート7と連通する4本の独立排気通路36と、各独立排気通路36の下流端部(排気ガスの流れ方向下流側の端部)が1箇所に集合した集合部37と、集合部37から下流側に延びる1本の排気管38とを有している。
図2に示すように、エンジン本体1は、上記4つの気筒2A〜2Dが内部に形成されたシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上側に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダヘッド4の上側に設けられたカムキャップ5と、各気筒2A〜2Dに往復摺動可能に挿入されたピストン11とを有している。
ピストン11の上方には燃焼室10が形成されており、この燃焼室10には、後述するインジェクタ12(図1参照)から噴射される燃料(ガソリンを主成分とする燃料)が供給される。そして、供給された燃料が燃焼室10で燃焼し、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン11が上下方向に往復運動するようになっている。
ピストン11は、エンジン本体1の出力軸であるクランク軸15とコネクティングロッド14を介して連結されており、上記ピストン11の往復運動に応じてクランク軸15が中心軸回りに回転するようになっている。
シリンダブロック3の下方には、各気筒のピストン11にそれぞれ対応する位置に、これらピストン11にオイルを噴射してピストン11を冷却するオイルジェット装置50が設けられている。
シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室10に向けて燃料(ガソリン)を噴射するインジェクタ12と、インジェクタ12から噴射された燃料と空気との混合気に対し火花放電による点火エネルギーを供給して混合気を燃焼させる点火プラグ13(図1参照)とが設けられている。なお、当実施形態では、1気筒につき1つの割合で合計4個のインジェクタ12が設けられるとともに、同じく1気筒につき1つの割合で合計4個の点火プラグ13が設けられている。
当実施形態のような4サイクル4気筒のガソリンエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン11がクランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動する。これに対応して、各気筒2A〜2Dでの点火のタイミングすなわち燃焼タイミングも、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、図1の左側から順に、気筒2Aを第1気筒、気筒2Bを第2気筒、気筒2Cを第3気筒、気筒2Dを第4気筒とすると、第1気筒2A→第3気筒2C→第4気筒2D→第2気筒2Bの順にインジェクタ12から燃料が噴射されるとともに点火プラグ13により混合気への点火が行われてこの順に混合気の燃焼が行われる。
当実施形態のエンジンは、4つの気筒2A〜2Dのうちの2つの気筒内での燃焼を停止してこれら気筒を休止させ、残りの2つの気筒を稼動させる運転、つまり減筒運転が可能な可変気筒エンジンである。このため、上記のような燃焼順序(点火順序)は、減筒運転ではない通常の運転時(4つの気筒2A〜2Dを全て稼動させる全筒運転時)のものである。一方、減筒運転時には、燃焼順序(点火順序)が連続しない2つの気筒(特定の気筒、当実施形態では第1気筒2Aおよび第4気筒2D)においてインジェクタ12による燃料噴射および点火プラグ13の点火動作が禁止され、1つ飛ばしで燃焼が行われるようになる。以下、減筒運転時に燃焼が停止される気筒を休止気筒といい、減筒運転時にも燃焼が実施される気筒を常時稼動気筒という場合がある。
シリンダヘッド4には、吸気ポート6の燃焼室10側の開口を開閉する吸気弁8と、排気ポート7の燃焼室10側の開口を開閉する排気弁9とが設けられている。なお、当実施形態では、1気筒につき2つの割合で合計8個の吸気弁8が設けられるとともに、同じく1気筒につき2つの割合で合計8個の排気弁9が設けられている。
吸気弁8および排気弁9は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対の動弁機構28,29(図2参照)により、クランク軸15の回転に連動して開閉駆動される。
吸気弁8用の動弁機構28は、吸気弁8を閉方向(図2の上方)に付勢するリターンスプリング16と、クランク軸15の回転に連動して回転するカム軸18と、カム軸18と一体に回転するように設けられたカム部18aと、カム部18aにより周期的に押圧されるスイングアーム20と、スイングアーム20の揺動支点となるピボット部22とを有している。
同様に、排気弁9用の動弁機構29は、排気弁9を閉方向(図2の上方)に付勢するリターンスプリング17と、クランク軸15の回転に連動して回転するカム軸19と、カム軸19と一体に回転するように設けられたカム部19aと、カム部19aにより周期的に押圧されるスイングアーム21と、スイングアーム20の揺動支点となるピボット部22とを有している。
上記のような動弁機構28,29により、吸気弁8および排気弁9は次のようにして開閉駆動される。すなわち、クランク軸15の回転に伴いカム軸18,19が回転すると、スイングアーム20,21の略中央部に回転自在に設けられたカムフォロア20a,21aがカム部18a,19aによって周期的に下方に押圧されて、スイングアーム20,21がその一端部を支持するピボット部22を支点にして揺動変位する。これに伴い、スイングアーム20,21の他端部がリターンスプリング16,17の付勢力に抗して吸排気弁8,9を下方に押圧し、これによって吸排気弁8,9が開弁する。そして、開弁された吸排気弁8,9は、カム部18a,19aによる押圧力が除去されるのに伴って、リターンスプリング16,17の付勢力により再び閉弁位置まで戻される。
ピボット部22は、自動的にバルブクリアランスをゼロに調整する公知の油圧ラッシュアジャスタ24,25(以降、Hydraulic Lash Adjusterの頭文字をとって「HLA」と略称する)により支持されている。このうち、HLA24は、気筒列方向の中央側にある第2気筒2Bおよび第3気筒2Cのバルブクリアランスを自動調整するものであり、HLA25は、気筒列方向の両端にある第1気筒2Aおよび第4気筒2Dのバルブクリアランスを自動調整するものである。
第1気筒2Aおよび第4気筒2D用のHLA25は、エンジンの減筒運転か全筒運転かに応じて吸排気弁8,9の開閉動作を許容するか規制するかを切り替える機能を有する油圧式の弁停止機構(不図示)を備えている。すなわち、HLA25は、エンジンの全筒運転時には休止気筒である第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9の開閉動作を許容する一方、エンジンの減筒運転時には、おれら休止気筒である第1、第4気筒2A,2Dの吸排気弁8,9の開閉動作を規制してこれら吸排気弁8、9を閉弁状態のまま保持する。これに対し、第2気筒2Bおよび第3気筒2C用のHLA24は、弁停止機構25aを備えておらず、吸排気弁8,9の開閉動作は常時許容される。
上記弁停止機構は、いわゆるロストモーション機構を有する油圧式の機構である。簡単に説明すると、弁停止機構は、ピボット部22の軸方向の摺動を規制する位置と、この規制を解除してピボット部22の摺動を可能とする位置との間で移動可能なロックピンと、このロックピンをピボット部22の摺動を規制する位置に付勢するスプリングとを有する。全筒運転時には、スプリングの付勢力により上記ロックピンはピボット部22の摺動を規制する位置に配置され、ピボット部22の頂部がスイングアーム20、21の揺動支点として機能して、吸排気弁8、9の開弁動作が許容される。一方、減筒運転時には、弁停止機構に所定の油圧が供給されることでロックピンに上記スプリングの付勢力に抗する力が付与され、これにより、ロックピンによるピボット部22の規制が解除されてピボット部22が軸方向に摺動可能となる。そして、この場合には、カム軸18,19の回転に伴いカム部18a,19aがカムフォロア20a,21aを下方に押圧すると、吸排気弁8,9ではなくピボット部22が下方に変位することとなり、吸排気弁8,9は閉弁された状態に保持される。
シリンダヘッド4には、各HLA24、25にそれぞれオイルポンプ136から吐出されたオイル(作動油)を供給するための油路が形成されている。
具体的には、第1気筒2Aに設けられたHLA25の弁停止機構に作動油を供給する油路165、167(吸気弁側の油路165、排気弁側の油路167)と、第4気筒2Dに設けられたHLA25の弁停止機構に作動油を供給する油路175、177(吸気弁側の油路175、排気弁側の油路177)とが設けられている。また、オイルポンプと油路165、167との間およびオイルポンプ136と油路175、177との間には、それぞれ、油路170、172を介して第1方向切替弁146、第2方向切替弁147が設けられており、これら切替弁146、147により油路165、167、175、177に供給される油圧すなわち第1気筒2Aと第4気筒2Dの各弁停止機構に供給される油圧が切り替えられ、吸排気弁8,9の開閉状態が開閉可能な状態と閉弁保持された状態とに切り替えられる。
また、シリンダヘッド4には各HLA24、25にバルブクリアランスの自動調整を行わせるための作動油を供給する油路161、162(吸気弁側の油路161、排気弁側の油路162)が設けられている。
また、各カムシャフト18,19の上方には、カムシャフト18,19のカム部18a、19aや、スイングアーム20、21とカムフォロア20a、20bとが接触する部分を潤滑するべく、これらにオイルを滴下するシャワーノズル129、130が設けられている。
(2)オイルジェット装置の詳細
次に、オイルジェット装置50の詳細について、図2および図3を用いて説明する。
オイルジェット装置50は、図2に示すように、シリンダブロック3に取り付けられた本体部51と、この本体部51からピストン11の下面に向かって延びるオイル供給管52と、オイル供給管53の先端に設けられるノズル部53とを有する。シリンダブロック3には、気筒配列方向に延びて内側をオイルポンプ(オイル供給手段)136(図6参照)から吐出されたオイルが流通するメインギャラリ154が設けられている。オイルジェット装置50の本体部51は、メインギャラリ154と連通しており、メインギャラリ156内のオイルは、本体部51、オイル供給管52を通過してノズル部53の先端に設けられた噴射口53aからピストン11の下面に向かって噴射される。
図3は、本体部51の概略断面図である。この図3に示すように、本体部51は、内側をオイルが流通する筒体55と、筒体55内に収容されるスプリング56と、閉止弁57とを有する。筒体55には、メインギャラリ156と連通する導入口55aと、オイル供給管52と連通する導出口55bとが形成されている。閉止弁57は、この導入口55aを開閉可能な弁であり、スプリング56は、この閉止弁57を、導入口55aを閉弁する方向に付勢するものである。
このように構成された本体部51では、メインギャラリ154を介してオイルポンプ136から供給されるオイルの圧力すなわちオイルポンプ136から供給される油圧がスプリング56の付勢力よりも小さい場合は、この付勢力を受けて閉止弁57が導入口55aを閉弁するため、オイル供給管52側にオイルが流入せず、ピストン11へのオイルの噴射は停止される。一方、オイルポンプ136から供給される油圧がスプリング56の付勢力よりも大きくなると、閉止弁57が導入口55aから離間する方向に移動することで導入口55aが開弁する結果、オイル供給管52側にオイルが流入して、ノズル部53からピストン11に向かってオイルが噴射される。
図4は、上記のように構成されたオイルジェット装置50において、供給される油圧とノズル部53から噴射されるオイルの量(噴射量)との関係すなわち流量特性を示したものである。この図4に示すように、オイルジェット装置50は、スプリング56の付勢力に対応する油圧であって所定の噴射開始圧力以上の圧力が付与されると、噴射を開始する。そして、供給される油圧が増大するほど、すなわち閉止弁57の移動量が増大して導入口55aの開口量が増大するほど、その噴射量は増大していく。
当実施形態では、常時稼動気筒(第2気筒および第3気筒)2B,2Cに設けられるオイルジェット装置50(以下、稼動側オイルジェット装置50_Xという場合がある)と、休止気筒(第1気筒および第4気筒)2A,2Dに設けられるオイルジェット装置50(以下、休止側オイルジェット装置50_Yという場合がある)とで、流量特性が異なるように構成されている。
図5は、これらオイルジェット装置50(50_X、50_Y)の流量特性を示したものである。図5において、ラインL_Yは休止側オイルジェット装置50_Yの流量特性を示したものであり、ラインL_Xは稼動側オイルジェット装置50_Xの流量特性を示したものである。
図5に示すように、稼動側オイルジェット装置50_Xは、所定の噴射開始圧力Ps_Xにおいて噴射を開始し、供給される油圧が所定の第2圧力P2となると所定の基準噴射量Q1を噴射するよう構成されている。上記基準噴射量Q1は、ピストン11を有効に冷却することができる噴射量である。一方、休止側オイルジェット装置50_Yは、稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射開始圧力Ps_Xおよび上記第2圧力P2よりも高い噴射開始圧力Ps_Yにおいて噴射を開始し、供給される油圧が所定の第1圧力P1となると上記基準噴射量Q1を噴射するよう構成されている。
ここで、当実施形態では、各オイルジェット装置50_X,50_Yには、一様にオイルポンプ136の吐出圧と同じ圧力の油圧が供給される。そのため、上記のように構成されていることで、供給された油圧(オイルポンプ136の吐出圧)が、第1圧力P1、第2圧力P2、および稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射開始圧力Ps_Xよりも小さい第3圧力P3のいずれであるかに応じて、オイルジェット装置50_X、50_Yからの噴射パターンが次の3つのパターンに変更される。
すなわち、油圧が稼動側オイルジェット装置50_X,休止側オイルジェット装置40_Yのいずれの噴射開始圧力Ps_X、Ps_Yよりも小さい第3圧力P3とされた場合には、稼動側オイルジェット装置50_X,休止側オイルジェット装置40_Yのいずれからもピストン11にオイルは噴射されない。そして、油圧が第2圧力P2とされた場合には、稼動側オイルジェット装置50_Xのみから稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cのピストン11に基準噴射量Q1のオイルが噴射され、休止側オイルジェット装置50_Yからは休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dのピストン11に向けてオイルは噴射されない。また、供給された油圧が第1圧力P1とされた場合には、稼動側オイルジェット装置50_Xから稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cのピストン11に基準噴射量Q1以上の量のオイルが噴射されるとともに、休止側オイルジェット装置50_Yからも休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dのピストン11に向けて基準噴射量Q1のオイルが噴射される。
このように、当実施形態では、各オイルジェット装置50に供給される油圧が変更されることでオイルジェット装置50からの噴射パターンが切り替えられる。
また、当実施形態では、噴射量が基準噴射量Q1以上の領域における油圧に対する噴射量の増加割合が、稼動側オイルジェット装置50_Xの方が、休止側オイルジェット装置50_Yよりも小さくなるように構成されている。すなわち、第2圧力P2以上における稼動側オイルジェット装置50_Xの油圧に対する噴射量の増加割合が、第1圧力P1以上における休止側オイルジェット装置50_Yの油圧に対する噴射量の増加割合よりも小さく設定されている。
このように構成されていることで、当実施形態では、各オイルジェット装置50_X,50_Yに供給される油圧が第1圧力P1となった際に、稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射量が、休止側オイルジェット装置50_Yからの噴射量すなわち基準噴射量Q1に対して過大になるのが抑制される。具体的には、図5において、破線は、第2圧力P2以上において、仮に稼動側オイルジェット装置50_Xのこの増加割合を休止側オイルジェット装置50_Yと同じ場合のラインである。この破線に示すように、仮に、増加割合を各オイルジェット装置50_X、50_Yで同時とした場合には、オイルジェット装置50_X,50_Yに供給された油圧が第1圧力P1になると、稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射量Q_X´が、休止側オイルジェット装置50_Yからの噴射量すなわち基準噴射量Q1よりも過大になる。これに対して、油圧に対する噴射量の増加割合が上記のように設定されていることで、稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射量Q_Xが、休止側オイルジェット装置50_Yからの噴射量すなわち基準噴射量Q1よりも過大になるのが抑制される。
ここで、上記噴射開始圧力は、オイルジェット装置50の本体部51に設けられたスプリング56の付勢力を変更することで変更することができ、当実施形態では、稼動側オイルジェット装置50_Xのスプリング56の付勢力を、休止側オイルジェット装置50_Yのスプリングの付勢力よりも小さくすることで、稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射開始圧力Ps_Xを、休止側オイルジェット装置50_Yの噴射開始圧力Ps_Yよりも小さくしている。また、油圧に対する噴射量の増加割合は、オイルジェット装置50のノズル部53の噴射口53aの口径を変更することができ、当実施形態では、稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射口53aの口径を、休止側オイルジェット装置50_Yの噴射口53aよりも小さくすることで、稼動側オイルジェット装置50_Xの上記増加割合を、休止側オイルジェット装置50_Yの上記増加割合よりも小さくしている。
(3)油圧システムの詳細説明
次に、オイルジェット装置を含むエンジンの各部にオイルを供給する油圧システム101について、図6を用いて説明する。
図6に示すように、油圧システム101は、オイルポンプ136と、オイルポンプ136に接続され、オイルポンプ136により昇圧されたオイルをエンジン2に設けられた各種油圧式の装置、被潤滑部および被冷却部に導く給油路150とを備えている。この油圧システム101は、オイルポンプ136により給油路150を通じてオイルパン106と各装置等との間でオイルを循環させる。すなわち、オイルパン106内のオイルは、オイルポンプ136によって給油路150を通じて各装置等に導入され、各装置等を駆動、冷却あるいは潤滑した後、図示しないドレイン油路を通ってオイルパン106内に滴下し、オイルポンプ136により再び環流される。
給油路150は、シリンダヘッド4、シリンダブロック3等に形成された通路やパイプ等からなる。給油路150は、オイルポンプ136からメインギャラリ154上の分岐点154aまで延びる第1連通路151と、メインギャラリ154と、メインギャラリ154上の分岐点154bからシリンダヘッド4まで延びる第2連通路152と、シリンダヘッド4内の第1気筒2A側の端部においてエンジン幅方向に延びる第3連通路153と、第3連通路153から分岐して延びる後記複数の油路とを備えている。
オイルポンプ136は、オイル吐出量すなわち吐出圧であって各部位に供給する油圧を変更可能な周知の可変容量型オイルポンプである。オイルポンプ136は、ポンプ本体と、メインギャラリ154上の分岐点154cから分岐してポンプ本体の容量可変用圧力室にオイルを導入する導入油路140と、この導入油路140に介設されたリニアソレノイド式の油圧変更バルブ141とを有する。上記容量可変用圧力室に導入されるオイルの流量がこの油圧変更バルブ141により変更されることで、オイルポンプ136の吐出量すなわち油圧は変更される。
オイルポンプ136は、オイルパン106に貯溜されたオイルを、オイルストレーナ137を介してオイル吸入口136aから汲み上げ、オイル吐出口136bから第1連通路151に吐出する。第1連通路151には、上流側から順にオイルフィルタ138及びオイルクーラ139が配設されており、オイルポンプ136から吐出されたオイルは、この第1連通路151を通過する際にオイルフィルタ138で濾過されかつオイルクーラ139で冷却され、その後、メインギャラリ154に導入される。
メインギャラリ154には、上述のように、各オイルジェット装置50が接続されており、各オイルジェット装置50には、メインギャラリ154を介してオイルポンプ36からオイルポンプ36の吐出圧とほぼ同程度の油圧が供給される。
また、メインギャラリ154には、クランク軸15を回動自在に支持する5つのメインジャーナルに配置されるメタルベアリングにオイルを供給するオイル供給部142、およびクランク軸15のクランクピンに配置されたメタルベアリングにオイルを供給するオイル供給部143がそれぞれ接続されている。
第3連通路153の分岐部153cからは、上記吸気弁側のHLA24、25に作動油(バルブクリアランスの自動調整を行わせるための作動油)を供給する油路161が延びている。また、第3連通路153の分岐部153aからは、排気弁側のHLA24、25に作動油(バルブクリアランスの自動調整を行わせるための作動油)を供給する油路162が延びている。これら油路161、162は、上述のようにシリンダヘッド4内に形成されており、互いに平行に気筒配列方向に延びている。図6において、HLA24は黒三角(▲)で示し、弁停止機構付きHLA25は白抜き楕円で示している。これら油路161、162は、連通路169を介して互いに接続されている。
上記油路161、162には、さらに、それぞれ、カムシャフト18のカムジャーナルに潤滑油としてオイルを供給するためのオイル供給部144(図5の白抜き三角△)が接続されている。
また、油路161、162の分岐点161a、162aからは、それぞれ上記カムシャフト18,19の上方に設けられたシャワーノズル129、130に向かう油路163、164が延びている。これら油路163、164は、シリンダヘッド4内に形成されており、気筒配列方向に延びている。
第3連通路153の分岐部153bからは、油路170が延びている。この油路170は、第1方向切替弁146を介して、上記第1気筒2AのHLA25の弁停止機構に作動油を供給する油路165、167に接続されている。これら油路165,167は、上述のようにシリンダヘッド4内に形成されており、気筒配列方向に延びている。第1方向切替弁146は油路170内のオイルの流通先を切り替えるものであり、この第1方向切替弁146の切り換えにより、第1気筒2Aの弁停止機構に供給される油圧が切り替えられ、これにより第1気筒2Aの吸排気弁8,9の開閉状態が開閉可能な状態と閉弁保持された状態とに切り替えられるようになっている。なお、油路165、157は、第1方向切替弁146と反対側において、それぞれ油路161、162に接続されている。
また、第3連通路153の分岐部153dからは、油路172が延びている。この油路172は、第2方向切替弁147を介して、上記第4気筒2AのHLA25の弁停止機構に作動油を供給する油路175、177に接続されている。これら油路175,177は、上述のようにシリンダヘッド4内に形成されており、気筒配列方向に延びている。第2方向切替弁147は油路172内のオイルの流通先を切り替えるものであり、この第2方向切替弁147の切り換えにより、第4気筒2Dの弁停止機構に供給される油圧が切り替えられ、これにより第4気筒2Dの吸排気弁8,9の開閉状態が開閉可能な状態と閉弁保持された状態とに切り替えられるようになっている。なお、油路175、177は、第2方向切替弁147と反対側において、それぞれ油路161、162に接続されている。
また、油路162の分岐点162aからは油路179が延びている。この油路179はバキュームポンプのベアリングに潤滑油としてオイルを供給するためのオイル供給部148、および燃料ポンプのジャーナルに対して潤滑油としてオイルを供給するためのオイル供給部149等にそれぞれ接続されている。
なお、図6中の符号132は、吸気弁8の弁特性(開閉時期)を油圧作動により変更する吸気弁側VVT(可変バルブタイミング機構)であり、符号133は、排気弁9の弁特性を油圧作動により変更する排気VVTである。吸気VVT132は、吸気側方向切替弁134を介して、第3連通路153上の分岐点153dから延びる油路181に接続されており、排気VVT133は、排気側方向切替弁135を介して、第3連通路153上の分岐点153aから延びる油路181に接続されている。吸気側方向切替弁134は、吸気VVT132に供給する油圧を変更して吸気VVT132により吸気弁8の開閉時期を変更させるものであり、排気側方向切替弁135は、排気VVT133に供給する油圧を変更して排気VVT133により排気弁9の開閉時期を変更させるものである。
(4)制御系統
次に、エンジンの制御系統について説明する。当実施形態のエンジンは、その各部が図6および図7に示されるECU(エンジン制御ユニット、制御手段)60によって統括的に制御される。ECU60は、周知のとおり、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
エンジンおよび車両には、その各部の状態量を検出するための複数のセンサが設けられており、各センサからの情報がECU60に入力されるようになっている。
例えば、シリンダブロック3には、クランク軸15の回転角度および回転速度を検出するクランク角センサSN1が設けられている。このクランク角センサSN1は、クランク軸15と一体に回転する図略のクランクプレートの回転に応じてパルス信号を出力するものであり、このパルス信号に基づいて、クランク軸15の回転角度(クランク角)およびエンジン回転数が特定されるようになっている。
また、シリンダヘッド4にはカム角センサSN2が設けられている。カム角センサSN2は、カム軸(18または19)と一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じてパルス信号を出力するものであり、この信号と、クランク角センサSN1からのパルス信号とに基づいて、どの気筒が何行程にあるかという気筒判別情報が特定されるようになっている。
また、車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN3が設けられている。
また、油圧システム101の第3連通路153には、図6に示すように、第3連通路153内の油圧すなわちオイルポンプ136の吐出圧を検出するための油圧センサSN4が設けられている。
ECU60は、これらのセンサSN1〜SN4と電気的に接続されており、それぞれのセンサから入力される信号に基づいて、上述した各種情報(クランク角、エンジン回転速度、アクセル開度、オイルポンプの吐出圧)を取得する。
また、ECU60は、上記各センサSN1〜SN4等からの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつ、各機器を制御する。すなわち、ECU60は、インジェクタ12、点火プラグ13、第1方向切替弁146、第2方向切替弁147、油圧変更バルブ141(オイルポンプ136)と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
ECU60のより具体的な機能について説明する。ECU60は、機能的要素として、気筒切替制御部61、油圧変更制御部62を有している。
気筒切替制御部61は、アクセル開度センサSN3やクランク角センサSN1の検出値等から特定されるエンジンの運転条件(エンジン負荷、エンジン回転数)に基づき、減筒運転を実施するか全筒運転を実施するかを決定するとともに、決定した運転が実現されるように各機器に制御信号を出力するものである。
当実施形態では、図8に示すように、エンジン負荷が所定の第1基準負荷T1よりも小さくかつエンジン回転数が第1回転数N1から第2回転数N2までの領域が減筒運転を実施する減筒運転領域Aに設定され、それ以外の領域が全筒運転を実施する全筒運転領域Bに設定されている。
従って、気筒変更制御部62は、エンジン回転数とエンジン負荷とが減筒運転領域A内にある場合には、休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dの吸排気弁8,9が閉弁保持されるような油圧が各弁停止機構に供給されるように第1方向切替弁146および第2方向切替弁147を制御するとともに、休止気筒2A,2D内での燃焼が停止するように休止気筒2A,2Dのインジェクタ12および点火プラグ13の駆動を停止させて、減筒運転を実現する。一方、気筒変更制御部62は、エンジン回転数とエンジン負荷とが全筒運転領域B内にある場合には、休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dの吸排気弁8,9が開閉可能となるような油圧が各弁停止機構に供給されるように第1方向切替弁146および第2方向切替弁147を制御するとともに、休止気筒2A,2D内で燃焼が実施されるように休止気筒2A,2Dのインジェクタ12および点火プラグ13を駆動する。
油圧変更制御部62は、運転条件に応じてオイルジェット装置50の噴射パターンを決定するとともに、決定したパターンの噴射が実現されるように油圧変更用バルブ141(オイルポンプ136)を制御する。図9は、エンジン負荷(運転領域)とオイルポンプ136の吐出圧(オイルジェット装置50に供給される油圧)および各オイルジェット装置50_X,50_Yの噴射状態との関係を示したものである。この図9の上側の図は、エンジン負荷とオイルポンプ136の吐出圧との関係を示しており、下側の図は、エンジン負荷と各オイルジェット装置50_X,50_Yの噴射量との関係を示している。
この図9に示すように、油圧変更制御部62は、減筒運転が実施されている場合、すなわち、エンジン負荷およびエンジン回転数が上記減筒運転領域A内の値である場合には、上記噴射パターンを、休止側オイルジェット装置50_Yから休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dへのオイルの噴射は停止される一方、稼動側オイルジェット装置50_Xから稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cに基準噴射量Q1のオイルが噴射されるパターンに決定する。そして、この場合には、油圧変更制御部62は、この噴射パターンを実現するべく、オイルポンプ136の吐出圧すなわち各オイルジェット装置50_X、50_Yに供給される油圧が第2圧力P2となるように、油圧変更用バルブ141を制御する。
また、油圧変更制御部62は、全筒運転の実施時であってエンジン負荷が第2基準負荷T2(>第1基準負荷T1)よりも大きい場合、すなわち、エンジン回転数とエンジン負荷とが図8に示す全筒高負荷領域B2の場合には、上記噴射パターンを、稼動側オイルジェット装置50_Xから稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cにオイルが噴射されるとともに、休止側オイルジェット装置50_Yからも休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dに基準噴射量Q1のオイルが噴射されるパターンに決定する。そして、この場合には、油圧変更制御部62は、この噴射パターンを実現するべく、オイルポンプ136の吐出圧すなわち各オイルジェット装置50_X、50_Yに供給される油圧が第1圧力P1となるように、油圧変更用バルブ141を制御する。
また、油圧変更制御部62は、全筒運転の実施時であってエンジン負荷が第2基準負荷T2以下の場合、すなわち、エンジン回転数とエンジン負荷とが図8に示す全筒低負荷領域B1の場合には、上記噴射パターンを、休止側オイルジェット装置50_Yおよび稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射が全て停止されるパターンに決定する。そして、この場合には、油圧変更制御部62は、この噴射パターンを実現するべく、オイルポンプ136の吐出圧すなわち各オイルジェット装置50_X、50_Yに供給される油圧が第3圧力P3となるように、油圧変更用バルブ141を制御する。
(5)作用
以上のように構成されることで、当実施形態に係るエンジンでは、運転条件(運転領域)に応じて各気筒2A〜2Dのピストン11が適切に冷却され、これらピストン11の過熱による熱害や、過冷却による機会抵抗の増大を回避することができるとともに、各気筒2A〜2D内での適正な燃焼を実現することができる。
具体的には、減筒運転時は、エンジン全体としての負荷が例え小さくとも、この負荷を稼動している気筒のみで賄わねばならないため、稼働している気筒(第2、第3気筒)2B,2Cに要求される負荷は高くなり、これら稼動気筒2B,2Cでの熱発生量は高くなる。そのため、減筒運転時には稼動気筒2B,2Cを適切に冷却する必要がある。一方、休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dでは燃焼が停止しているため、仮に、これら休止気筒2A,2Dにオイルを噴射して冷却するとピストン11が過冷却されて、機械抵抗が大きくなるという問題やこの休止気筒2A,2Dが再度稼働された際に適正な燃焼が行われなくなるという問題が生じる。
これに対して、当実施形態では、減筒運転時、すなわち、減筒運転領域Aでは、オイルポンプ136の吐出圧(各オイルジェット装置50に供給される油圧)が第2圧力P2とされて、オイルジェット装置50の噴射パターンが、稼働側オイルジェット装置50_Xのみから稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cのピストン11に向けてオイルが噴射され、休止側オイルジェット装置50_Yから休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dへのオイルの噴射が停止されるパターンとされるため、稼動気筒(第2、第3気筒)2B,2Cを適正に冷却しつつ、休止気筒(第1、第4気筒)2A,2Dの過冷却を回避することができる。特に、オイルポンプ136の吐出圧が第2圧力P2とされることに伴い、稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射量は、上記基準噴射量Q1、すなわち、ピストン11を有効に冷却することができる噴射量となる。そのため、稼動気筒2B,2Cは適正に冷却される。
また、全筒運転時であってエンジン負荷が高い場合には、全気筒2A〜2Dでの熱発生量が高くなるため、全気筒2A〜2Dのピストン11を冷却する必要がある。これに対して、当実施形態では、全筒運転時であってエンジン負荷が第2基準負荷T2よりも高い場合、すなわち、全筒高負荷領域B2では、オイルポンプ136の吐出圧(各オイルジェット装置50に供給される油圧)が第1圧力P1とされて、オイルジェット装置50の噴射パターンが、稼働側オイルジェット装置50_Xおよび休止側オイルジェット装置50_Yから各気筒2A〜2Dへオイルが噴射されるパターンとされるため、これら気筒2A〜2Dを適正に冷却することができる。特に、オイルポンプ136の吐出圧が第1圧力P1とされることに伴い、休止側オイルジェット装置50_Yの噴射量は、上記基準噴射量Q1となる。そのため、休止気筒2A,2Dは確実に適正に冷却される。また、当実施形態では、上述のように、オイルポンプ136の吐出圧(各オイルジェット装置50に供給される油圧)が第1圧力P1となった際に、稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射量が、基準噴射量Q1に対して過大になるのが抑制されている。そのため、稼動気筒2B,2Cも確実に適正に冷却される。
また、全筒運転時ではあるがエンジン負荷が比較的低い場合には、各気筒2A〜2D内での熱発生量は小さくこれに伴い各ピストン11の温度は比較的低くなるため、この場合に各気筒2A〜2Dのピストン11を冷却すると、機械抵抗が増大する等の問題が生じるおそれがある。これに対して、当実施形態では、全筒運転時であってエンジン負荷が第2基準負荷T2以下の場合、すなわち、全筒低負荷領域B1では、オイルポンプ136の吐出圧(各オイルジェット装置50に供給される油圧)が第3圧力P3とされて、オイルジェット装置50の噴射パターンが、稼働側オイルジェット装置50_Xおよび休止側オイルジェット装置50_Yから各気筒2A〜2Dへのオイルの噴射が停止されるパターンとされるため、これら気筒2A〜2Dの過冷却および機械抵抗の増大等を回避することができる。
そして、当実施形態では、上記のように、各気筒のピストン11を適切に冷却することができる上に、上記オイルジェット装置50の噴射パターンの変更が、オイルジェット装置50の流量特性を稼働側オイルジェット装置50_Xと休止側オイルジェット装置50_Yとで異ならせつつ、これらオイルジェット装置50に供給する油圧を変更するという構成で実現されており、簡単な構成でこの噴射パターンの変更を実現することができる。
特に、本装置では、各オイルジェット装置50が、供給される油圧の変更により噴射の実行/停止が切り替えられるよう構成されており、この油圧を所定の値にすることで確実にオイルジェット装置50からオイルを噴射させることができるため、オイルを噴射すべき場合、すなわち、全筒高負荷領域や、減筒運転時の稼動気筒側への噴射時において、オイルの噴射が停止されるという事態をより確実に回避することができ、ピストン11の熱害をより確実に抑制することができる。すなわち、特開2014−15898号公報の装置すなわちオイルジェット装置に設けたバルブの開閉により噴射の実行・停止を切り替えるものではバルブの故障により噴射が完全に停止されるという事態が生じるが、当実施形態では、オイルジェット装置自体は常に噴射可能な構成とされているため、オイルジェット装置からの噴射が完全に停止されるという事態を回避することができる。
(6)第2実施形態
ここで、上記第1実施形態では、稼動側オイルジェット装置50_Xの噴射開始圧力Ps_Xを運転条件によらず一定とした場合について説明したが、この噴射開始圧力Ps_Xを運転条件に応じて変更してもよい。このようにした場合の実施形態(第2実施形態)について次に説明する。なお、稼動側オイルジェット装置250_Xの構造および稼動側オイルジェット装置250_Xに係る制御以外の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
この第2実施形態に係る稼動側オイルジェット装置250_Xは、図10に示すように、噴射開始圧力Ps_Xが、全筒時噴射開始圧力Ps_X1と、減筒時噴射開始圧力Ps_X2とで変更され、流量特性が全筒時噴射開始圧力Ps_X1から立ち上がるラインL_X1と減筒時噴射開始圧力Ps_X2から立ち上がるラインL_X2とで変更されるように構成されている。全筒時噴射開始圧力Ps_X1は、第2圧力P2より大きく、かつ、第1圧力P1より小さく設定されており、減筒時噴射開始圧力Ps_X2は、第3圧力P3より大きく、かつ、第2圧力P2より小さく設定されている。
稼動側オイルジェット装置250_Xの流量特性は、噴射開始圧力が全筒時噴射開始圧力Ps_X1とされた状態において、図10に破線で示した休止側オイルジェット装置50_Yと同じ特性となるように構成されている。具体的には、稼動側オイルジェット装置250_Xは、噴射開始圧力が全筒時噴射開始圧力Ps_X1とされた状態において、供給される油圧が第1圧力P1とされるのに伴って基準噴射量Q1を噴射するよう構成されているとともに、油圧に対する噴射量の増加割合が休止側オイルジェット装置50_Yと同じに設定されている。すなわち、この第2実施形態では、油圧に対する噴射量の増加割合を決定するオイルジェット装置50の噴射口53aの口径が、全オイルジェット装置50で同一とされている。
そして、稼動側オイルジェット装置250_Xは、噴射開始圧力が減筒時噴射開始圧力Ps_X2とされた状態において、供給される油圧が第2圧力P2とされるのに伴って基準噴射量Q1を噴射するよう構成されている。
稼動側オイルジェット装置250_Xの具体的構造を、図11を用いて説明する。稼動側オイルジェット装置250_Xは、その本体部251に、筒体255とスプリング256と閉止弁157に加えて、スプリング256の座面256aに連結されたロッド258と、このロッド258の突出量を変更することによるスプリング256の付勢力を変更するソレノイド式アクチュエータ(圧力変更手段)259とを有する。ソレノイド式アクチュエータ259は、ECU60からの信号に基づいて駆動し、ロッド258の突出量をスプリング256が圧縮する方向に変更することで、スプリング256の付勢力を増大させる。ここで、スプリング256の付勢力が増大されると、この付勢力に抗して閉止弁157を開弁させるための油圧は増大し、噴射開始圧力は増加する。このように、当実施形態では、ソレノイド式アクチュエータ259によってロッド258の突出量が変更されることで、噴射開始圧力が、上記全筒時噴射開始圧力Ps_X1と減筒時噴射開始圧力Ps_X2とに変更される。
次に、稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力の変更手順すなわちソレノイド式アクチュエータ259の制御手順について説明する。
この第2実施形態においても、ECU60の油圧変更制御部62は、運転条件(運転領域)に応じてオイルジェット装置50の噴射パターンを決定する。ここで、運転条件(運転領域)の設定、および各運転条件におけるオイルジェット装置50の噴射パターンは、第1実施形態と同様である。すなわち、減筒運転領域Aでは稼動側オイルジェット装置50_Xからのみ噴射が実施され、全筒低負荷領域B1では全オイルジェット装置50からの噴射が停止され、全筒高負荷領域B2では全オイルジェット装置50から噴射が実施される。
一方、この第2実施形態では、油圧変更制御部62は、これらの噴射パターンを実現するために、油圧変更用バルブ141を制御してオイルポンプ136の吐出圧(各オイルジェット装置50に供給される油圧)を変更するとともに、ソレノイド式アクチュエータ259を制御して上記ロッド258の突出量および稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力を変更する。
具体的には、油圧変更制御部62は、減筒運転領域Aでは、オイルポンプ136の吐出圧が第2圧力P2となるように油圧変更用バルブ141を制御するとともに、稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力が第2噴射開始圧力Ps_X2となるように、ソレノイド式アクチュエータ259を制御し、これにより、稼動側オイルジェット装置50_Xからのみ噴射が実施されるようにする。
また、油圧変更制御部62は、全筒高負荷領域B2では、オイルポンプ136の吐出圧が第1圧力P1となるように油圧変更用バルブ141を制御するとともに、稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力が第1噴射開始圧力Ps_X1となるように、ソレノイド式アクチュエータ259を制御し、これにより、稼動側オイルジェット装置250_Xと休止側オイルジェット装置50_Yの両方から基準噴射量Q1のオイルが噴射されるようにする。
また、油圧変更制御部62は、全筒低負荷領域B1では、オイルポンプ136の吐出圧が第3圧力P3となるように油圧変更用バルブ141を制御して、これにより、稼動側オイルジェット装置250_Xと休止側オイルジェット装置50_Yの両方からの噴射が停止されるようにする。なお、全筒低負荷領域B1では、オイルポンプ136の吐出圧が第2圧力P2未満となるように油圧変更用バルブ141を制御するとともに、稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力が第1噴射開始圧力Ps_X1となるように、ソレノイド式アクチュエータ259を制御して、これにより、両オイルジェット装置250_X、50_Yからの噴射を停止させてもよい。
以上のように、この第2実施形態では、稼動側オイルジェット装置250_Xの噴射開始圧力とオイルポンプ136の吐出圧が運転条件(運転領域)に応じて変更されることで、オイルジェット装置の噴射パターンが運転条件毎に適切な噴射パターンとされ、これにより、各気筒2A〜2Dのピストン11が適切に冷却される。
ここで、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、各オイルジェット装置50が、供給される油圧の変更により噴射の実行/停止が切り替えられるよう構成されている。そのため、この油圧を所定の値にすることで確実にオイルジェット装置50からオイルを噴射させることができ、オイルを噴射すべき場合、すなわち、全筒運転時や、減筒運転時の稼動気筒側への噴射時において、オイルの噴射が停止されるという事態をより確実に回避することができ、ピストン11の熱害をより確実に抑制することができる。
また、ソレノイド式アクチュエータ259が故障した場合であっても、オイルが噴射されないことに伴うピストン11の熱害が大きくなる全筒運転時には、確実にオイルが噴射されるため、この熱害をより確実に抑制することができる。すなわち、ソレノイド式アクチュエータ259の故障に伴い稼動側オイルジェット装置150_Yの噴射開始圧力が第1噴射開始圧力Ps_X1あるいは第2噴射開始圧力Ps_X2に固定された場合であっても、全筒運転時にオイルポンプ136の吐出圧が第1圧力P1とされることで稼動側オイルジェット装置150_Yからはオイルが噴射されるため、上記熱害は抑制される。
また、ソレノイド式アクチュエータ259の故障に伴い稼動側オイルジェット装置150_Yの噴射開始圧力が第1噴射開始圧力Ps_X1に固定された場合には、減筒運転時にオイルポンプ136の吐出圧が第2圧力P2とされるのに伴い稼動側オイルジェット装置150_Yからのオイルの噴射が停止されるおそれがあるが、この場合であっても、オイルポンプ136の吐出圧を第1圧力P1まで上昇させることで稼動側オイルジェット装置150_Yからのオイルの噴射を実施することができるため、ピストン11の熱害を抑制することができる。
また、この第2実施形態では、上記のようにオイルジェット装置50の噴射口53aの口径が、全オイルジェット装置50で同一とされるため、ノズル部53を共通化することができ、構成を簡素化することができるというメリットも有する。
(7)他の変形例
上記第1実施形態において、稼動側オイルジェット装置50_Xと減筒側オイルジェット装置50_Yの油圧に対する噴射量の増加割合を同じとしてもよい。ただし、上記のように稼動側オイルジェット装置50_Xの増加割合をより小さく設定すれば、全筒運転時において稼動側オイルジェット装置50_Xからの噴射量が過大となるのを抑制することができ、ピストン11の過冷却を抑制することができる。
また、上記各実施形態では、全筒運転領域Bのうち全筒低負荷領域B1において、各オイルジェット装置50からのオイルの噴射を停止させる場合について説明したが、この全筒低負荷領域B1においても各オイルジェット装置50からオイルを噴射させてもよい。ただし、上述のように、この全筒低負荷領域B1では気筒内での熱発生量が比較的小さくピストン11の温度が比較的低いため、上記のようにオイルの噴射を停止させれば、ピストン11の過冷却をより確実に抑制することができる。
また、各運転領域の設定は上記に限らない。