JP6098033B2 - アクリル繊維束の製造方法と同繊維束のスチーム延伸装置 - Google Patents
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Description
前記スチームボックスよりアクリル繊維束移送方向の上流に、アクリル繊維束を予熱する予熱手段を有している。当該予熱手段はスチームよりも糸条予熱ロールであることが好ましい。
図1は、本発明の代表的な実施形態を示すスチーム延伸装置の概略断面図である。
本発明における、アクリル繊維束の加圧スチーム延伸工程の前後に、当該繊維束の製造分野において公知の工程を適宜配することができる。例えば、アクリル系繊維を溶液紡糸する場合は、原料重合体としてアクリロニトリルのホモポリマー、あるいはコモノマーを含んだアクリロニトリル系共重合体を、公知の有機又は無機溶剤に溶解した溶液を紡糸した後、延伸するにあたって本発明のスチーム延伸を行うことができる。この場合、紡糸方法はいわゆる湿式、乾湿式、乾式のいずれであってもよく、紡糸後の工程で脱溶剤、浴中延伸、油剤付着処理、乾燥等を施すことができる。スチーム延伸は繊維製造のいかなる段階で実施してもよいが、溶液紡糸の場合は繊維束中の溶剤をある程度除去した後、すなわち洗浄後又は浴中延伸後、あるいは乾燥後に実施することが好ましく、高配向の繊維を得る観点から乾燥後がより好ましい。
チーム延伸機103は従来の一般的な構成を備えており、その糸条入口と糸条出口にはラビリンスシール107を有している。この例では、図示せぬ糸条供給源から供給されるアクリル繊維束(糸条)4を糸条予熱ロール102により乾熱により予熱したのち、直ちにスチーム延伸機103に導入されて、同スチーム延伸機103の内部の加圧スチーム雰囲気下で所要の延伸がなされる。
スチームボックス内にドレンが発生するので、ドレン排出口8を設けるのが好ましい。
導入されるときには十分な可塑化がなされた状態となり、スチーム延伸機3にて高倍率延伸を行う場合や、細繊度の繊維を得る場合、あるいはより高速で処理しようとする場合でも、アクリル繊維束全体の切断といったトラブルを防止することができる。さらに、単繊維の切断や毛羽の発生を防止することができ、高品質のアクリル繊維束を安定して得ることができる。
また、アクリル繊維束の毛羽の発生状況の評価は、移送状態のアクリル繊維束を肉眼で3分間観察し、糸条表面の毛羽の数を計測することにより行った。
アクリロニトリル単位98モル%、メタクリル酸単位2モル%からなるアクリル系共重合体を、ジメチルホルムアミドに溶解して重合体濃度23%の紡糸原液を調整した。この紡糸原液を、紡糸ノズルを用いて、温度10℃、濃度80%からなる凝固浴中に吐出し凝固糸を得た。この凝固糸を、冷延伸および熱水中延伸を実施し、油剤付着および乾燥緻密化処理を行って、アクリル繊維束を得た。
し、4.0倍延伸を行った。引き続き、乾燥して、単繊維繊度が0.8デシテックス、フィラメント数が12000のアクリル繊維束を得た。得られたアクリル繊維束の、繊維束全体の切断回数と毛羽の発生状況を評価した結果を表1に示した。
可塑化を行う前のアクリル繊維束の予熱の有無、スチーム延伸機内の蒸気圧力、スチームボックスに供給するアクリル繊維束の温度を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてアクリル繊維束を得た。得られたアクリル繊維束の、繊維束全体の切断回数と毛羽の発生状況を評価した結果を表1に示した。なお、同表1の参考例1は、スチームボックス内の蒸気圧力が常圧(0MPa)以外の圧力である0.2MPaとしたこと以外は、実施例1と同様にしてアクリル繊維束を得たもので、その評価結果によると、毛羽の発生が3(個/3分)であり、参考例2はスチームボックス蒸気圧力は0MPaとしているが、アクリル繊維束が予熱されずにスチーム延伸をした例であり、毛羽の発生が15(個/3分)と比較例1及び2と比べると少ないものの、実施例の発生結果と比較するとかなり多かった。
図2に示したスチーム延伸装置(スチームボックスがない以外は、実施例1と同様。)を使用し、アクリル繊維束を得た。得られたアクリル繊維束の、繊維束全体の切断回数と毛羽の発生状況を評価した結果を表1に示した。
図3に示すように蒸気供給位置を変更したスチームボックスに、スチームをアクリル繊維束の移送方向に対して直交して側面から供給するように変更したほかは、実施例1と同様にしてアクリル繊維束を得た。得られたアクリル繊維束の、繊維束全体の切断回数と毛羽の発生状況を評価した結果を表1に示した。
2,102 糸条予熱ロール
3,103 スチーム延伸機
4 アクリル繊維束(糸条)
5,105 スチーム延伸機への加圧スチーム供給口
6,106 糸条引取りロール
7,107 ラビリンスシール
8,108 スチームボックスのドレン排出口
9,109 スチーム供給口
10,110 スチーム延伸機の上蓋
11,111 スチーム延伸機の架台
12,112 スチーム延伸装置
Claims (5)
- スチームボックスに予熱後のアクリル繊維束を導入し、アクリル繊維束の移送方向と対向する方向にスチームを供給して、圧力が0MPaの蒸気中でアクリル繊維束の可塑化を行い、次いでスチーム延伸機に、前記アクリル繊維束を導入し、スチーム延伸するアクリル繊維束の製造方法。
- 前記アクリル繊維束の移送方向と対向する方向に供給するスチームが、スチーム延伸機に供給するスチームの圧力より0.2〜0.4MPa低い飽和蒸気である請求項1記載の製造方法。
- アクリル繊維束をスチーム延伸する装置であって、繊維束の入口と出口とを有し、内部の蒸気圧力が0MPaとされたスチームボックスと、前記スチームボックスよりアクリル繊維束移送方向の上流に配され、アクリル繊維束を予熱する予熱手段と、加圧スチームを供給して延伸するための、蒸気をシールする構造を繊維束の入口と出口との両端に有するスチーム延伸機とからなり、前記スチームボックスは、前記出口から前記入口に向かう方向に蒸気を供給可能な蒸気供給手段を有するスチーム延伸装置。
- 前記スチームボックスの前記出口が前記スチーム延伸機の繊維束の入口に直接接続されており、前記蒸気供給手段が前記スチーム延伸機の繊維束の入口を含んでいる請求項3記載のスチーム延伸装置。
- 前記予熱手段が糸条予熱ロールである請求項3記載のスチーム延伸装置。
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