JP6096648B2 - 生産計画作成方法及び生産計画作成プログラム、並びに生産計画作成装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に示す技術は、下記のステップに基づいて、生産計画を立案する。
1)決められた生産量の製品を決められた期間で製造する際に、残業なしとして、予め工程計画を作成する。ここで、工程計画は、本発明の生産計画に相当する。
2)作成された工程計画と各ロットの納期を元にして、納期遅れとなっているロットについて、ネックとなっている工程を抽出する。ここで、ロットは、本発明の製品に相当する。
3)ネック工程に残業時間を設定することで設備能力を変更し、納期遅れを再計算する。
4)納期遅れが解消するまで、2)及び3)のステップを繰り返す。
以上のステップにより、決められた生産量を決められた期間で製造する際に最低限必要な設備の能力を計算する事が可能となり、生産計画に対して、設備稼働コストが最小となる生産計画を立案することができる。ここで、設備稼働コストは、本発明の変動費に相当する。
1)事前に作成した生産計画を元に、納期遅れを解消する生産計画を策定するように設備能力を変更しているため、試行錯誤的に計算を実施する必要がある。
2)事前に作成した生産計画において、納期遅れとなるロットのネック工程に対して、設備能力を変更するため、設備能力が変更不可能である場合に対応できない。
・残業をして追加の残業代を支払っても、利益が出て生産量を確保したい場合には、残業を許容して生産量を増やすという選択をする事が出来る。尚、残業代とは、残業により生じる費用のことを意味する。
・各製品の生産量の上下限値を期毎に変更することにより、需要変動に対して最適な製品製造構成を決定することができる。
・1つの製品に対して複数の通過工程ルートが設定されている場合にも、各ルートを予め設定することにより、予め設定した評価指標を最大化するように、各製品の通過工程ルートごとの生産量を期毎に決定することができる。
・ある製品について、利益は少ないものの、戦略的にシェアを確保したい場合には、生産量下限値を大きく設定することにより、その製品を一定値以上生産し、余力において、残りの製品の生産量を最適化することができる。
・生産量上限値を設定することにより、利益が大きいからといって、販売又は保管が不可能な量を生産することを防ぎ、他の製品を含めた上で、生産量を最適化することができる。
・生産量上限値と生産量下限値を同じ値にすることにより、必ず、一定量生産する必要がある製品を生産した上で、残りの製品の生産量を最適化することができる。
・残業可能能力の設定方法を選択する事により、例えば特定の人しか操作できない設備が存在する工場においては、設備毎に残業可能能力を与え、誰でもどの設備を操作できる工場では、設備全体で残業可能能力を与えるなど、工場の特徴に応じた制約を与える事が可能となり、工場の実態に応じた生産計画が立案可能となる。
尚、「通過工程ルート」とは、製品を製造するために通過する複数の工程について処理可能な設備を割り当てた製造ルートのことを意味する。「設備稼働能力」とは、各設備が通常の勤務形態で稼働する能力を意味し、例えば、通常の勤務形態で稼働する時間などを表す。「残業可能能力」とは、各設備が通常の勤務形態を超えて、残業として稼働することが可能な能力を意味し、例えば、残業として稼働することが可能な時間などを表す。「処理能力」とは、各工程における製品または中間製品を処理する能力を意味し、例えば、所定の時間内に処理できる重量などを表す。「総負荷」とは、各設備において実際に処理にかかる期毎の負荷の合計を意味し、必要な処理時間の合計などで表す。
そして、本発明に係る生産計画作成装置は、前記演算部が、前記各設備の前記期毎に、残業コストを登録する残業コスト情報記憶部と、前記製品毎に、原料費と売値を登録する原料費・売値情報記憶部と、前記通過工程ルート毎に、各工程で発生する変動費を登録する変動費情報記憶部と、を更に備え、前記評価指標として、限界利益率(売値−原料費−変動費)から計算される値の総和である総限界利益から残業コストから計算される値の総和である残業代を差し引いたものを設定する、又は、前記評価指標として、前記全製品の生産量の総和である総生産量を設定して良い。
また、評価指標に生産量を用いることにより、生産量が最大になるように、期毎の各製品の生産量が通過工程ルート毎に決定される。これにより、例えば1つの製品に、複数の通過工程ルートが設定されている場合にも、設備稼働能力及び残業可能能力に基づいて残業を許容した上で、最も生産量が大きくなるような、通過工程ルートを選択することが可能になる。
尚、「限界利益率」は、通過工程ルート毎の期毎の(売値−原料費−変動費)の値を意味する。また、「残業コスト」は、設備毎の期毎の残業による処理に要するコストを意味する。また、「総和」とは、全通過工程ルートの全期における和を意味する。
限界利益率(千円/製品ton)
=売値(千円/製品ton)−原料費(千円/製品ton)−変動費(千円/製品ton)
T−2月への設備負荷配分比率(r1,T−2)
r1,T−2={L1+L2+L3−DT−1}/DT
T−1月への設備負荷配分比率(r1,T−1)
r1,T−1={DT−(L1+L2+L3−DT−1)}/DT
T月での製品1トンあたりの生産に要する工程kでのT’月(T’≦T)の負荷のことであり、通過工程ルート毎に以下を計算する。
T月生産に対する工程kでのT’月の設備負荷原単位(hr/製品ton)
=T月の生産に対する工程kでのT’月の設備負荷配分比率
×製品1トンあたりの生産に要する工程kでの負荷(hr/製品ton)
尚、本実施形態の場合、製品1トンあたりの生産に要する工程kでの負荷(hr/製品ton)は、工程kでの重量÷工程kの処理能力として計算する。また、図4に示す例において、各通過工程ルートでは、工程間リードタイムの和が1ヶ月よりも短いので、T月生産に対するT’月の設備負荷原単位は、T月とT−1月だけとなる。
尚、以下で説明する本実施形態に係る生産計画方法の処理は、計算機においても同様に、生産計画プログラムとしてCPUにより読み出して実行することができる。また、この生産計画プログラムは、CD−ROMやDVDなどのリムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々な計算機の記憶装置にインストールすることが可能である。
尚、上述した生産計画作成装置1の期情報記億部B1、通過工程ルート情報記憶部B2、原料費・売値情報記憶部B3、生産量情報記憶部B4、設備能力情報記憶部B5、残業コスト情報記憶部B6、評価指標設定部B7で記憶される情報が基本情報であり、本ステップの詳細については、それらの記載内容と同様であり、その説明を省略する。
尚、本ステップの詳細については、上述した生産計画作成装置1の限界利益率計算部B8の記載内容と同様であり、その説明を省略する。
尚、本ステップの詳細については、上述した生産計画作成装置1の設備負荷原単位計算部B9の記載内容と同様であり、その説明を省略する。
尚、本ステップの詳細については、上述した生産計画作成装置1の最適製品製造構成計算部B10の記載内容と同様であり、その説明を省略する。
尚、本ステップの詳細については、上述した生産計画作成装置1の結果出力部B11の記載内容と同様であり、その説明を省略する。
・「処理能力」に基づいて、設備M01では、通過工程ルート番号が1の製品A01を1時間あたり2トン処理できる。
・「変動費」に基づいて、設備M01では、通過工程ルート番号が1の製品A01を1時間処理するのに変動費が2千円かかることがわかる。
・「工程歩留り」に基づいて、設備M01では、通過工程ルート番号が1の製品A01を8トン完成させるには、10トンの入力が必要であることがわかる。尚、差の2トンは、例えば不良部分として廃棄する量である。
・「工程間リードタイム」に基づいて、通過工程ルート番号1では、工程番号1で設備コードM01である第1工程と、工程番号2で設備コードM05である第2工程の間は、リードタイムとして2日を要することがわかる。
尚、最終工程に設定された工程間リードタイムは、最終工程を完了してから出荷までのリードタイムである。尚、全ての通過工程ルート番号において工程数を3つとしているが、それに限らず、様々な工程設計が可能である。
限界利益率(千円/製品ton)
=売値(千円/製品ton)−原料費(千円/製品ton)−変動費(千円/製品ton)
1)各製品の期毎の合計生産量は、表2及び表3で示す製品情報で定義された最小・最大生産量の範囲内で決定されている。
2)各設備の期毎の設備稼働時間は、表4及び表5で示す設備能力情報で定義された設備稼働可能能力に残業可能能力を加えた時間内で決定されている。例えば、4月において、設備M01及び設備M02は、稼働時間が600hrであり、追加の残業代を払えば、通常の設備稼働能力である600hrに更に残業可能能力である100hr分追加した範囲内で稼働出来ることがわかる。設備M03は、稼働時間が505hrであり、通常の設備稼働能力の範囲内で稼働出来ることが分かる。また、設備M04及び設備M05は、稼働時間が700hrであり、追加の残業代を払っても、これ以上、追加稼働が出来ない事がわかる。
3)設備M01,M02,M03の設備稼働時間は、各期において、設備能力情報で定義された設備稼働能力に残業可能能力を加えた時間の範囲内である。一方、製品コードA02を生産するための通過工程ルート番号5は設備M01,M02,M03を使用して生産でき、また、計算された製品コードA02の生産量は最大生産量に達していない事からまだ生産の余地はある。ここで、表8に示す処理能力と工程歩留りから求められる製品1トンを生産するために必要な処理時間は、設備M01が0.46(hr)、設備M02が1.25(hr)、設備M03が0.83(hr)となる。ここで、設備M01及び設備M02は、全期で設備稼働能力である600hrを超えているため、これ以上生産するためには、追加の残業代が必要になる。ここで、表6に示す各設備の各期における残業コストに基づいて、製品1トンを生産するための各設備の残業コストを計算すると、設備M01が0.46Hr×5(千円/hr)=2.3千円、設備M02が1.25Hr×10(千円/hr)=12.5千円、設備M03が0.83Hr×5(千円/hr)=4.2千円となる。そのため、製品1トンを生産するための設備M01の残業コストと設備M02の残業コストとを加えると、表8で示す限界利益率15.655(千円/製品ton)を超えおり、作れば作るほど赤字になるため、通過工程ルート番号5を用いて製品コードA02の製品を生産しないという計算結果となっていることが分かる。また、同じく製品コードA02に属する通過ルート4、6は、設備稼働能力に残業可能能力を加えた時間でフル稼働している設備M05を必要とするため、制約的に生産する事が出来ないことが分かる。
4)製品コードA03〜A05は、上記と同様に計算した製品1トンを生産するための各設備の残業コストを限界利益率から引いても負にならず、利益率の高いため、ネックとなる設備M04とM05を残業可能能力までフル稼働させてでも可能な限り生産量を増やそうとしている事が分かる。
・全設備及び全期間での残業時間が100hrとなり、設備を最大限活用している事が分かる。
・また、評価指標として、通過工程ルート番号毎の各期における限界利益率(売値−原料費−変動費)から計算される値の総和である総限界利益から各設備の各期における残業コストから計算される値の総和である残業代を引いたものを設定した場合の表10に示す生産量総和8,812tonに対し、表12では、9,057tonと生産量が上昇していることがわかる。
B1 期情報記憶部
B2 通過工程ルート情報記憶部
B3 原料費・売値情報記憶部
B4 生産量情報記憶部
B5 設備能力情報記憶部
B6 残業コスト情報記憶部
B7 評価指標設定部
B10 最適製品製造構成計算部
STEP1 期情報記憶ステップ、通過工程ルート情報記憶ステップ、原料費・売値情報記憶ステップ、生産量情報記憶ステップ、設備能力情報記憶ステップ、残業コスト情報記憶ステップ、評価指標設定ステップ
STEP4 最適製品製造構成計算ステップ
Claims (6)
- 演算部と、記憶部と、入力部と、出力部とを有する計算機において、
演算部により実行される処理が、
評価指標に基づいて最適製品製造構成を計算する単位である期を記憶する期情報設定ステップと、
製品毎に、製品を製造するための複数の工程について処理可能な設備を割り当てた1以上の通過工程ルートを登録するとともに、前記通過工程ルート毎に、各工程の処理能力を登録する通過工程ルート情報記憶ステップと、
前記各設備の前記期毎の通常稼働する能力である設備稼働能力と、前記各設備の前記期毎、全ての前記期を通じた前記設備毎、前記期毎に設備全体、又は、全ての前記期を通じて設備全体、のいずれかを選択して、残業することが可能な能力である残業可能能力を登録する設備能力情報記憶ステップと、
前記各製品の前記期毎に、要求される生産量の範囲として、生産量下限値と生産量上限値とを登録する生産量情報記憶ステップと、
前記処理能力により求めた前記各設備の前記期毎の総負荷が前記設備稼働能力に前記残業可能能力を加えたものを超えないという設備能力制約と、前記各製品の前記期毎の生産量の合計が前記生産量下限値以上前記生産量上限値以内の範囲内であることを満たすという生産量の上下限範囲制約を満たしつつ、予め設定した評価指標が最大となる前記各通過工程ルートの各期の生産量を算出する最適製品製造構成計算ステップと、
を備えることを特徴とする生産計画作成方法。 - 前記各設備の前記期毎に、残業コストを登録する残業コスト情報記憶ステップと、
前記製品毎に、原料費と売値を登録する原料費・売値情報記憶ステップと、
前記通過工程ルート毎に、各工程で発生する変動費を登録する変動費情報記憶ステップと、を更に備え、
前記評価指標として、限界利益率(売値−原料費−変動費)から計算される値の総和である総限界利益から残業コストから計算される値の総和である残業代を差し引いたものを設定する、
又は、
前記評価指標として、前記全製品の生産量の総和である総生産量を設定することを特徴とする請求項1に記載の生産計画作成方法。 - 評価指標に基づいて最適製品製造構成を計算する単位である期を記憶する期情報設定ステップと、
製品毎に、製品を製造するための複数の工程について処理可能な設備を割り当てた1以上の通過工程ルートを登録するとともに、前記通過工程ルート毎に、各工程の処理能力を登録する通過工程ルート情報記憶ステップと、
前記各設備の前記期毎の通常稼働する能力である設備稼働能力と、前記各設備の前記期毎、全ての前記期を通じた前記設備毎、前記期毎に設備全体、又は、全ての前記期を通じて設備全体、のいずれかを選択して、残業することが可能な能力である残業可能能力を登録する設備能力情報記憶ステップと、
前記各製品の前記期毎に、要求される生産量の範囲として、生産量下限値と生産量上限値とを登録する生産量情報記憶ステップと、
前記処理能力により求めた前記各設備の前記期毎の総負荷が前記設備稼働能力に前記残業可能能力を加えたものを超えないという設備能力制約と、前記各製品の前記期毎の生産量の合計が前記生産量下限値以上前記生産量上限値以内の範囲内であることを満たすという生産量の上下限範囲制約を満たしつつ、予め設定した評価指標が最大となる前記各通過工程ルートの各期の生産量を算出する最適製品製造構成計算ステップと、
を備え、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とする生産計画作成プログラム。 - 前記各設備の前記期毎に、残業コストを登録する残業コスト情報記憶ステップと、
前記製品毎に、原料費と売値を登録する原料費・売値情報記憶ステップと、
前記通過工程ルート毎に、各工程で発生する変動費を登録する変動費情報記憶ステップと、を更に備え、
前記評価指標として、限界利益率(売値−原料費−変動費)から計算される値の総和である総限界利益から残業コストから計算される値の総和である残業代を差し引いたものを設定する、
又は、
前記評価指標として、前記全製品の生産量の総和である総生産量を設定することを特徴とする請求項3に記載の生産計画作成プログラム。 - 演算部と記憶部と入力部と出力部とを有する計算機において、生産計画の作成を行う生産計画作成装置であって、
前記演算部は、
評価指標に基づいて最適製品製造構成を計算する単位である期を記憶する期情報設定部と、
製品毎に、製品を製造するための複数の工程について処理可能な設備を割り当てた1以上の通過工程ルートを登録するとともに、前記通過工程ルート毎に、各工程の処理能力を登録する通過工程ルート情報記憶部と、
前記各設備の前記期毎の通常稼働する能力である設備稼働能力と、前記各設備の前記期毎、全ての前記期を通じた前記設備毎、前記期毎に設備全体、又は、全ての前記期を通じて設備全体、のいずれかを選択して、残業することが可能な能力である残業可能能力を登録する設備能力情報記憶部と、
前記各製品の前記期毎に、要求される生産量の範囲として、生産量下限値と生産量上限値とを登録する生産量情報記憶部と、
前記処理能力により求めた前記各設備の前記期毎の総負荷が前記設備稼働能力に前記残業可能能力を加えたものを超えないという設備能力制約と、前記各製品の前記期毎の生産量の合計が前記生産量下限値以上前記生産量上限値以内の範囲内であることを満たすという生産量の上下限範囲制約を満たしつつ、予め設定した評価指標が最大となる前記各通過工程ルートの各期の生産量を算出する最適製品製造構成計算部と、
から構成されることを特徴とする生産計画作成装置。 - 前記演算部が、
前記各設備の前記期毎に、残業コストを登録する残業コスト情報記憶部と、
前記製品毎に、原料費と売値を登録する原料費・売値情報記憶部と、
前記通過工程ルート毎に、各工程で発生する変動費を登録する変動費情報記憶部と、を更に備え、
前記評価指標として、限界利益率(売値−原料費−変動費)から計算される値の総和である総限界利益から残業コストから計算される値の総和である残業代を差し引いたものを設定する、
又は、
前記評価指標として、前記全製品の生産量の総和である総生産量を設定することを特徴とする請求項5に記載の生産計画作成装置。
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