JP6095423B2 - エンジン - Google Patents
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Description
排気弁を介して排気ポートに排出された排ガスの一部をEGRガスとして前記燃焼室に再循環させるEGR手段とを備えたエンジンに関する。
また、特許文献2には、同じく外部EGR手段を備えたエンジンであって、吸気路においてEGRガスを含む新気に水素を添加するものが開示されている。そして、このように構成されたエンジンについても、EGR率を高くした場合でも燃焼室における燃焼性を向上させて、安定した燃焼状態を維持することが可能であるとされている。
一方、特許文献3には、吸気行程で排気弁を開弁状態として排気ポートの排ガスの一部をEGRガスとして、排気ポートから燃焼室に吸い戻す内部EGR手段を備えたエンジンが開示されている。
また、特許文献2に開示の技術では、吸気路においてEGRガスが供給された新気に水素を添加するため、新気においてEGRガスの濃淡分布に合わせて水素を供給することは困難である。よって、例えば新気においてEGRガスが薄い部分に水素が多く供給される場合があり、このような場合には、その部分での燃焼速度が過剰に高くなって、ノッキング等が発生するなどの問題が生じる。
また、特許文献3のように内部EGR手段を備えたエンジンが知られているが、このような内部EGR手段を備えたエンジンでは、EGR率を高めた場合でも、安定した燃焼状態を維持するための技術は何ら提案されていなかった。
吸気弁を介して燃焼室に吸気される新気に主燃料を供給して混合気を形成する燃料供給手段と、
排気弁を介して排気ポートに排出された排ガスの一部をEGRガスとして前記燃焼室に再循環させるEGR手段とを備えたエンジンであって、
前記EGR手段が、吸気行程で前記排気弁を開弁状態とすることで、前記排気ポートから前記燃焼室に前記EGRガスを吸い戻す内部EGRを行う手段であり、
前記燃焼室に吸気される吸気量に対する前記EGRガスの割合であるEGR率を高める場合に、安定した燃焼状態を維持すべく、副燃料及び前記混合気の燃焼を活性化させる燃焼活性化物質の少なくとも一方からなる燃焼制御物質を前記排気ポートに供給する燃焼制御物質供給手段を備えた点にある。
また、このような内部EGRでは、燃焼室から排気ポートへ排出された排ガスの一部が、流れ方向を逆転させた上で、EGRガスとして排気弁を通じて燃焼室に吸い戻されることになるので、当該吸い戻されたEGRガスには、比較的強い乱流が生じることになる。
よって、燃焼制御物質供給手段により、排気ポートにおいて燃焼室に吸い戻されるEGRガスに燃焼制御物質を供給するので、このEGRガスに生じる乱流によって、燃焼制御物質とEGRガスとの混合が促進される。これにより、燃焼室におけるEGRガス中の火炎伝播を燃焼制御物質の添加により良好なものに維持しながら、当該EGRガス中の燃焼制御物質の濃淡分布による燃焼安定性の悪化又はノッキングの発生などの問題を回避することができる。
従って、本発明により、合理的な構成で、更なる熱効率の向上及び低NOx化等の目的でEGR率を高くした場合でも、安定した燃焼状態を維持することができる。
前記燃焼制御物質供給手段が、前記副燃料を前記燃焼制御物質として前記排気ポートに供給する手段であると共に、当該副燃料が、前記主燃料に対して自着火温度が低い又は燃焼速度が速い燃料である点にある。
また、主燃料よりも燃焼速度が速い副燃料を排気ポートから燃焼室に吸い戻されるEGRガスに供給することで、EGRガス中で副燃料を迅速に燃焼させることができるので、EGRガス中の火炎伝播を安定且つ良好なものに維持できる。
前記燃焼制御物質供給手段が、排気行程と吸気行程との間の上死点付近の時期に、前記燃焼制御物質を前記排気ポートに供給する点にある。
また、排気行程の上死点付近の時期に燃焼制御物質をEGRガスに供給するので、例えば、吸気行程の下死点前に燃焼制御物質をEGRガスに供給する場合と比べて、燃焼制御物質がEGRガスに供給された時から、EGRガスが燃焼室に吸い戻されて燃焼室において燃焼する時までの時間を長くすることができる。よって、その時間において燃焼制御物質とEGRガスとの混合を促進することができる。
前記EGR手段が、吸気行程における前記吸気弁の開弁時期を上死点よりも遅角化した時期に設定すると共に、排気行程における前記排気弁の閉弁時期を上死点よりも遅角化した時期に設定する形態で、前記内部EGRを行う点にある。
また、吸気行程において、燃焼室には、排気ポートから副燃料が供給されたEGRガスが吸入された後に、吸気ポートから混合気が吸入されることになる。よって、次の圧縮行程において、燃焼室には、上部に混合気が多く存在し、下部に副燃料が供給されたEGRガスが多く存在するというような成層状態が形成されることとなる。よって、次の燃焼行程において、燃焼室の上部に存在する混合気が、点火プラグにより安定して点火し燃焼することになり、その安定した燃焼により燃焼室の下部に存在する副燃料が多くのEGRガス中で安定して燃焼することになる。
図1に示すように、エンジン100はシリンダ3内に往復摺動自在に嵌合されたピストン4、このピストン4の往復運動を回転運動に変換するクランク軸6及び連結棒7、ピストン4の上面とシリンダ3の内面との間に区画形成される燃焼室10、燃焼室10に吸気弁1を介して接続される吸気路13、燃焼室10に排気弁2を介して接続される排気路14等によって構成される。吸気路13は、吸気ポート13aと吸気管13bとで構成され、排気路14は、排気ポート14aと排気管14bとで構成されている。このような構成は通常のエンジンと変わるところがない。
具体的には、EGR手段Xは、排気行程において開弁状態とした排気弁2を、次の吸気
行程における上死点よりも遅角化した時期に閉弁させるように動弁機構20を制御する。これにより、吸気行程において上死点から排気弁2が閉弁されるまでの間は、排気ポート14aに排出された排ガスEの一部がEGRガスE’として再度燃焼室10に吸い戻されることになる。
さらに、EGR手段Xは、吸気行程において吸気弁1を上死点よりも遅角化した時期で
あって上記排気弁2の閉弁時期より前の時期に開弁させるように動弁機構20を制御する。これにより、吸気行程の初期には、排気弁2のみが開弁状態となって、排気ポート14aから比較的高い流速でEGRガスE’が燃焼室10に吸入される。
即ち、このインジェクタ16は、燃焼制御物質供給管11を介して供給された副燃料Nを、排気ポート14aにおいて内部EGRにより燃焼室10に吸い戻されるEGRガスE’に供給するものである。
そして、このように、内部EGRを採用しながら、排気ポート14aにインジェクタ16を設けることで、合理的な構成で、更なる熱効率の向上及び低NOx化等の目的でEGR率を高くした場合でも、安定した燃焼状態を維持することができる。その詳細構成について、以下に説明を加える。
この副燃料Nの噴射期間を上死点付近の適切な期間に設定することで、燃焼室10に吸入されるEGRガスE’が存在する領域に副燃料Nを適切に噴射して、当該噴射した副燃料NをEGRガスE’と共に燃焼室10に吸入させることができる。
図2に示すように、排気弁2は、排気行程における下死点付近に開弁され、次の吸気行程における初期である60°ATDC(図2のクランク角C2)付近で閉弁される。一方、吸気弁1は、吸気行程における排気弁2が閉弁される直前の時期である60°ATDC(図2のクランク角C2)に開弁され、下死点付近で閉弁される。
また、インジェクタ16は、排気行程における10°BTDC(図2におけるクランク角C1)から60°ATDCまでの期間に副燃料Nを噴射する。
即ち、図3に示すように、インジェクタ16は、燃焼室10から排気ポート14aへ向かう排ガスEの流速が比較的遅くなっている排気行程における上死点直前の時期に、排気ポート14aへ副燃料Nの供給を開始する。
また、この吸気行程の初期には、吸気弁1が閉弁状態とされているので、EGRガスE’のみが比較的早い流速で燃焼室10に吸入される状態となる。
そして、上記のように副燃料Nが供給されたEGRガスE’を逆流させ高速で燃焼室10に吸い戻すことで、EGRガスE’と副燃料Nとの混合が促進される。
このとき、排気ポート14aから吸入されたEGRガスE’は、吸気ポート13aから混合気Iが吸気される前に燃焼室10に吸入されているので、EGRガスE’の多くが燃焼室10において混合気Iよりも下部に存在する状態となる。
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態においては、内部EGRとして、排気弁2を上死点よりも遅く閉じる方式を採用したが、これに限らず、排気弁2を排気行程の完了とともに閉弁し、吸気行程中に再び開弁する排気弁再啓開方式の内部EGRとしてもよい。この場合、吸気行程の後期で排気弁2を開弁してもよい。そして、副燃料Nの噴射期間は、吸気行程における上死点付近の時期又は吸気行程において再び排気弁を開弁する直前の時期、もしくは、それらの間の時期としてもよい。
2 排気弁
8 ミキサー(燃料供給手段)
10 燃焼室
14a 排気ポート
16 インジェクタ(燃焼制御物質供給手段)
A 空気(新気)
E 排ガス
E’ EGRガス
G 主燃料
I 混合気
N 副燃料
X EGR手段
Claims (4)
- 吸気弁を介して燃焼室に吸気される新気に主燃料を供給して混合気を形成する燃料供給手段と、
排気弁を介して排気ポートに排出された排ガスの一部をEGRガスとして前記燃焼室に再循環させるEGR手段とを備えたエンジンであって、
前記EGR手段が、吸気行程で前記排気弁を開弁状態とすることで、前記排気ポートから前記燃焼室に前記EGRガスを吸い戻す内部EGRを行う手段であり、
前記燃焼室に吸気される吸気量に対する前記EGRガスの割合であるEGR率を高める場合に、安定した燃焼状態を維持すべく、副燃料及び前記混合気の燃焼を活性化させる燃焼活性化物質の少なくとも一方からなる燃焼制御物質を前記排気ポートに供給する燃焼制御物質供給手段を備えたエンジン。 - 前記燃焼制御物質供給手段が、前記副燃料を前記燃焼制御物質として前記排気ポートに供給する手段であると共に、当該副燃料が、前記主燃料に対して自着火温度が低い又は燃焼速度が速い燃料である請求項1に記載のエンジン。
- 前記燃焼制御物質供給手段が、排気行程と吸気行程との間の上死点付近の時期に、前記燃焼制御物質を前記排気ポートに供給する請求項1又は2に記載のエンジン。
- 前記EGR手段が、吸気行程における前記吸気弁の開弁時期を上死点よりも遅角化した時期に設定すると共に、排気行程における前記排気弁の閉弁時期を上死点よりも遅角化した時期に設定する形態で、前記内部EGRを行う請求項1から3の何れか1項に記載のエンジン。
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