JP6324149B2 - エンジンシステム、及びその制御方法 - Google Patents

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本発明は、主燃料を噴射する第1燃料噴射手段と、燃焼室に着火用燃料を噴射する第2燃料噴射手段と、排ガスを再循環させる排ガス再循環手段とを備え、前記第1燃料噴射手段により噴射される主燃料と前記第2燃料噴射手段により噴射させる着火用燃料とを圧縮着火燃焼するエンジンシステム、及びその制御方法に関する。
一般に、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンでは、燃焼室内に供給された燃料及び空気の混合気に点火プラグを用いて点火し、燃焼させる方式がとられている。しかしながら、当該燃焼方式では、燃焼室内でその周縁部に存在する未燃ガスが点火プラグの点火による主燃焼の火炎伝播が到達する前に自己着火する、所謂、ノッキングが発生し高負荷での運転が制限される場合がある。
そこで、近年、着火用燃料を燃焼室へ噴射し、その着火用燃料の燃焼(初期燃焼)により主燃料の燃焼(主燃焼)を誘発させるデュアルフュエル燃焼方式が提案されている。これにより、主燃焼は体積的に発生し、燃焼速度が上昇するため、燃焼室内の周縁部の未燃ガスの自己着火を抑制し、ノッキングの発生を抑制できる。ただし、このようなデュアルフュエル燃焼方式においても、排ガスに含まれる未燃炭化水素物質(以下、THCと略称)とNOxのトレードオフの関係は存在し、両者を共に低減することは難しい。
そこで、以下の特許文献1及び2に開示の技術では、デュアルフュエル燃焼方式のエンジンにおいて、排ガス再循環(以下、EGRと略称)を適用することが提案されている。特許文献1に開示の技術では、負荷が中負荷と高負荷との間で切り換わる際に、着火用燃料の噴射時期を調整することに加え、EGR率を調整することで、燃焼の悪化(過早着火の回避)とNox排出量の抑制を実現している。また、特許文献2に開示の技術は、吸気路と排気路との間の排ガス再循環路にEGR弁を設ける構成を採用し、拡散燃焼時にはEGR弁を開弁することで、燃焼室の温度を低下させNOx排出量を抑制し、主燃料(ガソリン)と着火用燃料(軽油)との予混合圧縮自着火時にはEGR弁を閉弁することで、安定燃焼を確保し、THCの排出量の低減を実現している。
また、デュアルフュエル燃焼方式において、特許文献3に開示の技術では、主燃料としてガソリンを用い、着火用燃料としては軽油を用いる構成が採用されている。当該特許文献3に開示の技術では、着火用燃料と主燃料との供給量比の具体的な値については、着火用燃料の供給量を、主燃料の供給量の体積比率で20%以下とする点が示されている。
特許4433685号公報 特許4232590号公報 特許4214774号公報
ところで、デュアルフュエル燃焼方式を採用して、圧縮着火性の高い着火用燃料を用いる場合、当該着火用燃料は、燃焼室内の温度に敏感に反応する傾向がある。
このため、上記特許文献1、2に開示の技術の如く、デュアルフュエル燃焼方式において、EGRを採用する場合、再循環される排ガスの温度や再循環率の変動により、燃焼室への吸気温度が変化して、燃焼状態の悪化(例えば、着火の不安定化等)を招く虞があり、改善の余地があった。
また、主燃料と着火用燃料とに関し、特許文献1、2、3に開示の技術では、主燃料としてガソリンを用い、着火用燃料として軽油を用いる構成が示されているに留まり、本願の発明者らが目指す、主燃料をメタンを主成分とするガス(例えば、天然ガス)とし、着火用燃料を軽油とする構成については、開示も示唆もされていなかった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、デュアルフュエル燃焼方式においてEGRを適用することで、ノッキングを防止して燃焼性を改善しながらも、THC及びNOxの発生量の低減の双方を実現しつつ、EGR適用による着火用燃料の燃焼状態の悪化を防止することができるエンジンシステム、及びその制御方法を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明のエンジンシステムは、
主燃料を噴射する第1燃料噴射手段と、燃焼室に着火用燃料を噴射する第2燃料噴射手段と、排ガスを再循環させる排ガス再循環手段とを備え、前記第1燃料噴射手段により噴射される主燃料と前記第2燃料噴射手段により噴射させる着火用燃料とを圧縮着火燃焼するエンジンシステムであって、その特徴構成は、
吸気路にメタンを主成分とする主燃料を噴射して燃焼用空気との予混合気を形成する前記第1燃料噴射手段と、前記燃焼室に軽油を主成分とする着火用燃料を噴射する前記第2燃料噴射手段と、前記吸気路を通流する流体を加熱する加熱手段と、
前記排ガス再循環手段による排ガス再循環率を負荷によらず所定の循環率に維持する排ガス再循環率調整手段と、
負荷の減少に伴って、前記加熱手段による前記吸気路を通流する流体の加熱量を増加する加熱量調整手段と、
負荷の増加に伴って、主燃料と着火用燃料との総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させる燃料供給割合調整手段とを備え、
前記燃料供給割合調整手段は、すべての負荷領域において、前記総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を20%以下に設定する点にある。
上記特徴構成によれば、メタンを主成分とするガス(例えば、天然ガス)を主燃料とし、軽油を主成分とするガスを着火用燃料とするデュアルフュエル燃焼方式のエンジンシステムにおいて、負荷変動時の制御パラメータとして、排ガス再循環率(以下、EGR率と略称)に加え、吸気温度を制御パラメータに加えることで、負荷によらず高いEGR率での運転を実行し、着火用燃料による燃焼制御を適切に実行できながらも、THCの排出量の低減と、NOxの排出量の低減とを実現できる。
説明を追加すると、上記特徴構成によれば、負荷によらずEGR率を所定の再循環率に維持しているから、特に、高負荷において、燃焼温度を低減して着火を遅らせ、燃焼ピーク温度を低下させ、NOxを抑制できる。また、負荷によらずEGR率を一定に維持しているから、負荷変動時で燃焼が不安定になる虞のあるときに、EGR率が変動して燃焼が悪化(例えば、THCの排出量が増加)することを抑制している。
このように、EGR率を所定の再循環率に維持している状態、特に高い再循環率に維持している状態では、低負荷において、燃焼が不安定になり、THCが増加する場合がある。そこで、上記特徴構成においては、吸気路を通流する気体を加熱する加熱手段の加熱量を調整する加熱量調整手段により、負荷の減少に伴って加熱量を増加する制御を実行することで、吸気温度を低負荷ほど高く調整し、燃焼を安定化して、THCの発生量を抑制できる。
以上の構成を採用することにより、ノッキングを良好に抑制できるデュアルフュエル燃焼方式のエンジンシステムにおいて、排ガスに含まれるNOx及びTHCの量を良好に抑制できるエンジンシステムを提供できる。
ここで、本願にあっては、エンジンシステムが対象とする負荷範囲において全負荷の50%未満を低負荷とし、全負荷の50%以上を高負荷とする。
更に、上記特徴構成によれば、負荷の増加に伴って、総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させるので、特に、高負荷において、燃焼室への残留ガスの温度が高く、総括当量比も高い状態において、着火用燃料割合が低くても安定した燃焼を確保できる。また、着火用燃料による初期燃焼での温度上昇を抑制しNOxの排出量を低減できる。
更に、例えば、特許文献2に開示の技術では、主燃料と着火用燃料との供給量に関しては、着火用燃料の供給量は、主燃料の供給量の体積比率で20%以下とすることが好ましいという記載があるのみである。当該燃料供給量の関係を、主燃料をメタン主成分とする天然ガスと、着火用燃料を軽油を主成分とする燃料との関係に当てはめると、天然ガスと軽油では、天然ガスは、分子量が軽油の1/10以下であるため、体積当たりの発熱量は軽油の約1/9〜1/10となるから、体積比率で20%の軽油を供給すると、軽油の供給熱量が、天然ガスの供給熱量を超えてしまい、軽油による初期燃焼が急激になりすぎ、適切な燃焼が確保できなくなる。
上記特徴構成によれば、燃焼供給割合調整手段は、すべての負荷領域において、燃料の体積割合ではなく発熱量割合に応じる形態で、総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を20%以下に設定しているから、着火用燃料により初期燃焼が急激になりすぎることを防止し、適切な燃焼を確保できる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記燃料供給割合調整手段は、負荷の増加に伴って、主燃料を増加させると共に前記着火用燃料を減少させる形態で、前記総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させる点にある。
上記特徴構成によれば、燃料供給割合調整手段は、負荷の増加に伴って、総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させるのに、主燃料を増加させると共に着火用燃料を減少させるから、特に、高負荷における着火用燃料による初期燃焼での温度上昇を抑制し、NOxを低減できる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
負荷の増加に伴って、前記着火用燃料の噴射時期を進角化させる着火用燃料噴射時期調整手段を備える点にある。
更に、本願の発明者らは、着火用燃料の噴射時期を進角化することにより、着火用燃料の予混合気への分散を促進することで着火時期を遅らせ、熱発生率のピーク付近での温度を低減でき、NOx量を低減することができるという知見を得た。
そこで、上記特徴構成においては、当該知見に基づき、負荷の増加に伴って、着火用燃料の噴射時期を進角化させることで、負荷の増加に伴う燃焼ピーク温度の上昇によるNOxの排出量の増加を、効果的に抑制している。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記着火用燃料噴射時期調整手段は、前記第2燃料噴射手段による前記着火用燃料の噴射時期を、圧縮行程の後半で、進角化させる点にある。
上記特徴構成によれば、着火用燃料噴射時期調整手段は、着火用燃料の噴射時期を、圧縮行程の後半で進角化させることで、着火用燃料が予混合気に過度に分散して、着火性が低下することを防止しつつも、燃焼ピーク温度を低下させて、NOxの排出量を低減できる。
本発明のエンジンシステムの更なる特徴構成は、
前記排ガス再循環手段は、前記燃焼室に接続される前記吸気路と排気路とを接続する排ガス再循環路と、当該排ガス再循環路を通流する排ガスの流量を調整可能な排ガス流量調整弁とを有し、
前記排ガス再循環率調整手段は、負荷に関わらず、前記燃焼室に吸気される吸気量のうち排ガスが占める割合である排ガス再循環率を、30%以上50%以下の高再循環率に維持する点にある。
上記特徴構成によれば、排ガス再循環率を、負荷に関わらず、燃焼室に吸気される吸気量のうち排ガスが占める割合である排ガス再循環率を、30%以上50%以下の高再循環率に維持するから、負荷に関わらず、高い再循環率を維持して、比熱の高い排ガスを燃焼室に導いて、上死点近傍のピーク温度を低下させ、低NOx化を図ることができる。
即ち、本発明にあっては、加熱量調整手段が低負荷において吸気温度を昇温させ、燃焼室での燃焼安定性の向上を確保しているから、低負荷においても、高い再循環率を維持でして、低NOx化を図ることができるのである。
本発明に係るエンジンシステムの概略構成図 本発明に係るエンジンシステムでの負荷に応じた各制御パラメータの制御値を示すグラフ図 着火用燃料の噴射時期を早めた場合の熱発生率のピーク値の変化を示すグラフ図
本発明のエンジンシステム100、及びその制御方法は、メタンを主成分とする天然ガスを主燃料とし、着火用燃料として軽油(主成分が炭素数10〜20のアルカンであり、セタン価が15〜100の値を取るもの)を主成分とする液体燃料を用いるデュアルフュエル燃焼方式において排ガス再循環を適用することで、ノッキングを防止して燃焼性を改善しながらも、排ガスEに含まれる未燃炭化物水素及びNOxを低減することができる技術に関する。
以下、本発明に係るエンジンシステム100、及びその制御方法を、図1〜3に基づいて説明する。
エンジン20は、シリンダ21とその内部を摺動自在に設けられるピストン22と、シリンダ21とピストン22とに囲まれる燃焼室24に吸気ポート10aを介する状態で接続される吸気路10と、燃焼室24に排気ポート30aを介する状態で接続される排気路30とを備えて構成されている。吸気ポート10aには、当該吸気ポート10aを開閉する吸気弁13が設けられており、排気ポート30aには、当該排気ポート30aを開閉する排気弁31が設けられている。
当該吸気路10には、上流側から順に、燃焼用空気Aを加熱するヒータ11(加熱手段の一例)、吸気路10を通流する燃焼用空気Aの流量を調整可能なスロットルバルブ12、吸気ポート10aに主燃料G1を噴射する第1燃料噴射弁14(第1燃料噴射手段の一例)とが設けられている。シリンダ21のシリンダヘッドには、燃焼室24に着火用燃料G2を直接噴射する第2燃料噴射弁23(第2燃料噴射手段の一例)が設けられる。
排気路30には、当該排気路30を通流する排ガスEの一部を吸気路10のスロットルバルブ12の下流側で吸気ポート10aの上流側へ導く排ガス再循環路41と、当該排ガス再循環路41を通流する排ガスEの流量を調整可能な排ガス流量調整弁42とが設けられている。制御装置Sとしての排ガス再循環率調整手段S3により排ガス流量調整弁42の開度が適宜調整される形態で、排ガス再循環路41及び排ガス流量調整弁42とが排ガス再循環手段40として機能する。
エンジン20は、投入される負荷に応じてエンジン出力が追従するように、制御装置Sにより、スロットルバルブ12の開度が調整されると共に、第1燃料噴射弁14による主燃料G1の噴射量及び噴射時期、第2燃料噴射弁23による着火用燃料G2の噴射量及び噴射時期が、制御装置Sとしての記憶部(図示せず)に記憶されている値に調整されることにより、吸気行程において、吸気ポート10aから燃焼用空気Aを主燃料G1との混合気が燃焼室24に吸気され、圧縮行程の後期において第2燃料噴射弁23から着火用燃料G2が燃焼室24の予混合気に噴射されて拡散し、膨張行程において、予混合気が体積的に拡散燃焼する形態で膨張し、排気行程において、排ガスEが排気路30から排出される形態で、4ストローク運転が実行される。当該運転は、通常のデュアルフュエル燃焼方式が採用されるエンジンと変わるところがなく、ノッキングを好適に抑制することができる。
当該デュアルフュエル燃焼方式のエンジン20において、NOx排出量と未燃炭化水素(以下、THC)量との二律背反関係にある双方の低減を図るべく、排ガス再循環を行う。
しかしながら、デュアルフュエル燃焼方式において用いられる着火用燃料G2は、圧縮着火性が高いため、燃焼室24内の温度に敏感に反応する傾向がある。このため、デュアルフュエル燃焼方式において、排ガス再循環を行う場合、再循環される排ガスEの温度や再循環率の変動により、燃焼室24への吸気温度が変化して、燃焼状態の悪化(例えば、着火の不安定化等)を招く虞がある。
そこで、本発明のエンジンシステム100は、以下の如く、構成されている。
エンジンシステム100の制御装置Sとして、負荷の増加に伴って主燃料G1との総供給熱量に対する着火用燃料G2の供給熱量の割合を低下させる燃料供給割合調整手段S1と、負荷の増加に伴って着火用燃料G2の噴射時期を進角化させる着火用燃料噴射時期調整手段S2と、上述した排ガス流量調整弁42の開度を調整する形態で排ガス再循環率を負荷によらず所定の循環率に維持する排ガス再循環率調整手段S3と、負荷の減少に伴ってヒータ11による吸気路10を通流する流体の加熱量を増加する加熱量調整手段S4とを備えている。
燃料供給割合調整手段S1は、図2に示すように、負荷の増加に伴って、第1燃料噴射弁14からの主燃料G1の噴射量を徐々に増加させると共に、第2燃料噴射弁23からの着火用燃料G2の噴射割合を徐々に減少させる形で、負荷の増加に伴って総供給熱量に対する着火用燃料G2の供給熱量の割合を徐々に低下させる。尚、燃料供給割合調整手段S1は、すべての負荷領域において、総供給熱量に対する着火用燃料G2の供給熱量の割合を20%以下に設定している。
着火用燃料噴射時期調整手段S2は、図2、3に示すように、特に、負荷の増加に伴って、着火用燃料G2の噴射時期を、特に、圧縮行程の後期において徐々に進角化させる。即ち、着火用燃料G2の噴射時期を進角化することで、主燃焼での熱発生率のピーク値を低下できる。これにより、負荷の増加に伴う燃焼ピーク温度の上昇によるNOxの排出量の増加を低減する。
尚、着火用燃料噴射時期調整手段S2は、図2、3に示すように、着火用燃料G2の噴射時期を調整する時期を、圧縮行程の後期としている。これにより、例えば、着火用燃料G2が、圧縮行程より進角側(例えば、吸気行程等)で噴射され、予混合気に過度に分散して、着火性が悪化することを防止している。
排ガス再循環率調整手段S3は、図2に示すように、負荷に関わらず、1サイクルで燃焼室24に吸気される吸気量のうち、排ガスEが占める割合である排ガス再循環率を、例えば、30%以上50%以下の高再循環率に維持している。
尚、排ガス再循環率を30%以上とすることで、比熱の高い排ガスEを燃焼室24に導いて、上死点近傍での主燃焼のピーク温度を低下させ、NOxの排出量を一定未満に抑制できると共に、図示熱効率を向上させる。また、50%以下とすることで、燃焼室24での予混合気の着火が過度に不安定になることを防止する。
ここで、排ガス再循環率調整手段S3は、低負荷でも、排ガス再循環率を高再循環率に維持するのであるが、低負荷では、総供給熱量が低下して燃焼室24の温度が低下することもあり、予混合気の着火性が悪化する虞がある。
そこで、加熱量調整手段S4は、負荷の減少に伴って、ヒータ11による吸気路10を通過する新気(燃焼用空気A)の加熱量を増加する制御を行っている。これにより、特に、低負荷において、排ガス再循環率を高く維持して予混合気の着火性の安定性を向上させる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態にあっては、主燃料G1として天然ガスを用いる例を示したが、別に、メタンを主成分とするガスであれば、どのようなものでも用いることができる。
また、軽油を主成分とする着火用燃料G2に関しても、軽油以外の着火性の高い燃料を含んでいても良い。
(2)上記実施形態にあっては、排ガス再循環手段40として、排気路30の排ガスEを吸気路10へ再循環させる排ガス再循環路41と、当該排ガス再循環路41を通流する排ガスEの流量を調整可能な排ガス流量調整弁42とから成る、所謂、外部EGR手段を備える例を示した。しかしながら、本発明は、当該実施形態に限定されるものではなく、例えば、可変動弁システム(バルブタイミング可変システムやバルブリフト量可変システム)等を利用し、実質的にEGR率を変更する、所謂、内部EGR手段を備える構成を採用しても構わない。
本発明のエンジンシステム、及びその制御方法は、デュアルフュエル燃焼方式においてEGRを適用することで、ノッキングを防止して燃焼性を改善しながらも、THC及びNOxの発生量の低減の双方を実現しつつ、EGR適用による着火用燃料の燃焼状態の悪化を防止することができるエンジンシステム、及びその制御方法として、有効に利用可能である。
10 :吸気路
11 :ヒータ
14 :第1燃料噴射弁
20 :エンジン
23 :第2燃料噴射弁
24 :燃焼室
40 :排ガス再循環手段
41 :排ガス再循環路
42 :排ガス流量調整弁
100 :エンジンシステム
A :燃焼用空気
E :排ガス
G1 :主燃料
G2 :着火用燃料
S :制御装置
S1 :燃料供給割合調整手段
S2 :着火用燃料噴射時期調整手段
S3 :排ガス再循環率調整手段
S4 :加熱量調整手段

Claims (6)

  1. 主燃料を噴射する第1燃料噴射手段と、燃焼室に着火用燃料を噴射する第2燃料噴射手段と、排ガスを再循環させる排ガス再循環手段とを備え、前記第1燃料噴射手段により噴射される主燃料と前記第2燃料噴射手段により噴射させる着火用燃料とを圧縮着火燃焼するエンジンシステムにおいて、
    吸気路にメタンを主成分とする主燃料を噴射して燃焼用空気との予混合気を形成する前記第1燃料噴射手段と、前記燃焼室に軽油を主成分とする着火用燃料を噴射する前記第2燃料噴射手段と、前記吸気路を通流する流体を加熱する加熱手段と、
    前記排ガス再循環手段による排ガス再循環率を負荷によらず所定の循環率に維持する排ガス再循環率調整手段と、
    負荷の減少に伴って、前記加熱手段による前記吸気路を通流する流体の加熱量を増加する加熱量調整手段と、
    負荷の増加に伴って、主燃料と着火用燃料との総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させる燃料供給割合調整手段とを備え、
    前記燃料供給割合調整手段は、すべての負荷領域において、前記総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を20%以下に設定するエンジンシステム。
  2. 前記燃料供給割合調整手段は、負荷の増加に伴って、主燃料を増加させると共に前記着火用燃料を減少させる形態で、前記総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させる請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 負荷の増加に伴って、前記着火用燃料の噴射時期を進角化させる着火用燃料噴射時期調整手段を備える請求項1又は2に記載のエンジンシステム。
  4. 前記着火用燃料噴射時期調整手段は、前記第2燃料噴射手段による前記着火用燃料の噴射時期を、圧縮行程の後半で、進角化させる請求項3に記載のエンジンシステム。
  5. 前記排ガス再循環手段は、前記燃焼室に接続される前記吸気路と排気路とを接続する排ガス再循環路と、当該排ガス再循環路を通流する排ガスの流量を調整可能な排ガス流量調整弁とを有し、
    前記排ガス再循環率調整手段は、負荷に関わらず、前記燃焼室に吸気される吸気量のうち排ガスが占める割合である排ガス再循環率を、30%以上50%以下の高再循環率に維持する請求項1〜4の何れか一項に記載のエンジンシステム。
  6. 主燃料を噴射する第1燃料噴射手段と、燃焼室に着火用燃料を噴射する第2燃料噴射手段と、排ガスを再循環させる排ガス再循環手段とを備え、前記第1燃料噴射手段により噴射する主燃料と前記第2燃料噴射手段により噴射する着火用燃料とを圧縮着火燃焼するエンジンの制御方法であって、
    前記排ガス再循環手段による排ガス再循環量を負荷によらず高循環量に維持している状態で、負荷の減少に伴って、加熱手段による吸気路を通流する流体の加熱量を増加し、
    負荷の増加に伴って、主燃料と着火用燃料との総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を低下させ、
    すべての負荷領域において、前記総供給熱量に対する着火用燃料の供給熱量の割合を20%以下に設定する制御方法。
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