JP6634774B2 - 天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法 - Google Patents

天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法 Download PDF

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Description

本発明は、天然ガスエンジンにおいて、火花点火システムを使用せずに、天然ガスとは別の燃料である自着火用燃料の圧縮着火により天然ガスを高効率で燃焼できる天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法に関する。
乗用車やトラックなどの車両において、地球温暖化対策として、燃料を軽油から、CO2排出係数が軽油の72%である天然ガスへ切り替えことによる地球温暖化防止の効果を見込んで、天然ガス(CNG)を燃料にする天然ガスエンジン(CNGエンジン)が開発されてきている。この天然ガスエンジンでは、図6に示すように、シリンダヘッド61に設けた点火プラグ62による火花点火により、ピストン63で圧縮された天然ガスCを着火させて、この天然ガスCを燃焼させている。
また、この天然ガスエンジンでは、特に、高出力やシリンダボアの径が大きい大型エンジンの場合に顕著であるが、図7に示すように、エンジン10Xの排気系通路67側の高温の燃焼ガスGと、吸気系通路65側の低温の吸入空気Aとの関係で、吸気系通路65側に対して排気系通路67側の部分(クロスハッチングで示す部分)Hが高温になり易くなる。そのため、天然ガス燃料Cは、点火プラグ62の点火による着火ではなく、燃焼行程に入る前に、この高温部Hに触れて着火し、燃焼が高温部H側から燃焼室の全体に拡がっていく、デトネーション(異常燃焼)と呼ばれる現象が発生する。この現象が発生した場合には、ピストン63はシリンダ70に片当たりして円滑に往復運動できなくなり、エンジン故障の原因となる。また、このデトネーションはノッキングの原因の一つでもある。
その一方で、この天然ガスエンジンでは、排気ガス中のNOxを浄化する、三元触媒の触媒作用を発揮させるために、スロットル弁で吸入空気量を制限して燃料量と空気量が空気過剰率(λ)で1.0となる量論燃焼を実施し、酸素の無い状態の排気ガスにしている。そのため、アイドリング運転領域や馬力の少ない軽負荷運転領域においては、量論燃焼のために、燃料の減少に伴って吸入空気量を減少する必要があり、圧縮圧力が低下し、筒内温度が低下するために火炎伝播が途切れ未燃焼領域が多くなり天然ガスの燃焼が不安定になったり、失火したりするという問題がある。
その上、天然ガスエンジンでは、天然ガスの着火性が悪い上に、通常は点火源が一箇所となるので、各サイクル毎に確実に着火させることが困難となり、燃焼効率が悪いという問題がある。この燃焼効率が悪いと、必要とされる出力を出すために多量の燃料が必要になるので、燃費が悪化する。また、着火を確実にしようとして多量の燃料を燃焼室に入れると、燃焼温度が上昇して、点火プラグ、排気バルブ、排気マニホールド等の温度が上がり、排気系部品の破損等が発生し易くなるという問題が生じる。
特に、エンジン始動時には、天然ガスの着火が困難であり、始動時間に関しても軽油燃料に比べて時間が係るという問題がある。さらに、冬場の空気温度が低い場合には、失火して未燃天然ガスが排出し、臭気が生じるという問題もある。
これらの問題への対策として、天然ガスをCNGインジェクタで吸気通路に、軽油を軽油インジェクタで燃焼室に噴射して、圧縮着火性の高い軽油と混合させることで、軽油を火種としてCNGを燃焼させ、CNG及び軽油の割合は、燃焼室内における燃焼時の最大圧力に基づいて変更する内燃機関の燃料制御装置が提案されている (例えば、特許文献1参照)。
この軽油燃料を併用する天然ガスエンジン10Yでは、図8に示すように、天然ガスCと吸入空気Aとが混合した混合気を圧縮する圧縮行程で、軽油燃料fが液体燃料噴射インジェクタ69より噴射され、燃焼室内で拡散されながら、混合気の断熱圧縮により混合気の温度が上昇し、軽油の発火(着火)温度を超えると、圧縮着火により軽油燃料fが燃焼を開始し、この火種の周囲の天然ガスCも燃焼する。
この燃焼開始時点では、軽油燃料fは燃焼室内に拡散しているので、多点着火となり排気系高温部からの着火を防止でき、燃焼室全体で燃焼し、ピストン63の頂部には略均一な力が加わるため、ピストン63は円滑に往復運動する。従って、この軽油燃料fと天然ガスCを使用するエンジンでは、デトネーションを防止できる。また、点火プラグを使用しないので、点火プラグの熱害も発生しない。
しかしながら、この軽油燃料を併用する天然ガスエンジンにおいても、図9に示すように、従来技術の空気過剰率λが2〜8で運転される軽油燃料のディーゼルエンジンに比べて、空気過剰率λが1のストイキ燃焼で運転される天然ガスエンジンでは、吸入空気量が著しく減少するので、シリンダ内の圧縮圧力が低下し、断熱圧縮でのシリンダ内の混合気の温度上昇も低下してしまうという問題がある。特に、エンジン出力(馬力)が少ない軽負荷運転領域の場合には、燃料の減少に伴い、吸入空気量が著しく減少し、圧縮圧力の低下が大きくなるため、着火及び燃焼が不安定になるという問題があり、これを解決する必要がある。
本発明者は、これに関連して、軽油燃料併用の天然ガスエンジンにおいて、吸気行程中のシリンダ内に排気ガスを導入する排気導入機構を備えた天然ガスエンジンを提案したり(例えば、特許文献2参照)、排気導入機構を備えると共に、シリンダ内に噴射する軽油の量を、エンジンの全運転領域で、アイドル運転用の軽油の量とし、エンジン出力の増減は、天然ガスの量の増減で行い、かつ、アクセル開度が予め設定した第1開度よりも大きい高負荷領域では、軽油のシリンダ内燃料噴射をマルチ噴射で行う天然ガスエンジンを提案したりしている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、本発明者は、特願2014−198814により、軽油よりも容積当たりの発熱量が小さく、同じ発熱量であってもその容積量が多くなり、噴射期間を長く取れ、噴霧し易く、しかも、天然ガスと混合し易く、着火性を示すセタン価が高い自着火用燃料として、単位容積当たりの真発熱量が32MJ(メガジュール)/l(リットル)〜35MJ/lの範囲内で、かつ、セタン価が65〜90の範囲内の液体燃料を使用する天然ガスエンジンを提案している。
また、本発明者は、特願2015−128257により、水素と一酸化炭素から直接合成でき、常温では無色・無臭の気体で、6気圧で液化し、真発熱量が6.8〜28.8MJ/kg、セタン価が55〜60、密度が0.667g/cm3のガスであるジメチルエーテル(DME:CH3OCH3)が、含酸素燃料であるので煤の発生が全く無く、排気ガス対策では有利であることに注目して、このジメチルエーテルを着火用燃料(自着火燃料)として使用する天然ガスエンジンを提案している。
一方、これらの軽油や液体合成燃料(GTL)やジメチルエーテル(DME)を補助燃料として使用する天然ガスエンジンでは、排気ガス規制への対応に関しては、空気過剰率λが1のストイキ燃焼で運転されるので、三元触媒を用いてNOxの低減を図っているが、煤の発生が少ないので、煤やPM対策用の微粒子捕集用フィルタを備えていない。
本発明者は、これらの自着火用燃料を使用して天然ガスの燃焼を促進することで、極寒地でのエンジン始動時においても、煤を殆んど若しくは全く発生することなく、自着火用燃料と天然ガスと少ない量の吸入空気で高効率な燃焼を行って、天然ガスを十分に燃焼させることで、アイドリング時や低負荷運転時でも、自着火用燃料で天然ガスを効率よく燃焼させて、これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスの燃焼で賄って、CO2排出量を大幅に低減して地球温暖化防止を図れると考えた。
しかしながら、天然ガスエンジンにおいては、軽負荷運転状態で燃焼を安定させるためにλ=1(理論混合比:完全燃焼に必要な余剰空気量)とするために、酸素に余裕がないので、燃焼状態によっては煤の発生の可能性が考えられる。特に、極寒地域でのエンジン始動時では、天然ガスの着火性が悪く、自着火用燃料を増加して燃焼を開始させることになるので、煤の発生の可能性が増加すると考えられる。そして、煤の発生の可能性が少しでもあり、万一、発生する煤量が多くなると、微粒子捕集用フィルタを備える必要が生じたりすると、微粒子捕集用のフィルタ装置が不要になるという天然ガスエンジンの折角の利点を損なうことになるので、この煤の発生への対応は十分すぎるほどに考えておく必要がある。
これに関連して、本発明者は、天然ガスエンジンにおける、軽油やGTL(液体合成燃料)やジメチルエーテル(DME)等の自着火用燃料の燃焼と、天然ガスの燃焼に関して、検討を重ねた結果、天然ガスを燃焼させるためには、燃焼室内の空気の移動を少なくして、天然ガスを燃焼室に吸い込んで燃焼室の下部に溜め込んだところで、自着火用燃料を噴射して天然ガスの上方に拡散して散在させた上で、図4に示すように、ピストンの吸気行程で排気ガスを導入するために排気バルブを開くことにより、排気ポートからの高温の排気ガスを燃焼室の上方部分に吸い込む等して、できるだけ燃焼室の温度を上昇させておいてから、ピストンの圧縮行程で、天然ガスと吸気の混合気を圧縮して昇温して、自着火用燃料を圧縮着火することが重要であるとの知見を得た。
つまり、燃焼室の底部側から天然ガスと吸気の混合気の滞留層を作り、その上に排気導入された排気ガス層を載せて、この温度の高い排気ガス層に向けて、自着火用燃料を噴霧して分散して圧縮着火させることで、天然ガスの燃焼を良好に行うことができるが、この圧縮行程のときの燃焼室の温度は少しでも高い方がよいとの知見を得た。
また、天然ガスは低温時では着火性に劣るため、燃焼室内にスワール等の渦流が発生すると自着火用燃料の火種により天然ガスが燃焼を開始しても、この空気の渦流に吹き消されて天然ガスにおける火炎伝搬が妨げられてしまい易いという知見も得た。
また、その一方で、燃焼室の温度を上昇させるために、ピストンのピストンヘッド、ヘッドライナ及びシリンダブロックの孔部に配置されたシリンダライナ等を耐熱性セラミック部材で覆って遮熱するディーゼルエンジン(例えば、特許文献4(段落〔0015〕)参照)のように、燃焼室の全周囲を遮熱部材で形成する構成にすると、排気バルブや排気ポート側の近傍に局所的な高温部が生じて、オクタン価の高い天然ガスがこの温度が高くなった部分から自着火してデトネーション(異常燃焼:爆発燃焼)が発生し、天然ガスエンジンに破損を生じてしまうという知見も得た。
特開2012−57471号公報 特開2014−109198号公報 特開2014−109199号公報 特開2000−328973号公報
本発明の目的は、自着火用燃料と主たる燃料としての天然ガスを使用する天然ガスエンジンにおいて、極寒地でのエンジン始動時においても、煤を発生することなく、自着火用燃料を効率よく使用して、確実且つ安定して天然ガスを着火できて、自着火用燃料と天然ガスと少ない量の吸入空気で高効率な燃焼を行って、天然ガスを十分に燃焼させることができ、また、アイドリング時や低負荷運転時でも、自着火用燃料で天然ガスを効率よく燃焼させることができて、これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスの燃焼で賄って、CO2排出量を大幅に低減できて地球温暖化防止を図ることができる天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の天然ガスエンジンは、シリンダ内にピストンを備え、シリンダ内における前記ピストンよりも上方側の領域であり且つシリンダ内における前記ピストンとシリンダヘッドとの間の領域に、燃料が燃焼する燃焼室が設けられ、燃料として、天然ガスと該天然ガスとは別の自着火用燃料を使用し、この自着火用燃料のシリンダ内における圧縮着火により前記天然ガスを燃焼させる天然ガスエンジンにおいて、前記天然ガスを噴射するガス噴射用の主燃料噴射装置と前記自着火用燃料を噴射する液体噴射用の自着火用燃料噴射装置を備えると共に、前記ピストンのみに対して遮熱材料を用いて、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているか、または、該ピストンを前記遮熱材料で形成しており、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているとは、前記ピストンにキャビテイがない場合は、前記ピストンを上から見たときの面積で前記ピストンの面積の70%以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、前記ピストンにキャビテイがある場合には、前記キャビテイの底面積以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、シリンダ内に噴射する前記自着火用燃料の量を、エンジン始動時及びエンジン始動時以外のエンジン運転状態であるエンジンの全運転領域で、アイドル運転で必要とされる発熱量に対する前記自着火用燃料の量よりも少ない一定量にして、エンジン出力の増減は、前記天然ガスの量の増減で行うように構成されている。
この構成によれば、ピストン頂部が、セラミックや鋳鉄などのアルミニウム合金に比べて熱伝導率の悪く遮熱効果のある遮熱材料(以下の説明において、遮熱材料を遮熱部材と別称する場合がある)で覆われるので、圧縮行程でピストン頂部が上昇して燃焼室が狭くなっているときに、燃焼室の周囲に占める遮熱部材の割合が大きくなり、軽油やGTLやDME等の自着火用燃料の着火前後で、遮熱部材による燃焼室内の保温効果を大きくすることができる。
言い換えれば、点火源で着火する燃料である天然ガスの燃焼促進のために、自着火燃料を使用するので、周囲温度上昇(遮熱)が天然ガスの燃焼に良い効果を現すが、アルミ材のように熱伝導の良い材料で燃焼室の周囲を形成してしまうために、周囲空気、特にピストン表面付近の空気が冷却され自着火燃料が着火し難くなってしまう。それに対して、この構成では、できるだけ広く燃料が自着火するようにピストン上面のみを遮熱し、自着火燃料の着火を効果的に促進できる。
この遮熱部材としては、アルミニウムの熱電伝導率が、200〜240W/(m・K)程度であるので、これに比べれば、熱電伝導率が半分(120W/(m・K))以下の部材で遮熱効果を発揮できるので、ここでは、遮熱部材として、熱電伝導率が120W/(m・K)以下の材料で構成される部材とする。
また、この遮熱部材は遮熱効果があればよいので、ピストン全体をこの遮熱部材で形成してもよいが、燃焼室の底部のあるピストン頂部のみを遮熱部材で形成したり、コーティングしたりしてもよい。そして、「少なくとも燃焼室の一部又は全部を遮熱部材で覆う」とは、ピストンにキャビテイがない場合は、ピストンを上から見たときの面積でピストン面積の70%以上であり、ピストンにキャビテイがある場合はキャビテイの底面積以上を遮熱部材で覆っていることをいう。なお、遮熱によってノッキングが生じる場合は、排気側の局所的に高温となる部分はコーティングしない場合もある。
従って、これにより、自着火用燃料が燃焼し始めた時の燃焼室の保温効果を高めることができて、自着火用燃料の着火を促進できるので、この自着火用燃料の着火による多くの着火源から天然ガスを燃焼させることができる。つまり、自着火用燃料の着火促進技術として、ピストンの頂部を形成する素材を遮熱性が良い材料、例えば、セラミックや鋳鉄にしてピストンの頂部における遮熱を行い、自着火用燃料の着火と天然ガスへの燃焼の伝搬を促進する。その結果、燃焼の安定化を行うことでき、また、燃料と空気の混合割合、及び、天然ガスの全燃料(天然ガス+自着火用燃料)に対する割合を高めて、天然ガスの利用率を高めることができる。
また、ピストンのみに対して遮熱材料を用いているので、燃焼室の周囲全体を遮熱する構成と異なり、排気バルブや排気ポート側の近傍に局所的な高温部が生じて、この部分からデトネーション(異常燃焼)が発生することを防止することができる。このデトネーションの発生を防止するために、敢えて、シリンダヘッドやシリンダライナには遮熱構造をせず、ピストン頂頭面側のみをセラミック材料などで遮熱する。
特に、エンジン始動時においては、自着火用燃料のみを供給して、又は、自着火用燃料と天然ガスの両方を供給して始動するが、この場合に、遮熱材料を設けているのでピストンからの熱が逃げないので、エンジン始動時にシリンダ内温度を迅速に高くすることができ、始動性を向上させることができる。
つまり、エンジン始動時においては、上記の遮熱部材による保温の効果がより大きく、天然ガスの燃焼により貢献することができる。また、極寒地におけるエンジン始動では、自着火用燃料のみで燃焼させることになる場合もあるので、この場合は少ない自着火用燃料の量でかつ短時間でエンジンを暖機できるようになる。
なお、アイドリング時や低負荷運転時では、極寒地であっても、自着火用燃料の着火によりで天然ガスを燃焼させることができるので、エンジン出力に寄与する燃料の発熱量の多くを天然ガスの燃焼で発生させることができる。これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスの燃焼で賄うことができるようになるので、CO2排出量を大幅に低減でき、地球温暖化防止効果を奏することができる。
その上、自着火用燃料を使用した場合には、煤となる成分が少ないので、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)などのPM捕集装置を不要にしたり、小型化したりすることができる。特に、NOx低減のために多量EGRを行っても煤の発生が無いので、軽油を主燃料として使用していたディーゼルエンジンで、互いにトレードオフの関係にあったNOx低減と煤低減を同時に図ることができ、NOx吸蔵還元触媒や選択還元型(SCR)触媒を用いた触媒装置も不要にしたり、小型化したりすることができる。
上記の天然ガスエンジンにおいて、吸気行程中のシリンダ内に排気ガスを導入する排気導入機構を備えて構成されていると、排気導入機構の作動により、適宜、吸気行程中に排気系通路の高温の排気ガスをシリンダ内に逆流させて、この燃焼直後で高温の排気ガスにより、シリンダ内の着火用の自着火用燃料と天然ガスと吸入空気と排気ガスの混合気の温度を上昇させることができる。この排気導入では、燃焼直後で高温の排気ガスを導入するので、EGRクーラーを備えたEGR通路を経由して温度が低くなるEGRガスの導入に比べて、シリンダ内温度上昇効果は著しく大きくなる。
その結果、少量の自着火用燃料でも安定して圧縮着火及び燃焼をさせることができ、この自着火用燃料の燃焼を着火源にして天然ガスの燃焼も安定して行うことができるようになる。従って、吸入空気量を絞って、空気過剰率が1.0近傍で燃焼させても、燃焼効率が良く安定した燃焼を実現でき、煤の発生も少なく、また、自着火用燃料の量を更に低減できるので、自着火用燃料の消費量が少量で済み、また、全体として燃料の燃焼による熱の発生量が少なくなるので、排気系通路へ流れる熱量が減少し、この熱量に起因する熱害が減少するのでエンジンの排気系部品の耐久性が向上する。
また、排気導入機構の作動により、エンジンが低温となっている始動時でもシリンダ内温度を迅速に昇温できるので、始動性がよくなる。その上、始動時でも少量の自着火用燃料で始動させることができるので、始動による失火および煤の発生がなくなる。更に、シリンダ内温度を迅速に昇温できるので、スムーズな加速ができるようになる。
また、シリンダ内の温度を高める排気導入機構を利用することにより、軽負荷運転状態においても、シリンダ内の温度を自着火用燃料が着火し易い温度に維持し、少ない自着火用燃料の量で安定した着火を得ることができ、少量の補助自動車で燃焼を安定させることができるので、エンジン振動を少なくして乗り心地性(ドライバビリティ)を向上することができる。また、軽負荷運転時の排気ガス量を低減できる。
この排気導入機構としては、例えば、既に、周知技術となっている、排気バルブを作動させる排気カムにおいて、エンジンの運転状態に応じて、通常のカムフィールに略90°の位相角を持って追加形成された排気導入カムプロフィールを作動可能にすることにより、吸気行程中に排気バルブの1mm〜3mm程度のリフトでシリンダ内と排気系通路を連通させて、吸気行程中に排気ガスを導入する構成や、エンジンの運転状態に応じて、排気バルブとは別の電磁ソレノイドで開閉弁の作動をする排気導入バルブを設けて、この電磁ソレノイドで吸気行程中に排気導入バルブをリフトして開弁させて、シリンダ内と排気系通路を連通させて、吸気行程中に排気ガスを導入する構成等を採用することができる。
また、上記の天然ガスエンジンにおいて、シリンダ内に噴射する前記自着火用燃料の量を、エンジン始動時及びエンジン始動時以外のエンジン運転状態であるエンジンの全運転領域で、アイドル運転で必要とされる発熱量に対する前記自着火用燃料の量よりも少ない一定量にして、エンジン出力の増減は、前記天然ガスの量の増減で行うように構成されているので、自着火用燃料の量が一定という非常に簡単な制御で確実に自着火用燃料を圧縮着火でき、天然ガスの量を問わずに、天然ガスを最小の吸気量で燃焼効率よく燃焼できる。なお、この場合の吸気スロットル弁の開度は、排気ガスの空燃比や空気過剰率λや酸素濃度を計測し、量論燃焼になるように両論比判定を行って制御することが好ましい。
上記の天然ガスエンジンにおいて、前記排気導入機構の作動を行う運転状態において、吸気系通路に設けられた吸気シャッタによる吸気絞り制御、若しくは、排気系通路に設けられた排気シャッタによる排気絞り制御の一方、又は、前記吸気絞り制御及び前記排気絞り制御の両方を行うように構成されていると、この排気導入機構の作動と共に、吸気シャッタを閉弁方向に作動させて吸気を絞って、吸入空気量(新気の量)を量論燃焼が可能となる量に減少させると共に、吸気系通路側の圧力を低下させることができるので、より効率良く排気ガスをシリンダ内に逆流させることができ、よりシリンダ内温度を上昇でき、より燃焼効率を高めることができる。
さらに、排気シャッタを閉弁方向に作動させて排気を絞ると、排気系通路側の圧力が高くなり、排気系通路側の排気ガスをシリンダ内へ逆流させ易くなり、逆流量を増加させることができるので、よりシリンダ内の温度上昇効果を高めることができる。
そして、上記のような目的を達成するための本発明の天然ガスエンジンの遮熱方法は、シリンダ内にピストンを備え、シリンダ内における前記ピストンよりも上方側の領域であり且つシリンダ内における前記ピストンとシリンダヘッドとの間の領域に、燃料が燃焼す
る燃焼室が設けられ、燃料として、天然ガスと該天然ガスとは別の自着火用燃料を使用し、前記天然ガスを噴射するガス噴射用の主燃料噴射装置と前記自着火用燃料を噴射する液体噴射用の自着火用燃料噴射装置を備えて、この自着火用燃料のシリンダ内における圧縮着火により前記天然ガスを燃焼させる天然ガスエンジンの遮熱方法において、前記ピストンのみに対して遮熱材料を用いて、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているか、または、該ピストンを前記遮熱材料で形成しており、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているとは、前記ピストンにキャビテイがない場合は、前記ピストンを上から見たときの面積で前記ピストンの面積の70%以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、前記ピストンにキャビテイがある場合には、前記キャビテイの底面積以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、シリンダ内に噴射する前記自着火用燃料の量を、エンジン始動時及びエンジン始動時以外のエンジン運転状態であるエンジンの全運転領域で、アイドル運転で必要とされる発熱量に対する前記自着火用燃料の量よりも少ない一定量にして、エンジン出力の増減は、前記天然ガスの量の増減で行うことを特徴とする方法である。この方法によれば、上記の天然ガスエンジンと同様の効果を奏することができる。
本発明に係る天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法によれば、ピストンをセラミックス等で遮熱し高温度雰囲気で天然ガスを着火するので、安定した燃焼が実現して、燃焼効率が良くなる。そのため、エンジンの始動性が良くなり、また、軽負荷運転状態における燃焼が安定する。
そして、シリンダ内における天然ガスの燃焼性が向上するのでエンジン振動が少なくなりスムーズな加速ができる。さらに、安定して自着火用燃料が着火するのでこの自着火用燃料の噴射量を少量にすることができ、煤の発生量を減少又は殆んどゼロにできるので、後処理装置で微粒子を補修するフィルタ装置が不要になる。また、煤の発生量が著しく少ないので大幅にEGRができNOxの発生量を減少できる。そのため、SCR触媒が不要となる。
つまり、極寒地でのエンジン始動時や低負荷運転時においても、煤を発生することなく、補助燃料を効率よく使用して、確実且つ安定して天然ガスを着火できて、補助燃料と天然ガスと少ない量の吸入空気で高効率な燃焼を行って、エンジン始動時から天然ガスを混入しても十分に燃焼させることができ、また、アイドリング時や低負荷運転時でも、自着火用燃料で天然ガスを燃焼させることができる。
そして、これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスの燃焼で賄って、CO2排出量を大幅に低減できて地球温暖化防止を図ることができる。
本発明の実施の形態の天然ガスエンジンの構成を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態の天然ガスエンジンにおけるピストンのコーティング領域を示す構成図であり、また、排気導入の説明のための図である。 ピストンの頂上面における遮熱コーティングの領域の例を示す図である。 排気導入における吸気バルブと排気バルブのリフトを示す図である。 本発明の実施の形態の天然ガスエンジンの運転方法における自着火用燃料と天然ガスとの関係を示す図である。 従来技術の天然ガスエンジンにおける天然ガスの正常な着火と燃焼状態を説明するための図である。 従来技術の天然ガスエンジンにおける天然ガスのデトネーション(異常燃焼)を説明するための図である。 自着火用燃料を併用する天然ガスエンジンの自着火用燃料の着火と天然ガスの燃焼状態を説明するための図である。 天然ガスエンジンにおける圧縮圧力と通常のディーゼルエンジンにおける圧縮圧力の比較を模式的に示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態の天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法について、図面を参照しながら説明する。図1に示す本発明に係る実施の形態の天然ガスエンジン10は、空気過剰率λが1.0〜2.0のストイキ燃焼又はリーン燃焼で運転される天然ガスエンジンであり、エンジン本体11の吸気系通路として吸気マニホールド11aと吸気通路12と、排気系通路として排気マニホールド11bと排気通路13とそれぞれ設けられると共に、排気通路13と吸気通路12を接続するEGR通路14が設けられている。
また、ターボ式過給器(ターボチャージャ)15が設けられる。このターボ式過給器15のタービン15aを排気通路13に、コンプレッサ15bを吸気通路12にそれぞれ設けて、排気ガスGの排気エネルギーでタービン15aを回転し、この回転をシャフト15cで伝達されたコンプレッサ15bにより吸入空気Aを圧縮する。
吸入空気Aが通過する吸気通路12には、コンプレッサ15bとインタークーラー16と吸気シャッタ(吸気スロットル)17が設けられ、吸入空気Aは、コンプレッサ15bで圧縮され、インタークーラー16で冷却されて空気密度を上昇し、吸気シャッタ17で流量調整されて、図2に示すシリンダ70内の燃焼室に導入される。
また、図1に示すように、軽油又は液体合成燃料(GTL)又はジメチルエーテル(DME)等の自着火用燃料Fと天然ガスCが燃焼して発生した排気ガスGが通過する排気通路13には、タービン15aが設けられる。また、タービン15aと排気ガス浄化装置18の間に排気シャッタ42が設けられる。そして、排気ガスGは、必要に応じて一部がEGRガスGeとしてEGR通路14に導入され、残りは、タービン15aを駆動した後、必要に応じて排気ガス浄化装置(図示しない)で浄化されて大気中に放出される。
また、EGRガスGeが通過するEGR通路14には、EGRガスGeを冷却するEGRクーラー19とEGRガスGeの流量を調整するEGR弁20が設けられ、EGRガスGeは、排気通路13から分岐された後、EGRクーラー19で冷却され、EGR弁20で流量を調整されて吸気通路12に再循環される。
そして、この天然ガスエンジン10においては、軽油燃料用のディーゼルエンジンと同様に、図2に示すように、液体で噴射される自着火用燃料Fをエンジン本体11のシリンダ70内に噴射するための液体燃料供給ライン80を備えて構成される。
この液体燃料供給ライン80は、自着火用燃料Fを必要に応じて加圧して液体状態で保管、供給、噴射を行うために、気密性を有する加圧タンクである燃料タンク81と潤滑性をアップした加圧ポンプ(図示しない)と電磁弁82と調圧装置(レギュレータ)83とチャンバー84と液体燃料噴射インジェクタ(自着火用燃料噴射装置)69とこれらを接続する燃料配管85とから構成される。これらにより、自着火用燃料Fは通常の軽油燃料用のディーゼルエンジンと同様に、液体燃料噴射インジェクタ69からシリンダ70内に噴射される。
そして、エンジン本体11及び燃料噴射系や冷却系等に関しては、通常の軽油燃料用のディーゼルエンジンの構成に加えて、図1に示すように、天然ガスタンク(CNGタンク)31、電磁弁32、調圧装置(レギュレータ)33、チャンバー34、吸気通路12の吸気シャッタ17より下流側に配置されたCNG噴射インジェクタ(主燃料噴射装置)35と、これらを接続するCNG配管36とから構成される天然ガス供給システム30を備えて構成される。
つまり、本発明の実施の形態の天然ガスエンジン10は、燃料として、天然ガスCとこの天然ガスCとは別の自着火用燃料Fを使用し、この自着火用燃料Fのシリンダ内における圧縮着火により天然ガスを燃焼させる天然ガスエンジンであり、天然ガスCを噴射するガス噴射用のCNG噴射インジェクタ35と自着火用燃料Fを噴射する液体噴射用の液体燃料噴射インジェクタ69を備えている。
この天然ガス供給システム30により、天然ガスタンク31に貯蔵された天然ガスCはCNG配管36を通って、電磁弁32経由で調圧装置33により圧力を調整された後、CNG噴射インジェクタ35により噴射量と噴射タイミングを制御されながら吸気系通路65(図1では吸気通路12)内に噴射される。
更に、本発明においては、天然ガスCの着火に際して火花点火システムを使用しないで、シリンダ70内の燃焼室に噴射した自着火用燃料Fの圧縮着火により自着火用燃料Fを燃焼させ、この燃焼した自着火用燃料Fを火種にして天然ガスCを燃焼させるように構成する。
そして、本発明においては、この天然ガスエンジン10では、ピストン63のみに対して遮熱材料63aを用いて、図2及び図3に示すように、このピストン63の少なくとも燃焼室の一部又は全部を遮熱材料63aで覆っているか、または、特に図示しないが、ピストン63の一部又は全部を遮熱材料63aで形成している状態に構成される。
また、この遮熱部材63aは遮熱効果があればよいので、ピストン63の全体をこの遮熱部材63aで形成してもよいが、燃焼室の一部を遮熱部材63aで形成したり、コーティングしたりしてコーティング領域Rcを形成してもよい。このコーティング領域(図3のクロスハッチング部分)Rcの部分は排気流近傍が高温になるため、その部分は遮熱コーティングを除去する非コーティング領域(図3のハッチング部分)Rnを形成するようにマスクをして製造するのが望ましい。そして、ピストン63にキャビテイがない場合でも、排気流近傍は遮熱コーティングせずにその他の部分のみピストン63の上面を遮熱部材63aで覆う構造とする。
この遮熱部材63aとしては、アルミニウムの熱電伝導率が、200〜240W/(m・K)程度であるので、これに比べれば、熱電伝導率が半分(120W/(m・K))以下の部材で遮熱効果を発揮できるので、ここでは、遮熱部材として、熱電伝導率が120W/(m・K)以下の材料で構成される部材とする。例えば、熱電伝導率が120W/(m・K)より小さい、セラミック(炭化ケイ素(約60W/(m・K))、アルミナ(約32W/(m・K))、窒化ケイ素(約20W/(m・K))、ジルコニア(約3W/(m・K))だけなく鋳鉄(約50W/(m・K))などを採用することができ、十分に遮熱効果を発揮できる。
つまり、本発明に係る実施の形態の天然ガスエンジンの遮熱方法は、燃料として、天然ガスCとこの天然ガスCとは別の自着火用燃料Fを使用し、天然ガスCを噴射するガス噴射用のCNG噴射インジェクタ35と自着火用燃料Fを噴射する液体噴射用の液体燃料噴射インジェクタ69を備えて、この自着火用燃料Fのシリンダ内における圧縮着火により天然ガスCを燃焼させる天然ガスエンジンの遮熱方法であり、この天然ガスエンジンの遮熱方法において、ピストン63のみに対して遮熱材料63aを用いて、このピストン63の少なくとも燃焼室の一部又は全部を遮熱材料63aで覆っているか、または、ピストン63を遮熱材料63aで形成していることを特徴とする方法である。
この構成によれば、ピストン63の頂部が、セラミックや鋳鉄などのアルミニウム合金に比べて熱伝導率の悪く遮熱効果のある遮熱部材63aで覆われるので、圧縮行程でピストン63の頂部が上昇して燃焼室が狭くなっているときに、燃焼室の周囲に占める遮熱部材63aの割合が大きくなり、軽油やGTLやDME等の自着火用燃料Fの着火前後で、遮熱部材63aによる燃焼室の内部の保温効果を大きくすることができる。
従って、これにより、自着火用燃料Fが燃焼し始めた時の燃焼室の保温効果を高めることができて、自着火用燃料Fの着火を促進できるので、この自着火用燃料Fの着火による多くの着火源から天然ガスCを燃焼させることができる。
つまり、自着火用燃料Fの着火促進技術として、ピストン63の頂部を形成する素材を遮熱性が良い材料、例えば、セラミックや鋳鉄にしてピストン63の頂部における遮熱を行い、自着火用燃料Fの着火と天然ガスCへの燃焼の伝搬を促進する。その結果、燃焼の安定化を行うことでき、また、燃料(C+F)と空気Aの混合割合、及び、天然ガスCの全燃料(天然ガスC+自着火用燃料F)に対する割合を高めて、天然ガスCの利用率を高めることができる。
この場合に、ピストン63のみに対して遮熱材料63aを用いているので、燃焼室の周囲全体を遮熱する構成と異なり、排気バルブ68や排気系通路67の排気ポート側の近傍に局所的な高温部が生じて、この部分からデトネーション(異常燃焼)が発生することを防止することができる。このデトネーションの発生を防止するために、敢えて、シリンダヘッドやシリンダライナには遮熱構造をせず、ピストン頂頭面側のみをセラミック材料などで遮熱する。
この自着火用燃料Fに、単位容積当たりの真発熱量が32MJ(メガジュール)/l(リットル)〜35MJ/lの範囲内で、かつ、セタン価が65〜90の範囲内の液体燃料、例えば、液体合成燃料(GTL:Gas To Liquid)を使用する場合には、このGTLは、単位重量当たりの真発熱量は軽油とほぼ同じであるが、密度が軽油より5%〜10%程度低いため、単位容積当たりの真発熱量が軽油よりも低くなる。
また、この自着火用燃料Fにジメチルエーテル(DME)を使用した場合には、このジメチルエーテルは、常温では無色・無臭の気体で、常圧−25℃、又は、常温6気圧で液化し、真発熱量が6.8〜28.8MJ/kg、セタン価が55〜60、密度が0.667g/cm3のガスであり、単位重量当たりの発熱量は軽油の7割程度で、単位体積当たりの発熱量は軽油の5割程度であるため、単位容積当たりの熱量が軽油よりも低くなる。
そして、単位容積当たりの熱量が軽油よりも低くなると、その分噴射量が多くなるので、GTLやDMEでは、軽油の熱計算的な量を噴射する場合よりも噴射圧を大きく、噴射時間を長くすることができ、自着火用燃料Fの噴射制御を精度良く行うことができるようになる。
また、セタン価に関しては、GTLは軽油に比較して15程度向上しているので、また、DMEは、軽油と略同等又は少し高いので、それぞれ着火性が高く、圧縮着火性能を高めることができる。これらの結果、自着火用燃料の調整不良による燃料噴射における無駄を無くすことができ、自着火用燃料Fの実質的な噴射量を軽油よりも少なくすることができる。
従って、自着火用燃料Fを単に軽油の代わりにGTLやDMEを使用する場合は、単に変えただけでなく、燃料噴射の面とセタン価の面とにより着火性を著しく向上させることができるので、エンジン始動時から天然ガスCを混入しても十分に燃焼させることができる。
その上、このGTLやDMEは、軽油に比べて硫黄分が無く、煤となる成分が少ないので、微粒子捕集用フィルタを不要にしたり、小型化したりすることができる。特に、NOx低減のために多量EGRを行っても煤の発生が無いので、軽油を主燃料として使用していたディーゼルエンジンで、互いにトレードオフの関係にあったNOx低減と煤低減を同時に図ることができ、NOx吸蔵還元触媒や選択還元型(SCR)触媒を用いた触媒装置も不要にしたり、小型化したりすることができる。
そして、エンジン始動時においては、吸気温度によって、言い換えれば、極寒状態であるか否かによって、この自着火用燃料Fのみを供給して、又は自着火用燃料Fと天然ガスCの両方を供給して始動するように構成される。この場合に、遮熱材料63aを設けているのでピストン63からの熱が逃げないので、エンジン始動時にシリンダ内温度を迅速に高くすることができ、始動性を向上させることができる。
つまり、エンジン始動時においては、遮熱部材63aによる保温の効果がより大きく、天然ガスCの燃焼により貢献することができる。また、極寒地におけるエンジン始動では、自着火用燃料Fのみで燃焼させることになる場合もあるので、この場合は少ない自着火用燃料Fの量でかつ短時間で天然ガスエンジン10を暖機できるようになる。
なお、極寒地においても、エンジン始動時のみならず、アイドリング時や低負荷運転時でも、自着火用燃料Fの着火によりで天然ガスCを燃焼させることができるので、エンジン出力に寄与する燃料の発熱量の多くを天然ガスCの燃焼で発生させることができる。これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスCの燃焼で賄うことができるようになるので、CO2排出量を大幅に低減でき、地球温暖化防止効果を奏することができる。
その上、自着火用燃料Fを使用した場合には、煤となる成分が少ないので、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)などのPM捕集装置を不要にしたり、小型化したりすることができる。特に、NOx低減のために多量EGRを行っても煤の発生が無いので、軽油を主燃料として使用していたディーゼルエンジンで、互いにトレードオフの関係にあったNOx低減と煤低減を同時に図ることができ、NOx吸蔵還元触媒や選択還元型(SCR)触媒を用いた触媒装置も不要にしたり、小型化したりすることができる。
また、天然ガスエンジン10に、吸気行程中のシリンダ70内に排気ガスGを導入する排気導入機構(図示しない)を備えて構成する。この排気導入機構としては、図2に示す排気バルブ68を作動させる排気カムにおいて、通常の排気行程で排気バルブ68を開弁する通常のカムフィールに略90°の位相角を持った排気導入カムプロフィールを追加形成し、エンジン運転状態に応じて、この排気導入カムプロフィールを作動可能にすることにより、図2及び図4に示すように、吸気行程中に排気バルブ68を1mm〜3mm程度リフトして開弁させることにより、シリンダ70内と排気系通路67(図1では排気通路13)を連通させて、吸気行程中に排気ガスGを導入する構成を採用することができる。
また、排気バルブ68とは別の電磁ソレノイドで開閉弁の作動をする排気導入バルブを設けて、エンジン運転状態に応じて、この電磁ソレノイドに駆動信号を与えることにすることにより、図4に示すようなタイミングで、吸気行程中に排気導入バルブをリフトして開弁させることにより、シリンダ70内と排気系通路67(排気通路13)を連通させて、吸気行程中に排気ガスGを導入する構成を採用することもできる。
なお、本発明においては、排気導入機構を、上記の2つの構成に限定する必要はなく、これ以外の構成であっても、吸気行程中のシリンダ内に排気ガスを導入する機能を有する構成であればよい。
この排気導入機構の作動により、シリンダ70内の自着火用燃料Fと天然ガスCと吸入空気Aと排気ガスGの混合気の温度を上昇させることができるので、少量の自着火用燃料Fでも安定して圧縮燃焼して天然ガスCの燃焼も安定して行えるようになり、安定した燃焼を実現できる。
また、本発明においては、排気通路13のタービン15aの下流側にλ(空気過剰率)センサ41を配置し、排気ガスG中の空気過剰率λを測定できるように構成し、更に、排気通路13のタービン15aの上流側に排気シャッタ(排気絞り弁)42を設けている。
更に、エンジンコントロールユニット(ECU)と呼ばれる制御装置51が設けられ、アクセルセンサ52、エンジン本体11に設けたエンジン回転速度センサ53や冷却水温度センサ(図示しない)、吸気通路12に設けた吸気量センサ(MAF:図示しない)、排気通路に設けたλセンサ41や排気ガス温度センサ(図示しない)、NOxセンサ(図示しない)等の各種センサからの信号を入力して、液体燃料噴射インジェクタ69、CNG噴射インジェクタ35、ターボ式過給器15のタービン15a、吸気シャッタ17、EGR弁20等を制御するように構成される。
次に、上記の天然ガスエンジン10における本発明に係る実施の形態の天然ガスエンジンの運転方法について説明する。この天然ガスエンジンの運転方法は、燃料として、天然ガスCとこの天然ガスCとは別の自着火用燃料Fを使用し、この自着火用燃料Fのシリンダ内における圧縮着火により天然ガスCを燃焼させる天然ガスエンジン10の運転方法であり、エンジン始動時においては、自着火用燃料Fのみを供給して、又は、自着火用燃料Fと天然ガスCの両方を供給して始動する方法である。
この自着火用燃料Fのみを供給するか、自着火用燃料Fと天然ガスCの両方を供給するかは、極寒状態であるか否かを判断して、極寒状態である場合には、着火し易いジ自着火用燃料Fのみを供給して始動を確実に行い、極寒状態でない場合には、自着火用燃料Fと天然ガスCの両方を供給して、自着火用燃料Fの消費を抑制する。
なお、この極寒状態であるか否かの判定には、例えば、吸気温度やエンジン冷却水の水温を判定に使用でき、それぞれの閾値より低い場合は極寒状態であると判定する。
この始動時における自着火用燃料Fと天然ガスCの割合は、発熱量ベースでは、自着火用燃料Fの発熱量が総発熱量の20%以上が必要で、好ましくは、20%〜100%とする。なお、極寒状態では自着火用燃料Fの発熱量が100%であるが、極寒状態に近づく程、自着火用燃料Fの割合は大きくなり、総発熱量の100%に近い値となる。
上記の天然ガスエンジン10及び天然ガスエンジンの運転方法によれば、自着火用燃料Fに、セタン価が比較的高く、発熱量に対して容積が多い、自着火用燃料Fを用いることで、図5に示すように、天然ガスエンジン1の始動時において天然ガスCに少量の自着火用燃料Fを追加した状態で始動させることができるようになる。つまり、自着火用燃料Fは圧縮着火し易いので、圧縮着火に必要な自着火用燃料Fの量は少量で済む。
この自着火用燃料Fの発熱量Fciのシリンダ以内に供給される自着火用燃料Fの発熱量Fciと天然ガスCの総発熱量に対する割合は、安定して着火できることが重要であるので、吸気温度又はエンジン冷却水の水温が高ければ天然ガスCは着火し易い状態になるので自着火用燃料Fの発熱量Fciの割合は少なくてよく、吸気温度又はエンジン冷却水の水温が低ければ天然ガスCは着火し難い状態になるので自着火用燃料Fの発熱量Fciの割合は多くすることが好ましい。つまり、吸気温度又はエンジン冷却水の水温の高低に応じて、自着火用燃料Fの発熱量Fciの割合を増減する構成にすることが好ましい。
更に、図5に示すように、シリンダ70内に噴射する自着火用燃料Fの発熱量Fciを、天然ガスエンジン10の全運転領域で、始動時の自着火用燃料Fの発熱量Fciとし、エンジン出力の増減は、天然ガスCの量の増減で行う制御をする。
この運転方法によれば、この排気導入機構を備えた自着火用燃料Fを併用する天然ガスエンジン10では、エンジン始動時の運転状態で安定した着火及び燃焼を維持できているので、吸気温度又はエンジン冷却水の水温に大きな変化が無ければ、エンジン始動時及びこのエンジン始動時以外のエンジン運転状態においても、この自着火用燃料Fと天然ガスCとの割合を一定とし、この自着火用燃料Fの燃焼を天然ガスCの着火に使用する。これにより、エンジン運転状態に応じてこの自着火用燃料Fと天然ガスCとの割合を変更するような制御と比較すると、常に、自着火用燃料量を一定とするという簡単な制御で、天然ガスCを最小の吸入空気量で燃焼効率よく燃焼できる。なお、この場合の吸気シャッタ17の弁開度は、排気ガスGの空燃比や空気過剰率λや酸素濃度を計測し、量論燃焼になるように両論比判定を行って制御する。
そして、図5に示すように、この自着火用燃料Fの圧縮着火に必要な量における発熱量Fciだけでは、始動時やアイドリング時などでエンジン運転を維持するのに必要な発熱量Tciを確保できなくなるので、極寒状態であれば、自着火用燃料Fの噴射量を増加することにより発熱量を追加して発熱量Tciを確保し、極寒状態でなければ、天然ガスCも同時に加えて燃焼させて、自着火用燃料Fの発熱量Fciに天然ガスCの発熱量Cciを加えて必要な発熱量Tciを確保する。この自着火用燃料Fと天然ガスCとの混合により、始動時による着火性の向上と、着火後の発熱量の確保と、CO2発生量の減少の効果を奏することができる。
この天然ガスCの混合により、自着火用燃料Fのみでエンジンを始動させる方法よりも、自着火用燃料Fとの消費量を減少できるので、運転コストを低減できる上に、自着火用燃料Fとのための燃料タンクを小さくすることができる。
また、更に、排気導入機構の作動を加えることにより、吸気行程中のシリンダ70内に排気ガスGを導入して、シリンダ70内の自着火用燃料Fと天然ガスCと吸入空気Aと排気ガスGの混合気の温度を上昇させることができるので、少量の自着火用燃料ルFでも安定して圧縮燃焼して天然ガスCの燃焼もより安定して行えるようになる。
つまり、排気導入機構の作動により、更に、着火性及び燃焼効率を向上でき、着火のための自着火用燃料Fの量をさらに低減することができるので、より少量の自着火用燃料Fで済む。その上、全体として燃料F、Cの燃焼により発生する熱量がより少なくなるので、結果として、排気通路13へ流れる熱量がさらに減少し、熱害が減少し耐久性が向上する。
更に、このシリンダ内温度を高める排気導入機構を利用することにより、シリンダ内温度を自着火用燃料Fが着火し易い温度に維持し、少ない燃料量で安定した着火を得ることができ、アイドリング運転領域及び軽負荷運転領域を含む全運転領域において、少量の燃料F、Cで燃焼を安定させることができるので、エンジン振動を少なくして乗り心地性(ドライバビリティ)を向上することができる。また、アイドリング運転領域及び軽負荷両機での運転時の排気ガス量を低減できる。
また、この着火性の向上により、失火が減少する上に、良好な燃料と発熱量の確保により、エンジン10が低温となっている始動時でもシリンダ内温度を迅速に昇温できるので、始動性がよくなり、また、始動後においても、シリンダ内温度を迅速に昇温できるので、スムーズな加速ができるようになる。更に、自着火用燃料Fには煤の発生源となる成分が含まれないのでPMの排出量も大幅に減少する。
また、排気導入機構の作動中において、吸気通路12に設けられた吸気シャッタ17による吸気絞り制御と、排気通路13に設けられた排気シャッタ42による排気絞り制御を併用すると、より効率良く排気ガスGをシリンダ70内に逆流させることができ、よりシリンダ内温度を上昇でき、より燃焼効率を高めることができる。
本発明の天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法によれば、自着火用燃料と主たる燃料としての天然ガスを使用する天然ガスエンジンにおいて、極寒地でのエンジン始動時や低負荷運転時においても、煤を発生することなく、自着火用燃料としての自着火用燃料を効率よく使用して、確実且つ安定して天然ガスを着火できて、自着火用燃料と天然ガスと少ない量の吸入空気で高効率な燃焼を行って、天然ガスを混入しても十分に燃焼させることができ、また、アイドリング時や低負荷運転時でも、自着火用燃料で天然ガスを燃焼させることができる。
そして、これにより、エンジン出力のために必要とされる熱量の殆どをCO2排出係数が少ない天然ガスの燃焼で賄って、CO2排出量を大幅に低減できて地球温暖化防止を図ることができる。
従って、車両に搭載するような多くの天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法として利用できる。
10 天然ガスエンジン
11 エンジン本体
12 吸気通路(吸気系通路)
13 排気通路(排気系通路)
17 吸気シャッタ(吸気スロットル)
18 排気ガス浄化装置(後処理装置)
18d 小型の連続再生式DPF
19 EGRクーラー
20 EGR弁
30 天然ガス供給システム
31 天然ガスタンク(CNGタンク)
35 CNG噴射インジェクタ(主燃料噴射装置)
41 λセンサ(空気過剰率センサ)
42 排気シャッタ(排気絞り弁)
43 排気流路切替弁
51 制御装置(ECU)
61 シリンダヘッド
62 点火プラグ
63 ピストン
63a 遮熱部材
64 キャビテイ
65 吸気系通路
67 排気系通路
68 排気バルブ
69 液体燃料インジェクタ(自着火用燃料噴射装置)
70 シリンダ
A 吸入空気
C 天然ガス
F 自着火用燃料
G 排気ガス
Ge EGRガス
λ 空気過剰率

Claims (4)

  1. シリンダ内にピストンを備え、シリンダ内における前記ピストンよりも上方側の領域であり且つシリンダ内における前記ピストンとシリンダヘッドとの間の領域に、燃料が燃焼する燃焼室が設けられ、燃料として、天然ガスと該天然ガスとは別の自着火用燃料を使用し、この自着火用燃料のシリンダ内における圧縮着火により前記天然ガスを燃焼させる天然ガスエンジンにおいて、
    前記天然ガスを噴射するガス噴射用の主燃料噴射装置と前記自着火用燃料を噴射する液体噴射用の自着火用燃料噴射装置を備えると共に、前記ピストンのみに対して遮熱材料を用いて、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているか、または、該ピストンを前記遮熱材料で形成しており、
    該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているとは、前記ピストンにキャビテイがない場合は、前記ピストンを上から見たときの面積で前記ピストンの面積の70%以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、前記ピストンにキャビテイがある場合には、前記キャビテイの底面積以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、
    シリンダ内に噴射する前記自着火用燃料の量を、エンジン始動時及びエンジン始動時以外のエンジン運転状態であるエンジンの全運転領域で、アイドル運転で必要とされる発熱量に対する前記自着火用燃料の量よりも少ない一定量にして、エンジン出力の増減は、前記天然ガスの量の増減で行うように構成されていることを特徴とする天然ガスエンジン。
  2. 吸気行程中のシリンダ内に排気ガスを導入する排気導入機構を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の天然ガスエンジン。
  3. 前記排気導入機構の作動を行う運転状態において、吸気系通路に設けられた吸気シャッタによる吸気絞り制御、若しくは、排気系通路に設けられた排気シャッタによる排気絞り制御の一方、又は、前記吸気絞り制御及び前記排気絞り制御の両方を行うように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の天然ガスエンジン。
  4. シリンダ内にピストンを備え、シリンダ内における前記ピストンよりも上方側の領域であり且つシリンダ内における前記ピストンとシリンダヘッドとの間の領域に、燃料が燃焼
    する燃焼室が設けられ、燃料として、天然ガスと該天然ガスとは別の自着火用燃料を使用し、前記天然ガスを噴射するガス噴射用の主燃料噴射装置と前記自着火用燃料を噴射する液体噴射用の自着火用燃料噴射装置を備えて、この自着火用燃料のシリンダ内における圧縮着火により前記天然ガスを燃焼させる天然ガスエンジンの遮熱方法において、
    前記ピストンのみに対して遮熱材料を用いて、該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているか、または、該ピストンを前記遮熱材料で形成しており、
    該ピストンの少なくとも前記燃焼室の一部又は前記燃焼室の全部を前記遮熱材料で覆っているとは、前記ピストンにキャビテイがない場合は、前記ピストンを上から見たときの面積で前記ピストンの面積の70%以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、前記ピストンにキャビテイがある場合には、前記キャビテイの底面積以上を前記遮熱材料で覆うことを意味し、
    シリンダ内に噴射する前記自着火用燃料の量を、エンジン始動時及びエンジン始動時以外のエンジン運転状態であるエンジンの全運転領域で、アイドル運転で必要とされる発熱量に対する前記自着火用燃料の量よりも少ない一定量にして、エンジン出力の増減は、前記天然ガスの量の増減で行うことを特徴とする天然ガスエンジンの遮熱方法。
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