JP5900132B2 - 複合燃料内燃機関 - Google Patents

複合燃料内燃機関 Download PDF

Info

Publication number
JP5900132B2
JP5900132B2 JP2012102174A JP2012102174A JP5900132B2 JP 5900132 B2 JP5900132 B2 JP 5900132B2 JP 2012102174 A JP2012102174 A JP 2012102174A JP 2012102174 A JP2012102174 A JP 2012102174A JP 5900132 B2 JP5900132 B2 JP 5900132B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intake air
intake
passage
exhaust
engine body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012102174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013231357A (ja
Inventor
直規 栗本
直規 栗本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2012102174A priority Critical patent/JP5900132B2/ja
Publication of JP2013231357A publication Critical patent/JP2013231357A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5900132B2 publication Critical patent/JP5900132B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/30Use of alternative fuels, e.g. biofuels

Landscapes

  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

本発明は、二種類の燃料を用いる複合燃料内燃機関に関する。
性質の異なる燃料を用いて高い熱効率を得る内燃機関として複合燃料内燃機関が知られている。このような複合燃料内燃機関は、例えば燃料として天然ガスと軽油とを利用している。この場合、吸気に天然ガスを添加して混合気を生成し、軽油は燃焼室に吸入された混合気に直接噴射される。これにより、予混合された天然ガスは、自己着火した軽油を火種として燃焼する。
このような複合燃料内燃機関の場合、比較的負荷の小さな領域では、吸気に混合される天然ガスの量が減少する。そのため、天然ガスを燃料とする混合気は希薄となり、安定的な燃焼が確保できず、未燃焼の炭化水素の排出を招く。一方、スロットルなどにより燃焼室へ吸入される吸気の量を減少させ、燃焼室における当量比を安定的な燃焼が確保できる範囲に設定すると、圧縮行程において十分な高温かつ高圧環境に到達しない。その結果、直接噴射する軽油が着火しにくくなり、燃焼室における安定的な燃焼の確保が困難になる。そこで、特許文献1は、個々の燃焼室における当量比を一定に維持したまま、燃料が燃焼する気筒を間引くことを開示している。すなわち、特許文献1は、燃料が燃焼する気筒数や燃焼をスキップする回数を調整することにより、内燃機関の負荷を変化させている。
しかしながら、特許文献1は、負荷の変動が小さな据え置き型の産業用内燃機関を対象としている。このような産業用内燃機関は、車両用内燃機関のように出力を連続的に変化させることが考慮されていない。また、車両用内燃機関は、産業用内燃機関と比較して気筒数が少なく、気筒数の間引きや燃焼のスキップによる振動の影響を受けやすいという問題がある。
特開2009−144627号公報
そこで、本発明の目的は、吸気に混合される燃料の量が少ない負荷の小さな領域でも安定的な燃焼を確保し、振動が生じにくく、連続的に負荷が変更される複合燃料内燃機関を提供することにある。
請求項1記載の発明では、吸気加熱手段は、吸気通路を経由して燃焼室へ吸入する吸気を加熱する。具体的には、吸気加熱手段は、駆動手段によって吸気へ天然ガスを供給すると判断されたとき、負荷判断手段で機関本体が特定負荷領域にあると判断されると、吸気を加熱する。すなわち、吸気加熱手段は、吸気における天然ガスの当量比が天然ガスの燃焼に十分な可燃限界以上であって、かつ機関本体の負荷が予め設定された特定負荷領域にあるとき、燃焼室へ吸入される吸気を加熱する。この特定負荷領域とは、上述のように天然ガスの当量比が可燃限界未満となる低負荷領域と、燃焼室に吸入される吸気の量および天然ガスの量が十分に多く圧縮行程で軽油の着火に十分な高温かつ高圧に到達する高負荷領域との間となる負荷領域である。このような特定負荷領域では、吸気への天然ガスの供給量が減少し、燃焼室に流入する混合気が希薄になる。
そこで、請求項1記載の発明では、吸気加熱手段は、吸気通路を経由して燃焼室へ吸入される吸気を加熱する。吸気を加熱することにより、吸気は物質量すなわちモル数が維持されたまま体積が増大する。そのため、燃焼室へ吸入される加熱された吸気は、体積が同一であれば加熱しない吸気に比較して質量が減少する。その結果、吸気に対する天然ガスの供給量が同一であれば、加熱した吸気における天然ガスの当量比は加熱しない吸気に比較して大きくなる。これにより、燃焼室に吸入される混合気における天然ガスの当量比は、天然ガスの燃焼に十分な程度まで上昇する。つまり、吸気加熱手段で吸気を加熱することにより、気筒数の間引きや燃焼のスキップなどを実施しなくても、天然ガスの安定的な燃焼を確保可能な領域はより負荷の小さな領域まで拡大される。したがって、振動の発生を低減しつつ、吸気に混合される天然ガスの量が少ない負荷の小さな領域でも安定的な燃焼を確保することができ、連続的な負荷の変更に対応することができる。
第1実施形態による複合燃料内燃機関の構成を示す模式図 第1実施形態による複合燃料内燃機関の構成を示すブロック図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、負荷領域の判断の流れを示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、低負荷領域における処理の流れを示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、低負荷領域における吸気および排気の流れを示す模式図 第1実施形態による複合燃料において、低負荷領域における各部の作動の時期を示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、高負荷領域における処理の流れを示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、高負荷領域における吸気および排気の流れを示す模式図 第1実施形態による複合燃料において、高負荷領域における各部の作動の時期を示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、特定負荷領域における処理の流れを示す概略図 第1実施形態による複合燃料内燃機関において、特定負荷領域における吸気および排気の流れを示す模式図 特定負荷領域にあるとき、吸気の加熱前および加熱後における第一燃料の当量比を説明するための図 第1実施形態による複合燃料において、特定負荷領域における各部の作動の時期を示す概略図 第2実施形態による複合燃料内燃機関の図1に相当する図 その他の実施形態による複合燃料内燃機関の図1に相当する図
以下、複合燃料内燃機関の複数の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、複数の実施形態において実質的に共通する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態による複合燃料内燃機関(以下、「エンジンシステム」という。)を図1に示す。エンジンシステム10は、機関本体11、吸気系12、排気系13、第一燃料噴射手段としての第一インジェクタ14、第二燃料噴射手段としての第二インジェクタ15、排気浄化部16、過給器17および吸気加熱部18を備えている。機関本体11は、複数の燃焼室19を形成している。具体的には、機関本体11は、図示しないシリンダブロック、シリンダヘッドおよびピストンの間に燃焼室19を形成している。本実施形態の場合、機関本体11は、ディーゼルサイクルにしたがって作動するエンジンである。なお、機関本体11は、ディーゼルサイクルに限らず、オットーサイクルで作動するものであってもよい。
吸気系12は、吸気通路21を有している。吸気通路21は、一方の端部が大気に開放し、他方の端部が機関本体11の燃焼室19に接続している。吸気通路21と燃焼室19との間は、図示しない吸気バルブによって開閉される。排気系13は、排気通路22を有している。排気通路22は、一方の端部が大気に開放し、他方の端部が機関本体11の燃焼室19に接続している。燃焼室19と排気通路22との間は、図示しない排気バルブによって開閉される。
第一インジェクタ14は、吸気通路21に設けられている。第一インジェクタ14は、吸気通路21を流れる吸気に第一燃料を供給する。第一燃料は、例えば圧縮天然ガス(CNG)や液化天然ガス(LNG)である。この第一燃料は、燃焼室19において自ら着火しない。第一インジェクタ14は、第一燃料を噴射する先端が吸気通路21に露出している。これにより、第一燃料は、第一インジェクタ14から吸気通路21を流れる吸気に混合される。第一燃料が予め混合された吸気は、空気と第一燃料とが混合した混合気として燃焼室19へ吸入される。第二インジェクタ15は、機関本体11の燃焼室19にそれぞれ設けられている。第二インジェクタ15は、燃焼室19に吸入された吸気に第二燃料を供給する。第二燃料は、例えば軽油、重油あるいはアルコールなどである。この第二燃料は、燃焼室19に噴射されることにより自ら着火する。第二インジェクタ15は、機関本体11の図示しないシリンダヘッドを貫いて先端が燃焼室19に露出している。第二燃料は、機関本体11の圧縮行程において燃焼室19で加圧された混合気に第二インジェクタ15から直接噴射される。加圧された混合気に噴射された第二燃料は、高温かつ高圧の環境において自ら着火して燃焼する。混合気に含まれている第一燃料は、この燃焼する第二燃料を火種として燃焼する。
排気浄化部16は、排気系13に設けられ、排気を浄化する。排気浄化部16は、酸化触媒23を有している。酸化触媒23は、排気通路22に設けられている。酸化触媒23は、排気に含まれる未燃焼の炭化水素などの酸化を促す。排気浄化部16は、酸化触媒23に限らず、還元触媒および各種フィルタを有していてもよい。還元触媒は、例えば排気に含まれるNOxなどを還元する。フィルタは、例えばDPF(Diesel Particulate Filter)などであり、排気に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)などを捕集する。
過給器17は、吸気系12と排気系13との間に設けられている。過給器17は、図示しないタービン、コンプレッサおよびシャフトを有している。タービンは、排気通路22に設けられ、排気通路22を流れる排気によって回転する。コンプレッサは、吸気通路21に設けられ、シャフトを経由してタービンともに回転する。これにより、吸気通路21を流れる吸気は、コンプレッサの回転によって加圧される。また、吸気通路21には、インタークーラ24が設けられている。インタークーラ24は、コンプレッサによる加圧によって温度が上昇した吸気を冷却する。
吸気加熱部18は、熱交換器25を有している。熱交換器25は、吸気系12と排気系13との間に設けられている。熱交換器25は、排気通路22を流れる排気と吸気通路21を流れる吸気との間で熱交換する。熱交換器25は、排気の流れ方向において排気浄化部16の酸化触媒23よりも下流側に設けられている。すなわち、吸気通路21を流れる吸気は、熱交換器25において排気通路22を流れる排気によって加熱される。また、第1実施形態の場合、吸気加熱部18は、熱交換器25に加え加熱ヒータ26を有している。加熱ヒータ26は、機関本体11の近傍の吸気通路21に設けられている。加熱ヒータ26は、通電によって発熱する。これにより、吸気通路21を経由して機関本体11に吸入される吸気は、熱交換器25だけでなく、加熱ヒータ26によっても加熱される。
吸気系12は、熱交換器25を迂回する吸気バイパス通路31を有している。吸気バイパス通路31は、吸気通路21における吸気の流れ方向において熱交換器25の上流側で吸気通路21から分岐し、熱交換器25の下流側で吸気通路21に合流している。同様に、排気系13は、熱交換器25を迂回する排気バイパス通路32を有している。排気バイパス通路32は、排気通路22における排気の流れ方向において熱交換器25の上流側で排気通路22から分岐し、熱交換器25の下流側で排気通路22に合流している。
また、吸気系12は、過給器17を迂回する吸気過給器バイパス通路33を有している。吸気過給器バイパス通路33は、吸気通路21における吸気の流れ方向において過給器17の上流側で吸気通路21から分岐し、過給器17の下流側で吸気通路21に合流している。吸気過給器バイパス通路33は、吸気の流れ方向においてインタークーラ24の下流側であって、加熱ヒータ26の上流側で吸気通路21に合流している。同様に、排気系13は、過給器17を迂回する排気過給器バイパス通路34を有している。排気過給器バイパス通路34は、排気通路22における排気の流れ方向において過給器17の上流側で排気通路22から分岐し、過給器17の下流側で排気通路22に合流している。排気過給器バイパス通路34は、排気の流れ方向において酸化触媒23よりも上流側で排気通路22に合流している。
エンジンシステム10は、上記に加え排気循環部36を備えている。排気循環部36は、循環通路37を有している。循環通路37は、排気通路22と吸気通路21とを接続している。これにより、排気通路22を流れる排気の一部は、循環通路37を経由して吸気通路21へ戻される。排気循環部36は、特許請求の範囲の排気混合手段に相当する。また、エンジンシステム10は、上記に加え、第一開閉弁41、第二開閉弁42、第三開閉弁43、第四開閉弁44、第五開閉弁45、第六開閉弁46および第七開閉弁47を有している。
第一開閉弁41は、吸気バイパス通路31を開閉する。第二開閉弁42は、吸気通路21における吸気の流れ方向おいて熱交換器25の上流側を開閉する。これにより、吸気が熱交換器25を経由するか否かは、第一開閉弁41および第二開閉弁42の開閉によって制御される。第一開閉弁41は、特許請求の範囲の吸気バイパス開閉手段に相当する。第三開閉弁43は、吸気過給器バイパス通路33を開閉する。吸気は、第三開閉弁43が吸気過給器バイパス通路33を開放しているとき過給器17を迂回して機関本体11へ供給され、第三開閉弁43が吸気過給器バイパス通路33を閉鎖しているとき過給器17を経由して機関本体11へ供給される。この第三開閉弁43は、特許請求の範囲の開閉手段に相当する。第四開閉弁44は、排気過給器バイパス通路34を開閉する。排気は、第四開閉弁44が排気過給器バイパス通路34を開放しているとき過給器17を迂回して機関本体11から排出され、第四開閉弁44が排気過給器バイパス通路34を閉鎖しているとき過給器17を経由して機関本体11から排出される。
第五開閉弁45は、排気循環部36の循環通路37を開閉する。第五開閉弁45が循環通路37を開閉することにより、排気通路22から吸気通路21へ戻される排気の流量が制御される。第六開閉弁46は、排気バイパス通路32を開閉する。第七開閉弁47は、排気通路22における排気の流れ方向において熱交換器25の下流側を開閉する。これにより、排気が熱交換器25を経由するか否かは、第六開閉弁46および第七開閉弁47の開閉によって制御される。第六開閉弁46は、特許請求の範囲の排気バイパス開閉手段に相当する。
エンジンシステム10は、上記の構成に加え、図2に示すように制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータで構成されており、エンジンシステム10の全体を制御する。制御装置50は、コンピュータプログラムを実行することにより、噴射量設定部51、可燃限界判断部52、第一インジェクタ駆動部53、第二インジェクタ駆動部54および負荷領域判断部55をソフトウェア的に実現している。なお、これら噴射量設定部51、可燃限界判断部52、第一インジェクタ駆動部53、第二インジェクタ駆動部54および負荷領域判断部55は、ハードウェア的に実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現してもよい。第一インジェクタ駆動部53は、特許請求の範囲の駆動手段に相当する。
制御装置50は、圧力センサ61、温度センサ62、マスフローセンサ63、A/Fセンサ64、回転数センサ65およびアクセル開度センサ66と電気的に接続している。圧力センサ61、温度センサ62およびマスフローセンサ63は、図1に示すように吸気通路21に設けられている。A/Fセンサ64は、図1に示すように排気通路22に設けられている。回転数センサ65は、図1に示すように機関本体11に設けられている。アクセル開度センサ66は、機関本体11から離れた図示しないアクセルペダルの近傍に設けられている。圧力センサ61は、吸気通路21を流れる吸気の圧力を検出し、検出した圧力を電気信号として制御装置50へ出力する。温度センサ62は、吸気通路21を流れる吸気の温度を検出し、検出した温度を電気信号として制御装置50へ出力する。マスフローセンサ63は、吸気通路21から機関本体11へ吸入される吸入空気の量を検出し、検出した吸入空気の量を電気信号として制御装置50へ出力する。A/Fセンサ64は、排気通路22を流れる排気に含まれる酸素の濃度を検出し、検出した酸素の濃度を電気信号として制御装置50へ出力する。回転数センサ65は、機関本体11の回転数を検出し、検出した回転数を電気信号として制御装置50へ出力する。アクセル開度センサ66は、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出し、検出した踏み込み量を電気信号として制御装置50へ出力する。
噴射量設定部51は、回転数センサ65およびアクセル開度センサ66で取得した機関本体11の運転状態に基づいて、第一燃料および第二燃料の噴射量を設定する。可燃限界判断部52は、吸気通路21を流れる吸気に対する第一燃料の当量比が燃焼室19における第一燃料の燃焼に十分な可燃限界以上であるか否かを判断する。吸気に対する第一燃料の当量比が可燃限界未満のとき、燃焼室19に吸入された吸気に含まれる第一燃料が過小となり、安定した燃焼が確保できない。特に、機関本体11の負荷が小さいとき、吸気に対する第一燃料の当量比は小さくなる。そこで、可燃限界判断部52は、第一インジェクタ14から吸気に供給する第一燃料の当量比が可燃限界以上であるか否かを判断する。この場合、可燃限界判断部52は、圧力センサ61、温度センサ62およびマスフローセンサ63で検出した各種の値から燃焼室19へ吸入される吸気の総量を検出する。そして、可燃限界判断部52は、噴射量設定部51で設定された第一燃料の噴射量から第一燃料の当量比を算出し、算出した当量比が可燃限界以上であるか否かを判断する。
第一インジェクタ駆動部53は、第一インジェクタ14と電気的に接続している。第一インジェクタ駆動部53は、噴射量設定部51で設定された第一燃料の噴射量に基づいて第一インジェクタ14を駆動する。第二インジェクタ駆動部54は、第二インジェクタ15と電気的に接続している。第二インジェクタ駆動部54は、噴射量設定部51で設定された第二燃料の噴射量に基づいて第二インジェクタ15を駆動する。これにより、第二インジェクタ15は、圧縮行程の後期または燃焼行程の初期において予め設定された噴射時期に、燃焼室19へ吸入された吸気へ第二燃料を噴射する。
負荷領域判断部55は、機関本体11の負荷が予め設定された特定負荷領域にあるか否かを判断する。負荷領域判断部55は、回転数センサ65およびアクセル開度センサ66から機関本体11の負荷を取得する。そして、負荷領域判断部55は、取得した機関本体11の負荷が特定負荷領域にあるか否かを判断する。機関本体11の負荷は、低負荷領域、高負荷領域、またはこれら低負荷領域と高負荷領域との間の負荷領域となる特定負荷領域とのいずれかに分類される。このとき、低負荷領域は、例えばアイドリングのように極めて負荷が小さく、第一燃料の当量比が可燃限界未満となる領域である。一方、高負荷領域は、アクセルペダルの開度が大きく、燃焼室19に吸入される吸気の量および供給される第一燃料の量が十分に多く、燃焼室19に吸入された吸気が圧縮行程において第二燃料の自己着火に十分な高温かつ高圧の状態に到達する領域である。特定負荷領域は、機関本体11の負荷がこれら低負荷領域または高負荷領域のいずれにも該当しない領域である。そこで、負荷領域判断部55は、取得した機関本体11の負荷から、低負荷領域、高負荷領域または特定負荷領域のいずれの領域にあるかを判断する。一例として、排気量が2リットル程度の機関本体11の場合、IMEPが0.6〜1.0、第一燃料の当量比が0.3〜0.5程度であれば、特定負荷領域と判断される。したがって、この例の場合、IMEPが0.6未満、あるいは第一燃料の当量比が0.3未満であるとき低負荷領域となり、IMEPが1.0より大きい、あるいは第一燃料の当量比が0.5より大きいとき高負荷領域と判断される。なお、これらの数字は、あくまでも一例であり、機関本体11の排気量などの仕様によって設定される。
制御装置50は、図1に示す加熱ヒータ26、第一開閉弁41、第二開閉弁42、第三開閉弁43、第四開閉弁44、第五開閉弁45、第六開閉弁46および第七開閉弁47とそれぞれ接続している。制御装置50は、負荷領域判断部55で判断した機関本体11の負荷領域に応じて、これら加熱ヒータ26の電源のオンまたはオフ、第一開閉弁41、第二開閉弁42、第三開閉弁43、第四開閉弁44、第五開閉弁45、第六開閉弁46および第七開閉弁47の開閉を制御する。
次に、上記の構成によるエンジンシステム10の制御の流れを図3に基づいて説明する。
制御装置50は、エンジンシステム10が運転されているとき、機関本体11の運転状態を取得する(S101)。具体的には、制御装置50は、回転数センサ65から機関本体11の回転数を取得するとともに、アクセル開度センサ66からアクセルペダルの開度を取得する。噴射量設定部51は、S101において回転数およびアクセルペダルの開度が取得されると、第一燃料および第二燃料の噴射量を設定する(S102)。第一燃料の噴射量および第二燃料の噴射量は、例えば機関本体11の回転数およびアクセルペダルの開度に基づくマップとして予め設定されている。したがって、噴射量設定部51は、取得された回転数およびアクセルペダルの開度、並びに予め設定されたマップに基づいて、第一燃料の噴射量および第二燃料の噴射量を設定する。
制御装置50は、さらに吸気通路21を流れる吸気の状態を取得する(S103)。すなわち、制御装置50は、圧力センサ61から吸気通路21を流れる吸気の圧力を取得する。同様に、制御装置50は、温度センサ62から吸気通路21を流れる吸気の温度を取得し、マスフローセンサ63から吸気通路21から機関本体11へ吸入される吸気の量を取得する。可燃限界判断部52は、S103において取得した吸気の状態に基づいて、吸気通路21を流れる吸気における第一燃料の当量比φを算出する(S104)。すなわち、可燃限界判断部52は、S103で取得した吸気の状態に基づいて、吸気通路21から機関本体11の燃焼室19へ吸入される吸気つまり空気の総量を取得する。そして、可燃限界判断部52は、S102で設定した第一燃料の噴射量から、燃焼室19に吸入される空気の総量に対する第一燃料の噴射量を第一燃料の当量比φとして算出する。
可燃限界判断部52は、S104で算出した当量比φが予め設定された可燃限界F1未満であるか否かを判断する(S105)。可燃限界判断部52は、算出した当量比φが可燃限界F1未満と判断すると(S105:Yes)、機関本体11が低負荷領域にあると判断する(S106)。当量比φが可燃限界F1未満であるとき、第一燃料は、吸気へ混合される量が過小となり、燃焼室19において燃焼が不十分となる。したがって、可燃限界判断部52は、当量比φが可燃限界F1未満であるとき、機関本体11が低負荷領域にあると判断する。
一方、可燃限界判断部52は、当量比φが可燃限界F1以上であると判断すると(S105:No)、当量比φが可燃限界F1以上であって、設定当量比F2以下であるか、つまりF1≦φ≦F2であるか否かを判断する(S107)。可燃限界判断部52は、当量比φがF1≦φ≦F2でないと判断すると(S107:No)、機関本体11が高負荷領域にあると判断する(S108)。当量比φが設定当量比F2より大きいとき、アクセルペダルの開度が十分に大きく、燃焼室19に吸入される吸気の量および吸気へ供給される第一燃料の量は十分に多くなる。そのため、燃焼室19は、圧縮行程において第二燃料の自己着火に十分な高温高圧に到達する。したがって、可燃限界判断部52は、当量比φが設定当量比F2より大きいとき、機関本体11が高負荷領域にあると判断する。
これに対し、可燃限界判断部52は、当量比φがF1≦φ≦F2であると判断すると(S107:Yes)、機関本体11が低負荷領域または高負荷領域のいずれでもない特定負荷領域にあると判断する(S109)。すなわち、可燃限界判断部52は、当量比φに基づいて、機関本体11が低負荷領域または高負荷領域のいずれかにあるか否かを判断し、これらのいずれにもない場合に機関本体11が特定負荷領域にあると判断する。上述のように、排気量が2リットル程度の機関本体11を想定した場合、第一燃料の当量比φを基準とすると、可燃限界F1は0.3程度となる。また、設定当量比F2は、0.5程度となる。したがって、この例の場合、可燃限界判断部52は、S104で算出した当量比φが0.3未満であると機関本体11が低負荷領域にあると判断し、当量比φが0.5より大きいと機関本体11が高負荷領域にあると判断し、当量比φが0.3≦φ≦0.5であると機関本体11が特定負荷領域にあると判断する。
次に、上記の手順で判断された機関本体11の負荷領域ごとに、エンジンシステム10の制御の流れについて詳細に説明する。
(低負荷領域)
機関本体11が低負荷領域にあると判断されたときのエンジンシステム10の制御の流れを、図4に基づいて説明する。
制御装置50は、図3に示すS106において機関本体11が低負荷領域にあると判断されると、第一開閉弁41により吸気バイパス通路31を開放する(S201)。そして、制御装置50は、第二開閉弁42で熱交換器25へ至る吸気通路21を閉鎖する(S202)。さらに、制御装置50は、第三開閉弁43で吸気過給器バイパス通路33を開放し(S203)、第六開閉弁46で排気バイパス通路32を開放する(S204)。これにより、図5に示すように大気から導入された吸気は、熱交換器25へ迂回して吸気バイパス通路31を流れる。そして、吸気バイパス通路31を経由した吸気は、過給器17およびインタークーラ24を迂回する吸気過給器バイパス通路33を経由して機関本体11へ流入する。
制御装置50は、これら第一開閉弁41、第二開閉弁42、第三開閉弁43および第六開閉弁46を開放または閉鎖すると、第四開閉弁44、第五開閉弁45および第七開閉弁47の開度を設定する(S205)。そして、制御装置50は、設定した開度に基づいて、第四開閉弁44、第五開閉弁45および第七開閉弁47の開度を調整する(S206)。すなわち、制御装置50は、第四開閉弁44による排気過給器バイパス通路34の開度、第五開閉弁45による循環通路37の開度、および第七開閉弁47による排気通路22の開度を設定する。機関本体11が低負荷領域にあるとき、酸化触媒23を活性温度を維持するために排気の温度を維持したり、吸気へ戻す排気の流量を調整することにより、機関本体11の運転状態を最適化することができる。そこで、制御装置50は、第四開閉弁44、第五開閉弁45および第七開閉弁47の開度を調整することにより、図5に示すように排気の流れを制御する。その結果、機関本体11は、低負荷領域において、より最適な運転状態へ制御される。制御装置50は、S206の処理が完了すると、図3に示す処理へリターンする。
このように、機関本体11が低負荷領域にあるとき、第一インジェクタ14は図6に示すように第一燃料を吸気へ供給しない。機関本体11が低負荷領域にあるとき、第一インジェクタ14から第一燃料を噴射しても、吸気の当量比φは可燃限界F1未満となる。したがって、制御装置50は、吸気通路21を流れる吸気へ第一燃料を供給しない。そのため、機関本体11は、低負荷領域にあるとき、第二インジェクタ15から噴射される第二燃料によって運転される。
(高負荷領域)
機関本体11が高負荷領域にあると判断されたときのエンジンシステム10の制御の流れを、図7に基づいて説明する。
制御装置50は、図3に示すS108において機関本体11が高負荷領域にあると判断されると、当量比φの目標となる目標当量比φdを設定する(S301)。この目標当量比φdは、図3に示すS101で取得した機関本体11の運転状態、およびS102で設定した第一燃料の燃料噴射量に基づいて設定される。機関本体11は高負荷領域にあるため、目標当量比φdは設定当量比F2より大きい。
制御装置50は、目標当量比φdを設定すると、第一開閉弁41により吸気バイパス通路31を開放する(S302)。そして、制御装置50は、第二開閉弁42で熱交換器25へ至る吸気通路21を閉鎖する(S303)。さらに、制御装置50は、第三開閉弁43で吸気過給器バイパス通路33を閉鎖し(S304)、第六開閉弁46で排気バイパス通路32を開放する(S305)。これにより、図8に示すように大気から導入された吸気は、熱交換器25を迂回して吸気バイパス通路31を流れる。そして、吸気バイパス通路31を経由した吸気は、過給器17で加圧された後、インタークーラ24で冷却され、機関本体11へ流入する。機関本体11が高負荷領域にあるとき、燃焼室19には多量の吸気が吸入される。そのため、吸気は、過給器17で加圧され、インタークーラ24で冷却されることにより、密度を高めた状態で機関本体11へ供給される。
制御装置50は、これら第一開閉弁41、第二開閉弁42、第三開閉弁43および第六開閉弁46を開放または閉鎖すると、第四開閉弁44、第五開閉弁45および第七開閉弁47の開度を設定する(S306)。そして、制御装置50は、設定した開度に基づいて、第四開閉弁44、第五開閉弁45および第七開閉弁47の開度を調整する(S307)。すなわち、制御装置50は、第四開閉弁44による排気過給器バイパス通路34の開度、第五開閉弁45による循環通路37の開度、および第七開閉弁47による排気通路22の開度を設定する。第四開閉弁44で排気過給器バイパス通路34の開度を調整することにより、過給器17による吸気の過給能力が調整される。また、第五開閉弁45で循環通路37の開度を調整し、第七開閉弁47で排気通路22の開度を調整することにより、吸気へ戻す排気の流量が調整される。特に、高負荷時において吸気へ戻す排気の流量を増加させることにより、燃焼室19における燃焼温度が低下し、NOxの低減が図られる。
制御装置50は、これら各開閉弁の開度の調整とともに、圧力センサ61、温度センサ62およびマスフローセンサ63からそれぞれ検出値を取得する(S308)。制御装置50は、S308で取得した各検出値、およびS102で設定した第一燃料の噴射量に基づいて、機関本体11に吸入される吸気における第一燃料の実際の当量比を実当量比φrとして算出する(S309)。そして、S309で算出した実当量比φrがS301で算出した目標当量比φdに達しているか否かを判断する(S310)。この場合、実当量比φrと目標当量比φdとは、完全に一致する必要はない。すなわち、実当量比φrは、目標当量比φdを中心とする予め設定した範囲内にある場合も、目標当量比φdに達していると判断してもよい。制御装置50は、実当量比φrが目標当量比φdに達していると判断すると(S310:Yes)、図3に示す処理へリターンする。一方、制御装置50は、実当量比φrが目標当量比φdに達していないと判断すると(S310:No)、S306にリターンし、S306以降の処理を繰り返す。これにより、機関本体11から排出された排気の流れが調整され、実当量比φrが調整される。
このように、機関本体11が高負荷領域にあるとき、第一インジェクタ14は図9に示すように第一燃料を吸気に供給する。すなわち、機関本体11が高負荷領域にあるとき、機関本体11の燃焼室19には十分な量の吸気が吸入され、かつ第一インジェクタ14から供給される第一燃料の量も十分に増加する。そのため、高負荷領域にあるとき、吸気の当量比φは設定当量比F2より大きくなる。したがって、高負荷領域にあるとき、制御装置50は、吸気通路21を流れる吸気へ第一燃料を供給する。また、高負荷領域にあるとき、機関本体11の燃焼室19に吸入される吸気は十分な量に達する。そのため、機関本体11の圧縮行程において、燃焼室19の吸気は十分な高温および高圧状態に達する。これにより、第二インジェクタ15から高温かつ高圧の燃焼室19の混合気に供給された第二燃料は、自己着火して燃焼する。そして、混合気に含まれる第一燃料は、自己着火する第二燃料を火種として燃焼する。その結果、高負荷領域にあるとき、機関本体11は、第一燃料および第二燃料によって運転される。
(特定負荷領域)
機関本体11が特定負荷領域にあると判断されたときのエンジンシステム10の制御の流れを、図10に基づいて説明する。
制御装置50は、図3に示すS109において機関本体11が特定負荷領域にあると判断されると、当量比φの目標となる目標当量比φdを設定する(S401)。目標当量比φdは、上述の高負荷領域と同様に機関本体11の運転状態、および第一燃料の燃料噴射量に基づいて設定される。機関本体11は、特定負荷領域にあるため、目標当量比φdは可燃限界F1と設定当量比F2との間、すなわちF1≦φd≦F2である。
制御装置50は、目標当量比φdを設定すると、第三開閉弁43を開放する(S402)。これにより、第三開閉弁43は、吸気過給器バイパス通路33を開放する。そのため、吸気は、過給器17およびインタークーラ24を迂回して機関本体11へ吸入される。制御装置50は、第三開閉弁43で吸気過給器バイパス通路33を開放すると、第一開閉弁41、第二開閉弁42、第四開閉弁44、第五開閉弁45、第六開閉弁46および第七開閉弁47の開度を設定する(S403)。そして、制御装置50は、設定した開度に基づいて、第一開閉弁41、第二開閉弁42、第四開閉弁44、第五開閉弁45、第六開閉弁46および第七開閉弁47の開度を調整する(S404)。すなわち、制御装置50は、第一開閉弁41および第二開閉弁42の開度を調整することにより、図11に示すように大気から導入された吸気の少なくとも一部を熱交換器25へ導入する。また、制御装置50は、第六開閉弁46および第七開閉弁47の開度を調整することにより、機関本体11から排出された排気の少なくとも一部を熱交換器25へ導入する。このように、吸気の少なくとも一部を熱交換器25へ導入するとともに、排気の少なくとも一部を熱交換器25へ導入することにより、大気から導入された吸気は熱交換器25において排気によって加熱される。すなわち、大気から導入された吸気と機関本体11から排出される排気とは、熱交換器25によって熱交換される。さらに、制御装置50は、第四開閉弁44による排気過給器バイパス通路34の開度、および第五開閉弁45による循環通路37の開度を調整する。
制御装置50は、これら各開閉弁の開度の調整とともに、圧力センサ61、温度センサ62およびマスフローセンサ63からそれぞれの検出値を取得する(S405)。制御装置50は、S405で取得した各検出値、およびS102で設定した第一燃料の噴射量に基づいて、機関本体11に吸入される吸気における第一燃料の実際の当量比を実当量比φrとして算出する(S406)。そして、S406で算出した実当量比φrがS401で算出した目標当量比φdに達しているか否かを判断する(S407)。この場合、高負荷領域での説明と同様に、実当量比φrと目標当量比φdとは、完全に一致する必要はない。制御装置50は、実当量比φrが目標当量比φdに達していると判断すると(S407:Yes)、図3に示す処理へリターンする。一方、制御装置50は、実当量比φrが目標当量比φdに達していないと判断すると(S407:No)、S403にリターンし、S403以降の処理を繰り返す。これにより、機関本体11から排出された排気の流れが調整され、実当量比φrが調整される。
このように、機関本体11が特定負荷領域にあるとき、吸気は熱交換器25において加熱される。吸気を加熱することにより、吸気は物質量すなわちモル数が変化しないまま体積が増大する。そのため、燃焼室19へ吸入される加熱された吸気は、体積が同一であれば加熱しない空気に比較して質量が減少する。その結果、吸気に対する第一燃料の供給量が同一であれば、図12に示すように加熱した吸気における第一燃料の実当量比φrは加熱しない吸気に比較して大きくなる。これにより、燃焼室19に吸入される混合気における第一燃料の実当量比φrは、第一燃料の燃焼に十分な程度まで上昇する。
機関本体11が特定負荷領域にあるとき、吸気を加熱することにより、第一燃料の実当量比φrは上昇する。そのため、第一インジェクタ14は、図13に示すように第一燃料を吸気へ噴射する。すなわち、機関本体11が特定負荷領域にあるとき、機関本体11の燃焼室19に吸入される吸気の質量が減少し、第一燃料の実当量比φrが上昇する。その結果、圧縮行程において燃焼室19で圧縮された混合気に第二インジェクタ15から第二燃料を噴射すると、第二燃料は自己着火して燃焼する。そして、実当量比φrが上昇した吸気に含まれる第一燃料は、自己着火した第二燃料を火種として燃焼する。したがって、機関本体11は、第一燃料および第二燃料によって運転される。
以上説明したように、第1実施形態では、機関本体11が高負荷領域よりも負荷の小さな特定負荷領域にあるとき、吸気は熱交換器25において加熱される。吸気を加熱することにより、吸気はモル数が変化しないまま体積が増大する。そのため、燃焼室19へ吸入される加熱された吸気は、体積が同一であっても、加熱しない空気に比較して質量が減少する。その結果、吸気に対する第一燃料の供給量が同一であれば、加熱した吸気における第一燃料の実当量比φrは加熱しない吸気に比較して大きくなる。これにより、燃焼室19に吸入される混合気における第一燃料の実当量比φrは、第一燃料の燃焼に十分な程度まで上昇する。つまり、熱交換器25で吸気を加熱することにより、機関本体11における燃焼行程を間引かなくても、第一燃料の安定的な燃焼を確保可能な領域はより負荷の小さな領域まで拡大される。したがって、振動の発生を低減しつつ、吸気に混合される第一燃料の量が少ない負荷の小さな領域でも安定的な燃焼を確保することができ、連続的な負荷の変更に対応することができる。
また、第1実施形態では、熱交換器25において吸気を加熱している。そのため、吸気は、機関本体11から排出される排気で加熱される。したがって、排気の熱を有効に利用することができ、エネルギー効率を高めることができる。
第1実施形態では、吸気通路21および排気通路22はそれぞれ熱交換器25を迂回する吸気バイパス通路31および排気バイパス通路32を有している。そのため、熱交換器25で吸気を加熱しないとき、吸気は吸気バイパス通路31を経由して機関本体11へ供給され、排気は排気バイパス通路32を経由して機関本体11から排出される。これにより、吸気の加熱が不要なとき、吸気および排気の流路における抵抗が低減される。したがって、熱交換器25を備える場合でも、機関本体11の運転状態に応じて吸気および排気の流れを円滑にすることができ、機関本体11の効率を高めることができる。
第1実施形態では、機関本体11の負荷に応じて、吸気バイパス通路31は第一開閉弁41で開閉され、排気バイパス通路32は第六開閉弁46で開閉される。エンジンシステム10を車両に搭載するとき、機関本体11は、低負荷領域から高負荷領域まで幅広い領域で連続的に負荷が変動しながら運転される。吸気バイパス通路31および排気バイパス通路32をそれぞれ第一開閉弁41または第六開閉弁46で開閉することにより、吸気および排気の経路は機関本体11の負荷に応じて適宜選択される。そのため、吸気の加熱の有無に応じて、吸気および排気の経路は変化する。したがって、機関本体11の負荷領域に応じて無駄のない吸気および排気の経路を設定することができ、機関本体11の効率を高めることができる。
第1実施形態では、熱交換器25は、排気通路22における排気の流れ方向において酸化触媒23よりも下流側に設けられている。排気に含まれる未燃焼の第一燃料および第二燃料は、酸化触媒23で燃焼することにより酸化される。そのため、排気通路22を流れる排気は、酸化触媒23を通過することにより温度が上昇する。この温度が上昇した排気を熱交換器25へ導入することにより、吸気はより効率的に加熱される。したがって、熱交換効率を高めることができる。
第1実施形態では、排気循環部36を備えている。そのため、機関本体11から排出された排気の一部は、吸気通路21へ循環され、吸気に混合される。これにより、吸気の温度は、上昇しやすくなる。したがって、排気を直接混合して吸気を加熱することができ、機関本体11の効率を高めることができる。
第1実施形態では、過給器17を迂回する吸気が流れる吸気過給器バイパス通路33を備えている。この吸気過給器バイパス通路33には、第三開閉弁43が設けられている。これにより、吸気は、機関本体11の運転状態に応じて、過給器17を迂回する。第1実施形態では、機関本体11が特定負荷領域にあるとき、吸気は加熱される。加熱された吸気は、質量すなわちモル数が維持されたまま体積の増大が図られる。このように、特定負荷領域では、吸気の密度を低下させることにより、第一燃料の実当量比φrを可燃限界F1以上に高めている。そのため、体積の増大を図った吸気が過給器17を経由すると、圧縮によって体積が減少する。また、加熱された吸気がインタークーラ24を通過すると、冷却されて体積が減少する。そこで、機関本体11が特定負荷領域にあり、吸気を加熱するとき、吸気は過給器17を迂回する吸気過給器バイパス通路33を経由して機関本体11へ供給される。これにより、吸気は、増大した体積が維持されたまま機関本体11へ供給される。したがって、加熱された吸気の経路を確保することができ、特定負荷領域の拡大を図ることができる。
(変形例)
第1実施形態では、吸気の流れ方向において機関本体11の上流側に加熱ヒータ26を備えている。例えば排気の温度が低いときなど、特定負荷領域での運転時に熱交換器25における吸気の加熱が不足することもある。このように熱交換器25における吸気の加熱が不足するとき、吸気は加熱ヒータ26で加熱してもよい。この場合、制御装置50は、温度センサ62で検出した吸気の温度に基づいて、加熱ヒータ26への通電を制御する。これにより、機関本体11へ吸入される吸気の温度は、十分に上昇し、特定負荷領域における第一燃料の実当量比φrを確実に高めることができる。
一方、エンジンシステム10の条件によっては、吸気の加熱は熱交換器25による排気との熱交換で十分なことも考えられる。この場合、加熱ヒータ26は、必ずしも必要でない。したがって、加熱ヒータ26の有無は、エンジンシステム10の性能や構造に応じて設定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態によるエンジンシステムを図14に示す。
第2実施形態では、開閉弁の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態の場合、エンジンシステム10は、図14に示すように三方弁71、三方弁72および三方弁73を備えている。三方弁71は、吸気の流れ方向において熱交換器25の上流側に設けられ、吸気の経路を熱交換器25側または吸気バイパス通路31側へ切り換える。また、三方弁72は、排気の流れ方向において熱交換器25の上流側に設けられ、排気の経路を熱交換器25側または排気バイパス通路32側へ切り換える。同様に、三方弁73は、排気の流れ方向において熱交換器25の下流側に設けられ、排気の経路を熱交換器25側または排気バイパス通路32側へ切り換える。
第2実施形態では、三方弁71、72、73を用いることにより、弁の設置数を低減することができ、構造をより簡略化することができる。
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば、吸気を加熱する加熱手段は、熱交換器に限らない。すなわち、熱交換器に代えて、図15に示すように吸気通路21に加熱ヒータ80を設ける構成としてもよい。この場合、加熱ヒータ80は、図1に示す熱交換器25に相当する位置に設けてもよく、図1に示す加熱ヒータ26に相当する位置に設けてもよい。
図面中、10はエンジンシステム(複合燃料内燃機関)、11は機関本体、14は第一インジェクタ(第一燃料噴射手段)、15は第二インジェクタ(第二燃料噴射手段)、17は過給器、18は吸気加熱部(吸気加熱手段)、19は燃焼室、21は吸気通路、22は排気通路、23は酸化触媒、25は熱交換器(吸気加熱手段)、26は加熱ヒータ(吸気加熱手段)、31は吸気バイパス通路、32は排気バイパス通路、33は吸気過給器バイパス通路(過給器バイパス通路)、36は排気循環部(排気混合手段)、41は第一開閉弁(吸気バイパス開閉手段)、43は第三開閉弁(開閉手段)、46は第六開閉弁(排気バイパス開閉手段)、52は可燃限界判断部(可燃限界判断手段)、53は第一インジェクタ駆動部(駆動手段)、55は負荷領域判断部(負荷領域判断手段)、80は加熱ヒータ(吸気加熱手段)を示す。

Claims (3)

  1. 複数の燃焼室(19)を形成する機関本体(11)と、
    前記機関本体(11)に接続する吸気通路(21)を流れる吸気に自ら着火しない天然ガスを予め供給する天然ガス噴射手段(14)と、
    前記燃焼室(19)に吸入された吸気へ自ら着火する軽油を供給する軽油噴射手段(15)と、
    前記吸気通路(21)を流れる吸気に対する前記天然ガスの当量比の目標値が、前記燃焼室(19)における前記天然ガスの燃焼に十分な可燃限界以上であるか否かを判断する可燃限界判断手段(52)と、
    前記可燃限界判断手段(52)において前記天然ガスの当量比の目標値が前記可燃限界以上であると判断すると、前記天然ガス噴射手段(14)を駆動して前記吸気へ前記天然ガスを供給する駆動手段(53)と、
    前記機関本体(11)の負荷を取得して、前記機関本体(11)が予め設定された特定負荷領域にあるか否かを判断する負荷領域判断手段(55)と、
    前記吸気通路(21)を流れる吸気と前記機関本体(11)に接続する排気通路(22)を流れる排気との間で熱交換するとともに、前記排気通路(22)における排気の流れ方向において前記排気を酸化する酸化触媒(23)よりも下流側に設けられ、前記駆動手段(53)により前記吸気へ前記天然ガスを供給するとき、前記負荷領域判断手段(55)で前記機関本体(11)が前記特定負荷領域にあると判断されると、前記吸気通路(21)を経由して前記燃焼室(19)へ吸入される吸気を加熱する吸気加熱手段(18)と、を備え、
    前記吸気通路(21)は、前記吸気加熱手段(18)を迂回する吸気バイパス通路(31)を有し、
    前記排気通路(22)は、前記吸気加熱手段(18)を迂回する排気バイパス通路(32)を有し、
    前記吸気加熱手段(18)は、前記吸気通路(21)における吸気の流れ方向において前記機関本体(11)の上流側に、通電によって吸気を加熱するヒータ(26、80)を有するとともに、
    前記負荷領域判断手段(55)で判断された前記機関本体(11)の負荷に応じて、前記吸気バイパス通路(31)を開閉する吸気バイパス開閉手段(41)と、前記排気バイパス通路(32)を開閉する排気バイパス開閉手段(46)と、を備える複合燃料内燃機関。
  2. 前記機関本体(11)に接続する排気通路(22)を流れる排気を、前記吸気通路(21)を流れる吸気に混合する排気混合手段(36)をさらに備える請求項1記載の複合燃料内燃機関。
  3. 前記機関本体(11)に接続する排気通路(22)における排気の流れによって前記吸気通路(21)を流れる吸気を加圧する過給器(17)と、
    前記吸気通路(21)において前記過給器(17)を迂回する過給器バイパス通路(33)と、
    前記過給器バイパス通路(33)を開閉可能であって、前記吸気加熱手段(18)で前記燃焼室(19)へ吸入される吸気を加熱するとき、前記過給器バイパス通路(33)を開放して前記吸気加熱手段(18)で加熱された吸気を前記過給器バイパス通路(33)へ導入する開閉手段(43)と、
    をさらに備える請求項1または2記載の複合燃料内燃機関。
JP2012102174A 2012-04-27 2012-04-27 複合燃料内燃機関 Expired - Fee Related JP5900132B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012102174A JP5900132B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 複合燃料内燃機関

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012102174A JP5900132B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 複合燃料内燃機関

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013231357A JP2013231357A (ja) 2013-11-14
JP5900132B2 true JP5900132B2 (ja) 2016-04-06

Family

ID=49678023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012102174A Expired - Fee Related JP5900132B2 (ja) 2012-04-27 2012-04-27 複合燃料内燃機関

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5900132B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6324149B2 (ja) * 2014-03-25 2018-05-16 大阪瓦斯株式会社 エンジンシステム、及びその制御方法
JP6499951B2 (ja) 2015-09-25 2019-04-10 日立オートモティブシステムズ株式会社 エンジンシステムの制御装置
SE543587C2 (sv) * 2018-12-14 2021-04-06 Hedman Ericsson Patent Ab Förfarande för att åstadkomma en hög avgastemperatur vid motordellast i en dieselmotor samt anordning för utförande av förfarandet

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08158980A (ja) * 1994-12-06 1996-06-18 Mitsubishi Motors Corp 補助燃料着火式ガスエンジン及びその稼働方法
JP2003269269A (ja) * 2002-03-14 2003-09-25 Osaka Gas Co Ltd 火花点火式エンジン及びその部分出力運転方法
JP2005315144A (ja) * 2004-03-29 2005-11-10 Jfe Engineering Kk ガスエンジン装置
GB0912081D0 (en) * 2009-07-11 2009-08-19 Tonery David Combustion method and apparatus
JP2011140882A (ja) * 2010-01-05 2011-07-21 Toyota Motor Corp 圧縮着火式多種燃料エンジン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013231357A (ja) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9638110B2 (en) Natural gas engine and operation method for natural gas engine
US8396644B2 (en) Control device for internal combustion engine
CN101922338B (zh) 一种运转内燃发动机及测量其排气温度的方法
AU2012346417B2 (en) Engine utilizing a plurality of fuels, and a related method thereof
MX2014015333A (es) Inyeccion posterior de combustible de combustible gaseoso para reducir las emisiones de escape.
GB2435306A (en) Dual combustion mode i.c. engine having groups of cylinders with different compression ratios
JP2013533413A (ja) 出力強化バイフューエルエンジン
WO2011128950A1 (ja) 内燃機関の排気加熱装置およびその制御方法
US20090223205A1 (en) Air Handling System With After-Treatment
JP2009209809A (ja) エンジンの過給装置
US20120042632A1 (en) Method and apparatus for processing exhaust gas in internal combustion engine
CN103748339B (zh) 多燃料内燃机的控制系统
US9677465B2 (en) Natural gas engine and operation method for natural gas engine
US7255095B1 (en) Dual combustion mode engine
JP5900132B2 (ja) 複合燃料内燃機関
CN109983212B (zh) 通过跳过火花/燃料策略对减载进行的发动机响应
JP6634774B2 (ja) 天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの遮熱方法
US20120301365A1 (en) Exhaust purification device for internal combustion engine
JP6398543B2 (ja) 天然ガスエンジン及び天然ガスエンジンの運転方法
JP4967691B2 (ja) ガソリンエンジンの制御装置
JP2016217335A (ja) 吸気装置、および、吸気の制御方法
JP2005510651A (ja) 燃焼エンジンの燃料噴射方法及び燃焼エンジン
EA043325B1 (ru) Способ ограничения выбросов в двигателе
JP2018091270A (ja) 内燃機関の排気浄化装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141017

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160222

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5900132

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees