JP6095149B2 - 食品の保存方法 - Google Patents

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Description

この発明は、食品の保存方法、或いはその際に食品へ調味液薬液等の液体を含浸させる方法に関する。
従来、微生物及び動物由来物の保存方法として、100Vないし5000Vの交流又は直流電圧を電極に印加して静電場雰囲気を形成し、−20℃〜−40℃でこの静電場雰囲気内におくことによる保存方法が開示されていた。これは、100V〜5000V、好ましくは100V〜3000Vの交流又は直流電圧の静電場雰囲気に保存することにより、微生物又は動物由来物が有する活性を不活化若しくは不活性化させることなく、又は死滅化させることなく保存することができる、とされるものである(例えば、特許文献1参照)。
また従来、冷蔵室または冷凍室に高圧電源に接続された高圧電場形成用電極を備えた食品保存装置が開示される。これはバクテリアやカビの増殖を防止するという基本原理に基づく。そのための電場処理効果は5kV/cm程度以上あれば交流でも効果があるが、直流のほうがより大きな効果が得られる。さらにまた、直流に交流を重乗させればより大きな効果的である、と開示される。
特開2005−112839号公報 特開昭62−297677号公報
しかしながら、従来の保存方法では、電流電圧のかけ方について、電流は交流、直流のいずれであってもよいとされ、100V、500V、1000V等といった各電圧値の他に、有効な電圧印加方法の特定はされていなかった。また上記従来の保存方法では、長期間の間自然に近い状態で、微生物又は動物由来物が有する活性を不活化若しくは不活性化させることなく、又は死滅化させることなく保存することに主眼を置いたものであった。このため、保存による酸化の抑制や細胞障害の軽減が十分にできるものとはいいきれなかった。
上記課題を解決すべく、本発明では下記(1)ないし(5)の手段を採用するものとしている。すなわち、
(1)本発明の食品及び生体物の保存方法は、食肉等の対象物を調味液等の液体に浸漬させた状態とし、この状態で交流とプラス直流との同時印加工程を行うプラス同時印加工程と、その後に交流のみの印加工程を行う交流印加工程とを具備することを特徴とする。特に、直流電圧、交流電圧いずれも5000Vを越えない電圧であることが好ましい。
(2)また、前記食品及び生体物の保存方法において、交流印加工程の後に、交流とマイナス直流との同時印加工程を行うマイナス同時印加工程を具備することが好ましい。
(3)また、前記いずれかの食品及び生体物の保存方法において、マイナス同時印加工程は、直流電位と交流電位の絶対値が同じであることが好ましい。
(4)あるいは本発明の食品及び生体物の保存方法は、対象物を電気印加板の上に載せ、この状態で交流とマイナス直流との同時印加工程を行うマイナス同時印加工程と、このマイナス同時印加工程の前後いずれかの時間中にプラスの直流のみを印加するプラス直流印加工程とを具備することを特徴とする。ただしプラス直流印加工程は対象物が完全冷凍した状態では行わないものとする。
(5)また、前記いずれかの食品及び生体物の保存方法において、印加板に電磁石を近接又は当接させたものであることが好ましい。
なお上記いずれかの食品及び生体物の保存方法において、対象物を、導電製の包装資材の中に密閉し、この密閉した状態の包装資材に対して、交流とマイナス直流との同時印加工程を行うマイナス同時印加工程と、このマイナス同時印加工程の前後いずれかの時間中にプラスの直流のみを印加するプラス直流印加工程とを具備することを特徴とする。
上記構成を採用することで、保存中の生体材料Oの溶存酸素を不活性化させることで、より効果的な保存による酸化の抑制や細胞障害の軽減が達成される。
本発明の保存方法における実施例1の保存庫を示す正面視構造説明図である。 本発明の保存方法における実施例2の保存庫を示す正面視構造説明図である。 本発明の保存方法における実施例3の保存庫を示す正面視構造説明図(上図)及びそのア−ア断面図(下図)である。 本発明の保存方法における実施例4の保存庫を示す斜視構造説明図である。 本発明の保存方法における実施例5の保存庫を示す正面視構造説明図である。 本発明の保存方法における実施例6の保存庫を示す斜視構造説明図である。 本発明の保存方法における実施例7の保存庫を示す斜視構造説明図である。実験2の、ヒト赤血球凍結における直流交流同時印加の優位性に関するデータを示す図である。 本発明の保存方法における実施例8の保存庫を示す正面視構造説明図である。 図9の平面視イ−イ断面図(a)及びそのうちの導電性コンベアの平面図(b)である。 本発明の同時印加工程での対象物の水分子の挙動の概念を示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(直流、交流電圧の同時印加について)
食べ物をはじめとする生体物を保存するとき、保存の対象物に直流電圧あるいは交流電圧を選択して印加させる(かける)ことで、対象物の状態を維持したりあるいは逆に可変させたりすることが判明した。ただし、単に電気をかけるのではなく、目的とする保存状態ないし保存後の再生状態に応じて、プラスの直流電圧のみの印加、マイナスの直流電圧のみの印加、プラスの直流電圧と交流の同時印加、マイナスの直流電圧と交流電圧の同時印加、及びこれらの組み合わせによる複数の電気印加工程を行う。その際の印加電圧についても、同時印加時における電位の絶対値の差の大小を適宜決定する。すなわちプラス、マイナス、および電位を選択して双方同時に印加させること、およびその前後にプラスまたはマイナスの直流電圧を所定時間だけかけることで、目的とする保存後の再生状態にできることが判明した。
(保存対象物について)
保存対象物は、食肉、魚、野菜、穀物、各種卵、乳製品といった食品のほか、動物の細胞といった、細胞を有する食品又は熟成が必要な食品である。また食品の加工方法、調味方法においては調味液を浸漬させ得る鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、猪肉、兎肉といった各動物の肉身、身質を有する各種の魚、ないし,サケ、ニシン、鱈等の卵、たら、アンコウ、ふぐ等の精巣といった食材を対象とする。
(保存方法について)
(植物の冷凍、冷蔵方法について)
種子の成長促進作用として、植物の種子を同時印加させながら冷凍し、その後自然解凍して、電荷保存後の種子を得た。この電荷保存後の種子は、通常の種子よりも発芽が早くまた生長が早いものであった。
また上記とは別に、植物の残留農薬検知作用として、生長後の植物を同時印加させながら保存することにより、保存期間の経過による植物の育成時に使用した農薬の残留割合の低下を防ぐことができた。これは活性酸素の活発化を防ぐことで、青果物等に付着した残留農薬の量、種類を確実に検知するものである。ELISA法、分光高度計などにより、残留農薬が食品衛生法残留農薬基準値に適合しているか否かを確実に測定することができる。
(酵素の窒素凍結について) タンパク質酵素の窒素による瞬間細胞凍結の際に直流電圧と交流電圧との同時印加を行うと、解凍後の歩留まり率の低下を防ぐことができる。タンパク質酵素は窒素凍結器に入れて凍結を行う。この窒素凍結器は予め導電体が真空蒸着されたものである。
(保存中の人体の体液、生物検体の残留薬物の検知について)
マイナスの直流電圧と交流電圧の同時印加によって、人体の体液や生物検体に含まれる薬物成分の酸化を防ぐ。これにより、保管時の状態を保持して、対象物に含まれる薬物が確実に検出できる。
(印加板2)
印加板2は、導電性材料からなる板であり、一対の電気配線3による電極をそれぞれ対称位置に配してなる。電気配線3は、直流及び交流共に共通配線3としてなり、電極もまた直流及び交流を共有するものとして配される。これにより、同時印加によって、交流電圧の一部が直流電圧に重畳的に変換され、交流電圧の設定値よりも実際の(生体材料Oへの)交流電圧の実効値が低くなり、その分、直流電圧の設定値よりも実際の(生体材料Oへの)直流電圧の実効値が高くなる。
印加電圧は、直流、交流いずれも5000Vを超えないことが好ましい。さらにいえば、交流電圧の設定値が500ないし2500V、直流電圧の設定値が200ないし1000Vであることが好ましい。また、直流電圧はマイナスであることが好ましく、さらに交流電圧の設定値よりも、直流電圧の設定値(の絶対値)のほうが大きいことが好ましい。
また、交流と直流の各電圧値の組合せについて好ましくは、直流電圧の設定値が1000V程度又は3000V程度のとき、交流電圧の設定値が500ないし550V程度であることが好ましい。
但し、上記及び本発明にいう設定値とは、交流又は直流いずれか単独で電圧をかけたときの、実際の生体材料Oへの実効値をいう。
(食肉の液体含浸方法)
食肉等の対象物を調味液等の液体に浸漬させた状態とし、この状態で交流とプラス直流との同時印加工程(プラス同時印加工程)と、その後の交流のみの印加工程(交流印加工程)と、その後の交流とマイナス直流との同時印加工程(マイナス同時印加工程)とを順に経る。これは対象物の鮮度を維持したまま電気的に加水する方法である。液体に醤油、酒、味醂等を含んだ調味液を混ぜることで、対象物を調味することができる。また径時に伴う対象物の硬化を防いで柔らかい身質を保つことができる。たらこ、明太子、いくら等の加工食品の調味方法に利用することができ、或いは硬くなった肉の再生方法に利用することができる。
これら各工程にはそれぞれ意義があり、各工程を順に減ることで含浸対象液体が対象物内に吸収されるものとなっている。まずプラス同時印加工程によって、対象物のpHが小さくなって細胞のチャネルが開き、対象液が細胞内に入る準備が行われる。次に交流単独印加工程によって、対象物を電気的に振動させ、タンプリングによって浸漬された液体が細胞内に入る。そしてマイナス同時印加工程によって、対象物のPHが上がり、細胞のチャネルが閉じて吸収された液体が細胞内に閉じ込められる。またこのマイナス同時印加工程によって対象物の酸化を防ぎ、その後の保管による鮮度低下を防止することができる。
ここで細胞のチャネルとは、生体が対象物の場合に体内に酸性とアルカリ性のバランスを調整するア−ビット蛋白質の作用によるものを意味する。すなわち、細胞内でカルシウムを貯蔵する小胞体表面のIP3受容体には、ア−ビット蛋白質が存在する。このア−ビット蛋白質は、細胞の周囲環境が酸性になると受容体から放たれて細胞内に拡散し、細胞膜にたどりつく。細胞膜ではイオンを細胞内から外に排出するポンプ効果が働き、強アルカリのイオンが細胞外に放出される。これにより、細胞外の酸性環境をアルカリ性に戻す作用がある。つまりア−ビット蛋白質の作用による細胞膜のナトリウムポンプ効果によって、生体物では体内の酸アルカリ調整(pH調整)が自動的になされる。このナトリウムポンプ効果によるpH調整は、食肉のような死亡直後の生体物でも動作し、生体液のドリップ流出の原因の一つとも考えられる。これに対して死亡直後の生体物に電荷を加えることで、細胞の周囲環境のPHを調整し、ナトリウムポンプ効果を制御することができる。
<鶏肉の液体浸漬方法>
具体的には例えば、マイナス40℃雰囲気下での冷凍開始と同時に、α(交流)1500vとβ(直流)+1500vの同時印加による30分間のプラス同時印加工程を行い、続けてα(交流)1800Vのみの印加による1時間の交流印加工程を行い、その後にα(交流)1500vとβ(直流)マイナス1500vの同時印加による5分間のマイナス同時印加工程を行う。このときプラス同時印加工程は交流と直流の絶対値電位が同じ等電位状態であることが好ましく、交流印加工程はプラス同時印加工程よりも電位が高い高電位で行うことが好ましい。さらにマイナス同時印加工程はプラス同時印加工程とおなじ電位出会って且つ交流と直流が等電位状態であることが好ましい。
また交流印加工程を長時間行うことで、浸漬された肉をタンプリングしつづけ、硬い肉を軟らかくすることができる。
(食品の熟成促進と熟成コントロール)
食品を保管する際に、保管する食品に対し、交流とプラス直流電圧とで同時印加するプラス同時印加工程と、交流とマイナス直流電圧とで同時印加するマイナス同時印加工程とを、交互に所定の切り替え時間ずつ所定の回数だけ繰り返すことで、保管する熟成度をコントロールすることができる。
保管の態様は冷蔵保管、冷凍状態に至るまでの冷凍保管、恒温制御を行う恒温保管のほか、常温保管であってもよい。
対象物はたとえばミカン、リンゴ等の果実のほか、食肉、発酵前の発酵食品があげられる。
具体的には、α(交流)1500vとβ(直流)−1500vの同時印加によるマイナス同時印加工程と、マイナス同時印加工程と同じ絶対値電位でプラスとマイナスのみを変えた、α(交流)1500vとβ(直流)プラス1500vの同時印加によるプラス同時印加工程の2工程によって行われ、2工程を所定時間ずつ交互に所定回数だけ繰り返す。
各工程の時間、2工程の繰り返し回数を適宜定め、或いは調整することによって、保管対象物の熟成の度合いをコントロールしながら、通常の保管に比べて熟成度をコントロールすることができる。各工程の時間は例えば10秒ないし10分までの間で調整し、2工程の繰り返し回数は各工程6回ずつないし1000回ずつの間で調整する。例えば各工程の時間を1分以内の比較的短いものとして、或いは繰り返し回数を20回ずつ以上の比較的多いものとすれば、保管対象物の熟成スピードが速くなる。逆に各工程の時間を比較的長くし、繰り返し回数を比較的少ないものとすれば、保管対象物の保管中の熟成速度を遅くすることができる。
(覆布による美容)
前記した食肉の液体含浸方法を人体等に応用して、美容液や薬液の吸収による美容方法に利用することも可能である。
化粧水を浸したガーゼを人体皮膚等の美容対象物上にかぶせる。このガーゼに同時印加の電荷を与えることで、化粧水の皮膚への浸透を促進することができる。つまり同時印加工程と及びマイナス直流の印加工程とを経ることで、化粧水による保湿効果を促進させることができる。
また前記した食肉の液体含浸方法を、炭酸成分等を有した薬液の浸透に使用することもできる。この場合、まず第一工程として、プラスの印加500〜3000V、交流500〜3000Vで15分間のプラス同時印加工程を行う。次に第二工程として、500〜3000Vのアルファ(交流)のみ15〜30分の交流印加工程を行う。第一工程によって細胞を開き、第二工程によって同時印加によって細胞内へ薬液を浸透させるものである。そして第三工程として、500〜3000Vのプラスの直流のみをかけるプラス直流印加工程によって細胞を閉じる。この一連の工程を順に経ることによって薬液の浸透効果を得るものとしている。
<磁界形成によって水分子の膨張を防ぐ保存方法>
印加板に電磁石を近接又は当接させ、磁界形成によって対象物に含まれる水分子の膨張を防ぐことができる。保管の対象物内に磁場を形成することで、対象物内の水分子を小さく保つことができる。これは磁界内に水分子を置くことで、酸素原子を介した二つの水素原子の結合角度を保つことができることによる。電磁石と共にあるいは電磁石の代わりに永久磁石を印加板に近接あるいは当接させて磁界を発生させたものとしてもよい。
電磁石の近接配置は、図1に示すように立設させた棒状電磁石の頂面を印加板の中央部裏面に当接したものでもよく、このような印加板を図2に示すように上下に対称配置し、対象物を上下の印加板内に挟み込んで上下から磁界印加するものとしてもよい。また図3に示すように印加板中央の裏面に小型円柱状の永久磁石を貼り付け、この永久磁石の貼り付け位置を中心としてその周囲に環状電磁石を吊り下げたものとしてもよい。また図4に示すように導電性の箱体内に対象物を補完すると共に、この箱体の周囲をコイル状に電気配線して、保管庫全体を電磁石としてコイル内部に対象物を保管してもよい。
<マイナス直流印加工程による水分保持>
(マイナス直流印加工程の意味)
本発明において、対象物へマイナス直流電圧だけかける工程を「マイナス直流印加工程」という。マイナス電位を付与し続けることによって、対象物の細胞中の水分子のHプラス原子を電気的に引き寄せた状態とする。マイナス電位の付与によってエネルギーを与え続けたまま冷凍すると、解凍時に空気中の水分を取り込んで解凍による細胞の脱水を防ぐことができる。その結果、冷凍、解凍後に水分を多く含んだ状態の対象物を得ることができる。
<マイナス同時印加工程の後の交流印加工程>
冷凍されつつある対象物にマイナス同時印加工程の後に続けて交流印加工程を行うと、肉、海苔等の海生物、生食品をはじめとする生体物由来の食品を良好に冷凍又は冷蔵保存することができる。まずマイナス同時印加工程において対象物のpHを下げて還元域にし、酸化を防ぐと共に、細胞の出入り口を閉じてドリップの流出を防ぐ。次に続けて行う交流印加工程によって水分子を電気的に振動させて冷凍時の水分子の膨張を防ぎ、ドリップ流出を止める。例えば調理後の焼き肉を冷凍保存する場合、α(交流)1500vとβ(直流)マイナス1500vの同時印加によるマイナス同時印加工程を30分行い、続けてα(交流)1500Vの交流印加工程を30分間行う。ただし各工程の時間あるいは電位は、対象物の身質の固さに応じて適宜調整する必要がある。例えば一般的に柔らかいものは1500V以下の低電圧として、各工程を1時間未満の短時間とする。
(交流電圧印加工程の意味)
交流電圧を印加すると、プラスマイナスサイクルを繰り返す交流の電気刺激によって対象物中の水分子が振動し、保持エネルギーを高めていく。つまり図10に示すように、交流の正弦波振動におけるプラス最大電位時すなわち上ピークにおいて水分子中の酸素原子が電気的に引き寄せられ、マイナス最大電位時すなわち下ピークにおいて水分子中の水素原子が電気的に引き寄せられる。これによって水分子がスピン効果を与えられ、温度変化によっても体積が膨張することなく小さく保たれる。対象物の細胞中の水分子がスピン効果を与えられ続けることによって、対象物の身質が柔らかくなるというタンブリング効果を生じる。なおこのとき増幅幅が大きくなるとオゾンが発生し、殺菌、消臭効果が生まれる。
(マイナス同時印加工程の意味)
本発明において、対象物へマイナス直流電圧と交流電圧を同時にかける工程を「マイナス同時印加工程」という。交流電圧の負荷によって対象物の細胞にプラスマイナスの電気的振動の刺激を与えるものであるが、この際に同時にマイナスの直流電圧を重畳負荷することで、図11のように、対象物の細胞中に含まれる水分子のH+の原子を電気的に引き寄せたまま電気的振動を与えることとなる。これにより保管中の温度変化によっても細胞状態を維持することが可能となる。例えば冷凍保存の際にマイナス同時印加工程を行うと、細胞が凍結する過程において水分子の分子における2つのHプラス原子同士の角度を維持し、水分子の膨張による細胞壁の破壊を防ぐことができる。またマイナス電位のエネルギーを付与した状態を維持することで、解凍時の水分子の過度な蒸発を抑え、冷凍前の細胞の含水状態を保持することができる。
(移動式保管庫による冷凍又は冷蔵保存)
前記マイナス同時印加工程の後の交流印加工程を含む各保存方法は、図5に示すような移動式保管庫内でも行うことができる。図5の移動式保管庫は、冷蔵室13の内部に複数の移動式保存容器12を備え、各移動式保存容器12は上部に集電線32を備え、保管庫内上部を亘る架線31と常に電気接触するものとしている。内部の保存棚121は導電板からなり、そこに対象物を保管している。また車輪122によって移動可能となっている。冷蔵室13内はシート状の絶縁体5で下部と絶縁される。
(恒温容器による保存)
前記マイナス同時印加工程の後の交流印加工程を含む各保存方法は、図6に示すような恒温容器内でも行うことができる。図6の恒温容器は、内部に備えた恒温装置142によって容器内を恒温に保つと共に、陳列棚141を有して対象物をディスプレイ配置しうる冷凍又は加温陳列容器である。陳列棚141条には電圧印加板2が絶縁体5を介して水平配置され、その上の対象物が陳列保管される。電圧印加板2は電気配線3を介して外部の電位制御装置8と電気接続され、電位制御装置8によって電位制御されながら電圧印加される。
(運搬用保存容器による冷凍保存)
前記マイナス同時印加工程の後の交流印加工程を含む各保存方法は、図7に示すような運搬用保存容器内でも行うことができる。図7の運搬用保存容器は、上部に一対の取っ手155を備えた箱状の印加運搬容器15を上部の上収容室154とその下部の保存室とに区切り、下部の保存室内に室内よりも小容積の保冷室を設け、保冷室外を断熱材153で構成すると共に、保冷室内にさらに小容積の保管容器151を収容しており、保管容器151外かつ保冷室内に保冷剤152を詰め入れている。そして上収容室154内に電位制御装置8を配置し、そこから電気配線3によって保冷室に電荷を加え、保冷室内の保冷剤152を介して保管容器151内の対象物を電気印加するものとしている。
(トンネルフリーザーによる冷凍保存)
前記マイナス同時印加工程の後の交流印加工程を含む各保存方法は、図8,9に示すようなトンネルフリーザーによっても行うことができる。図8、図9のトンネルフリーザーは、対象物の側部から上部までを覆う横臥柱状のトンネルフリーザー16と、その内部にて柱軸に沿って伸びるように配置され、対象物を略水平方向に運ぶ導電体からなる導電性コンベア17とから構成される。トンネルフリーザー16は導電性コンベア17の長さ方向にわたって、両側方から上部までをすべて覆う。その天井部には冷気吹き出し口161が所定間隔ごとに配置される。冷気吹き出し口161からトンネルフリーザー16内に冷気を吹き出すことで、導電性コンベア17によって運ばれる対象物を冷却する。また、冷気吹き出し口161間に、導電性コンベア17の両側方から上部までを湾曲してアーチ状に囲うアーチ状電磁石44が立設される。またトンネルフリ−ザ16の両端の出入り面にはシャッター式のシャッター口162が設けられ、必要な大きさだけ開口した開口部分から対象物をトンネルフリーザー16内外に供給または排出する。またシャッター口162の外部近傍には補助コンベア18を配して対象物を補助運搬する。導電性コンベア17は倒立コ字状の支持脚6とその間に水平配置されたコンベアローラー171によって支持されて、コンベア状におかれた対象物を運搬する。支持脚6は絶縁体5介設される。導電性コンベア7の平面視両端の向かい合うコーナー部分には、アーム332でローラー331を自由転回支持してなる印加端子33が、導電性コンベアの上部一端側上部に常に接触するように配置され、導電性コンベアに直流電圧及び/或いは交流電圧を印加し続けている。またアーチ状電磁石44への交流または直流電荷を印加し続けている。つまりトンネルフリーザー16内は、絶縁体5の上部から導電性コンベア17を含む部分が電荷されて導電性コンベア17上は電場が発生していると共に、アーチ状電磁石44によって磁場が発生している。対象物はトンネルフリーザー16の入り口から出口に排出されるまでの間に電磁場の雰囲気下で冷凍される。
(プラス直流印加工程の意味)
本発明において、対象物へプラス直流電圧だけかける工程を「プラス直流印加工程」という。プラスの直流電圧を加えると対象物の酸化が進み、熟成が通常の保管時よりも促進される。プラスの直流電圧の電位が大きければ大きいほどこの熟成の促進効果が大きくなり、前記加水効果も大きくなる。逆にマイナスの直流電圧を加えると対象物の酸化が抑制され、マイナスの電圧電位が大きいほどこの抑制効果が大きくなり、対象物の熟成の速度を抑えることで、冷凍解凍後も劣化のない新鮮に近い状態で再生することができる。
(プラス同時印加工程の意味)
プラス直流印加と交流印加とを同時に行う「プラス同時印加工程」によって次の効果がある。すなわちプラス直流印加によって前記のとおり、対象物が酸化して熟成が促進され、周辺の水分を取り込む加水効果が得られる。このとき同時に交流電圧を印加することで対象物中の水分子や取り込まれた水分子にスピン効果およびこれによるタンブリング効果が生じ、熟成の促進とあいまって、身質がさらに柔らかいものとなる。
(三相電源、周波数)
交流電源の電荷として、図10に示す単相電源による交流電荷のほかに、三相電源による交流電荷を行うこともできる。三相電源は単層電源に対して電気的振幅が重畳されるので低い電位でも多くの電気エネルギーを与えることができ、効果的に電荷することで細胞の破壊を防ぐことが可能となる。たとえば三相電源による交流であれば電気的振動を時間的に微細な短振動とすることができる。また周波数を短くすることで、同様に電気振動を効率的に増加させることができる。インバーター装置の付加によって周波数調整を行うことで、交流の電荷条件による対象物の身質の保存や調味液の浸透のコントロールが可能である。
(密閉保存)
対象物を導電性フィルム、導電性容器、セラミック容器、導電性ガラス繊維、導電性フ゜ラスチック繊維、導電性金属繊維のいずれかまたはこれらの組み合わせによる包装資材によって密閉し、この対象物を密閉した包装資材内を、高温又は常温、冷蔵又は冷凍、真空または高圧状態として包装資材を電気印加しながら保存することも可能である。この場合には、密閉保存した対象物を包んだ包装資材の導電性材部分に直接電荷をかけることで、該包装資材内の対象物を包装資材毎、電気印加する。包装資材として、通電性、導電性または帯電性を有する金属容器、金属フィルム、導電性樹脂フィルム(導電性プラスチック材料)などを使用することができる。
例えば以下実験1,2により、アルミ番重容器の密閉品の中では交流電気印加だけでの印加時間は30分望ましくは30分から25分以下の方が被電気印加物の香り残存率が高く残ることが判明した。
<実験1>クリスマスケーキの冷凍保存(高知県南国市K社)
業務用アルミ番重品番H80外径550×370×80mmクリスマス用ケーキ1番重に30個、3段重ねにて冷凍を行った。被冷凍物は冷気が被冷凍物の中心まで届くのに時間が係りオゾンが発生し酸化作用にて香りがなくなったと考えられる。
<実験2>実験2−導電性フ゜ラスチック包装材料及び、導電性フ゜ラスチック容器又は導電性ガラス容器:真空包装機で生まぐろを100%での真空脱気すると赤色の部分が黒く変色する。このことは生体内に安定していた酸素が活性化し酸化したことだと考えられる。これは真空包装機に電気印加することにより解消することができた。
・握りすし、及びどろめ(イワシ稚魚)(高知県仁井田仕出し店)−40℃冷凍庫
表面抵抗が1.3×1010オーム以下又は所定の高分子物質とカリウムアイオノマ−を配合した材料であって、カリウムアイオノマーの配合比が19%以上である材料からなる収納体を、印加冷凍時に用いる。導電密閉包装資材全般及びカリュウムアイオノマー使用包装材又は包装容器は、交流電圧が1500V以上:電気印加時間25分もしくは30分以上電気印加すると、脱臭効果が発生するので、使用する包装資材は好ましくは交流1500V直流−1500Vを同時に25分から30分(マイナス同時印加工程)かけ、その後交流30分印加し氷結する(マイナス印加工程)ことが好ましい。しかしながら冷凍機の冷凍能力及び被冷凍物の物性により、交流V及び直流V又は同時印加時間の設定及びその後の単体交流電気印加時間またはその後の単体直流電気印加時間は、全体の電気印加時間及び電気印加バランスを、冷凍機の能力及び、被冷凍物の嗜好により変化をさせることが好ましい。
デンプンのβ化(白化)は、水分子を均等に保持していたデンプン質の細胞構成から、水分子が不均一に離れることで生じる。これに対して交流の電気印加によって水分子が±に電気配列されて、電荷をもった水分子がそれ自身の有する電荷によって均等にデンプン質内に分散保持された状態を保ったまま凍結されることとなる。
上記の理由により、米質を保つ(デンプンのα化を保ち、β化(白化)を防ぐため)場合は交流のみ20分以上必要である。交流の印加によって電気的な振幅を与え、水分子のクラスター化を助けることができるからである。
但し密閉容器の場合、交流の単独印加が長すぎると密閉の雰囲気下(保存場)ではオゾンが発生するためにおいが消えてしまう。これに対して、交流印加行程をマイナス同時印加工程に変えることよってマイナスの直流を同時印加すると、密閉雰囲気内の酸素原子のフリーラジカルに電子を供給するため、酸素原子を電気的に安定させ、オゾンの発生を防ぐことができる。このことは、マイナスの直流の重畳電気印加による抗酸化作用といえる。このマイナス直流の重畳電荷による作用は一般(非電荷)冷凍で生じる冷凍ヤケ(色やけ、ニオイヤケ、あじやけ、あぶらやけ)を防ぐものである。よって、交流をかけ続けると共に、臭いの除去を防ぐために直流を重畳させる。マイナス同時印加行程によって、デンプンのβ化を防ぎながら臭いの除去を防ぐことができるのである。
またマイナス直流の印加によって、水分子の膨張を防ぐことができる。完全凍結(内部まで凍結する)まで直流をかけ続けることが大切である。
ただし氷点以下の状態でも交流をかけ続けると、電位的振幅によって氷結構造が破壊される。このため氷点以下では電気印加をやめる必要がある。
ただし、過度の印加によって味の変化が起こる(過熟成が進行する)ため、交流の印加時間は適度な範囲にとどめておく必要がある。
なお上記とは逆に、非密閉(解放)の状態で保存する場合、或いは冷蔵保存の場合(冷蔵保存)は、新しい不安定な酸素の発生による酸化を防ぐため、常に直流のマイナスの直流同時印加を続ける必要がある。
<鰻の生開き冷凍試験>
鰻の生開き冷凍試験
一般冷凍
鰻は−196℃N2(チッソ)冷凍:ブライン冷凍(−50℃):
エアーブラスト冷凍(空冷−20℃〜−80℃〜−100℃)でも
白蝋化して市場に物流されていない。
生開き状態のウナギについて条件を変えた冷凍、解凍、調理比較試験を行った。
白蝋化は、ウナギの油が酸化現象を起こし、水結晶が栽培膜を破壊しながら凍結するので生じる。
交流電気印加(α1000V〜2000V)によって、電気振動による水分子の微細化を行うと共に、酸素のフリーラジカルに電子を与えることで酸化を抑えられる。酸化変位の抑制を行うことができる。
鰻の開いた表面の身の中に鰻自身の持っている、水分と油が微細化され、鰻の表面細胞の中に入り、焼き上げる時に身の方に直接熱が加わる為、見た目が生鰻を何時もどうり焼き上げた時よりも、赤色に焼きあがる事となった。
・細胞の出入り口が開いた状態の個所と閉じた状態の個所がある。
・αをかけると水分子の微細化が始まる。微細化と振幅(電気振動)によって、細胞内に生体液が入っていく。
・β−をかけると、pHが上昇して細胞の出入り口が閉じる。
・同時に印加することで、身質表面の生体液は細胞内に入りにくく、ほとんどすべてがそのままに保持されている。表面を保護することとなるため、褐変減少が抑えられる。
3−上記の問題の解決には、最初は同時電気印加(α15:−β15:20分その後α15のみ10分)の電気印加が好ましいことが判明した。尚α10〜α20、−β10〜−20)の同時印加時間を経て、その後α10〜20でも良い。
・密閉のまま電荷するとオゾンが発生する。(+側が強くなる)このため、−直流をかけないと細胞破壊が起こっていないため、焼いたときに細胞が縮む。
生の場合、αだけの場合、同時印加1の場合、同時印加2の場合のいずれも55%まで縮む。通常(非電荷)冷凍は75%までしか縮まない。微細化を行わず、細胞が破壊されていることに基づく。
さらにαだけの場合、同時印加1の場合、同時印加2の3つを比較すると、αだけの場合には褐変減少が生じてしまい、同時印加1の場合には褐変減少は抑えられるものの、口当たりのソフト感がやや少なくなる。これに対して同時印加2(同時印加後に交流のみ単独10分)をかけるとソフト感の欠落が抑えられる。同時印加の後に交流のみをかけることで電気振幅によって細胞のタンブリングを生じさせ、食感をソフトにすることができる。ただし生ウナギの場合、交流単独の電荷電位が高くなる、印加時間が30分〜1時間(凍結温度帯によって変わる)を超えると歯ごたえがなくなる。
なお、ホールウナギの場合は温度低下時間を短くして瞬間冷凍し、ショック凍結させることがよい。
項利水につけて徐々に冷凍凍死させた場合には。ウナギの体を守る保護液がでて味が変わってしまった。
15〜20度程度の水温で保管した状態からショック死させたウナギを使用すること、すなわちウナギの体内活性を起こし、運動を活性化させた状態で死滅させて冷凍することが好ましいことが判明した。特に電気ショックによって瞬時に凍結させることが必要であることが判明した。

<鶏肉の冷凍試験>
各印加工程による効果を確認するための試験として、鶏ムネ肉を各種条件で冷凍し、自然解凍した後との重量差によるドリップ流出量試験を行った。また解凍時の色の違いを確認した。鶏ムネ肉は第一サンプルから第四サンプルまで、それぞれ214g、308g、269g、224gの4サンプルに分けて使用した。
(第一サンプル:マイナス同時印加工程)
第一サンプルでは、基本条件Aとして冷凍時にマイナス同時印加工程のみを行った。具体的には冷凍開始と同時に、α(交流)1500vとβ(直流)−1500vの同時印加による60分間のマイナス同時印加工程を開始し、マイナス同時印加工程の終了後も続けて凍結するまで冷凍した。冷凍保管後、常温で2時間かけて自然解凍した。解凍後の第一サンプルは冷凍前と比べて赤色が抜けてやや白色化していた。また冷凍解凍による減少重量を測定したところ、ドリップ流出割合は1.87%であった。
(第二サンプル:マイナス同時印加工程とプラス直流印加工程)
第二サンプルでは、血色出し条件Aとして冷凍時にマイナス同時印加工程とプラス直流印加工程とを続けて行った。具体的には、冷凍開始と同時に、α(交流)1500vとβ(直流)−1500vの同時印加による60分間のマイナス同時印加工程を行い、続けて5分間の直流プラス1500Vの印加によるプラス直流印加工程を行った。各工程後も引き続き凍結するまで冷凍した。冷凍保管後、常温で2時間かけて自然解凍した。解凍後の第二サンプルは冷凍前と同程度に赤みを帯びていた。また冷凍解凍による減少重量を測定したところ、ドリップ流出割合は1.30%であった。
(第三サンプル:マイナス同時印加工程と交流印加工程)
第三サンプルには、基本条件Cとして、冷凍時にマイナス同時印加工程と交流印加工程を順に続けて行った。具体的には、冷凍開始と同時に、α(交流)1500vとβ(直流)−1500vの同時印加による30分間のマイナス同時印加工程を行い、続けて15分間の交流1500Vの印加による交流印加工程を行った。各工程後も引き続き凍結するまで冷凍した。冷凍保管後、常温で自然解凍した。解凍後の第三サンプルは冷凍前と比べて同程度に発色していた。また冷凍解凍による減少重量を測定したところ、ドリップ流出割合は1.57%であった。
(第四サンプル:マイナス同時印加工程と交流印加工程とプラス直流印加工程)
第四サンプルには、血色出し工程Cとして、冷凍時にマイナス同時印加工程と交流印加工程とプラス直流印加工程を順に続けて行った。具体的には、冷凍開始と同時に、α(交流)1500vとβ(直流)−1500vの同時印加による60分間のマイナス同時印加工程を行い、続けて15分間の交流1500Vの印加による交流印加工程を行い、さらに続けて5分間の直流プラス1500Vの印加によるプラス直流印加工程を行った。各工程後も引き続き凍結するまで冷凍した。冷凍保管後、常温で自然解凍した。解凍後の第四サンプルは冷凍解凍前よりも発色が良好で、冷凍前よりも赤みを帯びていた。また冷凍解凍による減少重量を測定したところ、ドリップ流出割合は1.79%であった。
(考察)
観察結果の比較により、マイナス同時印加工程の後に交流印加工程またはプラスの直流印加工程を行ったほうが冷凍前と同様の良好な発色を得ることがわかった。また交流印加工程とプラスの直流印加工程とを順に行った場合には冷凍前よりもさらに良好な発色を得ることがわかった。
冷凍の際にマイナス同時印加工程を経るだけで流出ドリップ量を1.90%未満に減少させ得ることが確認された。またドリップ流出割合の比較により、マイナス同時印加工程の後に交流印加工程またはプラス直流印加工程を行うと、流出ドリップ量をさらに減少させることができることが確認された。特にマイナス同時印加工程の直後にプラス直流印加工程を行うと、流出ドリップ量を極めて少なくすることができることが確認された。また、プラス同時印加工程は、対象物の細胞のチャネルを閉じ、ドリップ流出を止める作用があることが確認された。
(マイナス同時印加電位のバランス調整による細胞の非破壊保存)
マイナス同時印加工程を施す際に、マイナス直流の絶対値電位と交流電位との電位比のバランスを調整して同時電荷の状態を等電位、直流優位、或いは交流優位のいずれかの状態にすることができる。保管中の対象物を各状態におくことにより、対象物の細胞を破壊せずに保管することができる。
例えばα(交流)1500Vとβ(直流)−1500Vのマイナス同時印加工程は、同時電荷状態のなかでも直流電圧と交流電圧が等しい状態といえる。この状態を等電位状態とする。また例えばα(交流)2000Vとβ(直流)−3000Vのマイナス同時印加工程は、同時印加の直流電圧のほうが交流電圧よりも状態といえる。この状態を直流(β)優位状態とする。そして例えばα(交流)3000Vとβ(直流)−2000Vのマイナス同時印加工程は、同時印加の直流電圧のほうが交流電圧よりも状態といえる。この状態を交流(α)優位状態とする。
さらに等電位状態であっても、絶対値電位を比較的大きいものとするか小さいものとするかでも対象物の細胞の状態が変わり得る。例えば対象物の身質が柔らかいもののときには、α(交流)1500Vとβ(直流)−1500Vという比較的低い絶対値電位として電気的刺激を抑えたものとする。また例えば対象物の身質が固めであり、細胞壁が比較的壊れにくいもののときは、マイナス同時印加工程α(交流)3000Vとβ(直流)−3000Vという比較的高い絶対値電位として、電気的刺激を増やし、保管によっても細胞の状態を維持するものとする。
(強い引圧での真空(減圧)包装)
マグロ等の生ものの真空包装の際、通常であれば吸引圧力で引っ張られる血液中の酸素が活性化して、身が黒くなってしまう。このため強い吸引力をかけることができない。そこで真空工程中に同時印加することで強い吸引力で吸引しても酸素の活性を防ぎ、真空工程時にマグロ等の色が変わることなく強い引圧で減圧包装することができる。
真空器の中で真空工程中、同時印加−1500と1500、−3000と交流2000を行う。
(生体物のブライン凍結)
マイナス同時印加工程は、生体物のブライン凍結にも利用することもできる。−30〜40℃の環境下でグリコール水溶液等の不凍水溶液に浸漬させた対象物を、印加板上に配置してマイナス同時印加しながら急速凍結することで、保存対象物の凍結時の酸化を防ぐことができる。
その他本発明は上述の実施例に限られることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の要素乃至工程の組み合わせ変更、要素抽出、構成あるいは一部工程の抽出を行うことができる。
(医療産業での同時印加技術の利用可能性)
上述のほか、電界場による冷凍技術として医療産業での同時印加技術の利用可能性がある。電圧印加での凍結保存として、輸血用同種末梢血凍結保存、自己血液凍結保存、骨髄移植用骨髄細胞凍結保存、臍帯血凍結保存、膵島細胞凍結保存、各種培養細胞凍結保存、ES細胞凍結保存、移植用各種臓器の凍結保存、そして、骨、大動脈、気管、心臓弁、角膜、皮膚等の組織移植片の凍結保存が挙げられる。例えばマイナス20度程度の冷凍庫内においてマイナス直流と交流電流をかけることによって電界を発生させ、その状態で生体組織を凍結させ、真空乾燥させることで、生体組織の機能を高度に維持できる。実験による伊、HRP酵素を液体窒素温度に冷却したあとの酵素活性化度を測定したところ、凍結を行わない酵素活性と同程度の活性を保持していることが確認された。
また対象物の細胞内に含まれる酸化活性を抑制し、保存前の状態のままで保存することができるため、人体のドーピング検査、植物の農薬検査に用いることもできる。
1 容器
1d 開閉扉
10 収容袋
11 冷凍容器
12 移動式保存容器
121 保存棚
122 車輪
13 冷蔵室
14 恒温容器
141 陳列棚
142 恒温装置
15 印加運搬容器
151 保管容器
152 保冷剤
153 断熱材
154 上収容室
155 取っ手
16 トンネルフリーザー
160 トンネル空間
161 冷気吹出口
162 シャッター口
163 断熱板
17 導電性コンベア
171 コンベアローラー
18 補助コンベア
2 電圧印加板
3 電気配線
31 架線
32 集電線
33 印加端子
331 ローラー
332 アーム
41 棒状電磁石
42 環状電磁石
43 容器状電磁石
431 磁性体容器
432 コイル
44 アーチ状電磁石
5 絶縁体
6 支持脚
7 永久磁石
8 電位制御装置
O 生体材料

Claims (4)

  1. 細胞を有する食品からなる対象物を液体に浸漬させて対象物を印加板の上に載せた状態又は導電性を有する包装資材で密閉した状態とし、このいずれかの状態で交流とプラス直流との同時印加工程を交流と直流の絶対値電位が同じ等電位状態で所定時間だけ行うプラス同時印加工程と、その後に交流のみの印加工程を、前記プラス同時印加工程よりも電位が高い高電位で所定時間だけ行って、対象物の細胞内に液体を前記所定時間だけ吸収させる交流印加工程と、
    交流印加工程の後に、交流とマイナス直流との同時印加工程を行うマイナス同時印加工程とを具備するものであって、
    前記マイナス同時印加工程は前記プラス同時印加工程と同じ電位であって且つ交流と直流が等電位状態で所定時間だけ行うものであり、
    前記印加板又は包装資材は、一対の電気配線による電極をそれぞれ対称位置に配してなり、前記各電気配線は、直流及び交流共に共通配線としてなり、前記各電極もまた直流及び交流を共有するものとして配されることを特徴とする、食品の保存方法
  2. マイナス同時印加工程は、直流電位と交流電位の絶対値が同じである請求項記載の食品の保存方法
  3. 熟成が必要な食品からなる対象物印加板の上に載せ、この状態で交流とマイナス直流との同時印加工程を交流と直流の絶対値電位が同じ等電位状態で行うマイナス同時印加工程と、マイナス同時印加工程と同じ絶対値電位でプラスとマイナスのみを変えた、交流とプラス直流との同時印加によるプラス同時印加工程とを、交互に10秒ないし10分までの間で調整した所定の切り替え時間ずつ、各工程6回ずつないし1000回ずつの間で調整した所定の繰り返し回数だけ繰り返すことで、保管する熟成度をコントロールするものであり、
    前記印加板は、一対の電気配線による電極をそれぞれ対称位置に配してなり、前記各電気配線は、直流及び交流共に共通配線としてなり、前記各電極もまた直流及び交流を共有するものとして配されることを特徴とする、食品の保存方法
  4. 印加板に電磁石を近接又は当接させ、対象物内に磁場を形成したものである請求項3記載の食品の保存方法。
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