JP2004053243A - 冷凍装置、冷凍方法および冷凍物 - Google Patents

冷凍装置、冷凍方法および冷凍物 Download PDF

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Motohiko Sato
佐藤 元彦
Kazuhiko Fujita
藤田 和彦
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Abstract

【課題】食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置、冷凍方法を提供すること、また、前記冷凍装置、冷凍方法を用いて製造される冷凍物を提供すること。
【解決手段】冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Aと、冷凍対象物5を載置する載置部7と、熱交換機8と、低温気体供給手段とを有している。低温気体供給手段は、熱交換機8によって熱交換された低温気体を除湿する除湿装置11と、該除湿された低温気体を循環させるファン9とを有しており、冷凍装置本体101内部を乾燥状態に保つ。また、クラスター細分化装置1Aは、水を含む冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる、複数個の磁場発生装置2を有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、冷凍装置、冷凍方法および冷凍物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷点下以下の温度で、食品等を冷凍し、保存する冷凍庫が広く用いられている。このような冷凍庫は、主として、食品の腐敗等を防止することにより長期間保存することを目的とするものであった。
【0003】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。また、食品の種類によっては、冷凍することによる品質の劣化が著しく、実質的に冷凍保存が不可能なものもあった。
【0004】
このような問題を解決する目的で、水素原子核に核磁気共鳴を生じさせて、食品を冷凍する試みがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような方法を用いても、冷凍による品質の劣化を十分に防止するのは困難であった。
【0005】
冷凍された食品は、通常、解凍して食されるが、上記のような方法では、食品の種類によっては、解凍時における、ドリップの発生を十分に防止することができなかった。また、中華麺、パスタ等の麺類は、一般に、冷凍後、解凍して調理した場合、風味・外観が損なわれ易いが、上記のような方法では、このような問題を解決することができなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−325062号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置、冷凍方法を提供すること、また、前記冷凍装置、冷凍方法を用いて製造される冷凍物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(71)の本発明により達成される。
【0009】
(1) 水を含む冷凍対象物を冷凍する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において前記冷凍対象物に磁場を与える磁場発生装置と、
外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給する低温気体供給手段とを有することを特徴とする冷凍装置。
【0010】
(2) 前記低温気体供給手段は、前記低温気体を除湿する除湿装置を備えたものである上記(1)に記載の冷凍装置。
【0011】
(3) 前記磁場発生装置は、前記磁場の強度を経時的に変化させる上記(1)または(2)に記載の冷凍装置。
【0012】
(4) 前記低温気体供給手段は、前記冷凍室の内部の圧力値を前記冷凍室の外部の圧力値以上に維持するものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0013】
(5) 前記冷凍対象物を冷凍する冷凍室と、該冷凍室内を通過する搬送経路と、該搬送経路に沿って前記冷凍対象物を搬送する搬送手段とを有し、
前記磁場発生装置は、前記冷凍室に配設されるとともに、搬送される前記冷凍対象物に前記磁場を与える上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0014】
(6) 前記磁場発生装置が前記搬送手段による搬送に伴って移動する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0015】
(7) 前記冷凍室に配設された第1の磁場発生装置と、前記搬送手段の搬送に伴って移動する第2の磁場発生装置とを有する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0016】
(8) 前記搬送経路は、前記冷凍室内において螺旋状を呈する上記(5)ないし(7)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0017】
(9) 前記冷凍室の形状は、トンネル状を呈する上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0018】
(10) 前記磁場発生装置は、一定の磁場強度の定常磁場を発生するものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0019】
(11) 前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させる回転手段を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0020】
(12) 前記磁場発生装置を複数有する上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0021】
(13) 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングを、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(12)に記載の冷凍装置。
【0022】
(14) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように、制御する上記(12)に記載の冷凍装置。
【0023】
(15) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する上記(12)に記載の冷凍装置。
【0024】
(16) 少なくとも2つの前記磁場発生装置が対面するように配置された上記(12)ないし(15)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0025】
(17) 複数個の前記磁場発生装置は、前記冷凍対象物に対向する面が、互いに直交するように設置された上記(12)ないし(16)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0026】
(18) 前記冷凍対象物を載置する載置部を有し、当該載置部付近において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御する上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0027】
(19) 前記冷凍対象物を載置する載置部と、熱交換機と、前記低温気体を循環させる循環装置とを有する上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0028】
(20) 前記磁場発生装置は、前記載置部またはその近傍に配置されている上記(18)または(19)に記載の冷凍装置。
【0029】
(21) 前記冷凍対象物に光を照射する光照射手段とを有する上記(1)ないし(20)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0030】
(22) 前記光は波長500nm以下である上記(21)に記載の冷凍装置。
【0031】
(23) 電圧を印加することにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する上記(1)ないし(22)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0032】
(24) 応力が作用することにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する上記(1)ないし(23)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0033】
(25) マイナスイオン発生源を揺動または振動させることにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する上記(1)ないし(24)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0034】
(26) 前記磁場発生装置は、冷凍装置内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、前記磁場の発生を停止するように制御する上記(1)ないし(25)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0035】
(27) 前記磁場発生装置は、冷凍装置内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、発生する磁場の強度が低下するように制御する上記(1)ないし(26)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0036】
(28) 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(1)ないし(27)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0037】
(29) 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(1)ないし(28)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0038】
(30) 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(1)ないし(29)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0039】
(31) 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(1)ないし(30)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0040】
(32) 前記所定の閾値は30℃以下である上記(30)または(31)に記載の冷凍装置。
【0041】
(33) 前記Tsは、−60〜−20℃である上記(28)ないし(32)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0042】
(34) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(1)ないし(33)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0043】
(35) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(1)ないし(34)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0044】
(36) 使用時における冷凍装置内の温度が−20℃以下である上記(1)ないし(35)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0045】
(37) 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである上記(1)ないし(36)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0046】
(38) 前記冷凍対象物に対して、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波、紫外線およびマイナスイオンのうち少なくともひとつを照射するエネルギー付与手段を有する上記(1)ないし(37)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0047】
(39) 前記冷凍対象物が食品である上記(1)ないし(38)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0048】
(40) 前記低温気体供給手段は、冷凍装置内に霜が付着するのを防止する機能を有するものである上記(1)ないし(39)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0049】
(41) 前記低温気体供給手段の運転と停止とを所定時間毎に繰り返す上記(1)ないし(40)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0050】
(42) 冷凍装置内の湿度を検出する湿度検出手段を有し、その検出結果に応じて、前記低温気体供給手段の稼動を制御する上記(1)ないし(41)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0051】
(43) 上記(1)ないし(42)のいずれかに記載の冷凍装置を用いて冷凍対象物を冷凍することを特徴とする冷凍方法。
【0052】
(44) 水を含む冷凍対象物を冷凍する方法であって、
前記冷凍対象物を冷凍する冷凍室内に、外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給しつつ、磁場発生装置が発生する磁場を前記冷凍対象物に与えることを特徴とする冷凍方法。
【0053】
(45) 前記低温気体は、除湿された空気である上記(43)に記載の冷凍方法。
【0054】
(46) 少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記磁場の強度を経時的に変化させる上記(44)または(45)に記載の冷凍方法。
【0055】
(47) 前記冷凍室の内部の圧力値が前記冷凍室の外部の圧力値以上に維持されるように前記低温気体を供給する上記(44)ないし(46)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0056】
(48) 前記冷凍室内に設けられた搬送経路に沿って前記冷凍対象物を搬送しつつ、前記対象物に対して前記磁場を与える上記(44)ないし(47)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0057】
(49) 前記磁場発生装置が前記搬送手段による搬送に伴って移動する上記(48)に記載の冷凍方法。
【0058】
(50) 前記搬送経路は、前記冷凍室内において螺旋状を呈するものである上記(48)または(49)に記載の冷凍方法。
【0059】
(51) 前記冷凍室の形状は、トンネル状を呈する上記(48)ないし(50)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0060】
(52) 前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させつつ、前記磁場を発生する上記(44)ないし(51)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0061】
(53) 複数個の前記磁場発生装置から前記磁場を発生する上記(44)ないし(52)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0062】
(54) 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングを、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(53)に記載の冷凍方法。
【0063】
(55) 3つ以上の前記磁場発生装置から前記磁場を発生させつつ、前記冷凍対象物を冷却し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように、制御する上記(53)に記載の冷凍方法。
【0064】
(56) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する上記(53)に記載の冷凍方法。
【0065】
(57) 前記冷凍対象物を載置する載置部を有し、当該載置部付近において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御する上記(44)ないし(56)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0066】
(58) 前記冷凍対象物に波長500nm以下の光を照射しつつ、前記冷凍対象物を冷却する上記(44)ないし(57)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0067】
(59) 前記磁場発生装置は、前記冷凍内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、前記磁場の発生を停止するように制御する上記(44)ないし(58)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0068】
(60) 前記磁場発生装置は、前記冷凍室内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、発生する磁場の強度が低下するように制御する上記(44)ないし(59)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0069】
(61) 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(44)ないし(60)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0070】
(62) 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(44)ないし(61)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0071】
(63) 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(44)ないし(62)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0072】
(64) 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(44)ないし(63)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0073】
(65) 前記所定の閾値は30℃以下である上記(63)または(64)に記載の冷凍方法。
【0074】
(66) 前記Tsは、−60〜−20℃である上記(61)ないし(65)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0075】
(67) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(44)ないし(66)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0076】
(68) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(44)ないし(67)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0077】
(69) 前記冷凍対象物が食品である上記(44)ないし(68)のいずれかに記載の冷凍方法。
【0078】
(70) 上記(1)ないし(42)のいずれかに記載の冷凍装置を用いて製造されたことを特徴とする冷凍物。
【0079】
(71) 上記(43)ないし(69)のいずれかに記載の冷凍方法を用いて製造されたことを特徴とする冷凍物。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0081】
図1は、本発明の第1実施形態の冷凍装置を示す概略図であり、図2は、図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図であり、図3、図4は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの例である。なお、図1、図2(後述する図5〜図33も同様)は、一部を誇張して示したものであり、実際の大きさを反映するものではない。
【0082】
本発明の冷凍装置10は、水を含む冷凍対象物5に対して用いるものであり、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化した状態で冷凍する機能を有する。言い換えると、本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を部分的に切断した状態で冷凍する機能を有する。
【0083】
本明細書中では、「水のクラスター」とは、主として水分子で構成されたクラスター(Cluster)のことを指すものとして説明する。「水のクラスター」としては、例えば、実質的に水分子のみで構成されたクラスターや、主として水分子で構成され、かつ水以外の成分(水分子以外の分子、イオン等)を含むもの等が挙げられる。
【0084】
本発明の冷凍装置10に適用される冷凍対象物5は、水を含むものであれば、いかなるものであってもよい。このような冷凍対象物5としては、例えば、食品(飲料を含む)、飼料、生体組織(例えば、血液(血液成分)、臓器、皮膚組織、筋組織、神経組織、骨組織、軟骨組織等の各種組織や、生殖細胞等の各種細胞等)、生花、薬品(医薬品、試薬等を含む)や、これらのうち少なくとも一つを含むもの等が挙げられ、これらをそのまま用いてもよいし、例えば、梱包、包装した状態で用いてもよい。この中でも、冷凍対象物5としては、食品が好ましい。食品は、従来の冷凍装置を用いた場合に、品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を特に生じ易く、実質的に冷凍保存が不可能なものもある。食品の中でも特に、中華麺、そば、うどん、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく形状(構造)や風味が損なわれ易かった。また、野菜のような緑黄色の食品は、鮮度が損なわれ易かった。以下の説明では、食品を冷凍対象物5の代表として説明する。
【0085】
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Aと、冷凍対象物5を載置する載置部7と、熱交換機8と、外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体(冷気)を供給する低温気体供給手段とを有する。低温気体は、いかなる組成を有するものであってもよく、例えば、Heガス、Arガス、Nガス等の不活性ガスや、空気等を用いることができる。低温気体として空気(低温空気)を用いることにより、冷凍装置10の構成を比較的簡素なものとすることができる。また、冷温気体として、不活性ガスを用いた場合、冷凍対象物5が酸化等による悪影響を受け易いものであっても、このような悪影響の発生をより効果的に防止することができる。以下の説明では、低温気体として冷温空気を用いるものとして説明する。また、本実施形態においては、低温気体供給手段は、熱交換機8によって熱交換された低温気体(冷気)を除湿する除湿装置11と、該除湿された低温気体を循環させるファン9とを有するものである。
【0086】
載置部7は、冷凍装置本体101の内部に配されている。
図示の構成では、載置部7は、複数のトレイ71を有するラックである。載置部7がこのようなラックであることにより、例えば、冷凍装置本体101内を循環する低温気体と、冷凍対象物5との接触面積が大きくなるように、冷凍対象物5を配することが可能となる。このため、例えば、冷凍対象物5の総量が比較的多い場合であっても(冷凍対象物5が複数個ある場合であっても)、冷凍対象物5の冷凍処理を効率良く行うことができる。
【0087】
ラックは、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましく、特に、アルミニウムで構成されたものであるのがより好ましい。
【0088】
熱交換機8は、蒸発器81と、圧縮機82と、凝縮器83とを有し、蒸発器81−圧縮機82間および蒸発器81−凝縮器83間は、それぞれ、冷媒配管84、85で接続されている。また、熱交換機8内には、冷媒が充填されている。
【0089】
このような熱交換機8は、冷凍装置本体101の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ作用を有する。
【0090】
すなわち、熱交換機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81において冷凍装置本体101内部の熱を奪い、圧縮機82において圧縮され、凝縮器83において外気に熱を排出することにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ。
【0091】
前述したように、本実施形態においては、低温気体供給手段は、熱交換機8によって熱交換された低温気体を除湿する除湿装置11と、該除湿された低温気体を循環させるファン9とを有するものである。
【0092】
除湿装置11は、ドライヤーを内部に備える除湿器110と、低温気体(冷凍装置本体101内部の雰囲気ガス)を回収する回収口(不図示)および低温気体を排出する排出口(不図示)を有する導排出部111と、回収口で回収した低温気体を除湿器110へと導入する導入路112と、除湿器110が除湿した低温気体を導排出部111へ送出する送出路113とを備える。そして、除湿装置11の導排出部111は、冷凍装置本体101の内部に配設され、回収口において蒸発器81に接続するとともに、排出口において後述のファン9に接続する。
【0093】
このような除湿装置11は、冷凍装置本体101の内部を循環する(冷凍対象物5に供給される)低温気体の除湿を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を乾燥状態に保つ作用を有する。
【0094】
すなわち、除湿装置11は、導排出部111の回収口で熱交換機8によって熱交換された低温気体(冷気)を回収し、導入路112が回収された低温気体を除湿器110へ導入し、除湿器110が導入された低温気体を除湿し、送出路113が除湿済みの低温気体を導排出部111へ送出し、かつ導排出部111の排出口が除湿済みの低温気体をファン9を介して冷凍装置本体101の内部に排出することにより、冷凍装置本体101の内部を乾燥状態に保つ。除湿装置11については、後にさらに詳述する。
【0095】
ファン(循環装置)9は、冷除湿された低温気体を冷凍装置本体101の内部において循環させる機能を有する。これにより、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度および湿度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、冷凍させることが可能となる。
【0096】
ファン9からの送風速度(送風量)は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10m/sであるのが好ましく、2〜8m/sであるのがより好ましい。
【0097】
ファン9からの送風速度が前記下限値未満であると、冷凍装置本体101の容積等によっては、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度および湿度のバラツキを十分に小さくすることができない可能性がある。一方、ファン9からの送風速度が前記上限値を超えると、後述するクラスター細分化装置1Aの機能が十分に発揮されず、冷凍対象物5中の水のクラスターが十分に細分化されない状態で、冷凍対象物5が凍結する可能性がある。その結果、冷凍対象物5(食品)の品質の低下を十分に防止、抑制するのが困難となる可能性がある。
【0098】
冷凍装置10を使用する際における冷凍装置本体101の内部の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度であれば、特に限定されないが、例えば、−20℃以下であるのが好ましく、−80〜−20℃であるのがより好ましく、−70〜−30℃であるのがさらに好ましい。冷凍装置本体101の内部の温度をこのような範囲の値とすることにより、後に詳述するように、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを十分かつ均一に微細化した状態(水素結合を効率良く切断した状態)で、冷凍対象物5を凍結させることができ、その後、クラスター細分化装置1Aの運転を停止させたり、凍結した冷凍対象物5を、本発明の冷凍装置10から取り出し、公知の冷凍装置(クラスター細分化装置を有していない冷凍装置)内に移した場合であっても、十分長期間にわたって、凍結した冷凍対象物5中のクラスターが微細化した状態を確実に保持することが可能となる。その結果、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0099】
これに対し、冷凍装置本体101の内部の温度が前記上限値を超えると、水のクラスターが十分に微細化した状態で冷凍対象物5を保存するのが困難となり、冷凍対象物5の長期安定性を十分に向上させるのが困難となる場合がある。また、冷凍装置本体101の内部の温度が低すぎると、冷凍対象物5の冷却速度が速くなりすぎるため、水のクラスターの微細化が十分に進行しない状態で冷凍対象物5が凍結し、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。
【0100】
冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1Aの作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。以下、クラスター細分化装置1Aについて詳細に説明する。
【0101】
図1、図2に示すように、クラスター細分化装置1Aは、水を含む冷凍対象物5に磁場を与える、複数個の磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2C)と、各磁場発生装置2が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3とを有している。このように、磁場発生装置を複数個有していると、これらが相乗的に作用し、以下に説明する磁場発生装置による効果がより効果的に発揮される。
【0102】
まず、複数個の磁場発生装置2について説明するが、磁場発生装置2A、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cは、同様の構成であるので、磁場発生装置2Aについて代表的に説明する。
【0103】
磁場発生装置2Aは、コイル21と、非磁性体カバー22とを有する。
コイル21は、電流が流れることにより、その周辺に磁場を発生し、冷凍対象物5に磁場を与えることができる。このように、磁場発生装置2Aは、磁場を発生することができるものであれば、いかなるものであってもよいが、その磁場強度を経時的に変化させることが可能なものであるのが好ましい。このように、磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度を経時的に変化させることができるものであると、磁場発生装置2Aの近傍に置かれた冷凍対象物5に与える磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を経時的に変化させることが可能となる。その結果、冷凍対象物5中において、主として水分子−水分子間で形成されている水素結合が効率良く切断され、水のクラスターが効率良く細分化される。また、冷凍対象物5における磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)が経時的に変化することにより、水分子間で、水素結合が再形成したり、水中に含まれる水素イオン(H)と、水酸化物イオン(OH)とが結合するのを効果的に防止することができる。その結果、水のクラスターが細分化された状態を効率良く維持することができる。磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度は、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を調整することにより、変化させることができる。
【0104】
このようにして水のクラスターが細分化されることにより、冷凍対象物5(食品)は、例えば、風味、外観、香り等の品質の劣化がし難いものとなる。
【0105】
また、前述したように、冷凍装置10の使用時における冷凍装置本体101の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0106】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。このような食品の品質の低下は、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる。そして、本発明者は、このようなミクロ的な構造の変化が、主として、冷凍時に形成される、粗大化した氷によるものであることを見出した。
【0107】
上述したように、本発明の冷凍装置10を用いた場合、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、本発明では、冷凍により、冷凍対象物5中でのミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、冷凍対象物5の品質を十分に保持しつつ、極めて長期間にわたって保存することが可能となる。また、冷凍時における前記細胞の破壊を、効果的に防止、抑制することができるため、冷凍対象物5の解凍時におけるドリップの発生も効果的に防止することができる。
【0108】
また、本発明者は、冷凍対象物に対して磁場を与えつつ、冷却することにより、通常の冷凍装置を用いた場合に比べて、冷凍対象物の凍結時における潜熱が小さくなり、冷凍対象物の冷却を効率よく行えることを見出した。すなわち、ほぼ一定の冷却速度で冷凍対象物を冷却した場合、冷凍対象物中の水が凝固する際においては、通常、冷凍対象物の温度が所定時間ほぼ一定になるが、本発明の冷凍装置を用いることにより、図35に示すように、水の凝固が開始してから終了するまでに要する時間を短くすることができ、より短時間で冷凍対象物の温度を低下させることができる。このような傾向は、冷凍対象物の素材や、冷凍装置の運転条件等を適宜選択することにより、さらに顕著なものとすることができ、極端な場合、図36に示すように、冷凍対象物の凍結時における潜熱が実質的に観測されない場合もある。これにより、冷凍による、冷凍対象物の品質の低下をさらに効果的に防止することができる。
【0109】
コイル21を流れる電流は、直流であっても、交流であってもよい。特に、コイル21を流れる電流が交流であると、磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度を比較的容易に変化させることができる。
【0110】
図示の構成では、コイル21は円形コイルであるが、コイル21の形状は、特に限定されない。コイル21は、例えば、ベースボールコイル、角形コイル等、いかなる形状のものであってもよい。
【0111】
非磁性体カバー22は、コイル21を保護、固定する機能を有する。
非磁性体カバー22の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。
【0112】
磁場発生装置2Aが発生する磁場は、特に限定されないが、例えば、交番磁場であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5における磁場強度を容易に変化させることができ、また、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0113】
交番磁場における周波数は、特に限定されないが、例えば、20〜25000Hzであるのが好ましく、40〜1200Hzであるのがより好ましい。交番磁場における周波数が前記範囲内の値であると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、より効果的に細分化することができる。
【0114】
磁場発生装置2Aが発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、冷凍対象物5における磁場が、100〜12000Gsであるのが好ましく、300〜7000Gsであるのがより好ましい。磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5における磁場強度の変化量を十分に大きくすることが困難となり、冷凍対象物5の種類等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。一方、磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、装置の大型化を招く。また、磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、磁場の発生に要する電圧が高くなり、それに伴い、コイルからの発熱量が大きくなり、冷却効率が低下する傾向を示す。
【0115】
また、磁場発生装置2Aが発生する磁場は、上述したような交番磁場に限定されない。例えば、磁場発生装置2Aが発生する磁場は、間欠的なものであってもよい。この場合、発生する磁場の周波数、最大強度等の好ましい範囲は、前記と同様である。また、磁場発生装置2Aが発生する磁場は、強度が一定のもの(定常磁場)であってもよい。
【0116】
以上、磁場発生装置2Aについて説明したが、磁場発生装置2B、磁場発生装置2Cについても、磁場発生装置2Aと同様の構成、機能を有している。
【0117】
前述したように、本発明においては、冷凍装置が、複数個の磁場発生装置を有しているのが好ましい。複数個の磁場発生装置を有することにより、例えば、後に詳述するように、磁場制御装置で、各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンを、個別に制御することができる。これにより、クラスター細分化装置全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0118】
上述したように、本発明の冷凍装置は、複数個の磁場発生装置、すなわち、2つ以上の磁場発生装置を有するものであるのが好ましいが、3つ以上の磁場発生装置を有するものであるのがより好ましい。これにより、冷凍対象物中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0119】
また、クラスター細分化装置1Aを構成する磁場発生装置のうち、少なくとも2つが対面するように配置(図2では、磁場発生装置2Aと磁場発生装置2Cとが冷凍対象物載置空間を介して対面するように配置)されたものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0120】
また、例えば、それぞれの磁場発生装置2で、コイル21の形状、大きさが、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。また、それぞれの磁場発生装置2において、発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0121】
このような磁場発生装置2は、載置部7またはその近傍に配置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効果的に細分化することが可能となる。
【0122】
磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2Bまたは磁場発生装置2C)と冷凍対象物5との距離(最短距離)は、磁場発生装置2が発生する磁場強度等により異なるが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましく、20cm以下であるのがさらに好ましい。磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)が150cmを超えると、磁場発生装置2が発生する磁場強度等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。
【0123】
図示のように、本実施形態では、磁場発生装置2Bと、載置部7(特にトレイ71)とが一体的に形成されている。これにより、冷凍対象物5と、磁場発生装置2との距離を、常に短くすることができる。その結果、クラスター細分化の効果をさらに高めることができる。また、別部材として設置する磁場発生装置2の数を減らすことができるため、冷凍装置の大容量化、省スペース化に有利である。
【0124】
また、各磁場発生装置2は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、磁場発生装置2の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、磁場発生装置の交換を行わなくてもよいので(または、磁場発生装置の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0125】
次に、磁場制御装置3について説明する。
磁場制御装置3は、各磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2C)が発生する磁場の強度を、個別に制御する機能を有する。これにより、磁場発生装置2のうち少なくとも1つからの磁場の発生のタイミング(磁場の発生パターン)を、他の磁場発生装置2からの磁場の発生タイミングと異なるように制御することができる。このように、複数個の磁場発生装置2で、磁場の発生タイミングを異なるものとすることにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。すなわち、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を効率良く切断することができる。その結果、品質の低下を十分に防止・抑制しつつ、冷凍対象物5を冷凍することができる。
【0126】
磁場制御装置3は、例えば、各磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2C)のコイル21を流れる電流の方向(極性)、周波数や電流量等を変化させる可変機能を有するものであってもよい。これにより、各磁場発生装置2が発生する磁場の強度を、より正確に制御することができ、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0127】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図3に示すように制御することができる。
【0128】
すなわち、まず、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、磁場発生装置2Cのコイル21には、電圧を印加しない(通電しない)。また、磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物5における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0129】
所定時間、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Aのコイル21から、磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5の各部位における磁場を万遍なく変化させることが可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0130】
その後、前記と同様に、所定時間、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0131】
その後、磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Bのコイル21から、磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0132】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物5における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物5における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0133】
以上説明したように、本実施形態の冷凍装置10は、各磁場発生装置2について、稼動−休止を繰り返し行う。そして、本発明者は、冷凍装置本体101内部の温度がほぼ一定に保たれているにも関わらず、冷凍対象物5中の水分の氷結が、稼動していた磁場発生装置2を休止する際に(すなわち、磁場を発生する磁場発生装置2を切り替える際に)、優先的に進行することを見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0134】
すなわち、磁場発生装置2から磁場が発生している状態では、与えられた磁場により、冷凍対象物5中の水分子等が振動しているため、その温度が氷結温度以下になっても、冷凍対象物5は氷結に至らず、過冷却の状態になる。このような状態で、磁場を発生していた磁場発生装置2の運転を休止することにより、冷凍対象物5中の水分は一気に氷結に至る。そして、本実施形態では、上記のような磁場の発生−停止を繰り返し行うため、冷凍対象物5の冷凍を速やかに進行させることができる。また、上記のような磁場の発生−停止を、各磁場発生装置2について、順次繰り返し行うため、冷凍対象物5の氷結が各部位で均等に進行する。このため、冷凍対象物5は、その品質を十分に維持した状態で凍結に至る。
【0135】
また、上記のように、本実施形態では、2つの磁場発生装置2からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置2の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物5付近において、磁力線が回転するように、磁場の発生を制御する。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0136】
なお、図3に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置2において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0137】
また、各磁場発生装置2が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置2で異なるものであってもよい。
【0138】
また、クラスター細分化装置1Aは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置1Aの稼動を終了してもよい。
【0139】
また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図4に示すように制御してもよい。
【0140】
すなわち、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、磁場発生装置2Bから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0141】
この場合、各磁場発生装置2から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0142】
本発明は、さらに、外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給する低温気体供給手段を有する点に特徴を有する。このように、水蒸気の含有量の少ない低温気体が供給されることにより、冷凍装置(冷凍室)内部を乾燥状態に保つことができ、外部から冷凍対象物内への余分な水分の侵入等による、冷凍対象物におけるクラスターの粗大化を防止することができる。すなわち、本発明においては、前述したようなクラスター細分化装置(磁場発生装置)による効果と、低温気体供給装置による効果とが相乗的に作用し、冷凍対象物中の水のクラスターを効率良く細分化した状態で冷凍(凍結)させることができる。
【0143】
また、冷凍装置が低温気体供給手段を有することにより、冷凍装置の内面への霜の付着が効果的に防止され、冷凍装置の冷却効率の低下をより効果的に防止することができる。
【0144】
また、冷凍装置が低温気体供給手段を有することにより、冷凍対象物の表面への霜の付着も防止され、以下に説明するような、霜の付着による弊害の発生を効果的に防止することができる。
【0145】
すなわち、冷凍対象物の表面に比較的比熱の大きい霜(水)が付着すると、霜が付着した部位付近における冷凍対象物の冷却速度が低下し、冷凍対象物が冷凍装置内に投入されてから冷凍(凍結)が完了するまでの時間が長くなる。その結果、冷凍対象物の品質の劣化を十分に防止することが困難になる場合がある。また、冷凍対象物の表面の一部に霜が付着すると、霜が付着している付近の領域と、それ以外の領域とで、冷却速度が大きく異なることとなり、冷凍対象物の品質の劣化を十分に防止することが困難になる場合がある。これに対し、本発明では、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。
【0146】
低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、外気の水蒸気含有量(含有率)より少なければ特に限定されないが、4.0×10−3g/L以下であるのが好ましく、3.0×10−3g/L以下であるのがより好ましく、2.0×10−4g/L以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0147】
また、特に、本実施形態では、低温気体供給手段が、冷凍装置本体101の内部において低温気体(冷気)を循環させるファン(循環装置)9と、循環する低温気体を除湿する除湿装置11とを有するものである。これにより、冷凍対象物5に対して、水蒸気含有量の少ない低温気体を効率良く供給することができる。その結果、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0148】
また、除湿装置11を有することにより、冷凍装置本体101内部の雰囲気ガスを、前記低温気体として繰り返し利用する(循環させる)ことができる。これにより、冷凍装置10の運転時等における冷凍装置本体101の外部からの気体の供給が不要となる(または、冷凍装置本体101外部からの気体の供給量を低減させることができる)。その結果、冷凍装置10のエネルギー効率を特に優れたものとすることができるとともに、冷凍装置10の構成を簡易なものとすることができる。
【0149】
また、本実施形態では、除湿装置11(除湿器110)にポンプPが接続されている。これにより、除湿装置11による冷凍装置本体(冷凍室)101からの吸気量より、除湿装置11による冷凍装置本体(冷凍室)101内への排気量を大きくすることができる。すなわち、本実施形態では、比較的容易に、冷凍装置本体101の内部の圧力を冷凍装置本体101の外部の圧力に比べて高くすることができる。これにより、冷凍装置本体101の内部への水分の侵入(特に、冷凍対象物5の投入時や、冷凍対象物5の取り出し時における水分の侵入)を効果的に防止することができ、上記のような効果をさらに顕著なものとすることができる。なお、ポンプPは、冷凍装置10の運転時において常に稼動するものであってもそうでなくてもよい。例えば、ポンプPは、冷凍装置10の運転時において、初期の段階では(または、図示しない扉の開閉操作を行ってから所定時間)稼動し、その後停止するように制御されるものであってもよい。また、冷凍装置10が冷凍装置本体101内部の圧力を検出する図示しない圧力センサを有し、該圧力センサにより検出された圧力の値により、ポンプPの稼動を制御するものであってもよい。上記のように、ポンプPの稼動を制御することにより、上述したような効果を十分に発揮させつつ、省エネルギー化を図ることができる。
【0150】
冷凍装置10の運転時において、冷凍装置本体(冷凍室)101内部は、冷凍装置本体(冷凍室)101外部の圧力に比べて、100Pa以上高い圧力に維持されているのが好ましく、1000Pa以上高い圧力に維持されているのがより好ましく、3000Pa以上高い圧力に維持されているのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0151】
また、冷凍装置10の運転時において、冷凍装置本体(冷凍室)101内部の圧力は、1.02×10Pa以上であるのが好ましく、1.03×10Pa以上であるのが好ましく、1.05×10〜8×10Paであるのがより好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0152】
また、除湿装置11の導排出部111は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、除湿装置11の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、導排出部111の交換を行わなくてもよいので(または、導排出部111の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0153】
ところで、一般に、気体は、低温状態における密度の方が、高温状態における密度に比べて大きくなる。したがって、冷凍室(冷凍装置本体)内においては、上部の温度が下部の温度に比べて、高くなる場合がある。一方、本実施形態の冷凍装置では、ファン(循環装置)9および除湿装置11の導排出部111が、冷凍装置10(冷凍装置本体101)の上部(天井部)に設けられている。これにより、冷凍装置本体101内の雰囲気(気体)を効率良く攪拌することができ、各部位での温度のバラツキをより小さくすることができる。また、例えば、冷凍装置本体101の容積が比較的大きい場合であっても、冷凍装置本体101内の各部位での温度のバラツキをより確実に小さいものとすることができる。
【0154】
以上説明したような低温気体供給手段は、冷凍装置10の運転時において、常に稼動するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、低温気体供給手段は、冷凍装置10の運転時において、初期の段階では稼動し、その後停止するように制御されるもの(例えば、後述する第15〜第17実施形態での磁場発生装置と同様に制御されるもの)であってもよいし、所定の時間毎に運転と停止とを繰り返すものであってもよい。また、図1に示すように、冷凍装置10が冷凍装置本体101内の湿度を検出する湿度センサ(湿度検出手段)12を有し、該湿度センサ12により検出された湿度の値により、低温気体供給手段(ファン9、除湿装置11の少なくとも一方)の稼動を制御するものであってもよい。上記のように、低温気体供給手段の稼動を制御することにより、上述したような効果を十分に発揮させつつ、省エネルギー化を図ることができる。
【0155】
クラスター細分化装置1Aは、さらに、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波、紫外線およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段4を有するものであるのが好ましい。クラスター細分化装置1Aが、このようなエネルギー付与手段4を有するものであると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。エネルギー付与手段4がマイクロ波を照射するものである場合、当該マイクロ波は、断続的(非連続的)に照射されるものであるのが好ましい。具体的には、0.1〜10秒間のマイクロ波の照射と、0.1〜20秒間のマイクロ波の照射の停止とを繰り返し行うのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0156】
図示の構成では、磁場発生装置2A,2B,2Cの各々と、エネルギー付与手段4とが一体的に形成されている。
【0157】
エネルギー付与手段4が遠赤外線を照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、アルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、二酸化珪素(SiO)、酸化クロム(Cr)、フェライト(FeO・Fe)、スピネル(MgO・Al)、セリア(CeO)、ベリリア(BeO)、Na、SnO、SiC、ZrC、TaC、ZrB等のセラミックス、トルマリン等の鉱石等を用いることができる。この中でも、特に優れた効率で遠赤外線を照射することが可能であると言う点で、エネルギー付与手段4の構成材料としてセラミックスを用いるのが好ましい。
【0158】
また、エネルギー付与手段4が超音波を照射するものである場合、エネルギー付与手段4としては、例えば、超音波振動子等を用いることができる。
【0159】
また、エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、トルマリン、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石等の鉱石、BaTiO、PbTiO、PbZrO、Pb(Zr,Ti)O、KNbO、KTaO、K(Ta,Nb)O、LiNbOやロッシェル塩、硫酸グリシン、りん酸カリウム、プロピオン酸カルシウムストロンチウム等を用いることができる。エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものであると、冷凍対象物5の酸化等を防止・抑制することができ、品質を保持することができる。このため、例えば、冷凍対象物5が食品である場合、より長期間保存した場合であっても、優れた風味等を保持することができる。
【0160】
また、エネルギー付与手段4は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、エネルギー付与手段4の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、エネルギー付与手段4の交換を行わなくてもよいので(または、エネルギー付与手段4の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0161】
上記のような冷凍装置を用いて冷凍対象物を冷凍することにより、本発明の冷凍物が得られる。このようにして得られる本発明の冷凍物は、水のクラスターが細分化された状態で冷凍されたものであるため、冷凍前の状態に比べても十分に高い品質を維持したものとなる。また、本発明の冷凍物は、水のクラスターが細分化された状態で冷凍されたものであるため、比較的長期間にわたって保存した場合であっても、品質の低下が十分に防止、抑制される。
【0162】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第2実施形態について説明する。
図5は、本実施形態の冷凍装置を示す概略図、図6は、図5に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図、図7は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例、図8は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【0163】
以下、第2実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0164】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Bの構成が後述する光照射手段26を有する点以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0165】
図5に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Bと、載置部(ラック)7と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)と、冷凍対象物5に所定の光を照射する光照射手段26とを有する。ここでは、載置部(ラック)7の棚部または枠部などに光照射手段26が設置される。
【0166】
図5、図6に示すように、クラスター細分化装置1Bでは、磁場発生装置2A、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cが、冷凍対象物5を載置する部分を囲むようにコの字状に配置され、冷凍対象物5の上方に光照射手段26が配置されるとともに、各磁場発生装置2は、各磁場発生装置2の発生磁場の強度を制御する磁場制御装置3と接続されている。ここで、磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2Cおよび磁場制御装置3は前記第1実施形態で用いられたものと同様である。
【0167】
光照射手段26は、冷凍対象物5に波長500nm以下の光を照射するものであり、図示の構成では、1または2以上の光源261と、各光源261を後述するような所定の条件で駆動する光源駆動制御手段262とを有する。
【0168】
光源261の具体例としては、青色光ランプ、紫色光ランプ、紫外線ランプ、ハロゲンランプ、ネオンランプ、キセノンランプ、半導体レーザ、発光ダイオード等の各種光源や、X線源(以下これらを総称して「光源」と言う)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような比較的短波長の光を照射することにより、後述する磁場発生装置による磁場の印加と相まって、冷凍対象物5の品質を長期間良好に維持することができる。
【0169】
上記のように、光照射手段26は、波長500nm以下の光を照射するものであるが、光照射手段26が照射する光の波長(発光ピーク値)は、260〜500nmであるのが好ましく、270〜470nmであるのが好ましく、290〜430nmであるのがさらに好ましい。これにより、光照射による効果がさらに顕著なものとなるとともに、その光源として、比較的簡易なもの、安価なものを用いることができる。これに対し、照射光の波長が長すぎると、光照射による効果が十分に発揮されない。
【0170】
なお、図示の構成では、光源261は、冷凍対象物5の図中上方に設置されているが、光源261の設置位置や配置は、図示のものに限定されず、例えば、冷凍対象物5の側方、後方、前方、下部、斜め上方など、冷凍対象物5に対し光を照射可能であれば、いかなる箇所であってもよい。
【0171】
また、光源261から発せられた光を冷凍対象物5に直接照射する場合に限らず、例えば、ミラー、反射板、集光板、レンズ、プリズム、光学フィルター、拡散板、光ファイバー等の各種光学素子(図示せず)を介して照射してもよい。特に、これらの光学素子を用いて、冷凍対象物5に対しより広範囲に、あるいは多方向から光を照射することは、冷凍対象物5の全体に対しより均一に光が照射されるので、有効である。また、上記のような光学素子(導光手段)を用いることにより、光源261を冷凍装置本体101の外部に配置した場合であっても、冷凍対象物5に対して、好適に光を照射することができる。その結果、光源261の低温環境下における耐久性(耐低温性)が比較的低いものであっても、長期間にわたって、所定波長の光を照射することができる。したがって、光源261の交換が不要となり(または光源261の交換回数を少なくすることができ)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0172】
また、光照射手段26は、光源261が露出するように配置されるものであってもよいが、光源261の周囲が、光透過性を有する防寒手段で覆われた状態で配置されるものであってもよい。これにより、光源261の低温環境下における耐久性(耐低温性)が比較的低いものであっても、長期間にわたって、所定波長の光を照射することができる。したがって、光源261の交換が不要となり(または光源261の交換回数を少なくすることができ)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0173】
光照射手段26は、冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を連続的または段階的に変化(増減)することができるものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5への照射光の強度を経時的に変化させることができ、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターをより効率的に細分化することができる。
【0174】
冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を変化させる方法の例としては、光源への印加電圧を増減する方法、光源の稼動本数(面積)を変化させる方法、冷凍対象物5と光源261との距離を変化させる方法、遮光手段による遮光を行う方法、照射光の波長を500nm以下と500nm超とに切り替える方法等が挙げられる。
【0175】
また、光照射手段26は、冷凍対象物5に対し照射する光の方向(または照射位置)を変えることができるよう構成されていてもよい。この場合、例えば、光源261を冷凍対象物5に対し相対的に変位(移動、回転等)可能とする構成が挙げられる。なお、この場合、光源261を相対的に変位させる変位手段(図示せず)は、光照射手段26の構成要素に含まれる。さらには、ミラー等の前述した光学素子を用いる場合、その光学素子を冷凍対象物5に対し相対的に変位(移動、回転等)させてもよい。このような構成とすることにより、冷凍対象物5に対する照射光の照射位置を変えたり、照射光の強度を変えたりすることができ、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0176】
また、冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1Bと低温気体供給手段(除湿装置11およびファン9)との作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。
【0177】
クラスター細分化装置1Bは、光照射手段26を有し、磁場発生装置(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2Cのうちの少なくとも1つ)による磁場の発生とともに、冷凍対象物5に対し、波長500nm以下の光、好ましくは波長が260〜500nmの光、より好ましくは波長が270〜470nmの光、さらに好ましくは波長が290〜430nmの光(以下「短波長光」と言う)を照射する。
【0178】
前述したように、冷凍対象物5は、磁場の印加により冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化されるが、それに加えて短波長光が照射されることにより、冷凍対象物5の組織が短波長光により励起され、また、磁場の影響をより受け易い状態となり、その結果、水のクラスターの細分化がさらに促進される。特に、通常の食品はもちろんのこと、野菜のような緑黄色の食品でも、照射光が短波長光であるため、吸収され易く、上記効果が得られる。
【0179】
短波長光の照射は、図7中に示すように、いずれかの磁場発生装置により磁場が印加されている間常時行なわれても、断続的(間欠的)に行なわれてもよい。後者の場合、例えば図8中に示すように、磁場発生装置2Bからの磁場の発生に同期して短波長光の照射(光照射手段26の作動)を行うことができる。
【0180】
この図8の例では、3つの磁場発生装置による合計の磁場の強度の増減と光照射手段26による短波長光の強度の増減とが同期して行なわれる。すなわち、図8に示す例では、3つの磁場発生装置2A、2B、2Cが作動しているときと2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときが交互に訪れるが、前者のときに、すなわち磁場の強度の合計が大きいときに、これに同期して光照射手段26をオンとし、短波長光を照射する。このようにすることにより、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0181】
なお、図8においては、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているとき(磁場発生装置2Bが作動していないとき)は、光照射手段26がオフとなり、短波長光が照射されないようになっているが、これに限らず、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときは、光照射手段26をパワーダウン(点灯する光源の数の減少および/または光源への印加電圧の減少等)するなどして、短波長光の照射光量を減少させるような構成としてもよい。また、光照射手段26の光源261等が冷凍対象物5に対し相対的に変位(移動、回転等)するなどして、短波長光の照射方向(照射位置)を変化させるような構成としてもよい。以上のような光源261の点灯/消灯制御、パワーの制御、変位の制御等は、光源駆動制御手段262により行なわれる。
【0182】
また、前述した実施形態では、光照射手段が固定され、冷凍対象物を静置した状態で冷凍する構成の冷凍装置について説明したが、光照射手段と、冷凍対象物とが相対的に移動する構成であってもよい。すなわち、光照射手段と、冷凍対象物のうち少なくとも一方が移動する構成のものであってもよい。これにより、冷凍対象物における磁場や短波長光の照射パターンをより複雑に変化させることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターを、より効率良く細分化することが可能となる。
【0183】
なお、本実施形態の冷凍装置10における光照射手段26は、後述する各実施形態の冷凍装置にも適用可能であり、各実施形態において上述した効果を奏することが可能である。
【0184】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第3実施形態について説明する。
図9は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0185】
以下、第3実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0186】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Cの構成が前記実施形態で用いたものとは異なる以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0187】
図9に示すように、クラスター細分化装置1Cは、複数個の磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2C)を有しており、これらの冷凍対象物5に対向する面が、互いに直交するように、各磁場発生装置2が設置されている。
【0188】
複数個の磁場発生装置2がこのように配置されることにより、クラスター細分化装置1C全体として、冷凍対象物5に与える磁場の形状、冷凍対象物5付近における磁力線の方向を、三次元的に効率良く変化させることができる。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、均等かつ効率良く進行させることができる。
【0189】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第2実施形態で説明した図7のように制御することができる。これにより、冷凍対象物5付近において、磁力線が三次元的に回転するように、磁場の発生が制御される。その結果、冷凍対象物5が複雑な形状を有するものであっても、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第2実施形態で説明した図8のように制御してもよい。
【0190】
なお、図9中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1C)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0191】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第4実施形態について説明する。
図10は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図、図11は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例、図12は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【0192】
以下、第4実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0193】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Dの構成が前記実施形態で用いたものとは異なる以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0194】
図10に示すように、クラスター細分化装置1Dは、4つの磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2C、磁場発生装置2D)を有している。また、クラスター細分化装置1Dにおいては、磁場発生装置2Aと、磁場発生装置2Cとが対面しており、同様に、磁場発生装置2Bと、磁場発生装置2Dとが対面している。そして、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Cの冷凍対象物5に対向する面が、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Dの冷凍対象物5に対向する面に直交するように、各磁場発生装置2が設置されている。
【0195】
このように、冷凍対象物5の四方を包囲するように、複数の磁場発生装置2を配置することにより、冷凍対象物5中におけるクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0196】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図11に示すように制御することができる。
【0197】
すなわち、まず、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、磁場発生装置2Cおよび磁場発生装置2Dのコイル21には、電圧を印加しない。また、磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物5における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0198】
所定時間、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Aのコイル21から、磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1D全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0199】
その後、前記と同様に、所定時間、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0200】
その後、磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Dのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Bのコイル21から、磁場発生装置2Dのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1D全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0201】
その後、前記と同様に、所定時間、磁場発生装置2Cおよび磁場発生装置2Dのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0202】
その後、磁場発生装置2Cのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Cのコイル21から、磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1D全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0203】
その後、前記と同様に、所定時間、磁場発生装置2Dおよび磁場発生装置2Aのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0204】
その後、磁場発生装置2Dのコイル21への通電を中止し、磁場発生装置2Bのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、磁場発生装置2Dのコイル21から、磁場発生装置2Bのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1D全体として、冷凍対象物5に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物5付近での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0205】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物5における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物5における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0206】
このように、本実施形態では、2つの磁場発生装置2からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置2の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物5付近において、磁力線が回転するように、磁場の発生を制御する。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0207】
なお、図11に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置2において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置2において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0208】
また、各磁場発生装置2が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置2で異なるものであってもよい。
【0209】
また、クラスター細分化装置1Dは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置1Dの稼動を終了してもよい。
【0210】
また、図11に示すタイミングチャートでは、2つの磁場発生装置2からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置2の組み合わせを経時的に変化させているが、発生タイミングを同期させる磁場発生装置2は3つであってもよい。
【0211】
また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図12に示すように制御してもよい。
【0212】
すなわち、磁場発生装置2Aおよび磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Dから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0213】
この場合、磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングと、磁場発生装置2Dからの磁場の発生タイミングとは、同期していてもしていなくてもよい。
【0214】
また、各磁場発生装置2から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0215】
なお、図10中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1D)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0216】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第5実施形態について説明する。
図13は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0217】
以下、第5実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0218】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Eの構成が前記実施形態で用いたものとは異なる以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0219】
図13に示すように、クラスター細分化装置1Eは、前記第4実施形態でのクラスター細分化装置1Dと同様に、4つの磁場発生装置2(磁場発生装置2A、磁場発生装置2B、磁場発生装置2Cおよび磁場発生装置2D)を有しているが、これらの配置がクラスター細分化装置1Dと異なる。すなわち、クラスター細分化装置1Eでは、磁場発生装置2Aの冷凍対象物5に対向する面と、磁場発生装置2Bの冷凍対象物5に対向する面とが、同一面上に位置し、かつ、磁場発生装置2Cの冷凍対象物5に対向する面と、磁場発生装置2Dの冷凍対象物5に対向する面とが、同一面上に位置するように配置されている。また、磁場発生装置2Aと、磁場発生装置2Dとは、対面するように配置されており、かつ、磁場発生装置2Bと、磁場発生装置2Cとは、対面するように配置されている。
【0220】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、前記第4実施形態で説明した図11のように制御することができる。これにより、冷凍対象物5付近において、磁力線が回転するように、磁場の発生が制御される。その結果、冷凍対象物5が複雑な形状を有するものであっても、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第4実施形態で説明した図12のように制御してもよい。
【0221】
なお、図13中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1E)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0222】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第6実施形態について説明する。
図14は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0223】
以下、第6実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0224】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Fの構成が前記実施形態で用いたものとは異なる以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0225】
図14に示すように、クラスター細分化装置1Fでは、磁場発生装置2Dが、載置部7と一体的に形成されている。これにより、冷凍対象物5と、磁場発生装置との距離を、常に短くすることができる。その結果、クラスター細分化の効果をさらに高めることができる。また、別部材として設置する磁場発生装置の数を減らすことができるため、冷凍装置の大容量化、省スペース化に有利である。
【0226】
また、各磁場発生装置2を、図14に示すように配置することにより、磁場発生装置2Dの冷凍対象物5に対向する面は、磁場発生装置2A、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cの冷凍対象物5に対向する面と、直交する。これにより、クラスター細分化装置1F全体として、冷凍対象物5に与える磁場の形状、冷凍対象物5付近における磁力線の方向を、三次元的に効率良く変化させることができる。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、均等かつ効率良く進行させることができる。
【0227】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、前記第4実施形態で説明した図11のように制御することができる。これにより、冷凍対象物5付近において、磁力線が三次元的に回転するように、磁場の発生が制御される。その結果、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第4実施形態で説明した図12のように制御してもよい。
【0228】
なお、図14中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1F)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0229】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第7実施形態について説明する。
図15は、本実施形態の冷凍装置を示す概略図、図16は、図15に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図、図17は、図16に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図である。
【0230】
以下、第7実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0231】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Gが後述する回転手段6を有する点で前記実施形態と異なる以外は前記実施形態と同様の構成を有する。
【0232】
図15に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Gと、載置部(ラック)7と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11およびファン9)と、冷凍対象物5を回転させる回転手段6とを有する。ここでは、載置部(ラック)7の棚部または枠部などに回転手段6が設置される。
【0233】
図15、図16に示すように、クラスター細分化装置1Gでは、磁場発生装置2A、磁場発生装置2Bおよび磁場発生装置2Cが、冷凍対象物5を載置する部分(以下「冷凍対象物載置空間」と言う)を囲むようにコの字状に配置され、冷凍対象物5は、回転手段6により回転され、この回転している状態で磁場が与えられる。また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第2実施形態で説明した図8のように制御してもよい。
【0234】
各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第2実施形態で説明した図7のように制御することができる。すなわち、交流電圧の印加を、複数の磁場発生装置2のコイル21間において切り替える。これにより、クラスター細分化装置1G全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5付近)での磁力線の方向が変化する。また、各磁場発生装置2からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、第2実施形態で説明した図8のように制御してもよい。
【0235】
なお、図7における磁場発生装置2Aの稼動開始から次の稼動開始までの間を1サイクルとしたとき、このサイクル数と後述する回転手段6による冷凍対象物5の回転数との関係は、特に限定されないが、冷凍対象物5の1回転(回転手段6による冷凍対象物5の1回転)に対して、磁場発生のサイクル数を0.2〜1000サイクル程度とするのが好ましく、1.5〜300サイクル程度とするのがより好ましく、8〜200サイクル程度とするのがさらに好ましい。
【0236】
また、クラスター細分化装置1Gの下部には、冷凍対象物5を回転させる回転手段6が設置されている。この回転手段6は、図17に示すように、冷凍対象物5を載置する円盤状(皿状)のテーブル(載置台)61と、駆動源であるモータ62と、モータ62の回転力をテーブル61に伝達する動力伝達機構63と、モータ62を駆動する駆動回路64と、駆動回路64を制御する制御手段65とを備えている。このうち、モータ62と動力伝達機構63とで、テーブル61を回転する回転機構が構成される。
【0237】
テーブル61は、例えば各種金属材料、各種プラスチック材料、各種セラミックス等で構成されている。この場合、テーブル61は、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましい。テーブル61の上方は、冷凍対象物5が載置される冷凍対象物載置空間を構成している。
【0238】
モータ62の種類や構造は特に限定されず、直流モータのみならず、交流モータでもよい。
【0239】
動力伝達機構63は、図示の構成では、変速機、特にモータ62の回転を減速する減速機を兼ねており、歯車列(平歯車、かさ歯車、ウォーム等を含む)631、回転軸および軸受けならびにそれらの支持部材等で構成されている。なお、動力伝達機構63の構成は、モータ(駆動源)62の回転力をテーブル61に伝達し得るものであれば、図示のものに限定されず、例えば、プーリーとベルトとを用いたもの、スプロケットとチェーンとを用いたもの、モータ62により回転され、テーブル61に当接するローラを含むものなど、いかなる構成のものでもよい。
【0240】
駆動回路64は、モータ62への通電を行い、モータ62を駆動するものである。この駆動回路64は、制御手段65からの制御信号に基づいて作動する。その詳細については、後述する。
制御手段65は、例えばマイクロコンピュータやCPUなどで構成される。
【0241】
次に、回転手段6の作動について説明する。
制御手段65からの制御信号に基づいて駆動回路64が作動し、モータ62が一方向に一定の回転数で回転すると、該モータ62の回転力は、動力伝達機構63を介してテーブル61に伝達され、テーブル61およびこれに載置された冷凍対象物5が一定方向に等速度で回転する。
【0242】
冷凍対象物載置空間には、磁場発生装置2A、2B、2Cにより所定のパターンで磁場が与えられているが、冷凍対象物載置空間にある冷凍対象物5が回転しているため、冷凍対象物5は、磁場発生装置2A、2B、2Cがそれ自体発する磁場のパターン(経時変化を伴ったパターン)に、自己の回転が加えられ、その結果、より複雑に変化した磁場を受けることとなる。これにより、冷凍対象物5は、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。なお、前述したように、磁力線の方向が回転するように磁場の発生を制御した場合、冷凍対象物5の回転方向は、磁力線の回転方向と同方向でも反対方向でもよいが、後者の方が好ましい。
【0243】
なお、回転手段6は、冷凍対象物5を一定方向に等速度で回転する場合に限られない。以下、その好ましい態様の例について説明する。
【0244】
<1> テーブル61の回転を間欠的(断続的)に行う。すなわち、テーブル61の回転は、いずれかの磁場発生装置2により磁場が印加されている間常時行なわれている場合に限らず、間欠的に行なわれてもよい。これは、制御手段65により、駆動回路64からモータ62へ電流の印加タイミングを制御することにより行うことができる。例えば、テーブル61が30°回転したらモータ62を一定時間停止し、再び30°回転したらモータ62を一定時間停止するという操作を繰り返し行うことができる。
【0245】
<2> テーブル61の回転方向を切り替える。すなわち、テーブル61を正転/逆転、いずれの方向にも回転させることができる。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電流の方向(極性)を切り替える(反転させる)ことにより行うことができる。例えば、テーブル61の正転/逆転を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の正転と逆転とが一定時間ごとに交互に訪れるような構成が可能である。
【0246】
<3> テーブル61の回転速度(回転数)を切り替える。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電圧(電流)を変化させること、または変速機の変速比を変えることなどにより行うことができる。例えば、テーブル61の回転速度として、高速/低速を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の回転速度を高速と低速とに一定時間ごとに交互に切り替えるような構成、テーブル61の回転速度を無段階に変更するような構成が可能である。
<4> 上記<1>〜<3>のうちの任意の2以上の組み合わせ。
【0247】
本発明の冷凍装置10では、上記<1>〜<4>のいずれの態様を実行することができるものでもよく、あるいは、上記<1>〜<4>の態様(モード)を選択し得るような構成でもよい。
【0248】
なお、図16中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1G)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0249】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第8実施形態について説明する。
図18は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0250】
以下、第8実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0251】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Hの構成が前記実施形態で用いたものと異なる以外は前記第7実施形態と同様の構成を有する。
【0252】
図18に示すように、クラスター細分化装置1Hは、前記と同様の回転手段6を有し、そのテーブル61上には、多段の載置部(ラック)7が載置されている。なお、載置部(ラック)7の構成材料等については、前記第7実施形態で述べたのと同様である。
【0253】
載置部(ラック)7は、複数の冷凍対象物5を載置(収納)することができる。すなわち、載置部(ラック)7の各段には、それぞれ、冷凍対象物5が載置される。
【0254】
また、図18中には示されていないが、載置部(ラック)7の外周部には、クラスター細分化装置1Fと同様の磁場発生装置2が設置されている。
【0255】
載置部(ラック)7の各トレイ(載置棚)71は、固定的に設置されているものでもよいが、トレイ71の段数を変更したり、トレイ71の間隔を調整したりすることができるような構成であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の大きさや数に応じて、載置部(ラック)7における冷凍対象物5の最適な配置が可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、より均等にかつ効率良く進行させることができる。
【0256】
また、載置部(ラック)7の各トレイ71は、図示の構成では板状であるが、例えば枠状、網状のような通気性を有する構造のものでもよい。
【0257】
図示の構成では、載置部(ラック)7の形状は四角であるが、これに限らず、例えば丸型(略円筒形)であってもよい。また、載置部(ラック)7は、テーブル61に予め固定されていてもよく、あるいは載置部(ラック)7の下部がテーブル61と一体化していてもよい。
【0258】
また、回転手段は、冷凍対象物を回転させるものに限らず、磁場発生装置のうちの少なくとも1つを回転させるもの、あるいは、冷凍対象物と磁場発生装置の双方を回転させるものでもよい。
【0259】
なお、図18中には示されていないが、本実施形態の冷凍装置10(クラスター細分化装置1H)は、前記第2実施形態で説明した光照射手段26を有するものである。
【0260】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第9実施形態について説明する。
図19は、本実施形態の冷凍装置を示す概略斜視図、図20は、図19に示す冷凍装置を側面から見た模式図、図21は、図19に示す冷凍装置に設置された磁場発生装置によって冷凍対象物に与えられる磁場強度を示す模式図である。
【0261】
以下、第9実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0262】
本実施形態の冷凍装置15は、クラスター細分化装置1Iの構成が前記実施形態で用いたものとは異なり、さらに後述するトンネル部(冷凍室)18と、ベルトコンベア(搬送手段)16とを有する点で前記実施形態と異なる。
【0263】
図19、図20に示すように、本実施形態の冷凍装置15は、トンネル形状を有するトンネル部18と、ベルトコンベア16とを有している。
【0264】
ベルトコンベア16は、後に詳述するように、回転可能な、一対のローラ161、162と、ローラ161、162に掛け回された搬送ベルト(可動部)163とを有している。使用時において、搬送ベルト163には、その上面側に冷凍対象物5が載置される。
【0265】
一方、トンネル部18は、断面半楕円状のトンネル形状を有しており、その中空部内を、搬送ベルト163に載置された冷凍対象物5が通過する(搬送される)ようになっている。
【0266】
このように、冷凍対象物5が通過する(搬送される)冷凍室がトンネル形状を有するものであると、冷凍対象物5を、効率良く搬送しつつ冷凍することができ、例えば、本発明の冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率を高めることができる。
【0267】
トンネル部18の長さ(搬送ベルトが移動する方向の長さ)は、特に限定されず、冷凍対象物5の大きさ、種類等により適宜定められるが、3〜70mであるのが好ましく、5〜60mであるのがより好ましく、7〜40mであるのがさらに好ましい。
【0268】
トンネル部18の長さが前記下限値未満であると、冷凍対象物5の大きさ等によっては、冷凍対象物5を十分に冷凍するのが困難になる場合がある。
【0269】
一方、トンネル部18の長さが前記上限値を超えると、冷凍装置15が大型化する。
【0270】
また、トンネル部18の入り口付近、出口付近には、気流カーテン(エアカーテン)を形成する気体噴射口や、各種プラスチック材料、ゴム材料等で構成されたカーテン、シャッター等の部材が設けられていてもよいし、冷凍対象物5を予備冷却する予備冷却室や、内部圧力が、トンネル部18内の圧力より低くかつ外部の雰囲気の圧力(大気圧)より高い差圧室等が設けられていてもよい。これにより、外部からトンネル部(冷凍室)18への熱の侵入を効果的に防止することができ、トンネル部18内の低温状態を効率良く維持することができ、冷凍装置15のエネルギー効率が向上する。
【0271】
このトンネル部18には、磁場発生装置2と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)と、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17A、17Bとが設置されている。ここで、熱交換機8、低温気体供給手段(除湿装置11およびファン9)は前記実施形態で用いたものと同様である。このように、本実施形態の冷凍装置15も、前記実施形態の冷凍装置と同様に、磁場発生装置2(クラスター細分化装置1I)と低温気体供給手段とを併有している。これにより、本実施形態においても、前述したような相乗効果が得られ、水のクラスターを効果的に細分化し、冷凍対象物の品質の低下を効果的に防止することができる。
【0272】
また、熱交換機8は、トンネル部18の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、トンネル部18の内部を冷温に保つ作用を有する。すなわち、熱交換機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81においてトンネル部18内部の熱を奪い、トンネル部18を冷温に保つ。
【0273】
ファン(循環装置)9は、除湿された低温気体をトンネル部18の内部において循環させる機能を有する。これにより、トンネル部18の内部の各部位における温度および湿度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、冷凍させることが可能となる。また、トンネル部18内にファン9が設けられることにより、トンネル部(冷凍室)18の内部の圧力値をトンネル部18の外部の圧力値以上に維持することができる。これにより、前述したような実施形態の冷凍装置に比べ、冷凍室(トンネル部18)内部の密閉性が低い場合であっても、トンネル部18内の内部への水分の侵入を効果的に防止することができ、前述したような効果をさらに顕著なものとすることができる。
【0274】
ファン9からの送風速度(送風量)は、特に限定されないが、前記実施形態と同様、例えば、0.5〜10m/sであるのが好ましく、2〜8m/sであるのがより好ましい。
【0275】
ファン9からの送風速度が前記下限値未満であると、トンネル部18の容積(中空部の容積)等によっては、トンネル部18の内部の各部位における温度のバラツキを十分に小さくすることができない可能性がある。
【0276】
一方、ファン9からの送風速度が前記上限値を超えると、磁場発生装置2、低温気体供給手段の機能が十分に発揮されず、冷凍対象物5中の水のクラスターが十分に細分化されない状態で、冷凍対象物5が凍結する可能性がある。その結果、冷凍対象物5(食品)の品質の低下を十分に防止、抑制するのが困難となる可能性がある。
【0277】
低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、前記実施形態と同様、外気の水蒸気含有量(含有率)より少なければ特に限定されないが、4.0×10−3g/L以下であるのが好ましく、3.0×10−3g/L以下であるのがより好ましく、2.0×10−4g/L以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0278】
また、冷凍装置15の運転時において、トンネル部(冷凍室)18内部は、トンネル部(冷凍室)18外部の圧力に比べて、100Pa以上高い圧力に維持されているのが好ましく、1000Pa以上高い圧力に維持されているのがより好ましく、3000Pa以上高い圧力に維持されているのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0279】
また、冷凍装置15の運転時において、トンネル部(冷凍室)18内部の圧力は、1.02×10Pa以上であるのが好ましく、1.03×10Pa以上であるのがより好ましく、1.05×10〜8×10Paであるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0280】
冷凍装置15を使用する際におけるトンネル部18内の温度(トンネル部18内の長手方向の中心部付近における温度)は、冷凍対象物5の少なくとも一部が冷凍される温度であれば、特に限定されないが、例えば、−20℃以下であるのが好ましく、−80〜−20℃であるのがより好ましく、−70〜−30℃であるのがさらに好ましい。トンネル部18内の温度を−20℃以下とすることにより、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを十分に微細化した状態(水素結合を効率良く切断した状態)で、冷凍対象物5を凍結させることができ、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0281】
トンネル部18内に搬送された冷凍対象物5は冷凍されるが、このとき、磁場発生装置2が発生する磁場の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される(水分子間の水素結合が部分的に切断される)。また、磁場発生装置2は、磁場制御装置(磁場制御手段)3に接続されている。なお、磁場発生装置2および磁場制御装置3も前記実施形態で用いたものと同様である。
【0282】
ところで、冷凍対象物5は、後に詳述するように、ベルトコンベア16により、トンネル部18内を通過する(搬送される)。このとき、冷凍対象物5と、磁場発生装置2との相対的な位置関係が経時的に変化する。したがって、冷凍対象物5が磁場発生装置2から与えられる磁場の強度は、経時的に変化する。
【0283】
また、前述したように、冷凍装置15の使用時において、トンネル部18の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍する温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、効率良く細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0284】
また、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、ベルトコンベア16によってトンネル部18内に搬送されてきた冷凍対象物5に与える磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を、さらに効果的に変化させたり、さらに複雑に変化させることができる。その結果、冷凍対象物5中における、水素結合をさらに効率良く切断し、水のクラスターを効率良く細分化することができる。したがって、冷凍対象物5(食品)は、風味、外観、香り等の品質の劣化を特に生じ難いものとなる。
【0285】
トンネル部18には、少なくとも1つの磁場発生装置2が設置されていればよいが、図20に示すように、複数個の磁場発生装置2が設置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0286】
複数の磁場発生装置2を用いる場合、冷凍対象物5の搬送経路に沿って、設置されている(図示の構成では、トンネル部18の内面上部に、複数個の磁場発生装置2が、冷凍対象物5の搬送経路に沿って設置されている。)のが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効果的に細分化することができる。また、この場合、複数個の磁場発生装置2は、ほぼ等間隔に設置されているのが好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0287】
また、冷凍装置15は、前記実施形態で用いたものと同様のエネルギー付与手段4を有していてもよい。
【0288】
エネルギー付与手段4は、いかなる部位に設置されたものであってもよいが、トンネル部18内に設置されているのが好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0289】
図示の構成では、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とが一体的に形成されている。
【0290】
また、エネルギー付与手段4は、トンネル部18内の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。
【0291】
また、冷凍装置15は、前記実施形態で用いたものと同様の光照射手段26を有していてもよい。
【0292】
光照射手段26は、いかなる部位に設置されたものであってもよいが、図示のようにトンネル部18内に設置されているのが好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0293】
また、このトンネル部18の入口近傍には、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17Aが設置されている。このようなセンサが設けられた場合、センサ17Aによる冷凍対象物5の検知情報に基づいて、磁場発生装置2の作動を制御することができる。これにより、冷凍対象物5の冷凍時間や冷凍対象物5に与える磁場のパターン等を精確に調整することが可能となる。
【0294】
また、センサ17Aの検知情報により、例えば、冷凍対象物5が低温環境下に存在しないとき(トンネル部18の内部(中空部)に存在しないとき)には、磁場発生装置2からの磁場の発生を停止すること等が可能となる。例えば、ベルトコンベア起動時には、磁場発生装置2からの磁場の発生を停止した状態にしておき、搬送されてきた冷凍対象物5がトンネル部18内に入るタイミングにあわせて磁場の発生を開始し、その後、センサ17Aによる冷凍対象物5の検知(最後の検知)から所定時間、センサ17Aが冷凍対象物5を検知しなかった場合には、磁場発生装置2からの磁場の発生を停止する構成にすることが可能となる。このように、センサ17Aを設置することにより、冷凍対象物5を冷凍する際のエネルギー効率が向上する。
【0295】
また、図20に示す構成では、トンネル部18の出口近傍にも、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17Bが設置されている。このように、トンネル部18の出口近傍にセンサ17Bを設置することにより、上述したような磁場発生装置2の作動の制御を、さらに効率良く行うことができる。
【0296】
また、上述したようなセンサによる検知情報と、ローラ161、162の回転速度(冷凍対象物5の搬送速度)等のパラメータとを組み合わせて、磁場発生装置2の作動の制御を行うことにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0297】
冷凍対象物5は、上述したようなトンネル部18の内部に、ベルトコンベア(搬送手段)16の搬送ベルト163に載置された状態で搬送される。上述したように、トンネル部18内部は、熱交換機8により低温に保持されているため、搬送されてきた冷凍対象物5は、トンネル部18内において冷凍される。
【0298】
このように、本実施形態の冷凍装置15は、冷凍対象物5を搬送しつつ、冷凍することができる構成を有しているため、連続的に冷凍対象物5を冷凍することができ、例えば、本発明の冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率を高めることができる。また、本実施形態では、冷凍対象物5が搬送手段(ベルトコンベア16)により搬送されるため、トンネル部18の前および/または後で、梱包等の工程を行うことができ、冷凍物の生産性をさらに高めることができる。
【0299】
ベルトコンベア16は、一対のローラ161、162に搬送ベルト163が掛け回されて構成され、前記ローラ161、162が、図示しない駆動源により図中矢印で示す方向に回転駆動することによって前記搬送ベルト163が回転する。これにより、搬送ベルト163の上面側に載置された冷凍対象物5は、搬送ベルト163の回転に伴い、トンネル部18内を通過する(搬送される)。
【0300】
搬送ベルト163は、例えば、その外周側に、皿、トレイ等の、冷凍対象物5を載置するための部材が設けられていてもよいし、冷凍対象物5が載置される位置を特定するための目印(マーキング)等が付けられていてもよい。これにより、冷凍装置15の稼動時において、例えば、冷凍対象物5の位置を容易に特定することができるため、冷凍対象物5における磁場を確実に調整することが可能となり、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効率良く細分化することが可能となる。
【0301】
なお、図示の構成では、一対のローラ161、162に搬送ベルト163が掛け回されているが、両端のローラ161、162の間に、同様のローラが1つ以上設置されていてもよいのは言うまでもない。
【0302】
冷凍対象物5の搬送速度(トンネル部18との相対的な移動速度)は、特に限定されないが、0.1〜60m/分であるのが好ましく、0.3〜10m/分であるのがより好ましく、0.5〜6m/分であるのがさらに好ましい。
【0303】
冷凍対象物5の移動速度が前記下限値未満であると、単位時間あたりに冷凍することができる冷凍対象物5の量を十分に多くすることができない可能性がある。
【0304】
一方、冷凍対象物5の移動速度が前記上限値を超えると、トンネル部18の長さ等によっては、冷凍対象物5を十分に冷凍することができない可能性がある。
【0305】
冷凍対象物5の搬送速度は、前記ローラ161、162の回転速度を適宜調整することにより、変化させることができる。これにより、例えば、トンネル部18内の温度や、冷凍対象物5の諸条件(例えば、種類、形状、体積、重量、密度、含水率等)に応じて、冷凍対象物5を所望の速度で搬送する(例えば、冷凍対象物5の重量が比較的大きい場合には、搬送速度を低下させる)ことができる。その結果、条件の異なる冷凍対象物5であっても、均等な条件で確実に冷凍することができ、安定した品質の冷凍物を提供することができる。
【0306】
以上のような冷凍装置15では、冷凍対象物5は、搬送ベルト163上に載置され、磁場発生装置2からの磁場を受けながらトンネル部18内を搬送される。このとき、搬送ベルト163上の冷凍対象物5はトンネル部18内の磁場発生装置2に対して相対的に移動する。
【0307】
したがって、例えば、トンネル部18内の磁場発生装置2が発生する磁場の強度が一定である場合でも、冷凍対象物5に与えられる磁場強度が経時的に変化する。
【0308】
図21(a)は、磁場発生装置2から一定の強度で磁場を発生させた場合に、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の一例を示すものである。なお、横軸は冷凍対象物の移動距離、縦軸は冷凍対象物における磁場強度である。
【0309】
このように、磁場発生装置2が発生する磁場の強度が一定であっても、トンネル部18内において、冷凍対象物5が磁場発生装置2に接近、離間するのに伴い、冷凍対象物5における磁場強度が経時的に変化する。すなわち、冷凍対象物5における磁場強度は、冷凍対象物5が磁場発生装置2に近づくのに伴って増大し、冷凍対象物5と磁場発生装置2との距離が最短になったときに、冷凍対象物5における磁場強度は最大となる。そして、冷凍対象物5が磁場発生装置2から遠ざかるのに伴い、冷凍対象物5における磁場強度は減少する。このように、冷凍対象物における磁場の強度が経時的に変化することにより、冷凍対象物5中の水のクラスターが効率良く細分化される。
【0310】
また、図21(b)は、磁場発生装置2から交番磁場を発生させた場合に、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の一例を示すものである。なお、横軸は冷凍対象物の移動距離、縦軸は冷凍対象物における磁場強度である。
【0311】
このように、磁場発生装置2から交番磁場を発生させた場合、磁場発生装置2が発生する磁場の振幅が一定であっても、冷凍対象物5が受ける磁場の振幅は、経時的に変化する。すなわち、冷凍対象物5が受ける磁場の振幅は、冷凍対象物5が磁場発生装置2に近づくのに伴って増大し、冷凍対象物5と磁場発生装置2との距離が最短になったときに、冷凍対象物5における磁場強度は最大となる。そして、冷凍対象物5が磁場発生装置2から遠ざかるのに伴い、冷凍対象物5が受ける磁場の振幅は小さくなる。このように、冷凍対象物5が受ける磁場の振幅が変化することにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効率良く細分化させることができる。
【0312】
また、磁場発生装置2が発生する磁場の周波数、強度等は、例えば、冷凍対象物5の搬送速度等に応じて、制御するような構成であってもよい。これにより、あらゆるパターンの磁場の波(磁場発生パターン)を形成することができ、例えば、トンネル部18内の温度や、冷凍対象物5の種類、形状、体積、重量、密度、含水率等の諸条件に応じて、冷凍対象物5が受ける磁場を、所望の形状、強度に調整することが可能となる。その結果、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを、より効率的に細分化することができる。
【0313】
以上説明したように、本実施形態の冷凍装置15では、冷凍室(トンネル部18)に磁場発生装置2を有することにより、冷凍対象物5に対して、所望のパターンの磁場を与えることができる。
【0314】
特に、本実施形態の冷凍装置15では、前記のように冷凍対象物5がトンネル部18に設置された磁場発生装置2に対して相対的に移動しながら磁場を受けるように構成されていることにより、以下のような効果も得られる。
【0315】
すなわち、トンネル部18の磁場発生装置2の磁場強度が一定であっても冷凍対象物5に与えられる磁場が経時的に変化するので、磁場発生装置2の発生する磁場は、強度が経時的に変化する磁場に限らず、強度が一定の定常磁場であっても冷凍対象物中の水のクラスターを効率良く細分化することができる。したがって、選択し得る磁場のパターン(磁場の大きさ、形状、およびこれらの経時的な変化パターン等)の幅が広く、装置構成の自由度が高いというメリットがある。
【0316】
また、特に、磁場発生装置2が発生する磁場が交番磁場やパルス状の磁場のように経時的に変化するものである場合には、前述のように冷凍対象物5が相対移動することによる磁場強度の経時的変化の上に、交番磁場による微少な磁場の周期的変化が重畳されるので、冷凍対象物5中の水のクラスターが効率的に細分化される。したがって、前述したような冷凍対象物5のミクロ的な構造の変化を、より確実に防止・抑制することができ、冷凍対象物5の保存性を大きく高めることができる。
【0317】
また、本実施形態では、磁場発生装置として、トンネル部(冷凍室)に固定的に設置されたものについて説明したが、磁場発生装置は、一次元方向、二次元方向ないし三次元方向のいずれかの方向に移動可能なものであってもよい。また、複数個の磁場発生装置を有する場合、移動可能な方向は、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0318】
また、本実施形態では、トンネル状の冷凍室(トンネル部)を有する構成について説明したが、冷凍室は、搬送手段により冷凍対象物を搬送することが可能な構成であれば、いかなる形状を有するものであってもよい。
【0319】
また、本実施形態では、磁場発生装置2がトンネル部18内に設置された構成について説明したが、磁場発生装置2は、例えば、トンネル部18に埋め込まれた構成のものであってもよい。
【0320】
また、本実施形態では、搬送手段としてベルトコンベアを有する構成について説明したが、搬送手段はこれに限定されない。冷凍対象物を搬送する搬送手段は、例えば、回転すし店で用いられているような構成のコンベアであってもよいし、冷凍対象物5を搬送手段のフックにひっかけた状態で、搬送経路上を搬送する構成のものであってもよい。
【0321】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第10実施形態について説明する。
図22は、本実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図、図23は、図22に示す冷凍装置が有するローラの断面形状を示す模式図である。
【0322】
以下、第10実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0323】
本実施形態の冷凍装置15は、磁場発生装置2の設置位置において第9実施形態と異なり、さらに永久磁石20を有する点において第9実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の冷凍装置15は、クラスター細分化装置1Jの構成が、前記実施形態で用いたものとは異なる。
【0324】
図22に示すように、本実施形態の冷凍装置15では、搬送ベルト163の内周面に冷凍対象物5の搬送に伴い移動する磁場発生装置2が設置されている。すなわち、磁場発生装置2は、冷凍対象物5の搬送経路に沿って、循環する構成となっている。このような磁場発生装置2は、少なくとも、冷凍対象物5がトンネル部18内を通過する際に、冷凍対象物5に磁場を与える機能を有する。このとき、磁場発生装置2が発生する磁場の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化され、該細分化された水のクラスターは、そのままの状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化されたものとなる。
【0325】
ここで、搬送ベルト163に設置されている磁場発生装置2が複数個である場合、これら複数の磁場発生装置2の中から、特定の磁場発生装置(例えば、トンネル部18内に搬入された磁場発生装置2やトンネル部18外に搬出された磁場発生装置2)を検出し、このように、検出された磁場発生装置2について、磁場の発生−停止を、個別に制御することができる。これにより、上述した効果は顕著なものとなる。
【0326】
また、図23に示すように、ローラ161は、その周面に、磁場発生装置2を収納する逃げ部(溝)1611を有し、同様に、ローラ162は、逃げ部1621を有している。このような逃げ部を有することにより、搬送ベルト163の内周面に設けられた磁場発生装置2が、ローラ161、162と接触するのを効果的に防止し、ローラ161、162を円滑に回転させることができる。その結果、冷凍対象物5を所望の速度で、円滑に搬送することができる。
【0327】
搬送ベルト163に設置されている磁場発生装置2は、前記実施形態で説明した磁場発生装置と同様のものであり、その内部に有するコイル21の発生磁場の強度を変化させることができる。その結果、磁場発生装置2の近傍に置かれた冷凍対象物5における磁場強度を経時的に変化させることが可能となる。
【0328】
また、上述したように、本実施形態では、磁場発生装置2は、冷凍対象物5の搬送経路に沿って、循環する構成となっている。これにより、冷凍対象物5が多数個ある場合でも、これらを連続的に冷凍することができ、例えば、本発明の冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率をさらに高めることができる。
【0329】
図示の構成では、磁場発生装置2は、冷凍対象物5が載置された部位(載置部)の近傍、すなわち、冷凍対象物5が載置された部位(載置部)の搬送ベルト163の内周面に設置されている。このような部位に、磁場発生装置2が設置されることにより、磁場発生装置2が発生する磁場の影響を、冷凍対象物5により効率良く与えることができる。その結果、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0330】
また、トンネル部18には、その内部において搬送ベルト163上に載置された冷凍対象物5と対向するように複数の永久磁石20が設置されている。
【0331】
このような永久磁石20が設置されることにより、永久磁石20による磁場が、磁場発生装置2が発生する磁場と作用し、冷凍対象物5に対する磁場の影響をさらに高めることができる。
【0332】
以上より、本実施形態では、搬送手段(ベルトコンベア)の搬送に伴って移動する磁場発生装置を有するため、雰囲気の温度等に応じて、磁場発生装置が発生する磁場のパターンを経時的に変化させることができ、より効率良く、冷凍対象物中のクラスターを細分化した状態で、冷凍対象物を冷凍することができる。
【0333】
また、本実施形態では、磁場発生装置が搬送手段の可動部(搬送ベルト)に設置された構成について説明したが、磁場発生装置は、搬送手段による冷凍対象物の搬送に伴って移動するものであればいかなるものであってもよい。すなわち、磁場発生装置は、搬送手段に設置されていなくてもよい。
【0334】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第11実施形態について説明する。
図24は、本実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図、図25は、図24に示す冷凍装置に設置された各磁場発生装置によって冷凍対象物に与えられる磁場強度を示す模式図である。
【0335】
以下、第11実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0336】
本実施形態の冷凍装置15は、トンネル部18の天井部(内面上部)と、搬送ベルト163の内周面との両方に磁場発生装置が設置されている点において第10実施形態と異なる。すなわち、本実施形態の冷凍装置15は、クラスター細分化装置1Kの構成が、前記実施形態で用いたものとは異なる。
【0337】
図24に示すように、本実施形態では、トンネル部18の天井部に複数の第1の磁場発生装置(固定式磁場発生装置)2Eが設置され、かつベルトコンベア16における搬送ベルト163の内周面に冷凍対象物5の搬送に伴い移動する複数個の第2の磁場発生装置(可動式磁場発生装置)2Fが設置されている。第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fの構成および作用は、前記実施形態で用いた磁場発生装置の構成および作用と同様である。
【0338】
また、本実施形態では、トンネル部18内に搬送された冷凍対象物5は冷凍されるが、このとき、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。また、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fは、それぞれ、磁場制御装置3A、3Bに接続されている。なお、磁場制御装置3A、3Bの構成および作用も、前記実施形態で用いた磁場制御装置の構成および作用と同様である。
【0339】
トンネル部18には、少なくとも1つの第1の磁場発生装置2Eが設置されていればよいが、図24に示すように、複数個の第1の磁場発生装置2Eが設置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0340】
複数の第1の磁場発生装置2Eを用いる場合、冷凍対象物5の搬送経路に沿って、設置されているのが好ましい。
【0341】
また、図示の構成では、第1の磁場発生装置2Eは、トンネル部18の天井部に設置されているが、トンネル部18内の少なくとも一部において、冷凍対象物5に所定の強度の磁場を与えることが可能であるならば、その設置部位は、特に限定されず、例えば、トンネル部18の外表面側、トンネル部18内側の側面等であってもよい。また、第1の磁場発生装置2Eは、トンネル部18に埋め込まれていてもよい。
【0342】
なお、第1の磁場発生装置2Eと冷凍対象物5との距離(最短距離)は、特に限定されないが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましく、20cm以下であるのがさらに好ましい。
【0343】
また、ベルトコンベア16の搬送ベルト163には、第2の磁場発生装置2Fが設置されているため、第2の磁場発生装置2Fは、冷凍対象物5の搬送経路に沿って、循環する構成となっている。これにより、冷凍対象物5が多数個ある場合でも、これらを連続的に冷凍することができ、例えば、本発明の冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率をさらに高めることができる。
【0344】
搬送ベルト163には、少なくとも1つの第2の磁場発生装置2Fが設置されていればよいが、図24に示すように、複数個の第2の磁場発生装置2Fが設置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0345】
複数個の第2の磁場発生装置2Fを用いる場合、これらは、ほぼ等間隔に設置されているのが好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。また、複数個の第2の磁場発生装置2Fにおいて、発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0346】
なお、第2の磁場発生装置2Fの設置部位は、特に限定されず、例えば、搬送ベルト163の外周側等であってもよい。すなわち、第2の磁場発生装置2Fは載置部として機能するものであってもよい。また、第2の磁場発生装置2Fは、搬送ベルト163の表面に直接設置されたものであってもよいし、例えば、別部材を介して搬送ベルト163上に設置されたものであってもよい。
【0347】
また、図示の構成では、トンネル部18内において、第1の磁場発生装置2Eと、第2の磁場発生装置2Fとが、冷凍対象物5の搬送経路を介して対面するように構成されている。このような構成にすることにより、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場の影響を、冷凍対象物5に効果的に与えることができる。その結果、冷凍対象物5中における、水素結合をさらに効率良く切断し、水のクラスターを効率良く細分化することができる。したがって、冷凍対象物5(食品)は、風味、外観、香り等の品質の劣化を特に生じ難いものとなる。
【0348】
ここで、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場は、前述した第1の磁場発生装置2Eが発生する磁場と、強度、周期、出力時間、位相等が同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0349】
また、この搬送ベルト163に設置する第2の磁場発生装置2Fは、トンネル部18に設置する第1の磁場発生装置2Eと同じ構成のものであってもよく、異なる構成のものであってもよい。
【0350】
なお、第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fのそれぞれは、エネルギー付与手段4を有することが好ましい。
【0351】
以上のような冷凍装置15では、冷凍対象物5は、搬送ベルト163上に載置され、第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fからの磁場を受けながらトンネル部18内を搬送される。このとき、搬送ベルト163上の冷凍対象物5はトンネル部18の第1の磁場発生装置2Eに対して相対的に移動する。
【0352】
したがって、例えば、トンネル部18内の第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場の強度が一定である場合でも、冷凍対象物5に与えられる磁場強度が経時的に変化する。
【0353】
図25(a)は、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fから一定の強度で磁場を発生させた場合に、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の一例を示すものである。なお、横軸は冷凍対象物の移動距離、縦軸は冷凍対象物における磁場強度である。
【0354】
このように、トンネル部18内において、第2の磁場発生装置2Fが、第1の磁場発生装置2Eに接近、離間するのに伴い、冷凍対象物5における磁場強度が経時的に変化する。すなわち、冷凍対象物5における磁場強度は、冷凍対象物5が第1の磁場発生装置2Eに近づくのに伴って増大し、冷凍対象物5と第1の磁場発生装置2Eとの距離が最短になったときに、冷凍対象物5における磁場強度は最大となる。そして、冷凍対象物5が第1の磁場発生装置2Eから遠ざかるのに伴い、冷凍対象物5における磁場強度は減少する。この経時的に変化するトンネル部18からの磁場と、搬送ベルト163に設置された第2の磁場発生装置2Fからの磁場によって冷凍対象物5中の水のクラスターが効率良く細分化される。
【0355】
また、図25(b)は、第1の磁場発生装置2Eからの発生磁場の強度を一定とし、第2の磁場発生装置2Fから交番磁場を発生させた場合に、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の一例を示すものである。なお、横軸は冷凍対象物の移動距離、縦軸は冷凍対象物における磁場強度である。
【0356】
このように、搬送ベルト163に設置された第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場が交番磁場である場合には、トンネル部18内の第1の磁場発生装置2Eと冷凍対象物5とが相対的に移動することによる磁場強度の経時的変化の上に、第2の磁場発生装置2Fからの交番磁場による微少な磁場の経時的変化が重畳する。すなわち、第1の磁場発生装置2Eと、第2の磁場発生装置2Fとが接近、離間することに伴う磁場強度の変化と、第2の磁場発生装置2Fからの交番磁場による微少な磁場強度の変化とが重畳する。このように、第1の磁場発生装置2Eによる磁場パターンと、第2の磁場発生装置2Fによる磁場パターンとが重畳した磁場を、冷凍対象物5に与えることにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効率よく細分化することができる。なお、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場がパルス状の磁場である場合にも、磁場の周期的変化がパルス状であること以外は図25(b)と同様の波形が得られ、冷凍対象物5中の水のクラスターが効率よく細分化される。
【0357】
また、図25(c)は、第2の磁場発生装置2Fからの発生磁場の強度を一定とし、第1の磁場発生装置2Eから交番磁場を発生させた場合に、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の一例を示すものである。なお、横軸は冷凍対象物の移動距離、縦軸は冷凍対象物における磁場強度である。
【0358】
また、第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fから、いずれも交番磁場を発生させた場合には、冷凍対象物5に与えられる磁場強度の変化パターンは、さらに複雑な形状のものとなり、上述した効果を、さらに顕著なものとすることができる。
【0359】
本実施形態では、トンネル部18に配設された第1の磁場発生装置2Eがトンネル部18に固定された構成のものについて説明したが、例えば、トンネル部18に配設された第1の磁場発生装置2Eは、冷凍対象物5の搬送方向に対して垂直方向に、トンネル部内を移動可能なものであってもよい。
【0360】
また、本実施形態では、第2の磁場発生装置が搬送手段の可動部(搬送ベルト)に設置された構成について説明したが、第2の磁場発生装置は、搬送手段による冷凍対象物の搬送に伴って移動するものであればいかなるものであってもよい。すなわち、第2の磁場発生装置は、搬送手段に設置されていなくてもよい。
【0361】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第12実施形態について説明する。
図26は、本実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図である。
【0362】
以下、第12実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0363】
本実施形態の冷凍装置23は、図26に示すように、トンネル部18の代わりに冷凍室24を有し、かつベルトコンベア(搬送手段)16の代わりに螺旋状搬送路25を有する点で前記第9〜第11実施形態と異なる。
【0364】
螺旋状搬送路(螺旋状コンベア)25は、冷凍室24の中心軸を中心に旋回するガイドレール250と、該ガイドレール250上に整列して配置された複数の搬送板(不図示)と、該複数の搬送板へガイドレール250に沿った方向に関する動力を与えるモータ(不図示)とを有している。使用時において、ガイドレール250には、搬送板を介して冷凍対象物5が載置される。
【0365】
一方、冷凍室24は、中空部を有する略円筒形状を有しており、その中空部内を、ガイドレール250が冷凍室24の中心軸を中心に旋回するように配置され、冷凍対象物5は冷凍室24の内部において螺旋状搬送路25によって当該内部を下方から上方へ向かって旋回しながら搬送される。
【0366】
このように、螺旋状搬送路25のガイドレール250が冷凍室24の中心軸を中心に旋回するものであると、多数の冷凍対象物5を同時に冷凍室24の内部に収容することができ、例えば、冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率を高めることができるとともに、冷凍室24の大きさを縮小できる。
【0367】
また、冷凍室24の入り口付近、出口付近には、気流カーテン(エアカーテン)を形成する気体噴射口や、各種プラスチック材料、ゴム材料等で構成されたカーテン、シャッター等の部材が設けられていてもよいし、冷凍対象物5を予備冷却する予備冷却室や、内部圧力が、冷凍室24内の圧力より低くかつ外部の雰囲気の圧力(大気圧)より高い差圧室等が設けられていてもよい。これにより、外部から冷凍室への熱の侵入を効果的に防止することができ、冷凍室24内の低温状態を効率良く維持することができ、冷凍装置23のエネルギー効率が向上する。
【0368】
本実施形態の冷凍装置23も、前記実施形態の冷凍装置と同様に、複数個の磁場発生装置2と、磁場制御装置3とを有するクラスター細分化装置1Lを備えている。
【0369】
この冷凍室24には、磁場発生装置2と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11およびファン9)と、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17A、17Bとが設置されている。特に、磁場発生装置2は冷凍室24の内面上に冷凍室24の上下方向に沿って複数配置され、ガイドレール250と対峙する。ここで、熱交換機8、低温気体供給手段(除湿装置11およびファン9)は前記実施形態で用いたものと同様である。このように、本実施形態の冷凍装置23も、前記実施形態の冷凍装置と同様に、磁場発生装置(クラスター細分化装置)と低温気体供給手段とを併有している。これにより、本実施形態においても、前述したような相乗効果が得られ、水のクラスターを効果的に細分化し、冷凍対象物の品質の低下を効果的に防止することができる。
【0370】
ファン9は、冷凍室24内の低温気体(冷気)を循環させる機能を有する。これにより、冷凍室24内部の各部位における温度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、凍結させることが可能となる。また、冷凍室24内にファン9が設けられることにより、冷凍室24内部の圧力値を冷凍室24外部の圧力値以上に維持することができる。これにより、前述したような実施形態の冷凍装置に比べ、冷凍室24内部の密閉性が低い場合であっても、冷凍室24内の内部への水分の侵入を効果的に防止することができ、前述したような効果をさらに顕著なものとすることができる。
【0371】
ファン9からの送風速度(送風量)は、特に限定されないが、前記実施形態と同様、例えば、0.5〜10m/sであるのが好ましく、2〜8m/sであるのがより好ましい。
【0372】
ファン9からの送風速度が前記下限値未満であると、冷凍室24の容積(中空部の容積)等によっては、冷凍室24の内部の各部位における温度のバラツキを十分に小さくすることができない可能性がある。
【0373】
一方、ファン9からの送風速度が前記上限値を超えると、磁場発生装置2、低温気体供給手段の機能が十分に発揮されず、冷凍対象物5中の水のクラスターが十分に細分化されない状態で、冷凍対象物5が凍結する可能性がある。その結果、冷凍対象物5の品質の低下を十分に防止、抑制するのが困難となる可能性がある。
【0374】
低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、前記実施形態と同様、外気の水蒸気含有量(含有率)より少なければ特に限定されないが、4.0×10−3g/L以下であるのが好ましく、3.0×10−3g/L以下であるのがより好ましく、2.0×10−4g/L以下であるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0375】
また、冷凍装置23の運転時において、冷凍室24内部は、冷凍室24外部の圧力に比べて、100Pa以上高い圧力に維持されているのが好ましく、1000Pa以上高い圧力に維持されているのがより好ましく、3000Pa以上高い圧力に維持されているのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0376】
また、冷凍装置23の運転時において、冷凍室24内部の圧力は、1.02×10Pa以上であるのが好ましく、1.03×10Pa以上であるのがより好ましく、1.05×10〜8×10Paであるのがさらに好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0377】
冷凍装置23を使用する際における冷凍室24内の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部が冷凍される温度であれば、特に限定されないが、例えば、−20℃以下であるのが好ましく、−80〜−20℃であるのがより好ましく、−70〜−30℃であるのがさらに好ましい。冷凍室24内の温度を−20℃以下とすることにより、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを十分に微細化した状態で、冷凍対象物5を凍結させることができ、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0378】
冷凍室24内に搬送された冷凍対象物5は冷凍されるが、このとき、磁場発生装置2が発生する磁場の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。また、磁場発生装置2は、磁場制御装置3に接続されている。なお、磁場発生装置2および磁場制御装置3も前記実施形態で用いたものと同様のものである。
【0379】
ところで、冷凍対象物5は、螺旋状搬送路25により、冷凍室24内を搬送される。このとき、冷凍対象物5と、磁場発生装置2との相対的な位置関係が経時的に変化する。したがって、冷凍対象物5が磁場発生装置2から与えられる磁場の強度は、経時的に変化する。
【0380】
また、前述したように、冷凍装置23の使用時において、冷凍室24の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍する温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、効率良く細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化されたものとなる。
【0381】
また、例えば、磁場発生装置2のコイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、螺旋状搬送路25によって冷凍室24内に搬送されてきた冷凍対象物5に与える磁場強度を、さらに効果的に変化させたり、さらに複雑に変化させることができる。その結果、冷凍対象物5中における、水素結合をさらに効率良く切断し、水のクラスターを効率良く細分化することができる。したがって、冷凍対象物5は、風味、外観、香り等の品質の劣化を特に生じ難いものとなる。
【0382】
冷凍室24には、少なくとも1つの磁場発生装置2が設置されていればよいが、図26に示すように、複数個の磁場発生装置2が設置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0383】
複数の磁場発生装置2を用いる場合、ガイドレール250の螺旋部に対峙するように設置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効果的に細分化することができる。また、この場合、複数個の磁場発生装置2は、ほぼ等間隔に設置されているのが好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0384】
また、冷凍装置23は、前記実施形態で用いたものと同様のエネルギー付与手段4を有していてもよい。
【0385】
エネルギー付与手段4は、いかなる部位に設置されたものであってもよいが、冷凍室24内に設置されているのが好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0386】
図示の構成では、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とが一体的に形成されている。
【0387】
また、エネルギー付与手段4は、冷凍室24内の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。
【0388】
また、冷凍装置23は、前記実施形態で用いたものと同様の光照射手段26を有していてもよい。
【0389】
光照射手段26は、いかなる部位に設置されたものであってもよいが、図示のように冷凍室24内に設置されているのが好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0390】
また、この冷凍室24の入口近傍には、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17Aが設置され、冷凍室24の出口近傍にも、搬送されてきた冷凍対象物5を検知するセンサ17Bが設置されている。これらセンサ17A、17Bの作用および機能は前記実施形態で用いたセンサ17A、17Bと同様のものである。
【0391】
このように、本実施形態の冷凍装置23は、冷凍対象物を搬送しつつ、冷凍することができる構成を有しているため、連続的に冷凍対象物を冷凍することができ、例えば、本発明の冷凍物(例えば、冷凍食品)の生産効率を高めることができる。また、本実施形態では、冷凍対象物が搬送手段により搬送されるため、冷凍室の前および/または後で、梱包等の工程を行うことができ、冷凍物の生産性をさらに高めることができる。
【0392】
さらに、円筒状の冷凍室24において螺旋状搬送路25のガイドレール250が冷凍室24の中心軸を中心に旋回するように、螺旋状搬送路25が設置されるので、冷凍室24の大きさを小さくすることができる。
【0393】
冷凍対象物5の搬送速度は、特に限定されないが、0.1〜60m/分であるのが好ましく、0.3〜10m/分であるのがより好ましく、0.5〜6m/分であるのがさらに好ましい。
【0394】
冷凍対象物5の移動速度が前記下限値未満であると、単位時間あたりに冷凍することができる冷凍対象物5の量を十分に多くすることができない可能性がある。
【0395】
一方、冷凍対象物5の移動速度が前記上限値を超えると、冷凍室24の大きさ等によっては、冷凍対象物5を十分に冷凍することができない可能性がある。
【0396】
以上のような冷凍装置23では、冷凍対象物5は、ガイドレール250上に搬送板を介して載置され、磁場発生装置2からの磁場を受けながら冷凍室24内を搬送される。このとき、ガイドレール250上の冷凍対象物5は冷凍室24内の磁場発生装置2に対して相対的に移動する。
【0397】
また、磁場発生装置2が発生する磁場の周波数、強度等は、例えば、冷凍対象物5の搬送速度等に応じて、制御するような構成であってもよい。これにより、あらゆるパターンの磁場の波を形成することができ、例えば、冷凍室24内の温度や、冷凍対象物5の種類、形状、体積、重量、密度、含水率等の諸条件に応じて、冷凍対象物5が受ける磁場を、所望の形状、強度に調整することが可能となる。その結果、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを、より効率的に細分化することができる。
【0398】
特に、本実施形態の冷凍装置23では、前記のように冷凍対象物5が冷凍室24に設置された磁場発生装置2に対して相対的に移動しながら磁場を受けるように構成されていることにより、以下のような効果も得られる。
【0399】
すなわち、冷凍室24の磁場発生装置2の磁場強度が一定であっても冷凍対象物5に与えられる磁場が経時的に変化するので、磁場発生装置2の発生する磁場は、強度が経時的に変化する磁場に限らず、強度が一定の定常磁場であっても冷凍対象物5中の水のクラスターを効率良く細分化することができる。したがって、選択し得る磁場のパターン(磁場の大きさ、形状、およびこれらの経時的な変化パターン等)の幅が広く、装置構成の自由度が高いというメリットがある。
【0400】
また、特に、磁場発生装置2が発生する磁場が交番磁場やパルス状の磁場のように経時的に変化するものである場合には、前述のように冷凍対象物5が相対移動することによる磁場強度の経時的変化の上に、交番磁場による微少な磁場の周期的変化が重畳されるので、冷凍対象物5中の水のクラスターがさらに効率よく細分化される。したがって、前述したような冷凍対象物5のミクロ的な構造の変化を、より確実に防止・抑制することができ、冷凍対象物5の保存性を大きく高めることができる。
【0401】
また、本実施形態では、磁場発生装置として、冷凍室の内部に固定的に設置されたものについて説明したが、磁場発生装置は、一次元方向、二次元方向ないし三次元方向のいずれかの方向に移動可能なものであってもよい。また、複数個の磁場発生装置を有する場合、移動可能な方向は、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0402】
また、本実施形態では、円筒状の冷凍室24を有する構成について説明したが、冷凍室24は、螺旋状搬送路25により冷凍対象物5を搬送することが可能な構成であれば、いかなる形状を有するものであってもよい。
【0403】
また、本実施形態では、磁場発生装置2が冷凍室24内に設置された構成について説明したが、磁場発生装置2は、例えば、冷凍室24に埋め込まれた構成のものであってもよい。
【0404】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第13実施形態について説明する。
図27は、本実施形態の冷凍装置を示す概略図、図28は、図27に示す冷凍装置が有するマイナスイオン発生装置の構成を示す概略図、図29は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例、図30は、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【0405】
以下、第13実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0406】
本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101の内部において後述するマイナスイオン発生装置27を有する点で異なる以外は前記第2実施形態と同様の構成を有する。
【0407】
図27に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、複数個の磁場発生装置を備えたクラスター細分化装置1Bと、載置部(ラック)7と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)と、マイナスイオン発生装置27とを有している。
【0408】
マイナスイオン発生装置27は、電圧を印加することにより、マイナスイオンを発生させるものである。マイナスイオンを冷凍対象物5に供給することにより、クラスター細分化装置1Bにおける磁場発生装置2による磁場の印加と相まって、冷凍対象物5の品質を長期間良好に維持することができる。
【0409】
図28に示すように、マイナスイオン発生装置27は、複数(図示の構成では、3本)の針状をなす放電電極272と、各放電電極272を固定、支持する基体271とを有している。また、各放電電極272には、電圧印加装置270が電気的に接続されている。
【0410】
電圧印加装置270がマイナスイオン発生装置27に電圧を印加することにより、マイナスイオン発生装置27は、マイナスイオンを発生する。具体的には、電圧印加装置270が各放電電極272に電圧を印加すると、各放電電極272の先端部においてコロナ放電が起こり、その周辺の空間に存在する分子に電子が付与されマイナスイオンが発生する。
【0411】
電圧印加装置270による印加電圧は、特に限定されないが、−10〜−1kV程度であるのが好ましく、−8〜−3kV程度であるのがより好ましい。
【0412】
この印加電圧は、直流、交流のいずれであってもよく、また、電圧は、パルス状に印加してもよい。
【0413】
また、各放電電極272は、それらの先端部が互いに離間するよう(放射状)に配置されている。これにより、発生したマイナスイオンを空間により均一に(濃度ムラがより少なくなるよう)供給することができる。
【0414】
隣接する放電電極272同士のなす角度(図28中角度θ)は、特に限定されないが、例えば、15〜45°程度とされる。
【0415】
このようなマイナスイオン発生装置27は、前記低温気体(冷気)の流路の途中に配置されているのが好ましく、本実施形態では、ファン9の低温気体の噴出口近傍に設置されている。これにより、マイナスイオン発生装置27が発生したマイナスイオンを、冷凍装置本体101内において、効率よく循環させることができる。その結果、マイナスイオンが冷凍対象物5により均一に到達するようになる。
【0416】
マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量は、連続的または段階的に変化(増減)することができるのが好ましい。すなわち、マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量(供給量)を経時的に変化させるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターをより効率的に細分化することができる。
【0417】
マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量を変化させる方法の例としては、マイナスイオン発生装置27(各放電電極272)への印加電圧を増減させて、マイナスイオンの発生量自体を変化させる方法、ファン9の送風量(送風速度)を変化させる方法、吸着手段(捕捉手段)によりマイナスイオンを捕捉して、空間に存在するマイナスイオンの量を変化させる方法等が挙げられる。
【0418】
また、マイナスイオン発生装置27は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。後述するように、冷凍装置本体101の内部は、極めて低温に保持されるが、マイナスイオン発生装置27が耐低温性を有するものであることにより、マイナスイオン発生装置27の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、マイナスイオン発生装置27の交換を行わなくてもよいので(または、マイナスイオン発生装置27の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0419】
また、このようなマイナスイオン発生装置27、すなわち、電圧の印加によりマイナスイオンを発生させる装置では、マイナスイオンの発生とともに、通常オゾンも発生する。オゾンは、例えば、エチレンガス、アルデヒドガス等の腐敗ガスの分解作用を有している。また、オゾンおよびマイナスイオンは、いずれも腐敗菌に対する殺菌作用を有している。このため、冷凍装置10に、このようなマイナスイオン発生装置27を設置することにより、冷凍対象物5の腐敗防止効果の向上を図ることもできる。
【0420】
なお、図示の構成では、マイナスイオン発生装置27と磁場発生装置2とは、個別に(独立して)設けられているが、これらは一体的に設けることもできる。
【0421】
前述したように、冷凍対象物5は、磁場の印加により、その内部に含まれる水のクラスターが細分化されるが、それに加えてマイナスイオンが供給されることにより、水のクラスターは、マイナスイオンの電気的作用により、磁場の影響をより受け易い状態となる。その結果、その細分化がさらに促進される。
【0422】
マイナスイオンは、図29中に示すように、いずれかの磁場発生装置2により磁場が印加されている間常時発生させるようにしても、断続的(間欠的)に発生させるようにしてもよい。後者の場合、例えば、図30中に示すように、磁場発生装置2Bからの磁場の発生に同期してマイナスイオンを発生させる(マイナスイオン発生装置27を作動する)ことができる。なお、図29および図30の例では、いずれも、マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量の増減(変化)を、マイナスイオン発生装置27(各放電電極272)への印加電圧を増減(変化)させて、マイナスイオンの発生量自体を変化させる方法により行う場合を代表して示す。
【0423】
この図30の例では、3つの磁場発生装置による合計の磁場の強度の増減と、マイナスイオンの発生量(マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量)の増減とが同期して行なわれる。すなわち、図30に示す例では、3つの磁場発生装置2A、2B、2Cが作動しているときと2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときが交互に訪れるが、前者のときに、すなわち磁場の強度の合計が大きいときに、これに同期してマイナスイオン発生装置27に電圧を印加し、マイナスイオンを発生させる。このようにすることにより、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0424】
なお、図30においては、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているとき(磁場発生装置2Bが作動していないとき)は、電圧の印加が停止され、マイナスイオンを発生させないようになっているが、これに限らず、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときは、印加電圧を減少させるなどして、マイナスイオンの発生量(すなわち、マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量)を減少させるようにしてもよい。
【0425】
なお、本実施形態の冷凍装置10におけるマイナスイオン発生装置27は、上述した実施形態の冷凍装置にも適用可能であり、各実施形態において上述した効果を奏することが可能である。
【0426】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第14実施形態について説明する。
図31は、本実施形態の冷凍装置を示す概略図、図32は、図31に示す冷凍装置が有するマイナスイオン発生装置の構成を示す概略図である。
【0427】
以下、第14実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0428】
本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101の内部に備えられるマイナスイオン発生装置の構成が異なる以外は前記第13実施形態と同様の構成を有する。
【0429】
図31に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、複数個の磁場発生装置2を備えたクラスター細分化装置1Bと、載置部(ラック)7と、熱交換機8と、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)と、下記のマイナスイオン発生装置28とを有している。
【0430】
マイナスイオン発生装置28は、冷凍装置本体101の内部に配置され、図32に示すように、筐体283と、筐体283の天井部から吊り下げられ、互いに近接して併設された複数の振動体(マイナスイオン発生源)284とを有している。
【0431】
筐体283は、箱状をなしており、その側方の所定位置(図示の構成では、左側方上部)には、冷凍装置本体101内の雰囲気ガス(低温気体)が流入する(雰囲気ガスを取り入れる)流入口2831が形成されている。また、筐体283の底部は、開口しており、この開口(排出口)2832から、筐体283内に流入した低温気体が流出する。
【0432】
各振動体284は、板状(またはシート状)をなす基材(担体)2841に、マイナスイオンを発生させ得る物質で構成された粉体2842を担持させたものである。
【0433】
このようなマイナスイオン発生装置28では、筐体283(マイナスイオン発生装置28)内を通気して、この際、流入口2831から流入した低温気体を順次振動体284に衝突(接触)させる、すなわち、各振動体284に応力を作用させる。これにより、各振動体284を揺動または振動させ、粉体2842の周辺の空間にマイナスイオンを発生させる。
【0434】
基材2841は、メッシュ状(多孔質状)をなす部材で構成されるのが好ましい。これにより、各振動体284に低温気体を良好に通過させることができる。このため、各振動体284を効率よく揺動または振動させることができる。この基材2841の構成材料としては、例えば、各種木材、各種金属材料、各種天然繊維等が好適に用いられる。
【0435】
このような基材2841には、粉体2842を適当なバインダー液に分散させ、かかる分散液を当該基材2841に接触(例えば噴霧、浸漬等)させることにより、粉体2842を容易に付与することができる。
【0436】
粉体2842の構成材料(マイナスイオンを発生させ得る物質)としては、例えば、トルマリン、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、チャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石等の鉱石、BaTiO、PbTiO、PbZrO、Pb(Zr,Ti)O、KNbO、KTaO、K(Ta,Nb)O、LiNbOやロッシェル塩、硫酸グリシン、りん酸カリウム、プロピオン酸カルシウムストロンチウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0437】
また、粉体2842の平均粒径は、特に限定されないが、3μm以下であるのが好ましく、0.1〜1μm程度であるのがより好ましい。これにより、粉体2842は、より効率よく静電気を発生することができる。
【0438】
特に、本実施形態では、筐体283(マイナスイオン発生装置28)内を通気するのに、ファン9により循環される低温気体(ファン9からの送風)を利用するよう構成されている。これにより、マイナスイオン発生装置28内の通気を行う装置を、別途設けなくてよいので、冷凍装置10の大型化を防止することができる。
【0439】
このようなことから、マイナスイオン発生装置28は、前記低温気体の流路の途中に配置されているのが好ましく、本実施形態では、ファン9の低温気体の噴出口近傍に設置されている。
【0440】
また、前記第13実施形態と同様、マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量は、連続的または段階的に変化(増減)することができるのが好ましい。マイナスイオンの冷凍対象物5への到達量を変化させる方法の例としては、ファン9の送風量(送風速度)を変化させる方法、ファン9からの送風のマイナスイオン発生装置28内への流入量(取入量)を変化させる方法、吸着手段(捕捉手段)によりマイナスイオンを捕捉して、空間に存在するマイナスイオンの量を変化させる方法等が挙げられる。ファン9からの送風のマイナスイオン発生装置28内への流入量(取入量)を変化させる場合には、例えば、前記流入口2831を開閉し、その開度を調整可能な蓋体を設けるようにすることができる。
【0441】
なお、本実施形態では、ファン9の送風を利用して、筐体283(マイナスイオン発生装置28)内を通気する構成であったが、各振動体284は、例えば、ソレノイド等の機械的機構により振動し得るよう構成することもできる。
【0442】
また、基材2841に、マイナスイオンを発生させ得る物質を担持させる場合、該物質の形状は、粉状(粉体2842)に限られず、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよい。また、基材2841自体を、マイナスイオンを発生させ得る物質で構成するようにしてもよい。
【0443】
また、本実施形態では、マイナスイオン発生装置28が1つのみ設置される構成であったが、その設置数は、特に限定されず、複数設けるようにしてもよい。
【0444】
また、マイナスイオン発生装置28の構成は、本実施形態のものに限定されず、例えば、前述したような応力が作用することによりマイナスイオンを発生させ得る物質で構成された板状部材(薄板)に対して、ハンマー、圧電素子、超音波振動子のような振動源により振動を与えるような構成とすることもできる。
【0445】
なお、本実施形態でも、前記第13実施形態と同様に、マイナスイオンは、図29中に示すように、いずれかの磁場発生装置2により磁場が印加されている間常時発生させるようにしてもよく、図30中に示すように、磁場発生装置2Bからの磁場の発生に同期して断続的(間欠的)に発生させるようにしてもよい。
【0446】
なお、本実施形態の冷凍装置10におけるマイナスイオン発生装置28は、上述した実施形態の冷凍装置にも適用可能であり、各実施形態において上述した効果を奏することが可能である。
【0447】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第15実施形態について説明する。
図33は、本実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【0448】
以下、第15実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0449】
本実施形態の冷凍装置10は、前記第7実施形態と同様に、複数個の磁場発生装置2が冷凍対象物5を載置する部分を囲むようにコの字状に配置されたクラスター細分化装置1Mを有しているが、磁場発生装置2の制御方法において前記実施形態と異なる。
【0450】
本実施形態では、冷凍装置本体101内に投入された冷凍対象物5に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるように制御する。
【0451】
このようにして、磁場発生装置2からの磁場を制御することにより、より長期間にわたって冷凍対象物5の品質を確実に保持することができることを、本発明者は見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0452】
磁場発生装置2から経時的に強度が変化する磁場を発生し続けた状態では、冷凍対象物5中の水分子が微視的な振動をしており、冷凍対象物5は凍結し難い状態となっている。このため、前述したような磁場を与えることにより、磁場を与えない状態では凍結するような温度まで冷凍対象物5を冷却しても冷凍対象物5が凍結に至らない、いわゆる過冷却の状態になることがある。このような過冷却状態では、冷凍対象物5は、凍結に至っておらず、ミクロ的な構造の変化を起しやすい状態となっている。このため、長期間にわたって過冷却の状態にしておくと、冷凍対象物5の品質の低下を十分に防止するのが困難になることがある。
【0453】
したがって、冷凍装置本体101内に投入された冷凍対象物5に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるように制御することにより、冷凍対象物5の品質の低下をより効果的に防止しつつ、冷凍対象物5を凍結することができる。
【0454】
このような凍結時において、冷凍対象物5の各部位での温度は十分均一になっているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の各部位での凍結速度のばらつきは極めて小さくなり、冷凍対象物5の各部位における水のクラスターの大きさがより均一になった状態で、冷凍対象物5を凍結に至らしめることができ、凍結した冷凍対象物5中における水のクラスターは、各部位での大きさのばらつきが極めて小さいものとなる。その結果、冷凍対象物5全体としての長期安定性が特に優れたものとなる。
【0455】
所定時間Tは、冷凍対象物5の温度が、冷凍対象物5に磁場を与えない状態では冷凍対象物5が凍結に至る温度となるように、設定するのが好ましい。
【0456】
所定時間Tの具体的な範囲は、冷凍対象物5の種類、寸法、投入前の温度等により異なるが、通常、10〜120分であるのが好ましい。
【0457】
所定時間Tが短すぎると、例えば、冷凍対象物5の温度が十分に低下しておらず、その時点から冷凍対象物5が凍結するまでの時間が長くなる場合がある。このような場合、冷凍対象物5を水のクラスターが十分に微細化した状態で凍結させるのが困難となる。また、所定時間Tが短すぎると、例えば、冷凍対象物5の各部位における温度が十分均一になっていない可能性がある。このような理由から、所定時間Tが短すぎると、冷凍対象物5の長期安定性をより優れたものとするのが困難となる場合がある。
【0458】
一方、所定時間Tが長すぎると、コイル21にかかる消費電力が無駄になるだけであり、クラスターのさらなる微細化やクラスターの大きさの均一性のさらなる向上といった効果はほとんど得られない。また、所定時間Tが長すぎると、上記のような過冷却状態が、必要以上の長時間にわたって維持され、冷凍対象物5が凍結に至ることができないため、冷凍対象物5の長期安定性をより優れたものとするのが困難となる場合がある。
【0459】
所定時間Tが経過した後に磁場強度を減弱させる場合、減弱させた後の磁場の最大強度は、例えば、減弱させる前の磁場の最大強度の60%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。減弱させた後の磁場の最大強度が大きすぎると、冷凍対象物5の種類によっては、冷凍対象物5の冷凍速度が遅くなったり、消費電力が無駄になる可能性がある。なお、磁場発生装置2から発生する磁場は、磁場強度の減弱前と減弱後とで、同じであっても異なっていてもよいが、同じ周波数とした方が磁場の制御が簡易である。
【0460】
また、所定時間Tが経過した後に磁場強度を減弱させる場合、磁場発生装置2からの磁場は、停止に向かって減弱していくものであってもよいし、所定の強度(最大強度)を維持するものであってもよい。
【0461】
図33に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、温度センサ30を有している。これにより、例えば、冷凍装置本体101内への投入時における冷凍対象物5の温度を検出することができ、所定時間Tをより適正な値として正確に決定することができる。特に、図示のような温度センサ30を有することにより、冷凍対象物5の温度を非接触で測定することができる。
【0462】
所定時間Tは、いかなる方法で決定するものであってもよいが、例えば、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータに基づいて決定されるものであるのが好ましい。このようなパラメータとしては、例えば、冷凍対象物5の重量、寸法(特に、厚さ)、素材の特徴(例えば、素材の種類、素材を構成する細胞の数や大きさ、含水量、熱伝導率等)、冷凍装置本体101への投入時における冷凍対象物5の温度等が挙げられる。
【0463】
上述したように、所定時間Tは、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータに基づいて決定されるものであるのが好ましいが、2種以上のパラメータに基づいて決定されるものであるのがより好ましい。これにより、所定時間Tをより適正な値として正確に決定することができる。
【0464】
また、所定時間Tの決定には、冷凍装置10の冷凍速度が考慮されるのが好ましい。これにより、所定時間Tをより適正な値として正確に決定することができる。
【0465】
図33に示すように、本実施形態では、冷凍対象物5の重量を、載置部7(特にトレイ71)と一体的に形成された重量計32により測定する構成となっている。
【0466】
また、冷凍装置10には、冷凍対象物5の厚さを測定する測量計29も設けられている。冷凍対象物5の中心部付近での冷却速度は、冷凍対象物5の寸法のうちでも特に厚さに依存するので、所定時間Tを決定するためのパラメータとして冷凍対象物5の厚さを用いるのが好ましい。測量計29としては、例えば、光の照射により冷凍対象物5の厚さを測定するものを用いることができる。この場合、測量計29は、例えば、冷凍対象物5の上面側をスキャニング(走査)するものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の各部位での厚さを検出し、これらの情報から、冷凍対象物5の最大厚さ、平均厚さ等をより正確に求めることが可能となり、結果として、所定時間Tをより適正な値として正確に決定することができる。
【0467】
また、例えば、重量計32、測量計29等が冷凍対象物を検出しなかった場合、磁場発生装置2が作動しないように制御してもよい。
【0468】
また、冷凍装置10は、例えば、上記のような所定時間Tの決定に必要な条件を、使用者が手動入力するための入力ボタン31を有するものであってもよい。これにより、上記のようなパラメータを測定するための部材を省略または簡略化することができる。
【0469】
なお、上記の説明では、冷凍装置本体101の内部の温度が比較的高く(ただし、冷凍対象物5に磁場を与えない状態では冷凍対象物5が凍結に至る温度)、磁場を停止または減弱させた後に冷凍対象物5の凍結が開始するものとして説明したが、磁場を停止または減弱させる前に冷凍対象物5の少なくとも一部が凍結していてもよい。このような場合であっても、消費電力を抑制しつつ、水のクラスターを十分に微細化した状態で冷凍対象物5を凍結することができ、前述したような効果を十分に発揮させることができる。
【0470】
また、本実施形態では、所定時間Tの決定に必要な条件を手動入力するための入力部として、入力ボタン31を有する構成について説明したが、このような入力部は、例えば、タッチパネル等、他の形態を有するものであってもよい。
【0471】
なお、本実施形態における磁場発生装置2の制御方法は、上述した実施形態の冷凍装置にも適用可能であり、各実施形態において上述した効果を奏することが可能である。
【0472】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第16実施形態について説明する。以下、第16実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0473】
本実施形態の冷凍装置10は、その構成が前記第15実施形態と同様であるが、磁場発生装置の制御方法において前記第15実施形態と異なる。
【0474】
本実施形態では、冷凍装置本体101内に投入された冷凍対象物5の表面付近の温度が所定値Ts[℃]になったら、磁場発生装置からの磁場を停止または減弱させるように制御する。
【0475】
これにより、冷凍対象物5を、水のクラスターをより効率よく細分化した状態で、速やかに凍結させることができる。その結果、品質の低下をより効果的に防止、抑制しつつ、冷凍対象物5を冷凍することができる。
【0476】
Tsは、冷凍対象物5の中心部付近の温度が、冷凍対象物5に磁場を与えない状態では冷凍対象物5が凍結に至る温度となるように、設定されるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の各部位での凍結速度のばらつきは極めて小さくなり、冷凍対象物5の各部位における水のクラスターの大きさがより均一になった状態で、冷凍対象物5を凍結に至らしめることができ、凍結した冷凍対象物5中における水のクラスターは、各部位での大きさのばらつきが極めて小さいものとなる。その結果、冷凍対象物5全体としての長期安定性が特に優れたものとなる。
【0477】
また、Tsは、いかなる方法で設定されるものであってもよいが、例えば、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて設定されるものであるのが好ましい。このようなパラメータとしては、例えば、冷凍対象物5の重量、寸法(特に、厚さ)、冷凍装置本体101内への投入時における温度、素材の特徴(例えば、素材の種類、素材を構成する細胞の数や大きさ、含水量、熱伝導率等)等が挙げられる。
【0478】
上記のようなパラメータを用いる場合、例えば、予め、当該パラメータと、冷凍対象物5の表面付近の温度と、冷凍対象物5の中心部付近の温度との相関関係を実験的に求めておき、この相関関係を用いることにより、Tsを設定するような構成とするのが好ましい。このようにしてTsを設定する場合、冷凍装置10は、例えば、パラメータの値に基づいて、前記相関関係によりTsを算出する演算部(不図示)を有するような構成にすることができる。
【0479】
上述したように、Tsは、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて設定されるものであるのが好ましいが、2種以上のパラメータを組み合わせて用いるのがより好ましい。これにより、Tsをより適正な値として設定することが可能となる。
【0480】
また、Tsの設定には、冷凍装置10の冷凍速度が考慮されるのが好ましい。これにより、Tsをより適正な値として設定することが可能となる。
【0481】
Tsの具体的な値は、上記パラメータ等の諸条件により異なるが、通常、−60〜−20℃であるのが好ましく、−55〜−25℃であるのがより好ましく、−50〜−30℃であるのがさらに好ましい。
【0482】
Tsが前記下限値未満であると、上記のような過冷却状態が、必要以上の長時間にわたって維持され、冷凍対象物5が凍結に至ることができないため、冷凍対象物5の長期安定性をより優れたものとするのが困難となる場合がある。
【0483】
一方、Tsが前記上限値を超えると、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱してから、冷凍対象物5(特に、冷凍対象物5の中心部付近)が凍結に至るまでの時間が長くなり、一旦、細分化された水のクラスターが、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱してから、冷凍対象物5が凍結に至るまでの間に、再び粗大化する場合がある。これにより、水のクラスターが大きい状態で凍結し、冷凍対象物5のミクロ的な構造の変化を効果的に防止することができなくなる。その結果、冷凍対象物5の品質の低下をより効果的に防止、抑制するのが困難となる。
【0484】
冷凍対象物5の表面付近の温度がTs[℃]となった時点で、磁場強度を減弱させる場合、減弱させた後の磁場の最大強度は、例えば、減弱させる前の磁場の最大強度の60%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。減弱させた後の磁場の最大強度が大きすぎると、冷凍対象物5の種類によっては、冷凍対象物5の冷凍速度が遅くなったり、消費電力が無駄になる可能性がある。なお、磁場発生装置2から発生する磁場の周波数は、磁場強度の減弱前と減弱後とで、同じであっても異なっていてもよいが、同じ周波数とした方が磁場の制御が簡易である。
【0485】
また、冷凍対象物5の表面付近の温度がTs[℃]となった時点で磁場強度を減弱させる場合、磁場発生装置2からの磁場は、停止に向かって減弱していくものであってもよいし、所定の強度(最大強度)を維持するものであってもよい。
【0486】
冷凍対象物5の表面付近の温度は、いかなる手段、方法で求められるものであってもよいが、例えば、図33に示すような温度センサ30で検出することができる。このような温度センサ30を用いることにより、冷凍対象物5の表面付近の温度を非接触で測定することができる。また、冷凍対象物5を冷凍装置10内に投入した時点における、冷凍対象物5と冷凍装置本体101内との温度差が比較的大きい場合であっても、冷凍対象物5の表面付近の温度をより正確に測定することができる。
【0487】
また、冷凍対象物5の中心部付近での冷却速度は、冷凍対象物5の寸法のうちでも特に厚さに依存するので、Tsを設定するためのパラメータとして冷凍対象物5の厚さを用いるのが好ましい。
【0488】
さらに、冷凍装置10では、例えば、上記のようなTsの設定に必要な条件が入力ボタン31を介して入力されるものであってもよい。
【0489】
また、上記の説明では、冷凍対象物5の表面付近の温度がTs[℃]となった時点で、すなわち、冷凍対象物5の表面付近の温度がTs[℃]となった直後に、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させる構成について説明したが、冷凍対象物5の表面付近の温度がTs[℃]となってから、所定時間経過した後に、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるようにしてもよい。
【0490】
なお、本実施形態における磁場発生装置2の制御方法は、上述した実施形態の冷凍装置にも適用可能であり、各実施形態において上述した効果を奏することが可能である。
【0491】
次に、本発明の冷凍装置、冷凍方法の第17実施形態について説明する。
図34は、冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示すグラフである。
【0492】
以下、第17実施形態の冷凍装置、冷凍方法について、前述した実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0493】
本実施形態の冷凍装置10は、その構成が前記第15実施形態と同様であるが、磁場発生装置の制御方法において前記第15実施形態と異なる。
【0494】
一般に、物体を冷却する場合、当該物体の温度は、その表面側から低下するが、本実施形態は、冷凍対象物5の各部位の温度が十分に均一になった状態で、磁場発生装置2が発生する磁場を停止または減弱させる点に特徴を有する。すなわち、冷凍対象物5の表面付近の温度をTs[℃]、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるように制御する点に特徴を有する(図34参照)。これにより、冷凍対象物5を、水のクラスターをより効率よく細分化した状態で、速やかに凍結させることができる。その結果、品質の低下をより効果的に防止、抑制しつつ、冷凍対象物5を冷凍することができる。
【0495】
Tc−Tsは、十分に小さい値であれば特に限定されないが、30℃以下であるのが好ましく、20℃以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0496】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後、さらに、同様の磁場を与え続けても、クラスターのさらなる微細化やクラスターの大きさの均一性のさらなる向上といった効果はほとんど得られず、コイル21にかかる消費電力が無駄になるだけである。したがって、Tc−Tsが十分に小さくなった時点で磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させることによって、このような消費電力の無駄も省くことができる。
【0497】
Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、減弱させた後の磁場の最大強度は、例えば、減弱させる前の磁場の最大強度の60%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。減弱させた後の磁場の最大強度が大きすぎると、冷凍対象物5の種類によっては、冷凍対象物5の冷凍速度が遅くなったり、消費電力が無駄になる可能性がある。なお、磁場発生装置2から発生する磁場の周波数は、磁場強度の減弱前と減弱後とで、同じであっても異なっていてもよいが、同じ周波数とした方が磁場の制御が簡易である。
【0498】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、磁場発生装置2からの磁場は、停止に向かって減弱していくものであってもよいし、所定の強度(最大強度)を維持するものであってもよい。
【0499】
冷凍対象物5の表面付近の温度Tsは、例えば、図33に示すような温度センサ30で検出することができる。このような温度センサ30を用いることにより、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsを非接触で測定することができる。また、冷凍対象物5を冷凍装置10内に投入した時点における、冷凍対象物5と冷凍装置本体101内との温度差が比較的大きい場合であっても、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsをより正確に測定することができる。
【0500】
一方、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcは、いかなる方法で推定するものであってもよいが、例えば、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましい。このようなパラメータとしては、例えば、冷凍対象物5の重量、寸法(特に、厚さ)、素材の特徴(例えば、素材の種類、素材を構成する細胞の数や大きさ、含水量、熱伝導率等)等が挙げられる。
【0501】
上記のようなパラメータを用いてTcを推定する場合、例えば、予め、当該パラメータと、冷凍対象物の表面付近の温度と、冷凍対象物5の中心部付近の温度との相関関係を実験的に求めておき、この相関関係を用いることにより推定することができる。このようにしてTcを推定する場合、冷凍装置10は、例えば、パラメータの値と、温度センサ30で測定された値とに基づいて、前記相関関係によりTcを算出する演算部(図示せず)を有するような構成にすることができる。
【0502】
上述したように、冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcは、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましいが、2種以上のパラメータを組み合わせて用いるのがより好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0503】
また、Tcの推定には、冷凍装置10の冷凍速度が考慮されるのが好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0504】
また、冷凍対象物5の中心部付近での冷却速度は、冷凍対象物5の寸法のうちでも特に厚さに依存するので、Tcを推定するためのパラメータとして冷凍対象物5の厚さを用いるのが好ましい。
【0505】
さらに、冷凍装置10では、例えば、上記のようなTcの推定に必要な条件が入力ボタン31を介して入力されるものであってもよい。
【0506】
また、本実施形態では、冷凍対象物5の温度Tsを温度センサ30により測定する構成について説明したが、Tsとしては、例えば、冷凍装置本体101の内部の温度を代用してもよい。
【0507】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0508】
例えば、前述した実施形態では、低温気体供給手段として除湿装置を供えたものを用いる構成について説明したが、低温気体供給手段は、外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給することができるものであれば特に限定されず、例えば、不活性ガス等の気体(液化ガスを含む)を収納するガスボンベを有するものであってもよい。このように、低温気体供給手段がガスボンベを有するものであると、ボンベ内からガスが噴射される際の前記ガスの体積変化に伴い、噴射されるガスの温度を、比較的容易に、より低いものとすることができる。これにより、冷凍対象物の冷却効率を特に優れたものとすることができる。また、低温気体供給手段がガスボンベを有するものであると、熱交換機の冷却能が比較的低いものであっても、比較的容易に冷凍装置内の温度を十分に低いものとすることができる。また、冷凍装置の消費電力を抑制することができる。また、供給される冷温気体として不活性ガスを用いた場合、冷凍対象物が酸化等による悪影響を受け易いものであっても、このような悪影響の発生をより効果的に防止することができる。
【0509】
また、前述した実施形態では、冷凍対象物として食品を用いたものについて説明したが、冷凍対象物は、水を含むものであればいかなるものであってもよい。冷凍対象物として、例えば、移植等に用いられる臓器等の生体組織を用いた場合、前記生体組織内の水のクラスターが細分化した状態で冷凍することにより、前記生体組織を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止、抑制することができる。従って、生体組織の機能低下を十分に防止、抑制しつつ、前記生体組織を長期間にわたって保存することが可能となる。結果として、移植後においても、前記生体組織は、本来有する機能を、十分に発揮することができる。
【0510】
また、冷凍対象物として、例えば、薬品を用いた場合、当該薬品の品質の低下を防止、抑制することができる。
【0511】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置を複数個有する構成について説明したが、磁場発生装置は、少なくとも1個設けられていればよい。
【0512】
また、前述した実施形態では、除湿装置、ファン、熱交換機を、それぞれ1個ずつ有する構成のものについて説明したが、これらのうち少なくとも1種を複数個有する構成のものであってもよい。
【0513】
また、前述した実施形態では、クラスター細分化装置の磁場発生装置と、エネルギー付与手段とが一体的に形成された構成について説明したが、本発明においては、磁場発生装置と、エネルギー付与手段とは、それぞれ別々に設けられていてもよい。
【0514】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置としては、板状の形状を有するものについて説明したが、磁場発生装置の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、筒状、湾曲版状、棒状等、いかなるものであってもよい。
【0515】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0516】
[冷凍対象物の冷凍]
(実施例1)
まず、図2に示すようなクラスター細分化装置1Aを作製した。
エネルギー付与手段4の構成材料としては、トルマリンを用いた。
【0517】
なお、本実施例では、磁場発生装置2(非磁性体カバー)と、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。
【0518】
次に、このクラスター細分化装置1Aを用いて、図1に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0519】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0520】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンを図3に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。
【0521】
また、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0522】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0523】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、載置部7の各トレイ71上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0524】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0525】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が10%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、10%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0526】
(実施例2)
まず、図6に示すようなクラスター細分化装置1Bを作製した。
【0527】
光照射手段26としては、ピーク波長が420nmの青紫光ランプを光源261として備えたものを用いた。また、エネルギー付与手段4の構成材料としては、トルマリンを用いた。なお、本実施例では、磁場発生装置2(非磁性体カバー)と、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。
【0528】
次に、このクラスター細分化装置1Bを用いて、図5に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0529】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0530】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンおよび光照射手段26が発生する短波長光のパターンを図7に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。
【0531】
また、クラスター細分化装置1B全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0532】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0533】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、載置部7の各トレイ71上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0534】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0535】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が10%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、10%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0536】
(実施例3)
図9に示すように磁場発生装置が配されたクラスター細分化装置1Cを用いた以外は、前記実施例2と同様にして冷凍装置10を作製し、該冷凍装置10を用いて、前記実施例2と同様の条件で、パック詰めした中華麺を冷凍した。
【0537】
(実施例4)
図10に示すように磁場発生装置が配されたクラスター細分化装置1Dを用いた以外は、前記実施例2と同様にして冷凍装置10を作製し、当該冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0538】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンを図11に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。
【0539】
また、クラスター細分化装置1D全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0540】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0541】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0542】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、載置部7の各トレイ71上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0543】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0544】
また、除湿装置(低温気体供給装置)は、1時間毎に、稼動−停止を繰り返し行うように、制御した。
【0545】
(実施例5)
図13に示すように磁場発生装置が配されたクラスター細分化装置1Eを用いた以外は、前記実施例2と同様にして冷凍装置10を作製し、当該冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0546】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンを図12に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。
【0547】
また、クラスター細分化装置1E全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0548】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0549】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0550】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、載置部7の各トレイ71上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0551】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0552】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0553】
(実施例6)
図14に示すように磁場発生装置が配されたクラスター細分化装置1Fを用いた以外は、前記実施例5と同様にして冷凍装置10を作製し、当該冷凍装置10を用いて、前記実施例5と同様の条件で、パック詰めした中華麺を冷凍した。
【0554】
(実施例7)
まず、図16に示すようなクラスター細分化装置1Gを作製した。
【0555】
エネルギー付与手段4の構成材料としては、トルマリンを用いた。なお、本実施例では、磁場発生装置2(非磁性体カバー)と、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。また、本実施例では、回転手段6の構成は、図17に示すようなものとした。また、本実施例では、図16中には示さない光照射手段26を有するものとして、クラスター細分化装置1Gを作製した。光照射手段26としては、ピーク波長が420nmの青紫光ランプを光源261として備えているものを用いた。
【0556】
次に、このクラスター細分化装置1Gを用いて、図15に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0557】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0558】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光のパターンを図8に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。磁場発生装置2の切り替えは、冷凍対象物5の1回転に対し20サイクルとした。
【0559】
また、クラスター細分化装置1G全体として発生する磁場の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0560】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0561】
回転手段6によるテーブルの回転制御は、回転数1.67rpm(10°/秒)で20秒間正転の後、5秒間回転を停止し、その後、回転数1.67rpmで20秒間逆転し、これを繰り返し行った。
【0562】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、回転手段6のテーブルの上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結した。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0563】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0564】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0565】
(実施例8)
図18に示すように、冷凍対象物5が載置されたラック(載置部7)全体が回転手段6により、回転する構成とした以外は、前記実施例7と同様にして、クラスター細分化装置1Hを作製し、さらに、当該クラスター細分化装置1Hを備えた当該冷凍装置10を作製した。その後、当該冷凍装置10を用いて、前記実施例7と同様の条件で、パック詰めした中華麺を冷凍した。
【0566】
(実施例9)
まず、図19および図20に示すような冷凍装置15を作製した。
【0567】
トンネル部18の長さは、15mとした。また、トンネル部18の入り口付近および出口付近には、ゴム材料で構成されたカーテンを設置した。
【0568】
また、本実施例では、磁場発生装置2の外表面側に、エネルギー付与手段4を被覆することにより、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。非磁性体カバー22の構成材料としては、アクリル系樹脂を用いた。また、エネルギー付与手段4は、磁場発生装置2の外表面に、溶融したアクリル系樹脂に分散させたトルマリンを吹きつけ塗装することにより形成した。
【0569】
磁場発生装置2は、トンネル部18の内面上部に複数個設置した。また、これらの磁場発生装置2は、トンネル部18の長手方向に、50cm間隔で設置した。
【0570】
このような冷凍装置15を、以下に示すような条件で作動させた。
まず、熱交換機8を稼動させ、トンネル部18内の温度(長手方向の中央部付近での温度)を−50℃とした。
【0571】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下あった。また、冷凍対象物の冷却(冷凍)時においては、トンネル部(冷凍室)18内部の圧力が1.07×10〜8×10Paとなり、かつ、トンネル部(冷凍室)18外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力を維持するように、ポンプPを駆動させた。
【0572】
また、除湿装置(低温気体供給装置)は、1時間毎に、稼動−停止を繰り返し行うように、制御した。
【0573】
その後、搬送ベルト163上に、複数個の冷凍対象物5(パック詰めした中華麺:各200g)を、長手方向に、約50cmの間隔で載置した。
【0574】
この状態で、ベルトコンベア16を稼動させた。このとき、冷凍対象物5(搬送ベルト163)の移動速度は、1m/秒であった。
【0575】
冷凍対象物5がトンネル部18の入り口付近に到達したとき、センサ17Aが検知し、その検知情報により、磁場発生装置2が稼動するようにした。
【0576】
磁場発生装置2が発生する磁場は、周波数:60Hz、発生磁場強度(最大強度):2000Gsの交番磁場とした。また、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、20cmであった。
【0577】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0578】
センサ17A、17Bの検知情報に基づいて、磁場発生装置2からの磁場の発生を停止するようにした。
【0579】
(実施例10)
まず、図22および図23に示すような冷凍装置15を作製した。
【0580】
すなわち、磁場発生装置2を搬送ベルト163の内周面に複数個設置し、さらに、トンネル部18内に永久磁石20を設置した以外は、前記実施例9と同様にして冷凍装置15を作製した。永久磁石としては、R−TM−B系(ただし、Rは希土類元素、TMはFe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の遷移金属元素、Bはホウ素)の希土類磁石粉末を含むボンド磁石(室温での固有保磁力HcJ:640kA/m、最大磁気エネルギー積(BH)max:102kJ/m)を用いた。
【0581】
このような冷凍装置15において、搬送ベルト163を介して、磁場発生装置2に対面する箇所に各冷凍対象物5を載置し、磁場発生装置2が発生する磁場が周波数:100Hz、発生磁場強度(最大強度):3000Gsの交番磁場となるように制御した以外は、前記実施例9と同様の条件で、冷凍装置15を作動させ、冷凍対象物5を凍結させた。
【0582】
(実施例11)
まず、図24に示すような冷凍装置15を作製した。
【0583】
すなわち、第1の磁場発生装置2Eをトンネル部18の天井部に、50cm間隔で複数個設置し、かつ第2の磁場発生装置2Fを搬送ベルト163の内周面に搬送ベルト163の長手方向に関して50cm間隔で複数個設置した以外は、前記実施例9と同様にして冷凍装置15を作製した。
【0584】
また、本実施例では、第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fのそれぞれの外表面側に、エネルギー付与手段4を被覆することにより、第1の磁場発生装置2Eおよび第2の磁場発生装置2Fのそれぞれと、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。非磁性体カバー22の構成材料としては、アクリル系樹脂を用いた。また、エネルギー付与手段4は、磁場発生装置2の外表面に、溶融したアクリル系樹脂に分散させたトルマリンを吹きつけ塗装することにより形成した。
【0585】
このような冷凍装置15を、下記に示す条件以外は、前記実施例9と同様の条件で作動させた。
【0586】
すなわち、冷凍対象物5がトンネル部18の入り口付近に到達したとき、センサ17Aが検知し、その検知情報により、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fが稼動するようにし、第1の磁場発生装置2Eが発生する磁場は、周波数:60Hz、発生磁場強度(最大強度):2000Gsの交番磁場とし、第2の磁場発生装置2Fが発生する磁場は、周波数:100Hz、発生磁場強度(最大強度):3000Gsの交番磁場とし、さらに、センサ17A、17Bの検知情報に基づいて、第1の磁場発生装置2E、第2の磁場発生装置2Fからの磁場の発生を停止するようにした。また、第1の磁場発生装置2Eと、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、20cmであった。
【0587】
(実施例12)
まず、図26に示すような冷凍装置23を作製した。
【0588】
冷凍室24内に設けられた螺旋状搬送路の全長は、30mであった。また、冷凍室24の入り口付近および出口付近には、ゴム材料で構成されたカーテンを設置した。
【0589】
また、本実施例では、磁場発生装置2の外表面側に、エネルギー付与手段4を被覆することにより、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とを一体的に形成した。非磁性体カバー22の構成材料としては、アクリル系樹脂を用いた。また、エネルギー付与手段4は、磁場発生装置2の外表面に、溶融したアクリル系樹脂に分散させたトルマリンを吹きつけ塗装することにより形成した。
【0590】
磁場発生装置2は、冷凍室24の内面上に複数個設置した。また、これらの磁場発生装置2は、冷凍室24の上下方向に、50cm間隔で設置した。
【0591】
このような冷凍装置15を、以下に示すような条件で作動させた。
まず、熱交換機8を稼動させ、冷凍室24内の温度(上下方向の中央部付近での温度)を−50℃とした。
【0592】
その後、ガイドレール250上に搬送板を介して複数個の冷凍対象物5(パック詰めした中華麺:各200g)を、搬送方向に沿って約50cmの間隔で載置した。
【0593】
この状態で、螺旋状搬送路25を稼動させた。このとき、冷凍対象物5の移動速度は1m/秒であった。
【0594】
冷凍対象物5が冷凍室24の入り口付近に到達したとき、センサ17Aが検知し、その検知情報により、磁場発生装置2が稼動するようにした。
【0595】
磁場発生装置2が発生する磁場は、周波数:60Hz、発生磁場強度(最大強度):2000Gsの交番磁場とした。また、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、20cmであった。
【0596】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0597】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。また、冷凍対象物の冷却(冷凍)時においては、冷凍室24内部の圧力が1.07×10〜8×10Paとなり、かつ、冷凍室24外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力を維持するように、ポンプPを駆動させた。
【0598】
また、除湿装置11(低温気体供給装置)は、1時間毎に、稼動−停止を繰り返し行うように、制御した。
【0599】
また、センサ17A、17Bの検知情報に基づいて、磁場発生装置2からの磁場の発生を停止するようにした。
【0600】
(実施例13)
まず、前記実施例2と同様にして、図6に示すようなクラスター細分化装置1Bを作製した。
【0601】
次に、このクラスター細分化装置1Bを用いて、図27に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0602】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0603】
各磁場発生装置2が発生する磁場の発生パターンおよびマイナスイオン発生装置27が発生するマイナスイオンの発生パターンを図29に示すように制御した。各磁場発生装置2が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。
【0604】
また、クラスター細分化装置1B全体として発生する磁場(各磁場発生装置2が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0605】
また、マイナスイオン発生装置27において、放電電極同士のなす角度は、30°に設定し、印加電圧は−5kVとした。
【0606】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0607】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0608】
以上のような条件で、冷凍装置10を作動させ、冷凍装置本体101の内部の温度を−50℃とした後、載置部7の各トレイ71上に冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結した。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0609】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0610】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0611】
(実施例14)
まず、前記実施例2と同様にして、図6に示すようなクラスター細分化装置1Bを作製した。
【0612】
また、マイナスイオンを発生させ得る物質で構成された粉体2842として、トルマリン粉体(平均粒径=1μm)を用いて、セルロース繊維で構成させたメッシュ(基材2841)に担持させて振動体284を作製し、さらに、当該振動体284をアルミニウムで構成された筐体283の天井部から吊り下げることにより、図32に示すようなマイナスイオン発生装置28を得た。
【0613】
次に、上記のクラスター細分化装置1B、マイナスイオン発生装置28を用いて、図31に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0614】
このようにして得られた冷凍装置10を、前記実施例13の条件と同様の条件で作動させた。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0615】
(実施例15)
まず、前記実施例2と同様にして、図6に示すようなクラスター細分化装置1Bを作製した。
【0616】
次に、このクラスター細分化装置1Bを用いて、図33に示すような冷凍装置10を作製した。なお、ラック(載置部7)の構成材料としては、アルミニウムを用いた。
【0617】
作製した冷凍装置10は、載置部7に冷凍対象物5の重量を測定する重量計32と、厚さを測定する測量計29と、冷凍装置本体101内への投入時における冷凍対象物5の表面付近の温度を測定する温度センサ30とを有し、さらに、これらの値から、冷凍対象物5に所定強度の磁場を与える所定時間Tを算出する演算部を有するものとした。この冷凍装置10では、載置部7に載置された冷凍対象物5の重量と、厚さと、冷凍装置本体101内への投入時における冷凍対象物5の表面付近の温度とが自動的に測定され、これらの測定値が演算部に入力され、所定時間Tが算出されるものとした。
【0618】
本実施例の冷凍装置10では、冷凍対象物5を冷凍装置本体101内に投入する際には、磁場発生装置2から所定強度の交番磁場を発生させておき、所定時間Tが経過した時点で磁場の発生を停止するように磁場発生装置2を制御するようにした。
【0619】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0620】
まず、熱交換機8、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)、クラスター細分化装置1Bを作動させることにより冷凍装置本体101内の温度を−50℃とした。このとき、各磁場発生装置2が発生する磁場はいずれも60Hzの交番磁場であり、クラスター細分化装置1B全体として発生する磁場の最大強度(絶対値)が2000Gsとなるようにした。
【0621】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、青紫光ランプを備えた光照射手段(図示せず)からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0622】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0623】
冷凍装置本体101内の温度が、−50℃で安定したのを確認した後、載置部7の各トレイ上に、20℃の冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0624】
磁場発生装置5からの磁場の発生は、冷凍対象物5を冷凍装置本体101内部に投入してから、20分(所定時間T)経過した後に停止した。
【0625】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持されるように、適宜ポンプPの稼動を制御した。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0626】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0627】
(実施例16)
冷凍装置本体101内に投入された冷凍対象物5に対し、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を与え、所定時間T[分]を経過した後、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように、磁場発生装置2を制御した以外は、前記実施例15と同様にして、パック詰めした中華麺(200g)を冷凍した。なお、所定時間Tは、20分であった。
【0628】
(実施例17)
まず、前記実施例15における冷凍装置10と同様の構成を有する冷凍装置10を作製した。
【0629】
作製した冷凍装置10は、載置部7に冷凍対象物5の重量を測定する重量計32と、厚さを測定する測量計29と、冷凍対象物5の表面付近の温度を測定する温度センサ30とを有し、さらに、これらの値から、所定値Tsを算出する演算部を有するものとした。この冷凍装置10では、載置部7に載置された冷凍対象物5の重量と、厚さと、表面付近の温度とが自動的に測定され、これらの測定値が演算部に入力され、所定値Tsが算出されるものとした。
【0630】
本実施例の冷凍装置10では、冷凍対象物5を冷凍装置本体101内に投入する際には、磁場発生装置2から所定強度の交番磁場を発生させておき、冷凍対象物5の表面付近の温度が−40℃(所定値Tc)となった時点で磁場の発生を停止するように磁場発生装置2を制御するようにした。
【0631】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0632】
まず、熱交換機8、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)、クラスター細分化装置1Bを作動させることにより冷凍装置本体101内の温度を−50℃とした。このとき、各磁場発生装置2が発生する磁場はいずれも60Hzの交番磁場であり、クラスター細分化装置1B全体として発生する磁場の最大強度(絶対値)が2000Gsとなるようにした。
【0633】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0634】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0635】
冷凍装置本体101内の温度が、−50℃で安定したのを確認した後、載置部7の各トレイ上に、20℃の冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0636】
磁場発生装置5からの磁場の発生は、冷凍対象物5の表面付近の温度が−40℃(所定値Tc)となった時点で停止した。
【0637】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持された。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0638】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0639】
(実施例18)
冷凍対象物5を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物5の表面付近の温度が−40℃(所定値Tc)となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例17と同様にして、パック詰めした中華麺を冷凍した。
【0640】
(実施例19)
まず、前記実施例17における冷凍装置10と同様の構成を有する冷凍装置10を作製した。
【0641】
作製した冷凍装置10は、載置部7に冷凍対象物5の重量を測定する重量計32と、厚さを測定する測量計29と、冷凍対象物5の表面付近の温度を測定する温度センサ30との測定値から推定される冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcを算出する演算部を有するものとした。この冷凍装置10では、載置部7に載置された冷凍対象物5の重量と、厚さと、表面付近の温度とが自動的に測定され、これらの測定値が演算部に入力され、冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcが算出されるものとした。
【0642】
本実施例の冷凍装置10では、冷凍対象物5を冷凍装置本体101内に投入する際には、磁場発生装置2から所定強度の交番磁場を発生させておき、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で磁場の発生を停止するように磁場発生装置2を制御するようにした。
【0643】
このようにして得られた冷凍装置10を、以下に示すような条件で作動させた。
【0644】
まず、熱交換機8、低温気体供給手段(除湿装置11、ファン9)、クラスター細分化装置1Bを作動させることにより冷凍装置本体101内の温度を−50℃とした。このとき、各磁場発生装置2が発生する磁場はいずれも60Hzの交番磁場であり、クラスター細分化装置1B全体として発生する磁場の最大強度(絶対値)が2000Gsとなるようにした。
【0645】
また、磁場発生装置2から磁場を発生する際、光源261としての青紫光ランプを備えた光照射手段26からは、ピーク波長が420nmの光をほぼ一定強度で照射し続けた。
【0646】
また、ファン9からの送風速度は、4m/sとした。また、低温気体としては、冷温空気を用いた。
【0647】
冷凍装置本体101内の温度が、−50℃で安定したのを確認した後、載置部7の各トレイ上に、20℃の冷凍対象物5を載置し、冷凍対象物5を凍結させた。このとき、磁場発生装置2と、冷凍対象物5との距離(最短距離)は、5cmであった。冷凍対象物5としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0648】
磁場発生装置5からの磁場の発生は、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で停止した。
【0649】
なお、冷凍装置10の運転開始から所定時間(1時間)だけポンプPを駆動することにより、冷凍装置10の外部から空気を取り入れ、冷凍装置本体101内の圧力が外部の圧力に比べて高くなるようにした。これにより、冷凍装置本体101内部の圧力は、冷凍装置10の運転時においては、1.07×10〜8×10Paで維持され、かつ、冷凍装置10の外部の圧力に比べて、4000Pa以上高い圧力が維持された。また、低温気体供給手段が供給する低温気体の水蒸気含有量は、1.0×10−4g/L以下であった。
【0650】
また、湿度センサ12による冷凍装置本体101内の湿度の検出値が20%RHを超えたときに低温気体供給装置(除湿装置)が駆動し、20%RH以下の状態では低温気体供給装置(除湿装置)が停止するように制御した。
【0651】
(実施例20)
冷凍対象物5を冷凍装置本体101内に投入する際には、磁場発生装置2から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例19と同様にして、パック詰めした中華麺を冷凍した。
【0652】
(比較例1)
冷凍装置として、クラスター細分化装置および除湿装置(低温気体供給手段)を有していないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、冷凍対象物を冷凍した。
【0653】
(比較例2)
磁場制御装置および除湿装置(低温気体供給手段)を有していない点以外は前記実施例1と同様な構成の冷凍装置を用い、各磁場発生装置から、連続的に一定強度の定常磁場を発生した以外は、前記実施例1と同様にして、冷凍対象物を冷凍した。
【0654】
[評価]
前記各実施例および各比較例の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺を冷凍装置内で3ヵ月保存(実施例1〜8、実施例13〜20および比較例1、2については、冷凍対象物を凍結させるのに用いた冷凍装置内で3ヵ月保存、実施例9〜12については、各実施例の冷凍装置で冷凍された冷凍対象物(冷凍物)を速やかに市販の冷凍装置の冷凍室内(冷凍室内温度:−50℃)に収納して3ヵ月保存)した後、これらの中華麺を解凍した。その後、解凍された中華麺を、同一の条件で調理した。
【0655】
調理された中華麺の品質(風味、外観、香り等)を評価した。その結果を表1に示す。
【0656】
【表1】
Figure 2004053243
【0657】
表1から明らかなように、実施例1〜20の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺(冷凍物)は、解凍後においても、優れた品質が保持されていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0658】
すなわち、冷凍対象物は、冷凍装置(冷凍庫)内という低温環境下に置かれ、凍結に至るが、このとき、クラスター細分化装置(磁場発生装置)の作用を受け、冷凍対象物中の水のクラスターが細分化される。特に、本発明の冷凍装置は、冷凍装置の外部の雰囲気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給する低温気体供給手段を備えているため、クラスター細分化装置(磁場発生装置)による効果と、低温気体供給手段による効果とが相乗的に作用し、冷凍対象物である中華麺中の水のクラスターをより効率良く細分化した状態で冷凍(凍結)させることができる。
【0659】
したがって、冷凍対象物は、水のクラスターが細分化された状態で、凍結に至る。その結果、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。
【0660】
このように、氷の結晶が微細化されることにより、粗大化した氷の形成が、効果的に防止、抑制される。このため、粗大化した氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、食品の品質の低下を効果的に防止、抑制することができるものと考えられる。
【0661】
また、実施例1〜20では、冷凍装置(冷凍室)の内部における霜の発生および付着も効果的に防止されていた。
【0662】
また、実施例15〜20では磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱した時点から冷凍が急速に進行し、冷凍対象物が凍結に至るまでの時間を短縮することができた。また、実施例15〜20では、途中で磁場発生装置からの磁場を停止または減弱しているので、冷凍装置10の消費電力も抑えることができた。
【0663】
これに対し、各比較例で冷凍した冷凍対象物は、表1に示すように解凍後における品質の低下が著しかった。中でも、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍した冷凍対象物(冷凍物)は、解凍後における品質の低下が極めて顕著であった。これは、凍結により形成された氷が粗大化したものであり、このような氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から著しく変化したためであると考えられる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されたためであると考えられる)。
【0664】
また、各比較例では、冷凍装置(冷凍室)の内面や、冷凍対象物の表面への霜の付着がはっきりと認められた。また、各比較例では、冷凍対象物の霜が付着していた部位と、霜が付着していなかった部位とで、冷凍後の色調が大きく異なっていた。
【0665】
また、冷凍処理を施していない中華麺(前記各実施例および各比較例の冷凍装置で凍結させた中華麺の製造日の30日後に、同様の条件で製造し、その後、温度:4℃、湿度:30%RHの環境下で放置しておいたもの)を前記と同様にして調理した。このように調理された中華麺を、前記各実施例および各比較例による中華麺とともに、室温下で1時間静置し、その後の風味、外観を評価した。
【0666】
その結果、実施例1〜20の冷凍装置で冷凍した中華麺は、調理後直後と比べて、風味、外観の低下をほとんど生じていなかった。これに対し、各比較例の冷凍装置で冷凍した中華麺および冷凍処理を施さなかった中華麺は、風味、外観が著しく低下し、いわゆる「麺がのびた」状態になっていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0667】
すなわち、本発明の冷凍装置を用いた場合、冷凍対象物である麺は、水のクラスターが細分化された状態で凍結に至り、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、冷凍対象物のミクロ的な構造は、冷凍後においても、冷凍前の状態を十分に保持することができる(冷凍対象物を構成する細胞の破壊が防止・抑制される)。また、解凍後においても、冷凍対象物中に含まれる水のクラスターは、微細化した状態が保持される。このため、調理時、調理後において、比較的クラスターの大きい水と接触した場合であっても、麺中に含まれるクラスターサイズの小さい水と、外部のクラスターサイズの大きい水とが置換したり、外部の水分を過剰に吸収したりする現象が起こり難い。したがって、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された麺は、調理後、長時間放置した場合であっても、水分含有量が、調理前に比べて大きく増加するのを抑制される。
【0668】
これに対し、各比較例の冷凍装置を用いて冷凍された麺や冷凍処理を施さなかった麺では、含まれる水のクラスターサイズが大きいため、外部の水分を吸収しやすく、調理時、調理後等において、水分含有量が増加しやすい。したがって、調理後、長時間放置した場合、いわゆる「麺がのびた」状態になりやすい。
【0669】
(実施例21〜40)
冷凍対象物として、ゆでたほうれん草(200g)を用いた以外は、それぞれ、前記実施例1〜20と同様にして冷凍を行った。
【0670】
これら実施例21〜40の冷凍装置を用いて冷凍したほうれん草を冷凍装置内で150日間保存した後、解凍し、各々同一の条件で調理した。
【0671】
調理されたほうれん草の品質(風味、外観、香り等)を前記と同様に評価した結果、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0672】
また、前記各実施例の冷凍装置を用いて、パック詰めしたパスタ(アルデンテに茹で上げたもの)を冷凍した。その後、前記と同様にして、保存した。その後、パックから取り出したパスタを熱湯(100℃)で解凍し、解凍されたパスタの品質(食感、風味、外観等)を評価した。その結果、実施例の冷凍装置を用いて冷凍されたパスタは、解凍後においても、アルデンテの状態を保持しており、優れた食感、風味、外観を保持していた。これに対し、比較例の冷凍装置を用いて冷凍されたパスタは、全体的に麺のこしがなくなり、食感が著しく低下していた。
【0673】
また、前記各実施例および比較例1の冷凍装置を用いて、塊状の豚肉(100g)を冷凍した。その後、前記と同様にして、保存した。その後、電子レンジを用いて解凍し、解凍された豚肉を調理した。その結果、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された豚肉(冷凍対象物)は、解凍後においても、優れた品質(風味、外観、香り等)を保持していた。これに対し、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍した豚肉(冷凍対象物)は、解凍時に多量のドリップを生じ、明らかな品質(風味、外観、香り等)の低下が認められた。また、冷凍時における冷凍対象物(豚肉)の中心部付近の経時的な温度変化を測定したところ、図35に示すように、本発明の冷凍装置では、比較例1の冷凍装置に比べ、水の凝固点付近における潜熱が小さくなっていることが確認された。図35には、本発明の冷凍装置として、実施例2の冷凍装置を用いた場合の冷凍対象物の経時的な温度変化を示したが、実施例1および実施例3〜20の冷凍装置を用いた場合についても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0674】
また、前記各実施例および比較例1の冷凍装置を用いて、塊状の木綿豆腐(100g)を冷凍した。その後、前記と同様にして、保存した。その後、電子レンジを用いて解凍した。その結果、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された木綿豆腐(冷凍対象物)は、解凍後においても、優れた品質(風味、外観、香り等)を保持していた。これに対し、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍した木綿豆腐(冷凍対象物)では、明らかな品質(風味、外観、香り等)の低下が認められた。また、冷凍時における冷凍対象物(木綿豆腐)の中心部付近の経時的な温度変化を測定したところ、図36に示すように、本発明の冷凍装置では、比較例1の冷凍装置に比べ、冷凍対象物の冷却速度が速く、水の凝固点付近における潜熱が極端に小さくなっており、実質的に観測されなかった。図36には、本発明の冷凍装置として、実施例6の冷凍装置を用いた場合の冷凍対象物の経時的な温度変化を示したが、実施例1〜5および実施例7〜20の冷凍装置を用いた場合についても、ほぼ同様な結果が得られた。
【0675】
また、磁場発生装置2からの発生磁場を定常磁場とした以外は、前記と同様にして、冷凍対象物を冷凍した。その後、冷凍された冷凍対象物(冷凍物)を前記と同様にして、保存、調理し、その後、前記と同様の評価を行った。その結果、調理後における外観が、前記各実施例に比べて若干低下したものの、風味、香りの低下は認められず、前記と同様に優れた結果が得られた。
【0676】
また、磁場発生装置2から発生する磁場の強度、周波数を適宜変更した以外は、前記と同様にして、冷凍対象物を冷凍した。その後、前記と同様にして、保存、調理し、その後、前記と同様の評価を行った。その結果、前記と同様な結果が得られた。
【0677】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を得ることができる。
また、冷凍された食品を長期間にわたって保存した場合であっても、優れた品質が保持される。
【0678】
また、冷凍対象物として麺類を用いた場合、調理後に、いわゆる「麺がのびる」現象を発生し難くすることができる。
【0679】
また、凍結された食品(特に、生もの)を解凍する際におけるドリップの発生を効果的に防止することができる。
【0680】
また、冷凍室内の温度が特に低い場合(例えば、−30℃以下)であっても、冷凍室内部に霜が付き難くすることができるため、冷却効率の低下等を防止・抑制しつつ、長時間にわたっての連続稼動が可能となる。また、霜の付着が防止されることにより、冷凍のエネルギー効率も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【図2】図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図3】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図4】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図5】本発明の第2実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【図6】図5に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図7】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図8】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図9】本発明の第3実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の第4実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図11】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図12】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図13】本発明の第5実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図14】本発明の第6実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図15】本発明の第7実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【図16】図15に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図17】図16に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図である。
【図18】本発明の第8実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図19】本発明の第9実施形態の冷凍装置を示す概略斜視図である。
【図20】図19に示す冷凍装置を側面から見た模式図である。
【図21】図19に示す冷凍装置に設置された磁場発生装置によって冷凍対象物に与えられる磁場強度を示す模式図である。
【図22】本発明の第10実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図である。
【図23】図22に示す冷凍装置が有するローラの断面形状を示す模式図である。
【図24】本発明の第11実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図である。
【図25】図24に示す冷凍装置に設置された各磁場発生装置によって冷凍対象物に与えられる磁場強度を示す模式図である。
【図26】本発明の第12実施形態の冷凍装置を側面から見た模式図である。
【図27】本発明の第13実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【図28】図27に示す冷凍装置が有するマイナスイオン発生装置の構成を示す概略図である。
【図29】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図30】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図31】本発明の第14実施形態の冷凍装置を示す概略図である。
【図32】図31に示す冷凍装置が有するマイナスイオン発生装置の構成を示す概略図である。
【図33】本発明の第15実施形態(第16、第17実施形態)の冷凍装置を示す概略図である。
【図34】冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示すグラフである。
【図35】冷凍対象物(豚肉)を冷凍する際の、冷凍対象物の経時的な温度変化を示すグラフである。
【図36】冷凍対象物(木綿豆腐)を冷凍する際の、冷凍対象物の経時的な温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1I、1J、1K、1L、1M            クラスター細分化装置
2、2A、2B、2C、2D 磁場発生装置
2E            第1の磁場発生装置
2F            第2の磁場発生装置
3、3A、3B       磁場制御装置
4             エネルギー付与手段
5             冷凍対象物
6             回転手段
61            テーブル
62            モータ
63            動力伝達機構
631           歯車列
64            駆動回路
65            制御手段
7             載置部
71            トレイ
8             熱交換機
81            蒸発器
82            圧縮機
83            凝縮器
84            冷媒配管
85            冷媒配管
9             ファン
10            冷凍装置
101           冷凍装置本体
11            除湿装置
110           除湿器
111           導排出部
112           導入路
113           送出路
12            湿度センサ
15            冷凍装置
16            ベルトコンベア
161、162       ローラ
1611、1621     逃げ部
163           搬送ベルト
17A、17B       センサ
18            トンネル部
20            永久磁石
21            コイル
22            非磁性体カバー
23            冷凍装置
24            冷凍室
25            螺旋状搬送路
250           ガイドレール
26            光照射手段
261           光源
261A、261B     光源
262           光源駆動制御手段
27            マイナスイオン発生装置
271           基体
272           放電電極
270           電圧印加装置
28            マイナスイオン発生装置
283           筐体
2831          流入口
2832          開口
284           振動体
2841          基材
2842          粉体
29            測量計
30            温度センサ
31            入力ボタン
32            重量計
P             ポンプ

Claims (71)

  1. 水を含む冷凍対象物を冷凍する冷凍装置であって、
    少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において前記冷凍対象物に磁場を与える磁場発生装置と、
    外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給する低温気体供給手段とを有することを特徴とする冷凍装置。
  2. 前記低温気体供給手段は、前記低温気体を除湿する除湿装置を備えたものである請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記磁場発生装置は、前記磁場の強度を経時的に変化させる請求項1または2に記載の冷凍装置。
  4. 前記低温気体供給手段は、前記冷凍室の内部の圧力値を前記冷凍室の外部の圧力値以上に維持するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍装置。
  5. 前記冷凍対象物を冷凍する冷凍室と、該冷凍室内を通過する搬送経路と、該搬送経路に沿って前記冷凍対象物を搬送する搬送手段とを有し、
    前記磁場発生装置は、前記冷凍室に配設されるとともに、搬送される前記冷凍対象物に前記磁場を与える請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍装置。
  6. 前記磁場発生装置が前記搬送手段による搬送に伴って移動する請求項5に記載の冷凍装置。
  7. 前記冷凍室に配設された第1の磁場発生装置と、前記搬送手段の搬送に伴って移動する第2の磁場発生装置とを有する請求項5に記載の冷凍装置。
  8. 前記搬送経路は、前記冷凍室内において螺旋状を呈する請求項5ないし7のいずれかに記載の冷凍装置。
  9. 前記冷凍室の形状は、トンネル状を呈する請求項5ないし8のいずれかに記載の冷凍装置。
  10. 前記磁場発生装置は、一定の磁場強度の定常磁場を発生するものである請求項1ないし9のいずれかに記載の冷凍装置。
  11. 前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させる回転手段を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の冷凍装置。
  12. 前記磁場発生装置を複数有する請求項1ないし11のいずれかに記載の冷凍装置。
  13. 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングを、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する請求項12に記載の冷凍装置。
  14. 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
    冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように、制御する請求項12に記載の冷凍装置。
  15. 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
    冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
    磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する請求項12に記載の冷凍装置。
  16. 少なくとも2つの前記磁場発生装置が対面するように配置された請求項12ないし15のいずれかに記載の冷凍装置。
  17. 複数個の前記磁場発生装置は、前記冷凍対象物に対向する面が、互いに直交するように設置された請求項12ないし16のいずれかに記載の冷凍装置。
  18. 前記冷凍対象物を載置する載置部を有し、当該載置部付近において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御する請求項1ないし17のいずれかに記載の冷凍装置。
  19. 前記冷凍対象物を載置する載置部と、熱交換機と、前記低温気体を循環させる循環装置とを有する請求項1ないし18のいずれかに記載の冷凍装置。
  20. 前記磁場発生装置は、前記載置部またはその近傍に配置されている請求項18または19に記載の冷凍装置。
  21. 前記冷凍対象物に光を照射する光照射手段とを有する請求項1ないし20のいずれかに記載の冷凍装置。
  22. 前記光は波長500nm以下である請求項21に記載の冷凍装置。
  23. 電圧を印加することにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する請求項1ないし22のいずれかに記載の冷凍装置。
  24. 応力が作用することにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する請求項1ないし23のいずれかに記載の冷凍装置。
  25. マイナスイオン発生源を揺動または振動させることにより、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置を有する請求項1ないし24のいずれかに記載の冷凍装置。
  26. 前記磁場発生装置は、冷凍装置内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、前記磁場の発生を停止するように制御する請求項1ないし25のいずれかに記載の冷凍装置。
  27. 前記磁場発生装置は、冷凍装置内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、発生する磁場の強度が低下するように制御する請求項1ないし26のいずれかに記載の冷凍装置。
  28. 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する請求項1ないし27のいずれかに記載の冷凍装置。
  29. 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する請求項1ないし28のいずれかに記載の冷凍装置。
  30. 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する請求項1ないし29のいずれかに記載の冷凍装置。
  31. 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する請求項1ないし30のいずれかに記載の冷凍装置。
  32. 前記所定の閾値は30℃以下である請求項30または31に記載の冷凍装置。
  33. 前記Tsは、−60〜−20℃である請求項28ないし32のいずれかに記載の冷凍装置。
  34. 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである請求項1ないし33のいずれかに記載の冷凍装置。
  35. 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる請求項1ないし34のいずれかに記載の冷凍装置。
  36. 使用時における冷凍装置内の温度が−20℃以下である請求項1ないし35のいずれかに記載の冷凍装置。
  37. 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである請求項1ないし36のいずれかに記載の冷凍装置。
  38. 前記冷凍対象物に対して、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波、紫外線およびマイナスイオンのうち少なくともひとつを照射するエネルギー付与手段を有する請求項1ないし37のいずれかに記載の冷凍装置。
  39. 前記冷凍対象物が食品である請求項1ないし38のいずれかに記載の冷凍装置。
  40. 前記低温気体供給手段は、冷凍装置内に霜が付着するのを防止する機能を有するものである請求項1ないし39のいずれかに記載の冷凍装置。
  41. 前記低温気体供給手段の運転と停止とを所定時間毎に繰り返す請求項1ないし40のいずれかに記載の冷凍装置。
  42. 冷凍装置内の湿度を検出する湿度検出手段を有し、その検出結果に応じて、前記低温気体供給手段の稼動を制御する請求項1ないし41のいずれかに記載の冷凍装置。
  43. 請求項1ないし42のいずれかに記載の冷凍装置を用いて冷凍対象物を冷凍することを特徴とする冷凍方法。
  44. 水を含む冷凍対象物を冷凍する方法であって、
    前記冷凍対象物を冷凍する冷凍室内に、外気より水蒸気の含有量の少ない低温気体を供給しつつ、磁場発生装置が発生する磁場を前記冷凍対象物に与えることを特徴とする冷凍方法。
  45. 前記低温気体は、除湿された空気である請求項43に記載の冷凍方法。
  46. 少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記磁場の強度を経時的に変化させる請求項44または45に記載の冷凍方法。
  47. 前記冷凍室の内部の圧力値が前記冷凍室の外部の圧力値以上に維持されるように前記低温気体を供給する請求項44ないし46のいずれかに記載の冷凍方法。
  48. 前記冷凍室内に設けられた搬送経路に沿って前記冷凍対象物を搬送しつつ、前記対象物に対して前記磁場を与える請求項44ないし47のいずれかに記載の冷凍方法。
  49. 前記磁場発生装置が前記搬送手段による搬送に伴って移動する請求項48に記載の冷凍方法。
  50. 前記搬送経路は、前記冷凍室内において螺旋状を呈するものである請求項48または49に記載の冷凍方法。
  51. 前記冷凍室の形状は、トンネル状を呈する請求項48ないし50のいずれかに記載の冷凍方法。
  52. 前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させつつ、前記磁場を発生する請求項44ないし51のいずれかに記載の冷凍方法。
  53. 複数個の前記磁場発生装置から前記磁場を発生する請求項44ないし52のいずれかに記載の冷凍方法。
  54. 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングを、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する請求項53に記載の冷凍方法。
  55. 3つ以上の前記磁場発生装置から前記磁場を発生させつつ、前記冷凍対象物を冷却し、
    冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように、制御する請求項53に記載の冷凍方法。
  56. 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
    冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
    磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する請求項53に記載の冷凍方法。
  57. 前記冷凍対象物を載置する載置部を有し、当該載置部付近において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御する請求項44ないし56のいずれかに記載の冷凍方法。
  58. 前記冷凍対象物に波長500nm以下の光を照射しつつ、前記冷凍対象物を冷却する請求項44ないし57のいずれかに記載の冷凍方法。
  59. 前記磁場発生装置は、前記冷凍内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、前記磁場の発生を停止するように制御する請求項44ないし58のいずれかに記載の冷凍方法。
  60. 前記磁場発生装置は、前記冷凍室内に投入された前記冷凍対象物に対し、所定時間T[分]、所定強度の磁場を与え、その後、発生する磁場の強度が低下するように制御する請求項44ないし59のいずれかに記載の冷凍方法。
  61. 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する請求項44ないし60のいずれかに記載の冷凍方法。
  62. 前記冷凍対象物の表面付近の温度が所定値Ts[℃]となったら、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する請求項44ないし61のいずれかに記載の冷凍方法。
  63. 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する請求項44ないし62のいずれかに記載の冷凍方法。
  64. 前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定の閾値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する請求項44ないし63のいずれかに記載の冷凍方法。
  65. 前記所定の閾値は30℃以下である請求項63または64に記載の冷凍方法。
  66. 前記Tsは、−60〜−20℃である請求項61ないし65のいずれかに記載の冷凍方法。
  67. 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである請求項44ないし66のいずれかに記載の冷凍方法。
  68. 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる請求項44ないし67のいずれかに記載の冷凍方法。
  69. 前記冷凍対象物が食品である請求項44ないし68のいずれかに記載の冷凍方法。
  70. 請求項1ないし42のいずれかに記載の冷凍装置を用いて製造されたことを特徴とする冷凍物。
  71. 請求項43ないし69のいずれかに記載の冷凍方法を用いて製造されたことを特徴とする冷凍物。
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