JP2004044891A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】消費電力を抑えながら、食品の品質の低下を防止、抑制することができ、また速やかに冷凍を行うことが可能な冷凍装置を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる磁場発生装置2と、磁場発生装置2からの磁場の発生および磁場強度を制御する磁場制御装置3とを有する。磁場発生装置2は、冷凍対象物5の表面付近の温度Ts[℃]、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが30℃以下となった時点で、磁場発生装置2からの磁場が停止または減弱するように制御されている。冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcの推定は、冷凍対象物5の重量、厚さ等のパラメータに基づいて行うものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる磁場発生装置2と、磁場発生装置2からの磁場の発生および磁場強度を制御する磁場制御装置3とを有する。磁場発生装置2は、冷凍対象物5の表面付近の温度Ts[℃]、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが30℃以下となった時点で、磁場発生装置2からの磁場が停止または減弱するように制御されている。冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcの推定は、冷凍対象物5の重量、厚さ等のパラメータに基づいて行うものである。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷点以下の温度で、食品等を凍結させ、保存する冷凍庫が広く用いられている。このような冷凍庫は、主として、食品の腐敗等を防止することにより長期間保存することを目的とするものであった。
【0003】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。また、食品の種類によっては、冷凍することによる品質の劣化が著しく、実質的に冷凍保存が不可能なものもあった。
【0004】
また、冷凍された食品は、通常、解凍して食されるが、食品の種類によっては、解凍時に、ドリップを発生するという問題点も有していた。
【0005】
また、中華麺、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく風味・外観が損なわれ易かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、消費電力を抑えながら食品の品質の低下を防止、抑制することができ、また速やかに冷凍を行うことが可能な冷凍装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(28)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御することを特徴とする冷凍装置。
【0009】
(2) Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(1)に記載の冷凍装置。
【0010】
(3) 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御することを特徴とする冷凍装置。
【0011】
(4) Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(3)に記載の冷凍装置。
【0012】
(5) 前記冷凍対象物の表面付近の温度Ts[℃]を検出する温度センサを有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0013】
(6) 前記Tcの推定に必要な条件を、自動および/または手動で入力する入力部を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0014】
(7) 前記Tcの推定には、冷凍装置の冷却速度が考慮される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0015】
(8) 前記Tcは、前記冷凍対象物に関する少なくとも1つのパラメータに基づいて推定される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0016】
(9) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の重量である上記(8)に記載の冷凍装置。
【0017】
(10) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の形状である上記(8)または(9)に記載の冷凍装置。
【0018】
(11) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の素材の特徴である上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0019】
(12) 前記パラメータを求めるための手段を有する上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0020】
(13) 前記手段として、前記冷凍対象物の重量を測定する重量計を有する上記(12)に記載の冷凍装置。
【0021】
(14) 前記手段として、前記冷凍対象物の厚さを測定する測量計を有する上記(12)または(13)に記載の冷凍装置。
【0022】
(15) 前記Tcを、演算により求める演算部を有する上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0023】
(16) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0024】
(17) 使用時における冷凍装置内の温度が−20℃以下である上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0025】
(18) 前記冷凍対象物を載置する載置部と、冷凍機と、冷気を循環させるファンとを有する上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0026】
(19) 前記ファンからの送風速度は、0.5〜10m/sである上記(18)に記載の冷凍装置。
【0027】
(20) 前記磁場発生装置は、前記載置部またはその近傍に配置されている上記(18)または(19)に記載の冷凍装置。
【0028】
(21) 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである上記(1)ないし(20)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0029】
(22) 前記磁場発生装置を複数個有する上記(1)ないし(21)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0030】
(23) 少なくとも2個の前記磁場発生装置が対面するように配置された上記(22)に記載の冷凍装置。
【0031】
(24) 前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する制御装置を有する上記(1)ないし(23)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0032】
(25) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(1)ないし(24)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0033】
(26) 前記冷凍対象物に対して、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段を有する上記(1)ないし(25)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0034】
(27) 前記エネルギー付与手段は、耐低温性を有するものである上記(26)に記載の冷凍装置。
【0035】
(28) 前記冷凍対象物が食品である上記(1)ないし(27)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の冷凍装置の実施形態を示す概略図であり、図2は、図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図、図3は、冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示す図である。
【0037】
本発明の冷凍装置10は、水を含む冷凍対象物5に対して用いるものであり、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化した状態で冷凍する機能を有する。言い換えると、本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を部分的に切断した状態で冷凍する機能を有する。
【0038】
本明細書中では、「水のクラスター」とは、主として水分子で構成されたクラスター(Cluster)のことを指すものとして説明する。「水のクラスター」としては、例えば、実質的に水分子のみで構成されたクラスターや、主として水分子で構成され、かつ水以外の成分(水分子以外の分子、イオン等)を含むもの等が挙げられる。
【0039】
本発明の冷凍装置10に適用される冷凍対象物5は、水を含むものであれば、いかなるものであってもよい。このような冷凍対象物5としては、例えば、食品(飲料を含む)、飼料、生体組織(例えば、血液(血液成分)、臓器、皮膚組織、筋組織、神経組織、骨組織、軟骨組織等の各種組織や、生殖細胞等の各種細胞等)、生花、薬品(医薬品、試薬等を含む)や、これらのうち少なくとも一つを含むもの等が挙げられ、これらをそのまま用いてもよいし、例えば、梱包、包装した状態で用いてもよい。この中でも、冷凍対象物5としては、食品が好ましい。食品は、従来の冷凍装置を用いた場合に、品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を特に生じ易く、実質的に冷凍保存が不可能なものもある。食品の中でも特に、中華麺、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく形状(構造)や風味が損なわれ易かった。以下の説明では、食品を冷凍対象物5の代表として説明する。
【0040】
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1と、冷凍対象物5を載置する載置部7と、冷凍機8と、冷気を循環させるファン9と、冷凍対象物5の外表面付近の温度を検出する温度センサ13とを有する。
【0041】
冷凍装置本体101は、その内部に、冷凍対象物5を収納するための空間を有している。
【0042】
載置部7は、冷凍装置本体101の内部に配されている。
図示の構成では、載置部7は、複数のトレイ71を有するラックである。載置部7がこのようなラックであることにより、例えば、冷凍装置本体101内を循環する冷気と、冷凍対象物5との接触面積が大きくなるように、冷凍対象物5を配することが可能となる。このため、例えば、冷凍対象物5の総量が比較的多い場合であっても(冷凍対象物5が複数個ある場合であっても)、冷凍対象物5の凍結処理を効率良く行うことができる。
【0043】
ラックは、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてアルミニウムで構成されたものであるのがより好ましい。
【0044】
冷凍機8は、蒸発器81と、圧縮機82と、凝縮器83とを有し、蒸発器81−圧縮機82間および蒸発器81−凝縮器83間は、それぞれ、冷媒配管84、85で接続されている。また、冷凍機8内には、冷媒が充填されている。
【0045】
このような冷凍機8は、冷凍装置本体101の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ作用を有する。
【0046】
すなわち、冷凍機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81において冷凍装置本体101内部の熱を奪い、圧縮機82において圧縮され、凝縮器83において外気に熱を排出することにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ。
【0047】
ファン9は、冷凍装置本体101の内部の冷気を循環させる機能を有する。これにより、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、凍結させることが可能となる。
【0048】
ファン9からの送風速度は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10m/sであるのが好ましく、2〜8m/sであるのがより好ましい。
【0049】
ファン9からの送風速度が前記下限値未満であると、冷凍装置本体101の容積等によっては、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキを十分に小さくすることができない可能性がある。一方、ファン9からの送風速度が前記上限値を超えると、後述するクラスター細分化装置1の機能が十分に発揮されず、冷凍対象物5中の水のクラスターが十分に細分化されない状態で、冷凍対象物5が凍結する可能性がある。その結果、冷凍対象物5(食品)の品質の低下を十分に防止、抑制するのが困難となる可能性がある。
【0050】
冷凍装置10を使用する際における冷凍装置本体101の内部の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度であれば、特に限定されないが、例えば、−80〜−20℃であるのが好ましく、−70〜−30℃であるのがより好ましい。冷凍装置本体101の内部の温度をこのような範囲の値とすることにより、後に詳述するように、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが十分かつ均一に微細化した状態で、冷凍対象物5を凍結させることができる。また、十分長期間にわたって、凍結した冷凍対象物5中においてクラスターが微細化した状態を確実に保持することが可能となる。その結果、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0051】
これに対し、冷凍装置本体101の内部の温度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5の冷却速度が速くなりすぎるため、水のクラスターの微細化が十分に進行しない状態で冷凍対象物5が凍結し、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。また、冷凍装置本体101の内部の温度が前記上限値を超えると、水のクラスターが十分に微細化した状態で冷凍対象物5を保存するのが困難となり、冷凍対象物5の長期安定性を十分に向上させるのが困難となる場合がある。
【0052】
冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。以下、クラスター細分化装置1について詳細に説明する。
【0053】
図1、図2に示すように、クラスター細分化装置1は、水を含む冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる磁場発生装置2と、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3とを有している。
【0054】
まず、磁場発生装置2について説明する。
磁場発生装置2は、コイル21と、非磁性体カバー22とを有する。
【0055】
コイル21は、電流が流れることにより、その周辺に磁場を発生する。そして、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、磁場発生装置2の近傍に置かれた冷凍対象物5における磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を経時的に変化させることが可能となる。
【0056】
このように、冷凍対象物5に対して、強度が経時的に変化する磁場を与えることにより、冷凍対象物5中において、主として水分子−水分子間で形成されている水素結合が効率良く切断され、水のクラスターが細分化される。
【0057】
このようにして水のクラスターが細分化されることにより、冷凍対象物5(食品)は、例えば、風味、外観、香り等の品質の劣化がし難いものとなる。
【0058】
また、前述したように、冷凍装置10の使用時における冷凍装置本体101の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0059】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。このような食品の品質の低下は、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる。そして、本発明者は、このようなミクロ的な構造の変化が、主として、冷凍時に形成される、粗大化した氷によるものであることを見出した。
【0060】
上述したように、本発明の冷凍装置10を用いた場合、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、本発明では、冷凍により、冷凍対象物5中でのミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、冷凍対象物5の品質を十分に保持しつつ、極めて長期間にわたって保存することが可能となる。また、冷凍時における前記細胞の破壊を、効果的に防止、抑制することができるため、冷凍対象物5の解凍時におけるドリップの発生も効果的に防止することができる。
【0061】
コイル21を流れる電流は、直流であっても、交流であってもよい。特に、コイル21を流れる電流が交流であると、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を比較的容易に変化させることができる。
【0062】
図示の構成では、コイル21は円形コイルであるが、コイル21の形状は、特に限定されない。コイル21は、例えば、ベースボールコイル、角形コイル等、いかなる形状のものであってもよい。
【0063】
非磁性体カバー22は、コイル21を保護、固定する機能を有する。
非磁性体カバー22の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。
【0064】
磁場発生装置2が発生する磁場は、特に限定されないが、例えば、交番磁場であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5における磁場強度を容易に変化させることができ、また、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0065】
交番磁場における周波数は、特に限定されないが、例えば、20〜25000Hzであるのが好ましく、40〜1200Hzであるのがより好ましい。交番磁場における周波数が前記範囲内の値であると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、より効果的に細分化することができる。
【0066】
磁場発生装置2が発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、冷凍対象物5における磁場が、100〜12000Gsであるのが好ましく、300〜7000Gsであるのがより好ましい。磁場発生装置2が発生する磁場の強度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5における磁場強度の変化量を十分に大きくすることが困難となり、冷凍対象物5の種類等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。一方、磁場発生装置2が発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、装置の大型化を招く。
【0067】
また、磁場発生装置2が発生する磁場は、上述したような交番磁場に限定されない。例えば、磁場発生装置2が発生する磁場は、間欠的なものであってもよい。この場合、発生する磁場の周波数、最大強度等の好ましい範囲は、前記と同様である。
【0068】
本発明では、磁場発生装置を少なくとも1個有するものであればよいが、複数個有するものであるのが好ましい。複数個の磁場発生装置を有することにより、冷凍対象物の各部位に対しより均一に磁場を与えることができるとともに、後に詳述するように、磁場制御装置3で、各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンを、個別に制御することができる。これにより、クラスター細分化装置1全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0069】
クラスター細分化装置1が複数の磁場発生装置2を有する場合、これらのうち少なくとも2個が対面するように配置されたものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0070】
また、クラスター細分化装置1が複数の磁場発生装置2を有する場合、例えば、それぞれの磁場発生装置2で、コイル21の形状、大きさは、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。また、各磁場発生装置2が発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。各磁場発生装置2について、コイル21の形状や大きさ、発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等を適宜選択し、これらを組み合わせることにより、クラスター細分化装置1全体として発生する磁場を、容易に、所望の形、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効率良く細分化することが可能となる。
【0071】
このような磁場発生装置2は、載置部7またはその近傍に配置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効果的に細分化することが可能となる。図1に示す構成では、磁場発生装置2は、冷凍装置本体101の内壁に設置されているが、例えば、載置部7(ラック)と一体的に形成されていてもよい。
【0072】
磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)は、磁場発生装置が発生する磁場強度等により異なるが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましく、20cm以下であるのがさらに好ましい。磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)が150cmを超えると、磁場発生装置が発生する磁場強度等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。
【0073】
また、磁場発生装置2は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、磁場発生装置2の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、磁場発生装置2の交換を行わなくてもよいので(または、磁場発生装置2の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0074】
次に、磁場制御装置3について説明する。
磁場制御装置3は、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を制御する機能を有する。
【0075】
磁場制御装置3は、例えば、磁場発生装置2のコイル21を流れる電流の方向、周波数や電流量等を変化させる可変機能を有するものであってもよい。これにより、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を、より正確に制御することが可能となる。
【0076】
ところで、物体を冷却する場合、一般に、当該物体の温度は、その表面側から低下するが、本発明は、冷凍対象物の各部位の温度が十分に均一になった状態で、前述したような磁場を停止または減弱させる点に特徴を有する。すなわち、本発明は、冷凍対象物5の表面付近の温度をTs[℃]、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるように制御する点に特徴を有する(図3参照)。
【0077】
このようにして、磁場発生装置2からの磁場を制御することにより、十分長期間にわたって冷凍対象物の品質を確実に保持することができることを、本発明者は見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0078】
上述したように、磁場発生装置2から経時的に強度が変化する磁場を発生することにより、冷凍対象物5中の水のクラスターは細分化されるが、このような磁場を与えた状態では、冷凍対象物5中の水分子が微視的な振動をしており、冷凍対象物5は凍結し難い状態となっている。このため、前述したような磁場を与えることにより、磁場を与えない状態では凍結するような温度まで冷凍対象物5を冷却しても冷凍対象物5が凍結に至らない、いわゆる過冷却の状態にすることができる。このような過冷却の状態で、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させることにより、冷凍対象物5は凍結する。
【0079】
このような凍結時において、冷凍対象物5の各部位での温度は十分均一になっている。このため、冷凍対象物5の各部位での凍結速度のばらつきは極めて小さい。したがって、冷凍対象物5の各部位における水のクラスターの大きさが十分均一な状態で、冷凍対象物5を凍結に至らしめることができ、凍結した冷凍対象物5中における水のクラスターは、各部位での大きさのばらつきが極めて小さいものとなる。その結果、冷凍対象物5全体としての長期安定性が向上し、冷凍対象物5の長期安定性は、特に優れたものとなる。
【0080】
Tc−Tsは、十分に小さい値であれば特に限定されないが、30℃以下であるのが好ましく、20℃以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0081】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後、さらに、同様の磁場を与え続けても、クラスターのさらなる微細化やクラスターの大きさの均一性のさらなる向上といった効果はほとんど得られず、コイル21にかかる消費電力が無駄になるだけである。したがって、Tc−Tsが十分に小さくなった時点で磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させることによって、このような消費電力の無駄も省くことができる。
【0082】
Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、減弱させた後の磁場の最大強度は、例えば、減弱させる前の磁場の最大強度の60%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。減弱させた後の磁場の最大強度が大きすぎると、冷凍対象物5の種類によっては、冷凍対象物5の冷凍速度が遅くなったり、消費電力が無駄になる可能性がある。なお、磁場発生装置2から発生する磁場は、磁場強度の減弱前と減弱後とで、同じであっても異なっていてもよいが、同じ周波数とした方が磁場の制御が簡易である。
【0083】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、磁場発生装置2からの磁場は、停止に向かって減弱していくものであってもよいし、所定の強度(最大強度)を維持するものであってもよい。
【0084】
冷凍対象物5の表面付近の温度Tsは、例えば、図1に示すような温度センサ13で検出することができる。このような温度センサ13を用いることにより、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsを非接触で測定することができる。また、冷凍対象物5を冷凍装置10内に投入した時点における、冷凍対象物5と冷凍装置本体101内との温度差が比較的大きい場合であっても、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsをより正確に測定することができる。
【0085】
一方、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcは、いかなる方法で推定するものであってもよいが、例えば、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましい。このようなパラメータとしては、例えば、冷凍対象物5の重量、寸法(特に、厚さ)、素材の特徴(例えば、素材の種類、素材を構成する細胞の数や大きさ、含水量、熱伝導率等)等が挙げられる。
【0086】
上記のようなパラメータを用いてTcを推定する場合、例えば、予め、当該パラメータと、冷凍対象物の表面付近の温度と、冷凍対象物5の中心部付近の温度との相関関係を実験的に求めておき、この相関関係を用いることにより推定することができる。このようにしてTcを推定する場合、冷凍装置10は、例えば、パラメータの値と、温度センサ13で測定された値とに基づいて、前記相関関係によりTcを算出する演算部(図示せず)を有するような構成にすることができる。
【0087】
上述したように、冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcは、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましいが、2種以上のパラメータを組み合わせて用いるのがより好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0088】
また、Tcの推定には、冷凍装置10の冷凍速度が考慮されるのが好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0089】
図1に示すように、本実施形態では、冷凍対象物5の重量を、載置部7と一体的に形成された重量計11により測定する構成となっている。
【0090】
また、冷凍装置10には、冷凍対象物5の厚さを測定する測量計12も設けられている。冷凍対象物5の中心部付近での冷却速度は、冷凍対象物5の寸法のうちでも特に厚さに依存するので、Tcを推定するためのパラメータとして冷凍対象物5の厚さを用いるのが好ましい。測量計12としては、例えば、光の照射により冷凍対象物5の厚さを測定するものを用いることができる。この場合、測量計12は、例えば、冷凍対象物5の上面側をスキャニング(走査)するものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の各部位での厚さを検出し、これらの情報から、冷凍対象物5の最大厚さ、平均厚さ等をより正確に求めることが可能となり、結果として、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0091】
また、例えば、重量計11、測量計12等が冷凍対象物5を検出しなかった場合、磁場発生装置2が作動しないように制御してもよい。
【0092】
また、冷凍装置10は、例えば、上記のようなTcの推定に必要な条件を、使用者が手動入力するための入力ボタン14を有するものであってもよい。これにより、上記のようなパラメータを測定するための部材を省略または簡略化することができる。
【0093】
なお、上記の説明では、冷凍装置本体101の内部の温度が比較的高く(ただし、冷凍対象物5に磁場を与えない状態では冷凍対象物5が凍結に至る温度)、磁場を停止または減弱させた後に冷凍対象物5の凍結が開始するものとして説明したが、磁場を停止または減弱させる前に冷凍対象物5の少なくとも一部が凍結していてもよい。このような場合であっても、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0094】
また、クラスター細分化装置1は、さらに、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段4を有するものであるのが好ましい。クラスター細分化装置1が、エネルギー付与手段4を有するものであると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。エネルギー付与手段4がマイクロ波を照射するものである場合、当該マイクロ波は、断続的(非連続的)に照射されるものであるのが好ましい。具体的には、0.1〜10秒間のマイクロ波の照射と、1〜20秒間のマイクロ波の照射の停止とを繰り返し行うのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0095】
図示の構成では、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とが一体的に形成されている。
【0096】
エネルギー付与手段4が遠赤外線を照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、二酸化珪素(SiO2)、酸化クロム(Cr2O3)、フェライト(FeO・Fe3O4)、スピネル(MgO・Al2O3)、セリア(CeO3)、ベリリア(BeO)、Na2O3、SnO2、SiC、ZrC、TaC、ZrB2等のセラミックス、トルマリン等の鉱石等を用いることができる。この中でも、特に優れた効率で遠赤外線を照射することが可能であると言う点で、エネルギー付与手段4の構成材料としてセラミックスを用いるのが好ましい。
【0097】
また、エネルギー付与手段4が超音波を照射するものである場合、エネルギー付与手段4としては、例えば、超音波振動子等を用いることができる。
【0098】
また、エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、トルマリン、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石等の鉱石、BaTiO3、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Zr,Ti)O3、KNbO3、KTaO3、K(Ta,Nb)O3、LiNbO3やロッシェル塩、硫酸グリシン、リン酸カリウム、プロピオン酸カルシウムストロンチウム等を用いることができる。エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものであると、冷凍対象物5の酸化等を防止・抑制することができ、品質を保持することができる。このため、例えば、冷凍対象物5が食品である場合、より長期間保存した場合であっても、優れた風味等を保持することができる。
【0099】
また、エネルギー付与手段4は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、エネルギー付与手段4の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、エネルギー付与手段4の交換を行わなくてもよいので(または、エネルギー付与手段4の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0100】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0101】
例えば、前述の実施形態では、冷凍対象物として食品を用いたものについて説明したが、冷凍対象物は、水を含むものであればいかなるものであってもよい。冷凍対象物として、例えば、移植等に用いられる臓器等の生体組織を用いた場合、前記生体組織内の水のクラスターを細分化した状態で冷凍することにより、前記生体組織を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止、抑制することができる。したがって、生体組織の機能低下を十分に防止、抑制しつつ、前記生体組織を長期間にわたって保存することが可能となる。結果として、移植後においても、前記生体組織は、本来有する機能を、十分に発揮することができる。
【0102】
また、冷凍対象物として、例えば、薬品を用いた場合、当該薬品の品質の低下を防止、抑制することができる。
【0103】
また、前述した実施形態では、冷凍対象物の温度Tsを温度センサにより測定する構成について説明したが、Tsとしては、例えば、冷凍装置本体の内部の温度を代用してもよい。
【0104】
また、前述した実施形態では、Tcの推定に必要な条件を手動入力するための入力部として、入力ボタンを有する構成について説明したが、このような入力部は、例えば、タッチパネル等、他の形態を有するものであってもよい。
【0105】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置を3つ有する構成について説明したが、磁場発生装置の数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0106】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置が固定され、冷凍対象物を静置した状態で冷凍する構成の冷凍装置について説明したが、磁場発生装置と冷凍対象物が相対的に移動する構成であってもよい。すなわち、磁場発生装置、冷凍対象物のうち少なくとも一方が移動する構成のものであってもよい。これにより、冷凍対象物における磁場をより複雑に変化させることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターを、より効率良く細分化することが可能となる。このような構成の冷凍装置としては、例えば、ベルトコンベア式のトンネル型冷凍装置等が挙げられる。
【0107】
また、前述した実施形態では、クラスター細分化装置の磁場発生装置と、エネルギー付与手段とが一体的に形成された構成について説明したが、本発明においては、磁場発生装置と、エネルギー付与手段とは、それぞれ別々に設けられていてもよい。
【0108】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置としては、平板状の形状を有するものについて説明したが、磁場発生装置の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、筒状、湾曲板状、棒状等、いかなるものであってもよい。
【0109】
また、前述した実施形態では、ファン、冷凍機を、それぞれ1つずつ有する構成のものについて説明したが、ファンや冷凍機を複数個有する構成のものであってもよい。
【0110】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0111】
[冷凍対象物の冷凍]
(実施例1)
まず、図2に示すようなクラスター細分化装置を作製した。
エネルギー付与手段の構成材料としては、トルマリンを用いた。
【0112】
なお、本実施例では、磁場発生装置(非磁性体カバー)と、エネルギー付与手段とを一体的に形成した。
【0113】
次に、このクラスター細分化装置を用いて、図1に示すような冷凍装置を作製した。
【0114】
作製した冷凍装置は、載置部に冷凍対象物の重量を測定する重量計と、厚さを測定する測量計と、表面付近の温度を測定する温度センサとを有し、さらに、これらの値から推定される冷凍対象物の中心部付近の温度Tcを算出する演算部を有するものとした。この冷凍装置では、載置部に載置された冷凍対象物の重量と、厚さと、表面付近の温度とが自動的に測定され、これらの測定値が演算部に入力され、冷凍対象物の中心部付近の温度Tcが算出されるものとした。
【0115】
本実施例の冷凍装置では、冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から所定強度の交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で磁場の発生を停止するように磁場発生装置を制御するようにした。
【0116】
このようにして得られた冷凍装置を、以下に示すような条件で作動させた。
まず、冷凍機、ファン、クラスター細分化装置を作動させることにより冷凍装置本体内の温度を−50℃とした。このとき、各磁場発生装置が発生する磁場はいずれも60Hzの交番磁場であり、クラスター細分化装置全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)が2000Gsとなるようにした。
【0117】
冷凍装置本体内の温度が、−50℃で安定したのを確認した後、載置部の各トレイ上に、20℃の冷凍対象物を載置し、冷凍対象物を凍結させた。このとき、磁場発生装置と、冷凍対象物との距離(最短距離)は、5cmであった。
冷凍対象物としては、パック詰めした中華麺を用いた。
【0118】
(実施例2)
重量計と測量計とを有さず、冷凍対象物の重量、厚さ、素材の種類(麺類)を入力ボタンから手動入力する構成とした以外は、前記実施例1と同様にして冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0119】
(実施例3)
冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0120】
(実施例4)
冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例2と同様の冷凍装置を用いて、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0121】
(比較例1)
クラスター細分化装置を有していない以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、冷凍対象物を冷凍した。
【0122】
(比較例2)
各磁場発生装置から、連続的に同じ最大強度の交番磁場を発生する構成とした以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、冷凍対象物を冷凍した。
【0123】
[評価]
前記各実施例および各比較例の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺(冷凍対象物)を、そのまま冷凍装置内で3ヵ月保存した。その後、これらの中華麺を冷凍装置内から取り出し、解凍した。その後、解凍された中華麺を、同一の条件で調理した。
【0124】
調理された中華麺の品質(風味、外観、香り等)を評価した。その結果を、中華麺の冷凍の進行状況とともに表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
表1から明らかなように、本発明の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、解凍後においても、優れた品質が保持されていた。これに対し、比較例(特に、比較例1)の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、品質の低下が認められた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0127】
すなわち、冷凍対象物は、冷凍装置(冷凍庫)内という低温環境下に置かれ、凍結に至るが、このとき、クラスター細分化装置の作用を受け、冷凍対象物中の水のクラスターが細分化される。
【0128】
したがって、冷凍対象物は、水のクラスターが細分化された状態で、凍結に至る。その結果、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。
【0129】
このように、氷の結晶が微細化されることにより、粗大化した氷の形成が、効果的に防止、抑制される。このため、粗大化した氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、食品の品質の低下を効果的に防止、抑制することができるものと考えられる。
【0130】
特に、実施例1〜4では、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差が十分に小さくなった時点で、磁場を停止または減弱することにより、冷凍対象物を一気に凍結させることができるため、品質の低下を効果的に防止できる。
【0131】
これに対し、比較例1で冷凍した冷凍対象物は、表1に示すように解凍後における品質の低下が著しかった。これは、凍結により形成された氷が粗大化したものであり、このような氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から著しく変化したためであると考えられる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されたためであると考えられる)。
【0132】
また、冷凍処理を施していない中華麺(前記各実施例および各比較例の冷凍装置で凍結させた中華麺の製造日の30日後に、同様の条件で製造したもの)を前記と同様にして調理した。このように調理された中華麺を、前記各実施例および各比較例による中華麺とともに、室温下で1時間静置し、その後の風味、外観を評価した。
【0133】
その結果、本発明の冷凍装置で冷凍した中華麺は、調理後直後と比べて、風味、外観の低下をほとんど生じていなかった。これに対し、比較例1の冷凍装置で冷凍した中華麺および冷凍処理を施さなかった中華麺は、風味、外観が著しく低下し、いわゆる「麺がのびた」状態になっていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0134】
すなわち、本発明の冷凍装置を用いた場合、冷凍対象物である麺は、水のクラスターが細分化された状態で凍結に至り、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、冷凍対象物のミクロ的な構造は、冷凍後においても、冷凍前の状態を十分に保持することができる(冷凍対象物を構成する細胞の破壊が防止・抑制される)。また、解凍後においても、冷凍対象物中に含まれる水のクラスターは、微細化した状態が保持される。このため、調理時、調理後において、比較的クラスターの大きい水と接触した場合であっても、麺中に含まれるクラスターサイズの小さい水と、外部のクラスターサイズの大きい水とが置換したり、外部の水分を過剰に吸収したりする現象が起こり難い。したがって、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された麺は、調理後、長時間放置した場合であっても、水分含有量が、調理前に比べて大きく増加するのが抑制される。
【0135】
これに対し、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍された麺や冷凍処理を施さなかった麺では、含まれる水のクラスターサイズが大きいため、外部の水分を吸収しやすく、調理時、調理後等において、水分含有量が増加しやすい。したがって、調理後、長時間放置した場合、いわゆる「麺がのびた」状態になりやすい。
【0136】
また、実施例1〜4では磁場発生装置からの磁場を停止または減弱した時点から冷凍が急速に進行し、速やかに冷凍を行うことができたのに対し、比較例2では冷凍対象物の冷凍が円滑に進まず、冷凍に長時間を要した。これは、比較例2では、同じ強度で磁場を連続的に与えながら冷却されることによって冷凍対象物が、長期間にわたって過冷却状態になっていたためであると考えられる。
【0137】
また、実施例1〜4では、途中で磁場発生装置からの磁場を停止または減弱しているので、連続して磁場を与えた比較例2に比べて冷凍装置の消費電力も抑えることができた。
【0138】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を得ることができる。
また、冷凍された食品を長期間にわたって保存した場合であっても、優れた品質が保持される。
【0139】
また、冷凍対象物として麺類を用いた場合、調理後に、いわゆる「麺がのびる」現象を発生し難くすることができる。
【0140】
さらに、冷凍対象物全体が実質的に均一な温度に冷却された時点で、冷凍対象物の氷結を急速に進行させることができ、冷凍対象物を短時間で冷凍することができる。
【0141】
特に、本発明によれば、冷凍装置の消費電力を抑制しつつ、上記のような効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図3】冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
1 クラスター細分化装置
2 磁場発生装置
21 コイル
22 非磁性体カバー
3 磁場制御装置
4 エネルギー付与手段
5 冷凍対象物
7 載置部
71 トレイ
8 冷凍機
81 蒸発器
82 圧縮機
83 凝縮機
84 冷媒配管
85 冷媒配管
9 ファン
10 冷凍装置
101 冷凍装置本体
11 重量計
12 測量計
13 温度センサ
14 入力ボタン
【発明が属する技術分野】
本発明は、冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷点以下の温度で、食品等を凍結させ、保存する冷凍庫が広く用いられている。このような冷凍庫は、主として、食品の腐敗等を防止することにより長期間保存することを目的とするものであった。
【0003】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。また、食品の種類によっては、冷凍することによる品質の劣化が著しく、実質的に冷凍保存が不可能なものもあった。
【0004】
また、冷凍された食品は、通常、解凍して食されるが、食品の種類によっては、解凍時に、ドリップを発生するという問題点も有していた。
【0005】
また、中華麺、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく風味・外観が損なわれ易かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、消費電力を抑えながら食品の品質の低下を防止、抑制することができ、また速やかに冷凍を行うことが可能な冷凍装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(28)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御することを特徴とする冷凍装置。
【0009】
(2) Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する上記(1)に記載の冷凍装置。
【0010】
(3) 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御することを特徴とする冷凍装置。
【0011】
(4) Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する上記(3)に記載の冷凍装置。
【0012】
(5) 前記冷凍対象物の表面付近の温度Ts[℃]を検出する温度センサを有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0013】
(6) 前記Tcの推定に必要な条件を、自動および/または手動で入力する入力部を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0014】
(7) 前記Tcの推定には、冷凍装置の冷却速度が考慮される上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0015】
(8) 前記Tcは、前記冷凍対象物に関する少なくとも1つのパラメータに基づいて推定される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0016】
(9) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の重量である上記(8)に記載の冷凍装置。
【0017】
(10) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の形状である上記(8)または(9)に記載の冷凍装置。
【0018】
(11) 前記パラメータは、前記冷凍対象物の素材の特徴である上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0019】
(12) 前記パラメータを求めるための手段を有する上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0020】
(13) 前記手段として、前記冷凍対象物の重量を測定する重量計を有する上記(12)に記載の冷凍装置。
【0021】
(14) 前記手段として、前記冷凍対象物の厚さを測定する測量計を有する上記(12)または(13)に記載の冷凍装置。
【0022】
(15) 前記Tcを、演算により求める演算部を有する上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0023】
(16) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0024】
(17) 使用時における冷凍装置内の温度が−20℃以下である上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0025】
(18) 前記冷凍対象物を載置する載置部と、冷凍機と、冷気を循環させるファンとを有する上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0026】
(19) 前記ファンからの送風速度は、0.5〜10m/sである上記(18)に記載の冷凍装置。
【0027】
(20) 前記磁場発生装置は、前記載置部またはその近傍に配置されている上記(18)または(19)に記載の冷凍装置。
【0028】
(21) 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである上記(1)ないし(20)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0029】
(22) 前記磁場発生装置を複数個有する上記(1)ないし(21)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0030】
(23) 少なくとも2個の前記磁場発生装置が対面するように配置された上記(22)に記載の冷凍装置。
【0031】
(24) 前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する制御装置を有する上記(1)ないし(23)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0032】
(25) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(1)ないし(24)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0033】
(26) 前記冷凍対象物に対して、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段を有する上記(1)ないし(25)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0034】
(27) 前記エネルギー付与手段は、耐低温性を有するものである上記(26)に記載の冷凍装置。
【0035】
(28) 前記冷凍対象物が食品である上記(1)ないし(27)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の冷凍装置の実施形態を示す概略図であり、図2は、図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図、図3は、冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示す図である。
【0037】
本発明の冷凍装置10は、水を含む冷凍対象物5に対して用いるものであり、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化した状態で冷凍する機能を有する。言い換えると、本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を部分的に切断した状態で冷凍する機能を有する。
【0038】
本明細書中では、「水のクラスター」とは、主として水分子で構成されたクラスター(Cluster)のことを指すものとして説明する。「水のクラスター」としては、例えば、実質的に水分子のみで構成されたクラスターや、主として水分子で構成され、かつ水以外の成分(水分子以外の分子、イオン等)を含むもの等が挙げられる。
【0039】
本発明の冷凍装置10に適用される冷凍対象物5は、水を含むものであれば、いかなるものであってもよい。このような冷凍対象物5としては、例えば、食品(飲料を含む)、飼料、生体組織(例えば、血液(血液成分)、臓器、皮膚組織、筋組織、神経組織、骨組織、軟骨組織等の各種組織や、生殖細胞等の各種細胞等)、生花、薬品(医薬品、試薬等を含む)や、これらのうち少なくとも一つを含むもの等が挙げられ、これらをそのまま用いてもよいし、例えば、梱包、包装した状態で用いてもよい。この中でも、冷凍対象物5としては、食品が好ましい。食品は、従来の冷凍装置を用いた場合に、品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を特に生じ易く、実質的に冷凍保存が不可能なものもある。食品の中でも特に、中華麺、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく形状(構造)や風味が損なわれ易かった。以下の説明では、食品を冷凍対象物5の代表として説明する。
【0040】
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1と、冷凍対象物5を載置する載置部7と、冷凍機8と、冷気を循環させるファン9と、冷凍対象物5の外表面付近の温度を検出する温度センサ13とを有する。
【0041】
冷凍装置本体101は、その内部に、冷凍対象物5を収納するための空間を有している。
【0042】
載置部7は、冷凍装置本体101の内部に配されている。
図示の構成では、載置部7は、複数のトレイ71を有するラックである。載置部7がこのようなラックであることにより、例えば、冷凍装置本体101内を循環する冷気と、冷凍対象物5との接触面積が大きくなるように、冷凍対象物5を配することが可能となる。このため、例えば、冷凍対象物5の総量が比較的多い場合であっても(冷凍対象物5が複数個ある場合であっても)、冷凍対象物5の凍結処理を効率良く行うことができる。
【0043】
ラックは、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてアルミニウムで構成されたものであるのがより好ましい。
【0044】
冷凍機8は、蒸発器81と、圧縮機82と、凝縮器83とを有し、蒸発器81−圧縮機82間および蒸発器81−凝縮器83間は、それぞれ、冷媒配管84、85で接続されている。また、冷凍機8内には、冷媒が充填されている。
【0045】
このような冷凍機8は、冷凍装置本体101の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ作用を有する。
【0046】
すなわち、冷凍機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81において冷凍装置本体101内部の熱を奪い、圧縮機82において圧縮され、凝縮器83において外気に熱を排出することにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ。
【0047】
ファン9は、冷凍装置本体101の内部の冷気を循環させる機能を有する。これにより、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、凍結させることが可能となる。
【0048】
ファン9からの送風速度は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10m/sであるのが好ましく、2〜8m/sであるのがより好ましい。
【0049】
ファン9からの送風速度が前記下限値未満であると、冷凍装置本体101の容積等によっては、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキを十分に小さくすることができない可能性がある。一方、ファン9からの送風速度が前記上限値を超えると、後述するクラスター細分化装置1の機能が十分に発揮されず、冷凍対象物5中の水のクラスターが十分に細分化されない状態で、冷凍対象物5が凍結する可能性がある。その結果、冷凍対象物5(食品)の品質の低下を十分に防止、抑制するのが困難となる可能性がある。
【0050】
冷凍装置10を使用する際における冷凍装置本体101の内部の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度であれば、特に限定されないが、例えば、−80〜−20℃であるのが好ましく、−70〜−30℃であるのがより好ましい。冷凍装置本体101の内部の温度をこのような範囲の値とすることにより、後に詳述するように、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが十分かつ均一に微細化した状態で、冷凍対象物5を凍結させることができる。また、十分長期間にわたって、凍結した冷凍対象物5中においてクラスターが微細化した状態を確実に保持することが可能となる。その結果、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0051】
これに対し、冷凍装置本体101の内部の温度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5の冷却速度が速くなりすぎるため、水のクラスターの微細化が十分に進行しない状態で冷凍対象物5が凍結し、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。また、冷凍装置本体101の内部の温度が前記上限値を超えると、水のクラスターが十分に微細化した状態で冷凍対象物5を保存するのが困難となり、冷凍対象物5の長期安定性を十分に向上させるのが困難となる場合がある。
【0052】
冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1の作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。以下、クラスター細分化装置1について詳細に説明する。
【0053】
図1、図2に示すように、クラスター細分化装置1は、水を含む冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる磁場発生装置2と、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3とを有している。
【0054】
まず、磁場発生装置2について説明する。
磁場発生装置2は、コイル21と、非磁性体カバー22とを有する。
【0055】
コイル21は、電流が流れることにより、その周辺に磁場を発生する。そして、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、磁場発生装置2の近傍に置かれた冷凍対象物5における磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を経時的に変化させることが可能となる。
【0056】
このように、冷凍対象物5に対して、強度が経時的に変化する磁場を与えることにより、冷凍対象物5中において、主として水分子−水分子間で形成されている水素結合が効率良く切断され、水のクラスターが細分化される。
【0057】
このようにして水のクラスターが細分化されることにより、冷凍対象物5(食品)は、例えば、風味、外観、香り等の品質の劣化がし難いものとなる。
【0058】
また、前述したように、冷凍装置10の使用時における冷凍装置本体101の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍することが可能な温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0059】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。このような食品の品質の低下は、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる。そして、本発明者は、このようなミクロ的な構造の変化が、主として、冷凍時に形成される、粗大化した氷によるものであることを見出した。
【0060】
上述したように、本発明の冷凍装置10を用いた場合、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、本発明では、冷凍により、冷凍対象物5中でのミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、冷凍対象物5の品質を十分に保持しつつ、極めて長期間にわたって保存することが可能となる。また、冷凍時における前記細胞の破壊を、効果的に防止、抑制することができるため、冷凍対象物5の解凍時におけるドリップの発生も効果的に防止することができる。
【0061】
コイル21を流れる電流は、直流であっても、交流であってもよい。特に、コイル21を流れる電流が交流であると、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を比較的容易に変化させることができる。
【0062】
図示の構成では、コイル21は円形コイルであるが、コイル21の形状は、特に限定されない。コイル21は、例えば、ベースボールコイル、角形コイル等、いかなる形状のものであってもよい。
【0063】
非磁性体カバー22は、コイル21を保護、固定する機能を有する。
非磁性体カバー22の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。
【0064】
磁場発生装置2が発生する磁場は、特に限定されないが、例えば、交番磁場であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5における磁場強度を容易に変化させることができ、また、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0065】
交番磁場における周波数は、特に限定されないが、例えば、20〜25000Hzであるのが好ましく、40〜1200Hzであるのがより好ましい。交番磁場における周波数が前記範囲内の値であると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、より効果的に細分化することができる。
【0066】
磁場発生装置2が発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、冷凍対象物5における磁場が、100〜12000Gsであるのが好ましく、300〜7000Gsであるのがより好ましい。磁場発生装置2が発生する磁場の強度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5における磁場強度の変化量を十分に大きくすることが困難となり、冷凍対象物5の種類等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。一方、磁場発生装置2が発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、装置の大型化を招く。
【0067】
また、磁場発生装置2が発生する磁場は、上述したような交番磁場に限定されない。例えば、磁場発生装置2が発生する磁場は、間欠的なものであってもよい。この場合、発生する磁場の周波数、最大強度等の好ましい範囲は、前記と同様である。
【0068】
本発明では、磁場発生装置を少なくとも1個有するものであればよいが、複数個有するものであるのが好ましい。複数個の磁場発生装置を有することにより、冷凍対象物の各部位に対しより均一に磁場を与えることができるとともに、後に詳述するように、磁場制御装置3で、各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンを、個別に制御することができる。これにより、クラスター細分化装置1全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0069】
クラスター細分化装置1が複数の磁場発生装置2を有する場合、これらのうち少なくとも2個が対面するように配置されたものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0070】
また、クラスター細分化装置1が複数の磁場発生装置2を有する場合、例えば、それぞれの磁場発生装置2で、コイル21の形状、大きさは、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。また、各磁場発生装置2が発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。各磁場発生装置2について、コイル21の形状や大きさ、発生する磁場の強度、周期、出力時間、位相等を適宜選択し、これらを組み合わせることにより、クラスター細分化装置1全体として発生する磁場を、容易に、所望の形、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをさらに効率良く細分化することが可能となる。
【0071】
このような磁場発生装置2は、載置部7またはその近傍に配置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効果的に細分化することが可能となる。図1に示す構成では、磁場発生装置2は、冷凍装置本体101の内壁に設置されているが、例えば、載置部7(ラック)と一体的に形成されていてもよい。
【0072】
磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)は、磁場発生装置が発生する磁場強度等により異なるが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましく、20cm以下であるのがさらに好ましい。磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)が150cmを超えると、磁場発生装置が発生する磁場強度等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。
【0073】
また、磁場発生装置2は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、磁場発生装置2の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、磁場発生装置2の交換を行わなくてもよいので(または、磁場発生装置2の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0074】
次に、磁場制御装置3について説明する。
磁場制御装置3は、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を制御する機能を有する。
【0075】
磁場制御装置3は、例えば、磁場発生装置2のコイル21を流れる電流の方向、周波数や電流量等を変化させる可変機能を有するものであってもよい。これにより、磁場発生装置2が発生する磁場の強度を、より正確に制御することが可能となる。
【0076】
ところで、物体を冷却する場合、一般に、当該物体の温度は、その表面側から低下するが、本発明は、冷凍対象物の各部位の温度が十分に均一になった状態で、前述したような磁場を停止または減弱させる点に特徴を有する。すなわち、本発明は、冷凍対象物5の表面付近の温度をTs[℃]、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させるように制御する点に特徴を有する(図3参照)。
【0077】
このようにして、磁場発生装置2からの磁場を制御することにより、十分長期間にわたって冷凍対象物の品質を確実に保持することができることを、本発明者は見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0078】
上述したように、磁場発生装置2から経時的に強度が変化する磁場を発生することにより、冷凍対象物5中の水のクラスターは細分化されるが、このような磁場を与えた状態では、冷凍対象物5中の水分子が微視的な振動をしており、冷凍対象物5は凍結し難い状態となっている。このため、前述したような磁場を与えることにより、磁場を与えない状態では凍結するような温度まで冷凍対象物5を冷却しても冷凍対象物5が凍結に至らない、いわゆる過冷却の状態にすることができる。このような過冷却の状態で、磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させることにより、冷凍対象物5は凍結する。
【0079】
このような凍結時において、冷凍対象物5の各部位での温度は十分均一になっている。このため、冷凍対象物5の各部位での凍結速度のばらつきは極めて小さい。したがって、冷凍対象物5の各部位における水のクラスターの大きさが十分均一な状態で、冷凍対象物5を凍結に至らしめることができ、凍結した冷凍対象物5中における水のクラスターは、各部位での大きさのばらつきが極めて小さいものとなる。その結果、冷凍対象物5全体としての長期安定性が向上し、冷凍対象物5の長期安定性は、特に優れたものとなる。
【0080】
Tc−Tsは、十分に小さい値であれば特に限定されないが、30℃以下であるのが好ましく、20℃以下であるのがより好ましい。これにより、上述した効果はさらに顕著なものとなる。
【0081】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後、さらに、同様の磁場を与え続けても、クラスターのさらなる微細化やクラスターの大きさの均一性のさらなる向上といった効果はほとんど得られず、コイル21にかかる消費電力が無駄になるだけである。したがって、Tc−Tsが十分に小さくなった時点で磁場発生装置2からの磁場を停止または減弱させることによって、このような消費電力の無駄も省くことができる。
【0082】
Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、減弱させた後の磁場の最大強度は、例えば、減弱させる前の磁場の最大強度の60%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。減弱させた後の磁場の最大強度が大きすぎると、冷凍対象物5の種類によっては、冷凍対象物5の冷凍速度が遅くなったり、消費電力が無駄になる可能性がある。なお、磁場発生装置2から発生する磁場は、磁場強度の減弱前と減弱後とで、同じであっても異なっていてもよいが、同じ周波数とした方が磁場の制御が簡易である。
【0083】
また、Tc−Tsが十分に小さい値になった後に磁場強度を減弱させる場合、磁場発生装置2からの磁場は、停止に向かって減弱していくものであってもよいし、所定の強度(最大強度)を維持するものであってもよい。
【0084】
冷凍対象物5の表面付近の温度Tsは、例えば、図1に示すような温度センサ13で検出することができる。このような温度センサ13を用いることにより、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsを非接触で測定することができる。また、冷凍対象物5を冷凍装置10内に投入した時点における、冷凍対象物5と冷凍装置本体101内との温度差が比較的大きい場合であっても、冷凍対象物5の表面付近の温度Tsをより正確に測定することができる。
【0085】
一方、冷凍対象物5の中心部付近の温度の推定値Tcは、いかなる方法で推定するものであってもよいが、例えば、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましい。このようなパラメータとしては、例えば、冷凍対象物5の重量、寸法(特に、厚さ)、素材の特徴(例えば、素材の種類、素材を構成する細胞の数や大きさ、含水量、熱伝導率等)等が挙げられる。
【0086】
上記のようなパラメータを用いてTcを推定する場合、例えば、予め、当該パラメータと、冷凍対象物の表面付近の温度と、冷凍対象物5の中心部付近の温度との相関関係を実験的に求めておき、この相関関係を用いることにより推定することができる。このようにしてTcを推定する場合、冷凍装置10は、例えば、パラメータの値と、温度センサ13で測定された値とに基づいて、前記相関関係によりTcを算出する演算部(図示せず)を有するような構成にすることができる。
【0087】
上述したように、冷凍対象物5の中心部付近の温度Tcは、冷凍対象物5に関する少なくとも1つのパラメータを用いて推定するものであるのが好ましいが、2種以上のパラメータを組み合わせて用いるのがより好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0088】
また、Tcの推定には、冷凍装置10の冷凍速度が考慮されるのが好ましい。これにより、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0089】
図1に示すように、本実施形態では、冷凍対象物5の重量を、載置部7と一体的に形成された重量計11により測定する構成となっている。
【0090】
また、冷凍装置10には、冷凍対象物5の厚さを測定する測量計12も設けられている。冷凍対象物5の中心部付近での冷却速度は、冷凍対象物5の寸法のうちでも特に厚さに依存するので、Tcを推定するためのパラメータとして冷凍対象物5の厚さを用いるのが好ましい。測量計12としては、例えば、光の照射により冷凍対象物5の厚さを測定するものを用いることができる。この場合、測量計12は、例えば、冷凍対象物5の上面側をスキャニング(走査)するものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の各部位での厚さを検出し、これらの情報から、冷凍対象物5の最大厚さ、平均厚さ等をより正確に求めることが可能となり、結果として、Tcをさらに正確に推定することが可能となる。
【0091】
また、例えば、重量計11、測量計12等が冷凍対象物5を検出しなかった場合、磁場発生装置2が作動しないように制御してもよい。
【0092】
また、冷凍装置10は、例えば、上記のようなTcの推定に必要な条件を、使用者が手動入力するための入力ボタン14を有するものであってもよい。これにより、上記のようなパラメータを測定するための部材を省略または簡略化することができる。
【0093】
なお、上記の説明では、冷凍装置本体101の内部の温度が比較的高く(ただし、冷凍対象物5に磁場を与えない状態では冷凍対象物5が凍結に至る温度)、磁場を停止または減弱させた後に冷凍対象物5の凍結が開始するものとして説明したが、磁場を停止または減弱させる前に冷凍対象物5の少なくとも一部が凍結していてもよい。このような場合であっても、本発明の効果を十分に得ることができる。
【0094】
また、クラスター細分化装置1は、さらに、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段4を有するものであるのが好ましい。クラスター細分化装置1が、エネルギー付与手段4を有するものであると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。エネルギー付与手段4がマイクロ波を照射するものである場合、当該マイクロ波は、断続的(非連続的)に照射されるものであるのが好ましい。具体的には、0.1〜10秒間のマイクロ波の照射と、1〜20秒間のマイクロ波の照射の停止とを繰り返し行うのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0095】
図示の構成では、磁場発生装置2と、エネルギー付与手段4とが一体的に形成されている。
【0096】
エネルギー付与手段4が遠赤外線を照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、二酸化珪素(SiO2)、酸化クロム(Cr2O3)、フェライト(FeO・Fe3O4)、スピネル(MgO・Al2O3)、セリア(CeO3)、ベリリア(BeO)、Na2O3、SnO2、SiC、ZrC、TaC、ZrB2等のセラミックス、トルマリン等の鉱石等を用いることができる。この中でも、特に優れた効率で遠赤外線を照射することが可能であると言う点で、エネルギー付与手段4の構成材料としてセラミックスを用いるのが好ましい。
【0097】
また、エネルギー付与手段4が超音波を照射するものである場合、エネルギー付与手段4としては、例えば、超音波振動子等を用いることができる。
【0098】
また、エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものである場合、エネルギー付与手段4の構成材料としては、例えば、トルマリン、デービド鉱、ブランネル石、センウラン鉱、ニンギョウ石、リンカイウラン石、カルノー石、ツャムン石、メタチャムン石、フランセビル石、トール石、コフィン石、サマルスキー石、トリウム石、トロゴム石、モズナ石等の鉱石、BaTiO3、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Zr,Ti)O3、KNbO3、KTaO3、K(Ta,Nb)O3、LiNbO3やロッシェル塩、硫酸グリシン、リン酸カリウム、プロピオン酸カルシウムストロンチウム等を用いることができる。エネルギー付与手段4がマイナスイオンを照射するものであると、冷凍対象物5の酸化等を防止・抑制することができ、品質を保持することができる。このため、例えば、冷凍対象物5が食品である場合、より長期間保存した場合であっても、優れた風味等を保持することができる。
【0099】
また、エネルギー付与手段4は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、エネルギー付与手段4の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、エネルギー付与手段4の交換を行わなくてもよいので(または、エネルギー付与手段4の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0100】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0101】
例えば、前述の実施形態では、冷凍対象物として食品を用いたものについて説明したが、冷凍対象物は、水を含むものであればいかなるものであってもよい。冷凍対象物として、例えば、移植等に用いられる臓器等の生体組織を用いた場合、前記生体組織内の水のクラスターを細分化した状態で冷凍することにより、前記生体組織を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止、抑制することができる。したがって、生体組織の機能低下を十分に防止、抑制しつつ、前記生体組織を長期間にわたって保存することが可能となる。結果として、移植後においても、前記生体組織は、本来有する機能を、十分に発揮することができる。
【0102】
また、冷凍対象物として、例えば、薬品を用いた場合、当該薬品の品質の低下を防止、抑制することができる。
【0103】
また、前述した実施形態では、冷凍対象物の温度Tsを温度センサにより測定する構成について説明したが、Tsとしては、例えば、冷凍装置本体の内部の温度を代用してもよい。
【0104】
また、前述した実施形態では、Tcの推定に必要な条件を手動入力するための入力部として、入力ボタンを有する構成について説明したが、このような入力部は、例えば、タッチパネル等、他の形態を有するものであってもよい。
【0105】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置を3つ有する構成について説明したが、磁場発生装置の数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0106】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置が固定され、冷凍対象物を静置した状態で冷凍する構成の冷凍装置について説明したが、磁場発生装置と冷凍対象物が相対的に移動する構成であってもよい。すなわち、磁場発生装置、冷凍対象物のうち少なくとも一方が移動する構成のものであってもよい。これにより、冷凍対象物における磁場をより複雑に変化させることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターを、より効率良く細分化することが可能となる。このような構成の冷凍装置としては、例えば、ベルトコンベア式のトンネル型冷凍装置等が挙げられる。
【0107】
また、前述した実施形態では、クラスター細分化装置の磁場発生装置と、エネルギー付与手段とが一体的に形成された構成について説明したが、本発明においては、磁場発生装置と、エネルギー付与手段とは、それぞれ別々に設けられていてもよい。
【0108】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置としては、平板状の形状を有するものについて説明したが、磁場発生装置の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、筒状、湾曲板状、棒状等、いかなるものであってもよい。
【0109】
また、前述した実施形態では、ファン、冷凍機を、それぞれ1つずつ有する構成のものについて説明したが、ファンや冷凍機を複数個有する構成のものであってもよい。
【0110】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0111】
[冷凍対象物の冷凍]
(実施例1)
まず、図2に示すようなクラスター細分化装置を作製した。
エネルギー付与手段の構成材料としては、トルマリンを用いた。
【0112】
なお、本実施例では、磁場発生装置(非磁性体カバー)と、エネルギー付与手段とを一体的に形成した。
【0113】
次に、このクラスター細分化装置を用いて、図1に示すような冷凍装置を作製した。
【0114】
作製した冷凍装置は、載置部に冷凍対象物の重量を測定する重量計と、厚さを測定する測量計と、表面付近の温度を測定する温度センサとを有し、さらに、これらの値から推定される冷凍対象物の中心部付近の温度Tcを算出する演算部を有するものとした。この冷凍装置では、載置部に載置された冷凍対象物の重量と、厚さと、表面付近の温度とが自動的に測定され、これらの測定値が演算部に入力され、冷凍対象物の中心部付近の温度Tcが算出されるものとした。
【0115】
本実施例の冷凍装置では、冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から所定強度の交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で磁場の発生を停止するように磁場発生装置を制御するようにした。
【0116】
このようにして得られた冷凍装置を、以下に示すような条件で作動させた。
まず、冷凍機、ファン、クラスター細分化装置を作動させることにより冷凍装置本体内の温度を−50℃とした。このとき、各磁場発生装置が発生する磁場はいずれも60Hzの交番磁場であり、クラスター細分化装置全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)が2000Gsとなるようにした。
【0117】
冷凍装置本体内の温度が、−50℃で安定したのを確認した後、載置部の各トレイ上に、20℃の冷凍対象物を載置し、冷凍対象物を凍結させた。このとき、磁場発生装置と、冷凍対象物との距離(最短距離)は、5cmであった。
冷凍対象物としては、パック詰めした中華麺を用いた。
【0118】
(実施例2)
重量計と測量計とを有さず、冷凍対象物の重量、厚さ、素材の種類(麺類)を入力ボタンから手動入力する構成とした以外は、前記実施例1と同様にして冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0119】
(実施例3)
冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0120】
(実施例4)
冷凍対象物を冷凍装置本体内に投入する際には、磁場発生装置から、最大強度(絶対値)2000Gs、周波数60Hzの交番磁場を発生させておき、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差(Tc−Ts)が20℃となった時点で、交番磁場の最大強度が800Gsとなるように制御した以外は、前記実施例2と同様の冷凍装置を用いて、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0121】
(比較例1)
クラスター細分化装置を有していない以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、冷凍対象物を冷凍した。
【0122】
(比較例2)
各磁場発生装置から、連続的に同じ最大強度の交番磁場を発生する構成とした以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を作製し、該冷凍装置を用いて、冷凍対象物を冷凍した。
【0123】
[評価]
前記各実施例および各比較例の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺(冷凍対象物)を、そのまま冷凍装置内で3ヵ月保存した。その後、これらの中華麺を冷凍装置内から取り出し、解凍した。その後、解凍された中華麺を、同一の条件で調理した。
【0124】
調理された中華麺の品質(風味、外観、香り等)を評価した。その結果を、中華麺の冷凍の進行状況とともに表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
表1から明らかなように、本発明の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、解凍後においても、優れた品質が保持されていた。これに対し、比較例(特に、比較例1)の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、品質の低下が認められた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0127】
すなわち、冷凍対象物は、冷凍装置(冷凍庫)内という低温環境下に置かれ、凍結に至るが、このとき、クラスター細分化装置の作用を受け、冷凍対象物中の水のクラスターが細分化される。
【0128】
したがって、冷凍対象物は、水のクラスターが細分化された状態で、凍結に至る。その結果、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。
【0129】
このように、氷の結晶が微細化されることにより、粗大化した氷の形成が、効果的に防止、抑制される。このため、粗大化した氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、食品の品質の低下を効果的に防止、抑制することができるものと考えられる。
【0130】
特に、実施例1〜4では、冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値Tcと、表面付近の温度Tsとの差が十分に小さくなった時点で、磁場を停止または減弱することにより、冷凍対象物を一気に凍結させることができるため、品質の低下を効果的に防止できる。
【0131】
これに対し、比較例1で冷凍した冷凍対象物は、表1に示すように解凍後における品質の低下が著しかった。これは、凍結により形成された氷が粗大化したものであり、このような氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から著しく変化したためであると考えられる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されたためであると考えられる)。
【0132】
また、冷凍処理を施していない中華麺(前記各実施例および各比較例の冷凍装置で凍結させた中華麺の製造日の30日後に、同様の条件で製造したもの)を前記と同様にして調理した。このように調理された中華麺を、前記各実施例および各比較例による中華麺とともに、室温下で1時間静置し、その後の風味、外観を評価した。
【0133】
その結果、本発明の冷凍装置で冷凍した中華麺は、調理後直後と比べて、風味、外観の低下をほとんど生じていなかった。これに対し、比較例1の冷凍装置で冷凍した中華麺および冷凍処理を施さなかった中華麺は、風味、外観が著しく低下し、いわゆる「麺がのびた」状態になっていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0134】
すなわち、本発明の冷凍装置を用いた場合、冷凍対象物である麺は、水のクラスターが細分化された状態で凍結に至り、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、冷凍対象物のミクロ的な構造は、冷凍後においても、冷凍前の状態を十分に保持することができる(冷凍対象物を構成する細胞の破壊が防止・抑制される)。また、解凍後においても、冷凍対象物中に含まれる水のクラスターは、微細化した状態が保持される。このため、調理時、調理後において、比較的クラスターの大きい水と接触した場合であっても、麺中に含まれるクラスターサイズの小さい水と、外部のクラスターサイズの大きい水とが置換したり、外部の水分を過剰に吸収したりする現象が起こり難い。したがって、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された麺は、調理後、長時間放置した場合であっても、水分含有量が、調理前に比べて大きく増加するのが抑制される。
【0135】
これに対し、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍された麺や冷凍処理を施さなかった麺では、含まれる水のクラスターサイズが大きいため、外部の水分を吸収しやすく、調理時、調理後等において、水分含有量が増加しやすい。したがって、調理後、長時間放置した場合、いわゆる「麺がのびた」状態になりやすい。
【0136】
また、実施例1〜4では磁場発生装置からの磁場を停止または減弱した時点から冷凍が急速に進行し、速やかに冷凍を行うことができたのに対し、比較例2では冷凍対象物の冷凍が円滑に進まず、冷凍に長時間を要した。これは、比較例2では、同じ強度で磁場を連続的に与えながら冷却されることによって冷凍対象物が、長期間にわたって過冷却状態になっていたためであると考えられる。
【0137】
また、実施例1〜4では、途中で磁場発生装置からの磁場を停止または減弱しているので、連続して磁場を与えた比較例2に比べて冷凍装置の消費電力も抑えることができた。
【0138】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を得ることができる。
また、冷凍された食品を長期間にわたって保存した場合であっても、優れた品質が保持される。
【0139】
また、冷凍対象物として麺類を用いた場合、調理後に、いわゆる「麺がのびる」現象を発生し難くすることができる。
【0140】
さらに、冷凍対象物全体が実質的に均一な温度に冷却された時点で、冷凍対象物の氷結を急速に進行させることができ、冷凍対象物を短時間で冷凍することができる。
【0141】
特に、本発明によれば、冷凍装置の消費電力を抑制しつつ、上記のような効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【図3】冷凍装置に投入した冷凍対象物の表面付近における温度Ts[℃]と、中心部付近における温度Tc[℃]との関係を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
1 クラスター細分化装置
2 磁場発生装置
21 コイル
22 非磁性体カバー
3 磁場制御装置
4 エネルギー付与手段
5 冷凍対象物
7 載置部
71 トレイ
8 冷凍機
81 蒸発器
82 圧縮機
83 凝縮機
84 冷媒配管
85 冷媒配管
9 ファン
10 冷凍装置
101 冷凍装置本体
11 重量計
12 測量計
13 温度センサ
14 入力ボタン
Claims (28)
- 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御することを特徴とする冷凍装置。 - Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置からの磁場の発生を停止するように制御する請求項1に記載の冷凍装置。
- 水を含む冷凍対象物を凍結する冷凍装置であって、
少なくとも前記冷凍対象物を冷却する過程において、前記冷凍対象物に対して磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置を有し、
前記冷凍対象物の表面付近の温度をTs[℃]、前記冷凍対象物の中心部付近の温度の推定値をTc[℃]としたとき、Tc−Tsが所定値以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御することを特徴とする冷凍装置。 - Tc−Tsが30℃以下となった時点で、前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を減弱させるように制御する請求項3に記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物の表面付近の温度Ts[℃]を検出する温度センサを有する請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記Tcの推定に必要な条件を、自動および/または手動で入力する入力部を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記Tcの推定には、冷凍装置の冷却速度が考慮される請求項1ないし6のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記Tcは、前記冷凍対象物に関する少なくとも1つのパラメータに基づいて推定される請求項1ないし7のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記パラメータは、前記冷凍対象物の重量である請求項8に記載の冷凍装置。
- 前記パラメータは、前記冷凍対象物の形状である請求項8または9に記載の冷凍装置。
- 前記パラメータは、前記冷凍対象物の素材の特徴である請求項8ないし10のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記パラメータを求めるための手段を有する請求項8ないし11のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記手段として、前記冷凍対象物の重量を測定する重量計を有する請求項12に記載の冷凍装置。
- 前記手段として、前記冷凍対象物の厚さを測定する測量計を有する請求項12または13に記載の冷凍装置。
- 前記Tcを、演算により求める演算部を有する請求項1ないし14のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる請求項1ないし15のいずれかに記載の冷凍装置。
- 使用時における冷凍装置内の温度が−20℃以下である請求項1ないし16のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物を載置する載置部と、冷凍機と、冷気を循環させるファンとを有する請求項1ないし17のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記ファンからの送風速度は、0.5〜10m/sである請求項18に記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置は、前記載置部またはその近傍に配置されている請求項18または19に記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである請求項1ないし20のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置を複数個有する請求項1ないし21のいずれかに記載の冷凍装置。
- 少なくとも2個の前記磁場発生装置が対面するように配置された請求項22に記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する制御装置を有する請求項1ないし23のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである請求項1ないし24のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物に対して、マイクロ波、α線、遠赤外線、超音波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段を有する請求項1ないし25のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記エネルギー付与手段は、耐低温性を有するものである請求項26に記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物が食品である請求項1ないし27のいずれかに記載の冷凍装置。
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