JP2004012044A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化するクラスター細分化装置1Aと、冷凍対象物5を回転する回転手段6と、ラック7と、熱交換機8と、冷気を循環させるファン9とを有する。クラスター細分化装置1Aは、冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる、複数個の磁場発生装置と、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3と、波長500nm以下の光を照射する光照射手段4とを有する。回転手段6により冷凍対象物5が回転されつつ、各磁場発生装置から所定のタイミングで交番磁場が発生されるとともに、光照射手段4の光源41から波長500nm以下の光が照射される。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化するクラスター細分化装置1Aと、冷凍対象物5を回転する回転手段6と、ラック7と、熱交換機8と、冷気を循環させるファン9とを有する。クラスター細分化装置1Aは、冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる、複数個の磁場発生装置と、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3と、波長500nm以下の光を照射する光照射手段4とを有する。回転手段6により冷凍対象物5が回転されつつ、各磁場発生装置から所定のタイミングで交番磁場が発生されるとともに、光照射手段4の光源41から波長500nm以下の光が照射される。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷点下以下の温度で、食品等を冷凍させ、保存する冷凍庫が広く用いられている。このような冷凍庫は、主として、食品の腐敗等を防止することにより長期間保存することを目的とするものであった。
【0003】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。また、食品の種類によっては、冷凍することによる品質の劣化が著しく、実質的に冷凍保存が不可能なものもあった。
【0004】
また、冷凍された食品は、通常、解凍して食されるが、食品の種類によっては、解凍時に、ドリップを発生するという問題点も有していた。
【0005】
また、中華麺やパスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく風味・外観が損なわれ易かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 水を含む冷凍対象物を冷凍する冷凍装置であって、
前記冷凍対象物に磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置と、
前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させる回転手段とを有することを特徴とする冷凍装置。
【0009】
(2) 前記回転手段は、前記冷凍対象物を載置する載置台と、前記載置台を回転する回転機構とを備えるものである上記(1)に記載の冷凍装置。
【0010】
(3) 前記回転手段は、その回転速度および/または回転方向が可変である上記(1)または(2)に記載の冷凍装置。
【0011】
(4) 前記回転手段は、その回転を間欠的に行なうことができる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0012】
(5) 前記磁場発生装置が複数設置されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0013】
(6) 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングが、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0014】
(7) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0015】
(8) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0016】
(9) 複数個の前記磁場発生装置は、前記冷凍対象物に対向する面が、互いに直交するように設置された上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0017】
(10) 前記冷凍対象物に波長500nm以下の光を照射する光照射手段とを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0018】
(11) 前記光照射手段は、照射光の強度および/または照射方向を経時的に変化させ得るよう構成されている上記(10)に記載の冷凍装置。
【0019】
(12) 前記磁場発生装置による磁場の強度の変化と、前記照射手段による照射光の強度および/または照射方向の変化とが同期して行なわれる上記(11)に記載の冷凍装置。
【0020】
(13) 熱交換機と、冷気を循環させるファンとを有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0021】
(14) 前記冷凍対象物が位置する部位において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御した上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0022】
(15) 少なくとも2つの前記磁場発生装置が対面するように配置された上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0023】
(16) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0024】
(17) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0025】
(18) 使用時における冷凍装置内の温度が−30℃以下である上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0026】
(19) 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0027】
(20) 前記冷凍対象物が食品である上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図であり、図2は、図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図であり、図3は、図2に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図であり、図4および図5は、それぞれ、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの例である。なお、図1〜図3(後述する図6および図7も同様)は、一部を誇張して示したものであり、実際の大きさを反映するものではない。
【0029】
本発明の冷凍装置10は、水を含む冷凍対象物5に対して用いるものであり、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化した状態で冷凍する機能を有する。言い換えると、本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を部分的に切断した状態で冷凍する機能を有する。
【0030】
本明細書中では、「水のクラスター」とは、主として水分子で構成されたクラスター(Cluster)のことを指すものとして説明する。「水のクラスター」としては、例えば、実質的に水分子のみで構成されたクラスターや、主として水分子で構成され、かつ水以外の成分(水分子以外の分子、イオン等)を含むもの等が挙げられる。
【0031】
本発明の冷凍装置10に適用される冷凍対象物5は、水を含むものであれば、いかなるものであってもよい。このような冷凍対象物5としては、例えば、食品(飲料を含む)、飼料、生体組織(例えば、血液(血液成分)、臓器、皮膚組織、筋組織、神経組織、骨組織、軟骨組織等の各種組織や、生殖細胞等の各種細胞等)、生花、薬品(医薬品、試薬等を含む)や、これらのうち少なくとも一つを含むもの等が挙げられ、これらをそのまま用いてもよいし、例えば、梱包、包装した状態で用いてもよい。この中でも、冷凍対象物5としては、食品が好ましい。食品は、従来の冷凍装置を用いた場合に、品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を特に生じ易く、実質的に冷凍保存が不可能なものもある。食品の中でも特に、中華麺、そば、うどん、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく形状(構造)や風味が損なわれ易かった。また、野菜のような緑黄色の食品は、鮮度が損なわれ易かった。以下の説明では、食品を冷凍対象物5の代表として説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Aと、ラック7と、熱交換機8と、冷気を循環させるファン9と、冷凍対象物5に所定の光を照射する光照射手段4と、冷凍対象物5を回転させる回転手段6とを有する。
【0033】
冷凍装置本体101は、その内部に、冷凍対象物5を収納するための空間を有している。冷凍装置本体101の内部には、ラック7が設置されている。このラック7の棚部または枠部などには、後述する回転手段6が設置される。また、必要に応じ、磁場発生装置や光照射手段4が設置される。
【0034】
このようなラック7を設けることにより、例えば、冷凍装置本体101内を循環する冷気と、冷凍対象物5との接触面積が大きくなるように、冷凍対象物5を配することが可能となる。このため、例えば、冷凍対象物5の総量が比較的多い場合であっても(冷凍対象物5が複数個ある場合であっても)、冷凍対象物5の冷凍処理を効率良く行うことができる。
【0035】
ラック7は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてアルミニウムで構成されたものであるのがより好ましい。
【0036】
熱交換機8は、蒸発器81と、圧縮機82と、凝縮器83とを有し、蒸発器81−圧縮機82間および蒸発器81−凝縮器83間は、それぞれ、冷媒配管84、85で接続されている。また、熱交換機8内には、冷媒が充填されている。
【0037】
このような熱交換機8は、冷凍装置本体101の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ作用を有する。
【0038】
すなわち、熱交換機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81において冷凍装置本体101内部の熱を奪い、圧縮機82において圧縮され、凝縮器83において外気に熱を排出することにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ。
【0039】
ファン9は、冷凍装置本体101の内部の冷気を循環させる機能を有する。これにより、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、冷凍させることが可能となる。
【0040】
光照射手段4は、冷凍対象物5に波長500nm以下の光、特に波長400〜500nmの光を照射するものであり、図示の構成では、1または2以上の光源(本実施形態では、2つの光源41A、41B)と、各光源を後述するような所定の条件で駆動する光源駆動制御手段42とを有する。
【0041】
光源41A、41Bの具体例としては、青色光ランプ、紫色光ランプ、紫外線ランプ、ハロゲンランプ、ネオンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード等の各種光源や、X線源(以下これらを総称して「光源」と言う)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような比較的短波長の光を照射することにより、後述する磁場発生装置による磁場の印加と相まって、冷凍対象物5の品質を長期間良好に維持することができる。
【0042】
照射光の波長が500nmを超えると、光照射による効果が少なくなる。また、波長400〜500nmの光を照射する場合は、その光源として、比較的簡易なもの、安価なものを用いることができる。
【0043】
なお、図示の構成では、光源41A、41Bは、冷凍対象物5の図中上方に設置されているが、光源の設置位置や配置は、図示のものに限定されず、例えば、冷凍対象物5の側方、後方、前方、下部、斜め上方など、冷凍対象物5に対し光を照射可能であれば、いかなる箇所であってもよい。
【0044】
また、光源41A、41Bから発せられた光を冷凍対象物5に直接照射する場合に限らず、例えば、ミラー、反射板、集光板、レンズ、プリズム、光学フィルター、拡散板、光ファイバー等の各種光学素子(図示せず)を介して照射してもよい。特に、これらの光学素子を用いて、冷凍対象物5に対しより広範囲に、あるいは多方向から光を照射することは、冷凍対象物5の全体に対しより均一に光が照射されるので、有効である。
【0045】
光照射手段4は、冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を連続的または段階的に変化(増減)することができるものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5への照射光の強度を経時的に変化させることができ、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターをより効率的に細分化することができる。
【0046】
冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を変化させる方法の例としては、光源への印加電圧を増減する方法、光源の稼動本数(面積)を変化させる方法、冷凍対象物5と光源との距離を変化させる方法、遮光手段による遮光を行なう方法、照射光の波長を500nm以下と500nm超とに切り替える方法等が挙げられる。
【0047】
冷凍装置10を使用する際における冷凍装置本体101の内部の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部が冷凍される温度であれば、特に限定されないが、例えば、−20℃以下であるのが好ましく、−30〜−70℃であるのがより好ましい。冷凍装置本体101の内部の温度を−20℃以下とすることにより、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを十分に微細化した状態(水素結合を効率良く切断した状態)で、冷凍対象物5を凍結させることができ、その後、クラスター細分化装置1Aの運転を停止させたり、凍結した冷凍対象物5を、本発明の冷凍装置10から取り出し、公知の冷凍装置(クラスター細分化装置を有していない冷凍装置)内に移した場合であっても、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0048】
冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1Aの作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。以下、クラスター細分化装置1Aについて詳細に説明する。
【0049】
図1、図2に示すように、クラスター細分化装置1Aは、水を含む冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる、複数個の磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)と、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3とを有している。この場合、冷凍対象物5は、回転手段6により回転され、この回転している状態で磁場が与えられる。
【0050】
まず、磁場発生装置について説明する。
第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cは、図2に示す構成では、冷凍対象物5が載置される部分(以下「冷凍対象物載置空間」と言う)を囲むようにコの字状に配置されている(ただし、この配置に限定されない)。これらの磁場発生装置は、同様の構成であるので、第1の磁場発生装置2Aについて代表的に説明する。
【0051】
第1の磁場発生装置2Aは、コイル21と、非磁性体カバー22とを有する。コイル21は、電流が流れることにより、その周辺に磁場を発生する。そして、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、第1の磁場発生装置2Aの近傍に置かれた冷凍対象物5に与える磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を経時的に変化させることが可能となる。
【0052】
このように、冷凍対象物5に対して、強度が経時的に変化する磁場を与えることにより、冷凍対象物5中において、主として水分子−水分子間で形成されている水素結合が効率良く切断され、水のクラスターが細分化される。
【0053】
このようにして水のクラスターが細分化されることにより、冷凍対象物5(食品)は、例えば、風味、外観、香り等の品質の劣化がし難いものとなる。
【0054】
また、前述したように、冷凍装置10の使用時における冷凍装置本体101の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍する温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0055】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。このような食品の品質の低下は、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる。そして、本発明者は、このようなミクロ的な構造の変化が、主として、冷凍時に形成される、粗大化した氷によるものであることを見出した。
【0056】
上述したように、本発明の冷凍装置10を用いた場合、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、本発明では、冷凍により、冷凍対象物5中でのミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、冷凍対象物5の品質を十分に保持しつつ、極めて長期間にわたって保存することが可能となる。また、冷凍時における前記細胞の破壊を、効果的に防止、抑制することができるため、冷凍対象物5の解凍時におけるドリップの発生も効果的に防止することができる。
【0057】
コイル21を流れる電流は、直流であっても、交流であってもよい。特に、コイル21を流れる電流が交流であると、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度を比較的容易に変化させることができる。
【0058】
図示の構成では、コイル21は円形コイルであるが、コイル21の形状は、特に限定されない。コイル21は、例えば、ベースボールコイル、角形コイル等、いかなる形状のものであってもよい。
【0059】
非磁性体カバー22は、コイル21を保護、固定する機能を有する。非磁性体カバー22の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。
【0060】
第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、特に限定されないが、例えば、交番磁場であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5における磁場強度を容易に変化させることができ、また、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0061】
交番磁場における周波数は、特に限定されないが、例えば、20〜25000Hzであるのが好ましく、40〜1200Hzであるのがより好ましい。交番磁場における周波数が前記範囲内の値であると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、より効果的に細分化することができる。
【0062】
第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、冷凍対象物5における磁場が、100〜12000Gsであるのが好ましく、300〜7000Gsであるのがより好ましい。第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5における磁場強度の変化量を十分に大きくすることが困難となり、冷凍対象物5の種類等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。一方、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、装置の大型化を招く。
【0063】
また、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、上述したような交番磁場に限定されない。例えば、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、間欠的なものであってもよい。この場合、発生する磁場の周波数、最大強度等の好ましい範囲は、前記と同様である。
【0064】
以上、第1の磁場発生装置2Aについて説明したが、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cについても、第1の磁場発生装置2Aと同様の構成、機能を有している。
【0065】
本発明では、磁場発生装置は、単数でもよいが、複数個の磁場発生装置を有するのが好ましい。複数個の磁場発生装置を有することにより、冷凍対象物5に対しより均一に磁場を与えることができるとともに、後に詳述するように、磁場制御装置3で、各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンを、個別に制御することができる。これにより、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0066】
上述したように、本発明の冷凍装置10は、複数個の磁場発生装置、すなわち、2つ以上の磁場発生装置を有するものであれば良いが、3つ以上の磁場発生装置を有するものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0067】
また、クラスター細分化装置1Aを構成する磁場発生装置のうち、少なくとも2つが対面するように配置(図2では、第1の磁場発生装置2Aと第3の磁場発生装置2Cとが冷凍対象物載置空間を介して対面するように配置)されたものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0068】
また、例えば、それぞれの磁場発生装置で、コイル21の形状、大きさは、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0069】
このような磁場発生装置は、ラック7またはその近傍に配置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効果的に細分化することが可能となる。
【0070】
磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bまたは第3の磁場発生装置2C)と冷凍対象物5との距離(最短距離)は、磁場発生装置が発生する磁場強度等により異なるが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましい。磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)が150cmを超えると、磁場発生装置が発生する磁場強度等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。
【0071】
また、各磁場発生装置は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、磁場発生装置の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、磁場発生装置の交換を行わなくてもよいので(または、磁場発生装置の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0072】
次に、磁場制御装置3について説明する。
磁場制御装置3は、各磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)が発生する磁場の強度を、個別に制御する機能を有する。これにより、磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生のタイミング(磁場の発生パターン)を、他の磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御することができる。このように、複数個の磁場発生装置で、磁場の発生タイミングを異なるものとすることにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。すなわち、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を効率良く切断することができる。その結果、品質の低下を十分に防止・抑制しつつ、冷凍対象物5を冷凍することができる。
【0073】
磁場制御装置3は、例えば、各磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)のコイル21を流れる電流の方向(極性)、周波数や電流量等を変化させる可変機能を有するものであってもよい。これにより、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を、より正確に制御することができ、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0074】
各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図4に示すように制御することができる。
【0075】
すなわち、まず、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、第3の磁場発生装置2Cのコイル21には、電圧を印加しない(通電しない)。また、第1の磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物載置空間における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0076】
所定時間、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第1の磁場発生装置2Aのコイル21から、第3の磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5付近)での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5の各部位における磁場をまんべんなく変化させることが可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0077】
その後、前記と同様に、所定時間、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0078】
その後、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第2の磁場発生装置2Bのコイル21から、第1の磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5付近)での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0079】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0080】
以後、同様のサイクルを繰り返す。なお、以上のような、第1の磁場発生装置2Aの稼動開始から次の稼動開始までの間を1サイクルとしたとき、このサイクル数と後述する回転手段6による冷凍対象物5の回転数との関係は、特に限定されないが、冷凍対象物5の1回転に対し0.2〜1000サイクル程度とするのが好ましく、1.5〜300サイクル程度とするのがより好ましく、8〜200サイクル程度とするのがさらに好ましい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の冷凍装置10は、各磁場発生装置について、稼動−休止を繰り返し行う。そして、本発明者は、冷凍装置本体101内部の温度がほぼ一定に保たれているにも関わらず、冷凍対象物5中の水分の氷結が、稼動していた磁場発生装置を休止する際に(すなわち、磁場を発生する磁場発生装置を切り替える際に)、優先的に進行することを見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0082】
すなわち、磁場発生装置から磁場が発生している状態では、与えられた磁場により、冷凍対象物5中の水分子等が振動しているため、その温度が氷結温度以下になっても、冷凍対象物5は氷結に至らず、過冷却の状態になる。このような状態で、磁場を発生していた磁場発生装置の運転を休止することにより、冷凍対象物5中の水分は一気に氷結に至る。そして、本実施形態では、上記のような磁場の発生−停止を繰り返し行うため、冷凍対象物5の冷凍を速やかに進行させることができる。また、上記のような磁場の発生−停止を、各磁場発生装置について、順次繰り返し行うため、冷凍対象物5の氷結が各部位で均等に進行する。このため、冷凍対象物5は、その品質を十分に維持した状態で凍結に至る。
【0083】
また、上記のように、本実施形態では、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物載置空間に対し、磁力線の方向が回転するように、磁場の発生を制御する。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0084】
なお、図4に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0085】
また、各磁場発生装置が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置で異なるものであってもよい。
【0086】
また、クラスター細分化装置1Aは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置の稼動を終了してもよい。
【0087】
また、各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図5に示すように制御してもよい。
【0088】
すなわち、第1の磁場発生装置2Aおよび第3の磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、第2の磁場発生装置2Bから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0089】
この場合、各磁場発生装置から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0090】
クラスター細分化装置1Aは、光照射手段4を有し、磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A〜第3の磁場発生装置2Cのいずれか)による磁場の発生とともに、冷凍対象物5に対し、好ましくは波長500nm以下、特に波長400〜500nmの光(以下「短波長光」と言う)を照射する。
【0091】
前述したように、冷凍対象物5は、磁場の印加により冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化されるが、それに加えて短波長光が照射されることにより、冷凍対象物5の組織が短波長光により励起され、また、磁場の影響をより受け易い状態となり、その結果、水のクラスターの細分化がさらに促進される。特に、通常の食品はもちろんのこと、野菜のような緑黄色の食品でも、照射光が短波長光であるため、吸収され易く、上記効果が得られる。
【0092】
短波長光の照射は、図4中に示すように、いずれかの磁場発生装置により磁場が印加されている間常時行なわれても、断続的(間欠的)に行なわれてもよい。後者の場合、例えば図5中に示すように、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生に同期して短波長光の照射(光照射手段4の作動)を行なうことができる。
【0093】
この図5の例では、3つの磁場発生装置による合計の磁場の強度の増減と光照射手段4による短波長光の強度の増減とが同期して行なわれる。すなわち、図5に示す例では、3つの磁場発生装置2A〜2Cが作動しているときと2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときが交互に訪れるが、前者のときに、すなわち磁場の強度の合計が大きいときに、これに同期して光照射手段4をオン(稼動状態)とし、短波長光を照射する。このようにすることにより、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0094】
なお、図5においては、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているとき(第2の磁場発生装置2Bが作動していないとき)は、光照射手段4がオフとなり、短波長光が照射されないようになっているが、これに限らず、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときは、光照射手段4をパワーダウン(点灯する光源の数の減少および/または光源への印加電圧の減少等)するなどして、短波長光の照射光量を減少させるような構成としてもよい。また、光照射手段4の光源等が冷凍対象物載置空間に対し移動(例えば接近/離間)するなどして、短波長光の照射位置や照射光強度を変化させるような構成としてもよい。以上のような光源41A、41Bの点灯/消灯制御、パワーの制御、変位の制御等は、光源駆動制御手段42により行なわれる。
【0095】
クラスター細分化装置1Aは、さらに、α線、超音波、マイクロ波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段を有するものであってもよい。クラスター細分化装置1Aが、このようなエネルギー付与手段を有するものであると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。このようなエネルギー付与手段は、磁場発生装置と一体的に形成されていても、別体でもよい。
【0096】
クラスター細分化装置1Aの下部には、冷凍対象物5を回転させる回転手段6が設置されている。この回転手段6は、冷凍対象物5を載置する円盤状(皿状)のテーブル(載置台)61と、駆動源であるモータ62と、モータ62の回転力をテーブル61に伝達する動力伝達機構63と、モータ62を駆動する駆動回路64と、駆動回路64を制御する制御手段65とを備えている。このうち、モータ62と動力伝達機構63とで、テーブル61を回転する回転機構が構成される。
【0097】
テーブル61は、例えば各種金属材料、各種プラスチック材料、各種セラミックス等で構成されている。この場合、テーブル61は、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましい。テーブル61の上方は、冷凍対象物5が載置される冷凍対象物載置空間を構成している。
【0098】
モータ62の種類や構造は特に限定されず、直流モータのみならず、交流モータでもよい。
【0099】
動力伝達機構63は、図示の構成では、変速機、特にモータ62の回転を減速する減速機を兼ねており、歯車列(平歯車、かさ歯車、ウォーム等を含む)631、回転軸および軸受けならびにそれらの支持部材等で構成されている。なお、動力伝達機構63の構成は、モータ(駆動源)62の回転力をテーブル61に伝達し得るものであれば、図示のものに限定されず、例えば、プーリーとベルトを用いたもの、スプロケットとチェーンを用いたもの、モータ62により回転され、テーブル61に当接するローラを含むものなど、いかなる構成のものでもよい。
【0100】
駆動回路64は、モータ62への通電を行い、モータ62を駆動するものである。この駆動回路64は、制御手段65からの制御信号に基づいて作動する。その詳細については、後述する。
制御手段65は、例えばマイクロコンピュータやCPUなどで構成される。
【0101】
次に、回転手段6の作動について説明する。
制御手段65からの制御信号に基づいて駆動回路64が作動し、モータ62が一方向に一定の回転数で回転すると、該モータ62の回転力は、動力伝達機構63を介してテーブル61に伝達され、テーブル61およびこれに載置された冷凍対象物5が一定方向に等速度で回転する。
【0102】
前述したように、冷凍対象物載置空間には、磁場発生装置2A〜2Cにより所定のパターンで磁場が与えられているが、冷凍対象物載置空間にある冷凍対象物5が回転しているため、冷凍対象物5は、磁場発生装置2A〜2Cがそれ自体発する磁場のパターン(経時変化を伴ったパターン)に、自己の回転が加えられ、その結果、より複雑に変化した磁場を受けることとなる。これにより、冷凍対象物5は、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。なお、前述したように、磁力線の方向が回転するように磁場の発生を制御した場合、冷凍対象物5の回転方向は、磁力線の回転方向と同方向でも反対方向でもよいが、後者の方が好ましい。
【0103】
さらに、このことは、光照射手段4による光の照射においても同様である。すなわち、冷凍対象物5は回転手段6により回転しているため、冷凍対象物5側から見ると照射される光の方向(または照射位置)が回転に伴って経時的に変化することとなる。これにより、冷凍対象物5は、光照射手段4からの光が均一に照射されることとなり、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0104】
本発明において、回転手段6は、冷凍対象物5を一定方向に等速度で回転する場合に限られない。以下、その好ましい態様の例について説明する。
【0105】
<1> テーブル61の回転を間欠的(断続的)に行なう。すなわち、テーブル61の回転は、いずれかの磁場発生装置により磁場が印加されている間常時行なわれている場合に限らず、間欠的に行なわれてもよい。これは、制御手段65により、駆動回路64からモータ62へ電流の印加タイミングを制御することにより行なうことができる。例えば、テーブル61が30°回転したらモータ62を一定時間停止し、再び30°回転したらモータ62を一定時間停止するという操作を繰り返し行なうことができる。
【0106】
<2> テーブル61の回転方向を切り替える。すなわち、テーブル61を正転/逆転、いずれの方向にも回転させることができる。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電流の方向(極性)を切り替える(反転させる)ことにより行なうことができる。例えば、テーブル61の正転/逆転を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の正転と逆転とが一定時間ごとに交互に訪れるような構成が可能である。
【0107】
<3> テーブル61の回転速度(回転数)を切り替える。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電圧(電流)を変化させること、または変速機の変速比を変えることなどにより行なうことができる。例えば、テーブル61の回転速度として、高速/低速を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の回転速度を高速と低速とに一定時間ごとに交互に切り替えるような構成、テーブル61の回転速度を無段階に変更するような構成が可能である。
【0108】
<4> 上記<1>〜<3>のうちの任意の2以上の組み合わせ。
本発明の冷凍装置10では、上記<1>〜<4>のいずれの態様を実行することができるものでもよく、あるいは、上記<1>〜<4>の態様(モード)を選択し得るような構成でもよい。
【0109】
次に、本発明の冷凍装置の第2実施形態について説明する。以下、第2実施形態の冷凍装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0110】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Bの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0111】
図6は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0112】
図6に示すように、クラスター細分化装置1Bは、4つの磁場発生装置、すなわち第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dを有している。
【0113】
このクラスター細分化装置1Bでは、第1の磁場発生装置2Aの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面と、第2の磁場発生装置2Bの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面とが、同一面上に位置し、かつ、第3の磁場発生装置2Cの冷凍対象物載置空間に対向する面と、第4の磁場発生装置2Dの冷凍対象物載置空間に対向する面とが、同一面上に位置するように配置されている。また、第1の磁場発生装置2Aと、第4の磁場発生装置2Dとは、対面するように配置されており、かつ、第2の磁場発生装置2Bと、第3の磁場発生装置2Cとは、対面するように配置されている。
【0114】
各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図8に示すように制御することができる。
【0115】
すなわち、まず、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dのコイル21には、電圧を印加しない。また、第1の磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0116】
所定時間、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第1の磁場発生装置2Aのコイル21から、第3の磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0117】
その後、前記と同様に、所定時間、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0118】
その後、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、第4の磁場発生装置2Dのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第2の磁場発生装置2Bのコイル21から、第4の磁場発生装置2Dのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0119】
その後、前記と同様に、所定時間、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0120】
その後、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を中止し、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第3の磁場発生装置2Cのコイル21から、第1の磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0121】
その後、前記と同様に、所定時間、第4の磁場発生装置2Dおよび第1の磁場発生装置2Aのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0122】
その後、第4の磁場発生装置2Dのコイル21への通電を中止し、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第4の磁場発生装置2Dのコイル21から、第2の磁場発生装置2Bのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0123】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0124】
このように、本実施形態では、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物載置空間において、磁力線が回転するように、磁場の発生を制御する。そして、冷凍対象物5自体は、前記と同様に、回転手段6により回転する。この冷凍対象物5の回転方向は、前記磁力線の回転方向と同方向でも反対方向でもよい。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0125】
また、光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、例えば図8に示すように制御することができる。この場合、光源41Aと光源41Bとの点灯タイミングがそれぞれ異なるパターンとなるように制御する。図8に示す例では、光源41Aおよび光源41Bの双方が点灯している場合、光源41Aのみが点灯している場合、および光源41Bのみが点灯している場合があり(光源41Aおよび光源41Bの双方が消灯している場合があってもよい。)、これらの点灯/消灯は、好ましくは第1〜第4の磁場発生装置2A〜2Dの作動に同期して行なわれる。また、短波長光の照射パターンは、図4または図5のように制御してもよい。
【0126】
なお、図8に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0127】
また、各磁場発生装置が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置で異なるものであってもよい。
【0128】
また、クラスター細分化装置1Bは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置1Bの稼動を終了してもよい。
【0129】
また、図8に示すタイミングチャートでは、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させているが、発生タイミングを同期させる磁場発生装置は3つであってもよい。
【0130】
また、各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図9に示すように制御してもよい。
【0131】
すなわち、第1の磁場発生装置2Aおよび第3の磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、第2の磁場発生装置2Bおよび第4の磁場発生装置2Dから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0132】
この場合、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングと、第4の磁場発生装置2Dからの磁場の発生タイミングとは、同期していてもしていなくてもよい。
【0133】
また、各磁場発生装置から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0134】
図9に示す構成の場合、光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、光源41Aは連続的に点灯し、光源41Bは点灯/消灯(または減光)を繰り返し行なうように制御される。この場合、光源41Bの点灯は、第2および第4の磁場発生装置2B、2Dの点灯に同期して(または同期的に)なされる。これにより、磁場の強弱と短波長光の光量(合計光量)の強弱とが同期し、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。また、短波長光の照射パターン等は、上記に限定されるものではなく、図4または図5のように、あるいはその他任意のパターンに制御してもよい。
【0135】
次に、本発明の冷凍装置の第3実施形態について説明する。以下、第3実施形態の冷凍装置について、前述した第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0136】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Cの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0137】
図7は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0138】
図7に示すように、クラスター細分化装置1Cは、4つの磁場発生装置、すなわち第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dを有している。このうち、第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cは、前記第1実施形態のクラスター細分化装置1Aと同様であるが、第4の磁場発生装置2Dは、テーブル61に一体的に形成されている(あるいは、テーブル61に設置または固定されている)。
【0139】
すなわち、好ましくは非磁性体で構成されたテーブル61に、前記と同様のコイル21が設置されており、これにより、テーブル61自体が第4の磁場発生装置2Dとして機能する。
【0140】
このように、第4の磁場発生装置2Dがテーブル61に一体的に形成されているかまたは固定されていることにより、冷凍対象物5と第4の磁場発生装置2Dとの距離を常に短くすることができる。その結果、クラスター細分化の効果をさらに高めることができる。また、別部材として設置する磁場発生装置の数を減らすことができるため、冷凍装置の大容量化、省スペース化に有利である。
【0141】
各磁場発生装置2A〜2Dからの磁場の発生タイミング(発生パターン)や光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、例えば、前述した図8または図9のように制御することができる。また、短波長光の照射パターン等は、上記に限定されるものではなく、図4または図5のように、あるいはその他任意のパターンに制御してもよい。
【0142】
クラスター細分化装置1Cでは、各磁場発生装置を図7に示すように配置することにより、第4の磁場発生装置2Dの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面は、第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面とそれぞれ直交する。これにより、クラスター細分化装置1C全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の形状、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向を、三次元的に回転するように変化させることができる。これにより、磁場を効率よく与えることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、より均等にかつ効率良く進行させることができる。特に、冷凍対象物5が複雑な形状を有するものや、密度の差が大きい部分を有するもの等であっても、上記効果が有効に発揮される。
【0143】
次に、本発明の冷凍装置の第4実施形態について説明する。以下、第4実施形態の冷凍装置について、前述した第1実施形態等との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0144】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Dの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0145】
図7は、本発明の冷凍装置の第4実施形態が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。同図に示すように、クラスター細分化装置1Dは、前記と同様の回転手段6を有し、そのテーブル61上には、多段のラック7が載置されている。なお、ラック7の構成材料等については、前記第1実施形態で述べたのと同様である。
【0146】
ラック7は、複数の冷凍対象物5を載置(収納)することができる。すなわち、ラック7の各段には、それぞれ、冷凍対象物5が載置される。
【0147】
また、図10中には示されていないが、ラック7の外周部には、クラスター細分化装置1A、1Bまたは1Cと同様の磁場発生装置が設置されている。光照射手段4等についても、前記と同様であるが、本実施形態の場合、短波長光は、ラック7の側面から照射するのが好ましい。
【0148】
ラック7の各棚(載置棚)71は、固定的に設置されているものでもよいが、棚71の段数を変更したり、棚71の間隔を調整したりすることができるような構成であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の大きさや数に応じて、ラック7における冷凍対象物5の最適な配置が可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、より均等にかつ効率良く進行させることができる。
【0149】
また、ラック7の各棚71は、図示の構成では板状であるが、例えば枠状、網状のような通気性を有する構造のものでもよい。
【0150】
図示の構成では、ラック7の形状は四角であるが、これに限らず、例えば丸型(略円筒形)であってもよい。また、ラック7は、テーブル61に予め固定されていてもよく、あるいはラック7の下部がテーブル61と一体化していてもよい。
【0151】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0152】
例えば、回転手段は、冷凍対象物を回転させるものに限らず、磁場発生装置のうちの少なくとも1つを回転させるもの、あるいは、冷凍対象物と磁場発生装置の双方を回転させるものでもよい。
【0153】
また、光照射手段は、冷凍対象物とともに回転するものでもよい。例えば光照射手段の光源をテーブル61に固定的に設置した構成が挙げられる。
【0154】
また、前述の実施形態では、冷凍対象物として食品を用いたものについて説明したが、冷凍対象物は、水を含むものであればいかなるものであってもよい。冷凍対象物として、例えば、移植等に用いられる臓器等の生体組織を用いた場合、前記生体組織内の水のクラスターが細分化した状態で冷凍することにより、前記生体組織を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止、抑制することができる。従って、生体組織の機能低下を十分に防止、抑制しつつ、前記生体組織を長期間にわたって保存することが可能となる。結果として、移植後においても、前記生体組織は、本来有する機能を、十分に発揮することができる。
【0155】
また、冷凍対象物として、例えば、薬品を用いた場合、当該薬品の品質の低下を防止、抑制することができる。
【0156】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置を3つまたは4つ有する構成について説明したが、磁場発生装置の数は、1つまたは2つであってもよいし、5つ以上であってもよい。同様に、光照射手段の構成、特に光源の形状、形態、個数、配置、点灯パターン等や、回転手段の構成についても、特に限定されない。
【0157】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置および光照射手段が固定され、冷凍対象物を静置した状態で冷凍する構成の冷凍装置について説明したが、磁場発生装置および/または光照射手段と、冷凍対象物とが相対的に移動する構成であってもよい。すなわち、磁場発生装置および/または光照射手段と、冷凍対象物のうち少なくとも一方が移動する構成のものであってもよい。これにより、冷凍対象物における磁場や短波長光の照射パターンをより複雑に変化させることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターを、より効率良く細分化することが可能となる。このような構成の冷凍装置としては、例えば、ベルトコンベア式のトンネル型冷凍装置等が挙げられる。
【0158】
また、前述した各実施形態では、磁場発生装置としては、平板状の形状を有するものについて説明したが、磁場発生装置の形状や形態は、特に限定されるものではなく、例えば、筒状、湾曲板状、棒状等、いかなるものであってもよい。
【0159】
また、前述した実施形態では、ファン、熱交換機を、それぞれ1つずつ有する構成のものについて説明したが、ファンや熱交換機を複数個有する構成のものであってもよい。
【0160】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0161】
[冷凍対象物の冷凍]
(実施例1)
まず、図2に示すようなクラスター細分化装置を作製した。回転手段は、図3に示す構成とした。光照射手段としては、ピーク波長が420nmの青紫光ランプを用いた。
【0162】
次に、このクラスター細分化装置を用いて、図1に示すような冷凍装置を作製した。
このようにして得られた冷凍装置を、以下に示すような条件で作動させた。
【0163】
各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光のパターンを図4に示すように制御した。各磁場発生装置が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。磁場発生装置の切り替えは、冷凍対象物の1回転に対し20サイクルとした。
【0164】
また、クラスター細分化装置全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0165】
回転手段によるテーブルの回転制御は、回転数1.67rpm(10°/秒)で20秒間正転の後、5秒間回転を停止し、その後、回転数1.67rpmで20秒間逆転し、これを繰り返し行なった。
【0166】
以上のような条件で、冷凍装置を作動させ、冷凍装置本体の内部の温度を−50℃とした後、回転手段のテーブルの上に冷凍対象物を載置し、冷凍対象物を凍結した。このとき、磁場発生装置と、冷凍対象物との距離(最短距離)は、5cmであった。
【0167】
冷凍対象物としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0168】
(実施例2)
クラスター細分化装置として、図6に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2000Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図8に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0169】
(実施例3)
クラスター細分化装置として、図7に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2800Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図8に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0170】
(実施例4)
クラスター細分化装置として、図7に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2800Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図9に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0171】
(実施例5)
光源として、紫外線ランプを用いた以外は前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0172】
(実施例6)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0173】
(実施例7)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例2と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0174】
(実施例8)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例3と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0175】
(比較例1)
冷凍装置として、クラスター細分化装置を有していないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0176】
(比較例2)
磁場制御装置、光照射手段および回転手段を有していない点以外は前記実施例3と同様の構成の冷凍装置を用い、各磁場発生装置から、連続的に交番磁場を発生した以外は、前記実施例3と同様にして、同様の冷凍対象物を冷凍した。
【0177】
(比較例3)
磁場制御装置および回転手段を有していない点以外は前記実施例4と同様の構成の冷凍装置を用い、各磁場発生装置から、連続的に交番磁場を発生した以外は、前記実施例4と同様にして、同様の冷凍対象物を冷凍した。
【0178】
[評価]
前記各実施例および各比較例の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺を冷凍装置内で120日間保存した後、これらの中華麺を解凍した。その後、解凍された中華麺を、同一の条件で調理した。
【0179】
調理された中華麺の品質(風味、外観、香り等)を評価した。その結果を表1に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
表1から明らかなように、本発明の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、解凍後においても、優れた品質が保持されていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0182】
すなわち、冷凍対象物は、冷凍装置(冷凍庫)内という低温環境下に置かれ、凍結に至るが、このとき、クラスター細分化装置の作用を受け、冷凍対象物中の水のクラスターが細分化される。特に、冷凍対象物が受ける磁場の強さや磁力線の方向が変化したり、冷凍対象物が回転したりすることにより、これらの相乗効果で、水のクラスターの細分化が均一に(ムラなく)かつ効率良く行なわれる。
【0183】
したがって、冷凍対象物は、水のクラスターが細分化された状態で、凍結に至る。その結果、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。
【0184】
このように、氷の結晶が微細化されることにより、粗大化した氷の形成が、効果的に防止、抑制される。このため、粗大化した氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、食品の品質の低下を効果的に防止、抑制することができるものと考えられる。
【0185】
これに対し、各比較例で冷凍した冷凍対象物は、表1に示すように解凍後における品質の低下が認められた。中でも、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍した冷凍対象物は、解凍後における品質の低下が極めて顕著であった。これは、凍結により形成された氷が粗大化したものであり、このような氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から著しく変化したためであると考えられる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されたためであると考えられる)。
【0186】
また、冷凍処理を施していない中華麺(前記各実施例および各比較例の冷凍装置で凍結させた中華麺の製造日の30日後に、同様の条件で製造したもの)を前記と同様にして調理した。このように調理された中華麺を、前記各実施例および各比較例による中華麺とともに、室温下で1時間静置し、その後の風味、外観を評価した。
【0187】
その結果、本発明の冷凍装置で冷凍した中華麺は、調理後直後と比べて、風味、外観の低下をほとんど生じていなかった。これに対し、各比較例の冷凍装置で冷凍した中華麺および冷凍処理を施さなかった中華麺は、風味、外観が著しく低下し、いわゆる「麺がのびた」状態になっていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0188】
すなわち、本発明の冷凍装置を用いた場合、冷凍対象物である麺は、水のクラスターが細分化された状態で凍結に至り、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、冷凍対象物のミクロ的な構造は、冷凍後においても、冷凍前の状態を十分に保持することができる(冷凍対象物を構成する細胞の破壊が防止・抑制される)。また、解凍後においても、冷凍対象物中に含まれる水のクラスターは、微細化した状態が保持される。このため、調理時、調理後において、比較的クラスターの大きい水と接触した場合であっても、麺中に含まれるクラスターサイズの小さい水と、外部のクラスターサイズの大きい水とが置換したり、外部の水分を過剰に吸収したりする現象が起こり難い。したがって、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された麺は、調理後、長時間放置した場合であっても、水分含有量が、調理前に比べて大きく増加するのを抑制される。
【0189】
これに対し、各比較例の冷凍装置を用いて冷凍された麺や冷凍処理を施さなかった麺では、含まれる水のクラスターサイズが大きいため、外部の水分を吸収しやすく、調理時、調理後等において、水分含有量が増加しやすい。したがって、調理後、長時間放置した場合、いわゆる「麺がのびた」状態になりやすい。
【0190】
(実施例9〜16、比較例4〜6)
冷凍対象物として、ゆでたほうれん草(200g)を用いた以外は、それぞれ、前記実施例1〜8、比較例1〜3と同様にして冷凍を行なった。
【0191】
これら実施例9〜16、比較例4〜6の冷凍装置を用いて冷凍したほうれん草を冷凍装置内で150日間保存した後、解凍し、各々同一の条件で調理した。
【0192】
調理されたほうれん草の品質(風味、外観、香り等)を前記と同様に評価した結果、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0193】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を得ることができる。
また、冷凍された食品を長期間にわたって保存した場合であっても、優れた品質が保持される。
【0194】
また、冷凍対象物として麺類を用いた場合、調理後に、いわゆる「麺がのびる」現象を発生し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図3】図2に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図である。
【図4】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図5】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図6】本発明の冷凍装置の第2実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図7】本発明の冷凍装置の第3実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図8】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図9】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図10】本発明の冷凍装置の第4実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D クラスター細分化装置
2A、2B、2C、2D 磁場発生装置
21 コイル
22 非磁性体カバー
3 磁場制御装置
4 光照射手段
41A、41B 光源
42 光源駆動制御手段
5 冷凍対象物
6 回転手段
61 テーブル
62 モータ
63 動力伝達機構
631 歯車列
64 駆動回路
65 制御手段
7 ラック
71 棚
8 熱交換機
81 蒸発器
82 圧縮機
83 凝縮機
84 冷媒配管
85 冷媒配管
9 ファン
10 冷凍装置
101 冷凍装置本体
【発明が属する技術分野】
本発明は、冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
氷点下以下の温度で、食品等を冷凍させ、保存する冷凍庫が広く用いられている。このような冷凍庫は、主として、食品の腐敗等を防止することにより長期間保存することを目的とするものであった。
【0003】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。また、食品の種類によっては、冷凍することによる品質の劣化が著しく、実質的に冷凍保存が不可能なものもあった。
【0004】
また、冷凍された食品は、通常、解凍して食されるが、食品の種類によっては、解凍時に、ドリップを発生するという問題点も有していた。
【0005】
また、中華麺やパスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく風味・外観が損なわれ易かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
【0008】
(1) 水を含む冷凍対象物を冷凍する冷凍装置であって、
前記冷凍対象物に磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置と、
前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させる回転手段とを有することを特徴とする冷凍装置。
【0009】
(2) 前記回転手段は、前記冷凍対象物を載置する載置台と、前記載置台を回転する回転機構とを備えるものである上記(1)に記載の冷凍装置。
【0010】
(3) 前記回転手段は、その回転速度および/または回転方向が可変である上記(1)または(2)に記載の冷凍装置。
【0011】
(4) 前記回転手段は、その回転を間欠的に行なうことができる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0012】
(5) 前記磁場発生装置が複数設置されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0013】
(6) 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングが、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0014】
(7) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0015】
(8) 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する上記(5)に記載の冷凍装置。
【0016】
(9) 複数個の前記磁場発生装置は、前記冷凍対象物に対向する面が、互いに直交するように設置された上記(5)ないし(8)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0017】
(10) 前記冷凍対象物に波長500nm以下の光を照射する光照射手段とを有する上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0018】
(11) 前記光照射手段は、照射光の強度および/または照射方向を経時的に変化させ得るよう構成されている上記(10)に記載の冷凍装置。
【0019】
(12) 前記磁場発生装置による磁場の強度の変化と、前記照射手段による照射光の強度および/または照射方向の変化とが同期して行なわれる上記(11)に記載の冷凍装置。
【0020】
(13) 熱交換機と、冷気を循環させるファンとを有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0021】
(14) 前記冷凍対象物が位置する部位において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御した上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0022】
(15) 少なくとも2つの前記磁場発生装置が対面するように配置された上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0023】
(16) 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0024】
(17) 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0025】
(18) 使用時における冷凍装置内の温度が−30℃以下である上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0026】
(19) 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0027】
(20) 前記冷凍対象物が食品である上記(1)ないし(19)のいずれかに記載の冷凍装置。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図であり、図2は、図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図であり、図3は、図2に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図であり、図4および図5は、それぞれ、クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの例である。なお、図1〜図3(後述する図6および図7も同様)は、一部を誇張して示したものであり、実際の大きさを反映するものではない。
【0029】
本発明の冷凍装置10は、水を含む冷凍対象物5に対して用いるものであり、冷凍対象物5中の水のクラスターを細分化した状態で冷凍する機能を有する。言い換えると、本発明の冷凍装置10は、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を部分的に切断した状態で冷凍する機能を有する。
【0030】
本明細書中では、「水のクラスター」とは、主として水分子で構成されたクラスター(Cluster)のことを指すものとして説明する。「水のクラスター」としては、例えば、実質的に水分子のみで構成されたクラスターや、主として水分子で構成され、かつ水以外の成分(水分子以外の分子、イオン等)を含むもの等が挙げられる。
【0031】
本発明の冷凍装置10に適用される冷凍対象物5は、水を含むものであれば、いかなるものであってもよい。このような冷凍対象物5としては、例えば、食品(飲料を含む)、飼料、生体組織(例えば、血液(血液成分)、臓器、皮膚組織、筋組織、神経組織、骨組織、軟骨組織等の各種組織や、生殖細胞等の各種細胞等)、生花、薬品(医薬品、試薬等を含む)や、これらのうち少なくとも一つを含むもの等が挙げられ、これらをそのまま用いてもよいし、例えば、梱包、包装した状態で用いてもよい。この中でも、冷凍対象物5としては、食品が好ましい。食品は、従来の冷凍装置を用いた場合に、品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を特に生じ易く、実質的に冷凍保存が不可能なものもある。食品の中でも特に、中華麺、そば、うどん、パスタ等の麺類は、冷凍後、解凍して調理した場合、著しく形状(構造)や風味が損なわれ易かった。また、野菜のような緑黄色の食品は、鮮度が損なわれ易かった。以下の説明では、食品を冷凍対象物5の代表として説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、冷凍装置本体101と、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを細分化するためのクラスター細分化装置1Aと、ラック7と、熱交換機8と、冷気を循環させるファン9と、冷凍対象物5に所定の光を照射する光照射手段4と、冷凍対象物5を回転させる回転手段6とを有する。
【0033】
冷凍装置本体101は、その内部に、冷凍対象物5を収納するための空間を有している。冷凍装置本体101の内部には、ラック7が設置されている。このラック7の棚部または枠部などには、後述する回転手段6が設置される。また、必要に応じ、磁場発生装置や光照射手段4が設置される。
【0034】
このようなラック7を設けることにより、例えば、冷凍装置本体101内を循環する冷気と、冷凍対象物5との接触面積が大きくなるように、冷凍対象物5を配することが可能となる。このため、例えば、冷凍対象物5の総量が比較的多い場合であっても(冷凍対象物5が複数個ある場合であっても)、冷凍対象物5の冷凍処理を効率良く行うことができる。
【0035】
ラック7は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、主として、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてアルミニウムで構成されたものであるのがより好ましい。
【0036】
熱交換機8は、蒸発器81と、圧縮機82と、凝縮器83とを有し、蒸発器81−圧縮機82間および蒸発器81−凝縮器83間は、それぞれ、冷媒配管84、85で接続されている。また、熱交換機8内には、冷媒が充填されている。
【0037】
このような熱交換機8は、冷凍装置本体101の内部と外部との間で熱交換を行うことにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ作用を有する。
【0038】
すなわち、熱交換機8は、その内部に充填された冷媒が、蒸発器81において冷凍装置本体101内部の熱を奪い、圧縮機82において圧縮され、凝縮器83において外気に熱を排出することにより、冷凍装置本体101の内部を冷温に保つ。
【0039】
ファン9は、冷凍装置本体101の内部の冷気を循環させる機能を有する。これにより、冷凍装置本体101の内部の各部位における温度のバラツキが小さくなり、より安定した冷却速度で冷凍対象物5を冷却、冷凍させることが可能となる。
【0040】
光照射手段4は、冷凍対象物5に波長500nm以下の光、特に波長400〜500nmの光を照射するものであり、図示の構成では、1または2以上の光源(本実施形態では、2つの光源41A、41B)と、各光源を後述するような所定の条件で駆動する光源駆動制御手段42とを有する。
【0041】
光源41A、41Bの具体例としては、青色光ランプ、紫色光ランプ、紫外線ランプ、ハロゲンランプ、ネオンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード等の各種光源や、X線源(以下これらを総称して「光源」と言う)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような比較的短波長の光を照射することにより、後述する磁場発生装置による磁場の印加と相まって、冷凍対象物5の品質を長期間良好に維持することができる。
【0042】
照射光の波長が500nmを超えると、光照射による効果が少なくなる。また、波長400〜500nmの光を照射する場合は、その光源として、比較的簡易なもの、安価なものを用いることができる。
【0043】
なお、図示の構成では、光源41A、41Bは、冷凍対象物5の図中上方に設置されているが、光源の設置位置や配置は、図示のものに限定されず、例えば、冷凍対象物5の側方、後方、前方、下部、斜め上方など、冷凍対象物5に対し光を照射可能であれば、いかなる箇所であってもよい。
【0044】
また、光源41A、41Bから発せられた光を冷凍対象物5に直接照射する場合に限らず、例えば、ミラー、反射板、集光板、レンズ、プリズム、光学フィルター、拡散板、光ファイバー等の各種光学素子(図示せず)を介して照射してもよい。特に、これらの光学素子を用いて、冷凍対象物5に対しより広範囲に、あるいは多方向から光を照射することは、冷凍対象物5の全体に対しより均一に光が照射されるので、有効である。
【0045】
光照射手段4は、冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を連続的または段階的に変化(増減)することができるものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5への照射光の強度を経時的に変化させることができ、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターをより効率的に細分化することができる。
【0046】
冷凍対象物5に対する照射光の光量(強度)を変化させる方法の例としては、光源への印加電圧を増減する方法、光源の稼動本数(面積)を変化させる方法、冷凍対象物5と光源との距離を変化させる方法、遮光手段による遮光を行なう方法、照射光の波長を500nm以下と500nm超とに切り替える方法等が挙げられる。
【0047】
冷凍装置10を使用する際における冷凍装置本体101の内部の温度は、冷凍対象物5の少なくとも一部が冷凍される温度であれば、特に限定されないが、例えば、−20℃以下であるのが好ましく、−30〜−70℃であるのがより好ましい。冷凍装置本体101の内部の温度を−20℃以下とすることにより、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターを十分に微細化した状態(水素結合を効率良く切断した状態)で、冷凍対象物5を凍結させることができ、その後、クラスター細分化装置1Aの運転を停止させたり、凍結した冷凍対象物5を、本発明の冷凍装置10から取り出し、公知の冷凍装置(クラスター細分化装置を有していない冷凍装置)内に移した場合であっても、冷凍対象物5の品質を十分長期間にわたって、維持することができる。
【0048】
冷凍装置本体101の内部に配された冷凍対象物5は、クラスター細分化装置1Aの作用により、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化される。以下、クラスター細分化装置1Aについて詳細に説明する。
【0049】
図1、図2に示すように、クラスター細分化装置1Aは、水を含む冷凍対象物5に磁場を与え、かつその磁場強度を経時的に変化させる、複数個の磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)と、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を制御する磁場制御装置3とを有している。この場合、冷凍対象物5は、回転手段6により回転され、この回転している状態で磁場が与えられる。
【0050】
まず、磁場発生装置について説明する。
第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cは、図2に示す構成では、冷凍対象物5が載置される部分(以下「冷凍対象物載置空間」と言う)を囲むようにコの字状に配置されている(ただし、この配置に限定されない)。これらの磁場発生装置は、同様の構成であるので、第1の磁場発生装置2Aについて代表的に説明する。
【0051】
第1の磁場発生装置2Aは、コイル21と、非磁性体カバー22とを有する。コイル21は、電流が流れることにより、その周辺に磁場を発生する。そして、例えば、コイル21に流れる電流の方向や量を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させることができる。その結果、第1の磁場発生装置2Aの近傍に置かれた冷凍対象物5に与える磁場強度(冷凍対象物5が受ける磁力)を経時的に変化させることが可能となる。
【0052】
このように、冷凍対象物5に対して、強度が経時的に変化する磁場を与えることにより、冷凍対象物5中において、主として水分子−水分子間で形成されている水素結合が効率良く切断され、水のクラスターが細分化される。
【0053】
このようにして水のクラスターが細分化されることにより、冷凍対象物5(食品)は、例えば、風味、外観、香り等の品質の劣化がし難いものとなる。
【0054】
また、前述したように、冷凍装置10の使用時における冷凍装置本体101の内部は、冷凍対象物5の少なくとも一部を冷凍する温度となっている。このため、冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターは、細分化した状態で固化する。これにより、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶も微細化された(結晶粒径の小さい)ものとなる。
【0055】
ところで、食品の冷凍に従来の冷凍庫を用いた場合、食品の品質(例えば、風味、外観、香り等)の低下を生じる場合があった。このような食品の品質の低下は、冷凍時における食品のミクロ的な構造の変化(例えば、食品を構成する細胞の破壊等)が原因と考えられる。そして、本発明者は、このようなミクロ的な構造の変化が、主として、冷凍時に形成される、粗大化した氷によるものであることを見出した。
【0056】
上述したように、本発明の冷凍装置10を用いた場合、冷凍対象物5中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、本発明では、冷凍により、冷凍対象物5中でのミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、冷凍対象物5の品質を十分に保持しつつ、極めて長期間にわたって保存することが可能となる。また、冷凍時における前記細胞の破壊を、効果的に防止、抑制することができるため、冷凍対象物5の解凍時におけるドリップの発生も効果的に防止することができる。
【0057】
コイル21を流れる電流は、直流であっても、交流であってもよい。特に、コイル21を流れる電流が交流であると、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度を比較的容易に変化させることができる。
【0058】
図示の構成では、コイル21は円形コイルであるが、コイル21の形状は、特に限定されない。コイル21は、例えば、ベースボールコイル、角形コイル等、いかなる形状のものであってもよい。
【0059】
非磁性体カバー22は、コイル21を保護、固定する機能を有する。非磁性体カバー22の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられる。
【0060】
第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、特に限定されないが、例えば、交番磁場であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5における磁場強度を容易に変化させることができ、また、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することが可能となる。
【0061】
交番磁場における周波数は、特に限定されないが、例えば、20〜25000Hzであるのが好ましく、40〜1200Hzであるのがより好ましい。交番磁場における周波数が前記範囲内の値であると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、より効果的に細分化することができる。
【0062】
第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の最大強度(絶対値)は、特に限定されないが、例えば、冷凍対象物5における磁場が、100〜12000Gsであるのが好ましく、300〜7000Gsであるのがより好ましい。第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記下限値未満であると、冷凍対象物5における磁場強度の変化量を十分に大きくすることが困難となり、冷凍対象物5の種類等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。一方、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場の強度が前記上限値を超えると、装置の大型化を招く。
【0063】
また、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、上述したような交番磁場に限定されない。例えば、第1の磁場発生装置2Aが発生する磁場は、間欠的なものであってもよい。この場合、発生する磁場の周波数、最大強度等の好ましい範囲は、前記と同様である。
【0064】
以上、第1の磁場発生装置2Aについて説明したが、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cについても、第1の磁場発生装置2Aと同様の構成、機能を有している。
【0065】
本発明では、磁場発生装置は、単数でもよいが、複数個の磁場発生装置を有するのが好ましい。複数個の磁場発生装置を有することにより、冷凍対象物5に対しより均一に磁場を与えることができるとともに、後に詳述するように、磁場制御装置3で、各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンを、個別に制御することができる。これにより、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0066】
上述したように、本発明の冷凍装置10は、複数個の磁場発生装置、すなわち、2つ以上の磁場発生装置を有するものであれば良いが、3つ以上の磁場発生装置を有するものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0067】
また、クラスター細分化装置1Aを構成する磁場発生装置のうち、少なくとも2つが対面するように配置(図2では、第1の磁場発生装置2Aと第3の磁場発生装置2Cとが冷凍対象物載置空間を介して対面するように配置)されたものであるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。
【0068】
また、例えば、それぞれの磁場発生装置で、コイル21の形状、大きさは、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0069】
このような磁場発生装置は、ラック7またはその近傍に配置されているのが好ましい。これにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効果的に細分化することが可能となる。
【0070】
磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bまたは第3の磁場発生装置2C)と冷凍対象物5との距離(最短距離)は、磁場発生装置が発生する磁場強度等により異なるが、例えば、150cm以下であるのが好ましく、50cm以下であるのがより好ましい。磁場発生装置2と冷凍対象物5との距離(最短距離)が150cmを超えると、磁場発生装置が発生する磁場強度等によっては、冷凍対象物5中の水のクラスターを十分に小さくすることが困難となる可能性がある。
【0071】
また、各磁場発生装置は、冷凍装置本体101の内部の温度に耐え得る耐低温性を有するものであるのが好ましい。これにより、磁場発生装置の耐久性が向上するため、冷凍装置10は、長期間にわたって安定した効果を発揮するものとなる。また、磁場発生装置の交換を行わなくてもよいので(または、磁場発生装置の交換回数を少なくできるので)、冷凍装置10のメンテナンスも容易となる。
【0072】
次に、磁場制御装置3について説明する。
磁場制御装置3は、各磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)が発生する磁場の強度を、個別に制御する機能を有する。これにより、磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生のタイミング(磁場の発生パターン)を、他の磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御することができる。このように、複数個の磁場発生装置で、磁場の発生タイミングを異なるものとすることにより、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。すなわち、冷凍対象物5中の水分子等が形成する水素結合を効率良く切断することができる。その結果、品質の低下を十分に防止・抑制しつつ、冷凍対象物5を冷凍することができる。
【0073】
磁場制御装置3は、例えば、各磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2C)のコイル21を流れる電流の方向(極性)、周波数や電流量等を変化させる可変機能を有するものであってもよい。これにより、各磁場発生装置が発生する磁場の強度を、より正確に制御することができ、クラスター細分化装置1A全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)を、容易に、所望の形状、大きさ、強度を有するものとすることができる。その結果、冷凍対象物5中の水のクラスターをより効率良く細分化することができる。
【0074】
各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図4に示すように制御することができる。
【0075】
すなわち、まず、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、第3の磁場発生装置2Cのコイル21には、電圧を印加しない(通電しない)。また、第1の磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物載置空間における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0076】
所定時間、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第1の磁場発生装置2Aのコイル21から、第3の磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5付近)での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5の各部位における磁場をまんべんなく変化させることが可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0077】
その後、前記と同様に、所定時間、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0078】
その後、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第2の磁場発生装置2Bのコイル21から、第1の磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1A全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5付近)での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0079】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0080】
以後、同様のサイクルを繰り返す。なお、以上のような、第1の磁場発生装置2Aの稼動開始から次の稼動開始までの間を1サイクルとしたとき、このサイクル数と後述する回転手段6による冷凍対象物5の回転数との関係は、特に限定されないが、冷凍対象物5の1回転に対し0.2〜1000サイクル程度とするのが好ましく、1.5〜300サイクル程度とするのがより好ましく、8〜200サイクル程度とするのがさらに好ましい。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の冷凍装置10は、各磁場発生装置について、稼動−休止を繰り返し行う。そして、本発明者は、冷凍装置本体101内部の温度がほぼ一定に保たれているにも関わらず、冷凍対象物5中の水分の氷結が、稼動していた磁場発生装置を休止する際に(すなわち、磁場を発生する磁場発生装置を切り替える際に)、優先的に進行することを見出した。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0082】
すなわち、磁場発生装置から磁場が発生している状態では、与えられた磁場により、冷凍対象物5中の水分子等が振動しているため、その温度が氷結温度以下になっても、冷凍対象物5は氷結に至らず、過冷却の状態になる。このような状態で、磁場を発生していた磁場発生装置の運転を休止することにより、冷凍対象物5中の水分は一気に氷結に至る。そして、本実施形態では、上記のような磁場の発生−停止を繰り返し行うため、冷凍対象物5の冷凍を速やかに進行させることができる。また、上記のような磁場の発生−停止を、各磁場発生装置について、順次繰り返し行うため、冷凍対象物5の氷結が各部位で均等に進行する。このため、冷凍対象物5は、その品質を十分に維持した状態で凍結に至る。
【0083】
また、上記のように、本実施形態では、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物載置空間に対し、磁力線の方向が回転するように、磁場の発生を制御する。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0084】
なお、図4に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0085】
また、各磁場発生装置が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置で異なるものであってもよい。
【0086】
また、クラスター細分化装置1Aは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置の稼動を終了してもよい。
【0087】
また、各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図5に示すように制御してもよい。
【0088】
すなわち、第1の磁場発生装置2Aおよび第3の磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、第2の磁場発生装置2Bから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0089】
この場合、各磁場発生装置から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0090】
クラスター細分化装置1Aは、光照射手段4を有し、磁場発生装置(第1の磁場発生装置2A〜第3の磁場発生装置2Cのいずれか)による磁場の発生とともに、冷凍対象物5に対し、好ましくは波長500nm以下、特に波長400〜500nmの光(以下「短波長光」と言う)を照射する。
【0091】
前述したように、冷凍対象物5は、磁場の印加により冷凍対象物5中に含まれる水のクラスターが細分化されるが、それに加えて短波長光が照射されることにより、冷凍対象物5の組織が短波長光により励起され、また、磁場の影響をより受け易い状態となり、その結果、水のクラスターの細分化がさらに促進される。特に、通常の食品はもちろんのこと、野菜のような緑黄色の食品でも、照射光が短波長光であるため、吸収され易く、上記効果が得られる。
【0092】
短波長光の照射は、図4中に示すように、いずれかの磁場発生装置により磁場が印加されている間常時行なわれても、断続的(間欠的)に行なわれてもよい。後者の場合、例えば図5中に示すように、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生に同期して短波長光の照射(光照射手段4の作動)を行なうことができる。
【0093】
この図5の例では、3つの磁場発生装置による合計の磁場の強度の増減と光照射手段4による短波長光の強度の増減とが同期して行なわれる。すなわち、図5に示す例では、3つの磁場発生装置2A〜2Cが作動しているときと2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときが交互に訪れるが、前者のときに、すなわち磁場の強度の合計が大きいときに、これに同期して光照射手段4をオン(稼動状態)とし、短波長光を照射する。このようにすることにより、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0094】
なお、図5においては、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているとき(第2の磁場発生装置2Bが作動していないとき)は、光照射手段4がオフとなり、短波長光が照射されないようになっているが、これに限らず、2つの磁場発生装置2Aおよび2Cが作動しているときは、光照射手段4をパワーダウン(点灯する光源の数の減少および/または光源への印加電圧の減少等)するなどして、短波長光の照射光量を減少させるような構成としてもよい。また、光照射手段4の光源等が冷凍対象物載置空間に対し移動(例えば接近/離間)するなどして、短波長光の照射位置や照射光強度を変化させるような構成としてもよい。以上のような光源41A、41Bの点灯/消灯制御、パワーの制御、変位の制御等は、光源駆動制御手段42により行なわれる。
【0095】
クラスター細分化装置1Aは、さらに、α線、超音波、マイクロ波およびマイナスイオンのうち少なくとも一つを照射するエネルギー付与手段を有するものであってもよい。クラスター細分化装置1Aが、このようなエネルギー付与手段を有するものであると、冷凍対象物5中の水のクラスターを、さらに効率良く細分化することが可能となる。このようなエネルギー付与手段は、磁場発生装置と一体的に形成されていても、別体でもよい。
【0096】
クラスター細分化装置1Aの下部には、冷凍対象物5を回転させる回転手段6が設置されている。この回転手段6は、冷凍対象物5を載置する円盤状(皿状)のテーブル(載置台)61と、駆動源であるモータ62と、モータ62の回転力をテーブル61に伝達する動力伝達機構63と、モータ62を駆動する駆動回路64と、駆動回路64を制御する制御手段65とを備えている。このうち、モータ62と動力伝達機構63とで、テーブル61を回転する回転機構が構成される。
【0097】
テーブル61は、例えば各種金属材料、各種プラスチック材料、各種セラミックス等で構成されている。この場合、テーブル61は、アルミニウム、銅等の非磁性金属や、各種プラスチック等の非磁性材料で構成されたものであるのが好ましい。テーブル61の上方は、冷凍対象物5が載置される冷凍対象物載置空間を構成している。
【0098】
モータ62の種類や構造は特に限定されず、直流モータのみならず、交流モータでもよい。
【0099】
動力伝達機構63は、図示の構成では、変速機、特にモータ62の回転を減速する減速機を兼ねており、歯車列(平歯車、かさ歯車、ウォーム等を含む)631、回転軸および軸受けならびにそれらの支持部材等で構成されている。なお、動力伝達機構63の構成は、モータ(駆動源)62の回転力をテーブル61に伝達し得るものであれば、図示のものに限定されず、例えば、プーリーとベルトを用いたもの、スプロケットとチェーンを用いたもの、モータ62により回転され、テーブル61に当接するローラを含むものなど、いかなる構成のものでもよい。
【0100】
駆動回路64は、モータ62への通電を行い、モータ62を駆動するものである。この駆動回路64は、制御手段65からの制御信号に基づいて作動する。その詳細については、後述する。
制御手段65は、例えばマイクロコンピュータやCPUなどで構成される。
【0101】
次に、回転手段6の作動について説明する。
制御手段65からの制御信号に基づいて駆動回路64が作動し、モータ62が一方向に一定の回転数で回転すると、該モータ62の回転力は、動力伝達機構63を介してテーブル61に伝達され、テーブル61およびこれに載置された冷凍対象物5が一定方向に等速度で回転する。
【0102】
前述したように、冷凍対象物載置空間には、磁場発生装置2A〜2Cにより所定のパターンで磁場が与えられているが、冷凍対象物載置空間にある冷凍対象物5が回転しているため、冷凍対象物5は、磁場発生装置2A〜2Cがそれ自体発する磁場のパターン(経時変化を伴ったパターン)に、自己の回転が加えられ、その結果、より複雑に変化した磁場を受けることとなる。これにより、冷凍対象物5は、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。なお、前述したように、磁力線の方向が回転するように磁場の発生を制御した場合、冷凍対象物5の回転方向は、磁力線の回転方向と同方向でも反対方向でもよいが、後者の方が好ましい。
【0103】
さらに、このことは、光照射手段4による光の照射においても同様である。すなわち、冷凍対象物5は回転手段6により回転しているため、冷凍対象物5側から見ると照射される光の方向(または照射位置)が回転に伴って経時的に変化することとなる。これにより、冷凍対象物5は、光照射手段4からの光が均一に照射されることとなり、より均一に、より効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。
【0104】
本発明において、回転手段6は、冷凍対象物5を一定方向に等速度で回転する場合に限られない。以下、その好ましい態様の例について説明する。
【0105】
<1> テーブル61の回転を間欠的(断続的)に行なう。すなわち、テーブル61の回転は、いずれかの磁場発生装置により磁場が印加されている間常時行なわれている場合に限らず、間欠的に行なわれてもよい。これは、制御手段65により、駆動回路64からモータ62へ電流の印加タイミングを制御することにより行なうことができる。例えば、テーブル61が30°回転したらモータ62を一定時間停止し、再び30°回転したらモータ62を一定時間停止するという操作を繰り返し行なうことができる。
【0106】
<2> テーブル61の回転方向を切り替える。すなわち、テーブル61を正転/逆転、いずれの方向にも回転させることができる。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電流の方向(極性)を切り替える(反転させる)ことにより行なうことができる。例えば、テーブル61の正転/逆転を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の正転と逆転とが一定時間ごとに交互に訪れるような構成が可能である。
【0107】
<3> テーブル61の回転速度(回転数)を切り替える。これは、制御手段65の制御により、駆動回路64からモータ62へ印加される電圧(電流)を変化させること、または変速機の変速比を変えることなどにより行なうことができる。例えば、テーブル61の回転速度として、高速/低速を選択(設定)し得るような構成、テーブル61の回転速度を高速と低速とに一定時間ごとに交互に切り替えるような構成、テーブル61の回転速度を無段階に変更するような構成が可能である。
【0108】
<4> 上記<1>〜<3>のうちの任意の2以上の組み合わせ。
本発明の冷凍装置10では、上記<1>〜<4>のいずれの態様を実行することができるものでもよく、あるいは、上記<1>〜<4>の態様(モード)を選択し得るような構成でもよい。
【0109】
次に、本発明の冷凍装置の第2実施形態について説明する。以下、第2実施形態の冷凍装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0110】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Bの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0111】
図6は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0112】
図6に示すように、クラスター細分化装置1Bは、4つの磁場発生装置、すなわち第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dを有している。
【0113】
このクラスター細分化装置1Bでは、第1の磁場発生装置2Aの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面と、第2の磁場発生装置2Bの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面とが、同一面上に位置し、かつ、第3の磁場発生装置2Cの冷凍対象物載置空間に対向する面と、第4の磁場発生装置2Dの冷凍対象物載置空間に対向する面とが、同一面上に位置するように配置されている。また、第1の磁場発生装置2Aと、第4の磁場発生装置2Dとは、対面するように配置されており、かつ、第2の磁場発生装置2Bと、第3の磁場発生装置2Cとは、対面するように配置されている。
【0114】
各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図8に示すように制御することができる。
【0115】
すなわち、まず、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に交流電圧を印加し、これら2つの磁場発生装置から磁場を発生させる。このとき、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dのコイル21には、電圧を印加しない。また、第1の磁場発生装置2Aからの磁場の発生タイミングと、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングとが同期するようにする。第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bが発生する磁場の変化に伴い、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)における磁場が変化し、冷凍対象物5中の水のクラスターが細分化する。
【0116】
所定時間、第1の磁場発生装置2Aおよび第2の磁場発生装置2Bのコイル21に通電した後、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を中止し、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第1の磁場発生装置2Aのコイル21から、第3の磁場発生装置2Cのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0117】
その後、前記と同様に、所定時間、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0118】
その後、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を中止し、第4の磁場発生装置2Dのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第2の磁場発生装置2Bのコイル21から、第4の磁場発生装置2Dのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0119】
その後、前記と同様に、所定時間、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0120】
その後、第3の磁場発生装置2Cのコイル21への通電を中止し、第1の磁場発生装置2Aのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第3の磁場発生装置2Cのコイル21から、第1の磁場発生装置2Aのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0121】
その後、前記と同様に、所定時間、第4の磁場発生装置2Dおよび第1の磁場発生装置2Aのコイル21に通電する。これにより、冷凍対象物5中のクラスターの細分化がさらに進行する。
【0122】
その後、第4の磁場発生装置2Dのコイル21への通電を中止し、第2の磁場発生装置2Bのコイル21への通電を開始する。すなわち、交流電圧の印加を、第4の磁場発生装置2Dのコイル21から、第2の磁場発生装置2Bのコイル21に切り替える。これにより、クラスター細分化装置1B全体として、冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に与える磁場の方向が切り替わり、冷凍対象物載置空間での磁力線の方向が変化する。これにより、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化が効率良く進行する。
【0123】
その後、上記と同様に、交流電圧を印加する磁場発生装置のコイルを、繰り返し、切り替える。これにより、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度が、経時的に変化する。このように、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向、磁場強度を、経時的に変化させることにより、冷凍対象物5中の各部位において、均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0124】
このように、本実施形態では、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させることにより、冷凍対象物載置空間において、磁力線が回転するように、磁場の発生を制御する。そして、冷凍対象物5自体は、前記と同様に、回転手段6により回転する。この冷凍対象物5の回転方向は、前記磁力線の回転方向と同方向でも反対方向でもよい。これにより、冷凍対象物5中の各部位において、より均等に、水のクラスターを微細化することができる。
【0125】
また、光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、例えば図8に示すように制御することができる。この場合、光源41Aと光源41Bとの点灯タイミングがそれぞれ異なるパターンとなるように制御する。図8に示す例では、光源41Aおよび光源41Bの双方が点灯している場合、光源41Aのみが点灯している場合、および光源41Bのみが点灯している場合があり(光源41Aおよび光源41Bの双方が消灯している場合があってもよい。)、これらの点灯/消灯は、好ましくは第1〜第4の磁場発生装置2A〜2Dの作動に同期して行なわれる。また、短波長光の照射パターンは、図4または図5のように制御してもよい。
【0126】
なお、図8に示すタイミングチャートでは、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相が常に一致しているが、必ずしも位相は一致しなくてもよい。例えば、同期する2つの磁場発生装置において、発生する磁場の位相は、2分の1波長分ずれたもの等であってもよい。
【0127】
また、各磁場発生装置が発生する磁場の最大強度は、ほぼ等しいものであってもよいし、各磁場発生装置で異なるものであってもよい。
【0128】
また、クラスター細分化装置1Bは、常に稼動させる必要はない。例えば、冷凍対象物5が凍結した後、クラスター細分化装置1Bの稼動を終了してもよい。
【0129】
また、図8に示すタイミングチャートでは、2つの磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを同期させ、かつ、同期する磁場発生装置の組み合わせを経時的に変化させているが、発生タイミングを同期させる磁場発生装置は3つであってもよい。
【0130】
また、各磁場発生装置からの磁場の発生タイミング(発生パターン)は、例えば、図9に示すように制御してもよい。
【0131】
すなわち、第1の磁場発生装置2Aおよび第3の磁場発生装置2Cから、所定の周波数の交番磁場を連続的に発生しつつ、第2の磁場発生装置2Bおよび第4の磁場発生装置2Dから非連続的に(断続的に)所定の周波数の交番磁場を発生してもよい。
【0132】
この場合、第2の磁場発生装置2Bからの磁場の発生タイミングと、第4の磁場発生装置2Dからの磁場の発生タイミングとは、同期していてもしていなくてもよい。
【0133】
また、各磁場発生装置から発生する交番磁場の周波数は、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0134】
図9に示す構成の場合、光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、光源41Aは連続的に点灯し、光源41Bは点灯/消灯(または減光)を繰り返し行なうように制御される。この場合、光源41Bの点灯は、第2および第4の磁場発生装置2B、2Dの点灯に同期して(または同期的に)なされる。これにより、磁場の強弱と短波長光の光量(合計光量)の強弱とが同期し、より一層効率的に、冷凍対象物5に含まれる水のクラスターを細分化することができる。また、短波長光の照射パターン等は、上記に限定されるものではなく、図4または図5のように、あるいはその他任意のパターンに制御してもよい。
【0135】
次に、本発明の冷凍装置の第3実施形態について説明する。以下、第3実施形態の冷凍装置について、前述した第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0136】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Cの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0137】
図7は、本実施形態の冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。
【0138】
図7に示すように、クラスター細分化装置1Cは、4つの磁場発生装置、すなわち第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2B、第3の磁場発生装置2Cおよび第4の磁場発生装置2Dを有している。このうち、第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cは、前記第1実施形態のクラスター細分化装置1Aと同様であるが、第4の磁場発生装置2Dは、テーブル61に一体的に形成されている(あるいは、テーブル61に設置または固定されている)。
【0139】
すなわち、好ましくは非磁性体で構成されたテーブル61に、前記と同様のコイル21が設置されており、これにより、テーブル61自体が第4の磁場発生装置2Dとして機能する。
【0140】
このように、第4の磁場発生装置2Dがテーブル61に一体的に形成されているかまたは固定されていることにより、冷凍対象物5と第4の磁場発生装置2Dとの距離を常に短くすることができる。その結果、クラスター細分化の効果をさらに高めることができる。また、別部材として設置する磁場発生装置の数を減らすことができるため、冷凍装置の大容量化、省スペース化に有利である。
【0141】
各磁場発生装置2A〜2Dからの磁場の発生タイミング(発生パターン)や光照射手段4からの短波長光の照射パターンは、例えば、前述した図8または図9のように制御することができる。また、短波長光の照射パターン等は、上記に限定されるものではなく、図4または図5のように、あるいはその他任意のパターンに制御してもよい。
【0142】
クラスター細分化装置1Cでは、各磁場発生装置を図7に示すように配置することにより、第4の磁場発生装置2Dの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面は、第1の磁場発生装置2A、第2の磁場発生装置2Bおよび第3の磁場発生装置2Cの冷凍対象物載置空間(冷凍対象物5)に対向する面とそれぞれ直交する。これにより、クラスター細分化装置1C全体として、冷凍対象物載置空間に与える磁場の形状、冷凍対象物載置空間における磁力線の方向を、三次元的に回転するように変化させることができる。これにより、磁場を効率よく与えることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、より均等にかつ効率良く進行させることができる。特に、冷凍対象物5が複雑な形状を有するものや、密度の差が大きい部分を有するもの等であっても、上記効果が有効に発揮される。
【0143】
次に、本発明の冷凍装置の第4実施形態について説明する。以下、第4実施形態の冷凍装置について、前述した第1実施形態等との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0144】
本実施形態の冷凍装置10は、クラスター細分化装置1Dの構成が前記第1実施形態で用いたものと異なる以外は前記第1実施形態と同様の構成を有する。
【0145】
図7は、本発明の冷凍装置の第4実施形態が有するクラスター細分化装置の構成を示す概略図である。同図に示すように、クラスター細分化装置1Dは、前記と同様の回転手段6を有し、そのテーブル61上には、多段のラック7が載置されている。なお、ラック7の構成材料等については、前記第1実施形態で述べたのと同様である。
【0146】
ラック7は、複数の冷凍対象物5を載置(収納)することができる。すなわち、ラック7の各段には、それぞれ、冷凍対象物5が載置される。
【0147】
また、図10中には示されていないが、ラック7の外周部には、クラスター細分化装置1A、1Bまたは1Cと同様の磁場発生装置が設置されている。光照射手段4等についても、前記と同様であるが、本実施形態の場合、短波長光は、ラック7の側面から照射するのが好ましい。
【0148】
ラック7の各棚(載置棚)71は、固定的に設置されているものでもよいが、棚71の段数を変更したり、棚71の間隔を調整したりすることができるような構成であるのが好ましい。これにより、冷凍対象物5の大きさや数に応じて、ラック7における冷凍対象物5の最適な配置が可能となり、冷凍対象物5中におけるクラスターの細分化を、より均等にかつ効率良く進行させることができる。
【0149】
また、ラック7の各棚71は、図示の構成では板状であるが、例えば枠状、網状のような通気性を有する構造のものでもよい。
【0150】
図示の構成では、ラック7の形状は四角であるが、これに限らず、例えば丸型(略円筒形)であってもよい。また、ラック7は、テーブル61に予め固定されていてもよく、あるいはラック7の下部がテーブル61と一体化していてもよい。
【0151】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0152】
例えば、回転手段は、冷凍対象物を回転させるものに限らず、磁場発生装置のうちの少なくとも1つを回転させるもの、あるいは、冷凍対象物と磁場発生装置の双方を回転させるものでもよい。
【0153】
また、光照射手段は、冷凍対象物とともに回転するものでもよい。例えば光照射手段の光源をテーブル61に固定的に設置した構成が挙げられる。
【0154】
また、前述の実施形態では、冷凍対象物として食品を用いたものについて説明したが、冷凍対象物は、水を含むものであればいかなるものであってもよい。冷凍対象物として、例えば、移植等に用いられる臓器等の生体組織を用いた場合、前記生体組織内の水のクラスターが細分化した状態で冷凍することにより、前記生体組織を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止、抑制することができる。従って、生体組織の機能低下を十分に防止、抑制しつつ、前記生体組織を長期間にわたって保存することが可能となる。結果として、移植後においても、前記生体組織は、本来有する機能を、十分に発揮することができる。
【0155】
また、冷凍対象物として、例えば、薬品を用いた場合、当該薬品の品質の低下を防止、抑制することができる。
【0156】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置を3つまたは4つ有する構成について説明したが、磁場発生装置の数は、1つまたは2つであってもよいし、5つ以上であってもよい。同様に、光照射手段の構成、特に光源の形状、形態、個数、配置、点灯パターン等や、回転手段の構成についても、特に限定されない。
【0157】
また、前述した実施形態では、磁場発生装置および光照射手段が固定され、冷凍対象物を静置した状態で冷凍する構成の冷凍装置について説明したが、磁場発生装置および/または光照射手段と、冷凍対象物とが相対的に移動する構成であってもよい。すなわち、磁場発生装置および/または光照射手段と、冷凍対象物のうち少なくとも一方が移動する構成のものであってもよい。これにより、冷凍対象物における磁場や短波長光の照射パターンをより複雑に変化させることができ、冷凍対象物5中におけるクラスターを、より効率良く細分化することが可能となる。このような構成の冷凍装置としては、例えば、ベルトコンベア式のトンネル型冷凍装置等が挙げられる。
【0158】
また、前述した各実施形態では、磁場発生装置としては、平板状の形状を有するものについて説明したが、磁場発生装置の形状や形態は、特に限定されるものではなく、例えば、筒状、湾曲板状、棒状等、いかなるものであってもよい。
【0159】
また、前述した実施形態では、ファン、熱交換機を、それぞれ1つずつ有する構成のものについて説明したが、ファンや熱交換機を複数個有する構成のものであってもよい。
【0160】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0161】
[冷凍対象物の冷凍]
(実施例1)
まず、図2に示すようなクラスター細分化装置を作製した。回転手段は、図3に示す構成とした。光照射手段としては、ピーク波長が420nmの青紫光ランプを用いた。
【0162】
次に、このクラスター細分化装置を用いて、図1に示すような冷凍装置を作製した。
このようにして得られた冷凍装置を、以下に示すような条件で作動させた。
【0163】
各磁場発生装置が発生する磁場の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光のパターンを図4に示すように制御した。各磁場発生装置が発生する磁場は、いずれも60Hzの交番磁場とした。磁場発生装置の切り替えは、冷凍対象物の1回転に対し20サイクルとした。
【0164】
また、クラスター細分化装置全体として発生する磁場(各磁場発生装置が発生する磁場の総和)の最大強度(絶対値)は、2000Gsとした。
【0165】
回転手段によるテーブルの回転制御は、回転数1.67rpm(10°/秒)で20秒間正転の後、5秒間回転を停止し、その後、回転数1.67rpmで20秒間逆転し、これを繰り返し行なった。
【0166】
以上のような条件で、冷凍装置を作動させ、冷凍装置本体の内部の温度を−50℃とした後、回転手段のテーブルの上に冷凍対象物を載置し、冷凍対象物を凍結した。このとき、磁場発生装置と、冷凍対象物との距離(最短距離)は、5cmであった。
【0167】
冷凍対象物としては、パック詰めした中華麺(200g)を用いた。
【0168】
(実施例2)
クラスター細分化装置として、図6に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2000Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図8に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0169】
(実施例3)
クラスター細分化装置として、図7に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2800Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図8に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0170】
(実施例4)
クラスター細分化装置として、図7に示すような構成のものを用いるとともに、各磁場発生装置が発生する磁場(60Hzの交番磁場、各磁場発生装置が発生する磁場の総和の最大強度=2800Gs)の発生パターンおよび光照射手段が発生する短波長光(420nm)のパターンを図9に示すように制御した以外は、前記実施例1と同様の冷凍装置を用いて、前記実施例1と同様の条件で、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0171】
(実施例5)
光源として、紫外線ランプを用いた以外は前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0172】
(実施例6)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0173】
(実施例7)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例2と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0174】
(実施例8)
回転手段によるテーブルの回転制御として、回転数1.67rpmで20秒間回転(正転)の後、回転数を半分にして20秒間回転(正転)し、これを繰り返し行なった以外は前記実施例3と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0175】
(比較例1)
冷凍装置として、クラスター細分化装置を有していないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして、パック詰めした中華麺(冷凍対象物)を冷凍した。
【0176】
(比較例2)
磁場制御装置、光照射手段および回転手段を有していない点以外は前記実施例3と同様の構成の冷凍装置を用い、各磁場発生装置から、連続的に交番磁場を発生した以外は、前記実施例3と同様にして、同様の冷凍対象物を冷凍した。
【0177】
(比較例3)
磁場制御装置および回転手段を有していない点以外は前記実施例4と同様の構成の冷凍装置を用い、各磁場発生装置から、連続的に交番磁場を発生した以外は、前記実施例4と同様にして、同様の冷凍対象物を冷凍した。
【0178】
[評価]
前記各実施例および各比較例の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺を冷凍装置内で120日間保存した後、これらの中華麺を解凍した。その後、解凍された中華麺を、同一の条件で調理した。
【0179】
調理された中華麺の品質(風味、外観、香り等)を評価した。その結果を表1に示す。
【0180】
【表1】
【0181】
表1から明らかなように、本発明の冷凍装置を用いて冷凍した中華麺は、解凍後においても、優れた品質が保持されていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0182】
すなわち、冷凍対象物は、冷凍装置(冷凍庫)内という低温環境下に置かれ、凍結に至るが、このとき、クラスター細分化装置の作用を受け、冷凍対象物中の水のクラスターが細分化される。特に、冷凍対象物が受ける磁場の強さや磁力線の方向が変化したり、冷凍対象物が回転したりすることにより、これらの相乗効果で、水のクラスターの細分化が均一に(ムラなく)かつ効率良く行なわれる。
【0183】
したがって、冷凍対象物は、水のクラスターが細分化された状態で、凍結に至る。その結果、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。
【0184】
このように、氷の結晶が微細化されることにより、粗大化した氷の形成が、効果的に防止、抑制される。このため、粗大化した氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から変化するのを、効果的に防止・抑制することができる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されるのを効果的に防止することができる)。その結果、食品の品質の低下を効果的に防止、抑制することができるものと考えられる。
【0185】
これに対し、各比較例で冷凍した冷凍対象物は、表1に示すように解凍後における品質の低下が認められた。中でも、比較例1の冷凍装置を用いて冷凍した冷凍対象物は、解凍後における品質の低下が極めて顕著であった。これは、凍結により形成された氷が粗大化したものであり、このような氷によって、前記冷凍対象物のミクロ的な構造が冷凍前の構造から著しく変化したためであると考えられる(冷凍対象物を構成する細胞が破壊されたためであると考えられる)。
【0186】
また、冷凍処理を施していない中華麺(前記各実施例および各比較例の冷凍装置で凍結させた中華麺の製造日の30日後に、同様の条件で製造したもの)を前記と同様にして調理した。このように調理された中華麺を、前記各実施例および各比較例による中華麺とともに、室温下で1時間静置し、その後の風味、外観を評価した。
【0187】
その結果、本発明の冷凍装置で冷凍した中華麺は、調理後直後と比べて、風味、外観の低下をほとんど生じていなかった。これに対し、各比較例の冷凍装置で冷凍した中華麺および冷凍処理を施さなかった中華麺は、風味、外観が著しく低下し、いわゆる「麺がのびた」状態になっていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。
【0188】
すなわち、本発明の冷凍装置を用いた場合、冷凍対象物である麺は、水のクラスターが細分化された状態で凍結に至り、冷凍対象物中に形成される氷の結晶は、微細化されたものとなる。このため、冷凍対象物のミクロ的な構造は、冷凍後においても、冷凍前の状態を十分に保持することができる(冷凍対象物を構成する細胞の破壊が防止・抑制される)。また、解凍後においても、冷凍対象物中に含まれる水のクラスターは、微細化した状態が保持される。このため、調理時、調理後において、比較的クラスターの大きい水と接触した場合であっても、麺中に含まれるクラスターサイズの小さい水と、外部のクラスターサイズの大きい水とが置換したり、外部の水分を過剰に吸収したりする現象が起こり難い。したがって、本発明の冷凍装置を用いて冷凍された麺は、調理後、長時間放置した場合であっても、水分含有量が、調理前に比べて大きく増加するのを抑制される。
【0189】
これに対し、各比較例の冷凍装置を用いて冷凍された麺や冷凍処理を施さなかった麺では、含まれる水のクラスターサイズが大きいため、外部の水分を吸収しやすく、調理時、調理後等において、水分含有量が増加しやすい。したがって、調理後、長時間放置した場合、いわゆる「麺がのびた」状態になりやすい。
【0190】
(実施例9〜16、比較例4〜6)
冷凍対象物として、ゆでたほうれん草(200g)を用いた以外は、それぞれ、前記実施例1〜8、比較例1〜3と同様にして冷凍を行なった。
【0191】
これら実施例9〜16、比較例4〜6の冷凍装置を用いて冷凍したほうれん草を冷凍装置内で150日間保存した後、解凍し、各々同一の条件で調理した。
【0192】
調理されたほうれん草の品質(風味、外観、香り等)を前記と同様に評価した結果、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0193】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、食品の品質の低下を防止、抑制することが可能な冷凍装置を得ることができる。
また、冷凍された食品を長期間にわたって保存した場合であっても、優れた品質が保持される。
【0194】
また、冷凍対象物として麺類を用いた場合、調理後に、いわゆる「麺がのびる」現象を発生し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍装置の第1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1に示す冷凍装置が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図3】図2に示すクラスター細分化装置における回転手段の構成例を示す側面図である。
【図4】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図5】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図6】本発明の冷凍装置の第2実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図7】本発明の冷凍装置の第3実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【図8】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図9】クラスター細分化装置の各磁場発生装置からの磁場の発生タイミングを示すタイミングチャートの一例である。
【図10】本発明の冷凍装置の第4実施形態が有するクラスター細分化装置の構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D クラスター細分化装置
2A、2B、2C、2D 磁場発生装置
21 コイル
22 非磁性体カバー
3 磁場制御装置
4 光照射手段
41A、41B 光源
42 光源駆動制御手段
5 冷凍対象物
6 回転手段
61 テーブル
62 モータ
63 動力伝達機構
631 歯車列
64 駆動回路
65 制御手段
7 ラック
71 棚
8 熱交換機
81 蒸発器
82 圧縮機
83 凝縮機
84 冷媒配管
85 冷媒配管
9 ファン
10 冷凍装置
101 冷凍装置本体
Claims (20)
- 水を含む冷凍対象物を冷凍する冷凍装置であって、
前記冷凍対象物に磁場を与え、かつその強度を経時的に変化させる磁場発生装置と、
前記冷凍対象物を前記磁場発生装置に対し相対的に回転させる回転手段とを有することを特徴とする冷凍装置。 - 前記回転手段は、前記冷凍対象物を載置する載置台と、前記載置台を回転する回転機構とを備えるものである請求項1に記載の冷凍装置。
- 前記回転手段は、その回転速度および/または回転方向が可変である請求項1または2に記載の冷凍装置。
- 前記回転手段は、その回転を間欠的に行なうことができる請求項1ないし3のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置が複数設置されている請求項1ないし4のいずれかに記載の冷凍装置。
- 冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも1つからの磁場の発生タイミングが、他の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する請求項5に記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御する請求項5に記載の冷凍装置。 - 前記磁場発生装置を3つ以上有し、
冷凍を行うに際し、前記磁場発生装置のうち少なくとも2つからの磁場の発生タイミングが同期し、かつ、これら以外の1つ以上の前記磁場発生装置からの磁場の発生タイミングと異なるように制御し、
磁場の発生タイミングが同期する2つ以上の前記磁場発生装置の組み合わせが経時的に変化する請求項5に記載の冷凍装置。 - 複数個の前記磁場発生装置は、前記冷凍対象物に対向する面が、互いに直交するように設置された請求項5ないし8のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物に波長500nm以下の光を照射する光照射手段とを有する請求項1ないし9のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記光照射手段は、照射光の強度および/または照射方向を経時的に変化させ得るよう構成されている請求項10に記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置による磁場の強度の変化と、前記照射手段による照射光の強度および/または照射方向の変化とが同期して行なわれる請求項11に記載の冷凍装置。
- 熱交換機と、冷気を循環させるファンとを有する請求項1ないし12のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物が位置する部位において、磁力線の方向が回転するように、前記磁場発生装置からの磁場の発生を制御した請求項1ないし13のいずれかに記載の冷凍装置。
- 少なくとも2つの前記磁場発生装置が対面するように配置された請求項1ないし14のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置は、交番磁場を発生させるものである請求項1ないし15のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物中の水のクラスターが細分化した状態で、前記冷凍対象物を凍結させる請求項1ないし16のいずれかに記載の冷凍装置。
- 使用時における冷凍装置内の温度が−30℃以下である請求項1ないし17のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記磁場発生装置は、耐低温性を有するものである請求項1ないし18のいずれかに記載の冷凍装置。
- 前記冷凍対象物が食品である請求項1ないし19のいずれかに記載の冷凍装置。
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CN104075376A (zh) * | 2013-03-29 | 2014-10-01 | 海尔集团公司 | 壁挂式空调器室内机 |
CN108844283A (zh) * | 2018-08-03 | 2018-11-20 | 震惶科技(成都)有限公司 | 用于生鲜食品冰寒超长保鲜的均匀低频交变磁场产生装置 |
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2002
- 2002-06-07 JP JP2002167241A patent/JP2004012044A/ja active Pending
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JP2007119372A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Hiroshima Univ | 抜歯体の凍結保存方法 |
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