JP7123446B1 - 食材の保存方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味や食感を可能な限り保ちながら食材を保存する方法を提供する。【解決手段】食材の保存方法は、呼吸を抑制するように包装された食材1を、雰囲気の温度が氷温に維持された庫5内に設置する工程と、食材1に静電場を印加する工程と、を含む。食材1の呼吸を抑制する包装技術と氷温による保存技術と静電場を印加した保存技術とを適切に組み合わせることにより、食材1の冬眠状態が促進されて、食材1の風味や食感を可能な限り保ちながら食材1の長期保存を可能とする。【選択図】図2

Description

本発明は食材を保存する方法に関し、より詳細には、風味や食感を可能な限り保ちながら食材を保存する方法に関する。
近年では、食材を保存する様々な方法が提案されている。例えば以下の特許文献1には、氷点下にある食材に高電圧の静電場を印加することにより、食材を保存する技術が開示されている。
特開2006-230257号公報
例えば栗おこわを代表とする栗料理には、食材としての栗そのものの甘さや香り等の風味が重要である。そのため、下茹で等の加熱処理を加える前の生栗の風味を保つことが、生栗の商品価値を保つうえで重要である。風味を保ったまま生栗の長期保存が可能となり、例えば生栗の出荷時期を晩秋から春先まで調整することが可能になれば、市場における生栗の商品価値も春先までの比較的長期間にわたって維持され、生産農家へのさらなる利益の還元が期待される。
生栗以外にも、例えば果物や野菜等の青果物といった季節毎の食材について、風味や食感を保ったまま出荷時期のピークを調整することが可能になれば、出荷時期のピークが重なることによる流通価格の下落を抑制することができ、生産農家の収入も安定化することが期待される。
特許文献1の技術によると食材を保存することができる。しかしながら、生栗の風味や食感を保ったまま出荷時期を調整することができる程の生栗の長期保存は、特許文献1の技術によっても依然として実現されていない。例示する生栗に限らず、農家による持続可能な生産を後押しするためにも、食材そのものが持っている風味や食感を可能な限り保ったまま、食材を長期保存することが求められている。
本発明の目的は、風味や食感を可能な限り保ちながら食材を保存する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を進めていたところ、食材の呼吸を抑制する包装技術と氷温による保存技術、さらに静電場を印加した保存技術を適切に組み合わせることにより、食材の冬眠状態が促進されて、食材の風味や食感を可能な限り保ちながら食材の長期保存が可能になることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための本発明は、例えば以下に示す態様を含む。
(項1)
呼吸を抑制するように包装された食材を、雰囲気の温度が氷温に維持された庫内に設置する工程と、
前記食材に静電場を印加する工程と、
を含む、食材の保存方法。
(項2)
前記食材は、調湿材で覆われている、項1に記載の食材の保存方法。
(項3)
前記食材は、調湿材と共に包装されている、項1に記載の食材の保存方法。
(項4)
前記食材は、断熱素材を用いて包装されている、項2に記載の食材の保存方法。
(項5)
前記食材は、包装内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を調整する袋を用いてMA(Modified Atmosphere)包装されている、項2または3に記載の食材の保存方法。
(項6)
前記氷温は、0℃以下かつ前記食材が凍結しない温度である、項1から5のいずれか一項に記載の食材の保存方法。
(項7)
前記食材に静電場を印加する工程は、前記庫に設置された導電性電極に所定の高さの電圧を印加することにより、前記導電性電極から発生する所定の高さの前記静電場を前記食材に印加する、項1から6のいずれか一項に記載の食材の保存方法。
(項8)
項1から7のいずれか一項に記載の食材の保存方法による、生栗の保存方法。
本発明によると、風味や食感を可能な限り保ちながら食材を保存する方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る食材の保存方法において食材が包装されている状態を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る食材の保存方法において用いる保存庫の模式的な構成を示す断面図である。 長期保存試験における重量減少率の変化を示すグラフである。 長期保存試験における水分の変化を示すグラフである。 長期保存試験におけるショ糖の変化を示すグラフである。 官能評価に用いたシートの一例である。 長期保存試験における香りの変化を示すグラフである。 長期保存試験における食感の変化を示すグラフである。 長期保存試験における甘味の変化を示すグラフである。 長期保存試験における酸味の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明および図面において、同じ符号は同じまたは類似の構成要素を示すこととし、よって、同じまたは類似の構成要素に関する重複した説明を省略する。
本発明では、食材の呼吸を抑制する包装技術と氷温による保存技術と静電場を印加した保存技術とを適切に組み合わせる。これにより食材の冬眠状態が促進されて、食材の風味や食感を可能な限り保ちながら食材の長期保存が可能となる。
以下において説明する本発明の一実施形態では、保存対象の食材として生栗を一例として説明する。
・食材の冬眠
生栗において食用に供する部分は種子である。生栗を含む果物や野菜等の青果物は収穫後も呼吸をしており、生栗は放置していると種子が萌芽して成長しようとする。生栗が種子として成長するにつれ、生栗そのものが持っている甘さや香り等の風味は失われ商品価値も失われてゆく。本発明では、食材である生栗の商品価値を比較的長期間にわたって維持するために、生栗の呼吸を抑制するように生栗を包装し、包装された生栗を、雰囲気の温度が氷温に維持された保存庫(以下、氷感庫とも呼ぶ)内に設置する。これにより、生栗の呼吸を最小限に抑制して生栗の冬眠状態を促進し、生栗が種子として成長する速度を抑制することが可能となり、生栗の風味を可能な限り保ちながら、出荷時期を調整することができる程の生栗の長期保存が可能となる。
青果物についても生栗と同様である。青果物は収穫後も呼吸等の生命維持活動を続けている。本発明では、青果物の呼吸を抑制するように青果物を包装し、包装された青果物を氷感庫内に設置する。これにより、青果物の呼吸を最小限に抑制して青果物を冬眠状態にすることが可能となり、青果物の風味を可能な限り保ちながら青果物の長期保存が可能となる。
・食材の包装
本発明では、食材の呼吸を抑制するように食材を包装する。これを実現するための例示的な手段として、本実施形態では食材をMA(Modified Atmosphere)包装する。MA包装とは、包装した食材に対して、包装内の雰囲気を食材に適した状態に変更する包装手法である。食材をMA包装すると、食材の呼吸を抑制するように包装内の雰囲気を変更することが可能となる。例示的には、MA包装には、袋内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を調整する鮮度保持袋を用いることができる。
保存対象の食材として、生栗を含む果物や野菜等の青果物を保存する場合には、酸素濃度を低く(例えば約5~10%)し二酸化炭素濃度を高く(例えば約10~15%)すると、これら食材の冬眠状態はさらに促進される。MA包装には、袋内の酸素濃度および二酸化炭素濃度をかように調整する鮮度保持袋を用いることが好ましい。鮮度保持袋としては、例えばベジフレッシュ(登録商標)を用いることができる。
なお、食材を包装する手段はMA包装に限定されない。後述する実施例においても説明するように、食材の呼吸を抑制することができる限り、例えば発泡スチロール等の断熱素材と後述する調湿シートとの組み合わせにより食材を包装することができる。
・氷温
本発明では、食材に静電場を印加し、雰囲気の温度が氷温に維持された保存庫(氷感庫)内に食材を設置して食材を保存する。氷温とは、0℃以下から食材が凍り始める直前までの温度領域であり、氷温は0℃以下かつ食材が凍結しない温度と表現することができる。本発明において、氷温は食材に静電場を印加することにより実現される。食材は水分を含んでいるが、静電場を食材に印加することにより、水の凝固点である0℃以下であっても食材の凍結が妨げられる。
・調湿材
本発明では、食材は、調湿材と共に包装することまたは調湿材で覆われることができる。調湿材とは、雰囲気の湿度を調整する素材または材料である。調湿材を用いて雰囲気の相対湿度を適切な範囲内に調整することにより、青果物の呼吸による雰囲気の湿度変化が抑制され、青果物が成長する速度が抑制され青果物の冬眠状態が促進される。調湿材としては、シート状に加工された市販の調湿シート等を用いることができる。
・食材の保存方法
図1は、本発明の一実施形態に係る食材の保存方法において食材が包装されている状態を模式的に示す図である。
図1の(A)に示すように、本実施形態では、保存対象の食材1である生栗1は、シート状の調湿材3(調湿シート)で覆われて鮮度保持袋2内に包装されている。図示する例では調湿材3は一枚のシートで一つの生栗1を覆っているが、調湿材3は一枚のシートで複数の生栗1を覆ってもよい。(B)に示す態様では、複数の生栗1がシート状の調湿材3で覆われて発泡スチロール箱8に蓋8aをして包装されている。なお、(A)および(B)に示す態様はそれぞれ、後述する実施例における第3の保存条件および第2の保存条件の包装態様にそれぞれ対応する。
調湿材3は、保存対象の食材に応じて、食材1と共に鮮度保持袋2内に包装してもよいし、食材1と共に包装されなくてもよい。鮮度保持袋2の袋口は、例えば袋クリップやゴムバンド等の留め具4を用いて閉じることができる。なお、シート状に加工された調湿シートを調湿材3に用いる場合、図1の(A)および(B)に例示するように、食材1は調湿シートによって覆われていてもよい。調湿材3の使用は、保存対象の食材に応じて任意とすることができる。
図2は、本発明の一実施形態に係る食材の保存方法において用いる保存庫の模式的な構成を示す断面図である。
図2に示すように、保存庫5は密閉された雰囲気を提供する。保存庫5内には、金属製の棚6が絶縁体7によって絶縁された状態で設置されている。複数の食材1(生栗1)を包装する鮮度保持袋2は、保存庫5内の棚6に載置される。棚6には複数の鮮度保持袋2を載置することができる。図中、棚6が囲む領域の紙面表側および裏側は開放されており、鮮度保持袋2は棚6の開放されている部分を通じて棚6に載置される。食材1(生栗1)が発泡スチロール箱8に蓋8aをして包装されている場合には、蓋をされた箱8が棚6に載置される。
金属製の棚6は電圧発生装置9に接続されており、棚6には配線10,11を通じて所定の高さの電圧が印加されている。金属製の棚6は導電性の電極として機能し、食材1には金属製の棚6から発生する所定の高さの静電場が印加される。すなわち本実施形態において、食材1に静電場を印加する工程は、庫内12に設置された棚6に所定の高さの電圧を印加することにより、棚6から発生する所定の高さの静電場を食材1に印加することを含む。
保存庫5の庫内12と外壁13との間には断熱材14が設けられており、保存庫5の庫内12は冷却装置15により氷温が維持されている。庫内12に面する側の断熱材14の表面は、絶縁されていることが望ましい。
食材1が生栗1の場合、例示的には、電圧発生装置9が棚6に印加する電圧の値は約3500ボルトであり、冷却装置15により維持される保存庫5内の温度は約-1℃である。
以上、本発明によると、風味や食感を可能な限り保ちながら食材を保存する方法を提供することができる。
本発明では、食材の呼吸を抑制する包装技術と氷温による保存技術と静電場を印加した保存技術とを適切に組み合わせる。これにより食材の冬眠状態が促進されて、食材の風味や食感を可能な限り保ちながら食材の長期保存が可能となる。
本発明の一実施形態において保存対象の食材として例示する生栗は、水分量が多いため常温で保存すると直ぐにカビが発生する。このことから、生栗の適正な保存温度はマイナス2℃程度であると言われている。しかしながら、実際にマイナス2℃で生栗を保存すると生栗は凍結してしまう。一度凍結した生栗を解凍すると、破壊された細胞壁から水分と共に生栗の旨味が流れ出してしまい風味が劣化する。生栗を冷凍すると、生栗に含まれる水分の体積が膨張すると共に生栗の細胞壁が劣化するからである。
ところが、凍結による風味の劣化を嫌って0℃以上の温度で生栗を保存すると、今度はクリシギゾウムシの卵が孵化してしまう。例えば和菓子や洋菓子など生栗の用途が限定されているのであれば、例えば生栗を糖漬にすることにより、カビを発生させず、かつクリシギゾウムシの卵を孵化させずに保存することはできる。しかしながら、例えば栗おこわを代表とする栗料理には、栗そのものの甘さや香り等の風味が重要であるため、糖漬けにした生栗は栗料理には使用できない。
本発明によると、氷温による保存技術と静電場を印加した保存技術により、生栗は凍結することなく保存されて生栗の細胞壁の劣化が抑えられ、生栗の呼吸を抑制する包装技術により、生栗の冬眠状態が促進される。このように、本発明によると、生栗の呼吸を抑制する包装技術と氷温による保存技術と静電場を印加した保存技術とを適切に組み合わせることにより、風味や食感を可能な限り保ちながら生栗を保存することができる。
本発明の方法により保存される生栗は、出荷時期を晩秋から春先まで調整することが可能となり、例えば栗おこわを代表とする栗料理を、栗の風味や食感を可能な限り保ちながら春先に提供することが可能となる。風味や食感を保ったまま生栗の出荷時期のピークを調整することが可能となるので、生産農家の収入も安定化する。
また一般に、収穫した生栗の多くにはクリシギゾウムシの卵が入っており、卵が孵化すると生栗は成虫に食べられてしまう。生栗を流通および保存するうえでこのような虫害は古くから問題となっており、従来から燻蒸処理によりクリシギゾウムシの卵を防除することが行われている。一方で、燻蒸処理に用いる臭化メチルはオゾン層破壊の原因となる化学物質の一つとして挙げられており、近年では環境保護の観点からその使用が厳しく制限されている。
本発明によると、雰囲気の温度が氷温に維持された庫内で生栗を保存することにより、クリシギゾウムシの卵や幼虫を防除して、生栗を長期保存することができる。
以上、本発明を特定の実施形態によって説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
上記した実施形態では保存対象の食材を生栗としているが、本発明において保存対象とする食材は生栗に限定されない。包装により呼吸を抑制して冬眠状態を促進することができる限り、生栗に限らず、果物や野菜等の青果物を保存対象の食材とすることができる。また、包装により呼吸を抑制して冬眠状態を促進することができる限り、青果物以外の他の食材も保存対象の食材とすることができる。包装により呼吸が抑制されて冬眠状態が促進される青果物以外の他の食材の例としては、例えば玄米や大麦といった種子のままの穀物が挙げられる。
2020年10月21日から2021年6月28日にかけて生栗の長期保存試験を行った。試験には京都府京丹波産の生栗を用いた。長期保存試験の期間中に実施する成分分析および官能評価の結果に与える影響を最小限にするために、長期保存試験に用いる生栗は事前に選別を行った。鬼皮の表面に窪みがある個体、鬼皮と種子(可食部)との間に空洞がある個体、鬼皮の表面がしおれた感じに見える個体、鬼皮の表面が変色している個体などは、保存試験から事前に排除した。
保存試験は、氷感庫内を3つの試験区に区分けし、それぞれの試験区について、15個の生栗を1セットとして11セット(165個)の生栗を準備して行った。氷感庫の設定は、庫内温度を-1℃とし、印加する電圧値を3500Vとした。氷感庫内のそれぞれの試験区では、以下に示す3種類の保存条件で生栗を保存した。鮮度保持袋には、製品名「ベジフレッシュ チャック付M」(型番:IW-G120L-4)で(株)ホリックスが製造している市販の鮮度保持袋を用いた。調湿材には、製品名「フレッシュマスター鮮度保持吸水シート」(JANコード:4903111800162)でユニ・チャーム(株)が製造している市販の吸水シートを用いた。
・第1の保存条件(比較例1) 氷感庫のみ
氷感庫内の棚に生栗をそのまま載置して保管した。
・第2の保存条件(実施例1) 氷感庫+調湿シート+発泡スチロール
箱状の発泡スチロールの容器の底に調湿シートを敷き、その上に生栗を平らに並べ、並べた生栗の上方を調湿シートで覆い、容器の開口部を発泡スチロールで蓋をして、容器を氷感庫内の棚に載置して保管した。
・第3の保存条件(実施例2) 氷感庫+調湿シート+鮮度保持袋
生栗を調湿シートで覆い、調湿シートで覆われた生栗を鮮度保持袋で包装し、鮮度保持袋を氷感庫内の棚に載置して保管した。
これら3種類の保存条件で生栗の長期保存を開始した後、2週経過後、4週経過後、8週経過後、・・・36週経過後と所定の分析タイミングが到来する度に、それぞれの試験区から生栗を1セットずつ取り出して、成分分析および官能評価を行った。分析および評価の基準として、成分分析および官能評価は長期保存開始時(0週目)にも行った。
[成分分析]
長期保存した生栗の成分分析を行って、保存条件の違いにより生栗の成分に差が生じることを確認した。分析する項目は、重量、水分、およびショ糖とした。重量は、それぞれの試験区において同一の5個の個体で確認をした。水分量およびショ糖は、それぞれの分析タイミングにおいて各回10個の個体を抽出して、それら個体の平均値を算出した。水分の分析は、食品成分を測定する際の基準となる試験方法を用いて行った。
ショ糖の分析は以下の工程に示す方法で行った。
工程1)鬼皮と渋皮をむき、生栗をフードプロセッサーで均質化する。
工程2)分析用のガラス管に均質化した生栗を2gとり、80%のアルコール液30mLを加えてホモジナイズする。
工程3)超音波洗浄機に10~30分かけて超音波処理を行う。
工程4)工程3の処理物を遠心分離し上澄み液を取り出す。
工程5)工程4で遠心分離した際の沈殿物にアルコールを再度30mL加えて、工程3および工程4を2回繰り返す。
工程6)ショ糖標準液と、集めた上澄み液とを液体クロマトグラフィーにかける。
工程7)標準液の検量線を作成し、ショ糖含量を算出する。
成分分析の結果を表1~表3および図3~図5に示す。
Figure 0007123446000002
Figure 0007123446000003
Figure 0007123446000004
成分分析の結果について検討する。
・重量
比較例1では、最終的に約50%の重量となった。比較例1では、2ヶ月経過後の段階で重量は既に約64%(減少率約36%)となり、比較的早い段階で重量が減少していた。これに対し、実施例1において重量が約65%(減少率約34.5%)となるのは9ヶ月経過後の段階であり、実施例1における保存条件は、重量の減少率に関して、比較例1における保存条件よりも約7ヶ月分の期間延長の効果があることが確認された。さらに実施例2では、9ヶ月経過後の段階においても重量は約96%(減少率約3.5%)であり、保存開始時の重量がほぼ保たれていた。
・水分
比較例1では、水分は2ヶ月経過後の段階で約69%(43.27g/62.21g)、3ヶ月経過後の段階で約53%(33.41g/62.21g)となり、重量と同様に比較的早い段階で水分が減少していた。比較例1では、水分は保存期間が延びるにつれて減少していた。比較例1については、3ヶ月経過後の分析を最後とし以降の水分の分析は取り止めた。これに対し、実施例1および実施例2のどちらも、9ヶ月経過後の段階においても水分は約94%(58.74g/62.21g)よりも多く保たれており、保存開始時の水分はほぼ保たれていた。
また、生栗に包丁を入れて生栗を半分に分割し、鬼皮、渋皮および種子の状態を目視で確認した。
比較例1では、2週経過後の段階において空洞がある個体が散見された。以降、比較例1については、保存期間が長くなるにつれて、空洞がある個体や渋皮が乾燥している個体の数が増加した。これに対し、実施例1および実施例2のどちらも、9ヶ月経過後の段階においても種子の切断面はしっとりとしており水分は保たれていた。
・ショ糖
2週経過後の段階では、比較例1、実施例1および実施例2のいずれについてもショ糖の量は約7g~約8g前後であり、保存条件の違いよる差異は見受けられなかった。しかしながら、1ヶ月経過後以降のショ糖の量については、比較例1における保存条件と、実施例1および実施例2における保存条件との間に差異が見受けられた。
実施例1および実施例2では、1ヶ月経過後以降のショ糖の量は約7g~約9g前後であり、分析されるショ糖の量はほぼ変化が無かった。これに対し比較例1では、1ヶ月経過後の段階で約11.5g、2ヶ月経過後の段階で約14.9g、3ヶ月経過後の段階で約21.9gとなり、ショ糖の量は保存期間が延びるにつれて増加した。比較例1については、3ヶ月経過後の分析を最後とし以降のショ糖の分析は取り止めた。
比較例1について、保存期間が延びるにつれてショ糖の量が増加する点について考察した。比較例1では、水分は保存期間が延びるにつれて減少し、ショ糖の量も保存期間が延びるにつれて増加した。また比較例1では、2ヶ月経過後の段階で、多くの個体について可食部に空洞が見受けられた。これらのことから、比較例1における保存条件では生栗は冬眠せずに熟成されており、その結果として、バナナにおける熟成加工のように、生栗においてもショ糖の量が増加し、熟成が進行していると考えられた。
以上の成分分析の結果に関する考察から、比較例1の保存条件を適用した生栗については、3ヶ月(12週)経過後以降は商品として市場に出荷して流通することは適切ではないと考えられた。これに対し、実施例1または実施例2の保存条件を適用した生栗については、9ヶ月経過後以降も水分の量やショ糖の量は保存開始時のレベルが概ね保たれていることが確認された。特に実施例2については、実施例1と比較しても重量の減少が極めて少なく、保存開始時の重量がほぼ保たれていた。
これにより、実施例1または実施例2の保存条件を適用した生栗については、少なくとも9ヶ月が経過するまでは、風味や食感が保たれた生栗として市場に出荷して流通することが可能であることが確認された。
[官能評価]
成分分析だけではなく官能評価においても、保存条件の違いにより生栗の鮮度や熟成度に差が生じることを確認した。風味や食感に関する評価項目として、官能評価における評価項目は、香り(香ばしさ)、食感(しっとり感)、味(甘みの強さ)、酸味(酸味の有無)とした。官能評価に用いたシートの一例を図6に示す。図6に示す評価シートを用いて以下の方法で官能評価を行った。
・評価者
評価者は、普段から生栗の保存や加工、味の評価に従事しており、上記した評価項目の細かな差異を識別することができる者として、発明者が所属する栗の保存方法に関する研究グループから5名を選択した。
・評価の点数
それぞれの評価項目について、最低1点から最高7点までの7段階とし、評価者5名の平均値を評価点とした。
・評価対象とする試料の提示方法
試料につけられた記号や試料の提出順序や配置など試料を準備する際の条件や、評価時の周りの環境などの外部環境による評価の差が生じないよう、下記の点に注意した。
・試料の識別には適当につけた3桁のランダムな数字を使用した。
・使用する容器は、白の無地であり盛り付けにちょうど良い大きさのものを選択した。
・試料は加熱後1時間冷ましてから評価を行った。
・気候の変化や精神的変化、環境の変化などによる評価の差を無くすため、一定の照明、温湿度の環境下で、防音および換気ができている環境下で行った。
・試料の準備
以下の工程に示す方法で行った。
工程1)栗15個に対して2Lの水を用意する。ビルトインの200VのIHにて直径24cmの寸胴鍋を使用する。
工程2)栗の平らな面の鬼皮に、縦に包丁で切れ目を入れる。
工程3)水から生栗を入れ強火で沸騰させる。
工程4)沸騰したら弱火にし1時間加熱する。
工程5)1時間放置して粗熱をとり、官能評価を行う。
官能評価の結果を表4~表7および図7~図10に示す。
Figure 0007123446000005
Figure 0007123446000006
Figure 0007123446000007
Figure 0007123446000008
官能評価の結果について検討する。
・香り(香ばしさ)
保存期間が延びるにつれて、比較例1では香ばしさが明らかに低下したと感じられた。これに対し実施例1および実施例2のどちらも、香ばしさの低下は感じられなかった。
・食感(しっとり感)
保存期間が延びるにつれて、比較例1ではしっとり感が明らかに低下したと感じられた。これに対し実施例1および実施例2のどちらも、しっとり感の低下は感じられなかった。
・味(甘味の強さ)
比較例1、実施例1および実施例2のいずれについても、甘味の強さに関して保存条件の違いよる差異は感じられなかった。
・酸味(酸味の有無)
実施例1および実施例2のどちらも、酸味は感じられなかった。これに対し比較例1については、保存期間が延びるにつれて酸味が強く感じられた。3ヶ月(12週)経過後の段階では7点満点中3.4点の点数であったものの、5ヶ月(20週)経過後の段階では6.5点となり、評価者のほぼ全員が非常に酸味を感じていた。比較例1の個体については5ヶ月経過後の段階で腐敗が進行していると考えられた。
以上の官能評価の結果に関する考察から、比較例1の保存条件を適用した生栗については、3ヶ月(12週)経過後以降は商品として市場に出荷して流通することは適切ではないと考えられた。これに対し、実施例1または実施例2の保存条件を適用した生栗については、9ヶ月経過後以降も、香り(香ばしさ)、食感(しっとり感)、味(甘みの強さ)、酸味(酸味の有無)は保存開始時のレベルが概ね保たれており、風味や食感が可能な限り保たれていることが確認された。
これにより、実施例1または実施例2の保存条件を適用した生栗については、少なくとも9ヶ月が経過するまでは、風味や食感が保たれた生栗として市場に出荷して流通することが可能であることが確認された。
1 食材(生栗)
2 鮮度保持袋
3 調湿材
4 留め具
5 保存庫(氷感庫)
6 金属製の棚
7 絶縁体
8 発泡スチロール箱(断熱素材の箱)
9 電圧発生装置
10,11 配線
12 庫内
13 外壁
14 断熱材
15 冷却装置

Claims (4)

  1. 包装内の酸素濃度および二酸化炭素濃度を調整する袋を用いて呼吸を抑制するようにMA(Modified Atmosphere)包装された、調湿材で覆われている青果物を、雰囲気の温度が0℃以下かつ前記青果物が凍結しない温度に維持された庫内に設置する工程と、
    前記青果物に静電場を印加する工程と、
    を含む、青果物の保存方法。
  2. 調湿材で覆われて、温度変化を抑制する発泡スチロール製の断熱素材の密閉容器を用いて呼吸を抑制するように包装された青果物を、雰囲気の温度が0℃以下かつ前記青果物が凍結しない温度に維持された庫内に設置する工程と、
    前記青果物に静電場を印加する工程と、
    を含む、青果物の保存方法。
  3. 前記青果物に静電場を印加する工程は、前記庫に設置された導電性電極に所定の高さの電圧を印加することにより、前記導電性電極から発生する所定の高さの前記静電場を前記青果物に印加する、請求項1または2に記載の青果物の保存方法。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の青果物の保存方法による、生栗の保存方法。
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