JP6094049B2 - 充填材含有ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形品に関するものである。より詳細には、金属接触下の耐久性に優れるポリプロピレン樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形品に関するものである。
充填剤を含有するポリプロピレン樹脂組成物は、剛性及び衝撃強度などの機械的強度に優れるため、自動車用材料や家電用材料などに用いられている。ポリプロピレン樹脂組成物は、金属と直接接触する用途に使用されることがあるため、ポリプロピレン樹脂組成物の金属接触環境下における耐久性を改良する検討が行われてきた。例えば、特許文献1には、プロピレン重合体と、変性ポリオレフィンと、ガラス繊維と、無機フィラーと、金属不活性化剤とを含有する無機フィラー強化樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、ポリオレフィン樹脂と、繊維と、重金属不活性化剤とを含有する長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物が記載されている。特許文献3には、ポリオレフィン樹脂と、カーボンブラックと、安定剤とを含有するポリオレフィン樹脂組成物が記載されている。
特開平8−199015号公報 特開2004−211051号公報 特開2006−83328号公報
しかしながら、上記の文献に記載されたポリプロピレン樹脂組成物は、金属接触環境下における耐久性のさらなる改良が求められていた。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、機械的強度および耐熱性を損ねることなく、金属接触環境下における耐久性が向上した繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物およびその樹脂組成物から得られる成形品を提供することにある。
本発明の第1は、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填剤と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを含有し、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量を100重量部として、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計が40〜95重量部であり、
充填剤の含有量が5〜60重量部であり、
アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0.001〜1重量部であり、
重金属不活性化剤の含有量が0.001〜1重量部であり、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計100重量%に対する変性ポリオレフィン樹脂の含有量が0.1〜40重量%である
充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物に係るものである。
本発明の第2は、上記の充填材含有ポリプロピレン樹脂組成物からなる成形品に係るものである。
本発明の第3は、上記の成形品を用いた自動車エンジンルーム内部品に係るものである。
本発明によれば、金属接触下の耐久性に優れるポリプロピレン樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形品を得ることができる。
[ポリプロピレン樹脂]
本発明で用いたポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体が挙げられる。プロピレンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体、およびプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとのランダム共重合体が挙げられる。プロピレンブロック共重合体は、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られる共重合体である。これらの重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂は、剛性、耐熱性の観点から好ましくは、プロピレンに由来する単量体単位の含有量が99重量%以上であるプロピレン重合体である(プロピレン重合体の重量を100重量%とする)。当該プロピレン重合体として、プロピレン単独重合体、エチレンに由来する単量体単位の含有量が1重量%以下であるプロピレン−エチレンランダム共重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体全体の重量を100重量%とする)、炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量が1重量%以下であるプロピレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(共重合体全体の重量を100重量%とする)、エチレンに由来する単量体単位と炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量の合計が1重量%以下であるプロピレンとエチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体(共重合体全体の重量を100重量%とする)が挙げられる。
前記プロピレン重合体におけるプロピレンに由来する単量体単位の含有量は、より好ましくは99.4重量%以上であり、さらに好ましくは99.7重量%以上である。
ポリプロピレン樹脂に含まれるエチレンに由来する単量体単位及び炭素数4以上のα−オレフィンに由来する単量体単位の含有量は、“新版 高分子分析ハンドブック”(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店(1995))に記載されているIR法またはNMR法を用いて測定することができる。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂の製造方法としては、溶液重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法が挙げられる。また、これらの重合法を単独で用いる方法であっても良く、少なくとも2種を組み合わせた方法であっても良い。
そして、ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、例えば、“新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994年発行))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている重合法が挙げられる。
ポリピロピレン樹脂の製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。マルチサイト触媒として、好ましくは、チタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、シングルサイト触媒として、好ましくは、メタロセン錯体が挙げられる。
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂のASTM D 1238に準拠して230℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトマスフローレイト(以下、MFRとも称する)は、成形性及び耐久性の観点から、好ましくは3〜300g/10分であり、より好ましくは、5〜150g/10分であり、さらに好ましくは10〜50g/10分である。
[変性ポリオレフィン樹脂]
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂は、
(1)本発明で用いられるポリプロピレン樹脂とは異なるオレフィンの単独重合体、少なくとも2種のオレフィンの共重合体、または、オレフィンを単独重合した後に少なくとも2種のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフト重合したもの、または、
(2)少なくとも1種のオレフィンと、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を共重合したもの
である。
変性ポリオレフィン樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド等の不飽和カルボン酸アミド;マレイミド、N−ブチルマレイミド等の不飽和カルボン酸イミド;メタクリル酸ナトリウム等の不飽和カルボン酸金属塩が挙げられる。

また、クエン酸やリンゴ酸のように、ポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。
不飽和カルボン酸および/またはその誘導体として、好ましくは無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルである。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、
(1)エチレンおよびプロピレンから選択される1以上のオレフィンに由来する単量体単位を70重量%以上、好ましくは80重量%以上含有するポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸をグラフト重合することによって得られる変性ポリオレフィン樹脂、
(2)エチレンおよびプロピレンから選択される1以上のオレフィンと、メタクリル酸グリシジルエステルまたは無水マレイン酸とを共重合することによって得られる変性ポリオレフィン樹脂
である。
また、本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、衝撃強度、疲労特性、剛性等の機械的強度の観点から、ポリマーの構成単位として、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に由来する単位を0.1〜10重量%含有する変性ポリオレフィン樹脂である(ただし、変性ポリオレフィン樹脂の全量を100重量%とする)。さらに、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を用いて、ランダム共重合あるいはブロック共重合によって得られる変性ポリオレフィン樹脂の場合には、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に由来する単位の含有量は3〜10重量%が好ましく、グラフト重合によって得られる変性ポリオレフィン樹脂の場合には、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体に由来する単位の含有量は0.1〜10重量%が好ましい。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂のASTM D 1238に準拠して230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRは、好ましくは3〜500g/10分であり、より好ましくは、5〜200g/10分であり、さらに好ましくは10〜100g/10分である。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン樹脂の製造方法としては、例えば、“実用ポリマーアロイ設計”(井出文雄著、工業調査会(1996))、Prog. Polym. Sci.,24,81−142(1999)、特開2002−308947号公報等に例示されている方法を用いることができ、溶液法、バルク法、溶融混練法のいずれの方法を用いてもよい。また、これらの方法を組み合わせて製造してもよい。
[充填剤]
本発明で用いられる充填材は、ポリプロピレン樹脂を強化できるものであり、例えば、繊維、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、シリカ、ウォルスナイト、カオリン、ペントナイト、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、砂、珪藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック、硫化モリブテン、磁石粉、硫化カドミウム、ウィスカー、木粉、竹紛、メラミンパウダー等が挙げられる。充填材は、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
充填材として、補強効果の観点から特に好ましくは、繊維である。繊維としては、無機繊維、有機繊維が挙げられる。無機繊維としては、例えばガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維(銅繊維またはステンレス繊維など)が例示でき、有機繊維としては、例えばケナフ繊維、竹繊維、ジュート繊維等の天然繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ラミー繊維、セルロース繊維などが例示できる。これらの中でも、好ましくは無機繊維であり、より好ましくはガラス繊維である。
繊維を収束するためには収束剤を用いてもよく、収束剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、澱粉、植物油等が挙げられる。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂、表面処理剤、パラフィンワックス等の潤滑剤を配合してもよい。
繊維とポリプロピレン樹脂との濡れ性や接着性等を良好にするために、繊維を表面処理剤で予め処理してもよい。この表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられる。これらの中で好ましくは、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤であり、特に好ましくはシラン系カップリング剤である。
前記のシラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中で好ましくは、アミノシラン類であり、より好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
繊維を、前記の表面処理剤で処理する方法としては、例えば、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等が挙げられる。
[アルカリ土類金属の水酸化物]
本発明に用いられるアルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムが挙げられる。好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムであり、より好ましくは水酸化カルシウムである。これらのアルカリ土類金属の水酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ土類金属の水酸化物の形状は、分散性に優れる粒子状のものが好ましく用いられる。その平均粒子径は、成形品の外観の観点から、好ましくは0.01〜10μmであり、より好ましくは0.1〜5μmであり、さらに好ましくは0.1〜3μmである。平均粒子径は、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置を用いることによって、測定することができる。
[重金属不活性化剤]
本発明で用いる重金属不活性化剤は、金属イオンをキレート化する機能を有し、高分子材料が金属と接触する環境下で、金属による高分子材料の熱酸化劣化が進行するのを防止する作用を持つ化合物であり、ベンゾトリアゾール誘導体、−CO−NH−で表される基を1つ以上有する化合物類(例えば、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体、ヒドロキシ安息香酸アニリド誘導体)、硫黄含有ホスファイト類等が挙げられる。
中でも、好ましくは、ベンゾトリアゾール、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッド、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッドのアルカリ金属塩(Li,Na,K)塩、N,N’−ジサリチリデン−エチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−1,2−プロピレンジアミン、N,N’’−ジサリチリデン−N’−メチル−ジプロピレントリアミン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N’−サリチロイルヒドラジド)、ニッケル−ビス(1−フェニル−3−メチル−4−デカノイル−5−ピラゾレート)、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、5−t−ブチル−2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N−ジエチル−N’,N’−ジフェニルオキサミド、N,N’−ジエチル−N,N’−ジフェニルオキサミド、オキサリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、チオジプロピオニックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、イソフタリックアシッド−ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、ビス(サリシロイルヒドラジン)、N−サリシリデン−N’−サリシロイルヒドラゾン、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、
トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル)フェニル−5−メチル]−フェニルホスファイト、ビス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,6−ヘキサメチレン−ビス(N−ヒドロキシエチル−N−メチルセミカルバジド)−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−サリシロイルヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド−ジフォスファイト、2,2’−オキサミドビス[エチル3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを例示できる。
特に好ましくは、−CO−NH−で表される基を1つ以上有する化合物類、硫黄含有ホスファイト類から選択される少なくとも1種の化合物であり、さらに好ましくは、下記、化合物1〜6に示されるものであり、特に好ましくは化合物1と化合物4である。これらの重金属不活性化剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(化合物1)3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
(化合物2)デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N’−サリチロイルヒドラジド)
(化合物3)オキサリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)
(化合物4)2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド
(化合物5)2,2’−オキサミドビス[エチル3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(化合物6)トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル)フェニル−5−メチル]−フェニルホスファイト
重金属不活性化剤としては、市販品を用いることもできる。具体的には、上記(化合物1)として、旭電化工業(株)製アデカスタブCDA−1、同社製アデカスタブCDA−1Mを、上記(化合物2)として、旭電化工業(株)製アデカスタブCDA−6を、上記(化合物3)として、イーストマン社製インヒビターOABHを、上記(化合物4)として、BASF社製イルガノックスMD1024を、上記(化合物5)として、白石カルシウム(株)製ナウガードXL−1を、上記(化合物6)として、クラリアントジャパン(株)製ホスタノックスOSP−1を挙げることができる。
[その他の成分]
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物は、好ましくは、中和剤として、カルボン酸の金属塩を含有する。カルボン酸の金属塩としては、高級脂肪酸の金属塩、安息香酸の金属塩、多価カルボン酸の金属塩などが挙げられる。中でも高級脂肪酸の金属塩が好ましい。高級脂肪酸としては、例えば、炭素原子数が10〜30個の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは、炭素原子数が12〜18個のものである。金属塩としては、例えば、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、リチウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が好ましく、さらに好ましくはカルシウム塩である。カルボン酸の金属塩として、好ましくは、高級脂肪酸のカルシウム塩であり、より好ましくはステアリン酸のカルシウム塩である。これらのカルボン酸の金属塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物は、目的に応じて、一般にプロピレン重合体に添加される公知の物質、例えば、安定剤、気泡防止剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、着色剤、可塑剤、造核剤や結晶化促進剤等を含有してもよい。安定剤としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。アンチブロッキング剤としては、シリカ等が挙げられる。着色剤としては、染料、顔料等が挙げられる。
[充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物]
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物は、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量を100重量部として、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計が40〜95重量部であり、
充填剤の含有量が5〜60重量部であり、
アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0.001〜1重量部であり、
重金属不活性化剤の含有量が0.001〜1重量部であり、
ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計100重量%に対する変性ポリオレフィン樹脂の含有量が0.1〜40重量%である。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物におけるポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計は、ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量を100重量部として、40〜95重量部であり、成形性と機械的強度の観点から、好ましくは50〜90重量部であり、より好ましくは55〜80重量部である。ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計が40重量%より少ないと、成形性が低下することがあり、95重量%より多いと、機械的強度が低下することがある。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物における充填剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量を100重量部として、5〜60重量部あり、好ましくは、5〜40重量部であり、より好ましくは、10〜30重量部である。充填材の含有量が、5重量部よりも少量の場合、疲労強度が低下することがある。また、60重量部よりも多い場合は、成形加工性が低下することがある。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物におけるアルカリ土類金属の水酸化物の含有量は、ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量100重量部に対して、0.001〜1重量部であり、金属接触環境下における耐久性と疲労強度との観点から、好ましくは0.001〜0.5重量部であり、より好ましくは0.001〜0.1重量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.05重量部であり、最も好ましくは0.007〜0.02重量部である。アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が、0.001重量部よりも少量の場合、金属接触環境下における耐久性向上が不十分なことがある。また、1重量部よりも多い場合は、疲労強度が低下することがある。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物における重金属不活性化剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量100重量部に対して、0.001〜1重量部であり、金属接触環境下における耐久性の観点から好ましくは0.003〜1重量部であり、より好ましくは0.002〜0.7重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.5重量部である。重金属不活性化剤の含有量が、0.001重量部よりも少量の場合、金属接触環境下における耐久性向上が不十分なことがある。また、1重量部よりも多い場合は、製品の色調に不良が発生することがある。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物におけるポリプロピレン樹脂と変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計100重量%に対する変性ポリオレフィン樹脂の含有量は0.1〜40重量%であり、疲労強度と金属接触下の耐久性の観点から、好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.2〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。変性ポリオレフィン樹脂の含有量が、0.1重量%よりも少ない場合、疲労強度が低下することがある。また、20重量%よりも多い場合は、金属接触下の耐久性が低下することがある。
本発明における充填材含有ポリプロピレン樹脂組成物を製造する方法としては、公知の各種方法を用いることができる。ポリプロピレン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、充填材、アルカリ土類金属の水酸化物および重金属不活性化剤、必要に応じて上記各種添加剤を任意の順序で、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等により混合して均一な混合物とした後、該混合物を溶融混練する方法やプルトルージョン法を挙げることができる。
溶融混練の手段としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、単軸または二軸の押出機等の従来公知の溶融混練手段を用いることができる。
フィード方法は、材料を一括で投入する方法、材料の一部をサイドフィードする方法、予備混練物をフィードする方法が挙げられ、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂と変性ポリオレフィン樹脂とを予め溶融混練して、そののちに充填材を追加して溶融混練する方法である。
具体的には、
(1)ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを予め単軸または二軸の押出機で溶融混練して冷却固化しカットしてペレットを得、その後、当該ペレットと追加の充填材とをブレンドして単軸または二軸の押出機に一括で供給して溶融混練する方法、
(2)ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを予め単軸または二軸の押出機で溶融混練して冷却固化しカットしてペレットを得、その後、複数のフィード口を有する押出機を用い、当該押出機に、上流側のフィード口から前記ペレットを供給し、下流側のフィード口から追加の充填材を供給して溶融混練する方法、
(3)ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを予め単軸または二軸の押出機で溶融混練して冷却固化しカットしてペレットを得、その後、複数のフィード口を有する押出機を用い、当該押出機に、上流側のフィード口から前記ペレットを供給し、下流側のフィード口から充填材を供給して溶融混練する方法、
(4)ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを予め単軸または二軸の押出機で溶融混練して冷却固化しカットしてペレットを得、その後、複数のフィード口を有する押出機を用い、上流側のフィード口から前記ペレットを前記の複数のフィード口を有する押出機に供給し、さらに、追加のポリプロピレン樹脂および/または変性ポリオレフィン樹脂と追加の充填材とを予めブレンドして任意のフィード口から前記の複数のフィード口を有する押出機に一括で供給して溶融混練する方法、
(5)ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを予め単軸または二軸の押出機で溶融混練して冷却固化し、カットしてペレットを得、その後、複数のフィード口を有する押出機を用い、上流側のフィード口から前記ペレットを前記の複数のフィード口を有する押出機に供給し、さらに、任意のフィード口から、追加のポリプロピレン樹脂および/または変性ポリオレフィン樹脂と追加の充填材とを個別に前記の複数のフィード口を有する押出機に供給して溶融混練する方法、
(6)複数のフィード口を有する押出機を用い、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを上流側のフィード口から前記押出機に供給し、追加の充填材を下流側のフィード口から前記押出機に供給して溶融混練する方法、
(7)複数のフィード口を有する押出機を用い、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを上流側のフィード口から前記押出機に供給し、さらに、追加のポリプロピレン樹脂および/または変性ポリオレフィン樹脂と、追加の充填材とを予めブレンドして任意のフィード口から前記押出機に一括で供給して溶融混練する方法、
(8)複数のフィード口を有する押出機を用い、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、充填材と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを上流側のフィード口から前記押出機に供給し、さらに、任意のフィード口から、追加のポリプロピレン樹脂および/または変性ポリオレフィン樹脂と、追加の充填材とを個別に前記押出機に供給して溶融混練する方法、
(9)複数のフィード口を有する押出機を用い、ポリプロピレン樹脂と、変性ポリオレフィン樹脂と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを上流側のフィード口から前記押出機に供給し、充填材を下流側のフィード口から前記押出機に供給して溶融混練する方法を挙げることができる。
混練温度は、好ましくは150〜300℃であり、さらに好ましくは160〜280℃である。また、溶融混練時にダイス直前で減圧脱気することが好ましい。
プルトルージョン法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸するものであり、樹脂のエマルジョン、サスペンジョンまたは溶液を入れた含浸液の中に繊維束を通し含浸する方法、樹脂の粉末を繊維束に吹き付けるか粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂を付着させたのち樹脂を溶融して含浸する方法、クロスヘッドの中を繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法等が知られているが、本発明においてはかかる公知の方法がいずれも利用できる。
連続繊維に樹脂を含浸させる温度は、好ましくは150〜300℃であり、さらに好ましくは180〜280℃であり、より好ましくは、200〜250℃である。
また、上記のプルトルージョン法において、樹脂の含浸操作は1段で行なっても良く、2段以上に分けて行っても良い。また、プルトルージョン法によって製造されたペレットと溶融混練法によって製造されたペレットをブレンドしても良い。
[成形品]
本発明の成形品は、本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物からなる成形品である。成形品の形状、大きさは、目的に応じて適宜決めればよい。
本発明の成形品は、射出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、押出成形法等の公知の方法により、本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物を成形することにより得られる。
本発明の成形品は、好ましくは本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物を射出成形法により成形することにより得られる成形品である。
射出成形法としては、通常の射出成形法の他に、射出発泡成形法、超臨界射出発泡成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト射出成形法、サンドイッチ成形法、フイルムインサート成形法等を挙げることもできる。
[本発明の用途]
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物および成形品は、機械的強度、耐久性および良好な外観が必要とされるフェンダー、オーバーフェンダー、グリルガード、カウルルーバー、ホイールキャップ、サイドプロテクター、サイドモール、サイドロアスカート、フロントグリル、サイドステップ、ルーフレール、リアスポイラー、バンパー等の外装部品や、耐熱剛性の要求されるインパネロア、トリム等の内装部品や、バンパービーム、クーリングファン、ファンシュラウド、ランプハウジング、カーヒーターケース、ヒューズボックス、エアクリーナーケース、フロントエンドモジュール等のエンジンルーム内部品等の自動車用プラスチック部品に使用することができる。
また、電動工具、カメラ、ビデオカメラ、電子レンジ、電気釜、ポット、掃除機、パーソナルコンピューター、複写機、プリンター、FDD、CRTの機械ハウジング等の各種電気製品の部品、ポンプケーシング等の各種機械の部品、タンク、パイプ、建築用型枠等の構造物等の部品にも使用することができる。
金属接触下の耐久性に優れる本発明の成形品は、特にバンパービーム、クーリングファン、ファンシュラウド、ランプハウジング、カーヒーターケース、ヒューズボックス、エアクリーナーケース、フロントエンドモジュール等の自動車エンジンルーム内部品として好適である。
以下、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
実施例または比較例で用いた評価用サンプルの製造方法を以下に示した。
(1)ペレットの製造方法
温度コントロール可能なシリンダーバレル11個からなり、最上流側に第一原料フィード口と下流側のC5バレルに第二原料フィード口、C8バレルに第三原料フィード口を有し、且つ各原料投入口の下流側にニーディングディスクで構成される混練部を有する東芝機械製TEM50Aを用い、ガラス繊維以外の原料を第一原料フィード口から、ガラス繊維を第三原料フィード口から投入し、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練を行った。
(2)評価用サンプルの製造方法
評価用サンプルは下記条件で成形した。評価用サンプルの射出成形は、住友重機械工業社製サイキャップ S110/50成形機を使用した。
シリンダー温度:240℃
金型温度:50℃
実施例および比較例における評価方法を以下に示した。
(1)比重(単位:−)
ASTM D792に従って、23℃で測定した。
(2)メルトマスフローレイト(MFR、単位:g/10min.)
ASTM D1238に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :230℃
荷重 :2.16kg
(3)曲げ強度および曲げ弾性率(単位:MPa)
ASTM D790に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm
スパン :100mm
変形速度 :2mm/分
(4)IZOD衝撃強度(単位:KJ/m2
ASTM D256に従って、下記条件で測定した。
測定温度 :23℃
サンプル厚み:6.4mm[Vノッチあり]
(5)老化時間(銅板接触下)(単位:h)
射出成形法で作製した耐熱老化性試験用サンプル(厚み:1mm)を直径25mmの円形状に打ち抜いて試験片とし、該試験片を直径15mmの円形状銅板(厚さ:1mm)2枚で両側から挟み、固定することによって銅板と試験片とを接触させ、160℃のギヤーオーブン中に入れ、銅板接触下での耐熱老化性試験を実施した。老化時間(単位:時間)は、試験片の円形状銅板接触部周辺が変色劣化し始める時間とした。上記方法で得られた老化時間の大小を、耐熱老化性試験用サンプルの原料である充填材含有ポリプロピレン樹脂組成物成形体の耐久性の指標とした。この値が大きいほど、金属接触下における耐久性に優れる。
(6)疲労強度(単位:回)
ASTM D671−71T METHOD B に従い、TYPE A試験片を使用して、23℃における繰り返し曲げ応力42MPaでの破断までの繰り返し回数を測定した。測定は、東洋精機(株)製繰り返し振動試験機B70型を使用し、繰り返し速度30Hzで行った。
また、実施例および比較例で使用した各成分を以下に記す。
(A−1)プロピレン単独重合体
MFR(230℃、荷重2.16kg)が25g/10分であるプロピレン単独重合体。
(B−1)無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂
下記の方法により製造された、MFRが60g/10分であり、マレイン酸グラフト量が0.6重量%(変性前のポリプロピレン樹脂の重量を100重量%とする。)である無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂。
<無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(B−1)の製造方法>
ブロックプロピレン共重合体の樹脂([η]=2.8dl/g、エチレン−プロピレン共重合体部含量21重量%)100重量部に対して、無水マレイン酸2.0重量部、ジセチルパーオキシジカルボネート0.50重量部、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン0.15重量部、ステアリン酸カルシウム0.05重量部、酸化防止剤テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.3重量部を添加して十分に予備混合後、二軸押出機の供給口より供給して混練を行い、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(B−1)を得た。
(C−1)ガラス繊維 商品名:チョップドストランド ESC03T−480H/PL(日本電気硝子社製、アミノシランカップリング剤により変性され、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系収束剤に極少量のウレタン系収束剤を併用した収束剤を用いて収束された、繊維径10μm、繊維長3mmのガラス繊維。)。
(D−1)水酸化カルシウム 商品名:カルテックLT(鈴木工業社製、平均粒子径1.3μmの水酸化カルシウム。)。
(E−1)重金属不活性化剤 商品名:イルガノックスMD1024(BASF社製、化合物名:2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド)。
実施例1
表1に記載した配合比で、プロピレン単独重合体(A−1)、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(B−1)およびガラス繊維(C−1)とを混合し、成分(A−1)、成分(B−1)と成分(C−1)との合計量100重量部に対して、水酸化カルシウム(D−1)0.015重量部、重金属不活性化剤(E−1)0.10重量部、ステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社製)0.05重量部、スミライザーGA80(住友化学社製)0.1重量部、ウルトラノックス626(GEスペシャリティケミカルズ社製)0.05重量部、スミライザーTPM(住友化学社製)0.1重量部を添加、均一混合した後、上記の方法で溶融混練してペレットを得た。得られたペレットのMFRを表1に示した。さらに得られたペレットを上記方法で射出成形した。得られた成形体の比重、曲げ強度、IZOD衝撃強度、老化時間、及び疲労強度を表1に示した。
実施例2
実施例1において用いていた水酸化カルシウム(D−1)の配合量を0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において用いていた水酸化カルシウム(D−1)と重金属不活性化剤(E−1)の配合量を、それぞれ0.03重量部、0.075重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
比較例1
水酸化カルシウム(D−1)を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 0006094049
A−1:プロピレン単独重合体、MFR=25g/10分)
B−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=60g/10分、マレイン酸グラフト量=0.6重量%)
C−1:ガラス繊維 (チョップドストランド ESC03T−480H/PL(日本電気硝子社製)、繊維径10μm、繊維長3mm、カップリング剤:アミノシラン系カップリング剤、収束剤:無水マレイン酸変性ポリオレフィン系収束剤に極少量のウレタン系収束剤を併用した収束剤)
D−1:水酸化カルシウム(商品名:カルテックLT(鈴木工業社製))
E−1:重金属不活性化剤イルガノックスMD1024(BASF社製)
本発明の要件を満足する実施例1〜3は、金属接触下の耐久性に優れるものであることが分かる。
これに対して、成分(D)の含有量が本発明の要件を満足しない比較例1は、金属接触下の耐久性が不充分であることが分かる。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン樹脂と、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂と、充填剤と、アルカリ土類金属の水酸化物と、重金属不活性化剤とを含有し、
    ポリプロピレン樹脂と無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂と充填剤との合計重量を100重量部として、
    ポリプロピレン樹脂と無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計が40〜95重量部であり、
    充填剤が無機繊維であり、
    充填剤の含有量が5〜60重量部であり、
    アルカリ土類金属の水酸化物の含有量が0.001〜0.03重量部であり、
    重金属不活性化剤の含有量が0.001〜1重量部であり、
    ポリプロピレン樹脂と無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂との含有量の合計100重量%に対する無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂の含有量が0.1〜20重量%である
    充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. ポリプロピレン樹脂が、プロピレン単独重合体とプロピレンランダム共重合体とプロピレンブロック共重合体とからなる群より選択される少なくとも1種のポリプロピレン樹脂である請求項1記載の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物。
  3. アルカリ土類金属の水酸化物が水酸化カルシウムである請求項1又は2記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の充填材含有ポリプロピレン樹脂組成物からなる成形品。
  5. 自動車エンジンルーム内部品である請求項4の成形品。
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