JP2004211051A - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体及びそれから得られる成形品 - Google Patents

長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体及びそれから得られる成形品 Download PDF

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Katsuhisa Kitano
勝久 北野
Yoshiaki Obayashi
義明 大林
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Abstract

【課題】金属接触環境下における耐久性が向上した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体およびその樹脂組成物成形体から得られる成形品を提供する。
【解決手段】下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の重量と成分(B)の重量の比(成分(A)/成分(B))が20/80〜95/5であり、成分(C)の重量と成分(A)および成分(B)の合計重量の比(成分(C)/[成分(A)+成分(B)])が0.001/100〜5/100である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体であって、前記成形体中において、実質上、全ての成分(B)の長さが2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
(A):ポリオレフィン樹脂
(B):繊維
(C):重金属不活性化剤
また、上記の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体から得られる成形品。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体およびその樹脂組成物成形体から得られる成形品に関する物である。さらに詳細には、金属接触環境下における耐久性が向上した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体およびその樹脂組成物成形体から得られる成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は成形性、耐薬品性に優れて比重も小さいため、汎用樹脂として広く利用されている。しかし、機械的強度、耐熱性等の面では必ずしも十分とは言えず、その用途もかなり制約されたものとなっている。かかる欠点を改善し、ポリオレフィン樹脂の剛性・衝撃強度等の機械的強度を向上させる手段として、フィラーや繊維等を配合することが知られている。工業的にも、チョップドストランド等の短繊維をポリオレフィン樹脂と混合して混練機で造粒した繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体が製造されている。
【0003】
そして、短繊維がポリオレフィン樹脂に混合され、混練機で造粒された繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体の機械的強度を改良するために、繊維長を長くして、機械的強度を著しく高めることが試みられ、特開平3−121146号公報には、プルトルージョン成形法を応用し、連続した繊維束を引きながら、溶融したポリオレフィン樹脂を含浸し、全体の5〜80重量%の実質上平行に配列した繊維を含有させる方法で製造した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体の製造法が記載されている。これらのプルトルージョン成形法を用いて製造した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体により、剛性・衝撃強度等の機械特性は向上した。
【0004】
しかし、一般に、ポリオレフィン樹脂は、直接金属と接触する用途に使用された場合、熱酸化劣化が促進されやすく、耐久性が低下することがあった。上記の特開平3−121146号公報に記載されている長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体においても、金属接触環境下における耐久性向上は不充分であり、改良が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−112642号公報
【特許文献2】
特開平3−121146号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属接触環境下における耐久性が向上した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体およびその樹脂組成物成形体から得られる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ポリオレフィン樹脂(成分(A))、繊維(成分(B))及び重金属不活性化剤(成分(C))を含有し、成分(A)の重量と成分(B)の重量の比(成分(A)/成分(B))が一定の範囲にあり、成分(C)の重量と成分(A)および成分(B)の合計重量の比(成分(C)/[成分(A)+成分(B)])が一定の範囲にある長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体であって、前記成形体中において、実質上、全ての成分(B)の長さが一定の範囲にある長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体が、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の重量と成分(B)の重量の比(成分(A)/成分(B))が20/80〜95/5であり、成分(C)の重量と成分(A)および成分(B)の合計重量の比(成分(C)/[成分(A)+成分(B)])が0.001/100〜5/100である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体であって、前記成形体中において、実質上、全ての成分(B)の長さが2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体に係るものである。
(A):ポリオレフィン樹脂
(B):繊維
(C):重金属不活性化剤
また、本発明は、上記の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体から得られる成形品に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))は、オレフィンモノマーを主成分とする重合性モノマーの重合により製造された樹脂である。本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))としては、オレフィンの単独重合体や少なくとも2種のオレフィンの共重合体が挙げられ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂などが挙げられる。ポリエチレン樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
また、本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))としては、オレフィン以外のモノマー及び/又は本発明におけるポリオレフィン樹脂(成分(A))以外のポリマーを用いて、グラフト重合等によって、本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))が変性されてなる重合体や、オレフィンとオレフィン以外の重合性単量体との共重合体などの変性ポリオレフィン樹脂も挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、オレフィンの単独重合体または少なくとも2種のオレフィンの共重合体に、不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体がグラフト重合されてなる重合体、オレフィンと不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体とを共重合してなる重合体などが挙げられる。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))は、1種類のポリオレフィン樹脂でもよく、また、少なくとも2種のポリオレフィン樹脂の混合物であってもよい。また、ポリオレフィン樹脂(成分(A))は、変性ポリオレフィン樹脂と非変性ポリオレフィン樹脂との混合物であってもよい。ポリオレフィン樹脂(成分(A))として好ましくは、ポリプロピレン樹脂の一部又はポリプロピレン樹脂のすべてが不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリプロピレン樹脂である。
【0010】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))として好ましい樹脂であるポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合し、次いでエチレンとプロピレンとを共重合してエチレン−プロピレン共重合体部を形成して得られる複合重合体等が挙げられる。
前述のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等をあげることができる。この中でも、1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテンのα−オレフィンが好ましい。
【0011】
ポリオレフィン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、“新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に例示される溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合のいずれの方法を用いてもよい。また、これらの方法を組み合わせて製造してもよい。製造に用いる触媒としては、公知の種々の触媒を使用できるが、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、又はメタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒があげられる。
【0012】
本発明における成分(B)は繊維である。本発明における繊維はポリオレフィン樹脂を強化できるものであれば種類に特に制約はなく、例えばガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維が何れも使用できる。その中でも好ましいのは、ガラス繊維である。繊維を収束するために用いられる収束剤としては、特に限定はなく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、澱粉、植物油等があげられる。さらに酸変性ポリオレフィン樹脂、表面処理剤、パラフィンワックス等の潤滑剤を配合してもかまわない。
【0013】
本発明においては、上記繊維を、樹脂との濡れ性や接着性などを良好なものとするために、表面処理剤で予め処理しておいてもよい。この表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング剤などがあげられるが、これらの中でシラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が好ましく、特にシラン系カップリング剤が好適である。このシラン系カップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどがあげられる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類が好適である。該繊維を、上記表面処理剤で処理する方法については特に制限はなく、従来慣用されている方法、例えば水溶液法、有機溶媒法、スプレー法など、任意の方法を用いることができる。
【0014】
本発明における成分(C)重金属不活性化剤は、金属イオンをキレート化する機能を有し、高分子材料が金属と接触する環境下で、金属による高分子材料の熱酸化劣化が進行するのを防止する作用を持つ化合物であり、成分(C)としては、公知の重金属不活性化剤を用いることができる。例えば、高分子添加剤の新展開(76〜85頁(日刊工業新聞社))、特開平8−302331号公報に開示されているベンゾトリアゾール誘導体、−CO−NH−で表される基を1つ以上有する化合物類(例えば、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体、ヒドロキシ安息香酸アニリド誘導体)、硫黄含有ホスファイト類等が挙げられる。
【0015】
中でも、好ましくは、ベンゾトリアゾール、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッド、エチレンジアミン−テトラアセチックアシッドのアルカリ金属塩(Li,Na,K)塩、N,N’−ジサリチリデン−エチレンジアミン、N,N’−ジサリチリデン−1,2−プロピレンジアミン、N,N’’−ジサリチリデン−N’−メチル−ジプロピレントリアミン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N’−サリチロイルヒドラジド)、ニッケル−ビス(1−フェニル−3−メチル−4−デカノイル−5−ピラゾレート)、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、5−t−ブチル−2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N−ジエチル−N’,N’−ジフェニルオキサミド、N,N’−ジエチル−N,N’−ジフェニルオキサミド、オキサリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、チオジプロピオニックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)、イソフタリックアシッド−ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、ビス(サリシロイルヒドラジン)、N−サリシリデン−N’−サリシロイルヒドラゾン、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、
【0016】
トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル)フェニル−5−メチル]−フェニルホスファイト、ビス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,6−ヘキサメチレン−ビス(N−ヒドロキシエチル−N−メチルセミカルバジド)−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−ヒドロキシエチルカルボニルヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−1,10−デカメチレン−ジ−カルボキシリックアシッド−ジ−サリシロイルヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−ジ(ヒドロキシエチルカルボニル)ヒドラジド−ジフォスファイト、テトラキス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−メチルフェニル]−N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド−ジフォスファイト、2,2’−オキサミドビス[エチル3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを例示できる。
【0017】
特に好ましくは、−CO−NH−で表される基を1つ以上有する化合物類(例えば、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体)、硫黄含有ホスファイト類から選択される少なくとも1種の化合物であり、さらに好ましくは、下記、化合物1〜6に示されるものである。これらの重金属不活性化剤の単独使用はもちろんのこと、2種以上の重金属不活性化剤を併用することもできる。
【0018】
(化合物1)旭電化工業(株)製アデカスタブCDA−1、CDA−1M:3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール
【化1】
Figure 2004211051
【0019】
(化合物2)旭電化工業(株)製アデカスタブCDA−6:デカメチレンジカルボキシリックアシッド−ビス(N’−サリチロイルヒドラジド)
【化2】
Figure 2004211051
【0020】
(化合物3)イーストマン社製インヒビターOABH:オキサリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)
【化3】
Figure 2004211051
【0021】
(化合物4)チバ・スペシャルティケミカルズ社製イルガノックスMD1024:2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド
【化4】
Figure 2004211051
【0022】
(化合物5)白石カルシウム(株)製ナウガードXL−1:2,2’−オキサミドビス[エチル3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
【化5】
Figure 2004211051
【0023】
(化合物6)クラリアントジャパン(株)製ホスタノックスOSP−1:トリス[2−t−ブチル−4−チオ(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル)フェニル−5−メチル]−フェニルホスファイト
【化6】
Figure 2004211051
【0024】
本発明における変性ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンの単独重合体又は二種以上のオレフィン共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンから選ばれた1種又は2以上と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を共重合したものである。
【0025】
ここで変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等があげられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等があり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等があげることができる。また、クエン酸、リンゴ酸のようにポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸及びその誘導体のうち、好ましいのはアクリル酸及びメタクリル酸のグリシジルエステル及び無水マレイン酸であり、これにより変性された好ましい変性ポリオレフィン樹脂(E)としては、エチレン及び/又はプロピレンを主たるポリマー構成単位とするポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することにより変性したもの、エチレン及び/又はプロピレンを主体とするオレフィンとメタクリル酸グリシジルエステル又は無水マレイン酸とを共重合することにより変性したものがあげられる。また、本発明において用いられる変性ポリオレフィン樹脂は、ポリマー構成単位の0.1〜10重量%が上記のごとき不飽和カルボン酸又はその誘導体からなるものが好ましく、特にこれらの成分がランダム共重合あるいはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入される場合には3〜10重量%、グラフト重合による場合には0.1〜10重量%が好ましい。不飽和カルボン酸又はその誘導体の含量が少なすぎると、衝撃強度、疲労特性等の機械的強度が低下する場合があり、多すぎると剛性等の機械的強度が低下する場合がある。
【0026】
本発明における成分(A)の重量と成分(B)の重量の比(成分(A)/成分(B))は、20/80〜95/5であり、好ましくは25/75〜90/10であり、さらに好ましくは30/70〜80/20である。成分(B)の比率が過少であると剛性、衝撃強度等の機械的強度への十分な補強効果がえられず、一方成分(B)の比率が過多であると繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体の製造及び、該成形体を用いた成形品の製造が困難になる。
【0027】
本発明における成分(C)の重量と成分(A)および成分(B)の合計重量の比(成分(C)/[成分(A)+成分(B)])は、0.001/100〜5/100であり、好ましくは0.01/100〜2/100、より好ましくは0.05/100〜1/100である。成分(C)の量が過少であると長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体の金属接触環境下での耐久性が低下し、一方成分(C)の量が過多であると成形時に金型汚染等のトラブルが発生する。
【0028】
本発明の樹脂組成物成形体においては、実質上、全ての成分(B)が2mm以上の長さを有していることが好ましい。特に成形加工操作が容易な射出成形に供し、射出成形性を損なうことなく、成形品中の重量平均繊維長 1.0mm以上の成形品を得るためには、樹脂組成物成形体は長さ2〜50mmのペレット状で、繊維がペレットと実質上同一の長さで配列した成形体とするのが好ましい。繊維長が短すぎると、本発明における樹脂組成物成形体を成形した時に剛性、衝撃強度等の機械的強度の十分な向上は期待できない。また、繊維長が長すぎると、該成形体を用いた成形品の製造が著しく困難となる場合がある。
【0029】
本発明における樹脂組成物成形体は、必要に応じて、ゴムや造核剤や結晶化促進剤を適当量含有することが可能である。また、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般にポリオレフィン樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、ラクトン系安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤等をさらに配合することも可能である。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォルスナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を適当量含有してもよい。
【0030】
特に、本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体、及びそれから得られる成形体は、酸化防止剤を含有していることが好ましい。樹脂組成物成形体、またはそれから得られる成形体が重金属不活性化剤と共に酸化防止剤を含有していると、樹脂組成物成形体または成形体の金属による熱酸化劣化が著しく効果的に抑制される。好ましい酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び硫黄系酸化防止剤が挙げられ、これらの少なくとも2種を併用してもよい。
【0031】
また、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体を製造する工程において、ラクトン系化合物を添加することにより、ポリオレフィン樹脂の熱分解の抑制や、成分(C)重金属不活性化剤、酸化防止剤の消費または変質による性能低下を、抑制することができるため、必要に応じて用いることができる。
【0032】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、次の化合物が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤または片ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)(ケミノックス1129)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、トコフェロール類等が挙げられる。
【0033】
またトコフェロール類としては、下記一般式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
【化7】
Figure 2004211051
式中、R、R、Rは水素またはメチル基を示し、どのような組み合わせでもよい。Rは炭素数が1〜16の炭化水素基を示し、例えば、4,8,12−トリメチルトリデシル基{−[(CH−CH(CH)]−CH}、4,8,12−トリメチル−3,7,11−トリデカトリエニル基{−[(CH−CH=C(CH)]−CH}を示す。前者はトコール、後者はトコトリエノールと呼ばれており、天然或いは合成のトコフェロールはすべて一般式(II)で示される。また、トコフェロール類は数種類の同族体の混合物であってもよい。具体的にはα−トコフェロール(5,7,8−トリメチルトコール)、β−トコフェロール(5,8−ジメチルトコール)、γ−トコフェロール(7,8−ジメチルトコール)、δ−トコフェロール(8−メチルトコール)およびこれらの2種以上の混合物である。特にα−トコフェロールであるビタミンEが好ましい。またトコフェロール類は酸化されることにより、色調の悪化などの性能面の変化があるため、あまり酸化されていないものが好ましい。純度もより高いものが好ましく、一般的には90%以上、さらに好ましくは95%以上のものが好ましい。
【0034】
これらのフェノール系酸化防止剤の中でも特に、テトラキス[メチレン−3(3’,5’ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が、好ましく用いられる。
【0035】
リン系酸化防止剤としては、例えば、次の化合物が挙げられる。
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル) エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−トラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル) ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなど。
【0036】
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、次の化合物が挙げられる。
ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキル(炭素数12〜14)チオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなど。
【0037】
ラクトン系化合物としては、例えば、下記の化合物が挙げられる。
5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,5−ジメチルフェニル)−H−ベンゾフランー2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4,5−トリメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,6,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−メチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジメチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジメチル−3−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ペンチル−3−(3,5−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ペンチル−3−(3,5−ジペンチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジオクチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンなど。特に5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンが好ましく用いられる。
【0038】
本発明においては、かかる樹脂組成物成形体を製造するにあたり、プルトルージョン成形法が用いられる。プルトルージョン成形法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸するものであり、樹脂のエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸液の中に繊維束を通し含浸する方法、樹脂の粉末を繊維束に吹き付けるか粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂を付着させたのち樹脂を溶融して含浸する方法、クロスヘッドの中に繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法等が知られているが、本発明においてはかかる公知の方法がいずれも利用できる。特に好ましいのは、特開平3−272830号公報等に例示されるクロスヘッドを用いる方法である。また、これらのプルトルージョン成形法における樹脂の含浸操作は1段で行うのが一般的であるが、これを2段以上に分けて行ってもかまわない。
【0039】
かかるごとくして得られる本発明の樹脂組成物成形体の形状に制約はなく、ストランド状、シート状、平板状あるいはストランドを適当な長さに裁断したペレット状等任意の形状が可能である。成形加工の容易な射出成形へ適用する場合には、長さ2〜50mmのペレット状成形体を適用することが好ましい。
【0040】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体から得られる成形品は、前記の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体を溶融混練し、雌雄1対からなる金型に供給し、固化させて得られた成形品であって、例えば、公知の射出成形、プレス成形などの方法を用いることにより得ることができる。
【0041】
成形品中における繊維(B)の重量平均繊維長は、成形品の機械的強度の観点から、好ましくは1mm以上である。本発明の成形品中の繊維の重量平均繊維長は、特開2002−5924号公報に記載されている方法によって、測定することができる。繊維の重量平均繊維長が1mm以上である成形品は、例えば、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体からなる長さが2〜50mmのペレットであって、ペレットの長さとほぼ同じ長さの繊維を含んでいるペレットを原料に用いて、繊維の重量平均長さが1mm以上に保たれる条件で、溶融混練と賦形を行うことにより得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明を逸脱しない限りこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における評価用サンプルの製造方法について以下に示す。
【0043】
(1)長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体(ペレット)の製造方法
特開平3−121146号公報に記載されている方法により製造した。なお、含浸温度は330℃、引取速度は6m/分であり、用いたガラス繊維の繊維径は16μmであった。
【0044】
得られたペレットを下記条件で射出成形した。
評価用サンプルの射出成形には、下記の日本製鋼所製成形機を使用した。
型締力 :150t
スクリュー :長繊維深溝スクリュー
スクリュー径 :46mm
スクリューL/D:20.3
【0045】
成形条件は下記の通りである。
シリンダー温度:250℃
金型温度 :50℃
背圧 :0MPa
【0046】
(2)評価用サンプルのプレス成形条件
射出成形して得られた評価用サンプル成形品(厚み:3mm)を下記条件で熱プレスし、厚み1mmに再成形し、耐熱老化性試験用(銅板接触下)サンプルを得た。
予熱:230℃で5分
成形:230℃、4.9MPaで5分
冷却:30℃、4.9MPaで5分
【0047】
次に実施例及び比較例における評価方法について以下に示す。
(1)耐久性試験(銅板接触下での耐熱老化性試験)
上記の方法で作製した耐熱老化性試験用サンプル(厚み:1mm)を直径25mmの円形状に打ち抜き、直径15mmの円形状銅板(厚さ:1mm)2枚で両側から挟み、固定し、(銅板と試験片を接触)、160℃のギヤーオーブン中に入れ、銅板接触下での耐熱老化性試験を実施した。老化時間(単位:時間)は、試験片の円形状銅板接触部周辺が変色劣化し始める時間とした。上記方法で得られた老化時間の大小を、耐熱老化性試験用サンプルの原料である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体の耐久性の指標とした。
【0048】
(2)成形品中の繊維の重量平均繊維長
成形品における繊維の重量平均繊維長は、特開2002−5924号公報に記載されている方法によって、測定した。
【0049】
なお、実施例と比較例に用いたサンプルの組成を表1に示した。下記に評価に用いた添加剤を示した。
(重金属不活性化剤)
C−1:
旭電化工業(株)製アデカスタブCDA−1M
[主成分の化学名:3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール]
C−2:
チバ・スペシャルチィケミカルズ社製イルガノックスMD1024
[化学名:2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド]
C−3:
白石カルシウム(株)製ナウガードXL−1
[化学名::2,2’−オキサミドビス[エチル3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
【0050】
(添加剤)
D−1:
住友化学工業(株)製スミライザーGA80
[化学名:3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン]
D−2:
住友化学工業(株)製スミライザーGP
[化学名:2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン]
D−3:
チバ・スペシャルティケミカルズ社製HP136
[化学名:5,7−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン]
D−4:
GEスペシャリティケミカルズ社製ウルトラノックス626
[化学名:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト]
D−5:
住友化学工業(株)製スミライザーTPM
[化学名:ジミリスチルチオジプロピオネート]
D−6:
三共(株)製HA70G
[化学名:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート]
D−7:
共同薬品(株)製バイオソーブ80
[化学名:2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキスベンゾエート]
D−8:
花王(株)製エレクトロストリッパーTS−5
[化学名:グリセリンモノステアレート]
【0051】
実施例1
特開平3−121146号公報に記載されている方法により、表1に記載した組成で、ガラス繊維含有量40重量%、ペレット長9mmの長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体(ペレット)を作成した。用いたポリオレフィン樹脂(A−1)は、ポリプロピレン樹脂(E−1)/変性ポリプロピレン樹脂(F−1)=90/10(重量比)である。用いたポリプロピレン樹脂(E−1)は、プロピレン単独重合体(MFR=25)であり、用いた変性ポリオレフィン樹脂(F−1)は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40、マレイン酸グラフト量=0.2wt%)である。[成分(A)+成分(B)]100重量部に対して配合した添加剤を表1に示した。なお、MFRはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定した値である。
得られたペレットを用いて射出成形し成形品(厚み:3mm)を得た。成形品中の繊維の重量平均繊維長は4mmであった。得られた成形品を、加熱プレス成形により、再度成形して、評価用のシート(厚み:1mm)を作製した。このシートを用いて耐熱老化性(銅板接触下)を評価した。結果を表1に示した。
【0052】
実施例2
表1に記載したように、[C−1]アデカスタブCDA−1Mの配合量を0.25重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプルの製造及び比較を行った。結果を表1に示した。
【0053】
実施例3
表1に記載したように、[C−1]アデカスタブCDA−1Mを[C−2]イルガノックスMD1024を0.45重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプルの製造及び比較を行った。結果を表1に示した。
【0054】
実施例4
表1に記載したように、[D−2]、[D−3]を配合しないで、[D−4]ウルトラノックス626を0.1重量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてサンプルの製造及び比較を行った。結果を表1に示した。
【0055】
比較例1
表2に記載したように、重金属不活性化剤[C−1]を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてサンプルの調製及び評価を行った。結果を表2に示した。
【0056】
比較例2
表2に記載したように、重金属不活性化剤[C−1]および酸化防止剤[D−1]を配合しなかった以外は、実施例1と同様にしてサンプルの調製及び評価を行った。結果を表2に示した。
【0057】
実施例5
特開平3−121146号公報に記載されている方法により、表1に記載した組成で、ガラス繊維含有量40重量%、ペレット長9mmの長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体(ペレット)を作成した。用いたポリオレフィン樹脂(A−2)は、ポリプロピレン樹脂(E−2)/変性ポリプロピレン樹脂(F−1)=90/10(重量比)である。用いたポリプロピレン樹脂(E−2)は、プロピレン単独重合体(MFR=120)であり、用いた変性ポリオレフィン樹脂(F−1)は、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40、マレイン酸グラフト量=0.2wt%)である。[成分(A)+成分(B)]100重量部に対して配合した添加剤を表3に示した。なお、MFRはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nで測定した値である。
得られたペレットを用いて射出成形し成形品(厚み:3mm)を得た。成形品中の繊維の重量平均繊維長は4mmであった。得られた成形品を、加熱プレス成形により、再度成形して、評価用のシート(厚み:1mm)を作製した。このシートを用いて耐熱老化性(銅板接触下)を評価した。結果を表3に示した。
【0058】
実施例6および7
表3に記載したように、使用した添加剤の種類、配合量を変更した以外は、実施例5と同様にしてサンプルの製造及び比較を行った。結果を表3に示した。
【0059】
比較例3
表3に記載したように、重金属不活性化剤を配合しなかった以外は、実施例5と同様にしてサンプルの製造及び比較を行った。結果を表3に示した。
【0060】
【表1】
Figure 2004211051
【0061】
【表2】
Figure 2004211051
【0062】
【表3】
Figure 2004211051
【0063】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によって、金属接触環境下における耐久性が向上した長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体およびその樹脂組成物成形体から得られる成形品を得ることができる。

Claims (7)

  1. 下記の成分(A)、(B)及び(C)を含有し、成分(A)の重量と成分(B)の重量の比(成分(A)/成分(B))が20/80〜95/5であり、成分(C)の重量と成分(A)および成分(B)の合計重量の比(成分(C)/[成分(A)+成分(B)])が0.001/100〜5/100である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体であって、前記成形体中において、実質上、全ての成分(B)の長さが2mm以上であることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
    (A):ポリオレフィン樹脂
    (B):繊維
    (C):重金属不活性化剤
  2. 重金属不活性化剤(C)が、−CO−NH−で表される基を少なくとも1つ有する化合物類および硫黄含有ホスファイト類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
  3. ポリオレフィン樹脂(A)が、その一部又はそのすべてが不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
  4. ポリオレフィン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
  5. プルトルージョン成形法により得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
  6. 成形体の形状がペレットであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物成形体を溶融混練し、雌雄1対からなる金型に供給し、固化させて得られた成形品であって、成形品中の繊維(B)の重量平均繊維長が1mm以上である成形品。
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