JP2004083638A - 長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂(成分(A))20〜95重量%と、繊維(成分(B))5〜80重量%とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が、2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、安定剤(成分(C))100ppm〜20000ppmを含有する収束剤(成分(D))で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオレフィン樹脂(成分(A))20〜95重量%と、繊維(成分(B))5〜80重量%とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が、2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、安定剤(成分(C))100ppm〜20000ppmを含有する収束剤(成分(D))で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関するものである。さらに詳細には、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は、成形性や耐薬品性に優れ、比重も小さいため、汎用樹脂として広く利用されている。そして、ポリオレフィン樹脂の強度や剛性等の機械的特性を改良するために、フィラーやガラス繊維等を配合することが知られている。
【0003】
例えば、特開平3−121146号公報には、引き抜き成形法を用いて、強化用連続繊維を引きながら、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性オレフィン系重合体からなる樹脂成分を含浸させ、組成物中5〜80重量%の強化用繊維を含有させて製造される長繊維強化成形用ポリオレフィン樹脂組成物が記載されており、上記の引き抜き成形法を用いた樹脂組成物の製造法において、樹脂に含浸させるための溶融樹脂温度は240〜320℃とするのが好ましいことが記載されている。
【0004】
また、特開平3−230943号公報には、連続した強化用繊維を引きながら溶融熱可塑性樹脂を含浸させる直前に、前記の強化用繊維を(熱可塑性樹脂の溶融温度−100)〜(熱可塑性樹脂の溶融温度+200)℃に加熱する方法によって製造された長繊維強化熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【0005】
しかし、上記の特開平3−121146号公報に記載されている長繊維強化成形用ポリオレフィン樹脂組成物は、強化用連続繊維に樹脂を含浸させる時の溶融樹脂温度が240〜320℃であるという方法によって製造され、また、上記の特開平3−230943号公報に記載されている長繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、繊維に熱可塑性樹脂を含浸させる直前に、繊維を(熱可塑性樹脂の溶融温度−100)〜(熱可塑性樹脂の溶融温度+200)℃に加熱するという方法によって製造されるために、繊維の収束材に含有される樹脂が劣化し、強度等の機械的特性が必ずしも十分でないことがあった。このような状況において、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度の改良が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実状に鑑み、含有量が一定の範囲にあるポリオレフィン樹脂と、含有量が一定の範囲にある繊維とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が一定の範囲にある長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、含有量が一定の範囲にある安定剤を含有する収束剤で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は
ポリオレフィン樹脂(成分(A))20〜95重量%と、繊維(成分(B))5〜80重量%とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が、2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、安定剤(成分(C))100ppm〜20000ppmを含有する収束剤(成分(D))で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品に係るものである。
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィンランダム共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂、ゴム等を含有していてもよい。
【0010】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))がポリプロピレン樹脂の場合、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン単独重合後にエチレン−プロピレン共重合部をブロック的に重合したプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの重合体または共重合体を単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0011】
前記のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0012】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))の製造方法としては、“新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994))等に例示されている溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせた製造方法でもよい。製造に用いられる触媒としては、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、または、メタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒である。
【0013】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))がポリプロピレン樹脂の場合、ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、例えば、特開平3−94295号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合等の方法が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせた製造方法でもよい。製造に用いられる触媒としては、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、または、メタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒である。
【0014】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))として、好ましくはポリオレフィン樹脂の一部および/またはすべてが不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である。また、ポリオレフィン樹脂(成分(A))として、好ましくはポリプロピレン樹脂である。
【0015】
上記の変性ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンの単独重合体、または、少なくとも2種のオレフィンの共重合体に、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンから選ばれた少なくとも1種と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を共重合したものである。
【0016】
上記の変性ポリオレフィン樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。また、クエン酸、リンゴ酸のようにポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸およびその誘導体のうち、好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸のグリシジルエステル、無水マレイン酸である。
【0017】
変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、エチレンおよび/またはプロピレンを主なポリマーの構成単位とするポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することによって変性されたもの、エチレン及および/またはプロピレンを主成分とするオレフィンとメタクリル酸グリシジルエステルまたは無水マレイン酸とを共重合することによって変性されたものが挙げられる。
【0018】
また、変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、衝撃強度、疲労特性や剛性等の機械的特性の観点から、ポリマーの構成単位の0.1〜10重量%が、上記の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によって変性されているものであり、特に、上記の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がランダム共重合またはブロック共重合によってポリマー鎖中に導入される場合には3〜10重量%が好ましく、グラフト重合によってポリマー鎖中に導入される場合には0.1〜10重量%が好ましい。
【0019】
本発明で用いられる繊維(成分(B))は、ポリオレフィン樹脂を強化できる繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等が挙げられ、好ましくはガラス繊維である。
【0020】
本発明で用いられる収束剤(成分(D))は、繊維を収束することができるものであり、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、澱粉、植物油等が挙げられる。また、これらの収束剤には、酸変性ポリオレフィン樹脂、表面処理剤、パラフィンワックス等の潤滑剤が含有されていてもよい。
【0021】
収束剤(成分(D))として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂の一部またはすべてが不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である。収束剤(成分(D))の含有量として、好ましくは、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の生産安定性や、繊維への樹脂の含浸性の観点から、繊維(成分(B))に対して0.01〜5重量%であり、より好ましくは0.05〜3重量%であり、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0022】
本発明においては、繊維(成分(B))とポリオレフィン樹脂(成分(A))との濡れ性や接着性等を良好にするために、繊維(成分(B))の表面を表面処理剤で予め処理してもよい。表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられ、好ましくはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤であり、特に好ましくはシラン系カップリング剤である。
繊維(成分(B))を、上記の表面処理剤で処理する方法としては、例えば、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。
【0023】
シラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。好ましくはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0024】
本発明で用いられる繊維(成分(B))の樹脂組成物中における重量平均繊維長は、2mm以上である。2mm未満の場合、成形品の剛性、衝撃強度等の機械的特性が不十分なことがある。重量平均繊維長として、好ましくは、成形品の剛性、衝撃強度等の機械的特性、樹脂組成物の製造のし易さや成形性の観点から、3〜50mmである。なお、繊維の重量平均繊維長は本発明のポリオレフィン樹脂組成物中での長さであり、特開平2002−5924号公報に記載されている測定法によってもとめられたものである。
【0025】
本発明で用いられる繊維(成分(B))は、樹脂組成物中において、繊維(成分(B))の全てが、実質上、2mm以上の長さを有し、かつ、互いにほぼ平行な状態で配列していることが好ましい。特に、射出成形に用いられる樹脂組成物については、射出成形性を損なうことなく、優れた強度が保持された成形品を得るために、樹脂組成物が長さ2〜50mmのペレットであり、ペレット中において、繊維(成分(B))の長さが実質上ペレットと同一の長さであり、かつ、互いにほぼ平行な状態で配列していることが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる安定剤(成分(C))としては、酸化防止剤、光安定剤、金属キレート化剤等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0027】
安定剤(成分(C))の含有量は、収束剤(成分(D))に対して100ppm〜20000ppmであり、好ましくは200ppm〜15000ppmであり、特に好ましくは300ppm〜10000ppmである。安定剤(成分(C))の含有量が100ppm未満の場合、機械的強度が低下することがあり、20000ppmを超えた場合、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の生産安定性が低下することがある。
【0028】
安定剤(成分(C))を収束剤(成分(D))に添加する方法としては、例えば、収束剤(成分(D))に安定剤(成分(C))を予め混ぜる方法、収束剤(成分(D))を分散させたエマルジョンに安定剤(成分(C))を添加し、収束剤(成分(D))中に安定剤(成分(C))を分散させる方法等が挙げられる。
【0029】
本発明で用いられる酸化防止剤としては、過酸化物分解剤,ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
過酸化物分解剤としては、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、
【0030】
2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[df][1,3,2][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0031】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0032】
ラジカル捕捉剤としては、フェノール系酸化防止剤、アルキルラジカル捕捉剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
【0033】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0034】
アルキルラジカル捕捉剤としては、例えば、5,7−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7,8−トリメチルトコール、5,8−ジメチルトコール、7,8−ジメチルトコール、8−メチルトコール、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0035】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、アクリレート系光安定剤、ニッケル系光安定剤、オキサミド系光安定剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤等が挙げられる。
【0036】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−(テトラメチル−4− ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、
【0037】
4−[3−(3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
【0038】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、
【0039】
ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、
【0040】
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’−4,7−テトラキス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10ジアミン、N,N’−4−トリス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’−4,7−テトラキス[4,6−ビス(n−ブチル−N−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’−4−トリス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0041】
アクリレート系光安定剤としては、例えば、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0042】
ニッケル系光安定剤としては、例えば、2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0043】
オキサミド系光安定剤としては、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0044】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤としては、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0045】
上記の安定剤(成分(C))のうち、好ましくは酸化防止剤であり、より好ましくはラジカル捕捉剤であり、特に好ましくはアルキルラジカル捕捉剤である。
【0046】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や造核剤、結晶化促進剤を配合してもよい。また、必要に応じて、例えば、他の安定剤(酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤等)、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤等をさらに配合してもよい。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ワラススナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を配合してもよい。
【0047】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂(成分(A))および繊維(成分(B))のそれぞれの含有量は、20〜95重量%および5〜80重量%であり、好ましくはそれぞれが25〜90重量%および10〜75重量%であり、より好ましくはそれぞれが30〜80重量%および20〜70重量%である。繊維(成分(B))が5重量%未満の場合、剛性、衝撃強度等の機械的特性が不十分なことがあり、80重量%を超えた場合、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の製造および成形が困難になることがある。
【0048】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、プルトルージョン法(引き抜き成形法)が用いられる。プルトルージョン法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸する方法であり、例えば、
▲1▼樹脂のエマルジョン、サスペンジョンまたは溶液を入れた含浸液の中に繊維束を通し含浸する方法、
▲2▼樹脂の粉末を繊維束に吹き付けた後、または、粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂を付着させた後、樹脂を溶融して含浸する方法、
▲3▼クロスヘッドの中に繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法
等が知られている。
【0049】
本発明において、特に好ましくは、クロスヘッドを用いる方法▲3▼である。また、上記のプルトルージョン法(引き抜き成形法)における樹脂の含浸操作は、1段で行ってもよく、少なくとも2段に分けて行ってもよい。
【0050】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))を溶融して、繊維(成分(B))に含浸させる温度は(例えば、クロスヘッドダイを用いる場合はクロスヘッドの設定温度)、繊維(成分(B))へのポリオレフィン樹脂(成分(A))の含浸性や、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度の観点から、ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点をTm(℃)と表して、好ましくは(Tm+90)〜(Tm+300)℃であり、より好ましくは(Tm+90)〜(Tm+250)℃であり、特に好ましくは(Tm+90)〜(Tm+200)℃である。なお、ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点をTm(℃)は、DSC測定によって得られた吸熱曲線のピークトップの値である。
【0051】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))を溶融して、繊維(成分(B))に含浸させる前に、繊維(成分(B))を予め加熱することが好ましい。加熱する温度は、繊維(成分(B))に対するポリオレフィン樹脂(成分(A))の含浸性や接着性、得られる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度や、樹脂組成物中にボイドが発生することを防止するという観点から、好ましくは(Tm−100)〜(Tm+240)℃であり、より好ましくは(Tm−50)〜(Tm+200)℃であり、特に好ましくは(Tm−10)〜(Tm+180)℃である。
【0052】
加熱方法や加熱装置としては、例えば、赤外線加熱、電気加熱等を使用することができる。加熱された繊維(成分(B))の温度が、次の含浸工程までの間に低下しないように、加熱工程と含浸工程の間の距離を極力短くするか、繊維(成分(B))を適度に加熱または保温することが好ましい。
【0053】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の形状としては、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等の形状が挙げられる。特に、射出成形へ適用するためには、長さ2〜50mmのペレット状にすることが好ましい。
【0054】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物は、公知の成形法で成形することができる。特に、射出成形によって得られた成形品の場合、成形品の機械的強度を高度に保持するために、成形品中において、繊維(成分(B))の重量平均繊維長が1mm以上で分散している成形品が好ましい。
【0055】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品について、さらに具体的に、参考例として以下のとおり説明する。
(参考例1)
評価に用いた長繊維強化ポリプロピレン系樹脂ペレットは、次のような方法で作成した樹脂含浸繊維束を切断することにより得る。すなわち、安定剤3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを2000ppm、ジミリスチルチオジプロピオネートを0.5ppm、ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニ−ルペンタエリスリトールジフォスフェイト)を1000ppm配合した収束剤で収束したガラス繊維束のロービングを連続的に引取りながら加熱した後、クロスヘッドダイを通過させる。クロスヘッドダイには、押出機にて溶融したプロピレン単独重合体(MFR=120)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40g/10分、マレイン酸グラフト量=0.2重量%)のブレンド物(プロピレン単独重合体/マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂=90/10(重量%/重量%))が供給され、クロスヘッドダイ中で300℃でガラスロービングに含浸される。この時、ガラスロービングの引取り速度と溶融したプロピレン樹脂の供給量を制御して、ガラス繊維含有量を40重量%に調整する。クロスヘッドダイを通過し、さらに引取りロールを通過後、ペレタイザーにてストランドを切断し9mm長のペレットを作成する。
【0056】
さらに下記条件で射出成形することによって成形品を得ることができる。
射出条件:
成形温度 :250℃
背圧 :0MPa
可塑化時間:21秒
【0057】
(参考例2)
上記の参考例1において、ガラス繊維を収束する収束剤に安定剤として、さらに5,7−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを1000ppm添加する以外は、参考例1と同様の方法で、長繊維強化ポリプロピレン系樹脂ペレットおよび成形品を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上に詳述したとおり、本発明によれば、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品を得ることができる。
【発明の属する技術的分野】
本発明は、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関するものである。さらに詳細には、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂は、成形性や耐薬品性に優れ、比重も小さいため、汎用樹脂として広く利用されている。そして、ポリオレフィン樹脂の強度や剛性等の機械的特性を改良するために、フィラーやガラス繊維等を配合することが知られている。
【0003】
例えば、特開平3−121146号公報には、引き抜き成形法を用いて、強化用連続繊維を引きながら、ポリオレフィンと不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された変性オレフィン系重合体からなる樹脂成分を含浸させ、組成物中5〜80重量%の強化用繊維を含有させて製造される長繊維強化成形用ポリオレフィン樹脂組成物が記載されており、上記の引き抜き成形法を用いた樹脂組成物の製造法において、樹脂に含浸させるための溶融樹脂温度は240〜320℃とするのが好ましいことが記載されている。
【0004】
また、特開平3−230943号公報には、連続した強化用繊維を引きながら溶融熱可塑性樹脂を含浸させる直前に、前記の強化用繊維を(熱可塑性樹脂の溶融温度−100)〜(熱可塑性樹脂の溶融温度+200)℃に加熱する方法によって製造された長繊維強化熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【0005】
しかし、上記の特開平3−121146号公報に記載されている長繊維強化成形用ポリオレフィン樹脂組成物は、強化用連続繊維に樹脂を含浸させる時の溶融樹脂温度が240〜320℃であるという方法によって製造され、また、上記の特開平3−230943号公報に記載されている長繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、繊維に熱可塑性樹脂を含浸させる直前に、繊維を(熱可塑性樹脂の溶融温度−100)〜(熱可塑性樹脂の溶融温度+200)℃に加熱するという方法によって製造されるために、繊維の収束材に含有される樹脂が劣化し、強度等の機械的特性が必ずしも十分でないことがあった。このような状況において、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度の改良が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実状に鑑み、含有量が一定の範囲にあるポリオレフィン樹脂と、含有量が一定の範囲にある繊維とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が一定の範囲にある長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、含有量が一定の範囲にある安定剤を含有する収束剤で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は
ポリオレフィン樹脂(成分(A))20〜95重量%と、繊維(成分(B))5〜80重量%とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が、2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、安定剤(成分(C))100ppm〜20000ppmを含有する収束剤(成分(D))で収束された繊維である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品に係るものである。
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(成分(A))としては、ポリプロピレン樹脂、エチレン単独重合体またはエチレン−α−オレフィンランダム共重合体等のポリエチレン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂、ゴム等を含有していてもよい。
【0010】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))がポリプロピレン樹脂の場合、ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン単独重合後にエチレン−プロピレン共重合部をブロック的に重合したプロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの重合体または共重合体を単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0011】
前記のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0012】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))の製造方法としては、“新ポリマー製造プロセス”(佐伯康治編集、工業調査会(1994))等に例示されている溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合等が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせた製造方法でもよい。製造に用いられる触媒としては、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、または、メタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒である。
【0013】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))がポリプロピレン樹脂の場合、ポリプロピレン樹脂の製造方法としては、例えば、特開平3−94295号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている溶液重合、スラリー重合、バルク重合、気相重合等の方法が挙げられ、また、これらの方法を組み合わせた製造方法でもよい。製造に用いられる触媒としては、好ましくはチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイト触媒、または、メタロセン錯体等を用いて得られるシングルサイト触媒である。
【0014】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))として、好ましくはポリオレフィン樹脂の一部および/またはすべてが不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である。また、ポリオレフィン樹脂(成分(A))として、好ましくはポリプロピレン樹脂である。
【0015】
上記の変性ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンの単独重合体、または、少なくとも2種のオレフィンの共重合体に、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフト重合したもの、オレフィンから選ばれた少なくとも1種と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体を共重合したものである。
【0016】
上記の変性ポリオレフィン樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられ、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。また、クエン酸、リンゴ酸のようにポリプロピレンにグラフトする工程で脱水して不飽和カルボン酸を生じるものを用いてもよい。これらの不飽和カルボン酸およびその誘導体のうち、好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸のグリシジルエステル、無水マレイン酸である。
【0017】
変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、エチレンおよび/またはプロピレンを主なポリマーの構成単位とするポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸をグラフト重合することによって変性されたもの、エチレン及および/またはプロピレンを主成分とするオレフィンとメタクリル酸グリシジルエステルまたは無水マレイン酸とを共重合することによって変性されたものが挙げられる。
【0018】
また、変性ポリオレフィン樹脂として、好ましくは、衝撃強度、疲労特性や剛性等の機械的特性の観点から、ポリマーの構成単位の0.1〜10重量%が、上記の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体によって変性されているものであり、特に、上記の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体がランダム共重合またはブロック共重合によってポリマー鎖中に導入される場合には3〜10重量%が好ましく、グラフト重合によってポリマー鎖中に導入される場合には0.1〜10重量%が好ましい。
【0019】
本発明で用いられる繊維(成分(B))は、ポリオレフィン樹脂を強化できる繊維であり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等が挙げられ、好ましくはガラス繊維である。
【0020】
本発明で用いられる収束剤(成分(D))は、繊維を収束することができるものであり、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、澱粉、植物油等が挙げられる。また、これらの収束剤には、酸変性ポリオレフィン樹脂、表面処理剤、パラフィンワックス等の潤滑剤が含有されていてもよい。
【0021】
収束剤(成分(D))として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂の一部またはすべてが不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂である。収束剤(成分(D))の含有量として、好ましくは、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の生産安定性や、繊維への樹脂の含浸性の観点から、繊維(成分(B))に対して0.01〜5重量%であり、より好ましくは0.05〜3重量%であり、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0022】
本発明においては、繊維(成分(B))とポリオレフィン樹脂(成分(A))との濡れ性や接着性等を良好にするために、繊維(成分(B))の表面を表面処理剤で予め処理してもよい。表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられ、好ましくはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤であり、特に好ましくはシラン系カップリング剤である。
繊維(成分(B))を、上記の表面処理剤で処理する方法としては、例えば、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。
【0023】
シラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。好ましくはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0024】
本発明で用いられる繊維(成分(B))の樹脂組成物中における重量平均繊維長は、2mm以上である。2mm未満の場合、成形品の剛性、衝撃強度等の機械的特性が不十分なことがある。重量平均繊維長として、好ましくは、成形品の剛性、衝撃強度等の機械的特性、樹脂組成物の製造のし易さや成形性の観点から、3〜50mmである。なお、繊維の重量平均繊維長は本発明のポリオレフィン樹脂組成物中での長さであり、特開平2002−5924号公報に記載されている測定法によってもとめられたものである。
【0025】
本発明で用いられる繊維(成分(B))は、樹脂組成物中において、繊維(成分(B))の全てが、実質上、2mm以上の長さを有し、かつ、互いにほぼ平行な状態で配列していることが好ましい。特に、射出成形に用いられる樹脂組成物については、射出成形性を損なうことなく、優れた強度が保持された成形品を得るために、樹脂組成物が長さ2〜50mmのペレットであり、ペレット中において、繊維(成分(B))の長さが実質上ペレットと同一の長さであり、かつ、互いにほぼ平行な状態で配列していることが好ましい。
【0026】
本発明で用いられる安定剤(成分(C))としては、酸化防止剤、光安定剤、金属キレート化剤等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
【0027】
安定剤(成分(C))の含有量は、収束剤(成分(D))に対して100ppm〜20000ppmであり、好ましくは200ppm〜15000ppmであり、特に好ましくは300ppm〜10000ppmである。安定剤(成分(C))の含有量が100ppm未満の場合、機械的強度が低下することがあり、20000ppmを超えた場合、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の生産安定性が低下することがある。
【0028】
安定剤(成分(C))を収束剤(成分(D))に添加する方法としては、例えば、収束剤(成分(D))に安定剤(成分(C))を予め混ぜる方法、収束剤(成分(D))を分散させたエマルジョンに安定剤(成分(C))を添加し、収束剤(成分(D))中に安定剤(成分(C))を分散させる方法等が挙げられる。
【0029】
本発明で用いられる酸化防止剤としては、過酸化物分解剤,ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
過酸化物分解剤としては、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、
【0030】
2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[df][1,3,2][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0031】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0032】
ラジカル捕捉剤としては、フェノール系酸化防止剤、アルキルラジカル捕捉剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
【0033】
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0034】
アルキルラジカル捕捉剤としては、例えば、5,7−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、5,7,8−トリメチルトコール、5,8−ジメチルトコール、7,8−ジメチルトコール、8−メチルトコール、2−(1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル)−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0035】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、アクリレート系光安定剤、ニッケル系光安定剤、オキサミド系光安定剤、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤等が挙げられる。
【0036】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−(テトラメチル−4− ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、
【0037】
4−[3−(3,5ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
【0038】
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、
【0039】
ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、
【0040】
N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’−4,7−テトラキス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10ジアミン、N,N’−4−トリス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’−4,7−テトラキス[4,6−ビス(n−ブチル−N−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’−4−トリス[4,6−ビス(n−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0041】
アクリレート系光安定剤としては、例えば、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0042】
ニッケル系光安定剤としては、例えば、2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0043】
オキサミド系光安定剤としては、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0044】
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤としては、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
【0045】
上記の安定剤(成分(C))のうち、好ましくは酸化防止剤であり、より好ましくはラジカル捕捉剤であり、特に好ましくはアルキルラジカル捕捉剤である。
【0046】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や造核剤、結晶化促進剤を配合してもよい。また、必要に応じて、例えば、他の安定剤(酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤等)、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤等をさらに配合してもよい。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ワラススナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を配合してもよい。
【0047】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物におけるポリオレフィン樹脂(成分(A))および繊維(成分(B))のそれぞれの含有量は、20〜95重量%および5〜80重量%であり、好ましくはそれぞれが25〜90重量%および10〜75重量%であり、より好ましくはそれぞれが30〜80重量%および20〜70重量%である。繊維(成分(B))が5重量%未満の場合、剛性、衝撃強度等の機械的特性が不十分なことがあり、80重量%を超えた場合、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の製造および成形が困難になることがある。
【0048】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の製造方法としては、プルトルージョン法(引き抜き成形法)が用いられる。プルトルージョン法は、基本的には連続した繊維束を引きながら樹脂を含浸する方法であり、例えば、
▲1▼樹脂のエマルジョン、サスペンジョンまたは溶液を入れた含浸液の中に繊維束を通し含浸する方法、
▲2▼樹脂の粉末を繊維束に吹き付けた後、または、粉末を入れた槽の中に繊維束を通し繊維に樹脂を付着させた後、樹脂を溶融して含浸する方法、
▲3▼クロスヘッドの中に繊維束を通しながら押出機等からクロスヘッドに樹脂を供給し含浸する方法
等が知られている。
【0049】
本発明において、特に好ましくは、クロスヘッドを用いる方法▲3▼である。また、上記のプルトルージョン法(引き抜き成形法)における樹脂の含浸操作は、1段で行ってもよく、少なくとも2段に分けて行ってもよい。
【0050】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))を溶融して、繊維(成分(B))に含浸させる温度は(例えば、クロスヘッドダイを用いる場合はクロスヘッドの設定温度)、繊維(成分(B))へのポリオレフィン樹脂(成分(A))の含浸性や、長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度の観点から、ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点をTm(℃)と表して、好ましくは(Tm+90)〜(Tm+300)℃であり、より好ましくは(Tm+90)〜(Tm+250)℃であり、特に好ましくは(Tm+90)〜(Tm+200)℃である。なお、ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点をTm(℃)は、DSC測定によって得られた吸熱曲線のピークトップの値である。
【0051】
ポリオレフィン樹脂(成分(A))を溶融して、繊維(成分(B))に含浸させる前に、繊維(成分(B))を予め加熱することが好ましい。加熱する温度は、繊維(成分(B))に対するポリオレフィン樹脂(成分(A))の含浸性や接着性、得られる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の機械的強度や、樹脂組成物中にボイドが発生することを防止するという観点から、好ましくは(Tm−100)〜(Tm+240)℃であり、より好ましくは(Tm−50)〜(Tm+200)℃であり、特に好ましくは(Tm−10)〜(Tm+180)℃である。
【0052】
加熱方法や加熱装置としては、例えば、赤外線加熱、電気加熱等を使用することができる。加熱された繊維(成分(B))の温度が、次の含浸工程までの間に低下しないように、加熱工程と含浸工程の間の距離を極力短くするか、繊維(成分(B))を適度に加熱または保温することが好ましい。
【0053】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物の形状としては、ストランド状、シート状、平板状、ストランドを適当な長さに裁断したペレット状等の形状が挙げられる。特に、射出成形へ適用するためには、長さ2〜50mmのペレット状にすることが好ましい。
【0054】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物は、公知の成形法で成形することができる。特に、射出成形によって得られた成形品の場合、成形品の機械的強度を高度に保持するために、成形品中において、繊維(成分(B))の重量平均繊維長が1mm以上で分散している成形品が好ましい。
【0055】
本発明の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品について、さらに具体的に、参考例として以下のとおり説明する。
(参考例1)
評価に用いた長繊維強化ポリプロピレン系樹脂ペレットは、次のような方法で作成した樹脂含浸繊維束を切断することにより得る。すなわち、安定剤3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを2000ppm、ジミリスチルチオジプロピオネートを0.5ppm、ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニ−ルペンタエリスリトールジフォスフェイト)を1000ppm配合した収束剤で収束したガラス繊維束のロービングを連続的に引取りながら加熱した後、クロスヘッドダイを通過させる。クロスヘッドダイには、押出機にて溶融したプロピレン単独重合体(MFR=120)とマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(MFR=40g/10分、マレイン酸グラフト量=0.2重量%)のブレンド物(プロピレン単独重合体/マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂=90/10(重量%/重量%))が供給され、クロスヘッドダイ中で300℃でガラスロービングに含浸される。この時、ガラスロービングの引取り速度と溶融したプロピレン樹脂の供給量を制御して、ガラス繊維含有量を40重量%に調整する。クロスヘッドダイを通過し、さらに引取りロールを通過後、ペレタイザーにてストランドを切断し9mm長のペレットを作成する。
【0056】
さらに下記条件で射出成形することによって成形品を得ることができる。
射出条件:
成形温度 :250℃
背圧 :0MPa
可塑化時間:21秒
【0057】
(参考例2)
上記の参考例1において、ガラス繊維を収束する収束剤に安定剤として、さらに5,7−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オンを1000ppm添加する以外は、参考例1と同様の方法で、長繊維強化ポリプロピレン系樹脂ペレットおよび成形品を得ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上に詳述したとおり、本発明によれば、繊維の収束剤に含有される樹脂の劣化を防止し、機械的特性に優れる長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法およびその樹脂組成物からなる成形品を得ることができる。
Claims (11)
- ポリオレフィン樹脂(成分(A))20〜95重量%と、繊維(成分(B))5〜80重量%とを含有し、樹脂組成物中において、前記繊維の重量平均繊維長が、2mm以上である長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物であって、前記繊維が、安定剤(成分(C))100ppm〜20000ppmを含有する収束剤(成分(D))で収束された繊維であることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
- ポリオレフィン樹脂(成分(A))が、ポリオレフィン樹脂の一部またはすべてが不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
- ポリオレフィン樹脂(成分(A))が、ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の長繊維強化ポリオレフィン脂樹脂組成物。
- 樹脂組成物中において、繊維(成分(B))の全てが、実質上、2mm以上の重量平均繊維長を有し、かつ互いにほぼ平行な状態で配列していることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂組成物。
- 安定剤(成分(C))が、酸化防止剤であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物。
- 安定剤(成分(C))が、ラジカル捕捉剤であることを特徴とする請求項5記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物
- 安定剤(成分(C))が、アルキルラジカル捕捉剤であることを特徴とする請求項6記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物。
- 収束剤(成分(D))の一部またはすべてが、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物からなる成形品であって、成形品中において、繊維(成分(B))の重量平均繊維長が1mm以上であることを特徴とする成形品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物の製造法であって、繊維(成分(B))に、ポリオレフィン樹脂(成分(A))を含浸させる時の温度が、(ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点(Tm)+90)℃以上であることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物の製造法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物の製造法であって、繊維(成分(B))を予め、(ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点(Tm)−100)〜(ポリオレフィン樹脂(成分(A))の融点(Tm)+240)℃に加熱した後に、ポリオレフィン樹脂(成分(A))を含浸させることを特徴とする長繊維強化ポリオレフィン樹脂樹脂組成物の製造法。
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