JP6094038B2 - 多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法と、多孔質電極基材の製造方法及び同電極基材 - Google Patents

多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法と、多孔質電極基材の製造方法及び同電極基材 Download PDF

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に適用される多孔質電極基材の前駆体シートの製造方法、並びに同製造方法により得られる多孔質電極基材用前駆体シートを使った多孔質電極基材の製造方法及び同製造方法により得られる電極基材に関する。
固体高分子型燃料電池には、導電性が高く、集電能に優れ、電極反応に寄与する物質の拡散が良好であることが要求されており、同時に各種作業に耐え得る機械的強度を有している必要がある。そこに使われる電極基材には炭素化された繊維が使われ、近年、長尺の炭素化シートをロール状に連続して巻き取り、巻き戻すことを可能にする、所要の可撓性をもつ炭素化シートが多く提案されている。
例えば、特許第4461695号公報(特許文献1)には、目付が15〜60g/m2 の範囲内にある、実質的に二次元平面内において無作為な方向に分散せしめられた炭素短繊維と、目付が13〜150g/m2 の範囲内にある熱硬化性樹脂とを含む帯状の炭素繊維紙を、不活性雰囲気に保たれた加熱炉内で連続的に走行せしめながら10〜1000℃/分の範囲内の速度をもって、少なくとも1200℃まで昇温し、焼成して熱硬化性樹脂を炭素化したのち、ロール状に巻き取ることが記載されている。こうしてロール状に巻き取られる炭素化シートは、実質的に二次元平面内において無作為な方向に分散せしめられた炭素短繊維がひび割れを有する炭素化物で結着されており、かつ、3点曲げ試験における最大荷重が少なくとも0.5Nであって曲げ弾性率が1〜10GPaの範囲内にあり、厚みが0.1〜0.25mmの範囲内にあって、厚み方向の電気抵抗が12mΩ・cm2 以下の、導電性や機械的強度が高く、ハンドリング性に優れた多孔質炭素電極基材が得られるとしている。
この特許文献1に記載された炭素繊維紙を構成する炭素短繊維は、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などのいずれも使われるが、これらの繊維のうち機械的強度が比較的高いポリアクリロニトリル系炭素繊維が良いとしている。炭素繊維紙の製造には、液体の媒体中に炭素短繊維を分散させて抄造する湿式法が好適であるとしており、この湿式法により炭素繊維紙の抄造するとき、炭素短繊維を分散させる液体の媒体には、工業的に安く手に入る水が使われる。この水には、通常、一般の水道水や工業用水が使われている。
また、特開2010−272250号公報(特許文献2)の多孔質炭素電極の製造方法によれば、実質的に二次元平面においてランダムな方向に分散せしめられた繊維直径が3〜9μmの炭素短繊維と繊維素繊維以外の濾水度が400〜900mlのフィブリル状物からなる炭素繊維紙に炭素化可能な熱硬化性樹脂を含浸させて、同樹脂を炭素化して製造される。多孔質電極基材の炭素短繊維としては、アクリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などいずれかが使われてもよいが、炭素短繊維の生産コスト、分散性、最終多孔質炭素電極基材の平滑性の面から、炭素短繊維の直径を3〜9μm、炭素短繊維の繊維長を、前記樹脂との結着性や分散性を満たすため、2〜12mmとした炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸固化したのち、不活性ガス雰囲気中にて焼成して厚さが150μmの極めて薄手の多孔質電極基材を得ている。
ところで、一般的に多孔質炭素電極基材に貫通孔が多く形成されると、撥水処理などの後加工で斑が形成されたり、更には多くの貫通孔を含む多孔質炭素電極基材を燃料電池に
組み込むと、電池の平面内での不均一な発電は電解質膜の劣化を促進するため、燃料電池の耐久性にも悪影響を与えてしまう。
これを避けるため、例えば特開2011−65926号公報(特許文献3)の多孔質炭素電極基材の製造方法では、上記特許文献2と同様の炭素短繊維から炭素繊維紙を抄造し、前記炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて樹脂含浸紙を得て、前記樹脂含浸紙を加熱プレス成形して樹脂硬化シートを得たのち、前記樹脂硬化シートを不活性雰囲気下の焼成炉内に走行させて、前記樹脂硬化シートを焼成して多孔質炭素繊維シートを製造する。このとき、樹脂硬化シートに珪素含有量が多いと、炭素繊維と反応してシートに貫通孔が多く形成される。次工程の焼成中に珪素が炉壁に付着し、樹脂硬化シート上に落下して、前述の貫通孔の増加につながる。これを避けるには珪素含有量を100ppm以下にすることが好ましいとしている。更に、前記焼成炉の幅に対する樹脂硬化シートの幅の比率(シート幅比率)を90%以下とすることにより、得られる多孔質炭素電極基材は、1mm以上の長径を有する貫通孔の個数を、1m2 あたり0.2個以下に抑制でき、電池発電特性や後加工の生産性向上につなげている。
また、この特許文献3によれば、炭素繊維紙の抄造時に炭素短繊維のバインダーとして、抄紙工程での炭素繊維との決着力に優れるため、例えばポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレン、ポリアクリロニトリル、セルロース、ポリ酢酸ビニルなどの有機高分子化合物からなるパルプ状物又は短繊維をスラリーに混入させることが好ましいと記載されているが、近年は特にフィブリル状PVA繊維が多く用いられている。これらの有機高分子化合物は、多孔質炭素電極基材の最終段階の炭素化過程で殆どが分解・揮発してしまう。
特許第4461695号公報 特開2010−272250号公報 特開2011−65926号公報
ところで、品質には格別の影響はないが、近年、上述のようにして連続して製造される多孔質炭素電極基材の表面に黒色の多くのしみが目立つようになってきた。このしみが付くと、製品としての体裁がわるく、長尺の多孔質炭素電極基材の購入元はもとより、その長尺の多孔質炭素電極基材を固体高分子型燃料電池に適合する寸法に切断し、固体高分子型燃料電池へと組み込む固体高分子型燃料電池の製造業者などのユーザーからのクレームが増えている。このクレームに対処するには、しみの付いている箇所を含む周辺領域を切除して廃棄せざるを得ず、そのための歩留りの低下は無視できないものとなってきている。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、前記しみの発生を大幅に低減させて、しみが殆ど発生しない外観的にも高品位で高品質の長尺の多孔質炭素電極基材の多孔質炭素電極基材用前駆体シートの連続製造方法と、同製造方法によって製造される多孔質炭素電極基材用前駆体シートを使った長尺の多孔質炭素電極基材の製造方法及び同製造方法によって製造される多孔質炭素電極基材を提供することにある。
上記目的を達成するため、まずは上記黒色のしみの発生原因について様々な検討、実験
、分析を繰り返した。すなわち、始めにしみの発生原因が何処にあるかについて検討したところ、上記特許文献1に記載されているNaの存在が上記しみの発生に何らかの関連があるのではないか推測した。
上記特許文献1によれば、連続焼成では焼成炉内の昇温速度が早いため、バッチ式による場合と較べて得られる電極基材にNaやCa等の金属が残留しやすく、これらの金属イオンは、固体高分子電解質のプロトン伝導性の低下を引き起こす。この特許文献1では、熱硬化性樹脂中のNaの量が最大でも500ppm以下、Caの量が50ppm以下となるようにすれば、固体高分子電解質のプロトン伝導性の低下を抑制することができるとしている。そのために、熱硬化性樹脂である、例えばフェノール樹脂には金属を含まない触媒を用いたものを選択することが好ましいとしている。
こうした点に着目して、本発明者は、同じ多孔質電極基材用前駆体シートを使うとともに、Naの量が特許文献1によって提示されている範囲内にある同じフェノール樹脂を遣い、従来の昇温速度下での連続焼成と、特許文献1に開示された昇温速度に制御された連続焼成法とに従った試験を行い、そこで得られた長尺の多孔質炭素電極基材の表面を詳しく観察した。その結果、両者共に、その表面に多数の黒色のしみが散在していた。しかし、両者のしみの大きさや数について見ると、従来の方法に従って製造した多孔質炭素電極基材の表面についたしみの大きさ及び数が、特許文献1に開示された連続焼成法に従って製造した多孔質炭素電極基材の表面についた大きさより大きく、しかも数を越えていた。
この試験結果から、特許文献1に開示された方法にあるとおり昇温速度を制御すれば、従来の方法よりもしみの発生を抑制できるものの、焼成時の昇温速度を制御するだけではいまだ多くの大きなしみが発生している。このように、先の試験では多孔質炭素電極基材用の前駆体シートに含まれる熱硬化性樹脂の樹脂量及び材質が同じであって、Naの量も同じ前駆体シートを使っているであるにも関わらず、従来の焼成法と特許文献1による焼成法と間で、焼成後の多孔質炭素電極基材に発生するしみの大きさ及び数に差が生じていることは、しみがNa量に関係しており、それが同時に焼成工程におけるNaの挙動とも大きく関わっていると推定できる。
そこで、更に焼成炉内におけるNaの挙動に着目した。前駆体シートに含まれるNaは高温の焼成炉内で炭素と反応してNa塩を生成させて前駆体シートから離散し、炉内を浮遊する。この浮遊するNa塩は周辺の炉壁面や焼成中の前駆体シートに付着する。このとき付着したNa塩が更に反応を続けて、炉壁を腐食させ、或いは焼成中の前駆体シートを変質させる。この変質された部分に局部的な黒色のしみを作るものと考えられる。ここで、本発明において黒色のしみとは、大きさが長さ方向で1mmを越え、明るさが正常部のピークレベル50%以下である黒色欠点部をいう。
一方、ユーザーの承諾を得るには、上記多孔質炭素電極基材の表面につく黒色のしみの大きさと数が、最長辺部の長さが1mm以上のしみが3個/60m2 以下であることを満足する必要があり、より高いスペックを求められる場合は最長辺部の長さが1mm以上のしみが1個/60m2 以下であることを満足する必要がある。これを満足させるには、Na量を極力少なくする必要がある。こうして得られる長辺が1mm以上のしみが1個/60m2 以下である多孔質電極基材は、本発明の別の実施形態である。
そこで、本発明者らは長尺の多孔質炭素電極基材の製造工程にあって、特にNaが残留しやすい工程の有無について詳細に探査検討した。その結果、前述の特許文献1に記載された熱硬化性樹脂の選定に関しても改めて検討すると同時に、その他の工程における仕様についても詳しく検討し、各種の実験を重ねた。その結果、近年になって多孔質炭素電極基材の表面に多発する黒色の発生の主な要因が、多孔質炭素電極基材の前駆体シートであ
る炭素繊維からなる前駆体短繊維シートに付着しているNaの存在にあることが確認された。その原因を知って初めて以下に述べるような本発明に到達したものである。
具体的には、同じ多孔質炭素電極基材を製造するにあたって、乾式抄紙法と湿式抄紙法の双方にて炭素繊維紙を抄造した。炭素繊維紙の製造条件としては、乾式抄紙法では炭素短繊維とPVA短繊維とを所定の割合で均一に分散するように混合させて所定の厚さのウェブを作成し、加熱加圧してPVA短繊維によって炭素短繊維を結付させて炭素繊維紙を作った。この炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を所定量含浸させて加熱硬化させたのち、定法に従って不活性雰囲気に保たれた焼成炉に入れて焼成し、多孔質炭素電極基材を製造した。湿式抄紙法による方法では、乾式抄紙法と同様に炭素短繊維とPVA短繊維と均一に混合し、その混合繊維を水槽の水道水中で均一に分散させたのち、抄き網で掬い上げたのち乾燥させて、上記乾式抄紙法により得られた炭素繊維紙と同じ厚さの炭素繊維紙を作成した。これを、上記乾式抄紙法と同様、定法に従って焼成して多孔質炭素電極基材を製造した。
乾式抄紙法により製造された炭素繊維紙を使って得られる多孔質炭素電極基材と、湿式抄紙法により製造された炭素繊維紙を使って得られる多孔質炭素電極基材とを比較すると、上記黒色のしみの大きさは湿式抄紙法により得られた多孔質炭素電極基材の方が、乾式抄紙法により得られた多孔質炭素電極基材のそれより大きく、また前者の方がしみの数も多かった。その差が生じる原因としては、乾式抄紙法と湿式抄紙法の違いに基づいていると考えられる。しかし、工業的に連続して効率的に炭素繊維紙を得るには湿式抄紙法の方が乾式抄紙法よりも数段勝っている。
上記各特許文献1〜3に記載された炭素繊維紙を工業的に製造するには一般的に湿式抄紙法が採用されることが多くなってきており、この湿式抄紙法にて使われる水には、既述したとおり、通常は工業用水や水道水を使っている。この工業用水や水道水には、特許文献1にも記載されているように、多くのNaが含まれている。
以下に説明する本発明は、こうした様々な検討と実験や試験を積み重ねた結果、到達したものである。
本発明の最も基本となる第1の主要な構成は、炭素短繊維(A)を、Na濃度が2ppm以下である水に混合して繊維混合スラリーとし、当該繊維混合スラリーにポリビニルアルコールを5〜15重量%添加して連続して抄造し、得られた多孔質電極基材用前駆体シートを炭素化処理の前に90℃〜120℃で乾燥する多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法にある。また、炭素短繊維シートのバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を使う場合には、前記製造方法により得られる多孔質電極基材用の前駆体シートの、Na含有量が50ppm以下であり、かつポリビニルアルコールの含有量が3.5〜10.5重量%であることが望ましい。
更に、上記電極基材用前駆体シートの製造方法にあって、炭素短繊維(A)と共に炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)をNa濃度が2ppm以下である水に混合して前記繊維混合スラリーを作成するとよい。このとき使う水としては、Na濃度が2ppm以下である脱イオン水であることが好ましい。
また、前記繊維混合スラリーにポリビニルアルコールを添加するにあたって、その添加量を5〜15重量%として、得られた多孔質電極基材用前駆体シートを炭素化処理の前に90℃〜120℃で乾燥することが好ましい。更に、これらの多孔質電極基材用前駆体シートを炭素化するにあたって、Na含有量が50ppm以下、かつポリビニルアルコールの含有量が3.5〜10.5重量%であることが好ましい
こうして得られる多孔質電極基材用前駆体シートを定法に従って炭素化処理し、長尺の多孔質電極基材を連続して製造すると、上述のような、長辺が1mm以上のしみが3個/60m2 より少ない多孔質電極基材が得られる。なお、前記繊維混合スラリーにポリビニルアルコールを添加しなければ、長辺が1mm以上のしみは1個/60m2 より少ない多孔質電極基材が得られる。
本発明の係る多孔質電極基材の表面に形成されるしみの自動外観自動検査装置の一例を模式的に示す側面図である。 同検査装置による光学的な欠陥検出原理図である。
以下、図面と表を参照しながら、本発明を代表的な実施形態に基づき更に詳しく説明する。
本発明の長尺の多孔質電極基材の連続製造方法は、以下に述べる1〜3の三つの主要な工程を含むものである。すなわち、
1.炭素短繊維(A)をNa濃度が2ppm以下である水中に分散させて前駆体炭素短繊維シート状物を製造する工程(前駆体用のシート状物製造工程1)、
2.前記前駆体用のシート状物に、水溶性フェノール樹脂及び/又は水分散性フェノール樹脂を添加する工程(樹脂添加工程2)、
3.樹脂添加工程2の後に、前駆体炭素繊維シート(前駆体)を1000℃以上の温度で炭素化処理する工程(炭素化処理工程3)。
ここで、前記前駆体用のシート状物製造工程1におけるNa濃度が2ppm以下である水として、脱イオン水を使用することが望ましく、この水に炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)とを水中に分散させることを含んでもよく、この混合スラリーに更にポリビニルアルコールを5〜15重量%を添加してから抄造することも含んでいる。このとき抄造して得られる前駆体用のシート状物を前記樹脂添加工程2の前に90℃〜120℃で乾燥させる(第1乾燥処理工程6)とよい。
前記前駆体用のシート状物製造工程1において、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)とを水中に分散してシート状物を得るか、又は前記前駆体用のシート状物製造工程1と前記樹脂添加工程2との間に、シート状物を交絡処理する交絡処理工程4を含ませることにより、炭素短繊維(A)が単繊維に開繊するのを助け、また前駆体炭素繊維シートの強度を上げることができる。
更に、前記樹脂添加工程2と前記炭素化処理工程3との間に、前駆体シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する工程5(加熱加圧工程5)を含ませることもできる。
また、前記交絡処理した後のシート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理したシート状物から分散媒を除去する観点から、交絡処理したシート状物を20〜200℃で再び乾燥処理するとよい。
炭素化処理工程3では、得られる多孔質電極基材に対する十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。このとき、炭素化処理を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行うことができる。この前炭素化処理を行うことによって、炭素化初期段階において発生するNaを多量に含む分解ガスが容易に出し切れるようになり、炭素化炉内壁への各種分解物の付着や堆積、或いはその分解物による腐食などの痛みや黒色のしみの発生を容易に抑制することができる。
以下、各処理工程及びそこで使われる用語等について具体的に説明する。
<前駆体用のシート状物製造工程1>
炭素短繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)を水中に分散させることにより、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)とが絡み合うことでシート状物の強度が向上し、実質的にバインダーフリーとすることもできる。
なお、本発明においても、有機高分子化合物をバインダーとして少量用いてもよい。バインダーとして使用する有機高分子化合物は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)や、熱融着するポリエステル系あるいはポリオレフィン系のバインダー等が挙げられる。バインダーは繊維や粒子のような固体状でも液体状でもよい。繊維状のPVAは、硫酸ナトリウムを含む紡浴を用いて製造されることが多いため、一般にナトリウム(Na)を元素として多量に含有する。このようにナトリウム分を多量に含有するバインダーを用いると、そのナトリウム分はシート状物及び前駆体シートにも残留するが、後の炭素化処理工程3でシート外に放出される。
放出されたナトリウム分は炭素化炉内に飛散し、改めて前駆体シートの表面に付着して、その表面に局部的な黒色のしみを形成し、或いは炉内の壁面に付着して炉を傷める原因となるので、ナトリウム含有量が少ないことが前駆体シートとしては好ましい。その際のバインダーの含有量としては10g/m2 以下、好ましくは5g/m2 以下、より好ましくは1g/m2 以下である。バインダーの添加方法は特に限定されない。例えば、炭素短繊維(A)や、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)と一緒に分散しても良いし、炭素短繊維(A)を含むシート状物を形成した以降に添加してもよい。
炭素短繊維(A)、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)等の繊維状物を分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなど、繊維状物が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。通常の抄造には工業用水か水道が使われており、この工業用水には多量のナトリウム(Na)、珪素、カルシウムなどが含まれている。本発明にあっては、既述した理由から、可能なかぎり特にNa濃度の低い水を採用することが肝要である。その含有量は、Na濃度を2ppm以下と低く抑えた水であって、Na濃度が2ppm以下である脱イオン水が好適に使われる。
上記シート状物は、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、シート状物の生産性及び機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。シート状物の目付は、10〜200g/m2 程度であることが好ましい。また、シート状物の厚みは、20〜400μm程度であることが好ましい。
<樹脂添加工程2>
炭素繊維紙に含浸させる熱硬化性樹脂としては、常温において粘着性または流動性を示す樹脂で、かつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂等を用いることができる。フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾールタイプのフェノール樹脂を用いることができる。また、レゾールタイプの流動性フェノール樹脂に、公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラックタイプのフェノール樹脂を溶解混入させることもできる。ただし、この場合、硬化剤として例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプとすることが好ましい。フェノール樹脂として、市販品を利用することも可能である。
なお、フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。
炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸させて得られる樹脂含浸紙における熱硬化性樹脂の含有率は、30〜70質量%であることが好ましい。熱硬化性樹脂の含有率を30質量%以上とすることで、得られる多孔質炭素電極基材の構造が密になり、強度が高くなる。また、熱硬化性樹脂の含有率を70質量%以下とすることで、得られる多孔質炭素電極基材の空孔率およびガス透過性を良好に保つことができる。なお、樹脂含浸紙とは、加熱加圧前の、炭素繊維紙に熱硬化性樹脂を含浸したものをいうが、樹脂含浸の際に溶媒を用いた場合には溶媒を除去したものをいう。
熱硬化性樹脂と導電性物質の混合物を炭素繊維紙に含浸させてもよい。導電性物質としては、炭素質ミルド繊維、カーボンブラック、アセチレンブラック、等方性黒鉛粉などが挙げられる。導電性物質の混合量は、熱硬化性樹脂に対して1〜10質量%が好ましい。導電性物質の混合量を1質量%以上とすることで、導電性改善の効果が十分になる。また、導電性物質の混合量が10質量%を超えても導電性改善の効果が飽和する傾向にあるので、導電性物質の混合量が10質量%以下とすることでコストアップを抑制することができる。
熱硬化性樹脂と場合により導電性物質とを含む溶液を炭素繊維紙に含浸する方法としては、絞り装置を用いる方法、または別途作製した熱硬化性樹脂フィルムを炭素繊維紙に重ねる方法が好ましい。絞り装置を用いる方法では、含浸溶液に炭素繊維紙を含浸し、絞り装置で取り込み液が炭素繊維紙全体に均一に塗布されるようにし、液量は絞り装置のロール間隔を変えることで調節する方法である。溶液の粘度が比較的低い場合は、スプレー法等を用いることもできる。熱硬化樹脂フィルムを炭素繊維紙に重ねる方法では、まず熱硬化性樹脂と場合により導電性物質とを含む溶液を離型紙にコーティングし、熱硬化性樹脂フィルムとする。その後、炭素繊維紙に熱硬化性樹脂フィルムを積層して、加熱加圧処理を行い、熱硬化性樹脂を炭素繊維紙に含浸させる方法である。
上記フェノール樹脂固形分の付着量は、シート状物100質量部に対し、多孔質電極基材の機械的強度の観点から20質量部以上が好ましく、多孔質電極基材のガス透過度の観点から150質量部以下が好ましく、20〜120質量部がより好ましい。
<炭素化処理工程3>
前駆体シートを炭素化処理する方法としては、室温からの連続昇温により炭素化するような方法であればよく、1000℃以上の温度で行う。なお、十分な導電性付与の観点から、炭素化処理は、不活性雰囲気下にて1000℃〜2400℃の温度範囲で行うことが好ましい。なお、炭素化処理工程を行う前に、不活性雰囲気下にて300〜1000℃の温度範囲で前炭素化処理を行ってもよい。前炭素化処理を行うことで炭素化初期段階において発生する分解ガスを容易に出し切ることができることから、炭素化炉内壁へのNaやCaなどの分解物の付着や堆積を容易に抑制することができるため、炉壁の腐食と前駆体シートに対する黒色のしみの発生を抑制できるようになる。
連続的に製造された前駆体シートを炭素化処理する場合は、製造コストの観点から、前駆体シートの全長にわたって連続で熱処理を行うことが好ましい。多孔質電極基材が長尺であれば、多孔質電極基材の生産性が高くなり、かつその後の膜−電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)製造も連続で行うことができるので、燃料電池の製造コストの低減が図れる。また、多孔質電極基材や燃料電池の生産性及び製造コストの観点から、製造された多孔質電極基材を連続的に巻き取ることが好
ましい。
<交絡処理工程4>
シート状物を交絡処理することで、炭素短繊維(A)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。前駆体用のシート状物製造工程1において、炭素短繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、シート状物を交絡処理することで、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)とが3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
交絡処理は、交絡構造を形成す方法から必要に応じて選択することができ、特に限定されない。ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素短繊維(A)の破断を容易に抑制することができ、かつ適切な交絡性が容易に得られるという点で、高圧液体噴射法が好ましい。
以下、前記高圧液体噴射法について詳しく説明する。
高圧液体噴射処理とは、実質的に表面平滑な支持部材上にシート状物を載せ、例えば1MPa以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、シート状物中の炭素短繊維(A)を交絡させる処理方法である。前駆体用のシート状物製造工程1において、炭素短繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)とを交絡させる。ここで、実質的に表面平滑な支持部材としては、得られる交絡構造体に支持部材の模様が形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものから必要に応じて選択して用いることができる。その具体例としては、30〜200メッシュの金網またはプラスチックネットあるいはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で、炭素短繊維(A)を含むシート状物を製造した後に、続けて高圧液体噴射処理等による交絡処理を連続的に行うことが、生産性の観点から好ましい。
シート状物の高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。すなわち、シート状物の高圧液体噴射処理を行った後、さらにシート状物を積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある交絡した構造を有するシート状物(交絡構造シート状物)を裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限されないが、通常は脱イオン水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズル孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cmが好ましい。液体の圧力は、繊維の交絡の観点から1MPa以上が好ましく、より好ましくは1.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列でもよい。複数列行う場合、シート状物形態維持の観点から1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
交絡構造シートを連続的に製造すると、シート化方向に筋状の軌跡パターンが形成され、シートに疎密構造が生じる場合がある。しかし、1列または複数列のノズル孔を備える
高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させることにより、前記軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向に引張強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより、交絡構造シートに現れる周期的な模様を抑制することもできる。
交絡処理工程によりシートの引張強度が向上するため、通常、抄紙で使用されるポリビニルアルコール等のバインダーを使用せずに済み、かつ水中あるいは湿潤状態でもシートの引張強度を維持できる。これにより、交絡処理したシートに連続して水分散性樹脂または水溶性樹脂を添加することが可能となる。さらに、水分散性樹脂または水溶性樹脂の使用により有機溶媒の回収もせずに済むため、従来よりも製造設備を簡略化でき、製造コストを低減することができる。
<加熱加圧工程5>
多孔質電極基材の厚みむらを低減させ、さらに、交絡処理によりシート表面に毛羽立った状態となった繊維の、シート表面近傍における毛羽立ちを抑制し、燃料電池として組み込んだ際の短絡電流やガスリークを抑制するという観点から、前駆体シートを100〜250℃の温度で加熱加圧する。この加熱加圧工程5は、前駆体用のシート状物製造工程1において、炭素短繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素短繊維(A)を炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)で融着させるという効果も有する。
加熱加圧の方法としては、前駆体シートを均等に加熱加圧できる技術であれば、いかなる技術も適用できる。例えば、前駆体シートの両面に平滑な剛板を当てて熱プレスする方法、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が挙げられる。連続的に製造される前駆体シートを加熱加圧する場合には、熱ロールプレス装置または連続ベルトプレス装置を用いる方法が好ましい。これによって、上述した炭素化処理工程3を連続して行うことができる。
加熱加圧における加熱温度は、前駆体シートの表面を効果的に平滑にするために、120〜190℃が好ましい。加熱加圧の時間は、例えば30秒〜10分とすることができる。
加熱加圧における圧力は特に限定されないが、前駆体シート中における炭素繊維前駆体短繊維(b)の含有比率が高い場合は、圧力が低くても容易に樹脂添加シートの表面を容易に平滑にすることができる。加熱加圧における圧力は、20kPa〜10MPaが好ましい。圧力が10MPa以下であれば、加熱加圧時に炭素短繊維(A)が破壊されることを容易に防ぐことができ、多孔質電極基材に適切な緻密性を容易に付与することができる。圧力が20kPa以上であれば、表面を容易に平滑にすることができる。
前駆体シートを2枚の剛板に挟んで、または熱ロールプレス装置や連続ベルトプレス装置で加熱加圧するときは、剛板やロール、ベルトに繊維状物などが付着しないようにあらかじめ剥離剤を塗っておくことや、前駆体シートと剛板や熱ロール、ベルトとの間に離型紙を挟むことが好ましい。
<第1乾燥処理工程6>
本発明の製造方法は、樹脂添加工程2と加熱加圧工程5との間に、前駆体シートを乾燥処理する工程6をさらに含むことができる。これにより、加熱加圧工程5で分散媒や未反応モノマーを除去するためのエネルギーを容易に低減することができ好ましい。
その際、前駆体シートから分散媒や未反応モノマーを除去する観点から、90〜120℃の温度で前駆体シートを乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。加熱源へのフェノール樹脂の付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された前駆体シートを乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、前駆体シートの全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、第1乾燥処理工程6に続いて加熱加圧工程5を連続して行うことができる。
<第2乾燥処理工程7>
本発明の製造方法は、交絡処理工程4と樹脂添加工程2との間に、交絡処理したシート状物(交絡構造シート)を乾燥処理する第2乾燥処理工程7を更に含むことができる。その際、交絡処理したシート状物から分散媒を除去する観点から、20〜200℃で交絡処理したシート状物を乾燥処理することが好ましい。乾燥処理の時間は、例えば1分間〜24時間とすることができる。
乾燥処理の方法としては、特に限定されないが、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による熱処理や、熱板や熱ロールなどによる直接加熱処理などが適用できる。交絡処理したシートを構成する繊維の、加熱源への付着を抑制できる点で、高温雰囲気炉や遠赤外線加熱炉による乾燥処理が好ましい。連続的に製造された交絡処理したシート状物を乾燥処理する場合は、製造コストの観点から、交絡処理したシート状物の全長にわたって連続で乾燥処理を行うことが好ましい。これにより、交絡処理工程4の後に第2乾燥処理工程7を連続して行うことができる。
<炭素短繊維(A)>
多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素短繊維(A)は、交絡接合構造体中で厚み方向に交絡されることができる。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と言う。)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素短繊維(A)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜12mmであることが好ましい。炭素短繊維(A)の平均繊維径は、炭素短繊維の生産コスト及び分散性の面から、3〜9μmであることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。平均繊維長は、市販の繊維長測定機(例えば、野村商事(株)製、HiRes−FQA(商品名)等)により測定することができ、平均繊維径は、市販の繊維径測定機(例えば、ダイアストロン社製、FDAS765(商品名)等)により測定することができる。
<炭素繊維前駆体短繊維(b)>
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。また、この長繊維状の炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されることができる。
炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜20mmが好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、加熱加圧工程5及び炭素化処理工程3における収縮による破断
を容易に抑制するため、5μm以下であることが好ましい。また、紡糸性の観点から、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、1μm以上であることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)を構成するポリマーは、炭素化後にシート形態を維持する観点から、炭素化処理工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
また、紡糸性と、低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化処理時の残存質量が大きい点と、更に上述した交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
<3次元交絡構造>
本発明において、炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成しているか否かは、シート状の測定対象物(多孔質電極基材)の断面観察を行い、断面における炭素短繊維(A)とシート面との角度を測定することにより判定できる。なお、断面観察を行う断面は、シート状の測定対象物のシート面に対して垂直方向の断面である。
測定した炭素短繊維(A)の水平面との角度の平均が3°以上、または測定した炭素短繊維(A)と水平面との角度の最大値が10°以上である場合は3次元交絡構造を形成している(3次元交絡構造を持つ)と判定され、測定した炭素短繊維の水平面との角度の平均が2°より小さい場合は3次元交絡構造を形成していない(3次元交絡構造を持たない)と判定される。具体的には、図2のように、シート面に対して垂直方向の断面のSEM写真を用い、測定する炭素短繊維に点線で示すような線を引き、この線とシート面との角度を測定すればよい。図2における直線1はシート面と平行な線である。
<前駆体シート>
前述の製造方法により、焼成して多孔質電極基材とする前段階で、前駆体シートを製造
する。本発明においては、ポリビニルアルコール(PVA)等のバインダーを僅かにするか、もしくは使用しないようにすれば、バインダーに由来するNa含有量を大きく低減させることができる。具体的には、ナトリウム含有量が150mg/m2 以下、好ましくは100mg/m2 以下、より好ましくは50mg/m2 以下である前駆体シートを製造することができる。前駆体シートに含有されるNaは、炭素化処理工程3で加熱によりシート外に放出され、炉を傷めたり、多孔質電極基材の表面に黒色のしみを発生させる原因となるので、ナトリウム含有量が少ないことが前駆体シートとしては必要である。具体的には、炭素短繊維(A)とフェノール樹脂とを含む多孔質電極基材用の前駆体シートに含まれるナトリウム含有量が150mg/m2 以下である前駆体シートであれば、多孔質電極基材におけるNa濃度を5ppm以下とすることができる。
以上述べた製造方法により製造された連続多孔質電極基材の表面に形成される黒色のしみを連続して検出するには、上記特許文献2に開示された外観欠陥自動検査法を利用できる。
図1は本発明における黒色のしみを検出する外観欠陥検出装置の一例を示している。
ここで、黒色のしみは、既述したように、炭素化炉内に堆積した不純物や浮遊している不純物が、多孔質炭素電極基材に付着・反応してできるしみであり、見た目は薄い焦げ跡に近い。ここで、本発明におけるしみは、その明るさが正常部(しみの無い部分)におけるピークレベルの50%以下であるときを言う。本発明において低減したいのは、大きさが長辺の長さが1mm以上であるしみである。
なお、本発明におけるピークレベルは、撮像装置7から入力されたアナログ画像信号をデジタル値に変換し、画像入力部で得られたデジタル信号を数値化したものである。本発明で用いたソフトは、明るさを256段階に区分した基準を持ち、デジタル値をその基準に照らし合わせてピークレベルを求めている。明るいほど、ピークレベルが高く、暗いほどピークレベルが低い。本発明においては、例えば、多孔質電極基材の正常部(しみの無い部分)のピークレベルと100とした場合に、ピークレベルが50以下である部分をしみと認定する。
本発明にあっては、外観欠陥の検査手段として、所要の照度をもつ照明光を所定の入射角で照射し、その正反射角線上に配された撮像装置をもって正反射光を撮像する正反射光の撮像手段を採用している。この撮像手段を、多孔質電極基材1の走行路に沿って配し、その撮像データを画像処理部4へと送る。この撮像装置の場合には、検査光の照射角度と第2撮像装置の受光角度とは同じであり、10〜30°に設定することが望ましい。10〜30°を外れると検出精度が大きく低下する。
次に、図示実施形態による本発明に係る多孔質電極基材1の外観欠陥自動検査方法を、図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の外観欠陥自動検出方法を実施するための代表的な装置例を示す概略構成図である。この外観欠陥自動検出装置は、架台3に回転可能に支持されたロール体2から巻き戻される多孔質電極基材1の巻戻し走路上に、光源10に対応する撮像装置7が一組配されている。撮像装置7により撮像された撮像データは、画像処理部4において画像処理がなされる。本実施例にあっては、前記外観欠陥自動検出装置に株式会社MEC製のLSC−400Vを、また光源10には東芝ライテック株式会社製のFHF32EX−NNU−MSを使っている。
光源10には、多孔質電極基材1の走行路を直線状に横断して配置されたハロゲンランプやLED、蛍光灯等の線状の検査光の発生が可能な照明装置によって構成される。撮像装置7は、撮像した光を電気信号に変換して画像データを生成するCCDカメラ等の固体
撮像素子を備えた撮像装置を備えている。本実施形態では、撮像装置7を多孔質電極基材1の巻戻し走路を横断する方向に直線状に複数個配置し、走行する多孔質電極基材1の1次元画像を順次、撮像することによって2次元画像を得ている。画像処理部4は、従来の画像処理装置と同様に、演算装置(CPU)5、図示せぬ記憶装置(メモリ)等を備えている。そのため、画像処理部4の具体的な構成及びその処理手順等に関しては簡単な説明に止める。
画像処理部4は、撮像装置7から入力されたアナログ画像信号をデジタル値に変換し、画像入力部で得られたデジタル信号をラインメモリで記憶し、画像入力部で変換されたデジタル信号に含まれるラインセンサの画素オフセット電圧のばらつきや感度斑を画素斑補正部で補正処理する。画素斑補正部での補正で用いる係数を斑補正係数メモリに保持し、画像入力部で得られたデジタル信号に含まれるレンズの周辺部の光量低下や照明の斑といった低周波領域の補正処理を背景処理部にて行って、ほぼ均一な明るさのラインセンサの画像データを得ると、背景処理部における補正処理に用いる係数を背景処理係数メモリに保持する。
上述の構成を備えた外観欠陥自動検出装置によれば、先ず、所定速度で搬送経路上を連続的に走行する多孔質電極基材1に、光源10から検査光を照射する。このとき、撮像装置7と光源10とは、図1及び図2に示すように、前記多孔質電極基材1の上方に多孔質電極基材1の走行方向同一鉛直面上に所定の間隔をおいて離れて配置されている。光源10から照射される検査光は多孔質電極基材1の表面に向けられており、その反射光を撮像装置7がそれぞれ受光する。ここで、光源10から照射される検査光の多孔質電極基材表面に対する入射角と撮像装置7の受光角は同じである。つまり、撮像装置7は光源10により照射される検査光の正反射光を受光して撮像する。
このように、撮像手段により撮像された画像は、撮像装置7で1次元のアナログデータに変換されたのち、画像処理部4に備えられた画像入力部に送られる。この画像入力部では、撮像装置7から送られた1次元のアナログデータを各画素の濃度値を示すデジタルデータに変換する。次いで、このデジタルデータが画素斑補正部へと送る。画素斑補正部に入力される濃度値を示す画像データの横方向の1列と縦方向の1行は、撮像装置7のラインサンサによって一時的に取得される濃度値に対応している。
一般的なCCDラインセンサでは、画素(受光素子)の感度ばらつきを補正するため、マトリックス状に配置された画素の行列ごとの濃度値の平均値と、その直前の行列の画素の濃度値の平均値との差を求めて順次斑補正係数とし、この斑補正係数を斑補正係数メモリに保持する。画素斑補正部では、入力された濃度値に斑補正係数累積値を加算して、斑補正済みのデータとする。この補正済みデータは、画素間の濃度値の平均値のばらつきを減少させる。
画像入力部で得られたデジタル信号に含まれるレンズの周辺部の光量低下や照明の斑といった低周波領域の補正処理し、ほぼ均一な明るさのラインセンサの画像データを得る背景処理部では、ラインセンサの出力レベルの差をなくすため、背景補正係数を算出して背景補正係数メモリに記憶してあり、入力された画像データに前記背景補正係数を乗じて、ラインセンサの出力レベルの差を打ち消す。背景補正係数を算出する際に、地合などによるノイズ成分を除去するため、必要に応じて平滑化処理を加えてもよい。
撮像装置7により撮像される撮像データには、正常でないと判定される濃度値の範囲の値も含まれるため、本実施形態にあっても、特許文献2に記載された欠陥検査装置と同様に、正常でないとされる濃度の範囲にある値を排除する画素濃度制限部を有しており、また3画素×3画素の欠陥検出用ブロック(画素ブロック)として、ブロックごとの各画素
の濃度値を積算する積算演算が行われる。以下、各ブロックごとの各画素の濃度値を積算する積算演算が行われる手順は、上記特許文献2に記載された手順と同様であるので、ここでは具体的な説明を特許文献2に委ねる。
表1は、本発明の実施例1〜9及び比較例1〜8の、抄紙組成、シート状物の交絡処理の有無、使用水の種類、検査時の焼成炉の状態、焼成前の中間材料である樹脂固化シート及び焼成後の長尺の多孔質電極基材シートにおけるNa濃度、60m2 当たりの黒色のしみ数を示している。
なお、同表1にあってPVAには繊維同士の接着防止のためPVA繊維表面にNaSO4 がコートされている。また、脱イオン水のNa濃度は1ppmであり、しみ数の検出は焼成炉の焼成開始から10000m焼成後の焼成炉内で焼成された多孔質電極基材に対する連続して検出している。因みに、水道水のNa濃度は28ppmである。
〔実施例1〕
平均繊維長3mmにカットしたポリアクリロニトリル系炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、商品名:パイロフィルTR50S、平均単繊維径:7μm)、ポリビニルアルコール(PVD)短繊維(クラレ株式会社製、商品名:VBP105−1、繊維長3mm)、ポリエチレンパルプ(三井化学株式会社製、商品名:SWP)を用意した。ポリアクリルニトリル径炭素短繊維とポリエチレン短繊維とを、湿式短網連続抄紙装置のスラリータンクの脱イオン水に均一に分散開繊し、十分に分散させたところでウェブを送り出して、短網板に通し、ドライヤーにて乾燥後、幅1000mm、坪量43g/m2 のロール形態の多孔質炭素電極基材前駆体用の連続シート状物(炭素繊維紙)を得た。この実施例では、スラリーにPVA短繊維を入れなかった。このとき使われた脱イオン水は、水道水をフィルターに通して濾過し、活性炭にて有機物を除去したのち、イオン交換樹脂を通して作られた水で、そのNa濃度は1ppmであり、水の導電率は1.0μS/cmであった。
次に、炭素繊維紙をフェノール樹脂(DIC株式会社製、商品名:フェノライトJ−325)のメタノール溶液に浸漬し、炭素繊維紙100質量部に対し53質量部を付着させ、更に幅850mmにスリットして、フェノール樹脂を付着させた樹脂含浸紙を得た。この樹脂含浸紙をダブルベルトプレス装置を用いてプレス成形した。その際の条件としては、予熱条件を熱風温度150℃、予熱ロール温度を230℃、プレスロール温度を260℃、線圧を8×104 N/mとした。その結果、幅850mm×長さ100mの樹脂硬化シートを得た。
得られた樹脂硬化シートを、窒素ガス雰囲気下の焼成炉(幅1m)内を走行させて、その後、更に窒素ガス雰囲気下1600℃以上の温度領域が6mの焼成炉内を走行させて、最高温度2000℃で熱処理を行った。なお、このときの樹脂硬化シートのシート幅は700mmであった。こうして得られた長さ100mの多孔質炭素電極基材を自動検査装置にて、黒色のしみの数をカウントした上で、外径172mmの紙管にロール状に巻き取った。
ただし、本実施例では、幅700mm、長さ90mの9本のロール状多孔質炭素電極基材を、炉内を清掃することなく連続して焼成して試料を作成した。こうして得られた試料の表面に発生した黒色のしみの数を検出後、各ロール状多孔質炭素電極基材に含まれるNa濃度を、次の手順を経てサーモフィッシャーサイエンティフィックIRIS−AP ICP発光分析装置により測定した。
(1)試料を700℃のマッフル炉にて灰化する。
(2)この灰に塩酸2lを加え、ホットプレート状で溶解乾燥固化させる。
(3)0.1molの塩酸10mlを加えよく混ぜた後に、5mlほどの別容器に保管して
、ICP発光分析法で定量を行った。
また、加熱加圧後の樹脂硬化シート(中間製品)のPVA含有率の算出方法は、次式I
PVA含有率=抄紙仕込み時のPVA比率×抄紙目付/中間材料目付 ……I
による。
〔実施例2〜5、比較例1〜3〕
実施例2〜5及び比較例1〜3における抄紙組成は、全て実施例1と同じであって、PVA単繊維は含まれていない。交絡処理は実施例2を除いて図辺手行われている。また、抄紙時の水については、実施例2〜5の全てが実施例1と同様に脱イオン水であり、比較例1〜3の全てが水道水である。焼成速度は表1に示すとおりであり、実施例2〜5が1、1、2、4(m/min)、比較例1〜3が、1、2、4(m/min)としている。各例におけるしみ数の検出時の焼成炉の状態は、実施例3を除いて、焼成開始から10000m焼成後に清掃した直後似検出を開始している。実施例3では上述の6000m2 焼成後に検出している。
各実施例ごとに、抄造された炭素繊維紙(中間材料)と焼成後の多孔質電極基材に含まれるNa濃度と、60m2 当たりのしみの数は、表1に示すとおりである。
この表1から、抄造時に使われる水が、脱イオン水である場合と水道水である場合とでは、発生するしみの数に大きな差があり、脱イオン水を使う場合にはしみの数が全て1個に達していないのに対して、水道水を使った場合のしみの数は2〜3個と極めて多くなっており、その大きさも1mmを越えている。脱イオン水を使用することにより黒色のしみの発生が大幅に低減されている。
〔実施例6〜9、比較例4〜8〕
実施例6〜9及び比較例4〜8にあっては、表1に示すように、スラリー中に同量のPVAを10重量%分散させている点で、上記実施例1〜5及び比較例1〜3と異なっている。また、抄造時に使われる水は、実施例6〜9では脱イオン水であり、比較例4〜8では水道水としている。その結果、表1に示すとおり、実施例6〜9では、PVAを添加してもしみの数は2〜3個/60m2 に納まっている。これに対して、比較例4〜8は水道水を使用したことに加え、PVAを添加した影響を受け、しみの数も10〜15個/60m2 と極めて多くなった。
以上のことから、多孔質電極基材に形成される黒色のしみの数と大きさが、抄造時に使われる水質に因るところが多く、特にNa濃度が2ppm以下である脱イオン水を使えば、しみの数と大きさとを大幅に低減させることができることが分かる。
Figure 0006094038
1 多孔質電極基材
2 (多孔質電極基材の)ロール体
3 架台
4 画像処理部
5 演算装置(CPU)
7 撮像装置
10 光源

Claims (5)

  1. 炭素短繊維(A)を、Na濃度が2ppm以下である水に混合して繊維混合スラリーとし、当該繊維混合スラリーにポリビニルアルコールを5〜15重量%添加して連続して抄造し、得られた多孔質電極基材用前駆体シートを炭素化処理の前に90℃〜120℃で乾燥する多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法。
  2. 炭素短繊維(A)と共に炭素繊維前駆体短繊維(b)及び/又はフィブリル状繊維(b’)をNa濃度が2ppm以下である水に混合して前記繊維混合スラリーを作成する請求項1記載の多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法。
  3. Na濃度が2ppm以下である水が、脱イオン水である請求項1又は2に記載の多孔質電極基材用前駆体シートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られる多孔質電極基材用前駆体シートを連続して炭素化処理して多孔質電極基材を製造する多孔質電極基材の製造方法。
  5. 連続焼成によって得られた多孔質電極基材であって、長辺が1mm以上のしみが1個/60m以下である多孔質電極基材。
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