本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。図1はホログラフィを利用してデジタル情報を記録及び/または再生するホログラム記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
ホログラム記録再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。ホログラム記録媒体1に情報を記録する場合には、ホログラム記録再生装置10は外部制御装置91から記録する情報信号を入出力制御回路90により受信する。ホログラム記録媒体1から情報を再生する場合には、ホログラム記録再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。
本実施例におけるホログラム記録媒体1は、円盤状である。更に、本実施例におけるホログラム記録媒体1は、所定パターンのマークを2種類、有している。1つは角度検出用マークであり、ホログラム記録媒体の回転角度を検出するためのマークである。もう1つは偏芯検出用マークであり、前記ホログラム記録媒体の位置を検出するためのマークである。これらのマークの詳細については後述する。
ホログラム記録再生装置10は、ピックアップ11、再生用参照光光学系12、キュア光学系13、回転角度検出センサ14、第一の偏芯検出センサ15、第二の偏芯検出センサ16、半径位置検出センサ17及びスピンドルモータ50、移動ステージ51、半径方向搬送部52を備えている。
スピンドルモータ50は、その回転軸に対してホログラム記録媒体1を着脱可能な媒体着脱部(図示しない)を有しており、ホログラム記録媒体1はスピンドルモータ50によって回転可能な構成となっている。同時にホログラム記録媒体1は半径方向搬送部52によって、ピックアップ11の位置を基準として、半径方向に移動可能な構成となっている。
移動ステージ51及び回転角度検出センサ14及び第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16は、いずれも、半径方向搬送部52の可動部に固定されている。更にスピンドルモータ50は、移動ステージ51の可動部に固定されている。
この結果、ピックアップ11が固定された所定のベース部材(図示しない)に対して、半径方向に駆動可能な半径方向搬送部52が搭載される。半径方向搬送部52の可動部の上に、移動ステージ51及び第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16及び回転角度検出センサ14が固定される。移動ステージ51の可動部の上に、スピンドルモータ50が固定される。スピンドルモータ50の回転軸に、所定のマークを有するホログラム記録媒体1が固定可能である。
可動部に着目して機構的な搭載順序を記載すれば、次のようになる。即ち、ピックアップ11が固定された所定のベース部材、可動部に移動ステージ51及び第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16及び回転角度検出センサ14が固定された半径方向搬送部52、スピンドルモータ50、所定のマークを有するホログラム記録媒体1の順に搭載した機構である。
本実施例における移動ステージ51は、直行する2軸の可動ステージであり、ホログラム記録媒体1の記録面と略平行な平面内を移動可能である。本実施例においては、一方の可動軸を半径方向搬送部52の搬送方向と同一方向に取ってY軸とし、それと直交する他方の可動軸をX軸とする。
信号光及び/または参照光が照射される位置は後述するピックアップ11の位置によって決まり、装置に固定された位置である。本実施例においては、スピンドルモータ50及び半径方向搬送部52の可動部及び移動ステージ51が、信号光及び/または参照光が照射されるホログラム記録媒体1上の位置を変更する手段として機能する。
回転角度検出センサ14は、ホログラム記録媒体1に設けられた角度検出用マークを用いて、ホログラム記録媒体1の回転角度を検出する。回転角度検出センサ14の出力信号はスピンドル制御回路32に入力される。信号光及び参照光の照射される回転角度を変更する場合には、スピンドル制御回路32が回転角度検出センサ14の出力信号及びコントローラ80からの指令信号に基づいて駆動信号を生成し、スピンドル駆動回路33を介してスピンドルモータ50を駆動する。これにより、ホログラム記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
また、半径方向搬送部52の可動部には、所定パターンを有するスケール18が固定されている。半径位置検出センサ17は、スケール18を用いて半径方向搬送部52の可動部の位置を検出する。信号光及び参照光の照射される半径位置を変更する場合は、半径方向搬送制御回路34が半径位置検出センサ17の出力信号及びコントローラ80からの指令信号に基づいて駆動信号を生成し、半径方向搬送駆動回路35を介して半径方向搬送部52を駆動する。これにより、ホログラム記録媒体1が半径方向に搬送される。これにより、信号光及び参照光の照射される半径位置を制御する事が出来る。
第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16は、ホログラム記録媒体1に設けられた偏芯検出用マークを用いて、ホログラム記録媒体1の位置を検出する。第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16の出力信号は偏芯補償回路30に入力される。偏芯補償回路30は偏芯を補償するための駆動信号を生成し、移動ステージ駆動回路31を介して移動ステージ51を駆動する。第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16及び偏芯補償回路30の詳細は後述するが、この構成により本実施例のホログラム記録再生装置10は、偏芯検出用マークを基準としてホログラム記録媒体1の位置決めが行われるように動作する。
ピックアップ11は、参照光と信号光をホログラム記録媒体1に照射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ80によって信号生成回路81を介してピックアップ11内の後述する空間光変調器に送られ、信号光は空間光変調器によって変調される。
ホログラム記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光を記録時とは逆の向きにホログラム記録媒体1に入射させる光波を再生用参照光光学系12にて生成する。再生用参照光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路82によって信号を再生する。
更に、参照光の角度は、参照光角度制御回路86により制御される。参照光角度制御信号生成回路85ではピックアップ11及び再生用参照光光学系12の少なくとも一方の出力信号から、参照光角度の制御に用いるための信号を生成する。参照光角度制御回路86はコントローラ80からの指示に従って、参照光角度制御信号生成回路85の出力信号を用いて駆動信号を生成する。参照光角度制御回路86から出力された駆動信号は参照光角度駆動回路87を介して、ピックアップ11内の後述するアクチュエータ220及び再生用参照光光学系12内の後述するアクチュエータ224に供給される。このようにアクチュエータ220及びアクチュエータ224を駆動することで、ホログラム記録媒体1に入射する参照光の角度が制御される。
ホログラム記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ80によってシャッタ制御回路84を介して制御することで調整できる。
キュア光学系13は、ホログラム記録媒体1のプリキュア及びポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、ホログラム記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、ホログラム記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。プリキュア及びポストキュアに用いる光ビームは、インコヒーレントな光、即ち可干渉性(コヒーレンス)の低い光である必要があることが好ましい。
光源駆動回路83からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、キュア光学系13内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
また、ピックアップ11、キュア光学系13は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。また、回転角度検出センサ14、第一の偏芯検出センサ15、第二の偏芯検出センサ16に関して、このうちのいくつかのセンサまたは全てのセンサを一体化し、単一のセンサとして構成しても構わない。
図2は、ホログラム記録再生装置10におけるピックアップ11及び再生用参照光光学系12の、基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。再生用参照光光学系12は、アクチュエータ223とガルバノミラー224から成る。
光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム205に入射する。
PBSプリズム205を透過した光ビームは、信号光206として働き、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209、リレーレンズ210、PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光は対物レンズ215によってホログラム記録媒体1に集光する。
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217ならびにミラー218を経由してガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はアクチュエータ220によって角度を調整可能のため、レンズ221とレンズ222を通過した後にホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
このように信号光と参照光とをホログラム記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によってホログラム記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
図3は、ホログラム記録再生装置10におけるピックアップ11及び再生用参照光光学系12の、基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光をホログラム記録媒体1に入射し、ホログラム記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ223によって角度調整可能なガルバノミラー224にて反射させることで、その再生用参照光を生成する。
この再生用参照光によって再生された再生光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器225としては例えばCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーなどの撮像素子を用いることができるが、ページデータを再生可能であれば、どのような素子であっても構わない。
なお本実施例において、参照光角度制御信号生成回路85はアクチュエータ220に備え付けられた角度検出センサ(図示しない)の出力信号を入力として、ガルバノミラー219を反射した参照光の角度を検出し、参照光角度の制御に用いるための信号を生成する。同様に再生用参照光光学系12に関しては、参照光角度制御信号生成回路85はアクチュエータ223に備え付けられた角度検出センサ(図示しない)の出力信号を入力として、ガルバノミラー224を反射した参照光の角度を検出し、参照光角度の制御に用いるための信号を生成する。アクチュエータ220及びアクチュエータ223に備え付けられた角度検出センサは、例えば、光学式エンコーダを用いることができる。
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。そのため、アクチュエータ220に備え付けられた角度検出センサを用いずに、ピックアップ11内に参照光角度のずれ量を検出する機構を別に設けて、参照光角度制御信号生成回路85が該機構の出力信号を入力として参照光角度の制御に用いるための信号を生成する構成としても構わない。
図4は、ホログラム記録再生装置10における記録、再生のフローチャートを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関する処理について説明する。なお本明細書では、ホログラム記録再生装置10にホログラム記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの処理をセットアップ処理と称する。準備完了状態からホログラム記録媒体1に情報を記録する処理を記録処理、準備完了状態からホログラム記録媒体1に記録した情報を再生する処理を再生処理と称する。
図4(a)は、セットアップ処理のフローチャートを示し、図4(b)は記録処理のフローチャート、図4(c)は再生処理のフローチャートを示したものである。
図4(a)に示すようにセットアップ処理を開始すると(ステップS401)、ホログラム記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかを判別する、媒体判別を行う(ステップS402)。
媒体判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生するホログラム記録媒体1であると判断されると、ホログラム記録再生装置10はホログラム記録媒体1に設けられたコントロールデータを読み出し(ステップS403)、例えばホログラム記録媒体1に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(ステップS404)を行う。これによりホログラム記録再生装置10は記録または再生の準備が完了し、セットアップ処理を終了する(ステップS405)。
なお本実施例においては、ステップS404の学習処理は後述する偏芯補償制御をオンする処理を含み、以降、偏芯補償制御は常時オンされているものとする。
次に、準備完了状態から情報を記録するまでの処理について、図4(b)のフローチャートを用いて説明する。記録処理を開始すると(ステップS411)、ホログラム記録再生装置10は記録データを受信して(ステップS412)、該データに応じた2次元データをピックアップ11内の空間光変調器212に送る。
その後、ホログラム記録媒体1に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて例えば光源201のパワー最適化やシャッタ203による露光時間の最適化等の各種記録用学習処理を事前に行う(ステップS413)。
その後、シーク動作(ステップS414)ではスピンドル制御回路32及び半径方向搬送制御回路34及び偏芯補償回路30を用いて、スピンドルモータ50及び半径方向搬送部52及び移動ステージ51を制御する。これによってピックアップ11ならびにキュア光学系13から照射される光ビームがホログラム記録媒体1の所定の位置に照射されるように、ホログラム記録媒体1を位置決めする。ホログラム記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置決めされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置決めする動作を繰り返す。本実施例におけるシーク動作のフローチャートについては後述する。
その後、記録するデータをホログラム記録媒体1にホログラムとして記録するデータ記録処理を行う(ステップS415)。このデータ記録処理の詳細については、後述する。データ記録処理が完了すると、記録処理を終了する(ステップS416)。なお、必要に応じてデータをベリファイしても構わない。
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの処理にについて、図4(c)のフローチャートを用いて説明する。再生処理を開始すると(ステップS421)、ホログラム記録再生装置10はまずシーク動作(ステップS422)で、スピンドル制御回路32及び半径方向搬送制御回路34及び偏芯補償回路30を用いて、ピックアップ11ならびに再生用参照光光学系12から照射される光ビームがホログラム記録媒体1の所定の位置に照射されるように、ホログラム記録媒体1を位置決めする。ホログラム記録媒体1がアドレス情報を持つ場合には、アドレス情報を再生し、目的の位置に位置決めされているか確認し、目的の位置に配置されていなければ、所定の位置とのずれ量を算出し、再度位置決めする動作を繰り返す。
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光検出器225で検出した2次元データからホログラム記録媒体1に記録された情報を読み出し(ステップS423)、再生データを送信する(ステップS424)。再生データの送信が完了すると、再生処理を終了する(ステップS425)。
図15は、記録、再生時のデータ処理フローを示したものであり、図15(a)は、入出力制御回路90において記録データ受信処理S412後、空間光変調器212上の2次元データに変換するまでの信号生成回路81での記録データ処理フローを示しており、図15(b)は光検出器225で2次元データを検出後、入出力制御回路90における再生データ送信処理S424までの信号処理回路82での再生データ処理フローを示している。
図15(a)を用いて、記録時のデータ処理フローについて説明する。記録時のデータ処理を開始すると(ステップS8101)、信号生成回路81は記録データを受信する(ステップS8102)。続いて、記録データを複数のデータ列に分割し、再生時にエラー検出が行えるように各データ列に対しCRC化する(ステップS8103)。続いて、オンピクセル数とオフピクセル数をほぼ等しくすることと、同一パターンの繰り返しを防ぐことを目的に、データ列に擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施す(ステップS8104)。その後、再生時にエラー訂正が行えるようにリード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化を行う(ステップS8105)。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それを1ページデータ分繰返すことで1ページ分の2次元データを構成する(ステップS8106)。このように構成した2次元データに対して再生時の画像位置検出や画像歪補正での基準となるマーカーを付加し(ステップS8107)、空間光変調器212にデータを転送する(ステップS8108)。以上により、記録時のデータ処理が完了する。(ステップS8109)。
次に図15(b)を用いて、再生時のデータ処理フローについて説明する。再生時のデータ処理を開始すると(ステップS8201)、光検出器225で検出された再生画像データを信号処理回路82に転送する(ステップS8202)。続いて、この画像データに含まれるマーカーを基準に画像位置を検出し(ステップS8203)、更に、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正する(ステップS8204)。その後、2値化を行い(ステップS8205)、マーカーを除去(ステップS8206)する。続いて、1ページ分の2次元データを取得する(ステップS8207)。このようにして得られた2次元データを複数のデータ列に変換した後、誤り訂正処理を行い、パリティデータ列を取り除く(ステップS8208)。次にスクランブルを解除し(ステップS8209)、CRCによる誤り検出処理を行う(ステップS8210)。最後に、CRCパリティを削除して生成される再生データを入出力制御回路90経由で送信する(ステップS8211)。以上により、再生時のデータ処理が完了する(ステップS8212)。
図16は、ホログラム記録再生装置10の信号生成回路81のブロック図である。
入出力制御回路90に記録データの入力が開始されると、入出力制御回路90はコントローラ80に記録データの入力が開始されたことを通知する。コントローラ80は本通知を受け、信号生成回路81に入出力制御回路90から入力される1ページ分のデータを記録処理するよう命ずる。コントローラ80からの処理命令は制御用ライン8108を経由し、信号生成回路81内サブコントローラ8101に通知される。本通知を受け、サブコントローラ8101は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン8108を介して各信号処理回路の制御を行う。先ずメモリ制御回路8103に、データライン8109を介して入出力制御回路90から入力される記録データをメモリ8102に格納するよう制御する。メモリ8102に格納した記録データが、ある一定量に達すると、CRC演算回路8104で記録データをCRC化する制御を行う。次にCRC化したデータに、スクランブル回路8105で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化を施し、誤り訂正符号化回路8106でパリティデータ列を加える誤り訂正符号化する制御を行う。最後にピックアップインターフェース回路8107にメモリ8102から誤り訂正符号化したデータを空間光変調器212上の2次元データの並び順で読み出させ、再生時に基準となるマーカーを付加した後、ピックアップ11内の空間光変調器212に2次元データを転送する。
図17は、ホログラム記録再生装置10の信号処理回路82のブロック図である。
コントローラ80はピックアップ11内の光検出器225が画像データを検出すると、信号処理回路82にピックアップ11から入力される1ページ分のデータを再生処理するよう命ずる。コントローラ80からの処理命令は制御用ライン8211を経由し、信号処理回路82内サブコントローラ8201に通知される。本通知を受け、サブコントローラ8201は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン8211を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路8203に、データライン8212を介して、ピックアップ11からピックアップインターフェース回路8210を経由して入力される画像データをメモリ8202に格納するよう制御する。メモリ8202に格納されたデータがある一定量に達すると、画像位置検出回路8209でメモリ8202に格納された画像データ内からマーカーを検出して有効データ範囲を抽出する制御を行う。次に検出されたマーカーを用いて画像歪み補正回路8208で、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪み補正を行い、画像データを期待される2次元データのサイズに変換する制御する。サイズ変換された2次元データを構成する複数ビットの各ビットデータを、2値化回路8207において“0”、“1”判定して2値化し、メモリ8202上に再生データの出力の並びでデータを格納する制御を行う。次に誤り訂正回路8206で各データ列に含まれる誤りを訂正し、スクランブル解除回路8205で擬似乱数データ列を加えるスクランブルを解除した後、CRC演算回路8204でメモリ8202上の再生データ内に誤りが含まれない確認を行う。その後、入出力制御回路90にメモリ8202から再生データを転送する。
次に、本実施例のホログラム記録媒体1に設けられた2種類のマークについて、図6を用いて説明する。図6はホログラム記録媒体1を示しており、円R1は媒体の最内周を、円R2は媒体の最外周を示している。図6における点Oはホログラム記録媒体1の幾何学的な中心を示している。また以降の説明においては、変数rを、点Oから測った半径を示す変数とする。
図6に示されるように、ホログラム記録媒体1の内周側の領域には、r1≦r≦r2の領域にM2で示す所定マークが、また、r3≦r≦r4の領域にM1で示す所定マークが設けられている。また、ホログラム記録媒体1においてユーザデータをホログラムとして記録する領域は、r5≦r≦r6である。即ち、マークM1及びM2は、ユーザデータをホログラムとして記録する領域よりも内周側に設けられている。
マークM1は角度検出用マークであり、マークM2は偏芯検出用マークである。次に、図7を用いて、これら2つのマークを検出するセンサの固定位置について説明する。
図1で説明したように、移動ステージ51及び回転角度検出センサ14、第一の偏芯検出センサ15、第二の偏芯検出センサ16は、いずれも半径方向搬送部52の可動部に固定されている。図7は半径方向搬送部52の可動部を基準とした場合の、これら各センサの固定位置を説明するための図である。
点xy0は、移動ステージ51の駆動基準位置を示している。例えば移動ステージ51のX方向及びY方向の可動範囲がともに±1mmであるとき、X軸に関してマイナス方向の可動端からプラス方向に0.5mm移動し、Y軸に関してマイナス方向の可動端からプラス方向に0.5mm移動した点が点xy0である。即ち、移動ステージ51の可動部が駆動基準位置xy0にあるとき、xy0の真上にスピンドルモータ50の回転軸が位置するものとする。
図示しているように、図の横方向がY軸、縦方向がX軸となる。点P14は回転角度検出センサ14のセンサ中心を示している。同様に、点P15は第一の偏芯検出センサ15のセンサ中心を、点P16は第二の偏芯検出センサ16のセンサ中心を示している。P15及びP16は点xy0を中心とする半径r2の円Cxy上に存在する。ここで本実施例においては、「センサ中心」とはセンサが照射する光スポットの中心位置を示すものとする。また例えば、回転角度検出センサ14が照射する光スポットの中心位置が点P14と一致するように回転角度検出センサ14を配置することを、「回転角度検出センサ14を点P14に配置する」と表現する。
図7及び図6より、移動ステージ51の可動部が駆動基準位置xy0にあり、かつホログラム記録媒体1に偏芯がないとき、回転角度検出センサ14はr3≦r≦r4の領域に設けられた角度検出用マークM1の中心に位置する。また移動ステージ51の可動部が駆動基準位置xy0にあり、かつホログラム記録媒体1に偏芯がないとき、第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16は、r1≦r≦r2の領域に設けられた偏芯検出用マークM2の外周の縁に位置する。
続いて、各マークの特徴と、各センサから出力される信号について説明する。
図8は、角度検出用マークM1の模式図と、回転角度検出センサ14から出力される信号を示す図である。図8に示すように角度検出用マークM1は、反射部と非反射部が所定の周期pで繰り返されるマークMpと、媒体の一回転に一回だけ設けられているマークMzから成る。マークMzは後述するZ相信号を生成するためのマークであり、マークMpは後述するA相信号及びB相信号を生成するためのマークである。
図8で模式的に示したように、回転角度検出センサ14からは所定の波長の検出光が照射され、マークMp上に光スポットを生じる。回転角度検出センサ14はマークMpで反射された光を検出することで、回転角度を検出する。回転角度検出センサ14からマークMpに照射された光スポットが図の右方向に進んだ場合には、回転角度検出センサ14の出力信号として図に示すような3種類の信号が得られる。A相信号及びB相信号はマークMpの周期pを移動する間に8周期が出力される矩形波である。A相信号とB相信号は位相が90度異なり、更にマークMpに照射された光スポットの移動方向によって位相の大小が変化する。即ち、マークMpに照射された光スポットが図8の右方向に進んだ場合にはA相信号に対してB相信号の方が90度だけ位相の進んだ出力となる。逆に、マークMpに照射された光スポットが図8の左方向に進んだ場合には、A相信号に対してB相信号の方が90度だけ位相の遅れた出力となる。更に、Z相信号はマークMzに照射された光スポット(図示しない)から生成され、媒体を一回転させた場合に一回だけ、A相信号と同一の幅のパルスを出力する。
このA相信号及びB相信号、Z相信号はインクリメンタル型エンコーダの出力信号として一般的な出力の形式であり、本実施例の構成ではこれらの3つの信号から媒体の回転角度を得ることができる。一例として、Z相信号によって0度となる角度を決定し、A相信号とB相信号とから、回転角度の増減を積み上げていくことにより、現在の角度が演算される。なおA相信号とB相信号の位相差が90度であるため、本実施例の回転角度検出センサ14の最小分解能は、A相信号の周期の1/4に相当する量であり、マークMp上の距離換算でp/32となる。マークMp上の距離を回転角度に換算するには、扇形における円弧と半径が既知であるので、円弧の中心角を計算により求めればよい。
なおここでは回転角度検出センサ14の説明として図8の構成としたが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、アブソリュート型エンコーダの検出原理を用いたセンサであってもよい。または、回転角度検出センサ14の出力信号であるA相信号などはロジカルな信号(矩形波)であるとしたが、角度に相当する情報を得ることができるアナログ信号(例えば正弦波)を出力するセンサであってもよい。
なお図8で示したインクリメンタル型エンコーダの構成は、マークMpが円形状に並べばロータリエンコーダとなるが、一直線に並べばラインエンコーダとなる。即ちこの方式は、回転角度だけでなく、一方向の変位を計測するセンサとしても使用可能である。本実施例における半径位置検出センサ17は、インクリメンタル型のラインエンコーダである。即ち、以上の説明において、回転角度検出センサ14を半径位置検出センサ17に置き換え、更に、ホログラム記録媒体1に設けられた角度検出用マークM1を、半径方向搬送部52の可動部に固定されたスケール18の所定パターンに置き換えればよい。半径位置検出センサ17からの同様に、A相信号、B相信号、Z相信号が出力される。
続いて、偏芯検出用マークM2の特徴と、第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16のから出力される信号について説明する。第一の偏芯検出センサ15と第二の偏芯検出センサ16は取り付け位置が異なるだけでセンサとしては同一種類のものである。そのため以下では第一の偏芯検出センサ15に関して説明する。
図9(a)は、偏芯検出用マークM2の模式図である。偏芯検出用マークM2はr1≦r≦r2の領域に渡って金属の膜が蒸着され、反射部として機能する。即ち、図中の斜線部が反射部、そうでない箇所非反射部である。また第一の偏芯検出センサ15からは所定の波長の検出光が照射され、マークM2上に光スポットを生じる。第一の偏芯検出センサ15はマークM2で反射された光を検出する。
第一の偏芯検出センサ15のセンサ中心は半径r2の位置に固定されている。そのため、移動ステージ51の可動部が駆動基準位置xy0にあり、かつホログラム記録媒体1に偏芯がない場合には、図9(a)に示すように第一の偏芯検出センサ15の照射する光スポットは、r1≦r≦r2の領域に設けられた偏芯検出用マークM2の外周の縁に位置する。
図9(b)は第一の偏芯検出センサ15の出力信号を説明する図である。第一の偏芯検出センサ15からの出力信号は1つであり、検出光によって生じた光スポットと偏芯検出用マークM2との相対位置関係に応じた電圧を出力する。
移動ステージ51の可動部が駆動基準位置xy0にない場合、またはホログラム記録媒体1に偏芯が存在する場合には、図9(b)の(1)や(3)に示すように、第一の偏芯検出センサ15の照射する光スポットと、偏芯検出用マークM2の外周の縁は半径方向にずれ得る。第一の偏芯検出センサ15の照射する光スポットと、偏芯検出用マークM2の外周の縁の、半径方向の相対位置の差をΔrsで表す。Δrsが存在する場合には、偏芯検出用マークM2に反射して第一の偏芯検出センサ15に戻ってくる光の光量が変化する。これを検出することで、光スポットと偏芯検出用マークM2との相対位置関係に応じた電圧を出力するセンサを実現できる。
半径方向の相対位置の差Δrsと、第一の偏芯検出センサ15からの出力電圧Vsの関係は、図9(b)のようになる。即ち、所定の検出範囲rs_vの間において、出力電圧Vsは第一の偏芯検出センサ15と偏芯検出用マークM2の半径方向の相対位置の差Δrsに比例した電圧となる。また、出力電圧Vsがゼロとなるとき、第一の偏芯検出センサ15の照射する光スポットは、偏芯検出用マークM2の外周の縁に位置する。なお、第一の偏芯検出センサ15に関しては、Δrsを取る方向はX軸の負方向である。
図7で図示されているように、第一の偏芯検出センサ15は駆動基準位置xy0を原点とする直交座標軸においてX軸上に配置されている。また第二の偏芯検出センサ16は駆動基準位置xy0を原点とする直交座標軸においてY軸上に配置されている。偏芯検出用マークM2との相対位置を検出可能なセンサを直交して配置することにより、偏芯検出用マークM2の位置を検出することができる。更に、両方のセンサの出力電圧をゼロになるように移動ステージ51を制御することができれば、両方のセンサの真上に偏芯検出用マークM2の縁が位置(即ち、両方のセンサが照射する光スポットの中心が偏芯検出用マークM2の縁に位置)するようにホログラム記録媒体1の位置を制御することができることになる。
なお回転角度検出センサ14及び第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16はいずれもマークを検出するための検出光として光スポットをホログラム記録媒体1に照射するが、この検出光の波長は、参照光の波長とは異なることが好ましい。なお、信号光の波長と参照光の波長は同一であるので、信号光の波長と異なると表現しても良い。これは、参照光の波長と近い波長の光が未記録のホログラム記録媒体に照射されると、その後にその照射位置にホログラムを記録した場合の再生品質が劣化することが知られているためである。例えば信号光の波長及び再生光の波長がともに405nmである場合、検出光としては例えば、再生光の波長と100nm以上異なる、波長650nmの光を用いることができる。
続いて、本実施例の各制御回路の構成について説明する。
本実施例のスピンドル制御回路32の構成について、図10を用いて説明する。スピンドル制御回路32は、回転角度演算回路3201、スピンドル制御器3202、スピンドル出力制御スイッチ3203、スピンドル制御判定回路3204から成る。スピンドル制御回路32はコントローラ80からの指令信号に基づいて、ホログラム記録媒体1の回転角度が、コントローラ80からの角度指令値Tgtθとなるようにスピンドルモータ50を制御する。この制御のことを本明細書ではスピンドル制御と称する。
回転角度演算回路3201は、回転角度検出センサ14の出力するA相信号及びB相信号及びZ相信号を入力とし、上記3つの信号から現在のホログラム記録媒体1の回転角度Detθを演算してDetθ信号として出力する。スピンドル制御器3202は、Detθ信号と、コントローラ80からの角度指令Tgtθ信号を入力とし、スピンドルモータ50を制御するための駆動信号を出力する。
スピンドル出力制御スイッチ3203はスピンドル制御器3202の出力信号を入力とし、コントローラ80からの制御信号SPONに従い、スピンドル制御器3202の出力信号を出力するかどうかを制御する。SPON信号がHighのときは、スピンドル出力制御スイッチ3203は端子aを選択し、スピンドル制御器3202の出力信号をSPD信号として出力する。一方、SPON信号がLowのときは、スピンドル出力制御スイッチ3203は端子bを選択し、基準電位をSPD信号として出力し、スピンドル制御器3202の出力信号を出力しない。この結果、SPON信号はスピンドル制御のオン・オフを指示する信号となる。またスピンドル出力制御スイッチ3203は、スピンドル制御のオン・オフを切り替えるスイッチとして機能する。スピンドル出力制御スイッチ3203から出力されたSPD信号はスピンドル駆動回路33によって増幅され、スピンドルモータ50が制御される。
スピンドル制御判定回路3204はDetθ信号とTgtθ信号を入力とし、ホログラム記録媒体1の回転角度が角度指令値Tgtθ近傍の値である否かを判定し、SPOK信号として出力する。なお、ホログラム記録媒体1の回転角度が角度指令値Tgtθ近傍の値である場合に、SPOK信号はHighとなるものとする。スピンドル制御判定回路3204は例えば、回転角度検出センサ14によって検出された現在角度Detθと角度指令値Tgtθとの差分が所定の閾値以下となってからの経過時間を計測し、その計測時間が所定時間以上続くことで判定を行う回路とすることで実現できる。判定結果であるSPOK信号はコントローラ80へと入力される。そのためコントローラ80はSPOK信号によって、ホログラム記録媒体1の回転角度が角度指令値Tgtθ近傍の値であるか否かを判定可能である。即ちスピンドル制御判定回路3204は、スピンドル制御の収束を判定する回路として機能する。
本実施例における半径方向搬送制御回路34の構成について、図11を用いて説明する。半径方向搬送制御回路34は、半径位置演算回路3401、半径位置制御器3402、半径位置出力制御スイッチ3403、半径位置制御判定回路3404から成る。半径方向搬送制御回路34はコントローラ80からの指令信号に基づいて、半径方向搬送部52の可動部の位置が、コントローラ80からの位置指令値TgtRとなるように半径方向搬送部52を制御する。この制御のことを本明細書では半径位置制御と称する。図10と図11を見比べてわかるように、半径方向搬送制御回路34の構成はスピンドル制御回路32の構成と類似している。
半径位置演算回路3401は、半径位置検出センサ17の出力するA相信号及びB相信号及びZ相信号を入力とし、上記3つの信号から現在のホログラム記録媒体1の半径位置DetRを演算してDetR信号として出力する。半径位置制御器3402は、DetR信号と、コントローラ80からの半径位置指令TgtR信号を入力とし、半径方向搬送部52を制御するための駆動信号を出力する。
半径位置出力制御スイッチ3403は半径位置制御器3402の出力信号を入力とし、コントローラ80からの制御信号RDONに従い、半径位置制御器3402の出力信号を出力するかどうかを制御する。RDON信号がHighのときは、半径位置出力制御スイッチ3403は端子cを選択し、半径位置制御器3402の出力信号をRDD信号として出力する。一方、RDON信号がLowのときは、半径位置出力制御スイッチ3403は端子dを選択し、基準電位をRDD信号として出力し、半径位置制御器3402の出力信号を出力しない。この結果、RDON信号は半径位置制御のオン・オフを指示する信号となる。また半径位置出力制御スイッチ3403は、半径位置制御のオン・オフを切り替えるスイッチとして機能する。半径位置出力制御スイッチ3403から出力されたRDD信号は半径方向搬送駆動回路35によって増幅され、半径方向搬送部52が制御される。
半径位置制御判定回路3404はDetR信号とTgtR信号を入力とし、ホログラム記録媒体1の半径位置が半径位置指令値TgtR近傍の値であるか否かを判定し、RDOK信号として出力する。なお、ホログラム記録媒体1の半径位置が半径位置指令値TgtR近傍の値である場合に、RDOK信号はHighとなるものとする。半径位置制御判定回路3404は例えば、半径位置検出センサ17によって検出された現在の半径位置DetRと半径位置指令値TgtRとの差分が所定の閾値以下となってからの経過時間を計測し、その計測時間が所定時間以上続くことで判定を行う回路とすることで実現できる。判定結果であるRDOK信号はコントローラ80へと入力される。そのためコントローラ80はRDOK信号によって、ホログラム記録媒体1の半径位置が半径位置指令値TgtR近傍の値であるか否かを判定可能である。即ち半径位置制御判定回路3404は、半径位置制御の収束を判定する回路として機能する。
なお本実施例におけるスピンドル制御判定回路3204は、現在角度Detθと角度指令値Tgtθとの差分が所定の閾値以下となってからの経過時間を計測し、その計測時間が所定時間以上続くことで判定を行う構成とした。しかしスピンドル制御判定回路3204はホログラム記録媒体1の回転角度が角度指令値Tgtθ近傍の値であるか否かを判定できれば、別の構成であってもよい。例えば、現在角度Detθが一度でも角度指令値Tgtθと等しくなったら、その時点でSPOK信号をHighにする構成としてもよい。半径位置制御判定回路3404についても同様である。
本実施例における偏芯補償回路30及び移動ステージ駆動回路31の構成について、図12を用いて説明する。偏芯補償回路30はX軸補償器3001、X軸出力制御スイッチ3002、Y軸補償器3003、Y軸出力制御スイッチ3004、偏芯補償判定回路3005から成る。また、移動ステージ駆動回路31はX軸駆動回路3101とY軸駆動回路3102から成る。偏芯補償回路30はコントローラ80からの指令信号に基づいて、偏芯検出用マークを基準としてホログラム記録媒体1の位置決めが行われるように移動ステージ51を制御する。この制御のことを本明細書では偏芯補償制御と称する。
X軸補償器3001には第一の偏芯検出センサ15の出力信号が入力され、移動ステージ51のX軸を駆動するための駆動信号を生成する。X軸出力制御スイッチ3002はX軸補償器3001の出力信号を入力とし、コントローラ80からの制御信号XYONに従い、X軸補償器3001の出力信号を出力するかどうかを制御する。XYON信号がHighのときは、X軸出力制御スイッチ3002は端子aを選択し、X軸補償器3001の出力信号をXD信号として出力する。一方、XYON信号がLowのときは、X軸出力制御スイッチ3002は端子bを選択し、基準電位をXD信号として出力し、X軸補償器3001の出力信号を出力しない。X軸出力制御スイッチ3002から出力されたXD信号はX軸駆動回路3101によって増幅され、移動ステージ51のX軸が制御される。
Y軸補償器3003には第二の偏芯検出センサ16の出力信号が入力され、移動ステージ51のY軸を駆動するための駆動信号を生成する。Y軸出力制御スイッチ3004はY軸補償器3003の出力信号を入力とし、コントローラ80からの制御信号XYONに従い、Y軸補償器3003の出力信号を出力するかどうかを制御する。XYON信号がHighのときは、Y軸出力制御スイッチ3004は端子aを選択し、Y軸補償器3003の出力信号をYD信号として出力する。一方、XYON信号がLowのときは、Y軸出力制御スイッチ3004は端子bを選択し、基準電位をYD信号として出力し、Y軸補償器3003の出力信号を出力しない。Y軸出力制御スイッチ3004から出力されたYD信号はY軸駆動回路3102によって増幅され、移動ステージ51のY軸が制御される。
偏芯補償判定回路3005は第一の偏芯検出センサ15の出力信号及び第二の偏芯検出センサ16の出力信号を入力とし、偏芯検出用マークを基準としたホログラム記録媒体1の位置決めが完了したかどうかを判定し、XYOK信号として出力する。なお、偏芯検出用マークを基準としたホログラム記録媒体1の位置決めが完了した場合に、XYOK信号はHighとなるものとする。XYOK信号はコントローラ80へと入力される。そのためコントローラ80はXYOK信号によって、偏芯検出用マークを基準としたホログラム記録媒体1の位置決めが完了したか否かを判定可能である。即ち偏芯補償判定回路3005は、偏芯補償制御の収束を判定する回路として機能する。
ここで、X軸補償器3001及びY軸補償器3003において行われる制御について説明する。まず偏芯補償判定回路3005は付属的な回路である。そのため図12からわかるように、偏芯補償回路30及び移動ステージ駆動回路31に関わる制御系は、破線(A)で示すX軸に関する制御系と、破線(B)で示すY軸に関する制御系が独立している。即ち、偏芯補償回路30には第一の偏芯検出センサ15の出力信号及び第二の偏芯検出センサ16の出力信号が入力されるが、移動ステージ51のX軸の制御に用いられるのは第一の偏芯検出センサ15の出力信号のみであり、同様に移動ステージ51のY軸の制御に用いられるのは第二の偏芯検出センサ16の出力信号のみである。
X軸補償器3001においては、入力される第一の偏芯検出センサ15の出力信号の電圧がゼロとなるように制御を行う。Y軸補償器3003においては、入力される第二の偏芯検出センサ16の出力信号の電圧がゼロとなるように制御を行う。これらは一般的なフィードバック制御であり、X軸補償器3001やY軸補償器3003は、一例として一般的なCPUによって実現できる。
図9や図7を用いて説明したように、第一の偏芯検出センサ15の出力電圧及び第二の偏芯検出センサ16の出力電圧をともにゼロとすることは、両方のセンサの真上に偏芯検出用マークM2の縁が位置するようにホログラム記録媒体1の位置を制御していることと等価である。したがって、上述したX軸補償器3001及びY軸補償器3003の動作によって、両方のセンサの真上に偏芯検出用マークM2の縁が位置するようにホログラム記録媒体1の位置を制御することができる。
ホログラム記録媒体1に偏芯がある場合とは、図6を用いて説明をすれば、媒体の最内周の円R1の幾何学的な中心がOと一致しない場合である。その場合であっても、移動ステージ51が偏芯検出用マークM1を用いてホログラム記録媒体1の位置を制御する。具体的には、偏芯検出用マークM1の幾何学的な中心Oが、移動ステージ51の駆動基準位置に一致するように制御される。
ここで信号光及び/または参照光が照射される位置は装置に固定された位置である。そのためこの動作は、偏芯があった場合であっても、偏芯検出用マークを基準としてホログラム記録媒体1の位置決めが行われるように動作させることになる。これは、偏芯をキャンセルした位置に信号光及び/または参照光が照射されるように制御できると言い換えることもできる。
しかしながら、図12において説明したように、X軸とY軸を独立して制御を行うためには、センサの配置に関する制限がある。本実施例においては第一の偏芯検出センサ15と第二の偏芯検出センサ16を、駆動基準位置xy0に関して直交して配置し、かつその直交する方向を移動ステージ51の駆動軸の方向と同一とした。次に、このような構成を取る理由について説明する。
一例として、図13(a)に示すように、第一の偏芯検出センサ15の固定位置がP15’と変更した場合を考える。図7の場合と異なるのは第一の偏芯検出センサ15の固定位置のみである。P15’は、Y軸負方向と45度をなす直線上にあるものとする。図13(a)において、Y軸負方向と45度をなす方向をX’軸として示している。
また以降の説明の前提として、スピンドル制御回路32、半径方向搬送制御回路34、偏芯補償回路30は、これまでの説明と共通の構成とする。即ち、第一の偏芯検出センサ15の出力信号に基づいて、偏芯補償回路30は移動ステージ51のX軸を駆動する構成であるとする。
第一の偏芯検出センサ15をP15’の位置に配置した場合の、第一の偏芯検出センサ15の出力信号は、図13(B)に示すようになる。即ち、Δrsを取る方向をX軸方向とせずに、X’軸方向とする。Δrsの取り方をこのように変更すれば、Δrsと出力電圧Vsの関係は図9(b)の場合と同一となる。
しかしながら、実際に制御を行う上では、制御の目標点近傍において制御系が独立している必要がある。具体的には、図13(a)の場合に、ホログラム記録媒体1が左に微小距離、移動した状況を考える。この場合、移動ステージ51による移動が必要なのはY軸のみである。しかしながら、図13(a)の場合には、点P15’近傍において偏芯検出用マークM2の縁が45度傾いている。そのため、ホログラム記録媒体1が左に微小距離、移動した場合に、第一の偏芯検出センサ15の出力も変動する。この結果、偏芯補償回路30による制御は収束しない可能性がある。更に最悪の場合には、移動ステージ51によるX軸とY軸の2軸の制御が発振してしまう可能性もある。この問題は特に、X軸の制御系の応答速度とY軸の制御系の応答速度が等しい場合に問題となる。
一方、本実施例の構成のように第一の偏芯検出センサ15をP15の位置に配置した場合について、同様に、ホログラム記録媒体1が左に微小距離、移動した状況を考える。この場合に、点P15近傍における偏芯検出用マークM2の縁のX軸方向の変位はほぼゼロであることは、点P15において円Cxyの接線がY軸と平行になることから明らかである。そのため本実施例の構成の場合には、X軸はほぼ駆動されず、Y軸のみが駆動される。このため、本実施例の構成であれば問題は起こらない。
このような動作がX軸及びY軸について同時に行われる結果、移動ステージ51による2軸の制御は発振することなく、好ましい位置へと収束する。以上から、第一の偏芯検出センサ15と第二の偏芯検出センサ16を、駆動基準位置xy0に関して直交して配置する構成とすることが好適である。
なお、以上の説明からわかるように、センサの配置に関する制限としては、偏芯検出センサを配置する点である点P15及び点P16における円Cxyの接線が、移動ステージ51の駆動軸と平行であることである。
続いて本実施例におけるシーク処理S414について、図5のフローチャートを用いて説明する。なお、シーク処理S422に関しても同一のフローチャートである。ここで、本実施例のようにホログラム記録媒体1が円盤状である場合のシークにおいては、半径r及び回転角θがパラメータとなる。以降、半径rの駆動軸をr軸、回転角θの駆動軸をθ軸と称する。
なお本実施例においては、シーク処理S414より以前に行われる学習処理ステップS404においてXYON信号をHighとすることで偏芯補償制御が開始されている。そのため、シーク処理S414を開始する時点で偏芯補償制御はオンされた状態である。
シーク処理を開始すると(ステップS501)、目標アドレスのホログラムが位置する座標(r、θ)と現在位置との差分を計算して、r軸及びθ軸について移動量を計算する(ステップS502)。次に、r軸の移動量がゼロ以外であるかを判断する(ステップS503)。r軸の移動量がゼロ以外であれば(ステップS503にてYesの場合)、RDON信号をHighにすることで半径位置制御をオンにしてr軸の移動を開始する(ステップS504)。ステップS504に続いては、後述するステップS505に移行する。またr軸の移動量がゼロであれば(ステップS503にてNoの場合)、ステップS504を行わずにステップS505に移行する。
ステップS505においては、θ軸の移動量がゼロ以外であるかを判断する。θ軸の移動量がゼロ以外であれば(ステップS505にてYesの場合)、SPON信号をHighにすることでスピンドル制御をオンにしてθ軸の移動を開始する(ステップS506)。ステップS506に続いては、後述するステップS507に移行する。またθ軸の移動量がゼロであれば(ステップS505にてNoの場合)、ステップS506を行わずにステップS507に移行する。
ステップS507においては、移動が完了したかの判定を行う。ここで、RDOK信号及びSPOK信号及びXYOK信号がすべてHighレベルであることをもって、移動が完了したと判定する。
移動が完了していないと判定された場合(ステップS507でNoの場合)には、再びステップS507に戻る。即ち、RDOK信号及びSPOK信号及びXYOK信号のうちのいずれか1つでもLowレベルであれば、移動が完了したとは判定せずに、上記3つの信号全てが同時にHighレベルとなるまで待機する動作となる。
移動が完了したと判定された場合(ステップS507でYesの場合)、RDON信号及びSPON信号をともにLowとすることで、半径位置制御及びスピンドル制御をオフして移動を終了する(ステップS508)。
次に、再生時のシーク処理であるかを判断する(ステップS509)。再生時のシークでない場合(ステップS509でNoの場合)、後述するステップS515に進み、シーク処理を終了する。再生時のシークである場合は(ステップS509でYesの場合)、これでシーク処理を終了せず、記録されたホログラムを再生して得られるアドレス情報で目標アドレスに正しく位置決めされるまでシーク処理を続行する。これは、記録時のシークでは未記録部へのシークとなり、アドレス情報が得られないためである。
再生時のシークである場合は(ステップS509でYesの場合)、位置付けされたホログラム記録媒体1上の位置に参照光を照射することでホログラムの再生を試みて、再生可能であるか否かを判断する(ステップS510)。ホログラムが再生可能ではない場合(ステップS510にてNoの場合)には、位置決めが正確に行えなかったことを意味する。そのため、所定のリトライパラメータに基づいて、r軸及びθ軸リトライ値を計算し(ステップS511)、ステップS502に戻る。これにより、位置決めした近傍に移動するリトライのシークが行われる。
ホログラムが再生可能であった場合(ステップS510にてYesの場合)、再生されたホログラムに含まれるアドレス情報を取得する(ステップS512)。続いて、取得したアドレスが目標アドレスであるか否かを判断する(ステップS513)。取得したアドレスが目標アドレスでなかった場合(ステップS513にてNoの場合)には、位置決めが正確に行えなかったことを意味する。そのため、取得したアドレスの座標(r、θ)と目標アドレスの座標(r、θ)の差分を計算し、ステップS502に戻る。これにより、ホログラムのアドレス情報に基づいたリトライのシークが行われる。
取得したアドレスが目標アドレスである場合(ステップS513にてYesの場合)、シーク処理を終了する(ステップS515)。
ここで本実施例のフローチャートにおいて、例えばr軸の移動量がゼロでθ軸のみを駆動するシークの場合に、スピンドル制御が角度指令値Tgtθ近傍にまで収束してSPOK信号がHighとなっていても、偏芯補償判定回路3005の出力するXYOK信号がHighとなっていなければ、スピンドル制御をオフしない(即ちSPD信号としてスピンドル制御器3202の出力信号を出力し続ける)点に特徴がある。本実施例の偏芯補償回路30に相当する回路を持たない従来技術の構成においては、SPOK信号はスピンドル制御の収束判定回路として機能し、SPOK信号がHighとなれば純粋にスピンドル制御をオフしてよい。しかしながら本実施例においては、これを行わない。この理由については後述する。
次に、本実施例による効果について説明する。まず、偏芯をキャンセルするための構成として、可動部に移動ステージ51及びセンサが固定された半径方向搬送部52、スピンドルモータ50、所定のマークを有するホログラム記録媒体1の順に搭載した機構とした。偏芯をキャンセルするための好適な構成はこの搭載順となることを、本発明者は見出した。
装置の実現しやすさを考えなければ、偏芯をキャンセルするための最善の構成は、この搭載順と異なり、スピンドルモータの上に移動ステージを搭載する構成である。これにより最も簡易的な方法で、偏芯をキャンセルすることができる。図18(b)を用いて説明すれば、偏芯が存在する場合であっても、ホログラム記録媒体の中心Oをスピンドルモータの回転中心sp0に一致させることができる。しかしながら、この構成は移動ステージを実現するのが非常に困難である。なぜなら、回転するスピンドルモータの回転軸の上に移動ステージを搭載する関係上、移動ステージの制御系の電気配線(本実施例における、移動ステージ駆動回路31と移動ステージ51を結ぶ配線)を、回転軸に沿って設置する必要がある。この実現には高価な機構が必要になり、更に装置の寿命としても長期化が困難である。
そのため、スピンドルモータ50と移動ステージ51の搭載順としては、本実施例の構成のように、移動ステージ51の可動部の上にスピンドルモータ50を搭載する順序となる。また、ホログラム記録媒体1に設けたマークが内周側に寄った構造であるため、センサは移動ステージ51と同一の部材に固定し、半径方向搬送部52によってホログラム記録媒体1と一体となって半径方向に移送されるのが好ましい。この結果、半径方向搬送部52の可動部の上に移動ステージ51及びセンサを搭載する順序となる。
このように、本実施例の第一の効果は、偏芯のキャンセルと装置の実現しやすさの両立を、機構的な搭載順の工夫により解決できる点である。
次に、第二の効果について説明する。上述したように、スピンドルモータの回転軸の上に移動ステージを搭載することはできず、移動ステージの上にスピンドルモータを搭載する構成となる。この構成の場合には、制御の側面においても特徴的な制御が必要となる。
スピンドルモータの回転軸の上に移動ステージを搭載できた場合には、図18(b)を用いて説明すれば、ホログラム記録媒体の中心Oをスピンドルモータの回転中心sp0と一致させることができた。しかし本実施例の構成の場合には、偏芯が存在する場合であっても、ホログラム記録媒体の中心Oをスピンドルモータの回転中心sp0に一致させることができない。本実施例の場合には、ホログラム記録媒体の中心Oとスピンドルモータの回転中心sp0はずれた状態のまま、ホログラム記録媒体1の中心Oを移動ステージ51の駆動基準位置xy0に一致させる。これにより、偏芯をキャンセルした位置に信号光及び/または参照光が照射されるように制御できる。
本実施例の構成のように、好適な機構の搭載順を実現する上で、特徴的な制御が必要となることを、図14を用いて説明する。図14(a)はホログラム記録媒体1と、各種センサの位置関係を示した模式図である。円R2はホログラム記録媒体1の最外周を、円Cxyは偏芯検出用マークM2の外周の縁を、円Cspは角度検出用マークM1の中心線を、それぞれ示している。
本実施例によれば、ホログラム記録媒体の中心Oは移動ステージ51の駆動基準位置xy0と一致するため、図14(a)ではそのように図示している。図14(a)においては、偏芯があるものとする。即ち、スピンドルモータ回転中心sp0は、移動ステージ51の駆動基準位置xy0と一致しない位置として図示されている。
通常、光ディスク装置におけるシーク動作においては、スピンドル制御と半径位置制御を独立に行う。この2つの制御は同時に行ってもよいし、順番に行ってもよい。この従来の制御手法を踏襲すれば、本実施例におけるスピンドル制御及び半径位置制御及び偏芯補償制御は、独立に行ってもよいことになる。しかしながら本実施例の構成を取る場合には、スピンドル制御と偏芯補償制御を独立に制御を行うことができない。
今、点Pで示す位置に目的のホログラムが記録されており、そのホログラムを再生するためにスピンドルモータ50を回転させるシークを行うとする。なおここでは、半径位置制御は既に完了しているものとする。点Pの移動先を点TgtPで図示している。点TgtPは参照光が照射されている位置である。通常、参照光は対物レンズ215のほぼ真下に照射されるため、点TgtPの真上に対物レンズがあると読み替えてもよい。偏芯がない場合のシーク動作が、スピンドルモータ50を−θ回転させる場合のシークを考える。
仮に、偏芯補償制御を行う前にスピンドル制御を行った場合を考える。この場合、ホログラム記録媒体1は、スピンドルモータ50の回転中心である点sp0を中心に、−θ回転する。説明のため、点sp0と点P14を結ぶ直線をL0とし、その直線を点sp0の周りに+θ回転させた直線をL1とする。回転角度を検出するのは、点P14に設置された回転角度検出センサ14であるので、点sp0を中心に−θ回転することは、点sp0を中心に、L1がL0に重なるように回転させることを意味する。
回転後の様子を示したのが図14(b)である。この回転の結果、点Pは点P’に移動される。また、ホログラム記録媒体の中心Oは移動ステージ51の駆動基準位置xy0から点O’に移動する。円R2、円Cxyについても同様に、回転後の円を「’(ダッシュ)」を付けて図示している。
図からわかるように、単にスピンドルモータ50を−θ回転させただけでは、目的のホログラムを目標の位置TgtPに移動させることはできない。また、この回転に続いて偏芯補償制御を行えば点O’を点xy0と一致させることができるが、その偏芯補償制御による移動で点P’が点TgtPに一致する訳ではない。何故なら、本実施例の構成においては、スピンドルモータ50の回転中心sp0が駆動基準位置xy0と一致しないので、スピンドルモータ50を回すのに必要な回転量は、もはや−θではないためである。
また、以上の説明では偏芯補償制御を行う前にスピンドル制御を行った場合を説明したが、スピンドル制御を行う前に偏芯補償制御を行うこともできない。何故なら、図14(a)のシーク前の図において、既に2つの偏芯検出センサの真上には偏芯検出用マークM2の外周の縁が位置しており、本実施例の偏芯補償制御は動作しない。これは、スピンドルモータ50を−θ回転させたシーク後の状態に移行する際にどれだけ移動ステージ51を駆動すべきかが、シーク前の段階においてはわからないためである。
そのため、スピンドルモータ50を回転させるシーク動作においては、例えば本実施例のように、スピンドル制御と偏芯補償制御を同時に動作させる必要がある。
スピンドル制御と偏芯補償制御を同時に動作させた場合には、図14(b)のような状態になっても、図14(b)の(A)で示す部分において点P15と円Cxy’が一致しないので、第一の偏芯検出センサ15の出力はゼロ以外の値となる。同様に、図14(b)の(B)で示す部分に関して、第二の偏芯検出センサ16の出力もゼロ以外の値となる。このため、偏芯補償制御によってホログラム記録媒体の中心O’が駆動基準位置xy0と一致するように制御が行われる。このとき点P’は再度、移動し、かつ、この偏芯補償制御によって回転角度検出センサ14の検出角度も変化する。2つの制御が同時に動作した結果、シークの最終状態では、ホログラム記録媒体の中心O’が駆動基準位置xy0と一致した位置に制御される。
同時に、この間もスピンドル制御は行われ続けているので、点P14の位置に固定された回転角度検出センサ14において、シーク期間中に検出された回転角の変化分は、正確に−θとなる。このことは、シークの最終状態において、ホログラム記録媒体の中心O’と点P14を結ぶ直線上に、図14(a)に図示した点Qが来ることを意味する。点Qは、点xy0の周りに点P14を+θ回転させた点である。シークの最終状態では、ホログラム記録媒体の中心O’が駆動基準位置xy0と一致した位置に制御されることを考慮すれば、図14(a)の点QがX軸上に来ることを意味する。これは即ち、点PがX軸上に来ることを意味し、点Pが目標の位置TgtPに移動されることを意味する。これにより、本実施例の構成であっても高精度な位置決め動作を実現可能である。
この動作は、本実施例のフローチャートである図5において、ステップS507にてSPOK信号及びXYOK信号の両方がHighレベルであることをもって、ステップS508のスピンドル制御のオフを行うことで実現されている。
このように、スピンドル制御が角度指令値Tgtθ近傍にまで収束してSPOK信号がHighとなっていても、偏芯補償判定回路3005の出力するXYOK信号がHighとなっていなければ、スピンドル制御をオフしてはいけない。本実施例のように、SPOK信号とXYOK信号の両方の判定結果がOKとなるまで、スピンドル制御と偏芯補償制御を同時に動作させ続ける必要がある。
以上で説明したように、スピンドル制御と偏芯補償制御を同時に動作させることにより、本実施例の構成においても適切にシーク動作を行うことができる。本実施例の第二の効果は、本実施例の機構的な搭載順の場合でも高精度な位置決めを実現する制御手法を有する点である。
以上で説明した2点、即ち、偏芯をキャンセルするための好適な搭載順と、その場合に必要となる制御とを実現することにより、スピンドルモータの回転中心と円盤状ホログラム記録媒体1の幾何学的な中心との間にずれ、即ち偏芯が存在する場合であっても、偏芯をキャンセルした位置に位置決め制御を行うことができる。より具体的には、偏芯補償回路30及びスピンドル制御回路32が本実施例に従い動作することにより、偏芯検出マークの幾何学的な中心を基準としてホログラム記録媒体1の位置決めが行われる。これにより、偏芯が存在する場合であっても、偏芯をキャンセルした位置に信号光や参照光を照射してホログラムの記録もしくは再生を行うことができる。
図18を用いて説明したように、偏芯が存在する場合の課題としてはホログラム再生品質の劣化や再生転送レートの低下が挙げられる。本実施例によれば記録時及び再生時のどちらにおいても偏芯が実質的になくなるように動作することができるので、ホログラム再生品質の劣化や再生転送レートの低下といった課題を解決することができる。
このように、本実施例の第三の効果は、偏芯をキャンセルした位置に信号光や参照光を照射してホログラムの記録もしくは再生を行うことにより、ホログラム再生品質の劣化や再生転送レートの低下といった課題を解決できる点である。
更に偏芯をキャンセルする制御系として、同心円状の偏芯検出用マークのエッジを検出するセンサを直交する方向に2つ配置し、かつその直交する方向を移動ステージ51の駆動軸の方向と同一とした。これによって、図13を用いて説明したように、偏芯補償回路30及び移動ステージ駆動回路31においては、X軸とY軸を独立して制御できる。これにより偏芯補償回路30の簡易化を図ることができ、装置の低コスト化を実現できる。
また、第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16の特性として、センサと偏芯検出用マークM2との相対位置関係に応じた電圧を出力する特性とした。この特性を有するセンサを用いることにより、X軸補償器3001は第一の偏芯検出センサ15の出力信号が所定電圧となるように制御を行えばよく、これは実装容易な構成である。Y軸補償器3003についても同様である。このため、装置の低コスト化を実現できる。
このように、本実施例の第四の効果は、装置の低コスト化を実現できる点である。
また、半径r、回転角度θ、偏芯の制御のうち、回転角度θ及び偏芯の制御に関してはホログラム記録媒体にマークを設け、該マークを検出して制御する構成とした。媒体に設けられたマークを基準に位置決めを行うことで、装置間のばらつきに依存しない、高精度な位置決め制御が可能になる。即ち、スピンドルモータの回転軸に取り付けられたホログラム記録媒体固定部の偏芯具合は装置間でばらつくが、このばらつきに依存しない高精度な位置決め制御が可能になる。
このように、本実施例の第五の効果は、ホログラム記録媒体1に角度検出用マークと偏芯検出用マークを設けたことによって、媒体を基準とした高精度な位置決めを実現できる点である。
また媒体に回転角度θ及び偏芯に関して媒体にマークを設ける構成としたのは、図6で示したように、これら2つのマークは同心円状とすることができ、ホログラム記録媒体1の記録容量の犠牲を最小限としてマークを埋め込めるためである。半径方向については、常時検出することを考えると、ユーザデータをホログラムとして記録する領域全面にマークを配置する必要がある。これは記録容量が低下することと、更に媒体の製造コストが高くなることから、現実的でない。従って、媒体に回転角度θ及び偏芯を検出するための同心円状のマークをホログラム記録媒体1上に設け、かつ、そのマークを情報の記録されたホログラムを記録する領域とは異なる領域に設けることが好ましい。これにより、記録容量の犠牲を最小限としてマークが設けられた、好適な構成となる。
このように、本実施例の第六の効果は、マークを設けることによる記録容量の犠牲を最小限とした構成である点である。
以上で説明したように本実施例の効果は複数挙げられるが、本実施例の構成によって、ホログラム記録媒体に対する好適な記録再生を実現できる。
以上の動作により、偏芯をキャンセルした位置にホログラムの記録もしくは再生を行うことができる。また同時に、機構的な搭載順の最適化を行っているため、装置の低コスト化や長寿命化を実現できる。
このように本実施例によれば、ホログラム記録媒体に対する好適な記録再生を実現できる。
実施例3においては、シーク処理が行われると毎回、r軸及びθ軸の移動の最中は偏芯補償制御がオンになる動作とした。しかしながら、シーク処理で毎回、偏芯制御を行わない動作とすることも可能であり、またそれによる効果も存在する。本実施例はこの観点における、実施例3の変形例である。
本実施例のホログラム記録再生装置のブロック図は、実施例1のブロック図である図1と共通である。またホログラム記録再生装置10を構成する各種部品も、実施例1と共通である。
本実施例は、実施例3と動作の一部のみが異なる。実施例3(及び実施例1)のセットアップ処理、記録処理、再生処理のフローチャートである図4における各処理のうち、シーク処理S414及びシーク処理S422における具体的な処理内容が実施例3とは異なる。なお実施例3においては、偏芯補償制御をオンせずにセットアップ処理を終了するとしたが、この点は本実施例も共通である。
はじめに、本実施例のホログラム記録再生装置10が想定しているシーク動作について説明する。本実施例のホログラム記録再生装置10は、スピンドルモータ50のみを回転させるシーク処理が複数回、連続することを想定している。このとき、本実施例のコントローラ80は、k回目(k:自然数)のシークにおけるθ軸移動量Δθkを記憶したり、複数回のシーク処理におけるθ軸移動量Δθkを加算した総和を記憶したりする機能を有しているものとする。
更に本実施例においては、連続するスピンドルモータ50のみのシーク処理において、毎回、偏芯制御を行わない。コントローラ80は、最後に偏芯補償制御を終了してから現在までにスピンドルモータ50が回転した累積の回転角度θsumを計算し、その累積の回転角度θsumが閾値以上となる場合に限り、偏芯補償制御を行う。以下、この動作を実現するためのフローチャートを説明する。
本実施例におけるシーク処理S414について、図24のフローチャートを用いて説明する。なお、シーク処理S422に関しても同一のフローチャートである。ここで、実施例3のフローチャートである図23と同一の処理内容であるステップに関しては同一の番号を付し、処理内容の説明を省略する。
実施例3のフローチャートである図23と比較して、新規に追加されるステップはステップS518乃至ステップS522の5つである。ステップS518及びステップS519は、図23におけるステップS501とステップS516の間に挿入される。ステップS520及びステップS521は、図23におけるステップS502とステップS503の間に挿入される。更に、ステップS522は、図23におけるステップS504とステップS505の間に挿入される。以下、それぞれに関する説明を行う。
本実施例においてはシーク処理を開始すると(ステップS501)、最後に偏芯補償制御を終了してから現在までにスピンドルモータ50が回転した累積の回転角度θsumが所定の閾値θthより大きいか否かを判断する(ステップS518)。ここで、累積の回転角度θsumはコントローラ80に記憶されているものとする。θsumが所定の閾値θthより大きい場合(ステップS518でYesの場合)、コントローラ80が記憶している累積の回転角度θsumの値をゼロに設定する(ステップS519)。その後ステップS516に進み、更にステップS502に移行する。θsumが所定の閾値θthより大きくない場合(ステップS518でNoの場合)、ステップS519及びステップS516を行わずにステップS502に移行する。
ステップS502においては、目標アドレスのホログラムが位置する座標(r、θ)と現在位置との差分を計算して、r軸及びθ軸について移動量を計算する。θ軸の移動量を以下ではΔθkで表現する。次に、「r軸の移動量がゼロであり、かつθ軸の移動量がゼロでない」が成立するかを判断する(ステップS520)。この条件は、スピンドルモータ50のみを回転させるシーク処理であるかを判断していることと等価である。
「r軸の移動量がゼロであり、かつθ軸の移動量がゼロでない」が成立する場合(ステップS520でYesの場合)、コントローラ80が記憶している累積の回転角度θsumの値にθ軸の移動量Δθkを加算する(ステップS521)。ステップS521の後、ステップS503に進む。また「r軸の移動量がゼロであり、かつθ軸の移動量がゼロでない」が成立しない場合(ステップS520でNoの場合)、ステップS521を行わずにステップS503に移行する。
またステップS504を実行した後には、コントローラ80が記憶している累積の回転角度θsumの値をゼロに設定し(ステップS522)、その後にステップS505に移行する。
以上のフローチャートによれば、スピンドルモータ50のみを回転させるシーク処理が連続する限り累積の回転角度θsumを加算していき、半径方向搬送部52を駆動するシークが入ると累積の回転角度θsumがゼロにリセットされる動作となる。更に、このようにして管理される累積の回転角度θsumが閾値θth以上でとなるシーク処理に限り、偏芯補償制御をオンする動作となる。
次に、本実施例を用いる場合の効果について説明する。本実施例を用いた場合、偏芯補償制御を毎回行わないため、実施例1の場合のように偏芯を完全にキャンセルした位置にホログラムの記録もしくは再生を行うことはできない。そのため、微小にずれた位置に位置付けられて、ホログラムの記録もしくは再生が行われる。このとき、記録もしくは再生に影響が出るかは、光学系の性能やホログラム記録媒体の特性に強く依存する。即ち、本実施例のように偏芯補償制御を毎回行なわず、完全には偏芯をキャンセルしない場合であっても、それにより発生する位置決め誤差が要求される許容量より小さければ問題とならない。
一方で、偏芯補償制御を行うということは、移動ステージ51を駆動することを意味する。移動ステージ51の可動部の上にはスピンドルモータ50が固定されている。スピンドルモータ50を回転するときの負荷はホログラム記録媒体1のみを考えればよいが、移動ステージ51を駆動するときの負荷はスピンドルモータ50及びホログラム記録媒体1を考えなければならない。一般にホログラム記録媒体1に比べてスピンドルモータ50の重量は大きく、そのため、移動ステージ51を高速に駆動することは困難な構成という特徴がある。
また、半径方向搬送部52の負荷は更に大きい。そのため、シーク処理における駆動軸であるr軸とθ軸についても、r軸は高速に駆動することが困難な構成であるという特徴がある。
ここで、ホログラムを記録・再生する順序について考える。r軸とθ軸を所定の順序に従って駆動して、最終的にホログラム記録媒体1の前面を走査することでホログラム記録媒体1に対する全データの記録または再生が行われる。ここで、r軸よりもθ軸の方が高速駆動に適していることから、r軸の移動回数を少なくすることが好ましい。これは、θ軸の駆動を複数回繰り返して円周方向(回転方向を時計回りとする)に照射位置を変更し、一度r軸を所定の間隔動かして、またθ軸の駆動を複数回繰り返して円周方向(回転方向を反時計回りとする)に照射位置を変更する動作を繰り返して略四角形の領域を走査する動作とすることで実現できる。即ち、記録時や再生時の転送速度を向上するためには、スピンドルモータ50のみを回転させるシーク処理が複数回、連続する動作となることが望ましい。
しかしながら、このように転送速度を向上させる目的でスピンドルモータ50のみを回転させるシーク処理を連続して実行しても、毎回のシーク動作において偏芯補償制御を行ってしまうと、偏芯補償制御における移動ステージ51の収束が遅く、結果として転送速度が低下してしまうという課題がある。
本実施例の動作によれば、偏芯補償制御を毎回行なわないため、転送速度の低下を低減できる。閾値θthは、回転角度θthを回転する間に偏芯補償制御を行わないことで発生する位置決め誤差が要求される許容量より小さくなる範囲で設定する。これにより、転送速度の低下を最低限に抑えつつ、ホログラムの記録や再生への影響が問題とならない構成が可能となる。
即ち本実施例のフローチャートによれば、偏芯補償制御を行うことによる転送速度の低下を抑えることができる。このように本実施例によれば、ホログラム記録媒体に対する好適な記録再生を実現できる。
実施例1においては偏芯検出用マークM2の外周の縁が、実施例2においては角度検出用マークM1の内周の縁が、偏芯補償制御を行う上で用いられるエッジとなる。このように、偏芯補償制御を行う上で用いられるエッジは、媒体上に設けられた所定マークの内周側のエッジを検出してもよいし、所定マークの外周側のエッジを検出してもよい。
実施例1においては偏芯検出用マークM2の外周の縁が、実施例2においては角度検出用マークM1の内周の縁が、偏芯補償制御を行う上で用いられるエッジとなる。この偏芯補償制御で用いられるエッジに関しては、真円度が所定の基準によって管理されていることが好ましい。例えば規格によって真円度が保証されていれば、本発明の偏芯補償制御を用いることによる位置決め性能を保証することができる。
また以上の実施例における第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16からは所定の波長の光が照射され、反射部において反射した光を検出する構成とした。しかし偏芯検出センサは図9(b)で示したように、偏芯検出用マークM2との相対位置関係に応じた電圧を出力すればよく、光を照射しないセンサを用いてもよい。例えば、カメラのような受光素子で偏芯検出用マークM2を撮影し、撮影された結果から偏芯検出用マークM2との相対位置関係に応じた電圧を出力するようなセンサであってもよい。
第一の偏芯検出センサ15としてカメラを用いる場合、本明細書における「センサ中心」は、カメラが撮影する領域の中心位置を示すものと読み替えることができる。即ち、本明細書における「センサ中心」とは、センサが検出を行う領域の中心位置を示す。また、センサを点Sに配置するとは、センサが検出を行う領域の中心位置を点Sに一致させることを意味する。
なお、以上の実施例では最も好適な構成として、センサを駆動基準位置xy0に関して直交して配置し、偏芯補償回路30をX軸とY軸で独立に構成した。更に、X軸の制御とY軸の制御は、同一の制御信号XYONによって同時に開始される構成とした。しかしながら、別の実現形態も可能である。
例えば、X軸の制御とY軸の制御を同時でなく、交互に行う構成でもよい。この場合には、X軸の制御とY軸の制御を1回ずつ行うだけでは不十分であり、X軸の制御とY軸の制御を複数回、繰り返す動作となる。
また、センサを駆動基準位置xy0に関して直交した位置に配置せず、例えば図13(a)のように第一の偏芯検出センサ15の固定位置をP15’とする形態も可能である。この構成の一つの実現形態は、移動ステージ51の駆動軸を直交させない構成である。上述したように、センサの配置に関する制限は、偏芯検出センサを配置する点である点P15及び点P16における円Cxyの接線が、移動ステージ51の駆動軸と平行であることであった。そのため、例えば、移動ステージ51のX軸が図13(a)におけるX’軸である場合にこの制約を満足するには、第一の偏芯検出センサ15の固定位置はP15’でなければならない。このように、移動ステージ51の駆動軸を直交させない構成も可能である。
第一の偏芯検出センサ15の固定位置をP15’とする形態の別の実現形態としては、X軸の制御系の応答速度とY軸の制御系の応答速度に差を付けることである。通常XYステージは片方の可動軸(説明のためX軸とする)の機構の上に、他方の可動軸の機構が搭載されている。そのためX軸の制御系とY軸の制御系を比較したとき、X軸の制御系にはY軸の駆動部(例えばステッピングモータとリードスクリュー)の重量が余分にかかっている。この重量によって、X軸の制御系の応答速度がY軸の制御系の応答速度より遅くなるように設計することが可能である。但しこの場合には機構設計に制約がかかることに加えて、必要以上にX軸の応答速度が遅くなる側面があるため、実施例1の構成の方が好適である。
第一の偏芯検出センサ15の固定位置をP15’とする形態の、更に別の実現形態としては、偏芯補償回路30においてX軸とY軸を独立で制御しない構成である。第一の偏芯検出センサ15の出力電圧と、第二の偏芯検出センサ16の出力電圧とから、偏芯検出用マークM2の幾何学な中心Oの位置を計算によって算出することが可能である。偏芯補償回路30においてはこの算出を行い、その算出量に基づいてX軸及びY軸を制御する。この構成の場合には、偏芯検出用マークM2が完全な円であることを前提とした計算となる。この結果、要求される真円度の精度が上がって、ホログラム記録媒体1の製造コストが高くなる側面がある。このため、実施例1の構成の方が好適である。
以上で説明したように、偏芯補償回路30の内部の構成や、偏芯補償回路30に入力される信号を出力する偏芯検出センサの配置に関しては、様々な変形例が考えられる。
以上の実施例における制御器、例えば実施例1におけるスピンドル制御器3202、半径位置制御器3402、X軸補償器3001、Y軸補償器3003は、例えばデジタルフィルタにより構成できる。デジタルフィルタによりゲインと位相の補償が行われることで、各制御系の安定性が確保される。
なお以上の実施例では、ピックアップ11ならびにキュア光学系13から照射される光ビームがホログラム記録媒体の所定の位置に照射されるように制御する機構として、例えば実施例1における半径方向搬送部52のように、ホログラム記録媒体1を搬送する構成とした。しかし光ビームの照射位置を兼行するための機構としては、これに限定されるものではない。例えば、ホログラム記録媒体は固定されており、ピックアップ11やキュア光学系13を搬送する構成であってもよい。この場合、半径方向搬送部52を用いる必要は無く、移動ステージ51及び第一の偏芯検出センサ15及び第二の偏芯検出センサ16及び回転角度検出センサ14は位置が固定された部材に対して固定される。
以上の実施例では参照光の入射角度を変化させて角度多重による記録を行う構成としたが、角度多重以外の多重方法を用いた場合にも、本発明は同様に適用可能である。更に、多重記録を行わないホログラム記録の場合にも、本発明は同様に適用可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、また上述した変形例の他にも様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記実施例は、ホログラム記録再生装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、他の記録方式を採用した記録装置や記録媒体にも適用することができる。例えば体積記録を行う記録再生装置や、体積記録を行う記録媒体などにも適用すること出来る。本発明をホログラム記録再生装置に適用した場合には、高密度記録を行う上で参照光照射位置の位置決め許容量の要求が厳しくなるという課題を解決できるため、本発明によって高密度記録が可能になる。そのため、本発明をホログラム記録再生装置に適用した場合に、特に効果が大きい。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。