JP6092803B2 - 金型、及び樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

金型、及び樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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本発明は、金型、及び樹脂成形品の製造方法に関する。
樹脂成形品を製造する金型は、溶融樹脂の通路となるスプルーと、このスプルーから溶融樹脂が流入するゲートと、このゲートを介して溶融樹脂が流入する成形品形状のキャビティーと、などの空間を形成する。このような金型を用いて樹脂成形品を製造する場合、まず、スプルー及びゲートを経由して、キャビティーに溶融樹脂を流入させる。そして、ゲートに流入している溶融樹脂を、その硬化前又は硬化後にカットして樹脂成形品を製造する。
ゲートの数やキャビティーの形状等によっては、キャビティーに流入させた溶融樹脂が複数の方向に広がった後に合流するので、溶融樹脂が合流した箇所にウェルドラインと呼ばれる痕が発生する。このようなウェルドラインは、樹脂成形品の美観を損ねたり強度を低下させたりするので、無いことが望まれる。そこで、キャビティーの中央から溶融樹脂を放射状に流入させることでウェルドラインを発生させない金型が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許第5157675号公報 特開2009−220546号公報 特開平08−132481号公報
しかしながら、特許文献1の金型を用いて樹脂成形品を製造する場合、溶融樹脂が硬化した後にゲートを引きちぎるので、その切断面にバリが残る。そして、特許文献2の金型を用いて樹脂成形品を製造する場合、溶融樹脂が硬化した後にゲートを打ち抜くので、その断面にダレ変形が発生する。また、特許文献3の金型を用いて樹脂成形品を製造する場合、不完全な型締めの状態で流入させた溶融樹脂が硬化する前に、完全な型締めを行ってゲートを切断するので、その断面にバリが残る。このように、特許文献1〜3の金型を用いて製造した樹脂成形品には、ゲートの切断面が粗面となり痕が残る。すなわち、ゲートを切断した痕が樹脂成形品の美観を損ねている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、樹脂成形品の美観を向上させる金型、及び樹脂成形品の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明は、溶融樹脂の通路となるスプルー、前記スプルーから前記溶融樹脂が流入する板状のランナー、及び前記ランナーの外周全体に繋がり該ランナーから直接前記溶融樹脂が流入する成形品形状のキャビティー、の各空間を形成し、前記キャビティーに流入した前記溶融樹脂が硬化することによって、前記ランナーに対応する開口部を有する樹脂成形品を成形する対の金型本体と、前記キャビティーにおける前記ランナーと繋がる部分に進入して前記溶融樹脂を切断する環状の切断駒と、を備え、前記切断駒は、先端の形状が前記開口部の縁の形状に対応し、前記溶融樹脂を切断すると同時に前記開口部の縁を象ることを特徴とする、金型である。
本発明によれば、成形品形状のキャビティーが、ランナーの外周全体に繋がり当該ランナーから溶融樹脂が流入するので、当該溶融樹脂が放射状に拡散する。これにより、ウェルドラインの発生を防止できる。そして、切断駒が、溶融樹脂を切断すると同時に樹脂成形品の開口部の縁を象るので、ゲート自体及びその切断面を無くせる。結果、ゲートを切断した痕が残ることはない。これにより、樹脂成形品の美観を向上させられる。
(2)本発明はまた、前記開口部の縁の形状は、玉縁であることを特徴とする、上記(1)に記載の金型である。
上記発明によれば、樹脂成形品の開口部の縁をより美しくできる。
(3)本発明はまた、前記ランナーは、外周に沿った環状の空間がその内側の空間と比較して厚く形成されていることを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の金型である。
上記発明によれば、ランナーは、外周に沿った環状の空間がその内側の空間と比較して厚く形成されているので、溶融樹脂を切断すると同時に樹脂成形品の開口部の縁を象る際に、切断駒の進入によって押し出される溶融樹脂をランナー、及びキャビティーにおける製品の側に逃がせる。これにより、キャビティー内の溶融樹脂が局所的に高圧になることを防止できる。結果、樹脂成形品の美観を損ねずに済む。
(4)本発明はまた、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金型を用いることを特徴とする、樹脂成形品の製造方法である。
本発明の上記(1)〜(3)に記載の樹脂成形品の製造方法、及び上記(4)に記載の金型によれば、樹脂成形品の美観を向上させられる。
(A)は本発明の第1実施形態に係る金型の断面図であり、(B)は金型の要部を示す断面図である。 (A)及び(B)は切断駒の動きを説明する断面図である。 (A)は樹脂成形品の上面図であり、(B)は樹脂成形品の断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る金型の要部を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る金型1,2について詳細に説明する。
[第1実施形態]まず、図1及び図2を用いて、第1実施形態に係る金型1の構成について説明する。図1(A)は、金型1の断面図である。図1(B)は、金型1の要部を示す断面図である。図2(A)及び図2(B)は、切断駒5の動きを説明する断面図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
図1(A)、図1(B)、図2(A)及び図2(B)に示される金型1は、溶融樹脂XA1の射出成形により樹脂成形品50(図3(A)及び図3(B)参照)を製造する際に、射出成形機(図示省略)と共に用いられる。具体的に、金型1は、上下一対の金型本体3,4と、複数の切断駒5,6と、を備えている。
金型1の各部3〜6には、同じ材料を使用する。そして、金型1の各部3〜6には、所定の強度が求められ、例えば、ブリネル硬さHBが300以上のプリハードン鋼や炭素鋼S55Cなどが使用される。
上下一対の金型本体3,4は、射出成形機(図示省略)によって、互いに当接させられて例えば数百トン以上の応力が掛けられる。これら上下一対の金型本体3,4は、互いの間に、溶融樹脂XA1の通路となるスプルー10と、このスプルー10から溶融樹脂XA1が流入する板状のランナー11と、このランナー11の外周全体に繋がり当該ランナー11から直接溶融樹脂XA1が流入する成形品形状のキャビティー12と、の各空間を形成する。ランナー11は、外周に沿った環状の空間11aがその内側の空間11bと比較して厚く形成されている。なお、従来の金型とは異なり、上下一対の金型本体3,4は、ゲートを成形せず、ランナー11とキャビティー12とを、隣接させるように形成する。
このような上下一対の金型本体3,4は、キャビティー12に流入した溶融樹脂XA1が硬化することによって、樹脂成形品50(図3(A)及び図3(B)参照)を成形する。
切断駒5は、キャビティー12におけるランナー11と繋がる部分に対応し、環状を呈する。この切断駒5は、先端の形状が、成形後の樹脂成形品50(図3(A)及び図3(B)参照)における開口部51(図3(A)及び図3(B)参照)の縁の形状に対応している。そして、切断駒5は、射出成形機(図示省略)によって駆動され、キャビティー12におけるランナー11と繋がる部分に進入して、硬化前の溶融樹脂XA1を切断すると同時に、成形後の樹脂成形品50における開口部51の縁を象る。
複数(本実施形態では3個)の切断駒6は、それぞれ、先端の形状が、成形後の樹脂成形品50(図3(A)及び図3(B)参照)における開口部52(図3(A)及び図3(B)参照)の縁の形状に対応している。これら複数の切断駒6は、それぞれ、射出成形機(図示省略)によって駆動され、キャビティー12における該当部分に進入して、硬化前の溶融樹脂XA1を切断する。
なお、複数の切断駒5,6がスムーズに上下動できるように、金型本体4と各切断駒5,6との間のクリアランスは、大きめの方が望ましいが、そのクリアランスが大きくなればバリの発生や切断駒5,6の変形の要因となる。そこで、当該クリアランスは、バリの発生、切断駒5,6の変形、樹脂成形品50の表面品質などから最適な値とする必要がある。結果、当該クリアランスは、0.02mm以上0.05mm以下であることが好ましい。
次に、図1及び図2に基づいて、金型1を用いて樹脂成形品50を製造する流れを説明する。
図1に示されるように、上下一対の金型本体3,4が、射出成形機(図示省略)によって、互いに当接させられて例えば数百トン以上の応力が掛けられる。これにより、上下一対の金型本体3,4の互いの間に、スプルー10と、ランナー11と、キャビティー12と、の各空間が形成される。
そして、スプルー10から溶融樹脂XA1が流し込まれる。スプルー10に流し込まれた溶融樹脂XA1は、ランナー11に流入する。ランナー11に流入した溶融樹脂XA1は、さらに、キャビティー12に流入する。これにより、溶融樹脂XA1がキャビティー12内に充填される。
その後、複数の切断駒5,6が、射出成形機(図示省略)によって駆動される。切断駒5は、キャビティー12におけるランナー11と繋がる部分に進入して、硬化前の溶融樹脂XA1を切断すると同時に、成形後の樹脂成形品50(図3(A)及び図3(B)参照)における開口部51の縁を象る。複数の切断駒6は、キャビティー12における該当部分に進入して、硬化前の溶融樹脂XA1を切断する。
なお、複数の切断駒5,6は、溶融樹脂XA1の切断を終了するタイミングが互いに一致するように駆動されることが好ましい。すなわち、複数の切断駒5,6は、切断する溶融樹脂XA1の厚みが互いに同じ場合、互いに同じタイミングで溶融樹脂XA1を切断するように駆動されることが好ましい。そして、複数の切断駒5,6は、切断する溶融樹脂XA1の厚みが互いに異なる場合、切断する溶融樹脂XA1の厚みが厚いものから順に駆動が開始され、互いに同じタイミングで溶融樹脂XA1の切断が終了するように駆動されることが好ましい。
そして、溶融樹脂XA1が硬化することで、樹脂成形品50が成形される。その後、上下一対の金型本体3,4が、射出成形機(図示省略)によって互いに離隔される。これにより、樹脂成形品50の取出しが可能となる。
なお、切断駒5で切断された部分(いわゆるディスクゲート(ただし、ディスク状ではなく、矩形状をしている。))、及び切断駒6で切断された各部分(いわゆる捨てゲート)は、別の樹脂成形品50の原材料としてリサイクルされる。
次に、図3を用いて、樹脂成形品50の構成について説明する。図3(A)は、樹脂成形品50の上面図である。図3(B)は、樹脂成形品50の断面図である。
図3に示される樹脂成形品50は、金型1(図1(A)及び図1(B)参照)を用いた溶融樹脂XA1(図2(A)及び図2(B)参照)の射出成形により製造される。この樹脂成形品50は、自動車の内装部品であるダッシュボードを構成するカバーであるが、本発明に係る樹脂成形品はこれに限定されず、例えば、自動車用フォグランプカバーなどであってもよい。
樹脂成形品50は、金型1内のランナー11に対応し切断駒5によって溶融樹脂XA1が切断される部分に、開口部51を有する。そして、樹脂成形品50は、各切断駒6によって溶融樹脂XA1が切断される部分に、それぞれ、開口部52を有する。
このように、金型1によれば、成形品形状のキャビティー12が、ランナー11の外周全体に繋がり当該ランナー11から溶融樹脂XA1が流入するので、当該溶融樹脂XA1が放射状に拡散する。これにより、ウェルドラインの発生を防止できる。そして、切断駒5が、溶融樹脂XA1を切断すると同時に樹脂成形品XA1の開口部51の縁を象るので、従来の金型によるようなゲート自体及びその切断面を無くせる。結果、ゲートを切断した痕が残ることはない。これにより、樹脂成形品50の美観を向上させられる。
そして、ランナー11は、外周に沿った環状の空間11aがその内側の空間11bと比較して厚く形成されているので、溶融樹脂XA1を切断すると同時に樹脂成形品50の開口部51の縁を象る際に、切断駒5の進入によって押し出される溶融樹脂XA1をランナー11、及びキャビティー12における製品の側に逃がせる。これにより、キャビティー12内の溶融樹脂XA1が局所的に高圧になることを防止できる。結果、樹脂成形品50の美観を損ねずに済む。
[第2実施形態]次に、図4を用いて、第2実施形態に係る金型2の構成について説明する。図4は、金型2の要部を示す断面図である。なお、ここでは、金型2の特徴部分のみを説明し、上記第1実施形態に係る金型1と同様の構成、作用、効果についての説明は適宜省略する。
図4に示されるように、金型2は、樹脂成形品(図示省略)を製造する際に用いられる。具体的に、金型2は、上下一対の金型本体7,8と、切断駒9と、を備えている。
上下一対の金型本体7,8は、互いの間に、スプルー(図示省略)と、ランナー13と、キャビティー14と、の各空間を形成する。ランナー13は、外周に沿った環状の空間13aがその内側の空間13bと比較して厚く形成されている。
切断駒9は、キャビティー14におけるランナー13と繋がる部分に対応し、環状を呈する。この切断駒9は、先端形状が、成形後の樹脂成形品(図示省略)における開口部(図示省略)の玉縁の形状に対応している。ここで、玉縁とは、断面視で円弧状を呈している縁のことである。
なお、切断駒9における頭頂9aの厚みLはできるだけ薄く刃状に近いことが好ましいが、加工の都合上、また、使用による変形や耐久性の観点から、薄くすることに限界がある。結果、頭頂9aの厚みLは、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましく、0.3mmであることが更に好ましい。
このように、金型2によれば、樹脂成形品(図示省略)の開口部(図示省略)の縁をより美しくできる。
本発明は上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、各実施形態及び各変形例の構成は、可能な範囲で他の実施形態及び他の変形例に適用できる。
すなわち、上記各実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
1,2 金型
3,4,7,8 金型本体
5,9 切断駒
10 スプルー
11,13 ランナー
11a,13a 外周に沿った環状の空間
11b,13b 内側の空間
12,14 キャビティー
50 樹脂成形品
51 開口部
XA1 溶融樹脂

Claims (3)

  1. 溶融樹脂の通路となるスプルー、前記スプルーから前記溶融樹脂が流入する板状のランナー、及び前記ランナーの外周全体に繋がり該ランナーから直接前記溶融樹脂が流入する成形品形状のキャビティー、の各空間を形成し、前記キャビティーに流入した前記溶融樹脂が硬化することによって、前記ランナーに対応する開口部を有する樹脂成形品を成形する対の金型本体と、
    前記キャビティーにおける前記ランナーと繋がる部分に進入して前記溶融樹脂を切断する環状の切断駒と、を備え、
    前記切断駒は、先端の形状が前記開口部の縁の形状に対応し、前記溶融樹脂が硬化する前に該溶融樹脂を切断すると同時に前記開口部の縁を象るようになっており、
    前記ランナーは、
    前記溶融樹脂が前記キャビティーに流れ込む為の環状の隙間と、
    前記環状の隙間の内側に沿って連続形成される環状空間と、
    前記環状空間の内側に連続形成される板状空間と、を備え、
    前記環状空間の厚みが、前記環状の隙間及び前記板状空間と比較して厚く形成されており、
    前記金型本体には、前記切断駒と対向する位置に、前記環状の隙間を形成するための環状の突起が形成され、且つ、該環状の突起の突端の断面が鋭角となっており、
    前記切断駒が、前記環状の突起の前記突端と当接することで、前記溶融樹脂を切断することを特徴とする、
    金型。
  2. 前記開口部の縁の形状は、玉縁であることを特徴とする、
    請求項1に記載の金型。
  3. 請求項1〜のいずれかに記載の金型を用いることを特徴とする、
    樹脂成形品の製造方法。
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