JP6092560B2 - 無塵衣用織物及びその製造方法 - Google Patents

無塵衣用織物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6092560B2
JP6092560B2 JP2012217058A JP2012217058A JP6092560B2 JP 6092560 B2 JP6092560 B2 JP 6092560B2 JP 2012217058 A JP2012217058 A JP 2012217058A JP 2012217058 A JP2012217058 A JP 2012217058A JP 6092560 B2 JP6092560 B2 JP 6092560B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fabric
dust
filament
conductive
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012217058A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014070305A (ja
Inventor
健太郎 三谷
健太郎 三谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Trading Co Ltd
Original Assignee
Unitika Trading Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Trading Co Ltd filed Critical Unitika Trading Co Ltd
Priority to JP2012217058A priority Critical patent/JP6092560B2/ja
Publication of JP2014070305A publication Critical patent/JP2014070305A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6092560B2 publication Critical patent/JP6092560B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、ポリエステル無塵衣用織物に関するものであり、低発塵性および制電性に優れ、かつ、柔軟な風合いを有する無塵衣用織物に関するものである。
近年、半導体、電子部品、精密機器、医薬、医療機器等の分野(以下、半導体等の分野と略する。)において、作業環境が製品の歩留まり、品質及び信頼性に与える影響は益々大きくなってきている。とりわけ、微細な塵埃や静電気が、製品の歩留まり、品質及び信頼性に与える影響が大きくなってきており、作業環境のさらなるクリーン化が進められている。
上記作業環境のクリーン化の一環として、作業員の人体及び衣服から発生する塵埃及び静電気を抑える無塵衣に用いられる織物の開発が進められている。該無塵衣に求められる性能として、大きくは制電性、防塵性及び着用快適性が挙げられる。前記織物の構成繊維としては、形態安定性、強度、洗濯耐久性等の観点から、ポリエステルフィラメントが多く使用されている。しかし、ポリエステルフィラメントのみを構成繊維とした無塵衣用織物は、特に制電性が不十分である。
制電性に関し、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントからなる織物が知られている。該織物は、導電性フィラメントを構成繊維とすることにより、摩擦により発生した電荷をコロナ放電で空気中へ逃がし、制電性を高めるものである。しかし、該導電性フィラメントは放電開始電圧が約1000Vであるため、前記織物はJISL 1094法の摩擦帯電圧が1000V以下にはならない。半導体等の製造現場では、該摩擦帯電圧が1000V以下である無塵衣用織物が近年要求されており、前記織物はこの要求に十分応えるものではない。
防塵性に関し、無塵衣を着用した作業者から発生する塵埃の発塵源は、衣服内圧の上昇により、えり首等衣服開口部から漏れ出る漏洩塵埃、人体や無塵衣の下に着用した衣服からの発塵が該無塵衣の生地組織の隙間等を通過する透過塵埃、無塵衣自体から発生する素材発塵に大別される。このうち、漏洩塵埃については、衣服内圧の上昇を防ぎ、かつ、衣服開口部を小さく絞るような織組織、衣服設計とすることにより漏洩塵埃を低減できることが知られている。透過塵埃については、織物の組織を高密度にする、織物の表面をコーティング等することにより透過塵埃を低減できること(通塵捕集性)が知られている。素材発塵については、前記ポリエステルフィラメント等、長繊維を構成繊維とすることにより素材発塵を低減できること(低発塵性)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
そこで、無塵衣の制電性、防塵性及び着用快適性をさらに向上させるべく、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物であって、該織物に各種加工が施された織物が提案されている。
上記織物として、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物であって、ピリジン系抗菌剤を含む防塵衣用織物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。該織物によれば、低発塵性及び抗菌性に優れた無塵衣を得ることができる。
ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物であって、帯電防止剤がメラミン樹脂系樹脂又はウレタン系樹脂をバインダーとして繊維表面に固着されている織物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。該織物によれば、制電性及び通塵捕集性に優れた無塵衣を得ることができる。
ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物であって、該織物の少なくとも片面にポリウレタンを主体とする合成樹脂皮膜を有する織物が知られている(例えば、特許文献3参照。)。該織物によれば、制電性及び低発塵性に優れた無塵衣を得ることができる。
ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物であって、ビニルカルボン酸及び/又はビニルスルホン酸、及び特定のポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが繊維表面に固着している織物が知られている(例えば、特許文献4参照。)。該織物によれば、制電性及び低発塵性に優れた無塵衣を得ることができる。
特開2000−290874号公報 特開2003−171844号公報 特開2003−247171号公報 特開2003−227016号公報
社団法人繊維学会、「第3版繊維便覧」、丸善株式会社、平成16年12月15日、p.546−549
しかしながら、特許文献1の織物は該織物の表面に制電性を付与するポリマーが形成されていないため、半導体等の分野で要求される無塵衣用織物としては制電性が不十分であるという問題がある。特許文献2の織物は、防塵性に関し、通塵捕集性に優れるが、繊維表面に固着したバインダー成分が発塵源となり塵埃が発生するという問題がある。特許文献3及び4の織物は制電性及び低発塵性に優れるが、該織物全体に形成されているポリマーによって構成繊維が固着されるため、風合いが硬く、該織物を含む無塵衣は着用快適性に劣るという問題がある。
以上から、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物に、制電性を向上させる目的で制電性を付与するポリマーを形成しても、該織物は風合いが硬くなるという問題がある。加えて、該ポリマー自体が発塵源となり、素材発塵が増えてしまう虞もある。
本発明は、上記従来の問題を解決し、低発塵性および制電性に優れ、かつ、柔軟な風合いを有する無塵衣用織物及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが形成している織物に、高圧水流による噴射処理をおこなうことによって、該織物が低発塵性および制電性に優れ、かつ、柔軟な風合いを有することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(I)ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが形成している織物であって、下記の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする無塵衣用織物。
(1)20℃、40%RH環境下におけるJIS L 1094法の摩擦帯電圧が1000V以下であること。
(2)JIS B9923(タンブリング法)による粒径0.3μm以上の発塵量が50個/ft・100cm以下であること。
(3)KES法による曲げ特性Bが0.1gf・cm/cm以下であること。
(II)ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが形成している織物に、高圧水流による噴射処理をおこなうことを特徴とする上記(I)に記載の無塵衣用織物の製造方法。
(III)上記(I)に記載の無塵衣用織物を用いてなる無塵衣。
本発明の無塵衣用織物は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが形成している織物に、高圧水流による噴射処理をおこなうことにより得られる。これにより、該織物は、優れた低発塵性および制電性を有し、かつ、柔軟な風合いを有することができることから、着用快適性に優れ、半導体等の製造現場で要求されるクリーンな環境に対応することができる無塵衣を得ることができる。
本発明に用いる導電性フィラメントの横断面における複合形状の一例を示す横断面模式図である。 本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理工程に用いる装置の一例を示す側面概略図である。 本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理に用いる装置のうち、高圧水流を噴射する噴射ノズルにおける噴射孔の配列の一例を示す平面概略図である。 本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理の織物の幅方向長さに対する、織物幅方向に配列された全ての噴射孔の直径の総和が占める比率について説明する平面概略図である。
本発明の無塵衣用織物は、ポリエステルフィラメントを構成繊維として含む。
本発明において、ポリエステルフィラメントを構成するポリエステルは特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略する場合がある。)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略する場合がある。)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸等を用いることができる。中でもエチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位中95モル%以上であるPETとすることが好ましい。また、前記ポリエステルは、多塩基酸、多価アルコールまたは多塩基酸及び多価アルコールの両方について2種類以上用いた共重合ポリエステルとしてもよい。
本発明において、ポリエステルフィラメントの単糸繊度は0.1〜3.0デシテックスの範囲が好ましい。単糸繊度が0.1デシテックス未満の場合、得られる無塵衣用織物は、張り腰が少なくなりやすく、着用時に体にまとわり付きやすくなる。一方、単糸繊度が3.0デシテックスを超える場合、得られる無塵衣用織物は風合いが硬くなりやすくなる。
本発明において、ポリエステルフィラメントの断面形状は特に限定されるものでない。また、ポリエステルフィラメント中には、二酸化チタン、二酸化ケイ素、顔料などが含まれていてもよい。
本発明において、ポリエステルフィラメントはこれを複数本集束させてマルチフィラメントとすることが好ましい。マルチフィラメントの総繊度としては、50〜150デシテックスの範囲が好ましい。該繊度が50デシテックス未満の場合、得られるマルチフィラメントを構成繊維として含む織物は強度に劣るものとなりやすい。一方、該繊度が150デシテックスを超える場合、得られるマルチフィラメントを構成繊維とする織物は風合いが硬くなりやすい。マルチフィラメントの形態としては、原糸としてもよく、仮撚り加工や実撚等が施された加工糸としてもよい。
本発明の無塵衣用織物は、ポリエステルフィラメントとともに、導電性フィラメントを構成繊維として含む。
本発明において、導電性フィラメントとは、コロナ放電による中和作用や導電により制電性を有する繊維である。導電性フィラメントとしては、導電性ポリマーにより構成されたフィラメントが好ましい。ここで、導電性ポリマーとは、フィラメントを形成するのに用いられるフィラメント形成性ポリマーに、導電性微粒子を配合して導電性が付与されたポリマーのことである。
導電性ポリマーにより構成された導電性フィラメントとしては、単一の導電性ポリマーで形成されたフィラメントであってもよいが、導電性ポリマーで形成された導電性ポリマー部と、導電性微粒子を含まない非導電性ポリマーで形成された非導電性ポリマー部とから構成された、複合型の断面形状を有するフィラメントであることが好ましい。該複合型の断面形状を有するフィラメントとすることにより、導電性に加え、強伸度特性等の糸質性能及び紡糸性に優れたものとなりやすくなる。
導電性ポリマー及び非導電性ポリマーに用いられるフィラメント形成性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。耐熱性の観点からポリエステルが好ましく、ポリエステルとする場合はPET又はPBTが好ましい。
導電性ポリマーに用いるフィラメント形成性ポリマーはPBTがより好ましい。PBT樹脂は、結晶性が高い樹脂であることから、導電性ポリマー中における導電性微粒子の配列欠陥を少なくさせることができ、導電性フィラメントとしての性能を効率よく得ることができる。さらに、導電性ポリマーに用いるフィラメント形成性ポリマーは、イソフタル酸及び/又はアジピン酸を共重合成分とすることが特に好ましい。これにより、該フィラメント形成性ポリマーと導電性微粒子との相溶性を向上させ、導電性微粒子の含有量を増加させることができ、導電性フィラメントは優れた導電性能を有することができる。イソフタル酸及び/又はアジピン酸を共重合する場合の共重合量は、導電性ポリマーに用いるフィラメント形成性ポリマーの全構成成分に対し10〜50モル%とすることが好ましい。
導電性ポリマーに含まれる導電性微粒子としては、カーボンブラックや金属粉末、硫化銅、硫化亜鉛、沃化銅等の金属化合物等を挙げることができ、中でもカーボンブラックが好ましく用いられる。
導電性微粒子の含有量は、導電性微粒子の種類、導電性能、粒子径、粒子の連鎖形成能及び用いるポリマーの特質によって適宣選択すればよいが、導電性ポリマー成分全体に対し5〜50質量%とすることが好ましく、10〜40質量%とすることがより好ましい。該含有量が5質量%未満の場合、得られる織物は制電性が不十分なものとなりやすい。また、該含有量が50質量%を超える場合、導電性微粒子の導電性ポリマー中への分散が困難となりやすい。
さらに、導電性ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、ワックス類、ポリアルキレンオキシド類、各種界面活性剤、有機電解質等の分散剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、着色剤、顔料、流動性改善剤、その他の添加剤を加えることもできる。
導電性フィラメントに用いることができる非導電性ポリマーは、特に限定されるものではないが、導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部との剥離を防止する観点から選択すればよい。例えば、導電性ポリマーがPBT又は共重合PBTである場合は、非導電性ポリマーは相溶性がよくなるようにPET又はPBTとすることが好ましい。また、非導電性ポリマーにも、イソフタル酸等第三成分を共重合してもよく、その効果を損なわない範囲で、艶消し剤、着色剤、顔料、安定剤、制電剤等の添加剤を加えてもよい。
非導電性ポリマー部と導電性ポリマー部の複合比率は、特に限定するものではないが、非導電性ポリマー部が60〜90質量%、導電性ポリマー部が40〜10質量%とすることが好ましく、非導電性ポリマー部が70〜85質量%、導電性ポリマー部が30〜15質量%とすることがより好ましい。導電性ポリマー部の複合比率が10質量%未満の場合、得られる導電性フィラメントの導電性能が劣ったものとなりやすく、得られる織物は所望の制電性が得られにくくなる。一方、導電性ポリマー部の複合比率が40質量%を超える場合、得られる導電性フィラメントの強伸度特性等糸質性能が劣ったものとなりやすい。
図1は、本発明に用いる導電性フィラメントの横断面における複合形状の一例を示す横断面模式図である。本発明において、導電性フィラメントを、導電性ポリマー部と非導電性ポリマー部とから構成された複合型の断面形状を有するフィラメントとする場合、該フィラメントの横断面における複合形状は特に限定されるものではない。しかし、制電性及び低発塵性の観点から、前記複合形状は非導電性ポリマー部中に導電性ポリマー部が存在し、かつ該導電性ポリマー部は一部が繊維表面に露出しているものが好ましい。その一例として、図1(a)〜(c)に示す複合形状を挙げることができる。
導電性フィラメントの導電性は、電気抵抗値が1×10〜1×10Ω/cmの範囲が好ましく、1×10〜1×10Ω/cmがより好ましく、1×10〜1×10Ω/cmがさらに好ましい。電気抵抗値が1×10Ω/cm未満の場合、導電性微粒子を導電性ポリマーに多量に含有させる必要があり、得られる無塵衣用織物は発塵量が多いものとなりやすい。一方、電気抵抗値が10Ω/cmを超える場合、得られる無塵衣用織物は制電性が十分なものとなりにくい。1×10〜1×10Ω/cmとした場合は、得られる無塵衣用織物の低発塵性と制電性を両立させやすくなる点でさらに好ましい。
ここで、電気抵抗値は、AATCC76法に準じて測定するものであり、まず、1本の導電性複合繊維を長さ方向にカットして、10サンプルを採取する。該サンプルの両端の表面にケラチンクリームを塗布し、この表面部分を金属端子に接続し、50Vの直流電流を印加して電流値を測定し、下記式(a)に従い電気抵抗値を算出し、算出した10個のサンプルの電気抵抗値の相加平均値を電気抵抗値とする。
E:電圧(V) I:測定電流(A) L:測定長(cm)
導電性フィラメントは、該フィラメント1本からなるモノフィラメントとしてもよく、2〜10本集束させてマルチフィラメントとしてもよい。繊度は、モノフィラメント又はマルチフィラメントのトータル繊度が10.0〜50.0デシテックスであれば良い。
導電性フィラメントは、無塵衣用織物を製織する際、導電性フィラメントのみからなるモノフィラメント又はマルチフィラメントとして製織してもよいし、他のフィラメントと混繊して製織してもよい。混繊の方法としては、特に限定されるものではないが、低発塵性、製織性等の観点から、合燃糸とすることが好ましい。
本発明の無塵衣用織物の織物組織は、平、綾、朱子等およびその変化組織であれば良い。前記導電性フィラメントを含むモノフィラメント、マルチフィラメントまたは合撚糸は、該織物組織において経糸及び緯糸として2〜30mmの間隔で1本配列されることが好ましく、2〜10mmの間隔で1本配列されることがより好ましい。
本発明の無塵衣用織物は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを含む該織物の構成繊維表面に、ポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマーが形成していることが必要である。該ポリマーが形成していることにより、後述する該無塵衣用織編物の摩擦帯電圧を1000V以下とすることができる。
ポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルは、無塵衣用織物に優れた制電性を与える観点から、下記一般式(1)に示すポリエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコールを含むジアクリレート、ジメタクリレート、又は下記一般式(2)に示すポリエチレングリコールあるいはポリプロピレングリコールを含むエポキシジアクリレート、エポキシジメタクリレートが好ましい。なお、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの分子量は100〜1000が好ましい。
一般式(1):

一般式(2):

一般式(1)及び(2)中、nは1〜23の整数を表し、RはHあるいはCHを表す。
前記ポリマーの付着量としては、本発明の無塵衣用織編物の全質量に対し0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。該付着量が1質量%未満の場合、得られる無塵衣用織物は所望の制電性が得られにくくなりやすい。一方、該付着量が30質量%を超える場合、得られる無塵衣用織物は風合いが硬いものとなりやすい。
本発明の無塵衣用織物は、20℃、40%RH環境下におけるJIS L 1094法の摩擦帯電圧が1000V以下であることが必要であり、500V以下であることが好ましい。該摩擦帯電圧が1000Vを超える場合、無塵衣として着用した時に空気中の塵埃を吸着し易くなるのに加え、無塵衣が体にまとわりついて不快感を招きやすくなり、半導体等の製造現場における制電性の要求に応えることができない。該摩擦耐電圧を500V以下とすることにより、該織物からなる無塵衣は、制電性の要求が特に厳しい製造現場に用いることができるので好ましい。
本発明の無塵衣用織物は、JIS B9923(タンブリング法)による粒径0.3μm以上の発塵量が50個/ft・100cm以下であることが必要であり、30個/ft・100cm以下であることが好ましい。該発塵量が50個/ft・100cmを超える場合、半導体等の製造現場の環境を汚染し生産性の低下を招く。該発塵量が30個/ft・100cm以下である場合、該織物からなる無塵衣は、発塵性の要求が特に厳しい製造現場に用いることができるので好ましい。
本発明の無塵衣用織物は、織物の柔軟性を表わす指標である、KES法による曲げ特性Bが0.1gf・cm/cm以下であることが必要である。該曲げ特性Bは、KES−FB2純曲げ試験機を使用し、試料片(試料長10mm、試料幅25mm)を取り付け位置に一端を固定し、他端を移動させて一定曲率(最大曲率±2.5cm−1)で純曲げ試験を行い、曲げヒステリシス曲線作成し単位長さ当りの曲げ剛性B(gf・cm)を求めるものである。なお、本発明の曲げ特性Bは、タテ方向とヨコ方向の平均値とする。該曲げ特性Bが0.1gf・cm/cmを超える場合、得られる無塵衣用織物は風合いが固いものとなり、無塵衣とした場合に着用快適性に劣るものとなる。
本発明の無塵衣は、本発明の無塵衣用織物を用いてなることが好ましく、該織物のみを用いてなることがより好ましい。該織物は、優れた低発塵性および制電性を有し、かつ、柔軟な風合いを有することができることから、着用快適性に優れ、半導体等の製造現場で要求されるクリーンな環境に対応することができる無塵衣を得ることができる。
次に、本発明の無塵衣用織物の製造方法(以下、本発明の製造方法と略することがある。)について説明する。
本発明の製造方法においては、前述のポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物を用いることが必要である。
上記織物は、前述のポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを用い、エアージェットルーム、ウォタージェットルーム、レピアルーム等を用いる公知の方法により製織することができる。織物の組織は、平、綾、朱子等およびその変化組織が好ましい。導電性フィラメントは、経糸および緯糸に2〜30mmの間隔で配列されていることが好ましく、2〜10mmの間隔で配列されていることがより好ましい。該導電性フィラメントは、単独あるいはポリエステル合成繊維との混繊糸であっても構わない。上記ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物は、通常の方法で糊抜き精錬、プレセット、染色をおこなったものとすることができる。
本発明の製造方法においては、上記ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物の構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させたポリマー(以下、制電性ポリマーと略することがある。)が形成されていることが必要である。以下、制電性ポリマーを形成させる方法について一例を挙げて説明する。
該制電性ポリマーを形成させる方法において、まず、ポリアルキレングリコールを含む2官能不飽和カルボン酸エステルを含む水溶液を調整する。該水溶液は、該2官能不飽和カルボン酸エステルの重合効率を高めるため、重合開始剤を含むものとしてもよい。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、硝酸セリウムアンモニウム、過酸化水素などの無機系重合開始剤、2,2′−アゾビス(2−アミディノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチラミディン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイラゾ)イソブチロニトリルなどの有機系ラジカル開始剤等のラジカル開始剤が挙げられる。
さらに重合効率を高めるため、重合開始剤として過酸化物と還元性物質とを併用することが好ましく、いわゆるレドックス系開始剤を用いることもできる。過酸化物として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどがあげられ、還元性物質として、スルホキシル酸ナトリウムとホルマリンとの反応物、ハイドロサルファイトなどがあげられる。
重合開始剤の使用量としては、前記2官能不飽和カルボン酸エステルの質量に対し、0.1〜15.0質量%の範囲とすることが好ましい。
さらに、前記2官能不飽和カルボン酸エステルを含む水溶液中には、重合抑制剤が含まれていてもよい。重合抑制剤を併用することにより、低温域での重合を抑制することができ、所望の重合度を有する制電性ポリマーを得ることが容易となる。重合抑制剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン、メトキシフェノールなどのキノン類、第三ブチルカテコールのようなポリオキ化合物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルヒドロキシルアミンなどの有機硫黄化合物、ニトロ化合物、ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミンなどのアミノ化合物などがあげられる。重合抑制剤の使用量としては、前記2官能不飽和カルボン酸エステルの質量に対し、0.01〜2.00質量%の範囲とすることが好ましい。
上述の水溶液を調整後、前述のポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維とする織物に該水溶液を付与する。該水溶液を付与する方法としては、特に限定されるものではなく、パディング法、スプレー法、キスロールコータ法、スリットコータ法など公知の方法を適宜用いることができる。そして、該水溶液が付与された前記織物は、後述する前記2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させる手段に応じ、適宜風乾又は加熱などの予備乾燥を施してもよい。
織物に付与した前記2官能不飽和カルボン酸エステルを反応させる手段としては、任意の手段を採用することができる。例えば、低温プラズマ処理、乾熱処理、蒸気加熱処理、コールドバッチ処理又は紫外線処理する手段などを好適に採用することができる。中でも、重合効率や安定性の面から低温プラズマ処理、蒸気加熱処理が好ましく、コスト面で蒸気加熱処理がより好ましい。
蒸気加熱処理としては、常圧スチームによる処理、高圧スチームによる処理が挙げられる。コストの点から、常圧スチームによる処理を採用するのが好ましい。蒸気加熱処理の温度としては、80〜180℃が好ましく、98〜150℃がより好ましい。また、蒸気加熱処理時間としては、1〜20分間が好ましい。
織物表面上に制電性ポリマーを形成させた後、織物表面上に存在する未反応物を除去するためにソーピングをおこなうことが好ましい。ソーピングを実施しない場合、得られる無塵衣用織物は、残留する未反応物の溶出によって変色が発現しやすくなり、染色堅牢度の低下の問題が発生しやすくなる。
ソーピングをおこなう装置は、オープンソーパー等の連続式装置、ウィンスまたは液流染色機等のバッチ式装置等公知の装置を用いることができる。織物表面上に存在する未反応物を十分に除去するため、ソーピングをおこなう温度は60〜100℃が好ましく、ソーピングを行う時間は1〜60分間が好ましい。ソーピングの際には、洗浄効率を高める観点から、界面活性剤を併用することが好ましい。ソーピングをおこなった後、織物はテンター等で乾燥することが好ましい。
本発明の製造方法は、前述のポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面に制電性ポリマーが形成している織物に、高圧水流による噴射処理をおこなうことが必要である。
上記織物に高圧水流を噴射する手法は、従来から織物を構成する繊維の配列を乱れさすことにより該織物の意匠性を向上させる手法である。一方、本発明者等は、特定の制電性ポリマーに被覆された織物に該高圧水流を噴射することにより、意外にも、該織物を構成する繊維間に固着した余剰のポリマー等を除去し得ることを見出し、もって該織物から発生する塵埃の低減及び該織物の柔軟化、という従来の意匠性の向上とは異質の作用効果を奏することを発見したものである。
すなわち、制電性ポリマーが形成している織物に高圧水流による噴射処理をおこなうことにより、制電性が低下することなく該織物から発生する塵埃の低減と該織物の柔軟化を図ることが可能となり、本発明において所望される制電性、発塵性及び風合いを得ることができる。
前記噴射処理後の制電性ポリマーの付着量は、正確に測定することはできないが、該噴射処理前後における織物の質量、及び、該噴射処理後に回収した該噴射処理に用いた液の固形分量の測定により、該高圧水流による噴射処理前の該付着量の約半分になると推測される。
ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含む織物に制電性ポリマーを付着量が低くなるよう形成させる一方、前記噴射処理をおこなわない場合、本発明において所望される制電性、発塵性及び風合いを得ることができない。理由として以下のことが推測できる。
上記のようにして得られる織物は、制電性ポリマーの厚みは小さくなるが織物の構成繊維間に余剰のポリマーが存在するものである。そうすると、該織物は、制電性ポリマーの厚みが小さくなることにより制電性が劣るものとなり、該余剰のポリマーが発塵源となることにより発塵性が劣るものとなり、該余剰のポリマーによって構成繊維同士が固着されることにより風合いが硬くなると推測することができる。
以上から、本発明の製造方法によれば、前記噴射処理をおこなうことで、織物を構成する繊維間に付着した余剰のポリマー等を選択的に除去することができ、該噴射処理をおこなった織物は、ポリマーの付着量が低下しても優れた制電性を維持しつつ、低発塵性及び風合いに優れたものとなると推測することができる。低発塵性について検討を加えた結果、該噴射処理により、該余剰のポリマーのほか構成繊維に由来するオリゴマーも除去できることが判明した。従って、本発明の製造方法によれば、該余剰のポリマーのほか構成繊維に由来するオリゴマーも除去できるので、優れた低発塵性を得ることができる。
図2は、本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理に用いる装置の一例を示す側面概略図である。そして、図3は、本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理工程に用いる装置のうち、高圧水流を噴射する噴射ノズルにおける噴射孔の配列の一例を示す平面概略図である。図2及び図3に示すように、織物1をフィードロール2により高圧水流噴射処理ゾーンに供給する。高圧水流噴射ノズル3は、該高圧水流噴射処理ゾーン内において、走行する織物1の下側に設けられる。該高圧水流噴射ノズル3は噴射孔5が複数個配置されており、該噴射孔5から高圧水流を、走行する織物1に向けて噴射する。そして、高圧水流による噴射処理に用いた液体が付着する織物1を、デリベリーロール4により搾り、高圧水流噴射処理ゾーンから排出する。
高圧水流による噴射処理に用いる液体は、常温水または温水を用いることができ、界面活性剤、帯電防止剤、各種の仕上剤等を含有したものであってもよい。高圧水流の噴出形状は、円錐状、中空円錐状、扇形状、柱状等が挙げられ、柱状であると、エネルギーが比較的大きいので所望の低発塵性及び風合いを備えた無塵衣用織物が得られやすくなる。
高圧水流の噴出形状が柱状の場合、噴射孔5は、孔径が0.05〜1.0mmの微細孔であるのが好ましく、さらに孔径が0.1〜0.4mmであるのが特に好ましい。噴射孔5の孔径は、小さい方が均一な処理ができる点で有利であるが、0.05mm未満の場合、噴射孔5が目詰まりする頻度が多くなりやすい。一方、該孔径が1.0mmを超える場合、高圧水流が太すぎて均一な処理効果が得にくくなる。
高圧水流噴射ノズル3は、噴射孔5が織物1の幅方向に5〜30個/cm配置されるものであると、織物1の幅方向にムラを生じることなく噴射処理しやすくなる点で好ましい。該噴射ノズル3は、噴射孔5が織物1の幅方向に一列に配置され噴射孔列を形成しているものであってもよい。また、図3に示すように、該噴射ノズル3は、噴射孔5が織物1の幅方向に配置された噴射孔列が織物1の経方向に複数列配置されるものであってもよい。図3に示すように、噴射孔列が織物1の経方向に複数列配置される場合、織物の幅方向において効率よく処理できるように、列毎に、噴射孔5の配置を織物1の幅方向に少しずらすように配置することが好ましい。少しずらすように配置することで、織物1の幅方向において噴射処理のムラが生じにくくなる。
図4は、本発明の製造方法における高圧水流による噴射処理工程の、織物の幅方向長さに対する、織物幅方向に配列された全ての噴射孔の直径の総和が占める比率について説明する平面概略図である。該噴射処理工程において、織物1の幅方向長さ(mm)に対する、織物1の幅方向に配置された噴射孔5の孔径の総和(mm)の比率が70%以上であることが好ましい。ここで、図4に示すように、噴射ノズル3において、噴射孔列を織物1の経方向に複数列配置し、列毎に、噴射孔5の配置を織物1の幅方向に少しずらすように配置した場合は、各列に配置された噴射孔5を織物1の幅方向における位置を固定したまま一列となるように配置したと仮定し、前記孔径の総和を計算するものとする。前記比率が70%以上とすることにより、織物1の幅方向においてムラなく噴射処理しやすくなり、所望の低発塵性及び風合いを備えた無塵衣用織物が得られやすくなる。
高圧水流の流速〔=噴射水量(m/秒)/噴射孔の総面積(m)〕は、2〜300m/秒とするのが好ましい。流速が2m/秒未満の場合、エネルギー不足により高圧水流による噴射処理が不十分となりやすく、所望の低発塵性及び風合いを備えた無塵衣用織物が得られにくくなる。一方、流速が300m/秒を超えると、エネルギーが大きすぎて、織物を構成するフィラメントを切断しやすく、または、織物に穴を開けやすくなる。
高圧水流による噴射処理に用いる液体の圧力(液圧)は、0.4〜15MPaとするのが好ましい。液圧が0.4MPa未満の場合、エネルギー不足により高圧水流による噴射処理による効果が不十分となりやすく、所望の低発塵性及び風合いを備えた無塵衣用織物が得られにくくなる。一方、液圧が15MPaを超える場合、エネルギーが大きすぎて、織物を構成するフィラメントを切断しやすく、または、織物に穴を開けやすくなる。
織物表面に高圧水流を噴射する際の噴射ノズル3と織物1の間隔は、0.5〜15cmとするのが好ましい。該間隔が0.5cm未満の場合、処理中に織物が噴射ノズルに接触しやすく、高圧水流跡が経筋状に残りやすくなるなど、無塵衣用織物の商品価値を低下させてしまいやすい。該間隔が15cmを超える場合、空気抵抗や空気との摩擦で生じる静電気のために高圧水流に乱れが生じやすくなり、エネルギー損失が大きくなりやすいことから、高圧水流による噴射処理の効率が低下しやすく、また、該処理が不均一となりやすくなる。
織物1を走行させる速度は、1〜50m/分とするのが好ましく、3〜25m/分とするのがより好ましい。図2に示す装置においては、フィードロール2とデリベリーロール4の表面速度が同じになるように設定して処理するのが好ましい。前記速度が1m/分未満である場合、処理速度が遅過ぎて生産性が低下しやすくなるとともに、織物を構成するフィラメントを切断しやすく、または、織物1に穴を開けてしまいやすくなる。該速度が50m/分を超えると、高圧水流が織物1に作用する時間が短くなり、高圧水流による噴射処理が不十分となりやすく、所望の低発塵性及び風合いを備えた無塵衣用織物が得られにくくなる。
本発明の製造方法においては、高圧水流による噴射処理を実施した後に乾燥を行うことで無塵衣用織物を得ることができるが、最後に皺伸ばしにセットを行っても構わない。
以下、実施例および比較例によって、本発明を具体的に説明する。なお、実施例、比較例における制電性、発塵性、風合いの評価方法は下記の通りである。
1.制電性(摩擦帯電圧)
20℃、40%RH環境下において、JIS L 1094:1997により摩擦帯電圧を求め、1000V以下のものを合格とした。
2.発塵性
JIS B 9923:1997(タンブリング法)に準じ、光散乱式自動粒子係数器を使用し、粒径0.3μm以上の粒子濃度(個/ft・100cm)を測定した。
3.風合い(KES法による曲げ特性B)
KES−FB2純曲げ試験機を使用し、試料片(試料長10mm、試料幅25mm)を取り付け位置に一端を固定し、他端を移動させて一定曲率(最大曲率±2.5cm−1)で純曲げ試験を行い、曲げヒステリシス曲線作成し単位長さ当りの曲げ剛性B(gf・cm)を求めた。
(実施例1)
<構成繊維>
ポリエステルフィラメントとして、エチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位中95モル%以上であるPETマルチフィラメント原糸(84デシテックス/72フィラメント)を使用し、導電性フィラメントとして、ポリエステル導電性マルチフィラメント原糸(ユニチカトレーディング社製、商標名:メガーナ(E5)、28デシテックス/2フィラメント)1本と前記PETマルチフィラメント原糸1本とを撚り数300T/Mの合撚糸としたものを使用した。
<織物組織>
経糸として、前記PETマルチフィラメント原糸35本に対して前記合燃糸1本配列し、緯糸として、該PETマルチフィラメント原糸23本に対して前記合燃糸を1本配列して、経糸密度193本/2.54cm、緯糸密度116本/2.54cmの2/2綾織物を製織した。
上記綾織物を通常の方法で精練し、テンターにて190℃で30秒間プレセットを行い、オフ白の綾織物とした。該綾織物を下記処方1に示す水溶液に含浸した後、マングルで30質量%の絞り率で絞り付着量4.5質量%とし、乾燥することなく、103℃の飽和蒸気処理を10分行った。
<処方1>

:150g/l
(新中村化学工業社製、式中のn=23のポリエチレングリコールジメタクリレート)
過硫酸アンモニウム:3g/l
次いで、綾織物にオープンソーパーにて温度80℃の温水で5分間ソーピングを施し、テンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、そして、図3に示す噴射ノズルを用い、下記条件で高圧水流による噴射処理を実施した。
<高圧水流による噴射処理条件>
使用流体:常温水
噴射孔径:0.14mm
高圧水流の噴出形状:柱状
織物幅方向において隣接する噴射孔同士の間隔:0.6mm
噴射孔列の織物経方向の配列数:3列
噴射孔列の織物経方向の配列間隔:0.6mm
(3列に配列した噴射孔列において、織物の走行する方向に向かって1〜3列目とするとき、2列目の噴射孔列のノズル位置を1列目のノズル配置に対し進行方向に向かって左へ0.14mmずらし、3列目も2列目に対し同様に配置した。)
織物の幅方向長さ(mm)に対する噴射孔の直径の総和(mm)の占める比率((噴射孔径×配列数)/幅方向間隔)
:70%
噴射ノズルから織物表面までの距離:2cm
織物走行速度:15m/分
織物幅:1500mm
液圧:15MPa
流量:0.75m/分
流速:108m/秒
高圧水流による噴射処理後に綾織物をテンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付135g/mである本発明の無塵衣用織物を得た。
(実施例2)
<構成繊維>
ポリエステルフィラメントとして、エチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位中95モル%以上であるPETマルチフィラメントを仮撚り加工した仮撚糸(経糸用:110デシテックス/36フィラメント、緯糸用:123デシテックス/310フィラメント)を使用した。導電性フィラメントとして、ポリエステル導電性マルチフィラメント原糸(ユニチカトレーディング社製、商標名:メガーナ(E5)、28デシテックス/2フィラメント)1本と前記PETマルチフィラメント仮撚糸(経糸用:110デシテックス/36フィラメント、緯糸用:123デシテックス/310フィラメント)1本とを撚り数300T/Mの合撚糸としたものを使用した。
<織物組織>
経糸として、前記仮撚糸(110デシテックス/36フィラメント)40本に対して前記合燃糸1本(ポリエステル導電性マルチフィラメント原糸1本とPETマルチフィラメント仮撚糸(110デシテックス/36フィラメント)1本とを合燃したもの)を配列した。緯糸として、前記仮撚糸(123デシテックス/310フィラメント)40本に対して前記合燃糸(ポリエステル導電性マルチフィラメント原糸1本とPETマルチフィラメント仮撚糸(123デシテックス/310フィラメント)1本とを合燃したもの)を1本配列した。そして、経糸密度108本/2.54cm、緯糸密度本80/2.54cmの平織物を製織した。
該織物について、実施例1と同一条件で精錬、プレセットし、前記処方1に示す水溶液に含浸した後、マングルで30質量%の絞り率で絞り付着量4.5%質量%とし、乾燥することなく、103℃の飽和蒸気処理を10分行った。次いで、綾織物にオープンソーパーにて温度80℃の温水で5分間ソーピングを施し、テンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、実施例1と同一条件で高圧水流による噴射処理を実施した。高圧水流による噴射処理後に綾織物をテンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付112g/mである本発明の無塵衣用織物を得た。
(実施例3)
<構成繊維>
ポリエステルフィラメントとして、エチレンテレフタレート単位が全繰り返し単位中95モル%以上であるPETマルチフィラメント原糸(60デシテックス/180フィラメント)を使用し、導電性フィラメントとして、ポリエステル導電性マルチフィラメント原糸(ユニチカトレーディング社製、商標名:メガーナ(E5)、28デシテックス/2フィラメント)1本と前記PETマルチフィラメント原糸1本とを撚り数300T/Mの合撚糸としたものを使用した。
<織物組織>
経糸として、前記PETマルチフィラメント原糸35本に対して前記合燃糸1本配列し、緯糸として、該PETマルチフィラメント原糸23本に対して前記合燃糸を1本配列して、経糸密度208本/2.54cm、緯糸密度137本/2.54cmの2/2綾織物を製織した。
該織物について、実施例1と同一条件で精錬、プレセットし、前記処方1に示す水溶液に含浸した後、マングルで30質量%の絞り率で絞り付着量4.5%質量%とし、乾燥することなく、103℃の飽和蒸気処理を10分行った。次いで、綾織物にオープンソーパーにて温度80℃の温水で5分間ソーピングを施し、テンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、実施例1と同一条件で高圧水流による噴射処理を実施した。高圧水流による噴射処理後に綾織物をテンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付100g/mである本発明の無塵衣用織物を得た。
(比較例1)
実施例1と同一条件で、平織物を製織し、精錬、プレセットをおこない、目付135g/mである比較用織物を得た。すなわち、実施例1における、前記処方1に示す水溶液含浸処理以降の処理は実施しなかった。
(比較例2)
実施例1と同一条件で、平織物を製織し、精錬、プレセットをおこない、前記処方1に示す水溶液に含浸した後、マングルで30質量%の絞り率で絞り付着量4.5%質量%とし、乾燥することなく、103℃の飽和蒸気処理を10分行った。次いで、綾織物にオープンソーパーにて温度80℃の温水で5分間ソーピングを施し、テンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付135g/mである比較用織物を得た。すなわち、実施例1における、高圧水流による噴射処理以降の処理は実施しなかった。
(比較例3)
実施例1と同一条件で、平織物を製織し、精錬、プレセットをおこない、実施例1と同一条件で高圧水流による噴射処理を実施した。高圧水流による噴射処理後に綾織物をテンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付135g/mである比較用織物を得た。すなわち、実施例1における、処方1の水溶液含浸処理、含浸した織物をマングルで絞る処理、飽和蒸気処理、ソーピング及びソーピング後の乾燥処理は実施しなかった。
(比較例4)
実施例1と同一条件で、平織物を製織し、精錬、プレセットをおこなった。次いで、織物を処方2に示す水溶液に含浸した後、マングルで30質量%の絞り率で絞り付着量2.0質量%とし、乾燥することなく、103℃の飽和蒸気処理を10分行った。
〈処方2〉

:66.7g/l
(新中村化学工業社製、式中のn=23のポリエチレングリコールジメタクリレート)
過硫酸アンモニウム:1.3g/l
次いで、綾織物にオープンソーパーにて温度80℃の温水で5分間ソーピングを施し、テンターにて130℃、2分間の乾燥を行い、目付135g/mである比較用織物を得た。すなわち、実施例1における、高圧水流による噴射処理以降の処理は実施しなかった。
実施例1〜3、比較例1〜4で得られた織物の摩擦帯電圧、発塵量、曲げ剛性Bを評価した。評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜3は、制電性、低発塵性及び風合いにおいて所望の値を満たし、半導体等の製造現場で要求される無塵衣用織物としての性能を備えた織物を得ることができた。実施例1〜3の織物は、高圧水流による噴射処理により、当初4.5質量%であった付着量が比較例4の付着量に近似する程度まで低くなったと推測されるところ、比較例4の織物と比較して極めて柔軟な風合いを有し、発塵性及び制電性に優れたものであった。このことから、本発明の無塵衣用織物は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含む織物に、制電性ポリマーを厚みが薄くなるよう形成して得られるものではなく、高圧水流による噴射処理をおこなうことによって初めて得られるものであることがわかる。また、実施例1〜3の織物は、比較例2の織物と比較すると、高圧水流による噴射処理をおこなうことにより、制電性を維持したまま、所望の低発塵性及び風合いを備えるものとすることができたことがわかる。
一方、比較例1の織物は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含むが、制電性ポリマーが形成されていなかったことから、摩擦帯電圧が1000Vを越えたものとなった。さらに、該織物は、発塵量が50個/ft・100cmを超えるものとなった。このことは、高圧水流による噴射処理をおこなわなかったことから、構成繊維であるフィラメントを形成するポリマーに由来するオリゴマー等が残存し、該オリゴマー等が発塵源となったためと推測される。以上から、比較例1の織物は、制電性及び低発塵性において、半導体等の製造現場で要求される無塵衣用織物としての性能を備えるものではなかった。
比較例2の織物は、発塵量が50個/ft・100cmを超えるものとなった。このことは、高圧水流による噴射処理をおこなわなかったことから、該織物の構成繊維間に付着した余剰のポリマー及び構成繊維であるフィラメントを形成するポリマーに由来するオリゴマー等を除去できず、該余剰のポリマー及び該オリゴマー等が発塵源となって発塵量が多くなったと推測される。さらに、該織物は、曲げ剛性Bが0.1gf・cm/cmを超えるものとなった。このことは、前記余剰のポリマーにより構成繊維が固着されたことが原因となって風合いが硬くなったと推測される。以上から、比較例2の織物は、低発塵性及び風合いにおいて、半導体等の製造現場で要求される無塵衣用織物としての性能を備えるものではなかった。
比較例3の織物は、ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含むが、制電性ポリマーが形成されていなかったことから、摩擦帯電圧が1000Vを越えたものとなった。なお、高圧水流による噴射処理はおこなったため、構成繊維であるフィラメントを形成するポリマーに由来するオリゴマー等が除去されると推測されるところ、発塵量は50個/ft・100cm以下であった。以上から、比較例3の織物は、制電性において、半導体等の製造現場で要求される無塵衣用織物としての性能を備えるものではなかった。
比較例4の織物は、発塵量が50個/ft・100cmを超えるものとなった。このことは、制電性ポリマーが厚さが薄くなるように形成しても、高圧水流による噴射処理をおこなわなかったことから、織物を構成する繊維間に付着した余剰のポリマー及び構成繊維であるフィラメントを形成するポリマーに由来するオリゴマー等が発塵源となって発塵量が多くなったと推測される。さらに、該織物は、曲げ剛性Bが0.1gf・cm/cmを超えるものとなった。このことは、前記余剰のポリマーにより構成繊維が固着されたことが原因となって風合いが硬くなったと推測される。以上から、比較例4の織物は、低発塵性及び風合いにおいて、半導体等の製造現場で要求される無塵衣用織物としての性能を備えるものではなかった。
1 織物 2 フィードロール 3 噴射ノズル
4 デリベリーロール 5 噴射孔

Claims (3)

  1. ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含むジメタクリレートを架橋剤が介在することなく反応させたポリマーが形成している織物であって、下記の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする無塵衣用織物。
    (1)20℃、40%RH環境下におけるJIS L 1094法の摩擦帯電圧が1000V以下であること。
    (2)JIS B9923(タンブリング法)による粒径0.3μm以上の発塵量が50個/ft・100cm以下であること。
    (3)KES法による曲げ特性Bが0.1gf・cm/cm以下であること。
  2. ポリエステルフィラメント及び導電性フィラメントを構成繊維として含み、該構成繊維表面にポリアルキレングリコールを含むジメタクリレートを架橋剤が介在することなく反応させたポリマーが形成している織物に、ソーピング処理を施した後に高圧水流による噴射処理をおこなうことを特徴とする請求項1に記載の無塵衣用織物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の無塵衣用織物を用いてなる無塵衣。
JP2012217058A 2012-09-28 2012-09-28 無塵衣用織物及びその製造方法 Active JP6092560B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217058A JP6092560B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 無塵衣用織物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012217058A JP6092560B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 無塵衣用織物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014070305A JP2014070305A (ja) 2014-04-21
JP6092560B2 true JP6092560B2 (ja) 2017-03-08

Family

ID=50745790

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012217058A Active JP6092560B2 (ja) 2012-09-28 2012-09-28 無塵衣用織物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6092560B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6503439B1 (ja) * 2017-11-09 2019-04-17 ユニチカトレーディング株式会社 織編物及びその製造方法
JP7428054B2 (ja) 2020-04-02 2024-02-06 東レ株式会社 織物および衣料
CN111455666A (zh) * 2020-04-20 2020-07-28 深圳市帝邦服装有限公司 一种基于无尘面料的防静电服及其制备方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6112976A (ja) * 1984-06-28 1986-01-21 東レ株式会社 合成繊維の改質方法
JPH11181674A (ja) * 1997-12-16 1999-07-06 Kanebo Ltd 合成繊維布帛の耐久性帯電防止加工用処理液および加工方法
JPH11256475A (ja) * 1998-03-10 1999-09-21 Toray Ind Inc 防塵衣
JP4488617B2 (ja) * 2000-11-22 2010-06-23 ユニチカトレーディング株式会社 クリーナークロス用布帛の製造方法
JP3897161B2 (ja) * 2002-05-08 2007-03-22 東洋紡績株式会社 着用快適性及び防透性に優れた回収ポリエステルを含んで構成された無塵衣の製造方法
JP2005154964A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Toyobo Co Ltd 着用快適性に優れたポリエステル布帛及び無塵衣
JP2006176896A (ja) * 2004-12-21 2006-07-06 Toyobo Co Ltd 制電作業服
JP5254757B2 (ja) * 2008-11-18 2013-08-07 ユニチカトレーディング株式会社 布帛

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014070305A (ja) 2014-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2001000412A1 (en) Napped fabric and process
WO2007046296A1 (ja) 導電性複合繊維及びその製造方法
JP6092560B2 (ja) 無塵衣用織物及びその製造方法
JP7486985B2 (ja) 織編物およびその製造方法
WO2020158530A1 (ja) 撥水性織編物、その製造方法および衣料
JP3896834B2 (ja) 防塵衣用織物および防塵衣
JP5865648B2 (ja) 防汚性布帛の製造方法
JP2004137617A (ja) 防汚ウエア
JP5113094B2 (ja) 撥水性布帛およびその製造方法および繊維製品
JP2017106134A (ja) 導電性複合加工糸および導電性織物
US11866858B2 (en) Textile and garment
JP6503439B1 (ja) 織編物及びその製造方法
CN108060586B (zh) 一种高导电性的击剑服
JP6063135B2 (ja) 撥水撥油性を持つ繊維構造物の製造方法
JP6752755B2 (ja) ポリアミド系導電性複合繊維
CN101463560B (zh) 耐磨耗的抗静电纤维及制造方法和制造该纤维的组合物
JP6214945B2 (ja) 撥水性花粉付着防止布帛
JP2007204870A (ja) ポリアミド短繊維及びその製造方法
WO2017022625A1 (ja) パイル布帛及びその製造方法
JP2019137945A (ja) 布帛および繊維構造物
JP7429401B2 (ja) 複合型モノフィラメント
JP7313124B2 (ja) 防汚性織編物、及びその製造方法
JP2019206769A (ja) 防汚性布帛およびその製造方法
JP2006097143A (ja) 制電作業服
WO2021215319A1 (ja) 撥水性布帛および繊維製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150608

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160805

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6092560

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150