以下、添付図面を参照しつつ、本発明における定置式家庭用蓄電池システムの好適な実施形態を説明する。
電気的な構成を示す図1において、本実施形態における蓄電池システム1は、単相三線式200Vの商用電力系統Sからの交流電力と、住宅敷地内の屋外に設置された太陽電池2からの直流電力を電源として動作するもので、住宅内すなわち屋内にそれぞれ設置した第1住宅用分電盤(以下、第1分電盤という)4、第2住宅用分電盤(以下、第2分電盤という)5およびコントローラ6と、住宅敷地内の屋外に設置した蓄電池盤7とにより主に構成される。
系統Sに一端が接続する三線式の第1電源線8は、図示しない2本の電圧線と1本の中性線とにより構成され、第1分電盤4に引き込まれて配線される。第1分電盤4は、系統Sを保有する電力会社との契約ブレーカ11の他に、主幹ブレーカ12や、太陽光連系ブレーカ13や、分岐ブレーカ14や、負荷電流検出用の第1カレントトランス15などを内部に組み込んでおり、第1電源線8の一端から他端に向けて、契約ブレーカ11と、主幹ブレーカ12と、第1カレントトランス15が、それぞれ順に挿入接続される。
第1電源線8の他端には、各々に分岐ブレーカ14を挿入接続した第1分岐線16の一端が接続され、第1分岐線16の他端には、住宅内に設置した停電時非バックアップ対象の第1負荷として、住宅内負荷L1が接続される。第1分岐線16は、前述した2本の電圧線と1本の中性線とによる三線式、若しくは何れか1本の電圧線と中性線とによる二線式であるため、第1分電盤4に接続する住宅内負荷L1は、第1分岐線16を介して交流200Vまたは交流100Vの何れかが供給される構成となっている。
第1分電盤4はその他に、第2分電盤5を経由して蓄電池盤7に接続する第2電源線17と、住宅内に設置された太陽光発電用のパワーコンディショナ18に接続する第3電源線19がそれぞれ引き込まれて配線される。第2電源線17と第3電源線19は何れも三線式で、交流200Vの供給を可能にするもので、第2電源線17の一端は、第1分岐線16につながる第1カレントトランス15の他端に接続され、第3電源線19の一端は、契約ブレーカ11と主幹ブレーカ12との接続点に接続される。また、第3電源線19には前述の太陽光連系ブレーカ13が挿入接続される。
太陽電池2は、パワーコンディショナ18と共に太陽光発電システム21を構成し、太陽光を直流電力に変換してパワーコンディショナ18に送出するものである。またパワーコンディショナ18は、太陽電池2からの直流電力を交流電力に変換する電力変換器としての機能を有する。パワーコンディショナ18には、交流200Vを供給するための第3電源線19が接続されると共に、交流100Vを自立出力可能にする差込み口(図示せず)が設けられる。この差込み口には、二線式の補助電源線22の一端に接続する電源プラグ23が装着され、補助電源線22の他端は第2電源線17を構成する何れか1本の電圧線と中性点に接続される。
パワーコンディショナ18には、系統Sから正常に電力が供給されているか否かを監視する停電監視部(図示せず)が設けられている。これにより、系統Sから所定の電力が正常に供給される通常時には、パワーコンディショナ18が第3電源線19を介して第1電源線8に交流電力を供給し、その電力を蓄電池システム1側で消費させると共に、余剰電力を系統Sに送って電力会社への売電を行なう一方、系統Sからの電力供給が途絶えたいわゆる停電時には、パワーコンディショナ18が自立出力して、補助電源線22を介して第2電源線17に交流電力を供給する構成になっている。
第2分電盤5は、主幹ブレーカ25,26や、サーキットブレーカ27や、分岐ブレーカ28や、保守用の切替回路29などを主な構成要素とし、前述した第2電源線17と補助電源線22が第2分電盤5にそれぞれ配線される。また、第2電源線17には主幹ブレーカ25が挿入接続され、補助電源線22にはサーキットブレーカ27が挿入接続される。
第2電源線17は、屋内に設置した第2分電盤5から屋外に設置した蓄電池盤7に引き回して配線されるが、第2分電盤5内において、第2電源線17の途中にその一端を接続した二線式の第1給電線30が配線されると共に、蓄電池盤7内において、同じく第2電源線17の途中にその一端を接続した二線式の第2給電線31が、蓄電池盤7から第2分電盤5に引き回して配線される。第1給電線30の他端は、第2分電盤5内において第2給電線31の途中に接続される。
切替回路29は、手動操作可能な操作体32と、この操作体32に連動する二連の接点33,34とにより構成され、これらの接点33,34は前述の第1給電線30と第2給電線31に各々接続される。また第2給電線31は、第1給電線30との接続点と他端との間に、主幹ブレーカ26が挿入接続される。本実施形態での切替回路29は、常用時に接点33がオフし、接点34がオンする一方で、非常時には操作体32の操作により、接点33をオンにし、接点34をオフにすることができる。
第2給電線31の他端には、各々に分岐ブレーカ28を挿入接続した第2分岐線35の一端が接続され、第2分岐線35の他端には、住宅内に設置した停電時バックアップ対象の第2負荷として、住宅内負荷L2が接続される。第2分岐線35は何れも二線式であるため、第2分電盤5に接続する住宅内負荷L2は、第2分岐線35を介して交流100Vだけが供給される構成となっている。
上述した第1分電盤4に組み込まれる契約ブレーカ11、主幹ブレーカ12、太陽光連系ブレーカ13、および分岐ブレーカ14や、第2分電盤5に組み込まれる主幹ブレーカ25、主幹ブレーカ26、サーキットブレーカ27、および分岐ブレーカ28は、何れもそこに過電流が流れた時に回路を遮断する機能を有する。したがって、今後は特に断り書きのない限り、これらの各ブレーカ11〜14,25〜28は、何れも常にオン状態にあるものとする。
蓄電池システム1の屋外機を構成する蓄電池盤7は、充放電可能な蓄電池である二次電池38が搭載され、この二次電池38や蓄電池制御ユニット(BMU:Battery Management Unit)39などを含む電池システム41の他に、パワーコンディショナ42や、停電開閉部43や、保守用切替器44や、ファン45などを内部に組み込んで構成される。
本実施形態で使用する二次電池38は、12個のリチウムイオン電池セル(図示せず)を直列に接続したものを、2並列に接続した6個の蓄電池モジュールMDL1〜MDL6からなる。個々の電池セルの電池電圧は直流2.3Vで、各々の蓄電池モジュールMDL1〜MDL6の端子電圧は直流27.6V(18V〜32.4Vの範囲)であり、これらの蓄電池モジュールMDL1〜MDL6を直列接続することで、二次電池38全体として直流166V(108V〜194Vの範囲)の電圧を取り出すことができる。但し、電池セルの種類や接続形態などは、本実施形態のものに限定されない。
蓄電池モジュールMDL1〜MDL6には、電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6がそれぞれ設けられる。電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6は、対応する蓄電池モジュールMDL1〜MDL6の各電池セルについて、電池電圧(充電量や残量)や温度などの監視結果を蓄電池制御ユニット39に送出すると共に、蓄電池制御ユニット39からの制御信号を受けて、個々の電池セルの電池電圧を適正な範囲(上述の例では、直流1.5〜2.7V)に調整するものである。蓄電池モジュールMDL1〜MDL6は、パワーコンディショナ42から電池システム41に引き回された直流線路46にそれぞれ挿入接続される。
電池システム41にはその他に、切断機47と、開閉器48,49と、電流検出器50がそれぞれ設けられる。保守用に設けられた切断機47は、直列接続された一方の蓄電池モジュールMDL1〜MDL3の一群と、直列接続された他方の蓄電池モジュールMDL4〜MDL6の一群との間の直流線路46に挿入接続され、電池システム41の保守点検時などに、この切断機47を手動操作して直列線路46を切断することで、蓄電池モジュールMDL1〜MDL6による不意の感電を防止し得るように構成している。また、切断機47の状態を示す検出信号が、蓄電池制御ユニット39に送出されるようになっている。
開閉器48,49は、二次電池38の正極側と負極側にそれぞれ位置して、直流線路46に挿入接続される。また電流検出器50は、電池システム41内における二次電池38の充放電電流を検出して、その検出信号を蓄電池制御ユニット39に送出するもので、二次電池38の負極側の直流線路46に挿入接続される。
蓄電池制御ユニット39は、二次電池38の状態を認識して制御を行なうもので、具体的には電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6、切断機47および電流検出器50からの各検出信号を受けて、二次電池38に対して適切な制御が行われるように、各電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6に制御信号を送出すると共に、二次電池38の正常動作時に開閉器48,49をオン状態にし、二次電池38の異常時や点検時などに開閉器48,49をオフ状態にするように、各開閉器48,49に制御信号を送出する。また蓄電池制御ユニット39は、前述の電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6、切断機47および電流検出器50からの各検出信号に基づく二次電池38の状態を認識した結果を、制御線51を通じてパワーコンディショナ42に送出する機能を備えている。
前述のパワーコンディショナ42には、第2分電盤5からの第2電源線17が引き回されて配線されると共に、この第2電源線17と並列に二線式の第3給電線52が接続される。またパワーコンディショナ42は、系統Sや住宅内負荷L1,L2と二次電池38との間で電力変換を行なう電力変換部53や、電力変換部53に駆動信号を供給する制御基板54や、制御基板54などに所定の動作電圧を供給する動作電源部55や、第2電源線17と第3給電線52にそれぞれ挿入接続される切替リレー56,57などを具備する。
電力変換部53は、第2電源線17側に接続するDC/AC変換回路61と、直流線路46側に接続するDC/DC変換回路62とを直列に接続し、制御基板54からの指令信号を受けて、DC/AC変換回路61およびDC/DC変換回路62を構成する半導体スイッチング素子(図示せず)の制御端子すなわちゲートに、所定のパルス駆動信号をそれぞれ供給するゲート駆動回路63を備えて構成される。電力変換部53のインバータとしてのDC/AC変換回路61は、内蔵する半導体スイッチング素子のスイッチング動作に伴い、第2電源線17からの交流電力を直流電力に変換してDC/DC変換回路62に送出し、或いはDC/DC変換回路62からの直流電力を交流電力に変換して第2電源線17に送出する機能を有する。また、電力変換部53のコンバータとしてのDC/AC変換回路61は、内蔵する半導体スイッチング素子のスイッチング動作に伴い、DC/AC変換回路61からの直流電圧を、二次電池38を充電するに適した電圧レベルに降圧し、或いは二次電池38からの直流電圧を、住宅内負荷L1,L2を正常に動作させるに適した電圧レベルに昇圧する機能を有する。
動作電源部55は、ダイオード64と、DC/DCコンバータとしての制御電源回路65とを備え、直流線路46の両端間に発生する直流電圧を、ダイオード64を介して制御電源回路65に送出すると共に、蓄電池盤7に搭載されたノイズフィルタ66を通してノイズ成分を除去し、自動電圧調整器(AVR)67,68にそれぞれ送出する機能を有する。制御電源回路65は、制御基板54を正常に動作させるための直流電圧を、当該制御基板54に動作電圧として供給するものであり、また自動電圧調整器67,68は、蓄電池盤7内において各部を動作させるための直流12Vと直流24Vをそれぞれ生成するものである。特に自動電圧調整器67で生成される直流12Vの動作電圧は、電池システム41の蓄電池制御ユニット39だけでなく、動作電圧線69を介して屋内のコントローラ6などにも供給されるようになっている。
動作電源部55は、その他にAC/DC変換回路58を備えており、第2電源線17に発生する交流電圧を、別な例えば直流5Vの動作電圧に変換する機能を有する。また第2電源線17には、トランスとダイオードとにより構成される別なAC/DC変換回路59が設けられており、蓄電池システム1の運転が停止している状態でも、第2電源線17からAC/DC変換回路59を介して制御電源回路65やノイズフィルタ66に直流電圧が送出されるようになっている。
パワーコンディショナ42は、コントローラ6から制御線71を介して伝送される制御信号と、蓄電池制御ユニット39から制御線51を介して伝送される二次電池38の状態を認識した信号とにより、電力変換部53の駆動ひいては二次電池38の充放電を制御する充放電制御部として、蓄電池盤7内に設けられる。コントローラ6からの制御信号と、蓄電池制御ユニット39から二次電池38の状態を認識した信号は、何れもパワーコンディショナ42に搭載した制御基板54に送出され、これらの信号に基づく適切な指令信号が制御基板54からゲート駆動回路63に与えられ、ゲート駆動回路63からDC/AC変換回路61とDC/DC変換回路62に、所定のパルス導通幅を有するパルス駆動信号をそれぞれ供給することで、二次電池38への充電電流、或いは二次電池38からの放電電流を適切に制御するようになっている。なお、DC/AC変換回路61とDC/DC変換回路62との間には、平滑用のコンデンサ72が接続される。
蓄電池盤7内において、制御基板54は、第1電源線8に挿入接続した第1カレントトランス15と、第2電源線17に挿入接続した第2カレントトランス73と、第2給電線31に挿入接続した第3カレントトランス74からの各検出信号を受け入れて、これらの第1電源線8、第2電源線17および第2給電線31を流れる電流量を各々監視する機能を有する。また制御基板54は、停電発生を判断するための検出信号を出力する部品として、第2電源線17に発生する電圧の有無を検出する第1リレー75の他に、補助電源線22に発生する電圧の有無を検出する第2リレー76からの各検出信号を受け入れる機能を有すると共に、直流線路46に設けた第1開閉器77と、補助電源線22に設けた第2開閉器79と、第2電源線17および第2給電線31に設けた保守用切替器44にそれぞれ接続して、これらの開閉器77,79および保守用切替器44のオン、オフを個別に制御し得るように構成している。
特に制御基板54は、第1リレー75からの検出信号により停電が発生したと判断すると、切替リレー56をオンからオフに切替えると同時に、切替リレー57をオフからオンに切替えて、二次電池38に蓄えられていた電力を、第2電源線17ではなく第3給電線52を経由した後、第2給電線31を介して住宅内負荷L2に供給すると共に、第2給電線31の一端との接続点よりも系統S側の第2電源線17に挿入接続された停電開閉部43の接点をオンからオフに切替えて、二次電池38から第2電源線17と第1電源線8を順に経て、系統Sに電力が逆潮流するのを防ぐように構成している。
前述のノイズフィルタ66や、自動電圧調整器67,68や、第2カレントトランス73や、第3カレントトランス74や、第1リレー75や、第2リレー76や、第1開閉器77や、第2開閉器79は、何れも蓄電池盤7内に搭載される。それ以外に、蓄電池盤7内には第3リレー81が搭載され、制御基板54から第3リレー81に与えられる制御信号によって、蓄電池盤7内の発熱部品を強制空冷するファン45のオン、オフ動作を制御する構成になっている。
屋内に設けたコントローラ6は、前述の動作電圧線69と制御線71とにより、屋外に設置した蓄電池本体としての蓄電池盤7に有線で接続される。コントローラ6の詳細は後程説明するが、動作電圧線69からの動作電圧によって動作し、制御線71を通して蓄電池盤7のパワーコンディショナ42に搭載した制御基板54に、制御信号である充電信号や放電信号を送出する構成になっている。特に本実施形態では、コントローラ6から充電信号が送出される間、二次電池38を充電信号で指示された所定の電流量で充電するように、ゲート駆動回路63からパルス駆動信号を送出して電力変換部53を動作させ、コントローラ6から放電信号が送出される間、二次電池38から放電信号で指示された所定の電流量で放電するように、ゲート駆動回路63からパルス駆動信号を送出して電力変換部53を動作させる。これに対して、コントローラ6から充電信号や放電信号が何れも送出されない場合は、ゲート駆動回路63からのパルス駆動信号は出力せず、二次電池38も充放電を行なわないようになっている。
図2は、通常時における蓄電池システム1の概念的な構成を示している。同図において、太陽光発電システム21は、第3電源線19に挿入接続する第1切替接点82と、補助電源線22に挿入接続する第2切替接点83をさらに備える。通常時には、太陽光発電システム21の第1切替接点82がオン状態となる一方で、第2切替接点83がオフ状態となり、また蓄電池盤7に装着された停電開閉部43がオン状態となる。そのため太陽光発電システム21は、第3電源線19を通して第1電源線8に交流200Vを出力し、商用電力系統Sからの交流出力と共に、第1分電盤4のコンセントにつながる住宅内負荷L1と、第2分電盤5のコンセントにつながる住宅内負荷L2に、電力供給を行なうことが可能になる。このとき住宅内負荷L1には、第1電源線8と第1分岐線16とを順に経由して、交流200Vまたは交流100Vが供給されると共に、住宅内負荷L2には、第1電源線8と、第2電源線17と、第2給電線31と、第2分岐線35とを順に経由して、交流100Vが供給される。
また、通常時に蓄電池盤7内で二次電池38を充電制御することで、系統Sや太陽光発電システム21からの電力を、第1電源線8と第2電源線17とを順に経由して、二次電池38に充電させることが可能になる。太陽光発電システム21からの余剰電力は、二次電池38の充電に消費利用できるだけでなく、系統S側に供給して売電することもできる。
さらに、通常時に蓄電池盤7内で二次電池38を放電制御することで、二次電池38に蓄えた電力を、第2電源線17や第2給電線31を通じて、住宅内負荷L1,L2に供給することができる。この場合、二次電池38からは交流100V系および交流200V系を合せて、合計で最大3kVAの電力供給が可能となる。
図3は、停電時における蓄電池システム1の概念的な構成を示している。停電になると、太陽光発電システム21の第1切替接点82がオフ状態となる一方で、第2切替接点83がオン状態となり、また蓄電池盤7に装着された停電開閉部43がオフ状態となる。そのため、第1分電盤4のコンセントにつながる住宅内負荷L1は使用不可となるが、蓄電池盤7内で二次電池38を放電制御することで、第2分電盤5のコンセントにつながる住宅用負荷L2にのみ、二次電池38からAC100Vで最大2kVAの電力供給が可能になる。また、太陽光発電システム21の停電時に発生するAC100Vの出力が、補助電源線22を介して第2電源線17と第2給電線31に送出され、当該出力を住宅用負荷L2への電力供給と、二次電池38の充電に利用することができる。本実施形態における太陽光発電システム21は、最大で1.5kVAの出力能力を有するが、前述の第2カレントトランス73および第3カレントトランス74からの検出信号を読込んで、蓄電池盤7内で二次電池38の充電電流を制御することで、例えばその中の500VA分を二次電池38の充電用に充て、残りの1kVA分を住宅用負荷L2に消費させることができる。したがって、太陽光発電システム21を利用して、停電中に住宅用負荷L2を使用しながら二次電池38を充電することも可能となる。
次に、屋内に設置されるコントローラ6の外観構成について、図4および図5を参照しながら説明する。コントローラ6は、略矩形箱状の外殻をなす筐体84と、この筐体84の正面下部を覆う扉85とを有し、扉85の上端は筐体84の下端に設けられた左右一対のヒンジ86に取付けられ、このヒンジ86を中心にして、扉85が筐体84に対し開閉自在に回動するようになっている。またコントローラ6は、例えば液晶表示器などの表示部87と、複数のボタン88A〜88Dからなる第1操作部88と、第1操作部88とは別な複数のボタン89A〜89Fからなる第2操作部89とを備え、表示部87および第1操作部88は、扉85の開閉に拘らず常時露出するケース85の正面上部に配置される一方、第2操作部89は、扉85を閉じたときに当該扉85に覆われるケース85の正面下部に配置される。
表示部87には、図4や図5に示すような時刻や、二次電池38の残量や、蓄電池システム1の運転状態などを主に示す動作モード画面の他に、複数のメニューの中から、特定のメニューを選択させるメニュー選択画面や、各種パラメータの設定を行なうための設定画面や、二次電池38の充放電の推移を示す推移グラフ画面などが選択的に表示される。因みに、図4および図5の表示部87は、通常時における動作モードの中で、特におすすめモードにおける一表示形態を示しており、ここには後述する動作モード名を表示するモード表示部87Aや、現在時刻を表示する現在時刻表示部87Bや、二次電池38の端子間電圧に相当する実際の残量を表示する残量表示部87Cや、後述する電池残量記憶部134に設定記憶された二次電池38の残量設定値を表示する設定残量表示部87Dや、二次電池38に対する充放電の状態を表示する動作表示部87Eや、充電や放電の時刻や時間を表示する充放電時間表示部87Fなどを備えている。
第1操作部88は、主に操作頻度が比較的多く、特定の動作モードを指示する一乃至複数のボタン88A〜88Dからなり、具体的には表示部87の左側におすすめボタン88Aとアシストボタン88Bを並設し、表示部87の右側に充電ボタン88Cと放電ボタン88Dを並設して構成される。それに対して第2操作部89は、操作頻度が比較的少なく、誤操作による影響の大きな一乃至複数のボタン89A〜89Fからなり、具体的には上方向ボタン89Aと、決定ボタン89Bと、下方向ボタン89Cと、メニューボタン89Dと、戻る/取消ボタン89Eと、運転入/切ボタン89Fとにより構成される。
なお本実施形態では、入力装置として押し釦式のボタン88A〜88Dや、ボタン89A〜89Fを示しているが、スマートフォンなどの電子情報機器端末で使用される静電容量スイッチや、表示部87と一体化させたタッチパネルなどを代わりに採用してもよい。
第1操作部88の各ボタン88A〜88Dは、扉85を開けなくても操作が可能な位置に設けられ、第2操作部89の各ボタン89A〜89Fは、扉85を開けなければ操作ができない位置に設けられる。このことは、第1操作部88の各ボタン88A〜88Dが第2操作部89の各ボタン89A〜89Fよりも大型の形状を有することと相俟って、操作頻度の高いボタン88A〜88Dの操作性を向上させ、併せて誤操作による蓄電システム1の停止を回避できる要因となる。
また特に本実施形態では、二次電池38を充電運転する際に押動操作する充電ボタン88Cと、二次電池38を放電運転する際に押動操作する放電ボタン88Dは、扉85を開けなくても操作できる配置とする。このようにすることで、扉85をいちいち開ける動作を伴わずに、充電ボタン88Cや放電ボタン88Dを操作して、使用者がすぐに二次電池38を充電若しくは放電することが可能になる。その一方で、蓄電池システム1の運転を開始または停止させる際に押動操作する運転入/切ボタン89Fは、扉85を開けないと操作できない配置とする。このようにすることで、使用者が安易に蓄電池システム1の運転を停止できないようにして、二次電池38を必要な時に確実に充放電させることが可能になる。
図6および図7は、太陽光発電システム21などのHEMS(Home Energy Management System:エネルギー管理システム)機器との間で通信を可能にするITアダプタ91,92を示している。これらのITアダプタ91,92は、無線または有線による無線通信手段(図示せず)との接続端末として、その何れか一方がコントローラ6に装着される。各ITアダプタ91,92は、何れも略矩形箱状で、コントローラ6との電気的接続を可能にするコネクタ受け93を一側に備えているが、有線による無線通信手段と接続する有線タイプのITアダプタ91には、有線LAN(Local Area Network)用の接続部としてのLAN端子94を備え、無線による無線通信手段と接続する無線タイプのITアダプタ92には、前述のLAN端子94の代わりに、無線(例えばBluetooth:登録商標)用の送受信器95が内蔵される。ITアダプタ91はLAN端子94を設けているので、ITアダプタ92よりも厚みのある形状に形成される。
図8および図9は、有線タイプのITアダプタ91をコントローラ6に装着したものを示している。これらの各図において、前述のコントローラ6の筐体84は、コントローラ6の外殻正面と外殻側面をなす有底状のケース96と、ケース96の開口を覆い、コントローラ6の外殻背面をなすカバー97とにより構成され、筐体84の内部には、前述の表示部87や、第1操作部88や、第2操作部89などと電気的に接続する制御基板98が組み込まれる。また筐体84の内部において、制御基板98にはコネクタ受け99が設けられる。ITアダプタ91は、コントローラ6の背面に位置するカバー97の外面に取付けられ、ITアダプタ91のコネクタ受け93と制御基板98のコネクタ受け99との間にコネクタ付きケーブル100を接続することで、ITアダプタ91とコントローラ6との間で双方向の信号伝送を可能にしている。なお、カバー97には長孔101が設けられ、この長孔101にコネクタ付きケーブル100を挿通することで、筐体84の外部に設けたコネクタ受け93と、筐体84の内部に設けたコネクタ受け99との電気的な接続を実現している。
前記ITアダプタ91をパソコンなどの他の機器と接続するには、筐体84の外部に露出するLAN端子94に、図示しないネットワークに接続したLANケーブル102を差し込めばよい。こうすることで、蓄電池システム1のコントローラ6と、ネットワークに接続するパソコンなどの機器との間で、蓄電池システム1に関する各種データのやり取りが可能になる。具体的には、例えばコントローラ6と同じ表示および操作の機能を、ローカルエリア内の機器のみならず、インターネットを通じて接続するローカルエリア外の機器に持たせることができる。
上記ITアダプタ91は、厚みのあるLAN端子94を設ける関係上、これをコントローラ6に内蔵させようとすると、コントローラ6の厚みも大きく形成せざるを得ない。しかし、ITアダプタ91をコントローラ6の背面に設置することで、コントローラ6の厚みを薄く形成することができる。
一方、図10では、無線タイプのITアダプタ92をコントローラ6に装着したものを示している。同図において、コントローラ6の構成は、図8および図9に示したものと共通するが、ITアダプタ92はコントローラ6の背面にではなく、コントローラ6の外部に露出しないように、筐体84の内部に予め形成したITアダプタ92の格納空間104に内蔵される。また筐体84の内部で、ITアダプタ92のコネクタ受け93と制御基板98のコネクタ受け99との間に、コネクタ付きケーブル100が接続され、ITアダプタ92とコントローラ6との間で双方向の信号伝送を可能にしている。
前記ITアダプタ92をパソコンなどの他の機器と接続するには、例えば当該機器にBluetooth用の通信アダプタを内蔵若しくは外付けで接続することで、蓄電池システム1のコントローラ6と他の機器との間で、蓄電池システム1に関する各種データのやり取りが可能になる。この場合も、例えばコントローラ6と同じ表示および操作の機能を他の機器に持たせることができる。
無線での送受信機95を内蔵するITアダプタ92は、他にLAN端子94を設ける必要がなく、その分形状を薄く形成できる。また、ITアダプタ92の格納部として設けた格納空間104は、ITアダプタ92との接続部であるコネクタ受け99に隣接して設けられ、当該格納空間104にITアダプタ92を設けている。ITアダプタ92をコントローラ6の格納空間104に内蔵させることに加え、ITアダプタ92の近傍にコネクタ受け99を配置することで、接続線であるコネクタ付きケーブル100を無用に長くせずに、コントローラ6の薄型化を図ることができる。より好ましくは、コントローラ6側のコネクタ受け99に対向して、ITアダプタ92側のコネクタ受け93を配置することで、コネクタ付きケーブル100の長さを最短にして、コントローラ6のコンパクト化を実現することができる。
コントローラ6のコネクタ受け99は、コネクタ付きケーブル100と着脱自在な構造を有し、このコネクタ付きケーブル100を介してITアダプタ91,92の何れかを接続する構成になっている。つまりコネクタ受け99は、ITアダプタ91,92の両方で共通に用いられ、部品点数の削減を図れる上に、有線タイプのITアダプタ91はコントローラ6の外部に取付けられるので、この点でもコントローラ6の薄型化を図ることができる。
次に、蓄電池システム1の主制御部となるコントローラ6の内部構成について、図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は、コントローラ6の制御系統に関係する構成の概要を示すブロック図であり、121は、コントローラ6内部の制御基板98に実装されたCPUや入出力回路などを含むコントローラ制御手段である。コントローラ制御手段121は、前述の表示部87や、第1操作部88や、第2操作部89の他に、制御線71を介してパワーコンディショナ42に搭載した制御基板54などが接続される。またコントローラ制御手段121は、現在時刻を計時するタイムカウンタとしての計時部122と、蓄電池システム1を動作させる上で必要な各種パラメータ(設定値)や、コントローラ制御手段121を所定の処理手順に沿って演算処理させるプログラムなどを記憶するメモリとしての記憶部123と、をそれぞれ備えている。計時部122や記憶部123は、コントローラ制御手段121と共に制御基板98に実装される。
124は、コントローラ6の扉85の開閉を検知する扉開閉検知部である。扉開閉検知部124は、例えば機械式、光学式或いは磁気式などの各種センサで構成され、扉85の開閉に対応した電気的な検知信号をコントローラ制御手段121に送出する。コントローラ制御手段121は、扉開閉検知部124が扉85を開けた状態を検知したときにのみ、第2操作部89からの操作信号の入力を受け付ける構成となっている。なお、今後は特に断り書きのない限り、扉85を開けた状態では、コントローラ制御手段121が第2操作部89からの操作信号の入力を受け付けているものとする。
コントローラ制御手段121は、記憶部123のプログラム記憶領域から読出して、処理実行するプログラムの制御シーケンス上の機能として、パラメータ設定手段125と、充放電制御指示手段126と、表示部制御手段127と、をそれぞれ備えている。パラメータ設定手段125は、計時部122による現在時刻を可変調整する他に、記憶部123のパラメータ記憶領域に様々なパラメータを記憶設定するものである。充放電制御指示手段126は、記憶部123に記憶するパラメータや、制御基板54から制御線71を経由して伝送される各種情報に基づいて、前述の充電信号や放電信号を制御線71に送出し、二次電池38の充放電を制御するパワーコンディショナ42が適切に動作するように、当該パワーコンディショナ42の制御を行なうものである。表示部制御手段127は、表示部87に対する表示形態を制御して、前述した動作モード画面や、メニュー選択画面や、設定画面などを表示させるものである。
図12は、前記パラメータ設定手段125に関連するより詳細な構成を示している。同図において、本実施形態の記憶部123は、二次電池38の充放電開始や充放電終了に関する予約すなわちタイマー時刻と、各タイマー機能の入切と、二次電池38の充電時間と、二次電池38の放電時間と、二次電池38の残量と、蓄電池システム1の設置時における各種初期設定値とを、前述のパラメータとしてそれぞれ記憶保持している。より具体的には、記憶部123のパラメータ記憶領域には、二次電池38の充電開始時刻と充電終了時刻、および二次電池38の放電開始時刻と放電終了時刻をそれぞれ記憶すると共に、各タイマー機能の入切状態を記憶するタイマー時刻記憶部131と、二次電池38の充電時間を記憶する充電時間記憶部132と、二次電池38の放電時間を記憶する放電時間記憶部133と、二次電池38の充電時における上限の充電残量(満充電量)や放電時における下限の放電残量(残量設定値)を記憶する電池残量記憶部134と、蓄電池システム1の設置時における各種初期設定値を記憶する初期設定値記憶部135とを備えている。
一方、前記パラメータ設定手段125は、計時部122とタイマー時刻記憶部131に対応するタイマー時刻設定部141と、充電時間記憶部132に対応する充電時間設定部142と、放電時間記憶部133に対応する放電時間設定部143と、電池残量記憶部134に対応する電池残量設定部144と、初期設定値記憶部135に対応する初期設定値設定部145とを備えている。
タイマー時刻記憶部131は、予め設定された充電開始時刻と充電終了時刻の他に、好ましくは予め設定された放電開始時刻と放電終了時刻を記憶するおすすめタイマー時刻記憶部131Aと、任意の充電開始時刻と充電終了時刻を記憶すると共に、任意の放電開始時刻と放電終了時刻を記憶する第1タイマー時刻記憶部131Bと、第1タイマー時刻記憶部131Bとは別に、任意の充電開始時刻と充電終了時刻を記憶すると共に、任意の放電開始時刻と放電終了時刻を記憶する第2タイマー時刻記憶部131Cと、第1タイマーと第2タイマーのそれぞれについて、タイマー機能を有効にするか否かの入切状態を記憶するタイマー機能記憶部131Dと、により構成される。特にタイマー時刻に関し、第1タイマー時刻記憶部131Bと第2タイマー時刻記憶部131Cに記憶設定される各時刻は、何れもコントローラ制御手段121に対して読出しおよび書込みが可能であるが、おすすめタイマー時刻記憶部131Aに記憶設定される各時刻は、コントローラ制御手段121に対して読出しができるものの、書込みができない構成になっている。また、それ以外のタイマー機能記憶部131Dに記憶される入切状態と、充電時間記憶部132に記憶設定される充電時間と、放電時間記憶部133に記憶設定される放電時間と、電池残量記憶部134に記憶設定される残量設定値と、初期設定値記憶部135に記憶設定される初期設定値は、何れも読出しおよび書込みができるようになっている。
パラメータ設定手段125は、扉85を開けた状態で第2操作部89を操作することにより、タイマー時刻設定部141、充電時間設定部142、放電時間設定部143、電池残量設定部144、初期設定値設定部145の何れかが動作する構成となっている。また、これらの動作に関連して、表示部制御手段127は、記憶部123に記憶する各パラメータを設定変更できるように、表示部87の表示形態を制御する。具体的なパラメータの設定手順と、それに伴う表示部87の表示形態については、後程詳しく説明する。
図13は、充放電制御指示手段126に関連するより詳細な構成を示している。同図において、本実施形態の充放電制御指示手段126は、蓄電池システム1により実行可能な各動作モードに対応して、おすすめモード制御指示部151と、停電モード制御指示部152と、充電モード制御指示部153と、放電モード制御指示部154と、アシストモード制御指示部155と、タイマーモード制御指示部156とを、それぞれ備えている。
おすすめモード制御指示部151は、蓄電池システム1の開始時や、おすすめボタン88Aを押したときに動作するもので、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻と、計時部122から取込んだ現在時刻との比較により、二次電池38が充電または放電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に充電信号または放電信号を送出する機能を有する。また、おすすめモード制御指示部151は、充電信号や放電信号の送出中に、制御基板54側から二次電池38の実際の残量(充電残量や放電残量)に関する情報を取込み、二次電池38の実際の残量が電池残量記憶部134から読出した所定の満充電量や所定の残量設定値に達すると、充電信号や放電信号の送出を停止する機能をも備えている。
停電モード制御指示部152は、制御基板54側から制御線71を介して系統Sの停電が発生した旨の情報を受取ると動作するもので、同じく制御線71を介して取込まれる太陽光発電システム21の出力電力に応じて、二次電池38が充電または放電を行なうように、制御基板54に充電信号または放電信号を送出する機能を有する。
充電モード制御指示部153は、充電ボタン88Cを押したときに動作するもので、充電時間記憶部132から読出した充電時間の設定条件に基づいて、二次電池38が充電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に充電信号を送出する機能を有する。また、本実施形態の充電モード制御指示部153は、二次電池38に対する充電速度の異なる複数の充電パターンとして、充電ボタン88Cを押したときから、充電時間記憶部132に設定記憶される充電時間だけ二次電池38を充電させる通常充電パターンと、二次電池38の実際の充電残量すなわち充電量が、電池残量記憶部134に設定記憶される所定の満充電量になるまで、二次電池38を充電させる急速充電パターンによる制御指示機能を有している。
放電モード制御指示部154は、放電ボタン88Dを押したときに動作するもので、放電時間記憶部132から読出した放電時間の設定条件に基いて、二次電池38が放電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に放電信号を送出する機能を有する。
アシストモード制御指示部155は、アシストボタン88Bを押したときに動作するもので、アシストボタン88Bを押してから所定時間、二次電池38が放電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に放電信号を送出する機能を有する。ここでのアシストモード制御指示部155は、一定時間(例えば30分)経過前にアシストボタン88Bが操作されたら、このアシストボタン88Bの操作を受け付けて放電信号の送出を開始し、そこから所定時間(例えば1時間)放電信号を送出し続けて、二次電池38を放電させてもよいし、図13に示すように、計時部122から取込んだ現在時刻を利用して、アシストボタン88Bの操作された時刻を、記憶部123の操作時刻記憶部136にその都度記憶させ、当該操作時刻記憶部136に記憶した操作時刻に基づいて、所定時刻になったら二次電池38を放電させてもよい。
その他にアシストモード制御指示部155は、家庭内(住宅敷地内)で使用する電流値を検出部としての第1カレントトランス15で測定し、ここから制御基板54を経てアシストモード制御指示部155に送出される使用電流値が、所定値を超えてから二次電池38を放電させてもよいし、アシストボタン88Bを押してから所定時間以内、或いは予め設定された時刻までに、第1カレントトランス15で検出した前記使用電流値が所定値を超えた場合に、二次電池38を放電させてもよい。また、初期設定値記憶部135には予め家庭での契約電力や契約電流(契約アンペア)などのパラメータが設定記憶されており、この中から契約電力量を読出して、二次電池38から契約電力量を超える分の電力を放電できるように、アシストモード制御指示部155が放電信号を送出してもよい。さらにアシストモード制御指示部155は、前述の使用電流値が所定値よりも大きい場合に、二次電池38から通常時の定格出力である3kVAを放電できるように、放電信号を送出する機能を備えている。
タイマーモード制御指示部156は、第2操作部89の操作によりタイマー機能を有効にさせたときに動作するもので、本実施形態では第1タイマーまたは第2タイマーの何れか若しくは両方を有効にすると、第1タイマー時刻記憶部131Bおよび/または第2タイマー時刻記憶部131Cから読出した充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻と、計時部122から取込んだ現在時刻との比較により、二次電池38が充電または放電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に充電信号または放電信号を送出する機能を有する。
充放電制御指示手段126は、第1操作部88や第2操作部89の操作によって、おすすめモード制御指示部151、停電モード制御指示部152、充電モード制御指示部153、放電モード制御指示部154、アシストモード制御指示部155、タイマーモード制御指示部156の何れかが動作する構成となっている。また、これらの動作に関連して、表示部制御手段127は各動作モードにそれぞれ対応した表示部87の表示形態を制御する。
したがって、同じ充放電のタイマー機能であるおすすめモード制御指示部151とタイマーモード制御指示部156は、お互いの動作が干渉しないように、すなわちおすすめボタン88Aを操作しておすすめモード制御指示部151を有効に設定したときに、タイマーモード制御指示部156が無効になって動作せず、逆に第2操作部89を操作してタイマーモード制御指示部156を有効に設定したときに、おすすめモード制御指示部151が無効になって動作しないように構成される。また、第2操作部89の運転入/切ボタン89Fによって、蓄電池システム1の運転を開始させた初期起動時には、おすすめボタン88Aを押したときの機能であるおすすめモード制御指示部151が自動的に設定されるように、充放電制御手段126を構成している。
次に、上述した各パラメータの設定手順について、図14〜図20に示す表示部87の各表示形態を参照して説明する。
図4に示すようなコントローラ6の扉85を開けた状態から、メニューボタン89Dを押動操作すると、コントローラ制御手段121はメニューボタン89Dからの操作信号を受け付け、図14に示すメニュー選択画面を表示するように、表示部制御手段127から表示部87に対する制御を行なう。実際に図14におけるメニュー選択画面では、メニューの選択状態であることを示すメニュー選択表示部87Gや、計時部122から読出した現在時刻を表示する現在時刻表示部87Bや、メニューの一覧を表示するメニュー一覧表示部87Hが、表示部87内の適所に配置される。
メニュー一覧表示部87Hは、図14に示す「推移グラフ」、「タイマー設定」、「充電時間設定」、「放電時間設定」、「電池残量設定」、「時刻設定」の他に、上方向ボタン89A或いは下方向ボタン89Cを押動操作することで、例えば図示しない「初期値設定」のメニューなどを、上下に並べて表示させることができる。また図14では、「タイマー設定」のメニューだけが、他のメニューとは異なる白黒反転状態に表示されるが、前述の上方向ボタン89Aを押動操作すると反転状態の表示が上方向に移動し、逆に下方向ボタン89Cを押動操作すると、反転状態の表示が上方向に移動する。そして、特定のメニューについて表示を反転させた状態で、決定ボタン89Bを押動操作すると、その反転状態で表示されたメニューが選択され、以下に示す別な画面に移行する。
図15は、「時刻設定」のメニューを選択したときの、表示部87の表示形態を示している。「時刻設定」のメニューを選択すると、タイマー設定時刻部141による現在時刻の調整を行なうために、表示部制御手段127は図15に示すような現在時刻設定のための設定画面を表示部87に表示させる。実際に、図15における現在時刻の設定画面では、何の設定状態であるのか(この場合は、「日時設定」)を示す設定状態表示部87Iや、計時部122から読出した現在時刻を表示する現在時刻表示部87Bや、設定しようとする日付や時刻を表示する現在時刻設定表示部87Jが、表示部87内の適所に配置される。
現在時刻設定表示部87Jは、西暦、月、日、時、分に対応する数字が表示され、その中の一つが反転状態で表示される。反転状態の表示は、決定ボタン89Bを押す毎に、西暦→月→日→時→分の順で移動し、反転状態で表示される数字は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に増減する。そして、分に対応する数字を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、現在時刻設定表示部87Jに表示される日時や時刻が、その時点での現在時刻としてタイマー時刻設定部141から計時部122に記憶される。
図16は、「タイマー設定」のメニューを選択したときの、表示部87の表示形態を示している。「タイマー設定」のメニューを選択すると、タイマー時刻設定部141によるタイマーの各時刻の設定を行なうために、表示部制御手段127は図16に示すようなタイマー設定のための設定画面を表示部87に表示させる。特に本実施形態では、記憶部123に複数のタイマー機能に関係する時刻を記憶する領域(第1タイマー時刻記憶部131B、第2タイマー時刻記憶部131C)が設けられているため、先ず「タイマー設定」のメニューを選択すると、図16(A)に示すように、どのタイマーについての時刻を設定するのかを選択可能にするタイマー設定画面が表示され、ここで特定のタイマーを選択すると、図16(B)に示すように、その選択したタイマーについての時刻を設定可能にするタイマー時刻設定画面が表示される。
実際に、図16(A)におけるタイマー設定画面では、前述の設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bの他に、選択可能なタイマーを表示するタイマー選択表示部87Kが、表示部87内の適所に配置される。また、図16(B)におけるタイマー時刻設定画面では、設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bの他に、設定しようとする充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻について、それぞれの時、分を数字で示したタイマー時刻設定表示部87Lと、設定に際して注意や警告を促すアラート表示部87Mが、表示部87内の適所に配置される。
図16(A)におけるタイマー選択表示部87Kは、利用者が任意にタイマー時刻を設定できる2つのタイマーとして、第1タイマーに相当する「タイマー1」と、第2タイマーに相当する「タイマー2」が文字で表示され、その中の一つが反転状態で表示される。反転状態の表示は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に移動し、特定のタイマーに対応する文字(例えば、「タイマー1」)を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、図16(B)に示す「タイマー1」に関連したタイマー時刻設定画面があらわれる。
図16(B)の表示に移行すると、タイマー時刻設定表示部87Lは、タイマー時刻設定部141により第1タイマー時刻記憶部131Bから読出した充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻が、それぞれ数字で表示されると共に、最初に充電開始時刻の時に対応する数字が反転状態で表示される。ここで上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作すると、反転状態で表示される数字が増減し、決定ボタン89Bを押動操作すると、次の充電開始時刻の分に対応する数字に反転状態の表示が移動する。同じ要領で、必要に応じて上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作すれば、充電開始時刻の分に対応する数字を可変でき、決定ボタン89Bを押動操作すると、次の充電終了時刻の時に対応する数字に反転状態の表示が移動する。
こうして、上方向ボタン89Aや下方向ボタン89Cを適宜操作した後に、決定ボタン89Bを押す毎に、充電開始時刻の時→充電開始時刻の分→充電終了時刻の時→充電終了時刻の分→放電開始時刻の時→充電開始時刻の分→放電終了時刻の時→放電終了時刻の分の順で反転状態の表示が移動するが、この一連の操作の途中で、タイマー時刻設定部141はタイマー時刻設定表示部87Lに表示される設定予定の各時刻が、第1タイマー時刻記憶部131Bに設定記憶可能であるか否かを判定する。
具体的には、タイマー時刻設定表示部87Lに表示される充電開始時刻から充電終了時刻までの時間と、放電開始時刻から放電終了時刻までの時間が重複している場合、タイマー時刻設定部141はタイマー時刻設定表示部87Lに表示される時刻が第1タイマー時刻記憶部131Bに設定記憶できないと判定し、表示部制御手段127によりアラート表示部87Mを表示部87に表示させると共に、決定ボタン89Bを押しても次の反転状態の表示に進めないようにする。図16(B)は、そのような状態を示しており、利用者は必然的に上方向ボタン89Aや下方向ボタン89Cで、放電開始時刻の時を例えば誤った「06」から正しい「13」に正しく修正することになる。
これに対して、タイマー時刻設定表示部87Lに表示される充電開始時刻から充電終了時刻までの時間と、放電開始時刻から放電終了時刻までの時間が重複していなければ、上述した順でタイマー時刻設定表示部87Lにおける反転状態の表示を進められるようにする。そして、放電終了時刻の分を反転状態で表示させた後に決定ボタン89Bを押すと、タイマー時刻設定部141はタイマー時刻設定表示部87Lに表示される各時刻を、タイマー設定時刻として第1タイマー時刻記憶部131Bに上書き更新すると共に、表示部87の表示を図16(A)のタイマー設定画面に戻す。ここで、「タイマー2」の文字を反転状態で表示させ、決定ボタン89Bを押せば、同じ要領でタイマー時刻設定表示部87Lに表示される各時刻を、タイマー設定時刻として第2タイマー時刻記憶部131Cに上書き更新することができ、同様に表示部87の表示が図16(A)のタイマー設定画面に戻る。
また、上記一連の操作の途中で、タイマー時刻設定表示部87Lに表示される充電開始時刻と充電終了時刻が同時刻である場合は、これらの時刻を第1タイマー時刻記憶部131Bや第2タイマー時刻記憶部131Cに設定時刻として記憶するものの、タイマーモード制御指示部156は、二次電池38に対するタイマー時刻での充電そのものを行なわない(無効化)ものとして判断する。同様に、タイマー時刻設定表示部87Lに表示される放電開始時刻と放電終了時刻が同時刻である場合は、これらの時刻を第1タイマー時刻記憶部131Bや第2タイマー時刻記憶部131Cに設定時刻として記憶するものの、タイマーモード制御指示部156は、二次電池38に対するタイマー時刻での放電そのものを行なわないものとして判断する。このように、使用者は必要に応じて簡単にタイマー時刻での充電や放電を無効に設定できるので、別な充電ボタン88Cや放電ボタン88Dの操作によって、使用者の希望する時刻に二次電池38を自由に充放電させることが可能になる。
図16(B)におけるタイマー時刻設定画面の特徴として、タイマー時刻の設定は、充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻の4つを、表示部87に表示される一つの画面で一度に行えるようになっており、充電開始時刻から充電終了時刻までの時間と、放電開始時刻から放電終了時刻までの時間が重複していると、充電時間と放電時間の両方について、タイマー時刻の設定が行えないようになっている。こうすることで、使用者は一つのタイマー機能における充放電に関係した時刻の情報を一つの画面で直ちに取得できると共に、仮に誤った時刻を設定しようとしても、そこで誤った時刻がそのまま設定されることなく、充電と放電の両方で時刻を一度に修正でき、充放電の開始時刻や終了時刻に関する効率的な修正が可能になる。
図17は、「タイマー設定」のメニューの階層下で表示部87に表示されるタイマー切替設定画面の表示形態を示している。前記図16に示すタイマー設定のための設定画面で、第2操作部89の特定のボタンを押動操作すると、表示部制御手段127は図17に示すようなタイマー切替設定画面を表示部87に表示させる。
実際に、図17におけるタイマー切替設定画面では、前述の設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bの他に、第1タイマー時刻記憶部131Bに記憶保存された第1タイマーの充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻や、第2タイマー時刻記憶部131Cに記憶保存された第2タイマーの充電開始時刻、充電終了時刻、放電開始時刻、放電終了時刻と共に、第1タイマーの入切状態と、第2タイマーの入切状態を表示するタイマー入切状態表示部87Nが、表示部87内の適所に配置される。
図17におけるタイマー入切状態表示部87Nは、利用者が2つのタイマー機能をそれぞれ有効または無効にして、単独または両方で利用できるようにするために、第1タイマーの入状態に相当する「タイマー1 入」と、第1タイマーの切状態に相当する「タイマー1 切」と、第2タイマーの入状態に相当する「タイマー2 入」と、第2タイマーの切状態に相当する「タイマー2 切」がそれぞれ文字で表示され、その中の一つが反転状態で表示される。反転状態の表示は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に移動し、特定の文字(例えば、「タイマー1 入」)を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、第1タイマーと第2タイマーのそれぞれを、反転状態の表示に対応した有効または無効に設定し、タイマー機能記憶部131Dにこれを上書き更新することができる。
ここで、第1タイマーと第2タイマーを何れも使用可能な有効に設定したときに、第1タイマーで設定した充電時間すなわち充電開始時刻から充電終了時刻までの時間や、放電時間すなわち放電開始時刻から放電終了時刻までの時間が、第2タイマーで設定した充電時間や放電時間と重複していれば、タイマーモード制御指示部156は、第1タイマーの充電時間と放電時間を優先して、二次電池38に対する充放電制御を、パワーコンディショナ42に行なわせるようになっている。
図18は、「充電時間設定」のメニューを選択したときの、表示部87の表示形態を示している。前述の図14に示すメニュー選択画面で、第2操作部89により「充電時間設定」のメニューを選択すると、充電時間設定部142による充電時間の設定を行なうために、表示部制御手段127は図18に示すような充電時間設定のための設定画面を表示部87に表示させる。実際に、図18における充電時間の設定画面では、前述の設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bの他に、設定しようとする充電時間を表示する充電時間設定表示部87Oが、表示部87内の適所に配置される。
図18における充電時間設定表示部87Oは、複数の設定可能な充電時間として、「1時間」、「2時間」、「3時間」、「4時間」、「フル充電」なる文字や数字が表示され、その中の一つが反転状態で表示される。この中の「フル充電」は、二次電池38がほぼ満充電になるまでの充電時間を設定するものである。したがって、ここでいう充電時間の設定とは、決められた時間だけではなく、二次電池38がある状態に達するまでの不定の時間の設定をも含む。反転状態の表示は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に移動し、特定の文字や数字(例えば、「2時間」)を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、充電時間を反転状態に対応した2時間に設定し、充電時間記憶部132にこれを上書き更新することができる。
図19は、「放電時間設定」のメニューを選択したときの、表示部87の表示形態を示している。前述の図14に示すメニュー選択画面で、第2操作部89により「放電電時間設定」のメニューを選択すると、放電時間設定部143による放電時間の設定を行なうために、表示部制御手段127は図19に示すような放電時間設定のための設定画面を表示部87に表示させる。実際に、図19における放電時間の設定画面では、前述の設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bや、アラート表示部87Mの他に、設定しようとする放電時間を表示する放電時間設定表示部87Pが、表示部87内の適所に配置される。
図19における放電時間設定表示部87Pは、複数の設定可能な放電時間として、「1時間」、「2時間」、「3時間」、「4時間」、「使い切り」なる文字や数字が表示され、その中の一つが反転状態で表示される。この中の「使い切り」は、二次電池38の残量がほぼ空状態になるまでの放電時間を設定するものである。したがって、ここでいう放電時間の設定とは、決められた時間だけではなく、二次電池38がある状態に達するまでの不定の時間の設定をも含む。反転状態の表示は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に移動し、特定の文字や数字(例えば、「2時間」)を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、放電時間を反転状態の表示に対応した2時間に設定し、放電時間記憶部133にこれを上書き更新することができる。
図20は、「電池残量設定」のメニューを選択したときの、表示部87の表示形態を示している。前述の図14に示すメニュー選択画面で、第2操作部89により「電池残量設定」のメニューを選択すると、電池残量設定部144による残量設定値の設定を行なうために、表示部制御手段127は図20に示すような二次電池38の残量設定のための設定画面を表示部87に表示させる。実際に、図20における電池残量の設定画面では、前述の設定状態表示部87Iや、現在時刻表示部87Bや、現時点での二次電池38の残量を示す残量表示部87Cや、現時点で電池残量記憶部134に記憶保存される二次電池38の残量設定値を示す設定残量表示部87Dの他に、設定しようとする二次電池38の残量設定値を表示する残量設定表示部87Qが、表示部87内の適所に配置される。
図20における残量設定表示部87Qは、複数の設定可能な残量設定値として、「最大」、「レベル5」、「レベル4」、「レベル3」、「レベル2」、「レベル1」の他に、ここには図示していない「レベル0」なる文字や数字が表示され、その中の一つが反転状態で表示される。この中の「最大」は、「レベル5」よりも多い残量設定値を意味し、「レベル0」は「レベル1」よりも少ないほぼ空状態(但し完全に0ではなく、二次電池38の使用下限限界値に相当する)の残量設定値を意味する。反転状態の表示は、上方向ボタン89Aまたは下方向ボタン89Cを押動操作する毎に移動し、特定の文字や数字(例えば、「レベル5」)を反転状態で表示させ、そこから決定ボタン89Bを押すと、二次電池38の残量設定値を「レベル5」に対応する数値に設定し、電池残量記憶部134にこれを上書き更新することができる。
特にここでは、表示部87を見ながら、第2操作部88により残量設定値を複数の表示の中から一つ設定できるようになっている。表示部87は、二次電池38の実際の残量と設定された残量設定値とを、残量表示部87Cと設定残量表示部87Dで同時に表示するようになっており、利用者はコントローラ6を設置した屋内で、設定された二次電池38の残量設定値と、現時点での二次電池38の実際の残量とを、表示部87からの表示により一目で理解できる。なお、残量表示部87Cや設定残量表示部87Dを同時に表示する構成は、後述する図21〜図26の表示形態でも共通して設けられる。
また、前記図19の放電時間設定画面では、「設定残量まで放電」なる文字のアラート表示部87Mが表示部87に設けられている。これは二次電池38の放電時において、実際の二次電池38の残量が電池残量記憶部134に設定記憶される残量設定値にまで達したら、放電時間記憶部133に設定記憶される放電時間に拘わらず、放電を中止することを事前に知らせるためのものである。
次に、上記構成における各動作モードの作用について、図21〜図26に示す表示部87の表示画面を参照しながら説明する。
蓄電池システム1の運転を停止している状態では、本体である蓄電盤7内の停電開閉部43と保守用切替器44が何れもオンしており、系統Sまたは太陽光発電システム21からの交流電力が、第1電源線8→第2電源線17→AC/DC変換回路59の経路で直流電力に変換され、この直流電力が制御電源回路65に印加され、制御基板54に所定の動作電圧を供給すると共に、ノイズフィルタ66から自動電圧調整器67,68にもそれぞれ印加されることで、蓄電池盤7内で安定した直流12Vと直流24Vが生成される。特に自動電圧調整器67からの直流12Vは、動作電圧線69を経由して屋内のコントローラ6に、コントローラ制御手段121の動作電圧として供給される。したがって、蓄電池システム1の運転停止時にも、コントローラ制御手段121は扉開閉検知部124からの検知信号や、第2操作部89からの操作信号を認識できるようになっている。
また非常時を除いて、第2分電盤5内の接点33は常にオフし、接点34は常にオンしているので、蓄電池システム1の運転停止時には、系統Sまたは太陽光発電システム21からの交流電力が、第1電源線8から第1分電盤4のコンセントにつながる住宅内負荷L1に供給されると共に、蓄電池盤7内で第2電源線17から第2給電線31を通って、第2分電盤5のコンセントにつながる住宅内負荷L2に供給される。
ここで、蓄電池システム1の運転を停止状態から開始させるには、屋内に設置したコントローラ6の扉85を開けて、運転入/切ボタン89Fを押す。するとコントローラ制御手段121は、運転入/切ボタン89Fからの操作信号を受け付けて、おすすめモード制御指示部151による動作モード(おすすめモード)を直ちに開始させると共に、表示部制御手段127によるおすすめモードに対応した表示形態を表示部87に表示させる。おすすめモードは、予め固定に設定されている充放電の開始時刻や終了時刻に二次電池38の充放電を行なわせるもので、おすすめモード制御指示部151は、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻と、計時部122から取込んだ現在時刻との比較により、二次電池38が充電または放電を行なうように、制御線71を介してパワーコンディショナ42の制御基板54に充電信号または放電信号を送出する。
図21は、おすすめモードにおいて、二次電池38の充電中における表示部87の表示形態を示している。同図において、充放電時間表示部87Fには、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻が、それぞれ「23:00」、「07:00」、「13:00」、「16:00」であることが表示されている。蓄電池システム1に慣れていない使用者のために、おすすめタイマー時刻記憶部131Aに予め設定記憶される充電開始時刻と充電終了時刻は、系統Sを管理する電力会社における電気料金の安い時間帯内とし、放電開始時刻と放電終了時刻は、電気料金の高い時間帯内とするのが好ましい。
おすすめモード制御指示部151は、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した充電開始時刻が、計時部122から取込んだ現在時刻と一致したら、所定の充電電流で二次電池38を充電するように、蓄電池盤7内の制御基板54に対して充電信号を送出する。制御基板54は、第1リレー75からの検出信号に基づき、系統Sが停電していないと判断すれば、切替リレー56をオンにする一方で、切替リレー57をオフにしているので、コントローラ6から充電信号が送出されると、系統Sや太陽光発電システム21から蓄電池盤7内の第2電源線17を介して送られてくる交流電力を、電力変換部53で直流電力に変換して二次電池38に供給できるように、蓄電池制御ユニット39から制御線51を通して送られてくる信号によって、実際の二次電池38の状態を認識しながら、ゲート駆動回路63に適切な充電指令信号を供給する。
ゲート駆動回路63は、この充電指令信号を受けて、所定のパルス導通幅を有するパルス駆動信号をDC/AC変換回路61とDC/DC変換回路62にそれぞれ供給し、DC/AC変換回路61に印加された交流電力を直流電力に変換してDC/DC変換回路62から出力する。二次電池38の状態を監視する蓄電池制御ユニット39は、蓄電池モジュールMDL1〜MDL6に異常がない限り、開閉器48,49をオン状態にしており、また制御基板54も第1開閉器77をオン状態にしているので、DC/DC変換回路62からの直流電力が、直流線路46を介して二次電池38に供給されることで、各蓄電池モジュールMDL1〜MDL6が所定の充電電流で充電される。
同様に、おすすめモード制御指示部151は、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した放電開始時刻が、計時部122から取込んだ現在時刻と一致したら、所定の放電電流で二次電池38を放電するように、制御基板54に対して放電信号を送出する。制御基板54は、コントローラ6から放電信号が送出されると、二次電池38に蓄えた直流電力を電力変換部53で交流電力に変換して第2電源線17に送出し、そこから第1電源線8を介して住宅用負荷L1に交流電力を供給し、第2給電線31を介して住宅用負荷L2に交流電力を供給できるように、蓄電池制御ユニット39から制御線51を通して送られてくる信号によって、実際の二次電池38の状態を認識しながら、ゲート駆動回路63に適切な放電指令信号を供給する。
ゲート駆動回路63は、この放電指令信号を受けて、所定のパルス導通幅を有するパルス駆動信号をDC/AC変換回路61とDC/DC変換回路62にそれぞれ供給し、DC/DC変換回路62に印加された直流電力を交流電力に変換してDC/AC変換回路61から出力する。ここでも蓄電池モジュールMDL1〜MDL6に異常がない限り、開閉器48,49はオン状態になっており、また第1開閉器77もオン状態となっているので、二次電池38からの直流電力が直流線路46を介してDC/DC変換回路62に印加される。
おすすめモード制御指示部151によるおすすめモードで、二次電池38が充電中になると、表示部制御手段127は図21に示すような表示が行われるように表示部87を制御する。ここでは、電源電力から二次電池38に充電が行われていることを、動作表示部87Eにより表示する他に、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の残量に関する情報を、残量表示部87Cにより表示し、さらに電池残量記憶部134に記憶保存される二次電池38の残量設定値を、設定残量表示部87Dにより表示する。なお二次電池38の放電中は、図21における動作表示部87Eだけが、例えば後述する図24に示すような、二次電池38から住宅内負荷L1,L2に電力消費を行なう表示形態に切替わる。
おすすめモード制御指示部151は、前記充電信号の送出中に、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の充電残量(充電量)が、予め設定した上限値であるほぼ満充電に達したか否かを判断する。仮に、計時部122から取込んだ現在時刻が、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した充電終了時刻になるまでの間に、二次電池38の実際の充電量がほぼ満充電に達したと判断したら、二次電池38の充電を停止させるために、充電信号の送出を直ちに終了する。これにより、二次電池38に対する過充電を防止できる。
一方、現在時刻が充電終了時刻になるまでの間に、二次電池38の実際の充電量がほぼ満充電に達しなくても、現在時刻が充電終了時刻になったら、そこで充電信号の送出を終了する。これにより、深夜電力の安い時間帯を過ぎた後に、高い電気料金で二次電池38が充電されるのを確実に防止できる。
また、おすすめモード制御指示部151は、前記放電信号の送出中に、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の放電残量が、予め設定した下限値としての所定残量に達したか否かを判断する。仮に、計時部122から取込んだ現在時刻が、おすすめタイマー時刻記憶部131Aから読出した放電終了時刻になるまでの間に、二次電池38の実際の残量が設定残量にまで低下したと判断したら、二次電池38からの放電を停止させるために、充電信号の送出を直ちに終了する。これにより、二次電池38を必要以上に放電することによる弊害を排除できる。
一方、現在時刻が放電終了時刻になるまでの間に、二次電池38の実際の残量が所定残量にまで低下しなくても、現在時刻が放電終了時刻になったら、そこで放電信号の送出を終了して、必要以上の二次電池38からの放電を回避する。
なお、上述のおすすめモード制御指示部151によるおすすめモードは、蓄電池システム1の起動時に有効になって、その一連の動作を開始する他、別のモードでの動作中に、特定のスイッチであるおすすめボタン88Aを操作することでも有効になる。この場合、タイマーモード制御指示部156によるタイマーモードは、機能しないように無効化される。
次に、タイマーモード制御指示部156によるタイマーモードの動作を説明する。タイマーモードは、任意に設定した充放電の開始時刻や終了時刻に二次電池38の充放電を行なわせるもので、これは前記図17におけるタイマー入切状態表示部87Nで、第1タイマーおよび/または第2タイマーを入状態に表示させた状態で、決定ボタン89Bを押動操作すると有効になり、その動作が開始する。このとき、それまで有効に機能していたおすすめモードは、無効化されて機能しなくなる。
タイマーモードで、二次電池38が充電中になると、表示部制御手段127は図22に示すような表示が行われるように表示部87を制御する。ここでは特に、電源電力から二次電池38に充電が行われていることを、動作表示部87Eにより表示する他に、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の残量に関する情報を、残量表示部87Cにより表示し、さらに電池残量記憶部134に記憶保存される二次電池38の残量設定値を、設定残量表示部87Dにより表示する。また、タイマー機能記憶部131Dから読出した入切状態により、入状態のタイマーに対応する充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻が、充放電時間表示部87Fに表示される。例えば図22では、第1タイマーが入状態の時に、第1タイマー時刻記憶部131Bから読出した充電開始、充電終了、放電開始および放電終了の各時刻が、それぞれ「12:34」、「15:34」、「02:34」、「05:34」として、充放電時間表示部87Fに表示される。なお図示しないが、二次電池38の放電中は、図22における動作表示部87Eだけが、例えば後述する図24に示すような、二次電池38から住宅内負荷L1,L2に電力消費を行なう表示形態に切替わる。
タイマーモードでは、充電信号や放電信号の送出が、タイマーモード制御指示部156から所定のタイミングで行われる以外は、上述したおすすめモード制御指示部151と全く同じ内容で、蓄電池盤7に対して二次電池38の充放電を行わせる。これは他のモードでも同じであり、今後、二次電池38の充放電に関する動作説明は、重複を避けるため極力省略する。
タイマーモード制御指示部156は、第1タイマー時刻記憶部131Bに設定記憶する充電開始時刻と充電終了時刻が同時刻であれば、現在時刻が充電開始時刻になっても充電信号を送出せず、二次電池38が充電されないようにし、第1タイマー時刻記憶部131Bに設定記憶する放電開始時刻と放電終了時刻が同時刻であれば、現在時刻が放電開始時刻になっても放電信号を送出せず、二次電池38が放電されないようにする。そして、異なる時刻に設定された充電開始時刻と充電終了時刻、または放電開始時刻と放電終了時刻についてのみ、充電信号や放電信号を送出して、二次電池38を充電または放電するようにする。これは、第2タイマー時刻記憶部131Cに設定記憶する充電開始時刻と充電終了時刻、および放電開始時刻と放電終了時刻でも同じである。
また、タイマーモード制御指示部156は、タイマー時刻設定部141で入状態に設定した第1タイマーと第2タイマーの一方または両方のタイマー時刻を利用して、二次電池38を充放電させることができる。特に、第1タイマーと第2タイマーの両方を有効にして使用する場合、タイマーモード制御指示部156は、タイマー機能記憶部131Dに記憶設定される入切状態から、第1タイマー時刻記憶部131Bと第2タイマー時刻記憶部131Cに記憶設定される充放電の開始時刻と放電時刻をそれぞれ読み出して、制御基板54に充電信号や放電信号を所定のタイミングで送出するが、第1タイマーで設定した充電時間や放電時間が、第2タイマーで設定した充電時間や放電時間と重複していれば、第1タイマーを優先させて、第1タイマー時刻記憶部131Bに記憶設定される充放電の開始時刻と放電時刻だけで、制御基板54に充電信号や放電信号を所定のタイミングで送出する。
次に、充電モード制御指示部153による充電モードの動作を説明する。充電モードは、おすすめモードやタイマーモードで設定される充電開始時刻や充電終了時刻に依らず、使用者の意志で二次電池38を充電させるために、おすすめモードやタイマーモードの動作中に、充電ボタン88Cを押動操作することにより行なわれるものである。
より詳しくは、充電モード制御指示部153は、二次電池38に対する充電速度の異なる複数の充電パターンとして、二次電池38を例えば0.2Cで充電させるための通常充電パターンと、通常充電パターンよりも充電速度が少なくとも2倍以上速く、二次電池38を例えば0.5Cで充電させるための急速充電パターンとを備えている。コントローラ6には、通常充電パターンでの二次電池38の充電時間を設定して、充電時間記憶部132に記憶する充電時間設定部142を備えており、通常充電パターンでは、充電時間記憶部132に記憶設定された充電時間だけ二次電池38が充電される一方、急速充電パターンでは、二次電池38がほぼ満充電になるまで充電される。そして、充電ボタン88Cの操作入力の違いに応じて、例えば充電ボタン88Cを一回短押し操作した場合に、複数の充電パターンの中で通常充電パターンの受け付けが指示され、充電ボタン88Cを一回長押し操作した場合に、複数の充電パターンの中で急速充電パターンの受け付けが指示されるようになっている。
充電モード制御指示部153は、充電ボタン88Cの操作指示により通常充電パターンを受け付けると、所定の充電電流で二次電池38を充電するように、蓄電池盤7内の制御基板54に対して充電信号の送出を開始する。それと共に充電モード制御指示部153は、充電時間記憶部132に設定記憶される充電時間を読出して、この充電時間に対応する充電の終了予定時刻が、計時部122でカウントされる現在時刻になるまで、充電信号の送出を継続する。そして、充電の終了予定時刻が現在時刻になったら、充電信号の送出を終了して、元のおすすめモードやタイマーモードに移行する。但し、通常充電パターンによる二次電池38の充電中に、充電ボタン88Cの長押しによる急速充電パターンの受け付けが指示されると、充電モード制御指示部153は急速充電パターンを受け付けて、この急速充電パターンによる二次電池38の充電を行なわせる。
また、充電モード制御指示部153は、充電ボタン88Cの操作指示により急速充電パターンを受け付けると、所定の充電電流で二次電池38を充電するように、蓄電池盤7内の制御基板54に対して充電信号の送出を開始する。それと共に充電モード制御指示部153は、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の充電量が、ほぼ満充電に達するまで、充電信号の送出を継続する。そして、二次電池38の実際の充電量がほぼ満充電に達したら、充電信号の送出を終了して、元のおすすめモードやタイマーモードに移行する。
上記一連の手順で、充電モード制御指示部153は二次電池38の充電中に、第1カレントトランス15からの検出信号を利用して、住宅内負荷L1,L2や蓄電池システム1を含む家庭内の総電流量を測定し、この家庭内で消費される総電流量が初期設定記憶部135から読出した当該家庭の契約電流量よりも多くなる場合には、急速充電パターンによる充電は行わせず、代わりに通常充電パターンによる充電を二次電池38に行なわせる。また、充電ボタン88Cの操作により急速充電パターンの受け付けが指示された場合であっても、前記家庭内の総電流量を測定しておき、この家庭内で消費される総電流量が初期設定記憶部135から読出した当該家庭の契約電流量よりも多ければ、充電モード制御指示部153は通常充電パターンに切替えて二次電池38への充電を行なわせ、逆に総電流量が契約電流量以下の値である所定値以下になれば、急速充電パターンで二次電池38への充電を行なわせてもよい。さらに別な例として、充電ボタン88Cの操作により急速充電パターンの受け付けが指示された場合であっても、同じく家庭内の総電流量を測定しておき、総電流量が契約電流量よりも多ければ、充電モード制御指示部153は急速充電パターンによる二次電池38の充電を中断し、総電流量が契約電流量以下の値である所定値以下になった場合に、急速充電パターンによる二次電池38の充電を再開させてもよい。何れにせよ、急速充電パターンによる二次電池38の充電で、家庭内のブレーカである契約ブレーカ11が落ちて、回路が遮断されないように制御することが可能になる。
本実施形態では、二次電池38に対する最大充電電流が異なる複数の充電モードとして、上述の通常充電パターンと急速充電パターンを備えているが、これらの通常充電パターンや急速充電パターンでは、二次電池38の充電運転中に、第1カレントトランス15で検出される住宅敷地内の消費電流が、初期設定記憶部135から読出した契約電流を超えないように、コントローラ6からの充電信号に基づき、パワーコンディショナ42で二次電池38への充電電流を制御する。これにより、二次電池38の充電中に契約ブレーカ11が落ちるなどの不具合を防止できると共に、契約電流を考慮した二次電池38への充電制御が可能になる。また、特に通常充電パターンよりも最大充電電流の多い急速充電パターンでは、契約電流を超えない設定範囲の中で、最大限の充電電流により二次電池38の充電を行なうので、二次電池38の充電時間を必要以上に長引かせないようにすることができる。
二次電池38の充電運転において、住宅敷地内の消費電流が契約電流を超えないようにするには、消費電流が契約電流を超えると、例えば急速充電モードを通常充電モードに切替えるなどして、二次電池38の充電量を減少させる。これにより、二次電池38への充電を停止させることなく、消費電流が契約電流を超えないように、二次電池38への充電電流を制御することができる。この場合、消費電流が前記契約電流を超えなくなると、充電電流が最大となる急速充電モードに再び変更して、二次電池38を急速充電するのが好ましく、消費電流が契約電流を超えない範囲で、二次電池38の充電時間を極力長引かせないようにすることができる。
また別な例として、消費電流が契約電流を超えると、充電信号の送出を中断して、消費電流が契約電流を超えなくなるまで、二次電池38の充電そのものを停止させてもよく、この場合は消費電流が契約電流を速やかに超えなくなるようにして、二次電池38への充電電流を制御することができる。
初期設定値記憶部135を含めた記憶部123は、CPUなどを含むコントローラ制御手段121と共に、コントローラ6内の制御基板98に設けられる。コントローラ6の実質的な制御部であるコントローラ制御手段121と記憶部123を、同一のコントローラ6内に設けることで、記憶部123に記憶された情報をコントローラ制御手段121が素早く読み出して演算した後、充電信号や放電信号をパワーコンディショナ42に送ることができ、結果的に高速な処理が実現される。
通常充電パターンになると、表示部制御手段127は図23に示すような表示が行われるように表示部87を制御する。ここでは特に、通常充電パターンでの運転中であることを、「通常運転中」なる文字でアラート表示部87Mにより表示する他に、充電時間記憶部132に記憶保存される充電時間が、充放電時間表示部87Fに表示される。例えば図23では、設定した充電時間が「3時間」であり、「12:34」から「15:34」の間に充電を行なうことが、充放電時間表示部87Fで表示される。
次に、放電モード制御指示部154による放電モードの動作を説明する。放電モードは、おすすめモードやタイマーモードで設定される放電開始時刻や放電終了時刻に依らず、使用者の意志で二次電池38を強制放電させるために、おすすめモードやタイマーモードの動作中に、放電ボタン88Dを押動操作することにより行なわれるものである。
より詳しくは、コントローラ6は、二次電池38の残量設定値を設定して電池残量記憶部134に記憶させる残量設定手段としての電池残量設定部144と、タイマーによる放電時刻を放電開始時刻と放電終了時刻により設定するタイマー放電時刻設定手段としてのタイマー時刻設定部143と、放電開始を指示するボタンとしての放電ボタン88Dとを備えており、タイマーによる自動放電時には、おすすめモード制御指示部151やタイマーモード制御指示部156によって、例えば第1タイマー時刻記憶部131Bに設定記憶された放電開始時刻と放電終了時刻を読出し、この放電時刻の間の放電中に、制御基板54から制御線71を介して送られてくる二次電池38の実際の残量が、電池残量記憶部134から読出した残量設定値に低下するまで、放電信号の送出を継続する一方で、二次電池38の実際の残量が残量設定値になると、放電信号の送出を終了する。これは、前記おすすめモードやタイマーモードでも説明した通りである。
一方、放電モード制御指示部154による放電モードは、放電ボタン88Dを押動操作することにより開始し、放電時間記憶部134に設定記憶される放電時間を読出して、この放電時間に対応する放電の終了予定時刻が、計時部122でカウントされる現在時刻になるまで、放電信号の送出を継続する。そして、放電の終了予定時刻が現在時刻になったら、放電信号の送出を終了して、元のおすすめモードやタイマーモードに移行する。
つまり、ここでの放電モードは、二次電池38の実際の残量に拘わらず、当該残量が二次電池38の残量設定値にまで低下している場合でも、放電ボタン88Dを操作することで、この二次電池38の残量設定値よりも低い残量に、或いは二次電池38を使い切って、実際の残量が下限使用限界値に達するまで、二次電池38を所定時間強制的に放電させることができるようになっている。
なお例外として、放電モード制御指示部154は、二次電池38の実際の残量が、二次電池38の下限使用限界値にまで達したと判断した場合には、そこで放電時間記憶部133に設定記憶される放電時間に関係なく、放電信号の送出を停止する。また、放電ボタン88Dを操作した時点で、二次電池38の実際の残量が、既に二次電池38の下限使用限界値にまで達していれば、放電信号の送出そのものを行なわない。このようにすることで、二次電池38を必要以上に放電させることによる弊害を防止できる。
放電モードでは、図24に示すような表示が行われるように、表示部制御手段127が表示部87を制御する。ここでは特に、二次電池38から住宅内負荷L1,L2に電力消費が行われていることを、動作表示部87Eで表示する他に、放電時間記憶部133に記憶保存される放電時間が、充放電時間表示部87Fに表示される。例えば図24では、設定した放電時間が「3時間」であり、「12:34」から「15:34」の間に放電を行なうことが、充放電時間表示部87Fで表示される。
次に、アシストモード制御指示部155によるアシストモードの動作を説明する。アシストモードは、例えば朝方などに住宅用負荷L1,L2の使用電力量が一時的に増大するような場合に、二次電池38から所定時間のみ放電を行なって、二次電池38から住宅用負荷L1,L2への電力供給量を一時的に増加させるモードである。これは、おすすめモードやタイマーモードの動作中に、第1操作部88のアシストボタン88Bを押動操作することにより開始する。
より詳しくは、アシストモード制御指示部155はアシストモードを開始すると、蓄電池盤7の制御基板54に放電信号を直ぐに送出するのではなく、アシストボタン88Bが操作されてから所定時間(例えば30分)が経過したら、そこでアシストボタン88Bの操作を受け付けて放電信号の送出を開始し、そこから所定時間(例えば1時間)が経過するまで放電信号の送出を継続させて、二次電池38を放電させる。つまり、実際に住宅内負荷L1,L2の使用電力量が増えるのは、使用者が起床してから一定時間が経過した後になるので、起床した直後にアシストボタン88Bを操作すれば、住宅内負荷L1,L2の使用電力量の増加に合せて、二次電池38から必要な電力を補うことができる。そして、前記所定時間が経過したら放電信号の送出を終了して、元のおすすめモードやタイマーモードに移行する。
本実施形態のアシストモードでは、アシストボタン88Bの操作された時刻を、アシストモード制御指示部155が記憶部123の操作時刻記憶部136にその都度記憶させて、当該操作時刻記憶部136に記憶した時刻に基づいて、所定時刻になったら二次電池38を所定時間放電させることができるようになっている。例えば、操作時刻記憶部136に記憶した直近3日間の時刻が、(午前)7時45分、7時15分、7時30分であったとする。この場合の所定時刻とは、直近3日間の時刻の平均である7時30分としてもよいし、最も早くアシストボタン88Bを操作した時刻である7時15分としてもよい。いずれにせよ、それまでのアシストボタン88Bの操作時刻に基づいて、所定時刻になるとアシストモードによる二次電池38の放電が所定時間行なわれるので、住宅内負荷L1,L2の使用電力量の増加に合せて、アシストボタン88Bをその都度操作しなくても、二次電池38から必要な電力を補うことができる。
アシストモードの動作中には、家庭内(住宅敷地内)で使用する電流値をカレントトランス15で測定しており、アシストモード制御指示部155は、アシストボタン88Bが押されると、この使用電流値が所定値を超えた時から、二次電池38を放電させるために、放電信号の送出を所定時間行なう。例えば契約電流が50Aで、実際の使用電流値が20Aであれば、アシストモードによる放電信号の送出は行わず、所定値である50Aになったら、そこから放電信号を所定時間送出して、二次電池38からの電力供給を行なう。
また別な例として、アシストモード制御指示部155は、アシストボタン88Bが押されてから所定時間以内、或いは予め設定された時刻までに、第1カレントトランス15で検出した使用電流値が所定値を超えた場合に、二次電池38を放電させてもよい。例えば、アシストボタン88Bを押してから所定時間である1時間以内に、実際の使用電流値が50Aを超えた場合は、その超えている間だけ放電信号を送出して、二次電池38からの電力供給を行なう。
これは、住宅内負荷L1,L2の使用電力量のピークが、実際には使用者の起床直後にはないことを考慮したもので、アシストモード制御指示部155にこのような機能を持たせることにより、住宅内負荷L1,L2の使用電力量のピークが近付いてから、二次電池38から必要な電力を補うことができる。
また、このような機能を持つアシストモード制御指示部155では、初期設定値記憶部135に設定記憶された契約電力量を読出して、二次電池38から契約電力量を超える分の電力を放電できるような放電信号を送出する。これにより、住宅内負荷L1,L2が契約電力量を超えるような使用電力になった場合でも、必要以上に二次電池38が住宅内負荷L1,L2への電力供給を行なうのを防止できる。
さらに、本実施形態におけるアシストモード制御指示部155は、前記家庭内の使用電流値が所定値を超えた場合に、二次電池38から通常時の定格出力である3kVAを放電できるように、放電信号を送出する機能を備えている。このようにすれば、住宅内負荷L1,L2の使用電力量のピークが近付いてから、二次電池38の定格出力で住宅内負荷L1,L2に必要な電力を補うことができる。
その他、構造上の特徴として、本実施形態のコントローラ6には、筐体84に対して開閉自在な開閉カバーとしての扉85が設けられ、扉85の内側に位置して、扉85に覆われる各種設定機能用の第2操作部89が設けられる一方で、第1操作部88を構成するアシストボタン88Bは、扉85を閉じても扉85に覆われない箇所に設けられている。したがって、住宅内負荷L1,L2への使用電力量が増加する場合に、わざわざ扉85を開けなくても、直ぐにアシストボタン88Bの操作を行なって対応することが可能になる。そしてこのような効果は、第1操作部88の他のボタンに対しても同じことが言える。
アシストモードでは、図25に示すような表示が行われるように、表示部制御手段127が表示部87を制御する。ここでは特に、二次電池38から住宅内負荷L1,L2にアシストモードによる電力消費が行われていることを、動作表示部87Eで表示する他に、アシストモードによる放電時間が、充放電時間表示部87Fに表示される。例えば図25では、アシストモードによる放電時間が「1時間」であり、「11:00」から「12:00」の間に放電を行なうことが、充放電時間表示部87Fで表示される。
次に、停電モード制御指示部152による停電自立運転モードの動作を説明する。停電自立運転モードは、制御基板54側から制御線71を介して系統Sの停電が発生した旨の情報を受取ると、蓄電池システム1を自立運転させるために自動的に動作開始するモードである。
前述したように、停電時において停電自立運転モードに移行すると、制御基板54からの制御信号により停電開閉部43がオフ状態に切替わり、二次電池38を有する蓄電池盤7と系統Sとの連携を遮断して、系統Sに電力が逆潮流するのを防止する。また制御基板54は、第3給電線52を介して、太陽光発電システム18から供給されるAC100Vで二次電池38を充電する場合に、第2開閉器79をオフからオンに切替える。さらに、補助電源線22からのAC100VをDC/AC変換回路61に印加し、或いはDC/AC変換回路61からのAC100Vを住宅用負荷L2に供給できるようにするために、切替リレー56をオンからオフに切替えると同時に、切替リレー57をオフからオンに切替える。停電が発生すると、AC/DC変換回路59を介しての電力供給が断たれるが、二次電池38からの電力を動作電源部55からノイズフィルタ66に印加して、引続き蓄電池制御ユニット39やコントローラ6に動作電圧を供給することが可能になる。
停電モード制御指示部152は、停電自立運転モードにおいて、太陽光発電システム21からの電力供給量に関する情報を、制御基板54から制御線71を介して取得する。そして、太陽光発電システム21から二次電池38に充電を行なえると判断した場合は、制御基板54に充電信号を送出する一方で、二次電池38から第2分電盤5に接続する住宅用負荷L2にバックアップの電力供給が必要であると判断した場合は、制御基板54に放電信号を送出する。停電時に充電信号が送出されると、太陽光発電システム21からのAC100Vが、補助電源線22→第2電源線17→第3給電線52の順に送出され、電力変換部53で直流電力に変換して二次電池38に供給される。また、停電時に放電信号が送出されると、二次電池38に蓄えた直流電力が電力変換部53で交流電力に変換され、そこから第3給電線52→第2電源線17→第2給電線31を介して、住宅用負荷L2にAC100Vが供給される。但し、停電時には停電開閉部43がオフ状態のため、第1分電盤4に接続する住宅内負荷L1は電力供給が断たれて使用不可になる。
特に本実施形態では、停電自立運転モードにおける二次電池38からの定格出力が、系統Sと連携している場合の二次電池38からの定格出力よりも少なく、好ましくは2/3以下となるように、停電モード制御指示部152による二次電池38の放電制御を行なわせている。その理由は、停電時には二次電池38からの定格出力を減らして、住宅用負荷L2に対する長時間の使用を可能にする一方で、系統Sと連携している通常時には、二次電池38からの定格出力を増やして、住宅用負荷L1,L2に対し多くの電力を一時に使用でき、短時間で二次電池38を使い切ることにより多くのピークシフトに対応できるからである。
また停電モード制御指示部152は、二次電池38の実際の残量に拘わらず、当該残量が二次電池38の残量設定値にまで低下している場合でも、二次電池38を強制的に放電させる。但し、二次電池38の実際の残量が、二次電池38の下限使用限界値にまで達したと判断した場合には、そこで放電信号の送出を停止する。
こうして停電モード制御指示部152は、停電が継続している間、二次電池38を使い切るまで放電信号の送出を継続するが、系統Sからの電力供給が再開して復電すると、停電自立運転モードは終了して放電信号の送出も停止する。ここで制御基板54は、停電開閉部43をオフからオンに切替えて、蓄電池盤7と系統Sとを連携させ、第2開閉器79をオンからオフに切替えて、太陽光発電システム18からの交流電力が第3電源線19から第1電源線8に供給されるようにする。さらに、第2電源線17からのAC200VをDC/AC変換回路61に印加し、或いはDC/AC変換回路61からのAC200Vを第2電源線17に供給できるようにするために、切替リレー56をオフからオンに切替えると同時に、切替リレー57をオンからオフに切替えて、蓄電池システム1の動作を再開する。
停電運転自立モードでは、図26に示すような表示が行われるように、表示部制御手段127が表示部87を制御する。ここでは例えば、太陽光発電システム21(「PV」)からの電力で二次電池38を充電すると共に、太陽光発電システム21から住宅内負荷L1,L2に電力消費が行われていることを、動作表示部87Eで表示する。また、蓄電池システム1が太陽光発電システム21などのHEMS機器と連動していることを、アラート表示部87Mで表示する。
また好ましい例として、上述したような停電時に蓄電池盤7を自動的に自立運転開始させる自動自立運転の他に、停電時に蓄電池盤7を自動的に自立運転開始させず、特定の例えば放電ボタン88Dを押動操作するなどして、手動操作を加えることで、蓄電池盤7の自立運転を開始させる手動自立運転の両方の運転パターンを停電モード制御指示部152に備え、コントローラ6からの操作で自動自立運転と手動自立運転の何れか一方を選択設定できるように、蓄電池システム1を構成してもよい。この場合、自動自立運転に切替設定した後には、通常とは異なる特定の手順で手動自立運転に再度選択設定できるようにし、手動自立運転に切替設定した後には、同様に通常とは異なる特定の手順で自動自立運転に再度選択設定できるようにするのが好ましい。ここでいう通常とは異なる特定の手順とは、一つのボタン88A〜88D,89A〜89Fだけを短押しまたは長押しする操作とは異なる操作や、ボタン89A〜89Fによりパスワードを入力することなどを意味する。具体的には、例えば蓄電池システム1を一旦切状態にして、おすすめボタン88Aとアシストボタン88Bを同時に押しながら、運転入/切ボタン89Fを押動操作したら、或いは第2操作部89からの操作によりパスワードを入力し、その入力したバスワードが記憶部132に予め記憶される設定パスワードと一致したら、図14に示す表示形態から例えば停電時運転設定メニューを選択して、そこで再度選択設定できるようにすればよい。
次に、蓄電池システム1の設置した後での初期設定について説明する。蓄電池システム1を住宅敷地内に全て設置した後には、屋内に設置したコントローラ6を利用して、初期設定値の入力と記憶を行なう。初期設定値設定部145を動作させるためには、前記図14に示す表示部87の表示形態で、「初期値設定」のメニューを白黒反転状態に表示させ、決定ボタン89Bを押動操作すればよい。初期設定値設定部145により初期設定値を設定するには、使用者側で安易に行なえないようにするために、通常のボタン操作とは異なるように第1操作部88や第2操作部89を操作させたり、或いはコントローラ6の通常時には操作できない場所に配置されたスイッチ(図示せず)を操作させたりすることで可能になる。
初期設定値設定部145を利用して、初期設定値記憶部135に設定記憶されるパラメータは、系統Sを保有する電力会社毎に異なる第1制御設定値と、電力会社と契約した家庭毎に異なる第2制御設定値に大別される。
第1制御設定値の例としては、系統Sの電圧上限値であるOVR(過電圧保護リレー)整定値や、系統Sの実際の電圧が系統Sの電圧上限値よりも上昇した時に、過電圧保護リレーを動作させるまでのOVR整定時間や、系統Sの電圧下限値であるUVR(不足電圧保護リレー)整定値や、系統Sの実際の電圧が系統Sの電圧下限値よりも低下した時に、不足電圧保護リレーを動作させるまでのUVR整定時間や、系統Sの周波数上限値であるOFR(周波数上昇リレー)整定値や、系統Sの実際の周波数が系統Sの周波数上限値よりも上昇した時に、周波数上昇リレーを動作させるまでのOFR整定時間や、系統Sの周波数下限値であるUFR(周波数低下リレー)整定値や、系統Sの実際の周波数が系統Sの周波数限値よりも低下した時に、周波数低下リレーを動作させるまでのUFR整定時間や、系統Sの電圧上昇抑制電圧値である電圧上昇抑制整定値や、停電後に、停電が終了してから蓄電池システム1が動作するまでの時間である復電後復帰タイマー整定時間や、系統Sの商用周波数である周波数整定値である。また、第2制御設定値の例としては、各家庭でそれぞれ決められる契約電力量や契約電流量の値である。
初期設定値記憶部135には、予め上記の各値について初期値が記憶保存されており、必要に応じて第1操作部88や第2操作部89を用いて、その初期値を別な値に変更できるようになっている。一例として、上記第1制御設定値の初期値は、OVR整定値が115Vであり、OVR整定時間が1.0sであり、UVR整定値が80Vであり、UVR整定時間が1.0sであり、OFR整定値が周波数整定値に依存して51.0Hzまたは61.0Hzであり、OFR整定時間が1.0sであり、UFR整定値が周波数整定値に依存して48.5Hzまたは58.5Hzであり、UFR整定時間が1.0sであり、電圧上昇抑制整定値が108Vであり、復電後復帰タイマー整定時間が150sであり、周波数整定値が50Hzとなっている。
また、初期設定値設定部145は、上記第1制御設定値や第2制御設定値を、コントローラ6に備えた記憶部132の初期設定値記憶部135だけでなく、パワーコンディショナ42を構成する制御基板54の初期設定記憶部161にも設定記憶する。初期設定記憶部161は、保守点検時のバックアップとして設けるもので、例えば制御基板54,98の何れかを交換する際に、どちらかの初期設定値記憶部135,161に残っている第1制御設定値や第2制御設定値を再利用することができる。
次に、蓄電池システム1の保守点検時における作用を説明する。保守点検時には、運転入/切ボタン89Fを押動操作して、蓄電池システム1の運転を停止した後に、蓄電池モジュールMDL1〜MDL6による不意の感電を防止するために、切断機47を手動操作して直列線路46を切断する。このときの切断機47からの検出信号が蓄電池制御ユニット39に送出されると、蓄電池制御ユニット39は開閉器48,49をオフ状態にして、二次電池38を系統Sから切り離す。また、蓄電池制御ユニット39から制御基板54に与えられる制御信号によって、保守用切替器44がオンからオフに切替わり、蓄電池盤7が系統Sから切り離される。この状態から、必要に応じて例えば二次電池38を構成する電池セル管理モジュールCMU1〜CMU6の何れかを交換することができる。
なお、保守点検時には保守用切替器44がオフ状態になることに起因して、第2分電盤5と蓄電池盤7との電気的な接続が断たれてしまうため、このままでは第2分電盤5から蓄電池盤7を経由して住宅用負荷L2にAC100Vを供給できない。そこで、第2分電盤5に設けた切替器としての切替回路29を用いて、第2分電盤5から蓄電池盤7を経由せずに、第2電源線17のAC200Vから、第1給電線30を介して住宅用負荷L2にAC100Vを供給できるようにする。これは具体的には、操作体32の操作により、接点33をオフからオンにし、接点34をオンからオフにして達成され、保守点検時でも住宅用負荷L2を使用することが可能になる。
以上のように、本実施形態の蓄電池システム1は、住宅敷地内で住宅内負荷L1,L2と共に系統Sからの電力供給を受ける二次電池38と、二次電池38の状態を認識して、二次電池38に対する制御を行なう蓄電池制御ユニット39と、二次電池38の充放電を制御する充放電制御部としてのパワーコンディショナ42と、二次電池38の充放電に関する例えば充放電の開始や終了の時刻などの各種パラメータを設定する設定部としてのコントローラ6とを備え、コントローラ6には、時刻、電池残量、運転状態を表示できる表示部87と、操作部としての第1操作部88や第2操作部89を備え、蓄電池システム1の設置後に、契約会社毎に異なる制御設定値、或いは家庭毎に異なる制御設定値を、コントローラ6で設定できるように構成している。
この場合、普段の運転操作や表示を行なうコントローラ6を利用して、契約会社毎に異なる制御設定値や、家庭毎に異なる制御設定値を、蓄電池システム1の設置後に室内で初期設定することが可能になる。そのため、初期設定時における煩わしさを解消できると共に、蓄電池システム1の本体に設ける設定操作部を不要にできる。
また本実施形態では、コントローラ6で設定した契約会社毎に異なる制御設定値や、家庭毎に異なる制御設定値を、当該コントローラ6に備えた記憶部としての初期設定値記憶部135に記憶する構成を有している。
このように、CPUなどの制御部であるコントローラ制御手段121と、初期設定値記憶部135を含む記憶部123とを、同一のコントローラ6内に設けることで、記憶部123に記憶された情報をコントローラ制御手段121が素早く読み出して演算した後、制御信号である充電信号や放電信号をパワーコンディショナ42に送ることができ、高速な処理が実現可能となる。
また代わりに、コントローラ6で設定した契約会社毎に異なる系統の電圧上限値を含む制御設定値や、家庭毎に異なる契約電力量を含む制御設定値を、コントローラ6とパワーコンディショナ42の両方に備えた記憶部としての初期設定値記憶部135,161に、保守点検時のバックアップとしてどちらも再利用可能に記憶する構成としてもよい。
このようにすれば、コントローラ6や蓄電池盤7内の部品交換時に、制御設定値を再入力しなくても、どちらかの初期設定値記憶部135,161に残っている設定制御値を再利用することが可能になる。
また本実施形態では、前述の制御設定値を設定する操作が、通常のボタン操作とは異なる第1操作部88や第2操作部89の操作、或いは通常時には操作できない場所に配置されたスイッチ(図示せず)の操作により、操作可能となる構成を有している。
このようにすれば、蓄電池システム1を普段利用する使用者が、安易に初期設定を行なえないようにすることができる。
また、本実施形態の停電モード制御指示部152は、停電時に自動的に自立運転を開始する自動自立運転と、停電時に自動的に自立運転を開始せず、手動操作を加えることで自立運転を開始する手動自立運転の両方の運転パターンを備えており、コントローラ6で自動自立運転または手動自立運転の何れか一方を選択設定できるように構成とている。
このようにすると、普段の運転操作や表示を行なうコントローラ6を利用して、停電時における運転パターンを室内で選択設定でき、煩わしさをさらに解消することが可能になる。
さらに本実施形態では、自動自立運転または手動自立運転の何れか一方を選択設定した後に、通常とは異なる特定の手順で、自動自立運転または手動自立運転の何れか一方を再度選択設定できるように構成している。
このようにすれば、蓄電池システム1を普段利用する使用者が、一度選択設定した停電時の運転パターンを安易に変更できないようにすることができると共に、通常とは異なる特定の手順を行なえば、停電時の運転パターンを再度設定変更することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。初期設定値記憶部135に記憶する制御設定値は、上述した各値や時間に限定されない。