以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1に示すように、電動工具状態管理システム11は、電動工具12と、電動工具12を使用するユーザ(顧客)が所有する携帯通信端末13に組み込まれたアプリサービス部14と、携帯通信端末13とインターネット等を介して通信可能なサーバ15とを備えている。
アプリサービス部14は、例えば携帯通信端末13内のCPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより構築されるソフトウェアからなる。このプログラムは、携帯通信端末13がサーバ15にアクセスしてダウンロードしたものである。
携帯通信端末13は、一例としてスマートフォンからなる。携帯通信端末13は、メニューや診断情報などの各種の情報を表示するための表示部16、近距離無線通信が可能な第1通信部17、及び公衆無線回線PNに接続するための第2通信部18とを備えている。第1通信部17は近距離無線通信素子を内蔵している。第1通信部17の近距離無線通信方式としては、RFID(Radio Frequency Identification)、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、無線ブロードバンド(Wi−Fi(wireless fidelity))等が挙げられる。RFIDの一例としては、NFC(Near Field Communication)(一例として、おサイフケータイ「FeliCa」(登録商標))が挙げられる。また、第1通信部17は、通信用チップ、CPU及びアンテナ等が実装された非接触ICカードであってもよい。さらに第1通信部17は、赤外線通信方式等の光無線通信部(一例として「UFIR (Ultra Fast IR)」)であってもよい。
一方、電動工具12は、携帯通信端末13の第1通信部17と同じ無線通信方式の近距離無線通信機能を備えている。そして、携帯通信端末13は、第1通信部17と電動工具12との間の近距離無線通信により、電動工具12から状態信号を取得する。アプリサービス部14は、その状態信号を用いて、電動工具12の状態の表示、診断及びその診断結果の表示、仕様設定の表示などの状態情報の表示処理、並びにその仕様設定を変更する設定変更処理などの各種サービスを提供する。
図1に示すように、携帯通信端末13は、第2通信部18により公衆無線回線PNの通信基地局19と接続され、さらに通信基地局19に接続されたインターネット20を介してサーバ15と通信可能に接続される。サーバ15は、顧客データベースD1、シリアルデータベースD2などを備えている。顧客データベースD1には、電動工具12を使用するユーザ(顧客)に関する顧客情報が記憶される。シリアルデータベースD2には、電動工具12に付与されたシリアル情報(例えばシリアル番号)、製造履歴及び修理履歴などを含む情報が記憶される。ここで、製造メーカーの工場で製造された全ての電動工具12にはシリアル番号が付与され、電動工具12はシリアル情報から一意に特定される。
図2(a)に示すように、本実施形態の電動工具12は、片手で把持可能な手持ち式であり、例えばコンクリート用電動式ドライバーとして使用される。電動工具12の外装を形成する本体ハウジング21は、有底筒形状の胴部22と、胴部22からその軸線に対して交差する一方向(図1では下方)に延出するハンドル部23とを有している。
胴部22内には、動力源の一例としてのモーター24と、モーター24の出力回転を減速する変速機構部25とが設けられている。電動工具12は胴部22の先端部に変速機構部25によって減速された回転速度で回転可能な駆動軸26を有し、この駆動軸26に先端工具(図示せず)が着脱可能に装着される。また、ハンドル部23には、電動工具12を駆動させるためにユーザにより操作されるトリガーレバー27(操作レバー)が設けられている。なお、電動工具12には、駆動軸26の回転方向を切り換えるための不図示の切替えレバー、及び変速機構部25の減速比を切り換えて駆動軸26の回転トルクを調整するために操作される不図示の変速切替えレバーが設けられている。
ここで、電動工具12は、胴部22及びハンドル部23を有する電動工具本体12aと、ハンドル部23の下端部に形成された装着部23aに着脱可能に装着される二次電池パック29(以下、単に「電池パック29」ともいう。)とを備える。電動工具本体12aに電池パック29が装着されることで、二次電池29aを電源としてモーター24は駆動される。また、電池パック29を充電するための充電器30が工具セットの1つとして付属され、本実施形態では、電動工具本体12a、電池パック29及び充電器30により、電動工具システム31が構成される。
また、図2(a)に示すように、電動工具本体12aは制御回路32を内蔵している。制御回路32は、トリガーレバー27の操作に基づく操作信号に従って、二次電池29aを電源とするモーター24を駆動制御する。なお、制御回路32が備えるメモリ32aには、モーター24の制御に用いられる制御プログラム及び設定データ等が記憶されている。
図2(a)に示すように、電動工具本体12a、電池パック29及び充電器30のうち少なくとも1つには、携帯通信端末13の第1通信部17(図1参照)と近距離無線通信を行うための通信用のICチップ33(以下、「通信用チップ33」ともいう。)が設けられている。図2の例では、電動工具本体12aと電池パック29と充電器30のそれぞれに通信用チップ33が設けられているが、必ずしもそれぞれに設けられている必要はなく、電動工具本体12aと電池パック29のうち少なくとも一方に設けられていればよい。なお、電動工具システム31で1つのみ通信用チップ33を設ける場合、アプリサービス部14のサービスを電池関連サービスに限定するのであれば、その1つの通信用チップ33は電池パック29又は充電器30に設けることが好ましい。また、サービスを工具本体関連サービスに限定するのであれば、1つの通信用チップ33は電動工具本体12aに設けることが好ましい。さらに電池関連サービス及び工具本体関連サービスを提供する場合は、1つの通信用チップは電動工具本体12aと電池パック29のうち一方に設けることが好ましい。
図2(b)に示すように、通信用チップ33は、近距離無線通信が可能な無線通信素子34とメモリ35とを備えている。メモリ35には、アプリサービス部14がサービスを提供するために必要な各種の情報が記憶される。また、電動工具本体12aに電池パック29が装着された状態では、制御回路32は、電動工具本体12a内の通信用チップ33に加え、電池パック29側の通信用チップ33にもアクセス可能となる。また、電動工具本体12aに装着された電池パック29が充電器30に接続された充電中状態では、制御回路32は、充電器30側の通信用チップ33にもアクセス可能となる。また、電動工具本体12aから取り外した電池パック29を充電器30に接続して充電する場合も、充電した旨の情報は電池パック29側のメモリ35に書き込まれ、その後、電池パック29を電動工具本体12aに装着したときに、制御回路32は充電の旨の情報を取得できる。
次に、図3を用いて電動工具状態管理システム11の電気的構成及び機能構成について説明する。図3に示すように、携帯通信端末13は、前述の表示部16、第1通信部17及び第2通信部18を備える他、情報処理部36、メモリ37及び入力部38を備えている。一例として表示部16はタッチパネルとなっており、入力部38は、そのタッチパネルの表面をタッチして入力する入力操作方式のものを採用している。もちろん、入力部38は、ボタンスイッチ等であってもよい。また、情報処理部36は、例えばCPUからなり、メモリ37に記憶されたアプリケーションプログラムP1(以下、単に「プログラムP1」という。)を実行することで、電動工具12に関連するサービスを提供する機能を実現する。なお、本実施形態では、プログラムP1により、状態表示プログラムの一例が構成される。
一方、図3(a)に示すサーバ15は、インターネット20に接続するための通信部40、図1に示すCPU15a、ハードディスクドライブ(HD)などの記憶部15b及びメモリ(図示せず)等を備える。サーバ15内のCPU15aが記憶部15bに記憶されたプログラムを実行することにより、サーバ機能が実現される。記憶部15bに記憶されたプログラムには、携帯通信端末13から要求と共に受信した電動工具12の状態信号を基に、サーバ15が、アプリケーションサービスプロバイダ形式で、携帯通信端末13に表示させる電動工具12の状態情報を生成する機能をもつアプリケーションプログラムP2(以下、単に「プログラムP2」という。)が含まれている。CPU15aがこのプログラムP2を実行することにより、サーバ15には、ソフトウェアからなる図3に示す各機能部分として、顧客ID化処理部41、シリアル管理部42、認証部43及びアプリサービス部44が構築される。
図3(a)に示す顧客ID化処理部41は、電動工具12を購入した顧客の顧客登録時に、顧客の氏名、住所、連絡先などの顧客情報の異なる顧客別に一意の顧客ID(識別情報)を付与して顧客をID化するID化処理を行う。顧客ID化処理部41は、付与した顧客IDを顧客情報と関連付けて顧客データベースD1に書き込むとともに、顧客登録を行った顧客の携帯通信端末13へその顧客IDを送信する。
図3(a)に示すシリアル管理部42は、製造メーカーの工場で電動工具12に一意に付与されたシリアル情報(例えばシリアル番号)を管理する。例えば製造メーカーの工場では、製造された電動工具12側の通信用チップ33に一意のシリアル情報が書き込まれるとともに、このシリアル情報は製造メーカーの端末からサーバ15に送信される。シリアル管理部42はサーバ15が受信したシリアル情報を、電動工具12の品番などの製品情報及び製造履歴情報と対応付けてシリアルデータベースD2に書き込む。このため、顧客情報及びそのIDが顧客データベースD1に書き込まれるときには、その顧客が購入した電動工具12のシリアル情報が予めシリアルデータベースD2に記憶されている。なお、顧客は携帯通信端末13以外のパーソナルコンピュータなどによっても顧客登録をして顧客IDを取得することが可能である。
図3(a)に示す認証部43は、サーバ15が携帯通信端末13から受信した顧客IDとシリアル情報との認証を行う。この認証は、顧客登録時とサービス提供時とに行なわれる。例えば顧客登録時に、サーバ15は携帯通信端末13から顧客情報とシリアル情報を受信し、シリアル情報がシリアルデータベースD2に登録されているかどうかを認証部43により認証する。そして、そのシリアル情報が登録済みであれば、顧客ID化処理部41が顧客IDを発行し、顧客IDとシリアル情報とを対応付けて顧客データベースD1に書き込むとともに、発行した顧客IDを携帯通信端末13に送信する。また、サービス提供時には、サーバ15は、顧客IDとシリアル情報とを携帯通信端末13から受信し、認証部43は、受信した顧客IDとシリアル情報との組合せが、顧客データベースD1に登録済みのものと一致するかどうかを認証する。
また、図3(a)に示すアプリサービス部44は、サーバ15内のCPU15aがサービス提供用のアプリケーションプログラムP2を実行することで、サーバ15内に構築され、ユーザの所有する携帯通信端末13に各種サービスを提供する。このサービス提供のためにアプリサービス部44は、プログラム供給部50、情報取得確認部51、残容量表示処理部52、総充電回数表示処理部53、電池寿命予測部54、充電報知処理部55、本体診断部56、モーター設定部57及び温度表示処理部58を備える。
プログラム供給部50は、そのメモリ(例えばハードディスクの所定記憶領域)にプログラムP1を記憶しており、携帯通信端末13からダウンロードの要求があれば、プログラムP1を携帯通信端末13にダウンロードさせることで供給する。なお、本実施形態では、プログラムP2のうち、サーバ15内のCPU15aを、プログラム供給部50として機能させる部分のプログラムが、供給サーバプログラムに相当する。
本実施形態では、サービス提供方法には、アプリケーションサービスプロバイダ方式(以下、「ASP方式」ともいう。)と、プログラム供給方式との2種類が用意されている。ユーザは所望する一方の方式を選択可能になっている。
ここで、ASP方式とは、サーバ15内のCPU15aがプログラムP2を実行することで、携帯通信端末13側から要求されたサービスに対応する必要な処理を、その要求と共に受信した状態信号を基に行うことで、その処理結果を携帯通信端末13側で表示可能な状態情報として携帯通信端末13に提供する方式である。つまり、CPU15aは、携帯通信端末13から受信した状態信号を所定の形式に従い、携帯通信端末13側で表示可能な状態情報として生成し、その生成した状態情報を、携帯通信端末13に通信部40と第2通信部18との間の通信により送信する。このASP方式であれば、携帯通信端末13に記憶されるプログラムP1の容量が少なく済む。
一方、プログラム供給方式とは、携帯通信端末13にプログラムP1を供給し、携帯通信端末13側の情報処理部36(例えばCPU)がサービス提供に必要な全ての処理をプログラムP1を実行して行う方式である。この方式の場合、プログラムP1が比較的大容量となるものの、サービス提供に当たってサーバ15との通信が不要なため、処理結果が携帯通信端末13に速やかに表示されるなど、高速処理を実現できる。もちろんサービス提供方式は、選択式ではなく、2種類の方式のうち予め決められた一方のみ採用してもよい。
ASP方式では、サーバ15がアプリケーションプログラムP2を実行することで、図3(a)に示すアプリサービス部44が構築される。アプリサービス部44は、プログラムP2の実行により実現される機能部分として、前述のプログラム供給部50、情報取得確認部51、残容量表示処理部52、総充電回数表示処理部53、電池寿命予測部54、充電報知処理部55、本体診断部56及びモーター設定部57を備える。各部51〜57は、携帯通信端末13からの要求に対応するものが起動し、それぞれ対応する処理を行ってその処理結果を所定形式で携帯通信端末13に送信する。
一方、プログラム供給方式では、携帯通信端末13内の情報処理部36(例えばCPU)がプログラムP1を実行することにより、携帯通信端末13内に図3(b)に示すアプリサービス部14が構築される。アプリサービス部14は、プログラムP1の実行により実現される機能部分として、図3(b)に示す、情報取得確認部61、残容量表示処理部62、総充電回数表示処理部63、電池寿命予測部64、充電報知処理部65、本体診断部66、モーター設定部67及び温度表示処理部68を備える。
以下、情報取得確認部61、残容量表示処理部62、総充電回数表示処理部63、電池寿命予測部64、充電報知処理部65、本体診断部66、モーター設定部67及び温度表示処理部68について説明する。なお、ASP方式のときにサーバ15側で起動される各部51〜58は、プログラム供給方式のときに携帯通信端末13側で起動される各部61〜68とその機能は基本的に同じである。そのため、以下の説明では、携帯通信端末13側の各部61〜68について説明し、サーバ15側の各部51〜58についての説明は省略する。
情報取得確認部61は、電動工具12に係るサービス提供に必要な電動工具本体12a及び電池パック29の状態を示す状態データ(状態信号)を、電動工具システム31側の通信用チップ33から取得(受信)したかどうかを確認する。ここで、サービスのうち電池関連サービスは各部61〜65により提供され、工具本体関連サービスは各部66,67により提供される。
電池関連サービスを受けるため、ユーザの携帯通信端末13が電池パック29の充電状態に関するデータ(信号)(以下、「充電状態データ」ともいう。)を、電動工具12側から受信する。まず情報取得確認部61は、電動工具12側から近距離無線通信で充電状態を示す充電状態データ(充電状態信号)を取得したかどうかを確認する。
詳しくは、情報取得確認部61は、充電状態データとして総充電回数を受信すると、総充電回数表示処理部63を起動させる。また、情報取得確認部61は、充電状態データとして充放電回数と充電完了時容量との関係を示す履歴データ(履歴信号)を受信すると、電池寿命予測部64を起動させる。さらに情報取得確認部61は、充電状態データとして設定残容量を受信すると、充電報知処理部65を起動させる。また、情報取得確認部61は、充電状態データとして二次電池29aの温度データ(温度検出信号)を受信すると、温度表示処理部68を起動させる。なお、本例の電動工具12は、二次電池29aの温度を検出可能な不図示の温度センサを備え、温度センサの検出信号を二次電池29aの温度データとして携帯通信端末13に送信することが可能である。
総充電回数表示処理部63は、受信した総充電回数を所定の形式で表示するための画面データを作成する。本例では、電動工具本体12a内の制御回路32には、電池パック29を充電する度に「1」ずつ加算するカウンタ(図示せず)が設けられている。携帯通信端末13は通信用チップ33との近距離無線通信で、このカウンタの値を電池パック29の総充電回として受信する。なお、カウンタは電池パック29側の通信用チップ33に設けられていてもよい。
電池寿命予測部64は、充放電回数と充電完了時容量との関係を示す履歴情報を基に、電池パック29の寿命を予測する。
充電報知処理部65は、電池パック29がユーザの指定した設定残容量になると、充電を促すお知らせ画面を携帯通信端末13の表示部16に報知音と共に表示させる報知処理を行う。
温度表示処理部68は、電動工具12から二次電池の温度データを受信すると、温度データを所定の形式で表示するための画面データを作成する。
本体診断部66は、電動工具本体12aに関する診断(以下、「工具本体診断」という。)を行う。工具本体診断には、スイッチ系の診断を行うスイッチ診断と、モーター24を診断するモーター診断と、電動工具本体12aを全体的に診断する本体診断とが含まれる。
スイッチ診断では、トリガーレバー27に連動する不図示のトリガースイッチ及び切替えレバーに連動する正逆切替えスイッチ(いずれも図示せず)などのスイッチ系の診断を行う。
モーター診断では、一例としてモーター24の総駆動時間、総駆動回数、モーター速度パターン履歴、モーター電流値と回転速度との関係を経時的に蓄積したモーター履歴データなどのモーター状態データ(モーター状態信号)を用い、モーター24の診断を行う。その診断内容には、モーター24の異常診断、モーター寿命診断などがある。モーター異常診断は、モーター履歴データを基に、モーター24の異常動作の有無を複数項目で調べることで行われる。モーター寿命診断では、モーター履歴データを基にシミュレーション演算を行ってモーター寿命を予測する。また、本体診断では、例えば配線の断線・短絡などの異常の他、制御回路32などの回路系の診断及びソフトウェア系の診断などを行う。
モーター設定部67は、トリガーレバー27の操作を開始したときのモーター24の立ち上がり加速感などの仕様について、ユーザの所望する内容を設定する。モーター設定部67は、加速感の異なる複数の仕様設定データを予めメモリに記憶しており、ユーザが入力部38の操作で選択した1つの加速感に対応する仕様設定データを電動工具12に設定する。
なお、サーバ15側の各部51〜57は、基本的に携帯通信端末13側の各部61〜67と機能は同じであるが、ASP方式では、ユーザの携帯通信端末13が電動工具12側の通信用チップ33から受信した必要なデータを、サーバ15に送信する必要がある。すなわち、電池関連サービスの場合、充電状態データをサーバ15へ送信し、工具本体関連サービスの場合、電動工具本体12a側の特定部品の状態データをサーバ15へ送信する。サーバ15側では、情報取得確認部51が必要な状態データを取得したことを確認すると、各部51〜57のうちそのときのサービスに対応する1つが起動される。そして、各部51〜55は充電状態データを基に所定の処理を行い、その処理結果を所定の表示態様で含む画像データを生成し、その生成した画面データを携帯通信端末13へ送信する。また、各部56,57は、状態データを基に所定の処理を行い、その処理結果を所定の表示態様で含む画像データを生成し、その生成した画面データを携帯通信端末13へ送信する。このように携帯通信端末13とサーバ15間におけるデータの送受信が伴うものの、各部51〜57の機能は、基本的に各部61〜67と同様である。
次に図4を用いてシリアル情報と顧客IDとをサーバ15に登録する登録処理について説明する。図4に示す製造メーカー(工場)では電動工具12が製造されると、パーソナルコンピュータ70がその本体70aに接続された書込み装置71(詳しくはリーダー・ライター)を用いて、電動工具12へのシリアル情報の書込み処理を行う。例えば電動工具本体12a、電池パック29及び充電器30がそれぞれ単体製品の場合は、それぞれの製造ラインで通信用チップ33のメモリ35に個別のシリアル情報が書き込まれる。一方、セット製品(電動工具システム31)として出荷される場合は、そのセットで1つ(共通)のシリアル情報が通信用チップ33のメモリ35に書き込まれる。
図4に示すパーソナルコンピュータ70は製品に書き込んだシリアル情報を本体70aからインターネット等のネットワークを介してサーバ15に送信する。このとき、シリアル情報と一緒に製造年月日情報等の履歴情報も送信される。サーバ15では、シリアル管理部42が、その受信したシリアル情報及び製造年月日情報などをシリアルデータベースD2に書き込む。こうしてシリアル情報の書込みを終えた後、製品は出荷される。
図4に示すように、ユーザに販売された電動工具12の通信用チップ33には、シリアル情報として例えば「EZ7546」が書き込まれているものとする。ユーザは購入した製品について顧客登録する場合は、例えば携帯通信端末13を用いてサーバ15にアクセスして顧客登録画面を開く。
例えば図5に示すように、携帯通信端末13の表示部16に顧客登録画面73が表示される。ユーザはこの顧客登録画面73で、氏名、住所、電話連絡先、メールアドレス、愛用者登録などの個人情報の登録を行う。また、顧客登録画面73で、職業、購入商品(製品名)とシリアル情報、アプリ使用情報履歴、購入店舗情報などのオリジナル登録内容を登録する。このとき、シリアル情報は、製品の保証書などに記載されたものを携帯通信端末13に入力してもよいし、また携帯通信端末13が電動工具12との近距離無線通信を介して通信用チップ33から取得してもよい。そして、ユーザは顧客登録画面73上の送信ボタン73aを操作することで、これらの個人情報及びオリジナル登録内容を携帯通信端末13からサーバ15へ送信し、顧客登録及びシリアル登録を行う。
図4に示す顧客ID化処理部41は、顧客登録情報をID化し、そのID化処理で生成した顧客IDを顧客データベースD1に書き込むID登録を行う。また、シリアル管理部42は、顧客登録時に受信したシリアル情報がシリアルデータベースD2に登録されているものと一致するか否かを判断し、一致するものがあれば、シリアルデータベースD2中のそのシリアル情報を顧客情報と関連付けて登録するシリアル登録を行う。そして、顧客登録及びシリアル登録が終わると、プログラム供給方式とASP方式のうちユーザが希望するプログラムP1がその所有する携帯通信端末13にダウンロードされる。なお、購入後に電動工具12等の製品を修理工場74で修理した場合は、修理工場74の端末からサーバ15へシリアル情報と対応付けて修理年月日情報が送信され、シリアル管理部42によりその修理年月日情報がシリアルデータベースD2に追加される。
こうして、顧客登録及びシリアル登録が終わり、必要なプログラムP1(アプリケーション)が携帯通信端末13にダウンロードされると、その後、サービスを受けたいユーザは携帯通信端末13上でアプリケーションを実行する。アプリケーションを実行すると、表示部16に図6に示すメニュー画面75が表示される。
図6に示すように、メニュー画面75には、電池関連サービスとして、(1)残容量表示機能、(2)充電回数表示機能、(3)電池寿命予測・学習機能、(4)充電報知機能、(5)温度表示の5つの項目が含まれ、ユーザは入力部38を操作して所望の項目を選択する。ここで、(1)「残容量表示機能」とは、電池パック29(つまり二次電池29a)の残容量を表示部16に表示させる機能である。(2)「充電回数表示機能」とは、電池パック29の総充電回数を表示部16に表示させる機能である。(3)「電池寿命予測・学習機能」とは、充放電回数と充電完了時容量との関係を時系列に蓄積した履歴情報を基に、電池パック29の寿命予測をシミュレーション計算してその予測結果を表示部16に表示させる機能である。このとき電池寿命予測のシミュレーション結果を用いて、最適な電池使用方法をユーザに提案する学習機能もある。(4)「充電報知機能」とは、電池パック29の残容量がユーザの指定した設定残容量にまで減ると、その旨を携帯通信端末13に通知し、電池パック29の充電を促す充電報知画面81(図11参照)を表示部16に表示させる機能である。(5)「温度表示機能」とは、電池パック29(つまり二次電池29a)の温度(電池温度)を表示部16に表示させる機能である。
さらに図6に示すメニュー画面75には、工具本体関連サービスとして、(6)工具本体診断機能と、(7)モーター仕様設定機能とが用意されている。(6)工具本体診断機能には、その下位階層として、スイッチ診断機能、モーター診断機能及び本体診断機能が用意されている。これら3つの診断機能は、それぞれスイッチ系の診断、モーター24の診断、電動工具本体12aの全体的な診断を行う。また、(7)モーター仕様設定機能とは、トリガーレバー27を操作したときのモーター24の立ち上がり加速感を決める仕様を設定する機能である。本例では、加速感を3段階の中からユーザが所望する1つを選択可能である。
次に、電動工具状態管理システム11の作用を説明する。
ユーザは、サービスの提供を受ける場合、電動工具本体12aに電池パック29を装着した状態とする。これにより制御回路32に二次電池29aから電力が供給され、制御回路32による電池パック29へのアクセス、及び通信用チップ33による近距離無線通信が可能な状態となる。サービスの提供を受けるユーザは、携帯通信端末13の入力部38を操作し、まず図6に示すメニュー画面75を表示部16に表示する。そして、入力部38の操作でメニュー画面75中の所望の項目を選択すると、アプリサービス部14は、携帯通信端末13の表示部16に、図7(a)に示す操作案内画面76を表示させる。
図7(a)に示すように、操作案内画面76にはマークM1とメッセージとが表示される。ユーザはメッセージに従って、電動工具12の所定箇所に記された図7(b)に示すマークM2に携帯通信端末13をタッチさせる。図7(b)に示すように、このマークM2は電動工具12の通信用チップ33と対応する位置に記されている。このため、携帯通信端末13をマークM2にタッチさせれば、第1通信部17と通信用チップ33間の近距離無線通信により、電動工具12側の状態を示すデータ(信号)が携帯通信端末13へ取得される。
まず、電池関連サービスの項目が選択された場合について説明する。
電池関連サービスの項目が選択されると、情報処理部36は第1通信部17を介して通信用チップ33と近距離無線通信を行ってメモリ32a又は35から選択項目に応じて読み出された充電状態データを受信する。ASP方式の場合、情報処理部36は電動工具12から受信した充電状態データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。
そして、「残容量表示」、「充電回数表示」、「電池寿命予測・学習」、「充電報知」及び「電池表示」の各項目のうち選択された項目に応じた充電状態データを基に、その項目に応じた処理を行う。なお、この充電状態データと共に、選択項目に対応するサービスの提供に必要なデータも、必要に応じて取得される。
例えば、選択項目が「残容量表示」であれば、残容量表示処理部62は、表示部16にユーザによるトリガーレバーの操作を促すメセージを表示する。電動工具12内の制御回路32は、トリガーレバーが操作されたことをトリガースイッチにより検知すると、二次電池29aの電圧を検出してその電圧値から残容量を取得する。そして、その取得した残容量を現在(最新)の残容量としてメモリ32a又は35に書き込む。残容量表示処理部62は電動工具12に対して残容量データを要求する。電動工具12内の制御回路32は、この要求を受信すると、メモリ32a又は35から二次電池29aの最新の残容量(現在の残容量)を読み取って、その残容量データを通信用チップ33による近距離無線通信を介して携帯通信端末13へ送信する。
また、選択された項目が「充電回数表示」であれば、総充電回数表示処理部63は、総充電回数データを電動工具12に対して要求する。電動工具12内の制御回路32は、メモリ32a又は35に記憶された総充電回数を読み出し、通信用チップ33による近距離無線通信を介して総充電回数データを携帯通信端末13へ送信する。また、選択された項目が「電池寿命予測」であれば、電池寿命予測部64は、電池履歴データを電動工具12に対して要求する。電動工具12内の制御回路32は、メモリ32a又は35に記憶された充放電回数と充電完了時容量との関係を蓄積した電池履歴データを読み出し、通信用チップ33による近距離無線通信を介して電池履歴データを携帯通信端末13へ送信する。
さらに、選択された項目が「充電報知」であれば、充電報知処理部65は、設定残容量データを電動工具12に対して要求する。電動工具12内の制御回路32は、メモリ32a又は35から、充電を促す報知を行うタイミングが残容量の値で設定された設定残容量データを読み出し、通信用チップ33による近距離無線通信を介して設定残容量データを携帯通信端末13へ送信する。充電報知処理部65は、表示部16に充電報知設定画面を表示し、ユーザはこの設定画面で必要に応じて設定残容量を設定し直す。その後、充電報知処理部65は、所定時間間隔ごとに電動工具12に対して二次電池29aの残容量データを要求する。電動工具12内の制御回路32は、その時々の残容量データを通信用チップ33による近距離無線通信を介して携帯通信端末13へ送信する。
また、選択項目が「温度表示」であれば、温度表示処理部68は、温度データを電動工具12に対して要求する。ここで、電動工具12内の制御回路32は、二次電池29aの温度を検出する不図示の温度センサーの検出値から電池温度を逐次取得し、その取得した電池温度をメモリ32a又は35に書き込んでいる。電動工具12内の制御回路32は、温度データの要求を受信すると、メモリ32a又は35から二次電池29aの温度を読み取って、その温度データを通信用チップ33による近距離無線通信を介して携帯通信端末13へ送信する。なお、制御回路32は要求を受け付ける度に温度センサーの検出値から電池温度を取得する構成としてもよい。
一方、携帯通信端末13では電動工具12への要求送信後、その要求の応答としてデータの受信を待つ。携帯通信端末13では、要求送信の後、情報取得確認部61が、電池パック29(二次電池29a)の充電状態データ(充電状態信号)が取得されたかどうかを逐次確認する。充電状態データが取得された場合、その取得された充電状態データを所定の形式に従って、電池パック29(二次電池)に関する充電情報として表示部16に表示させる処理を行う。つまり、充電状態データを基に電池関連サービス指定項目に応じた所定の処理を施して、その処理結果を電池パック29の充電情報として所定の表示態様で携帯通信端末13の表示部16に表示させる。
図6のメニュー画面75で例えば「残容量表示」の項目が選択された場合、携帯通信端末13は近距離無線通信によって電池パック29の通信用チップ33から充電状態データとして残容量データを取得する。情報取得確認部61が残容量データの取得を確認すると、残容量表示処理部62が所定の形式の画面データを作成する。一方、ASP方式の場合、残容量表示処理部62は、電動工具12から取得した残容量データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51が残容量データの取得を確認すると、残容量表示処理部52が残容量データを基に所定の形式の画面データを作成し、その画面データを携帯通信端末13へ送信する。
いずれの方式の場合でも、携帯通信端末13内の残容量表示処理部62が画面データを基に図8(a)に示す電池状態表示画面77を表示部16に表示させる。本例では、残容量表示処理部62の起動時には温度表示処理部68も起動し、同図に示すように、電池状態表示画面77には、残容量情報(この例では残容量=100%)と電池温度(この例では40℃)が表示される。もちろん、二次電池29aの温度のみ単独で表示させることも可能である。
なお、図8(a)に示す電池状態表示画面77の下部には、電池状態、電池情報、登録情報の各ボタン77a〜77cが配置されている。各ボタン77a〜77cを選択操作すると、その選択した項目に対応する画面、すなわち電池状態表示画面77、電池情報表示画面(図示略)、登録情報表示画面78がそれぞれ表示される。各ボタン77a〜77cのうち現在表示されている画面に対応する項目のボタンは、グレーアウト(非活性状態)され、活性状態の他のボタンのみ選択可能である。また、各画面には戻るボタン77dが設けられ、戻るボタン77dが操作されると、前の画面、例えばメニュー画面75に戻るようになっている。
また、図8(b)に示す登録情報表示画面78には、顧客ID、登録商品名等の登録情報が表示される。また、登録情報表示画面78には、取扱説明書、商品スペック、お客様の声の各ボタン77e〜77gが設けられている。情報処理部36は、ユーザによりこの画面上で取扱説明書のボタン77eが選択されたことを受け付けると、メモリ37の所定記憶領域から取扱説明書データを読み出して表示部16に取扱説明書を表示させる。また、情報処理部36は、ユーザによりこの画面上で商品スペックのボタン77fが選択されたことを受け付けると、顧客製品のシリアル情報から特定される商品に係る商品スペックデータを、メモリ37の所定記憶領域から読み出し、表示部16にその特定された該当商品の商品スペックを表示させる。
また、図6のメニュー画面75で例えば「充電回数表示」の項目が選択された場合、図9(a)に示すように、携帯通信端末13は第1通信部17を介した近距離無線通信によって電池パック29の通信用チップ33から充電状態データとして総充電回数を取得する。情報取得確認部61が総充電回数データの取得を確認すると、総充電回数表示処理部63が所定の形式の画面データを作成し、表示部16に表示させる。一方、ASP方式の場合、総充電回数表示処理部63は、電動工具12から受信した総充電回数データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51が総充電回数データの取得を確認すると、総充電回数表示処理部53が所定の形式の画面データを作成してこれを携帯通信端末13へ送信する。
この結果、いずれの方式の場合も、携帯通信端末13の表示部16には、図9(b)に示す充放電回数報知画面79が表示される。この充放電回数報知画面79には、商品の品番、セット製品であればそのセット名、製造日、登録日の情報と共に、総充電回数が表示される。
さらに図6のメニュー画面75で、「電池寿命予測・学習」の項目が選択された場合、図10(a)に示すように、携帯通信端末13は第1通信部17を介した近距離無線通信によって電池パック29の通信用チップ33から、充放電回数と充電完了時容量との関係を蓄積した履歴データを取得する。情報取得確認部61が履歴データの取得を確認すると、電池寿命予測部64が所定形式に従って、履歴データを基に電池寿命予測シミュレーション演算と、そのシミュレーション結果をグラフ表示可能な所定の形式の画面データの作成とを行い、この画像データを携帯通信端末13へ送信する。
一方、ASP方式の場合、電池寿命予測部64は、携帯通信端末13から受信した履歴データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51が履歴データの取得を確認すると、電池寿命予測部54が上述のシミュレーション演算を行ってそのシミュレーション結果をグラフ表示可能な所定の形式の画面データを作成してこれを携帯通信端末13へ送信する。
この結果、いずれの方式の場合も、携帯通信端末13の表示部16には、図10(b)に示す電池寿命予測報知画面80が表示される。この電池寿命予測報知画面80には、充放電回数(サイクル充電回数)と寿命予測結果とを示す各グラフが表示される。ここで、図10(b)のグラフにおいて、一例として、横軸は時間軸を示し、例えば二次電池29aの使用開始時から寿命による使用不可状態になるまでの全期間を複数(同図の例では説明の便宜上6つ)に分割した時期で示している。また、グラフにおける右側の縦軸が、使用開始時からこれまでのサイクル充電回数を示し、左側の縦軸が寿命予測された充電可能回数を示す。もちろん、寿命予測から決まる残り充電可能回数を表示により報知できれば、その表示形態は適宜変更できる。例えば残り充電可能回数を文字表示してもよい。
また、電池寿命予測部64は、予測機能に加え学習機能を有し、最適な電池使用方法をユーザに提案する。この提案方法には2つある。1つは、電池寿命シミュレーション結果を用い、予測された電池寿命がモデルケースより短い場合は、電動工具12の使い方の軌道修正内容及び好適なモーター設定内容を提案する。2つめは、モデルケースと比較試算する方法で、電池寿命をモデルケースに近づけるための試算を行い、その試算結果に基づく電動工具12の使用方法及び好適なモーター設定内容を提案する。なお、ユーザによる「自動学習設定モード」の選択により、電池寿命に係る学習結果から得られた電池寿命の延命化に好適なモーター設定内容を自動設定するようにしてもよい。
また、図6のメニュー画面75で、「充電報知」の項目が選択された場合、図11(a)に示すように、携帯通信端末13と電動工具12との近距離無線通信を介して、充電報知処理部65が、例えば設定残容量などの充電報知に必要なデータを要求する。そして、情報取得確認部61が設定残容量のデータ(信号)(以下、「設定残容量データ」ともいう。)の取得を確認すると、充電報知処理部65は、その設定残容量データに基づき設定残容量を表示し、かつ充電報知機能の開始操作が可能な画面を表示部16に表示する。設定残容量が未設定の場合は、入力部38の操作でユーザは所望の設定残容量を入力設定する。
そして、ユーザは、前述の画面上で入力部38を操作し処理開始を実行すると、情報処理部36は充電報知処理部65を起動させる。この充電報知処理部65はその起動中、電動工具12側から逐次受信する現在の残容量が設定残容量に達したか否かを判断する。現在の残容量が設定残容量に達した場合、充電報知処理部65は、そのときの残容量(設定残容量に同じ)と充電を促すメッセージとを含む所定の画面データを作成し、この画面データに基づき図11(b)に示す充電報知画面81を表示部16に表示させる。この充電報知画面81には、同図に示すように、現在の残容量、電池温度の情報、及び充電を促すメッセージが表示される。
一方、ASP方式の場合、充電報知処理部65は、携帯通信端末13から受信した設定残容量データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51が設定残容量データの取得を確認すると、その設定残容量をセットする。充電報知処理部55は、電動工具12側から携帯通信端末13を経由して逐次受信する現在の残容量が設定残容量に達したか否かを判断する。現在の残容量が設定残容量に達した場合、充電報知処理部55は、残容量の表示と充電を促すための所定形式の画面データを作成する。そして、充電報知処理部55は、作成した画面データを携帯通信端末13へ送信し、その画面データに基づく図11(b)に示す充電報知画面81を表示部16に表示させる。
さらにメニュー画面75で、「本体側診断」の項目が選択された場合、さらにその下位階層の診断項目として、スイッチ診断とモーター診断と本体診断とが個別に選択可能に表示される。また、これら3種類の診断を一括して実施させる選択も可能である。例えばスイッチ診断の項目が選択された場合、本体診断部66は、トリガースイッチ及び正逆切替えスイッチ等を含むスイッチ系の診断を行う。
また、モーター診断の項目が選択された場合、携帯通信端末13は、第1通信部17と通信用チップ33との間の近距離無線通信によって、電動工具12から、モーター電流値と回転速度との関係を経時的に取得して蓄積されたモーター履歴データを取得(受信)する。情報取得確認部61がモーター履歴データの取得を確認すると、本体診断部66はモーター履歴データを基に所定の形式に従い、モーター24を診断する診断処理とその診断結果を携帯通信端末13で表示可能な所定形式の画面データの作成とを行う。そして、本体診断部66は、この画面データに基づき診断結果を含むモーター診断画面(図示せず)を表示部16に表示させる。モーター診断画面には、例えばモーター24の総駆動時間、異常診断結果などの診断情報が表示される。
一方、ASP方式の場合は、本体診断部66は、電動工具12から取得したモーター履歴データを第2通信部18を介してサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51がモーター履歴データの取得を確認すると、本体診断部56はモーター履歴データを基にモーター24の診断処理とその診断結果を表示可能な所定形式の画面データの作成とを行う。そして、本体診断部56はこの画像データを携帯通信端末13へ送信する。この画像データを第2通信部18により受信した携帯通信端末13は、その画面データに基づきその診断結果を含むモーター診断画面(図示せず)を表示部16に表示させる。
また、メニュー画面75で、モーター診断の項目の下位階層でモーター寿命予測の項目が選択された場合、本体診断部66は、電動工具12から取得したモーター履歴データを基に、モーター寿命予測シミュレーション演算と、そのシミュレーション結果を携帯通信端末13で表示可能な所定形式の画像データの生成とを行う。そして、本体診断部66は、この画像データに基づきモーター24の寿命予測結果のグラフを含むモーター寿命予測報知画面(図示略)を表示部16に表示する。
また、本体診断部66は、予測機能に加え学習機能を有し、最適なモーター使用方法をユーザに提案する。この提案方法には2つある。1つは、モーター寿命シミュレーション結果を用い、予測されたモーター寿命がモデルケースより短い場合は、電動工具12の使い方の軌道修正内容及び好適なモーター設定内容を、表示部16上への表示により提案する。2つめは、モデルケースと比較試算する方法で、モーター寿命をモデルケースに近づけるための試算を行い、その試算結果に基づきモーター寿命をモデルケースに近づけることが可能な電動工具12の使用方法及び好適なモーター設定内容を提案する。なお、ユーザによる「自動学習設定モード」の選択により、モーター寿命に係る学習結果から得られたモーター寿命の延命に好適なモーター設定内容を自動設定するようにしてもよい。
また、例えば「モーター仕様設定」の項目が選択された場合、図12(a)に示すように、携帯通信端末13は第1通信部17を介した近距離無線通信によって電動工具12の通信用チップ33から、モーター24の加速パターンを規定する現在の加速設定データを取得する。ここで、本実施形態では、トリガーレバー27を操作した際のモーター24の回転速度の立ち上がり加速感が複数種用意され、制御回路32(例えばマイクロコンピュータ)のメモリ32aに予め記憶されている。詳しくは、最初からトップスピードに加速したいユーザ、ゆっくり加速したいユーザーが存在するなど、業種によって、先端工具の種類によって、作業内容によって、またユーザの好みによって、所望する加速感の仕様が異なっている。そして本例では、一例として高加速、中加速、低加速の3種類の加速感が設定されている。本例では、制御回路32内のメモリ32aにスピード調整用の選択肢を複数(例えば3つ)記憶しておき、ユーザがその中から1つを選択することで、所望の仕様を設定できる。
そして、携帯通信端末13の表示部16に、現在の加速設定が予め用意された複数(一例として低加速、中加速、高加速の3段階)のうちどの加速感であるかを示すとともに、予め用意された複数の加速感のうちから1つを選択して設定可能な設定変更の項目を含む設定画面データを作成する。
モーター設定部67は、この設定画面データを基に表示部16に、図12(b)に示すモーター仕様設定画面82を表示する。図12(b)に示すモーター仕様設定画面82の例では、現在の加速設定が「中加速」であることが表示される。また、このモーター仕様設定画面82には、設定変更の項目が設けられ、選択肢として例えば低加速、中加速、高加速の3段階が表示される。加速設定を変更したいユーザは、入力部38を操作して所望の加速感、例えば「高加速」を選択する。そして、図12(b)に示す確定ボタン82aを操作すると、モーター設定部67がメモリ32aの所定記憶領域に加速設定内容として「高加速」を書き込むことで高加速の設定がなされる。
そして、情報取得確認部61が現在の仕様設定データの取得を確認すると、モーター設定部67はその仕様設定情報に対応する加速設定データをメモリ37から読み出す。さらに携帯通信端末13から第1通信部17を介して電動工具12の通信用チップ33へ加速設定データが送信される。この結果、電動工具本体12aの制御回路32内のメモリ32aに、加速設定データが書き込まれ、モーター24の加速感に係る仕様設定が変更される。
一方、ASP方式の場合、携帯通信端末13からさらに第2通信部18を介してその選択された加速感の状態信号をサーバ15へ送信する。サーバ15では、情報取得確認部51が現在の仕様設定情報の取得を確認すると、モーター設定部57はその仕様設定情報に対応する加速設定データを記憶部15bから読み出し、その読み出した加速設定データを携帯通信端末13へ送信する。そして、加速設定データが携帯通信端末13にダウンロードされる。さらに携帯通信端末13から第1通信部17を介して電動工具12の通信用チップ33へ加速設定データが送信される。この結果、電動工具12の制御回路32内のメモリ32aに、加速設定データが書き込まれ、モーター24の加速感に係る仕様が変更される。
さらに本実施形態では、エコモードを設定可能である。エコモードが選択されると、モーター設定部67は、メモリ32aにおけるモーター設定用の記憶領域にエコモードの旨が書き込まれる。
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)携帯通信端末13のメモリ37に格納される状態表示プログラムP1を情報処理部36(CPU)に実行させる構成とした。これにより、情報処理部36に、第1通信部17から電動工具12の状態データ(状態信号)が取得されたか確認する機能と、状態信号が取得された場合に、その取得された状態信号を所定の形式に従い、電動工具12の状態を示す状態情報として表示部16に表示させる機能とを実現させた。このように状態表示プログラムP1によって、電動工具12からその場で状態信号を読み取って、作業現場などの外出先でも電動工具12の状態情報を携帯通信端末13に表示させて確認できる。
(2)二次電池パック29、又は二次電池パック29から電力供給を受ける電動工具12において、取得された二次電池信号を所定の形式に従い、二次電池29aに関する充電情報として表示部16に表示させた。よって、状態表示プログラムP1によって、電動工具12の二次電池パック29の充電状態を示す充電情報を作業現場でも表示させて確認できる。
(3)携帯通信端末13の情報処理部36は、電動工具12から取得された状態信号を所定の形式に従い、二次電池パック29に関する充電情報として表示部16に表示させる。よって、状態表示プログラムP1によって、電動工具12に関する保守情報を作業現場などの出先でも表示させて確認できる。
(4)メニュー画面75で「モーター仕様設定」を選択した場合、まず携帯通信端末13の表示部16に現在設定されているモーター仕様内容(例えば加速度設定)が、状態情報(保守情報)として表示される。このため、ユーザはモーター仕様の設定内容を確認できる。そして、情報処理部36に、入力部38の操作で選択された他のモーター仕様内容に設定変更可能な機能を実現させている。このため、ユーザは現在の設定内容を確認したうえで、他の設定内容に変更することができる。よって、ユーザはトリガーレバー27を操作した際に電動工具12を好みの立ち上がり加速度で駆動させることができる。また、そのときの作業内容、先端工具の種類、ユーザの好み等に合わせて選択した立ち上がり加速度に変更できるので、電動工具12を用いた作業がし易くなる。
(5)ASP方式も採用し、携帯通信端末13から状態データをサーバ15へ送信し、サーバ15上で状態データを用いてプログラムP2が実行されることで、状態情報を携帯通信端末13に表示させるために必要な処理がアプリケーションサービスプロバイダ形式で行われる。このため、携帯通信端末13のメモリ37には、サーバ15への処理要求送信機能、及びサーバ15からの処理結果受信機能を有する比較的簡単な簡易プログラムを格納すればよい。
(6)二次電池パック29の充電情報として、総充電回数を表示させるので、例えば作業現場等の出先でも、携帯通信端末13の表示部16で二次電池パック29の総充電回数を確認できる。
(7)充電情報として、二次電池パック29の充電回数と寿命予測とを携帯通信端末13に表示させるので、例えば作業現場でも、充電回数と寿命予測とを確認できる。
(8)充電情報として、二次電池パック29の残容量を携帯通信端末13に表示させるので、例えば作業現場でも、二次電池パック29の残容量を確認できる。
(9)充電情報として、二次電池パック29の温度を携帯通信端末13に表示させるので、例えば作業現場でも、二次電池パック29の温度を確認できる。
(10)プログラムP1を実行する情報処理部36に、入力部38の操作で指定された設定残容量を設定させる機能と、二次電池29aの残容量が設定残容量に達したか否かを判断させる機能とを、さらに実現させている。そして、残容量が設定残容量に達したときに、その旨とそのときの二次電池29aの残容量を表示部16に表示させるようにした。このため、ユーザは自分で設定した充電時期になったことを知ることができる。よって、例えばその充電報知時が作業中であっても暫くは電動工具12を二次電池29aの残容量で使用できるうえ、その後、充電器30のある場所へ移動したときに忘れずに電池パック29を充電することができる。従って、二次電池29aの残容量が意図せず無くなって、作業を中断せざるを得ない事態の発生頻度を低減できる。
(11)携帯通信端末13に状態表示プログラムP1を供給する供給サーバプログラム(プログラム供給部50)をサーバ15に設けた。よって、サーバ15から携帯通信端末13に状態表示プログラムP1をダウンロードできる。
なお、実施形態は、以下に示す態様でもよい。
・電動工具12において二次電池29a及びモーター24以外の部品を診断してもよい。この場合、ユーザはその部品の診断結果をその部品の状態情報として携帯通信端末13の表示部16で確認できる。
・ASP方式の場合、サーバ15側で状態データに基づく演算処理を行い、その演算結果を携帯通信端末13へ送信し、演算結果を基に画像データを生成する処理は携帯通信端末13内の情報処理部36が行う構成でもよい。
・プログラム供給方式とASP方式とのうちどちらを採用するかを、メニュー画面における項目に応じて予め決めておいてもよい。例えば状態データに基づく画面データ生成処理のみで特に演算処理を伴わない項目についてはプログラム供給方式を採用し、状態データに基づく演算処理と、その演算処理結果を含む画面を表示するための画面データの生成処理とが必要な項目については、少なくとも演算処理をASP方式としてもよい。この構成によれば、携帯通信端末13側の情報処理部36の演算処理負担を軽減できる。
・メニュー画面75で選択できる項目は、電池関連サービスの項目のみでもよいし、工具本体関連サービスの項目のみでもよいし、さらにモーター仕様設定の項目のみでもよい。また、電池関連サービスで選択できる項目は、図6における(1)〜(4)の各項目のうち少なくとも1つあればよく、例えば(1)の項目のみ、(2)の項目のみ、(3)の項目のみ又は(4)の項目のみの構成でもよい。また、工具本体関連サービスで選択できる項目は、3つのうち少なくとも1つあればよく、例えばスイッチ診断の項目のみ、モーター診断の項目のみ、本体診断の項目のみでもよい。
・モーター仕様設定では、立ち上がり加速度(加速度カーブを含む)の変更だけでなく、トリガーレバー27を離したときの立ち下がり減速度(減速度カーブを含む)を変更可能に構成したり、トリガーレバー27の操作量に応じた定速回転域の定速度を変更可能に構成したりしてもよい。
・公衆無線回線は、3G(第3世代携帯電話回線)、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communications)、Wi−Fi等であってもよい。
・携帯通信端末は、スマートフォンに限らず、携帯電話、タブレット端末でもよい。
・通信用チップ33は、通信機能を有していればメモリは非実装でもよい。この場合、電動工具12内の制御回路32が備えるメモリ32aの記憶領域の一部を利用したり、二次電池パック29又は充電器30に設けられたメモリの記憶領域の一部を利用したりすればよい。この構成によれば、通信用チップ33が小型かつ安価で済むうえ、専用のメモリを別途設ける必要がない。
・電動工具を充電式としたが、非充電式タイプであるAC電動工具に適用してもよい。AC電動工具でも、例えばモーター診断又はモーター仕様設定などの工具本体関連サービスは提供できる。
・さらに、電動工具の一例としてコンクリート用電動式ドライバーを用いて説明したが、電動工具はこれに限られず、モーターを駆動源にする他の電動工具にも同様に適用できる。例えば、電動式のインパクトドライバー、ハンマードリル、インパクトレンチ、丸鋸、ジグソー、スクリュードライバー、振動ドライバー、グラインダ、釘打機などに適用することができる。この場合、電動工具は、コンクリート用に限定されず、対象の材質は、木、プラスチック、金属、セラミックなどでもよい。
・外部機器は、電動工具又は二次電池パック、充電器に限定されない。外出先などに携帯して使用される場合がある携帯型の電動機器及び携帯型の電子機器などの携帯型機器であればよい。例えばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯型(例えばノート型、タブレット型)のパーソナルコンピュータ(PC)、携帯型洗顔器、携帯型エステ装置、電動シェーバ、電動歯ブラシ、洗浄機、ハンディ式掃除機、携帯型テレビ、携帯型オーディオ機器などの携帯型機器でもよい。また、これらの携帯型機器に電力供給のために装着される二次電池パック、この二次電池パック用の充電器でもよい。