JP6090594B2 - 内燃機関の燃料噴射システム - Google Patents
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Description
ところが、一度の噴射における噴射量を少なくするためにインジェクタへの通電時間を短くすると、特許文献1に記載されているように、インジェクタのニードル弁が全開になったときに生じるバウンス動作に起因する噴射量のばらつきが生じやすくなる。
上記課題を解決するための内燃機関の燃料噴射システムは、吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、気筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、各インジェクタへの通電を制御して各インジェクタを制御する制御装置と、を備えている。
図1に示すように、内燃機関の吸気通路10には、上流側から順に、吸入空気量を検出するエアフロメータ11、吸入空気量を調整するスロットルバルブ12が配設されている。吸気通路10は、スロットルバルブ12が配設されている部分よりも下流側で分岐し、吸気ポート13を介して各気筒の燃焼室14に接続されている。
制御装置50には、エアフロメータ11や圧力センサ47の他、クランクシャフトの回転速度である機関回転速度を算出するためのクランク角信号を出力するクランクポジションセンサ48や内燃機関の冷却水温を検出する水温センサ49などのセンサ類の検出信号が入力される。そして、制御装置50は、これらセンサ類の検出結果に基づき、ポートインジェクタ20、筒内インジェクタ30、高圧燃料ポンプ45などを駆動することによって各種制御を行う。
図2に示すように、筒内インジェクタ30のハウジング31内には、固定コア32が固定されている。ハウジング31内における固定コア32に隣接する位置には、可動コア33が図2における上下方向に摺動可能に収容されている。なお、可動コア33には、ニードル弁36が連結されており、可動コア33の変位に伴ってニードル弁36も図2における上下方向に変位するようになっている。
ハウジング31内における固定コア32の外周部分には、コイル35が配設されている。これにより、筒内インジェクタ30では、コイル35に通電することにより固定コア32が磁化され、可動コア33がスプリング34の付勢力に抗して固定コア32に引き寄せられるようになる。これにより、ニードル弁36が噴孔38から離間して開弁し、燃料が噴孔38を通じて噴射されるようになる。なお、図2に示すように、可動コア33が固定コア32に当接すると、ニードル弁36は全開状態になる。
また、通電時間がTmaxに到った直後も噴射量のばらつきが大きくなる。これは、ニードル弁36が全開になると、可動コア33と固定コア32とが当接するため、可動コア33と固定コア32との衝突によってニードル弁36にバウンス動作が生じ、このバウンス動作に起因してニードル弁36のリフト量が脈動するためである。
しかし、一度の噴射における噴射量を少なくするために筒内インジェクタ30への通電時間を短くすると、筒内インジェクタ30のニードル弁36が全開になったときに生じるバウンス動作に起因する噴射量のばらつきが生じやすくなる。
一方、ステップS130において、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpが、最大パーシャルリフト噴射を3回実行することによって総噴射量と等しい量の燃料を噴射するために必要な燃料圧力FP3よりも大きい旨の判定がなされた場合(ステップS130:YES)には、処理はステップS150へと進む。
こうして最大パーシャルリフト噴射の実行回数を設定すると、処理はステップS180へと進む。そして、制御装置50は、ステップS180において、ポートインジェクタ20による噴射量Qpfiを算出する。
そして、噴射行程をむかえた気筒に対して、設定した実行回数の筒内インジェクタ30による最大パーシャルリフト噴射と、ポートインジェクタ20による噴射量Qpfiの燃料噴射とを実行する。
図5における実線X1は最大パーシャルリフト噴射の実行回数が1回の場合における燃料圧力fpの変化に対する最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiの変化を示している。そして、図5における実線X2は最大パーシャルリフト噴射の実行回数が2回の場合における燃料圧力fpの変化に対する最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiの変化を示している。また、実線X3は最大パーシャルリフト噴射の実行回数が3回の場合における燃料圧力fpの変化に対する最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiの変化を示している。なお、図5では、噴射量の値を「q」で示し、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpの値を「p」で示す。「q」及び「p」に付されている数字の違いは、それぞれの値の大きさが異なることを示し、付されている数字が大きいほどその値が大きいことを示す。
実線X2で示すように、この場合には、最大パーシャルリフト噴射を2回実行することによって「q6」と等しい量の燃料を噴射するために必要な燃料圧力FP2は「p7」になる。また、実線X3で示すように、最大パーシャルリフト噴射を3回実行することによって「q6」と等しい量の燃料を噴射するために必要な燃料圧力FP3は「p3」になる。
(1)筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpに応じて一度の噴射行程における最大パーシャルリフト噴射の実行回数を設定し、最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiと総噴射量とが等しくなる燃料圧力が筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fp以上になる噴射回数の範囲で実行回数を設定する。そのため、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpが変動しても、一度の噴射行程における最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiは総噴射量以下になる。そして、筒内インジェクタ30による最大パーシャルリフト噴射のみでは総噴射量に対して足りない分の燃料をポートインジェクタ20に噴射させるため、精度の高い最大パーシャルリフト噴射を実行しつつ、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpの変動により、噴射量が多くなりすぎてしまうことを抑制することができる。
・最大パーシャルリフト噴射を利用した燃料噴射制御を所定の条件が成立している場合に限って実行するようにしてもよい。その場合には、上記所定の条件が成立している場合に、上記実施形態のように最大パーシャルリフト噴射の実行回数を設定する処理を実行するようにすればよい。
最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiが目標とする量以下になる噴射回数の範囲内で実行回数を設定すれば、一度の噴射行程における最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiは目標とする量である総噴射量以下になる。そのため、噴射量が多くなりすぎてしまうことを抑制することができ、上記実施形態の(1)と同様の効果を得ることができる。
例えば、0〜2回の範囲で実行回数を設定する場合には、図4を参照して説明した一連の処理に替えて、図6に示すような一連の処理を実行するようにすればよい。
また、ステップS120において、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpが、最大パーシャルリフト噴射を2回実行することによって総噴射量と等しい量の燃料を噴射するために必要な燃料圧力FP2よりも大きい旨の判定がなされた場合(ステップS120:YES)には、処理はステップS160へと進む。
また、ステップS110において、筒内インジェクタ30に供給されている燃料圧力fpが、最大パーシャルリフト噴射を1回実行することによって総噴射量と等しい量の燃料を噴射するために必要な燃料圧力FP1よりも大きい旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、処理はステップS170へと進む。
こうして最大パーシャルリフト噴射の実行回数を設定すると、処理はステップS180へと進む。そして、制御装置50は、ステップS180において、ポートインジェクタ20による噴射量Qpfiを算出する。
制御装置50は、この一連の処理を開始すると、まず、ステップS200において、機関回転速度に基づいて燃料噴射に適した期間の間に実行可能な最大パーシャルリフト噴射の回数を算出する。具体的には、機関回転速度に基づいて燃料噴射に適した期間の長さを算出し、算出された期間の間に実行可能な最大パーシャルリフト噴射の回数を、1回の最大パーシャルリフト噴射における通電時間の長さと、各最大パーシャルリフト噴射の間に必要なインターバルの長さとに基づいて算出する。そして、ステップS200を通じて実行可能な噴射回数を算出すると、処理はステップS210へと進む。
ここでは、制御装置50は、一度の噴射行程における最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiが総噴射量以下になる噴射回数の範囲内であり、且つ実行可能な噴射回数の範囲内の噴射回数を実行回数に設定する。そして、ステップS210を通じて実行回数を設定すると、処理はステップS220へと進む。
すなわち、総噴射量から一度の噴射行程における最大パーシャルリフト噴射による噴射量Qdiを引いた差がポートインジェクタ20による噴射量Qpfiとして算出される。
そして、噴射行程をむかえた気筒に対して、設定した実行回数の筒内インジェクタ30による最大パーシャルリフト噴射と、ポートインジェクタ20による噴射量Qpfiの燃料噴射とを実行する。
しかし、精度の高い最大パーシャルリフト噴射の実行回数を極力多くして、精度の高い最大パーシャルリフト噴射を最大限活用し、緻密な燃料噴射制御の実現を図る上では、上記のように、条件を満たす噴射回数のうち、実行可能な噴射回数の中で最大の回数を実行回数に設定する構成を適用することが望ましい。
Claims (5)
- 吸気ポート内に燃料を噴射するポートインジェクタと、気筒内に燃料を噴射する筒内インジェクタと、各インジェクタへの通電を制御して各インジェクタを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、
前記筒内インジェクタのニードル弁が全開に到らないパーシャルリフト噴射の中で通電時間が最も長い最大パーシャルリフト噴射の一度の噴射行程における実行回数を、前記筒内インジェクタに供給されている燃料圧力に基づいて、一度の噴射行程における前記最大パーシャルリフト噴射による噴射量が目標とする量以下になる噴射回数の範囲内で設定し、
前記筒内インジェクタに前記実行回数の前記最大パーシャルリフト噴射を実行させるとともに、
前記筒内インジェクタによる前記最大パーシャルリフト噴射のみでは目標とする量に対して不足する分の燃料を前記ポートインジェクタに噴射させる
内燃機関の燃料噴射システム。 - 一度の噴射行程における前記最大パーシャルリフト噴射による噴射量が目標とする量以下になる噴射回数が存在しない場合には、
前記制御装置が、目標とする量の燃料を全て前記ポートインジェクタから噴射させる
請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射システム。 - 前記制御装置は、一度の噴射行程における前記最大パーシャルリフト噴射による噴射量が目標とする量以下になる噴射回数のうち、最大の噴射回数を前記実行回数に設定する
請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射システム。 - 前記制御装置は、機関回転速度に基づいて一度の噴射行程の間に実行可能な前記筒内インジェクタによる前記最大パーシャルリフト噴射の回数を算出し、算出した実行可能な回数の範囲内で前記実行回数を設定する
請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射システム。 - 前記制御装置は、機関回転速度に基づいて一度の噴射行程の間に実行可能な前記筒内インジェクタによる前記最大パーシャルリフト噴射の回数を算出し、
一度の噴射行程における前記最大パーシャルリフト噴射による噴射量が目標とする量以下になる噴射回数のうち、実行可能な回数の範囲内で最大の噴射回数を、前記実行回数に設定する
請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射システム。
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