JP6007568B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、特に、燃料噴射用のインジェクタとして少なくとも気筒内に直接燃料を噴射する直噴インジェクタを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
従来、この種の燃料噴射制御装置が適用される内燃機関として、同機関の1燃焼サイクル当たりに気筒内に対して複数回の燃料噴射が可能な直噴インジェクタと、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射インジェクタとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の燃料噴射制御装置において、直噴インジェクタからの燃料噴射(以下、筒内噴射という)を行う際には、まず筒内噴射における目標燃料噴射量(以下、直噴目標噴射量という)が求められる。この直噴目標燃料噴射量は、内燃機関全体での要求燃料噴射量、および同要求燃料噴射量を得るうえでの直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとの燃料の噴き分け率に基づいて設定される。これら要求燃料噴射量および噴き分け率は、機関回転速度および機関負荷といった機関運転状態に基づき求められる。そして、直噴目標燃料噴射量が得られるように直噴インジェクタを駆動することで、上記要求燃料噴射量の少なくとも一部が得られるように筒内噴射が行われる。
また、この燃料噴射制御装置では、直噴目標燃料噴射量を得るための筒内噴射を行うに当たり、内燃機関の燃焼悪化が発生した場合には、その筒内噴射を複数回に分割するようにしている。こうした複数回の筒内噴射としては、吸気行程前期での燃料噴射と、吸気行程後期および圧縮行程の少なくともいずれか一方での燃料噴射とに分割することが挙げられる。
このような筒内噴射の分割は、同直噴インジェクタから噴射される燃料全体の直噴目標燃料噴射量を所定の比率に従って上記各燃料噴射ごとの目標燃料噴射量に分割した後、それら目標燃料噴射量が得られるよう直噴インジェクタを駆動することによって実現される。
特開2006−194098号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の燃料噴射制御装置においては、筒内噴射の分割を行うに当たって直噴目標燃料噴射量が所定の比率に従って分割されるだけであり、各燃料噴射における最適な噴射量や、各燃料噴射のうちいずれの燃料噴射を優先するかといった各燃料噴射間の相対的な優先度に関してなんら考慮されていない。したがって、内燃機関の運転状態に応じた各燃料噴射ごとの最適な燃料噴射量を、優先度を考慮して設定することができず、内燃機関の燃焼形態の悪化につながるおそれがある。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、筒内噴射を複数回に分割した場合であっても、内燃機関の運転状態に応じた最適な燃焼形態を実現することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関の1燃焼サイクル当たりに前記内燃機関の気筒内に対し複数回の燃料噴射行程で燃料噴射が可能な直噴インジェクタを備え、機関運転状態に基づき求められる要求燃料噴射量の少なくとも一部が得られるように前記直噴インジェクタからの燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置であって、前記複数回の燃料噴射行程のうち、最も優先度の高い第1燃料噴射行程での燃料噴射に関する第1目標燃料噴射量を機関運転状態に応じた要求値に設定し、前記要求燃料噴射量分の燃料を前記複数回の燃料噴射行程で前記直噴インジェクタから燃料噴射するに当たり、前記第1目標燃料噴射量分の燃料を前記第1燃料噴射行程で燃料噴射するとともに、前記要求燃料噴射量分の燃料のうち、前記第1燃料噴射行程での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料を所定の分担比率に応じて前記第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程に分割して燃料噴射する構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、要求燃料噴射量分の燃料を複数回の燃料噴射行程で直噴インジェクタから燃料噴射するに当たり、第1目標燃料噴射量分の燃料を最も優先度の高い第1燃料噴射行程で燃料噴射するとともに、要求燃料噴射量分の燃料のうち、第1燃料噴射行程での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料を所定の分担比率に応じて第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程に分割して燃料噴射する。このため、優先度の高い第1燃料噴射行程における第1目標燃料噴射量を優先的に確保することができる。また、第1燃料噴射行程よりも優先度の低い他の燃料噴射行程においては、内燃機関における燃焼を悪化させない程度の燃料噴射量を得ることができる。したがって、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、直噴インジェクタからの燃料噴射を複数回に分割した場合であっても、内燃機関の運転状態に応じた最適な燃焼形態を実現することができる。
また、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、上記(1)に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、(2)前記第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程で噴射される各燃料噴射量は、前記要求燃料噴射量に応じて変動し、前記第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程のうち、優先度の低い燃料噴射行程ほど、前記要求燃料噴射量の変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きい構成とした。
この構成により、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程で噴射される各燃料噴射量が要求燃料噴射量に応じて変動するとともに、これら燃料噴射行程のうち、優先度の低い燃料噴射行程ほど要求燃料噴射量の変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きくなるようにした。これにより、要求燃料噴射量の増減があっても優先度の高い燃料噴射行程ほど、機関運転状態に応じた最適な燃料噴射量が確保されることとなる。
また、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、上記目的達成のため、(3)内燃機関の1燃焼サイクル当たりに前記内燃機関の気筒内に対し複数回の燃料噴射行程で燃料噴射が可能な直噴インジェクタを備え、機関運転状態に基づき求められる要求燃料噴射量の少なくとも一部が得られるように前記直噴インジェクタからの燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置であって、前記要求燃料噴射量分の燃料を所定の分担比率に応じて前記複数回の燃料噴射行程ごとに前記直噴インジェクタから燃料噴射するとともに、前記複数回の燃料噴射行程で噴射される各燃料噴射量は、前記要求燃料噴射量に応じて変動し、前記複数回の燃料噴射行程のうち、優先度の低い燃料噴射行程ほど、前記要求燃料噴射量の変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きい構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、要求燃料噴射量分の燃料を所定の分担比率に応じて複数回の燃料噴射行程ごとに直噴インジェクタから燃料噴射するとともに、それら各燃料噴射行程で噴射される各燃料噴射量が要求燃料噴射量に応じて変動するようにした。また、これら複数回の燃料噴射行程のうち、優先度の低い燃料噴射行程ほど要求燃料噴射量の変動時における噴射燃料量の変化の割合が大きくなるようにした。これにより、要求燃料噴射量の増減があっても優先度の高い燃料噴射行程ほど、機関運転状態に応じた最適な燃料噴射量が確保されることとなる。
また、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、上記(1)ないし(3)に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、(4)前記内燃機関は、前記内燃機関の吸気ポートに向けて燃料噴射が可能なポート噴射インジェクタを備え、前記要求燃料噴射量分の燃料のうち、前記直噴インジェクタからの前記複数回の燃料噴射行程での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料を前記ポート噴射インジェクタから噴射させる構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、要求燃料噴射量を得るために、直噴インジェクタからの各燃料噴射量が目標燃料噴射量を越えて多くなり、それらが燃料の燃焼に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。また、ポート噴射インジェクタから燃料を噴射することによって、混合気の好適な均質化を図ることができる。さらに、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとの2種類のインジェクタを有するデュアルタイプの燃料噴射方式を採用する内燃機関に適用されることができる。
本発明によれば、筒内噴射を複数回に分割した場合であっても、内燃機関の運転状態に応じた最適な燃焼形態を実現することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る燃料噴射制御装置が適用される内燃機関の概略構成図である。 直噴インジェクタからの燃料噴射態様を示す説明図である。 直噴インジェクタからの圧縮行程での燃料噴射に関する燃料噴射時期とシリンダ内での燃料の燃焼期間との関係を示すグラフである。 直噴インジェクタからの圧縮行程での燃料噴射が有るときと無いときとでの機関負荷の変化に対する内燃機関の燃費の変化傾向の違いを示すグラフである。 吸気行程における直噴インジェクタでの燃料噴射時期の変化に対するシリンダ内での未燃燃料量の変化を示すグラフである。 直噴インジェクタからの吸気行程前期での燃料噴射における燃料噴射量とノック限界点火時期との関係を示すグラフである。 直噴インジェクタからの吸気行程前期での燃料噴射が有るときと無いときとでの機関負荷の変化に対するノック限界点火時期の変化傾向の違いを示すグラフである。 要求燃料噴射量と直噴インジェクタからの各燃料噴射ごとの燃料噴射量の分担量との関係を示す噴射量分担図である。 直噴インジェクタでの各燃料噴射における目標燃料噴射量およびポート噴射インジェクタでの燃料噴射における目標燃料噴射量の設定手順の概略を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態の変形例に係る噴射量分担図である。 本発明の実施の形態の他の変形例に係る噴射量分担図である。
以下、図1〜図9を参照して、本発明の実施の形態に係る燃料噴射制御装置について説明する。本実施の形態では、燃料噴射制御装置を自動車等に搭載される内燃機関に適用した例について説明する。
本実施の形態では、内燃機関1は、後述するピストン13が気筒としてのシリンダ40内を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行うとともに、圧縮行程および膨張行程の間に点火を行う4サイクルのガソリンエンジンによって構成されているものとして説明する。
図1に示すように、内燃機関1の吸気通路2には、燃焼室3に吸入される空気の量(吸入空気量)を調整すべく開閉動作するスロットルバルブ4が設けられている。このスロットルバルブ4の開度(スロットル開度)は、運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル5の操作量(アクセル操作量)に応じて調整される。また、内燃機関1は、吸気通路2から燃焼室3の吸気ポート2aに向けて燃料を噴射するポート噴射インジェクタ6と、シリンダ40とピストン13とにより形成される燃焼室3内に燃料を噴射する直噴インジェクタ7とを備えている。これら各インジェクタ6、7には、燃料タンク8内に蓄えられた燃料が供給される。
すなわち、燃料タンク8内の燃料は、フィードポンプ9によって汲み上げられた後に低圧燃料配管31を介してポート噴射インジェクタ6に供給される。この低圧燃料配管31内の燃料の圧力は、フィードポンプ9の駆動制御を通じてフィード圧に調整されるとともに、低圧燃料配管31に設けられたプレッシャレギュレータ32によって過上昇しないようにされる。また、フィードポンプ9によって汲み上げられた低圧燃料配管31内の燃料の一部は、高圧燃料ポンプ10で上記フィード圧よりも高圧(以下、直噴圧という)の状態に加圧された後に高圧燃料配管33を介して直噴インジェクタ7に供給される。
内燃機関1においては、各インジェクタ6、7から噴射される燃料と吸気通路2を流れる空気とからなる混合気が燃焼室3に充填され、この混合気に対し点火プラグ12による点火が行われる。そして、点火後の混合気が燃焼すると、そのときの燃焼エネルギによりピストン13が往復移動し、それに伴いクランクシャフト14が回転するようになる。一方、燃焼後の混合気は、排気として排気通路15に送り出される。なお、上記燃焼室3と吸気通路2との間は、クランクシャフト14からの回転伝達を受ける吸気カムシャフト25の回転に伴って開閉動作する吸気バルブ26によって連通・遮断される。また、上記燃焼室3と排気通路15との間は、クランクシャフト14からの回転伝達を受ける排気カムシャフト27の回転に伴って開閉動作する排気バルブ28によって連通・遮断される。
内燃機関1には、吸気バルブ26の開閉特性を可変とする可変動弁機構として、クランクシャフト14に対する吸気カムシャフト25の相対回転位相(吸気バルブ26のバルブタイミング)を変更するバルブタイミング可変機構29が設けられている。このバルブタイミング可変機構29の駆動により、吸気バルブ26の開弁期間(作動角)を一定に保持した状態で吸気バルブ26の開弁時期および閉弁時期がともに進角または遅角される。
次に、本実施の形態に係る電子制御装置16の電気的構成について説明する。
電子制御装置16は、内燃機関1の各種運転制御を行う。電子制御装置16には、上記制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。本実施の形態における電子制御装置16は、本発明に係る燃料噴射制御装置を構成する。
電子制御装置16の入力ポートには、アクセルポジションセンサ17、スロットルポジションセンサ18、エアフローメータ19、クランクポジションセンサ20、カムポジションセンサ21、水温センサ22、第1圧力センサ23、第2圧力センサ24およびノックセンサ30等の各種センサ類が接続されている。
アクセルポジションセンサ17は、アクセル操作量を検出する。スロットルポジションセンサ18は、スロットル開度を検出する。エアフローメータ19は、吸気通路2を通過する空気の量(内燃機関1の吸入空気量)を検出する。クランクポジションセンサ20は、クランクシャフト14の回転に対応した信号を出力する。カムポジションセンサ21は、吸気カムシャフト25の回転に基づき、その回転位置に対応した信号を出力する。水温センサ22は、内燃機関1の冷却水の温度(以下、単に機関水温という)を検出する。第1圧力センサ23は、低圧燃料配管31内の燃料の圧力(フィード圧)を検出する。第2圧力センサ24は、高圧燃料配管33内の燃料の圧力(直噴圧)を検出する。ノックセンサ30は、内燃機関1でのノッキングの発生を検出する。
また、電子制御装置16の出力ポートには、スロットルバルブ4、ポート噴射インジェクタ6、直噴インジェクタ7、点火プラグ12およびバルブタイミング可変機構29といった各種機器の駆動回路等が接続されている。
電子制御装置16は、上記各種センサ等から入力した信号に基づき機関回転速度や機関負荷といった機関運転状態を把握し、その把握した機関運転状態に基づいてスロットルバルブ4、各インジェクタ6、7、フィードポンプ9、点火プラグ12およびバルブタイミング可変機構29といった各種機器の駆動回路に対し指令信号を出力する。こうして内燃機関1のスロットル開度制御、燃料噴射制御、点火時期制御および吸気バルブ26のバルブタイミング制御など、内燃機関1の各種運転制御が電子制御装置16を通じて実施される。
ちなみに、上記機関回転速度は、クランクポジションセンサ20からの検出信号に基づき求められる。また、機関負荷は、内燃機関1の吸入空気量に対応するパラメータと上記機関回転速度とから算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、エアフローメータ19からの検出信号に基づき求められる内燃機関1の吸入空気量の実測値、スロットルポジションセンサ18からの検出信号に基づき求められるスロットル開度およびアクセルポジションセンサ17からの検出信号に基づき求められるアクセル操作量等が挙げられる。
内燃機関1の燃料噴射制御の一つとして行われる燃料噴射量制御は、機関回転速度および機関負荷といった機関運転状態に基づき、内燃機関1全体としての要求燃料噴射量Qfinを求め、その要求燃料噴射量Qfinが得られるようにポート噴射インジェクタ6および直噴インジェクタ7からの燃料噴射を行うことで実現される。このとき、電子制御装置16は、直噴インジェクタ7を駆動することにより、上記機関運転状態に基づき求められる上記要求燃料噴射量Qfinの少なくとも一部が得られるように直噴インジェクタ7からの燃料噴射を行うようになっている。本実施の形態では、後述するように、直噴インジェクタ7は、内燃機関1の1燃焼サイクル当たりに内燃機関1のシリンダ40内に対し複数回の燃料噴射行程に分けて燃料噴射が可能とされる。つまり、直噴インジェクタ7は、内燃機関1の1燃焼サイクル当たりに複数回の燃料噴射が可能である。
直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射としては、内燃機関1における圧縮行程(第1燃料噴射行程)での燃料噴射、吸気行程後期(第2燃料噴射行程)での燃料噴射および吸気行程前期(第3燃料噴射行程)での燃料噴射を行うことが考えられる。これら各燃料噴射における燃料噴射期間の一例を図2に示す。同図に示される第1燃料噴射期間d1では上記圧縮行程での燃料噴射が行われる。また、第2燃料噴射期間d2では上記吸気行程後期での燃料噴射が行われ、第3燃料噴射期間d3では上記吸気行程前期での燃料噴射が行われる。これら第1燃料噴射期間d1、第2燃料噴射期間d2および第3燃料噴射期間d3に関しては、それぞれの間に所定の間隔を必要とする関係などから、そうした所定の間隔等に基づいて定められる最大値が存在している。
ここで、本実施の形態では、上述の各燃料噴射行程には、優先度が設定されており、この優先度に従って要求燃料噴射量Qfinの少なくとも一部が各燃料噴射行程ごとに設定された各目標燃料噴射量に割り当てられる。ポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射を行わない場合には、要求燃料噴射量Qfinの全てが直噴インジェクタ7からの各燃料噴射ごとに設定された各目標燃料噴射量に割り当てられる。本実施の形態では、上記複数回の燃料噴射行程のうち、内燃機関1の点火(点火時期)に近いタイミングの燃料噴射行程ほど優先度を高くしている。つまり、圧縮行程、吸気行程後期、吸気行程前期の順に優先度が高くされる。このような優先度が設定されるのは、上記各燃料噴射行程のうち内燃機関1の点火時期に近いものほど燃料噴射量の違いによる燃料への着火の影響が大きくなることを考慮したためである。
直噴インジェクタ7からの圧縮行程(第1燃料噴射行程)での燃料噴射、吸気行程後期(第2燃料噴射行程)での燃料噴射および吸気行程前期(第3燃料噴射行程)での燃料噴射は、それぞれ以下の[1]〜[3]に示すように良好な機関運転の実現に関係する。
[1]圧縮行程での燃料噴射は、噴射燃料をシリンダ40内の気流等により点火プラグ12周りに集めやすいという特徴を有する。つまり、成層燃焼を実現できる。このため、圧縮行程での燃料噴射は、シリンダ40内の燃料に対する着火を良好なものとして同燃料の燃焼速度を速めることに寄与する。ここで、直噴インジェクタ7での燃料噴射時期とシリンダ40内での燃料の燃焼期間との関係を図3に示す。この図から、燃料噴射時期がタイミングBDC以後(圧縮行程)になると、タイミングBDC以前(吸気行程)のときよりも、シリンダ40内での燃料の燃焼速度が速くなって同燃料の燃焼期間が短くなることが分かる。また、図4は、直噴インジェクタ7からの圧縮行程での燃料噴射が有るときと無いときとでの機関負荷の変化に対する内燃機関1の燃費の変化傾向の違いを示している。この図における直噴インジェクタ7からの圧縮行程での燃料噴射が有るとき(実線)と無いとき(破線)との比較から、圧縮行程での燃料噴射を行うことで内燃機関1の運転領域が高負荷寄りの領域にあるとき、シリンダ40内での燃料の燃焼速度が速くなって内燃機関1の燃費が改善することが分かる。
[2]吸気行程後期での燃料噴射は、ピストン13の移動速度が遅くなって同ピストン13の移動によるシリンダ40内の気流発生が弱くなるとき、噴射燃料によってシリンダ40内の気流を強めることができる(噴流活用)。これにより、吸気行程後期での燃料噴射は、良好な燃料の燃焼を得ることに寄与する。ここで、吸気行程における直噴インジェクタ7での燃料噴射時期の変化に対するシリンダ40内での未燃燃料量の変化を図5に示す。この図から、吸気行程後期での燃料噴射によりシリンダ40内での気流が強められると、シリンダ40内での燃料と空気との混合が促進されて燃料の燃焼が良好に行われることから、シリンダ40内での未燃燃料量が減少することが分かる。
[3]吸気行程前期での燃料噴射は、ピストン13の頂部に対し直接的に噴射燃料を付着させることが可能になるため、その燃料の気化潜熱によってピストン13の頂部を冷却すること(気筒冷却)、ひいては内燃機関1でのノッキングの発生を抑制することに寄与する。ここで、直噴インジェクタ7からの吸気行程前期での燃料噴射における燃料噴射量と、内燃機関1の点火時期をノッキングが生じない限界まで進角させたときの同点火時期(ノック限界点火時期)との関係を図6に示す。この図から、上記吸気行程前期での燃料噴射量を多くするほどピストン13の頂部が効果的に冷卸され、それによってノック限界点火時期が進角することが分かる。また、図7は、直噴インジェクタ7からの吸気行程前期での燃料噴射が有るときと無いときとでの機関負荷の変化に対するノック限界点火時期の変化の傾向の違いを示している。この図における直噴インジェクタ7からの吸気行程前期での燃料噴射が有るときのノック限界点火時期(実線)と無いときのノック限界点火時期(二点鎖線)との比較から、吸気行程前期での燃料噴射を行うことでノック限界点火時期を進角できることが分かる。このように、ノック限界点火時期を進角させることにより、内燃機関1の運転領域が高負荷寄りの領域にあるとき、ノック限界点火時期が内燃機関1において出力トルクを最大とすることの可能な点火時期(MBT)に近づけられる。このMBTは、図中に破線で示されている。
次に、本実施の形態に係る電子制御装置16の動作について説明する。
電子制御装置16では、内燃機関1における要求燃料噴射量Qfinが得られるよう直噴インジェクタ7およびポート噴射インジェクタ6から燃料を噴射する際、次のように直噴インジェクタ7およびポート噴射インジェクタ6が駆動される。すなわち、まず直噴インジェクタ7からの圧縮行程、吸気行程後期および吸気行程前期のうち、最も優先度の高い圧縮行程に関する目標燃料噴射量Qd1を機関運転状態に応じた要求値に設定する。そして、目標燃料噴射量Qd1を割り当て後の要求燃料噴射量Qfinの残量を所定の分担比率に応じて吸気行程後期と吸気行程前期の各燃料噴射に振り分け、各目標燃料噴射量Qd2、Qd3とする。このとき、要求燃料噴射量Qfinが比較的大きければ、各目標燃料噴射量Qd2、Qd3は、それぞれ機関運転状態に応じた要求値に設定されることとなる。一方で、要求燃料噴射量Qfinが比較的小さければ、各目標燃料噴射量Qd2、Qd3がそれぞれ機関運転状態に応じた要求値に満たないこともある。
そして、このように設定された上記各燃料噴射ごとの目標燃料噴射量Qd1〜Qd3が得られるよう、それら目標燃料噴射量Qd1〜Qd3に基づいて直噴インジェクタ7が駆動される。
ところで、直噴インジェクタ7からの圧縮行程での燃料噴射、吸気行程後期での燃料噴射および吸気行程前期での燃料噴射に関するそれぞれの目標燃料噴射量Qd1〜Qd3の合計値が上記要求燃料噴射量Qfinに満たない可能性もある。この場合、直噴インジェクタ7からの圧縮行程での燃料噴射、吸気行程後期での燃料噴射および吸気行程前期での燃料噴射によっては、要求燃料噴射量Qfin分の燃料を噴射しきれなくなる。しかし、このときには要求燃料噴射量Qfin分の燃料のうち、上記直噴インジェクタ7からの各燃料噴射によっては噴射しきれない分の燃料量がポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射における目標燃料噴射量Qpに設定される。そして、このように設定された目標燃料噴射量Qpが得られるよう、その目標燃料噴射量Qpに基づくポート噴射インジェクタ6の駆動が行われる。
ここで、直噴インジェクタ7からの各燃料噴射では、それぞれ目標燃料噴射量Qd1〜Qd3を越えて過度に多くなったとすると、かえって燃料の燃焼に悪影響を及ぼすおそれがある。
こうしたことを考慮して、要求燃料噴射量Qfin分の燃料のうち、直噴インジェクタ7からの圧縮行程での燃料噴射、吸気行程後期での燃料噴射および吸気行程前期での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料は、ポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射によって噴射される。このため、要求燃料噴射量Qfinを得るために、各期間における直噴インジェクタ7からの各燃料噴射量がそれぞれの目標燃料噴射量を越えて多くなり、それらが燃料の燃焼に悪影響を及ぼすことを抑制できる。また、ポート噴射インジェクタ6から燃料を噴射することによって、混合気の好適な均質化を図ることができる。
次に、図8を参照して、直噴インジェクタ7による各燃料噴射行程ごとの要求燃料噴射量Qfinの配分について説明する。図8では、要求燃料噴射量Qfinに応じた各燃料噴射行程ごとに振り分けられる各燃料噴射量のそれぞれの分担量を示している。
図8に示すように、本実施の形態では、圧縮行程、吸気行程後期および吸気行程前期での各燃料噴射行程のうち、最も優先度の高い圧縮行程での燃料噴射における燃料噴射量は要求燃料噴射量Qfinの増減に関わらず一定となっている。具体的には、圧縮行程での燃料噴射では、要求燃料噴射量Qfinの分担に関して他の噴射行程よりも優先的に、機関運転状態に応じた要求値となるよう目標燃料噴射量Qd1が設定される。すなわち、圧縮行程での燃料噴射においては、要求燃料噴射量Qfinの増減に関わらず機関運転状態に応じた最適な目標燃料噴射量Qd1が確保される。これにより、圧縮行程での燃料噴射において最適な燃料噴射量が確保され、最適な成層燃焼を実現することができる。ここで、圧縮行程での燃料噴射において最適な燃料噴射量が確保されない場合、例えば同行程での燃料噴射量が目標燃料噴射量Qd1に満たない場合には、上述した成層燃焼の実現が困難となる。本実施の形態では、上述の通り、圧縮行程での燃料噴射では、他の燃料噴射行程よりも優先的に最適な燃料噴射量が確保されるので前述のような問題が回避される。
これに対して、圧縮行程以外の複数の燃料噴射行程、すなわち吸気行程後期および吸気行程前期の各燃料噴射では、各燃料噴射量が要求燃料噴射量Qfinの増減に応じて変動するようになっている。より詳細には、これら吸気行程後期および吸気行程前期のうち、優先度の低い燃料噴射行程である吸気行程前期の方が、要求燃料噴射量Qfinの変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きくなるように各燃料噴射量の分担量が定められている。つまり、本実施の形態では、優先度の低い燃料噴射行程ほど要求燃料噴射量Qfinの変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きくなるようにしている。
要求燃料噴射量QfinがQfin1からQfin2に増加したときを例にとると、このときの吸気行程前期の燃料噴射量の変化の割合(変化率)αは、吸気行程後期の燃料噴射量の変化の割合(変化率)βよりも大きいものとなる(α>β)。なお、このときの圧縮行程の燃料噴射量の変化の割合(変化率)は、1である。
ここで、例えば要求燃料噴射量Qfin2のとき、各燃料噴射行程の燃料噴射量のそれぞれが最適な燃料噴射量(要求値に対応した目標燃料噴射量に相当)であるとした場合について考える。要求燃料噴射量QfinがQfin2からQfin1に減量されると、吸気行程前期の方が吸気行程後期よりも燃料噴射量の変化の割合(変化率)が大きいので、吸気行程後期に比べて吸気行程前期の燃料噴射量が大きく減量される。この場合、吸気行程前期での燃料噴射は、優先度が低いので燃料噴射量が大きく減量されても内燃機関1の燃焼の形態に与える影響は少ない。これに対して、吸気行程前期よりも優先度の高い吸気行程後期では、吸気行程前期よりも燃料噴射量の変化の割合(変化率)が小さいので、燃料噴射量の減量は小さい。このため、吸気行程後期では、燃料噴射量が減量されるものの、要求燃料噴射量Qfin2においても最適な燃料噴射量に近い燃料噴射量を得ることができる。なお、圧縮行程では、燃料噴射量の変化がないので、要求燃料噴射量Qfin2においても最適な燃料噴射量を得ることができる。
次に、図9を参照して噴射量算出ルーチンについて説明する。この噴射量算出ルーチンは、電子制御装置16を通じて所定クランク角ごとの角度割り込みにて周期的に実行される。
図9に示すように、同ルーチンにおいて、電子制御装置16は、まず機関回転速度および機関負荷といった機関運転状態に基づき内燃機関1の要求燃料噴射量Qfinを求める(ステップS1)。
次いで、電子制御装置16は、機関運転状態および直噴圧に基づき、直噴インジェクタ7における圧縮行程での燃料噴射量を、そのときの機関運転状態にとって最適な値(上記要求値)とするための第1燃料噴射期間d1を算出し、これに直噴圧を乗算することで目標燃料噴射量Qd1を算出する(ステップS2)。
次いで、電子制御装置16は、要求燃料噴射量Qfinから目標燃料噴射量Qd1を減算することにより残量Q1を算出する(ステップS3)。
その後、電子制御装置16は、残量Q1を所定の分担比率に応じて、直噴インジェクタ7からの吸気行程後期での燃料噴射における目標燃料噴射量Qd2、および吸気行程前期での燃料噴射における目標燃料噴射量Qd3に割り当てる(ステップS4)。上記所定の分担比率は、図8で示したように、各燃料噴射行程の燃料噴射量の変化の割合(変化率)に応じて変動するものであり、ステップS1で要求された要求燃料噴射量Qfinに応じた分担比率とされる。例えば、図8に示すように、要求燃料噴射量Qfin1のときは、吸気行程後期の分担比率が吸気行程前期の分担比率よりも大きいが、要求燃料噴射量Qfin2のときは、吸気行程後期と吸気行程前期とで分担比率が略同等となる。
また、目標燃料噴射量Qd2、Qd3は、それぞれ機関運転状態や直噴圧および上述の所定の分担比率に基づき各燃料噴射期間d2、d3を算出し、これに直噴圧を乗算することによって算出することができる。
次いで、電子制御装置16は、目標燃料噴射量Qd1〜Qd3に割り当て後の要求燃料噴射量Qfinに残量があるか否かを判定する(ステップS5)。電子制御装置16は、要求燃料噴射量Qfinから目標燃料噴射量Qd1〜Qd3の合計値を減算した値が0より大きいか否かを判定することにより、要求燃料噴射量Qfinに残量があるか否かを判定することができる。
電子制御装置16は、要求燃料噴射量Qfinに残量があると判定した場合には、その残量をポート噴射インジェクタ6での燃料噴射における目標燃料噴射量Qpとして設定して(ステップS6)、本ルーチンを終了する。一方、電子制御装置16は、要求燃料噴射量Qfinに残量がないと判定した場合には、ステップS6に移行することなく本ルーチンを終了する。
ここで、上述の噴射量算出ルーチンにおいて、各燃料噴射期間d1〜d3は、概略的には以下の手順に従って電子制御装置16により算出される。
すなわち、電子制御装置16は、機関回転速度および機関負荷に基づきマップを参照して第1燃料噴射期間d1を算出する。算出された第1燃料噴射期間d1は、噴射された燃料をシリンダ40内における点火プラグ12周りに着火しやすい混合気(弱リッチ混合気)を形成可能な値となるよう、例えば機関負荷が大きくなるほど、かつ機関回転速度が高くなるほど大きい値になる。さらに、第1燃料噴射期間d1は、その最大値を越えて大きくならないようガードされる。
また、電子制御装置16は、上記所定の分担比率に応じて第2燃料噴射期間d2および第3燃料噴射期間d3を算出する。また、これら第2燃料噴射期間d2および第3燃料噴射期間d3は、その最大値を越えて大きくならないようガードされる。
以上のように、本実施の形態に係る電子制御装置16は、要求燃料噴射量Qfin分の燃料を複数回の燃料噴射行程(圧縮行程、吸気行程後期および吸気行程前期)で直噴インジェクタ7から燃料噴射するに当たり、要求値に応じた第1目標燃料噴射量Qd1分の燃料を最も優先度の高い圧縮行程で燃料噴射する。また、要求燃料噴射量Qfin分の燃料のうち、圧縮行程での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料を所定の分担比率に応じて第1燃料噴射行程以外の複数の燃料噴射行程(吸気行程後期および吸気行程前期)に分割して燃料噴射する。このため、優先度の高い圧縮行程における要求値に応じた第1目標燃料噴射量Qd1を優先的に確保することができる。また、圧縮行程よりも優先度の低い他の燃料噴射行程(吸気行程後期および吸気行程前期)においては、内燃機関1における燃焼を悪化させない程度の燃料噴射量を得ることができる。したがって、本実施の形態に係る電子制御装置16は、直噴インジェクタ7からの燃料噴射を複数回に分割した場合であっても、内燃機関1の運転状態に応じた最適な燃焼形態を実現することができる。
また、本実施の形態に係る電子制御装置16は、圧縮行程以外の複数の燃料噴射行程(吸気行程後期および吸気行程前期)で噴射される各燃料噴射量が要求燃料噴射量Qfinに応じて変動するとともに、これら吸気行程後期および吸気行程前期のうち、優先度の低い燃料噴射行程(吸気行程前期)ほど要求燃料噴射量Qfinの変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きくなるようにした。これにより、要求燃料噴射量Qfinの増減があっても優先度の高い燃料噴射行程(吸気行程後期)ほど、機関運転状態に応じた最適な燃料噴射量が確保されることとなる。
また、本実施の形態に係る電子制御装置16は、直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射(圧縮行程、吸気行程後期および吸気行程前期における各燃料噴射)のうち、内燃機関1の点火に近いタイミングの燃料噴射ほど優先度を高くした。これは、直噴インジェクタ7からの各燃料噴射のうち、内燃機関1の点火時期に近いものほど燃料噴射量の違いによる燃料への着火の影響が大きくなり、その関係から上記各燃料噴射のうち点火時期に近いものほど優先度が高くなるためである。これにより、燃料への着火の影響が大きい燃料噴射ほど、優先的に目標燃料噴射量を確保できるので、内燃機関1の燃焼状態を良好なものとすることができる。
なお、本実施の形態では、ポート噴射インジェクタ6および直噴インジェクタ7を備えた内燃機関1に適用される電子制御装置16について説明したが、これに限らず、例えば直噴インジェクタ7のみを備えた内燃機関に適用することも可能である。この場合、各目標燃料噴射量Qd1〜Qd3の合計値が要求燃料噴射量Qfinに満たないときには、その満たない分の燃料量を所定の分担比率に応じて吸気行程後期および吸気行程前期での燃料噴射によって直噴インジェクタ7から噴射させることが好ましい。この場合、吸気行程後期よりも吸気行程前期での燃料噴射量の変化の割合が大きいので、優先度の最も低い吸気行程前期で噴射される燃料量が大きくなる。また、吸気行程後期では、燃料噴射量の変化の割合が小さいので吸気行程前期と比べて比較的要求値に近い燃料噴射量となる。なお、その満たない分の燃料量を吸気行程前期での燃料噴射によって直噴インジェクタ7から噴射させることも可能である。これにより、要求燃料噴射量Qfin分の燃料のうち、圧縮行程および吸気行程後期で噴射しきれない分の燃料が吸気行程後期および吸気行程前期、あるいは吸気行程前期においてシリンダ40内に噴射される。
このような燃料噴射を行うことで、要求燃料噴射量Qfinを得るために圧縮行程での燃料噴射における燃料噴射量が目標燃料噴射量Qd1を越えて多くなることを防止できる。さらに、吸気行程後期での燃料噴射における燃料噴射量が、それぞれ目標燃料噴射量Qd2を過度に越えて多くなることを防止できる。これによって、燃料の燃焼に悪影響を及ぼすことを抑制できる。なお、こうした直噴インジェクタ7の燃料噴射態様は、本実施の形態のようにポート噴射インジェクタ6および直噴インジェクタ7を備えた内燃機関1の燃料噴射制御に採用することも可能である。
また、本実施の形態では、直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射として1燃焼サイクル当たりに3回行う構成としたが、これに限らず、例えば4回以上行うようにしてもよい。さらに、圧縮行程における直噴インジェクタ7からの燃料噴射としては、例えば圧縮行程前期および圧縮行程後期に分割してもよい。すなわち、本実施の形態に示す直噴インジェクタ7の噴射態様は、一例であって、これに限定されるものではない。
また、本実施の形態では、直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射行程のうち、内燃機関1の点火(点火時期)に近いタイミングの燃料噴射行程ほど優先度を高くしたが、これに限らず、優先度を適宜変更してもよい。すなわち、本実施の形態に示す優先度は、一例であって、これに限定されるものではない。
以下に、その他の優先度の例について説明する。
例えば、図10に示すように、直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射行程のうち、吸気行程後期、圧縮行程、吸気行程前期の順に優先度を高くすることも可能である。この場合、吸気行程後期での燃料噴射において最適な燃料噴射量を確保することができるので、噴射燃料によってシリンダ40内の気流を強めて良好な燃料の燃焼を得ることができる。
また、内燃機関1のシリンダ40内の温度が過度に上昇してノッキングが発生しやすい運転状態にあるときなどは、吸気行程前期での燃料噴射の優先度を高くすることも可能である。
ここで、圧縮行程での燃料噴射は、上述した通り成層燃焼の実現に寄与する一方で、噴射燃料が多くなると、排気中の未燃HC成分や、排気中のPM(particulate matter)の粒子数であるPNが増大するおそれがある。また、吸気行程後期での燃料噴射は、上述した通り噴流活用という利点を有する一方で、噴射燃料が多くなると、気化しない燃料がピストンや吸気バルブ等に付着し、PN発生源となり得る。また、吸気行程前期での燃料噴射は、上述した通り気筒冷却に寄与する一方で、噴射燃料が多くなると、燃料が気化せずに潤滑オイルと混ざる燃料希釈が生ずるおそれがある。このように、各燃料噴射行程では、噴射燃料が多くなると背反が生ずるおそれがある。
したがって、各燃料噴射行程の利点と、噴射燃料が多くなることによる背反とを考慮して、直噴インジェクタ7からの燃料噴射の優先度の態様として、種々の優先態様をとることができる。例えば、気筒冷却を優先する一方で、燃料希釈を回避したいような場合には、吸気行程前期での燃料噴射の優先度を吸気行程後期よりも高くすればよい。
さらに、本実施の形態では、図8に示すように、直噴インジェクタ7からの複数回の燃料噴射行程のうち、圧縮行程での燃料噴射における燃料噴射量を優先的に確保する目的で、圧縮行程の分担量を一定とし、吸気行程後期および吸気行程前期の分担量を変動させるようにしたが、これに限らず、例えば図11に示すように、各燃料噴射行程の分担量をそれぞれ変動させるようにしてもよい。この場合であっても、燃料噴射行程の優先度に従って、優先度の低い燃料噴射行程ほど、要求燃料噴射量Qfinの変動時における燃料噴射量の変化の割合が大きくなるように各燃料噴射量の分担量が定められている。また、この場合にあっても、上記優先度は適宜変更可能である。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の燃料噴射制御装置は、筒内噴射を複数回に分割した場合であっても、内燃機関の運転状態に応じた最適な燃焼形態を実現することができ、燃料噴射用のインジェクタとして少なくとも気筒内に直接燃料を噴射する直噴インジェクタを備えた内燃機関の燃料噴射制御装置に有用である。
1 内燃機関
2a 吸気ポート
6 ポート噴射インジェクタ
7 直噴インジェクタ
16 電子制御装置(内燃機関の燃料噴射制御装置)
40 シリンダ(気筒)

Claims (3)

  1. 内燃機関の1燃焼サイクル当たりに前記内燃機関の気筒内に対し複数回の燃料噴射が可能な直噴インジェクタを備え、機関運転状態に基づき求められる要求燃料噴射量の少なくとも一部が得られるように前記直噴インジェクタからの燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置であって、
    前記複数回の燃料噴射に対応して前記燃焼サイクルの吸気行程および圧縮行程中に互いに時期が異なる第1、第2および第3の燃料噴射期間を設定するとともに、前記第1ないし第3の燃料噴射期間のうち前記機関運転状態に対し最も優先度の高い特定の燃料噴射期間を設定し、
    前記要求燃料噴射量の少なくとも一部の燃料を所定の分担比率に応じて前記第1ないし第3の燃料噴射期間に分割して前記直噴インジェクタから燃料噴射するとともに、
    前記第1ないし第3の燃料噴射期間における燃料噴射量の前記分担比率は、前記要求燃料噴射量に応じて変化し、
    前記第1ないし第3の燃料噴射期間のうち前記機関運転状態に対し優先度の低い燃料噴射期間では、前記優先度の高い前記特定の燃料噴射期間に対して、前記要求燃料噴射量の変化時における前記燃料噴射量の変化の割合が大きいことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記第1ないし第3の燃料噴射期間のうち前記機関運転状態に対し優先度の低い燃料噴射期間ほど、前記要求燃料噴射量の変化時における前記燃料噴射量の変化の割合が大きいことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記内燃機関は、前記内燃機関の吸気ポートに向けて燃料噴射が可能なポート噴射インジェクタを備え、
    前記要求燃料噴射量分の燃料のうち、前記直噴インジェクタからの前記第1ないし第3の燃料噴射期間での燃料噴射によって噴射しきれない分の燃料を前記ポート噴射インジェクタから噴射させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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