以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
以下、本発明の搬送台車の実施形態について、製造工場において部品を搬送する場合を例に図面を参照して説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本実施形態に係る搬送台車1を模式図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。該搬送台車1は、製造工場内で直進部分及び旋回部分を含む搬送経路Lに沿って走行する。
上記搬送台車1は、例えば電動で走行する牽引車3と、該牽引車3に牽引されて走行する2台の台車5,7と、によって構成されている。これら2台の台車5,7は連結アーム9(連結部材)を介して直列に連結されており、該牽引車3は直列方向一方側の第1台車5又は直列方向他方側の第2台車7に連結可能であり、これら2台の台車5,7を直列方向一方又は他方に牽引する。なお、図1では、上記牽引車3が直列方向一方側の上記第1台車5に連結された状態を示し、図1(b)では牽引車3を省略している。
上記搬送経路Lの床面上には、磁気テープ(図示せず)が敷設されている。上記牽引車3は、該磁気テープを検出しつつ自走し、上記第1台車5及び第2台車7を上記搬送経路Lに沿って牽引して上記各台車5,7に積載された部品等を搬送する。
上記第1台車5及び第2台車7は、略同一の構成である。そこで、ここでは、上記第1台車5の具体的な構成について説明し、上記第2台車7の構成についての説明を省略する。
上記第1台車5は、部品等が積載される直列方向に長い矩形状の荷台11を有し、この荷台11の長手方向両端に一対の車軸13,15が設けられている。なお、図1(a)では、上記荷台11の下側の構造を把握しやすくするため、該荷台11を仮想線で示している。
一方側の上記車軸13(以下、第1車軸13という。)は、上記荷台11に水平方向に回動自在に取り付けられている。該第1車軸13の両端には、車輪13a,13aが取り付けられている。また、上記第1車軸13の中央部には、直列方向一方側に延びる軸支アーム17が固定されており、該軸支アーム17の先端部に牽引車連結バー19(レバー機構)が上下方向に回動自在に軸支されている。該牽引車連結バー19の先端部には、上記牽引車3から延びる牽引アーム3aが水平方向に回動自在に連結されている。したがって、上記牽引車3が直進走行から旋回すると、上記牽引アーム3aによって上記牽引車連結バー19が上記牽引車3の走行方向に牽引される。次いで、上記牽引車連結バー19が軸支アーム17を介して固定されているため、上記第1車軸13は上記牽引車連結バー19と同じ方向に転向する。その結果、上記第1車軸13は、上記牽引車3と同じ旋回方向に転向する。
他方側の上記車軸15(以下、第2車軸15という。)は、上記第1車軸13と同様に、上記荷台11に水平方向に回動自在に取り付けられている。該第2車軸15の両端には、車輪15a,15aが取り付けられている。上記第2車軸15の中央部には、直列方向他方側に延びて上記連結アーム9が連結される矩形板状の被連結板部21(被連結部材)が固定されている。該被連結板部21には、上記連結アーム9の一端部が水平方向に回動自在に連結されている。
上記連結アーム9は、直列方向に延びる矩形板状のアーム本体9aを有している。該アーム本体9aの長手方向両端部には、上記第1台車5及び第2台車7の上記被連結板部21にそれぞれ水平方向に回動自在に連結される略矩形板状の連結板部9bが設けられている。該連結板部9bは、上記被連結板部21と略同一幅を有している一方、上記アーム本体9aよりも太幅である。
上記被連結板部21には、上下方向に回動して上記連結アーム9の回動動作を規制するロック部材23が設けられている。該ロック部材23は、下方に開口するコ字状をなし、上記被連結板部21の上面に、直列方向と直交する水平な軸周りに回動するように設けられた矩形板状の回動板部23aと、該回動板部23aの幅方向両端から上記被連結板部21側に延びて互いに対向する一対の側板部23b,23b(規制部材)と、を有している。上記回動板部23aは、上記被連結板部21よりも僅かに太幅である。したがって、上記回動板部23aが上下方向に回動することにより、上記一対の側板部23b,23bは、上記連結アーム9と被連結板部21との連結部分の両側、即ち、上記連結板部9b及び被連結板部21の幅方向両側で上下方向に回動する。
そして、上記回動板部23aが下方に回動して上記側板部23b,23bが上記連結アーム9及び上記被連結板部21の連結部分の両側に位置する状態で、上記連結板部9bが上記側板部23b,23bに当接し、上記連結アーム9の水平方向の回動動作を規制する。一方、上記回動板部23aが上方に回動して上記側板部23b,23bが上記連結部分の両側に位置しない状態で、上記連結板部9bが上記側板部23b,23bに当接せず、上記連結アーム9の水平方向の回動動作を許容する。したがって、上記ロック部材23は、上記連結アーム9の水平方向の回動動作を規制するロック機構を構成している。
また、上記ロック部材23と上記牽引車連結バー19とは、リンク機構25によって連結されている。該リンク機構25は、上記牽引車連結バー19の基端部に設けられたバー側リンク25aと、上記ロック部材23の回動板部23a上面に設けられたロック側リンク25bと、これらロック側リンク25bとバー側リンク25aとを連結するシャフト25cと、を有している。該シャフト25cは、上記荷台11の上方において直列方向に延びており、その両端部は、上記バー側リンク25a及びロック側リンク25bに水平方向に回動時材に連結されている。また、上記バー側リンク25a及びロック側リンク25bは、それぞれ上記牽引車連結バー19及びロック部材23に直列方向に回動自在に連結されている。
そして、上記牽引車連結バー19が押し下げられた状態から連結アーム9側に跳ね上げられると、上記シャフト25cによって上記ロック部材23が連結アーム9側に押され、該ロック部材23が下方に回動し、上記連結アーム9の水平方向の回動動作が規制される一方、上記牽引車連結バー19が跳ね上げられた状態から反連結アーム9側に押し下げられると、上記シャフト25cによって上記ロック部材23が反連結アーム9側に引っ張られ、該ロック部材23が上方に回動し、上記連結アーム9の水平方向の回動動作が許容される。
このように、上記牽引車連結バー19、ロック部材23及びリンク機構25は、上記牽引車連結バー19の連結アーム9側への回動操作により上記一対の側板部23b,23bを下方に回動させて上記連結アーム9の水平方向の回動動作の規制を有効とするロック状態とする一方、上記牽引車連結バー19の反連結アーム9側への回動操作により上記一対の側板部23b,23bを上方に回動させて上記連結アーム9の水平方向の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする切替手段を構成している。
一方、上記第1車軸13及び第2車軸15は、筋交い状の車軸連結リンク27によって連結されている。該車軸連結リンク27の一端は、上記第1車軸13の一端部に水平方向に回動自在に軸支されていると共に、他端は、上記第2車軸15の他端部に水平方向に回動自在に軸支されている。
そして、上記牽引車3が直進走行から旋回すると、上記の如く、上記第1車軸13は上記牽引車3と同じ方向に転向する。このとき、該第1車軸13と上記第2車軸15とを上記車軸連結リンク27が筋交い状に連結しているため、上記第2車軸15が上記第1車軸13の転向方向と逆方向に転向する。このように、上記車軸連結リンク27は、上記牽引車3が旋回した場合に、反牽引車3側の車軸、即ち上記第2車軸15を、牽引車3側の車軸、即ち上記第1車軸13の転向方向と逆方向に転向させる車軸転向手段を構成している。
上記構成を備えた第1台車5及び第2台車7は、第1台車5の牽引車連結バー19が直列方向一方側を向くと共に、第2台車7の牽引車連結バー19が直列方向他方側を向いた状態で、連結アーム9によって連結されている。さらに、第1台車5の牽引車連結バー19に牽引車3が連結されている。
具体的には、図1(b)に示すように、第1台車5の牽引車連結バー19を直列方向一方側、即ち牽引車3側に押し下げ、連結アーム9の直列方向一方側端部(直列方向一方側の連結板部9b)の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。また、第2台車7の牽引車連結バー19を直列方向一方側、即ち牽引車3側に跳ね上げ、連結アーム9の直列方向他方側端部(直列方向他方側の連結板部9b)の回動動作の規制を有効とするロック状態とする。これにより、連結アーム9は、牽引車3側の第1台車5に水平方向に回動自在に連結されると共に、反牽引車3側の第2台車7における牽引車3側の車軸、即ち第2車軸15に固定される。そして、下方に押し下げられた第1台車5の牽引車連結バー19に牽引車3の牽引アーム3aが水平方向に回動自在に連結される。
そして、直列方向一方に直進走行する牽引車3が例えば左に旋回すると、牽引車3の牽引アーム3aが左に旋回し、それに追随して第1台車5の牽引車連結バー19が左に旋回する。次いで、図2(a)に示すように、牽引車連結バー19が固定された牽引車3側の第1車軸13が左回りに回動して左向きとなる。第1車軸13が左向きとなると、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第2車軸15が右回りに回動して右向きとなる。このように反牽引車3側の第2車軸15が牽引車3側の第1車軸13と逆向きに転向することにより、第2車軸15に設けられた車輪15a,15aの旋回半径が、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第1台車5は、内輪差を生じることなく牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
続いて、第1台車5に連結された連結アーム9は、該第1台車5の第2車軸15に水平方向に回動自在なため、左に旋回する。そして、この連結アーム9に後続する第2台車7の牽引車3側の第2車軸15に連結アーム9が固定されているので、該連結アーム9と同様に左回りに回動して左向きとなる。そして、図2(b)に示すように、第2車軸15が左向きとなると、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第1車軸13が右回りに回動して右向きとなる。このように、反牽引車3側の第1車軸13が牽引車3側の第2車軸15と逆向きに転向することにより、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径が、第2車軸15に設けられた車輪15a,15aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第2台車7は、内輪差を生じることなく第1台車5と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。そして、上記の如く第1台車5は牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行するので、第2台車7も牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
以上より、第1台車5及び第2台車7は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
なお、牽引車3が直進走行から右に旋回する場合も、左に旋回する場合と同様に、第1台車5及び第2台車7は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
次に、牽引車3を第1台車5及び第2台車7の直列方向他方側に配置し、牽引車3を第2台車7に連結する場合について、図3及び図4を参照して説明する。
この場合、第1台車5の牽引車連結バー19が直列方向一方側を向くと共に、第2台車7の牽引車連結バー19が直列方向他方側を向いた状態で、両台車5,7が連結アーム9によって連結され、さらに、第2台車7が牽引車3に連結されている。
具体的には、図3(b)に示すように、第1台車5の牽引車連結バー19を直列方向他方側、即ち牽引車3側に跳ね上げ、連結アーム9の直列方向一方側端部(直列方向他方側の連結板部9b)の回動動作の規制を有効とするロック状態とする。また、第2台車7の牽引車連結バー19を直列方向他方側、即ち牽引車3側に押し下げ、連結アーム9の直列方向他方側端部(直列方向他方側の連結板部9b)の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。これにより、連結アーム9は、反牽引車3側の第1台車5における牽引車3側の車軸、即ち第2車軸15に固定されると共に、牽引車3側の第2台車7に水平方向に回動自在に連結される。そして、下方に押し下げられた第2台車7の牽引車連結バー19に牽引車3の牽引アーム3aが水平方向に回動自在に連結される。なお、図3(b)では、牽引車3を省略している。
そして、直列方向他方に直進走行する牽引車3が例えば右に旋回すると、牽引車3の牽引アーム3aが右に旋回し、それに追随して第2台車7の牽引車連結バー19が右に旋回する。そして、牽引車連結バー19が固定された牽引車3側の第1車軸13が右回りに回動して右向きとなる。第1車軸13が右向きとなると、図4(a)に示すように、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第2車軸15が左回りに回動して左向きとなる。このように反牽引車3側の第2車軸15が牽引車3側の第1車軸13と逆向きに転向することにより、第2車軸15に設けられた車輪15a,15aの旋回半径が、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第2台車7は、内輪差を生じることなく牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
続いて、第2台車7に連結された連結アーム9は、該第2台車7に水平方向に回動自在に連結されているため、右に旋回する。そして、この連結アーム9に後続する第1台車5の牽引車3側の第2車軸15は、連結アーム9が固定されているので、該連結アーム9と同様に右回りに回動して右向きとなる。第2車軸15が右向きとなると、図4(b)に示すように、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第1車軸13が左回りに回動して左向きとなる。このように、反牽引車3側の第1車軸13が牽引車3側の第2車軸15と逆向きに転向することにより、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径が、第2車軸15の車輪15a,15aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第1台車5は、内輪差を生じることなく第2台車7と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。そして、上記の如く第2台車7は牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行するので、第1台車5も牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
以上より、第1台車5及び第2台車7は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
なお、牽引車3が直進走行から左に旋回する場合も、右に旋回する場合と同様に、第2台車7及び第1台車5は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
−発明の実施形態1の効果−
上記実施形態によれば、上記の如く、第1台車5及び第2台車7を直列方向一方及び他方のいずれの方向に牽引する場合にも、全ての台車5,7を牽引車3と同一軌跡上に走行させることが可能となる。
また、上記実施形態によれば、牽引車3が直列方向一方側の第1台車5に連結される場合には、第1台車5の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23によって連結アーム9の第1台車5に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とすると共に、第2台車7の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23による連結アーム9の第2台車7に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とする。
一方、牽引車3が直列方向他方側の第2台車7に連結される場合には、第1台車5の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23による連結アーム9の第1台車5に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とすると共に、第2台車7の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23による連結アーム9の第2台車7に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。
このように、第1台車5及び第2台車7にそれぞれ設けられた牽引車連結バー19を操作するという比較的簡単な作業で連結状態切替作業を行うことができる。
また、上記実施形態によれば、第1台車5及び第2台車7の各牽引車連結バー19を直列方向に回動させるという簡単な作業で連結アーム9と第1台車5及び第2台車7との連結状態を切り替えることができる。
さらに、上記実施形態によれば、筋交い状の車軸連結リンク27という簡単な構成で、車軸転向手段を構成することが可能である。
《発明の実施形態2》
本実施形態に係る搬送台車2は、3台の台車3,5,29を備えている点で、上記実施形態1に係る搬送台車1と異なる。該搬送台車2は、連結アーム9を介して直列に連結された3台の台車3,5,29を備え、直列方向一方側に上記第1台車5が配置され、直列方向他方側に上記第2台車7が配置され、これら第1台車5と第2台車7との間に第3台車29が配置されている。該第3台車29以外の構成は、上記実施形態1と略同一であるため、ここでは、それらの説明を省略する。
図5は、上記搬送台車2を模式的に示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。また、図6は、上記第3台車29を示す斜視図である。
上記第3台車29は、部品等が積載される直列方向に長い矩形状の荷台11と、該荷台11の長手方向両端に設けられた一対の車軸31,31と、を有している。なお、図5(a)では、各台車5,7,29の荷台11を破線で示し、その下側の構造を把握し易くしている。また、図5(b)では、上記牽引車3を省略している。
上記各車軸31は、両端に車輪31a,31aが設けられ、これら一対の該車軸31,31は、筋交い状の車軸連結リンク27によって連結されている。さらに、上記各車軸31には上記被連結板部21が設けられ、該被連結板部21に上記ロック部材23が上下方向に回動自在に設けられている。そして、一対の該ロック部材23,23に形成されたロック側リンク25bは、上記荷台11の上方において上記長手方向に延びる上記シャフト25cによって連結されている。
上記荷台11の長手方向中央には、U字状の切替レバー33(レバー機構)が設けられている。該切替レバー33は、上記荷台11の中央から幅方向外端部まで幅方向に延びる軸部33aと、該軸部33aの上記荷台11中央側の一端から上方に延びる回動レバー部33bと、該軸部33aの上記荷台11の幅方向外側部から上方に延びる操作レバー部33cと、を有している。上記回動レバー部33bは、上記シャフト25cに連結されており、上記操作レバー部33cが直列方向に回動することにより、上記シャフト25cが直列方向に移動し、上記一対のロック部材23,23が回動する。
そして、上記操作レバー部33cが上記荷台11に対して垂直な姿勢から該荷台11の長手方向一方側に押し下げられると、上記回動レバー部33bによって上記シャフト25cが上記長手方向一方側に移動する。そして、該長手方向一方側の上記ロック部材23が下方に回動し、該長手方向一方側の被連結板部21に連結された上記連結アーム9の水平方向の回動動作が規制される。それと共に、上記長手方向他方側の上記ロック部材23が上方に回動し、該長手方向他方側の被連結板部21に連結された上記連結アーム9の水平方向の回動動作が許容される。
一方、上記操作レバー部33cが上記荷台11に対して垂直な姿勢から該荷台11の長手方向他方側に押し下げられると、上記回動レバー部33bによって上記シャフト25cが上記長手方向他方側に移動する。そして、該長手方向一方側の上記ロック部材23が上方に回動し、該長手方向一方側の被連結板部21に連結された上記連結アーム9の水平方向の回動動作が許容される。それと共に、上記長手方向他方側の上記ロック部材23が下方に回動し、該長手方向他方側の被連結板部21に連結された上記連結アーム9の水平方向の回動動作が規制される。
このように、上記一対のロック部材23,23、ロック機構9、切替レバー33は、該切替レバー33の回動操作により、上記荷台11の長手方向一方側のロック部材23に設けられた一対の側板部23b,23bを下方に回動させて上記連結アーム9の水平方向の回動動作の規制を有効とするロック状態とする一方、上記切替レバー33の回動操作により上記一対の側板部23b,23bを上方に回動させて上記連結アーム9の水平方向の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする切替手段を構成している。
上記構成を備えた搬送台車2において、第1台車5は、その牽引車連結バー19が直列方向一方側を向くと共に、第2台車7は、その牽引車連結バー19が直列方向他方側を向き、これら第1台車5と第2台車7との間に第3台車29が配置された状態で、これら3台の台車3,5,29が連結アーム9,9によって直列に連結されている。さらに、第1台車5の牽引車連結バー19に牽引車3が連結されている。
具体的には、第1台車5の牽引車連結バー19を直列方向一方側、即ち牽引車3側に押し下げ、この第1台車5とそれに後続する第3台車29とを連結する連結アーム9(以下、一方側連結アーム9という。)の直列方向一方側端部(直列方向一方側の連結板部9b)の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。また、第2台車7の牽引車連結バー19を直列方向一方側に跳ね上げ、この第2台車7とその直列方向一方側に隣接する第3台車29とを連結する連結アーム9(以下、他方側連結アーム9という。)の直列方向他方側端部(直列方向他方側の連結板部9b)の回動動作の規制を有効とするロック状態とする。さらに、第3台車29の操作レバー部33cを直列方向一方側に回動させて、一方側連結アーム9の直列方向他方側端部(直列方向他方側の連結板部9b)の回動動作の規制を有効とするロック状態とすると共に、他方側連結アーム9の直列方向一方側端部(直列方向一方側の連結板部9b)の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。これにより、一方側連結アーム9は、牽引車3側の第1台車5に水平方向に回動自在に連結され、かつ反牽引車3側の第3台車29における牽引車3側の車軸31に固定されると共に、他方側連結アーム9は、牽引車3側の第3台車29に水平方向に回動自在に連結され、かつ反牽引車3側の第2台車7における牽引車3側の車軸31に固定される。そして、下方に押し下げられた第1台車5の牽引車連結バー19に牽引車3の牽引アーム3aが水平方向に回動自在に連結される。
そして、直列方向一方に直進走行する牽引車3が例えば左に旋回すると、牽引車3の牽引アーム3aが左に旋回し、それに追随して第1台車5の牽引車連結バー19が左に旋回する。そして、牽引車連結バー19が固定された牽引車3側の第1車軸13が左回りに回動して左向きとなる。第1車軸13が左向きとなると、図7に示すように、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第2車軸15が右回りに回動して右向きとなる。このように反牽引車3側の第2車軸15が牽引車3側の第1車軸13と逆向きに転向することにより、第2車軸15に設けられた車輪15a,15aの旋回半径が、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第1台車5は、内輪差を生じることなく牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
続いて、第1台車5に連結された一方側連結アーム9は、該第1台車5に水平方向に回動自在に連結されているため、左に旋回する。そして、一方側連結アーム9は後続する第3台車29の牽引車3側の車軸31に固定されているので、この牽引車3側の車軸31は、一方側連結アーム9と同様に左回りに回動して左向きとなる。牽引車3側の車軸31が左向きとなると、図8に示すように、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の車軸31が右回りに回動して右向きとなる。このように、反牽引車3側の車軸31が牽引車3側の車軸31と逆向きに転向することにより、反牽引車3側の車軸31に設けられた車輪31a,31aの旋回半径が、牽引車3側の車軸31に設けられた車輪31a,31aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第3台車29は、内輪差を生じることなく第1台車5と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。そして、上記の如く第1台車5は牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行するので、第3台車29も牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
さらに、第3台車29に連結された他方側連結アーム9は、該第3台車29に水平方向に回動自在に連結されているため、左に旋回する。そして、他方側連結アーム9は後続する第2台車7の牽引車3側の第2車軸15に固定されているので、この第2車軸15は他方側連結アーム9と同様に左回りに回動して左向きとなる。牽引車3側の第2車軸15が左向きとなると、図9に示すように、車軸連結リンク27によって反牽引車3側の第1車軸13が右回りに回動して右向きとなる。このように、反牽引車3側の第1車軸13が牽引車3側の第2車軸15と逆向きに転向することにより、第1車軸13に設けられた車輪13a,13aの旋回半径が、第2車軸15に設けられた車輪15a,15aの旋回半径よりも大きくなる。その結果、第2台車7は、内輪差を生じることなく第3台車29と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。そして、上記の如く第3台車29は牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行するので、第2台車7も牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
以上より、第1台車5、第2台車7及び第3台車29は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
次に、牽引車3を第1台車5、第2台車7及び第3台車29の直列方向他方側に配置し、牽引車3を第2台車7に連結する場合には、図10に示すように、第1台車5の牽引車連結バー19が直列方向一方側を向くと共に、第2台車7の牽引車連結バー19が直列方向他方側を向き、これら第1台車5と第2台車7との間に第3台車29が配置された状態で、これら3台の台車3,5,29が連結アーム9,9によって直列に連結されている。さらに、第2台車7の牽引車連結バー19に牽引車3が連結されている。
具体的には、図10(b)に示すように、第1台車5の牽引車連結バー19を直列方向他方側、即ち牽引車3側に跳ね上げ、一方側連結アーム9の直列方向一方側端部の回動動作の規制を有効とするロック状態とする。なお、図10(b)では、牽引車3を省略している。また、第2台車7の牽引車連結バー19を直列方向他方側に押し下げ、他方側連結アーム9の直列方向他方側端部の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。さらに、第3台車29の操作レバー部33cを直列方向他方側に回動させて、一方側連結アーム9の直列方向他方側端部の回動動作の規制を無効とするアンロック状態とすると共に、他方側連結アーム9の直列方向一方側端部の回動動作の規制を有効とするロック状態とする。これにより、一方側連結アーム9は、反牽引車3側の第1台車5における牽引車3側の第2車軸15に固定され、かつ牽引車3側の第3台車29に水平方向に回動自在に連結されると共に、他方側連結アーム9は、反牽引車3側の第3台車29における牽引車3側の車軸31に固定され、かつ牽引車3側の第2台車7に水平方向に回動自在に連結される。そして、下方に押し下げられた第2台車7の牽引車連結バー19に牽引車3の牽引アーム3aが水平方向に回動自在に連結される。
そして、直列方向他方に直進走行する牽引車3が旋回する際の搬送台車2の動作は、直列方向一方に走行する場合と略同一であって、第1台車5、第2台車7及び第3台車29は、牽引車3と同一の旋回軌跡上を確実に走行することができる。
−発明の実施形態2の効果−
上記実施形態によれば、上記の如く、第1台車5、第2台車7及び第3台車29を直列方向一方側及び他方側のいずれの方向に牽引する場合にも、全ての台車3,5,29を牽引車3と同一軌跡上に走行させることが可能となる。
また、上記実施形態によれば、牽引車3が直列方向一方側の第1台車5に連結される場合には、第1台車5の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23によって一方側連結アーム9の第1台車5に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。また、第2台車7の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23による他方側連結アーム9の第2台車7に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とする。さらに、第3台車29の操作レバー部33cを操作して、該第3台車29の直列方向一方側のロック部材23による一方側連結アーム9の、該第3台車29の直列方向一方側の被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とすると共に、直列方向他方側のロック部材23による他方側連結アーム9の、該第3台車29の直列方向他方側の被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。
一方、牽引車3が直列方向他方側の第2台車7に連結される場合には、第1台車5の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23によって一方側連結アーム9の第1台車5に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とする。また、第2台車7の牽引車連結バー19を操作して、ロック部材23による他方側連結アーム9の第2台車7に設けられた被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とする。さらに、第3台車29の操作レバー部33cを操作して、該第3台車29の直列方向一方側のロック部材23による一方側連結アーム9の、該第3台車29の直列方向一方側の被連結板部21に対する回動動作の規制を無効とするアンロック状態とすると共に、直列方向他方側のロック部材23による他方側連結アーム9の、該第3台車29の直列方向他方側の被連結板部21に対する回動動作の規制を有効とするロック状態とする。
このように、第1台車5及び第2台車7にそれぞれ設けられた牽引車連結バー19並びに第3台車29に設けられた操作レバー部33cを操作するという比較的簡単な作業で連結状態切替作業を行うことができる。
また、上記実施形態によれば、牽引車連結バー19及び操作レバー部33cを直列方向に回動させるという簡単な作業で連結アーム9,9と第1台車5、第2台車7及び第3台車29との連結状態を切り替えることができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、2台又は3台の台車を備えた搬送台車1,2を例示したが、これに限定されず、4台以上の台車を備えてもよい。なお、4台以上の台車を備える場合、直列方向両側の台車には第1台車5及び第2台車7が用いられると共に、他の台車には第3台車29が用いられる。