JP6088212B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents
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Description
一般的に、雄ロータ102は吸込側端部に駆動軸のシャフト部102sを有し、シャフト部102sがスクリュー圧縮機101の外部において回転駆動源に接続される。
すなわち、雄ロータ102が外部動力により駆動され、雄ロータ102の駆動により、雌ロータ103が駆動される構成である。換言すれば、雄ロータ102が駆動ロータであり、雌ロータ103は従動ロータを構成している。
この作動室には、他の空間と連通するすき間が複数あり、これらのすき間は作動室内の圧縮気体の他空間への内部漏洩の流路となる。
このすき間の密閉、雄・雌ロータ102、103の摺動部の潤滑、および圧縮気体の冷却を目的として、圧縮機外部から作動室内に液体を注入するスクリュー圧縮機がある。
また、特許文献2には、吸込側軸受が収納された空間とスクリューロータが収納された空間との間の隔壁に、吸込側軸受の内部を通過した後の潤滑油をスクリューロータ側に流して回収する第1の回収孔および第2の回収穴とを備えたことを特徴とするスクリュー圧縮機が開示されている。
特許文献2に記載のスクリュー圧縮機は、吸込側軸受に供給される潤滑油を、第2の回収穴を設けることで低減し、吸い込み側軸受けの撹拌ロスを低減することができる。なお、第1の回収穴および第2の回収穴の位置については、潤滑油を雄ロータまたは雌ロータの半径方向の位置に関してのみ記載がある。
さらには、ケーシングの内壁面に付着した潤滑油を、雄・雌両ロータ102、103がローブの歯先で攪拌するため、潤滑油が雄・雌両ロータ102、103の回転に際しての抵抗(トルク)となり、損失動力が大きくなる課題も生じる。
また、第二の手段として、第一の手段において、雄・雌ロータの軸方向に見て、ケーシング内壁における液体供給口の位置は、雌ロータ軸中心を中心として、ケーシングの雌ロータ側ボアと雄ロータ側ボアとの上側の交点よりも下側に位置する下側の交点と、雄ロータ軸中心との間の角度の範囲に在ることを特徴とする。
さらに、第三の手段として、第一・第二の手段において、雌ロータの吸込側端面および雄ロータの吸込側端面と、ケーシング吸込側内壁とは、前記液体供給口から供給される前記液体が漏出しないように近接して配置されている。
<<実施形態1>>
図1は、本発明に係る実施形態1のスクリュー圧縮機1のケーシング4内を雄ロータ2側の側方から見た要部断面を含む側面図である。
図2は、実施形態1のスクリュー圧縮機1のケーシング4内の雄・雌ロータ2、3を上方から見た上面図である。
図3は、実施形態1のスクリュー圧縮機1のケーシング内を、雄ロータ2を省略して、雄ロータ2側の側方から見た要部断面を含む側面図である。なお、図3はケーシング内の雌ロータ3を側方から見たものである。
図4は、スクリュー圧縮機1の雄・雌ロータ2、3と吸込側隔壁9の接触面における断面の図1のA−A線断面図である。図4中の矢印は、雄ロータ2および雌ロータ3の各回転方向を示す。なお、図4では、凹部24の形状を明確にするため、その輪郭を実線で示している。
具体的には、スクリュー圧縮機1は、互いに噛み合う雄・雌ロータ2、3のシールライン(詳細は後記)および各歯溝2m、3mとケーシング4とによって形成される作動室(作動空間)に外部から潤滑油(液体)を供給し、空気などの被圧縮気体を圧縮する機能を備えた圧縮機である。
潤滑油は、潤滑、冷却、および、被圧縮気体を圧縮する作動室(作動空間)をシールする役割をもつ。
雄・雌ロータ2、3のシールライン(後に詳述)は、駆動側の雄ロータ2の歯が従動側の雌ロータ3の歯に接触して、雄ロータ2が雌ロータ3を駆動するとともに、駆動側の雄ロータ2の歯が従動側の雌ロータ3の歯に接触または近接して、作動室を他の空間からシールするラインである。
雄ロータ2と雌ロータ3とは、ネジ状である螺旋状の凸状の歯と凹状の歯とを互いに噛み合わせて回転するものであり、ネジ状の螺旋状のローブ2t、3tをそれぞれ有している。
雌ロータ3は、雄ロータ2の凸状の歯2hが噛み合う状の凹状の歯3hが形成されており、ネジ状の螺旋状のローブ(突き出し部)3tと、隣接するローブ3t間の歯溝3mとを有している。
ケーシング4の吸い込み側(図1、3の紙面左側)には、圧縮する空気を外部から内部に吸い込む吸込口11がケーシング4に貫設されている。一方、ケーシング4の吐き出し側には、圧縮する空気を吐き出す吐出ポート12が形成されている。
不図示の回転駆動源によって回転駆動された雄ロータ2は、前記したように、シールラインにおける後記の前進面の接触部で雌ロータ3に接触して雌ロータ3を回転駆動する。また、雄・雌両ロータ2、3の噛み合いのラインのシールラインで、雄ロータ2と雌ロータ3とが接触または近接して、雄・雌両ロータ2、3で形成される作動空間の雄・雌両ロータ2、3の噛み合い部を封止する。
つまり、作動室の容積は、ある時点まで膨張して負圧となり、吸込口11から外部の空気を作動室内に吸込する。その後、作動室の容積は、次第に収縮して作動室内に吸込された空気を圧縮する。
そして、圧縮された空気は、吐出ポート12から外部の圧縮空気消費機器(図示せず)に供給される。このとき、作動室内の圧力は、吸込口11に近いほど低く、吐出ポート12に近いほど高い。
以下、雄ロータ2と雌ロータ3とが噛み合い、両者間をシール(封止)する作用を担うシールラインについて説明する。
図4において、雌ロータ3と噛み合う雄ロータ2のローブ2tの表面(外周面)において、歯先17を境に回転方向側を雄側前進面18、および回転方向逆側(反回転方向側)を雄側後進面19と定義する。また、雄ロータ2と噛み合う雌ロータ3の歯溝3m(外周面)において、歯底20を境に回転方向側を雌側前進面21、および回転方向逆側(反回転方向側)を雌側後進面22と定義する。
雄・雌ロータ2、3間のすき間は、雄側前進面18と雌側前進面21との間のすき間、および雄側後進面19と雌側後進面22との間のすき間によって形成される。
前記のシールラインは、雄側前進面18と雌側前進面21との間の領域(接触部とすき間)および雄側後進面19と雌側後進面22との間の領域(すき間)で形成され、隣接する作動室の空間を隔絶し、シールする作用を担う。
一つのシールラインs(s1、s2)は、図5(a)、図6に示すように、雄・雌ロータ2、3の歯2h、3hの一回り毎に形成される。シールラインsにおける前進面のシールラインs1は、雄側前進面18と雌側前進面21とで形成され、後進面のシールラインs2は、雄側後進面19と雌側後進面22とで形成される。
そして、雄・雌ロータ2、3の回転に伴って、各シールラインs(s1、s2)は、図5(a)、図6の矢印α1に示すように、吸込側から吐出側へ、平行移動する。
従って、空気(被圧縮気体)の内部漏洩による効率低下を最小限にするためには、雄側後進面19と雌側後進面22との間のすき間の後進面すき間23(図4参照)を潤滑油によって封じる必要がある。
これにより、雌ロータ3が回転する毎に、給油口25から機内(ケーシング4の内部)に供給された潤滑油が、雌側後進面22の大部分に付着するため、後進面すき間23を潤滑油によって封じることが可能になる。
すなわち、給油口25の位置は、雄・雌ロータ2、3の軸方向に見て雌ロータ軸中心26を中心として、ケーシング4の雌ロータ側ボアwbと雄ロータ側ボアmbの交点のカスプ部27と、雄ロータ軸中心28との間の角度の範囲に存在する。
従って、潤滑油により、雄ロータ2の雄側後進面19と雌ロータ3の雌側後進面22との間のすき間の後進面すき間23の密閉を促進することが可能となる。
従って、雄・雌両ロータ2、3の吸込側端面2p、3pから吐出側端面2q、3qまでの雌雄ロータ2、3間の後進面すき間23を一様に密閉可能となる。
なお、潤滑油は、低圧の吸込側と高圧の吐出側との圧力差により、不図示のタンク、冷却器などを介して冷却されたりしつつ、ケーシング4内を循環する。
そのため、潤滑油の撹拌による損失動力を最小限に抑え、かつ、空気(被圧縮気体)の最も内部漏洩量の多い雄・雌ロータ2、3間のすき間を効果的に密閉する給油構造を実現できる。従って、高効率なスクリュー圧縮機1の実現が可能となる。
例えば、従来、ケーシング4の雄・雌ロータ側ボアmb、wbから雄・雌ロータ2、3へ潤滑油を50リットル/分(min)位供給しているが、給油口25から潤滑油を供給することで、ケーシング4の雄・雌ロータ側ボアmb、wbから雄・雌ロータ2、3へ潤滑油の量を20リットル/分(min)程度に低減できる。
次に、実施形態2のスクリュー圧縮機21について説明する。
図7は、本発明に係る実施形態2のスクリュー圧縮機21のケーシング内の雄ロータ2を側方から見た側面図である。図8は、図1のD−D線断面図である。
実施形態2のスクリュー圧縮機21は、実施形態1の凹部24を形成することなく、実施形態1の凹部24の領域(図8に示す給油口形成領域24R)に、潤滑油を供給する給油口25Bを形成するものである。
これ以外の構成は、実施形態1と同様であるから、同様な構成要素には同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
ここで、ケーシング4における吸込側隔壁9の給油口25Bを囲繞する(囲む)吸込側隔壁9と、雄ロータ2の吸込側端面2pおよび雌ロータ3の吸込側端面3pとの間の寸法(距離)は、給油口25Bからの潤滑油が、吸込側隔壁9と雄・雌ロータ2、3の吸込側端面2p、3pとの間に漏出しないように、500μm以下の近接した寸法(距離)としている。
給油口形成領域24Rの下端は、雄・雌ロータ2、3の軸方向に見て、雌ロータ軸中心26と、雌ロータ側ボアwbと雄ロータ側ボアmbの交点のカスプ部27を結ぶ線分上にある。
これにより、雌ロータ3が回転する毎に、給油口25から機内(ケーシング4の内部)に供給された潤滑油が、雌側後進面22の後進面すき間23(図8参照)またはその近傍に付着するため、後進面すき間23を潤滑油によって封じることが可能になる。
従って、潤滑油により、雄ロータ2の雄側後進面19と雌ロータ3の雌側後進面22との間のすき間の後進面すき間23の密閉を促進することが可能となる。
従って、雄・雌両ロータ2、3の吸込側端面2p、3pから吐出側端面2q、3qまでの雌雄ロータ2、3間の後進面すき間23を一様に密閉可能となる。
ここで、重力により潤滑油が凹部24の下部に溜まる懸念があること、および、潤滑油が、雌側後進面22に付着すると遠心力の影響を受けることなどから、実施形態1と同様な理由で、給油口25の連通位置は、雌ロータ軸中心26に近く、かつ上方であることが望ましい。
2 雄ロータ
2p 雄ロータの吸い込み側端面
2t 雄ロータのローブ
3 雌ロータ
3p 雌ロータの吸い込み側端面
3t 雌ロータのローブ
4 ケーシング
9 吸込側隔壁(ケーシング吸込側内壁)
10 吐出側隔壁
11 吸込口
17 雄ロータの歯先
19 雄側後進面(雄ロータの後進面)
20 雌ロータの歯底
22 雌側後進面(雌ロータの後進面)
23 後進面すき間(雄ロータの後進面とこれに対向する雌ロータの後進面とで形成される空間)
24 凹部
25 給油口(液体供給口)
26 雌ロータ軸中心(雌ロータの軸中心)
27 カスプ部(交点)
28 雄ロータ軸中心
wb 雌ロータ側ボア
mb 雄ロータ側ボア
r1 雌ロータの歯底半径(雌ロータの歯底径)
r3 雌ロータの歯先円の半径(雌ロータの歯先径)
Claims (5)
- 螺旋状のローブを有して互いに噛み合って回転する雄・雌一対のロータと、
該雄・雌一対のロータを収納するケーシングと、
前記雄・雌のロータの吸込側端面と対向するケーシング吸込側内壁に設けられ、前記ケーシング内部に液体を供給する液体供給口とを備え、
前記液体供給口は、前記雄・雌ロータの軸方向に見て、
前記雄ロータと前記雌ロータとが噛み合う前記雄ロータのローブの表面におけるその歯先を境に反回転方向側の後進面側にあって、前記雌ロータの軸中心を中心として、前記雌ロータの吸込側端面における歯底径と歯先径との間の領域に連通するとともに、前記雌ロータの軸中心を中心として、前記ケーシングの雌ロータ側ボアと雄ロータ側ボアとの上側の交点よりも下側に位置する下側の交点と、雄ロータ軸中心との間の角度の範囲に位置し、
前記雌ロータの吸込側端面および前記雄ロータの吸込側端面と、前記ケーシング吸込側内壁とは、前記液体供給口から供給される前記液体が漏出しないように近接して配置される
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、
前記雌ロータの吸込側端面および前記雄ロータの吸込側端面と、前記ケーシング吸込側内壁との間の隙間は、500μm以内である
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 請求項1に記載のスクリュー圧縮機において、
前記液体供給口からの前記液体の供給量は、10リットル/min以上である
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載のスクリュー圧縮機において、
前記液体供給口は、前記雄・雌ロータの軸方向に見て、前記雄ロータと前記雌ロータとが噛み合う前記雄ロータのローブの表面におけるその歯先を境に反回転方向側の雄ロータの後進面とこれに対向する前記雌ロータの後進面とで形成される空間に対向する位置に設けられる
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 請求項1または請求項3のうちの何れか一項に記載のスクリュー圧縮機において、
前記雄・雌のロータの吸込側端面と対向するケーシング吸込側内壁に、前記雄・雌ロータの軸方向に見て、前記雌ロータの吸込側端面における歯底径と歯先径との間の領域にあって、前記雌ロータの軸中心を中心として、前記ケーシングの雌ロータ側ボアと雄ロータ側ボアとの上側の交点よりも下側に位置する下側の交点と、雄ロータ軸中心との間の角度の範囲に位置する凹部を備える
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
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