JPWO2020053976A1 - スクリュー圧縮機 - Google Patents

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Abstract

圧縮機は、複数のスクリューロータ2、3を備えている。複数のスクリューロータ2、3のうち、第1のスクリューロータ2は螺旋状に歯21aが形成された第1の歯部本体24と、第1の歯部本体24の軸方向の吐出側端に設けられ、第1の歯部本体24の歯先径以下であって歯底径よりも大きい位置まで径方向に延在する仕切部25と、を有する。複数のスクリューロータ2、3のうち、第2のスクリューロータ3は第1の歯部本体24に対応する螺旋状に歯31aが形成された第2の歯部本体31を有する。

Description

本発明は、スクリュー圧縮機に関する。
スクリュー圧縮機には、雌雄一対のスクリューロータをケーシング内に収納したものがある。両スクリューロータは、互いに噛み合う螺旋状の歯を複数有している。スクリュー圧縮機では、両スクリューロータの複数の歯溝とそれを取り囲むケーシングの内壁面とで形成された複数の作動室が両スクリューロータの回転に伴って軸方向へ移動しつつ収縮することで、作動室内の作動気体が圧縮される。
スクリュー圧縮機では、回転するスクリューロータがケーシングに接触しないように、両者間に微小な隙間が設けられている。具体的には、スクリューロータの歯先とケーシングの内周面との間の隙間(以下、外径隙間という)、スクリューロータの歯部(歯が形成されている部分)おける吸込側の軸方向端面とそれに対向するケーシングの吸込側の軸方向内壁面との間の隙間(以下、吸込端面隙間という)及びスクリューロータの歯部における吐出側の軸方向端面とそれに対向するケーシングの吐出側の軸方向内壁面との間の隙間(以下、吐出端面隙間という)、スクリューロータのシャフト部とシャフト部が挿通するケーシングの軸孔との間の隙間(以下、軸隙間という)が設けられている。また、作動室に対してオイルを供給しない無給油式のスクリュー圧縮機では、スクリューロータの噛み合い部分に隙間(以下、ロータ間隙間という)が設けられている。それらの隙間を介して、相対的に圧力が高い作動室から相対的に圧力の低い作動室や軸受室側へ圧縮気体が漏出する。この圧縮気体の漏出によって、費やされた圧縮動力が無駄となったり、再圧縮の動力を要したりするので、その分、圧縮機効率が低下する。
したがって、圧縮機効率の向上を図るには、上記隙間を介した圧縮気体の漏出を低減することが重要である。運転時における上記隙間は、スクリューロータやケーシングの熱変形によって組立時の隙間とは大きく異なることがある。隙間が過大になると圧縮気体の漏出による性能低下が生じる一方、隙間が過小になると両スクリューロータ間の接触やロータとケーシング間の接触が生じて圧縮機の停止等が起こる可能性が高くなる。高効率で信頼性の高い圧縮機を得るためには、運転時の熱変形等を考慮した適切な隙間を設定することが重要ある。
運転時の熱変形量を考慮した隙間を設定して圧縮気体の漏出を低減する技術として、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の圧縮機は、吸込側の端面での外径が吐出側の端面での外径よりも大となるテーパ形状の雄ロータ及び雌ロータを備えている。これらの雄ロータ及び雌ロータは、夫々のテーパ量が各ロータの吐出側及び吸込側端面の歯底の熱変形量の差以上であると共に、歯先の熱変形量の差以下とのなるように構成されている。さらに、雄ロータ及び雌ロータは、雄ロータと雌ロータのテーパ量の和が一方のロータの歯底の熱変形量の差と他方のロータの歯先の熱変形量の差との和以下となるように構成されている。
特開2016−196859号公報
特許文献1に記載の圧縮機は、スクリューロータの歯底及び歯先の運転時における熱変形量(径方向の変形量)を考慮することで、運転時における外径隙間及びロータ間隙間を小さくすることを意図したものである。したがって、特許文献1に記載の技術では、スクリューロータとケーシング間の隙間のうち、軸方向の隙間である吐出端面隙間を小さくすることは難しい。また、運転時における吐出端面隙間は、シャフト部の熱膨張等によって組立時や起動時に比べて大きくなる傾向にある。そのため、吐出端面隙間を小さく維持して圧縮気体の漏れを低減するにも限界がある。
吐出端面隙間では、圧縮過程の終了直前の作動室からの相対的に高圧の圧縮気体の漏出が生じる。相対的に高圧の圧縮気体が漏出する分、費やした圧縮動力の損失が大きくなる。また、吐出端面隙間はスクリューロータの端面の面全体に亘る隙間であり、吐出端面隙間を介した圧縮気体の漏出量は、他の隙間を介する漏出の場合よりも比較的多くなる傾向にある。したがって、吐出端面隙間を介する圧縮気体の漏出は、他の隙間を介する漏出の場合よりも、圧縮機効率の低下に対する影響が大きい。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、スクリューロータの吐出側の軸方向端面とそれに対向するケーシングの軸方向内壁面との間に形成された隙間を介した圧縮気体の漏出を低減することができるスクリュー圧縮機を提供することである。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、複数のスクリューロータを備え、前記複数のスクリューロータのうち、第1のスクリューロータは螺旋状に歯が形成された第1の歯部本体と、前記第1の歯部本体の軸方向の吐出側端に設けられ、前記第1の歯部本体の歯先径以下であって歯底径よりも大きい位置まで径方向に延在する仕切部と、を有し、前記複数のスクリューロータのうち、第2のスクリューロータは前記第1の歯部本体に対応する螺旋状に歯が形成された第2の歯部本体を有する。
本発明によれば、第1のスクリューロータの第1の歯部本体における軸方向の吐出側端に仕切部を設けることで、第1の歯部本体の各歯溝の吐出側の軸方向開口の少なくとも一部の領域を閉塞したので、第1のスクリューロータにおける吐出側の軸方向端面とそれに対向するケーシングの内壁面との間に形成された隙間を介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機の断面図である。 図1に示すスクリュー圧縮機をII−II矢視から見た断面図である。 図1に示すスクリュー圧縮機の一部を構成する雄ロータ及び雌ロータを噛み合わせた状態で示す斜視図である。 図3に示す雄ロータを単体で示す斜視図である。 図1に示すスクリュー圧縮機の一部を構成するケーシングにおける吐出側の軸方向内壁面を示す図である。 従来のスクリュー圧縮機における外径隙間及びをロータ間隙間介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。 従来のスクリュー圧縮機における吐出端面隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。 従来のスクリュー圧縮機における軸孔隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雄ロータ及び雌ロータの吐出側の軸方向端面とケーシングの吐出側の軸方向内壁面との間の隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における軸孔隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における雄ロータを分解した状態で示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雄ロータを示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雌ロータを示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機におけるケーシングの吐出側の軸方向内壁面を示す図である。 本発明のその他の実施の形態の第1例に係るスクリュー圧縮機における仕切部の周辺を拡大した状態で示す断面図である。 本発明のその他の実施の形態の第2例に係るスクリュー圧縮機を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係るスクリュー圧縮機について図面を用いて例示説明する。本実施の形態においては、スクリュー圧縮機として無給油式のスクリュー圧縮機を例に説明する。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機の構成を図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機の断面図である。図2は図1に示すスクリュー圧縮機をII−II矢視から見た断面図である。図1及び図2中、左側がスクリュー圧縮機の吐出側、右側が吸込側である。
図1において、スクリュー圧縮機1は、互いに噛み合う一対の雄ロータ(雄型のスクリューロータ)2及び雌ロータ(雌型のスクリューロータ)3と、雄ロータ2及び雌ロータ3を回転可能に内部に格納するケーシング4とを備えている。雄ロータ2は、その軸方向(図1中、左右方向)の両側がそれぞれ吸込側軸受6と吐出側軸受7とにより回転自在に支持されている。雌ロータ3は、その軸方向の両側がそれぞれ吸込側軸受8と吐出側軸受9とにより回転自在に支持されている。無給油式のスクリュー圧縮機1では、雌雄両ロータ2、3が互いに隙間を介して非接触の状態で回転するように構成されている。
雄ロータ2は、図1及び図2に示すように、螺旋状の雄歯21a(後述の図3を参照)を複数(図3中、5つ)有する雄側歯部21と、雄側歯部21の軸方向の両側端部にそれぞれ設けられた吸込側のシャフト部22及び吐出側のシャフト部23とで構成されている。雄側歯部21の構造は後述する。吸込側のシャフト部22はケーシング4の外側に延出しており、吸込側のシャフト部22の先端部(ケーシング4の外側に延出した部分)に被駆動ギア11が取り付けられている。被駆動ギア11は、電動機等の回転駆動源(図示せず)のシャフト部の駆動ギア(図示せず)と噛み合うように構成されている。吐出側のシャフト部23の先端部には、第1タイミングギア12が取り付けられている。
雌ロータ3は、図1に示すように、螺旋状の雌歯31a(図3を参照)を複数(図3中、6つ)有する雌側歯部31と、雌側歯部31の軸方向の両側端部にそれぞれ設けられた吸込側のシャフト部32及び吐出側のシャフト部33とで構成されている。雌側歯部31の構造は、雄側歯部21と共に後述する。吐出側のシャフト部33の先端部には、雄ロータ2側の第1タイミングギア12と噛み合う第2タイミングギア13が取り付けられている。第1タイミングギア12及び第2タイミングギア13によって、雄ロータ2の回転力が雌ロータ3に伝達され、雄ロータ2と雌ロータ3が非接触で同期回転する。
ケーシング4は、図1及び図2に示すように、メインケーシング41と、メインケーシング41の吸込側に取り付けられた吸込側ケーシング42と、メインケーシング41の吐出側に取り付けられた吐出側カバー43とで構成されている。吐出側カバー43は、第1タイミングギア12及び第2タイミングギア13を格納する部分である。
ケーシング4の内部には、雄ロータ2の雄側歯部21及び雌ロータ3の雌側歯部31を互いに噛み合った状態で格納するボア45と称する格納空間が形成されている。ボア45は、メインケーシング41に形成された一部重複する2つの円筒状空間の軸方向一方側(図1及び図2中、右側)の開口を吸込側ケーシング42で閉塞することによって構成されている。雄側歯部21における複数の雄歯21a(図3を参照)間に形成された複数の歯溝及び雌側歯部31における複数の雌歯21a(図3を参照)間に形成された複数の歯溝とそれを取り囲むケーシング4の内壁面(ボア45を形成するメインケーシング41の軸方向内壁面71、72や内周面73及び吸込側ケーシング42の端壁面74)とで複数の作動室Cが形成される。作動室Cが雌雄両ロータ2、3の回転に伴って軸方向へ移動しつつ収縮することで、作動室C内の作動流体が圧縮される。
ケーシング4には、図2に示すように、ボア45に連通して作動室C内に気体を吸い込むための吸込流路46が設けられている。吸込流路46は、例えば、メインケーシング41及び吸込側ケーシング42に亘って設けられており、吸込気体が作動室C内へ軸方向から流入するように構成されている。メインケーシング41におけるボア45を挟んで吸込流路46の反対側には、ボア45に連通して作動室C内の圧縮気体を外部へ吐出するための吐出流路47が設けられている。吐出流路47は、例えば、圧縮気体が作動室Cから軸方向及び径方向へ流出可能に構成されている。
メインケーシング41には、図1に示すように、雄ロータ2側の吐出側軸受7が配置される吐出側軸受室49及び雌ロータ3側の吐出側軸受9が配置される吐出側軸受室50がそれぞれ設けられている。吸込側ケーシング42には、雄ロータ2側の吸込側軸受6が配置される吸込側軸受室51及び雌ロータ3側の吸込側軸受8が配置される吸込側軸受室52がそれぞれ設けられている。
メインケーシング41には、雄ロータ2の吐出側のシャフト部23が挿通される吐出側軸孔54及び雌ロータ3の吐出側のシャフト部33が挿通される吐出側軸孔55がそれぞれ設けられている。雄ロータ2側の吐出側軸孔54を介してボア45と吐出側軸受室49が連通し、雌ロータ3側の吐出側軸孔55を介してボア45と吐出側軸受室50が連通している。吸込側ケーシング42には、雄ロータ2の吸込側のシャフト部22が挿通される吸込側軸孔56及び雌ロータ3の吸込側のシャフト部32が挿通される吸込側軸孔57がそれぞれ設けられている。雄ロータ2側の吸込側軸孔56を介してボア45と吸込側軸受室51が連通し、雌ロータ3側の吸込側軸孔57を介してボア45と吸込側軸受室52が連通している。
メインケーシング41には、図2に示すように、吐出側軸受7、9に潤滑油を供給する給油路59が設けられている。吸込側ケーシング42には、吸込側軸受6、8に潤滑油を供給する給油路(図示せず)が設けられている。また、メインケーシング41には、吐出側軸受7、9を潤滑した潤滑油を排出する排油路61が設けられている。吸込側ケーシング42には、吸込側軸受6、8を潤滑した潤滑油を排出する排油路62が設けられている。さらに、メインケーシング41には、図1及び図2に示すように、冷却材が流通する冷却ジャケット64が設けられている。冷却ジャケット64は、気体の圧縮過程で生じる熱を冷却するための流路である。
雄ロータ2の吐出側のシャフト部23における雄側歯部21側から吐出側軸受7までの部分には、雄側歯部21に近い方から順に、エアシール15及びオイルシール16が配置されている。雄ロータ2の吸込側のシャフト部22における雄側歯部21側から吸込側軸受6までの部分には、雄側歯部21に近い方から順に、エアシール17及びオイルシール18が配置されている。エアシール15は、作動室C内の圧縮気体の吐出側軸孔54を介した漏出を抑制するものである。エアシール17は、作動室C内の圧縮気体の吸込側軸孔56を介した漏出を抑制するものである。オイルシール16は、吐出側軸受室49に供給された潤滑油のボア45(作動室C)への侵入を防止するものである。オイルシール18は、吸込側軸受室51に供給された潤滑油のボア45(作動室C)への侵入を防止するものである。エアシール15とオイルシール16の間の空間は、潤滑油の作動室Cへの侵入を防止するために、ケーシング4外の空間に連通している。エアシール17とオイルシール18の間の空間も、潤滑油の作動室Cへの侵入を防止するために、ケーシング4外の空間に連通している。
雌ロータ3の吐出側のシャフト部33における雌側歯部31側から吐出側軸受9までの部分にも、雄ロータ2の吐出側のシャフト部23と同様に、雌側歯部31に近い方から順に、エアシール15及びオイルシール16が配置されている。雌ロータ3の吸込側のシャフト部32における雌側歯部31側から吸込側軸受8までの部分には、雄ロータ2の吸込側のシャフト部22と同様に、雌側歯部31に近い方から順に、エアシール17及びオイルシール18が配置されている。エアシール15は、作動室C内の圧縮気体の吐出側軸孔55を介した漏出を抑制するものである。エアシール17は、作動室C内の圧縮気体の吸込側軸孔57を介した漏出を抑制するものである。オイルシール16は、吐出側軸受室50に供給された潤滑油のボア45(作動室C)への侵入を防止するものである。オイルシール18は、吸込側軸受室52に供給された潤滑油のボア45(作動室C)への侵入を防止するものである。
次に、第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機のスクリューロータの構造及びスクリューロータを格納するケーシングの一部の構造を図1、図3〜図5を用いて説明する。図3は図1に示すスクリュー圧縮機の一部を構成する雄ロータ及び雌ロータを噛み合わせた状態で示す斜視図である。図4は図3に示す雄ロータを単体で示す斜視図である。図5は図1に示すスクリュー圧縮機の一部を構成するケーシングにおける吐出側の軸方向内壁面を示す図である。図3及び図4中、左側がスクリューロータの吸込側、右側が吐出側である。図5は図1に示すV−V矢視から見た図である。
雄ロータ2の雄側歯部21は、図3及び図4に示すように、複数(図3及び図4中、5つ)の雄歯21aが形成された歯部本体24と、歯部本体24の軸方向の吐出側端(図3及び図4中、右端)に設けられ、軸方向に厚みのある板状の仕切部25とで構成されている。雄側歯部21は、軸方向一端(吸込側端)及び軸方向他端(吐出側端)にそれぞれ平面状の吸込端面27及び吐出端面28を有している。
歯部本体24は、各雄歯21aが歯部本体24の軸方向の一端(図3及び図4中、左端)から他端(図3及び図4中、右端)まで延在するように構成されている。歯部本体24では、隣接する雄歯21a間に形成された複数(図3及び図4中、5つ)の歯溝が雄ロータ2の周方向に開口すると共に、歯部本体24の軸方向一端及び軸方向他端において雄ロータ2の軸方向に開口している。歯部本体24の軸方向一方側の端面は、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっており、雄側歯部21の吸込端面27を構成している。
仕切部25は、本実施の形態の特徴的な構成である。仕切部25は、例えば、外形が円形状で歯部本体24の雄歯21aの歯先径と同径となるように構成されている。すなわち、仕切部25は、歯部本体24の歯先径の位置まで径方向に延在する円板状の部分である。仕切部25は、歯部本体24の各歯溝における吐出側の軸方向開口の全領域を閉塞するものである。仕切部25における歯部本体24の反対側に位置する外側端面は、外形(輪郭)が円形状となっており、雄側歯部21の吐出端面28を構成している。仕切部25は、例えば、同一の材質によって歯部本体24と一体に形成されている。
このように、本実施の形態の雄側歯部21では、各歯溝の吸込側の軸方向一端が雄側歯部21の軸方向へ開口する一方、各歯溝の吐出側の軸方向他端が仕切部25によって雄側歯部21の軸方向に開口せずに閉止されている。
雌ロータ3の雌側歯部31は、図3に示すように、雄ロータ2の歯部本体24に対応する螺旋状に雌歯31aが複数(図3中、6つ)形成された歯部本体のみで構成されている。雌側歯部31は、各雌歯31aが軸方向の一端(図3中、左端)から他端(図3中、右端)まで延在するように構成されている。雌側歯部31(歯部本体)の軸方向長さは、雄側歯部21の歯部本体24の軸方向長さと略等しいが、雄側歯部21の歯部本体24と噛み合う雌側歯部31(歯部本体)が仕切部25に接触しないように雌側歯部31(歯部本体)と雄側歯部21の仕切部25との間に微小の隙間が形成されるように設定されている。雌側歯部31は、軸方向一端(吸込側端)及び軸方向他端(吐出側端)にそれぞれ平面状の吸込端面37及び吐出端面38を有している。吸込端面37及び吐出端面38はそれぞれ、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっている。雌側歯部31では、隣接する雌歯31a間に形成された複数(図3中、6つ)の歯溝が雌ロータ3の周方向に開口すると共に、吸込端面37及び吐出端面38において雌ロータ3の軸方向に開口している。
また、本実施の形態におけるケーシング4のボア45では、図1に示すように、雄側歯部21の歯部本体24及び雌側歯部31(歯部本体)を格納する空間に加えて、雄側歯部21の仕切部25を格納する空間が必要となる。すなわち、ケーシング4の内部空間としてのボア45は、仕切部25を含む雄側歯部21が格納される部分の軸方向長さが、その他の部分の軸方向長さよりも、仕切部25の軸方向長さの分だけ長くなるように形成されている。換言すると、ケーシング4のボア45の一部を形成する吐出側の軸方向内壁面は、雄側歯部21側と雌側歯部31側とで仕切部25の格納分の段差が生じるように構成されている。つまり、ボア45の吐出側の軸方向内壁面は、図1及び図5に示すように、雌側歯部31の吐出端面38に対向する内壁面(以下、第1吐出側内壁面という)71と、雄側歯部21の吐出端面(仕切部25の外側端面)28に対向する内壁面(以下、第2吐出側内壁面という)72とで構成されており、第2吐出側内壁面72が第1吐出側内壁面71よりも仕切部25の厚み分軸方向に深くなるように(凹むように)形成されている。
第1吐出側内壁面71と雌側歯部31の吐出端面38との間に設けた隙間は、例えば、従来のスクリュー圧縮機の場合と同等の大きさに設定されている。第2吐出側内壁面72と雄側歯部21の吐出端面(仕切部25の外側端面)28との間に設ける隙間は、ボア45における雄側歯部21の格納部分の軸方向長さが、仕切部25の軸方向長さの分だけ、他の部分よりも長いので、第1吐出側内壁面71と雌側歯部31の吐出端面38との間に設けた隙間と略同じ大きさに設定されている。すなわち、雄ロータ2の雄側歯部21及び雌ロータ3の雌側歯部31の吐出側端面28、38とケーシング4の吐出側の軸方向内壁面との隙間、いわゆる吐出端面隙間は、従来のスクリュー圧縮機の場合と同等な大きさに維持されている。本実施の形態は、吐出端面隙間が従来と同等な大きさであっても、当該隙間を介する圧縮気体の漏出を抑制するものである。なお、第1吐出側内壁面71及び第2吐出側内壁面72には、吐出流路47(図2を参照)への流出口としての吐出ポート47aが形成されている。
次に、第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機の作用及び効果を従来の一般的なスクリュー圧縮機と比較しつつ図6〜図10を用いて説明する。まず、従来のスクリュー圧縮機の構造及び作用を図6〜図8を用いて説明する。図6は従来のスクリュー圧縮機における外径隙間及びロータ間隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。図7は従来のスクリュー圧縮機における吐出端面隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。図8は従来のスクリュー圧縮機における軸孔隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。図6は、雄ロータ及び雌ロータの雄側歯部及び雌側歯部における軸方向の中途位置の横断面を吐出側から見た図である。図7は、雄ロータ及び雌ロータの吐出端面隙間での横断面を吐出側から見た図である。なお、図6〜図8において、図1〜図5に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図6〜図8に示す従来のスクリュー圧縮機101が本実施の形態と異なる点は、雄ロータ102の雄側歯部121が本実施の形態の雄側歯部21の歯部本体24と同様な構造を備えているのみであり、本実施の形態の雄側歯部21の仕切部25を備えていないことである。すなわち、雄側歯部121は、各雄歯121aが軸方向両端まで延在する歯部本体のみで構成されている。雄側歯部121では、隣接する雄歯121a間に形成された複数の歯溝が、雄ロータ102の周方向に開口すると共に、軸方向両端において雄ロータ102の軸方向に開口している。雄側歯部121は、軸方向両端にそれぞれ平面状の吸込端面(図示せず)及び図7に示す吐出端面128を有している。雄側歯部121の吸込端面及び吐出端面128は、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっている。
なお、雄ロータ102のそれ以外の構成は、本実施の形態の雄ロータ2と同様な構成である。また、従来のスクリュー圧縮機101は、本実施の形態の雌ロータ3と同様な構成を備えている。
また、図8に示す従来のスクリュー圧縮機101が本実施の形態と異なる点は、ケーシング4のボア145が本実施の形態の仕切部25を備えていない雄側歯部121を格納することである。具体的には、ボア145は、雄側歯部121を格納する部分の軸方向長さがその他の部分の軸方向長さと等しくなるように形成されている。換言すると、ボア145の吐出側の軸方向内壁面は、雄側歯部121側の内壁面(雄側歯部121の吐出端面128に対向する第2吐出側内壁面)172と雌側歯部31側の内壁面(図示せず)とで段差がないように構成されている。
従来のスクリュー圧縮機101では、雌雄両ロータ102、3とケーシング4の内壁面(ボア145を形成する壁面)との間に、接触による損傷を防ぐため、微小な隙間が設けてられている。具体的には、図6に示すように、雄ロータ102及び雌ロータ3の歯先とケーシング4の内周面73との間に隙間(以下、外径隙間G1という)が設けられている。また、図8に示すように、雄側歯部121及び雌側歯部31の吐出端面128、38とケーシング4の吐出側の軸方向内壁面172との間に隙間(以下、吐出端面隙間G2という)が設けられている。また、図7及び図8に示すように、雄ロータ102及び雌ロータ3の吐出側のシャフト部23、33とケーシング4の吐出側の軸孔54、55の壁面との間に隙間(以下、軸隙間G3という)が設けられている。また、図6に示すように、雌雄両ロータ102、3間の接触による損傷を防ぐために、雄側歯部121と雌側歯部31の噛合い部の間に隙間(以下、ロータ間隙間G4という)が形成されている。
従来のスクリュー圧縮機101では、図1及び図2に示す本実施の形態のスクリュー圧縮機1と同様に、回転駆動装置(図示せず)によって雄ロータ102が駆動されると、第1タイミングギア12及び第2タイミングギア13により雌ロータ3が同期回転する。これにより、複数の作動室Cが、雄ロータ102及び雌ロータ3の回転に伴って軸方向に移動しつつ、その容積を増加させて吸込流路46を介して気体を吸い込み、その後、その容積を減少させて気体を圧縮する。雄ロータ102及び雌ロータ3の吐出側端面128、38まで達した圧縮気体は、吐出流路47を経て吐出される。
圧縮過程にある作動室C内の高圧の圧縮気体は、上記隙間G1、G2、G3、G4を介して相対的に低圧の領域へ漏出する。高圧の作動気体が漏出することで圧縮機効率が低下する。例えば、圧縮過程にある相対的に高圧の作動室Ch内の圧縮気体は、図6の矢印f1に示すように、作動室Chよりも低圧の隣接する作動室Cmへ外径隙間G1を介して流出する。また、相対的に高圧の作動室Ch内の圧縮気体は、図6の矢印f4に示すように、吸込過程にある相対的に低圧の作動室Csへロータ間隙間G4を介して流出する。
また、圧縮過程の最終段階又は吐出過程にある作動室Cd内の高圧の圧縮気体は、図7の矢印f2に示すように、吐出端面隙間G2(図8を参照)を介して、作動室Cdよりも低圧の隣接する作動室Cmへ流出する。また、作動室Cd内の高圧の圧縮気体は、図7及び図8の矢印f3に示すように、吐出端面隙間G2及び軸隙間G3を順に介して、作動室Cdよりも低圧であるエアシール15側(ケーシング4外への開放側)へ向かって流出する。
吐出端面隙間G2では、図7に示すように、圧縮過程の終了直前又は吐出過程の作動室Cdからの高圧の圧縮気体の漏出が生じる。この漏出は、圧縮過程の終了直前又は吐出過程にあるより高圧の圧縮気体が漏出する分、費やした圧縮動力の損失が大きくなる。また、吐出端面隙間G2は雄ロータ102及び雌ロータ3の雄側歯部121及び雌側歯部31の吐出端面128、38の面全体に亘る隙間であり、吐出端面隙間G2を介した圧縮気体の漏出量は他の隙間G1、G4を介する場合よりも比較的多くなる傾向にある。したがって、吐出端面隙間G2を介する圧縮気体の漏出f2、f3は、他の隙間G1、G4を介する圧縮気体の漏出f1、f4の場合よりも、圧縮機効率の低下に対する影響が大きくなる傾向にある。
次に、第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機の効果を図9及び図10を用いて説明する。図9は本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雄ロータ及び雌ロータの吐出側の軸方向端面とケーシングの吐出側の軸方向内壁面との間の隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。図10は本発明の第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における軸孔隙間を介した圧縮気体の漏出を示す説明図である。図9は、雄ロータ及び雌ロータの吐出端面隙間での横断面を吐出側から見た図である。
本実施の形態においては、図9及び図10に示すように、雄ロータ2の雄側歯部21は、歯部本体24の軸方向の吐出側端に仕切部25を有している。仕切部25は、歯部本体24の各歯溝おける吐出側の軸方向開口を閉止している。
したがって、雄ロータ2においては、圧縮過程の最終段階又は吐出過程にある高圧の作動室Cdと作動室Cdよりも低圧の隣接する作動室Cmとが、仕切部25の存在によって、雄側歯部21の吐出端面28とケーシングの第2吐出側内壁面72との間の隙間(吐出端面隙間)G22を介して連通していない。それ故、雄ロータ2においては、作動室Cd内の高圧の圧縮気体が吐出端面隙間G22を介して相対的に低圧の隣接する作動室Cmへ流出することはない。それに対して、従来のスクリュー圧縮機101の雄ロータ102においては、前述したように、圧縮過程の最終段階又は吐出過程にある作動室Cdから隣接する作動室Cmへ吐出端面隙間G2を介して圧縮気体の漏出f2が生じる(図7を参照)。
また、雄ロータ2においても、作動室Cd内の高圧の圧縮気体が軸隙間G3を介して作動室Cdよりも低圧であるエアシール15側(ケーシング4外への開放側)へ向かって流出するが、従来のスクリュー圧縮機101とはその経路が異なる。本実施の形態においては、作動室Cd内の高圧の圧縮気体は、図9及び図10の矢印f33に示すように、仕切部25の外周端を越えた後、吐出端面隙間G22介して軸隙間G3に到達する。それに対して、従来のスクリュー圧縮機101の雄ロータ102においては、前述したように、作動室Cdから軸隙間G3への圧縮気体の漏出f3は、雄側歯部121の歯溝の吐出側の軸方向開口から吐出端面隙間G2へ直接流出することで軸隙間G3に到達する(図7及び図8を参照)。このように、本実施の形態の雄ロータ2における作動室C内の圧縮気体の軸隙間G3への漏出f33は、従来のスクリュー圧縮機101の雄ロータ102における作動室C内の圧縮気体の軸隙間G3への漏出f3に比べて、軸隙間G3へ到達するまでの経路が長くなる。したがって、圧縮気体の漏出経路が長くなる分、気体漏出の抵抗が大きくなり、気体の漏出量を低減することができる。
また、本実施の形態においては、図9に示すように、雄ロータ2の雄側歯部21における円板状の仕切部25の外径を歯部本体24の歯先径と同径に設定したので、雄側歯部21の各歯溝の吐出側の軸方向開口の全領域を完全に閉塞しているので、吐出端面隙間G22を介した隣接する作動室Cd、Cm間の圧縮気体の漏出をなくすことができる。
さらに、本実施の形態においては、雄ロータ2の雄側歯部21における円板状の仕切部25の外径を歯部本体24の歯先径と同径に設定したので、仕切部25の外周縁とケーシング(ボア45)の内周面73との隙間を歯部本体24の歯先とケーシング(ボア45)の内周面73との隙間(外径隙間G1)と同じにすることができる。したがって、運転時の熱変形による仕切部25とケーシング4との接触を防止しつつ、前述した圧縮気体の漏出の低減効果を得ることができる。
また、本実施の形態においては、雄ロータ2の雄側歯部21及び雌ロータ3の雌側歯部31の吐出側端面28、38とケーシング4の吐出側の軸方向内壁面71、72との隙間、いわゆる吐出端面隙間G22を、従来のスクリュー圧縮機101における端面隙間G2と同等な大きさに設定しているので、雄ロータ2及び雌ロータ3の吐出側端面28、38とケーシング4の軸方向内壁面71、72との接触を防止することができる。
なお、本実施の形態における雌ロータ3における圧縮気体の漏出は、従来のスクリュー圧縮機101の雌ロータ3の場合と同様である。
上述したように、第1の実施の形態によれば、雄歯21aが形成された雄側歯部21の歯部本体24における軸方向の吐出側端に仕切部25を設けることで、歯部本体24の各歯溝の吐出側の軸方向開口を閉塞したので、雄側歯部21における吐出側の軸方向端面28とそれに対向するケーシング4の第2吐出側内壁面(吐出側の軸方向内壁面)72との間に形成された隙間(吐出端面隙間)G22を介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、雄ロータ2の雄側歯部21における仕切部25と歯部本体24とを一体に形成する構成としたので、歯部本体24と仕切部25とを接合する必要がなく、歯部本体24と仕切部25を接合することで生じる隙間を介して圧縮気体が漏出することを懸念する必要がない。
[第1の実施の形態の変形例]
次に、本発明の第1の実施の形態の変形例に係るスクリュー圧縮機について図11を用いて例示説明する。図11は本発明の第1の実施の形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における雄ロータを分解した状態で示す斜視図である。なお、図11において、図1〜図10に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
第1の実施の形態に係るスクリュー圧縮機1が雄ロータ2の雄側歯部21における歯部本体24と仕切部25とを一体に形成したものであるのに対して、図11に示す第1の実施の形態の変形例に係るスクリュー圧縮機は、雄ロータ2Aの雄側歯部21Aにおける歯部本体24と仕切部25Aとを別部材で構成している。具体的には、雄ロータ2Aにおいては、雄側歯部21Aの歯部本体24に対して仕切部としての円板状部材25Aをボルト等の複数の接合部材26によって着脱可能に接合している。円板状部材25Aは、圧縮気体の漏出が生じないように、歯部本体24との間に隙間が生じないよう接合される。円板状部材25Aは、運転時における歯部本体24に対する熱変形の差や熱応力を小さくするために、歯部本体24と同一の材質、又は、歯部本体24の材質に対して線膨張係数の近い材質によって形成することが望ましい。
本変形例においては、雄側歯部21Aの歯部本体24と仕切部25Aを別部材で構成しているので、歯部本体24の歯形をホブ加工や砥石による研削加工等の除去加工によって製作することができる。したがって、雄側歯部21の歯部本体24と仕切部25と一体で構成する第1の実施の形態の場合よりも、雄側歯部21Aの製造が容易となる。
本変形例によれば、第1の実施の形態と同様に、雄ロータ2Aの雄側歯部21Aの吐出端面28とそれに対向するケーシング4の第2吐出側内壁面(吐出側の軸方向内壁面)72との間に形成された隙間(吐出端面隙間)G22を介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機を図12〜図14を用いて例示説明する。図12は本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雄ロータを示す斜視図である。図13は本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機における雌ロータを示す斜視図である。図14は本発明の第2の実施の形態に係るスクリュー圧縮機におけるケーシングの吐出側の軸方向内壁面(吐出端面)を示す図である。図14は図5と同じ方向から見た図である。図12及び図13中、左側がスクリューロータの吸込側、右側が吐出側である。なお、図12〜図14において、図1〜図11に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図12〜図14に示す第2の実施の形態が第1の実施の形態と相違する点は、雄ロータ2Bの雄側歯部21Bが第1の実施の形態における雄側歯部21の仕切部25を備えておらず、雌ロータ3Bの雌側歯部31Bが仕切部35を備えていることである。
具体的には、雌ロータ3Bの雌側歯部31Bは、図13に示すように、螺旋状の雌歯31aが複数形成された歯部本体34と、歯部本体34の軸方向の吐出側端(図13中、右端)に設けられ、軸方向に厚みのある板状の仕切部35とで構成されている。雌側歯部31Bは、軸方向一端(吸込側のシャフト部32との接合部分)及び軸方向他端(吐出側のシャフト部33との接合部分)にそれぞれ平面状の吸込端面37及び吐出端面38Bを有している。
歯部本体34は、各雌歯31aが歯部本体34の軸方向の一端(図13中、左端)から他端(図13中、右端)まで延在するように構成されている。歯部本体34では、隣接する雌歯31a間に形成された複数(図13中、6つ)の歯溝が雌ロータ3Bの周方向に開口すると共に、歯部本体34の軸方向一端及び軸方向他端において雌ロータ3Bの軸方向に開口している。歯部本体34の軸方向一方側の端面は、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっており、雄側歯部31Bの吸込端面37を構成している。
仕切部35は、本実施の形態の特徴的な構成である。仕切部35は、例えば、外形が円形状で歯部本体34の雌歯31aの歯先径と同径となるように構成されている。すなわち、仕切部35は、歯部本体34の歯先径の位置まで径方向に延在する円板状の部分である。仕切部35は、歯部本体34の各歯溝における吐出側の軸方向開口の全領域を閉塞するものである。仕切部35における歯部本体34の反対側に位置する外側端面は、外形(輪郭)が円形状となっており、雌側歯部31Bの吐出端面38Bを構成している。
また、雄ロータ2Bの雄側歯部21Bは、図12に示すように、雌ロータ3Bの歯部本体34に対応する螺旋状に雄歯21aが複数形成された歯部本体のみで構成されている。雄側歯部21B(歯部本体)は、各雄歯21aが軸方向の一端(図12中、左端)から他端(図12中、右端)まで延在するように構成されている。雄側歯部21B(歯部本体)の軸方向長さは、雌側歯部31Bの歯部本体34の軸方向長さと略等しいが、雌側歯部31Bの歯部本体34と噛み合う雄側歯部21B(歯部本体)が仕切部35に接触しないように雄側歯部21B(歯部本体)と雌側歯部31Bの仕切部25との間に微小の隙間が形成されるように設定されている。雄側歯部21Bは、軸方向一端(吸込側端)及び軸方向他端(吐出側端)にそれぞれ平面状の吸込端面27及び吐出端面28Bを有している。吸込端面27及び吐出端面28Bはそれぞれ、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっている。雄側歯部21Bでは、隣接する雄歯21a間に形成された複数(図12中、5つ)の歯溝が雄ロータ2Bの周方向に開口すると共に、吸込端面27及び吐出端面28Bにおいて雄ロータ2Bの軸方向に開口している。
また、本実施の形態におけるケーシング4のボア45Bでは、雄側歯部21B(歯部本体)及び雌側歯部31Bの歯部本体34を格納する空間に加えて、雌側歯部31Bの仕切部35を格納する空間が必要となる。すなわち、ケーシング4の内部空間としてのボア45Bは、仕切部35を含む雌側歯部31Bが格納される部分の軸方向長さが、その他の部分の軸方向長さよりも、仕切部35の軸方向長さの分だけ長くなるように形成されている。換言すると、ケーシング4のボア45Bの一部を形成する吐出側の軸方向内壁面は、雄側歯部21B側と雌側歯部31B側とで仕切部35の格納分の段差が生じるように構成されている。つまり、ボア45Bの吐出側の軸方向内壁面は、図14に示すように、雌側歯部31Bの吐出端面(仕切部35の外側端面)38Bに対向する内壁面(第1吐出側内壁面)71Bと、雄側歯部21Bの吐出端面28Bに対向する内壁面(第2吐出側内壁面)72Bとで構成されており、第1吐出側内壁面71Bが第2吐出側内壁面72Bよりも仕切部35の厚み分軸方向に深くなるよう(凹むように)に形成されている。
第2吐出側内壁面72Bと雄側歯部21Bの吐出端面28Bとの間に設けた隙間(吐出端面隙間)は、例えば、従来のスクリュー圧縮機101の場合と同等の大きさに設定されている。第1吐出側内壁面71Bと雌側歯部31Bの吐出端面(仕切部35の外側端面)38Bとの間に設ける隙間は、例えば、第2吐出側内壁面72Bと雄側歯部21Bの吐出端面28Bとの間に設けた隙間と略同じ大きさに設定されている。すなわち、雄ロータ2Bの雄側歯部21B及び雌ロータ3Bの雌側歯部31Bの吐出側端面28B、38Bとケーシング4の吐出側の軸方向内壁面71B、72Bとの隙間、いわゆる吐出端面隙間は、従来のスクリュー圧縮機101の場合と同等な大きさに維持されている。本実施の形態は、吐出端面隙間が従来と同等な大きさであっても、当該隙間を介した圧縮気体の漏出を抑制するものである。
このように、本実施の形態においては、雌ロータ3Bの雌側歯部31Bが仕切部35を備える構成である。雌ロータ3の歯幅は、一般に図7に示すように、雄ロータ102の歯幅に比べて薄くなるように構成されているので、隣接する作動室への吐出端面隙間を介した圧縮気体の漏出f2については、雌ロータ3の作動室への漏出経路の方が雄ロータ102の作動室への漏出経路よりも短くなる。したがって、雌ロータ3の作動室への漏出量が雄ロータ102の作動室への漏出量よりも多くなる傾向にある。本実施の形態における雌ロータ3Bの仕切部35は、上記漏出による損失を低減することができる。したがって、本実施の形態は、雄ロータ2の雄側歯部21が仕切部25を備える第1の実施の形態と比較して、圧縮気体の漏出を更に低減することができ、圧縮機効率を更に向上させることができる。
上述したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、雌歯31aが形成された雌側歯部31Bの歯部本体34における軸方向の吐出側端に仕切部35を設けることで、歯部本体34の各歯溝の吐出側の軸方向開口を閉塞したので、雌側歯部31Bにおける吐出側の軸方向端面38Bとそれに対向するケーシング4の第1吐出側内壁面(吐出側の軸方向内壁面)71Bとの間に形成された隙間(吐出端面隙間)を介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
[その他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態では、本発明を無給油式のスクリュー圧縮機1に適用した例を示したが、本発明は給油式のスクリュー圧縮機や水潤滑式のスクリュー圧縮機にも適用可能である。
また、上述した実施の形態では、本発明を雌雄一対のスクリューロータ2、2A、2B、3、3Bを備えるツインロータ型のスクリュー圧縮機1に適用した例を示した。しかし、本発明は、3つのスクリューロータを備えるトリプルロータ型のスクリュー圧縮機など、3つ以上のスクリューロータを備える圧縮機にも適用することが可能である。すなわち、本発明は、複数のスクリューロータを備える圧縮機に適用することができる。この場合、少なくとも1つのスクリューロータの歯部がその軸方向の吐出側端部に板状の仕切部を備えていればよい。
また、上述した実施の形態では、仕切部25、25A、35の外形を円形状に形成した構成の例を示したが、仕切部の外形を多角形や楕円形等に形成する構成も可能である。ただし、仕切部の外形を円形状に形成する方が、多角形や楕円形等に形成する場合よりも、仕切部の外周縁とケーシングの内周面73との隙間を小さくすることができると共に、雄側歯部又は雌側歯部の各歯溝の吐出側の軸方向開口の閉塞領域を大きくすることができる。
さらに、上述した第1の実施の形態及びその変形例では、雄ロータ2、2Aの雄側歯部21、21Aの吐出側端面28(仕切部25、25Aの外側端面)とケーシング4の第2吐出側内壁面72との隙間、いわゆる吐出端面隙間G22を、従来のスクリュー圧縮機101における端面隙間G2と同等な大きさに設定する構成の例を示した。しかし、吐出端面隙間を小さくするために、図15に示す雄ロータ2Cの構成も可能である。図15は本発明のその他の実施の形態の第1例に係るスクリュー圧縮機における仕切部の周辺を拡大した状態で示す断面図である。具体的には、雄ロータ2Cの雄側歯部21Cにおける仕切部25の外側端面に被覆層25cを備える構成が可能である。被覆層25cは、例えば、接触による焼付きが起こりにくいカーボンのような非金属の材料を仕切部25の外側端面に吹き付けて付着させることで形成することができる。
この実施形態においては、被覆層25cを設けることで、端面隙間G22Cを小さくすることができる。その結果、端面隙間G22Cを介した圧縮気体の漏出f33を更に低減することができると共に、被覆層25cとケーシング4の第2吐出側内壁面72とが接触しても、雄ロータ2C本体の損傷を防止でき、スクリュー圧縮機1の信頼性を確保することができる。また、円板状の仕切部25の表面に被覆層25cを設けるので、歯形状の吐出端面に被覆層を形成する場合と比較して被覆層25cの形成が容易である。更に、雄側歯部21Aの仕切部25Aが歯部本体24とは別体である第1の実施の形態の変形例においては、被覆層25cを形成する際に、雄側歯部21Aの歯部本体24を扱う必要がなく、仕切部25Aのみを扱えばよいので、被覆層25cの形成が更に容易である。
なお、上述した第2の実施の形態における雌ロータ3Bの雌側歯部31Bの仕切部35に対しても、上述した被覆層を設けることが可能である。
また、上述した第1の実施の形態及びその変形例では、雄ロータ2、2Aの雄側歯部21、21Aの仕切部25、25Aを歯部本体24の雄歯21aの歯先径と同径となるように構成した例を示した。しかし、何らの理由により、仕切部25、25Aを歯部本体24の歯先径の位置まで延在させることができない場合も想定される。歯部本体24の歯先径以下であって歯底径よりも大きい位置まで径方向に延在するように仕切部を構成することも可能である。
例えば、雄ロータ2Dの雄側歯部21Dの仕切部25Dは、図16に示すように、歯部本体24の歯先径よりも短いが歯部本体24の歯底径よりも長い位置まで径方向に延在している円板状の部分である。図16は本発明のその他の実施の形態の第2例に係るスクリュー圧縮機を示す断面図である。
この実施の形態でも、仕切部25Dは、雄側歯部21Dの歯部本体24における各歯溝の吐出側の軸方向開口の一部の領域を閉塞しているので、雄側歯部21Dの吐出端面28とそれに対向するケーシング4の第2吐出側内壁面(吐出側の軸方向内壁面)72との間に形成された隙間(吐出端面隙間)を介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
なお、上述した第2の実施の形態における雌ロータ3Bの雌側歯部31Bの仕切部35に対しても、雄ロータ2Dの仕切部25Dと同様に、歯部本体34の歯先径以下であって歯底径よりも大きい位置まで径方向に延在するように構成することが可能である。
また、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
以上から、上述した実施の形態によれば、スクリューロータ2、2A、2C、2D、3Bの歯部本体24、34における軸方向の吐出側端に仕切部25、25A、25D、35を設けることで、歯部本体24、34の各歯溝の吐出側の軸方向開口の少なくとも一部を閉塞したので、スクリューロータ2、2A、2C、2D、3Bにおける吐出側の軸方向端面28、38Bとそれに対向するケーシング4の軸方向内壁面72、71Bとの間に形成された隙間G22、G22Cを介した圧縮気体の漏出を低減することができる。
1…スクリュー圧縮機、 2、2A、2B、2C、2D…雄ロータ(スクリューロータ)、 3、3B…雌ロータ(スクリューロータ)、 4…ケーシング、 21B…雄側歯部(第2の歯部本体)、 21a…雄歯(歯)、 24…歯部本体(第1の歯部本体)、 25、25A、25D…仕切部、 25c…被覆層、 31…雌側歯部(第2の歯部本体)、 31a…雌歯(歯)、 34…歯部本体(第1の歯部本体)、 35…仕切部、 71B…第1吐出側内壁面(内壁面)、 72…第2吐出側内壁面(内壁面)
ケーシング4の内部には、雄ロータ2の雄側歯部21及び雌ロータ3の雌側歯部31を互いに噛み合った状態で格納するボア45と称する格納空間が形成されている。ボア45は、メインケーシング41に形成された一部重複する2つの円筒状空間の軸方向一方側(図1及び図2中、右側)の開口を吸込側ケーシング42で閉塞することによって構成されている。雄側歯部21における複数の雄歯21a(図3を参照)間に形成された複数の歯溝及び雌側歯部31における複数の雌歯31a(図3を参照)間に形成された複数の歯溝とそれを取り囲むケーシング4の内壁面(ボア45を形成するメインケーシング41の軸方向内壁面71、72や内周面73及び吸込側ケーシング42の端壁面74)とで複数の作動室Cが形成される。作動室Cが雌雄両ロータ2、3の回転に伴って軸方向へ移動しつつ収縮することで、作動室C内の作動流体が圧縮される。

歯部本体34は、各雌歯31aが歯部本体34の軸方向の一端(図13中、左端)から他端(図13中、右端)まで延在するように構成されている。歯部本体34では、隣接する雌歯31a間に形成された複数(図13中、6つ)の歯溝が雌ロータ3Bの周方向に開口すると共に、歯部本体34の軸方向一端及び軸方向他端において雌ロータ3Bの軸方向に開口している。歯部本体34の軸方向一方側の端面は、外形(輪郭)が周方向に間隔をあけて配列された複数の歯形状となっており、側歯部31Bの吸込端面37を構成している。

Claims (7)

  1. 複数のスクリューロータを備え、
    前記複数のスクリューロータのうち、第1のスクリューロータは螺旋状に歯が形成された第1の歯部本体と、前記第1の歯部本体の軸方向の吐出側端に設けられ、前記第1の歯部本体の歯先径以下であって歯底径よりも大きい位置まで径方向に延在する仕切部と、を有し、
    前記複数のスクリューロータのうち、第2のスクリューロータは前記第1の歯部本体に対応する螺旋状に歯が形成された第2の歯部本体を有する圧縮機。
  2. 前記仕切部は円形状である請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記仕切部の外径が前記第1の歯部本体の歯先径と同径である請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記第1の歯部本体と前記仕切部は一体に形成されている請求項1に記載の圧縮機。
  5. 前記第1の歯部本体と前記仕切部は別部材で構成されている請求項1に記載の圧縮機。
  6. 前記仕切部の、前記複数のスクリューロータを格納するケーシングの内壁面に対向する面には被覆層がある請求項1に記載の圧縮機。
  7. 前記複数のスクリューロータの歯部本体の軸方向長さは略等しく、
    前記複数のスクリューロータを格納するケーシングの内部空間は、前記仕切部が格納される部分の軸方向長さが、その他の部分の軸方向長さよりも、前記仕切部の軸方向長さの分だけ長い請求項1に記載の圧縮機。
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