JP6085438B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は硬化性組成物に関し、特に、銅、銀電極などの各種電極の保護に好適な絶縁被覆を形成することが可能な硬化性組成物に関する。
一般に、電子部品等における各種電極の外気(湿気)からの保護剤(保護コート)としては、熱硬化系、紫外線硬化系及び室温硬化系の樹脂組成物が広く知られている。例えば、熱硬化系の樹脂組成物としては特公平1−19834号公報に開示されているようなエポキシ樹脂系樹脂組成物があり、また、紫外線硬化系の樹脂組成物としては特開昭60−103343号公報に開示されているようなアクリル系樹脂組成物がある。
ところが、これらの樹脂組成物のうち、熱硬化系の樹脂組成物では、硬化処理に際して長時間の加熱を要するために、作業性が悪く、また他の部材への悪影響が懸念される。紫外線硬化系の樹脂組成物では、硬化速度が早く、低温で硬化できるという利点があるものの、硬化収縮が大きいために密着性が悪く、硬化物に歪みが残りクラックが発生したり、耐水性が悪いという欠点がある。室温硬化系の樹脂組成物では、硬化設備が必要でなく、安価であるという利点があるものの、硬化に長時間を要すること、さらには硬化させる場所を確保する必要があり、作業性が悪いという欠点がある。
これに対し、上述した各種欠点を克服し得る樹脂組成物として、紫外線硬化系の樹脂組成物の中でも特に低硬化収縮を特徴とする光カチオン触媒を使用した樹脂組成物が提案されている(特公平2−30326号、特開平5−186755号公報参照)。しかしながら、かかる樹脂組成物では、金属電極上で用いると、光カチオン触媒が原因と思われる金属電極の腐食が生じ易いという新たな問題が生じる。
一方で、フラットパネルのモジュール等に代表されるように、外部電極のファインパターン化が進行する今日では、その電極は、ガラス基板上にフォトリソ法にて狭ピッチにパターン化された焼成銀ペーストにて作成されている。このとき保護膜には、保護という機能以外にも、表面平滑性、基材に対する密着性という重要な特性が要求される。
特公平1−19834号公報 特公平2−30326号広報 特開平5−186755号公報参
そこで本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、紫外線硬化系の樹脂組成物が有する利点を具えつつ、基材に対する密着性に優れ、かつ、表面平滑性に優れた硬化膜を実現し得る樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を採用した。
(1)(A)分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する化合物および(B)光重合開始剤を含有する硬化性組成物であって、(A)成分が、25℃の粘度が8〜250mPa・sである、分子中に2個以下の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−1)、および25℃の粘度が180〜800mPa・sである、分子中に3個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−2)を、(A−1)/(A−2)=6.09.5の質量比で含有し、X軸方向・Y軸方向の2層の透明電極層を絶縁保護層をはさんで重ね、タッチ位置を電極間の静電容量の変化から検出する投影型静電容量方式のタッチパネル電極の、少なくとも2重の硬化皮膜である前記絶縁保護層形成用であることを特徴とする硬化性組成物。
(2)(B)光重合開始剤が、α−ヒドロキシケトン開始剤と、アシルホスフィンオキサイド開始剤を含むことを特徴とする、(1)に記載の硬化性組成物。
(3)さらに、(C)ポリエステル樹脂を含む、(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)ITOの絶縁保護層形成用である(1)〜(3)いずれかに記載の硬化性組成物。
(5)投影型静電容量方式タッチパネルにおける、銀、有機導電膜、ITOから選択される少なくとも1種のための絶縁保護層形成用である(1)〜(4)いずれかに記載の硬化性組成物。
(6)(1)〜(5)いずれかに記載の硬化性組成物による硬化皮膜を有する配線板。
(7)(1)〜(5)いずれかに記載の硬化性組成物による少なくとも2重の硬化皮膜である絶縁保護層を有する、X軸方向・Y軸方向の2層の透明電極層を前記絶縁保護層をはさんで重ね、タッチ位置を電極間の静電容量の変化から検出する投影型静電容量方式のタッチパネル電極。
(8)(1)〜(5)いずれかに記載の硬化組成物により、少なくとも2重の硬化皮膜を形成したことを特徴とする、投影型静電容量方式タッチパネル用の電極。
本発明の硬化性組成物を用いることにより、優れた平滑性と基材に対する密着性を有する硬化膜を形成することが可能となる。
本発明に係る硬化性組成物は、(A)分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する化合物および(B)光重合開始剤を含有する硬化性組成物であって、(A)成分が、分子中に2個以下の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−1)および分子中に3個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−2)を、(A−1)/(A−2)=6〜13の質量比で含有することを特徴とする。
(A)分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する化合物としては、分子中に2個以下の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−1)および分子中に3個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−2)を、(A−1)/(A−2)=6〜13の質量比で含有すれば特に制限はない。
分子中に(メタ)アクリル基を1つ有する化合物としては、特に制限はないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート並びにフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールアクリレート等の芳香環含有アクリルモノマー;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びN−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。これらは、一種を単独で使用してもよいが、複数を組み合わせて使用してもよい。
分子中に(メタ)アクリル基を2つ有する化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールA型エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤が挙げられる。
分子中に(メタ)アクリル基を3つ以上有する化合物としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル基を1分子あたり3〜8個有する化合物が好ましく、3〜6個有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、例えば、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤が挙げられる。アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートにおけるオキシアルキレン基としては、例えば、炭素数2〜10(好ましくは2〜4)のオキシアルキレン基があげられる。この様なものとしては、例えばエチレンオキサイド変性トリメチロールプリパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
各(A)成分の粘度(25℃)としては、塗工時の作業性を考慮すると、好ましくは3〜1000Pa・s、より好ましくは3〜500Pa・s、さらに好ましくは3〜300の範囲である。言うまでもなく、25℃粘度が1000Pa・sを上回る(A)成分を併用することも可能である。1000Pa・sを上回る粘度を有する(A)成分を用いることにより、硬化皮膜の柔軟性・耐クラック性を向上させることができる。ただし、良好な作業性を考慮すると、1000Pa・sを上回る粘度を有する(A)成分の含有量は、(A)成分全体に対して、好ましくは0〜30質量部、さらに好ましくは3〜15質量部の範囲である。25℃粘度が1000Pa・sを上回る(A)成分としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等、通常公知の成分を用いることができる。
組成物全体に占める(A)成分合計の含有量としては、特に制限はないが、良好な硬化性を実現するためには、好ましくは30質量%〜99質量%、さらに好ましくは50質量%〜95質量%の範囲である。
(B)光重合開始剤としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシケトン開始剤、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系開始剤等が挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ベンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、市販品としてBASF社製のLUCIRIN TPO、Irguacure 819などが挙げられる。これらを単独または組み合わせて用いることができる。組み合わせて使用する場合には、α−ヒドロキシケトン開始剤と、アシルホスフィンオキサイド開始剤との組み合わせが好適である。これらの開始剤の組み合わせにより、黄変の防止及び露光時間の短縮という効果が期待できる。光重合開始剤の使用量は、少量の場合、作業中の露光時間を要し、多量の場合、熱硬化中の揮発分が多くなり、乾燥炉内を汚染するおそれがあることから、(A)成分100質量部に対して、1〜30質量部、さらには2〜25質量部が好ましい。
PET基材との密着性をさらに向上させるためには、本発明の樹脂組成物に、ポリエステル樹脂を添加することが好ましい。ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等、通常公知のポリエステル樹脂を単独又は組み合わせて使用することができる。ポリエステル樹脂の製品名の具体例としては、ユニチカ株式会社のエリーテルUE-3200G、エリーテルUE-3250、エリーテルUE-9100、エリーテルUE-3940、エリーテルUE-9885、エリーテルUE-3220、エリーテルUE-3223、エリーテルUE-3230、エリーテルUE-3231、エリーテルUE-3400、エリーテルUE-3410、エリーテルUE-3500、エリーテルUE-3510、エリーテルUE-3200、エリーテルUE-9200、エリーテルUE-3201、エリーテルUE-3203、エリーテルUE-3600、エリーテルUE-9600、エリーテルUE-3660、エリーテルUE-3690、エリーテルUE-9800、エリーテルUE-9900、エリーテルUE-3210、エリーテルUE-3215、エリーテルUE-3216、エリーテルUE-3620、エリーテルUE-3240、エリーテルUE-3250、エリーテルUE-3320、エリーテルUE-9820、エリーテルUE-3350、エリーテルUE-3370、エリーテルUE-3380、エリーテルUE-3300、エリーテルUE-3980、東洋紡績株式会社のバイロン103、バイロン200、バイロン220、バイロン226、バイロン237、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン290、バイロン296、バイロン300、バイロン500、バイロン550、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン637、バイロン650、バイロン660、バイロン670、バイロン802、バイロン822、バイロン885、バイロンGK130、バイロンGK140、バイロンGK150、バイロンGK250、バイロンGK330、バイロンGK360、バイロンGK570、バイロンGK590、バイロンGK640、バイロンGK680、バイロンGK780、バイロンGK810、バイロンGK880、バイロンGK890、バイロンBX1001、日立化成工業株式会社のエスペル9940A、エスペル9940B、エスペル9940C-37、エスペル9940D、エスペル9940E-37、エスペル9940Z-37などが挙げられる。ポリエステル樹脂の配合量としては、(A)成分100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物には、上記の成分に加えて、難燃剤、溶剤、硬化触媒及びその他各種の添加剤を配合することができる。
難燃剤としては、特に制限は無いが、リン系難燃剤が好適である。リン系の難燃剤は、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(以下HCA)、HCAとアクリル酸エステルの付加反応生成物、HCAとエポキシ樹脂の付加反応生成物、HCAとハイドロキノンの付加反応生成物等のHCA変性型化合物、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらのうち、環境負荷を抑える点から、ノンハロゲン系のリン酸エステル、ホスフィン酸の金属塩、HCA変性型化合物、ホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、少量にて、難燃性だけではなく、耐ブリードアウト性、耐変色性に優れる点からホスフィン酸の金属塩が特に好ましい。リン系の難燃剤の使用量は、樹脂(A)100質量部に対して3〜30質量部であり、十分な難燃性を確保しつつ硬化膜の機械的強度の低下を確実に抑える点から、4〜20質量部が好ましい。
溶剤としては、有機溶剤が好適であり、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。溶剤の使用量は、良好な平滑性と粘度とを実現するため、樹脂(A)100質量部に対して、0〜10質量部、特に0〜5質量部の範囲が好ましい。
硬化触媒としては、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等が挙げられる。硬化触媒の使用量は、(A)100質量部に対して0.1〜5質量部が好適であり、好ましくは1〜5質量部である。
また、本発明では、必要に応じて、さらに、種々の添加成分、例えば、消泡剤、分散剤、体質顔料、無機イオンキャッチャー等を適宜配合することができる。消泡剤には、公知のものを使用でき、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。分散剤には、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤が挙げられる。体質顔料は、硬化膜の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、シリカ、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等を挙げることができる。無機イオンキャッチャーとしては、リン酸ジルコニウム系化合物等を挙げることができる。これら各種添加剤の配合量は、合計で、(A)100質量部に対して、0〜30質量部、特に0〜10質量部の範囲が好ましい。
上記のようにして得られた本発明の感光性樹脂組成物を光硬化させる場合には、例えば銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブル配線板上に、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の方法を用いて所望の厚さに塗布し、その上から紫外線を照射させることにより、フレキシブル配線板上に目的とする硬化膜を形成させることができる。
本発明の感光性樹脂組成物による硬化膜は、基板、特にフレキシブル基板のソルダーレジストとして好適に使用できるほか、透明であるものについては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)電極、銀・有機導電膜の保護膜としても好適に使用することができる。
以下、本発明を、実施例に則してさらに詳細に説明する。
(評価試験片作製)
実施例及び比較例の各配合物をディゾルバーで混合分散させて、樹脂組成物を調製した。
評価する基板の作製手順は以下の通りである。
基板:PETフィルム(帝人・デュポン社製PETフィルム(厚さ25μm))
表面処理:なし
スクリーン印刷
DRY膜厚:5〜15μm
露光装置:UV露光機アイグラフィック社製UB093−5AM
(評価試験)
露光量:上記組成物を、PET基材に塗工後、塗膜がタックフリーとなる露光量(mJ/cm)を測定した。
シングルコート平滑性:PETフィルム上に塗布した上記樹脂組成物の硬化後の表面平滑性について、目視にて評価した。
ダブルコート平滑性:シングルコートした塗膜上に同樹脂組成物をさらに塗工し、硬化後の表面平滑性を目視にて評価した。
PET密着性:上述の硬化塗膜を形成した試験片をJIS K 5400に則り、PET基材との密着性を評価し、碁盤目の残数により下記評価を行った。
◎…100/100 ○…70〜90/100 △…10〜70/100
×…0〜10/100
絶縁性:上記の基板作製工程に準じ、基板をPETから櫛形テストパターン(線幅100μm、線間100μm)に変更して塗布し、硬化塗膜を形成し、温度85℃、湿度85%の雰囲気中で直流50V印加して1000時間放置後試験片を槽外に取り出し絶縁抵抗値を測定した。
結果を以下の表に示した。
(備考)
ビスコート#160:ベンジルアクリレート(大阪有機化学)
Miramer M140:フェノールアクリレート(Miwon)
ライトエステル1,4BG:1,4−ブタンジオールジメタクリレート(共栄社化学)
ライトエステル1,9ND:1,9−ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学)
KAYARAD R-684:シクロペンタジエンジメタノールジアクリレート(日本化薬)
アロニックスM-305:ペンタエリスリトール(テトラ)トリアクリレート(東亞合成)
アロニックスM-408:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(東亞合成)
Miramer M600:ジペンタエリスリトール(テトラ)ヘキサアクリレート(Miwon)
イルガキュア184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF)
イルガキュア1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF)
イルガキュア754:オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(BASF)
LUCIRIN TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF)
SPEEDCURE 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF)
エリーテル UE-3690:ポリエステル樹脂(ユニチカ)
バイロン 240:ポリエステル樹脂(東洋紡)
バイロン GK640:ポリエステル樹脂(東洋紡)
ME-P8:[2−(9,10−ジヒロロキシ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合体]2)ホスホニトリル系難燃剤(三光(株))
EBECRYL 3708:エポキシアクリレート(ダイセル・サイテック)
Miramer PE250:エポキシアクリレート(Miwon)
EBECRYL 8405:ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック)
AH-600:フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学)
UVX-189:ビニル系重合物(楠本化成)
ポリフロー No.90:アクリルポリマー(共栄社化学)
EDGAC:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(神港有機化学工業(株))
本発明の硬化性組成物を用いることにより、優れた平滑性と基材に対する密着性を有する透明硬化膜を形成することが可能となる。
特に、本願発明の樹脂組成物によれば、ダブルコートを行った場合にも優れた平滑性が実現されるので、X軸方向・Y軸方向の2層の透明電極層を絶縁層をはさんで重ね、タッチ位置を電極間の静電容量の変化から検出する投影型静電容量方式のタッチパネル電極(例えば、銀(銀配線、銀電極)、有機導電膜、ITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)電極)における保護皮膜(絶縁層)として好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. (A)分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する化合物および(B)光重合開始剤を含有する硬化性組成物であって、
    (A)成分が、25℃の粘度が8〜250mPa・sである、分子中に2個以下の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−1)、および25℃の粘度が180〜800mPa・sである、分子中に3個以上の(メタ)アクリル基を有する化合物(A−2)を、(A−1)/(A−2)=6.09.5の質量比で含有し、X軸方向・Y軸方向の2層の透明電極層を絶縁保護層をはさんで重ね、タッチ位置を電極間の静電容量の変化から検出する投影型静電容量方式のタッチパネル電極の、少なくとも2重の硬化皮膜である前記絶縁保護層形成用であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. (B)光重合開始剤が、α−ヒドロキシケトン開始剤と、アシルホスフィンオキサイド開始剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. さらに、(C)ポリエステル樹脂を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. ITOの絶縁保護層形成用である請求項1〜3いずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜いずれかに記載の硬化性組成物による少なくとも2重の硬化皮膜である絶縁保護層を有する、X軸方向・Y軸方向の2層の透明電極層を前記絶縁保護層をはさんで重ね、タッチ位置を電極間の静電容量の変化から検出する投影型静電容量方式のタッチパネル電極。
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