JP6083918B1 - 振動減衰機能付成形品の製造方法等 - Google Patents

振動減衰機能付成形品の製造方法等 Download PDF

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Abstract

【課題】従来多数の部品から構成されていたことに起因する製造時間の短縮並びにコスト等の負担を軽減し、廃棄時の処理性やリサイクル性にも優れた振動減衰機能付成形品の提供を図る。【解決手段】軸受部と円板部と繋ぎ部とから構成される第一成形品を得る第一射出成形工程と、これを金型にインサートしてエラストマによる前記振動減衰部を一体成形する第二射出成形工程と、さらにこれを金型にインサートして前記回転体を一体成形する第三射出成形工程とから構成され、前記振動減衰部は前記連通穴を介して前記円板部の両側から一体構造をなすとともに、前記回転体は前記回転体用連通穴を介して前記円板部の両側から一体構造となることを特徴とする振動減衰機能付成形品の製造方法を採用した。【選択図】図1

Description

本発明は、振動減衰機能を備えた軸受部を有する射出成形品の製造方法に関し、詳しくは、モーターの出力軸等と回転物とを連結する連結部において、振動を減衰させる構造の軸受部を有する回転成形品を一体的な構造体として製造する方法、並びにその成形品、特に空調用のシロッコファンやラインフローに用いられるファンの製造技術に関する。
回転する出力軸に取り付けられる回転物においては、特に高速回転する製品では振動を嫌うことから、モーター等の出力軸や加減速用ギヤヘッドの出力軸との間で減衰用のゴム等の振動吸収素材を利用するものが多い。例えば、空調用のファンにおいては、シロッコファンやラインフロー等のファンとをモーター駆動する場合、アルミニウム等の金属を切削加工した軸受部とメッキ処理した金属板の円板状プレートを、ゴムの弾性限界を飛躍的に増大させるゴム加硫製造方法により一体化し、これをファン部の射出成形においてインサート成形するという技術が用いられている。
しかし、係る技術では、異種材料による部品点数が多く、金属部材を含むことから軽量化の必要があり、また、メッキ処理や切削加工、組み立て加工等の多数の工程を必要とし、製造に係る時間やコストを抑えることが極めて困難であるといった現状がある。
また、従来技術では、異種材料を固定するために接着剤を塗布する工程が必要であったが、これらに用いられる天然ゴム系等のゴム材を強力に接着するためには、主剤にキシレン、溶剤にトルエンとする接着剤が多く、作業者の人体への影響もあり、労働環境の悪化を防ぐ観点からもこれらの材料を用いることは好ましいことではない。
そこで軸受部にはアルミニウム等の軽量で切削性に優れた金属材料を用いることで、対応しているという現状があり。また、振動を減衰されるためのゴム部にはゴムの弾性限度を向上させるゴム加硫成形によって振動吸収機能を発揮させるとともに、軸受部と円板部を一体構造とする技術によってこれらの諸問題に対応してきた。
しかしながら、軽量なアルミニウムといえど、樹脂と比較すればやはり重量的には重くなってしまう。また、ゴム素材では経年劣化による振動吸収特性の低下は避けることはできないものであった。
そこで前記問題点に鑑みて、本願発明者のみならず、他にも種々の技術提案がなされている。例えば、特許文献1には、捩り振動に対する高減衰を得ることのできる捩り振動ダンパを提供することを課題とする「捩り振動ダンパ」が記載され公知技術となっている。具体的には、回転軸に取り付けられるハブと、このハブと同心的に配置された環状の質量体と、前記ハブと質量体とを弾性的に連結するエラストマからなる複数の弾性体とを備え、前記ハブ、質量体及び複数の弾性体の間に、粘性流体を封入した流体封入室が画成されたことを特徴とする発明である。
特許文献2には、金属製のプレートは単一材料で済み、かつ防振用の弾性体は、プレートの一部に部分的に被覆するだけで、金属製のプレートの大きさを極力節約し、かつ弾性体の使用量も軽減し、さらに締付ネジなどの取付孔の内周に防振用の弾性体を設け、全体を肉薄く形成できるようにした防振マウントの提供することを課題とする「防振マウント」が記載され公知技術となっている。具体的には、中央孔を有し、上下に取付孔を穿った一方の取付体と当接する高位の表面と、この表面より段差を介して形成される低位の表面の左右に取付孔を穿って成る硬質のプレートにあって、前記左右の取り付け孔の内周面、その内周面を含む低位の表面、及び該内周面を含む反対の裏面に弾性体を被着し、この弾性体を介して他方の振動部材と当接して取付孔に挿通した緊締部材により固定できるようにして成ることを特徴とする防振マウントの発明である。
特許文献3には、ファンモータから発生する振動エネルギーを低減させて車室側への伝達を軽減させることができると共に、製造コストの低減が可能なモータファンシュラウドの結合構造の提供を目的とするモータファンシュラウドの結合構造に関する技術が記載され公知技術となっている。具体的には、ラジエータコアサポート本体における 開口部の上下開口縁部とモータファンシュラウドにおけるスカート部の両筒部との間が略蛇腹断面状に形成された4個の振動吸収部で互いに連結された状態で樹脂により一体成形されることにより、振動吸収部においてファンモータから発生する振動エネルギーを低減させるように構成されているものである。
しかしながら、上記特許文献1から特許文献3に記載された何れの技術内容を見ても、本願発明のように工程及び部品点数を減らしつつ振動を減衰させるという機能を発揮できる技術については記載も示唆も無く、従来技術と同様以上に発揮できる技術は未だに求められているといえ、前記課題の解決に至っていない。
通常インサート成形方法は、金属と樹脂を一体に成形する場合に用いられる方法である。しかしながら、金属と樹脂とを一体に成形した場合には、内部に取り込まれた金属部材が外部を覆う樹脂との間で滑りが発生することがある。係る滑りが発生すると、モーター等からの出力を有効に伝達されず、振動の発生の要因ともなる。更には重量の低減に限界もあるため、これらを解決しなければならいないという課題があった。
そこで、本発明者は上記の問題を解決しようと、樹脂成形の工程中にこれらの要素をすべて含めて、射出成形によって同時に製造することにより、部品点数の削減並びに製造工程の負担軽減させることができないかという点に着目し、射出成形の特徴でもある流動性を利用してエラストマの減衰特性と樹脂による微細形状の成形技術を生かした「振動減衰機能付成形品」の技術提案に至った。
特開2001−12550号 特開2012−219827号 特開2005−262979号
本発明は従来から問題であった振動減衰機能付成形品の多数の部品から構成されていることに起因した製造時間の短縮、並びにコスト等の負担を軽減するために、振動減衰性能を確保しながら製造時間並びに製造コストを大幅に軽減するとともに廃棄時の処理性やリサイクル性にも優れた振動減衰機能付成形品の提供を図ることを課題とする。
本発明に係る振動減衰機能付成形品の製造方法は、出力軸を挿入して固定するための軸受穴を有する軸受部と、回転体と固定するための多数の回転体用連通穴と振動減衰部と固定するための多数の連通穴を有する円板部と、前記円板部と平行な第二円板部と、前記円板部と前記第二円板部とを軸方向に繋ぐ繋ぎ部と、から構成される第一成形品を射出成形により一体成形する第一射出成形工程Aと、前記第一射出成形工程Aにより得られた前記第一成形品を、金型にインサートしてエラストマによる前記振動減衰部を一体成形する第二射出成形工程Bと、前記第二射出成形工程Bにより得られた第二成形品を、金型にインサートして前記回転体を一体成形する第三射出成形工程Cと、の3つの射出成形工程によって構成され、前記振動減衰部は前記連通穴を介して前記円板部を両面から挟持するとともに、前記円板部と前記第二円板部の間を繋いで一体構造を成し、前記回転体は前記回転体用連通穴を介して前記円板部の両側から一体構造となる製造方法とした。
また、本発明は、前記第一射出成形工程により一体に成形される前記第一成形品において軸受部には前記円板部と平行な第二円板部を備え、前記繋ぎ部が前記円板部と前記第二円板部とを軸方向に繋いでいる手段を採用することもできる。
また、本発明は、前記繋ぎ部が軸芯から放射方向に向かって前記軸受部と前記円板部を繋いでいる手段を採用することもできる。
また、本発明は、軸受けユニットと、回転体と、をエラストマで一体に構成される振動減衰機能を備えた回転物であって、前記軸受けユニットは、出力軸を固定するための軸受穴を有する軸受部と、多数の連通穴と回転体用連通穴を有する円板部と、前記円板部と平行な第二円板部と、前記円板部と前記第二円板部とを軸方向に繋ぐ繋ぎ部とが一体構造を成し、前記エラストマは前記円板部を両面から挟持するとともに前記円板部と前記第二円板部の間を繋いだ一体構造を成し、前記連通穴及び前記回転体用連通穴を介して前記軸受けユニットと前記回転体と前記エラストマとが一体構造を成す構成とすることもできる。

また、本発明は、前記軸受部には前記円板部と平行な第二円板部を備え、前記繋ぎ部が前記円板部と前記第二円板部とを軸方向に繋ぐ構成である振動減衰機能付回転物とすることもできる。
また、本発明は、前記繋ぎ部が前記軸受部の外周から放射方向に向かって前記円板部の内側縁部までを繋ぐ構成である振動減衰機能付回転物とすることもできる。
また、本発明は、前記回転体が空調用ファンであることを特徴とし、該ファンにはラインフローやシロッコファン、或いはターボファン等の送風ファンに係る振動減衰機能付回転物とすることもできる。
本発明に係る製造方法を用いた振動減衰機能付成形品によれば振動を軽減し、制振効果を有する動作の性能を向上させるものである。
本発明に係る振動減衰機能付成形品の製造方法の各工程を示すフロー図である。 振動減衰機能付成形品の従来品を示す説明図である。 本発明に係る振動減衰機能付成形品の構造を示す構造説明図である。 本発明に係る振動減衰機能付成形品をシロッコファンに用いた状態を示す実施例説明図である。 本発明に係る振動減衰機能付成形品の別の構造を示す構造説明図である。 本発明に係る振動減衰機能付成形品のシャフト式クロスフローファンに用いた状態を示す実施例説明図である。
本発明である振動減衰機能付成形品は、従来から問題であった部品数と加工工程を減らし、これらに起因した製造時間の問題とコストの負担を軽減するために、振動減衰性能を確保しながら製造時間並びに製造コストを大幅に軽減するとともに廃棄時の処理性やリサイクル性にも優れた振動減衰機能付成形品の提供を図ることを課題とし、従来二つ必要であった軸受部と円板部とを一体成形し、軸芯を合わせる精度を高めつつ、減衰機能を阻害しない程度の繋ぎ部を設けて、エラストマによる減衰機能を十分に発揮させることを最大の特徴とするものである。以下、図1から図6に従って、本発明を説明する。なお、図面上モーターは示していないが、軸方向の上側にモーターを配置した状態として、モーター側から見た図を平面図、軸と垂直方向から見た図を側面図として説明する。
なお、本実施例で示される振動減衰機能付成形品の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
図1は、本発明に係る振動減衰機能付成形品1の製造方法の工程を示すフロー図である。
図1(a)は、本発明に係る製造方法の各工程及び全体の流れを示すフロー図であり、図1(b)は、対比のために従来の製造方法の各工程及び全体の流れを示すフロー図である。図1(a)に示されるように、本発明は、第一射出成形工程A、第二射出成形工程B及び第三射出成形工程Cから構成され、具体的には、第一射出成形工程Aにより全体が一体に樹脂成形された第一成形品30に第二射出成形工程Bにおいて前記第一成形品30をインサート成形して第二射出成形工程Bにより第二成形品45を得る第二射出成形工程Bであることを示し、前記第二射出成形工程Bにより得られた第二成形品45をインサート成形して回転体50を射出成形する第三射出成形工程Cにより振動減衰機能付成形品1を得ることを示している。図1(a)及び図1(b)を比較すると明らかに図1(a)の工程が少ないことが示されている。
また、図1(b)に示される従来技術では、接着工程を含むため、作業者の労働環境を悪化させる恐れがあり、また、硬化までの時間を要する為、製造時間が多く必要となるという問題がある。これに対し本願発明に係る方法の工程では、第一射出成形工程Aと、これをインサート成形による第二射出成形工程B、これをインサート成形による第三射出成形工程Cという極めてシンプルな工程と2種類の原材料を用いて最終的に一体成形できることから、作業者の労働環境を悪化させず、また、作業時間も短縮でき、コスト軽減にもつながり、更には金属を含まないため、リサイクル処理も容易であるといった優れた効果も発揮する製造工程である。
次に、本願発明に係る製造工程について図1、図3、図5及び図6に基づいて説明する。本願発明に係る製造方法は、大別すると3回の射出成形工程により構成されている。大きく第一射出成形工程A、第二射出成形工程B及び第三射出成形工程Cの3つに分けて説明する。
(第一射出成形工程A)図1(a)、図3参照
第一射出成形工程Aは、軸受部10、繋ぎ部15、円板部20を1回の射出成形工程として一体化させて成形する工程である。従来の製造方法では軸受部10並びに円板部20をそれぞれ金属性としていたため、これらの部品を切削加工やプレス加工等によって製造していた工程を、本願発明では一回の射出成形において一体に成形した第一成形品30を得るものである。以下、前記第一射出成形工程Aで一体に成形された前記第一成形品30の各部の構成を示す。
軸受部10は、モーター等の出力軸12(図6)を取り付けて固定することによって動力を伝達する部材であり(図6)、一般的には嵌め合い公差による圧入方法やキー及びキー溝の固定方法等によって滑り等が生じないように固定される構造体である。係る軸受部10には必要に応じて第二円板部24(図3)を一体に成形し、該第二円板部24には円板部20(図3)と同様に連通穴21が設けられている。また、該軸受部10には、出力軸固定部を有することが望ましく、係る出力軸固定部は、ねじ部を成形して螺合部材による固定や、セレーションやスプライン等の滑り止め、或いは穴とピンを用いたピン止め等が考え得る。即ち、出力軸12が軸受穴11内で空転することを防止できる構造であればよい。
円板部20は、従来製品の金属プレートに相当する部分であり、第一射出成形工程Aにおいて、繋ぎ部15を介して軸受部10と一体に成形され、係る円板部20には、連通穴21と回転体用連通穴22がそれぞれの円周上に複数個所に設けられている。
繋ぎ部15は、軸受部10と円板部20との間の空間領域を繋ぐ部材であって、互いの軸芯を保持し、エラストマによる振動減衰を阻害しない程度の厚みを有した架橋体である。また、係る架橋体は、図3に示すような軸受部10に円板部20と平行な第二円板部24を設けて、該第二円板部24と円板部20との間を軸方向に平行に接続する構成や、図5に示すような円周方向に向かって放射状につなぐ構成とすることもできる。
また繋ぎ部15は、図5(a)に示すような略S字状に曲がった形状で構成することも有効であり、これは、軸受部10と円板部20との間の振動を吸収しやすくするための曲げ部を有した形状としたものである。但し、図5(a)に示すような略S字状に曲がった形状に限定されるものではなく、前記架橋構造により軸芯を保持できるものであってエラストマの振動減衰機能を阻害することがなければ、直線形状若しくはその他の形状であってもよい。
(第二射出成形工程B)図3、図5参照
第二射出成形工程Bは、従来、ゴム加硫製法により軸受部10と円板部20を一体的に接続し、係るゴム部60の振動減衰機能により効果を発揮させていた工程を、エラストマに代替した工程であり、第一射出成形工程Aによって得られた第一成形品30をインサートしてエラストマによる振動減衰部40を該第一成形品30を覆うように一体成形する工程である。係る工程においてエラストマが流動する際、連通穴21を介して円板部20を両側から貫通するように振動減衰部40が一体に形成され、該連通穴21を通じて前記第一成形品30と該振動減衰部40とが空転しない滑り止め構造を備えることとなる。従って、従来技術の問題点であった接着工程を不要としている。
なお、従来製法によるゴム加硫製法工程で用いられていたゴム材としては、ネオプレンゴムWX−J typeが用いられることが多く、本願発明に係る振動減衰部40では係るゴム材が有する振動減衰機能を発揮するエラストマを用いることが必要であるため、前記ゴム材に代替するエラストマの特性としては、前記ゴム材のJISK6253の規格に定められる55から±5前後の硬度が必要であり、また、これらのゴムと同等またはそれ以上の減衰機能を発揮できるエラストマであることが必要である。
従来、軸受部10ならびに円板部20に使用されていた金属部分の代替部材として樹脂材料を使用し、係る構造を樹脂で形成する射出成形材料には、PA、PBT、PC、PPS、PPE、PEEK、PET、SPS等を用い、従来品の振動減衰素材として使用していたゴム部60にはエラストマを用いる。係るエラストマには、従来ゴムの有していた振動減衰機能を発揮する特性のエラストマを選択することとなるが、エラストマにはスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系などがあり、エラストマとしては非常に古い素材であるポリウレタン系は対磨耗性及び弾性に優れるといった特性があり、振動吸収素材として適用させやすい素材といえる。また、スチレン系も柔軟で伸びがよく且つ軽量であるため、本願発明に係る振動減衰部40の素材に用いられるには適している。
前記エラストマが素材として適切であることを実証するため、回転バランス測定を行った結果を下記の表1に示す。係る表1の結果に示されているように、外周振れでは大きな差異はみられなかったものの、バランス測定では、静バランスにおいて約17.1%、左側の動バランスでは約27.8%、更に右側の動バランスでは約37.6%と、不釣り合いは減少しており、最大値(MAX)、最小値(MIN)、値平均値(AVE)のいずれを比較しても、振動減衰素材にゴムを用いた従来品と同等以上の振動減衰特性を有していることの確認ができた。
なお、前記の測定条件は、回転数を1400回転、回転物となる成形品にはクロスフローファン、測定器にはミツトヨ製のFH−216GSを用い、実験対象物は、金属プレートにゴム顆粒成形した従来品10個と本願の製造方法を用いたエラストマと樹脂との組合せによるものを10個の計20個について、各静バランス、動バランスの左右、並びに位相差を測定した。
(第三射出成形工程C)
第三射出成形工程Cは、前記第二成形品45をインサートして回転体50を射出成形する工程である。係る工程において樹脂製の円板部20を回転体50が両側から覆うように射出成形され、第二成形品45と回転体50が一体構造体となる。また、前記第三射出成形工程Cにおいては、樹脂製の回転体50となる樹脂の充填領域に回転体用連通穴22を設けていることから、係る回転体用連通穴22を介して第三成形品55が一体に形成される。なお、該回転体用連通穴22又は滑り止め溝23を介して前記第二成形品45と回転体50とが空転しない滑り止め構造を備えることとなる。
図2は、従来、振動減衰機能を有する構成の回転体成形品を製造する場合の各部の構成部材を説明する説明図であり、前記図1(b)での説明において従来技術に用いられる各構成部材を示したものである。
図3は、本願発明に係る振動減衰機能付成形品1の基本構造を示す構造説明図であり、図3(a)は第一成形品30の平面図、図3(b)は第二成形品45の側面断面図である。図3(a)は、第一射出成形工程Aによって軸受部10と円板部20と繋ぎ部15とが樹脂により一体に成形された第一成形品30を表している。図3(b)は前記第一成形品30を振動減衰部40が覆うように第二射出成形工程Bによって一体的構造体となった第二成形品45を示したものであり、図面上において通常のハッチングを施した部分が第一成形品30の断面であり、クロスハッチングされた部分が、第二射出成形工程Bを用いて成形された振動減衰部40であり、第二射出成形工程Bは、第一射出成形工程Aによって得られた第一成形品30をインサート成形により振動減衰部40と一体となって製造されることを示している。
図4は、本発明に係る振動減衰機能付成形品1の振動減衰構造を備えたシロッコファンの例を説明する実施例説明図である。図4(a)は、第三成形品55の平面図であり、図4(b)はその断面図である。前記第二成形品45の円板部20を回転体50(シロッコファン)が円板部20の両側を覆いつつ回転体用連通穴22を介して全体が一体化された状態であって、図面上には図示していないが、回転体用連通穴22と同様の効果を発揮する滑り止め溝23を有するも望ましい。
図5は、本発明に係る振動減衰機能付成形品1がクロスフローファンである場合の第一成形品30及び第二成形品45を示す構造説明図である。図5(a)は、第一成形品30の平面図であり、図5(b)はその断面図である。図5(a)における繋ぎ部15は、軸受部10と円板部20との間の空間領域を繋ぐ部材が円周方向に向かって放射状に繋ぐ構成を採用した場合の形状を示し、係る繋ぎ部15が略S字状の曲げ部を有しているのは、振動減衰部40の振動減衰機能を阻害しない形状を考慮したもので、特に図示された形状に限定されるものではない。係る構成を採用するのは、クロスフローファンの場合、収縮による位置変形の防止並びに同芯上とするためである。
図6は、本発明に係る振動減衰機能付成形品1の振動減衰構造を備えたクロスフローファンの例を説明する実施例説明図である。図6(a)は、第三成形品55の平面図であり、図6(b)はその断面図である。前記第二成形品45の円板部20を回転体50(クロスフローファン)が円板部20の両側を覆いつつ回転体用連通穴22を介して全体が一体化された状態である。なお、 図6(b)は、クロスフローファンが連続した個々のダブルファンが多数並ぶものであるため、反対側を省略して示した。なおまた、クロスフローファンの中心部を連通するシャフトは、本発明に係る軸受部10には挿入されず、モーター側の出力軸12と前記連通するシャフトとは別体である。
本発明に係る振動減衰機能付成形品は、熱可塑性材料を用いて一体構造をなす射出成形品を製造可能とするため、従来の課題であった軽量化、コストの低減、振動減衰特性の発揮とその耐久性から、空調用のファン等に広く用いられる技術であって、更には、空調用ファン以外にも振動の抑制を必要とする工業部品に適用可能であり、産業上の利用可能性は大きいものである。

1 振動減衰機能付成形品
10 軸受部
11 軸受穴
12 出力軸
15 繋ぎ部
20 円板部
21 連通穴
22 回転体用連通穴
23 滑り止め溝
24 第二円板部
30 第一成形品
40 振動減衰部
45 第二成形品
50 回転体
55 第三成形品
60 ゴム部
A 第一射出成形工程
B 第二射出成形工程
C 第三射出成形工程

Claims (3)

  1. 出力軸12を挿入して固定するための軸受穴11を有する軸受部10と、
    回転体50と固定するための多数の回転体用連通穴22と振動減衰部40と固定するための多数の連通穴21を有する円板部20と、
    前記円板部20と平行な第二円板部24と、
    前記円板部20と前記第二円板部24とを軸方向に繋ぐ繋ぎ部15と、
    から構成される第一成形品30を射出成形により一体成形する第一射出成形工程Aと、
    前記第一射出成形工程Aにより得られた前記第一成形品30を、金型にインサートしてエラストマによる前記振動減衰部40を一体成形する第二射出成形工程Bと、
    前記第二射出成形工程Bにより得られた第二成形品45を、金型にインサートして前記回転体50を一体成形する第三射出成形工程Cと、
    の3つの射出成形工程によって構成され、
    前記振動減衰部40は前記連通穴21を介して前記円板部20を両面から挟持するとともに、前記円板部20と前記第二円板部24の間を繋いで一体構造を成し
    前記回転体50は前記回転体用連通穴22を介して前記円板部20の両側から一体構造となることを特徴とする振動減衰機能付成形品の製造方法。
  2. 軸受けユニットと、
    回転体50と、
    をエラストマで一体に構成される振動減衰機能を備えた回転物であって、
    前記軸受けユニットは、
    出力軸12を固定するための軸受穴11を有する軸受部10と、
    多数の連通穴21と回転体用連通穴22を有する円板部20と、
    前記円板部20と平行な第二円板部24と、
    前記円板部20と前記第二円板部24とを軸方向に繋ぐ繋ぎ部15とが一体構造を成し、
    前記エラストマは前記円板部20を両面から挟持するとともに前記円板部20と前記第二円板部24の間を繋いだ一体構造を成し、
    前記連通穴21及び前記回転体用連通穴22を介して前記軸受けユニットと前記回転体50と前記エラストマとが一体構造を成すことを特徴とする振動減衰機能付回転物。
  3. 前記回転体50が空調用ファンであることを特徴とする請求項に記載の振動減衰機能付回転物。
JP2016084080A 2016-04-19 2016-04-19 振動減衰機能付成形品の製造方法等 Active JP6083918B1 (ja)

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