JP2005221048A - ダイナミックダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】
小型化及び軽量化しても、大型で質量の大きい従来製品と同等のダンパー効果を維持できるダイナミックダンパと、ゴム弾性体に対する質量部の接合面積を十分に確保して必要な接合強度が得られ、非接着の形態を採ることが可能なダイナミックダンパ、などの提供を主たる目的とする。
【解決手段】
回転シャフト10に装着される取付部12と、取付部12の外周に配置した質量部13と、質量部13を被覆する被覆部14と、質量部13と取付部12間を弾性支持する連結部15を備え、取付部12と被覆部14及び連結部15をゴム弾性体で一体に形成したダイナミックダンパにおいて、質量部13の質量を減少させ、質量の減少による共振周波数の上昇をゴム弾性体のばね定数の低減で補正すると共に、質量の低減による運動エネルギーの減少を、ゴム弾性体の減衰係数を小さくして振動の増大によって補正するダイナミックダンパ11である。
【選択図】 図3
小型化及び軽量化しても、大型で質量の大きい従来製品と同等のダンパー効果を維持できるダイナミックダンパと、ゴム弾性体に対する質量部の接合面積を十分に確保して必要な接合強度が得られ、非接着の形態を採ることが可能なダイナミックダンパ、などの提供を主たる目的とする。
【解決手段】
回転シャフト10に装着される取付部12と、取付部12の外周に配置した質量部13と、質量部13を被覆する被覆部14と、質量部13と取付部12間を弾性支持する連結部15を備え、取付部12と被覆部14及び連結部15をゴム弾性体で一体に形成したダイナミックダンパにおいて、質量部13の質量を減少させ、質量の減少による共振周波数の上昇をゴム弾性体のばね定数の低減で補正すると共に、質量の低減による運動エネルギーの減少を、ゴム弾性体の減衰係数を小さくして振動の増大によって補正するダイナミックダンパ11である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、自動車のドライブシャフトやプロペラシャフト等の回転シャフトに装着し、回転シャフトに発生する回転アンバランス及び駆動系起振源による曲げ振動や捩じり振動等の有害振動を抑制するためのダイナミックダンパに関する。
この種のダイナミックダンパは、回転シャフトに装着する筒状のゴム弾性体の外周に、筒状の質量部材を同心状に配置して一体に連結支持され、質量部材の質量やゴム弾性体のばね定数などを所望に調整し、ダイナミックダンパ の固有振動数を有害振動の主たる振動数に適合させるようにして共振させ、回転シャフトの振動エネルギをダイナミックダンパ の振動エネルギに変換して吸収するようにしている。
ダイナミックダンパ の先行技術としては、例えば特許文献1〜4などを含めて各種の提案がなされているが、一例を図1のダイナミックダンパ1に基づき概略を説明すると、回転シャフトに装着される円筒状の取付部2と、取付部2の外周に同心状に配置した円筒状の質量部3と、質量部3を被覆する被覆部4と、被覆部4を介して質量部3と取付部2との間を所定間隔毎に弾性支持する連結部5とで構成されている。
これら構成によるダイナミックダンパ1は、取付部2と被覆部4及び連結部5を例えば熱可塑性エラストマーなどのゴム弾性材料で形成すると共に、質量部3を例えば炭素鋼などの金属材料で形成し、質量部3を収容した金型内にゴム弾性材料を流し込んで加硫成形を行い、両者を加硫接着によって一体に連結させるが、その際の接合強度を高めるために質量部3に予め接着剤を塗布する場合が多いが、特許文献3,4などのように接着剤を使用しない非接着の形態を採り得るようにしたものもある。
また、ダイナミックダンパ1の共振周波数(fn)を決定する要素は、例えば図2で示す模式図のように、質量部3の質量(M)と連結部5のばね定数(K)であって、ばね定数(K)はゴム弾性体の材質及び断面積が一定である場合には、連結部5の長さ(取付部2と質量部3間の距離)Lに依存し、次のような関係式になる。
fn=(1/2π)√(K/M)・・・・・(i)
K∝(1/L)・・・・・(ii)
fn=(1/2π)√(K/M)・・・・・(i)
K∝(1/L)・・・・・(ii)
ところが、レイアウト上で外形寸法が制約を受けること等によって、寸法Lは最小値に抑えられる場合が多く、そのために式(ii)によってばね定数(K)が大きくなって共振周波数は目標より高くなりがちであると共に、例えば軽自動車のように回転シャフトが比較的細い仕様や軸長が比較的長い場合には、回転シャフトの共振周波数はより低下傾向となるので、ダイナミックダンパの共振周波数を低減させる必要が生じた。
また、非接着の形態を採る場合にはゴム弾性体に対して質量部の接合強度を大きくする必要があり、例えば特許文献4の場合には質量部に複数個の貫通孔を設け、これらの貫通孔にゴム弾性体が充填されるようにしており、特許文献4を改良した特許文献3の場合には、質量部の内周面から周方向に沿った複数個所に対して、突起部を連結部側へ突設させており、これらの手段によって接触面積を増大させている。
これらの先行技術のダイナミックダンパに対し、近年では特にレイアウト上での制約などもあって、小型軽量化を求められるようになってきたが、質量部材を小型化したり低質量の金属部材を用いて軽量化を図ると、質量の減少によって運動エネルギ−自体が減少して所望のダンパー効果が損なわれることになるので、好ましくない。
また、小型化のために連結部の断面積を減少させた場合には、連結部に亀裂が発生するなどの耐久信頼性上の問題が発生し易くなる欠点があると共に、共振周波数の上昇を低減させるように補正するために、単にゴム硬度を低減させてばね定数(K)低減を図るなどの手段もとられているが、極端な低硬度化は接着に不利であって、必ずしも有効な手段とはいえない。
また、加硫接着によって質量部材をゴム弾性体に接合させる場合には、加硫成形時に質量部材の位置決めに使用する位置決めピンの部分にゴム弾性材料が被着されずに露出するので、塗料の塗布などによる防錆処理を施す必要があると共に、質量部材の接着面に対する接着剤の塗布を含む接着工程の追加で製造工数が増加する。
さらに、非接着の場合に例えば特許文献4のような形態を採ると、回転シャフトに装着する場合に貫通孔の孔径誤差や位置の誤差などによって回転アンバランスが発生し易いこと、複数の貫通孔の加工が必要で製造上コストアップになるなどの問題があり、特許文献3のような形態を採ると、連結部の実質的な断面積が減少し且つ同一外径の場合には連結部の長さが短くなるので、ばね定数(K)が大きくなって共振周波数が高くなり、低い共振周波数に設定することが困難になる恐れがある。
そこで本発明では、これら従来技術の課題を解決し得るダイナミックダンパを提供するものであって、外径を小型化して質量部の質量を低減させても、ダンパーとしての機能を損なうことなく維持できること、ゴム弾性体に対する質量部の接合面積を十分に確保して必要な接合強度が得られ且つ、共振周波数をより低い値に設定することが可能であること、質量部を小型化した場合でも接合面積が減少しないように必要なゴム弾性体との接合面積を確保できること、などを主たる目的とするものである。
本発明のダイナミックダンパは、回転シャフトに装着される円筒状の取付部と、取付部の外周に同心状に配置した円筒状の質量部と、質量部を被覆する被覆部と、被覆部を介して質量部と取付部との間を所定間隔毎に連結して弾性支持する連結部を備え、取付部と被覆部及び連結部をゴム弾性体で一体に形成したダイナミックダンパを実施対象とする。
本発明の第一は、前記ダイナミックダンパにおける質量部の質量を減少させ、質量の減少による共振周波数の上昇をゴム弾性体のばね定数の低減で補正すると共に、質量の低減による運動エネルギーの減少を、ゴム弾性体の減衰係数を小さくして振動の増大によって補正している。(請求項1)
請求項1における前記質量の減少は、質量部の外径寸法を縮小すると共に肉厚を薄くして行い、前記ばね定数の低減と振動の増大は、連結部の長さを長くし且つ断面積を小さくすると共に、ゴム弾性体に低減衰ゴム材を使用して行う形態を採ることができる。(請求項2)
請求項2における前記低減衰ゴム材は、天然系ゴムとブタジエン系ゴムによるポリマーの全体に対する重量比が50部以上で且つ、ブタジエン系ゴムのブレンド比が重量比で18部以下とし、ソフト系カーボンを重量比で35部以上にすると共に、損失係数を0.08以下に設定する形態を採ることができる。(請求項3)
本発明の第二は、前記ダイナミックダンパにおける前記質量部の内周面に凹溝を設けると共に、この凹溝に嵌合する突出部分を前記連結部の外端側に設け、前記被覆部と連結部の外端側突出部分を介して質量部にゴム弾性体を連結させている。(請求項4)
請求項4における前記連結部は、取付部の内周面より内側へ突出する突出部分を内端側に設け、この突出部分は回転シャフトに取付部を装着した際に、回転シャフトの外周面に設けた凹溝に嵌合させ、前記取付部と連結部の内端側突出部分を介して回転シャフトにゴム弾性体を連結させる形態を採ることができる。(請求項5)
請求項4又は5における前記連結部は、前記凹溝を円周方向に沿って連続する環状溝、円周方向に沿って断続する円弧状溝、軸方向に沿って連続する長尺溝、軸方向に沿って断続する短尺溝のいずれかを、少なくとも1本以上設けた形態を採ることができる。(請求項6)
本発明の第三は、請求項1〜3のいずれかに記載したダイナミックダンパにおいて、前記質量部及び前記連結部を請求項4〜7のいずれかで構成する。(請求項7)
請求項1のダイナミックダンパによると、質量部の質量を減少させることによって小型化及び軽量化を図ると共に、質量の減少による共振周波数の上昇をゴム弾性体のばね定数の低減で、質量の低減による運動エネルギーの減少はゴム弾性体の減衰係数を小さくして振動を増大させてそれぞれ補正することにより、質量及び外径寸法が大きい従来製品と同等のダンパ効果を維持することができる。
請求項2のダイナミックダンパでは、質量部の外径寸法を縮小すると共に肉厚を薄くすることによって、質量部の質量を容易且つ安価に減少させることが可能であり、連結部の長さを長くし且つ断面積を小さくすると共に、ゴム弾性体の成分配合によってばね定数を低減し、共振周波数の上昇を抑制して容易に適正値に設定することが可能であり、低減衰ゴム材の使用で振動を増大させて必要な共振倍率を容易に得ることが可能である。
ゴム弾性体は、ばね定数を低減し且つ減衰係数を小さくするために、前記低減衰ゴム材中におけるポリマー重量比、ポリマーブレンド比、カーボン重量比、損失係数などを所望に設定するが、特に請求項3のダイナミックダンパのような成分配合にすると、質量及び外径寸法が大きい従来製品に匹敵するダンパ効果が得られることが確認されている。
請求項4のダイナミックダンパによると、凹溝に連結部のゴム弾性体が嵌合され且つ質量部に対する接触面積も増大するので、質量部とゴム弾性体との連結を強固にすることができると共に、質量部にゴム弾性体を加硫成形する際に接着剤を使用しない非接着の形態を採ることも容易であるから、接着工程を省略して生産性の向上並びにコストの低減を図ることが可能であり、更に接着しないとゴム弾性体のリサイクルが可能である。
また、この非接着の形態では質量部に複数の貫通孔を設ける特許文献4の場合のように回転シャフトに装着した際に回転アンバランスが発生することはなく、特許文献3のように連結部の断面積が減少したり、連結部の長さが短くなることがないので、ばね定数(K)を低減して共振周波数を低く設定することが容易であるから、請求項1〜3の小型軽量化したダイナミックダンパだけではなく、大型で質量が大きい従来製品に適用しても有効である。
請求項5のダイナミックダンパでは、突出部分を連結部の内端側にも設け、回転シャフトの外周面に設けた凹溝に嵌合させることにより、回転シャフトに対するゴム弾性体の連結強度も高めることができる。
請求項6のダイナミックダンパでは、連結部に嵌合する凹溝の形状を各種の形態にすることが可能であり、必要に応じて所望の溝形状を適用することができるが、特に凹溝を円周方向に沿って連続する環状溝で形成した場合には、溝加工が容易であり且つ回転シャフトに装着した際における回転バランスが採り易い。
請求項7のダイナミックダンパによると、特に小型化及び軽量化した請求項1〜3のダイナミックダンパに、請求項4〜6の構想を適用してゴム弾性体を質量部及び回転シャフトと強固に連結することによって、低減衰で共振倍率の大きい振動に対しても安定且つ確実な振動吸収性能(ダンパー効果)を発揮することができると共に、ばね定数(K)を低減して共振周波数を低く設定するために必要な、連結部の長さを容易に確保することが可能である。
本発明のダイナミックダンパについて、本発明を適用した好適な実施形態を示す添付図面に基づいて詳細に説明するが、その説明に先立って本発明の基本となる原理的な説明を数式を交えて行うと、一般に質量を減少させるとダイナミックダンパ の固有振動数は高くなり、目標とする共振周波数から外れてしまうので、これを補正して目標とする共振周波数まで下げるには、同材質の弾性部材を使用すると仮定した場合にばね定数を減少させる必要がある。
しかし、質量及びばね定数の減少によって運動エネルギーも減少して、ダンパー効果(振動吸収性能)も低下してしまうので、これを補正するために本発明では運動エネルギーの減少を、弾性部材の減衰係数を小さくして振動の増大によって補正するものであり、特に弾性部材を所望に選定して共振領域の減衰係数を従来より大幅に低減させると共に、質量部の振動速度を大幅に増大させ、これにより変更前と同等の運動エネルギ−を確保することができるようにした。
上記した一連の関係を数式で説明すると次の様になる。
質量(m)の運動エネルギ−(E)は、速度(V)を使って、
E=1/2・m・V2・・・・・式(1)
変更前の値をE1、m1、V1、変更後の値をE2、m2、V2とすると、
E1=1/2・m1・V1 2・・・・・式(2)
E2=1/2・m2・V2 2・・・・・式(3)
となり、性能を保持することが運動エネルギ−を等しくすることであると解釈すると、
E1=E2・・・・・式(4)
そこで、質量を1/2にすると仮定すると、
m2=1/2・m1・・・・・式(5)
となり、式(1)〜(5)より、
V1 2=1/2・V2 2・・・・・式(6)
となり、さらに振動波形が正弦波であると仮定し、X1:変更前の変位、ω1:変更前の角速度とし、またX2:変更後の変位、ω2:変更後の角速度とすると、
|V1|=|X1・ω1|・・・・・式(7)
|V2|=|X2・ω2|・・・・・式(8)
式(7)(8)を式(6)に代入し、更にω1=ω2とすると、
X2=√2・X1・・・・・式(9)
となり、式(9)より、
20LOG(X2/X1)=3(dB)・・・・・式(10)
となるので、質量を1/2にする場合には振幅を変更前に比べて3dB程大きくなる様にすれば、運動エネルギ−を同等にして振動吸収性能を確保することができる。
質量(m)の運動エネルギ−(E)は、速度(V)を使って、
E=1/2・m・V2・・・・・式(1)
変更前の値をE1、m1、V1、変更後の値をE2、m2、V2とすると、
E1=1/2・m1・V1 2・・・・・式(2)
E2=1/2・m2・V2 2・・・・・式(3)
となり、性能を保持することが運動エネルギ−を等しくすることであると解釈すると、
E1=E2・・・・・式(4)
そこで、質量を1/2にすると仮定すると、
m2=1/2・m1・・・・・式(5)
となり、式(1)〜(5)より、
V1 2=1/2・V2 2・・・・・式(6)
となり、さらに振動波形が正弦波であると仮定し、X1:変更前の変位、ω1:変更前の角速度とし、またX2:変更後の変位、ω2:変更後の角速度とすると、
|V1|=|X1・ω1|・・・・・式(7)
|V2|=|X2・ω2|・・・・・式(8)
式(7)(8)を式(6)に代入し、更にω1=ω2とすると、
X2=√2・X1・・・・・式(9)
となり、式(9)より、
20LOG(X2/X1)=3(dB)・・・・・式(10)
となるので、質量を1/2にする場合には振幅を変更前に比べて3dB程大きくなる様にすれば、運動エネルギ−を同等にして振動吸収性能を確保することができる。
図3は、第一の実施形態によるダイナミックダンパ11を示すが、前記した先行技術の場合と同様に、回転シャフト10に装着される円筒状の取付部12と、取付部12の外周に同心状に配置した円筒状の質量部13と、質量部13を被覆する被覆部14と、被覆部14を介して質量部13と取付部12との間を所定間隔毎に連結して弾性支持する連結部15とを備えている。
ダイナミックダンパ11は、質量部13における軸方向の長さ寸法は、従来技術の場合と同程度又は回転シャフト10の軸長が長い場合には長さ寸法を長く形成すると共に、質量を減少させて外径を小型化し且つ軽量化するために、質量部13の肉厚を薄くして図1の場合に比べて質量を低減させるが、図3の実施形態では質量を少なくとも1/2以下にするように質量部13の肉厚を薄く形成している。
また、連結部15は円周方向に沿って所定間隔毎で少なくとも3個所以上に放射状に設けるが、図示の実施形態では72度の角度毎に5個所に設けられていると共に、連結部15の長さ(取付部12と質量部13間の距離)は、図1の場合より長く形成してばね定数が小さくなるように設定されており、隣接する各連結部15間の空洞部には、連結部15の過大な振動による変形を防止するストッパー片16,17が突出形成されている。
また、連結部15を含め取付部12及び被覆部14のゴム弾性体には、従来のダイナミックダンパより損失係数を小さくした低減衰材料が使用されており、その配分処方の一例を従来品と比較して表示すると表1で示すようになるが、共振時の振幅(共振倍率、ゲイン)を一定以上(例えば従来比3dB以上)とするためには、使用する弾性部材のポリマ−重量比、ポリマ−ブレンド比、カ−ボン重量比、損失係数などの各要素を適宜に設定することが可能である。
その際に、例えばポリマー(ゴム成分)としてRSS#3などの天然系ゴムとブタジエン(BR)系ゴムなどをブレンドして用いるが、ポリマー分は全体重量(100部)に対する重量比を増すとGAINが増加し、ポリマー分におけるブタジエン(BR)系ゴムの含有比を増加するとGAINが減少すると共に、ポリマー分に添加するカーボン量を増加すると、GAINは増加して損失係数(tanδ)は減少するが、望ましくはポリマ−重量比が50部以上でブタジエン系ゴムのブレンド比を18部以下とし、カ−ボン(例えばFTカ−ボン)の重量比を35部以上に、損失係数を0.08以下に設定する。
上記のように低減衰ゴム材の組成を設定し、図3のダイナミックダンパ11におけるゴム弾性体として適用した場合の性能を測定し、従来製品と比較したのが図4及び図5であるが、図4は表2の仕様に基づくダイナミックダンパにおける単体の材料変数と共振倍率の関係を示し、図5は表3の仕様に基づくダイナミックダンパをドライブシャフトに装着し、ナックルに対する制振状態を緩加速時による上下振動レベルで示すものである。
これらの比較データによると、図4ではダイナミックダンパのゴム弾性体として、前記した組成の低減衰ゴム材を使用することによって、共振時における振幅(共振倍率)を従来製品と比較して確実に増大できることが実証され、この低減衰ゴム材によるゴム弾性体を従来製品より小型化したダイナミックダンパ11に適用すると、図5のように質量の減少による共振周波数の上昇及び振動エネルギーの減少を補正し、所望の低い共振周波数に設定して大型の従来製品と同等のダンパー効果が得られることが実証された。
次に、図6は第二の実施形態によるダイナミックダンパ21を示し、図7は第三の実施形態によるダイナミックダンパ31を示すが、ダイナミックダンパ21又は31は図3のダイナミックダンパ11の場合と同様に、回転シャフト20,30に装着される円筒状の取付部22又は32と、取付部22又は32の外周に同心状に配置した円筒状の質量部23又は33と、質量部23又は33を被覆する被覆部24又は34と、被覆部24又は34を介して質量部23又は33と取付部22又は32との間を所定間隔毎に弾性支持する連結部25又は35とを備えている。
図3のダイナミックダンパ11との相違は、ダイナミックダンパ21の場合には質量部23の内周面に環状の凹溝23aを設け、この凹溝23a内に連結部25の外周面が嵌合する状態で連結されており、ダイナミックダンパ31の場合には質量部33の内周面に環状の凹溝33aを設け、この凹溝33a内に連結部35の外周面が嵌合する状態で連結されていると共に、回転シャフト30の外周面に環状の凹溝30aを設け、この凹溝30a内に連結部35の内周面が嵌合する状態で連結されている。
これらのダイナミックダンパ31では、凹溝23a,33aに連結部25,35の外周面を嵌合させることにより、連結部25,35の有効断面積及び半径方向の長さを大きくすることができるので、外径の小型化及びばね定数の減少による共振周波数の低減を図るのに有効であると共に、質量部23,33の軸線方向及び回転方向に対する係止保持性能を向上させることができ、また連結部25,35は質量部23,33との接触面積が増大するので非接着の形態を採ることも可能である。
特に、この非接着の形態では質量部に複数の貫通孔を設ける特許文献4の場合のように回転シャフトに装着した際に回転アンバランスが発生することはなく、また環状の凹溝は加工が容易であり、特許文献3のように連結部の断面積が減少したり、連結部の長さが短くなることがないので、ばね定数(K)を低減して共振周波数を低く設定することが容易であるから、大型の従来製品にも適用することが可能である。
なお、図7及び図8の実施形態では加工が容易で且つ回転バランスも採りやすいことなどの理由から、凹溝23a,33a及び凹溝30aを円周方向に沿って連続した全周的な環状溝で形成しているが、円周方向に沿って断続する円弧状溝にする形態や、軸方向に沿って連続する長尺溝にする形態或いは、軸方向に沿って断続する短尺溝にする形態などを採ることも可能であり、特に複数の溝を設けると連結強度を一段と向上できる。
1,11,21,31 ダイナミックダンパ
2,12,22,32 取付部
3,13,23,33 質量部
4,14,24,34 被覆部
5,15,25,35 連結部
10,20,30 回転シャフト
23a,30a,33a 凹溝
2,12,22,32 取付部
3,13,23,33 質量部
4,14,24,34 被覆部
5,15,25,35 連結部
10,20,30 回転シャフト
23a,30a,33a 凹溝
Claims (7)
- 回転シャフトに装着される円筒状の取付部と、取付部の外周に同心状に配置した円筒状の質量部と、質量部を被覆する被覆部と、被覆部を介して質量部と取付部との間を所定間隔毎に連結して弾性支持する連結部を備え、取付部と被覆部及び連結部をゴム弾性体で一体に形成したダイナミックダンパにおいて、質量部の質量を減少させ、質量の減少による共振周波数の上昇をゴム弾性体のばね定数の低減で補正すると共に、質量の低減による運動エネルギーの減少を、ゴム弾性体の減衰係数を小さくして振動の増大によって補正することを特徴としたダイナミックダンパ。
- 前記質量の減少は、質量部の外径寸法を縮小すると共に肉厚を薄くして行い、前記ばね定数の低減と振動の増大は、連結部の長さを長くし且つ断面積を小さくすると共に、ゴム弾性体に低減衰ゴム材を使用して行う請求項1に記載したダイナミックダンパ。
- 前記低減衰ゴム材は、天然系ゴムとブタジエン系ゴムによるポリマーの全体に対する重量比が50部以上で且つ、ブタジエン系ゴムのブレンド比が重量比で18部以下とし、ソフト系カーボンを重量比で35部以上にすると共に、損失係数を0.08以下に設定した請求項2に記載したダイナミックダンパ。
- 回転シャフトに装着される円筒状の取付部と、取付部の外周に同心状に配置した円筒状の質量部と、質量部を被覆する被覆部と、被覆部を介して質量部と取付部との間を所定間隔毎に連結して弾性支持する連結部を備え、取付部と被覆部及び連結部をゴム弾性体で一体に形成したダイナミックダンパにおいて、前記質量部の内周面に凹溝を設けると共に、この凹溝に嵌合する突出部分を前記連結部の外端側に設け、前記被覆部と連結部の外端側突出部分を介して質量部にゴム弾性体を連結させることを特徴としたダイナミックダンパ。
- 前記連結部は、取付部の内周面より内側へ突出する突出部分を内端側に設け、この突出部分は回転シャフトに取付部を装着した際に、回転シャフトの外周面に設けた凹溝に嵌合させ、前記取付部と連結部の内端側突出部分を介して回転シャフトにゴム弾性体を連結させる請求項4に記載したダイナミックダンパ。
- 前記連結部は、前記凹溝を円周方向に沿って連続する環状溝、円周方向に沿って断続する円弧状溝、軸方向に沿って連続する長尺溝、軸方向に沿って断続する短尺溝のいずれかを、少なくとも1本以上設けた請求項4又は5に記載したダイナミックダンパ。
- 請求項1〜3のいずれかに記載したダイナミックダンパにおいて、前記質量部及び前記連結部を請求項4〜7のいずれかで構成することを特徴としたダイナミックダンパ。
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Cited By (2)
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