JP6083766B2 - Nh3雰囲気高温加熱装置 - Google Patents

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本発明は加熱装置に関し、特に、アンモニア雰囲気で使用する誘導加熱方式の高温加熱装置に関する。
従来の誘導加熱方式の加熱装置では、カーボンフェルトのような断熱材で周囲が囲まれたカーボンサセプタが、石英管の中に配置される。石英管の周囲には高周波誘導コイルが配置される。カーボンサセプタの上にサンプルを乗せた状態で高周波誘導コイルに高周波電流を流すことにより、カーボンサセプタが誘導加熱され、サンプルが加熱される。一方で、石英管は断熱材により昇温が抑えられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−14892号公報
しかしながら、AlNのような窒化物半導体の成長に加熱装置を用いる場合、石英管中にアンモニアガスを流すため、断熱材として用いられるカーボンフェルトが高温で分解したアンモニアガスと反応して腐食するという問題があった。同様のカーボン製品であっても、例えば固体状のカーボンサセプタは変形しないためPBN等でコーティングしてアンモニアガスによる腐食を防止できるが、繊維状のカーボンフェルトはコーティングができず、腐食による劣化が問題であった。
そこで、本発明は、例えば窒化物半導体の成長に必要なアンモニア雰囲気でも、安定した加熱が可能な誘導加熱装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの形態は、
誘導加熱装置に用いる加熱機構であって、
円筒形の発熱体と、
発熱体の側面を囲む円筒形のカバーと、
カバーの側面を囲む円筒形の断熱材と、
断熱材の側面を囲む側面部と、側面部の一端に設けられた端面部とを有する円筒形のボートであって、カバーの一端が端面部の内側に接するように配置されたボートと、
ボートの側面部の他端において、ボートの側面部とカバーとに接するように配置されたリング状の遮蔽板と、を含み、
断熱材は、ボートと、カバーと、遮蔽板とで囲まれたことを特徴とする加熱機構である。
本発明の他の形態は、
誘導加熱装置であって、
反応管と、
反応管の周囲に設けられた高周波誘導コイルと、
反応管の中に配置された加熱機構と、を含み、
高周波誘導コイルに高周波電流を流すことにより、加熱機構の発熱体が誘導加熱されることを特徴とする誘導加熱装置である。
本発明によれば、アンモニア雰囲気で高温に加熱した場合であっても、加熱装置の腐食が発生せず、安定、かつコストを抑えた加熱工程を提供できる。
本発明の実施の形態にかかる加熱装置の概略図である。 本発明の実施の形態にかかる加熱装置に使用する加熱機構の長手方向の断面図である。 図2の加熱機構をA−A方向に見た場合の断面図である。 使用前の断熱材の外観写真である。 本発明の実施の形態にかかる加熱装置で使用後の断熱材の外観写真である。 図5の断熱材の内部の写真である。 従来の加熱装置で使用後の断熱材のB−B方向の断面写真である。 従来の加熱装置に使用する加熱機構の長手方向の断面図である。
図1は、全体が1000で表される、本発明の実施の形態にかかる加熱装置の概略図である。ここでは、加熱装置1000としてHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)装置について説明するが、本発明は、MOCVD、アニール装置等のような他の加熱装置にも適用できる。また、図1は、横型フロー構造の加熱装置であるが、縦型フロー構造の加熱装置にも適用できる。
加熱装置1000は、例えば電気炉(図示せず)で低温(例えば500〜600℃)に加熱する電気炉加熱部1000aと、誘導加熱により高温(例えば1000〜1800℃)に加熱する高周波加熱部1000bとを含む。
加熱装置1000は、例えば石英からなる円筒形の反応管200を含む。加熱装置1000は、反応管200中に流される反応ガスの上流側(図1では左側)が電気炉加熱部1000a、下流側(図1では右側)が高周波加熱部1000bとして使用される。
電気炉加熱部1000aでは、例えば電気炉(図示せず)を用いて、反応管200の内部を約400℃〜約500℃、好ましくは約550℃に加熱する。
電気炉加熱部1000aでは、反応管200の内部に、材料ガスの供給管400が設けられている。供給管400の中には、例えばアルミニウムのような固体の材料410が配置される。供給管400の中には、ガス420として、例えばHClとHが供給される。反応管200の内部が、例えば550℃に加熱されることにより、ガス420は、材料410と、以下のように反応する。
6HCl+H+2Al→2AlCl+4H
この反応の結果、供給管400の出口から、AlClとHが、材料ガス430として供給される。
また、供給管400の外部には、例えばNHのような他の材料ガス440が、キャリアガス(例えば、N:H=1:1)と共に供給される。
材料ガス430と材料ガス440は、混ざり合って、高周波加熱部1000bに導入される。
加熱装置1000の高周波加熱部1000bでは、反応管200の周囲に、高周波誘導コイル300が設けられている。また、反応管200の内部には、加熱機構100が挿入されている。
図2は、高周波加熱部1000bの反応管200の中に挿入される加熱機構100の、反応管200の長手方向(中心軸方向)の断面図である。また、図3は、図2をA−A方向に見た場合の断面図である。
加熱機構100は、発熱体10を含む。発熱体10は、例えば高純度カーボンのような、高周波で誘導加熱が可能な導電体からなる。発熱体10の表面は、例えばPBN、SiC、TaC等で表面コーティングされている。表面コーティングは、アンモニアガスによる腐食から発熱体10を保護する。
発熱体10の内部には、例えば断面が矩形の空洞部11が設けられ、中央部12の近傍にサンプル(図示せず)が配置される。サンプルは、ここではAlN層を成長させるサファイア基板であるが、Si基板やGaN基板のような他の半導体基板でも良い。また、サンプルは、AlNの成長面が上になるようなフェイスアップに配置しても、成長面が下になるようなフェイスダウンに配置しても構わない。また、発熱体10は、一体成形された構造でも、上下2つの部分のような、複数の部分を組み合わせた構造でも良い。
発熱体10は、円筒カバー20の中に挿入され、発熱体10の側面(曲面)が円筒カバー20で覆われる。円筒カバー20は、例えば、BN(ボロンナイトライド)、PBN(パイロリティックボロンナイトライド)、アルミナ、ジルコニアのような、発熱体10が高温になっても腐食されない耐熱性の材料からなる。
円筒カバー20の周囲は、円筒状の断熱材40で覆われている。断熱材40は、例えばフェルト状のカーボン繊維のような成形断熱材からなり、不活性雰囲気では2000℃程度まで耐熱性を示す。一方で、フェルト状であるため、発熱体10のように表面コーティングは困難であり、高温ではアンモニアガスのような腐食性ガスにより腐食される。
発熱体10を円筒カバー20の中に挿入し、その周囲に断熱材40を配置した状態で、これらは円筒状のボート30に挿入される。ボート30は、円筒状の側面部31と、側面部31の一端(図2では左側)に設けられた端面部32からなる。端面部32には、発熱体10の空洞部11に対応する位置に開口部33が設けられている。側面部31の他端(図2では右側)は、円筒状に開口しており、ここから断熱材40等が挿入される。ボート30は、例えば石英から形成される。
図2に示すように、加熱機構100では、ボート30の右側の開口部から、断熱材40等が挿入され、ボート30の左側の端面部32の内側に当たるように配置される。この状態で、リング状の遮蔽リング50で、断熱材40の端部が覆われる。遮蔽リング50は、例えば石英からなり、ボート30と円筒カバー20との間を遮蔽するようなリング形状となっている。
このように、ボート30内に、発熱体10、円筒カバー20、断熱材40を挿入し、遮蔽リング50を配置することで、加熱機構100の組み立ては完了する。この状態では、断熱材40は、円筒カバー20、ボート30(31、32を含む)、および遮蔽リング50で周囲を覆われている。
組み立てられた加熱機構100は、発熱体10の中央部12にサンプルを配置した状態で、加熱装置1000の反応管200の中に挿入され、高周波加熱部1000bに配置される。図1では、加熱機構100は、右側から反応管200の中に挿入される。加熱機構100のボート30の直径は、反応管200の直径より少し小さく設計されている。
高周波加熱部1000bに加熱機構100を配置した状態で、高周波誘導コイル300に高周波電流を流すと、誘導加熱により発熱体10の温度が上昇し、発熱体10の空洞部11内に配置したサンプルが加熱される。サンプルの温度は、成長材料に応じて約1000℃〜1800℃の範囲で制御可能であり、例えばAlNの成長時には約1400℃〜約1600℃、GaNの成長時には約1000℃〜約1200℃に制御される。
上述のように、加熱装置1000では、材料ガス430と材料ガス440が混ざり合って、高周波加熱部1000bに導入される。高周波加熱部1000bでは、2つの材料ガス430、440の混合ガスが、図2の矢印の方向に、加熱された発熱体10の空洞部11の中を流れる。この結果、発熱体10の中央部12に配置されたサンプル上で、AlClとNHが反応し、AlNが成長する。
本発明の実施の形態では、断熱材40は、円筒カバー20、ボート30、および遮蔽リング50で周囲が覆われているため、反応管200の中に、高温状態でアンモニアガスが供給されても、断熱材40の腐食は殆ど起こらない。
なお、加熱装置1000は、ガスの供給ライン、真空ゲージ、真空ポンプのような一般的な機器を備えるが、ここでは説明を容易にするために省略する。
図4は、使用前の断熱材40の外観写真である。断熱材40は、カーボン繊維の成形断熱材からなる。図5は、図4の断熱材40を、加熱装置1000で結晶成長に用いた後の外観写真である。結晶成長は、材料ガス430、440としてAlClとNHを用い、成長温度は1450℃、成長時間は60分〜180分とした。結晶成長は、このような成長条件で50回行った。
図5の写真(使用後)を図4の写真(使用前)と比較すると分かるように、外観に殆ど変化は見られない。また、図6は、図5の断熱材40の、内部の写真であるが、外部と同様に、殆ど変化は見られない。
一方、図7は、図8に示す従来の加熱機構に用いた断熱材の、B−B方向の断面における写真である。図8は、全体が500で表される、従来の加熱機構の断面図である。図8中、図2と同一符合は、同一または相当箇所を示し、断面方向も図2と同じ方向である。
従来の加熱機構500では、発熱体10の周囲に、円筒カバー無しに直接、断熱材40を配置し、その状態でボート35に乗せる。ボート35は、発熱体10の空洞部11より下方を覆う構造(半円構造)となっている。
加熱機構500は、発熱体10の中央部12にサンプルを配置した状態で、図1に示す加熱装置1000の高周波加熱部1000bに挿入して使用される。結晶成長は、本発明の実施の形態にかかる加熱機構100に適用した条件と同様の条件を用い、同じく数回の結晶成長を行った。
図7に示すように、結晶成長後において、断熱材40は中央部分が腐食しており、また周辺部も白く変色して変質していることがわかる。
このように、本発明の実施の形態にかかる加熱機構100を用いることにより、アンモニア雰囲気で高温加熱を行った場合でも、アンモニアによる断熱材40の腐食を防止できる。特に、高温においても断熱材40の劣化が殆どないため、1800℃程度の高温での結晶成長も安定して行うことができる。また、断熱材40の寿命が延び、メンテナンス回数も大幅に削減でき、製造コストの低減も可能となる。
なお、加熱機構100では、円筒カバー20はボート30の側壁の内側に当たるように配置し、更に遮蔽リング50を取り付けて断熱材40を覆うが、断熱材40を密閉しているわけではない。しかしながら、このように断熱材40を覆うだけで、アンモニアによる断熱材40の劣化を十分に防止できることが確認されている。
また、円筒カバー20は断熱材40へのNHガスの侵入防止が目的であるので、断熱材40と発熱体10との間の隙間を埋めるものであれば、発熱体の接合部のみを覆うように形成するなど円筒形状でなくても良い。
なお、発熱体10が一体成形され接合部などの隙間がない場合、発熱体10を断熱材40に密着させることが出来れば、円筒カバー20がなくても、石英ボード30と遮蔽リング50のみで、断熱材10へのNHの侵入を防ぐことができ、同様の腐食防止効果が得られる。
本発明の実施の形態にかかる加熱装置1000を用いて、以下の条件でAlNの結晶成長を行った。サンプルは、2インチc面のサファイア基板(1/2にカット)を用いた。
工程1:サンプルを加熱装置1000内に入れて、Hガスを供給し、900℃、10分間、Hクリーニングを行った。
工程2:HガスをNガスに切り換えて、30秒間、窒化処理を行った。
工程3:材料ガス(AlCl)430と材料ガス(NH)440を高周波加熱部1000bに導入して、加熱温度900℃で60秒間、AlNバッファ層を成長させた。材料ガス430、440の作製方法は上述のとおりである。また、加熱温度はサンプルの温度である。
工程4:加熱温度を1500℃〜1590℃の間の温度に上げて、30秒〜5時間の間の時間、AlN層の成長を行った。AlNバッファ層およびAlN層の成長中の反応管200内の圧力は95kPa、V/III比は7.65であった。
AlN層の成長温度が異なる複数のサンプルについて、AlN層の評価を、X線回折法を用いて行った。X線回折の結果では、成長温度が高いほど、(0002)回折の半値幅が減少し、結晶性が向上していることがわかった。また、加熱温度1590℃で30分間AlN層を成長させたサンプルでは、(0002)回折の半値幅、(10−12)回折の半値幅は、それぞれ326arcsec、729arcsecとなり、良好なAlN結晶が得られることがわかった。当然に、かかるAlN層の成長条件において、断熱材40の劣化は認められなかった。
このように、本発明の実施に形態にかかる加熱機構100を用いた加熱装置1000では、高温の窒素雰囲気でも安定した結晶成長が可能となり、良好な品質の結晶を成長させることが可能となる。
10 発熱体
20 円筒カバー
30 ボート
40 断熱材
50 遮蔽リング
100 加熱機構
200 反応管
300 高周波誘導コイル
1000 加熱装置

Claims (6)

  1. アンモニア雰囲気で使用する誘導加熱装置に用いる加熱機構であって、
    円筒形の発熱体と、
    該発熱体の側面を囲む円筒形のカバーと、
    該カバーの側面を囲む円筒形の断熱材であって、カーボンの成形断熱材からなる断熱材と、
    該断熱材の側面を囲む側面部と、該側面部の一端に設けられた端面部とを有する円筒形のボートであって、該カバーの一端が該端面部の内側に接するように配置されるボートと、
    該ボートの側面部の他端において、該ボートの側面部と該カバーとに接するように配置されたリング状の遮蔽板と、を含み、
    該断熱材は、該ボートと、該カバーと、該遮蔽板とで囲まれたことを特徴とする加熱機構。
  2. アンモニア雰囲気で使用する誘導加熱装置に用いる加熱機構であって、
    円筒形の発熱体と、
    該発熱体の側面を囲む円筒形の断熱材であって、カーボンの成形断熱材からなる断熱材と、
    該断熱材の側面を囲む側面部と、該側面部の一端に設けられた端面部とを有する円筒形のボートであって、該断熱材の一端が該端面部の内側に接するように配置されるボートと、
    該ボートの側面部の他端において、該ボートの側面部と該断熱材とに接するように配置されたリング状の遮蔽板と、を含み、
    該断熱材は、該ボートと、該発熱体と該遮蔽板とで囲まれたことを特徴とする加熱機構。
  3. 上記カバーは、BN(ボロンナイトライド)、PBN(パイロリティックボロンナイトライド)、アルミナ、およびジルコニアからなるグループから選択される1またはそれ以上の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
  4. 誘導加熱装置であって、
    反応管と、
    該反応管の周囲に設けられた高周波誘導コイルと、
    該反応管の中に配置された、請求項1〜のいずれかに記載の加熱機構と、を含み、
    該高周波誘導コイルに高周波電流を流すことにより、該加熱機構の該発熱体が誘導加熱されることを特徴とする誘導加熱装置。
  5. 上記反応管の中に、アンモニアガスが供給されることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱装置。
  6. 上記発熱体の加熱温度は、1000℃から1800℃までの範囲の温度であることを特徴とする請求項に記載の誘導加熱装置。
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