JP6080115B2 - 圧粉磁心の製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、本発明は、結晶化温度Txが420℃〜600℃にあるFe基アモルファス合金薄帯を粉砕し、平均厚み20μm〜60μm、平均粒径60μm〜80μmの薄板状でシリカ皮膜を形成した粉砕粉と、前記粉砕粉より小径でシリカ皮膜を形成しないFe基アモルファス合金アトマイズ球状粉とを混合し、成形した後、当該得られた成形体を、(結晶化温度Tx−70℃)〜(結晶化温度Tx−90℃)の温度で熱処理することを特徴とする圧粉磁心の製造方法である。
本発明の製造方法による圧粉磁心は、熱処理によりbcc-Fe相を析出させ、2θ= 45°付近の前記bcc-Fe結晶の(110)ピークの強度をIcとし、アモルファス相のメインのハローピークの強度をIaとした時、強度比Ic / Iaが1.1 ≦ Ic / Ia ≦3.6で、磁束密度50mT、周波数50kHzでの鉄損が70kW/m3以下にある。
結晶化温度Txは組成により変動するが、結晶化温度Txが420℃〜600℃にある組成が適している。好ましくは450℃〜580℃、さらに好ましくは470℃〜570℃である。
急冷単ロール法により作製したFe75Si8B17(原子%)のFe基アモルファス合金薄帯(幅5mm、平均厚さ23μm、結晶化温度Tx = 560℃)を窒素雰囲気中で300℃において3時間保持する脆化熱処理を行った。これにより薄帯を脆化させて粉砕し易くする。脆化熱処理温度は280℃〜340℃が好ましい。この薄帯をパワーミル、インパクトミルにより粉砕し、目開き106μmの篩に通して分級し、Fe基アモルファス合金薄帯の粉砕粉を得た。粉砕粉の平均粒径は62μmであった。
前記粉砕粉24 g(80重量部)に対して、前記アトマイズ粉を6 g(20重量部)加えた合計30 gに対して、無機バインダーを0.24 g(0.8重量部)、アクリル系有機バインダーを0.75 g(2.5重量部)とステアリン酸亜鉛0.12 g(0.4重量部)を混合し、目開き150μmの篩を通して造粒粉を得た。
この造粒粉をプレス機を用いて外形寸法が13.5 mm、内径7.5 mmのトロイダル形状の金型に入れて、圧力21トン、保持時間5秒でプレス成形した。得られた成形体を管状炉にて、アルゴン雰囲気中、450℃で1時間の熱処理を行った。
また、このトロイダルコアをX線回折測定し、下記の測定手段によりピーク強度比Ic/Iaを求めた。その結果、Ic/Ia = 1.6となっていた。
以上の結果を表1に示す。
鉄損は上記トロイダルコアをコアケース(外形:30 mm、内径:6 mm、高さ:7 mm)に入れて、直径0.25 mmの絶縁被覆銅線を2本で20回巻き線を行い、B-Hアナライザー(岩通計測株式会社製:SY-8232)により、磁束密度50 mT、周波数50 kHzと100 mT、100kHzの条件で測定を行った。
実施例1と同じ条件と工程であるが、Fe基アモルファス合金薄帯の平均厚さが31μm、40μm、52μmの薄帯を用い、これを粉砕した。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mでそれぞれ58、60、56であり、H = 10000 A/mではそれぞれ34、34、35であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaは何れも1.1となっていた。
以上の結果を表1に示す。
上記実施例1〜4と同じ条件と工程であるが、粉砕粉に対しテトラエトキシシランによるシリカ被覆を行わなかった。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mでそれぞれ54、58、57、57であり、H = 10000 A/mではそれぞれ32、32、32、31であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaはそれぞれ2.2、1.4、1.3、1.3となっていた。
以上の結果を表1に示す。
実施例1〜4と同じ条件と工程であるが、成形後における熱処理条件を470℃で1時間に変更した。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mでそれぞれ62、57、61、54であり、H = 10000 A/mではそれぞれ32、34、35、35であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaはそれぞれ2.1、1.4、1.4、1.4となっていた。
以上の結果を表2に示す。
実施例1と同じ条件と工程であるが、成形後における熱処理条件を490℃で1時間に変更した。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて、実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mで53であり、H = 10000 A/mでは32であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaは3.6となっていた。
以上の結果を表2に示す。
実施例2〜4と同じ条件と工程であるが、成形後における熱処理条件を490℃で1時間に変更した。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mでそれぞれ57、58、53であり、H = 10000 A/mではそれぞれ35、35、35であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaはそれぞれ1.8、2.1、1.8となっていた。
以上の結果を表2に示す。
実施例1〜4と同じ条件と工程であるが、成形後における熱処理条件を510℃で1時間に変更した。その後、実施例1と同様の条件でトロイダルコアを作製した。これらについて実施例1と同様に鉄損と直流重畳特性およびピーク強度比Ic/Iaを測定した。
また、直流重畳特性はH = 0 A/mでそれぞれ30、34、26、38であり、H = 10000 A/mではそれぞれ25、30、23、32であった。
そして、ピーク強度比Ic/Iaはそれぞれ6.5、3.8、3.8、3.9となっていた。
以上の結果を表2に示す。
また、比較例1〜4によれば510℃で熱処理したコアは他の熱処理温度と比べて鉄損が著しく高く、直流重畳特性も低下していた。これらのピーク強度比Ic/Iaは比較例1よりも高く、Ic/Iaが3.6を超えるとさらに結晶化が急激に進んでしまうものと推察される。このように510℃では応力緩和効果よりも結晶化による磁気特性悪化の影響が大きく、(結晶化温度Tx−70℃)を超える熱処理条件は適していない。
尚、これら実施例9〜12の粉砕粉のみを用いて、同様の熱処理をした粉砕粉についてX線回折測定を行ったところ、ピーク強度比Ic / Iaの値が若干増加しているが平均厚さ23μmの粉末のみ他の厚さに比べてIc / Iaが大きいという同様の傾向が確認できた。このためアトマイズ粉の影響によるものではないと言える。
このことからアモルファス薄帯を粉砕することで厚さによる結晶化の傾向が粉砕前と異なっていることがわかる。単ロール法で作製したアモルファス薄帯は表面に薄い酸化被膜ができているが、粉砕を経ることで酸化被膜が破壊されているため、粉砕することでより結晶化しやすくなり、粉砕粉やトロイダルコアではアモルファス薄帯と結晶化の傾向が異なっていると推察される。
Claims (2)
- 結晶化温度Txが420℃〜600℃にあるFe基アモルファス合金薄帯を粉砕し、平均厚み20μm〜60μm、平均粒径60μm〜80μmの薄板状でシリカ皮膜を形成した粉砕粉と、前記粉砕粉より小径でシリカ皮膜を形成しないFe基アモルファス合金アトマイズ球状粉とを混合し、成形した後、当該得られた成形体を、(結晶化温度Tx−70℃)〜(結晶化温度Tx−90℃)の温度で熱処理することを特徴とする圧粉磁心の製造方法。
- 前記Fe基アモルファス合金薄帯を280℃〜340℃の温度で脆化熱処理を行った後、粉砕することを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心の製造方法。
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