しかしながら、上述したように、複数のランプユニットを有する車両用前照灯においてAFSを採用する場合、駆動ユニットにより回動されるランプユニットと、前照灯構成部材としてのランプハウジングとが干渉しないようにする必要がある。そこで、ランプハウジングをランプユニットから大きく離間した位置に配置することが考えらえるが、この場合、ランプユニットの大型化によって車両用前照灯全体の大型化を招いてしまう。
また、車両用前照灯は、車両前部の意匠部としての役割も有しており、車両のデザイン上のニーズから、近年では、ランプハウジング内に前照灯構成部材として装飾部材を設ける要請がある。そこで、ハイビーム用のランプハウジングと、ロービーム用のランプハウジングとを車幅方向に並設し、さらに上記装飾部材を車幅方向に並設したものにAFSを採用することが考えられる。
この場合、ランプユニットと装飾部材との干渉を防止するために、装飾部材をランプユニットから大きく離間した位置に配置することが考えられるが、この場合も、やはりランプハウジングが大型化してしまい、結果として車両用前照灯全体の大型化を招いてしまう。
このため、複数のランプユニットを有する車両用前照灯においてAFSを採用する場合には、車両用前照灯の大型化回避の観点から、ランプユニットと前照灯構成部材(ランプハウジングや装飾部材等)とが干渉しないようにランプユニット側にてその回動中心や回動軌跡を適切に設定する必要があった。
また、LEDヘッドランプを採用した場合、上述したように、消費電力は少なくて済むものの、LEDが熱に対して弱いというデメリットがあり、放熱フィン(ヒートシンク)等の放熱部材を設ける必要がある。
放熱部材を構成する放熱フィンは、熱伝導率の高い(すなわち重量の大きい)金属により構成するのが一般的とされているが、AFSを採用した場合には、放熱フィンに起因して重量が大きくなったランプユニットをスムーズに回動させるために、その重心位置の設定にも考慮が必要となる。この重心位置の設定は、放熱フィンの機能である放熱性を確保した上で、上述した車両用前照灯の大型化回避と併せて考慮する必要がある。
上記特許文献1、2では、複数のLED光源を有するランプユニットを一体的に回動又は傾動させる点について開示があるものの、車両用前照灯の大型化回避を考慮した回動中心や回動軌跡の設定、及びランプユニットをスムーズに回動させることを考慮した重心位置の設定に関しては何ら開示がない。
この発明は、前照灯構成部材との干渉防止に起因する大型化を回避しつつ、ランプユニットの放熱性を最適化した上で、AFSにおけるランプユニットの回動をスムーズに行うことができる車両用前照灯を提供することを目的とする。
この発明の車両用前照灯は、ハウジングと、該ハウジングの前面の開口部を覆う透光カバーとにより形成される空間内にランプユニットを収容し、車両前面に取り付けられた車両用前照灯であって、上記ランプユニットとして、第1のLEDランプユニットと、該第1のLEDランプユニットの車幅方向外側に位置する第2のLEDランプユニットとを備えると共に、上記第1及び上記第2のLEDランプユニットを、車両走行状態に応じて初期位置から車幅方向外側に向けて略上下方向に延びる回動軸周りに一体的に回動させるランプ回動駆動ユニットを備え、上記第1のLEDランプユニットは、前方かつ上方に傾斜したリフレクタに対して、第1LED光源の光を下方から上方に照射するよう構成され、上記第1LED光源から下方に延設される金属製の第1放熱部材を有する一方、上記第2のLEDランプユニットは、第2LED光源から車両後方に延設される金属製の第2放熱部材を有し、上記第1のLEDランプユニットの車幅方向内側には、前照灯構成部材が設けられ、上記回動軸は、上記第1及び上記第2のLEDランプユニットの、上記前照灯構成部材側の端部位置よりも車両後方に配設されたものである。
この構成によれば、前照灯構成部材との干渉防止に起因する大型化を回避しつつ、ランプユニットの放熱性を最適化した上で、AFSにおけるランプユニットの回動をスムーズに行うことができる車両用前照灯を提供することができる。
詳しくは、第1LED光源の下方に第1放熱部材を延設し、かつ第2LED光源の車両後方に第2放熱部材を延設することで、第1放熱部材、第2放熱部材は、それぞれ第1LED光源、第2LED光源の照射方向と反対方向に延設されることになる。これにより、第1及び第2LED光源から発せられる熱を裏側(光が照射される側の反対側)から効率的に放熱することができ、第1及び第2LED光源に対する放熱性を最適化することができる。
そして、回動軸を前照灯構成部材側の端部位置よりも車両後方に配設することで、第1及び第2のLEDランプユニットの回動時には、端部位置を初期位置から前照灯構成部材とは反対側の車幅方向外側に向かって変位させることができる。つまり、前照灯構成部材をランプユニットから大きく離間した位置に配置しなくても、前照灯構成部材との干渉を回避しながら第1及び第2のLEDランプユニットを車幅方向外側に回動させることが可能な回動軌跡を設定することができる。
これにより、ランプハウジングの大型化を招くことなく、第1及び第2のLEDランプユニットを車幅方向外側に回動させることができ、結果として、車両用前照灯全体の大型化を回避することができる。
さらに、上述のように、第2LED光源の車両後方に金属製の第2放熱部材を延設することで、第1及び第2のLEDランプユニットを一体化したアッセンブリの重心位置が車両後方寄りに設定されることになるが、回動軸を車両後方に配設することで、これを重心位置に近づけることができるという効果も得られる。このように、回動軸を重心位置に近づけることで、AFSにおける第1及び第2のLEDランプユニットの回動をスムーズにすることができる。
この発明の一実施態様においては、上記前照灯構成部材は、装飾部材である。
この構成によれば、車両用前照灯全体の大型化を回避しつつ、装飾部材によって車両用前照灯の意匠性を高めることができる。
この発明の一実施態様においては、上記第1のLEDランプユニットは、下方から上方に照射した上記第1LED光源の光を上記リフレクタで反射させ、上記透光カバーから車両前方に射出するよう構成される一方、上記第2のLEDランプユニットは、上記第2LED光源の光を集光するインナレンズを有し、上記第2LED光源の光を上記レンズで集光させ、上記透光カバーから車両前方に射出するよう構成されたものである。
この構成によれば、第2のLEDランプユニットのみにインナレンズが設けられるため、車両前部の車幅方向両側に第1及び第2のLEDランプユニットを配置した場合には、車両前部の車幅方向両側にインナレンズが1つずつ配置されることになる。このため、車両を前方から見たときには、インナレンズを用いて人や動物の目玉を連想させるようなデザインを施すことができ、車両用前照灯の意匠部としての役割を効果的に発揮させることができる。
一方、第1のLEDランプユニットのリフレクタには、その下方の第1LED光源付近が映り込むのみであり、昼間等第1LED光源が発光していないときには、第1のLEDランプユニットの存在は目立ちにくくなる。従って、第1のLEDランプユニットの存在が目立たなくなる分、車両用前照灯のデザイン自由度を向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記第1LED光源が発光していないときに上記リフレクタ上に映り込む黒色部材を備えたものである。
この構成によれば、第1LED光源が発光していないときには、黒色部材がリフレクタ上に映り込むことで、第1のLEDランプユニットをより目立たなくすることができる。これにより、車両用前照灯のデザイン自由度をより向上させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記黒色部材は、上記第1放熱部材を上方から覆うカバー部材により構成されたものである。
この構成によれば、第1放熱部材をカバー部材で覆うことにより、車両を前方から見たときの見栄えを向上させることができる。そして、カバー部材を利用して、車両用前照灯のデザイン自由度をより向上させるという効果も同時に得ることができる。
この発明によれば、前照灯構成部材との干渉防止に起因する大型化を回避しつつ、ランプユニットの放熱性を最適化した上で、AFSにおけるランプユニットの回動をスムーズに行うことができる車両用前照灯を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係るヘッドランプ4を備えた車両1を示す前方斜視図である。図1に示す車両1の前部には、車幅方向に延設されたバンパー(図示せず)の車両前方を覆う外板としてバンパーフェース2が配設され、その上部には、エンジンやモータ等からなるパワートレインを収容した収容空間を上方から覆うボンネット3が配設されている。
また、車両1の前部には、その車幅方向両端部に図1〜図6に示すようなヘッドランプ(車両用前照灯)4、4が一対配設されている。図2は、図1の右側のヘッドランプ4を示す斜視図であり、アウタレンズ5を取り外した状態を示している。また、図3は、図2の分解斜視図、図4、図5は、それぞれランプアッセンブリLAを示す平面図、正面図、図6は、図5のA−A線矢視断面図である。
ヘッドランプ4は、図1に示すアウタレンズ5と、図2、図3に示す樹脂製のランプハウジング6とを備えている。このランプハウジング6は、図2、図3に示すように、外表面から突出するように一体成形された複数の取り付け部6a〜6cを有しており、この取り付け部6a〜6cにて車体に取付けられている。
そして、ランプハウジング6のランプ正面側(車両前端部側)の開口部6dには、図1に示すようなアウタレンズ5が取付けられており、アウタレンズ5とランプハウジング6とで囲まれた収容空間内には、図2〜図6に示すように、第1及び第2LEDランプユニット7、8からなるランプアッセンブリLAと、ターンシグナル用のハロゲンランプ光源9と、装飾部材10と、ランプアッセンブリLAを回動させるAFSアクチュエータ11と、ランプアッセンブリLAを嵌め込む枠部材としてのマウントリング12と、リフレクタ13と、エクステンション14とが収容されている。
ランプアッセンブリLAの第1及び第2LEDランプユニット7、8と、ハロゲンランプ光源9と、装飾部材10とは、ランプハウジング6内において車幅方向に並設され、車幅方向内側から装飾部材10、第1LEDランプユニット7、第2LEDランプユニット8、ハロゲンランプ光源9の順番で配置されている。
このうち、第1LEDランプユニット7は、ハイビーム用のランプユニットである一方、第2LEDランプユニット8は、ロービーム用のランプユニットであり、図示しない光源駆動ユニットで第1及び第2LEDランプユニット7、8の点灯状態を適宜切り換えることにより、照射モードをロービーム状態とハイビーム状態とに切り換えることが可能になっている。
第1LEDランプユニット7は、図2〜図6に示すように、チップ状のLEDにより構成された第1LED光源71と、リフレクタ72と、第1ヒートシンク73とを有している。
第1LED光源71は、第1ヒートシンク73の水平面上に固定された基板74に実装されており、その光が上方に向かって照射されるように配設されている。
リフレクタ72は、第1LED光源71から照射された光を車両前方に反射するものであり、第1LED光源71及び基板74の周囲を囲繞するように形成された枠状の基部72aと、第1LED光源71を上方から覆うように前方かつ上方に傾斜したリフレクタ本体72bとを有している。
第1LEDランプユニット7では、第1LED光源71の光が、図6に太矢印αで示すようにリフレクタ72に向かって照射されると、矢印βで示すように、リフレクタ本体72bから車両前方に向かって放射状に反射されるようになっている。そして、リフレクタ本体72bで反射された上記光は、アウタレンズ5を透光して車両前方に射出されるようになっている。
第1ヒートシンク73は、第1LED光源71から下方に延設された金属製の部材であり、基部73aと、該基部73aの前面側及び後面側から立設するように形成された薄板状の放熱フィン73bと、下側の放熱フィン73bを上方から覆うカバー部73c(黒色部材)とを有している。第1ヒートシンク73では、主に放熱フィン73bが、第1LED光源71から発せられる熱を周囲に放出する放熱部材としての機能を有しており、放熱の表面積を確保すべく、基部73aの前面側及び後面側では、車幅方向に沿って複数の放熱フィン73b、73b、…が並設されている。
また、第1ヒートシンク73のカバー部73cは、黒色の着色が施されており、第1LED光源71の車両前方付近にて略水平方向に延びるように配設されている。このため、カバー部73cとリフレクタ本体72bとは互いに略対向する位置関係となっており、これによって、第1LED光源71が発光していないときには、黒色のカバー部73cがリフレクタ本体72b上に映り込むようになっている。
第2LEDランプユニット8は、いわゆるプロジェクタ式のランプユニットであり、図2〜図6に示すように、チップ状のLEDにより構成された第2LED光源81と、集光レンズにより構成されたインナレンズ82と、該インナレンズ82が嵌め込まれる嵌め込み孔83aが形成されたエクステンション83と、第2ヒートシンク84とを有している。
第2LED光源81は、その光が車両前方に位置するインナレンズ82に向かって照射されるように配設されており、インナレンズ82は、第2LED光源81から照射された光を集光して車両前方に射出するようになっている。第2LEDランプユニット8では、インナレンズ82で集光された上記光が、そのままアウタレンズ5を透光して車両前方に射出されるようになっている。
また、インナレンズ82は、図1〜図3、図5に示すようにランプ正面視で略円形をなしており、これが車両前部の車幅方向両側に1つずつ配置されることによって、車両1を前方から見たときには、人や動物の目玉を連想させることができるようになっている。本実施形態では、インナレンズ82を用いて人や動物の目玉を連想させるようなデザインを施すことで、ヘッドランプ4の意匠部としての役割を効果的に発揮させることができるようになっている。
第2ヒートシンク84は、第2LED光源81から車両後方に延設された金属製の部材であり、基部84aと、該基部84aの前面側及び後面側らから立設するように形成された薄板状の放熱フィン84bとを有している。第2ヒートシンク84では、主に放熱フィン84bが、第2LED光源81から発せられる熱を周囲に放出する放熱部材としての機能を有しており、放熱の表面積を確保すべく、基部84aの前面側及び後面側では、放熱フィン73bと同様、車幅方向に沿って複数の放熱フィン84b、84b、…が並設されている。
ハロゲンランプ光源9は、発光面に黄色の着色が施されており、主に、左右いずれかを発光させることによって、進行方向の変換の意思を車両1の周囲(ここでは、主に前方の対向車)に報知する機能を有している。また、左右両側を同時に点滅発光させることによって、ハザードランプとしての機能も有している。
また、ハロゲンランプ光源9は、車幅方向外側のリフレクタ13と、車幅方向内側のエクステンション14とによって区画された所定空間内に収容されており、ハロゲンランプ光源9から照射された光は、リフレクタ13から車両前方に向かって反射され、アウタレンズ5を透光して車両前方に射出されるようになっている。
装飾部材10は、第1LEDランプユニット7から車幅方向内側に延設された帯状の装飾部材であり、この装飾部材10によって、ヘッドランプ4の意匠部としての役割をより効果的に発揮させることができるようになっている。また、装飾部材10は、第1及び第2LEDランプユニット7、8と同様、独自に光源(図示せず)を有しており、装飾部材10の自らの発光によって上述した効果をより高めることができるようになっている。
また、ヘッドランプ4は、第1及び第2LEDランプユニット7、8の照射方向を車両1の運転状態等(例えばステアリング操作との連動や、車両外部のモニタ結果等)に応じて変更するAFSを採用しており、これに対応して、AFSアクチュエータ11を備えている。このAFSアクチュエータ11は、図2〜図4に示すように、マウントリング12の基部12aに取り付けられており、その車両後方に位置する回動軸15aを回転駆動させるようになっている。
回動軸15aは、略上下方向に延びており、その上端が、図5、図6に示すように、第1ヒートシンク73の下部に形成された差し込み孔73dに差し込まれることで、第1LEDランプユニット7を回動可能に軸支している。
また、ヘッドランプ4では、第1LEDランプユニット7と第2LEDランプユニット8とが、第1ヒートシンク73と第2ヒートシンク84との連結によって一体化され、ランプアッセンブリLAを構成している。このため、回動軸15aがAFSアクチュエータ11によって回転駆動したときには、その回転駆動力が第1LEDランプユニット7(ランプアッセンブリLA)に伝達され、これによって、第1及び第2LEDランプユニット7、8が一体的に回動するようになっている。
マウントリング12は、図2〜図4に示すように、AFSアクチュエータ11が取り付けられる基部12aと、ランプアッセンブリLAが嵌め込まれる枠状のリング本体12bとを有している。
基部12aには、回動軸15aを挿通する挿通孔12c(図3参照)が形成される一方、リング本体12bには、後述する軸受け部材16が取り付けられる軸受け部12d(図3参照)が形成されている。
第1LEDランプユニット7の上部には、図2〜図6に示すように、回動軸15aの位置に対応して、略上下方向に延びる回動軸15bが取り付けられる一方、マウントリング12には、回動軸15bを回転可能に支持する軸受け部材16が取り付けられている。
軸受け部材16は、回動軸15bを挿通するための挿通孔16aを有しており、その車幅方向両側部がネジ17、17によってマウントリング12の軸受け部12dに固定されている。回動軸15bは、挿通孔16aに挿通されることで、軸受け部材16に回転可能に支持されており、第1LEDランプユニット7の上部は、軸受け部材16に回転可能に支持された回動軸15bにより、マウントリング12に対して回動可能に軸支されている。
本実施形態では、AFSアクチュエータ11により、第1及び第2LEDランプユニット7、8を、車両1の走行状態に応じて、照射方向が真っ直ぐ前方を指向する初期位置(図2、図4〜図6参照)から上下の回動軸15a、15b周りに一体的に回動させることができるようになっている。
例えば、車両1でステアリング操作がなされた場合には、コーナリングの内側に位置する第1及び第2LEDランプユニット7、8(ランプアッセンブリLA)のみが、AFS(AFSアクチュエータ11)によって前記初期位置からコーナリングの内側(車両1を基準にすると車幅方向外側)に回動するようになっている。このため、車両1が右側にコーナリングしたときには、図2〜図6に示す車両右側の第1及び第2LEDランプユニット7、8のみが、図7に示すように右側(車幅方向外側)に回動し、車両1が左側にコーナリングしたときには、図1に示す車両左側の第1及び第2LEDランプユニット7、8のみが、左側(車幅方向外側)に回動するようになっている。
そして、マウントリング12は、AFSアクチュエータ11とは異なる他のアクチュエータ(図示せず)によってその姿勢を上下に変更可能としており、このマウントリング12の姿勢変更によって、第1及び第2LEDランプユニット7、8の照射方向を微調整(いわゆるレベリング調整)することができるようになっている。
また、本実施形態では、回動軸15a、15bが、図4に示すように、ランプアッセンブリLA(ここでは、第1LEDランプユニット7)の、装飾部材10側の端部位置Pよりも車両後方に配設されている。これにより、ランプアッセンブリLAの回動時には、端部位置Pが、図7に示すように初期位置から装飾部材10とは反対側の車幅方向外側に向かって変位するようになっており、装飾部材10との干渉を回避しながらランプアッセンブリLAを車幅方向外側に向かって回動させることが可能になっている。
以上に示したように、本実施形態のヘッドランプ4は、ランプハウジング6と、該ランプハウジング6の前面の開口部6dを覆うアウタレンズ5とにより形成される空間内にランプユニット(第1及び第2LEDランプユニット7、8)を収容し、車両前面に取り付けられており、上記ランプユニットとして、第1LEDランプユニット7と、該第1LEDランプユニット7の車幅方向外側に位置する第2LEDランプユニット8とを備えると共に、第1及び第2LEDランプユニット7、8(ランプアッセンブリLA)を、車両走行状態に応じて初期位置から車幅方向外側に向けて略上下方向に延びる回動軸15a、15b周りに一体的に回動させるAFSアクチュエータ11を備え、第1LEDランプユニット7は、前方かつ上方に傾斜したリフレクタ72(リフレクタ本体72b)に対して、第1LED光源71の光を下方から上方に照射するよう構成され、第1LED光源71から下方に延設される金属製の放熱フィン73bを有する一方、第2LEDランプユニット8は、第2LED光源81から車両後方に延設される金属製の放熱フィン84bを有し、第1LEDランプユニット7の車幅方向内側には、前照灯構成部材として装飾部材10が設けられ、回動軸15a、15bは、第1及び第2LEDランプユニット7、8の、装飾部材10側の端部位置Pよりも車両後方に配設されている。
上述したヘッドランプ4によれば、装飾部材10との干渉防止に起因する大型化を回避しつつ、第1及び第2LEDランプユニット7、8の放熱性を最適化した上で、AFSにおける第1及び第2LEDランプユニット7、8の回動をスムーズに行うことができるヘッドランプ4を提供することができる。
詳しくは、第1LED光源71の下方に放熱フィン73bを延設し、かつ第2LED光源81の車両後方に放熱フィン84bを延設することで、放熱フィン73b、84bは、それぞれ第1LED光源71、第2LED光源84の照射方向と反対方向に延設されることになる。これにより、第1及び第2LED光源71、81から発せられる熱を裏側(光が照射される側の反対側)から効率的に放熱することができ、第1及び第2LED光源71、81に対する放熱性を最適化することができる。
そして、回動軸15a、15bを装飾部材10側の端部位置Pよりも車両後方に配設することで、第1及び第2LEDランプユニット7、8の回動時には、端部位置Pを初期位置から装飾部材10とは反対側の車幅方向外側に向かって変位させることができる。つまり、装飾部材10を第1LEDランプユニット7から大きく離間した位置に配置しなくても、図7に二点鎖線で示すように、装飾部材10との干渉を回避しながら第1及び第2LEDランプユニット7、8を車幅方向外側に回動させることが可能な回動軌跡TRを設定することができる。
これにより、ランプハウジング6の大型化を招くことなく、第1及び第2LEDランプユニット7、8を車幅方向外側に回動させることができ、結果として、ヘッドランプ4全体の大型化を回避することができる。
さらに、上述のように、第2LED光源81の車両後方に金属製の放熱フィン84bを延設することで、ランプアッセンブリLAの重心位置が車両後方寄りに設定されることになるが、回動軸15a、15bを車両後方に配設することで、これらを重心位置に近づけることができるという効果も得られる。このように、回動軸15a、15bを重心位置に近づけることで、AFSにおける第1及び第2LEDランプユニット7、8の回動をスムーズにすることができる。
また、本実施形態のヘッドランプ4では、上記前照灯構成部材が、装飾部材10である。
上述したヘッドランプ4によれば、ヘッドランプ4全体の大型化を回避しつつ、装飾部材10によってヘッドランプ4の意匠性を高めることができる。
また、本実施形態のヘッドランプ4では、第1LEDランプユニット7は、下方から上方に照射した第1LED光源71の光をリフレクタ72で反射させ、アウタレンズ5から車両前方に射出するよう構成される一方、第2LEDランプユニット8は、第2LED光源81の光を集光するインナレンズ82を有し、第2LED光源81の光をインナレンズ82で集光させ、アウタレンズ5から車両前方に射出するよう構成されている。
上述したヘッドランプ4によれば、第2LEDランプユニット8のみにインナレンズ82が設けられるため、車両前部の車幅方向両側に第1及び第2LEDランプユニット7、8を配置した場合には、車両前部の車幅方向両側にインナレンズ82が1つずつ配置されることになる。このため、車両1を前方から見たときには、インナレンズ82を用いて人や動物の目玉を連想させるようなデザインを施すことができ、ヘッドランプ4の意匠部としての役割を効果的に発揮させることができる。
一方、第1LEDランプユニット7のリフレクタ72(リフレクタ本体72b)には、その下方の第1LED光源71付近が映り込むのみであり、昼間等第1LED光源71が発光していないときには、第1LEDランプユニット7の存在は目立ちにくくなる。従って、第1LEDランプユニット7の存在が目立たなくなる分、ヘッドランプ4のデザイン自由度を向上させることができる。
また、本実施形態のヘッドランプ4では、第1LED光源71が発光していないときにリフレクタ本体72b上に映り込む黒色部材としてカバー部73cを備えている。
上述したヘッドランプ4によれば、第1LED光源71が発光していないときには、黒色のカバー部73cがリフレクタ本体72b上に映り込むことで、第1LEDランプユニット7をより目立たなくすることができる。これにより、ヘッドランプ4のデザイン自由度をより向上させることができる。
また、本実施形態のヘッドランプ4では、上記黒色部材は、放熱フィン73bを上方から覆うカバー部73cにより構成されている。
上述したヘッドランプ4によれば、放熱フィン73bをカバー部73cで覆うことにより、車両1を前方から見たときの見栄えを向上させることができる。そして、カバー部73cを利用して、ヘッドランプ4のデザイン自由度をより向上させるという効果も同時に得ることができる。
なお、上述した実施形態では、放熱フィン73bを覆うカバー部73cを黒色部材として利用しているが、別途単独の黒色部材を設けてもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の透光カバーは、アウタレンズ5に対応し、
以下同様に、
ランプユニットは、第1及び第2LEDランプユニット7、8に対応し、
車両用前照灯は、ヘッドランプ4に対応し、
ランプ回動駆動ユニットは、AFSアクチュエータ11に対応し、
第1放熱部材は、放熱フィン73bに対応し、
第2放熱部材は、放熱フィン84bに対応し、
前照灯構成部材は、装飾部材10に対応し、
黒色部材は、カバー部73cに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述した実施形態では、装飾部材10を前照灯構成部材として説明しているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、上記前照灯構成部材は、ランプハウジングの車幅方向内側壁部であってもよい。