JP6079390B2 - コーティング組成物及び該組成物を用いた導電性フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、制電性を付与するコーティング組成物、及びそれを用いた導電性フィルムに関する。
直径が数ナノメートルから数十ナノメートルの筒状炭素材料であるカーボンナノチューブは、高い導電性、機械的強度を有することから、燃料電池、電極、電磁波シールド材、導電性樹脂、電界放出ディスプレー(FED)用部材、水素を始めとする各種ガスの吸蔵材料などの機能性材料として、エレクトロニクス、エネルギー分野等の幅広い分野への利用が期待されている。
通常、カーボンナノチューブは隣接するカーボンナノチューブ同士が絡まり合った凝集物として得られる。一般に、カーボンナノチューブを使用する場合には、互いに絡まり合うことなく、溶液中に微分散していることが好ましい。しかし、カーボンナノチューブそのものは、親水性液体にも疎水性液体にも分散しない。特に、カーボンナノチューブは疎水性であり、水あるいは親水性溶媒には分散しない。そこで、各手法によりカーボンナノチューブを分散する技術が検討されている。例えば、特許文献1 又は2においては分散方法が開示されており、安定した分散液が提案されている。
しかしながら、カーボンナノチューブ分散液をフィルム基材の制電処理剤として用いる際には、分散液そのままでは、延伸性、可撓性、密着性、耐スクラッチ性等の所謂コーティング塗膜としての機能が発現せず、現実的な使用に耐えない。すなわち、カーボンナノチューブ分散液以外に分散物を支持する樹脂等のバインダーや、性能を付加する添加剤の使用が必要となる。
しかし、コーティング組成物を得るための一般的なバインダーの使用は、カーボンナノチューブ分散液中のカーボンナノチューブ粒子濃度を低減し、それら粒子間距離を遠ざけるため、目的とする制電効果を劣化させることになる。又、一般的な制電剤と添加剤の併用は、コーティング塗膜表層で制電剤の効果を添加剤が阻害するため、充分な制電効果を得られないことが多い。この為、充分な制電効果を発揮するコーティング組成物の開発が待たれていた。
特開2005−162578号公報 特開2005−220245号公報
本発明は、塗液として安定であり充分な制電効果を発揮するコーティング組成物を提供することにある。
すなわち本願発明は、カーボンナノチューブ分散液(A)と、酸価5mgKOH/g以下であるバインダー樹脂(B)と、ポリエチレン樹脂フィラー(C)と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)とを含む導電性フィルム用コーティング組成物であって、カーボンナノチューブ分散液(A)が下記(1)又は(2)であり、前記コーティング組成物全固形分中の、ポリエチレン樹脂フィラー(C)の固形分をX重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)の固形分をY重量%とした時、Xが1〜5重量%であり、かつX/Yが0.5〜10であることを特徴とする導電性フィルム用コーティング組成物に関する。
(1)カーボンナノチューブと、塩基性誘導体(a1−1)と、酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)とを含んでなるカーボンナノチューブ分散液(A1)である。
(2)カーボンナノチューブと、酸性誘導体(a2−1)と、塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)とを含んでなるカーボンナノチューブ分散体(A2)である。
更に、本願発明は、バインダー樹脂(B)が、アクリル樹脂(B1)を含むことを特徴とする上記導電性フィルム用コーティング組成物に関する。
更に、本願発明は、バインダー樹脂(B)が、セルロースエステル樹脂(B2)を含む場合において、セルロースエステル樹脂が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピレートおよびセルロースアセテートブチレートから選択される一種以上の樹脂であり、かつセルロースエステル樹脂中の水酸基含有率が5%以下であることを特徴とする上記導電性フィルム用コーティング組成物に関する。
更に、本願発明は、プラスチックフィルムの少なくとも片面が、上記コーティング組成物によりコーティングされた導電性フィルムに関する。
本発明によって得られるコーティング組成物により、従来の手法で得られるカーボンナノチューブを含有するコーティング剤よりも優れた制電効果のあるコーティング剤を得ることができる。
本発明のコーティング組成物を調製するためには、先ずカーボンナノチューブ分散液(A)を作成し、然る後にバインダー樹脂(B)や添加剤等を調合し、コーティング組成物とする。
本発明に用いるカーボンナノチューブは、筒状の形状を持った炭素材料であり、その直径は数nmから100nmで、長さは数nmから1mmである。特性、機能性を発揮するには直径50nm以下、特に、10nm以下が好ましい。長さは100nmから1mmが好ましく、特に500nmから1mmが好ましい。
カーボンナノチューブの種類は特に限定されず、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD法)等の各種方法により製造されたカーボンナノチューブを用いることができる。
カーボンナノチューブには単層のものや多層構造になったものがあるが、本発明に使用するカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びこれらを任意の割合で含む混合物のいずれであってもよい。
通常このようなカーボンナノチューブは凝集力が著しく強く、容易に樹脂、活性剤等で分散出来るものではなかった。
そこで鋭意検討した結果、下記の(1)または(2)の組み合わせが、カーボンナノチューブ分散液として好適であり、この分散液が、水、有機溶剤、水性樹脂、油性樹脂等に極めて好適に分散できることを見出した。
(1)カーボンナノチューブと、塩基性誘導体(a1−1)と、酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)を含んでなるカーボンナノチューブ分散液(A1)
(2)カーボンナノチューブと、酸性誘導体(a2−1)と、塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)を含んでなるカーボンナノチューブ分散液(A2)
本発明で用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、具体例としては水や、一般的な有機溶剤が使用できる。有機溶剤の場合には、汎用的に使用されているメチルエチルケトン、トルエン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール等の任意比率の混合溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、主成分以外にも異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純物が微量含まれていてもかまわない。
本発明において酸性誘導体(a1−1)とは、塩基性官能基を有する有機色素誘導体(a1−1−1)(一般式(1))および/または塩基性官能基を有するトリアジン誘導体(a1−1−2)(一般式(3))である。
一般式(1)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
1;有機色素残基、アントラキノン残基またはアミノ基を有するアリール基
1;直接結合,−CONH−Y2−,−SO2NH−Y2−または−CH2NHCOCH2NH−Y2−(Y2;置換基を有してもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
1;−NH−または−O−
1;n=1の場合;水酸基、アルコキシ基、下記一般式(2)で示される基または−NH−X1−Q1
n=2〜4の場合;水酸基、アルコキシ基または下記一般式(2)で示される基
1、R2;それぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基
m;1〜6の整数
n;1〜4の整数
一般式(2)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
3;−NH−または−O−
3、R4;それぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基またはR3とR4とが一体となって形成されたヘテロ環。
o;1〜6の整数。
一般式(3)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
2;有機色素残基またはアントラキノン残基
2;直接結合、−CONH−Y5−,−SO2NH−Y5−または−CH2NHCOCH2NH−Y5−(Y5は置換基を有してもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
4;下記一般式(4)で示される基
p;1〜4の整数。
一般式(4)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
5,R6;それぞれ独立に置換もしくは無置換基のアルキル基。
q;1〜6の整数。
上記一般式(1)のQ1、(3)のQ2における有機色素残基としてはフタロシアニン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、アントラピリミジン系色素、アンサンスロン系色素、インダンスロン系色素、フラバンスロン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリノン系色素、トリフェニルメタン系色素等の顔料または染料が挙げられる。
上記一般式(1)のQ1におけるアミノ基を有するアリール基としては、例えばアミノフェニル基、アミノナフチル基などが挙げられ、この時ベンゼン環にはアミノ基に加え、他の置換可能な場所にハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルコキシ基、置換または無置換のアルキル基の何れかの置換基を有してもよい。
塩基性誘導体(a1−1)の添加量は、カーボンナノチューブの比表面積に比例するが、カーボンナノチューブに全量に対して、1〜40重量%添加することが好ましい。より好ましくは10〜30重量%である。かかる範囲であれば、カーボンナノチューブを好適に分散することが可能となる。
本発明において、酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)とは、カルボン酸、リン酸、スルホン酸等の酸性官能基を持つアクリル系重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体、アルキド系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の通常の樹脂、アニオン系活性剤、市販の樹脂型分散剤等である。酸価、分子量、ガラス転移点温度等に制約はない。
分散性やバインダー樹脂(B)との相溶性の観点から、分散樹脂(a1−2)として好ましくは、は、酸性官能基を持つエポキシ系、ウレタン系の樹脂型分散剤である。
酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)の添加量は、カーボンナノチューブに全量に対して、20〜160重量%添加することが好ましい。より好ましくは80〜120重量%である。
本発明において、酸性官能基誘導体(a2−1)とは、酸性官能基を有する有機色素誘導体(a2−1−1)(一般式(5))および/または酸性性官能基を有するトリアジン誘導体(a2−1−2)(一般式(6))である。
一般式(5)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
3;有機色素残基、またはアントラキノン残基、または置換基を有していてもよい複素環、または置換基を有していてもよい芳香族環
7;ハロゲン基、−X3−R8、−X4−Y6−Z2(R8は水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基を表す。)
3;−NH−、−O−,−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X5−Y6−X6−(X5及びX6はそれぞれ独立に−NH−または−O−を表す。)
4;−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−NHCO−または−NHSO2
6;炭素数1〜20で構成された、置換基を有してもよいアルキレン基、あるいは置換基を有してもよいアルケニレン基、あるいは置換基を有してもよいアリーレン基
2;−SO3T、−COOT(Tは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
一般式(6)
Figure 0006079390
式中の記号は下記の意味を表す。
4;有機色素残基またはアントラキノン残基
7;直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SO2NH−、−CH2NH−、−CH2NHCOCH2NH−または−X8−Y7−X9−(X8及びX9はそれぞれ独立に−NH−または−O−を表し、Y7は置換基を有していてもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。)
3;−SO3T、−COOT(Tは1〜3価のカチオンの1当量を表す。)
u;1〜4の整数
上記一般式(5)のQ3、(6)のQ4における有機色素残基としてはフタロシアニン系色素、アゾ系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、アントラピリミジン系色素、アンサンスロン系色素、インダンスロン系色素、フラバンスロン系色素、ペリレン系色素、ペリノン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリノン系色素、トリフェニルメタン系色素等の顔料または染料が挙げられる。
上記一般式(5)のQ3における複素環または芳香族環としては例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン等が挙げられる。
酸性誘導体(a2−1)の添加量は、カーボンナノチューブの比表面積に比例するが、カーボンナノチューブに全量対して、1〜40重量%添加することが好ましい。より好ましくは10〜30重量%である。かかる範囲であれば、カーボンナノチューブを好適に分散することが可能となる。
本発明において、塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)とは、アミノ基を含む樹脂であることが好ましい。アミノ基を含む樹脂としては、アミン変性樹脂、あるいは高分子分散剤から選ばれる少なくとも1種であり、アミン変性樹脂としては、アミン変性ポリビニル樹脂、アミン変性アクリル樹脂、アミン変性ポリエステル樹脂およびアミン変性ポリウレタン樹脂等である。
塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)の添加量は、カーボンナノチューブに対して、20〜160重量%添加することが好ましい。より好ましくは80〜120重量%である。
酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)や塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)は、分散を目的とするため、分散工程前に配合する必要がある。
カーボンナノチューブ分散液(A)は以下のような方法で製造することができ、いずれの方法でも目的とする効果が得られる。
(方法1)
カーボンナノチューブと分散剤を予め混合して得られるカーボンナノチューブ組成物を、有機溶媒および/または溶剤系樹脂溶液に添加して分散する方法
(方法2)
有機溶媒および/または溶剤系樹脂溶液に、カーボンナノチューブと分散剤を添加して分散する方法
分散工程をより効率よく行うために、分散工程に先立ち、またはその間において、超音波発生器を用いた超音波処理、ディスパー等により攪拌処理を行ってもよい。
カーボンナノチューブの分散に使用する分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタ―プライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、バスケットミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)等を用いることができる。コスト、処理能力等を考えた場合、メディア型分散機を使用するのが好ましい。また、メディアとしてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、ステンレスビーズ等を用いることができる。
前述のカーボンナノチューブ分散液(A)に配合するバインダー樹脂(B)とは、酸価が5mgKOH/g以下の樹脂である。樹脂の酸価が5mgKOH/gを超える場合には、カーボンナノチューブ分散液(A)の分散安定性が悪くなり、カーボンナノチューブが凝集物などの状態を取り、経時でコーティング組成物に分離や沈殿として現れ、結果として塗膜の透明性を悪化させるばかりでなく、目的とする充分な制電効果を発現しなくなる。
バインダー樹脂(B)は、前述のカーボンナノチューブ分散液(A)の安定性を損なわない限り特に制約はない。本発明は、カーボンナノチューブ粒子がコーティング組成物の乾燥した塗膜中に分散された状態で存在することで効果を発現する。従い、分散液の分散状態を悪化させない樹脂であれば油性、水溶性、エマルション、無溶剤型等から選択することができるが、本発明の分散液の性状から油性型の樹脂が特に良好である。
選択されるバインダー樹脂(B)の種類も安定性を損なわない限り特に制約はない。
樹脂の種類は、例えば、アミド系樹脂、アルキド樹脂、アセタール系樹脂、アイオノマー樹脂、イミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、カーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、フェニレンオキシド系樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、乳酸系樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、アルキレン−(メタ) アクリレート系樹脂、硝化綿等の繊維素系樹脂、塩化ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、スチレン、ビニルビチラール、ビニルアセタール等を構成単位として含む重合体または共重合体等が挙げられ、これらの混合物であっても良い。
中でもアクリル樹脂は樹脂自体の透明性も良好であり、また他の樹脂と比べて本発明のカーボンナノチューブ分散液(A)との相溶性が良好であることから、コーティング組成物の安定性を悪化させることがない。従って、透明性を劣化させることなく、より効果的に制電効果を発現する。
本発明に使用するアクリル樹脂とは、(メタ)アクリル系単量体や、アクリル系単量体と共重合可能な単量体を含む単量体又はその混合物を重合した重合体又は共重合体である。
(メタ)アクリル系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系単量体等があげられる。
(メタ)アクリル酸アルキルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等があげられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等があげられる。
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等があげられる。
(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な単量体とは、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル等があげられる。
更に、架橋性モノマーとして、(メタ)アクリル酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ジビニルベンゼン等を用いることもできる。
本発明の効果を発現するためにバインダー樹脂(B)の分子量や分子量分布の制約はないが、コーティング組成物と言う本来の目的から、基材への塗工、乾燥後に塗膜が流動する程の低分子量は適切ではない。しかしながら、バインダー樹脂(B)中の官能基、例えば水酸基やCO水酸基などに対し容易に反応する、それぞれエポキシ基やイソシアネート基等の官能基を持った硬化剤を選定、配合し、塗工時、又は塗工後の加熱により塗膜が高分子量化することにより、最終的に塗膜に充分なコーティング塗膜性能を発現すればこの限りではない。
また、バインダー樹脂(B)にアクリレート系モノマー、アクリレート系オリゴマーまたはエポキシ系、オキセタン系等樹脂を用い、必要に応じて適切な光開始剤を使用することで、紫外線や電子線等のエネルギー線により高分子量化させ、充分なコーティング塗膜性能を発現させる手法も特に差し支えない。
本発明の効果を発現するためにバインダー樹脂(B)のガラス転移点に特に制約はないが、基材への塗工、乾燥後に塗膜表面に粘着性がある程の低いガラス転移点は、コーティング塗膜として良好ではない。従って、バインダー樹脂(B)のガラス転移点は室温(20℃程度)以上であることが好ましい。
バインダー樹脂(B)の配合量は、コーティング組成物を基材に塗工し乾燥した後に最終的に得られる塗膜中のカーボンナノチューブの含有量により規定される。すなわち、乾燥塗膜全量中のカーボンナノチューブ含有量が0.5重量%以上〜10重量%未満の範囲であるバインダー樹脂(B)の配合量が好適である。
0.5%重量未満では、カーボンナノチューブ含有量が少なすぎるため充分な制電効果が得られない。10%重量以上においては、塗工物の透明性が不充分となり、延伸性、可撓性、耐摩耗性等のコーティング組成物としての機能が不充分になる。
本発明においては、バインダー樹脂(B)としてアクリル樹脂を選定する際に、第二の樹脂としてセルロースエステル樹脂を併用することで、更に効果的に制電効果を発現することができる。
本発明記載の方法で分散されたカーボンナノチューブ粒子は、酸価が5mgKOH/g未満であるアクリル樹脂と容易に相溶しアクリル樹脂中で均一に存在する。しかし、セルロースエステル樹脂を併用したとき、カーボンナノチューブ粒子はセルロースエステル樹脂により好んで相溶する。つまり、セルロースエステル樹脂中のカーボンナノチューブ濃度が高くなる。
本発明には、セルロースエステル樹脂を使用することができる。セルロース樹脂とはセルロースのヒドロキシル基が酸とエステルを作った化合物である脂肪酸エステル、グリコール酸,硝酸等があり何れも効果があるが、本発明では特にカルボン酸エステルでの効果が高い事を見出した。エステル化する酸の種類は2種類以上であっても特に問題はない。
エステル化するカルボン酸は1種類又は2種類以上の種類の有機酸であり、種類としては制約がない。脂肪酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等がある。芳香族カルボン酸としては、サリチル酸、トリヒドロキシ安息香酸、安息香酸、フタル酸、β-フェニルアクリル酸、ベンゼンヘキサカルボン酸等がある。その他に、オキソプロピオン酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸、L-アスコルビン酸等がある。
中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピレート、セルロースアセテートブチレートが特に効果的である。これらのセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂とは相溶しづらい傾向があり、セルロースエステル樹脂は塗膜表面に偏在する。その為、セルロースエステル樹脂と相溶性の良いカーボンナノチューブ分散液(A)も塗膜表面に偏在し、塗膜表面のカーボンナノチューブ粒子の濃度が十分に高くなる。すなわち、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を併用することにより効果的に制電効果が得られることになる。
セルロースエステル樹脂中の水酸基含有率は5%以下、好ましくは3%以下であることが好ましい。5%を超える水酸基が残存することは、エステル化度が低くなる為、本発明のカーボンナノチューブ分散液(A)との相溶性が劣る傾向である。
ここで水酸基含有率とは、単位構造中に含まれるヒドロキシル基の割合であり、エステル化されなかった残存の水酸基の割合を示す。従って、エステル化度を測定すれば、水酸基含有率も計算できる「水酸基含有率(%)=100−エステル化度(%)」。
エステル化度の測定は、13C−NMRにより行われる。具体的には、T.Sei、K.Ishitani,R.Suzuki,K.Ikematsu Polymer Journal 17. 1065−1069(1985)に記載されている炭素シグナルの面積比の算出より決定した。
セルロースエステル樹脂は一般的には他の樹脂と相溶性が悪いが、本発明において酸価5mgKOH/gのアクリル樹脂と併用した場合、カーボンナノチューブ粒子をより選択的に偏在させ、高い制電性を発現することが可能となる
セルロースエステル樹脂の分子量は、他樹脂との相溶性が良好ならなければ特に制約はないが、比較的高分子量であることが望ましい。好ましくは数平均分子量が5000以上、より好ましくは10000以上であることが良い。
コーティング組成物に、更に各種フィラーを添加することで制電性能に合わせて、各種付加性能を付与することができる。例えば、シリカ、ガラスビーズ、酸化チタン等の無機フィラーや有機顔料で塗工物の付加性能や意匠性等を調整することが出来る。
本発明において、ポリエチレン樹脂フィラー(C)と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)とを更に含むことが、さらに好適である。フィラー(C)と、フィラー(D)を含むことにより、塗工物の制電効果を劣化させずに塗工物の重要な物性である耐摩耗性、滑り性および耐スクラッチ性が更に向上することを見出した。
さらに、コーティング組成物全固形分中の、ポリエチレン樹脂フィラー(C)の固形分をX重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)の固形分をY重量%とした時、Xが1.0〜5.0重量%であり、かつX/Yが0.5〜10であることが、耐摩耗性、滑り性および耐スクラッチ性の観点から好適である。
ポリエチレン樹脂フィラー(C)が1重量%未満では滑り性が低下する傾向であり、5重量%より多いと、塗工物を巻き取る際に塗工フィルムの裏面にワックスが移行し易くなり、塗工物を別の機材へ貼り合わせる際に接着不良を起したり、成形する際に成形機の型を汚染する原因になる場合がある。ポリエチレン樹脂フィラー(C)/ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)が0.5未満であると、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)量が過剰であり、制電効果が低下する傾向である。10より大きい時は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)が少ないことを示し、耐スクラッチ性能が低下する傾向である。
本発明に使用するポリエチレン樹脂フィラー(C)とは、ポリエチレンワックス等の低分子量ポリエチレンの総称であり、融点100から160℃が好ましく、これらは1種類もしくは2種類以上が使用できる。ポリエチレンワックス粒子の体積平均粒径としては、塗工物の塗布厚にも寄るが、0.1〜50μmであることが好ましい。また、分子鎖に枝分かれの多いマイクロクリスタリンワックスや酸化処理を施した酸化ポリエチレン等であっても、その効果に大きな相違はない。
本発明に使用するポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)とは、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を微粉末化した物を指す。融点は300℃以上であり、粒子の体積平均粒径としては、塗工物の塗布厚にも寄るが、0.1〜50μmであることが良い。

尚、フィラー、ワックスの体積平均粒径は、MICROTRAC社製のマイクロトラックHRAで測定した。融点はJIS K 2235−5.3に定義される方法で測定した。
本願発明に用いられるポリエチレン樹脂フィラー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラーはそれぞれ単独の粒子として使用しても、またそれらが複合した複合粒子としても使用できる。また、単独粒子と複合粒子を併用することも可能である。
複合粒子の場合、或いは単独粒子と複合粒子を併用した場合、樹脂フィラー総重量に占めるポリエチレン樹脂フィラー、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(成分)それぞれの重量割合を用いて、好ましいポリエチレン樹脂フィラー固形分、両樹脂フィラーの比X/Yを決めることができる。また、複合粒子の粒子径は0.1〜50μmが好ましい、融点はそれぞれの樹脂フィラー(成分)が単独で存在したとした場合、上記に記載の融点範囲であることが好ましい。
コーティング組成物の溶媒の種類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリセリン等、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールターシャリーブチルエーテル、ブチルセロソルブ、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール、イソホロン 、γ−ブチロラクトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸プロピル、酢酸イソアミル、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、酢酸3−メトキシブチル 3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、二塩基酸エステル、エチル−3−エトキシプロピオネート、ブチセロアセテート等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレンモノマー、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、ミネラルスピリット、揮発油等の炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン類、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、n−メチル−2−ピロリドン、 n,n−ジメチルホルムアミド等のアミン類等があり、コーティング組成物の安定性を劣化させるものでなければ特に制約はなく、単一や複数を組み合わせて使用される。
コーティング組成物を塗工する際には、その塗工方法に適当な粘度がある。実際の塗工時には温度など粘度を変化させる外的要因があるため、コーティング組成物調製する際に粘度の高い状態で仕上げ、塗工時に希釈溶剤を用い適当な粘度に合わせるのが一般的である。その際に使用する希釈剤の種類は、コーティング組成物の安定性を劣化させるものでなければ特に制約はなく、コーティング組成物を調製する際に使用する溶媒や、それに類似した種類を選ぶのが一般的である。
コーティング組成物の調製は、カーボンナノチューブ分散液(A)の安定性が保たれれば、配合の順番、材料投入の速さ等の制約は無く、混合物を均一にする充分な攪拌が行われていれば、目的とする性能に相違は無い。
塗工する基材としては、ナイロン、延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリブテン、軟質ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のプラスチックフィルム等、グラシン紙、上質紙、クラフト紙、コート紙等の紙類、各種の不織布、合成紙、金属箔や、これらを組み合わせた複合フィルムなどが挙げられる。特にプラスチック基材は、帯電しやすい為用途として適当であり、又、本発明のコーティング組成物が浸透することがなく効果的に制電効果を発現するため特に良い。コーティング組成物の接着性を向上するために基材表面をコロナ処理、オゾン処理、アンカーコート等施しても特に問題はない。
コーティング組成物の塗工方法としては、グラビア印刷、グラビアリバース印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、ロールコーター、コンマコーター、スプレーコーター、ファウンテンコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコーター、スピンコーター等挙げられ、目的とする塗工精度や生産性に合わせ任意に選ばれる。
コーティング組成物を基材に塗工後、溶媒を揮発させ樹脂などの各成分を基材表面に固定化する必要がある。乾燥の条件は、使用溶剤の種類、基材の熱への耐性等を考慮して適宜決める必要がある。一般的乾燥条件であれば本発明の性能は安定して発現するが、極端な乾燥条件によっては、表面平滑性を失ったり、ワックスの性能が発現しなかったり等不具合を及ぼす可能性があるので、温度や乾燥の風量、乾燥時間等の条件を選択する必要がある。
良好な制電効果を有する導電性フィルムとは、帯電しないフィルム、又は帯電しても経時で帯電が減衰するフィルムである。具体的には表面抵抗値が1011Ω/□未満であるフィルムである。
(カーボンナノチューブ分散液A1(1)の調製)
カーボンナノチューブ(直径10nm、長さ5μm)2g、一般式(7)で示されるキナクリドン誘導体(塩基性誘導体誘導体(a1−1−1)に相当)0.5g、BYK111(酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)に相当、ビックケミー社製)2.5g、MEK95gを225mlのガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショナーを用いて5時間分散を行い、カーボンナノチューブ分散液A1(1)を得た。
一般式(7)
Figure 0006079390
(カーボンナノチューブ分散液A1(2)の調製)
カーボンナノチューブ(直径10nm、長さ5μm)2g、一般式(8)で示されるトリアジン誘導体0.5g(塩基性誘導体誘導体(a1−1−2)に相当)、BYK111(酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)に相当、ビックケミー社製)2.5g、MEK95gを225mlのガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショナーを用いて5時間分散を行い、カーボンナノチューブ分散液A1(2)を得た。
一般式(8)
Figure 0006079390
(カーボンナノチューブ分散液A2(1))
カーボンナノチューブ(直径10nm、長さ5μm)2.0g、一般式(9)で示されるフタロシアニン誘導体(酸性誘導体誘導体(a2−1−1)に相当)0.5g、ソルスパーズ32000(塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)に相当、アビシア社製)2.5g、MEK95gを225mlのガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショナーを用いて5時間分散を行い、カーボンナノチューブ分散液A2(1)を得た。
一般式(9)
Figure 0006079390
(カーボンナノチューブ分散液A2(2))
カーボンナノチューブ(直径10nm、長さ5μm)2g、一般式(10)で示されるトリアジン誘導体(酸性誘導体誘導体(a2−1−2)に相当)0.5g、BYK180(塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)に相当、ビックケミー社製)2.5g、MEK95gを225mlのガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショナーを用いて5時間分散を行い、カーボンナノチューブ分散液A2(2)を得た。
一般式(10)
Figure 0006079390
(カーボンナノチューブ分散液A3の調製)
カーボンナノチューブ(直径10nm、長さ5μm)2g、一般式(7)で示されるキナクリドン誘導体(塩基性誘導体誘導体(a1−1−1)に相当)0.5g、ソルスパーズ32000(塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)に相当、アビシア社製)2.5g、MEK95gを225mlのガラス瓶に仕込み、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショナーを用いて5時間分散を行い、カーボンナノチューブ分散液A3を得た。
表1に分散液A1(1)、A1(2)、A2(1)、A2(2)およびA3の配合を示す。
Figure 0006079390
(コーティング組成物1の調製(表中では組成物1))
カーボンナノチューブ分散液(A1(2))25部をビーカーに取り、攪拌しながら樹脂1液73.8部を加え、充分に撹拌した。引き続き、ワックス1を1部、ワックス2を0.2部添加し、羽根付きディスパーにて各成分が均一に混合されるまで充分に攪拌してコーティング組成物1を得た。
(コーティング組成物2〜13の調整(表中では組成物2〜13))
表2記載の配合で、組成物1と同様の調整方法でコーティング組成物2〜13を得た。
表2にコーテイング組成物1〜13の配合を示す。
Figure 0006079390
コーテイング組成物に使用したバインダー樹脂(B)の溶液(樹脂液b1〜b8)を下記に記す。
樹脂液b1とは、酸価2mgKOH/g未満の非結晶ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製 バイロン200)をトルエン/MEK=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b2とは、酸価1mgKOH/g未満のアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製 アクリット0404T)をMEKの希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b3とは、酸価0mgKOH/g、水酸基含有率1.5%のアセト酪酸セルロース樹脂(イーストマンケミカル社製 CAB381−0.1)をトルエン/MEK=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b4とは、酸価0mgKOH/g、水酸基含有率2.6%のアセトプロピオン酸セルロース樹脂(イーストマンケミカル社製 CAP482−0.5)をトルエン/MEK=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b5とは、酸価0mgKOH/g、水酸基含有率3.5%の酢酸セルロース(イーストマンケミカル社製 CA398−3)をトルエン/アセトン=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b6とは、酸価0mgKOH/g、水酸基含有率8.7%の酢酸セルロース(イーストマンケミカル社製 CA320)をトルエン/アセトン=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b7とは、酸価10.5mgKOH/g未満のアクリル樹脂(三菱レイヨン社製 ダイヤナールBR−87)をトルエン/MEK=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
樹脂液b8とは、酸価15mgKOH/g未満のアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製 アクリット7631MA)をトルエン/アセトン=50部/50部の希釈溶剤にて固形分25重量%に溶解した樹脂溶液である。
コーテイング組成物に使用したワックス1〜ワックス4(樹脂フィラー(C)および/または樹脂フィラー(D)に相当)を下記に記す。
ワックス1:シャムロック社製 ポリエチレン/ポリテトラフルオロエチレン=9/1ワックス フルオロスリップ511
ワックス2:シャムロック社製 ポリテトラフルオロエチレン樹脂 シャムロックワックスSST−3
ワックス3:シャムロック社製 ポリエチレン樹脂 シャムロックワックスS−395N1
ワックス4:ビックケミー社製 ポリエチレン樹脂 CERAFLOUR940
基材は以下の通り。
OPP基材:ポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製パイレンフィルム−OT P2161,膜厚20μm、コロナ処理)
PET基材:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製エステルフィルムE5100、膜厚25μm、コロナ処理)
(実施例1〜10)
得られた各コーティング組成物1〜10をそれぞれ下記のPET基材上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が約2μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させて塗工物1〜10(実施例1〜10)を得た。
(実施例11)
コーティング組成物7を、OPP基材上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が約2μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させて塗工物11(実施例11)を得た。
(比較例1〜3)
得られた各コーティング組成物11、12下記のPET基材上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が約2μmとなるように塗工し、80℃で1分間乾燥させて塗工物12、13(比較例1、2)を得た。なおコーティング組成物13についても塗工を試みたが、凝集物がバーコーターに詰まったため、評価は実施しなかった(比較例13)。
Figure 0006079390
本発明において酸価を測定した。
<酸価>
樹脂1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウム
のミリグラム数。乾燥させた水溶性樹脂(A)について、JIS K2501に記載の方法に従い、水酸化カリウム・エタノール溶液で電位差滴定をおこない算出した。
得られた塗工物について、透明性、表面抵抗値、耐ワックス付着性、滑り性、耐スクラッチ性を下記の方法で評価した。 尚、コーテイング組成物については分散安定性を評価した。
<透明性>
透明性は、日本電色工業社製濁度計HAZE METER NDH5000にて測定した。値が低い程透明性が高い。
<表面抵抗値測定>
20℃、50%RHの環境下でACL社製ACL800 MEGOHMMETERにて 塗布面の表面抵抗値を測定した。1011Ω/□未満の抵抗値で制電性は良好と判断でき、値が低い程より良い制電性である。
<耐ワックス付着性>
基材上に各コーティング組成物を塗工して得られた塗工物の塗工面と非塗工面とを接触 させて重ね合わせた後1kg/cm2の加重をかけ、25℃、24時間放置し裏移り性を 目視で確認した。
○・・・「裏移りなく実用上問題なし。」
○△・・「極一部裏移りしているが実用上問題なし。」
△・・・「一部裏移りしているが実用上使用可能レベル。」
×・・・「裏移りが激しく実用不可。」
<滑り性>
摩擦計測装置TR−2(東洋インキ社製)を用い、スレッド質量200g、試験速度100mm/分に於いて印刷面とステンレス面との滑り性を確認。
○・・・「充分に滑り性あり実用上問題なし」
△・・・「やや滑り性劣るが実用レベル」
×・・・「滑り性無く実用不可。」
<耐スクラッチ性>
スクラッチについては爪による削れで評価した。
○・・・「ワニスの取られなし」
○△・・「僅かにワニス取られている部分がある」
△・・・「ワニス取られている部分がある」
×・・・「激しくワニスが取られ実用不可」評価結果を表1に示す。
<分散安定性>
各コーティング組成物をガラス瓶に200g入れ密閉し、60℃の環境下にて1週間保存。分散安定性として、カーボンナノチューブ粒子がガラス瓶底に沈降していないかを目視で確認する。
○・・・「沈降物なし」
○△・・「僅かに沈降物あるが撹拌で戻るため使用上問題なし」
△・・・「沈降物あるが撹拌で戻るため使用上問題なし」
×・・・「沈降物あり」
表3に示すとおり、塗工物1〜11において良好な制電性と透明性、耐ワックス付着性、滑り性、耐スクラッチ性および分散安定性を示した。特に塗工物7〜9おいては特徴的に高い制電性を示した

Claims (4)

  1. カーボンナノチューブ分散液(A)と、酸価5mgKOH/g以下であるバインダー樹脂(B)と、ポリエチレン樹脂フィラー(C)と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)とを含む導電性フィルム用コーティング組成物であって、カーボンナノチューブ分散液(A)が下記(1)又は(2)であり、前記コーティング組成物全固形分中の、ポリエチレン樹脂フィラー(C)の固形分をX重量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィラー(D)の固形分をY重量%とした時、Xが1〜5重量%であり、かつX/Yが0.5〜10であることを特徴とする導電性フィルム用コーティング組成物。
    (1)カーボンナノチューブと、塩基性誘導体(a1−1)と、酸性官能基含有分散樹脂(a1−2)とを含んでなるカーボンナノチューブ分散液(A1)である。
    (2)カーボンナノチューブと、酸性誘導体(a2−1)と、塩基性官能基含有分散樹脂(a2−2)とを含んでなるカーボンナノチューブ分散体(A2)である。
  2. バインダー樹脂(B)が、アクリル樹脂(B1)を含むことを特徴とする請求項1記載の導電性フィルム用コーティング組成物。
  3. バインダー樹脂(B)が、セルロースエステル樹脂(B2)を含む場合において、セルロースエステル樹脂が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピレートおよびセルロースアセテートブチレートから選択される一種以上の樹脂であり、かつセルロースエステル樹脂中の水酸基含有率が5%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性フィルム用コーティング組成物。
  4. プラスチックフィルムの少なくとも片面が、請求項1〜3いずれか記載のコーティング組成物によりコーティングされた導電性フィルム。
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