JP6072187B2 - 鋼管杭 - Google Patents
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外径が前記端面板より大きい円形の補助ウイングを、前記軸部を貫通させる態様で溶接固定したことを特徴とする。
さらに、垂直な掘削刃の側面に半円形の傾斜翼を設けているので、この傾斜翼により推進力を高めることができる。
また、垂直な掘削刃の側面に半円形の傾斜翼を持つという構造が、推進力向上に相乗的な作用をなし、効率的に推進力を高めることができ、また、端面板の推進翼部分(鍔部の上下逆向き傾斜の傾斜面部のある外周縁側部分)の推進作用とも相乗的な作用を奏することでも、効率的に推進力を向上させる。
また、地震で建物が揺れた時に発生する引抜き力(引張力)に対応することができる。
また、補助ウイングの存在で地盤支持力が分散され、そして杭全体としての地盤支持力が向上する。
また、請求項7のように、前記補助ウイングの上方位置に第2の補助ウイングを持つ構造によれば、端面板と補助ウイングと第2の補助ウイングとがネジ作用を奏する構造となり、さらに推進力を増大させる。また、第2の補助ウイングの上方位置に、上のもの程大径となる複数の追加補助ウイングを設けると、さらに推進力が増大する。
この鋼管杭1は、鋼管からなる軸部2の先端面に、直径Dが前記軸部2の直径dより十分大なる円形の端面板3を溶接固定してなる。
前記端面板3は、前記軸部(鋼管)2の直径より外側に張り出した鍔部4に、端面板周縁から中央に向かう切欠き部5を有し、前記切欠き部5の端面板周方向両側に、互いに上下逆向きに傾斜した傾斜面部6、7が形成されている。そして、さらに端面板3の中央部に、下面側から見て、円形輪郭をなしその中心部に向かって深さが漸次深くなる態様で杭頭側にへこみ軸部下端開口を閉塞する凹部8が形成されている。凹部8の外側部分を8’で示す。凹部外側部分8’の上から見た円形輪郭をSで示す。
実施例の鋼管杭1の軸部(鋼管)は、板厚t=4.5mm、直径d=114.3mm、材質STK400である。
端面板3は、板厚T=12mm、直径D=500mm、凹部8の高さH=60mmである。凹部外側部分8’の円形輪郭Sの直径は概ね280mm、材質SS400又はSS490である。
凹部8の形状は図示では球凹面状(断面では円弧状)の凹部としているが、特に板厚が厚い場合、通常は概ね、断面だけを示した図2(ニ)のようななだらかな形状になる。
図3では、円板に凹部(8’)を形成した後に傾斜面部を形成する場合として示している。同図において、傾斜面部が形成される前の段階の端面板を3’で示し、傾斜面部6、7となる部分を6’、7’で示す。
図示例では、凹部外側部分8’の概ね円形輪郭Sの位置に円弧状の切込みmを入れ、その円弧状の切り込みmの中央位置から半径方向外側に延びる切込みnを入れた後、前記切込みnの円周方向両側をそれぞれ上下逆向きに傾斜させて、図2のような互いに上下逆向きの傾斜面部6、7を形成する。同図において、傾斜面部6、7を形成する際の谷折り部を1点鎖線、山折り部を2点鎖線で示す。
なお、前記円弧状の切り込みmは、前記円形輪郭Sより若干外側にするのが好適である。
図8は上述の鋼管杭1を、家屋等の建築物の基礎杭として施工する態様の一例を説明するもので、鋼管杭1は建築物の基礎コンクリート20を支持する態様で地盤に設置される。この鋼管杭1によれば、地盤支持力が向上するので、従来より少ない本数の杭にて、所望の支持力を確保することができる。
この鋼管杭11は、端面板13の傾斜面部以外は図1〜3の実施例と同じである。すなわち、軸部(鋼管)12は図1〜3の実施例と同じサイズ、材質である。端面板13の板厚T、直径D、凹部8の高さH、も図1〜3の実施例と同じサイズ、材質である。凹部外側部分8’の円形輪郭Sの直径も概ね同じである。
図6は傾斜面部が形成される前の段階の端面板13’を示すもので、傾斜面部6、7となる部分を16’、17’で示す。
図示例では、凹部外側部分18’の概ね円形輪郭Sの位置に円弧状の切込みNを入れ、その円弧状の切り込みNの中央から片側に偏位した位置から半径方向外側に延びる短い切込みM1、及びその先端から55°の角度で折れ曲がって外周縁に延びる切込みM2を入れた後、前記切込みM1・M2の円周方向両側をそれぞれ上下逆向きに傾斜させて、図5のような互いに上下逆向きの傾斜面部16、17を形成する。同図において、傾斜面部16、17を形成する際の谷折り部を1点鎖線、山折り部を2点鎖線で示す。
この実施例の端面板13における傾斜面部16、17は、円周方向の端縁が屈曲していることで、鋼管杭11を回転させながら押し込んで地盤に貫入していく際の推進力が向上する。
この実施例の鋼管杭1Aは、軸部(鋼管)2及び端面板3自体は図1〜3の実施例のものと同じであるが、端面板3を軸部2に対して角度を付けて溶接固定したものである。
この実施例の鋼管杭1Aによれば、端面板3の直径方向両側の傾斜面部対6・7の高さ位置が回転とともに相対的に変化することで、土を掻き混ぜる作用が高くなることが考えられ、また推進力を高める作用も考えられる。
この実施例の鋼管杭11Aの端面板部構造は、下端の端面板13自体は図4、図5に示した端面板13と同じであるが、この端面板13の凹部18の下面に板状の掘削刃31を垂直に溶接固定し、前記掘削刃31の側面に半円形の傾斜翼32を溶接固定した構成である。
前記掘削刃31は、先端側が三角形状に尖っており、基部が凹部18の凹面に沿う形状で溶接固定されている。
さらに、垂直な掘削刃31の側面に半円形の傾斜翼32を設けているので、この傾斜翼32により推進力を高めることができる。
また、垂直な掘削刃31の側面に半円形の傾斜翼32を持つという構造が、推進力向上に相乗的な作用をなし、効率的に推進力を高めることができ、また、端面板13の推進翼部分(上下逆向き傾斜の傾斜面部16、17のある鍔部14)の推進作用とも相乗的な作用を奏することでも、効率的に推進力を向上させる。
この場合、凹部の形成された複数枚溶接接合の厚い端面板に傾斜面部を形成する加工を施す方法、あるいは、凹部加工済みの薄い円板の段階で傾斜面部を形成し、凹部加工済みかつ傾斜面部形成済みの薄い端面板の複数枚を溶接接合して、1つの厚い端面板を構成することができる。この場合、素材鋼板としてSM490を用いるとよい。
この端面板13Aは、図12に示すように、軸部(鋼管)12の下端に溶接固定された主端面板131の下面に若干薄い補強用端面板132を接合した構造である。
前記補強用端面板132は、主端面板131の凹部18に沿う凹部を有するが、図11(ロ)に示すように、主端面板131における傾斜面部16、17の部分を切り欠いた形状、(切欠き部を31で示す)である。その外周縁は図11(イ)にMで示す範囲である。
両者の接合手段としては、溶接接合を採用することができる。例えば、両者の外周端面において溶接接合することができる。また、強用端面板132の複数個所に孔をあけ、その孔部分において主端面板131と補強用端面板132とを溶接するプラグ溶接によって接合することもできる。
図示例では、2枚重ね構造であるが、3枚重ね構造とすることもできる。この場合、図12における前記補強用端面板132の下面にさらに第2の補強用端面板を接合することができる。
また、図12における前記主端面板131の上面に、軸部12を通す穴をあけた第2の補強用端面板を接合することもできる。
この鋼管杭11Bは、軸部(鋼管)12の下端の端面板13より上方位置に、端面板13の鍔部14(上下逆向き傾斜の傾斜面部16、17のある鍔部14)と同形状の鍔部14を持ち、外径が前記端面板13より大きい円形の補助ウイング34を、前記軸部12を貫通させる態様で溶接固定した構成である(なお、補助ウイング34の形状は、端面板13の鍔部14と完全に同形状である必要はなく、概ね同形状であればよい)。
例えば、端面板13の外形500mmに対して、補助ウイング34の鍔部14の外径を600mm程度とする。
また、図示例の補助ウイング34は、その中央部に端面板13の凹部18とは逆に上面側から見て杭先端側にへこんだ凹部38(下面側から見ると凸部38’)を有する
外径が端面板13より大で端面板13より上方位置に設けたこの補助ウイング34は、端面板13の推進翼部分と同様に推進作用をし、推進力を増大させる。
また、上面側から見て杭先端側にへこんだ凹部38を持つこの補助ウイング34は、地震で建物が揺れた時に発生する引抜き力(引張力)に対応することができる。
また、端面板13から離間した位置にあるこの補助ウイング34の存在で、地盤支持力が分散され、そして杭全体としての地盤支持力が向上する。
この鋼管杭11Cでは、軸部(鋼管)12の下端の端面板13より上方位置に固定した補助ウイング44が平板状である。
この平板状の補助ウイング44を軸部12に溶接固定する場合、補助ウイング44の上下において、補強チップを用いて溶接固定するとよい。
図示例では補助ウイング44の上下から補助ウイング44を挟むように配置した短尺の補強棒(補強チップ)35を軸部12に隅肉溶接し、かつ、補強棒35の端部を補助ウイング44に溶接固定している。
この鋼管杭11Dは、軸部12に端面板13の上方位置に第1補助ウイング54を溶接固定し、さらにその上方位置の第2補助ウイング64を溶接固定している。
端面板13と第1補助ウイング54との関係は、図13で説明した端面板13と補助ウイング34との関係と同じであり、第1補助ウイング54の外径は端面板13の外径より大であるが、第2補助ウイング64の外径は第1補助ウイング54の外径よりさらに大である。
前記端面板13と第1補助ウイング54と第2補助ウイング64とのように、上のものほど翼部の外径が大となる態様で上下に間隔をあけて固定した構造により、ネジ作用を奏する構造となり、推進力を増大させる。
2、12 軸部(鋼管)
3、13、13A 端面板
131 主端面板
132 補強用端面板
3’、13’ 傾斜面部が形成される前の段階の端面板
4、14 鍔部
5、15 切欠き部
6、16 上向きの傾斜面部
6’、16’ 上向きの傾斜面部となる部分
7、17 下向きの傾斜面部
7’、17’ 下向きの傾斜面部となる部分
8、18、38 凹部
8’、18’、38’ 凹部の外側部分
31 掘削刃
32 半円形の傾斜翼
34 補助ウイング
35 補強棒
44 平板状の補助ウイング
54 第1補助ウイング
64 第2補助ウイング
S 凹部の外側部分を上から見た円形輪郭
T (端面板の)板厚
t (軸部(鋼管)の)板厚
d 軸部(鋼管)の直径
D 端面板の直径
H 凹部の高さ
Claims (7)
- 鋼管からなる軸部の先端面に、直径Dが前記軸部の直径dより大で、かつ中央部に、下面側から見て、円形輪郭をなしその中心部に向かって深さが漸次深くなる態様で杭頭側にへこみ軸部下端開口を閉塞する凹部が形成されてなる円形の端面板が溶接固定され、前記凹部の直径は前記軸部の直径より大であり、前記端面板における前記凹部より外側に張り出した鍔部に、前記端面板周縁から中央に向かう切欠き部を有し、前記切欠き部の端面板周方向両側に、互いに上下逆向きに傾斜した傾斜面部が形成されていることを特徴とする鋼管杭。
- 前記端面板は、複数枚の鋼板を溶接接合又はボルト接合してなることを特徴とする請求項1記載の鋼管杭。
- 前記端面板の前記凹部の下面に板状の掘削刃を垂直に固定し、前記掘削刃の側面に半円形の傾斜翼を固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の鋼管杭。
- 前記軸部の前記端面板より上方位置に、端面板の前記翼部と同形状の翼部を持ち、外径が前記端面板より大きい円形の補助ウイングを、前記軸部を貫通させる態様で溶接固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼管杭。
- 前記補助ウイングは、その中央部に前記端面板の凹部とは逆に上面側から見て杭先端側にへこんだ凹部を有することを特徴とする請求項4記載の鋼管杭。
- 前記補助ウイングが、その中央部に前記端面板の凹部と同じく下面側から見て杭頭側にへこんだ凹部を有することを特徴とする請求項4記載の鋼管杭。
- 前記補助ウイングよりさらに上方位置に、前記補助ウイングと同形状で外径がさらに大きい第2補助ウイングを設けたことを特徴とする請求項6記載の鋼管杭。
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