JP6070927B2 - Au−Sn合金含有ペースト、Au−Sn合金薄膜及びその成膜方法 - Google Patents

Au−Sn合金含有ペースト、Au−Sn合金薄膜及びその成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、Au−Sn合金薄膜、その成膜方法及びAuメタライズ層上へのスクリーン印刷用Au−Sn合金含有ペーストに関する。特に、Au−Sn合金含有ペーストによるスクリーン印刷法への適用が可能で、良好な接合性を確保しつつ、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金薄膜を成膜でき、低Au化によるコストダウンを可能とするAu−Sn合金薄膜の成膜方法に関する。
一般に、GaAs光素子、GaAs高周波素子、熱電素子などの半導体素子と基板との接合や、微細かつ高気密性が要求されるSAWフィルター、水晶発振子などのパッケージ封止などには、Au−Sn合金はんだが使用されている。このAu−Sn合金はんだは、Sn:15〜25質量%を含有し、残部がAuおよび不可避不純物からなる成分組成を有することが知られており、実際に使用されるAu−Sn合金はんだは、主にSn:20質量%を含有し、残りがAuおよび不可避不純物からなる組成を有するAu−Sn共晶合金からなることが知られている。
このAu−Sn合金はんだは、例えば、チップ状または粒状に加工されたものであり、例えば、素子と基板との接合に際しては、このチップ状または粒状に加工されたAu−Sn合金はんだを接合体の間に挟んでリフロー処理することにより接合することが知られている。一方、Au−Sn合金材料を粉末状に加工し、このAu−Sn合金粉末を市販のフラックスに配合し混練してペースト状にし、Au−Sn合金はんだペーストとして使用することも知られている。ここで、前記Au−Sn合金粉末は、例えば、ガスアトマイズ法によって製造されることも知られている。このAu−Sn合金はんだペーストを使用して接合する方法として、Au−Sn合金はんだペーストを塗布した後リフロー処理することにより接合することも知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
ところで、光通信装置には、例えば、光増幅や合分波等に使用される等、用途に応じて種々の形態があるが、一般には、光信号発生源としての光発光ダイオード(LED)などの光源を備えて形成されることが多い。例えば、LEDの光学ベンチへの搭載は、耐熱性および接続の信頼性の観点から、一般的に、Au-Sn合金を用いた接合が行われる。このAu-Sn合金からなる接続用パッドの形成は、従来、蒸着又はスパッタなどの堆積によって行われている。
特開2004−141937号公報 特開2005−302776号公報 特開2008−137018号公報
しかしながら、かかる接続用パッドの生成では、数μmの厚膜を形成する必要があり、工程に極めて時間がかかると共に、パッドパターンを形成するためにフォトリソグラフィのプロセスが必要となり、製造価格および時間の増大を招いていた。また、所望の箇所以外にもスパッタ、蒸着されることで、材料としてのロスも多く生じていた。蒸着等によりAu−Sn膜を形成する場合には、通常、Au及びSnの原料ペレット等を別々に用意し、二元薄膜形成により成膜することが必要となることから、組成が完全には均一になり難く、そのために微妙な溶融温度のばらつきや溶融金属の流動の不均一を招いていた。LED等の光学素子の実装に支障を来たすことがあった。また、Au−Sn合金ターゲット等を用いて、1つの供給源による成膜を行う場合でも、合金ターゲットの使用が進むにつれて、収率の違い等による組成のズレが生じ、結果的に、均一な組成を保つことが困難であった。
そこで、高周波回路部品等において粒子状のAu−Sn合金材料を用いてペーストを作製し、このペーストを用いた印刷法によってパターン形成する方法も行われている。この印刷法によれば、工程費用及び時間が著しく軽減され、また、所望の箇所のみに材料を供給できロスも少ないことより、非常に有用な接合材形成方法となるが、上述のような光学素子に適用する場合には難点があった。即ち、LED等の実装においては、レンズ、ファイバその他と低損失で光結合する必要があるため、光軸方向、幅方向及び高さ方向について極めて高精度のアライメントが必要になる。しかしながら、従来手法によるAu−Sn合金ペーストの印刷では、溶融後、いわゆる“薄膜”の形成が難しく、パッドエリアに平滑な高さのAu−Sn合金を形成させることが困難であった。これは、パッドエリアに上に凸のAu−Sn合金が形成され、光学素子搭載時の高精度のアライメントが難しいことを示している。
そこで、本発明は、Au−Sn合金ペーストによるスクリーン印刷法への適用を容易にし、塗布されたAu−Sn合金含有ペーストをリフロー処理により溶融し固化して、良好な接合性を確保しつつ、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金薄膜を成膜でき、低Au化によるコストダウンを可能とするために、Au−Sn合金含有ペースト、Au−Sn合金薄膜及びその成膜方法を提供することを目的とする。
このAu−Sn合金はんだペーストに使用されるAu−Sn合金粉末は、通常、Au−Sn合金を溶解して溶湯を作製し、温度:300〜400℃に保持し、この温度に保持された溶湯を自然落下させ、この自然落下する溶湯に周囲から不活性ガスを噴射して落下する溶湯に高圧不活性ガスを衝突させるガスアトマイズ法により製造される。このガスアトマイズ法により得られたAu−Sn合金粉末は平均粒径:10〜100μmを有しているが、ここで得られたAu−Sn合金粉末は、表面が酸化されやすく、この表面には、一般に酸化膜が形成されている。この酸化膜を除去するために、ロジン系のペースト化剤が使用されるので、このAu−Sn合金はんだペーストは、Au−Sn合金粉末にロジン系ペースト化剤と混合して製造される。
しかし、Au−Sn合金粉末は、製造した後、直ちにAu−Sn合金はんだペーストの原料として使用されることは稀であり、通常、製造した後、一旦貯蔵され、必要に応じて取り出して使用される。そのために、Au−Sn合金粉末の粒径が小さいほど、ロジンを含まないペースト化剤を使用して作製したAu−Sn合金はんだペーストは、Au−Sn合金粉末の表面に形成された表面酸化膜の除去が十分でないために、前記ロジンを含まないAu−Sn合金はんだはロジンを含むペースト化剤を使用して作製したAu−Sn合金はんだペーストに比べて十分な濡れ広がり性を確保することができなかった。ノンハロゲンフラックスを使用したAu−Sn合金はんだペーストも、同様であった。
そこで、発明者らは、上記課題に鑑みて、LED素子又は基板のメタライズ層上にAu−Sn合金による接合層として、良好な接合性を確保しつつ、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金薄膜を形成することを検討した。
例えば、LED素子を基板上に搭載する際には、LED素子のメタライズ層への接着性、接合層の均一性が求められ、その接合層の厚さが薄いことも要望されている。その薄いAu−Sn合金接合層の形成には、上述したように、スパッタリング、蒸着等でも実現できる。ここで、Au金属ターゲットとSn金属ターゲットとを用いて交互にスパッタリングすることによってAu−Sn薄膜を成膜した薄膜例について、走査型電子顕微鏡(SEI)で撮影した表面画像の写真を図1に、そして、Au−Sn合金スパッタリングターゲットでスパッタリング成膜されたAu−Sn合金薄膜に係る電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成画像(COMP像)、各元素マッピング画像の写真を示した。なお、上記EPMAの画像は、いずれも元画像がカラー像であるが、グレースケールによる白黒画像に変換して記載しており、明度が高い程、含有量が高い傾向にある。
これらの画像から、この代表例のAu−Sn薄膜における表面は、Au−Sn薄膜が均一性を有することが示されている。しかしながら、このスパッタリング成膜によるAu−Sn薄膜接合層によったのでは、そのAu−Sn薄膜接合層が、LED素子のメタライズ層上に均一に、かつ、薄く形成されていたとしても、このLED素子を基板上に搭載するにあたって加熱されたとき、Snの融点が、232℃であり、Auの融点が1000℃以上であるため、先にSnが溶融し、その溶融したSnにAuが取り込まれて、Au−Snの固熔が行われるので、加熱時間が長くなり、その溶融性が良くない。そのため、接合信頼性が低く、リワークによるコスト増を抑制することができない。
そこで、本発明者らは、LED素子と基板との接合に、メタライズ層上にAu−Sn合金薄膜を形成するのに、Au−Sn合金粉末を含有したペーストの印刷法で塗布し、リフロー処理による加熱して、Au−Sn合金粉末を溶融した後、固化させることとした。そして、Au使用量の抑制のために、Au−Sn合金粉末の微細化と、ペーストの流動性の向上とを図ることで、膜厚が5μm以下であり、良好な接着性(濡れ性)を確保しつつ、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金の接合層が得られることが判明した。
Au−Sn合金粉末を含有したペーストに関しては、Au−Sn合金粉末の粒径を10μm以下として微細なものを使用し、混合するフラックスの量を増すことでAu−Sn合金ペーストの流動性を向上できるとともに、そのフラックスには、少なくとも活性剤を含むものを使用することで、微細な粉末の酸化被膜の除去を強化でき、また、濡れ性を改善できるという知見が得られた。また、印刷法による塗布に関しても、メタライズ層上へのペーストの塗布量を容易に調整でき、しかも、均一に塗布できること、さらに、塗布されたAu−Sn合金含有ペーストをリフロー処理して溶融Au−Sn合金を生成し固化することにより、Au−Sn合金薄膜が、少なくとも共晶組織(例えば、ラメラ組織)を有するようになり、接合時の溶融性を良好にすること、という知見が得られた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のAu−Sn合金含有ペーストは、Auメタライズ層上へのスクリーン印刷用であって、Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有し、平均粒径:8〜10μmのAu−Sn合金粉末と、15〜30wt%の活性タイプフラックスとを混合したことを特徴とする。
(2)本発明のAu−Sn合金薄膜の成膜方法は、Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有し、平均粒径:8〜10μmのAu−Sn合金粉末と、15〜30wt%の活性タイプフラックスとを混合したAu−Sn合金粉末ペーストを、Auのメタライズ層上の所定領域にスクリーン印刷し、次いで、Au−Sn合金粉末を加熱溶融した後に固化させて、少なくとも共晶組織を備えたAu−Sn合金薄膜を形成することを特徴とする。
(3)前記(2)の成膜方法では、前記スクリーン印刷は、前記所定領域に対応してメッシュが設けられたスクリーンマスクを用い、ギャップ印刷により行われるであることを特徴とする。
以下において、本発明において前記課題を解決するために採用された構成について説明する。
一般に、Au−Snの二元系合金が共晶型である場合、温度と元素濃度比との関係によって、固相と液相とに変化する状態図で描けることは知られている。この場合の状態図では、共晶点が存在する。この共晶点での濃度比が、Snが20%、Auが80%であるとき(Au−20Snと表記する)、共晶温度は、280℃である。Au−Sn合金は、この共晶温度以上であれば、液相となり、この温度以下であれば、固相となることを表している。ここで、溶融されたAu−Sn合金を冷却していくと、共晶温度を境界として、液相から固相へと変化する。ここで、固相に変化して形成された共晶合金は、Auリッチ部分とSnリッチ部分とが交互に存在する共晶組織(例えば、ラメラ組織)を有しており、その共晶組織には、層状共晶などの種々の形態が知られている。
一方、Snの濃度が、20%を超えて高く含有している場合には、溶融されたAu−Sn合金が冷却されていく過程で、液相線に達すると初晶が晶出されるが、共晶温度以下になると、共晶組織中に初晶粒子が分散して存在することがあるが、この共晶合金が少なくとも共晶組織を有していることにより、固化したAu−Sn合金膜を再溶融し易くしている。これに対して、上述した、Au金属ターゲットとSn金属ターゲットとを用いて交互にスパッタリングすることによってAu−Sn薄膜を成膜した薄膜例では、薄く、且つ、均一に膜を形成できても、その膜は、Au及びSnの原子が配列されただけであるので、再溶融が容易でない。即ち、この薄膜例の場合には、共晶組織を有していないためと考えられる。
ところで、従来から知られている、Au−Sn合金粉末とフラックスとを混合したはんだペーストを用いて、このペーストを基板に形成されたメタライズ層上に塗布し、リフロー処理でAu−Sn合金膜を形成する場合、このAu−Sn合金膜を薄くするために、このペーストをメタライズ層上に薄く塗布してしまうと、リフロー処理の加熱によって、Au−Sn合金粉末が溶融するが、ディウエッティング(引け)現象が発生し、島状に凝集してしまうので、下地層表面が透けて見えるような状態となり、しかも、膜の厚さは、不均一なものとなる。そのため、従来のペーストは、薄膜形成には適していない。
そこで、本発明では、Au−Sn合金含有ペーストを工夫して、5μm以下の厚さで均一なAu−Sn合金薄膜が得られることを目的とし、しかも、形成されたAu−Sn合金薄膜が少なくとも共晶組織を備えるようにして、溶融性を改善するようにした。
本発明によるAu−Sn合金含有ペーストで使用されるAu−Sn合金粉末は、Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有するものとしたが、Snの含有量が20.5wt%未満であると、溶融したときの表面張力が強くなり、不均一な膜となり、また、Snの含有量が、23wt%を大きく超えると、Au−Sn合金が、共晶合金から外れてしまい、即ち、Au−Sn合金膜中の共晶組織が少なくなるので、濡れ性が低下するため、Au−Sn合金粉末中のSn含有量を20.5〜23wt%とすることが好ましい。
なお、通常、電極となる下地層(例えば、Niなど)が設けられており、この下地層の表面には、Au−Sn合金はんだを用いる場合、下地層との濡れ性を考慮して、Auのメタライズ層が形成されている。このメタライズ層上にAu−Sn合金含有ペーストを塗布して、Au−Sn合金粉末を加熱溶融する過程において、メタライズ層のAuが溶融したAu−Sn合金に取り込まれ、合金中のAu濃度が増える。そのため、Au−Sn合金における濃度バランスが崩れる分を見込んで、Au−Sn合金粉末中のSn含有量を決めている。また、その影響は薄膜であるほど大きい。
さらに、Au−Sn合金粉末の粒径を、平均粒径で8〜10μmとしたが、この粒径が、10μmを超えて大きくなると、Au−Sn合金含有ペーストをスクリーン印刷法によりAuのメタライズ層上の所定領域に塗布するとき、充填不良が発生し、膜厚が不均一になる可能性があり、粒径が大きいと、溶融時に、ディウエッティング(引け)現象が発生するので好ましくない。そのため、Au−Sn合金粉末の粒径を、平均粒径で10μm以下とすることが好ましい。
一般に、はんだ付けの際に用いられるフラックスには、日本工業規格(JIS)にも規定されているように、化学作用により金属表面の酸化物を除去する洗浄作用を有する活性剤を含ませることが知られている。このフラックスの活性の度合いにより除去できる酸化膜の組成が決まり、酸化膜が安定な金属であればあるほど、強力な活性が必要である。この洗浄を必要としない場合には、無活性(R)のフラックスが用いられ、また、活性剤の種類により、弱活性タイプ(RMA)と活性タイプ(RA)のフラックスがあることも知られている。
ここで、本発明によるスクリーン印刷用Au−Sn合金含有ペーストには、15〜30wt%の活性タイプフラックスを混合することとした。ここで、膜厚が5μm以下の薄いAu−Sn合金薄膜を形成するためには、Au−Sn合金粉末には、10μm以下の微細なものを使用することになるが、Au−Sn合金粉末自体が10μm以下の微細な粉末になると、粉末表面に形成される自然酸化膜(SnO)の除去には、還元作用の強い、活性剤を含む活性タイプ(RA)フラックスが必要となる。ノンハロゲンフラックスや、弱活性タイプ(RMA)フラックスでは、この還元作用が弱いので、自然酸化膜を除去しきれない。さらに、そのRAフラックスを15〜30wt%混合することとしたが、15wt%未満の混合率では、ペーストを薄く塗布することを困難にするため、薄膜形成を達成することができず、一方、30wt%を超える混合率であると、膜が不均一になってしまう。そのため、RAフラックスの混合率を、スクリーン印刷時におけるペーストの流動性と、自然酸化膜の除去性とを考慮して、15〜30wt%とすることが好ましい。
本発明のAu−Sn合金薄膜の成膜方法では、上述したAu−Sn合金粉末ペーストを、Auのメタライズ層上の所定領域にスクリーン印刷し、次いで、リフロー処理による溶融の後に固化させて、少なくとも共晶組織を備えたAu−Sn合金薄膜を形成することとした。ここで、スクリーン印刷法を採用したのは、メタライズ層上の所定領域に塗布されるペースト量を調整し易いからである。その量を少なくするということは、薄いAu−Sn合金膜を作成するうえで好都合である。特に、所定領域にメッシュを配したスクリーンマスクを用いることで、メッシュの線径、開口率、乳材厚を選定し、ペースト透過体積を容易に調整できる。また、ギャップ印刷法により、均一なペースト印刷を実現できた。Au−Sn合金粉末ペーストがメタライズ層上に塗布されると、所定領域内では、そのペーストがドット状に分布し、これにより、一層、ペースト量を低減することができ、5μm以下の膜厚を有するAu−Sn合金薄膜を得ることに寄与している。さらに、Au−Sn合金粉末とフラックスとの混合には、撹拌が用いられるため、気泡が混入している可能性があり、この気泡の存在が膜の均一性に影響するので、真空脱泡を施すと良い。
また、本発明のAu−Sn合金薄膜の成膜方法では、Au−Sn合金粉末ペーストを、Auのメタライズ層上の所定領域にスクリーン印刷し、次いで、リフロー処理により、Au−Sn合金粉末を加熱溶融した後に固化させて、Au−Sn合金薄膜を形成している。Au−Sn合金粉末が一旦加熱溶融されることにより、溶融したAu−Sn合金が冷却される過程で、該薄膜が、少なくとも共晶組織を備えることとなり、接合時の溶融性を良好なものとしている。
以上に説明した本発明のAu−Sn合金含有ペーストを用いてNi下地層上に形成されたAu−Sn合金薄膜の代表例について、図3に、走査型電子顕微鏡(SEI)で撮影した表面画像の写真を示した。また、そのAu−Sn合金薄膜の代表例について、図4に、電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成像(COMP像)、各元素マッピング像を示した写真を示した。これらの画像によれば、本発明のAu−Sn合金薄膜が、Auリッチ部分とSnリッチ部分とが交互に存在する共晶組織(ラメラ組織)を有していることが示されている。
以上の様に、本発明によれば、Au−Sn合金含有ペーストのスクリーン印刷法により塗布が容易であり、しかも、Au−Sn合金含有ペーストを加熱溶融した後に固化することにより、共晶組織が備えられるので、その接合層として、良好な接合性(濡れ性)を確保しつつ、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金薄膜を成膜することができる。そのため、LED素子等の基板への搭載において、低Au化によるコスト低減を図ることができるとともに、均一性があり、かつ、薄いAu−Sn合金接着層とすることができ、LED素子を搭載する装置の生産性向上に寄与する。



Au金属ターゲットとSn金属ターゲットとを用いて交互にスパッタリングすることによって成膜したAu−Sn薄膜例について、走査型電子顕微鏡(SEI)で撮影した表面画像の写真である。 Au金属ターゲットとSn金属ターゲットとでスパッタリング成膜されたAu−Sn薄膜に係る電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成像(COMP像)、各元素マッピング像を示した写真である。 本発明のAu−Sn合金含有ペーストを用いて形成されたAu−Sn合金薄膜の代表例について、走査型電子顕微鏡(SEI)で撮影した表面画像の写真である。 本発明のAu−Sn合金薄膜の代表例に係る電子線マイクロアナライザ(EPMA)による組成像(COMP像)、各元素マッピング像を示した写真である。
次に、本発明のAu−Sn合金含有ペーストを用いたAu−Sn合金薄膜の成膜方法について、以下に、実施例及び比較例により、具体的に説明する。
〔実施例〕
高周波溶解炉により溶解して得られたAu−Sn合金の溶湯を温度:800℃に保持しながら、回転数:800回転で3時間プロペラを回転させて溶湯を機械撹拌したのち、溶湯に圧力:500kPaをかけ、高周波溶解炉の底部に設けられたノズルから溶湯を落下させ、同時にノズルの周囲にノズルギャップ:0.2mmとなるように設けられた直径:1.5mmのガスノズルから落下する溶湯に向かってArガスを噴射圧力:6000kPaで噴射させることにより、Au−22Sn合金のガスアトマイズ粉末を作製し、このガスアトマイズ粉末を、風力分級装置により分級して、表1に示されるような粒径:10μm以下のAu−Sn合金粉末を得た。なお、Au−Sn合金の組成は、Au粉末とSn粉末とを溶解する段階で調整されている。得られたAu−Sn合金の金属組成(wt%)については、表1に示されている。
ここで得られたAu−Sn合金粉末を用いて、一般に市販されているRAフラックス(例えば、三菱マテリアル株式会社製)を、表1に示されるフラックス比率(wt%)となるように混合して、実施例1、2、4〜11及び参考例3のAu−Sn合金粉末含有ペーストを作製した。また、実施例と比較のために、得られたAu−Sn合金粉末を用いて、市販されているRAフラックス、RMAフラックス又はノンハロゲンフラックスを、表1に示されるフラックス比率(wt%)となるように混合して、比較例1〜7のAu−Sn合金粉末含有ペーストを作製した。なお、Au金属ターゲットとSn金属ターゲットとを用いて交互にスパッタリングすることによってAu−Sn薄膜を成膜する従来技術の場合を、比較例8として、表1に示した。

次に、実施例1、2、4〜11、参考例3及び比較例1〜7のAu−Sn合金粉末含有ペーストを用いて、そのペーストを、スクリーン印刷法により、基板の所定領域に塗布した。このスクリーン印刷法では、オープニング33μm、メッシュ数500、線径18μm、厚み29μmとしたメッシュマスクを用いて、ギャップ印刷を行った。基板上には、Ni層が形成されており、さらに、そのNi層上に、Auのメタライズ層が形成されている。Au−Sn合金粉末含有ペーストは、このメタライズ層上に塗布された。その後、温度:300℃でリフロー処理して、Au−Sn合金粉末を加熱溶融し、Ni層上に、Au−Sn合金の溶融膜を形成した。その後、この溶融膜を、室温まで冷却して固化させることにより、Au−Sn合金薄膜を作成した。
そこで、作成された実施例1、2、4〜11、参考例3及び比較例1〜8のAu−Sn合金薄膜について、膜組織(共晶組織の有無)、膜の均一性(引けによるムラの有無)、膜厚み、粉末溶融性、素子接合性を測定、評価した。
<膜組織(共晶組織の有無)の確認>
走査型電子顕微鏡(SEM)による観察、EPMAによるマップ分析により、共晶組織の有無を測定した。
図3及び図4の画像写真によれば、Auリッチ部とSnリッチ部とが交互に存在することから、このAu−Sn合金薄膜には、共晶組織が有ると判定できる。
<膜の均一性(引けによるムラの有無)の確認>
薄膜におけるディウエッティング(引け)現象については、光学顕微鏡や、実体顕微鏡で確認することができるので、例えば、Ni層が透けて見える状態であれば、引けが生じていると判断する。Ni層が見えていなければ、「良好」とした。
<膜厚みの測定>
レーザー顕微鏡により測定した。
<粉末溶融性の確認>
Au−Sn合金薄膜について、光学顕微鏡を用いて、未溶融或いは凝集したAu−Sn合金粉末粒子の存在状態を確認した。このAu−Sn合金粉末粒子の存在が確認できない場合を、「良好」とした。
<素子接合性の測定>
800μm角のLED素子を基板に搭載した状態で、テストスピード100μm/sにてシェア強度を測定した。
以上の結果を、以下の表2に示した。

表2によれば、比較例8のAu−Sn合金薄膜は、膜の均一性、膜の薄膜化においては、良好な結果が得られているが、素子接合性では、低い値が測定され、接合性はよくないことが示されている。これに対して、実施例1、2、4〜11のAu−Sn合金薄膜では、いずれも、膜の厚さに関して、5μm以下と、十分薄く、且つ、均一に形成することができ、さらに、膜中に共晶組織の存在を確認できた。そして、実施例1、2、4〜11のAu−Sn合金薄膜を用いて、LED素子を基板に搭載したときには、従来技術に比較して、接合性を大きく向上できたことが確認された。
一方、比較例1、5のAu−Sn合金薄膜では、共晶組織が確認されたものの、一部に引けが発生して不均一な膜であるため、Au−Sn合金薄膜としては不良とした。また、比較例4、6のAu−Sn合金薄膜では、共晶組織が確認されたものの、一部に引けが発生して不均一な膜であり、Au−Sn合金厚みが厚い箇所が存在し、LED素子を基板に搭載したときに若干傾きが確認されたため、不良とした。ただし、接合性はAu−Sn合金厚みが厚いためか、問題ないレベルであった。また、比較例2、3のAu−Sn合金薄膜では、共晶組織が確認されたものの、一部に未凝集粉末が発生しているため、不良とした。未凝集粉末は洗浄工程で除去されるが材料としては無駄になる、薄膜膜厚ばらつきに繋がるという観点からも不良とした。比較例7のAu−Sn合金薄膜では、共晶組織も確認されず、未凝集粉末が発生して膜形成されないため、不良とした。また、素子の接合強度も低く、不良とした。
以上の様に、Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有し、平均粒径:8〜10μmのAu−Sn合金粉末と、15〜30wt%のRAフラックスとを混合したAu−Sn含有合金ペーストを用いて、Auのメタライズ層上に所定領域にスクリーン印刷し、次いで、Au−Sn合金粉末を加熱溶融した後に固化させることにより、5μm以下の厚さを有し、且つ、共晶組織を備えたAu−Sn合金薄膜が形成されることが確認された。

Claims (3)

  1. Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有し、平均粒径:8〜10μmのAu−Sn合金粉末と、15〜30wt%の活性タイプフラックスとを混合したことを特徴とするAuメタライズ層上へのスクリーン印刷用Au−Sn含有合金ペースト。
  2. Sn:20.5〜23wt%を含有し、残部がAuからなる組成を有し、平均粒径:8〜10μmのAu−Sn合金粉末と、15〜30wt%の活性タイプフラックスとを混合したAu−Sn合金含有ペーストを、Auのメタライズ層上の所定領域にスクリーン印刷し、次いで、Au−Sn合金粉末を加熱溶融した後に固化させて、少なくとも共晶組織を備えたAu−Sn合金薄膜を形成することを特徴とするAu−Sn合金薄膜の成膜方法。
  3. 前記スクリーン印刷は、前記所定領域に対応してメッシュが設けられたスクリーンマスクを用い、ギャップ印刷により行われることを特徴とする請求項に記載のAu−Sn合金薄膜の成膜方法。
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