JP6070711B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents

車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、運転者が操作する操作部と転舵輪を転舵する転舵部とを機械的に断接するクラッチを備えたステアバイワイヤシステムによる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法に関する。
従来、操舵輪(ステアリングホイール)と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵モータを駆動制御し、転舵輪を、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)に転舵する操舵制御装置がある。このような操舵制御装置は、一般的に、ステアバイワイヤ(SBW)と呼称するシステム(SBWシステム)を形成する装置である。
SBWシステムでは、操舵輪と転舵輪との間に機械的な連結がないため、切り込み限界に達したら、運転者に端当て感を与える制御を行う必要がある。
端当て感を与える制御を行う操舵制御装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、端当て検出時に操舵反力アクチュエータで最大反力を発生することで、機械的な端当て感を与えるものである。
特開2002−87308号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術にあっては、良好な端当て感を与えるためには、運転者が切り込めない程度の大きな操舵反力トルクを出さなければならない。そのため、操舵反力アクチュエータが過熱しやすい。また、大型の操舵反力アクチュエータを用いる必要があり、スペース的にもコスト的にも不利になる。
そこで、本発明は、操舵反力アクチュエータを過熱することなく、運転者に良好な端当て感を与えることができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ステアバイワイヤ制御中に、ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、クラッチに対して締結指令を出力する。この締結指令を出力したときの転舵輪の転舵角速度と、締結指令を出力してから実際にクラッチが締結までのクラッチ締結時間とに基づいて、締結指令を出力してから締結が完了するまでの間に転舵輪が転舵する転舵角を予測する。また、締結指令を出力したときの転舵角と、予測した転舵角とを加算することで、締結完了時転舵角を予測し、予測した締結完了時転舵角を、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角として設定する。そして、転舵輪の転舵角を端当て時転舵指令角で固定するべく転舵アクチュエータを駆動制御する。
本発明によれば、端当て検出時に、クラッチを締結して転舵角をラックエンド角付近で固定するので、良好な端当て感を与えることができる。また、端当て感を与えるために操舵反力アクチュエータで最大反力を発生することがないため、操舵反力アクチュエータの過熱を防止することができる。さらに、操舵反力アクチュエータの大型化の必要もなくなり、スペース的にもコスト的にも有利となる。
本実施形態に係る車両用操舵制御装置を適用したステアバイワイヤシステムの全体構成図である。 クラッチの構成を説明する分解構成図である。 クラッチの締結状態を示す図である。 クラッチの解放状態を示す図である。 第1の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第1の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態の動作を説明する図である。 第2の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態の動作を説明する図である。 クラッチ締結後のハンドル過回転について説明する図である。 第3の実施形態における端当て時転舵指令角演算処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施形態の動作を説明する図である。 第4の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第4の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第4の実施形態の動作を説明する図である。 クラッチ解放時における操舵の違和感について説明する図である。 第5の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第6の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第6の実施形態の動作を説明する図である。 第7の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 反力リミッタ33で実行する反力制限処理手順を示すフローチャートである。 端当て時転舵指令角演算部34で実行する端当て時転舵指令角演算処理手順を示すフローチャートである。 第7の実施形態の動作を説明する図である。 操舵反力を制限したときの操舵の違和感について説明する図である。 第8の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 反力リミッタ35で実行する反力制限処理手順を示すフローチャートである。 端当て時転舵指令角演算部36で実行する端当て時転舵指令角演算処理手順を示すフローチャートである。 第8の実施形態の動作を説明する図である。 第9の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第9の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。 第9の実施形態の動作を説明する図である。 操舵反力を制限したときの操舵の違和感について説明する図である。 第10の実施形態における端当て判定処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係る車両用操舵制御装置を適用したステアバイワイヤシステム(SBWシステム)の全体構成図である。
図1に示すように、運転者が操舵操作可能なステアリングホイール1は、左右前輪(転舵輪)11R,11Lとは機械的に切り離し可能に設ける。ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト2に連結する。ステアリングシャフト2には、操舵角センサ3と、反力モータ4と、操舵トルクセンサ5とを設ける。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール1の操舵角θsを検出するものであり、エンコーダ等で構成する。
反力モータ4は、ステアリングシャフト2にトルクを付加することにより、ステアリングホイール1に操舵反力を与えるためのものである。ここで、上記操舵反力は、運転者がステアリングホイール1を操舵する操作方向とは反対方向へ作用する反力である。この反力モータ4は、ブラシレスモータ等で構成し、コントローラ20が出力する反力モータ駆動電流に応じて駆動する。
操舵トルクセンサ5は、ステアリングホイール1からステアリングホイール2に伝達する操舵トルクTを検出する。この操舵トルクセンサ5は、トーションバーの捩れ角変位をポテンショメータで検出することで、操舵トルクTを検出する構成となっている。
クラッチ6は、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間に介装し、コントローラ20からのクラッチ指令(クラッチ指令電流)に従って、解放状態または締結状態に切り換わる。
このクラッチ6は、通常状態では、解放状態となっており、SBWシステムに何らかの異常(例えば操舵反力系の異常)が発生したときに締結状態となる。当該異常が発生してクラッチ6を締結した状態では、操舵系に運転者の操舵負担を軽減するための操舵補助力を付与する操舵補助制御(以下、EPS制御という)を行う。
また、このクラッチ6は、運転者がステアリングホイール1を切り込み限界付近まで操舵した端当て状態であるときにも、締結状態となる。端当て状態となってクラッチ6を締結した状態では、運転者に端当て感を与えるための端当て時制御を行う。
クラッチ6の解放状態では、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間のトルク伝達経路が機械的に分離するため、ステアリングホイール1の操舵操作が転舵輪11R,11Lへ伝達しない状態となる。一方、クラッチ6の締結状態では、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとの間のトルク伝達経路が機械的に結合するため、ステアリングホイール1の操舵操作が転舵輪11R,11Lへ伝達する状態となる。
図2は、クラッチ6の構成を説明する分解構成図である。また、図3は、クラッチ6の締結状態を示す図である。ここで、図3(a)は、入力軸方向に沿う面から見た図、図3(b)はローラ位置の入力軸半径方向に沿う面から見た図である。
この図2及び図3に示すように、クラッチ6は、内輪カム61、外輪62及び複数(一例として、8個を図示)のローラ(係合子)63を有する。そして、内輪カム61の外面(外周面)61aと外輪62の内面(内周面)62aとの間にローラ63が噛み込んで係合することにより、締結状態となる。また、内輪カム61の外面61aと外輪62の内面62aの間に係合していたローラ63の係合が解除することにより、解放状態となる。
内輪カム61は、ステアリングホイール1の操作に連動する入力軸64(ステリングシャフト2)に連結し、入力軸64の回動時に入力軸64と一体的に回動する。円筒状の外輪62は、内輪カム61を格納するように内輪カム61を覆って配置し、転舵輪11R,11Lに操舵トルクを伝達する図示しない出力軸(ピニオンシャフト7)に連結する。
内輪カム61と、内輪カム61を覆う外輪62との間には、入力軸64方向に重ねて摺動保持器65と回転保持器66とを、それぞれの脚部65a,66aを交互に位置して配置する。両脚部65a,66aは何れも、重なり合う内輪カム61の外面61aと外輪62の内面62aとの間に形成した空間を自由に移動することができる。
摺動保持器65は、内輪カム61が挿通可能な円環部65bと、円環部65bに入力軸64方向に突設すると共に略等間隔離間する4個の脚部65aとを有する。各脚部65aは、入力軸64を挿通したアーマチュア67に連結する。また、回転保持器66は、内輪カム61が挿通可能な円環部66bと、円環部66bに入力軸64方向に突設すると共に略等間隔離間して4個の脚部66aを有する。
摺動保持器65と回転保持器66のそれぞれの脚部65a,66aは、重なり合う内輪カム61の外面と外輪62の内面62aとの間に、隣接する脚部65a,66a間距離が長い空間と短い空間が交互に位置するように配置する。この4箇所の脚部65a,66a間距離が長い空間のそれぞれには、コイルバネ等のバネ部材68と共にローラ63を配置する。各バネ部材68は、並置した2個を1組として、内輪カム61とアーマチュア67との間に位置するバネ保持部材69によって位置決め保持する。
内輪カム61と外輪62との間に配置した摺動保持器65と回転保持器66の、それぞれの円環部65b,66bの対向面間には、ボールカム(ボールトルクカム)機構70が介在している。ボールカム機構70は、円環部65bと円環部66bのそれぞれの対向面に設けた円弧状断面のカム溝70aと、両カム溝70a間に挟み込んだボール70bとを有している。
ローラ63は、例えば円柱状に形成し、内輪カム61の外面61aに接触しつつ移動可能に配置している。バネ部材68の両側に位置する2個のローラ63は、バネ部材68によって付勢し、一方は脚部65aに、他方は脚部66aに、それぞれ押し当てる。
各ローラ63が移動する内輪カム61の外面61aは、各ローラ63を押し当てている両脚部65a,66a間の略中央と、各脚部65a,66aとを直線状に結ぶ平坦面(平面)により形成している。この平坦面は、入力軸64半径方向断面において、内輪カム61の外面61aを円弧とした場合、円弧に対する弦に相当する。つまり、ローラ63を配置した脚部65a(或いは脚部66a)側へ向かう空間は、外輪62の内面62a側を上面に、平坦面からなる内輪カム61の外面61a側を下面にして、脚部65a(或いは脚部66a)に向かうに連れて上下面間距離が狭まった、楔形状空間となる。なお、脚部65aと脚部66aは、楔形状空間を自由に移動することができる。
また、図2及び図3に示すように、アーマチュア67を回転自在に装着した入力軸64には、アーマチュア67の外側(内輪カム61とは反対側)に隣接して、入力軸64と一体的に回転するロータ71を装着している。アーマチュア67は、ロータ71側に突設した複数の脚66aを介して、ロータ71に対し、入力軸64方向に規制した離反距離のもと接近離反可能に、且つ、入力軸64を軸心として回動自在に装着している。このロータ71には、電磁コイル72が内蔵されており、電磁コイル72の励磁によりコイル吸引力が発生することで、アーマチュア67をロータ71に引き寄せ密着する。
次に、クラッチ6の動作について説明する。
(クラッチ締結時)
クラッチ締結時は、電磁コイル72が無励磁状態にあり、図3(a)及び図3(b)に示すように、バネ部材68は、各ローラ63を脚部65a或いは脚部66aに押し当てている。各ローラ63を介して、脚部65a或いは脚部66aにバネ部材68の付勢力が作用することにより、脚部65aと脚部66aは、互いに離反するように押し広げられ、摺動保持器65と回転保持器66が互いに逆向きに内輪カム61の回りを移動する。
脚部65aと脚部66aが押し広げられるのに伴って、バネ部材68の両側に位置してバネ部材68に付勢されている両ローラ63は、外輪62の内面62aと内輪カム61の外面61aとで囲まれ、脚部65a(或いは脚部66a)側が狭まった楔形状空間に入り込む。楔形状空間に入り込んだ両ローラ63は、各ローラ63の内輪カム61と外輪62との噛み込み位置まで、即ち、アーマチュア67が外輪62に接触するまで移動する。
脚部65aと脚部66aが押し広げられて、摺動保持器65と回転保持器66が互いに逆向きに移動するのに伴い、両円環部65b,66bの対向面間に介在するボールカム機構70において、ボール70bが両カム溝70から略露出した状態になり、両円環部65b,66b間の距離が拡大する。そのとき、円環部65bと共に脚部65aが、ロータ71から離反するように移動し、それに連れて、アーマチュア67が、ロータ71から離反し外輪62のロータ71対向端面に向かって移動する。
そして、互いに逆向きに回動移動する内輪カム61と外輪62との位相差が許容値を超えた時点で、ローラ63が内輪カム61と外輪62の間に楔状に噛み込むことにより、入力軸64に連結する内輪カム61と、出力軸に連結する外輪62が締結状態になる。
(クラッチ解放時)
図4は、クラッチ6の解放状態を示す図である。ここで、図4(a)は入力軸方向に沿う面から見た図、図4(b)はローラ位置の入力軸半径方向に沿う面から見た図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、クラッチ解放時、電磁コイル72が励磁状態になってコイル吸引力が発生し、外輪62に接触していたアーマチュア67は、ロータ71側に引き寄せられる。アーマチュア67がロータ71側に引き寄せられるのに伴い、アーマチュア67と脚部65aが連結されている摺動保持器65もロータ71側に移動する。摺動保持器65のロータ71側への移動時、摺動保持器65と回転保持器66の間に介在しているボールカム機構70において、ボール70bがカム溝70a内に略埋没した状態になるように、摺動保持器65と回転保持器66が互いに逆向きに移動する。
摺動保持器65と回転保持器66の移動に伴って、脚部65aと脚部66aがそれぞれバネ部材68の両側に位置するローラ63を付勢力に抗して互いに接近させるように、両脚部65a,66aが接近移動し、バネ部材68を押し縮めて圧縮状態にする。この両脚部65a,66aの接近移動により、両ローラ630は、入り込んでいた楔形状空間から押し出され、内輪カム61と外輪62との噛み込み位置から離脱する。
そして、両ローラ63が、内輪カム61と外輪62との噛み込み位置から離脱することにより、入力軸64に連結する内輪カム61と、出力軸に連結する外輪62の締結が解除され、解放状態になる。
図1に戻って、ピニオンシャフト7の他端には、ピニオンギア12を設ける。ピニオンギア12は、ラック軸13の両端部間に設けたラックギアと噛合する。
ラック軸13の両端は、それぞれタイロッド14及びナックルアーム15を介して、転舵輪11R,11Lに連結する。すなわち、転舵輪11R,11Lは、ピニオンギア12の回転に応じてラック軸13が車幅方向へ変位することで、タイロッド14及びナックルアーム15を介して転舵し、車両の進行方向を変化可能となっている。
また、転舵モータ8は、反力モータ4と同様にブラシレスモータ等で構成し、コントローラ20が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動する。この転舵モータ8は、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪11R,11Lを転舵するための転舵トルクを出力する。
転舵モータ8の出力軸先端側には、ピニオンギアを用いて形成した転舵出力歯車8aを設ける。そして、転舵出力歯車8aは、ラック軸13の両端部間に設けたラックギアと噛合する。すなわち、転舵輪11R,11Lは、転舵出力歯車8aの回転に応じて転舵可能となっている。
さらに、転舵モータ8には、転舵モータ角センサ9を設ける。転舵モータ角センサ9は、転舵モータ8の回転角を検出する。転舵輪11R,11Lの転舵角θrは、転舵出力歯車8aの回転角度と、ラック軸13のラックギアと転舵出力歯車8aとのギア比とによって一意に決定する。そのため、本実施形態では、転舵モータ8の回転角から転舵輪11R,11Lの転舵角θrを求める。
コントローラ20は、操舵角センサ3で検出したステアリングホイール1の操舵角θsと、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTと、転舵モータ角センサ9で検出した転舵角θrとを入力する。また、コントローラ20は、この他に、他システムのコントローラ16から車速Vやヨーレートγを入力する。
そして、クラッチ6の解放状態では、コントローラ20は、ステアリングホイール1の操舵状態に応じて転舵モータ8を駆動制御し、転舵輪11R,11Lを転舵する。これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角θrは、操舵状態に応じた転舵指令角に一致する。また同時に、コントローラ20は、転舵輪11R,11Lの転舵状態に応じて反力モータ6を駆動制御し、ステアリングホイール1に操舵反力を付与する。これにより、ステアリングホイール1に路面反力を模擬した操舵反力を与える。このようにして、コントローラ20は、ステアバイワイヤ制御(以下、SBW制御という)を行う。
また、端当て状態となってクラッチ6を締結した状態では、コントローラ20は、運転者に端当て感を与えるための端当て時制御として、転舵角を最大転舵角(ラックエンド角)付近で固定する転舵角固定制御を行う。以下、この端当て時制御について詳細に説明する。
図5は、コントローラ20の構成を示すブロック図である。
この図5に示すように、コントローラ20は、端当て判定部21と、クラッチ制御部22とを備える。
端当て判定部21は、操舵角θsと転舵角θrとに基づいて、端当て状態を検出する。ここで、端当て状態とは、運転者がステアリングホイール1を中立位置から左方向または右方向に操舵し、ラック軸13が最大移動量に達した状態(操舵限界に達した状態)をいう。
図6は、端当て判定部21で実行する端当て判定処理手順を示すフローチャートである。この端当て判定処理は、SBW制御中であるときに所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS1で、端当て判定部21は、転舵角θrが最大転舵角即ちラックエンド角に達しているか否かを判定する。そして、転舵角θrが最大転舵角ではないと判定した場合にはステップS2に移行し、転舵角θrが最大転舵角であると判定した場合には後述するステップS4に移行する。
ステップS2では、端当て判定部21は、クラッチ6を解放するためのクラッチ指令(クラッチ解放指令)を、クラッチ制御部22に出力し、ステップS3に移行する。
ステップS3では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlgを、端当て状態ではないことを示す“0”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg=0を後述する反力指令切替部25及び転舵指令切替部29に出力してから、端当て判定処理を終了する。
ステップS4では、端当て判定部21は、操舵角θsが最大操舵角即ち切り込み限界角に達しているか否かを判定する。そして、操舵角θsが最大操舵角ではないと判定した場合には前記ステップS2に移行し、操舵角θsが最大操舵角であると判定した場合にはステップS5に移行する。
ステップS5では、端当て判定部21は、クラッチ6を締結するためのクラッチ指令(クラッチ締結指令)をクラッチ制御部22に出力し、ステップS6に移行する。
ステップS6では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlgを、端当て状態であることを示す“1”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg=1を後述する反力指令切替部25及び転舵指令切替部29に出力してから、端当て判定処理を終了する。
このように、端当て判定部21は、SBW制御中に端当て状態であるか否かを判定し、端当て状態を検出していないとき、後述する反力指令切替部25及び転舵指令切替部29に端当て検出フラグFlg=0を出力する。また、このとき端当て判定部21は、クラッチ制御部22にクラッチ解除指令を出力する。一方、端当て判定部21は、SBW制御中に端当て状態を検出すると、後述する反力指令切替部25及び転舵指令切替部29に端当て検出フラグFlg=1を出力すると共に、クラッチ制御部22にクラッチ締結指令を出力する。
また、端当て判定部21は、端当て時制御中にSBW制御への復帰条件が成立すると、反力指令切替部25及び転舵指令切替部29に端当て検出フラグFlg=0を出力すると共に、クラッチ制御部22にクラッチ解放指令を出力する。
クラッチ制御部22は、端当て判定部21から入力したクラッチ指令に従って、クラッチ6の締結及び締結解除を制御する。
図5に戻って、コントローラ20は、反力演算部23と、リミッタ24と、反力指令切替部25と、反力制御部26とを備える。
反力演算部23は、操舵角θsと車速Vと転舵角θrとに基づいて、目標の反力指令(転舵状態に応じた反力トルク)を演算する。そして、演算した反力指令を通常反力指令Ts0として設定する。
そして、反力演算部23は、設定した通常反力指令Ts0を、そのまま反力指令切替部25に出力すると共に、リミッタ24を介して反力指令切替部25に出力する。リミッタ24は、通常反力指令Ts0に制限をかけ、その結果をリミッタ後反力指令Ts1として反力指令切替部25に出力する。
反力指令切替部25は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=0を入力している場合には、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。また、反力指令切替部25は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=1を入力している場合には、リミッタ後反力指令Ts1を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。
反力制御部26は、実反力トルクを最終反力指令Ts*に一致するための反力モータ4への電流指令値(反力モータ駆動電流)を演算し、その電流司令値をもとに反力モータ4を駆動制御する。ここでは、フィードフォワード制御+フィードバック制御+ロバスト補償による反力サーボ制御により、上記電流指令値を演算する。
転舵指令角演算部27は、転舵輪11R,11Lを運転者の操舵に応じた転舵角とするための転舵指令角を演算する。ここでは、操舵角θsに、車速Vに応じて設定したギア比を乗算し、転舵指令角を演算する。そして、転舵指令角演算部27は、演算した転舵指令角を通常転舵指令角θr0として転舵指令切替部29に出力する。
端当て時転舵指令角出力部28は、予め格納した最大転舵角(ラックエンド角)に相当する転舵角を、端当て時転舵指令角θr1として転舵指令切替部29に出力する。
転舵指令切替部29は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=0を入力している場合には、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。また、転舵指令切替部29は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=1を入力している場合には、端当て時転舵指令角θr1を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。
角度サーボ制御部30は、実転舵角θrが最終転舵指令角θr*と一致するように、転舵モータ8の電流指令値(転舵モータ駆動電流)を演算する。ここで、角度サーボ制御部30は、最終転舵指令角θr*に所定の応答特性で実転舵角θrが追従するように制御演算する角度サーボ制御により、転舵モータ8の電流指令値を演算する。舵角サーボ制御では、フィードフォワード制御+フィードバック制御+ロバスト補償により、上記電流指令値を演算する。
このように、コントローラ20は、端当て判定部21で端当て状態を検出してクラッチ6を締結したとき、転舵輪11R,11Lを最大転舵角に固定する。また、反力モータ6によってステアリングホイール1に付与する操舵反力にリミッタをかける。このようにして、端当て時制御を行う。
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
本SBWシステムは、クラッチ6の締結を解除した状態でSBW制御を実行する。
SBW制御中に運転者がステアリング操作を行うと、操舵角センサ3は運転者が入力した操舵角θsを検出する。そして、コントローラ20は、実転舵角が、操舵角センサ3が検出した操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御する。これにより、転舵輪11R,11Lが転舵する。すなわち、図7の時刻t1以前に示すように、転舵角θrは操舵角θsに応じた値となる。
また、転舵輪11R,11Lの転舵によって、路面から転舵輪11R,11Lへ路面反力が入力する。そのため、コントローラ20は、反力モータ4を駆動制御して、実路面反力に相当する操舵反力をステアリングホイール1に付与する。
このようにしてSBW制御を行うことで、運転者は自身の感覚に合致したステアリング操作を行うことができる。
このSBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図7の時刻t1の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角θrを検出する(図6のステップS1でYes、ステップS4でYes)。
すると、コントローラ20は、時刻t1で、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS5)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定すると共に、最終反力指令Ts*をリミット後反力指令Ts1に切り替える(ステップS6)。このときの最終転舵指令角θr*は、最大転舵角(ラックエンド角)となる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。また、セルフアライニングトルクによる切り戻しも発生しないようにすることができる。
ところで、切り込み限界時に、運転者に端当て感を与える方法としては、操舵反力アクチュエータにより最大反力を発生する方法もある。しかしながら、この場合、運転者が切り込めない程度の大きな操舵反力を発生しなければならないため、反力モータが過熱してしまう。
これに対して、本実施形態では、端当て状態を検出したとき、クラッチ6を締結すると共に転舵角を最大転舵角(ラックエンド角)で固定し、操舵反力にリミッタをかける。そのため、反力モータの過熱を確実に防止しつつ、良好な端当て感を実現することができる。
また、反力モータの過熱防止を目的とした場合、単に、切り込み限界時にクラッチ6を締結し、SBW制御を停止してEPS制御に移行する方法も考えられる。しかしながら、この場合には次のような現象が生じてしまう。
SBW制御を実施している状態からクラッチ締結指令を出力し、SBW制御を停止してEPS制御に移行すると、制御移行直後は瞬間的に操舵トルクセンサで操舵トルクを検出できない状態が発生する。これは、クラッチを締結した直後は、トルクセンサを構成するトーションバーの捻れ状態ができていないためである。そのため、EPS制御の開始直後に操舵トルクセンサで検出した操舵トルクに基づいて演算した転舵モータ駆動電流は、SBW制御の停止直前に操舵角に基づいて演算した転舵モータ駆動電流よりも小さくなってしまう。
フル転舵状態はセルフアライニングトルク(SAT)が非常に大きい状態であり、通常のSBW制御では、このSATに打ち勝つような転舵トルクを出力している。ところが、上述したように転舵モータ駆動電流が小さくなると、SATにより転舵輪が中立方向に戻るといった現象が生じる。このとき、クラッチは締結状態にあり、転舵輪とステアリングホイールとは機械的に連結しているため、転舵輪が中立方向に戻ることでステアリングホイールに対して中立方向に戻る力が作用する。その結果、フル転舵の意思に反してハンドルが戻るといった違和感を運転者に与えてしまう。
これに対して、本実施形態では、端当て状態を検出したとき、クラッチ6を締結すると共に転舵指令角を最大転舵角に相当する端当て時転舵指令角θr1に固定する。このように、EPS制御に移行するのではなく、転舵角固定制御(転舵指令角を固定したSBW制御)を行う。したがって、フル転舵を確実に保持することができ、運転者にハンドル戻りの違和感を与えるのを防止することができる。
その後、図7の時刻t2でSBW制御への復帰条件が成立すると、コントローラ20はクラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う。
また、同時に、コントローラ20は、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する。このようにして、通常のSBW制御に復帰する。
なお、図1において、反力モータ4が反力アクチュエータに対応し、転舵モータ8が転舵アクチュエータに対応し、コントローラ20が操舵制御部に対応している。さらに、操舵角センサ3が操舵角検出部に対応し、転舵モータ角センサ9が転舵角検出部に対応している。
また、図5において、端当て判定部21が端当て検出部に対応し、クラッチ制御部22がクラッチ制御部に対応している。さらに、リミッタ24、反力指令切替部25、反力制御部26、端当て時転舵指令角出力部28、転舵指令切替部29及び角度サーボ制御部30が端当て制御部に対応している。
(効果)
第1の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、クラッチ6の締結を解除した状態でSBW制御を行う。このSBW制御中に、コントローラ20は、ステアリングホイール1の切り込み限界に達した端当て状態を検出する。そして、コントローラ20は、端当て状態を検出すると、クラッチ6に対して締結指令を出力する。また同時に、コントローラ20は、転舵輪11R.11Lの転舵角θrを最大転舵角(ラックエンド角)で固定するべく転舵モータ8を駆動制御する。
これにより、切り込み限界に達したときには、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。したがって、ステアリングホイール1を介して運転者に良好な端当て感を与えることができる。また、転舵角θrを固定するため、SATより転舵輪11R,11Lが中立方向に戻ることに起因するハンドル戻りを防止することができる。そのため、フル転舵の意思を持つ運転者の違和感を低減することができる。
さらに、端当て感を与えるに際し、反力モータ4によって最大反力を出さなくてすむ。そのため、反力モータ4の過熱を防止することができる。また、スペース的にもコスト的にも有利な小型の反力モータ4を用いることができる。
(2)コントローラ20は、端当て時制御に際し、最大転舵角(ラックエンド角)を端当て時転舵指令角θr1として設定する。
これにより、運転者に対して適切に端当て感を与えることができる。また、端当て時転舵指令角θr1を固定値とするので、端当て時制御を比較的簡易な構成で実現することができる。
(3)コントローラ20は、端当て状態を検出すると、ステアリングホイール1に転舵輪11R,11Lの転舵状態に応じた操舵反力に制限を設けた操舵反力を付与するべく反力モータ4を駆動制御する。
このように、端当て時制御では、反力モータ4の出力を制限する。そのため、反力モータ4の過熱を適切に防止することができる。
(4)コントローラ20は、転舵角θrが予め定めた最大転舵角に達しており、且つ操舵角θsが予め定めた最大操舵角に達している状態を、ステアリングホイール1の切り込み限界付近に達した端当て状態として検出する。
このように、転舵角θr及び操舵角θsがそれぞれ最大転舵角及び最大操舵角に達しているか否かを監視するので、適切に切り込み限界に達した状態を検出することができる。したがって、適切に端当て時制御を開始することができる。
(5)SBW制御中に端当て状態を検出したとき、クラッチ6に対して締結指令を出力すると共に、転舵輪11R,11Lの転舵角θrを最大転舵角付近の端当て時転舵指令角θr1で固定するべく転舵モータ8を駆動制御する。
これにより、運転者に良好な端当て感を与えることができる。また、端当て感を与えるために反力モータ4で最大反力を発生することがないため、反力モータ4の過熱を防止することができる。さらに、反力モータ4の大型化の必要もなくなり、スペース的にもコスト的にも有利となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態において、端当て時転舵指令角θr1を最大転舵角で固定としているのに対し、端当て状態を検出したときの転舵角θrを、端当て時転舵指令角θr1として設定するようにしたものである。
(構成)
図8は、第2の実施形態におけるコントローラ20の構成を示すブロック図である。
このコントローラ20は、図5に示すコントローラ20において、端当て判定部21の処理が異なると共に、端当て時転舵指令角出力部28を端当て時転舵指令角演算部31に置換したことを除いては、図5のコントローラ20と同様の構成を有する。したがって、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
図9は、端当て判定部21で実行する端当て判定処理手順を示すフローチャートである。この端当て判定処理は、図6におけるステップS1の処理をステップS11の処理に置換したことを除いては、図6と同様の処理を行う。
ステップS11では、端当て判定部21は、転舵角θrに基づいて転舵モータ角が最大転舵角(ラックエンド角)付近、即ち転舵角θrが(最大転舵角−所定角度α)以上であるか否かを判定する。そして、転舵モータ角が最大転舵角付近ではないと判定した場合には前記ステップS2に移行し、転舵モータ角が最大転舵角付近であると判定した場合には前記ステップS4に移行する。
このように、本実施形態の端当て判定部21では、転舵角θrが最大転舵角付近で、且つ操舵角θsが最大操舵角であるときに、端当て状態であると判定する。
端当て時転舵指令角演算部31は、端当て判定部21が出力した端当て検出フラグFlgと、転舵モータ角センサ9で検出した転舵角θrとを入力する。そして、端当て時転舵指令角演算部31は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=1を入力したときの転舵角θrを、端当て時転舵指令角として転舵指令切替部29に出力する。
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図10の時刻t11で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角となる操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように、最終転舵指令角θr*が最大転舵角(ラックエンド角)に相当する値となる。すると、実転舵角θrは所定の応答性をもってこの最終転舵指令角θr*に追従していく。
そして、時刻t12で、実転舵角θrが最大転舵角付近となると、転舵モータ角度センサ9がこれを検出する(図9のステップS11でYes、ステップS4でYes)。このとき、コントローラ20は、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS5)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角に固定すると共に、最終反力指令をリミット後反力指令に設定する(ステップS6)。このときの最終転舵指令角θr*は、時刻t12での転舵角θrとなる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角θrは、この最大転舵角付近の転舵角(時刻t12での転舵角)で固定となる。したがって、時刻t13で実際にクラッチ6が締結した後は、転舵輪11R,11Lの動きが固定する。その結果、上述した第1の実施形態と同様に、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。
ところで、応答が遅いシステムの場合、端当て時転舵指令角θr1を最大転舵角に設定すると、以下のような現象が生じてしまう。
すなわち、図11に示すように、時刻t21で切り込み限界に達した後、時刻t22でクラッチ締結指令を出力すると共に、端当て時転舵指令角θr1を最大転舵角に設定するものとする。この場合、時刻t22以降も、実転舵角θrは最大転舵角への追従を続ける。そのため、実転舵角θrが最大転舵角に到達する前の時刻t23で実際にクラッチ6が締結した場合、クラッチ6の締結後も、時刻t24までは転舵角θrが徐々に大きくなることになる。
時刻t23でクラッチ6が締結し、転舵輪11R,11Lとステアリングホイール1とは機械的に連結した状態であるため、時刻t23以降で転舵輪11R,11Lが転舵すると、それに伴ってステアリングホイール1が切り増し方向に回転することになる。このハンドルの切り込みは、フル転舵状態を保持する意思を有する運転者にとって違和感となる。
本実施形態では、端当て時転舵指令角θr1を、端当て検出時の転舵角θrに設定するので、クラッチ6の締結後の転舵の動きを止めることができる。その結果、クラッチ6の締結後にハンドルが切れ込むといった現象を防止することができる。
なお、図8において、リミッタ24、反力指令切替部25、反力制御部26、転舵指令切替部29、角度サーボ制御部30及び端当て時転舵指令角演算部31が端当て制御部に対応している。
(効果)
第2の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て状態を検出したとき、クラッチ締結指令を出力すると共に、端当て検出時の転舵角θrを端当て時転舵指令角θr1として設定する。
これにより、クラッチ締結指令の出力と同時に、そのときの転舵角で転舵輪11R,11Lの動きを止めるための指令を出力することができる。そのため、転舵モータ8の出力が比較的小さく、応答が遅いシステムであっても、クラッチ6の締結後に、転舵角θrが端当て時転舵指令角θr1に達していないという状況を回避することができる。
すなわち、クラッチ6の締結後に、転舵角θrが端当て時転舵指令角θr1へ追従し続けるのを防止することができる。このように、クラッチ締結後の転舵の動きを止め、ハンドルの過回転を防止することができるので、運転者に良好な端当て感を与えることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第2の実施形態において、端当て検出時の転舵角θrを端当て時転舵指令角θr1として設定しているのに対し、クラッチ6の締結が完了したときの転舵角θrを端当て時転舵指令角θr1として設定するようにしたものである。
(構成)
第3の実施形態におけるコントローラ20は、図8に示す第2の実施形態におけるコントローラ20と同様の構成を有する。また、端当て判定部21は、第2の実施形態と同様に図9の処理を実行する。但し、第2の実施形態とは、端当て時転舵指令角演算部31での処理が異なる。したがって、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
図12は、端当て時転舵指令角演算部31で実行する端当て時転舵指令角演算処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS21で、端当て時転舵指令角演算部31は、端当て判定部21が出力した端当て検出フラグFlgと、転舵モータ角センサ9で検出した転舵角θrとを読み込む。
次にステップS22で、端当て時転舵指令角演算部31は、端当て検出フラグFlgが端当て状態を検出していることを示す“1”であるか否かを判定する。そして、Flg=0であるときにはそのまま端当て時転舵指令角演算処理を終了し、Flg=1であるときにはステップS23に移行する。
ステップS23では、端当て時転舵指令角演算部31は、前記ステップS21で読み込んだ転舵角θrを微分し、転舵角速度ωrを演算する。
次にステップS24で、端当て時転舵指令角演算部31は、前記ステップS23で演算した転舵角速度ωrと、予め定めたクラッチ締結時間Tcとに基づいて、クラッチ締結指令を出力してから実際にクラッチ6が締結するまでの間に変化する転舵角Δθrを推定する。
Δθr=ωr×Tc ………(1)
次にステップS25で、端当て時転舵指令角演算部31は、前記ステップS21で読み込んだ転舵角θrに、前記ステップS24で推定した転舵角Δθrを加算することで、端当て時転舵指令角θr1を演算する。
θr1=θr+Δθr
=θr+ωr×Tc ………(2)
つまり、上記(2)式により求めた端当て時転舵指令角θr1は、クラッチ締結完了時の転舵角(締結完了時転舵角)である。
そして、ステップS26で、端当て時転舵指令角演算部31は、前記ステップS25で演算した端当て時転舵指令角θr1を転舵指令切替部29に出力し、端当て時転舵指令角演算処理を終了する。
なお、図12の処理が転舵角予測部に対応し、ステップS23が転舵角速度検出部に対応し、ステップS24が転舵角変化予測部に対応している。
(動作)
次に、第3の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図13の時刻t31で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角となる操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように、最終転舵指令角θr*が最大転舵角(ラックエンド角)に相当する値となる。すると、実転舵角θrは所定の応答性をもってこの最終転舵指令角θr*に追従していく。
そして、時刻t32で、実転舵角θrが最大転舵角付近となると、転舵モータ角度センサ9がこれを検出する(図9のステップS11でYes、ステップS4でYes)。このとき、コントローラ20は、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS5)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角に固定すると共に、最終反力指令をリミット後反力指令に設定する(ステップS6)。このときの最終転舵指令角θr*は、実際にクラッチ6が締結する時刻t33での転舵角θrとなる。
これにより、時刻t32以降、転舵輪11R,11Lの実転舵角θrは、このクラッチ締結完了時の転舵角(時刻t33での転舵角)に追従していく。そして、時刻t33で実際にクラッチ6が締結したとき、実転舵角θrが最終転舵指令角θr*に一致して転舵輪11R,11Lの動きが固定する。その後はそのままの転舵角θrを維持する。その結果、上述した第1及び第2の実施形態と同様に、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。
ところで、上述した第2の実施形態のように、端当て時転舵指令角θr1を端当て検出時の転舵角に設定すると、応答が遅いシステムの場合、必ず次のような現象が生じる。すなわち、図10に示すように、時刻t12の直後で実転舵角θrが端当て時転舵指令角θr1を行き過ぎてから、当該端当て時転舵指令角θr1まで戻るといった現象が生じる。このとき、場合によっては異音が発生する。
これに対して、本実施形態では、端当て状態を検出したときに、実際にクラッチ6が締結したときの転舵角θrを予測する。そして、予測した転舵角θrを端当て時転舵指令角θr1として設定する。これにより、実際のクラッチ締結直後における転舵角θrの行き過ぎを抑制し、異音の発生を低減することができる。
なお、図12のステップS22〜S25が締結時転舵角予測部に対応している。ここで、ステップS23が転舵角速度検出部に対応し、ステップS24が転舵角変化予測部に対応している。
(効果)
第3の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て状態を検出したとき、クラッチ締結指令を出力すると共に、実際にクラッチが締結したときの転舵角(締結完了時転舵角)を予測する。そして、予測した転舵角を端当て時転舵指令角θr1として設定する。
これにより、クラッチ締結指令と同時に出力する転舵輪11R,11Lの動きを止めるための端当て時転舵指令角を、そのときの転舵角θrよりも大きく設定することができる。そのため、転舵角θrが端当て時転舵指令角θr1を行き過ぎてから戻るといった現象を回避することができ、異音の発生を低減することができる。
また、転舵角θrが端当て時転舵指令角θr1に達したとき、滑らかに転舵を止めることができる。さらに、締結完了時転舵角を端当て時転舵指令角θr1として設定するので、クラッチ締結完了後の転舵の動きを止めることができ、運転者に良好な端当て感を与えることができる。その結果、より運転者に違和感のない端当て時制御を行うことができる。
(2)コントローラ20は、クラッチ締結指令を出力したときの転舵角速度ωrと、クラッチ締結時間Tcとに基づいて、クラッチ締結指令を出力してからクラッチ6が締結するまでの間に変化する転舵角Δθrを予測する。そして、クラッチ締結指令を出力したときの転舵角θrと、予測した転舵角Δθrとを加算することで締結完了時転舵角を予測し、これを端当て時転舵指令角θr1とする。
これにより、クラッチ6の締結が完了したときの転舵角を適切に予測することができる。そのため、運転者に違和感のない適切な端当て時制御を行うことができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、上述した第1の実施形態において、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったタイミングで、端当て時制御を終了するようにしたものである。
(構成)
図14は、第4の実施形態におけるコントローラ20の構成を示すブロック図である。
このコントローラ20は、図5に示すコントローラ20において、端当て判定部21の処理が異なると共に、反力指令切替部25及び転舵指令切替部29を、反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に置換し、解放時転舵指令角演算部32を追加したことを除いては、図5のコントローラ20と同様の構成を有する。したがって、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
図15は、端当て判定部21で実行する端当て判定処理手順を示すフローチャートである。この端当て判定処理は、所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS31で、端当て判定部21は、直前に設定した端当て検出フラグFlgに基づいて、クラッチ6が締結状態であるか否かを判定する。そして、Flg=0又はFlg=2である場合には、クラッチ6が解放状態であると判断してステップS32に移行する。一方、Flg=1である場合には、クラッチ6が締結状態であると判断して後述するステップS38に移行する。
ステップS32では、端当て判定部21は、転舵角θrが最大転舵角即ちラックエンド角であるか否かを判定する。そして、転舵角θrが最大転舵角ではないと判定した場合にはステップS33に移行し、転舵角θrが最大転舵角であると判定した場合には後述するステップS35に移行する。
ステップS33では、端当て判定部21は、クラッチ6を解放するためのクラッチ指令(クラッチ解放指令)を、クラッチ制御部22に出力し、ステップS34に移行する。
ステップS34では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlgを、端当て状態ではないことを示す“0”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg=0を後述する反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に出力してから、端当て判定処理を終了する。
ステップS35では、端当て判定部21は、操舵角θsが最大操舵角即ち切り込み限界角であるか否かを判定する。そして、操舵角θsが最大操舵角ではないと判定した場合には前記ステップS33に移行し、操舵角θsが最大操舵角であると判定した場合にはステップS36に移行する。
ステップS36では、端当て判定部21は、クラッチ6を締結するためのクラッチ指令(クラッチ締結指令)をクラッチ制御部22に出力し、ステップS37に移行する。
ステップS37では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlgを、端当て状態であることを示す“1”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg=1を後述する反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に出力してから、端当て判定処理を終了する。
このように、端当て判定部21は、SBW制御中に端当て状態であるか否かを判定し、端当て状態を検出していないとき、後述する反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に端当て検出フラグFlg=0を出力する。また、このとき端当て判定部21は、クラッチ制御部22にクラッチ解除指令を出力する。一方、端当て判定部21は、SBW制御中に端当て状態を検出すると、後述する反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に端当て検出フラグFlg=1を出力すると共に、クラッチ制御部22にクラッチ締結指令を出力する。
また、ステップS38では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlg=1となってから現時点までの間に操舵角センサ3で検出した操舵角θsの絶対値|θs|のうち、最大値θsmaxを算出する。
次にステップS39で、端当て判定部21は、現時点での操舵角|θs|が最大値θsmaxよりも小さいか否かを判定する。そして、|θs|=θsmaxである場合には、運転者はステアリングホイール1を切り増し操作していると判断して、前記ステップS36に移行する。一方、|θs|<θsmaxである場合には、運転者はステアリングホイール1を切り戻し操作したと判断して、ステップS40に移行する。
ステップS40では、端当て判定部21は、クラッチ制御部22にクラッチ解放指令を出力し、ステップS41に移行する。
ステップS41では、端当て判定部21は、端当て検出フラグFlgを、端当て状態でなくなりクラッチ解放動作中であることを示す“2”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg=2を後述する反力指令切替部25´及び転舵指令切替部29´に出力し、ステップS42に移行する。
ステップS42では、端当て判定部21は、クラッチ6が確実に解放状態となったか否かを判定する。ここでは、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTが所定値以下(例えば1Nm以下)である状態が、所定時間(例えば数msec)続いたときに、クラッチ6の解放が完了したと判断する。
そして、このステップS42で、クラッチ6がまだ解放していないと判断すると前記ステップS40に移行し、クラッチ6が解放したと判断すると端当て判定処理を終了する。
クラッチ制御部22は、端当て判定部21から入力したクラッチ指令に従って、クラッチ6の締結及び締結解除を制御する。
反力指令切替部25´は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=0又は端当て検出フラグFlg=2を入力している場合には、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。また、反力指令切替部25´は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=1を入力している場合には、リミッタ後反力指令Ts1を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。
解放時転舵指令角演算部32は、操舵角θsと転舵角θrとを入力する。この解放時転舵指令角演算部32は、クラッチ6を、締結状態からできるだけ早く確実に解放状態とするためのクラッチ解放用の転舵指令角(解放時転舵指令角θr2)を演算する。クラッチ解放用の転舵指令角は、クラッチ6の解放動作を円滑に行うための転舵角に設定するものとし、例えば、操舵角θsに対する転舵角θrのオフセットが極力少なくなるような転舵角(なるべくトルクが印加しないような転舵角)とする。
転舵指令切替部29´は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=0を入力している場合には、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。また、転舵指令切替部29´は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=1を入力している場合には、端当て時転舵指令角θr1を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。さらに、転舵指令切替部29´は、端当て判定部21から端当て検出フラグFlg=2を入力している場合には、解放時転舵指令角θr2を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。
このように、コントローラ20は、端当て判定部21で端当て状態を検出してクラッチ6を締結したとき、転舵輪11R,11Lを最大転舵角に固定する。また、反力モータ6によってステアリングホイール1に付与する操舵反力にリミッタをかける。このようにして、端当て時制御を行う。そして、コントローラ20は、この端当て時制御中に、運転者のステアリングホイール1の切り戻し操作を検出すると、クラッチ6を解放して端当て時制御を停止する。
(動作)
次に、第4の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図16の時刻t41の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角となる操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角となる転舵角θrを検出する(図15のステップS32でYes、ステップS35でYes)。
すると、コントローラ20は、時刻t41で、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS36)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定すると共に、最終反力指令Ts*をリミット後反力指令Ts1に切り替える(ステップS37)。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、反力モータの過熱を防止しつつ、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。
その後、図16の時刻t42で、運転者がハンドルを切り戻し方向に操作すると、操舵角|θs|が最大値θsmaxよりも小さくなる(ステップS39でYes)。そのため、コントローラ20はクラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う(ステップS40)。また、同時に、コントローラ20は、解放時転舵指令角θr2を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する(ステップS41)。
そして、クラッチ6が実際に解放し、操舵トルクTが立たなくなると(ステップS42でYes)、通常のSBW制御に復帰する(ステップS33及びS34)。
ところで、クラッチを締結した端当て時制御を行っている状態から、クラッチを解放して通常のSBW制御へ移行する場合、クラッチ解放指令の出力タイミングを適切に設定しないと、操舵の違和感が発生する。以下、この点について説明する。
図17は、クラッチ解放時における操舵の違和感について説明する図である。この図17に示す例では、端当て時制御を停止してクラッチ解放指令を出力するタイミングを、端当て時制御を開始してから一定時間が経過したタイミングとしている。
すなわち、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、切り込み限界に達すると、図17の時刻t51でクラッチ締結指令を出力し、クラッチを締結状態として端当て時制御を開始する。このとき、クラッチが締結状態となることでトルクが印加し、トルクセンサ値が検出できる。
このとき、端当て時制御によって運転者が端当て状態であることを認識し、ステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったものとする。すると、トルクセンサ値は急激に減少し、トルクゼロを跨いで符号が反転した状態(逆向きのトルクが印加した状態)となる。
図17に示す例では、時刻t51から一定時間が経過した時刻t52で、逆向きのトルクが印加した状態となっている。この状態は、図2に示す構成のクラッチの場合、ローラ63が内外輪に強く噛み込んだ状態である。したがって、この時刻t52でクラッチ解放指令を出力しても、クラッチが解放できなかったり引っかかりの原因となったりする。
このように、操舵反力アクチュエータの過熱防止を目的として、端当て検出時に、クラッチを締結して端当て感を与える場合、端当て時制御を終了するには、クラッチの締結を解除する必要がある。ところが、クラッチの締結を解除するタイミングを適切に設定しないと、トルク印加中にクラッチ解放動作を行うことになり、引っかかり等の操舵の違和感が生じてしまう。
また、クラッチ解放指令を出力した後、クラッチが確実に解放したことを確認せずにSBW制御に移行してしまうと、クラッチを締結したまま可変ギア比制御を実施することになり、ハンドルを取られるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、端当て時制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったとき、クラッチ解放指令を出力する。したがって、切り戻し操作によってトルクが下がりつつあるときにクラッチ解放指令を出力することができる。そのため、引っかかりなく適切にクラッチ6を解放することができる。
また、端当て時制御を終了する場合、トルクセンサ値を用いてクラッチ6が確実に解放したことを確認してからSBW制御に移行するようにする。したがって、クラッチ6を締結したまま可変ギア比制御を実施してしまうという事態を確実に回避することができる。
なお、クラッチ制御部22と図15のステップS36とがクラッチ締結制御部に対応し、クラッチ制御部22と図15のステップS40とがクラッチ解放制御部に対応している。さらに、図15のステップS38及びS39が切り戻し検出部に対応し、ステップS38が操舵角最大値検出部に対応している。
(効果)
第4の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て時制御中に、運転者のステアリングホイール1の切り戻し操作を検出すると、クラッチ6に対して締結解除指令を出力する。
これにより、切り込み限界に達したときには、ステアリングホイール1を介して運転者に良好な端当て感を与えることができる。また、切り戻し操作を検出したときにクラッチ解放指令を出力するので、トルクが下がりつつあるタイミングでクラッチ解放指令を出力することができる。したがって、引っかかりなくクラッチ解放動作を行うことができ、クラッチ解放時における操舵の違和感や音振を低減することができる。
(2)コントローラ20は、端当て制御中に操舵角センサ3で検出した操舵角|θs|の最大値θsmaxを検出する。そして、操舵角センサ3で検出した操舵角|θs|が、最大値θsmaxよりも小さいとき、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったと判断する。
このように、操舵角|θs|と最大値θsmaxとを比較するので、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったことを確実に検出することができる。そのため、トルクが下がりつつある適切なタイミングでクラッチ解放指令を出力することができる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、操舵角θsと操舵角速度ωsとの符号に基づいて、運転者によるステアリングホイール1の切り戻し操作を検出するようにしたものである。
(構成)
第5の実施形態におけるコントローラ20は、図14に示す第4の実施形態におけるコントローラ20と同様の構成を有する。但し、第5の実施形態とは、端当て判定部21での処理が異なる。したがって、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
図18は、端当て判定部21で実行する端当て判定処理手順を示すフローチャートである。この端当て判定処理は、図15におけるステップS38及びS39の処理をステップS51及びS52の処理に置換したことを除いては、図15と同様の処理を行う。
ステップS51では、端当て判定部21は、操舵角θsを微分して操舵角速度ωsを算出する。
次にステップS52では、端当て判定部21は、操舵角θsと操舵角速度ωsとを乗算した結果が負であるか否かを判定する。そして、結果が負である場合には、操舵角θsと操舵角速度ωsとが異符号であり、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったものと判断して前記ステップS40に移行する。一方、結果が正である場合には、操舵角θsと操舵角速度ωsとが同符号であり、運転者はステアリングホイール1の切り戻し操作を行っていないと判断して前記ステップS36に移行する。
(動作)
次に、第5の実施形態の動作について説明する。
切り込み限界となって端当て時制御を行っているときに、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行うと、操舵角θsの符号と操舵角速度ωrの符号とが異なることになる(図18のステップS52でYes)。
そのため、コントローラ20は、そのタイミングでクラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う(ステップS40)。また、同時に、コントローラ20は、解放時転舵指令角θr2を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する(ステップS41)。
そして、クラッチ6が実際に解放し、操舵トルクTが立たなくなると(ステップS42でYes)、通常のSBW制御に復帰する(ステップS33及びS34)。
このように、端当て時制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったことを検出し、そのタイミングでクラッチ解放指令を出力することができる。したがって、上述した第4の実施形態と同様に、切り戻し操作によってトルクが下がりつつあるときにクラッチ解放指令を出力することができる。そのため、引っかかりなく適切にクラッチ6を解放することができる。
なお、図18のステップS51及びS52が切り戻し検出部に対応し、ステップS51が操舵角速度演算部に対応している。
(効果)
第5の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、操舵角θsと操舵角速度ωsとが異符号であるとき、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったと判断する。
このように、操舵角θsの符号と操舵角速度ωsの符号とを比較するので、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったことを適切に検出することができる。そのため、トルクが下がりつつある適切なタイミングでクラッチ解放指令を出力することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
この第6の実施形態は、操舵角θsと操舵トルクTとの符号に基づいて、運転者によるステアリングホイール1の切り戻し操作を検出するようにしたものである。
(構成)
第6の実施形態におけるコントローラ20は、図14に示す第4及び第5の実施形態におけるコントローラ20と同様の構成を有する。但し、第4及び第5の実施形態とは、端当て判定部21での処理が異なる。したがって、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
図19は、端当て判定部21で実行する端当て判定処理手順を示すフローチャートである。この端当て判定処理は、図15におけるステップS38及びS39の処理をステップS61の処理に置換したことを除いては、図15と同様の処理を行う。
ステップS61では、端当て判定部21は、操舵角θsと操舵トルクTとを乗算した結果が負であるか否かを判定する。そして、結果が負である場合には、操舵角θsと操舵トルクTとが異符号であり、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったものと判断して前記ステップS40に移行する。一方、結果が正である場合には、操舵角θsと操舵トルクTとが同符号であり、運転者はステアリングホイール1の切り戻し操作を行っていないと判断して前記ステップS36に移行する。
なお、図19のステップS61が切り戻し検出部に対応している。
(動作)
次に、第6の実施形態の動作について、図20を用いて説明する。
切り込み限界となって図20の時刻t61で端当て時制御を開始した後、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行うと、トルクセンサ値は急激に減少し、時刻t62でトルクゼロを跨いで符号が反転する。このとき、操舵角θsの符号と操舵トルクTの符号とが異なった状態となる(図19のステップS61でYes)。
そのため、コントローラ20は、その時刻t62でクラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う(ステップS40)。また、同時に、コントローラ20は、解放時転舵指令角θr2を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する(ステップS41)。
そして、クラッチ6が実際に解放し、操舵トルクTが立たなくなると(ステップS42でYes)、通常のSBW制御に復帰する(ステップS33及びS34)。
このように、端当て時制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行い、トルクセンサ値の符号が反転したときに、クラッチ解放指令を出力する。そのため、切り戻し操作によってトルクが十分下がったときにクラッチ解放指令を出力することができる。そのため、引っかかりなく適切にクラッチ6を解放することができる。
(効果)
第6の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、操舵角θsと操舵トルクTとが異符号であるとき、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったと判断する。
このように、操舵角θsの符号と操舵トルクTの符号とを比較するので、運転者がステアリングホイール1の切り戻し操作を行ったことを適切に検出することができる。また、トルクが十分下がった適切なタイミングでクラッチ解放指令を出力することができる。
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
この第7の実施形態は、上述した第1の実施形態において、端当て時制御を開始した後、操舵反力を予め定めた反力変化率で減少する操舵反力制限処理を実行すると共に、同時に転舵角を予め定めた転舵変化率で中立側に戻すようにしたものである。本実施形態では、反力変化率及び転舵変化率をそれぞれ一定の変化率とし、操舵反力制限処理を実行している間、操舵反力及び転舵角がそれぞれ一定の変化速度で変化するようにする。
(構成)
図21は、第7の実施形態におけるコントローラ20の構成を示すブロック図である。
このコントローラ20は、図5に示すコントローラ20において、リミッタ24を反力リミッタ33に置換し、端当て時転舵指令角出力部28を端当て時転舵指令角演算部34に置換したことを除いては、図5のコントローラ20と同様の構成を有する。したがって、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
反力リミッタ33は、所定のリミット開始条件が成立したとき、通常反力指令Ts0に制限をかけ、その結果をリミッタ後反力指令Ts1として反力指令切替部25に出力する。具体的には、反力リミッタ33は、操舵トルクTを入力し、端当て判定部21が端当て検出フラグFlg=1を出力したとき、図22に示す操舵反力制限処理を実行する。
先ずステップS71で、反力リミッタ33は、通常反力指令Ts0をそのままリミット後反力指令Ts1として出力し、ステップS72に移行する。すなわち、端当て検出フラグFlg=1となったとき、反力リミッタ33は、通常反力指令Ts0をリミット後反力指令Ts1の初期値として設定する。
ステップS72では、反力リミッタ33は、リミット開始条件が成立しているか否か(通常反力指令Ts0の制限を開始するか否か)を判定する。例えば、端当て検出フラグFlgが0から1に切り替わってから一定時間が経過しているとき、リミット開始条件が成立していると判定する。そして、リミット開始条件が成立していると判定したら、ステップS73に移行する。
ステップS73では、反力リミッタ33は、操舵トルク閾値Tthを設定する。ここで、操舵トルク閾値Tthは、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルクの最大値から、端当て時制御中に減少する必要がある操舵反力(必要削減量)に相当するトルクを差し引いた値に設定する。本実施形態では、端当て時制御中に操舵反力を0まで減少するものとし、現時点でステアリングホイール1に付与している操舵反力をそのまま上記必要削減量とする。
なお、上記必要削減量を予め設定した固定値とし、操舵トルク閾値Tthを固定値とすることもできる。
ステップS74では、反力リミッタ33は、操舵トルクTの絶対値が、前記ステップS73で設定した操舵トルク閾値Tth以下であるか否かを判定する。そして、|T|>Tthである場合には前記ステップS71に移行し、|T|≧Tthである場合にはステップS75に移行する。
ステップS75では、反力リミッタ33は、リミット後反力指令Ts1が一定の変化率で減少するように、通常反力指令Ts0のリミット値を設定する。そして、設定したリミット値で通常反力指令Ts0を制限した結果を、リミット後反力指令Ts1として出力する。この処理を繰り返し、リミット後反力指令Ts1が制限終了値(ここでは“0”)となったら、操舵反力制限処理を終了する。
端当て時転舵指令角演算部34は、端当て時転舵指令角θr1を演算し、これを転舵指令切替部29に出力する。具体的には、端当て時転舵指令角演算部34は、端当て判定部21が端当て検出フラグFlg=1を出力したとき、図22に示す端当て時転舵指令角演算処理を実行する。
先ずステップS81で、端当て時転舵指令角演算部34は、端当て時転舵指令角θr1を初期値(例えばラックエンド角)に設定し、ステップS82に移行する。
ステップS82で、端当て時転舵指令角演算部34は、反力リミッタ33で反力リミットを開始しているか否か、すなわちリミット後反力指令Ts1が通常反力指令Ts0を制限した値となっているか否かを判定する。そして、反力リミットを開始していないと判定したときにはそのまま待機し、反力リミットを開始したと判定したらステップS83に移行する。
ステップS83では、端当て時転舵指令角演算部34は、次式をもとに端当て時転舵指令角θr1を算出し、ステップS84に移行する。
θr1=S・(|θr1|−Δθr) ………(3)
ここで、Sは端当て時転舵指令角(前回値)θr1の符号を示す定数であり、端当て時転舵指令角θr1が正値であるときには“1”、端当て時転舵指令角θr1が負値であるときには“−1”となる。また、Δθrは端当て時転舵指令角θr1の変化量であり、予め定めた固定値とする。
すなわち、端当て時転舵指令角θr1の前回値を、変化量Δθrだけ中立側に戻した値を、端当て時転舵指令角θr1の今回値として設定するものとする。変化量Δθrは、端当て時転舵指令角θr1を変化量Δθrだけ小さくすることで転舵輪11R,11Lが中立側に戻ったときの操舵トルクTの増加分が、同じ時間に反力リミッタ33の作動によって減少した操舵反力トルクと一致又は略一致するような値に設定する。
このように、端当て時転舵指令角θr1を一定の変化率で中立側に戻すことで、転舵角θrを一定の変化率で中立側に戻す。
ステップS84では、端当て時転舵指令角演算部34は、反力リミッタ33での反力リミットが完了しているか否かを判定する。そして、反力リミットが完了していないと判定したときには前記ステップS83に移行し、反力リミットが完了していると判定したときには、その時点での端当て時転舵指令角θr1をそのまま維持して端当て時転舵指令角演算処理を終了する。
このように、コントローラ20は、端当て判定部21で端当て状態を検出してクラッチ6を締結したとき、転舵輪11R,11Lを所定の転舵角に固定する。このようにして、端当て時制御を行う。また、このとき、反力モータ6によってステアリングホイール1に付与する操舵反力を一定の割合で絞るのと同時に、転舵輪11R,11Lを一定の割合で中立側に戻す。
(動作)
次に、第7の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図23の時刻t71の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角θrを検出する(図6のステップS1でYes、ステップS4でYes)。
すると、コントローラ20は、時刻t71で、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS5)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定する(図22のステップS81)。このときの最終転舵指令角θr*は、最大転舵角(ラックエンド角)となる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。また、セルフアライニングトルクによる切り戻しも発生しないようにすることができる。
この端当て時制御を開始してから一定時間が経過すると、時刻t72でコントローラ20は、操舵反力の制限を開始する条件が成立したと判定する(図21のステップS72でYes)。このとき、コントローラ20は、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であることを確認し(ステップS74でYes)、最終反力指令Ts*を通常反力指令Ts0にリミッタをかけたリミット後反力指令Ts1に設定することで、操舵反力を一定の割合で徐々に絞る(ステップS75)。
また、コントローラ20は、操舵反力を絞るのと同時に、端当て時転舵指令角θr1を一定の変化量Δθrずつ小さくする(図22のステップS83)。すなわち、転舵輪11R,11Lの転舵角θrを、最大転舵角(ラックエンド角)から徐々に中立側に戻す。
このとき、クラッチ6は締結状態であるため、転舵輪11R,11Lが中立側に戻ると、トルクセンサ5を構成するトーションバーが捩れる。すると、その分、操舵トルクセンサ5が検出している操舵トルクTが大きくなる。
コントローラ20は、操舵反力が0となるまで最終反力指令Ts*を一定の変化率で小さくし、それと同時に、最終転舵指令角θr*を一定の変化量Δθrずつ小さくする。そして、操舵反力が0となって反力リミッタによるリミットが完了すると(ステップS84でYes)、コントローラ20は、最終転舵指令角θr*をその時点での値で維持し、転舵輪11R,11Lを中立側に戻す動作を終了する。
この一連の処理では、転舵を戻した分、トーションバーが捩れて操舵トルクTが増加するが、同時に反力リミッタ33により操舵反力トルクを減少しており、操舵トルクTの増加分と操舵反力トルクの減少分とが同程度となっている。そのため、ハンドルに加わるトルクの変化を抑制することができる。したがって、ハンドルの切れ込み感や切り戻し感を抑制することができる。
このように、トーションバーの捩れが一定以下のとき、ハンドルに加わるトルクが略一定となるように、操舵反力と転舵角とを協調制御する。その結果、操舵の違和感を極力与えないように操舵反力を絞り、反力モータ4の過熱を確実に防止することができる。
その後、時刻t73でSBW制御への復帰条件が成立すると、コントローラ20は、クラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う。また、同時に、コントローラ20は、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する。このようにして、通常のSBW制御に復帰する。
ところで、端当て時制御を開始した後、操舵反力を絞るときに、転舵角θrをラックエンド位置で固定としたままとすると、操舵の違和感が発生する。以下、この点について説明する。
図24は、操舵反力を制限したときの操舵の違和感について説明する図である。この図24に示す例では、操舵反力を絞るタイミングを、端当て時制御を開始してから一定時間が経過したタイミングとしている。また、操舵反力を絞る際には、最終転舵指令角θr*を固定とし、転舵角θrを固定するようにしている。
すなわち、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、切り込み限界に達すると、図24の時刻t81でクラッチ締結指令を出力し、クラッチを締結状態として端当て時制御を開始する。そして、時刻t81から一定時間が経過した時刻t82で操舵反力を絞り始める。このとき、運転者はステアリングホイール1を保舵しているものとする。
操舵反力が減少すると、それに伴ってトルクセンサが捩れ、操舵トルクTが増加する。このとき、転舵角θrは固定であるため、トルクセンサのトーションバーが捩れることで、その分ステアリングホイール1が切れ込む。これが操舵の違和感となる。
これに対して、本実施形態では、端当て時制御を開始した後、操舵反力を絞る際には、同時に転舵を中立側に戻すようにする。そのため、運転者の意図しないハンドルの切れ込みを抑制することができ、操舵の違和感を抑制することができる。
なお、図21において、反力リミッタ33が操舵反力制限部に対応している。また、端当て時転舵指令角演算部34が転舵角制御部に対応している。
(効果)
第7の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て制御部による端当て制御を開始した後、操舵反力が予め定めた反力変化率で減少するように反力モータ4を駆動制御する操舵反力制限処理を実行すると共に、転舵角θrを予め定めた転舵変化率で中立側に戻すように転舵モータ8を駆動制御する。
このように、端当て時制御中に操舵反力の付与を制限する際、操舵反力を一定の割合で絞るのと同時に転舵を一定の割合で戻り側に動かすので、操舵反力の減少と同時に、転舵側からトルクセンサを構成するトーションバーを捻り操舵トルクを増加することができる。そのため、運転者に与えるハンドル切れ込み感を抑制しつつ操舵反力の付与を制限し、当該反力モータ4の過熱を防止することができる。
また、反力変化率や転舵変化率を、それぞれ操舵反力制限処理を実行している間、一定とすれば、反力アクチュエータ及び転舵アクチュエータの制御を複雑化することなく、比較的簡易な構成で端当て時制御中に操舵反力の付与を制限することができる。
(2)コントローラ20は、転舵角θrの変化率を、転舵角θrを当該変化率で中立側に戻したときの操舵トルクTの単位時間あたりの増加量が、操舵反力制限処理を実行したときの操舵反力トルクの単位時間あたりの減少量と一致又は略一致するように設定する。
これにより、ハンドルに加わるトルクを略一定に保ったまま操舵反力の付与を制限することができる。そのため、操舵反力の付与を制限したときの運転者の意思に反したハンドルの切れ込み感及び切り戻し感を、適切に抑制することができる。
(3)コントローラ20は、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であるとき、反力リミッタを作動し操舵反力の減少を開始する。
これにより、操舵トルクTが操舵トルク最大値に到達するまでのトーションバーの捩れ許容角度が比較的大きい状態で、操舵反力の制限を開始することができる。そのため、操舵反力の制限と同時に転舵を戻り側に動かしたとき、適切にトーションバーを捻り操舵トルクTを増加することができる。したがって、操舵反力の制限に際して転舵を戻り側に動かしたときのハンドルの切り戻しを防止することができる。
(4)コントローラ20は、操舵トルク閾値Tthを、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルク最大値から、反力モータ4によってステアリングホイール1に付与している操舵反力相当のトルクを差し引いた値に設定する。
これにより、操舵反力の必要削減量に応じた操舵トルク閾値Tthを設定することができる。すなわち、操舵反力の必要削減量に相当するトルク分だけ、操舵トルクTの増加が可能な状態で操舵反力の制限を開始することができる。
(5)コントローラ20は、ステアリングホイール1に付与している操舵反力が予め設定した制限終了値まで減少したとき、操舵反力制限処理を終了する。
これにより、操舵反力を減少する必要がなくなったときには、転舵角θrを中立側に戻す処理を終了することができる。したがって、不必要に転舵を戻すことに起因するハンドルの切り戻しを防止することができる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
この第8の実施形態は、上述した第1の実施形態において、端当て時制御を開始した後、転舵角を一定の変化率で中立側に戻すと共に、操舵トルクTが増加した分だけ操舵反力を絞るようにしたものである。
(構成)
図26は、第8の実施形態におけるコントローラ20の構成を示すブロック図である。
このコントローラ20は、図5に示すコントローラ20において、リミッタ24を反力リミッタ35に置換し、端当て時転舵指令角出力部28を端当て時転舵指令角演算部36に置換したことを除いては、図5のコントローラ20と同様の構成を有する。したがって、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
反力リミッタ35は、通常反力指令Ts0に制限をかけ、その結果をリミッタ後反力指令Ts1として反力指令切替部25に出力する。具体的には、反力リミッタ35は、操舵トルクTを入力し、端当て判定部21が端当て検出フラグFlg=1を出力したとき、図27に示す操舵反力制限処理を実行する。
先ずステップS91で、反力リミッタ35は、通常反力指令Ts0をそのままリミット後反力指令Ts1として出力し、ステップS92に移行する。すなわち、端当て検出フラグFlg=1となったとき、反力リミッタ35は、通常反力指令Ts0をリミット後反力指令Ts1の初期値として設定する。
ステップS92では、反力リミッタ35は、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルクTに基づいて、操舵トルクTの所定時間あたりの増加量ΔTを算出し、ステップS93に移行する。
ステップS93では、反力リミッタ35は、前記ステップS92で算出した操舵トルクTの増加量ΔTと同じ大きさのトルクを現在の操舵反力トルクから減少するように、通常反力指令Ts0のリミット値を設定する。そして、設定したリミット値で通常反力指令Ts0を制限し、その結果をリミット後反力指令Ts1として出力する。
次にステップS94では、反力リミッタ35は、反力リミットを完了するか否かを判定する。ここでは、操舵反力が制限終了値(ここでは“0”)となっているか否かを判定し、操舵反力が0でない場合には反力リミットを継続すると判断して前記ステップS92に移行する。一方、操舵反力が0になったと判断した場合には、そのまま操舵反力制限処理を終了する。
端当て時転舵指令角演算部36は、端当て時転舵指令角θr1を演算し、これを転舵指令切替部29に出力する。具体的には、端当て時転舵指令角演算部36は、図28に示す端当て時転舵指令角演算処理(転舵角制御処理)を実行する。
先ずステップS101で、端当て時転舵指令角演算部36は、端当て時転舵指令角θr1を初期値(例えばラックエンド角)に設定し、ステップS102に移行する。
ステップS102で、端当て時転舵指令角演算部36は、操舵トルク閾値Tthを設定する。ここで、操舵トルク閾値Tthは、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルクの最大値から、端当て時制御中に減少する必要がある操舵反力(必要削減量)に相当するトルクを差し引いた値に設定する。本実施形態では、端当て時制御中に操舵反力を0まで減少するものとし、現時点でステアリングホイール1に付与している操舵反力がそのまま上記必要削減量となる。
なお、上記必要削減量を予め設定した固定値とし、操舵トルク閾値Tthを固定値とすることもできる。
ステップS103では、端当て時転舵指令角演算部36は、操舵トルクTの絶対値が、前記ステップS102で設定した操舵トルク閾値Tth以下であるか否かを判定する。そして、|T|>Tthである場合には前記ステップS101に移行し、|T|≧Tthである場合にはステップS104に移行する。
ステップS104では、端当て時転舵指令角演算部36は、次式をもとに端当て時転舵指令角θr1を算出し、ステップS105に移行する。
θr1=S・(|θr1|−Δθr) ………(4)
ここで、Sは端当て時転舵指令角(前回値)θr1の符号を示す定数であり、端当て時転舵指令角θr1が正値であるときには“1”、端当て時転舵指令角θr1が負値であるときには“−1”となる。また、Δθrは端当て時転舵指令角θr1の変化量であり、予め定めた固定値とする。すなわち、端当て時転舵指令角θr1の前回値を、変化量Δθrだけ中立側に戻した値を、端当て時転舵指令角θr1の今回値として設定する。
ステップS105では、端当て時転舵指令角演算部36は、反力リミッタ35での反力リミットが完了しているか否かを判定する。そして、反力リミットが完了していないと判定したときには前記ステップS104に移行し、反力リミットが完了していると判定したときには、端当て時転舵指令角演算処理を終了する。
このように、コントローラ20は、端当て判定部21で端当て状態を検出してクラッチ6を締結したとき、転舵輪11R,11Lを所定の転舵角に固定する。このようにして、端当て時制御を行う。また、このとき、転舵輪11R,11Lを一定の割合で中立側に戻し、これにより操舵トルクTが増えた分、反力モータ6によってステアリングホイール1に付与する操舵反力を絞る。
(動作)
次に、第8の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図29の時刻t91の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角θrを検出する(図6のステップS1でYes、ステップS4でYes)。
すると、コントローラ20は、時刻t91で、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS5)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定する(ステップS6)。このときの最終転舵指令角θr*は、最大転舵角(ラックエンド角)となる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。また、セルフアライニングトルクによる切り戻しも発生しないようにすることができる。
端当て時制御を開始した後は、コントローラ20は、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であることを確認し(図28のステップS103でYes)、端当て時転舵指令角θr1を一定の変化量Δθrずつ小さくする(ステップS104)。すなわち、転舵輪11R,11Lの転舵角θrを、最大転舵角(ラックエンド角)から徐々に中立側に戻す。
このとき、クラッチ6は締結状態であるため、転舵輪11R,11Lが中立側に戻ると、トルクセンサ5を構成するトーションバーが捩れる。すると、その分、操舵トルクセンサ5が検出している操舵トルクTが大きくなる。
コントローラ20は、操舵トルクTの増加を確認すると、所定時間あたりの操舵トルクTの増加量ΔTを算出し(図27のステップS12)、その増加量ΔTに応じて操舵反力の付与を制限する。具体的には、操舵反力トルクが操舵トルクTの増加量ΔTと同じ大きさだけ減少するように反力リミッタのリミット値を設定して、リミット後反力指令Ts1を出力する(ステップS93)。このように、転舵を戻り側に動かすと共に、このとき操舵トルクTが増加した分だけ操舵反力を絞る。
コントローラ20は、操舵反力が0となるまで、転舵輪11R,11Lの転舵角θrを一定量Δθrずつ戻り側に動かす処理を繰り返し実行する(ステップS105でNo)。そして、操舵反力が0となって反力リミッタによるリミットが完了すると、コントローラ20は、最終転舵指令角θr*をその時点での値で維持し、転舵輪11R,11Lを中立側に戻す動作を終了する(ステップS105でYes)。
この一連の処理では、転舵を戻した分、トーションバーが捩れて操舵トルクTが増加したとき、操舵トルクTの増加分だけ操舵反力トルクを減少するので、ハンドルに加わるトルクに変化はない。すなわち、ハンドルの切れ込み感や切り戻し感は発生しない。
このように、トーションバーの捩れが一定以下のとき、ハンドルに加わるトルクが一定となるように、操舵反力と転舵とを協調制御する。その結果、操舵の違和感を極力与えないように操舵反力を絞り、反力モータ4の過熱を確実に防止することができる。
その後、時刻t92でSBW制御への復帰条件が成立すると、コントローラ20は、クラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う。また、同時に、コントローラ20は、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する。このようにして、通常のSBW制御に復帰する。
ところで、上述したように、端当て時制御を開始した後、転舵角θrをラックエンド位置で固定としたまま操舵反力を絞ると、操舵の違和感が発生する(図25)。
これに対して、本実施形態では、端当て時制御を開始した後、転舵を一定の割合で中立側に戻し、それによって操舵トルクTが増加した分だけ操舵反力を絞る。そのため、運転者の意図しないハンドルの切れ込みを防止することができ、操舵の違和感を抑制することができる。
なお、図26において、反力リミッタ35が操舵反力制限部に対応している。また、端当て時転舵指令角演算部36が転舵角制御部に対応している。
(効果)
第8の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て時制御を開始した後、転舵を一定の割合で戻り側に動かすと共に、その間、操舵トルクが増加した分だけ操舵反力トルクが減少するように、操舵反力の付与を制限する。
これにより、切り込み限界に達したときには、ステアリングホイール1を介して運転者に良好な端当て感を与えることができる。また、転舵を戻し側に動かしたときの操舵トルクTの増加分と、操舵反力の減少分とを、同じ大きさにすることができる。すなわち、ハンドルに加わるトルクを一定に保ったまま操舵反力の付与を制限することができる。
したがって、運転者の意思に反したハンドルの切れ込み感及び切り戻し感を適切に抑制しながら、操舵反力の付与を制限し、反力モータ4の過熱を防止することができる。
(2)コントローラ20は、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であるとき、転舵角θrを中立側に戻す処理を開始する。
これにより、操舵トルクTが操舵トルク最大値に到達するまでのトーションバーの捩れ許容角度が比較的大きい状態で、転舵角θrを中立側に戻す処理を開始することができる。そのため、転舵を戻り側に動かしたとき、適切にトーションバーを捻り操舵トルクTを増加することができる。したがって、転舵を戻り側に動かしたときのハンドルの切り戻しを防止することができる。
(3)コントローラ20は、操舵トルク閾値を、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルク最大値から、端当て時制御中に減少すべき操舵反力に相当するトルクを差し引いた値に設定する。
これにより、操舵反力の必要削減量に応じた操舵トルク閾値Tthを設定することができる。すなわち、操舵反力の必要削減量に相当するトルク分だけ、操舵トルクTの増加が可能な状態で転舵角θrを中立側に戻す処理(操舵反力の付与を制限する処理)を開始することができる。
(4)コントローラ20は、ステアリングホイール1に付与している操舵反力が予め設定した制限終了値まで減少したとき、転舵角θrを中立側に戻す処理を終了する。
これにより、操舵反力を減少する必要がなくなったときには、転舵角θrを中立側に戻す処理を終了することができる。したがって、不必要に転舵を戻すことに起因するハンドルの切り戻しを防止することができる。
(第9の実施形態)
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。
この第9の実施形態は、上述した第1の実施形態において、端当て時制御を開始した後、操舵トルクTを監視し、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tthを上回ったときに操舵反力を絞るようにしたものである。
(構成)
図30は、第9の実施形態におけるコントローラ20の構成を示すブロック図である。
このコントローラ20は、図5に示すコントローラ20において、端当て判定部21を端当て時制御部37に置換し、リミッタ24を反力リミッタ38に置換し、反力指令切替部25及び転舵指令切替部29を、反力指令切替部25″及び転舵指令切替部29″に置換したことを除いては、図5のコントローラ20と同様の構成を有する。したがって、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
端当て時制御部37は、操舵角θsと転舵角θrと操舵トルクTとを入力し、図31に示す端当て時制御処理を実行する。図31の端当て時制御処理は、所定時間毎に繰り返し実行する。
先ずステップS111で、端当て時制御部37は、転舵角θrが最大転舵角即ちラックエンド角に達しているか否かを判定する。そして、転舵角θrが最大転舵角ではないと判定した場合にはステップS112に移行し、転舵角θrが最大転舵角であると判定した場合には後述するステップS115に移行する。
ステップS112では、端当て時制御部37は、クラッチ6を解放するためのクラッチ指令(クラッチ解放指令)を、クラッチ制御部22に出力し、ステップS113に移行する。
ステップS113では、端当て時制御部37は、端当て検出フラグFlg2を、端当て状態を検出していないことを示す“0”にセットする。ここで、端当て状態とは、運転者がステアリングホイール1を中立位置から左方向または右方向に操舵し、ラック軸13が最大移動量に達した状態(操舵限界に達した状態)をいう。そして、端当て検出フラグFlg2=0を後述する転舵指令切替部29″に出力してから、ステップS114に移行する。
ステップS114では、端当て時制御部37は、反力制御フラグFlg1を、後述する反力リミッタを非作動状態とすることを示す“0”にセットする。そして、反力制御フラグFlg1=0を後述する反力指令切替部25″に出力してから、端当て時制御処理を終了する。
ステップS115では、端当て時制御部37は、操舵角θsが最大操舵角即ち切り込み限界角に達しているか否かを判定する。そして、操舵角θsが最大操舵角ではないと判定した場合には前記ステップS112に移行し、操舵角θsが最大操舵角であると判定した場合にはステップS116に移行する。
ステップS116では、端当て時制御部37は、クラッチ6を締結するためのクラッチ指令(クラッチ締結指令)をクラッチ制御部22に出力し、ステップS117に移行する。
ステップS117では、端当て時制御部37は、端当て検出フラグFlg2を、端当て状態を検出したことを示す“1”にセットする。そして、端当て検出フラグFlg2=1を後述する転舵指令切替部29″に出力してから、ステップS118に移行する。
ステップS118では、端当て時制御部37は、操舵トルクTの絶対値が予め設定した操舵トルク閾値Tthよりも大きいか否かを判定する。ここで、操舵トルク閾値Tthは、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルク最大値の近傍に設定する。そして、|T|≦Tthであると判定した場合には前記ステップS114に移行し、|T|>Tthであると判定した場合にはステップS119に移行する。
ステップS119では、端当て時制御部37は、反力制御フラグFlg1を、後述する反力リミッタを作動状態とすることを示す“1”にセットする。そして、反力制御フラグFlg1=1を後述する反力指令切替部25″に出力してから、端当て時制御処理を終了する。
このように、端当て時制御部37は、SBW制御中に端当て状態であるか否かを判定し、端当て状態を検出していないとき、反力指令切替部25″に反力制御フラグFlg1=0を出力すると共に、転舵指令切替部29″に端当て検出フラグFlg2=0を出力する。また、このとき端当て時制御部37は、クラッチ制御部22にクラッチ解除指令を出力する。
一方、端当て時制御部37は、SBW制御中に端当て状態を検出すると、転舵指令切替部29″に端当て検出フラグFlg=1を出力すると共に、クラッチ制御部22にクラッチ締結指令を出力する。そして、この状態で操舵トルク閾値Tthを上回る操舵トルク|T|を検出すると、後述する反力指令切替部25″に反力制御フラグFlg=1を出力する。
また、端当て時制御部37は、端当て時制御中にSBW制御への復帰条件が成立すると、反力指令切替部25″に反力制御フラグFlg1=0を出力すると共に、転舵指令切替部29″に端当て検出フラグFlg2=0を出力する。また、クラッチ制御部22にクラッチ解放指令を出力する。
反力リミッタ38は、通常反力指令Ts0を速やかに0とするような制限をかけ、その結果をリミッタ後反力指令Ts1として反力指令切替部25に出力する。なお、反力リミッタ38においては、通常反力指令Ts0を速やかに0とするのではなく、例えば0付近の所定値まで減少するような制限をかけることもできる。
反力指令切替部25″は、端当て時制御部37から反力制御フラグFlg1=0を入力している場合には、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。また、反力指令切替部25″は、端当て時制御部37から反力制御フラグFlg1=1を入力している場合には、リミッタ後反力指令Ts1を最終反力指令Ts*として反力制御部26に出力する。
転舵指令切替部29″は、端当て時制御部37から端当て検出フラグFlg2=0を入力している場合には、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。また、転舵指令切替部29″は、端当て時制御部37から端当て検出フラグFlg2=1を入力している場合には、端当て時転舵指令角θr1を最終転舵指令角θr*として角度サーボ制御部30に出力する。
このように、コントローラ20は、端当て時制御部37で端当て状態を検出してクラッチ6を締結したとき、転舵輪11R,11Lを所定の転舵角に固定する。このようにして、端当て時制御を行う。また、このとき、操舵トルク|T|が操舵トルク閾値Tthを上回ったら、反力モータ6によってステアリングホイール1に付与している操舵反力を制限する。
(動作)
次に、第9の実施形態の動作について説明する。
SBW制御中に、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、図32の時刻t101の直前で切り込み限界に達すると、操舵角センサ3は最大操舵角θsを検出する。また、その操舵角θsに応じた転舵量となるように転舵モータ8を駆動制御することで、転舵輪11R,11Lは最大転舵角まで転舵する。そのため、転舵モータ角度センサ9は最大転舵角θrを検出する(図31のステップS111でYes、ステップS115でYes)。
すると、コントローラ20は、時刻t101で、クラッチ締結指令によってクラッチ6を解放状態から締結状態へ切り替える制御を行う(ステップS116)。また、同時に、最終転舵指令角θr*を端当て時転舵指令角θr1に固定する(ステップS117)。このときの最終転舵指令角θr*は、最大転舵角(ラックエンド角)となる。
これにより、転舵輪11R,11Lの転舵角は、端当て時転舵指令角θr1で固定となる。このとき、ステアリングホイール1と転舵輪11R,11Lとは、クラッチ6を介して機械的に連結している。そのため、転舵輪11R,11Lの転舵角を固定することで、ステアリングホイール1をそれ以上切り込めないようにすることができる。すなわち、運転者に対して良好な端当て感を与えることができる。また、セルフアライニングトルクによる切り戻しも発生しないようにすることができる。
この端当て時制御により運転者に端当て感を与えたとき、運転者が、端当て状態であることを確認するため等によりステアリングホイール1を切り込み方向に操作すると、操舵トルクセンサ5を構成するトーションバーが捩れる。すると、操舵トルクセンサ5が検出している操舵トルクTが大きくなる。
端当て時制御中は転舵角θrが固定であるため、トーションバーが捩れると、その分ステアリングホイール1が切れ込む。しかしながら、この場合は、運転者のハンドル切り込み意思と合致した挙動となるため、ハンドルが切れ込んでも違和感とはならない。
そして、運転者によるステアリング操作によって、時刻t102で操舵トルクセンサ5が操舵トルク閾値Tthを上回る操舵トルク|T|を検出すると(ステップS118でYes)、コントローラ20は、操舵反力にリミッタをかけ、操舵反力を絞る(ステップS119)。
操舵反力が減ると、運転者による操舵力が操舵反力に打ち勝ち、その分トーションバーが捩れる。ところが、操舵反力を絞り始めたタイミングでは、すでにトーションバーは十分捩れた状態にあるため、操舵反力が減り、その分トーションバーが捩れたとしても、すぐにストッパが機能し捩れが止まる。そのため、ハンドルの切り込みも停止する。
すなわち、操舵トルク|T|が操舵トルク閾値Tthを上回ったときに操舵反力を絞るようにすることで、操舵トルクTが操舵トルク最大値に到達するまでのトーションバーの捩れ許容角度が比較的小さい状態で、操舵反力を絞ることができる。
したがって、操舵反力の減少に起因するトーションバーの捩れ(操舵トルクの増加量ΔT)を比較的小さく抑え、運転者の意思と合致しないハンドルの切れ込みを抑制することができる。また、操舵反力を減少したときのハンドルの切れ込み量が比較的小さいため、操舵反力の付与を制限する際に、操舵反力を速やかに0にしても大きな違和感は生じない。
このように、操舵の違和感を極力与えないように操舵反力を絞り、反力モータ4の過熱を確実に防止する。
その後、時刻t103でSBW制御への復帰条件が成立すると、コントローラ20は、クラッチ解放指令によってクラッチ6を締結状態から解放状態へ切り替える制御を行う。また、同時に、コントローラ20は、通常転舵指令角θr0を最終転舵指令角θr*として設定すると共に、通常反力指令Ts0を最終反力指令Ts*として設定する。このようにして、通常のSBW制御に復帰する。
ところで、端当て時制御を開始した後の操舵反力を絞るタイミングを、トルクセンサの捩れにかかわらず固定とした場合、操舵の違和感が発生する。以下、この点について説明する。
図33は、操舵反力を制限したときの操舵の違和感について説明する図である。この図33に示す例では、操舵反力を絞るタイミングを、端当て時制御を開始してから一定時間が経過したタイミングとしている。
すなわち、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を行い、切り込み限界に達すると、図33の時刻t111でクラッチ締結指令を出力し、クラッチを締結状態として端当て時制御を開始する。
このとき、運転者がステアリングホイール1を保舵している場合には、操舵トルクTの増加はなく、トーションバーの捩れ許容角度は比較的大きい状態にある。この状態で、時刻t111から一定時間が経過した時刻t112で操舵反力を絞り始めると、操舵反力の減少に伴い、トーションバーの捩れが許容された範囲内でトーションバーが捩れる。このときの捩れ量は比較的大きく、操舵トルクTは大きく増加する(操舵トルクの増加量ΔT)。
したがって、このときステアリングホイール1は、運転者の意思に反して大きく切れ込み、これが操舵の違和感となる。
これに対して、本実施形態では、端当て時制御を開始してから、運転者によるステアリング操作により操舵トルクセンサ5のトーションバーが十分に捩れるまでは、操舵反力を付与した状態を維持する。そして、操舵トルクセンサ5で検出した操舵トルク|T|が操舵トルク閾値Tthを上回ったとき、操舵反力を絞るようにする。そのため、運転者の意図しないハンドルの切れ込みを抑制することができ、操舵の違和感を抑制することができる。
なお、図30において、端当て時制御部37が端当て検出部に対応している。さらに、反力リミッタ38が操舵反力制御部に対応している。
(効果)
第9の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、端当て時制御中に、操舵トルクセンサ5によって操舵トルク閾値Tthを上回る操舵トルク|T|を検出したとき、操舵反力の付与を制限する。
これにより、切り込み限界に達したときには、ステアリングホイール1を介して運転者に良好な端当て感を与えることができる。このとき、端当て時制御を開始してから操舵トルクTが操舵トルク閾値Tthを上回るまでの間は、転舵状態に応じた操舵反力を付与し続けるので、運転者の意図しないハンドルの切り込みを防止することができる。
また、操舵トルク|T|が操舵トルク閾値Tthを上回ったときに操舵反力の付与を制限することで、運転者のハンドルの切り込み操作によってトルクセンサを構成するトーションバーが十分に捩れた状態で、操舵反力を絞ることができる。このように、トーションバーの捩れ許容角度が小さい状態で操舵反力を絞るので、操舵反力の減少に伴ってトーションバーがさらに捩れた場合であっても、その捩れ量を小さく抑えることができる。したがって、操舵の違和感を抑制しつつ、反力モータ4の出力を低下して当該反力モータ4の過熱を防止することができる。
(2)操舵トルク閾値Tthを、操舵トルクセンサ5で検出可能な操舵トルク最大値の近傍に設定する。
これにより、トーションバーの捩れ許容角度が比較的小さい状態で操舵反力を絞ることができる。したがって、操舵反力の付与を制限したときの運転者の意思に反したハンドルの切れ込み感を、確実に抑制することができる。
(3)コントローラ20は、操舵反力を零にすることで、操舵反力の付与を制限する。
このように、操舵反力を零にするので、反力モータ4を速やかに停止することができ、反力モータ4の過熱を適切に防止することができる。
(第10の実施形態)
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。
この第10の実施形態は、上述した第9の実施形態において、操舵トルク閾値Tthを固定値としているのに対し、操舵トルク閾値Tthを操舵角速度ωsに応じて変更するようにしたものである。
(構成)
第10の実施形態におけるコントローラ20の構成は、図30のコントローラ20と同様の構成を有する。但し、図30の端当て時制御部37での処理は異なる。
図34は、端当て時制御部37で実行する端当て時制御処理手順を示すフローチャートである。この端当て時制御処理は、図31におけるステップS117の後に、ステップS121及びS122の処理を追加したことを除いては、図31と同様の処理を行う。以下、処理の異なる部分について説明する。
ステップS121では、端当て時制御部37は、操舵角θsを微分して操舵角速度ωsを算出し、ステップS122に移行する。
ステップS122では、端当て時制御部37は、前記ステップS121で算出した操舵角速度ωsに基づいて、次式をもとに操舵トルク閾値Tthを算出する。
Tth=Tth1−K・|ωs| ………(5)
ここで、Tth1は操舵トルク閾値Tthの最大値であり、例えば操舵トルク最大値の近傍に設定する。また、Kはゲインであり、操舵角速度|ωs|が大きいほど操舵トルク閾値Tthが小さくなる値に設定する(K≧0)。
このように、操舵トルク閾値Tthは、操舵角速度|ωs|が大きいほど小さくなるように設定する。
(動作)
次に、第10の実施形態の動作について説明する。
切り込み限界となって端当て時制御を開始した後、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作をゆっくり行うと、コントローラ20は、操舵角速度|ωs|を比較的小さい値に算出する(図34のステップS121)。そのため、コントローラ20は、操舵トルク閾値Tthを比較的大きい値に設定する(ステップS122)。
そして、操舵トルク|T|が、大きく設定した操舵トルク閾値Tthを上回ったとき、操舵反力の付与を制限する。すなわち、操舵トルクセンサ5のトーションバーが十分に捩れたときに、|T|>Tthとなって操舵反力を絞ることになる。
この場合、操舵反力を絞ったときのハンドルの切り込み量は小さい。運転者がゆっくり操舵している場合、運転者はハンドルの切り込み感を敏感に感じ取るため、このように操舵反力を絞ったときのハンドルの切り込み量を抑えることで、操舵の違和感を確実に抑制することができる。
一方、端当て時制御を開始した後、運転者がステアリングホイール1の切り込み操作を素早く行うと、コントローラ20は、操舵角速度|ωs|を比較的大きい値に算出する(ステップS121)。そのため、コントローラ20は、操舵トルク閾値Tthを比較的小さい値に設定する(ステップS122)。
すなわち、操舵トルクセンサ5のトーションバーが少ししか捩れていなくても、|T|>Tthとなって操舵反力を絞ることになる。
そのため、この場合には、操舵反力を絞ったときのハンドルの切り込み量が大きくなる。しかしながら、運転者が素早く操舵している場合には、運転者はハンドルの切り込み感を感じにくい。そのため、操舵反力を絞ったときのハンドルの切り込み量が比較的大きくても、運転者の違和感とはなりにくい。
このように、ゆっくり操舵したときと素早く操舵したときとで運転者の感覚に違いがあることを利用し、操舵反力の制限を開始する条件を変更する。したがって、運転者の操舵の違和感を確実に抑制しつつ、操舵反力を適切に制限することができる。
なお、図34において、ステップS121が操舵角速度検出部に対応している。
(効果)
第10の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)コントローラ20は、操舵角速度|ωs|が大きいほど、操舵トルク閾値Tthを小さい値に設定する。
これにより、運転者がゆっくり操舵しており、ハンドルの切れ込み感を敏感に感じ取る状態であるときには、ハンドルの切れ込みが極力発生しないようにすることができる。また、運転者が素早く操舵しており、ハンドルの切れ込み感を感じにくい状態であるときには、ハンドルの切れ込みが多少発生しても問題ないとして、早めに操舵反力の付与を制限する。したがって、運転者の操舵の違和感を確実に抑制しつつ、適切に操舵反力を制限し、反力モータ4の過熱を防止することができる。
(変形例)
(1)上記第1〜第3の実施形態においては、端当て時制御中はリミット後反力指令を最終反力指令として設定する場合について説明したが、反力指令の制限方法はこれに限定しない。例えば、反力モータ4の温度を検出する温度センサを備える場合、反力モータ4の温度上昇に応じて反力指令の制限量を増加するようにしてもよい。これにより、より確実に反力モータの過熱を防止することができる。
(2)上記第4〜第10の実施形態においては、上述した第1の実施形態のように、端当て時制御として、転舵角をラックエンド角で固定する転舵角固定制御を行う場合について説明したが、転舵角を固定する角度は、上述した第2の実施形態のように端当て状態を検出したときの転舵角であってもよい。さらに、上述した第3の実施形態のように、クラッチ6の締結が完了したときの転舵角であってもよい。
(3)上記第7〜第10の実施形態においては、上述した第4〜第6の実施形態のように、端当て制御中に運転者によるステアリングホイール1の切り戻し操作を検出したとき、クラッチ6に対して締結解除指令を出力するようにしてもよい。
(4)上記第7の実施形態においては、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であるときに操舵反力の制限を開始する場合について説明したが、操舵トルクTの大きさにかかわらず操舵反力の制限を開始することもできる。ただし、この場合、操舵トルクTが操舵トルクセンサ5で検出可能な最大操舵トルクに達したか否か(トーションバーの捻れ許容角度が0になったか否か)を判定し、最大操舵トルクに達したと判断したときに操舵反力の制限を終了するようにする。すなわち、操舵トルクTの増加が可能な分だけ操舵反力を削減するものとし、操舵反力が完全に0にならなくても操舵反力の制限を終了する。
これにより、操舵反力の制限に際し転舵を戻り側に動かしたとき、トーションバーが捩れずハンドルが中立側に戻ってしまうといった現象を回避することができる。また、端当て時制御の開始直後に操舵反力の制限を開始することができるので、反力モータ4の過熱防止動作を迅速に行うことができる。
(5)上記第8の実施形態においては、操舵トルクTが操舵トルク閾値Tth以下であるときに転舵角θrを戻り側に動かす処理を開始する場合について説明したが、操舵トルクTの大きさにかかわらず転舵角θrを戻り側に動かす処理を開始することもできる。ただし、この場合、操舵トルクTが操舵トルクセンサ5で検出可能な最大操舵トルクに達したか否か(トーションバーの捻れ許容角度が0であるか否か)を判定し、最大操舵トルクに達したと判断したときに転舵角θrを戻り側に動かす処理を終了するようにする。すなわち、操舵トルクTの増加が可能な分だけ操舵反力を削減し、操舵反力が完全に0になる前に操舵反力の制限(転舵の戻し処理)を終了する。
これにより、転舵を戻り側に動かしたとき、トーションバーが捩れずハンドルが中立側に戻ってしまうといった現象を回避することができる。また、確実に操舵反力の制限を開始することができるので、反力モータ4の過熱防止動作を効果的に行うことができる。
(6)なお、上記各実施形態においては、転舵角θr及び操舵角θsの何れか一方のみを監視し、転舵角θrが最大転舵角に達する状態、又は操舵角θsが最大操舵角に達する状態を、端当て状態として検出することもできる。これにより、ギア比の変化により操舵角θsと転舵角θrとの関係が変化した場合に対応することができ、端当て状態の誤検出を抑制することができる。
産業上の利用の可能性
本発明に係る車両用操舵制御装置によれば、端当て検出時に、クラッチを締結して転舵角をラックエンド角付近で固定するので、良好な端当て感を与えることができ、有用である。また、端当て感を与えるために操舵反力アクチュエータで最大反力を発生することがないため、操舵反力アクチュエータの過熱を防止することができ、有用である。さらに、操舵反力アクチュエータの大型化の必要もなくなり、スペース的にもコスト的にも有利となる。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…操舵角センサ、4…反力モータ、5…操舵トルクセンサ、6…クラッチ、7…ピニオンシャフト、8…転舵モータ、8a…転舵出力歯車、9…転舵モータ角センサ、11R,11L…転舵輪、12…ピニオンギア、13…ラック軸、14…タイロッド、15…ナックルアーム、20…コントローラ

Claims (27)

  1. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
    転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
    前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
    前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力するクラッチ制御部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角を設定し、前記転舵輪の転舵角を前記端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御部と、
    前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出部と、
    前記転舵輪の転舵角速度を検出する転舵角速度検出部と、を備え、
    前記端当て制御部は、
    前記クラッチ制御部で前記クラッチに対して締結指令を出力したときに、当該クラッチの締結が完了したときの前記転舵輪の転舵角である締結完了時転舵角を予測する締結時転舵角予測部を有し、前記締結時転舵角予測部で予測した前記締結完了時転舵角を、前記端当て時転舵指令角として設定し、
    前記締結時転舵角予測部は、
    前記クラッチ制御部で前記クラッチに対して締結指令を出力したときに前記転舵角速度検出部で検出した前記転舵輪の転舵角速度と、前記クラッチに対して締結指令を出力してから実際に当該クラッチが締結するまでに要するクラッチ締結時間とに基づいて、前記クラッチに対して締結指令を出力してから当該クラッチの締結が完了するまでの間に前記転舵輪が転舵する転舵角を予測する転舵角変化予測部を有し、
    前記クラッチ制御部で前記クラッチに対して締結指令を出力したときに前記転舵角検出部で検出した転舵角と、前記転舵角変化予測部で予測した転舵角とを加算することで、前記締結完了時転舵角を予測することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
    転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
    前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
    前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力するクラッチ制御部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角を設定し、前記転舵輪の転舵角を前記端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御部と、
    前記端当て制御部による端当て制御を開始した後、前記操舵反力が予め定めた反力変化率で減少するように前記反力アクチュエータを駆動制御する、操舵反力制限処理を実行する操舵反力制限部と、
    前記操舵反力制限部で前記操舵反力を減少している間、前記転舵輪の転舵角を予め定めた転舵変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵角制御部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
    転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
    前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
    前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力するクラッチ制御部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角を設定し、前記転舵輪の転舵角を前記端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御部と、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記端当て制御部による端当て制御を開始した後、前記転舵輪の転舵角を一定の変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御する、転舵角制御処理を実行する転舵角制御部と、
    前記転舵角制御部で前記転舵角を中立側に戻している間、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクの増加分と同等の操舵反力トルクを減少するように、前記反力アクチュエータを駆動制御する操舵反力制限部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、
    転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部と、
    前記操舵部と前記転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチと、
    前記クラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御を行う操舵制御部と、
    前記操舵制御部によるステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出する端当て検出部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記クラッチに対して締結指令を出力するクラッチ制御部と、
    前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角を設定し、前記転舵輪の転舵角を前記端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御部と、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記端当て制御部による端当て制御を開始してから、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが、前記ステアリングホイールがより切り込み方向に操作されたことによって前記操舵トルク検出部のトーションバーが捩じられたことを検出するための操舵トルク閾値を上回るまでの間、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御し、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが前記操舵トルク閾値を上回ったとき、前記操舵反力の付与を制限するように前記反力アクチュエータを駆動制御する操舵反力制御部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 前記端当て制御部は、前記端当て検出部で端当て状態を検出したとき、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力に制限を設けた操舵反力を付与するように、前記反力アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
  6. 操舵角を検出する操舵角検出部と、
    少なくとも前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、運転者によるステアリングホイールの切り戻し操作を検出する切り戻し検出部と、
    前記端当て制御部による端当て制御中に、前記切り戻し検出部で運転者によるステアリングホイールの切り戻し操作を検出したとき、前記クラッチに対して締結解除指令を出力するクラッチ解放制御部と、を備えることを特徴とする請求項1又はに記載の車両用操舵制御装置。
  7. 前記切り戻し検出部は、
    前記端当て制御部による端当て制御中に前記操舵角検出部で検出した操舵角の最大値を検出する操舵角最大値検出部を有し、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角が、前記操舵角最大値検出部で検出した操舵角の最大値よりも小さいとき、運転者がステアリングホイールの切り戻し操作を行ったと判断することを特徴とする請求項に記載の車両用操舵制御装置。
  8. 前記切り戻し検出部は、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、操舵角速度を演算する操舵角速度演算部を有し、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角の符号と、前記操舵角速度演算部で演算した操舵角速度の符号とが異符号であるとき、運転者がステアリングホイールの切り戻し操作を行ったと判断することを特徴とする請求項に記載の車両用操舵制御装置。
  9. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部を備え、
    前記切り戻し検出部は、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角の符号と、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクの符号とが異符号であるとき、運転者がステアリングホイールの切り戻し操作を行ったと判断することを特徴とする請求項に記載の車両用操舵制御装置。
  10. 前記端当て制御部による端当て制御を開始した後、前記操舵反力が予め定めた反力変化率で減少するように前記反力アクチュエータを駆動制御する、操舵反力制限処理を実行する操舵反力制限部と、
    前記操舵反力制限部で前記操舵反力を減少している間、前記転舵輪の転舵角を予め定めた転舵変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御する転舵角制御部と、を備えることを特徴とする請求項1、5〜9の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  11. 前記転舵変化率は、前記転舵角を当該転舵変化率で中立側に戻したときの操舵トルクの単位時間あたりの増加量が、前記操舵反力制限部で前記操舵反力制限処理を実行したときの操舵反力トルクの単位時間あたりの減少量と一致又は略一致する値に設定することを特徴とする請求項2又は10に記載の車両用操舵制御装置。
  12. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部を備え、
    前記操舵反力制限部は、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが操舵トルク閾値以下であるとき、前記操舵反力制限処理を開始することを特徴とする請求項2、10、11の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  13. 前記操舵トルク閾値は、前記操舵トルク検出部で検出可能な操舵トルク最大値から、前記操舵反力制限部で減少すべき操舵反力相当のトルクを差し引いた値に設定することを特徴とする請求項12に記載の車両用操舵制御装置。
  14. 前記操舵反力制限部は、前記ステアリングホイールに付与している操舵反力が予め設定した制限終了値まで減少したとき、前記操舵反力制限処理を終了することを特徴とする請求項2、10〜13の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  15. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記端当て制御部による端当て制御を開始した後、前記転舵輪の転舵角を一定の変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御する、転舵角制御処理を実行する転舵角制御部と、
    前記転舵角制御部で前記転舵角を中立側に戻している間、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクの増加分と同等の操舵反力トルクを減少するように、前記反力アクチュエータを駆動制御する操舵反力制限部と、を備えることを特徴とする請求項1、5〜9の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  16. 前記転舵角制御部は、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが操舵トルク閾値以下であるとき、前記転舵角制御処理を開始することを特徴とする請求項3又は15に記載の車両用操舵制御装置。
  17. 前記操舵トルク閾値は、前記操舵トルク検出部で検出可能な操舵トルク最大値から、前記端当て制御中に減少すべき操舵反力相当のトルクを差し引いた値に設定することを特徴とする請求項16に記載の車両用操舵制御装置。
  18. 前記転舵角制御部は、前記ステアリングホイールに付与している操舵反力が予め設定した制限終了値まで減少したとき、前記転舵角制御処理を終了することを特徴とする請求項3、15〜17の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  19. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記端当て制御部による端当て制御を開始してから、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが操舵トルク閾値を上回るまでの間、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御し、前記操舵トルク検出部で検出した操舵トルクが前記操舵トルク閾値を上回ったとき、前記操舵反力の付与を制限するように前記反力アクチュエータを駆動制御する操舵反力制御部と、を備えることを特徴とする請求項1、5〜9の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  20. 前記操舵トルク閾値は、前記操舵トルク検出部で検出可能な操舵トルク最大値の近傍に設定することを特徴とする請求項4又は19に記載の車両用操舵制御装置。
  21. 操舵角速度を検出する操舵角速度検出部を備え、
    前記操舵トルク閾値は、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度が大きいほど、小さい値に設定することを特徴とする請求項4、19、20の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  22. 前記操舵反力制御部は、前記操舵反力を零にすることで、前記操舵反力の付与を制限することを特徴とする請求項4、19〜21の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  23. 前記端当て検出部は、前記転舵輪の転舵角が予め定めた最大転舵角に達する状態、及び前記ステアリングホイールの操舵角が予め定めた最大操舵角に達する状態の少なくとも一方の状態を、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態として検出することを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  24. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、
    前記クラッチに対して締結指令を出力すると共に、
    前記クラッチに対して締結指令を出力したときに検出した前記転舵輪の転舵角速度と、前記クラッチに対して締結指令を出力してから実際に当該クラッチが締結するまでに要するクラッチ締結時間とに基づいて、前記クラッチに対して締結指令を出力してから当該クラッチの締結が完了するまでの間に前記転舵輪が転舵する転舵角を予測し、
    前記クラッチに対して締結指令を出力したときに検出した転舵角と、予測した前記転舵角とを加算することで、前記クラッチの締結が完了したときの前記転舵輪の転舵角である締結完了時転舵角を予測し、予測した前記締結完了時転舵角を、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角として設定し、
    前記転舵輪の転舵角を、前記端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。
  25. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、
    前記クラッチに対して締結指令を出力すると共に、前記転舵輪の転舵角を、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御を実行し、
    前記端当て制御を開始した後、前記操舵反力が予め定めた反力変化率で減少するように前記反力アクチュエータを駆動制御する、操舵反力制限処理を実行し、前記操舵反力を減少している間、前記転舵輪の転舵角を予め定めた転舵変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。
  26. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、
    前記クラッチに対して締結指令を出力すると共に、前記転舵輪の転舵角を、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御を実行し、
    前記端当て制御を開始した後、前記転舵輪の転舵角を一定の変化率で中立側に戻すように前記転舵アクチュエータを駆動制御する、転舵角制御処理を実行し、前記転舵角を中立側に戻している間、操舵トルクの増加分と同等の操舵反力トルクを減少するように、前記反力アクチュエータを駆動制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。
  27. ステアリングホイール及び該ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータを有する操舵部と、転舵輪及び転舵輪を転舵する転舵機構を駆動する転舵アクチュエータを有する転舵部とを機械的に連結及び連結解除可能なクラッチの締結を解除した状態で、前記転舵輪の転舵角を、前記ステアリングホイールの操舵状態に応じた転舵指令角とするべく前記転舵アクチュエータを駆動制御すると共に、前記ステアリングホイールに、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御するステアバイワイヤ制御中に、前記ステアリングホイールの切り込み限界付近に達した端当て状態を検出したとき、
    前記クラッチに対して締結指令を出力すると共に、前記転舵輪の転舵角を、最大転舵角付近の端当て時転舵指令角で固定するように前記転舵アクチュエータを駆動制御する端当て制御を実行し、
    前記端当て制御を開始してから、操舵トルクが、前記ステアリングホイールがより切り込み方向に操作されたことによって操舵トルク検出部のトーションバーが捩じられたことを検出するための操舵トルク閾値を上回るまでの間、前記転舵輪の転舵状態に応じた操舵反力を付与するべく前記反力アクチュエータを駆動制御し、前記操舵トルクが前記操舵トルク閾値を上回ったとき、前記操舵反力の付与を制限するように前記反力アクチュエータを駆動制御することを特徴とする車両用操舵制御方法。
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