JP6069914B2 - 樹脂組成物及びそれを用いたフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、耐屈曲性が求められる用途、特にフラットパネルディスプレイ構成材料として好適な耐屈曲性を有するフィルム及びそのフィルムに好適な樹脂組成物に関するものである。
携帯電話、携帯ゲーム機、スマートフォン、電子ブックリーダー等持ち歩くことが前提のモバイル分野で使用される液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーのようなフラットパネルディスプレイは、可搬時や不意の落下時に受ける衝撃、揺れ、捻れ等によりごく短時間の屈曲負荷を多く受ける。また、近年タッチパネルのような指、タッチペンでの繰り返し荷重による負荷も増大傾向であり、これらのディプレイ面に使用されるフィルム材には耐屈曲性の高いものが要求されている。
ディプレイ面に用いられる材料として透明で加工しやすく、耐衝撃性に優れるポリカーネート樹脂がよく用いられるが、繰り返し耐屈曲性については必ずしも十分とは言えなかった。
一方、ポリカーボネート樹脂の改質のため、ポリアリレート樹脂とのブレンドした樹脂組成物も用いられ(特許文献1,特許文献2)、さらには液晶ディスプレイ用位相差フィルムへの適用も開示されている。(特許文献3)
しかしながら、いずれの場合も繰り返し耐屈曲性については言及しておらず、繰り返し耐屈曲性に対して改善の余地があった。
特開2004−277438号公報 特開2009−40866号公報 特開平5−333212号公報
本発明が解決しようとする課題は、繰り返し耐屈曲性に優れたフラットパネルディスプレイ構成用フィルムとそれに好適な樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分子量の異なる2種類以上のポリカーボネート樹脂とポリアリレート樹脂を組み合わせた樹脂組成物から得られたフィルムが、著しく繰り返し耐屈曲性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す樹脂組成物及びそれを用いたフィルムに関する。
(1)
ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)7万以上20万未満のポリカーボネート樹脂(A−1)及びポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)4万以上7万未満のポリカーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)からなる樹脂組成物。
(2)
A−1のMwとA−2のMwとの差異(ΔMw)が1万以上である(1)の樹脂組成物。
(3) 前記A70〜95質量%と前記B5〜30質量%とからなる(1)または(2)の樹脂組成物
(4) 前記Bのポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上7万以下である(1)〜(3)の樹脂組成物。
(5) 前記Aが、ビスフェノールAを主成分とするポリカーボネート樹脂である(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6) 前記Bが、ビスフェノールAを主成分とするポリアリレート樹脂である(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかの樹脂組成物を成形してなるフィルム。
(8) 厚さが10〜200μmである(7)のフィルム。
(9) 湿式成形または押出成形にて成形された(7)または(8)のフィルム。
(10)フラットパネルディスプレイ用構成材として使用される(7)〜(9)のいずれかのフィルム。
(11)モバイル端末ディスプレイ用構成材として使用される(10)のフィルム。
本発明によれば、繰り返し耐屈曲性に優れた高い耐久性を有するフラットパネルディスプレイ用フィルムが得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール類と炭酸エステル形成化合物からポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えばビスフェノール類とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいはビスフェノール類とビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法を採用して得ることができる。
ホスゲン法とエステル交換法のうちでは、目的とする高い重量平均分子量のポリカーボネート樹脂を得やすいことから、ホスゲン法がより好ましい。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂において、使用可能なビスフェノールとしては、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン=(ビスフェノールA)、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンなどが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。また、これらの中でも総合的機械物性に優れるビスフェノールAを主成分として用いることが好ましい。ビスフェノールAが主成分のポリカーボネート樹脂とは、使用するビスフェノールの内、ビスフェノールAを60〜100モル%、好ましくは90〜100モル%使用したポリカーボネート樹脂を示す。
一方、炭酸エステル形成化合物としては、例えばホスゲン、トリホスゲンや、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネートなどのビスアリールカーボネートが挙げられる。これらの化合物は2種類以上併用して使用することも可能である。
ホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、ビスフェノール類とホスゲンを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、また溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼンなどが用いられる。
さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール、オレフィン置換フェノール等一官能基化合物を分子量調節剤として加えることが好ましい。
本発明の特定範囲の重量平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、この分子量調整剤の添加量を使用するビスフェノール類全量に対して0.6〜6mol%の範囲で添加することにより、製造することができる。
また、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノール、トリスフェノールエタンなど分岐化剤を小量添加してもよい。
反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、ビスフェノール類とビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終で好ましくは1mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜20時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく。また、所望に応じ、分子量調節剤、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
また、本発明のフィルムが良好な繰り返し耐屈曲性を有するには、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略称)で測定したポリスチレン換算分子量による重量平均分子量(以下、「Mw」と略称)が7万以上20万未満のポリカーボネート樹脂(A−1)と4万以上7万未満のポリカーボネート樹脂(A−2)を各1種類以上ブレンドしたポリカーボネート樹脂が用いられる。このMwの異なるポリカーボネート樹脂を用いることで単独で用いた場合に比べ優れた繰り返し耐屈曲性を示す。このMwはより好ましくは高い方が8万以上18万未満、低い方が4万以上6万未満の範囲であることが好ましい。
A−1のMwとA−2のMwとは、一定以上の差異(ΔMw)があることが好ましく、好ましくはΔMw1万以上、より好ましくはΔMw2万以上、更に好ましくはΔMw3万以上であることが好ましい。
また、GPCで得られるポリスチレン換算分子量による数平均分子量(以下、「Mn」と略称)は任意であるが、A−1のMnは2万以上5万未満、A−2のMnは1万以上2万未満が好ましい。
A−1とA−2の配合比(質量比)は、(A−1の質量比)≧(A−2の質量比)なる関係であることが好ましい。
本発明においてポリアリレート樹脂(B)とは、ビスフェノール残基と芳香族ジカルボン酸残基とから構成されている芳香族ポリエステルであり、その製造方法としては界面重合法、溶液重合法、溶融重合法などが公知である。この中で界面重合法で製造されたポリアリレート樹脂は良好な色調と物性を有しているため好ましい。
本発明において、ポリアリレート樹脂(B)を構成するビスフェノール類として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン=(ビスフェノールA)、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンなどが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。また、これらの中でも総合的機械物性に優れるビスフェノールAが好ましい。ビスフェノールAが主成分のポリアリレート樹脂とは、使用するビスフェノールの内、ビスフェノールAを60〜100モル%、好ましくは90〜100モル%使用したポリアリレート樹脂を示す。
また、ポリアリレート樹脂(B)を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、4,4’−ジカルボン酸およびそれらの酸クロライド等が挙げられる。これらの2価のジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することも可能である。特に好適に用いることのできる芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸とイソフタル酸およびそれらの酸クロライドである。
ポリアリレート樹脂(B)を界面重合法により製造する場合は、ビスェノール類、アルカリ、重合触媒を溶解した水相と、芳香族ジカルボン酸成分を溶解した有機相とを混合し、攪拌しながら界面重縮合反応をおこなうことによって、ポリアリレート樹脂を得ることができる。
その場合の、重合触媒は、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、具体的には、トリn−ブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラn−ブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェ−トが挙げられる。
水相に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せず、かつ、生成するポリアリレート樹脂を溶解するような溶媒が用いられ、具体的には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素などが挙げられる。
なお、ポリアリレート樹脂(B)の分子量を調節するために、重合時に末端停止剤を使用することができる。末端停止剤の例として、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェ
ノール等の1価のフェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フ
ェニルクロロホルメート等の1価の酸クロライド等が挙げられる。
本発明のポリアリレート樹脂(B)は、GPCで測定されるポリスチレン換算Mwは3万以上7万未満であることが好ましい。またMnは1万以上3万未満が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、A−1及びA−2からなるポリカーボネート樹脂(A)70〜95重量%とポリアリレート樹脂(B)5〜30重量%から構成されることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、湿式成形、押出成形、ブロー成形等公知の方法でフィルムに成形することが可能である。
本発明の樹脂組成物から得られるフィルムは、10〜200μm厚の範囲であることが好ましい。10μm以上とすることで充分な強度を保ち、200μm以下とすることにより、厚み方向の屈曲率半径差に起因する繰り返し耐屈曲性の悪化を防ぐことができる。より好ましくは15〜120μmの範囲である。
本発明の樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲で、一般に用いられる各種の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、難燃剤、着色剤などが挙げられる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示し、発明の内容を詳細に示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<GPC条件>
Waters社製アライアンスHPLCシステム、
昭和電工株式会社製Shodex805Lカラム2本、
0.25w/v%クロロホルム溶液サンプル、1ml/分クロロホルム溶離液、254nmのUV検出の条件で測定。
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
<繰り返し耐屈曲性試験>
MIT試験A:株式会社東洋精機製作所製MIT−DA、荷重750g、Nモード
B135°、175回/分屈曲。
MIT試験B:株式会社東洋精機製作所製MIT−DA、荷重1000g、Nモード
B90°、175回/分屈曲。
<合成例1>
ポリカーボネート樹脂の製造
5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液55リットルにビスフェノールA(以下「BPA」と略称:新日鐵化学工業株式会社製)4.56kg(20mol)とハイドロサルファイト5gを溶解した。
これにジクロロメタン25リットルを加えて撹拌しつつ、15℃に保ちながら、ついでホスゲン2.6kgを60分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(以下「PTBP」と略称:大日本インキ化学工業株式会社製)53gを加え激しく撹拌して、反応液を乳化させ、乳化後、20mlのトリエチルアミンを加え、20〜25℃にて約1時間撹拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、50℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の分子量をGPCによって測定したところMw=86000,Mn=27600であった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1770cm−1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有するポリカーボネート樹脂(以下PC−1と略称)であることが確認された。
<合成例2>
PTBPを115gに変更した以外は、合成例1と同様に行い、Mw=47300,Mn=18100のポリカーボネート樹脂(以下PC−2と略称)を得た。
<合成例3>
PTBPを27.5gに変更した以外は合成例1と同様に行い、Mw=170000,Mn=45300のポリカーボネート樹脂(以下PC−3と略称)を得た。
<合成例4>
PTBPを100gに変更した以外は、合成例1と同様に行い、Mw=52600,Mn=19900のポリカーボネート樹脂(以下PC−4と略称)を得た。
<合成例5>
BPA4.56kgと一緒に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州化学工業株式会社製)0.1kgを併用して用いた以外は、合成例1と同様に行い、Mw=86800,Mn=26200のポリカーボネート樹脂(以下PC−5と略称)を得た。
<合成例6>
ポリアリレート樹脂の製造
5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液45リットルに、BPA4.56kg(20mol)を溶解し、重合触媒としてトリn−ブチルベンジルアンモニウムクロライド42gを加え、さらにテレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(和光純薬工業株式会社製)4.1kgとPTBP170gを溶解した塩化メチレン溶液55リットルを加えて、15℃で2時間界面重縮合反応をおこなった。反応終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、50℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
この重合体の分子量をGPCによって測定したところMw=40100,Mn=8500であった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1750cm−1付近の位置にカルボニル基またはエステル基による吸収、1220cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、エステル結合を有するポリアリレート樹脂(以下PUR−1と略称)であることが確認された。
<合成例7>
PTBPを120gに変更した以外は、合成例6と同様に行い、Mw=57200,Mn=12900のポリアリレート樹脂(以下PUR−2と略称)を得た。
<実施例1>
PC―1:PC−2:PUR−1=80:10:10重量%の割合でブレンドした樹脂組成物10gをジクロロメタン90gに溶解し、バーコーターにてガラス基板上に湿式成形を行い、風乾、105℃、8時間乾燥して15μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムを12cm×1cmの短冊にカットし、MIT試験Aを行った。
<実施例2>
実施例1の樹脂組成物をベント付30mm単軸押出機(ムサシノキカイ株式会社製MK−30)シリンダー温度360℃に導入し、フィードブロック型のTダイを経て、水平2本ロール(ロール温度:150℃)により除冷し、押出フィルム(約110μm厚)を得た。得られたフィルムを12cm×1cmの短冊にカットし、110μm厚のものを選択してMIT試験Bを行った。
以下表1に示す実施例3〜7、比較例1〜8の配合比で、実施例1と同様のフィルム作製しMIT試験Aを行った。また、比較例9として、比較例5の樹脂組成物を使用し、実施例2と同様のフィルムを作製し、MIT試験Bを行った。結果を表1にまとめる。
本発明の活用例としては、耐屈曲性が求められるフラットパネルディスプレイ、特に衝撃等にさらされる携帯機器用フラットパネルディスプレイやタッチパネルディスプレイの繰り返し耐屈曲性に優れる前面板等を提供することが可能である。

Claims (11)

  1. ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)7万以上20万未満のポリカーボネート樹脂(A−1)及びポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)4万以上7万未満のポリカーボネート樹脂(A−2)からなるポリカーボネート樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)からなるフラットパネルディスプレイ用構成材として使用される樹脂組成物(但し、二酸化チタンを含む場合を除く)。
  2. A−1のMwとA−2のMwとの差異(ΔMw)が1万以上である請求項1の樹脂組成物。
  3. A−1とA−2の配合比(質量比)は、(A−1の質量比)≧(A−2の質量比)なる関係である請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物。
  4. 前記A70〜95質量%と前記B5〜30質量%とからなる請求項1〜3記載の樹脂組成物。
  5. 前記Bのポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上7万未満である請求項1〜4記載の樹脂組成物。
  6. 前記Aが、ビスフェノールAを主成分とするポリカーボネート樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記Bが、ビスフェノールAを主成分とするポリアリレート樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるフィルム。
  9. 厚さが10〜200μmである請求項8記載のフィルム。
  10. フラットパネルディスプレイ用構成材として使用される請求項8又は9のいずれかに記載のフィルム。
  11. モバイル端末ディスプレイ用構成材として使用される請求項10のフィルム。
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