JP6756237B2 - ポリアリレートフィルム、及び表示装置 - Google Patents
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Description
が発生する。
例えば、有機EL表示装置の視認側表面での光反射を防止するために、円偏光板を具備させる場合がある。この場合には、円偏光板による光反射防止機能を劣化させないために、円偏光板以外の部材である透明基板は不要な位相差、特に膜厚方向の位相差値(Rt)をなるべく小さくする必要がある。
すなわち、膜厚方向の位相差が生じると、光反射防止機能が劣化するという問題がある。
膜厚方向の位相差値(Rt)が小さいポリアリレートフィルムとしては、例えばフルオレン骨格構造を有するポリアリレートフィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、本発明者が種々検討した結果、膜厚方向の位相差値(Rt)が小さいポリアリレートフィルムをタッチパネルの基板として用いて、長期に使用した場合には、タッチパネル性能が劣化するという問題があることが分かった。
式(1):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
〔式中、Rtは温度23℃、相対湿度55%の環境下で波長590nmの光で測定した位相差値である。
nxは、フィルム平面内の遅相軸方向の屈折率である。
nyは、フィルム平面内の遅相軸方向に直交する方向の屈折率である。
nzは、フィルム面に垂直な方向の屈折率である。
dは、フィルムの厚さ(nm)である。〕
MIT耐折試験:フィルムを、1.5cm×10cmの大きさに切り出して試料片とし、当該試料片を、25℃、60%RH下、MIT耐折疲労試験機にセットし、折り曲げ速度175rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径0.38mm、及び荷重4.9Nの条件で折り曲げたときに割れが発生する折り曲げ回数を測定する。
本発明のポリアリレートフィルムは、下記式(1)で定義されるフィルム膜厚方向の位相差値Rt(nm)が、−60〜60nmの範囲内であるポリアリレートフィルムであって、当該ポリアリレートフィルムが、前記のMIT耐折試験による耐折回数が、フィルムの長手方向、及び長手方向に直交する方向のいずれの方向においても4000回以上であるように調整されていることを特徴とする。
〔式中、Rtは温度23℃、相対湿度55%の環境下で波長590nmの光で測定した位相差値である。
nxは、フィルム平面内の遅相軸方向の屈折率である。
nyは、フィルム平面内の遅相軸方向に直交する方向の屈折率である。
nzは、フィルム面に垂直な方向の屈折率である。
dは、フィルムの厚さ(nm)である。〕
本発明のポリアリレートフィルムの主成分であるポリアリレートは、少なくとも芳香族ジアルコール成分単位と芳香族ジカルボン酸成分単位とを含む。
芳香族ジアルコール成分単位を得るための芳香族ジアルコールは、好ましくは下記一般式(1)で表される構造を有するビスフェノール類、より好ましくは下記一般式(1′)で表される構造を有するビスフェノール類である。
一般式(1)及び一般式(1′)の−CR1R2−のR1及びR2が、脂肪族環を形成する場合、脂肪族環は、好ましくは炭素数5〜20の脂肪族炭化水素環であり、好ましくは置換基を有してもよいシクロヘキサン環である。
下のアルキル基である場合、耐熱性が向上するので好ましい。
0.30<〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00
の範囲内にあり、かつ、ジカルボン酸成分がテレフタル酸残基10〜90モル%及びイソフタル酸残基90〜10モル%から構成されるポリアリレートであることがより好ましい。
0.50<〔(a)/{(a)+(b)}〕≦1.00
の範囲であることがより好ましい。
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(TMBPA)等のイソプロピリデン含有ビスフェノール類が好ましい。
芳香族ジカルボン酸成分単位を構成する芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物でありうる。
本発明のポリアリレートフィルムは、下記式(1)で表されるフィルム膜厚方向の位相差値Rt(nm)が、−60〜60nmの範囲内であることを特徴とする。
〔式中、Rtは温度23℃、相対湿度55%の環境下で波長590nmの光で測定した位相差値である。
nxは、フィルム平面内の遅相軸方向の屈折率である。
nyは、フィルム平面内の遅相軸方向に直交する方向の屈折率である。
nzは、フィルム面に垂直な方向の屈折率である。
dは、フィルムの厚さ(nm)である。〕
成分として、一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有していることが好ましい。
本発明のポリアリレートフィルムは、前記のMIT耐折試験による耐折回数が、フィルムの長手方向、及び長手方向に直交する方向のいずれの方向においても4000回以上であるように調整されていることを特徴とする。回数の上限値に特に制限はないが、4000〜10000回の範囲であることが好ましく、4600〜10000回の範囲であることがより好ましい。
ポリアリレートフィルムを、1.5cm×10cmの大きさに切り出して試料片とし、当該試料片を、25℃・60%RH下、MIT耐折疲労試験機(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、折り曲げ速度175rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径(折り曲げクランプの先端半径)0.38mm、及び荷重4.9Nの条件で折り曲げたときに割れが発生する折り曲げ回数を、ポリアリレートフィルムの長手方向、及び長手方向に直交する方向で測定する。
本発明のポリアリレートフィルムは、脂肪族系化合物を含有することが、タッチパネル性能の安定性を改良する観点から好ましい。
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0mL/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
炭素原子数2以上の置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基であることが好ましい。置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基の例には、メチルカルボニル基(アセチル基)が含まれる。
(式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(7)中、Bで示されるヒドロキシ基又はカルボン酸残基と、Gで示されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のエステル系化合物と同様の反応により得られる。
の酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシ基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシ基価は15mgKOH/g以下のものである。
7−1:前記一般式(7)において、Bで表される構造の一価の基が2−エチルヘキサン酸から誘導され、Gで表される構造の二価の基が1,2−プロパンジオール、Aで表される構造の二価の基がアジピン酸から誘導される重量平均分子量560のポリエステル。
7−2:前記一般式(7)において、Bで表される構造の一価の基が酢酸から誘導され、Gで表される構造の二価の基が1,2−プロパンジオール、Aで表される構造の二価の基がアジピン酸から誘導される重量平均分子量489のポリエステル。
本発明のポリアリレートフィルムは、分子量又は化学構造が異なる2種類以上の脂肪族系化合物を含有することが、本発明の効果の観点から好ましい。
本発明のポリアリレートフィルムは、本発明に係る脂肪族系化合物と、芳香族系化合物とを含有することが、本発明の効果の観点から好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のポリアリレートフィルムは、紫外線吸収剤を含有することが耐光性を向上する観点から好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐光性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が、0.1〜30%の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜20%の範囲、更に好ましくは2〜10%の範囲である。
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に電子デバイスなどが置かれた場合には、ポリアリレートフィルムの劣化が起こる場合がある。
本発明のポリアリレートフィルムには、フィルム製造時の剥離性を改良するために剥離促進剤を添加しても良い。
テル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。以下に剥離剤を例示する。
RZ−1 C8H17O−P(=O)−(OH)2
RZ−2 C12H25O−P(=O)−(OK)2
RZ−3 C12H25OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2
RZ−4 C15H31(OCH2CH2)5O−P(=O)−(OK)2
RZ−5 {C12H25O(CH2CH2O)5}2−P(=O)−OH
RZ−6 {C18H35(OCH2CH2)8O}2−P(=O)−ONH4
RZ−7 (t−C4H9)3−C6H2−OCH2CH2O−P(=O)−(OK)2RZ−8 (iso−C9H19−C6H4−O−(CH2CH2O)5−P(=O)−(OK)(OH)
RZ−9 C12H25SO3Na
RZ−10 C12H25OSO3Na
RZ−11 C17H33COOH
RZ−12 C17H33COOH・N(CH2CH2OH)3
RZ−13 iso−C8H17−C6H4−O−(CH2CH2O)3−(CH2)2SO3Na
RZ−14 (iso−C9H19)2−C6H3−O−(CH2CH2O)3−(CH2)4SO3Na
RZ−15 トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
RZ−16 トリ−t−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム
RZ−17 C17H33CON(CH3)CH2CH2SO3Na
RZ−18 C12H25−C6H4SO3・NH4
剥離促進剤の添加量はポリイミドに対して0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。
ポリアリレートを溶剤に溶解させてポリマー溶液を得る。溶剤は、後述する製膜工程における流延膜の乾燥温度を低くする観点から、沸点が100℃以下の溶媒(好ましくは良溶媒)が主溶媒(溶媒全体の内、含有質量比が50質量%を超える溶媒)であることが好
ましい。
得られたポリマー溶液を、流延装置20のダイス21から金属支持体23上に流延した後、流延膜を乾燥させて膜状物を得る(図1参照)。
得られた膜状物を延伸することが好ましい。延伸は、樹脂分子の配向の異方性を少なくする観点から、互いに直交する二方向に行うことが好ましい。互いに直交する二方向は、好ましくはMD方向とTD方向でありうる。
(式中、Mは、膜状物から採取した試料の質量で、NはMを150℃で1時間の加熱後の質量である)
フィルムの熱収縮率を低減する観点から、延伸後のフィルムを、ベンディング処理することが好ましい。
参照)。ベンディングは、フィルムの一方の面と他方の面が交互に内側になるように搬送ロール47に巻き掛けて行うことが好ましい。
本発明のポリアリレートフィルムは、高い透明性と機械的強度、耐熱性とを有し、かつ表面変形故障が低減される。したがって、本発明のポリアリレートフィルムは、それらの特性が要求される幅広い用途;例えば、フレキシブルパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等)や太陽電池等における透明基板又は透明電極基板(ガラス基板に代わる基板);透明性が求められる用途のフレキシブルプリント基板(FPC)の絶縁基材やカバーフィルム;タッチパネル等に用いられる透明導電フィルムの基材等に用いられる。
パドル型二枚羽の撹拌装置を備えた2Lの反応容器中に、二価フェノール成分としてBisTMC69.8質量部、末端封止剤としてPTBP0.7質量部、アルカリとして水酸化ナトリウム(NaOH)32.7質量部、重合触媒としてトリ−n−ブチルベンジルアンモニウムクロライド〔TBBAC〕の50質量%水溶液を1.0質量部、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム0.3質量部を仕込み、水1040質量部に溶解した(水相)。また、これとは別に、ジクロロメタン910質量部に、テレフタル酸クロライド(TPC)23.0質量部と、イソフタル酸クロライド(IPC)23.0質量部を溶解した(有機相)(BisTMC:TPC:IPC:PTBP:TBBAC:NaOH=99.0:50.0:50.0:2.0:0.68:360(モル比))。水相と有機相の合計量は、1Lであった。水相をあらかじめ400rpmで撹拌しておき、撹拌数を維持しながら有機相を水相中に添加し、15℃で2時間、界面重合法で重合をおこなった。この後、撹拌を停止し、水相と有機相をデカンテーションして分離した。水相を除去した後、ジクロロメタン500質量部、純水2000質量部と酢酸2質量部を添加して反応を停止し、15℃で30分間撹拌した。その後、有機相を純水で10回洗浄し、有機相をメタノール中に添加してポリマーを沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、乾燥し、ポリアリレート1を得た。
撹拌装置を備えた反応容器中に水2514質量部を添加した後、水酸化ナトリウム22.7質量部、二価フェノールである9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン51.3質量部、分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)0.162質量部を溶解させ、0.34質量部の重合触媒(トリブチルベンジルアンモニウムクロライド)を添加し、激しく撹拌した。別に、テレフタル酸クロライドとイソフタル酸クロライドの等質量混合物(以下、MPCともいう。)25.8質量部を秤り取り、945質量部のジクロロメタンに溶解させた。このジクロロメタン溶液を先に調製したアルカリ水溶液に撹拌下に添加し、重合を開始させた。重合反応温度は15℃以上20℃以下になるように調整した。重合は2時間行い、その後、系内に酢酸を添加
して重合反応を停止させ、有機相と水相を分離した。この有機相に対し1回の洗浄に2倍容のイオン交換水で洗浄と分離を繰り返した。洗浄水の電気伝導度が50μS/cmよりも低くなったところで洗浄を終了とした。50℃でホモミキサーを装着した温水槽中に洗浄後の有機相を投入してジクロロメタンを蒸発させ粉末状のポリマーを得た。さらに脱水・乾燥を行い、ポリアリレート2を得た。
以下の実施例に用いた脂肪族系化合物、及び芳香族系化合物の構造を、種類記号とともに以下に列挙する。
B:ベヘン酸(分子量341)
C:1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(分子量224)
D:前記一般式(6)で表される構造を有する化合物
ただし、R11〜R18は、水素原子又はメチル基であり、8個の基のうちメチル基による平均置換度は5.5である。(重量平均分子量419)
E:前記一般式(7)において、Bで表される構造の一価の基が2−エチルヘキサン酸から誘導され、Gで表される構造の二価の基が1,2−プロパンジオール、Aで表される構造の二価の基がアジピン酸から誘導される重量平均分子量560のポリエステル。
F:前記一般式(7)において、Bで表される構造の一価の基が酢酸から誘導され、Gで表される構造の二価の基が1,2−プロパンジオール、Aで表される構造の二価の基がアジピン酸から誘導される重量平均分子量489のポリエステル。
G:前記一般式(7)において、Bで表される構造の一価の基が水素原子であり、Gで表される構造の二価の基がエチレングリコールから誘導され、Aで表される構造の二価の基がコハク酸から誘導される重量平均分子量510のポリエステル。
H:前記一般式(6)で表される構造を有する化合物
ただし、R11〜R18は、水素原子又はベンジル基であり、8個の基のうちベンジル基による平均置換度は5.5である。(重量平均分子量837)
A:日油株式会社
B:東京化成工業株式会社
C:東京化成工業株式会社
D:第一工業株式会社
H:第一工業株式会社
ポリアリレート1を14質量部と、ジクロロメタンを100質量部とを密閉容器に入れ、撹拌しながら徐々に45℃まで昇温し、完全に溶解させた。得られた溶液を、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過して、ポリマー溶液(以下、ドープともいう。)を得た。
得られたドープを、ベルト流延装置のステンレスベルト上に均一に流延した。ステンレスベルトの長さは20mのものを用いた。ステンレスベルトの表面温度は35℃とし、かつ流延膜に35℃の風を当てて、残留溶媒量が38%となるまで溶剤を蒸発させた後、ステンレスベルトから剥離して膜状物を得た。
得られた膜状物を、ロール間の周速差を利用してMD方向に170℃で1.2倍に延伸した後、テンターでTD方向に230℃で1.2倍に延伸した。
延伸後に得られたフィルムを、図1に示されるベンディング装置内でロール搬送しながら140℃でベンディング処理を200回行った。ロールの直径は108mmとし、フィルム搬送方向に隣り合う二つのロールの中心間距離(例えば図1のロール47Aとロール47Bの中心間距離D)は324mmとし、フィルムの搬送速度は5m/分とした。
ポリアリレートフィルム1の作製において、使用するポリアリレートの種類、ドープに添加する脂肪族系化合物の種類と添加量、膜厚を表1に示すように変化した以外は、ポリアリレートフィルム1と同様にポリアリレートフィルム2〜16を作製した。なお、表1において、脂肪族系化合物の添加量は、ポリアリレートフィルムの全体の質量の対する脂肪族系化合物の質量%を表す。また、脂肪族芳香族系化合物を複数添加する場合には、脂肪族系化合物1、及び脂肪族系化合物2と表記した。脂肪族系化合物1以外に、芳香族系化合物を添加する場合には、芳香族系化合物1と表記した。
ポリアリレートフィルム1〜16について、下記の評価を行った。
各ポリアリレートフィルムを、1.5cm×10cmの大きさに切り出して試料片とし、当該試料片を、25℃・60%RH下、MIT耐折疲労試験機(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、折り曲げ速度175rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径(折り曲げクランプの先端半径)0.38mm、及び荷重4.9Nの条件で折り曲げたときに割れが発生する折り曲げ回数を、ポリアリレートフィルムの長手方向、及び長手方向に直交する方向で測定した。
各ポリアリレートフィルムの膜厚方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから下記式を用いて算出した。
式(1)Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
〔式中、Rtは温度23℃、相対湿度55%の環境下で波長590nmの光で測定した位相差値である。
nxは、フィルム平面内の遅相軸方向の屈折率である
nyは、フィルム平面内の遅相軸方向に直交する方向の屈折率である
nzは、フィルム面に垂直な方向の屈折率である
dは、フィルムの厚さ(nm)である。〕
次いで、図2に示す構成の透明導電フィルムを作製した。前記ポリアリレートフィルム1の片面にマイクログラビアを用いてアクリル酸エステル及びアモルファスシリカを主成
分とした紫外線硬化型樹脂(JSR社製オプスターZ7527)及び界面活性剤(AGCセイミケミカル社製サーフロンS−651)を含有した表面保護層形成用塗布液を、乾燥後膜厚0.7μmになるように塗布し、乾燥した。
透明導電フィルム101で作製した透明導電層を、ポリアリレートフィルム102〜116に対してそれぞれ形成した以外は、透明導電フィルム101と同様にして、透明導電フィルム102〜116を作製した。
特表2010−541109号公報に記載のようにして、パターン化された前記の透明導電フィルム101〜116を用いて、タッチパネル部材101〜116を作製した。
3mm厚の127cm用無アルカリガラスを用いて、特開2010−20925号公報の実施例に記載されている方法に準じて、特開2010−20925号公報の図8に記載された構成からなる有機ELセルを作製した。
上記のようにして作製した表示装置1〜16について、下記の評価を行った。
タッチパネル試験機001型−29−2(株式会社タッチパネル研究所製)を用いて
、打鍵試験前後のタッチパネル表示装置の端子間抵抗値を測定し、抵抗値変化率を下記評価基準に基づいて評価した。
○:打鍵試験前後の表面抵抗値の上昇率が0.1%以上0.5%未満の値を示す
△:打鍵試験前後の表面抵抗値の上昇率が0.5%以上1.5%未満の値を示す
×:打鍵試験前後の表面抵抗値の上昇率が1.5%以上の値を示す
(タッチパネル応答性評価)
打鍵試験後のタッチパネル表示装置を表示にした状態において、評価者がタッチパネル画面の左端から右端へ指でなぞり、ポインターが下記評価基準に基づいて動作したか評価した。
△:5人の評価者が、1人20回ずつ上記作業を行ったとき、ポインターが100回中99回応答した
×:5人の評価者が、1人20回ずつ上記作業を行ったとき、ポインターが100回中98回以下応答した
各ポリアリレートフィルムの組成と、各ポリアリレートフィルムの評価結果、及び各表示装置の評価結果とを合わせて表1に示した。
(Rt)が小さかった。
20 流延装置
21 ダイス
23 金属支持体
25 剥離ロール
30 延伸装置
31 ロール延伸装置
33 テンター延伸装置
40 ベンディング装置
41 ベンディングゾーン
43 吸気口
45 排気口
47A、47B 搬送ロール
101 透明導電フィルム
102 ポリアリレートフィルム(基材)
103 表面保護層
104 透明導電層
105 粘着フィルム
106 カバーガラス
107 タッチパネル部材
108 有機EL表示装置
109 ガスバリアーフィルム
110 円偏光板
Claims (5)
- 下記式(1)で定義されるフィルム膜厚方向の位相差値Rt(nm)が、−60〜60nmの範囲内であるポリアリレートフィルムであって、
当該ポリアリレートフィルムが、下記のMIT耐折試験による耐折回数が、フィルムの長手方向、及び長手方向に直交する方向のいずれの方向においても4000回以上であるように調整されていることを特徴とするポリアリレートフィルム。
式(1):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
〔式中、Rtは温度23℃、相対湿度55%の環境下で波長590nmの光で測定した位相差値である。
nxは、フィルム平面内の遅相軸方向の屈折率である。
nyは、フィルム平面内の遅相軸方向に直交する方向の屈折率である。
nzは、フィルム面に垂直な方向の屈折率である。
dは、フィルムの厚さ(nm)である。〕
MIT耐折試験:フィルムを、1.5cm×10cmの大きさに切り出して試料片とし、当該試料片を、25℃・60%RH下、MIT耐折疲労試験機にセットし、折り曲げ速度175rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径0.38mm、及び荷重4.9Nの条件で折り曲げたときに割れが発生する折り曲げ回数を測定する。 - 前記ポリアリレートフィルムの膜厚が、5〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレートフィルム。
- 前記ポリアリレートフィルムが、脂肪族系化合物を含有し、
当該脂肪族系化合物が、分子量又は重量平均分子量が220〜10000の範囲内であり、沸点が80℃以上であり、かつ、分子内に脂肪族基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリアリレートフィルム。 - 前記ポリアリレートフィルムが、分子量又は化学構造が異なる2種類以上の脂肪族系化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載のポリアリレートフィルム。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のポリアリレートフィルムを具備することを特徴とする表示装置。
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