以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の光走査装置の一実施形態を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を記録用紙に印刷する。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電装置15等は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置22により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面の各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23aとの間にはニップ域が形成されており、S字状の用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
一方、記録用紙は、ピックアップローラ33により給紙カセット18から引出されて、用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ34、及び記録用紙の搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
次に、本実施形態の光走査装置11の構成を、図2乃至図5を用いて詳細に説明する。図2は、図1の光走査装置11の筐体41の内部を斜め上方から視て示す斜視図であって、上蓋を外した状態を示している。また、図3は、光走査装置11の複数の光学部材を抽出して示す斜視図であり、図2の背面側から視た状態を示している。更に、図4及び図5は、光走査装置11の複数の光学部材を抽出して示す平面図及び側面図である。尚、図5には、光走査装置11外側に配置された各感光体ドラム13も示されている。
筐体41は、矩形状の底板41a及び底板41aを囲む4つの側板41b、41cを有している。底板41aの略中央には、平面視すると正方形のポリゴンミラー42が配置されている。また、底板41aの略中央にポリゴンモータ43が固定され、ポリゴンモータ43の回転軸にポリゴンミラー42の回転中心が接続固定され、ポリゴンモータ43によりポリゴンミラー42が回転される。
また、筐体41の1つの側板41bの外側には、2個の第1半導体レーザ44a、44b及び2個の第2半導体レーザ45a、45b(合計4個の半導体レーザ)を搭載した駆動基板46が固定されている。各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、側板41bに形成されたそれぞれの孔を通じて筐体41の内側を臨む。
各第1半導体レーザ44a、44bと各第2半導体レーザ45a、45bとは、ポリゴンミラー42の回転中心を通って主走査方向Xに延びる仮想直線Mを想定すると、仮想直線Mを中心にして対称に配置されている。尚、主走査方向Xと直交する方向を副走査方向Yとし、主走査方向X及び副走査方向Yと直交する方向(ポリゴンモータ43の回転軸の長手方向)を高さ方向Zとする。
駆動基板46は、平板状のプリント基板であって、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bを駆動する回路を有している。各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、平板状のプリント基板に搭載されることにより概ね同一の平面(YZ平面)上に配置され、またその平面に対しては垂直方向(主走査方向X)にかつ筐体41の内側向きにそれぞれの光ビームL1〜L4を出射する。
駆動基板46(YZ平面)上では、各第1半導体レーザ44a、44bが副走査方向Y及び高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置され、同様に各第2半導体レーザ45a、45bも副走査方向Y及び高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されている。
また、各第1半導体レーザ44a、44bの光ビームL1、L2をポリゴンミラー42へと導く第1入射光学系51と、各第2半導体レーザ45a、45bの光ビームL3、L4をポリゴンミラー42へと導く第2入射光学系52とを設けている。第1入射光学系51は、2個のコリメータレンズ53a、53b、2個のアパーチャー54、第1半導体レーザ44aと同一高さに配置された2個のミラー55a、55b、及びシリンドリカルレンズ56等からなる。同様に、第2入射光学系52は、2個のコリメータレンズ57a、57b、2個のアパーチャー58、第2半導体レーザ45bと同一高さに配置された2個のミラー59a、59b、及びシリンドリカルレンズ56等からなる。第1入射光学系51の各コリメータレンズ53a、53b、各アパーチャー54、及び各ミラー55a、55bと、第2入射光学系52の各コリメータレンズ57a、57b、各アパーチャー58、及び各ミラー59a、59bとは、仮想直線Mを中心にして対称に配置されている。また、仮想直線Mは、シリンドリカルレンズ56の中心を通っており、仮想直線Mにより区分されるシリンドリカルレンズ56の片側半分が第1入射光学系51に配置され、シリンドリカルレンズ56の他の片側半分が第2入射光学系52に配置されている。
更に、ポリゴンミラー42で反射された各第1半導体レーザ44a、44bの光ビームL1、L2をブラック及びシアンに対応する2つの感光体ドラム13へと導く第1結像光学系61と、ポリゴンミラー42で反射された各第2半導体レーザ45a、45bの光ビームL3、L4をマゼンタ及びイエローに対応する2つの感光体ドラム13へと導く第2結像光学系62とを設けている。第1結像光学系61は、fθレンズ63及び4つの各ミラー64a、64b、64c、64d等からなる。同様に、第2結像光学系62は、fθレンズ65及び4つの各ミラー66a、66b、66c、66d等からなる。第1結像光学系61のfθレンズ63及び各ミラー64a、64b、64c、64dと、第2結像光学系62のfθレンズ65及び各ミラー66a、66b、66c、66dとは、仮想直線Mを中心にして対称に配置されている。
また、第1結像光学系61側にBDミラー71、及びBDセンサ72を搭載したBD基板73を設け、第2結像光学系62側にもBDミラー74、及びBDセンサ75を搭載したBD基板76を設けている。第1結像光学系61側のBDミラー71及びBDセンサ72と、第2結像光学系62側のBDミラー74及びBDセンサ75とは、仮想直線Mを中心にして対称に配置されている。
次に、各第1半導体レーザ44a、44bの光ビームL1、L2がそれぞれの感光体ドラム13に入射するまでの各光路、及び各第2半導体レーザ45a、45bの光ビームL3、L4がそれぞれの感光体ドラム13に入射するまでの各光路について説明する。
まず、第1入射光学系51において、第1半導体レーザ44aの光ビームL1は、コリメータレンズ53aを透過して平行光にされ、アパーチャー54で絞られて、各ミラー55a、55bに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。また、第1半導体レーザ44bの光ビームL2は、コリメータレンズ53bを透過して平行光にされ、アパーチャー54で絞られて、ミラー55bの下方(高さ方向Zの下向き)の空きスペースEを通過し、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。シリンドリカルレンズ56は、高さ方向Zのみについて、各光ビームL1、L2をポリゴンミラー42の反射面42aで略収束するように集光して出射する。
ここで、駆動基板46(YZ平面)上では各第1半導体レーザ44a、44bが高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されているものの、各第1半導体レーザ44a、44bの光ビームL1、L2の出射方向又は各ミラー55a、55bの向きの設定により、ポリゴンミラー42の反射面42a上で各光ビームL1、L2の入射スポットが略重なるようにされている。このため、各第1半導体レーザ44a、44bの光ビームL1、L2が斜め上方向及び斜め下方向からポリゴンミラー42の反射面42aへと入射する。また、Z方向に視ると、各光ビームL1、L2が同一直線上に重なった状態で反射面42aへと入射する。
そして、第1結像光学系61においては、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された各光ビームL1、L2が斜め下方向及び斜め上方向へと互いに離れて行く。一方の光ビームL1は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射され、fθレンズ63を透過して1つのミラー64aで反射され、ブラックのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、他方の光ビームL2は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射され、fθレンズ63を透過して3つのミラー64b、64c、64dで順次反射され、シアンのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。
また、ポリゴンミラー42は、ポリゴンモータ43により等角速度で回転されて、各反射面42aで各光ビームL1、L2を逐次反射し、各光ビームL1、L2を主走査方向Xに繰り返し等角速度で偏向させる。fθレンズ63は、主走査方向X及び副走査方向Yのいずれについても各光ビームL1、L2をそれぞれの感光体ドラム13の表面で所定のビーム径となるように集光して出射し、かつポリゴンミラー42により主走査方向Xに等角速度で偏向されている各光ビームL1、L2をそれぞれの感光体ドラム13上の主走査線に沿って等線速度で移動するように変換する。これにより、各光ビームL1、L2がそれぞれの感光体ドラム13の表面を主走査方向Xに繰返し走査する。
また、一方の光ビームL1は、各光ビームL1、L2による各感光体ドラム13の主走査が開始される直前に、BDミラー71で反射されてBDセンサ72に入射する。BDセンサ72は、各感光体ドラム13の主走査が開始される直前のタイミングで光ビームL1を受光して、この主走査開始直前のタイミングを示すBD信号を出力する。このBD信号に基づき各光ビームL1、L2による各感光体ドラム13の主走査開始時点が設定され、ブラック及びシアンの各画像データに応じた各光ビームL1、L2の変調が開始される。
その一方で、ブラック及びシアンのトナー像が形成される各感光体ドラム13が回転駆動されて、各光ビームL1、L2により該各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、該各感光体ドラム13の表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
次に、第2入射光学系52において、第2半導体レーザ45aの光ビームL3は、コリメータレンズ57aを透過して平行光にされ、アパーチャー58で絞られて、ミラー59aの下方(高さ方向Zの下向き)の空きスペースEを通過し、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。また、第2半導体レーザ45bの光ビームL4は、コリメータレンズ57bを透過して平行光にされ、アパーチャー58で絞られて、各ミラー59a、59bに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
また、駆動基板46(YZ平面)上では各第2半導体レーザ45a、45bが高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されているものの、各第2半導体レーザ45a、45bの光ビームL3、L4の出射方向又は各ミラー59a、59bの向きの設定により、ポリゴンミラー42の反射面42a上で各光ビームL3、L4の入射スポットが略重なるようにされている。このため、各第2半導体レーザ45a、45bの光ビームL3、L4が斜め下方向及び斜め上方向からポリゴンミラー42の反射面42aへと入射する。また、Z方向に視ると、各光ビームL3、L4が同一直線上に重なった状態で反射面42aへと入射する。
そして、第2結像光学系62においては、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された各光ビームL3、L4が斜め上方向及び斜め下方向へと互いに離れて行く。一方の光ビームL3は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射され、fθレンズ65を透過して3つのミラー66b、66c、66dで順次反射されて、マゼンタのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、他方の光ビームL4は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射され、fθレンズ65を透過して1つのミラー66aで反射されて、イエローのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。
また、他方の光ビームL4は、各光ビームL3、L4による各感光体ドラム13の主走査が開始される直前に、BDミラー74で反射されてBDセンサ75に入射し、BDセンサ75からは各光ビームL3、L4による各感光体ドラム13の主走査開始直前のタイミングを示すBD信号が出力され、このBD信号に応じてシアン及びブラックのトナー像が形成される各感光体ドラム13の主走査の開始タイミングが判定され、シアン及びブラックの各画像データに応じた各光ビームL3、L4の変調が開始される。
その一方で、マゼンタ及びイエローのトナー像が形成される各感光体ドラム13が回転駆動されて、各光ビームL3、L4により該各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、該各感光体ドラム13の表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
このような構成の光走査装置11においては、筐体41の底板41aの略中央にポリゴンミラー42を配置し、ポリゴンミラー42の回転中心を通る仮想直線Mを中心にして、各第1半導体レーザ44a、44bと各第2半導体レーザ45a、45bとを対称に配置し、第1入射光学系51と第2入射光学系52とを対称に配置し、第1結像光学系61と第2結像光学系62とを対称に配置しているので、側方から視ると、ポリゴンミラー42、各第1半導体レーザ44a、44b、各第2半導体レーザ45a、45b、第1入射光学系51、及び第2入射光学系52等を小さなスペースに集約させて、光走査装置11を小型化することができる。
ところで、このような光走査装置11においては、光ビームL1は、ミラー64aで最後に反射されてから、ブラックのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、光ビームL2は、ミラー64dで最後に反射されてから、シアンのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。更に、光ビームL3は、ミラー66dで最後に反射されてから、マゼンタのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、光ビームL4は、ミラー66aで最後に反射されてから、イエローのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。このため、各ミラー64a、64d、66d、66aの反射面の向きを高精度で調節して、各光ビームL1〜L4による各感光体ドラム13表面の走査位置を正確に設定する必要がある。
また、その一方で、各ミラー64a、64d、66d、66aの反射面の向きを調節する調節部が大型化すると、光走査装置11も大型化してしまう。このため、本実施形態では、各ミラー64a、64d、66d、66aの反射面の向きを調節するための調節部の小型化を図っている。
尚、光ビームL2は、各ミラー64b、64cで反射され更に各ミラー64dで最後に反射されてから感光体ドラム13に入射するので、各ミラー64b、64cの反射面の向きに誤差があっても、最後のミラー64dの反射面の向きを調節すれば、感光体ドラム13表面の走査位置を正確に設定することができる。同様に、光ビームL3を反射する各ミラー66b、66c、66dについても、各ミラー66b、66cの反射面の向きに誤差があっても、最後のミラー66dの反射面の向きを調節すれば、感光体ドラム13表面の走査位置を正確に設定することができる。このため、各ミラー64b、64c、66b、66cの反射面の向きを調節する調節部を設けてはおらず、各ミラー64b、64c、66b、66cの両端を、筐体41の各側板41bに形成されたそれぞれの嵌合凹所に載せて、それぞれの板バネにより押え付けて保持し、各ミラー64b、64c、66b、66cの反射面の向きを略良好な精度で設定している。
次に、各ミラー64a、64d、66d、66aの反射面の向きを調節するための調節部について詳しく説明する。ここでは、ミラー64aの調節部を代表例に挙げて説明するが、他の各ミラー64d、66d、66aの調節部もミラー64aの調節部と全く同様の構成である。
図6は、ミラー64aの両端近傍に設けられた第1及び第2調節部101、102を示す斜視図である。図6に示すように筐体41の各側板41bの一方には、ミラー64aの一端を主走査方向Xと直交する矢印方向A、Bに変位させる第1調節部101が設けられ、各側板41bの他方には、ミラー64aの他端を主走査方向Xの軸周りで矢印方向D、Eに変位させる第2調節部102が設けられている。第1調節部101によりミラー64aの一端を矢印方向A、Bに変位させ、第2調節部102によりミラー64aの他端を矢印方向D、Eに回転させ、これによりミラー64aの反射面の向きを調節して、光ビームL1による感光体ドラム13表面の走査位置を正確に設定する。
まず、ミラー64aの一端を矢印方向A、Bに変位させる第1調節部101について詳しく説明する。図7(a)、(b)は、第1調節部101を拡大して示す正面図である。また、図8(a)、(b)は、第1調節部101を背面から視て拡大して示す背面図であり、図9(a)、(b)は、第1調節部101を拡大して示す断面図である。
図7(a)、図8(a)、及び図9(a)に示すように第1調節部101は、ミラー64aの一端を保持する保持部材111と、ミラー64aの一端を押圧するバネ部材112と、保持部材111を矢印方向A、Bに変位させるために回転される偏芯ビス113とを備えている。
図10は、保持部材111を示す斜視図である。図10に示すように保持部材111は、胴板111bと、胴板111bの一端で折り曲げられた保持板111cと、胴板111bの他端で保持板111cとは反対側に折り曲げられた当接板111dとを有しており、保持部材111を側面視すると概ねZ字型となっている。胴板111bには長形孔111aが形成され、また保持板111cには凸部111eが形成されている。
図11は、バネ部材112を示す斜視図である。図11に示すようにバネ部材112は、主板112aと、主板112aの一端で折り曲げられた側板112bとを有しており、バネ部材112を側面視すると概ねL字型となっている。主板112aには大矩形孔112c及び小孔112dが打ち抜かれ、大矩形孔112cの内側にバネ片112eが形成され、バネ片112eが主板112aから斜め下方に起こされて屈曲されている。
図12は、偏芯ビス113を示す斜視図である。偏芯ビス113は、雄ネジの溝が形成された軸部113aと、軸部113aの中心に対して偏芯して設けられた頭部113bとを有している。軸部113aのねじ込み方向(軸部113aの先端側)に向く頭部113bの角部113cは、面取り加工が施されたR面となっている。
ここで、図7(a)及び図9(a)に示すように筐体41の側板41bには一対のガイドレール41fと、開口孔41gとが形成されおり、保持部材111の胴板111bが側板41bの各ガイドレール41fの内側に配置され、保持部材111の保持板111cが側板41bの開口孔41gを通じて筐体41の内側に突出している。各ガイドレール41fは、互いに平行であって矢印方向A、Bに沿って長く、保持部材111の胴板111bを挟み込んで矢印方向A、Bにガイドする。保持部材111の胴板111bが各ガイドレール41fの間で矢印方向A、Bに移動されて、保持部材111の保持板111cが側板41bの開口孔41gの内側で矢印方向A、Bに移動される。
この状態で、図13(a)に示すように偏芯ビス113の軸部113aが保持部材111の胴板111bの長形孔111aを通じて筐体41の側板41bにねじ込まれる。このとき、偏芯ビス113の頭部113bの角部113cがR面になっていることから、偏芯ビス113の頭部113bの角部113cが保持部材111の当接板111dに摺接して当接板111dを押し退け、偏芯ビス113の頭部113bが当接板111dの下側に侵入する。
仮に、図13(b)に示すように偏芯ビス113の頭部113bの角部113cが直角であった場合は、偏芯ビス113の頭部113bが保持部材111の当接板111dに突き当たって停止し、偏芯ビス113の頭部113bが当接板111dの下側に侵入しないことがある。
尚、偏芯ビス113の頭部113bの角部113cをR面にする代わりに、図14に示すように保持部材111の当接板111dに、偏芯ビス113の軸部113aのねじ込み方向で該偏芯ビス113の軸部113aに近づくような傾斜面111fを設け、傾斜面111fよりも内側にねじ込み方向と平行な当接面111gを設けても良い。この場合は、偏芯ビス113の頭部113bの角部113cが直角であっても、偏芯ビス113の軸部113aがねじ込まれると、偏芯ビス113の頭部113bが傾斜面111fに摺接して当接板111dを押し退け、偏芯ビス113の頭部113bが当接板111dの当接面111gの下側に侵入する。
図7(a)、図8(a)、及び図9(a)に示すように偏芯ビス113の頭部113bが当接板111dの下側に侵入すると、偏芯ビス113の頭部113bの周面が保持部材111の当接板111dの下面に当接する。この状態では、保持部材111の長形孔111aの両端が偏芯ビス113の軸部113aに突き当たるまでの範囲で、保持部材111が矢印方向A、Bに移動可能である。
また、図8(a)及び図9(a)に示すように筐体41の側板41bの内側には支持片41hが設けられて、支持片41hの下面に凸部41iが形成されており、バネ部材112の側板112bが筐体41の側板41bの内側面に当接され、バネ部材112の主板112aが支持片41hの下面に重ね合わされて、支持片41hの下面の凸部41iがバネ部材112の小孔112dに嵌合され、バネ部材112が配置される。そして、ミラー64aの一端がバネ部材112のバネ片112eと保持部材111の保持板111cとの間に挿入されて、ミラー64aの裏面が保持部材111の保持板111cの凸部111eに当接し、バネ片112eによりミラー64aの反射面が該ミラー64aの裏面と保持板111cの凸部111eとの当接箇所の側に押圧されて、ミラー64aの一端がバネ片112eと保持板111cの凸部111eとの間に挟み込まれて保持される。
このような構成の第1調節部101において、図7(a)、図8(a)、及び図9(a)に示すように偏芯ビス113の軸部113aの中心からの距離が最も短い頭部113bの周面部位が保持部材111の当接板111dの下面に当接するような回転角度に偏芯ビス113を回転させた場合は、ミラー64aの一端がバネ片112eと保持板111cの凸部111eとの間に挟み込まれて保持されつつ、保持部材111の当接板111dの下面が偏芯ビス113の頭部113bに当接するまで、バネ片112eにより保持部材111及びミラー64aの一端が矢印方向Aに押されて変位する。このとき、ミラー64aの他端が第2調節部102で弾性的に保持されていることから、ミラー64aの反射面がその他端を中心にして矢印方向Aに回転する。
また、図7(b)、図8(b)、及び図9(b)に示すように偏芯ビス113の軸部113aの中心からの距離が最も長い頭部113bの周面部位が保持部材111の当接板111dの下面に当接するような回転角度に偏芯ビス113を回転させた場合は、ミラー64aの一端がバネ片112eと保持板111cの凸部111eとの間に挟み込まれて保持されつつ、保持部材111の当接板111dの下面が偏芯ビス113の頭部113bにより押し上げられ、保持部材111及びミラー64aの一端がバネ片112eの押圧力に抗して矢印方向Bに変位し、ミラー64aの反射面がその他端を中心にして矢印方向Bに回転する。
従って、偏芯ビス113の回転角度を調節することにより、保持部材111と共にミラー64aの一端を矢印方向A、Bに変位させて、ミラー64aの反射面を該ミラー64aの他端を中心にして矢印方向A、Bに回転させ、矢印方向A、Bにおいてミラー64aの反射面の向きを適宜設定することができる。
また、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、及び図9(a)、(b)から明らかなようにバネ部材112及び偏芯ビス113がミラー64aの反射面の側に配置され、また保持部材111がミラー64aの裏面から反射面の側へと延在するものであって、保持部材111の殆どの部分がミラー64aの反射面の側に配置されている。従って、第1調節部101がミラー64aの反射面の側に概ねまとめて配置されており、これにより第1調節部101の配置スペースの高さが低くされている。このため、光走査装置11の小型化を図ることができる。
次に、図6に示すようにミラー64aの他端を矢印方向D、Eに回転させる第2調節部102について詳しく説明する。図15は、第2調節部102を拡大して示す斜視図である。また、図16(a)、(b)は、第2調節部を背面から視て拡大して示す背面図である。
図15及び図16(a)に示すように第2調節部102は、ミラー64aの他端の裏面及び側面にそれぞれ当接する第1凸部121及び第2凸部122と、ミラー64aの他端の反射面を押圧するバネ部材123と、ミラー64aの他端を矢印方向D、Eに回転させるために回転される調節ビス124とを備えている。
筐体41の底板41aの角には、台部41jが形成され、台部41jの側部には、ミラー64aの裏面と概ね平行な傾斜面41kが形成されている。この傾斜面41kに第1凸部121が設けられ、傾斜面41kと直交する面に第2凸部122が設けられている。バネ部材123は、図11に示すバネ部材112と同一のものであり、主板123a、側板123b、及びバネ片123e等を有している。調節ビス124は、雄ネジの溝が形成された軸部124aと、軸部124aと同芯状の頭部124bとを有している。
ここで、筐体41の側板41bの内側には支持片41hが設けられて、支持片41hの下面に凸部41iが形成されており、バネ部材123の側板123bが筐体41の側板41bの内側面に当接され、バネ部材123の主板123aが支持片41hの下面に重ね合わされて、支持片41hの下面の凸部41iがバネ部材123の主板123aの小孔(図示せず)に嵌合され、バネ部材123が配置される。そして、ミラー64aの他端がバネ部材123のバネ片123eと第1凸部121並びに調節ビス124の頭部124bとの間に挿入され、バネ片123eによりミラー64aの反射面が第1凸部121並びに調節ビス124の頭部124bの側に押圧されて、ミラー64aの他端がバネ片123eと第1凸部121並びに調節ビス124の頭部124bとの間に挟み込まれ、またミラー64aの側面が第2凸部122に当接して保持される。
この状態では、第1凸部121は、ミラー64aの中心Gから該ミラー64aの一辺寄りにずれた該ミラー64aの裏面の部位に当接する。また、調節ビス124の頭部124bは、ミラー64aの中心Gから該ミラー64aの他辺寄りにずれた該ミラー64aの裏面の部位に当接する。
このような構成の第2調節部102において、図16(a)に示すように調節ビス124を台部41jにねじ込んで、調節ビス124の頭部124bを下降させた場合は、ミラー64aの他端がバネ片123eと第1凸部121並びに調節ビス124の頭部124bとの間に挟み込まれて保持されつつ、ミラー64aの他辺側が調節ビス124の頭部124bに追従して下降し、ミラー64aの裏面と第1凸部121との当接箇所を中心にして該ミラー64aの他端が主走査方向Xの軸周りで矢印方向Dに回転する。このとき、ミラー64aの一端が第1調節部101で弾性的に保持されていることから、ミラー64aの両端が矢印方向Dに回転して、ミラー64aの反射面が矢印方向Dに回転する。
また、図16(b)に示すように調節ビス124をねじ込む方向とは逆方向に回転させて、調節ビス124の頭部124bを上昇させた場合は、ミラー64aの他端がバネ片123eと第1凸部121並びに調節ビス124の頭部124bとの間に挟み込まれて保持されつつ、ミラー64aの他辺側が調節ビス124の頭部124bにより押し上げられて上昇し、ミラー64aの裏面と第1凸部121との当接箇所を中心にして該ミラー64aの他端が主走査方向Xの軸周りで矢印方向Eに回転し、ミラー64aの両端が矢印方向Eに回転して、ミラー64aの反射面が矢印方向Eに回転する。
従って、調節ビス124のねじ込み量を調節することにより、ミラー64aの裏面と第1凸部121との当接箇所を中心にして該ミラー64aの他端を矢印方向D、Eに回転させ、矢印方向D、Eにおいてミラー64aの反射面の向きを適宜設定することができる。
また、図16(a)、(b)から明らかなようにバネ部材123の主板123a及び側板123bがミラー64aの上端から上方に僅かに突出しているものの、バネ部材123の殆どの部分がミラー64aの高さ方向の配置スペースに入る。また、第1凸部121、第2凸部122、及び調節ビス124もミラー64aの高さ方向の配置スペースに入る。従って、高さ方向においては第2調節部102の配置スペースを格別設ける必要がなく、光走査装置11の小型化を図ることができる。
このように第1調節部101の偏芯ビス113の回転角度を適宜調節することにより、ミラー64aの一端を矢印方向A、Bに変位させて、ミラー64aをその他端を中心にして矢印方向A、Bに回転させ、矢印方向A、Bにおいてミラー64aの反射面の向きを適宜設定することができ、また第2調節部102の調節ビス124のねじ込み量を適宜調節することにより、ミラー64aを主走査方向Xの軸周りで矢印方向D、Eに回転させて、矢印方向D、Eにおいてミラー64aの反射面の向きを適宜設定することができる。これにより、光ビームL1による感光体ドラム13表面の走査位置を正確に調節設定することができる。
また、第1調節部101がミラー64aの反射面の側に概ねまとめて配置されて、第1調節部101の配置スペースの高さが低くされ、また高さ方向においては第2調節部102の配置スペースを格別設ける必要がないので、光走査装置11の小型化を図ることができる。
例えば、図18(a)に示すように各ミラー64a、64d、66d、66aにそれぞれの第1調節部101を設けた場合は、各第1調節部101が筐体41から上方及び下方に突出しないように該筐体41の高さを設定する必要があるが、第1調節部101の配置スペースの高さが低いため、筐体41の高さH1を低くすることができる。
一方、図17に示すようにミラー201の裏面をバネ(図示せず)により矢印方向Qに押圧して、ミラー201の表面を偏芯カム202に当接させた構成では、ミラー201の表裏にバネ及び偏芯カム202のそれぞれの配置スペースを設ける必要があって、バネ及び偏芯カム202の配置スペースの高さが高くなる。このため、図18(b)に示すように各ミラー64a、64d、66d、66aにそれぞれのバネ及び偏芯カム202を設けた場合は、筐体41の高さH2が高くなってしまう。
尚、上記実施形態では、各ミラー64a、64d、66d、66aにそれぞれの第1調節部101及びそれぞれの第2調節部102を設けているが、第1調節部101及び第2調節部102を他のミラーやfθレンズ等に適用しても、同様の効果を得ることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。