JP6066060B2 - 結晶化ガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶性ガラス基板及び結晶化ガラス基板に関し、具体的には、光散乱機能を付与し得る結晶性ガラス基板及び結晶化ガラス基板に関する。
近年、家電製品の普及、大型化、多機能化等の理由から、家庭等の生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明機器のエネルギー消費が多くなっている。このため、高効率の照明が活発に検討されている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲を照らす「拡散光源」とに分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当し、白熱球の代替として採用されつつある。その一方で、「拡散光源」に相当する蛍光灯の代替光源が望まれており、その候補として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力である。
有機EL素子は、ガラス基板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層又は複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層として、低分子色素系材料、共役高分子系材料等が用いられており、発光層を形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等との積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加すると、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されて、発光する。
有機EL素子は、携帯電話、ディスプレイ用途として検討が進められており、一部では既に実用化されている。
また、有機EL素子は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の薄型テレビと同等の発光効率を有している。しかし、照明用光源に適用するためには、輝度が未だ実用レベルに到達しておらず、更なる発光効率の改善が必要である。
輝度が低い原因の一つとして、屈折率の不整合が挙げられる。具体的には、有機EL層の屈折率ndは1.8〜1.9であり、透明導電膜の屈折率ndは1.9〜2.0である。これに対して、ガラス基板の屈折率ndは、通常、1.5程度になる。よって、従来の有機ELデバイスは、透明導電膜とガラス基板の屈折率差が大きいことに起因して、有機EL層から放射した光が透明導電膜とガラス基板の界面で反射し、光取り出し効率が低下するという問題があった。
また、ガラス基板と空気の屈折率差に起因して、ガラス基板内に光が閉じ込められることも輝度が低い原因の一つである。例えば、屈折率nd1.5のガラス基板を用いた場合、空気の屈折率ndは1.0であるため、臨界角はスネルの法則より42°と計算される。よって、この臨界角以上の入射角の光は、全反射を起こし、ガラス基板内に閉じ込められて、空気中に取り出されないことになる。
特開2012−25634号公報
上記問題を解決するために、透明導電膜とガラス基板の間に、光取り出し層を形成することが検討されている。例えば、特許文献1には、光取り出し効率を高めるために、ソーダガラス基板の表面に、高屈折率のガラスフリットを焼結させた光取り出し層を形成することが記載されている。更に、特許文献1には、光取り出し層内に散乱物質を分散させることにより、光取り出し効率を更に高めることも記載されている。
しかし、特許文献1に記載のガラスフリットは、Nb等を多量に含むため、原料コストが高価である。また、ガラス基板の表面に光取り出し層を形成するためには、ガラス基板の表面にガラスペーストを塗布する印刷工程が必要になり、この工程は生産コストの高騰を招く。更に、ガラスフリット中に散乱粒子を分散させる場合、散乱粒子自体の吸収により光取り出し層の透過率が低くなる。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、その技術的課題は、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができ、しかも生産性に優れる基板材料を創案することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、結晶性ガラス基板を結晶化し、得られた結晶化ガラスを有機EL照明に適用すると、焼結体からなる光取り出し層を形成しなくても、有機EL層から放射した光がガラスマトリクス/析出結晶界面で散乱して、光取り出し効率が向上することを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明は、基板材料として、結晶性ガラス基板を用い、これを有機EL照明に適用することを特徴とする。ここで、「結晶性」とは、熱処理により結晶が析出する性質を指す。
第二に、本発明の結晶性ガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 10〜35%、LiO 1〜10%を含有することが好ましい。このようにすれば、熱処理により、主結晶としてLiO−Al−SiO系結晶(LAS系結晶:例えば、β−石英固溶体、β−スポジュメン固溶体)を析出させることが可能になる。結果として、光散乱機能を確保し得ると共に、30〜750℃の温度範囲における熱膨張係数が−10×10−7〜30×10−7/℃になって、耐熱衝撃性を高めることができる。
第三に、本発明の結晶性ガラス基板は、ガラス組成として、質量%で、SiO 55〜73%、Al 17〜27%、LiO 2〜5%、MgO 0〜1.5%、ZnO 0〜1.5%、NaO 0〜1%、KO 0〜1%、TiO 0〜3.8%、ZrO 0〜2.5%、SnO 0〜0.6%を含有することが好ましい。
第四に、本発明の結晶性ガラス基板は、実質的にAs及びSbを含まないことが好ましい。このようにすれば、近年の環境的要請を満たすことができる。ここで、「実質的にAsを含まない」とは、ガラス組成中のAsの含有量が0.1質量%未満の場合を指す。「実質的にSbを含まない」とは、ガラス組成中のSbの含有量が0.1質量%未満の場合を指す。
第五に、本発明の結晶性ガラス基板は、板厚が2.0mm以下であることが好ましい。このようにすれば、有機EL照明の軽量化を図り易くなる。
第六に、本発明の結晶性ガラス基板は、屈折率ndが1.500超であることが好ましい。このようにすれば、有機EL層と結晶化ガラス基板界面での屈折率差が小さくなり、有機EL層から放射した光が透明導電膜と結晶化ガラス基板の界面で反射し難くなる。ここで、「屈折率nd」は、屈折率測定器で測定可能であり、例えば、25mm×25mm×約3mmの直方体試料を作製した後、(徐冷点Ta+30℃)から(歪点Ps−50℃)までの温度域を0.1℃/minの冷却速度でアニール処理し、続いて屈折率ndが整合する浸液をガラス間に浸透させながら、カルニュー製の屈折率測定器KPR−2000を用いることにより測定可能である。
第七に、本発明の結晶性ガラス基板は、ロールアウト法により成形されてなることが好ましい。このようにすれば、大型の結晶性ガラス基板を大量に作製することができる。ここで、「ロールアウト法」は、溶融ガラスを一対の成形ロールの間に通して挟み込み、溶融ガラスを急冷しながら圧延成形して、ガラス基板を成形する方法である。
第八に、本発明の結晶性ガラス基板は、フロート法により成形されてなることが好ましい。このようにすれば、結晶性ガラス基板の表面平滑性(特に、溶融金属錫浴に接していない側のガラス表面の表面平滑性)を高めることができる。ここで、「フロート法」は、溶融金属錫浴(フロートバス)上に溶融ガラスを浮かべて、ガラス基板を成形する方法である。
第九に、本発明の結晶化ガラス基板は、結晶性ガラス基板を熱処理してなる結晶化ガラス基板であって、結晶性ガラス基板が、上記の結晶性ガラス基板であることを特徴とする。
第十に、本発明の結晶化ガラス基板は、主結晶がβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体であることが好ましい。このようにすれば、光散乱機能を確保し得ると共に、30〜750℃の温度範囲における熱膨張係数が−10×10−7〜30×10−7/℃になって、耐熱衝撃性を高めることができる。ここで、「主結晶」とは、析出量が最も多い結晶を指す。
第十一に、本発明の結晶化ガラス基板は、平均結晶粒子径が10〜2000nmであることが好ましい。このようにすれば、可視光域における光散乱機能を高め易くなる。
第十二に、本発明の結晶化ガラス基板は、ヘイズ値が0.2%以上であることが好ましい。このようにすれば、有機EL層から放射した光が結晶化ガラス基板内で散乱し易くなる。ここで、「ヘイズ値」は、例えば、両表面が鏡面研磨された試料(板厚1.1mm)を評価試料とし、スガ試験機製TMダブルビーム式自動ヘーズコンピュータにより測定することができる。
第十三に、本発明の結晶化ガラス基板は、一方の表面から臨界角以上の光を入射した際に、他方の表面から光が取り出される性質を有することが好ましい。このようにすれば、結晶化ガラス基板内に閉じ込められる光が低減されて、光取り出し効率が向上する。
第十四に、本発明の結晶化ガラス基板は、(一方の表面から入射角60°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)/(一方の表面から入射角0°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)の値が0.005以上であることが好ましい。このようにすれば、結晶化ガラス基板内に閉じ込められる光が低減されて、光取り出し効率が向上する。
第十五に、本発明の結晶化ガラス基板の製造方法は、上記の結晶性ガラス基板を熱処理して、結晶化ガラス基板を得る結晶化ガラス基板の製造方法であって、熱処理の際に、結晶性ガラス基板の結晶核成長温度域(例えば、800〜1100℃)で30分間以上保持すると共に、結晶核形成温度域(例えば、600〜800℃未満)で30分間以上保持しないことを特徴とする。このようにすれば、結晶核がガラスマトリクス中に多量に析出することなく、1個当たりの平均結晶粒子径が大きくなり易い。結果として、可視光域で光散乱機能を発揮する程度まで結晶粒子を粗大化させることができる。
光散乱機能の評価方法を示す概略断面図である。 [表5]のデータをプロットしたチャートである。
本発明の結晶性ガラス基板において、ガラス組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 10〜35%、LiO 1〜10%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有量を規定した理由を以下に説明する。なお、本発明の結晶化ガラス基板は、本発明の結晶性ガラス基板と同様の組成を有することが好ましい。
SiOは、ガラスの骨格を形成すると共に、LAS系結晶を構成する成分である。SiOの含有量が少なくなると、化学的耐久性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多くなると、溶融性が低下し易くなったり、溶融ガラスの粘度が高くなり易く、結果として、結晶性ガラス基板への成形が困難になる。従って、SiOの好適な含有量は40〜80%、50〜75%、55〜73%、58〜70%、特に60〜68%である。
Alは、ガラスの骨格を形成すると共に、LAS系結晶を構成する成分である。Alの含有量が少なくなると、化学的耐久性が低下し易くなる。一方、Alの含有量が多くなると、溶融性が低下し易くなったり、溶融ガラスの粘度が高くなり易く、結果として、結晶性ガラス基板への成形が困難になる。また、成形時に、ムライトの結晶が析出して、ガラスが破損し易くなる。従って、Alの好適な含有量は10〜35%、17〜27%、19〜25%、特に20〜23%である。
LiOは、LAS系結晶を構成する成分であり、結晶性に大きな影響を与えると共に、ガラスの粘性を低下させて、溶融性及び成形性を高める成分である。LiOの含有量が少なくなると、熱処理時に、LAS系結晶が析出し難しくなる。更に、成形時に、ムライトの結晶が析出して、ガラスが破損し易くなる。一方、LiOの含有量が多くなると、結晶性が強くなり過ぎて、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、LiOの好適な含有量は1〜10%、2〜5% 2.3〜4.7%であり、より好ましくは2.5〜4.5%である。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を添加してもよい。
MgOは、LAS系結晶に固溶する成分である。MgOの含有量が多くなると、結晶性が強くなり過ぎて、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、MgOの好適な含有量は0〜5%、0〜1.5%、特に0〜1.2%である。
ZnOは、屈折率を高める成分であると共に、MgOと同様にして、LAS系結晶に固溶する成分である。ZnOの含有量が多くなると、結晶性が強くなり過ぎて、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、ZnOの好適な含有量は0〜5%、0〜3%、0〜1.5%、特に0〜1.2%である。
LiO、MgO及びZnOの合量が少な過ぎる場合、成形時にムライトの結晶が析出して、ガラスが破損し易くなる。更に、結晶性ガラスを結晶化させる際に、LAS系結晶が析出し難しくなり、結晶化ガラス基板の耐熱衝撃性が低下し易くなる。一方、LiO、MgO及びZnOの合量が多くなると、結晶性が強くなり過ぎて、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、LiO、MgO及びZnOの好適な含有量は、合量で1〜10%、2〜5.2%、特に2.3〜5%である。
NaOは、ガラスの粘性を低下させて、溶融性及び成形性を高める成分である。NaOの含有量が多くなると、成形時にβ−スポジュメン固溶体に取り込まれて、結晶成長が促進される。これにより、ガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、NaOの好適な含有量は0〜3%、0〜1%、0〜0.6%、特に0.05〜0.5%である。
Oは、ガラスの粘性を低下させて、溶融性及び成形性を高める成分である。KOの含有量が多くなると、熱膨張係数が高くなり易く、また耐クリープ性が低下し易くなり、結晶化ガラス基板を高温下で長時間使用すると、結晶化ガラス基板が変形し易くなる。従って、KOの好適な含有量は0〜3%、0〜1%、0〜0.6%、特に0.05〜0.5%である。
β−スポジュメン固溶体を析出させた結晶化ガラス基板を作製したい場合、NaOとKOを併用することが好ましい。その理由は、NaOは、β−スポジュメン固溶体に取り込まれる成分であるため、KOを導入せずに、溶融性及び成形性を高めようとすると、NaOを過剰に導入しなければならず、成形時にガラスが失透し易くなるからである。成形時の失透を抑制しつつ、ガラスの粘性を低下させるには、NaOと共に、β−スポジュメン固溶体に取り込まれず、溶融性及び成形性を高めるKOを併用することが好ましい。NaOとKOの合量が多くなると、成形時にガラスが失透し易くなる。一方、NaOとKOの合量が少なくなると、溶融性及び成形性を高め難くなる。従って、NaOとKOの好適な含有量は、合量で0.05〜5%、0.05〜3%、0.05〜1%、特に0.35〜0.9%である。
TiOは、屈折率を高める成分であり、また結晶核形成成分である。TiOの含有量が多くなると、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、TiOの好適な含有量は0〜10%、0〜3.8%、0.1〜3.8%、特に0.5〜3.6%である。
ZrOは、TiOと同様にして、屈折率を高める成分であり、また結晶核形成成分である。ZrOの含有量が多くなると、溶融時にガラスが失透し易くなり、結晶性ガラス基板への成形が困難になる。従って、ZrOの好適な含有量は0〜5%、0〜2.5%、0.1〜2.5%、特に0.5〜2.3%である。
TiO及びZrOの合量が少なくなると、結晶性ガラスを結晶化させる際に、LAS系結晶が析出し難くなって、光散乱機能を確保し難くなる。一方、TiO及びZrOの合量が多くなると、成形時にガラスが失透して、ガラスが破損し易くなる。従って、TiO及びZrOの好適な含有量は、合量で1〜15%、1〜10%、1〜7%、2〜6%、特に2.7〜4.5%である。
SnOは、清澄性を高める成分である。SnOの含有量が多くなると、溶融時にガラスが失透し易くなり、結晶性ガラス基板への成形が困難になる。従って、SnOの好適な含有量は0〜2%、0〜1%、0〜0.6%、0〜0.45%、特に0.01〜0.4%である。
Cl、SOは、清澄性を高める成分である。Clの好適な含有量は0〜2%である。また、SOの好適な含有量は0〜2%である。
As及びSbも清澄性を高める成分であるが、これらの成分は環境的負荷を高める成分であり、またフロート法で成形する場合、フロートバス中で還元されて金属異物になる成分である。従って、本発明では、実質的にAs及びSbを含有しないことが好ましい。
ガラスの骨格を形成する成分として、Bを導入することができる。しかし、Bの含有量が多くなると、耐熱性が低下し易くなる。従って、Bの好適な含有量は0〜2%である。
は、成形時の失透を抑制しつつ、核形成を促進する成分である。Pの好適な含有量は0〜5%、0〜3%、特に0〜2%である。
CaO、SrO及びBaOは、溶融時の失透を助長する成分である。CaO、SrO及びBaOの好適な含有量は、合量で0〜5%、特に0〜2%である。
NiO、CoO、Cr、Fe、V、Nb、Gdは、着色剤として添加可能な成分である。これらの成分の好適な含有量は、合量で0〜2%である。
上記成分以外にも、他の成分を例えば5%まで導入してもよい。
本発明の結晶性ガラス基板(及び結晶化ガラス基板)において、板厚は、好ましくは2.0mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1.1mm以下、0.8mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下、0.2mm以下、特に0.1mm以下である。板厚が小さい程、有機EL照明を軽量化し易くなるが、板厚が極端に小さくなると、機械的強度が低下し易くなる。従って、板厚は、好ましくは10μm以上、特に30μm以上である。
本発明の結晶性ガラス基板において、屈折率ndは、好ましくは1.500超、1.580以上、1.600以上、特に1.630以上である。屈折率ndが1.500以下になると、透明導電膜−結晶化ガラス基板界面の反射によって、光を外部に取り出し難くなる。一方、屈折率ndが2.3より高くなると、空気−結晶化ガラス基板界面での反射率が高くなり、光を外部に取り出し難くなる。よって、屈折率ndは、好ましくは2.3以下、2.2以下、2.1以下、2.0以下、1.9以下、特に1.75以下である。
本発明の結晶化ガラスの製造方法を説明する。まず所定の組成になるようにガラス原料を調合し、得られたガラスバッチを1550〜1750℃の温度で溶融した後、板状に成形し、結晶性ガラス基板を得る。なお、成形方法として、フロート法、ロールアウト法、プレス法等があるが、結晶性ガラス基板の表面平滑性を高めたい場合は、フロート法が好ましく、大型の結晶性ガラス基板を作製したい場合は、ロールアウト法が好ましく、成形時の失透を抑制したい場合は、プレス法が好ましい。
続いて、800〜1100℃で0.5〜3時間熱処理して、結晶を成長させることにより、結晶化ガラス基板を作製することができる。なお、必要に応じて、結晶を成長させる工程の前に、結晶性ガラス基板に結晶核を形成させる結晶核形成工程を設けることもできる。
特に、熱処理の際に、結晶性ガラス基板の結晶核成長温度域で30分間以上保持すると共に、結晶核形成温度域で30分間以上保持しないことが好ましい。このようにすれば、結晶核がガラスマトリクス中に多量に析出する事態が防止されて、結晶粒子1個当たりの平均結晶粒子径が大きくなり易い。結果として、可視光域で光散乱機能を発揮する程度まで結晶粒子が粗大化し易くなる。
本発明の結晶化ガラス基板は、主結晶としてLAS系結晶を析出していることが好ましい。このようにすれば、光散乱機能を確保しつつ、30〜750℃の温度範囲における熱膨張係数が−10×10−7〜30×10−7/℃になって、耐熱衝撃性を高めることができる。
LAS系結晶として、β−石英固溶体を析出させるためには、結晶核を形成した後、800〜950℃で0.5〜3時間熱処理すればよく、β−スポジュメン固溶体を析出させるためには、結晶核を形成した後、1000〜1100℃で0.5〜3時間熱処理すればよい。
本発明の結晶化ガラス基板において、平均結晶粒子径は、好ましくは10〜2000nm、20〜1800nm、100〜1500nm、200〜1500nm、特に400〜1000nmである。このようにすれば、可視光域における光散乱機能を高め易くなる。
本発明の結晶化ガラス基板において、ヘイズ値は、好ましくは0.2%以上、1%以上、10%以上、20%以上、30%以上、特に50〜95%である。ヘイズ値が小さ過ぎると、結晶化ガラス基板内に閉じ込められる光が多くなり、光取り出し効率が低下し易くなる。
本発明の結晶化ガラス基板において、全光線透過率は、好ましくは40%以上、50%以上、特に60%以上である。このようにすれば、有機EL素子を組み立てた際に輝度を高めることができる。
本発明の結晶化ガラス基板において、(一方の表面から入射角60°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)/(一方の表面から入射角0°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)の値は、好ましくは0.005以上、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.08以上、特に0.1以上である。上記値が小さ過ぎると、結晶化ガラス基板内に閉じ込められる光が多くなり、光取り出し効率が低下し易くなる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は、単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1〜4は、本発明の実施例(試料No.1〜23)を示している。
各試料は、次のようにして調製した。まず表中のガラス組成になるように原料を調合し、均一に混合した後、白金ルツボに入れて1600℃で20時間溶融した。次いで、溶融ガラスをカーボン定盤上に流し出し、ローラーを用いて5mmの厚さに成形した後、徐冷炉を用いて700℃から室温まで100℃/時間の降温速度で冷却して、結晶性ガラスを作製した。
次に、下記の熱処理条件(1)〜(3)により、結晶性ガラスを熱処理して、結晶化ガラスを作製した。なお、室温から核形成温度までの昇温速度を300℃/時間、核形成温度から結晶成長温度までの昇温速度を150℃/時間とし、結晶成長温度から室温までの降温速度を100℃/時間とした。
熱処理条件(1) 核形成:780℃−2時間 → 結晶成長:900℃−1時間
熱処理条件(2) 核形成:780℃−2時間 → 結晶成長:1160℃−1時間
熱処理条件(3) 核形成:保持なし → 結晶成長:900℃−1時間
各結晶化ガラスについて、X線回折装置(リガク製 RINT−2100)を用いて、主結晶を評価した。なお、測定範囲を2θ=10〜60°とした。なお、表中の「β−Q」はβ−石英固溶体を指し、「β−S」はβ−スポジュメン固溶体を指す。
表から明らかなように、熱処理条件(1)、(3)により、主結晶としてβ−石英固溶体を析出してなる結晶化ガラスを得ることができた。更に、熱処理条件(2)により、主結晶としてβ−スポジュメンを析出してなる結晶化ガラスを得ることができた。
<光散乱機能の評価>
続いて、熱処理前の試料No.23に対して、以下の熱処理条件(A)〜(C)で熱処理を行い、図1に示す測定装置により、光散乱機能を評価した。
(A)炉内温度900℃に維持された徐冷炉内に投入し、1時間保持した後、炉内から試料を取り出し、室温にて静置する。
(B)炉内温度940℃に維持された徐冷炉内に投入し、1時間保持した後、炉内から試料を取り出し、室温にて静置する。
(C)電気炉で室温から760℃まで20℃/分で昇温し、760℃で1分間保持した上で、940℃まで20℃/分で昇温し、940℃で1時間保持した後に、炉内から試料を取り出し、室温にて静置する。
同様にして、日本電気硝子製SS−1についても、光散乱機能を評価した。その結果を表5に示す。なお、評価試料の板厚は、何れも1.1mmである。
光散乱機能の評価方法を詳細に説明する。まず一方の基板の表面上に浸液を用いて屈折率nd1.74の半球レンズを設置し、半球レンズの中心に向かって、光源を入射させた。次に、基板の内部を通って、他方の基板の表面から取り出される光を積分球により検出した。更に、入射角θを変化させて同様の実験を繰り返し、それぞれの入射角において取り出される光を積分球により検出した。その測定結果を表2に示す。ここで、光源には、モリテックス製赤色レーザーSNF−660−5、分光器には、オーシャンフォトニクス製ファイバマルチチャンネル分光器USB4000、ソフトウェアには、オーシャンフォトニクス製OPWaveを用いた。また、積分球と分光器を接続する光ファイバには、オーシャンオプティクス製P50−2−UV−VISを用いた。
図1は、光散乱機能の評価方法を示す概略断面図である。図1から分かるように、基板1の一方の表面上に半球レンズ2が配置されており、基板1の他方の表面に積分球3が配置されている。基板1の表面に垂直な面からの傾きをθとし、この角度から光源4の光が半球レンズ2の中心に向かって出射されると共に、基板1の内部を通って積分球3により検出される。
図2は、表5のデータをプロットしたチャートである。図5において、縦軸は放射束値(μW)、横軸は入射角θ(°)を示しており、「○」は熱処理前の試料No.23のデータ、「□」は熱処理条件(A)を行った後の試料No.23のデータ、「+」は熱処理条件(B)を行った後の試料No.23のデータ、「×」は熱処理条件(C)を行った後の試料No.23のデータ、「△」はSS−1のデータである。
ヘイズ値及び全光線透過率は、両表面が鏡面研磨された試料(板厚1.1mm)を評価試料とし、スガ試験機製TMダブルビーム式自動ヘーズコンピュータにより測定した値である。
表5から明らかなように、試料No.23に対して、熱処理条件(A)〜(C)を行ったところ、臨界角付近である40°以上の入射角でも、高い放射束値が得られた。なお、熱処理条件(A)〜(C)により、主結晶としてβ−石英固溶体が析出していた。一方、日本電気硝子製SS−1は、入射角が40°以上になると、放射束値が低くなった。
1 基板(結晶化ガラス基板)
2 半球レンズ
3 積分球
4 レーザー

Claims (8)

  1. 組成として、質量%で、SiO 40〜80%、Al 10〜35%、LiO 1〜4.4%、ZnO 0〜1.5%、SnO 0〜1%を含有し、ヘイズ値が0.2%以上であり、(一方の表面から入射角60°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)/(一方の表面から入射角0°の光を照射して、他方の表面から得られる放射束値)の値が0.005以上であり、且つ有機EL照明に用いることを特徴とする結晶化ガラス基板。
  2. 組成として、質量%で、SiO 55〜73%、Al 17〜27%、LiO 1〜4.4%、MgO 0〜1.5%、ZnO 0〜1.5%、NaO 0〜1%、KO 0〜1%、TiO 0〜3.8%、ZrO 0〜2.5%、SnO 0〜0.6%を含有することを特徴とする請求項1に記載の結晶化ガラス基板。
  3. 実質的にAs及びSbを含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶化ガラス基板。
  4. 板厚が2.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の結晶化ガラス基板。
  5. 屈折率ndが1.500超であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の結晶化ガラス基板。
  6. 主結晶がβ−石英固溶体又はβ−スポジュメン固溶体であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の結晶化ガラス基板。
  7. 平均結晶粒子径が10〜2000nmであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに結晶化ガラス基板。
  8. 請求項1乃至の何れかに記載の結晶化ガラス基板の製造方法であって、
    結晶性ガラス基板を熱処理して、結晶化ガラス基板を得る工程を有し、前記熱処理の際に、前記結晶性ガラス基板の結晶核成長温度域で30分間以上保持すると共に、結晶核形成温度域で30分間以上保持しないことを特徴とする結晶化ガラス基板の製造方法。
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