以下、本発明を適用可能なプリンターの構成について、図面を参照しつつ説明する。図1は本発明を適用可能なプリンターの構成を模式的に示す正面図である。なお、図1や以下の図面では必要に応じて、プリンター1の各部の配置関係を明確にするために、プリンター1の左右方向X、前後方向Yおよび鉛直方向Zに対応した三次元の座標系を採用している。
図1に示すように、プリンター1では、繰出部2、プロセス部3および巻取部4が左右方向に配列されている。繰出部2および巻取部4はそれぞれ繰出軸20および巻取軸40を有している。そして、繰出部2および巻取部4にシートS(ウェブ)の両端がロール状に巻き付けられ、それらの間に張架されている。こうして張架された搬送経路Pcに沿ってシートSが繰出軸20からプロセス部3に搬送されて印刷ユニット36Uによる画像記録処理を受けた後、巻取軸40へと搬送される。
シートSは、本発明の「連続媒体」に相当し、本発明の「接合部材」に相当する繋ぎ目テープによって複数の媒体を繋ぐことで長尺に形成されている。このシートSの種類は、紙系とフィルム系に大別される。具体例を挙げると、紙系には上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙等があり、フィルム系には合成紙、PET(Polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)等がある。なお、以下の説明では、シートSの両面のうち、画像が記録される面を表面と称する一方、その逆側の面を裏面と称する。
繰出部2は、シートSの端を巻き付けた繰出軸20と、繰出軸20から引き出されたシートSを巻き掛ける従動ローラー21とを有する。繰出軸20は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、繰出軸20が図1の紙面において時計回りに回転することで、繰出軸20に巻き付けられたシートSが従動ローラー21を経由してプロセス部3へと繰り出される。
プロセス部3は、繰出部2から繰り出されたシートSを平面状に構成されたフラット型のプラテン30で支持しつつ、プラテン30の表面に沿って配置された印刷ユニット36Uからインクを適宜吐出して、シートSに画像を記録するものである。このプロセス部3では、プラテン30の両側に前駆動ローラー31と後駆動ローラー32とが設けられており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSがプラテン30に支持されて画像の印刷を受ける。
プラテン30は図示を省略する保持機構により、シートSを支持する表面(上面)が水平となるように保持されている。プラテン30の左右両側には従動ローラー33、34が設けられており、従動ローラー33、34は、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSを裏面側から巻き掛けている。従動ローラー33、34の上端位置はプラテン30の表面と面一か若干下方となるように配置されており、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSがプラテン30と当接した状態を維持できるように構成されている。
前駆動ローラー31は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、繰出部2から繰り出されたシートSの裏面側に接触する。そして、前駆動ローラー31は図1の紙面において時計回りに回転することで、繰出部2から繰り出されたシートSを、従動ローラー33を経由してプラテン30へ搬送する。なお、前駆動ローラー31に対してはニップローラー31nが設けられている。このニップローラー31nは、前駆動ローラー31側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、前駆動ローラー31との間でシートSを挟み込む。これによって、前駆動ローラー31とシートSの間の摩擦力が確保され、前駆動ローラー31によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
後駆動ローラー32は、溶射によって形成された複数の微小突起を外周面に有しており、プラテン30から従動ローラー34を経由して搬送されてきたシートSの裏面側に接触する。そして、後駆動ローラー32は図1の紙面において時計回りに回転することで、シートSを巻取部4へと搬送する。なお、後駆動ローラー32に対してはニップローラー32nが設けられている。このニップローラー32nは、後駆動ローラー32側へ付勢された状態でシートSの表面に当接しており、後駆動ローラー32との間にシートSを挟み込む。これによって、後駆動ローラー32とシートSの間の摩擦力が確保され、後駆動ローラー32によるシートSの搬送を確実に行なうことができる。
このように、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32へと搬送されるシートSは、プラテン30で支持されつつプラテン30上を搬送方向Dsに搬送される。そして、プロセス部3では、プラテン30に支持されるシートSの表面に対してカラー画像を印刷するために、4個の印刷ヘッド36a〜36dがプラテン30の表面に対向して、搬送方向Dsに並ぶ。印刷ヘッド36a〜36dは、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックにそれぞれ対応しており、プラテン30表面に向いて開口するノズルから対応する色のインクを吐出する。具体的には、印刷ヘッド36a〜36dのそれぞれでは、搬送方向Dsに直交するY方向に複数のノズルが直線状に並んでノズル列が形成され、さらに複数列(例えば2列)のノズル列が搬送方向Dsに間隔を空けて並んでいる。したがって、印刷ヘッド36a〜36dのそれぞれは、複数ラインのライン画像を同時に記録することができる。
印刷ヘッド36a〜36bは、プラテン30に対して接離自在となっている。プラテン30に対して近づいた状態では、印刷ヘッド36a〜36dは、プラテン30に支持されたシートSの表面に対して若干の印刷用クリアランスを空けて対向しており、対応する色のインクをインクジェット方式で吐出する。そして、搬送方向Dsに沿って搬送されるシートSに対して印刷ヘッド36a〜36dがインクを吐出することで、シートSの表面にカラー画像が形成される。一方、プラテン30から離隔した状態では、印刷ヘッド36a〜36bは、プラテン30に支持されたシートSの表面に対して先ほどの印刷用クリアランスよりも広い退避用クリアランスを空けて対向しており、搬送経路Pcに沿ってプラテン30上を通過する、異物の付着したシートSや異物などから退避可能となる。
ちなみに、インクとしては、紫外線(光)を照射することで硬化するUV(ultraviolet)インク(光硬化性インク)が用いられる。そこで、インクを硬化させてシートSに定着させるために、UV光源37a、37bが設けられている。UV光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザ、冷陰極管、熱陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能である。なお、このインク硬化は、仮硬化と本硬化の二段階に分けて実行される。印刷ヘッド36a〜36dの各間には、仮硬化用のUV光源37aが配置されている。つまり、UV光源37aは弱い紫外線を照射することで、インクの形状が崩れない程度にインクを硬化(仮硬化)させるものであり、インクを完全に硬化させるものではない。一方、印刷ヘッド36a〜36dに対して搬送方向Dsの下流側には、本硬化用のUV光源37bが設けられている。つまり、UV光源37bは、UV光源37aより強い紫外線を照射することで、インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。UV光源37aと37bは同じ種類の光源でも良いし、異なる種類の光源を用いるようにしてもよい。こうして仮硬化・本硬化を実行することで、印刷ヘッド36a〜36dが形成したカラー画像をシートSの表面に定着させることができる。
さらに、UV光源37bに対して搬送方向Dsの下流側では、印刷ヘッド36eがプラテン30の表面に対向して配置されている。この印刷ヘッド36eは、透明のUVインクをインクジェット方式でシートSの表面に吐出するものであり、プラテン30に対して接離自在となっている。プラテン30に対して近づいた状態では、印刷ヘッド36eは、プラテン30に支持されたシートSの表面に対して若干の印刷用クリアランスを空けて対向しており、透明インクをインクジェット方式で吐出する。これによって、4色分の印刷ヘッド36a〜36dによって形成されたカラー画像に対して、透明インクがさらに吐出される。一方、プラテン30から離隔した状態では、印刷ヘッド36eは、プラテン30に支持されたシートSの表面に対して先ほどの印刷用クリアランスよりも広い退避用クリアランスを空けて対向しており、搬送経路Pcに沿ってプラテン30上を通過する、異物の付着したシートSや異物などから退避可能となる。
また、印刷ヘッド36eに対して搬送方向Dsの下流側には、UV光源38が設けられている。このUV光源38は強い紫外線を照射することで、印刷ヘッド36eが吐出した透明インクを完全に硬化(本硬化)させるものである。これによって、透明インクをシートSの表面に定着させることができる。
このように、プロセス部3では、プラテン30に支持されるシートSに対して、インクの吐出および硬化が適宜実行されて、透明インクでコーティングされたカラー画像が形成される。そして、このカラー画像の形成されたシートSが、後駆動ローラー32によって巻取部4へと搬送される。
なお本実施形態でいう本硬化とは、インクが100%硬化した状態のみを指すのではなく、例えばニップローラー32nを通過した後にニップローラー32nにインクが転写されない程度にインクが硬化されている状態を含む。
巻取部4は、シートSの端を巻き付けた巻取軸40と、巻取軸40へと搬送されるシートSを巻き掛ける従動ローラー41とを有する。巻取軸40は、シートSの表面を外側に向けた状態で、シートSの端を巻き付けて支持する。そして、巻取軸40が図1の紙面において時計回りに回転することで、従動ローラー41を経由してシートSが巻取軸40に巻き付けられる。
以上がプリンター1の装置構成の概要である。続いて、プリンター1を制御する電気的構成について説明を行なう。図2は、図1に示すプリンターを制御する電気的構成を模式的に示すブロック図である。プリンター1では、外部のホストコンピューターなどからの指令に応じてプリンター1の各部を制御するプリンター制御部200が設けられている。そして、記録ヘッド、UV光源およびシート搬送系の装置各部はプリンター制御部200によって制御される。これら装置各部に対するプリンター制御部200の制御の詳細は次のとおりである。
プリンター制御部200は、図1を用いて詳述したシートSの搬送を制御する機能を司る。つまり、シート搬送系を構成する部材のうち、繰出軸20、前駆動ローラー31、後駆動ローラー32および巻取軸40それぞれにはモーターが接続されている。そして、プリンター制御部200はこれらのモーターを回転させつつ、各モーターの速度やトルクを制御して、シートSの搬送を制御する。このシートSの搬送制御の詳細は次のとおりである。
プリンター制御部200は、繰出軸20を駆動する繰出モーターM20を回転させて、繰出軸20から前駆動ローラー31にシートSを供給する。この際、プリンター制御部200は、繰出モーターM20のトルクを制御して、繰出軸20から前駆動ローラー31までのシートSのテンション(繰出テンションTa)を調整する。つまり、繰出軸20と前駆動ローラー31の間に配置された従動ローラー21には、繰出テンションTaを検出するテンションセンサーS21が取り付けられている。このテンションセンサーS21は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS21の検出結果に基づいて、繰出モーターM20のトルクをフィードバック制御して、シートSの繰出テンションTaを調整する。
この際、プリンター制御部200は、繰出軸20から前駆動ローラー31へ供給されるシートSの幅方向(図1の紙面の直交方向)の位置を調整しつつ、シートSの繰り出しを行う。これによって、繰出軸20および従動ローラー21それぞれが軸方向(言い換えればシートSの幅方向)に位置調整されて、シートSの搬送に対するステアリングが実行される。また、従動ローラー21と前駆動ローラー31の間にはシートSの幅方向への端を検出するエッジセンサー51が配置されている。このエッジセンサー51は、例えば超音波センサー等の距離センサーで構成することができる。そして、プリンター制御部200は、エッジセンサー51の検出結果に基づいて、ステアリングをフィードバック制御する。これによって、シートSの蛇行等の搬送不良が抑制される。
また、プリンター制御部200は、前駆動ローラー31を駆動する前駆動モーターM31と、後駆動ローラー32を駆動する後駆動モーターM32とを回転させる。これによって、繰出部2から繰り出されたシートSがプロセス部3を通過する。この際、前駆動モーターM31に対しては速度制御が実行される一方、後駆動モーターM32に対してはトルク制御が実行される。つまり、プリンター制御部200は、前駆動モーターM31のエンコーダー出力に基づいて、前駆動モーターM31の回転速度を一定に調整する。これによって、シートSは、前駆動ローラー31によって一定速度(例えば250[mm/s])で搬送される。
一方、プリンター制御部200は、後駆動モーターM32のトルクを制御して、前駆動ローラー31から後駆動ローラー32までのシートSのテンション(プロセステンションTb)を調整する。つまり、プラテン30と後駆動ローラー32の間に配置された従動ローラー34には、プロセステンションTbを検出するテンションセンサーS34が取り付けられている。このテンションセンサーS34は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS34の検出結果に基づいて、後駆動モーターM32のトルクをフィードバック制御して、シートSのプロセステンションTbを調整する。
また、プリンター制御部200は、巻取軸40を駆動する巻取モーターM40を回転させて、後駆動ローラー32が搬送するシートSを巻取軸40に巻き取る。この際、プリンター制御部200は、巻取モーターM40のトルクを制御して、後駆動ローラー32から巻取軸40までのシートSのテンション(巻取テンションTc)を調整する。つまり、後駆動ローラー32と巻取軸40の間に配置された従動ローラー41には、巻取テンションTcを検出するテンションセンサーS41が取り付けられている。このテンションセンサーS41は、例えばシートSから受ける力を検出するロードセルによって構成することができる。
そして、プリンター制御部200は、テンションセンサーS41の検出結果に基づいて、巻取モーターM40のトルクをフィードバック制御して、シートSの巻取テンションTcを調整する。
さらに、プリンター制御部200は、プラテン30上でのシートSの搬送状況に応じて、印刷ヘッド36a〜36e、UV光源37a、37b、38の動作を制御する。つまり、プラテン30上でのシートSの搬送状況は、例えば前駆動モーターM31のエンコーダーの出力値から把握できる。そこで、プリンター制御部200は、このエンコーダーの出力値などからシートSの搬送に同期する同期信号を生成して、印刷ヘッド36a〜36e、UV光源37a、37b、38の動作を同期信号に基づいて制御する。
具体的には、各印刷ヘッド36a〜36dのインク吐出タイミングが同期信号に基づいて制御される。これによって、印刷ヘッド36a〜36dが吐出したインクを搬送されるシートSの目標位置に着弾させて、適切な色調のカラー画像を形成することができる。また、印刷ヘッド36eが透明インクを吐出するタイミングも同様に同期信号に基づいて制御される。これによって、複数の印刷ヘッド36a〜36dによって形成されたカラー画像に対して、透明インクを的確に吐出することができる。また、UV光源37a、37b、38の点灯・消灯のタイミングや照射光量もプリンター制御部200によって制御される。
さらに、プリンター制御部200は、異物センサー53やテープセンサー55の検出結果に基づいて、印刷ヘッド36a〜36e、UV光源37a、37b、38の動作を制御する。異物センサー53は、シートSの表面に付着した異物などの厚みを検出するものであり、プラテン30の搬送経路Pcの上流側に配置されて、シートSに対向する。したがって、プラテン30に搬送される前のシートSの表面に付着した異物を確認することができる。そこで、プリンター制御部200は、異物の厚みと印刷用クリアランスとの比較結果から、印刷ヘッド36a〜36eと異物との接触の可能性があると判断すると、シートSの搬送を停止したり印刷ヘッド36a〜36eを退避させたりといった処置を適宜行う。
テープセンサー55は、シートSの繋ぎ目テープを検出するものであり、プラテン30の搬送経路Pcの上流側に配置されている(具体的には、前駆動ローラー31と従動ローラー33の間に配置されている)。テープセンサー55は、シートSの表面および裏面のそれぞれに対して設けられている。そして、各テープセンサー55は、対応する面に貼り付けられた繋ぎ目テープを検出すると、検出信号を出力する。そして、この実施形態では、テープセンサー55の検出結果に基づいて所定の制御が実行される。続いては、かかる制御の内容について詳述する。
まずは、テープセンサー55に基づく制御対象となるプリンター1各部の詳細な位置関係について、図3を用いて説明する。ここで、図3は、テープセンサー、印刷ヘッドおよびUV光源の位置関係をシートの搬送経路に沿って展開した様子を模式的に示す図であり、同図の上段では正面視での様子が示され、同図の下段では平面視での様子が示されている。特に、同図の上段では、繋ぎ目テープT、テープセンサー35の検出位置P55、印刷ヘッド36aおよびUV光源38の搬送経路Pcに沿った距離関係が示されており、同図の下段では、繋ぎ目テープT、テープセンサー55の検出位置P55およびUV光源38の照射領域R38の搬送経路Pcに沿った距離関係が示されている。
同図に示すように、テープセンサー55は、繋ぎ目テープTが検出位置P55に到達したことを検出して検出信号を出力する。テープセンサー55の具体的構成としては、カラーセンサーや距離センサーなどの種々のセンサーを用いることができる。特に、繋ぎ目テープTがシートS表面と異なる色を有している場合は、カラーセンサーを好適に用いることができる。テープセンサー55の検出位置P55は、テープセンサー55から検出信号が出力された時点における繋ぎ目テープTの搬送経路Pcの下流端の位置として求めることができる。ちなみに、上述したように、テープセンサー55は、シートSの表面および裏面のそれぞれに設けても構わない。この際、各テープセンサー55の検出位置P55は互いに一致させても構わないし、互いにずらしても構わない。
UV光源38は、シートS表面の所定の照射領域R38に対して本硬化用の紫外線を照射する。この照射領域R38の搬送経路Pcの下流端は、照射領域R38の紫外線強度のプロファイルにおいて最大強度に対して50%の強度を有する位置、あるいは、インクが本硬化する位置として求めることができる。
そして、複数の印刷ヘッド36a〜36eのうち搬送経路Pcの最上流の印刷ヘッド36aに対して、検出位置P55および照射領域R38の下流端P38は、次式
L1>L2
で与えられる距離関係を満たす。ここで、距離L1は、検出位置P55から印刷ヘッド36aの搬送経路Pcの上流端までの搬送経路Pcに沿った距離であり、距離L2は、印刷ヘッド36aの搬送経路Pcの最上流のノズル361(ノズル列)から照射領域R38の下流端P38までの搬送経路Pcに沿った距離である。
続いては、テープセンサー55に基づく制御の具体的動作例について、図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、プリンターで実行される動作の一例を示すフローチャートであり、図5は、図4中に示す画像記録処理の内容の一例を示すフローチャートであり、図6は、図4のフローチャートに従って実行される動作の様子を模式的に示す図である。図6では、搬送方向Pcに沿って展開した様子が示され、特に「配置」の欄では、テープセンサー55の検出位置P55、印刷ヘッド36a〜36eおよび本硬化用のUV光源37b、38の照射領域R37b、R38の搬送方向Pcにおける位置関係が示され、「時刻ta」〜「時刻te」の欄では、各時刻ta〜teにおける記録動作の様子が示されている。また、複数の画像Iを区別するために、符号Iに添えられた括弧書きで画像Iの形成順序(n−3)、(n−2)、…(n)が示されている。
プリンター制御部200が図4のフローチャートを開始すると、ステップS101において、各モーターM20、M31、M32、M40が動作してシートSの搬送を開始し、続くステップS102において、UV光源37a、37b、38が点灯する。シート搬送および光源点灯が安定すると、ステップS103において印刷動作が開始される。この印刷動作は、搬送経路Pcに沿って搬送されるシートSへ印刷ヘッド36a〜36eからインクを吐出して画像をシートSに印刷する動作であり、本発明の「記録動作」に相当するものである。図6に示すように、この印刷動作では、複数の画像Iが搬送経路Pcに沿って順番に形成される。これら画像Iは、それぞれ搬送経路Pcに沿って長さLmを有し、搬送経路Pcに沿って間隔Liを空けて並ぶ。
ステップS104では、ジョブデータにより印刷を指示された画像の全ての印刷を終えて、印刷動作を終了するか否かが判断される。ステップS104で「YES」と判断されれば、図4のフローチャートが終了する一方、ステップS104で「NO」と判断されれば、ステップS105へ進む。ステップS105では、検出位置R55に繋ぎ目テープに到達したことをテープセンサー55が検出したか否かが判断される。テープセンサー55が繋ぎ目テープTを検出していない場合(ステップS105で「NO」の場合)は、ステップS104に戻る。これに対して、図6の「時刻ta」の欄に示すように、テープセンサー55が繋ぎ目テープTを検出すると(ステップS105で「YES」の場合)、続くステップS106が実行される。なお本フローチャートでは便宜上ステップS104で「NO」と判断された後にステップS105へ進むとしているが、実際には検出位置R55に繋ぎ目テープに到達したことをテープセンサー55が検出したか否の判断は、ステップS101のシート搬送開始と同時に行われる。
ステップS106では、繋ぎ目テープTの検出時刻taにおいて、シートSへの印刷が既に行われた画像Iのうち、照射領域R38での本硬化を受けていない未硬化のものがあるか否かが判断される。そして、未硬化画像Iがなければ(ステップS106で「NO」の場合)、ステップS109に進んでシートSの搬送が停止される。一方、未硬化画像があれば(ステップS106で「YES」の場合)、ステップS107の印刷動作終了処理が実行される。図6に示す動作例では、検出時刻taにおいて、画像I(n-2)の一部、画像I(n-1)および画像I(n)が未硬化であるため、ステップS107が実行される。
ステップS107の印刷動作終了処理は、図5のステップS201〜S204により実行される。ステップS201では、検出時刻taにおいて、印刷が途中の画像Iがあるか否かが判断される。そして、印刷途中の画像Iがなければ(ステップS201で「NO」の場合)、ステップS204に進んで、印刷ヘッド36a〜36eからのインク吐出が止められて、印刷動作が中止される。一方、印刷途中の画像Iがあれば(ステップS201で「YES」の場合)、ステップS202に進む。ステップS202では、検出時刻taにおいて印刷途中の画像を印刷し終えてから印刷動作を中止した場合に、検出時刻taから後述の搬送停止時刻tcまでのシートSの搬送距離Lcよりも距離L1の方が長くなるかを判断する。そして、距離L1が搬送距離Lcより長くなると判断した場合(ステップS202で「YES」の場合)は、ステップS203で印刷動作を継続して印刷途中の画像Iを印刷し終えてから印刷動作を中止する。一方、距離L1が搬送距離Lcと等しくなる、あるいは搬送距離Lcより短くなると判断した場合(ステップS202で「NO」の場合)は、ステップS204に進んで、距離L1が搬送距離Lcと等しくなる場合の印刷動作の中止時刻より前(例えば、つなぎ目検出と同時)に印刷動作を中止する。
図6に示す動作例では、検出時刻taにおいて、画像I(n)および画像I(n-1)の一部が印刷途中でありL1>Lcであるため、ステップS203が実行される。具体的には、ステップS203では、印刷途中であった画像I(n-1)、I(n)の印刷が完了するまで印刷動作が継続される。図6の「時刻tb」の欄に示すように印刷中止時刻tb(記録中止時刻)に画像I(n-1)、I(n)の印刷が完了すると、ステップS204に進んで、印刷ヘッド36a〜36eからのインク吐出が止められて、印刷動作が中止される。そして、図4のフローチャートに戻る。
ステップS108では、シートSの搬送動作を継続しながら、シートSに印刷された全ての画像Iの硬化が完了したか否かが確認される。そして、複数の画像Iのうち搬送経路Pcの最上流の画像I(n)が照射領域R38の下流端を通過して、全ての画像Iの硬化が完了すると、ステップS108で「YES」と判断されて、シートSの搬送が停止されるとともに、UV光源37a、37b、38が消灯される(ステップS109)。より詳しくは、シートSの搬送停止は、UV光源37a、37b、38の消灯と同時、あるいはUV光源37a、37b、38の消灯の後に行われる。
図6の「時刻tc」の欄では、シートSの搬送が停止する搬送停止時刻tcでの様子が示されている。検出時刻taから搬送停止時刻tcまでの期間では、印刷途中の画像I(n)の残りのカラー画像Δ1を追加形成して、さらに完成した画像I(n)を距離L2だけ搬送して照射領域R38を通過させるといった動作が実行される。その結果、時刻ta〜tcまでのシートSの搬送距離Lcは、追加形成される画像Iの搬送経路Pcに沿った長さΔ1に距離L2を足したものとなる(Lc=L2+Δ1)。
この実施形態では、時刻ta〜tcの期間に検出位置P55から距離Lcだけ搬送経路Pcの下流側へ移動する繋ぎ目テープTが、最上流の印刷ヘッド36aに差し掛からない構成となっている。具体的には、検出位置P55と最上流の印刷ヘッド36aまでの距離L1が、時刻ta〜tcの間のシートSの搬送距離Lcよりも長くなる位置に(L1>Lc=L2+Δ1)、テープセンサー55が配置されている。そのため、搬送停止時刻tcにおいては、繋ぎ目テープTは、最上流の印刷ヘッド36aの搬送経路Pcの上流側で停止することとなる。
さらに詳述すると、追加形成される画像Iの長さΔ1は、画像Iの搬送経路Pcに沿った長さLmの最大値Lmax未満の範囲で変動し、搬送距離Lもこの範囲で変動する。そこで、検出時刻taにおいて印刷途中であった画像Iの印刷を完了させつつ、このような搬送距離Lの変動に依らず、繋ぎ目テープTを印刷ヘッド36aの手前で確実に停止させたい場合には、距離L2に距離Lmaxを足したものより距離L1が長くなるように(L1>L2+Lmax)、テープセンサー55を配置すればよい。
ステップS110では、シートSの搬送を再開した場合に、シートSの繋ぎテープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eの接触の有無が予測される。具体的には、搬送経路Pcに沿って繋ぎ目テープTが異物センサー53を通過した際に、繋ぎ目テープTの厚みが異物センサー53によって検出される。そして、繋ぎ目テープTの厚みと印刷用クリアランスとの比較結果から、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触の有無が予測される。
そして、接触が無いと予測されると(ステップS110で「NO」の場合)、ステップS111に進んで、シートSの逆搬送が実行される。具体的には、ステップS111では、搬送経路Pcの逆方向Db(搬送方向Dsと逆)に向けて、逆搬送距離だけシートSが搬送される。この逆搬送距離は、印刷動作を中止した印刷中止時刻tbからシート搬送を停止した搬送停止時刻tcまでの間にシートSが搬送された距離以上に設定されている。このような逆搬送を行うことで、再開される印刷動作で画像の形成を開始する位置を、印刷ヘッド36aに近接させておくことができる(つまり、頭出しができる)。これによって、シートSに形成済みの画像Iと、再開後の印刷動作で形成する画像Iとの間隔を狭めて、シートSの無駄な消費を抑制できる。また逆搬送距離を印刷動作を中止した印刷中止時刻tbからシート搬送を停止した搬送停止時刻tcまでの間にシートSが搬送された距離以上に設定するのは、再開される印刷動作で画像の形成を開始する位置が印刷ヘッド36aと対向した際に、シートSの搬送状態が安定している必要があるため、シートSの搬送状態を安定させるための助走距離を必要とするためである。なお、図6の「時刻td」の欄では、シートSの逆搬送が完了した時点の様子が示されている。
一方、接触が有ると予測されると(ステップS110で「YES」の場合)、ステップS112に進んで、シートSの順搬送が実行される。具体的には、ステップS112では、印刷ヘッド36a〜36eを搬送経路Pcから離隔させた上で、搬送経路Pcの順方向Df(搬送方向Dsに一致)にシートSを搬送することで、搬送経路Pcに沿って印刷ヘッド36a〜36eの上流側から下流側まで繋ぎ目テープTを移動させる。これによって、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触を防止しつつ、印刷動作を再開することができる。なお、図6の「時刻te」の欄では、シートSの順搬送が完了した時点の様子が示されている。
ステップS111あるいはステップS112が完了すると、ステップS101に戻ってシートSの搬送を開始する。さらに、UV光源37a、37b、38が点灯されるとともに(ステップS102)、印刷動作が再開される(ステップS103)。なお、ステップS110で接触が無いと予測されている場合については、再開後の印刷動作においては、繋ぎ目テープTが設けられた部分に対して画像Iを印刷しても、当該部分を避けて画像Iを印刷しても構わない。
以上に説明したように、この実施形態では、プリンター制御部200は、印刷ヘッド36a〜36eで構成されるユニットを印刷ユニット36U(本発明の「記録ユニット」に相当)として取り扱って、本発明にかかる制御を実行している。つまり、搬送経路Pcに沿って搬送されるシートSに印刷ヘッド36a〜36eからインクを吐出してシートSに画像Iを記録する印刷動作が印刷ユニット36Uを用いて実行される。また、印刷ユニット36Uの搬送経路Pcの下流側にはUV光源38(光照射部)が設けられており、シートSに吐出されたインクはUV光源38からの紫外線の照射によって硬化する。こうして、画像IがシートSに定着される。
印刷ユニット36Uの搬送経路Pcの上流側には、繋ぎ目テープT(接合部材)を検出する検出位置P55が設けられており、繋ぎ目テープTが検出位置P55に到達したことが検出されると(時刻ta)、印刷動作が中止される(時刻tb>ta)。一方、印刷中止時刻tbの後もシートSの搬送は暫く継続されて、印刷中止時刻tbにおいてシートSに吐出済みのインクは少なくともUV光源38によって硬化される。これによって、シートSの搬送の停止後に未硬化の画像Iが放置されて、他の構成部材が汚されることが防止されている。
ただし、かかる構成では、繋ぎ目テープTが検出位置P55に到達した検出時刻ta以後もシートSの搬送が継続されるため、シートSの繋ぎ目テープTが設けられた部分がシートSの搬送に伴って移動して印刷ヘッド36a〜36eに接触するおそれがある。これに対して、この実施形態では、検出時刻taから搬送停止時刻tcまでの間にシートSが搬送される距離Lcよりも、搬送経路Pcに沿った検出位置P55から印刷ユニット36U(最上流の印刷ヘッド36a)までの距離L1が長くなるように、検出位置P55が設けられている。したがって、シートSに吐出済みのインクを硬化させからシートSの搬送を停止するといった動作を、繋ぎ目テープTが印刷ユニット36Uに到る前に完了することができ、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eの接触が防止されている。こうして、この実施形態では、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触および未硬化画像の放置の両方が防止されている。
また、この実施形態では、検出時刻taにおいて印刷途中の画像Iがあり、且つ、L1>Lcである場合には、この印刷途中の画像を印刷し終えてから印刷動作を中止する。このような構成では、シートSに未完成の画像Iが出来てしまうことを抑制することができ、未完成画像によってシートSが無駄に消費されないという利点がある。
また、この実施形態では、繋ぎ目テープTが搬送経路Pcに沿って印刷ヘッド36a〜36eを通過した場合における繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触の有無が、異物センサー53の検出結果から予測される。そして、この予測結果に基づいて、搬送停止時刻tcより後の印刷動作の再開が制御されている。このような構成では、繋ぎ目テープTの厚みに応じた適切な態様で印刷動作を再開することができる。
以上に説明したように、この実施形態では、プリンター1が本発明の「画像記録装置」に相当し、繰出部2、巻取部4やその他のローラー21、31、33、34、43が協働して本発明の「搬送部」として機能し、印刷ユニット36Uが本発明の「記録ユニット」に相当し、印刷ヘッド36a〜36eが本発明の「記録ヘッド」に相当し、UV光源38が本発明の「光照射部」に相当し、テープセンサー55が本発明の「位置検出部」に相当し、ヘッド制御部200が本発明の「制御部」に相当し、異物センサー53が本発明の「厚み検出部」に相当する。また、距離L2が本発明の「第1距離」に相当し、距離L1が本発明の「第2距離」に相当し、搬送距離Lcが本発明の「第3距離」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、印刷動作を中止するタイミングを上記のものから変更しても良い。具体的には、検出時刻taと同時に印刷動作を中止しても構わない(ta=tb)。このような場合には、検出時刻ta以後に追加形成される画像が無いので(つまり、Δ1=0)、検出時刻taから搬送停止時刻tcまでの期間のシートSの搬送距離Lcは、距離L2に等しくなる。したがって、距離L1が距離L2より大きくなるように(L1>L2)、テープセンサー55を配置しておけば、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触および未硬化画像の放置の両方が防止することができる。
あるいは、図7に示すタイミングで印刷動作を終了するように構成しても良い。ここで、図7は、図4中に示す画像記録処理の内容の変形例を示すフローチャートである。図6の検出時刻taの状態において、検出時刻taから搬送停止時刻tcまでの搬送距離Lcは、距離L2に追加形成される画像の長さΔ2を足したものである(Lc=L2+Δ2)。なお、ここでいうΔ2は、検出時刻taにおいて印刷ヘッド36aで印刷途中の画像I(n) の残りのカラー画像Δ1のみを指すのではなく、検出時刻taにおいてまだ画像が形成されていない画像I(n+1)以降の画像の長さも含む。そして、搬送距離Lcが距離L1より短い限りにおいては(Lc<L1)、搬送停止時刻tcにおいて、繋ぎ目テープTは印刷ユニット36Uの手前で停止する。したがって、長さΔ2が満たすべき条件は、
Δ2<L1−L2
となる。換言すれば、かかる条件が満たされる範囲であれば、検出時刻taの後に画像Iを追加形成することができる。
そこで、図7に示す変形例では、ステップS301において、区間(=L1−L2)に追加形成可能な画像を求めて、検出時刻ta以後も印刷動作を継続する。そして、ステップS302では、ステップS301で追加形成可能と判断された全画像の形成が完了したかが判断される。そして、全画像の形成の完了が確認されると(ステップS302で「YES」の場合)、ステップS303で印刷動作が中止される。このような構成においても、距離L1が搬送距離Lcよりも長いという条件が満たされているため、繋ぎ目テープTが設けられた部分と印刷ヘッド36a〜36eとの接触および未硬化画像の放置の両方が防止される。
また、シートSの搬送を停止するタイミングについても適宜変更が可能である。つまり、上記実施形態では、全画像Iの硬化が完了した時点でシートSの搬送を停止していた。しかしながら、全画像Iの硬化が完了した後もシートSの搬送を継続して、例えば繋ぎ目テープTを印刷ヘッド36aの直前まで搬送するように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、ステップS110で接触が無いと予測された場合は、逆搬送が実行されていた。しかしながら、かかる逆搬送は省略しても構わない。
また、上述した以外の構成をプリンター1に付加することも適宜可能である。そこで、テープセンサー55の検出精度を向上させるために、シートSのばたつきを抑えるガイド機構などを設けても良い。図8は、シートのガイド機構の構成例を模式的に示す図であり、同図の上段では正面視での様子が示され、同図の下段では平面視での様子が示されている。ガイド機構7は、シートSの表裏それぞれに対して設けられた屈曲部材71でシートSを挟むことで、シートSのばたつきを抑えるものである。具体的には、屈曲部材71は略直角に屈曲されて、その稜線部分をシートSに対向させている。また、屈曲部材71の稜線部分には検出窓72が開口しており、テープセンサー55は検出窓72を介してシートSに対向する。これによって、ガイド機構7によってばたつきの抑えられたシートSを、テープセンサー55によって検出することが可能となる。
また、上記実施形態では、透明インクを吐出する印刷ヘッド36eを用いて印刷動作が実行されていた。しかしながら、透明インクを必要としない場合には、印刷ヘッド36eを用いずに印刷動作を実行することもできる。このような場合には、カラーインクを吐出する印刷ヘッド36a〜36dで構成される印刷ユニット36Uを本発明の「記録ユニット」として取り扱い、UV光源37bを本発明の「光照射部」として機能させればよい。
また、印刷ヘッド36a〜36eの個数を増減するといった変更も可能である。そこで、透明インクを用いないプリンター1に対して本発明を適用したり、モノクロ印刷のみを行うプリンター1に対して本発明を適用したりすることもできる。
また、UV光源37a、37b、38に関する構成も適宜変更することができる。そこで、UV光源37a、37b、38の個数を増減したり、一部を省いたりといった変更を行っても構わない。
また、シートSを構成する媒体を繋ぐ接合部材は、上述の繋ぎ目テープTに限られない。つまり、媒体を相互に繋いでシートSを長尺化できるものであれば、接合部材として利用することができる。
プラテン30の形状などの具体的構成についても、適宜変更することができる。